説明

画像書き換え制御装置および情報表示装置

【課題】書き換えの高速化と表示品質の向上とを両立させること。
【解決手段】画像書き換え制御装置は、通常書き換え処理、高速書き換え処理および上書き処理を含む複数の書き換え処理のうち1つの書き換え処理を実行することにより、表示装置に表示させる画像を第1の画像から第2の画像へ書き換える書き換え手段と、前記第1の画像から前記第2の画像への書き換え指示があったタイミング、他の装置からの指示および前記第1の画像または前記第2の画像のうち少なくともいずれか1つに基づいて、前記複数の書き換え処理のうち1つの書き換え処理を実行するように前記書き換え手段を制御する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置において画像を書き換える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動表示素子等の記憶性表示素子を用いた情報表示装置が知られている。記憶性表
示素子は表示を保持するためのリフレッシュ駆動が不要であるため、紙に近い表示品質を
有し目に優しいという特徴がある。このような特徴を活かし、比較的長めの文書をじっく
りと読むのに用いられる、電子ブックまたは電子ペーパといわれる装置が開発されている

【0003】
電子ペーパに表示される画像は、ユーザの指示に応じて書き換えられる。例えば特許文
献1は、電気泳動表示装置において表示内容の書き換えを行う方法を開示している。しか
し、特許文献1に記載の方法によると、表示部に残像が生じてしまうことがある。残像を
低減する技術として、特許文献2に記載の技術が知られている。特許文献2は、表示部を
白にする期間と表示部を黒にする期間を設けるなど、複数の駆動ステップにより書き換え
を行うことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−149115号公報
【特許文献2】特開2007−206471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の画像から第2の画像への書き換え処理を行うときに第1の画像を消去するステッ
プが実行される場合、書き換え処理は、少なくとも第1の画像の消去に要する時間以上の
時間を要する。つまり、あるページの書き換え処理が完了するまでは次のページ書き換え
が行われない。特に記憶性表示装置においては画像を消去する処理にかかる時間が相対的
に長い傾向にあり、書き換えの高速化を阻む要因となっている。しかし、単純に画像を消
去する時間を短くしただけでは残像が生じ、表示品質が低下してしまう。
【0006】
これに対し本発明は、書き換えの高速化と表示品質の向上とを両立させる技術を提供す
る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、通常書き換え処理、高速書き換え処理および上書き処理を含む複数の書き換
え処理のうち1つの書き換え処理を実行することにより、表示装置に表示させる画像を第
1の画像から第2の画像へ書き換える書き換え手段であって、前記通常書き換え処理が、
前記表示装置から前記第1の画像を消去する第1の消去ステップおよび前記第1の消去ス
テップの後で前記表示装置に前記第2の画像を書き込む第1の書き込みステップを含み、
前記高速書き換え処理が、前記第1の消去ステップより短い期間において前記表示装置か
ら前記第1の画像を消去する第2の消去ステップおよび前記第2の消去ステップの後で前
記表示装置に前記第2の画像を書き込む第2の書き込みステップを含み、前記上書き処理
が、前記表示装置に前記第2の画像が表示された状態で前記表示装置に前記第2の画像の
少なくとも一部をさらに書き込む第3の書き込みステップを含む書き換え手段と、前記第
1の画像から前記第2の画像への書き換え指示があったタイミング、他の装置からの指示
および前記第1の画像または前記第2の画像のうち少なくともいずれか1つに基づいて、
前記複数の書き換え処理のうち1つの書き換え処理を実行するように前記書き換え手段を
制御する制御手段とを有する画像書き換え制御装置を提供する。
この画像書き換え制御装置によれば、書き換え指示があったタイミング、他の装置から
の指示および第1の画像または第2の画像のうち少なくともいずれか1つに基づいて、複
数の書き換え処理のうち1つの書き換え処理が実行される。
【0008】
好ましい態様において、前記高速書き換え処理が連続して所定回数以上行われた場合、
前記制御手段は、前記第2の消去ステップよりも長い期間を用いて前記表示装置から前記
第1の画像を消去する消去ステップを含む書き換え処理を実行するように前記書き換え手
段を制御してもよい。
この画像書き換え制御装置によれば、高速書き換え処理が連続して所定回数以上行われ
た場合、期間の長い消去ステップを含む書き換え処理が実行される。
【0009】
別の好ましい態様において、前記複数の書き換え処理が、前記第1の消去ステップより
長い期間を用いて前記表示装置から前記第1の画像を消去する第3の消去ステップを含む
リセット処理を含み、前記高速書き換え処理が連続して所定回数以上行われた場合、前記
制御手段は、前記リセット処理を実行するように前記書き換え手段を制御してもよい。
この画像書き換え制御装置によれば、高速書き換え処理が連続して所定回数以上行われ
た場合、リセット処理が実行される。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、前記書き換え指示が行われてから基準時間が経過し
ても次の書き換え指示が行われない場合、前記制御手段は、前記上書き処理を実行するよ
うに前記書き換え手段を制御してもよい。
この画像書き換え制御装置によれば、書き換え指示が行われてから基準時間が経過して
も次の書き換え指示が行われない場合、上書き処理が実行される。
【0011】
さらに別の好ましい態様において、前記基準時間は、前記画像書き換え装置において過
去に行われた複数の書き換え指示のタイミングを統計処理することにより得られる時間に
基づいて決定されてもよい。
この画像書き換え制御装置によれば、書き換え指示のタイミングの統計処理結果に応じ
て決定される。
【0012】
さらに別の好ましい態様において、前記第1の画像を示すデータおよび前記第2の画像
を示すデータの少なくともいずれか一方が前記基準時間を示す情報を有しており、前記基
準時間は、前記情報により示される時間に基づいて画像ごとに決定されてもよい。
この画像書き換え制御装置によれば、基準時間は第1の画像または第2の画像の少なく
ともいずれか一方に基づいて決定される。
【0013】
さらに別の好ましい態様において、前記基準時間は、前記第1の画像または前記第2の
画像のデータ量に基づいて決定されてもよい。
この画像書き換え制御装置によれば、基準時間は第1の画像または第2の画像の少なく
ともいずれか一方に基づいて決定される。
【0014】
さらに別の好ましい態様において、前記第1の画像を示すデータまたは前記第2の画像
を示すデータの少なくともいずれか一方が、前記複数の書き換え処理のうちどの書き換え
処理を実行すべきかを示す情報を含み、前記制御手段は、前記情報に基づいて画像ごとに
決定される書き換え処理を実行するように前記書き換え手段を制御してもよい。
この画像書き換え制御装置によれば、どの書き換え処理を行うべきか第1の画像または
第2の画像の少なくともいずれか一方に基づいて決定される。
【0015】
また、本発明は、上記いずれかの項に記載の画像書き換え制御装置と、前記画像書き換
え制御装置により駆動される前記表示装置とを有する情報表示装置を提供する。
この情報表示装置によれば、書き換え指示があったタイミング、他の装置からの指示お
よび第1の画像または第2の画像のうち少なくともいずれか1つに基づいて、複数の書き
換え処理のうち1つの書き換え処理が実行される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態に係る情報表示装置1の機能構成を示す図である。
【図2】情報表示装置1のハードウェア構成を示す図である。
【図3】情報表示装置1の外観を示す図である。
【図4】情報表示装置1の動作を示すフローチャートである。
【図5】通常書き換え処理を例示する図である。
【図6】高速書き換え処理を例示する図である。
【図7】上書き処理を例示する図である。
【図8】変形例1に係る情報表示装置1の動作を示すフローチャートである。
【図9】変形例3に係る統計処理を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態に係る情報表示装置1の機能構成を示す図である。操作手
段20は、ユーザの操作に応じた信号を出力する。割り込み処理手段30は、操作手段2
0から出力された信号に応じて、表示すべき画像の生成を指示する割り込み信号を画像生
成手段40に対して出力する。画像生成手段40は、割り込み信号に応じて、表示すべき
画像(ページ画像)を示す画像データを生成し、生成した画像データを記憶手段50に記
憶させる。さらに画像生成手段40は、表示装置60に画像を表示させる命令を画像書き
換え制御装置10に出力する。この命令を受けた画像書き換え制御装置10は、記憶手段
50から画像データを読み出し、この画像データに従った画像を表示装置60に表示させ
る。
【0018】
画像書き換え制御装置10は、表示装置60における画像の書き換えを制御する装置、
すなわち、表示装置60に画像データを供給し、表示装置60を駆動する装置である。画
像書き換え制御装置10は、詳細には以下の構成を有する。書き換え手段11は、通常書
き換え処理、高速書き換え処理および上書き処理を含む複数の書き換え処理のうち1つの
書き換え処理を実行することにより、表示装置60に表示させる画像を第1の画像から第
2の画像へ書き換える。ここで、「通常書き換え処理」は、表示装置60から第1の画像
を消去する第1の消去ステップおよび第1の消去ステップの後で表示装置60に第2の画
像を書き込む第1の書き込みステップを含む書き換え処理である。「高速書き換え処理」
は、第1の消去ステップより短い期間を用いて(短い時間をかけて)表示装置60から第
1の画像を消去する第2の消去ステップおよび第2の消去ステップの後で表示装置60に
第2の画像を書き込む第2の書き込みステップを含む書き換え処理である。「上書き処理
」は、表示装置60に第2の画像が表示された状態で表示装置60に第2の画像の少なく
とも一部をさらに書き込む第3の書き込みステップを含む書き換え処理である。制御手段
12は、第1の画像から第2の画像への書き換え指示があったタイミングに基づいて、複
数の書き換え処理のうち1つの書き換え処理を実行するように前記書き換え手段を制御す
る。ここで、表示装置60に「画像を書き込む」とは、表示装置60に画像データを供給
し、その画像データが示す画像を表示させることをいう。
【0019】
図2は、情報表示装置1のハードウェア構成を示す図である。この例で、情報表示装置
1は、電子ペーパである。CPU(Central Processing Unit)101は、情報表示装置
1の構成要素を制御する制御装置である。ROM(Read Only Memory)102は、情報表
示装置1の起動に必要なプログラムやデータを記憶する不揮発性の記憶装置である。RA
M(Random Access Memory)103は、CPU101がプログラムを実行する際のワーク
エリアとして機能する記憶装置である。VRAM(Video Random Access Memory)104
は、表示体107に表示させる画像(以下「メイン画像」という)を示すデータを記憶す
る記憶装置である。VRAM104は、メイン画像の記憶領域を有しており、メイン画像
はその記憶領域に記憶される。I/O(Input/Output)105は、データや信号の入出力
を管理するインターフェースである。UI(User Interface)ボタン群106は、ユーザ
の操作に応じた信号を出力する装置、例えば、例えば、ボタン(書き換えボタンやページ
送りボタン、決定ボタンなど)・キーパッド・ホイール・レバー・タッチパネル・ペンデ
バイスなどの操作子を含む入力装置である。補助記憶装置115は、表示体107に表示
することが可能なデータ(文書データ)を記憶する記憶装置である。UIボタン群106
はI/O105に接続されており、UIボタン群106から出力された信号はI/O10
5を介してCPU101に入力される。タイマTは、時間を示す信号を出力する計時装置
である。
【0020】
表示体107は、記憶性表示素子である電気泳動表示素子を有する電気泳動ディスプレ
イ(Electrophoretic Display、以下「EPD」という)である。表示制御部108は、
表示体107の描画制御を行う信号を出力する装置である。以下、必要に応じて表示体1
07と表示制御部108をあわせて「メインディスプレイ」という。電源オン・オフ回路
111は、表示制御部108・CPU101などの要素への電力の供給を行ったり停止し
たりする回路である。以下、ある構成要素に電力を供給することを「電源をオンする」と
、電力の供給を停止することを「電源をオフする」という。電源制御部112は、情報表
示装置1の電源管理を行う装置である。具体的には、電源制御部112は、電源オン・オ
フ回路111を制御して表示制御部108およびCPU101の電源をオンまたはオフす
る。また、電源制御部112は、電池113の残量を監視する。電池113は、表示制御
部108・CPU101・RAM103など、情報表示装置1の構成要素に電力を供給す
る。バス114は、構成要素間での信号の伝送に用いられる伝送路である。
【0021】
指紋センサ117は、ユーザの指紋を静電的に読み取り、読み取った指紋の画像を示す
信号を出力する装置である。指紋センサ117はI/O105に接続されており、指紋セ
ンサ117から出力された信号はI/O105を介してCPU101に入力される。
【0022】
ROM102は、以下で説明する処理を行う制御プログラムを記憶している。CPU1
01がこの制御プログラムを実行することにより、図1に示される機能が情報表示装置1
に実装される。ここで、表示制御部108は画像書き換え制御装置10の一例であり、U
Iボタン群106および指紋センサ117は操作手段20の一例であり、CPU101は
割り込み処理手段30および画像生成手段40の一例であり、VRAM104は記憶手段
50の一例であり、表示体107は表示装置60の一例である。
【0023】
図3は、情報表示装置1の外観を示す図である。情報表示装置1は、筐体の前面に表示
体107の表示面、およびUIボタン群106を有する。UIボタン群106は、高品質
表示ボタン106aおよびページ送りボタン106bを有する。
【0024】
2.動作
動作の説明に先立ち、情報表示装置1の利用シーンについて説明する。表示される文書
は複数のページの画像から構成されるが、ユーザは必ずしも各ページに記載されている情
報のすべてを読むことは望んでいない。ユーザは、この文書をいわゆる流し読み、すなわ
ち複数のページの画像を、記載されている情報のすべてを読むことができない程度の短時
間で順番に閲覧する。ユーザは、その中から特に重要と思われるページを見つけ出し、そ
のページについては長時間をかけて閲覧する。すなわちユーザは状況に応じて流し読みと
精読とを使い分けている。情報表示装置1は、このような利用シーンに対応するものであ
る。
【0025】
図4は、情報表示装置1の動作を示すフローチャートである。図4のフローは、ユーザ
によりある文書の表示が指示されたことを契機として開始される。
【0026】
ステップS100において、CPU101は、表示体107に表示させるページを示す
変数(表示画像番号n)を、n=1として初期化する。
ステップS110において、CPU101は、第nページの画像を表示体107に表示
させるように表示制御部108を制御する。このとき行われる書き換え処理は、高速書き
換え処理である。
【0027】
図5および図6は、通常書き換え処理および高速書き換え処理を例示する図である。こ
れらの図には、共通電極および画素電極A−Cに印加される電圧の変化を示すタイミング
チャートおよびこのとき表示体107に表示される画像の模式図が記載されている。表示
体107の表示素子すなわち各画素の構造は周知のものなのでここでは詳細な説明は省略
するが、各画素には共通画素と画素電極との電位差に相当するデータが書き込まれる。画
素電極A−Cは、それぞれ画素A−Cの画素電極である。画素Aは、第1の画像において
は階調が黒であり、第2の画像においては階調が白となる画素である。画素Bは、第1の
画像および第2の画像の双方において階調が白の画素である。画素Cは、第1の画像およ
び第2の画像の双方において階調が黒の画素である。
【0028】
ここでは、第1の画像すなわち書き換え前の画像がアルファベットの「H」の画像であ
り、第2の画像すなわち書き換え後の画像が「I」の画像である場合を例に説明する。通
常書き換え処理において、第1の消去ステップは、第1の画像の反転画像を書き込むステ
ップと、全画面黒の画像を書き込むステップとから構成される。高速書き換え処理におい
て、第2の消去ステップは、第1の画像の反転画像を書き込むステップから構成される。
ここで、第1の消去ステップに要する時間t1と第2の消去ステップに要する時間t2とは
、t2<t1を満たす。すなわち、第2の消去ステップの期間は第1の消去ステップの期間
よりも短い。
【0029】
通常書き換え処理と高速書き換え処理とを比較すると、高速書き換えは残像の消去とい
う観点から、画質が通常書き換え処理よりも劣っている。図6においては反転消去の期間
に「H」の画像が完全には消去されず残像が生じている様子が図示されている。また、第
2の書き込みステップの期間を第1の書き込みステップの期間よりも短くした場合、高速
書き換えは、コントラストの観点から画質が通常書き換え処理よりも劣っている。しかし
、残像またはコントラストの観点から画質が劣っていても第2の画像が大まかに判読でき
るのであれば、流し読みという用途においては問題はない。
【0030】
再び図4を参照して説明する。ステップS120において、CPU101は、上書きタ
イマのカウントを開始する。「上書きタイマ」は、上書き処理を開始するタイミングを決
めるのに用いられるタイマである。
ステップS130において、CPU101は、割り込みが発生したか判断する。ここで
、「割り込み」とは、表示すべき画像の更新すなわち新たに表示すべき画像の生成を指示
するイベントをいう。この例で割り込みは、UIボタン群106のページ送りボタン10
6bが押されたというイベントであり、ページ送りボタン106b以外の操作子が操作さ
れた場合は割り込みに該当しない。割り込みが発生したと判断された場合(S130:Y
ES)、CPU101は、処理をステップS140に移行する。割り込みが発生していな
いと判断された場合(S130:NO)、CPU101は、処理をステップS160に移
行する。
【0031】
ステップS140において、CPU101は、上書きタイマのカウントを停止する。さ
らに、CPU101は、上書きタイマの値をゼロに初期化する。
ステップS150において、CPU101は、表示画像番号nをn=n+1として更新
する。ステップS150の処理を終えると、CPU101は、ステップS110からの処
理を繰り返し実行する。
【0032】
ステップS160において、CPU101は、上書きタイマをカウントアップする。
ステップS170において、CPU101は、上書きタイマがタイムアップしたか、す
なわち、上書きタイマの値が基準時間(しきい値)を超えたか判断する。タイムアップし
ていないと判断された場合(S170:NO)、CPU101は、処理をステップS13
0に移行する。タイムアップしたと判断された場合(S170:YES)、CPU101
は、ステップS180において、CPU101は、第nページの画像を表示体107に表
示させるように表示制御部108を制御する。このとき行われる書き換え処理は、上書き
処理である。
【0033】
図7は、上書き処理を例示する図である。上書き処理おいて、第3の書き込みステップ
は、階調が白である画素に白のデータを書き込む白書き込みステップと、階調が黒である
画素に黒のデータを書き込む黒書き込みステップとから構成される。これにより残像を低
減し、コントラストを向上させることを意図している。
【0034】
以上で説明したように、情報表示装置1によれば、ページの書き換えは高速書き換え処
理で行われるので、書き換えの高速化が実現される。また、書き換え指示のタイミング、
より詳細には書き換え指示の間隔に応じて、ユーザが精読をしていると判断される状況で
は、画質の向上を意図した上書き処理が行われるので、必要に応じて高画質化が実現され
る。
【0035】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下
、変形例をいくつか説明する。変形例の説明において実施形態と共通する要素には共通の
参照符号が用いられる。以下で説明する変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用い
られてもよい。
【0036】
3−1.変形例1
図8は、変形例1に係る情報表示装置1の動作を示すフローチャートである。変形例1
は、ユーザが高品質表示ボタン106aを押したことを契機として上書き処理が開始され
る例を示している。すなわち、図4のフローで説明した上書きタイマに代わり、ユーザの
操作(より詳細には、UIボタン群106からの信号に応じた、CPU101からの指示
)が上書き処理を開始するトリガとして用いられる。図8において図4と共通する処理に
は共通の符号が割り当てられている。
【0037】
ステップS110の処理が完了すると、CPU101は、処理をステップS200に移
行する。ステップS200において、CPU101は、割り込みが発生したか判断する。
この例で、「割り込み」とは、表示すべき画像の更新(ページ更新)すなわち新たに表示
すべき画像の生成を指示するイベントまたは上書き処理の開始を指示するイベントをいう
。「ページ更新」は、UIボタン群106のページ送りボタン106bが押されたという
イベントであり、「上書き」は、高品質表示ボタン106aが押されたというイベントで
ある。割り込みが無いと判断された場合(S200:なし)、CPU101は、割り込み
が発生するまで待機する。ページ更新の割り込みが発生したと判断された場合(S200
:ページ更新)、CPU101は、処理をステップS150に移行する。上書きの割り込
みが発生したと判断された場合(S200:上書き)、CPU101は、処理をステップ
S180に移行する。
この例によれば、ユーザの操作に応じて上書き処理が行われる。
【0038】
3−2.変形例2
高速書き換え処理が連続して所定回数以上行われた場合、制御手段12は、第2の消去
ステップよりも長い期間を用いて(すなわち長い時間をかけて)前記表示装置から第1の
画像を消去する消去ステップを含む書き換え処理を実行するように書き換え手段11を制
御してもよい。高速書き換え処理を連続して行うと、残像が蓄積して流し読みにおける画
像の可読性が悪化してしまう場合があるため、定期的に高速書き換え処理以外の書き換え
処理(例えば、通常書き換え処理)を実行することにより残像の低減を意図したものであ
る。この場合において用いられる書き換え処理は特に、リセット処理であってもよい。リ
セット処理とは、第1の消去ステップより長い期間を用いて表示装置60から第1の画像
を消去する第3の消去ステップを含む書き換え処理をいう。
【0039】
3−3.変形例3
上述の実施形態においては、最後に書き換え指示が行われてから所定の基準時間が経過
しても次の書き換え指示が行われない場合、制御手段12が、上書き処理を実行するよう
に書き換え手段11を制御する例について説明した。しかし、基準時間は可変であっても
よい。例えば、基準時間は、画像書き換え制御装置10において過去に行われた複数の書
き換え指示のタイミングを統計処理することにより得られる時間に基づいて決定されても
よい。
【0040】
図9は、変形例3に係る統計処理を例示する図である。図9において、横軸は連続する
2回の書き換え指示の間隔を、縦軸はその頻度を示している。この例で、書き換え指示の
間隔は複数のピークを有するように分布している。書き換え指示の間隔が最も短いピーク
は流し読みをしているときの書き換え指示の間隔であり、次に間隔が長い、時間tpに位
置するピークは精読をしているときの書き換え指示の間隔であると考えられる。このよう
に、CPU101は、過去の書き換え指示の間隔を統計処理し、間隔の短いほうから2番
目のピークが現れる時間(tp)を精読の書き換え指示の間隔として特定する。CPU1
01は、さらに、書き換え指示の間隔に所定のマージン(例えば2秒)を足した時間を基
準時間として設定する。この例によれば、過去に実際に情報表示装置1に対して行われた
操作に基づいて基準時間が動的に設定される。
【0041】
この場合において、精読の書き換え指示の間隔とされるのは、2番目のピークが現れる
時間に限定されない。例えば、CPU101は、最も遅い時間に現れるピークを精読の書
き換え指示の間隔として特定してもよい。また、統計処理も図9に示されるものに限定さ
れず、平均値や最頻値を用いるものなど、どのような統計処理が用いられてもよい。
【0042】
3−4.変形例4
変形例3では基準時間が操作履歴に応じて設定される例について説明したが、基準時間
は処理される画像データに応じて設定されてもよい。この場合、第1の画像のデータおよ
び第2の画像のデータ(以下それぞれ、「第1の画像データ」および「第2の画像データ
」という)の少なくともいずれか一方が基準時間を示す情報を有しており、CPU101
は、第1の画像データまたは第2の画像データが含む情報により示される時間を基準時間
として採用する。
【0043】
3−5.変形例5
処理される画像データに応じて基準時間が設定される場合において、基準時間は、第1
の画像または第2の画像のデータ量に基づいて決定されてもよい。よい具体的には、デー
タ量が多いほど長く、データ量が少ないほど短くなるように基準時間が設定されてもよい

【0044】
3−6.変形例6
画像書き換え制御装置10が実行可能な複数の書き換え処理のうちどの書き換え処理を
実行すべきであるかは、処理される画像データに応じて決定されてもよい。この場合、第
1の画像データまたは第2の画像データが、複数の書き換え処理のうちどの書き換え処理
を実行すべきかを示す情報を含んでいる。制御手段12は、この情報に基づいて画像ごと
に決定される書き換え処理を実行するように書き換え手段11を制御する。この場合にお
いては、制御手段12は、書き換え指示のタイミングによらず、画像データに応じてどの
書き換え処理を実行するかが決定される。書き換え処理を行うタイミングは、あらかじめ
決められている。あるいは、制御手段12は、画像データに応じて決定される種類の書き
換え処理を、書き換え指示のタイミングに応じて開始してもよい。
要は、実施形態および変形例で説明したように、制御手段12は、書き換え指示があっ
たタイミング、他の装置からの指示および第1の画像または第2の画像のうち少なくとも
いずれか1つに基づいて、複数の書き換え処理のうち1つの書き換え処理を実行するよう
に書き換え手段11を制御する。
【0045】
3−7.変形例7
情報表示装置1および画像書き換え制御装置10の機能構成は、図1に示したものに限
定されない。割り込み処理手段30・画像生成手段40等の、画像書き換え制御装置10
が有さないものとして説明された機能を、画像書き換え制御装置10が有してもよい。ま
た、画像書き換え制御装置10の機能として説明されたものの一部を、画像書き換え制御
装置10が有していなくてもよい。基準時間の設定は、画像書き換え制御装置10自身が
行ってもよいし、画像書き換え制御装置10以外の要素が行ってもよい。画像書き換え制
御装置10以外の要素が基準時間を設定した場合には、(その内容またはタイミングによ
り)基準時間を示す信号が画像書き換え制御装置10に入力される。
【0046】
また、機能構成とハードウェア構成の対応関係も上述の実施形態で説明したものに限定
されない。例えば上述の実施形態では、CPU101が割り込み処理手段30、画像生成
手段40および動作モード決定手段70としての機能を兼ね備えていたが、これらの機能
のうち一部または全部がCPU101以外のハードウェア要素により実現されてもよい。
例えば、割り込み処理手段30としての機能を有する割り込み監視回路が別途設けられて
もよい。
【0047】
3−8.他の変形例
情報表示装置1のハードウェア構成は図2で示されるものに限定されない。必要な機能
構成を実現できるものであれば、どのようなハードウェア構成を有する装置が用いられて
もよい。また上述の実施形態では情報表示装置1が電子ペーパである例について説明した
が、情報表示装置1は電子ペーパ以外の装置であってもよい。
また、通常書き換え処理および高速書き換え処理は、図5および6に例示したものに限
定されない。高速書き換え処理の消去ステップの期間が通常書き換え処理の消去ステップ
の期間より短いものであれば、どのような処理が通常書き換え処理および高速書き換え処
理として用いられてもよい。
【0048】
上述の実施形態においてCPU101によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体
(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))な
ど)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Di
sk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリ(フラッシュROMなど)などのコンピュ
ータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、このプログラムは
、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…情報表示装置、10…画像書き換え制御装置、11…書き換え手段、12…制御手
段、20…操作手段、30…割り込み処理手段、40…画像生成手段、50…記憶手段、
60…表示装置、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…VRAM
、105…I/O、106…UIボタン群、107…表示体、108…表示制御部、11
1…電源オン・オフ回路、112…電源制御部、113…電池、114…バス、115…
補助記憶装置、117…指紋センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常書き換え処理、高速書き換え処理および上書き処理を含む複数の書き換え処理のう
ちの1つの書き換え処理を実行することにより、表示装置に表示させる画像を第1の画像
から第2の画像へ書き換える書き換え手段であって、前記通常書き換え処理が、前記表示
装置から前記第1の画像を消去する第1の消去ステップおよび前記第1の消去ステップの
後で前記表示装置に前記第2の画像を書き込む第1の書き込みステップを含み、前記高速
書き換え処理が、前記第1の消去ステップより短い期間において前記表示装置から前記第
1の画像を消去する第2の消去ステップおよび前記第2の消去ステップの後で前記表示装
置に前記第2の画像を書き込む第2の書き込みステップを含み、前記上書き処理が、前記
表示装置に前記第2の画像が表示された状態で前記表示装置に前記第2の画像の少なくと
も一部をさらに書き込む第3の書き込みステップを含む書き換え手段と、
前記第1の画像から前記第2の画像への書き換え指示があったタイミング、他の装置か
らの指示および前記第1の画像または前記第2の画像のうち少なくともいずれか1つに基
づいて、前記複数の書き換え処理のうちの1つの書き換え処理を実行するように前記書き
換え手段を制御する制御手段と
を有する画像書き換え制御装置。
【請求項2】
前記高速書き換え処理が連続して所定回数以上行われた場合、前記制御手段は、前記第
2の消去ステップよりも長い期間を用いて前記表示装置から前記第1の画像を消去する消
去ステップを含む書き換え処理を実行するように前記書き換え手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項3】
前記複数の書き換え処理が、前記第1の消去ステップより長い期間を用いて前記表示装
置から前記第1の画像を消去する第3の消去ステップを含むリセット処理を含み、
前記高速書き換え処理が連続して所定回数以上行われた場合、前記制御手段は、前記リ
セット処理を実行するように前記書き換え手段を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項4】
前記書き換え指示が行われてから基準時間が経過しても次の書き換え指示が行われない
場合、前記制御手段は、前記上書き処理を実行するように前記書き換え手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項5】
前記基準時間は、前記画像書き換え装置において過去に行われた複数の書き換え指示の
タイミングを統計処理することにより得られる時間に基づいて決定される
ことを特徴とする請求項4に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項6】
前記第1の画像を示すデータおよび前記第2の画像を示すデータの少なくともいずれか
一方が前記基準時間を示す情報を有しており、前記基準時間は、前記情報により示される
時間に基づいて画像ごとに決定される
ことを特徴とする請求項4に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項7】
前記基準時間は、前記第1の画像または前記第2の画像のデータ量に基づいて決定され

ことを特徴とする請求項4に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項8】
前記第1の画像を示すデータまたは前記第2の画像を示すデータの少なくともいずれか
一方が、前記複数の書き換え処理のうちどの書き換え処理を実行すべきかを示す情報を含
み、
前記制御手段は、前記情報に基づいて画像ごとに決定される書き換え処理を実行するよ
うに前記書き換え手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像書き換え制御装置。
【請求項9】
請求項1−8のいずれかの項に記載の画像書き換え制御装置と、
前記画像書き換え制御装置により駆動される前記表示装置と
を有する情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−8041(P2013−8041A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−182128(P2012−182128)
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【分割の表示】特願2008−46081(P2008−46081)の分割
【原出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】