説明

画像書き換え制御装置、情報表示装置およびプログラム

【課題】ユーザからの指示のような割り込みに対する書き換え処理のレスポンスを向上させること。
【解決手段】画像書き換え制御装置は、表示手段の表示をリフレッシュするステップを含む複数の駆動ステップを順番に実行することにより、前記表示手段に表示される画像を第1の画像から第2の画像へ書き換える書き換え処理を行う書き換え手段と、前記書き換え処理を実行中に第3の画像への書き換えを指示する割り込みが発生すると、前記複数の駆動ステップのうち実行中の駆動ステップ以降の駆動ステップであって前記割り込みのタイミングに応じて定められる指定駆動ステップまで前記第2の画像について前記書き換え処理を行い、前記指定駆動ステップの次の駆動ステップから前記第3の画像について前記書き換え処理を行うよう前記書き換え手段を制御する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置の操作性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動表示素子等の記憶性表示素子を用いた情報表示装置が知られている。記憶性表示素子は表示を保持するためのリフレッシュ駆動が不要であるため、紙に近い表示品質を有し目に優しいという特徴がある。このような特徴を活かし、比較的長めの文書をじっくりと読むのに用いられる、電子ブックまたは電子ペーパといわれる装置が開発されている。
【0003】
電子ペーパに表示される画像は、ユーザの指示に応じて書き換えられる。例えば特許文献1は、電気泳動表示装置において表示内容の書き換えを行う方法を開示している。しかし、特許文献1に記載の方法によると、表示部に残像が生じてしまうことがある。残像を低減する技術として、特許文献2に記載の技術が知られている。特許文献2は、表示部を白にする期間と表示部を黒にする期間を設けるなど、複数の駆動ステップにより書き換えを行うことを開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2002−149115号公報
【特許文献2】特開2007−206471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の駆動ステップにより書き換えを行うと、書き換えにかかる時間が長くなってしまう。例えば電子ペーパにおいてユーザがページめくりの指示をする場合を考える。第1の画像から第2の画像への書き換え処理中に、ユーザがさらに第3の画像への書き換えを指示した場合、第2の画像から第3の画像への書き換えは、第2の画像についての書き換え処理が完了してから開始される。これはすなわち、ユーザの指示に対するレスポンスが遅いということである。
【0006】
これに対し本発明は、ユーザからの指示のような割り込みに対する書き換え処理のレスポンスを向上させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表示手段の表示をリフレッシュするステップを含む複数の駆動ステップを順番に実行することにより、前記表示手段に表示される画像を第1の画像から第2の画像へ書き換える書き換え処理を行う書き換え手段と、前記書き換え処理を実行中に第3の画像への書き換えを指示する割り込みが発生すると、前記複数の駆動ステップのうち実行中の駆動ステップ以降の駆動ステップであって前記割り込みのタイミングに応じて定められる指定駆動ステップまで前記第2の画像について前記書き換え処理を行い、前記指定駆動ステップの次の駆動ステップから前記第3の画像について前記書き換え処理を行うよう前記書き換え手段を制御する制御手段とを有する画像書き換え制御装置を提供する。
この画像書き換え制御装置によれば、割り込みが発生した場合には、第3の画像への書き換え処理が特定のステップの次のステップから開始される。
【0008】
好ましい態様において、前記制御手段は、それぞれ指定駆動ステップが異なる第1の動作モードおよび第2の動作モードを含む複数の動作モードのうちいずれかの動作モードで動作し、前記動作モードが前記第1の動作モードである場合、前記指定駆動ステップは、前記表示手段に前記第2の画像を表示させる処理を行うステップ以降の駆動ステップであってもよい。
この画像書き換え装置によれば、動作モードに応じて、割り込みに応じた画像書き換え処理が行われる。
【0009】
別の好ましい態様において、前記動作モードが、前記割り込みが発生したタイミングに応じて切り替えられてもよい。
この画像書き換え装置によれば、割り込みが発生したタイミングに応じて動作モードが切り替えられる。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、前記動作モードが、前記第2の画像または前記第3の画像に応じて切り替えられてもよい。
この画像書き換え装置によれば、第2の画像または第3の画像に応じて動作モードが切り替えられる。
【0011】
さらに別の好ましい態様において、この画像書き換え制御装置は、前記複数の駆動ステップの各々が終了する毎に、各駆動ステップが終了したことを示す信号を出力する出力手段と、前記指定駆動ステップで前記書き換え処理を中断すべきことを示す信号が入力される入力手段とを有してもよい。
この画像書き換え装置によれば、各駆動ステップが終了したことを示す信号が出力される。
【0012】
さらに別の好ましい態様において、前記表示手段が、電気泳動表示素子を有してもよい。
この画像書き換え装置によれば、割り込みが発生した場合には、電気泳動表示装置における第3の画像への書き換え処理が特定のステップの次のステップから開始される。
【0013】
また、本発明は、上記いずれかの画像書き換え制御装置と、前記表示手段とを有する情報表示装置を提供する。
この情報表示装置によれば、割り込みが発生した場合には、第3の画像への書き換え処理が特定のステップの次のステップから開始される。
【0014】
さらに、本発明は、表示手段に表示される画像を書き換える書き換え手段を有するコンピュータ装置に、前記書き換え手段が複数の駆動ステップを順番に実行することにより、前記表示手段に表示される画像を第1の画像から第2の画像へ書き換える書き換え処理を行う書き換え駆動ステップと、前記書き換え処理を実行中に第3の画像への書き換えを指示する割り込みが発生すると、前記複数の駆動ステップのうち実行中の駆動ステップ以降の駆動ステップであって前記割り込みのタイミングに応じて定められる指定駆動ステップまで前記第2の画像について前記書き換え処理を行い、前記指定駆動ステップの次の駆動ステップから前記第3の画像について前記書き換え処理を行うよう前記書き換え手段を制御する制御ステップとを実行させるプログラムを提供する。
このプログラムによれば、割り込みが発生した場合には、第3の画像への書き換え処理が特定のステップの次のステップから開始される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態に係る情報表示装置1の機能構成を示す図である。操作手段20は、ユーザの操作に応じた信号を出力する。割り込み処理手段30は、操作手段20から出力された信号に応じて、表示すべき画像の生成を指示する割り込み信号を画像生成手段40に対して出力する。画像生成手段40は、割り込み信号に応じて、表示すべき画像を示す画像データを生成し、生成した画像データを記憶手段50に記憶させる。さらに画像生成手段40は、画像書き換え制御装置10に表示手段60に画像を表示させる命令を出力する。この命令を受けた画像書き換え制御装置10は、記憶手段50から画像データを読み出し、この画像データに従った画像を表示手段60に表示させる。
【0016】
画像書き換え制御装置10は、表示手段60における画像の書き換えを制御する装置、すなわち、表示手段60を駆動する装置である。画像書き換え制御装置10は、詳細には以下の構成を有する。書き換え手段11は、複数の駆動ステップを順番に実行することにより、表示手段60に表示される画像を第1の画像から第2の画像へ書き換える書き換え処理を行う。ここで複数の駆動ステップは、表示手段60の表示をリフレッシュするステップを含む。制御手段12は、書き換え処理を実行中に第3の画像への書き換えを指示する割り込みが発生すると、指定駆動ステップまで第2の画像について書き換え処理を行い、指定駆動ステップの次の駆動ステップから第3の画像について書き換え処理を行うよう書き換え手段11を制御する。ここで、「指定駆動ステップ」は、複数の駆動ステップのうち実行中の駆動ステップ以降の駆動ステップであって、割り込みのタイミングに応じて定められる駆動ステップである。出力手段13は、複数の駆動ステップの各々が終了する毎に、各駆動ステップが終了したことを示す信号を出力する。入力手段14には、指定駆動ステップで書き換え処理を中断すべきことを示す信号が入力される。
【0017】
動作モード決定手段70は、画像書き換え制御装置10の動作モードを決定する。画像書き換え制御装置10(より詳細には書き換え手段11)は、複数の動作モードのうち一の動作モードで動作する。複数の動作モードは、それぞれ指定駆動ステップが異なり、割り込みによらず第2の画像の表示を行う第1の動作モードおよび割り込みに応じて第2の画像の表示を行わない第2の動作モードを含む。動作モードが第1の動作モードである場合、指定駆動ステップは、表示手段60に第2の画像を表示させる処理を行うステップ以降の駆動ステップである。動作モード決定手段70は、ユーザの指示、割り込みが発生したタイミング、第2の画像または第3の画像に応じて、動作モードを切り替える。
【0018】
図2は、情報表示装置1のハードウェア構成を示す図である。この例で、情報表示装置1は、電子ペーパである。CPU(Central Processing Unit)101は、情報表示装置1の構成要素を制御する制御装置である。ROM(Read Only Memory)102は、情報表示装置1の起動に必要なプログラムやデータを記憶する不揮発性の記憶装置である。RAM(Random Access Memory)103は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する記憶装置である。VRAM(Video Random Access Memory)104は、表示体107に表示させる画像(以下「メイン画像」という)を示すデータを記憶する記憶装置である。VRAM104は、メイン画像の記憶領域を有しており、メイン画像はその記憶領域に記憶される。I/O(Input/Output)105は、データや信号の入出力を管理するインターフェースである。UI(User Interface)ボタン群106は、ユーザの操作に応じた信号を出力する装置、例えば、例えば、ボタン(書き換えボタンやページ送りボタン、決定ボタンなど)・キーパッド・ホイール・レバー・タッチパネル・ペンデバイスなどの操作子を含む入力装置である。補助記憶装置115は、表示体107に表示することが可能なデータを記憶する記憶装置である。UIボタン群106はI/O105に接続されており、UIボタン群106から出力された信号はI/O105を介してCPU101に入力される。
【0019】
表示体107は、電気泳動表示素子を有する電気泳動ディスプレイ(Electrophoretic Display、以下「EPD」という)である。表示制御部108は、表示体107の描画制御を行う信号を出力する装置である。以下、必要に応じて表示体107と表示制御部108をあわせて「メインディスプレイ」という。電源オン・オフ回路111は、表示制御部108・CPU101などの要素への電力の供給を行ったり停止したりする回路である。以下、ある構成要素に電力を供給することを「電源をオンする」と、電力の供給を停止することを「電源をオフする」という。電源制御部112は、情報表示装置1の電源管理を行う装置である。具体的には、電源制御部112は、電源オン・オフ回路111を制御して表示制御部108およびCPU101の電源をオンまたはオフする。また、電源制御部112は、電池113の残量を監視する。電池113は、表示制御部108・CPU101・RAM103など、情報表示装置1の構成要素に電力を供給する。バス114は、構成要素間での信号の伝送に用いられる伝送路である。
【0020】
指紋センサ117は、ユーザの指紋を静電的に読み取り、読み取った指紋の画像を示す信号を出力する装置である。指紋センサ117はI/O105に接続されており、指紋センサ117から出力された信号はI/O105を介してCPU101に入力される。
【0021】
ROM102は、以下で説明する処理を行う制御プログラムを記憶している。CPU101がこの制御プログラムを実行することにより、図1に示される機能が情報表示装置1に実装される。ここで、表示制御部108は画像書き換え制御装置10の一例であり、UIボタン群106および指紋センサ117は操作手段20の一例であり、CPU101は割り込み処理手段30、画像生成手段40および動作モード決定手段70の一例であり、VRAM104は記憶手段50の一例であり、表示体107は表示手段60の一例である。
【0022】
図3は、情報表示装置1の外観を示す図である。情報表示装置1は、筐体の前面に表示体107の表示面、およびUIボタン群106を有する。
【0023】
2.動作
図4は、情報表示装置1の動作を示すフローチャートである。図4のフローは、例えば、文書の第1ページがユーザの指示に応じて表示されたことを契機として開始される。また、ここでは、ユーザの指示により画像書き換え制御装置10の動作モードが決定され、決定された動作モードが第2の動作モードである場合を例に説明する。この場合において、指定駆動ステップは、割り込みが検出されたときに実行されていた駆動ステップである。
【0024】
ステップS100において、CPU101は、画像の書き換え指示が出されたか判断する。CPU101は、UIボタン群106から出力される信号により、書き換え指示が出されたことを判断する。書き換え指示が出されていないと判断された場合(S100:NO)、CPU101は、書き換え指示が出されるまで待機する。書き換え指示が出たと判断された場合(S100:YES)、CPU101は、処理をステップS110に移行する。
【0025】
ステップS110において、CPU101は、表示制御部108を制御して、表示体107に表示される画像を第1の画像(現在表示されている画像)から第2の画像(次に表示されるべき画像)へ書き換える書き換え処理を開始させる。
【0026】
図5は、書き換え処理における複数の駆動ステップを例示する図である。この例では、書き換え処理はステップ1−3の3つの駆動ステップを含む。いま、第1の画像がアルファベットの「H」の画像であり、第2の画像が「I」の画像である場合を例に説明する。ステップ1は、反転画像書き込みステップである。「反転画像」とは、第1の画像の白い部分を黒にする画像をいう。反転画像が書き込まれると、表示体107の画面はすべて黒になる。ステップ2は、全画面白書き込みステップである。ステップ2においては、表示体107の画面はすべて白になる。ステップ1および2は、表示体107において表示をリフレッシュするために行われる処理である。ステップ3は、新画像書き込みステップである。ステップ3において、新たな表示画像である第2の画像が書き込まれる。CPU101は、ステップ1−3に必要な画像データを生成し、生成した画像データに従って表示体107を駆動するように表示制御部108を制御する。
【0027】
この例で、表示制御部108は、ステップ1−3の各々が終了する毎に、各ステップが終了したことを示す信号をCPU101に出力する。これによりCPU101は、表示制御部108が複数の駆動ステップのうちどのステップをいま実行しているのかを知ることができる。
【0028】
再び図4を参照して説明する。ステップS120において、CPU101は、割り込みが検出されたか判断する。ここで「割り込み」とは、第1の画像から第2の画像への書き換え処理を行っているときに、これらの画像とは別の第3の画像への書き換えを指示する命令をいう。割り込みが検出されなかった場合(S120:NO)、CPU101は、処理をステップS130に移行する。割り込みが検出された場合(S120:YES)、CPU101は、処理をステップS140に移行する。
【0029】
ステップS130において、CPU101は、書き換え処理が完了したか判断する。書き換え処理が完了したと判断された場合(S130:YES)、CPU101は、図4のフローを終了する。書き換え処理が完了していないと判断された場合(S130:NO)、CPU101は、処理を再びステップS120に移行する。
【0030】
ステップS140において、CPU101は、第2の画像についての処理を維持する駆動ステップ、すなわち「指定駆動ステップ」を特定する。この例で指定駆動ステップは、割り込みが発生したとき(より詳細には割り込みが検出されたとき)に実行されていた駆動ステップである。例えば、割り込みが検出されたときに表示制御部108がステップ2を実行中であれば、ステップ2が指定駆動ステップである。
【0031】
ステップS150において、CPU101は、表示制御部108の中断および再開を制御する。具体的には、CPU101は、指定駆動ステップまでは第2の画像について書き換え処理を継続し、指定駆動ステップの次のステップから第3の画像について書き換え処理を開始するように、表示制御部108を制御する。ここで、「次のステップ」とは指定駆動ステップの次に実行されるべきステップをいう。例えばステップ2が指定駆動ステップである場合、次のステップはステップ3である。あるいはステップ3が指定駆動ステップである場合、第2の画像についてのステップ1が次のステップである。
【0032】
図6は、ステップS150における処理を模式的に示す図である。ここでは第3の画像がアルファベットの「K」の画像である場合を例に説明する。第2の画像を対象とした書き換え処理のステップ1が実行されているときに割り込みが検出されると、書き換え処理は、ステップ1が終了した時点で中断される。第2の画像の書き換え処理が中断されると、第3の画像の書き換え処理が、中断された駆動ステップの次のステップ、すなわちステップ2から開始される。別の例で、第2の画像を対象とした書き換え処理のステップ2が実行されているときに割り込みが検出されると、書き換え処理は、ステップ2が終了した時点で中断される。第2の画像の書き換え処理が中断されると、第3の画像の書き換え処理が、ステップ3から開始される。
【0033】
図7は、情報表示装置1の具体的な動作のシーケンスを示す図である。いま、表示体107に第1の画像が表示されている場合を例に説明する。ユーザがUIボタン群106のページめくりボタンを押すと、UIボタン群106は、ページめくりボタンに割り当てられた信号を出力する。CPU101は、この信号を第2の画像への書き換えを指示する割り込みとして検出する(ステップS201)。割り込みを検出すると、CPU101は、表示制御部108の駆動を中断する必要があるか判断する(ステップS202)。表示制御部108が書き換え処理を実行中であれば中断が必要と判断され、書き換え処理を実行中でなければ中断は不要であると判断される。この例では書き換え処理は行われていないので、中断は不要と判断される。
【0034】
中断が不要と判断されると、CPU101は、次に表示されるべき画像である第2の画像を示すデータ(以下「第2の画像データ」という)を生成する(ステップS203)。第2の画像を生成すると、CPU101は、第2の画像データを次に表示すべき画像としてVRAM104に書き込む(ステップS204)。VRAM104は、現在表示されている画像(ここでは第1の画像)および次に表示すべき画像(第2の画像)のデータを記憶する記憶領域を有している。第2の画像データを書き込むと、CPU101は、書き換え処理の開始、すなわち駆動開始を指示する命令を表示制御部108に出力する(ステップS205)。
【0035】
書き換え処理の開始を指示されると、表示制御部108は、VRAM104から現在表示されている画像である第1の画像データを読み出し、ステップ1を実行する(ステップS206)。この例では、表示制御部108が第1の画像データを読み出し、その反転画像を表示体107に書き込む。
【0036】
表示制御部108が書き換え処理を行っている間も、CPU101は割り込みを監視している。ここでユーザがページめくりボタンを押すと、CPU101は、UIボタン群106から出力される信号を第3の画像への書き換えを指示する割り込みとして検出する(ステップS207)。割り込みを検出すると、CPU101は、表示制御部108の駆動を中断する必要があるか判断する(ステップS208)。いま表示制御部108は書き換え処理を実行中であるので、CPU101は、駆動の中断が必要であると判断する。さらに、CPU101は、指定駆動ステップを特定する。この例ではステップ1が指定駆動ステップである。
【0037】
表示制御部108は、ステップ1の実行が完了すると、ステップ1の実行が完了したことを示す信号を出力する(ステップS209)。ステップ1、すなわち指定駆動ステップの完了が通知されると、CPU101は、書き込み処理の中断、すなわち駆動中断を指示する命令を表示制御部108に出力する(ステップS210)。表示制御部108は、この命令に従って書き込み処理を中断する。
【0038】
書き込み処理を中断すると、CPU101は、次に表示されるべき画像である第3の画像を示すデータ(以下「第3の画像データ」という)を生成する(ステップS211)。第3の画像データを生成すると、CPU101は、第3の画像データを次に表示すべき画像としてVRAM104に書き込む(ステップS212)。第3の画像データを書き込むと、CPU101は、書き換え処理の再開、すなわち駆動再開を指示する命令を表示制御部108に出力する(ステップS213)。
【0039】
駆動再開が指示されると、表示制御部108は、動作を再開し、動作を中断したステップの次のステップであるステップ2から書き込み処理を開始する(ステップS214)。ステップ2の実行が完了すると、表示制御部108は、ステップの2の完了を通知する(ステップS215)。表示制御部108は、ステップ2に続いてステップ3を実行する(ステップS216)。すなわち、表示制御部108は、VRAM104から次に表示すべき画像である第3の画像データを読み出し、表示体107に書き込む。ステップ3の実行が完了すると、表示制御部108は、ステップ3の完了を通知する(ステップS217)。ステップ3の完了が通知されると、書き換え処理は終了である。CPU101は、この後、第3の画像データを現在表示されている画像としてVRAM104に書き込む等の必要な処理を行う。
【0040】
以上で説明したように、本実施形態によれば、第1の画像から第2の画像への書き換え処理が行われている途中で割り込みが発生すると、第2の画像への書き換え処理は途中で中断され、第3の画像への書き換え処理が中断されたところから開始される。この場合は書き換え処理を最初から行うことはないので、本実施形態の構成を有しないものと比較するとより高速で書き換えが行われる。以上の説明では画像の書き換え処理を行っているときに1回だけ割り込みが発生した場合の処理を説明したが、割り込みが複数回発生した場合の処理も以上で説明したものと変わらない。
【0041】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。変形例の説明において実施形態と共通する要素には共通の参照符号が用いられる。以下で説明する変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0042】
3−1.変形例1
上述の実施形態においてはユーザの指示により画像書き換え制御装置10の動作モードが決定される例について説明したが、動作モードを切り替える要因はユーザの指示に限定されない。例えば、動作モードは、割り込みの発生するタイミングに応じて、より具体的には頻度または連続する2つの割り込みの時間間隔により切り替えられてもよい。この場合、CPU101が単位時間あたりの割り込み回数を計測する。CPU101は、単位時間あたりの割り込みの回数がしきい値を超えた場合には動作モードを第2の動作モードに切り替え、しきい値未満である場合には第1の動作モードに切り替える。この例によれば、短い間隔で連続的にページめくりボタンが押された場合には書き換え処理は高速化され、比較的長い間隔でページめくりボタンが押された場合には書き換え処理は高速化されない。また、画像書き換え制御装置10の動作モードは3つ以上あってもよい。要は、画像書き換え制御装置10の動作モードが少なくとも第1の動作モードおよび第2の動作モードを含んでいればよい。
【0043】
3−2.変形例2
動作モードは、表示される画像または次に表示すべき画像によって切り替えられてもよい。この場合、RAM103は、動作モードを特定する情報を、画像データと対応可能な態様で記憶している。「動作モードを特定する情報」とは、動作モードを示すフラグや、動作モードを選択する条件をいう。「画像データと対応可能な態様」とは、画像データ自体が動作モードを特定する情報を含む場合や、画像データ自体は動作モードを特定する情報を含まなくても動作モードを特定する情報と対応付けられている場合をいう。動作モードを特定する情報は、補助記憶装置115などの記憶手段に記憶される。CPU101は、次に表示すべき画像データに対応付けられている動作モードを特定する情報により、動作モードを特定する。例えば文章のうち重要なページには第1の動作モードを対応付けておくことにより、ページめくりボタンを押すタイミングによらずに必ずそのページを表示させることができる。
【0044】
3−3.変形例3
上述の実施形態においては、表示手段60が記憶性表示体であるEPDである例について説明したが、表示をリフレッシュするステップを含む複数の駆動ステップにより駆動されるものであれば、どのような表示装置が表示手段60として用いられてもよい。なお記憶製表示体とは、電力を供給しなくても所定の時間表示を維持できる表示体をいう。
【0045】
3−4.変形例4
上述の実施形態においては、書き換え処理がステップ1−3の3つの駆動ステップにより構成される例について説明したが、書き換え処理はこれに限定されない。表示をリフレッシュするステップと次に表示すべき画像を表示させるステップとを含むものであれば、どのような処理が書き換え処理として用いられてもよい。表示をリフレッシュするステップは、例えば、全画面を黒にするデータを書き込むステップを所定回数繰り返し行い、その後、全画面を白にするデータを書き込むステップを所定回数繰り返し行い、最後に、次に表示すべき画像を表示させるステップを行うものであってもよい。あるいは、表示をリフレッシュするステップは、全画面を黒にするデータを書き込むステップと全画面を白にするデータを書き込むステップを交互に所定回数繰り返し行い、最後に、次に表示すべき画像を表示させるステップを行うものであってもよい。さらにあるいは、表示をリフレッシュするステップは、全画面を黒にするデータを書き込むステップおよび全画面を白にするデータを書き込むステップのうちいずれか一方だけを含んでもよい。全画面を黒にするデータを書き込むステップまたは全画面を白にするデータを書き込むステップの代わりに、現在表示されている画像の反転画像を書き込むステップが用いられてもよい。また、全画面を黒または白にする代わりに画面の一部を黒または白にするステップが用いられてもよい。
【0046】
3−5.変形例5
上述の実施形態においては、割り込みが検出されたときに実行されていた駆動ステップが第2の動作モードにおける「指定駆動ステップ」である例について説明したが、指定駆動ステップの決定方法はこれに限定されるものではない。割り込みが検出されたときに実行されていた駆動ステップと所定の規則に基づいて決定されるのであれば、どの駆動ステップが指定駆動ステップとして決定されてもよい。例えば変形例4で説明したように、表示をリフレッシュするステップが全画面を黒にするデータを書き込むステップを5回繰り返した後で全画面を白にするデータを書き込むステップを5回繰り返すものであった場合に、指定駆動ステップは、5回目の全画面を黒にするデータを書き込むステップまたは5回目の全画面を白にするデータを書き込むステップであってもよい。この場合、3回目の全画面を黒にするデータを書き込むステップが実行されている途中で割り込みが検出されると、5回目の全画面を黒にするデータを書き込むステップまでは書き換え処理が中断されずに実行される。
【0047】
3−6.変形例6
情報表示装置1の具体的な動作シーケンスは図7に示したものに限定されない。例えば図7の例では表示制御部108がVRAM104から第1の画像データを読み出し、これに基づいて表示体107に反転画像を書き込んだ。しかし、VRAM104に第1の画像データと併せて第1の画像の反転画像のデータを記憶しておき、表示制御部108がこの反転画像のデータを読み出して表示体107に反転画像を書き込む構成としてもよい。表示制御部108は、CPU101から書き換え処理の中断を示す命令が出力されるまでは書き換え処理を継続する構成でもよいし、各駆動ステップが終了するたびにCPU101に対して書き換え処理を継続してもよいか許可を求める構成であってもよい。
【0048】
3−7.変形例7
情報表示装置1および画像書き換え制御装置10の機能構成は、図1に示したものに限定されない。割り込み処理手段30・画像生成手段40等の、画像書き換え制御装置10が有さないものとして説明された機能を、画像書き換え制御装置10が有してもよい。また、画像書き換え制御装置10の機能として説明されたものの一部を、画像書き換え制御装置10が有していなくてもよい。例えば画像書き換え制御装置10が画像生成手段40を有している場合、画像書き換え制御装置10は出力手段13を有していなくてもよい。あるいは画像書き換え制御装置10が割り込み処理手段30を有している場合、画像書き換え制御装置10は入力手段14を有していなくてもよい。また、指定駆動ステップの決定は、画像書き換え制御装置10自身が行ってもよいし、画像書き換え制御装置10以外の要素が行ってもよい。画像書き換え制御装置10以外の要素が指定駆動ステップを決定した場合には、(その内容またはタイミングにより)指定駆動ステップを示す信号が画像書き換え制御装置10に入力される。さらに、情報表示装置1は、動作モード決定手段70を有していなくてもよい。すなわち、画像書き換え制御装置10の動作モードは単一(第2の動作モードのみ)であってもよい。
【0049】
また、機能構成とハードウェア構成の対応関係も上述の実施形態で説明したものに限定されない。例えば上述の実施形態では、CPU101が割り込み処理手段30、画像生成手段40および動作モード決定手段70としての機能を兼ね備えていたが、これらの機能のうち一部または全部がCPU101以外のハードウェア要素により実現されてもよい。例えば、割り込み処理手段30としての機能を有する割り込み監視回路が別途設けられてもよい。
【0050】
3−8.他の変形例
情報表示装置1のハードウェア構成は図2で示されるものに限定されない。必要な機能構成を実現できるものであれば、どのようなハードウェア構成を有する装置が用いられてもよい。また上述の実施形態では情報表示装置1が電子ペーパである例について説明したが、情報表示装置1は電子ペーパ以外の装置であってもよい。
【0051】
上述の実施形態においてCPU101によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリ(フラッシュROMなど)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】一実施形態に係る情報表示装置1の機能構成を示す図である。
【図2】情報表示装置1のハードウェア構成を示す図である。
【図3】情報表示装置1の外観を示す図である。
【図4】情報表示装置1の動作を示すフローチャートである。
【図5】書き換え処理における複数の駆動ステップを例示する図である。
【図6】ステップS150における処理を模式的に示す図である。
【図7】情報表示装置1の具体的な動作のシーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1…情報表示装置、10…画像書き換え制御装置、11…書き換え手段、12…制御手段、13…出力手段、14…入力手段、20…操作手段、30…割り込み処理手段、40…画像生成手段、50…記憶手段、60…表示手段、70…動作モード決定手段、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…VRAM、105…I/O、106…UIボタン群、107…表示体、108…表示制御部、111…電源オン・オフ回路、112…電源制御部、113…電池、114…バス、115…補助記憶装置、117…指紋センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段の表示をリフレッシュするステップを含む複数の駆動ステップを順番に実行することにより、前記表示手段に表示される画像を第1の画像から第2の画像へ書き換える書き換え処理を行う書き換え手段と、
前記書き換え処理を実行中に第3の画像への書き換えを指示する割り込みが発生すると、前記複数の駆動ステップのうち実行中の駆動ステップ以降の駆動ステップであって前記割り込みのタイミングに応じて定められる指定駆動ステップまで前記第2の画像について前記書き換え処理を行い、前記指定駆動ステップの次の駆動ステップから前記第3の画像について前記書き換え処理を行うよう前記書き換え手段を制御する制御手段と
を有する画像書き換え制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、それぞれ指定駆動ステップが異なる第1の動作モードおよび第2の動作モードを含む複数の動作モードのうちいずれかの動作モードで動作し、
前記動作モードが前記第1の動作モードである場合、前記指定駆動ステップは、前記表示手段に前記第2の画像を表示させる処理を行うステップ以降の駆動ステップである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項3】
前記動作モードが、前記割り込みが発生したタイミングに応じて切り替えられる
ことを特徴とする請求項2に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項4】
前記動作モードが、前記第2の画像または前記第3の画像に応じて切り替えられる
ことを特徴とする請求項2に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項5】
前記複数の駆動ステップの各々が終了する毎に、各駆動ステップが終了したことを示す信号を出力する出力手段と、
前記指定駆動ステップで前記書き換え処理を中断すべきことを示す信号が入力される入力手段と
を有する請求項1−4のいずれかの項に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項6】
前記表示手段が、電気泳動表示素子を有する
ことを特徴とする請求項1−5のいずれかの項に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項7】
請求項1−6のいずれかの項に記載の画像書き換え制御装置と、
前記表示手段と
を有する情報表示装置。
【請求項8】
表示手段に表示される画像を書き換える書き換え手段を有するコンピュータ装置に、
前記書き換え手段が複数の駆動ステップを順番に実行することにより、前記表示手段に表示される画像を第1の画像から第2の画像へ書き換える書き換え処理を行う書き換え駆動ステップと、
前記書き換え処理を実行中に第3の画像への書き換えを指示する割り込みが発生すると、前記複数の駆動ステップのうち実行中の駆動ステップ以降の駆動ステップであって前記割り込みのタイミングに応じて定められる指定駆動ステップまで前記第2の画像について前記書き換え処理を行い、前記指定駆動ステップの次の駆動ステップから前記第3の画像について前記書き換え処理を行うよう前記書き換え手段を制御する制御ステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−192786(P2009−192786A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32933(P2008−32933)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】