説明

画像描画装置、画像描画方法およびプログラム

【課題】外部メモリへのアクセス頻度を低減する。
【解決手段】コマンドメモリ200に格納されているオブジェクトデータのうちコマンドバッファ102に格納可能な容量だけをコマンド処理部101が読み出して、コマンドバッファ制御部103がコマンドバッファ102に格納し、コマンドバッファ102に格納されたオブジェクトデータをコマンドバッファ制御部103が読み出して、タイル分割部104が分割した分割画像領域ごとに描画処理部105が描画処理を行い、描画処理を行った画像データを画像メモリ300へ出力した後、描画処理が完了したオブジェクトデータをコマンドバッファ制御部103がコマンドバッファ102から消去し、コマンドメモリ200に格納されているまだ読み出されていないオブジェクトデータをコマンド処理部101が読み出して、処理を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の描画処理を行う画像描画装置、画像描画方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像の描画処理を行う画像描画装置においては、処理を行う際に用いる外部に接続された外部メモリへのアクセス頻度が高いほど、その処理性能が下がってしまう。
【0003】
そこで、外部メモリへのアクセス頻度を下げるために、画像データを複数の小領域に分割して処理するタイル分割処理が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
タイル分割処理を用いた画像描画装置では、描画を行うメモリを複数のタイル状の小領域に分割し、分割された小領域ごとに描画処理を行う。このとき、内部キャッシュを設け、小領域ごとに内部キャッシュを用いて描画処理を行い、当該小領域の描画処理が完了した時点で内部キャッシュに格納された画像データを外部の画像メモリに対して出力する。この処理を分割した小領域の数分繰り返し、画像全体を生成する。描画処理中の画像データへのアクセスはすべて内部キャッシュに対して行われるため、外部の画像メモリへのアクセス回数を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−207662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タイル分割処理を用いた画像描画装置では、上述したように画像メモリに対するアクセス頻度は低減できる一方、外部に設けられたコマンドメモリに格納されている描画を行うためのオブジェクト情報については、分割した小領域の数だけ読み込む必要がある。一般に、画像描画装置では、オブジェクト情報を含んだコマンドデータ量が、描画メモリのデータ量よりも小さな量である傾向がある。そのため、オブジェクト情報を複数回数読み込むことになっても、全体としては外部メモリへのアクセス頻度を低減することができるという傾向はある。
【0007】
しかし、例えば、地図データ等の描画するオブジェクト数が非常に多い描画データについては、コマンドデータ量が多くなり、タイル分割処理を用いるとコマンドメモリからのデータの読み込み回数が増大する場合がある。この場合は、タイル化することでコマンドデータ量が増大してしまい、その結果、全体としての外部メモリへのアクセス頻度が増大してしまうという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を解決する画像描画装置、画像描画方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像描画装置は、
コマンドメモリに記憶された複数のデータから構成される複数のオブジェクトデータの描画処理を行う画像描画装置であって、
前記コマンドメモリから前記複数のデータを読み出し、該読み出した複数のデータに対して所定の処理を行うコマンド処理部と、
前記データを格納するコマンドバッファと、
前記コマンド処理部が処理したデータを前記コマンドバッファに格納し、該コマンドバッファに格納したデータの容量と、前記コマンドバッファが格納可能な容量とが同じ値となった場合、前記コマンド処理部へ前記コマンドメモリからの前記データの読み出しを中止するように指示し、前記コマンドバッファに格納されたデータのうち、前記オブジェクトデータを構成するデータすべてが格納されているデータを該コマンドバッファから読み出すコマンドバッファ制御部と、
前記コマンドバッファ制御部が読み出したデータから構成される前記オブジェクトデータを、あらかじめ設定された複数の分割画像領域ごとに出力するタイル分割部と、
前記タイル分割部が出力してきたオブジェクトデータに対して前記分割画像領域ごとに描画処理を行い、該描画処理が行われたオブジェクトデータを当該画像描画装置と接続された画像メモリへ出力する描画処理部とを有し、
前記コマンドバッファ制御部は、前記描画処理部がすべての前記分割画像領域において前記描画処理が完了した場合、前記コマンドバッファ制御部が前記コマンドバッファから読み出したデータを前記コマンドバッファから消去し、前記コマンド処理部へ前記コマンドメモリからの前記データの読み出しを再開するように指示し、
前記コマンド処理部は、前記コマンドバッファ制御部から前記データの読み出しの中止を指示された場合、前記コマンドメモリからの前記データの読み出しを中止し、前記コマンドバッファ制御部から前記データの読み出しの再開を指示された場合、前記コマンドメモリからの読み出しが完了していないデータを前記コマンドメモリから読み出す。
【0010】
また、本発明の画像描画方法は、
コマンドメモリに記憶された複数のデータから構成される複数のオブジェクトデータの描画処理を行う画像描画方法であって、
前記コマンドメモリから前記複数のデータを読み出すステップと、
前記読み出した複数のデータに対して所定の処理を行うステップと、
前記所定の処理が行われたデータをコマンドバッファに格納するステップと、
前記コマンドバッファに格納したデータの容量と、前記コマンドバッファが格納可能な容量とを比較するステップと、
前記比較の結果、前記コマンドバッファに格納したデータの容量と、前記コマンドバッファが格納可能な容量とが同じ値となった場合、前記コマンドメモリからの前記データの読み出しを中止するステップと、
前記コマンドバッファに格納されたデータのうち、前記オブジェクトデータを構成するデータすべてが格納されているデータを該コマンドバッファから読み出すステップと、
前記コマンドバッファから読み出したデータから構成される前記オブジェクトデータに対して、あらかじめ設定された複数の分割画像領域ごとに描画処理を行うステップと、
前記描画処理が行われたオブジェクトデータを画像メモリへ出力するステップと、
すべての前記分割画像領域において前記描画処理が完了した場合、前記コマンドバッファから読み出したデータを前記コマンドバッファから消去するステップと、
前記コマンドバッファからのデータの消去を行った後、前記コマンドメモリからの読み出しが完了していないデータを前記コマンドメモリから読み出すステップとを行う。
【0011】
また、本発明のプログラムは、
コマンドメモリに記憶された複数のデータから構成される複数のオブジェクトデータの描画処理を行う画像描画装置に実行させるためのプログラムであって、
前記コマンドメモリから前記複数のデータを読み出す手順と、
前記読み出した複数のデータに対して所定の処理を行う手順と、
前記所定の処理が行われたデータを、当該画像描画装置に設けられたコマンドバッファに格納する手順と、
前記コマンドバッファに格納したデータの容量と、前記コマンドバッファが格納可能な容量とを比較する手順と、
前記比較の結果、前記コマンドバッファに格納したデータの容量と、前記コマンドバッファが格納可能な容量とが同じ値となった場合、前記コマンドメモリからの前記データの読み出しを中止する手順と、
前記コマンドバッファに格納されたデータのうち、前記オブジェクトデータを構成するデータすべてが格納されているデータを該コマンドバッファから読み出す手順と、
前記コマンドバッファから読み出したデータから構成される前記オブジェクトデータに対して、あらかじめ設定された複数の分割画像領域ごとに描画処理を行う手順と、
前記描画処理が行われたオブジェクトデータを、当該画像描画装置と接続された画像メモリへ出力する手順と、
すべての前記分割画像領域において前記描画処理が完了した場合、前記コマンドバッファから読み出したデータを前記コマンドバッファから消去する手順と、
前記コマンドバッファからのデータの消去を行った後、前記コマンドメモリからの読み出しが完了していないデータを前記コマンドメモリから読み出す手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明においては、外部メモリへのアクセス頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の画像描画装置の実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した形態における画像描画方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示したコマンドバッファに格納されているオブジェクトデータの一例を示す図である。
【図4】図1に示したタイル分割部にて分割されたオブジェクトデータの一例を模式化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の画像描画装置の実施の一形態を示す図である。
【0016】
本形態における画像描画装置100には図1に示すように、コマンド処理部101と、コマンドバッファ102と、コマンドバッファ制御部103と、タイル分割部104と、描画処理部105と、内部キャッシュ106とが設けられている。
【0017】
コマンド処理部101は、画像描画装置100と接続された、複数のデータから構成される複数のオブジェクトデータ(図形等の画像を描画するための頂点情報や色情報等から構成されるデータ)を記憶するコマンドメモリ200から、複数のデータを読み出す。また、コマンド処理部101は、コマンドメモリ200から読み出した複数のデータに対して所定の処理を行う。ここで所定の処理とは、データの内容を解析し、頂点情報や色情報に対して一般的に行われる各種処理である。また、コマンド処理部101は、上述した処理を行ったデータをコマンドバッファ制御部103へ出力する。
【0018】
また、コマンド処理部101は、コマンドバッファ制御部103からデータの読み出しの中止を指示された場合、コマンドメモリ200からのデータの読み出しを中止する。また、コマンド処理部101は、コマンドバッファ制御部103からデータの読み出しの再開を指示された場合、コマンドメモリ200からの読み出しが完了していないデータをコマンドメモリ200から読み出す。
【0019】
コマンドバッファ制御部103は、コマンド処理部101から出力されてきたデータをコマンドバッファ102に格納する。また、コマンドバッファ制御部103は、コマンドバッファ102に格納したデータの容量を監視し、コマンドバッファ102に格納したデータの容量とコマンドバッファ102が格納可能な容量(空き容量)とを比較する。そして、コマンドバッファ102に格納したデータの容量とコマンドバッファ102が格納可能な容量とが同じ値となった場合、コマンドバッファ制御部103は、コマンドメモリ200からのデータの読み出しを中止するようにコマンド処理部101へ指示する。また、コマンドバッファ制御部103は、コマンドバッファ102に格納されたデータのうち、オブジェクトデータを構成するデータすべてが格納されているデータをコマンドバッファ102から読み出す。
【0020】
なお、コマンドバッファ制御部103は、コマンドバッファ102に格納したデータの容量とコマンドバッファ102が格納可能な容量とが同じ値となる前に、コマンドメモリ200に格納されている複数のデータすべてをコマンド処理部101が読み出して処理を行った場合、コマンドバッファ102に格納されているすべてのデータを読み出す。
【0021】
また、コマンドバッファ制御部103は、コマンドバッファ102から読み出したデータをタイル分割部104へ出力する。
【0022】
また、コマンドバッファ制御部103は、描画処理部105がすべての分割画像領域において描画処理を完了した場合、コマンドバッファ制御部103がコマンドバッファ102から読み出したデータをコマンドバッファ102から消去(破棄)し、コマンドメモリ200からのデータの読み出しを再開するようにコマンド処理部101へ指示する。
【0023】
タイル分割部104は、コマンドバッファ制御部103から出力されてきたデータから構成されるオブジェクトデータを、あらかじめ設定された複数の小領域である分割画像領域ごとに分割して出力する。
【0024】
描画処理部105は、タイル分割部104から出力されてきたオブジェクトデータに対して分割画像領域ごとに画素情報に変換する描画処理を行う。また、描画処理部105は、描画処理を行ったオブジェクトデータを画像描画装置100と接続された画像メモリ300へ出力する。このとき描画処理部105は、タイル分割部104から出力されてきた分割画像領域ごとのオブジェクトデータを内部キャッシュ106に一時的に記憶させる。そして、描画処理部105は、1つの分割画像領域を処理する間は内部キャッシュ106に記憶されているオブジェクトデータに対してアクセス(処理)を行い、画像メモリ300に対してはアクセスを行わない。描画処理部105は、1つの分割画像領域に対するオブジェクトデータの描画処理が完了した後、描画処理が完了した画像データを画像メモリ300へ出力する。
【0025】
画像メモリ300は、描画処理部105から出力されてきた画像データを格納する。
【0026】
なお、図1に示した形態においては、コマンドメモリ200には、オブジェクトデータとして、オブジェクトAデータ、オブジェクトBデータ、オブジェクトCデータ、オブジェクトDデータおよびオブジェクトEデータが記憶されている。
【0027】
以下に、本形態における画像描画方法について説明する。
【0028】
図2は、図1に示した形態における画像描画方法を説明するためのフローチャートである。
【0029】
まず、コマンド処理部101によって、コマンドメモリ200からオブジェクトデータが読み出され、画像描画装置100内に読み込まれる(ステップS1)。
【0030】
すると、コマンド処理部101によって、当該データが解析され、頂点情報や色情報に対して各種の所定の処理が行われ(ステップS2)、処理が行われたデータがコマンド処理部101からコマンドバッファ制御部103へ出力される。
【0031】
コマンド処理部101から出力されてきたデータは、コマンドバッファ制御部103によってコマンドバッファ102に格納される(ステップS3)。
【0032】
このとき、コマンドバッファ102に格納されたデータの容量がコマンドバッファ制御部103によって監視される。具体的には、コマンドバッファ102に格納されたデータの容量と、コマンドバッファ102が格納可能な容量(空き容量)とがコマンドバッファ制御部103によって比較される(ステップS4)。
【0033】
ステップS4の比較の結果、コマンドバッファ102に格納されたデータの容量と、コマンドバッファ102が格納可能な容量(空き容量)とが同じ容量(値)となった場合、コマンドメモリ200からのデータの読み出しを中止するようにコマンドバッファ制御部103からコマンド処理部101へ指示され、コマンド処理部101によるコマンドメモリ200からのデータの読み出しが中止される(ステップS5)。
【0034】
そして、コマンドバッファ制御部103によって、コマンドバッファ102に格納されたデータのうち、オブジェクトデータを構成するデータすべてが格納されているデータがコマンドバッファ102から読み出される(ステップS6)。つまり、画像描画装置100はオブジェクトデータ単位での処理を行うため、オブジェクトデータがすべてコマンドバッファ102に格納されていないデータに関しては、コマンドバッファ102から読み出されない。
【0035】
図3は、図1に示したコマンドバッファ102に格納されているオブジェクトデータの一例を示す図である。
【0036】
図1に示したコマンドバッファ102の格納可能な容量が、(オブジェクトAデータの容量+オブジェクトBデータの容量+オブジェクトCデータの一部の容量)である場合、図3に示すようにコマンドバッファ102には、オブジェクトAデータと、オブジェクトBデータと、オブジェクトCデータの一部とが格納される。
【0037】
この場合、オブジェクトAデータおよびオブジェクトBデータは、コマンドバッファ制御部103によって読み出される。一方、オブジェクトCデータは、オブジェクトデータとしてすべてのデータが格納されていないため、読み出されない。
【0038】
コマンドバッファ制御部103によってコマンドバッファ102から読み出されたデータが、コマンドバッファ制御部103からタイル分割部104へ出力される。
【0039】
すると、タイル分割部104にて、コマンドバッファ制御部103から出力されてきたデータから構成されるオブジェクトデータが、あらかじめ設定された複数の小領域である分割画像領域ごとに分割される。そして、分割された分割画像領域ごとにオブジェクトデータがタイル分割部104から描画処理部105へ出力される。
【0040】
図4は、図1に示したタイル分割部104にて分割されたオブジェクトデータの一例を模式化した図である。
【0041】
図4に示すように、画像領域が分割画像領域であるタイル400−1〜400−4の4つに分割されており、オブジェクトAはタイル400−1に含まれており、またオブジェクトBはタイル400−3およびタイル400−4に含まれており、またオブジェクトCはタイル400−3に含まれており、またオブジェクトDはタイル400−2およびタイル400−4に含まれており、またオブジェクトEはタイル400−2に含まれている場合を例に挙げて説明する。ここで、ステップS6にてコマンドバッファ制御部103によってコマンドバッファ102から読み出されたデータは、オブジェクトAおよびオブジェクトBのオブジェクトデータである。そのため、オブジェクトC、オブジェクトDおよびオブジェクトEのオブジェクトデータについては、処理が行われない。
【0042】
タイル分割部104によって、タイル400−1については、タイル400−1に含まれるオブジェクトAのオブジェクトデータが出力され、オブジェクトBの処理はスキップされる。また、タイル分割部104によって、タイル400−2については、何も出力されない。また、タイル分割部104によって、タイル400−3については、タイル400−3に含まれるオブジェクトBのオブジェクトデータが出力される。また、タイル分割部104によって、タイル400−4については、タイル400−4に含まれるオブジェクトBのオブジェクトデータが出力される。
【0043】
すると、描画処理部105によって、タイル分割部104から出力されてきたオブジェクトデータに対して分割画像領域ごとに画素情報に変換する描画処理が行われる(ステップS7)。このとき、タイル分割部104から出力されてきた分割画像領域ごとのオブジェクトデータが、描画処理部105によって内部キャッシュ106に一時的に記憶され、1つの分割画像領域を処理する間は内部キャッシュ106に記憶されているオブジェクトデータに対してアクセス(処理)が行われる。
【0044】
そして、1つの分割画像領域に対するオブジェクトデータの描画処理が完了した後、描画処理が行われたオブジェクトデータが、描画処理部105から画像メモリ300へ出力される(ステップS8)。
【0045】
描画処理部105から出力されてきた画像データは、画像メモリ300に格納される。
【0046】
描画処理部105によってすべての分割画像領域において描画処理が完了された後、コマンドバッファ制御部103によって、ステップS6にてコマンドバッファ102から読み出されたデータ、つまり上述した処理が済んだデータがコマンドバッファ102から消去(破棄)される(ステップS9)。上述した例では、オブジェクトAデータとオブジェクトBデータとが消去される。
【0047】
その後、コマンドバッファ制御部103によって、コマンド処理部101へコマンドメモリ200からのデータの読み出しを再開するように指示され、コマンドメモリ200からの読み出しが完了していないデータがコマンド処理部101によってコマンドメモリ200から読み出される。つまり、上述した例では、オブジェクトCデータが一部しか読み出されていなかったため、オブジェクトCデータの残りのデータの読み出しから再開されることとなる。
【0048】
また、ステップS4の比較の結果、コマンドバッファ102に格納されたデータの容量と、コマンドバッファ102が格納可能な容量(空き容量)とが同じ容量(値)ではない場合、コマンドメモリ200に格納されているデータすべてがコマンド処理部101によって読み出されたかどうかが判断される(ステップS10)。この判断がコマンド処理部101によって行われる場合、コマンド処理部101によって、コマンドメモリ200に格納されているデータを管理しておく必要がある。もしくは、コマンドメモリ200に格納されているデータのすべてがコマンド処理部101によって読み出された際、その旨がコマンド処理部101によって認識できるように、データに何らかの情報が付与されているものであっても良い。この判断を行うための方法については、ここでは特に規定しない。
【0049】
ステップS10にて、コマンドメモリ200に格納されているデータすべてがコマンド処理部101によって読み出されたと判断された場合、ステップS6の処理が行われる。このときのステップS6の処理は、コマンドバッファ制御部103によって、コマンドバッファ102に格納されたデータすべてがコマンドバッファ102から読み出される。
【0050】
一方、ステップS10にて、コマンドメモリ200に格納されているデータすべてがコマンド処理部101によってまだ読み出されていないと判断された場合、ステップS1の処理が行われる。
【0051】
上述した形態では、描画処理部105が1つである場合を例に挙げて説明したが、描画処理部105を複数設け、タイル分割部104で、複数の描画処理部105に分けて描画コマンドを出力する構成も考えられる。
【0052】
従来の技術では、タイル領域毎に全てのオブジェクトの処理を行っていた。しかし、オブジェクト数が増大した場合に、画像描画装置100と画像メモリ300との間のメモリ転送量(メモリアクセス頻度)は低減することが可能である反面、タイル数の回数だけコマンドメモリ200からオブジェクトデータを読み込む必要があり、コマンドメモリ200と画像描画装置100との間のメモリ転送量が増大してしまうという問題があった。
【0053】
以上説明したように本発明では、画像描画装置100の内部にコマンドバッファ102を設け、コマンドバッファ102の容量を超える様なオブジェクトデータがある場合、コマンドバッファ102に格納されたオブジェクトデータについて、タイル処理を行うことで、コマンドメモリ200と画像描画装置100と間のメモリ転送量を削減することができ、コマンドメモリ200および画像メモリ300に対するデータ転送量を最小にすることができる。
【0054】
上述した画像描画装置100の処理は、目的に応じて作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したプログラムを画像描画装置100にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを画像描画装置100に読み込ませ、実行するものであっても良い。画像描画装置100にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、画像描画装置100に内蔵されたHDD等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、画像描画装置100内のCPU(不図示)にて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0055】
100 画像描画装置
101 コマンド処理部
102 コマンドバッファ
103 コマンドバッファ制御部
104 タイル分割部
105 描画処理部
106 内部キャッシュ
200 コマンドメモリ
300 画像メモリ
400−1〜400−4 タイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コマンドメモリに記憶された複数のデータから構成される複数のオブジェクトデータの描画処理を行う画像描画装置であって、
前記コマンドメモリから前記複数のデータを読み出し、該読み出した複数のデータに対して所定の処理を行うコマンド処理部と、
前記データを格納するコマンドバッファと、
前記コマンド処理部が処理したデータを前記コマンドバッファに格納し、該コマンドバッファに格納したデータの容量と、前記コマンドバッファが格納可能な容量とが同じ値となった場合、前記コマンド処理部へ前記コマンドメモリからの前記データの読み出しを中止するように指示し、前記コマンドバッファに格納されたデータのうち、前記オブジェクトデータを構成するデータすべてが格納されているデータを該コマンドバッファから読み出すコマンドバッファ制御部と、
前記コマンドバッファ制御部が読み出したデータから構成される前記オブジェクトデータを、あらかじめ設定された複数の分割画像領域ごとに出力するタイル分割部と、
前記タイル分割部が出力してきたオブジェクトデータに対して前記分割画像領域ごとに描画処理を行い、該描画処理が行われたオブジェクトデータを当該画像描画装置と接続された画像メモリへ出力する描画処理部とを有し、
前記コマンドバッファ制御部は、前記描画処理部がすべての前記分割画像領域において前記描画処理が完了した場合、前記コマンドバッファ制御部が前記コマンドバッファから読み出したデータを前記コマンドバッファから消去し、前記コマンド処理部へ前記コマンドメモリからの前記データの読み出しを再開するように指示し、
前記コマンド処理部は、前記コマンドバッファ制御部から前記データの読み出しの中止を指示された場合、前記コマンドメモリからの前記データの読み出しを中止し、前記コマンドバッファ制御部から前記データの読み出しの再開を指示された場合、前記コマンドメモリからの読み出しが完了していないデータを前記コマンドメモリから読み出す画像描画装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像描画装置において、
前記コマンドバッファ制御部は、前記コマンドバッファに格納したデータの容量と、該コマンドバッファが格納可能な容量とが同じ値となる前に、前記コマンドメモリに格納されている前記複数のデータすべてを前記コマンド処理部が読み出し、該読み出した複数のデータに対して所定の処理を行った場合、前記コマンドバッファに格納されているすべてのデータを読み出すことを特徴とする画像描画装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像描画装置において、
前記タイル分割部が出力してきた前記分割画像領域ごとのオブジェクトデータを一時的に記憶する内部キャッシュを有し、
前記描画処理部は、前記内部キャッシュに記憶されているオブジェクトデータに対して前記分割画像領域ごとに前記描画処理を行うことを特徴とする画像描画装置。
【請求項4】
コマンドメモリに記憶された複数のデータから構成される複数のオブジェクトデータの描画処理を行う画像描画方法であって、
前記コマンドメモリから前記複数のデータを読み出すステップと、
前記読み出した複数のデータに対して所定の処理を行うステップと、
前記所定の処理が行われたデータをコマンドバッファに格納するステップと、
前記コマンドバッファに格納したデータの容量と、前記コマンドバッファが格納可能な容量とを比較するステップと、
前記比較の結果、前記コマンドバッファに格納したデータの容量と、前記コマンドバッファが格納可能な容量とが同じ値となった場合、前記コマンドメモリからの前記データの読み出しを中止するステップと、
前記コマンドバッファに格納されたデータのうち、前記オブジェクトデータを構成するデータすべてが格納されているデータを該コマンドバッファから読み出すステップと、
前記コマンドバッファから読み出したデータから構成される前記オブジェクトデータに対して、あらかじめ設定された複数の分割画像領域ごとに描画処理を行うステップと、
前記描画処理が行われたオブジェクトデータを画像メモリへ出力するステップと、
すべての前記分割画像領域において前記描画処理が完了した場合、前記コマンドバッファから読み出したデータを前記コマンドバッファから消去するステップと、
前記コマンドバッファからのデータの消去を行った後、前記コマンドメモリからの読み出しが完了していないデータを前記コマンドメモリから読み出すステップとを行う画像描画方法。
【請求項5】
コマンドメモリに記憶された複数のデータから構成される複数のオブジェクトデータの描画処理を行う画像描画装置に、
前記コマンドメモリから前記複数のデータを読み出す手順と、
前記読み出した複数のデータに対して所定の処理を行う手順と、
前記所定の処理が行われたデータを、当該画像描画装置に設けられたコマンドバッファに格納する手順と、
前記コマンドバッファに格納したデータの容量と、前記コマンドバッファが格納可能な容量とを比較する手順と、
前記比較の結果、前記コマンドバッファに格納したデータの容量と、前記コマンドバッファが格納可能な容量とが同じ値となった場合、前記コマンドメモリからの前記データの読み出しを中止する手順と、
前記コマンドバッファに格納されたデータのうち、前記オブジェクトデータを構成するデータすべてが格納されているデータを該コマンドバッファから読み出す手順と、
前記コマンドバッファから読み出したデータから構成される前記オブジェクトデータに対して、あらかじめ設定された複数の分割画像領域ごとに描画処理を行う手順と、
前記描画処理が行われたオブジェクトデータを、当該画像描画装置と接続された画像メモリへ出力する手順と、
すべての前記分割画像領域において前記描画処理が完了した場合、前記コマンドバッファから読み出したデータを前記コマンドバッファから消去する手順と、
前記コマンドバッファからのデータの消去を行った後、前記コマンドメモリからの読み出しが完了していないデータを前記コマンドメモリから読み出す手順とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−221941(P2011−221941A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92995(P2010−92995)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】