説明

画像生成装置

【課題】複数のアプリケーションから入力される描画命令に適切に対応することが可能となる画像生成装置を提供すること。
【解決手段】複数のアプリケーションから入力される描画命令に応じた画像を生成する画像生成装置であって、複数のアプリケーションから入力される描画命令に応じて、複数のオフスクリーン領域に並行して画像を描画する描画手段(10、20)と、描画手段により複数のオフスクリーン領域に描画された画像に基づいて出力画像を生成する出力画像生成手段(40)と、を備える画像生成装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアプリケーションから入力される描画命令に応じた画像を生成する画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる機能をそれぞれ実現する複数のアプリケーションモジュール、及びこれらを統括するアプリケーション統括モジュールと、データの入出力を行なう外部ハードウエアと、を備える車載マルチメディア装置についての発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、各アプリケーションモジュールから描画権要求を受け取ると、アプリケーション統括モジュール内の状態遷移検知部が描画可能であるか否かを判定するものとしている。
【特許文献1】国際公開第02/75538号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の装置では、複数アプリケーションからの描画要求が同時になされた場面に適切に対応することができない。上記従来の装置では、複数のアプリケーションが同時稼働しているときに、描画権の取り合いが発生する場合が生じ、1つのアプリケーションモジュールの描画しか実現することができないからである。
【0004】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、複数のアプリケーションから入力される描画命令に適切に対応することが可能となる画像生成装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、複数のアプリケーションから入力される描画命令に応じた画像を生成する画像生成装置であって、複数のアプリケーションから入力される描画命令に応じて、複数のオフスクリーン領域に並行して画像を描画する描画手段と、描画手段により複数のオフスクリーン領域に描画された画像に基づいて出力画像を生成する出力画像生成手段と、を備える画像生成装置である。
【0006】
この本発明の一態様によれば、複数のアプリケーションから入力される描画命令に応じて、複数のオフスクリーン領域に並行して画像を描画し、これに基づいて出力画像を生成するため、複数のアプリケーションから入力される描画命令に適切に対応することができる。
【0007】
本発明の一態様において、描画手段は、過去に描画した画像に関する情報を蓄積する蓄積手段を備えるものとしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様において、出力画像生成手段は、出力画像におけるレイアウトを変更可能な手段であるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のアプリケーションから入力される描画命令に適切に対応することが可能となる画像生成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の一実施例に係る画像生成装置1について説明する。画像生成装置1は、例えば車両に搭載され、ナビゲーション関連表示、各種警告/報知のための表示、テレビ放映やDVD再生に係る表示等を行なうための装置である。
【0012】
画像生成装置1は、例えば、CPU、RAM、ROM、HDD等がバスを介して接続されたECU(Electronic Control Unit)等のコンピューターユニットとして構成される。図1は、画像生成装置1が有する機能ブロックを示す図である。画像生成装置1は、ROMに記憶されたプログラムがRAM上に展開(ロード)されることにより機能する機能ブロックとして、描画サーバ10と、マルチコンテキスト20と、描画リスト30と、レイアウト作成部40と、を備える。また、RAM上には、複数のオフスクリーン領域50A、50B、50C(便宜上3つとしたが、これに限られない)、及びオンスクリーン領域60が予め設定されている。
【0013】
描画サーバ10は、複数のアプリケーションからの描画命令を受け付け、命令の出所を特定する。そして、複数のアプリケーションから入力される描画命令に応じて、複数のオフスクリーン領域50A、50B、50Cに、並行して画像を描画するようにマルチコンテキスト20に指示する。
【0014】
ここで、複数のアプリケーションとは、例えば、ナビゲーションシステムの制御コンピューターにおいて実行されている経路案内プログラム、無線通信により得られた各種サービス情報を乗員に提供するテレマティックサービスにおいて実行されている情報取得/提供プログラム、イモビライザーシステムにおいて実行されている個人認証プログラム、ボデー系ECUにおいて実行されている車両状態報知プログラム(半ドアの注意喚起等を行なう)、マルチメディアシステムにおいて実行されているDVDやテレビ放送の放映のためのプログラム等をいう。
【0015】
描画命令の実行は、可能な限り即時復帰を行なって、命令を実行済みである旨の信号をアプリケーションに返すものとする。これにより、各アプリケーションにおいては、描画命令を出力した後に上記信号を受け取ることができるため、次の処理に移行することができる。図2は、2つのアプリケーションから描画命令が順次入力された際の描画サーバ10の復帰動作を概念的に示す図である。
【0016】
但し、描画命令に応じた処理が完了してから次の処理を実行する必要があるものに関しては、描画命令に応じた処理が完了した後に命令を実行済みである旨の信号をアプリケーションに返すものとする。また、描画サーバ10は、同時に実行することができない命令についての調停を行なう。図3は、描画サーバ10が各アプリケーションからの描画命令を一時的に描画スタック12に保管し、マルチコンテキスト20(図中では、各オフスクリーン領域に描画する機能部分を、「コンテキスト1」、「コンテキスト2」と表現した)に描画処理を指示する様子を示すシーケンス図である。図示する如く、描画スタック12においては、FIFO(First In, First Out)の原則に従って描画命令が保管及び実行される。そして、アプリケーションから「完了待ち」の指示フラグが付与された描画命令が入力された場合は(図中、(3)、(4)が相当する)、完了復帰がアプリケーションに通知されるまで(図中(3A)、(4A)が相当する)、当該アプリケーションは関数呼び出しの状態で待機状態となる。なお、「完了待ち」の指示フラグは、例えば、スクリーンセーバー等に使用される3Dパイプの描画等、描画に一定の時間を要することが予め判明している描画命令に付与される。
【0017】
マルチコンテキスト20は、描画サーバ10が受け付けた描画命令に応じて、複数のオフスクリーン領域50A、50B、50Cのいずれかにおいて描画を実行する。複数のオフスクリーン領域50A、50B、50Cは、予め各アプリケーションに対応づけられていてよい。また、マルチコンテキスト20は、繰り返し実行されることが予め判明している描画命令については、一度実行した際の描画データを描画リスト30に記憶させ、二度目以降の描画の際には描画リスト30に記憶された描画データに従って描画を実行する。なお、描画リスト30は、例えば上記HDDに格納される。図4は、描画リスト30に描画データが記憶され、必要に応じて読み出される様子を示す図である。
【0018】
レイアウト作成部40は、表示装置60がタッチパネルとして構成された場合に、これに対するタッチ操作、各アプリケーションから描画サーバ10に入力された指示、或いは経時変化等に従って、複数のオフスクリーン領域50A、50B、50Cに描画された内容を、選択及び/又は合成してオンスクリーン領域60に出力する。オンスクリーン領域50に出力された内容は、画像データとして表示装置70に出力される。図5は、レイアウト作成部40によってオンスクリーン領域のレイアウトが変更される様子を示す図である。
【0019】
このように、本実施例の画像生成装置1において、マルチコンテキスト20は、最終的な出力画像の態様に拘わらず、各アプリケーションから入力された描画命令を個別的に実行する。また、レイアウト作成部40は、描画サーバ10及びマルチコンテキスト20の作動状況に拘わらず、複数のオフスクリーン領域50A、50B、50Cに描画された内容の選択及び/又は合成を行なう。従って、例えば一のアプリケーションに係る画像を表示するようにタッチ操作がなされた直後に、描画命令を実行開始することに伴うタイムラグが発生するのを抑制することができる。
【0020】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、自動車製造業や自動車部品製造業等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】画像生成装置1が有する機能ブロックを示す図である。
【図2】2つのアプリケーションから描画命令が順次入力された際の描画サーバ10の復帰動作を概念的に示す図である。
【図3】描画サーバ10が各アプリケーションからの描画命令を一時的に描画スタック12に保管し、マルチコンテキスト20に描画処理を指示する様子を示すシーケンス図である。
【図4】描画リスト30に描画データが記憶され、必要に応じて読み出される様子を示す図である。
【図5】レイアウト作成部40によってオンスクリーン領域のレイアウトが変更される様子を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 画像生成装置
10 描画サーバ
12 描画スタック
20 マルチコンテキスト
30 描画リスト
40 レイアウト作成部
50A、50B、50C オフスクリーン領域
60 オンスクリーン領域
70 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアプリケーションから入力される描画命令に応じた画像を生成する画像生成装置であって、
前記複数のアプリケーションから入力される描画命令に応じて、複数のオフスクリーン領域に並行して画像を描画する描画手段と、
該描画手段により複数のオフスクリーン領域に描画された画像に基づいて出力画像を生成する出力画像生成手段と、
を備える画像生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像生成装置であって、
前記描画手段は、過去に描画した画像に関する情報を蓄積する蓄積手段を備える、
画像生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像生成装置であって、
前記出力画像生成手段は、前記出力画像におけるレイアウトを変更可能な手段である、
画像生成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−310020(P2008−310020A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157529(P2007−157529)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】