説明

画像検査装置及び画像検査方法

【課題】客観的な検査が可能であり、処理時間の短縮化、検査の自動化を図ることができ、正確にむらを検出できる画像検査装置及び画像検査方法を提供する。
【解決手段】画像むらを検査する検査対象画像の画像データにホワイトバランス処理を施すホワイトバランス処理手段と、ホワイトバランス処理された画像データをL*a*b*表色系に変換する変換手段と、変換後の画像データと予め用意したリファレンス画像データと比較する比較手段と、比較後に、画像データと前記リファレンス画像データとの差である特徴量を算出する算出手段とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置及び画像検査方法に関し、特に披検査面上にある濃淡の濃い又は薄いしみ状のむら(以下、むらという。)を検査する技術であり、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子(以下、CCDという。))の画像のむらを検出して検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDや、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、PDP(Plasma Display Panel:プラズマディスプレイ)に発生する欠陥の1つとして一様の白色の画像を表示させたときに、表示された画像に輝度むらが発生することがある。CCDの取得画像を例に取ると、輝度シェーディングはほぼ全ての画像で持つもので、最大値と最小値との差は数%から10%前後の値を持つ。一方、しみは、周辺の画素に対しいて数%程度の差しかなく、ノイズレベルときわめて近く、人間の目にははっきり認識できても(主観)、客観的な値では大きな差がないため、検査装置によって正確に検出することが困難である。
【0003】
CCDでは製造工程上の問題などから薄い輝度むらとなる場合がある。輝度むらが生じる原因としては、例えば、カラーフィルタ層を形成した際に、隣り合った異なる色の層同士が互いに重なり合ってしまうことがある。また、CCD,LCD等は、画像の明るさは全体にわたって均一ではなく、画面の中央部が明るく、周辺部が暗くなる輝度シェーディングと呼ばれる特性を有している。むら欠陥は、輝度の明るさの変化である。また、非常に周囲との明るさのレベル差が少なく、しみの境界エリアが急峻な変化を伴わない浸潤しているような状態であり、上記輝度シェーディングの影響があるため、輝度変化の傾きを単純に求めるような方法では検出できない。従って、従来では、検査の自動化が難しく、人間の目視検査によって実施されているのが実情である。従来の検査方法としては、例えば、下記特許文献に示すものがある。
【0004】
【特許文献1】特開平10−206344号公報
【特許文献2】特開平9−329527号公報
【特許文献3】特開平11−66311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、検査を人間の目視検査で行うと、主観評価であるため検査員による検査結果のばらつきが発生することや、膨大な人件費がかかること、および検査時間が膨大にかかってしまうという問題がある。このため、検査の自動化の検討が進められている。
【0006】
上記特許文献1は、には、輝度の変化領域(エッジ)の抽出方法に関するもので、3画素×3画素のPrewittオペレータやSobelオペレータの1次差分方の空間フィルタを用いている。この方法では、輝度シェーディング特性がある場合に、輝度シェーディングに起因する傾きがあるためエッジの検出が困難である。
【0007】
上記特許文献2は、輝度シェーディングを除去するために元画像にLPF(Low Pass Filter)を施し、ノイズ成分を除去し、輝度シェーディングの特性のみを持つ画像を生成し、元画像から減算することにより輝度シェーディングの傾きを除去し、しみの検出を行う方法である。この方法によれば、周辺とエッジが急峻で、明るさの変化量が大きい輝度むらや傷などの場合には有効であるが、しみの場合には、LPFを施すことにより周辺の明るさとの差がごく僅かでとなり、エッジがさらに緩やかな傾きとなってしまうため検出が困難である。また、エッジを検出する場合、輝度シェーディングを除去する手段とエッジを検出する手段との2つの独立した手段を装備する必要があり、処理時間もかかってしまう。
【0008】
上記特許文献3は、輝度シェーディングをスプライン関数を持つ平坦化モジュールにより除去する手段を用いているが、画像全領域で平滑化曲線を求め平坦化曲面を求めるには膨大な処理時間がかかる。このため、検査処理時間の制約が極めて厳しいCCD等の検査には適さない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、客観的な検査が可能であり、処理時間の短縮化、検査の自動化を図ることができ、正確にむらを検出できる画像検査装置及び画像検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記構成によって達成される。
(1)画像むらを検査する画像検査装置であって、
前記画像むらを検査する検査対象画像の画像データにホワイトバランス処理を施すホワイトバランス処理手段と、
ホワイトバランス処理された前記画像データをL*a*b*表色系に変換する変換手段と、
変換後の前記画像データと予め用意したリファレンス画像データと比較する比較手段と、
比較後に、前記画像データと前記リファレンス画像データとの差である特徴量を算出する算出手段とを有していることを特徴とする画像検査装置。
(2)前記特徴量が、前記画像データと前記リファレンス画像データとの色の差を表す色差であることを特徴とする上記(1)に記載の画像検査装置。
(3)前記特徴量が、前記画像データと前記リファレンス画像データとの輝度の差を表す輝度差であることを特徴とする上記(1)に記載の画像検査装置。
(4)前記画像データを複数のブロックに分割し、前記ブロックごとに前記リファレンス画像データと比較することを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の画像検査装置。
(5)前記複数のブロックごとに前記特徴量の平均値を算出し、前記特徴量を所定の閾値に基づいて判定する判定手段を有することを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の画像検査装置。
(6)前記リファレンス画像データが前記検査対象画像にローパスフィルタをかけて平坦化した画像であることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の画像検査装置。
(7)画像むらを検査する画像検査方法であって、
前記画像むらを検査する検査対象画像の画像データにホワイトバランス処理を施すステップと、
ホワイトバランス処理された前記画像データをL*a*b*表色系に変換するステップと、
変換後の前記画像データと予め用意したリファレンス画像データと比較するステップと、
比較後に、前記画像データと前記リファレンス画像データとの差である特徴量を算出するステップとを有していることを特徴とする画像検査方法。
(8)前記特徴量が、前記画像データと前記リファレンス画像データとの色の差を表す色差であることを特徴とする上記(7)に記載の画像検査方法。
(9)前記特徴量が、前記画像データと前記リファレンス画像データとの輝度の差を表す輝度差であることを特徴とする上記(7)に記載の画像検査方法。
(10)前記画像データを複数のブロックに分割し、前記ブロックごとに前記リファレンス画像データと比較することを特徴とする上記(7)から(9)のいずれか1つに記載の画像検査方法。
(11)前記複数のブロックごとに前記特徴量の平均値を算出し、前記特徴量を所定の閾値に基づいて判定するステップを有することを特徴とする上記(7)から(10)のいずれか1つに記載の画像検査方法。
(12)前記リファレンス画像データが前記検査対象画像にローパスフィルタをかけて平坦化した画像を用いることを特徴とする上記(7)から(11)のいずれか1つに記載の画像検査方法。
【0011】
本発明は、画像むらを検査する際に、画像データをリファレンス画像データを用いており、L*a*b*表色系に変換された画像データと、色空間中においてリファレンス画像データとを比較し、どの程度差があるかを示す特徴量を算出することができる。例えば、特徴量として色差を用いる場合には、色空間中に位置づけられる2つの色の間の直線距離の色差に閾値を与えて判定することで、画像むらの有無を客観的に判別することができる。また、特定の色の輝度の違いによる画像むらを検査する場合には、特徴量として輝度差を用いて、色空間中に位置づけられる2つの色の間の輝度の方向の距離である輝度差を算出し、輝度差に閾値を与えて判定することで、画像むらの有無を判別することができる。このため、リファレンス画像データを用いることで、従来の検査対象画像だけで画像むらを判定する方法のように、画像の位置におうじて輝度シェーディングの影響を受けることがない。また、リファレンス画像データとの比較によって客観的な指標を用いることで、人間の目視検査ではなく検査装置によって検査作業を自動化することができ、検査にかかる時間を短縮できるうえ、正確に画像むらの検出を行うことができる。
ここで、L*a*b*表色系は、UCS(Uniform Color Space)の代表的なものであり、「均等色空間」とも称されるものである。UCSつまり均等色空間とは、心理的(色を見たとき)に、同じ色違いに見える色同士の距離(心理的な距離感)を均等にしてある色立体(=色空間)のことである。L*a*b*表色系は、CIE(国際照明委員会)が1976年に推奨した色空間で、CIE1976(L*a*b*)表色系と呼ばれ、CIELABと略記される。日本工業規格では、JISZ 8729に規定されている。
【0012】
画像データを複数のブロックに分割し、ブロックごとにリファレンス画像データと比較することで、検査にかかる処理量を削減することができ、画像むらの種類や形状に適した検出方式を構成することができる。こうすれば、画像の特定箇所に発生する画像むらに検査対象を絞って特徴量を算出することができる。
【0013】
複数のブロックごとに特徴量の平均値を算出し、特徴量を所定の閾値に基づいて判定する構成とすれば、例えば、特徴量として色差を用いてリファレンス画像データと比較する場合に、輝度シェーディングの影響を受けずに検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、客観的な検査が可能であり、処理時間の短縮化、検査の自動化を図ることができ、正確にむらを検出できる画像検査装置及び画像検査方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像検査装置の機能構成図である。この画像検査装置は、画像検査装置全体を統括制御するCPU10と、CPU10からの指示を受け検査対象の単板式カラー固体撮像素子100に検査光を照射する検査光照射部11と、CPU10からの指示を受け固体撮像素子100に駆動信号を印加する撮像素子駆動部12とを備える。
【0016】
また、この画像検査装置は、固体撮像素子100の出力に接続されたアナログ信号処理部13と、アナログ信号処理部13から出力されたR(赤),G(緑),B(青)の色信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路14と、CPU10に検査員からの指示を入力する操作部15とを備える。
【0017】
さらに、画像検査装置は、フレームメモリ17に接続されたメモリ制御部18と、検査のための各種画像処理を実行するデジタル信号処理部19と、撮像画像を水平方向,垂直方向に圧縮する圧縮処理部20と、撮像画像データを色毎に積算しデジタル信号処理部19が実行するホワイトバランス補正のゲインを求める積算部21と、検査結果を外部に出力する外部インタフェース22と、検査結果や撮像画像等を表示するモニタ装置23の表示制御を行う表示制御部24とを備え、これらは制御バス25及びデータバス26によって相互に接続され、CPU10からの指令によって制御される。
【0018】
ここで、画像むらとは、日本電子機械工業会規格、EIAJ ED-5301によれば、明時の出力信号不均一性のうち、局在的で比較的滑らかに変化する成分であって、リッドガラスの汚れやフォトダイオード上の汚れなどに起因する画面上比較的大きな面上欠陥をいう。
【0019】
図2は、画像検査装置が実行する画像検査処理にいおいて検査対象画像と比較するためのリファレンス画像データを生成する処理手順を示すフローチャートである。図3は、図1の画像検査装置が実行する画像検査処理の処理手順を示すフローチャートである。図4は、ホワイトバランス処理の手順を示すフローチャートである。図5は、画像データをL*a*b*表色系に変換する処理手順を示すフローチャートである。
【0020】
本実施形態では、最初に、画像むらの検査に用いるリファレンス画像データを生成する。リファレンス画像データは、複数枚をループさせて図2に示す手順を行う。リファレンス画像データは、予めフレームメモリ17に格納されている。リファレンス画像データとして、検査対象画像自身を用いることができる。このとき、検査対象画像にローパスフィルタ(Low Pass Filter)をかけて平坦化した画像を用いることができる。
【0021】
まず、フレームメモリ17からリファレンス画像データを読み出し、赤色だけの撮像画像データと、緑色だけの撮像画像データと、青色だけの撮像画像データとに色分解処理する。そして、各色の撮像画像データに対して既存のノイズ除去処理を施し、緑色(G)を基準にして赤色(R)と青色(B)のレベル補正を行う。即ち、既知のホワイトバランス補正を行う。
【0022】
図4に示すように、ホワイトバランス補正処理では、先ず、赤色画像データの平均値と、緑色画像データの平均値と、青色画像データの平均値を、次の数1に従って算出する。
【0023】
【数1】

【0024】
そして、次の数2に従って、ホワイトバランス補正を行うゲインを算出する。
【0025】
【数2】

【0026】
そして最後に、次の数3に従って、ホワイトバランス補正処理すなわちRGBのゲイン補正処理を実行する。
【0027】
【数3】

【0028】
図2に戻り、ホワイトバランス補正処理が終わると、画像圧縮処理(x方向に1/n、y方向に1/m)を行う。近年の固体撮像素子100は、数百万画素以上を搭載するのが普通になっており、微細な画素の大きさを単位に以下の処理を
実行すると、処理時間がかかるため、縮小画像を生成し、この縮小画像上での画像むらの検出処理を行う。
【0029】
縮小画像が生成されると、次に、縮小画像をメッシュ状に複数のブロックに分割する。各ブロックは、縮小画像のi画素×k画素で構成されるため、各ブロック毎に、赤色画像データの平均値,緑色画像データの平均値,青色画像データの平均値を算出する。
【0030】
その後、各ブロック毎のR平均値,G平均値,B平均値を、各ブロック毎に三刺激値XYZに変換するRGB/XYZ変換処理を次の数4に従って実行する。
【0031】
【数4】

【0032】
次に、XYZ表色系を、L*a*b*表色系に変換する。この変換は、次の数5に従って行う。
【0033】
【数5】

【0034】
リファレンス画像データの各ブロック毎に、L*,a*,b*が算出されると、次に、数6,7に示すように、ブロック(n×m)毎にリファレンス画像データのL*,a*,b*の平均値を格納する。こうして、リファレンス画像データが生成され、生成されたリファレンス画像データがフレームメモリ17に一時的に格納される。
【0035】
【数6】

【0036】
【数7】

【0037】
次に、画像検査の対象となる検査対象画像の画像データを検査する手順を開始する。図3に示すように、まず、検査対象画像の画像データを、赤色だけの撮像画像データと、緑色だけの撮像画像データと、青色だけの撮像画像データとに色分解処理する。そして、各色の撮像画像データに対して既存のノイズ除去処理を施し、緑色(G)を基準にして赤色(R)と青色(B)のレベル補正を行う。即ち、既知のホワイトバランス補正を行う。ホワイトバランス補正は、リファレンス画像データの際と同様に図4の手順を用いて上記数1に従って算出できるい。また、上記数2に従って、ホワイトバランス補正を行うゲインを算出する。そして、最後に上記数3に従って、ホワイトバランス補正処理すなわちRGBのゲイン補正処理を実行する。
【0038】
ホワイトバランス補正処理が終わると、画像圧縮処理(x方向に1/n、y方向に1/m)を行い、縮小画像が生成されると、次に、縮小画像をメッシュ状に複数のブロックに分割する。各ブロックは、縮小画像のi画素×k画素で構成されるため、各ブロック毎に、赤色画像データの平均値,緑色画像データの平均値,青色画像データの平均値を算出する。その後、各ブロック毎のR平均値,G平均値,B平均値を、各ブロック毎に三刺激値XYZに変換するRGB/XYZ変換処理を上記数4に従って実行する。
【0039】
RGB/XYZ変換処理の後、XYZ表色系を、L*a*b*表色系に変換する。この変換は、上記数5に従って行う。
【0040】
各ブロック毎に、L*,a*,b*が算出されると、ブロック(n×m)毎に画像データのL*,a*,b*の平均値を算出する。
【0041】
次に、検査対象画像の画像データと、リファレンス画像データとを比較する。具体的には、画像データのブロック毎のL*,a*,b*と、リファレンス画像データの各ブロックのL*,a*,b*の平均値との差分を算出する。本実施形態では、画像データとリファレンス画像データとの差である特徴量として色差(ΔE)を算出する。色差ΔEは、下記の数8によって演算処理される。
【0042】
【数8】

【0043】
色差ΔEを算出した後、特徴量を所定の閾値に基づいて判定する。例えば、予め設定された閾値に基づいて、算出された色差ΔEをPASS/FAL判定を行う。こうすれば、画像むらを検査する際に、輝度シェーディングの影響を受けずに検出することができる。
【0044】
本発明は、画像むらを検査する際に、画像データをリファレンス画像データを用いており、L*a*b*表色系に変換された画像データと、色空間中においてリファレンス画像データとを比較し、どの程度差があるかを示す色差を算出することができる。例えば、上記実施形態のように、特徴量として色差を用いる場合には、色空間中に位置づけられる2つの色の間の直線距離の色差に閾値を与えて判定することで、画像むらの有無を客観的に判別することができる。このため、リファレンス画像データを用いることで、従来の検査対象画像だけで画像むらを判定する方法のように、画像の位置におうじて輝度シェーディングの影響を受けることがない。また、リファレンス画像データとの比較によって客観的な指標を用いることで、人間の目視検査ではなく検査装置によって検査作業を自動化することができ、検査にかかる時間を短縮できるうえ、正確に画像むらの検出を行うことができる。
【0045】
次に、本発明にかかる変形例を説明する。上記実施形態では、画像むらの検査において画像データとリファレンス画像データとの差を示す特徴量として色差ΔEを用いたが、輝度差を特徴量として用いることができる。
【0046】
図6は、画像データとリファレンス画像データとの輝度差に基づいて画像むらを検出する処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下に説明する実施形態において、すでに説明した処理や手順などと同じものについては、説明を簡略化或いは省略する。
【0047】
輝度差に基づいて検査を行う場合に用いるリファレンス画像データは、輝度データを持っているものを用いることができる。具体的には、下記の数9に示すように、リファレンス画像データの各ブロック毎に、L*の平均値のみが格納されたデータを用いることができる。
【0048】
【数9】

【0049】
次に、画像検査の対象となる検査対象画像の画像データを検査する手順を開始する。図3に示すように、まず、検査対象画像の画像データを、各色の撮像画像データに色分解処理する。そして、各色の撮像画像データに対して既存のノイズ除去処理を施し、ホワイトバランス補正を行う。ホワイトバランス補正処理及びゲイン補正処理は、上記実施形態と同じである。
【0050】
ホワイトバランス補正処理が終わると、画像圧縮処理(x方向に1/n、y方向に1/m)を行い、縮小画像が生成されると、次に、縮小画像をメッシュ状に複数のブロックに分割する。各ブロック毎に、赤色画像データの平均値,緑色画像データの平均値,青色画像データの平均値を算出する。その後、各ブロック毎のR平均値,G平均値,B平均値を、各ブロック毎に三刺激値XYZに変換するRGB/XYZ変換処理を上記数4に従って実行する。
【0051】
RGB/XYZ変換処理の後、上記実施形態と同様に、XYZ表色系をL*a*b*表色系に変換する(上記数5参照)。そして、各ブロック毎に、L*,a*,b*が算出されると、ブロック(n×m)毎に画像データのL*の平均値のみを算出する。これは、後述するように、画像データとリファレンス画像データとの輝度差の差分を算出する際に、a*b*の画像データを必要としないためである。
【0052】
次に、検査対象画像の画像データと、リファレンス画像データとを比較する。具体的には、画像データのブロック毎のL*と、リファレンス画像データの各ブロックのL*の平均値との差分を算出する。本実施形態では、画像データとリファレンス画像データとの差である特徴量として輝度差ΔLを算出する。輝度差ΔLは、下記の数10によって演算処理される。
【0053】
【数10】

【0054】
輝度差ΔLを算出した後、特徴量を所定の閾値に基づいて判定する。例えば、予め設定された閾値に基づいて、算出された輝度差ΔLをPASS/FAL判定を行う。こうすれば、画像むらを検査する際に、輝度シェーディングの影響を受けずに検出することができる。
【0055】
本発明は、画像むらを検査する際に、画像データをリファレンス画像データを用いており、L*a*b*表色系に変換された画像データと、色空間中においてリファレンス画像データとを比較し、どの程度差があるかを示す特徴量を算出することができる。上記実施形態のように特定の色の輝度差による画像むらを検査する場合に特徴量として輝度差を用いれば、色空間中に位置づけられる2つの色の間の輝度の方向の距離である輝度差を算出し、輝度差に閾値を与えて判定することで、画像むらの有無を判別することができる。このため、リファレンス画像データを用いることで、従来の検査対象画像だけで画像むらを判定する方法のように、画像の位置におうじて輝度シェーディングの影響を受けることがない。また、リファレンス画像データとの比較によって客観的な指標を用いることで、人間の目視検査ではなく検査装置によって検査作業を自動化することができ、検査にかかる時間を短縮できるうえ、正確に画像むらの検出を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、LCD、PDP、シャドウマスク、スクリーン、感光フィルムや偏光フィルム、プリント基板配線、メッキむらや塗装むら等のしみやむら検査技術全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像検査装置の機能構成図である。
【図2】画像検査処理で用いるリファレンス画像データを生成する処理手順を示すフローチャートである。
【図3】画像検査処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】ホワイトバランス補正処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図5】L*a*b*表色系に変換する処理手順を示すフローチャートである。
【図6】画像検査処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
10 CPU
11 検査光照射部
19 デジタル信号処理部
21 積算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像むらを検査する画像検査装置であって、
前記画像むらを検査する検査対象画像の画像データにホワイトバランス処理を施すホワイトバランス処理手段と、
ホワイトバランス処理された前記画像データをL*a*b*表色系に変換する変換手段と、
変換後の前記画像データと予め用意したリファレンス画像データと比較する比較手段と、
比較後に、前記画像データと前記リファレンス画像データとの差である特徴量を算出する算出手段とを有していることを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記特徴量が、前記画像データと前記リファレンス画像データとの色の差を表す色差であることを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記特徴量が、前記画像データと前記リファレンス画像データとの輝度の差を表す輝度差であることを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記画像データを複数のブロックに分割し、前記ブロックごとに前記リファレンス画像データと比較することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記複数のブロックごとに前記特徴量の平均値を算出し、前記特徴量を所定の閾値に基づいて判定する判定手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記リファレンス画像データが前記検査対象画像にローパスフィルタをかけて平坦化した画像であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の画像検査装置。
【請求項7】
画像むらを検査する画像検査方法であって、
前記画像むらを検査する検査対象画像の画像データにホワイトバランス処理を施すステップと、
ホワイトバランス処理された前記画像データをL*a*b*表色系に変換するステップと、
変換後の前記画像データと予め用意したリファレンス画像データと比較するステップと、
比較後に、前記画像データと前記リファレンス画像データとの差である特徴量を算出するステップとを有していることを特徴とする画像検査方法。
【請求項8】
前記特徴量が、前記画像データと前記リファレンス画像データとの色の差を表す色差であることを特徴とする請求項7に記載の画像検査方法。
【請求項9】
前記特徴量が、前記画像データと前記リファレンス画像データとの輝度の差を表す輝度差であることを特徴とする請求項7に記載の画像検査方法。
【請求項10】
前記画像データを複数のブロックに分割し、前記ブロックごとに前記リファレンス画像データと比較することを特徴とする請求項7から9のいずれか1つに記載の画像検査方法。
【請求項11】
前記複数のブロックごとに前記特徴量の平均値を算出し、前記特徴量を所定の閾値に基づいて判定するステップを有することを特徴とする請求項7から10のいずれか1つに記載の画像検査方法。
【請求項12】
前記リファレンス画像データが前記検査対象画像にローパスフィルタをかけて平坦化した画像を用いることを特徴とする請求項7から11のいずれか1つに記載の画像検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−270960(P2008−270960A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108263(P2007−108263)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】