説明

画像検査システムの表示装置

【課題】 操作性が乏しい入力デバイスであっても、メニュー選択を容易に行うことができる画像検査システムの表示装置を提供する。
【解決手段】 検査制御/処理部によって製品を撮像して得た画像データを用いて、当該製品の良否を検査するものであり、複数の設定項目を含む階層的な設定メニューを記憶しておき、複数の設定項目を含む上位層の設定メニュー101を表示画面の所定領域に一列に表示させ、当該表示させた上位層の設定メニュー101に含まれる何れかの設定項目が選択された場合には、当該選択された設定項目に対応した下位層の設定メニュー102を、所定領域に隣接して一列に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像によって製品の良否を検査する画像検査システムの表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い勝手を向上させたメニュー表示技術としては、下記の特許文献1に記載された情報機器が知られている。
【0003】
この情報機器は、表示画面上に表題としてメインメニューという文字列が画面上方に表示され、メインメニューにおいて選択可能な項目である選択項目として、映像調整、音声調整、本体設定、機能切換の4種類の選択項目が画面の中央付近に表示される。上下移動キーにより項目として「音声調整」を選択すると、同じ表示画面上において、選択された文字列である「音声調整」を、例えば、メインメニューの左隣の位置であって、選択項目中の音声調整の表示位置とは離れた位置に、「音声調整」の文字列をコピーして表示する。このコピー表示により、現在選択中の項目が「音声調整」であることが確認しやすくしている。
【特許文献1】特開2005−071096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した情報機器を含む従来の表示装置では、一般的に画面上部に配置されたメニューを選択した場合には、プルダウン形式でサブメニューを表示して、当該サブメニューに含まれる設定項目を選択させるようになっている。しかし、このようなメニューの表示方式では、マウス等の操作性の高いデバイスで設定項目を選択することは容易であるが、製品検査用の画像検査システムといった特定分野のように、方向キーと決定キーといったように操作性があまり高くない操作デバイスを用いる場合には、何度も同じサブメニューを選択することが非常に煩雑な操作となる場合もある。
【0005】
具体的には、メインメニューを決定キーの押下によって選択して、サブメニューをプルダウンで表示させ、次に、方向キーの下方向キーの押下によって、目的とする設定項目を選択して、決定キーの押下によってコマンドを発生させる必要がある。
【0006】
また、一般的なGUIにおいては、サブメニューの設定項目が選択された時に、サブメニューが消えてしまい、再度サブメニューを表示させたい場合には、再度メインメニューの設定項目を選択する必要がある。
【0007】
更に、GUIにおいては、メインメニューに含まれるサブメニューを表示させるためには、メインメニューの各設定項目を順次表示させる必要があり、初めて操作する者にとってはどのような設定項目が存在するのかが不明であった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、操作性が乏しい入力デバイスであっても、メニュー選択を容易に行うことができる画像検査システムの表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、製品を撮像して得た画像データを用いて、当該製品の良否を検査する画像検査システムの設定装置であって、画像検査システムの複数の設定項目を含む階層的な設定メニューを記憶するメニュー記憶手段と、画像検査システムの複数の設定項目を含む設定メニューを階層的に表示させる表示手段と、画像検査システムの設定項目を選択するためにユーザに操作される入力手段と、入力手段に対する操作を検出して、メニュー記憶手段から設定メニューを読み出して、表示手段に表示させる表示制御手段とを備える。この画像検査システムの表示装置は、上述の課題を解決するために、表示制御手段によって、複数の設定項目を含む上位層の設定メニューを表示手段における表示画面の所定領域に一列に表示させ、当該表示させた上位層の設定メニューに含まれる何れかの設定項目が選択されたことを入力手段に対する操作に基づいて検出した場合には、当該選択された設定項目に対応した下位層の設定メニューを、所定領域に隣接して一列に表示させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の設定項目を含む上位層の設定メニューを表示画面の所定領域に一列に表示させ、当該表示させた上位層の設定メニューに含まれる何れかの設定項目が選択された場合には、当該選択された設定項目に対応した下位層の設定メニューを、所定領域に隣接して一列に表示させるので、操作性が乏しい入力デバイスであっても、メニュー選択を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
本発明は、例えば図1に示すように構成された画像検査システムに適用される。この画像検査システムは、主として製造ラインにおいて部品等の品種の識別、異種部品の混入検査、組立作業や製品検査などの自動化のために、部品や製品等の対象物の外観検査に使用される。この画像検査システムは、画像処理の結果が対象物の面積、形状、位置などの測定・認識に用いられ、これにより、対象物の良品、不良品などを判定する。
【0013】
この画像検査システムは、撮像部1と、撮像制御部2と、画像メモリ3と、検査制御/処理部4と、検査用データ記憶部5と、表示制御部6(表示制御手段)と、出力制御部7と、表示部(表示手段)8と、ユーザに操作される操作入力部(入力手段)9と、表示部8に表示させる設定メニューを決定するための設定メニュー情報を記憶した設定メニュー記憶部10とを備える。
【0014】
この画像検査システムは、撮像制御部2、画像メモリ3、検査制御/処理部4、検査用データ記憶部5、表示制御部6、出力制御部7、設定メニュー記憶部10がCPUや情報記憶装置及びメモリなどによって実現され、表示部8がディスプレイによって実現され、操作入力部9が簡易型リモコン等によって実現される。この簡易型リモコンは、方向キー及び決定キーを含む簡易型入力装置であって、マウス等と比較して操作性が乏しいものである。
【0015】
画像検査システムは、製品の良否検査をする場合に、製造ライン上の製品を撮像する撮像部1によって製品を撮像した画像データを作成する。この画像データは、検査制御/処理部4の制御に従って撮像制御部2によって取り込まれて、画像メモリ3に一時記憶され、検査制御/処理部4によって検査対象とされる。
【0016】
検査制御/処理部4は、画像メモリ3に記憶された画像データと、検査用データ記憶部5に記憶された検査用データとを用いて、製品の良否検査を行う。例えば、検査制御/処理部4は、画像メモリ3に記憶された画像データと、検査用データ記憶部5に予め記憶されていた良品の画像データとの比較を行って、製品の面積、形状、位置などを測定し、良品又は不良品であるという検査結果を作成する。この検査結果は、出力制御部7の制御に従って、表示制御部6を介して表示部8に表示される。
【0017】
このような画像検査システムは、検査制御/処理部4によって、製品を撮像して得た画像データを用いて当該製品の良否を検査し、検査制御/処理部4によって検査される製品の画像データ又は製品の検査結果を含む画像を表示部8によって表示する。
【0018】
このような画像検査システムにおいて、製品検査の管理者は、画像検査システムの各種設定を行うために、表示部8及び操作入力部9のユーザインターフェースを利用する。具体的には、表示制御部6によって設定用表示画像を表示部8に表示させて、操作入力部9の操作に従った設定内容を検査制御/処理部4に供給することによって、画像検査システムの動作設定を行う。このような表示制御部6の動作は、図示しないメモリに記憶されたシステム設定ツール(プログラム)をCPUが読み込んで実行し、設定メニュー記憶部10に記憶されている設定メニュー情報を用いて各種の設定項目を選択させることによって実現される。
【0019】
設定メニュー記憶部10には、画像検査システムの複数の設定項目を含む階層的な設定メニューを記憶している。すなわち、設定メニュー記憶部10に記憶されている設定メニューには、上位層の設定メニューと、下位層の設定メニューとが存在する。下位層の設定メニューは、各種のコマンドを発生させるための設定項目を含み、上位層の設定メニューは、下位層の設定メニューを選択する設定項目を含む。したがって、上位層の設定メニューに含まれる設定項目のうち下位層の設定メニューを選択する設定項目が選択された場合には、当該選択された下位層の設定メニューが読み出される。
【0020】
このような設定メニューの操作は、表示制御部6によって、操作入力部9に対する操作を検出して、設定メニュー記憶部10から設定メニューを読み出して、表示部8に表示させることによって実現される。
【0021】
具体的には、表示制御部6は、図2に設定画面100を示すように、複数の設定項目を含む上位層の設定メニュー101を表示部8における表示画面の所定領域に一列に表示させ、当該表示させた上位層の設定メニュー101(以下、メインメニュー101と呼ぶ。)に含まれる何れかの設定項目が選択されたことを操作入力部9に対する操作に基づいて検出した場合には、当該選択された設定項目に対応した下位層の設定メニュー102(以下、サブメニュー102と呼ぶ。)を、所定領域に隣接して一列に表示させる。
【0022】
更に具体的には、先ず、メインメニュー101しか設定画面100に表示されていない状態において、メインメニュー101に含まれる「検査」の設定項目が操作入力部9の決定ボタンの押下操作によって選択されると、表示制御部6は、当該「検査」の設定項目に対応したサブメニュー102を設定メニュー記憶部10から読み出して、サブメニュー102をメインメニュー101に隣接させて表示させる。次に、操作入力部9の下方向ボタンの押下操作と左右方向ボタンの押下操作の後の決定ボタンの押下操作によって、サブメニュー102のうちの「領域調整」の設定項目が選択されると、表示制御部6は、検査制御/処理部4からの情報等を用いて、当該設定項目に対応した画像検査システムの設定状態を表す検査設定画像103、検査設定画像104、撮像画像105を表示させることができる。
【0023】
これによって、画像検査システムは、メインメニュー101に含まれる設定項目が操作入力部9の操作によって選択された場合に、当該選択された設定項目に対応したサブメニュー102をメインメニュー101に隣接させて表示することができる。
【0024】
また、この画像検査システムによれば、メインメニュー101が操作入力部9によって選択された場合であっても、プルダウン形式でサブメニュー102を表示することなく、当該メインメニュー101及びサブメニュー102の下部に表示されている各種の検査設定画像103,検査設定画像104及び撮像画像105にサブメニュー102を重畳表示させることがない。なお、設定画面100において、検査設定画像103は、画像検査システムにおける製造ライン上のブロック番号及びチェッカ番号を含み、検査設定画像104は、製品に関する設定情報及び製品マトリクス画像104aを含み、当該製品マトリクス画像104aの反転部分を拡大した撮像部1の製品画像を撮像画像105として表示させている。これによって、画像検査システムは、検査制御/処理部4によって検査を行う時の製品画像の領域を調整することができ、調整された製品画像の領域において検査用データとの比較を行わせることができる。
【0025】
また、この画像検査システムは、サブメニュー102に含まれる「2値化レベル」の設定項目が選択されると、図3に示すように、図2とは異なる検査設定画像103、検査設定画像104及び撮像画像105を表示させることができ、撮像部1によって撮像された撮像画像105を検査制御/処理部4によって解析する時の2値化レベルを調整することができる。
【0026】
したがって、この画像検査システムによれば、サブメニュー102の設定項目を選択してもサブメニュー102が消えずに、マウス等の操作性の高いデバイスではなく操作入力部9のように、方向キーと決定キーといったように操作性があまり高くない操作デバイスを用いても容易に所望の設定項目を選択させることができる。すなわち、この表示制御部6によれば、サブメニュー102に含まれる設定項目が選択されたことを操作入力部9に対する操作に基づいて検出した場合にも、当該サブメニュー102の表示を継続することができる。
【0027】
また、この表示制御部6によれば、図2及び図3の設定画面100に示したように、メインメニュー101、サブメニュー102に含まれる設定項目が選択されたことが操作入力部9に対する操作に基づいて検出した場合に、当該選択されたメインメニュー101の設定項目及びサブメニュー102の設定項目を強調表示(ハイライト表示)したままとしておくので、現在において表示されている内容がどのような設定項目の操作によって表示されたかを簡単に把握させることができ、更なる操作性の向上、設定機能の明確化を実現できる。
【0028】
更に、この表示制御部6によれば、図2及び図3の設定画面100に示すように、サブメニュー102に含まれる設定項目が設定画面100で表示できる項目数よりも多い場合に、スクロールボタン106を表示させることによって、操作入力部9によって選択されることによってサブメニュー102をスクロール表示させることができる。これによって、更なる操作性の向上、機能の明確化を実現できる。
【0029】
更にまた、この表示制御部6によれば、サブメニュー102に含まれる設定項目に対応した検査設定画像103等を表示させるために操作入力部9の決定キーの押下操作を検出しなくても、選択されているサブメニュー102の設定項目ごとに検査設定画像103等を切り換えても良い。これによって、特に操作入力部9を操作することなく操作入力部9の方向ボタンの押下操作のみによって、画像検査システムの設定するための検査設定画像103等を確認させることができる。
【0030】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を適用した画像検査システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した画像検査システムによって表示させる画像の一例である。
【図3】本発明を適用した画像検査システムによって表示させる画像の他の一例である。
【符号の説明】
【0032】
1 撮像部
2 撮像制御部
3 画像メモリ
4 検査制御/処理部
5 検査用データ記憶部
6 表示制御部
7 出力制御部
8 表示部
9 操作入力部
10 設定メニュー記憶部
100 設定画面
101 メインメニュー
102 サブメニュー
103 検査設定画像
104 検査設定画像
104a 製品マトリクス画像
105 撮像画像
106 スクロールボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を撮像して得た画像データを用いて、当該製品の良否を検査する画像検査システムの設定装置であって、
前記画像検査システムの複数の設定項目を含む階層的な設定メニューを記憶するメニュー記憶手段と、
前記画像検査システムの複数の設定項目を含む設定メニューを階層的に表示させ、当該設定項目に対応した画像検査システムの設定状態を表示する表示手段と、
前記画像検査システムの設定項目を選択するためにユーザに操作される入力手段と、
前記入力手段に対する操作を検出して、前記メニュー記憶手段から設定メニューを読み出して、前記表示手段に表示させる表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、複数の設定項目を含む上位層の設定メニューを前記表示手段における表示画面の所定領域に一列に表示させ、当該表示させた上位層の設定メニューに含まれる何れかの設定項目が選択されたことを前記入力手段に対する操作に基づいて検出した場合には、当該選択された設定項目に対応した下位層の設定メニューを、前記所定領域に隣接して一列に表示させることを特徴とする画像検査システムの表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記下位層の設定メニューに含まれる設定項目が選択されたことを前記入力手段に対する操作に基づいて検出した場合にも、当該下位層の設定メニューの表示を継続することを特徴とする請求項1に記載の画像検査システムの表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記上位層の設定メニュー及び前記下位層の設定メニューに含まれる設定項目が選択されたことが前記入力手段に対する操作に基づいて検出した場合に、当該選択された設定項目を強調表示したままとしておくことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像検査システムの表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記下位層の設定メニューに含まれる設定項目を、前記所定領域の下部の一列内においてスクロール表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像検査システムの表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記下位層の設定メニューに含まれる設定項目が選択されたことが前記入力手段に対する操作に基づいて検出した場合に、当該下位層の設定メニューに含まれる設定項目に対応した設定画面を表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の画像検査システムの表示装置。
【請求項6】
前記入力手段は、方向キー及び決定キーを含む簡易型入力装置からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の画像検査システムの表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−110115(P2009−110115A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279452(P2007−279452)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】