説明

画像目的のためのヘキソースおよび金属配位結合化合物の結合体

金属医薬診断剤もしくは治療剤として使用するための、ヘキソースキャリアに連結された金属キレートを含む化合物が提供される。上記化合物は、単一光子放出型コンピューター断層撮影法、コンピューター支援断層撮影法、磁気共鳴分光法、磁気共鳴画像化法、陽電子放射断層撮影法、蛍光画像化法もしくはx線による画像化に適している。本発明の一局面によれば、金属医薬のヘキソース誘導体化合物が提供され、ここでヘキソース位置C−1、C−2、C−3、C−4およびC−6は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および金属含有部分で独立して置換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、金属医薬診断剤もしくは治療剤として使用するために、ヘキソースキャリアに連結された金属キレートに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
生存細胞によるグルコース代謝の速度は、特に、ヒト患者における種々の異常な生理学的状態の有用なインジケーターであることが公知である。これらの状態の中には、癌、冠状動脈疾患、脳腫瘍および癲癇の種々の形態が含まれる。これら状態の診断および現場での決定は、異常に高速もしくは低速のグルコース取り込みを示している細胞を同定する、非常に洗練された画像化技術によって可能にされてきた。
【0003】
今まで、グルコース画像化は、グルコースアナログ(例えば、炭素−11標識したグルコースおよび18F標識2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコースおよびそのアイソマー18F標識3−デオキシ−3−フルオロ−D−グルコース(まとめて「FDG」といわれる))での陽電子放射断層撮影(PET)によって行われてきた。FDGは、画像化手順の前に患者に投与する際に、グルコースと同じ様式で細胞に入る。例えば、いかなる特定の理論にも縛られずに、FDGおよびグルコースが、グルコース輸送体Glut 1およびGlut 3によって上記細胞膜を介して輸送されると考えられる。FDGおよびグルコースの両方は、その後、ヘキソキナーゼによって6位でリン酸化され、それによって、それぞれ、D−グルコース−6−ホスフェートおよび2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコースを形成する。しかし、D−グルコース−6−ホスフェートが、代謝経路において上記ホスホヘキソースイソメラーゼ工程の基質である場合、2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコースは、上記細胞の内部での代謝経路を完了せず、従って、画像化が生じるに十分長く、上記細胞中に蓄積しかつ残存する。上記PET画像化手順によって検出される場合に、FDGの蓄積および得られる全身分布は、異常性の段階および位置のインジケーターである。PETは、選択された画像化法である。なぜなら、PETは、FDGによって放出される消滅光子を有用に検出するために十分感度が高いからである。他の画像化法(例えば、単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT))は、FDGを検出するために必要とされる感度を有さない。
【0004】
不運なことには、PETは、より高価な画像化手順のうちの1つである。結果として、グルコース輸送異常に基づく核医学スキャン(nuclear medicine scanning)は、制限された用途のみを享受し、PET装置が利用可能である位置においてのみ実現可能である。このことは、研究ツールおよび診断法の両方としてグルコース輸送の現像(development)を妨げてきた。
【0005】
FDGの代わりとして、金属で標識されかつ非PET画像化法によって検出可能な生体利用可能なグルコース誘導体を開発することは、当該分野で顕著な進歩である。
【0006】
Schibliらは、C−2位、C−3位、C−4位もしくはC−6位において、99mテクネチウムもしくはレニウムならびに金属配位結合部分(エチレンイミノ二酢酸、プロピレンイミノ二酢酸、オクチレンイミノ二酢酸、エチレンピクリルアミンモノ酢酸、エチレンヒスチジルおよびエチレンビスイミダゾリルアミノメタンから選択される)からなる錯体にエーテル(すなわち、−O−)連結で連結されるグルコースの調製物を開示する。上記グルコース化合物の評価できるほどの取り込みは、認められなかった。非特許文献1を参照のこと。
【0007】
細胞取り込みを示し、上記細胞中で顕著には代謝されず、PET以外の画像化技術によって検出および定量され得るグルコース画像化化合物が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Schibliら,「Synthesis and in Vitro Characterization of Oraganometallic Rhenium and Technetium Glucose Complexes against Glut 1 and Hexokinase」,Bioconjugate Chem.2005,16,105−112
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明の一局面によれば、金属医薬のヘキソース誘導体化合物が提供され、ここでヘキソース位置C−1、C−2、C−3、C−4およびC−6は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および金属含有部分で独立して置換される。上記金属含有部分は、水素供与体かつ水素受容体である連結基、ならびに金属配位結合部分および1種以上の金属イオンを含む金属錯体を含む。上記C−1置換基、C−2置換基、C−3置換基、C−4およびC−6置換基のうちの少なくとも1つは、金属含有部分である。C−2が、金属含有部分で置換される場合、C−1、C−3、C−4およびC−6のうちの少なくとも1つは、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および金属含有部分から選択される。
【0010】
本発明の別の局面は、上記金属医薬のヘキソース誘導体化合物を画像化および定量するための方法に関し、ここで上記画像化および定量は、単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)、コンピューター支援断層撮影法(CAT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴画像化法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、蛍光画像化法(FI)もしくはx線(XR)を使用して行われる。
【0011】
本発明のなお別の局面は、上記金属医薬のヘキソース誘導体化合物を含む医薬処方物に関し、ここで上記処方物は、画像化増強剤として投与するのに適しており、上記化合物は、単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)画像、コンピューター支援断層撮影法(CAT)画像、磁気共鳴分光法(MRS)画像、磁気共鳴画像化法(MRI)画像、陽電子放射断層撮影法(PET)画像、適用可能な蛍光画像(FI)もしくはx線(XR)画像を増強するために十分な量で存在する。
【0012】
本発明のさらに別の局面は、細胞、組織、器官もしくは全身をインサイチュもしくはインビトロで画像化するための方法に関し、上記方法は、上記画像を増強するために十分な量の上記薬学的化合物の処方物を投与する工程を包含し、ここで上記医薬処方物は、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を含み、ここで上記画像は、単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)、コンピューター支援断層撮影法(CAT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴画像化法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、蛍光画像化法(FI)もしくはx線(XR)によって生成される。
【0013】
本発明のさらに別の局面は、細胞、組織、器官もしくは全身をインサイチュもしくはインビボで画像化するための方法に関し、上記方法は、上記医薬処方物を提供する工程、単一光子放出型コンピューター断層撮影法画像化デバイス、コンピューター支援断層撮影法(CAT)デバイス、磁気共鳴分光法(MRS)デバイス、磁気共鳴画像化法(MRI)デバイス、陽電子放射断層撮影法(PET)デバイス、蛍光画像化法(FI)デバイスもしくはx線(XR)画像化デバイスを提供する工程、上記細胞、組織、器官もしくは身体の画像を生成するのに十分な量の上記医薬処方物を投与する工程、ならびに上記医薬処方物の分布を上記画像化デバイスで画像化し、それによって、上記細胞、組織、器官もしくは身体を画像化する工程を包含する。
【0014】
他の目的および特徴は、部分的に明らかであり、本明細書中以下で部分的に指摘される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、疾患の処置および/もしくは診断に有用なヘキソースキャリアを有する金属医薬化合物を提供する。上記化合物は、グルコースに匹敵する細胞取り込みを示し、単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)、コンピューター支援断層撮影法(CAT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴画像化法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、蛍光画像化法(FI)もしくはx線(XR)による画像化が生じるために十分長く、上記細胞中に蓄積しかつ残存する。
【0016】
一般に、本発明の化合物は、式(1)によって表される結合体であり、3種の成分を含む:ヘキソースキャリア;金属配位結合部分および金属を含む金属錯体;ならびに上記金属錯体を上記ヘキソースに結合するリンカー。
【0017】
【化1】

式(1)において、nは、1〜5であり、−(リンカー−金属錯体)置換は、ヘキソース位置C−2、C−3、C−4、C−5およびC−6のうちの1つ以上で、独立して生じ得る。
【0018】
本発明の化合物の細胞取り込みのための輸送機構は、完全には理解されていない。輸送は、ヒトにおいては、少なくとも14個のメンバー(SLC1A1〜14、GLUT1〜14)を含むグルコース輸送体(GLUT)のファミリーによって媒介されると考えられている。種々のGLUT輸送体は、種々の糖(グルコース、2−デオキシグルコース、ガラクトース、フルクトース、イノシトール)および糖アナログ(デヒドロアスコルベート、グルコサミン、およびフルオロデオキシグルコース)を輸送することが示された。輸送は、2方向性であり、基質勾配に依存して、上記細胞の中へもしくは外への何れかの輸送を可能にする。
【0019】
本発明の化合物の細胞取り込みおよび放出(discharge)は、輸送体のGLUTファミリーによって行われると考えられている。本発明の化合物は、代謝亢進(hyper−metabolic)癌細胞によって、正常細胞より多量に取り込まれる。水素供与体かつ水素受容体であるリンカーが、細胞への本発明の化合物の取り込みを可能にすることが発見された。このようなリンカーを含む本発明の化合物が、上記細胞の内部で顕著に代謝されないので、画像化が生じるために十分長く、上記細胞中に蓄積しかつ残存することがさらに発見された。このような化合物は、上記細胞中に金属を沈着させず、身体から効率的に排出される。(a)水素供与体かつ水素受容体ではないリンカー(例えば、酸素)、および(b)ケトンによってアミンリンカーへと連結され、それによって、アミド(−N−C(O)−)結合を形成する金属配位結合部分は、本発明の実施には適していないことがさらになお発見された。このようなリンカーおよび/もしくは結合の存在は、細胞取り込みを阻害し、そして/または上記細胞中での上記化合物の代謝を生じ、上記ヘキソースキャリアからの上記リンカー−金属錯体の切断およびその切断されたリンカー−金属錯体の、上記細胞中での蓄積および保持を引き起こすと考えられている。
【0020】
一実施形態において、上記リンカーは、窒素、硫黄およびリンから選択され、以下の式(1a)〜(1e)から独立して選択される:
【0021】
【化2】

【0022】
【化3】

一実施形態において、上記化合物は、二級アミンリンカーを有する式(2)の化合物であり:
【0023】
【化4】

ここでnは、1〜5であり、−(NH−金属錯体)置換は、ヘキソース位置C−1、C−2、C−3、C−4およびC−6のうちの1つ以上で、独立して生じ得る。別の実施形態において、nは、2であり、上記ヘキソースは、ヘキソース位置C−1、C−2、C−3、C−4およびC−6のうちのいずれか2つ(例えば、C−2およびC−6)において置換される。なお別の実施形態において、nは1であり、上記ヘキソースは、C−2で置換される。さらに別の実施形態において、nは1であり、上記ヘキソースは、C−6で置換される。
【0024】
適切なヘキソースとしては、グルコース、ガラクトースおよびマンノースが挙げられる。本発明の範囲は、αヘキソース異性体およびβヘキソース異性体の両方、ならびに右旋性(D−)および左旋性(L−)のヘキソース異性体を含む。一実施形態において、上記ヘキソースは、α−D−グルコースである。
【0025】
本発明の置換されたヘキソースは、式(3)によって表される。
【0026】
【化5】

上記−(リンカー−金属錯体)部分によって置換されないヘキソース位置C−1(R)、C−2(R)、C−3(R)、C−4(R)およびC−6(R)のうちのいずれかは、水素および/もしくはヒドロキシルを含み得るか、または例えば、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アミド、チオもしくはホスホで置換され得る。別の実施形態において、上記ヘキソースは、例えば、アルキル、アリール、アルコキシ、複素環、アラルキル、アルカリール、およびアリールアルカリール基で置換され得、そしてヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、リンもしくは硫黄)から構成される官能基をもっていてもよいし、もっていなくてもよい。このような官能基の例としては、オキソ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキサミド、ニトロ、エーテル、ケトン、アミノ、アンモニウム、スルホネート、スルホンアミド、ターピリジル、カルボキシメチルアミノ、ホスホネート、およびホスホンアミドが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、もしくは式−R−Rのリンカー−金属錯体部分(ここでRは、水素供与体かつ水素受容体である連結基であり、Rは、金属配位結合部分を含み、Rは、1つ以上の金属イオンを含むが、ここでR、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、リンカー−金属錯体部分である)である。Rが、リンカー−金属錯体部分である場合、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、およびリンカー−金属錯体部分から選択される。
【0027】
SPECT、CAT、MRS、MRI、PET、FIもしくはXRによって検出可能な任意の金属は、本発明の実施に適している。本発明の化合物に適した金属は、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、バリウム、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、セリウム、セシウム、クロム、コバルト、銅、ジスプロシウム、エルビウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ガリウム、金、ハフニウム、ホルミウム、インジウム、鉄、クリプトン、ランタン、鉛、マグネシウム、マンガン、水銀、モリブデン、ネオジム、ネプツニウム、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、白金、プルトニウム、プラセオジム、プロメチウム、プロトアクチニウム、ラジウム、レニウム、ロジウム、ルビジウム、ルテニウム、サマリウム、スカンジウム、セレン、銀、ナトリウム、ストロンチウム、硫黄、タンタル、テクネチウム、テルル、テルビウム、タリウム、トリウム、ツリウム、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、イッテルビウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム、およびこれらの同位体からなる群より選択され得る。種々の金属の放射性同位体は、診断適用および治療適用において有用であり、使用される特定の放射性同位体は、上記金属医薬化合物の所望のエンドユースに依存する。例えば、ガンマ放射する放射性核種金属イオン(例えば、インジウム−III、67ガリウムおよび99mテクネチウム)もしくはβ放射同位体(例えば、186レニウム、188レニウム、189レニウム、105ロジウム、153サマリウム、90イットリウムおよび67銅)が使用され得る。一実施形態において、上記金属は、124アンチモン、125アンチモン、74ヒ素、103バリウム、140バリウム、ベリリウム、206ビスマス、207ビスマス、109カドミウム、15mカドミウム、45カルシウム、139セリウム、141セリウム、144セリウム、137セシウム、51クロム、55コバルト、56コバルト、57コバルト、58コバルト、60コバルト、64コバルト、67銅、169エルビウム、152ユーロピウム、64ガリウム、68ガリウム、153ガドリニウム、157ガドリニウム、195金、199金、175ハフニウム、175−181ハフニウム(Hafiium)、166ホルミウム、110インジウム、111インジウム、192イリジウム、55鉄、59鉄、85クリプトン、210鉛、54マンガン、197水銀、203水銀、99モリブデン、147ネオジム、237ネプツニウム、63ニッケル、95ニオブ、185+191オスミウム、103パラジウム、195m白金、143プラセオジム、147プロメチウム、233プロトアクチニウム、226ラジウム、186レニウム、188レニウム、86ルビジウム、103ルテニウム、106ルテニウム、44スカンジウム、46スカンジウム、75セレン、110m銀、111銀、22ナトリウム、85ストロンチウム、89ストロンチウム、90ストロンチウム、35硫黄、182タンタル、99mテクネチウム、125テルル、132テルル、204タリウム、228トリウム、232トリウム、170タリウム、113スズ、114スズ、117mスズ、44チタン、185タングステン、48バナジウム、49バナジウム、169イッテルビウム、86イットリウム、88イットリウム、90イットリウム、91イットリウム、65亜鉛、および95ジルコニウムからなる群より選択される。別の実施形態において、上記金属は、ルテチウム、177ルテチウム、イットリウム、86イットリウム、90イットリウム、インジウム、111インジウム、113mインジウム、テクネチウム、98テクネチウム、99mテクネチウム、レニウム、186レニウム、188レニウム、ガリウム、67ガリウム、68ガリウム、銅、62銅、64銅、67銅、ガドリニウム、153ガドリニウム、ジスプロシウム、165ジスプロシウム、166ジスプロシウム、ホルミウム、166ホルミウム、ユーロピウム、169ユーロピウム、サマリウム、153サマリウム、パラジウム、103パラジウム、プロメチウム、149プロメチウム、ツリウム、170ツリウム、ビスマス、212ビスマス、ヒ素および211ヒ素からなる群より選択される。別の実施形態において、上記金属は、177ルテチウム、86イットリウム、90イットリウム、111インジウム、113mインジウム、98テクネチウム、99mテクネチウム、186レニウムおよび188レニウムからなる群より選択される。
【0028】
ヘキソースに連結され得、細胞取り込みおよび排出に顕著に干渉せず、上記金属と安定な錯体を形成するに十分な金属結合親和性および選択性を有し、身体中の上記金属を量的に放出せず、そして受容可能な毒物学的基準を満たす任意の金属配位結合部分が、本発明の金属医薬化合物に適している。ケトンによってアミンリンカーに連結され、それによってアミド(−N−C(O)−)を形成する金属配位結合部分は、本発明の範囲から排除される。適切な金属配位結合部分は、好ましくは、例えば、細胞の中および外への上記化合物の輸送にも、身体からの排出にも干渉しないサイズ、コンホメーション、立体属性および電荷のような特性を有する。さらに、上記金属配位結合部分は、受容可能なインビボ安定性(例えば、金属親和性を維持しかつ代謝プロセス(例えば、酵素性分解)に曝された際、もしくは例えば、温度、pHおよび伝導性の生理学的条件下で実質的に分解しない能力)を有するべきである。金属配位結合部分の選択は、種々の考慮事項(例えば、上記金属の正体およびその酸化状態、上記金属医薬の合成しやすさ、上記配位子の化学的および物理的特性、形成速度、収率、ならびに得られる金属医薬の異性形態の数、患者への有害な生理的結果なしに上記金属医薬化合物を上記患者に投与できること、ならびに最終製品形態(例えば、溶液もしくは凍結乾燥処方物)における上記金属配位結合部分の適合性)によってさらに影響される。
【0029】
少なくとも2度(two degrees)の座(dentation)(例えば、二座配位子もしくは多座配位子、単座配位子と組み合わせた二座配位子もしくは多座配位子、または単座配位子の組み合わせ)を有する金属配位結合部分が、好ましい。上記配位子は、一般に、供与体原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、ならびにこれらの誘導体および組み合わせ)を含む。例としては、二酸素(dioxygen)、アミノカルボキシレート、イミン、ニトリル、不飽和もしくは芳香族の窒素含有複素環、ホスフィンおよびチオカルボニルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、上記配位子は、例えば、アルキル、アリール、アルコキシ、複素環、アラルキル、アルカリール、およびアリールアルカリール基で置換され得、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、リンもしくは硫黄)から構成される官能基を有してもよいし、有していなくてもよい。このような官能基の例としては、オキソ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキサミド、ニトロ、エーテル、ケトン、アミノ、アンモニウム、スルホネート、スルホンアミド、ターピリジル、カルボキシメチルアミノ、ホスホネート、およびホスホンアミドが挙げられるが、これらに限定されない。上記官能基は、上記金属医薬の生物学的特性に影響を及ぼし得る(例えば、非標的組織、細胞もしくは流体への分布を変化させる)配位子の親油性および水への溶解性、ならびに身体からの排除の機構および速度を変化させるように選択され得る。
【0030】
一実施形態において、上記金属配位結合部分は、式(4)の環式金属配位結合部分からなる群より選択され:
【0031】
【化6】

ここで
nは、0、1もしくは2であり;
mは、0〜20であり、各Aは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−20アルキルもしくは1個以上のアリール、C1−20アルキル、カルボアルデヒド(−C(O)H)、ケト(−C(O)R)、カルボキシル(−COH)、シアノ(−CN)、ハロ、ニトロ(−NO)、アミド(−C(O)NHR)、スルファト(−OSOH)、スルフィト(−SOH)、ホスファト(−OPO)、ホスフィト(−PO)、ヒドロキシル(−OH)、オキシ、エーテル、メルカプト(−SH)もしくはチオ(−SR)(ここでRは、水素および置換されたもしくは置換されていないヒドロカルビルから選択される)によって必要に応じて置換されたアリールから独立して選択され;
、Y、YおよびYは、メチレン、窒素、硫黄およびリンから独立して選択され;
、Z、ZおよびZは、破線とともに示され、破線は、各々が、上記金属配位結合部分化合物に必要に応じておよび独立して存在し、存在する場合、1〜8個の炭素原子を有する置換されたもしくは置換されていないアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンおよびヘテロアルキニレンから独立して選択されることを示す。Z、Z、Zおよび/もしくはZがアルキルもしくは置換されたアルキル、またはアルケニルもしくは置換されたアルケニルである場合、酸素、硫黄、窒素およびリンから選択されるヘテロ原子が存在し得る。Z、Z、Zおよび/もしくはZのうちの1つ以上が存在しない場合、会合されるY基は、結合される。例えば、Zが存在しない場合、Y−Y結合が形成され;
、X、XおよびXは、結合、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、窒素、リン、酸素もしくは硫黄から独立して選択され、ここで上記置換基は、置換されたもしくは置換されていないアリール、C1−20アルキル、カルボアルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群より選択され;そして
、Q、QおよびQは、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミド、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルからなる群より独立して選択される。例えば、Q、Q、QおよびQは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、メルカプト、チオ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、アリール、もしくはC1−20アルキル、C1−20置換されたアルキル、アリールおよび置換されたアリールからなる群より独立して選択され得る。一実施形態において、Q、Q、QおよびQは、水素、ヒドロキシル、カルボキシル、ブロモ、ヨード、1−ヒドロキシフェニル、1−ブロモアセトアミドフェニル、1−ホルミルフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、ホスファネート、およびスルホネートからなる群より独立して選択される。
【0032】
、Q、QおよびQは、必要に応じて、各々置換可能な炭素原子においてDによって置換され、ここで各Dは、上記金属配位結合部分を上記ヘキソースキャリアにつなぐ上記リンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、メルカプト、チオ、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、アリール、もしくはC1−20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、およびホスフェートのうちの1つ以上で必要に応じて置換されたC1−8アルキルからなる群より独立して選択される。より代表的には、各Dは、ブロモ、ヨード、カルボキシル、もしくはヒドロキシルである。別の実施形態において、上記金属配位結合部分は、直接的もしくは間接的のいずれかで、D基を介して上記ヘキソースキャリアにつながれる。
【0033】
式(4)化合物の代表例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0034】
【化7】

【0035】
【化8】

別の実施形態において、上記金属配位結合部分は、式(5)の三級アミンであり:
【0036】
【化9】

ここで
、XおよびXは、独立して、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルから選択された配位子であり、ここで少なくとも2つのヒドロカルビルは、好ましくは、置換されている。上記配位子は、例えば、上記リンカー、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、カルボキシル、ニトロ、アミノ、アミド、メルカプト、チオもしくはホスホで独立して置換され得る。上記置換された配位子は、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、リンもしくは硫黄)をさらに含み得る。一実施形態において、XおよびXは、配位子であり、Xは、上記連結基に結合された部分である。
【0037】
式(5)化合物の代表例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0038】
【化10】

ここでRは、ヒドロカルビルもしくは置換されたヒドロカルビルである。
【0039】
別の実施形態において、上記金属配位結合部分は、式(6)のポリアミンであり、
【0040】
【化11】

ここで
nは、0、1もしくは2であり;
mは、0〜12であり、ここでmが0より大きい場合、各Aは、1つ以上のアリール、C1−20アルキル、カルボアルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトもしくはチオによって必要に応じて置換された、C1−20アルキルもしくはアリールであり;
、X、X、XおよびXは、独立して、結合または必要に応じて置換されたC1−20ヒドロカルビレンであり、ここで上記置換基は、アリール、C1−20アルキル、カルボアルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群より選択され;
各Rは、独立して、水素もしくは必要に応じて置換されたC1−20ヒドロカルビルであり、ここで上記置換基は、アリール、C1−20アルキル、カルボアルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、メルカプトおよびチオからなる群より選択され;そして
、Q、Q、Q、およびQは、水素、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミド、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、メルカプト、チオ、エーテル、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルからなる群より独立して選択される。例えば、Q、Q、Q、Q、およびQは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、メルカプト、チオ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、アリール、もしくはC1−20アルキル、C1−20置換されたアルキル、アリールおよび置換されたアリールからなる群より独立して選択され得る。一実施形態において、Q、Q、Q、Q、およびQは、水素、ヒドロキシル、カルボキシル、ブロモ、ヨード、1−ヒドロキシフェニル、1−ブロモアセトアミドフェニル、1−ホルミルフェニル、1−チオールフェニル、1,3−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシピリジル、2,4−ジヒドロキシピリジル、4,6−ジヒドロキシピリミジル、1,3−ジチオールフェニル、3,5−ジチオールピリジル、2,4−ジチオールピリジル、4,6−ジチオールピリミジル、1−ヒドロキシ−3−チオールフェニル、3−ヒドロキシ−5−チオールピリジル、2−ヒドロキシ−4−チオールピリジル、4−ヒドロキシ−6−チオールピリミジル、1−チオール−3−ヒドロキシフェニル、3−チオール−5−ヒドロキシピリジル、2−チオール−4−ヒドロキシピリジル、4−チオール−6−ヒドロキシピリミジル、メチルチオ、ホスファネート、およびスルホネートからなる群より独立して選択される。
【0041】
、Q、Q、Q、およびQは、各置換可能な炭素原子において、Dによって必要に応じて置換され、ここで各Dは、上記金属配位結合部分を上記ヘキソースキャリアにつなぐ上記リンカー、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、メルカプト、チオ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、エーテル、アリール、またはC1−20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、およびホスフェートのうちの1つ以上で必要に応じて置換されたC1−8アルキルからなる群より独立して選択される。より代表的には、各Dは、ブロモ、ヨード、カルボキシル、もしくはヒドロキシルである。別の実施形態において、上記金属配位結合部分は、上記ヘキソースキャリアに、直接的もしくは間接的のいずれかで、D基を介してつながれる。
【0042】
代表的には、式(6)の金属配位結合部分については、X、X、X、XおよびXは、独立して、C1−8アルキレンであり、C1−6アルキル、ハロ、もしくはヒドロキシルによって、必要に応じて置換される。
【0043】
式(6)の金属配位結合部分の別の実施形態において、Q、Q、Q、QおよびQのうちの1つは、Dによって置換される一方で、Q、Q、Q、QおよびQのうちの他の4つは、Dによって置換されない。代表的には、この実施形態において、Dは、上記金属配位結合部分を、1つ以上のヘキソースキャリアにつなぐ上記リンカーである。
【0044】
別の実施形態において、X−QおよびX−Q、ならびにこれらが結合している窒素、そして/またはX−QおよびX−Q、ならびにこれらが結合している窒素は、独立して、炭素および窒素原子を含む4〜6員の置換されたもしくは置換されていない環を形成し、必要に応じて、硫黄、酸素およびリンから選択される1個以上のヘテロ原子で、上記環内でさらに置換される。
【0045】
上記金属配位結合部分が式(6)に対応し、かつmが0より大きい場合、一般に、各Aが安定性および生体分布に明確に影響を及ぼす置換基であることは、好ましい。存在する場合、各Aは、1個以上のアリール、C1−20アルキル、カルボアルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、エーテル、C−C20炭水化物、メルカプト、もしくはチオ置換基で独立して置換され得る。さらに、Aがアリールもしくはアルキルである場合、これらの各々は、続いて、1個以上のアリール、カルボアルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオで必要に応じて置換された、アリールまたはC1−20アルキル部分で必要に応じて置換され得る。
【0046】
さらに、式(6)の金属配位結合部分については、上記A置換基は、存在する場合、骨格炭素原子のうちのいずれかに結合される。なおさらに、各骨格炭素原子は、1個もしくは2個のA置換基によって置換され得、その結果、考えられるA置換基の数が炭素原子数とともに変動する。少なくとも1個のA置換基を有する式(6)の金属配位結合部分の一実施形態において、各Aは、独立して、1個以上のアリール、ケト、カルボキシル、シアノ、ニトロ、C1−20アルキル、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、オキシ、メルカプトおよびチオで必要に応じて置換された、アリールまたはC1−8アルキルである。例えば、各Aは、1個以上のアリール、ケト、アミドおよびオキシで必要に応じて置換された、アリールもしくはC1−6アルキルであり得る。さらに例示すると、各Aは、メチルであり得る。
【0047】
一般に、nの値が増大するにつれて、原子鎖の長さは増大する。その様式では、その骨格の長さは、そのサイズおよび配位結合されるべき上記金属の配位結合能力を適合させるように、制御され得る。
【0048】
式(6)化合物の代表例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0049】
【化12】

【0050】
【化13】

一実施形態において、式(4)〜(6)の金属配位結合部分は、環式および非環式のモノアミンカルボキシレート;環式および非環式のポリアミノカルボキシレート;ならびに環式および非環式のアミンチオール、ジアミンジチオール、モノアミン−モノアミドジチオール、トリアミド−モノチオール、モノアミン−ジアミド−モノチオール、ジアミンジオキシムおよびヒドラジンからなる群より選択される。
【0051】
別の実施形態において、式(4)〜(6)の金属配位結合部分は、以下からなる群より選択される:ジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)およびDTPA誘導体(例えば、2−ベンジル−シクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸、2−ベンジル−6−メチル−DTPA、N−[2−アミノ−3−(ρ−ニトロフェニル)プロピル]−trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−N,N’,N”−五酢酸(ニトロ−CHX−A−DTPA)および2−メチル−6−(ρ−ニトロベンジル)−1,4,7−トリアザヘプタン−N,N,N’,N”,N”−五酢酸(ニトロ−1B4M−DTPAもしくはニトロ−MX−DTPA));ジエチレントリアミン四酢酸(DTTA)およびDTTA誘導体;6,6”−ビス[[N,N,N”,N”−テトラ(カルボキシメチル)アミノ]メチル]−4’−(3−アミノ−4−メトキシフェニル)−2,2’:6’,2”−ターピリジン(TMT−アミン)ならびにTMT−アミン誘導体;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(tetraazazcyclododecane)−N,N’,N”,N’”−四酢酸(DOTA)およびDOTA誘導体(例えば、2−ベンジル−DOTA、DOTA−N−ヒドロキシスクシンイミド、2−(ρ−ニトロベンジル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N”,N”’−四酢酸(ニトロ−DOTA)、ならびにα−(2−(ρ−ニトロフェニル)エチル)−1,4,7,10,−テトラアザシクロドデカン−1−アセティック−4,7,10−トリス(メチル酢)酸(alpha−(2−(rho−nitrophenyl)ethyl)−1,4,7,10,−tetraazacyclododecane−1−acetic−4,7,10−tris(methylacetic)acid)(ニトロ−PADOTA);1,4,7−トリアザシクロノナン−N,N’,N”−三酢酸およびその誘導体;2−(ρ−ニトロベンジル)−1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−N,N’,N”,N”’−四酢酸(ニトロ−TRITA);エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート(EDTMP)およびEDTMP誘導体;N−ヒドロキシエチルエチレン(ethylethylene)−ジアミン三酢酸(HEDTA)およびHEDTA誘導体;1,1−ヒドロキシエチリデンジホスホネート(HEDP)およびHEDP誘導体;1,4,8,11−テトラアザシクロ−テトラデカン−1,4,8,11−四酢酸(TETA)およびTETA誘導体(例えば、SCN−TETAおよび6−ブロモアセトアミド−ベンジル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(tetadecane)−N,N’,N”,N’”−四酢酸);テトラ−tertブチル−カリックス[4]アレーン−クラウン−6−ジカルボン酸(TBBCDA)およびTBBCDA誘導体;5,11,17,23−テトラ−t−ブチル−25,26,27,28−テトラキス(カルボキシメトキシ)−カリックス[4]アレーン(TBTC)およびTBTC誘導体;5,11,17,23,29,35−ヘキサ−t−ブチル−37,38,39,40,41,42ヘキサキス(カルボキシメトキシ)−カリックス[6]アレーン(HBHC)およびHBHC誘導体;ヘキサメチルプロピレンアミンオキシム(HMPAO)およびHMPAO誘導体;α−(2−フェネチル)1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−アセティック−4,7,10−トリス(メチル酢)酸(alpha−(2−phenethyl)1,4,7,10−tetraazazcyclododecane−1−acetic−4,7,10−tris(m−ethylacetic)acid);6,6”−ビス[N,N,N”,N”−テトラ(カルボキシメチル)アミノ−エチル)−4’−(3−アミノ−4−メトキシフェニル)−2,2’:6’,2’−ターピリジンおよびその誘導体;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびEDTA誘導体;デオキシムギネ酸(deoxymugenic acid)(DMA)およびDMA誘導体;ムギネ酸(mugenic acid)(MA)およびMA誘導体;ニコチアナミン(NA)およびNA誘導体;カルボニルイミノ二酢酸およびその誘導体;メチレンイミノ酢酸およびその誘導体;メチレンイミノ二酢酸およびその誘導体;エチレンチオエチレン−イミノ酢酸およびその誘導体;エチレンチオエチレン−イミノ二酢酸およびその誘導体;イミノ二酢酸(IDA)およびIDA誘導体;2,3−ジアミノプロピオン酸およびその誘導体;ヘキサキス−2−メトキシイソブチルイソニトリル(MIBI)およびMIBI誘導体;ニトリロ三酢酸およびその誘導体;N,N’−エチレンジアミン二酢酸およびその誘導体;N,N,N’−エチレンジアミン三酢酸およびその誘導体;ヒドロキシエチルエチレン−ジアミン三酢酸およびその誘導体;N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシ3−メチル−5−ヨードベンジル)−1,3−プロパンジアミン(HIPDM)およびHIPDM誘導体;N−(2−(1H ピロリルメチル)N’−(4−ペンテン−3−オン−2))エタン−1,2−ジアミン(MRP−20)およびMRP−20誘導体;N,N’−エチレンジアミンビス−ヒドロキシフェニルグリシンおよびその誘導体;デスフェリオキサミン(DFOA)およびDFOA誘導体;4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホネートおよびその誘導体;N−アルキル置換された3,4−ヒドロキシピリジノンおよびその誘導体;ジメルカプトコハク酸(DMSA)およびDMSA誘導体;ジメルカプトプロピオンスルホネート(DMPS)およびその誘導体;トリス(2−メルカプトベンジル)アミン(SN)およびSN誘導体;ビス−アミノビス−チオール(BAT)およびBAT誘導体;メルカプト−アセチルジグリシンおよびその誘導体;メルカプト−アセチルトリグリシン(MAG3)およびその誘導体;モノアミド−モノアミンビスチオール(MAMAもしくはN)およびMAMA誘導体;Nジアミノジチオレート(DADT)およびDADT誘導体;Nジアミドジチオール(DADS)およびDADS誘導体;ビス(N−エチル,N−エトキシジチオカルバメート)(NOET)およびNOET誘導体;ビス(ジエチルジチオ−カルバメート)ニトリドおよびその誘導体;p−カルボキシエチルフェニルグリオキサールジ(N−メチルチオセミカルバゾン)(CE−DTS)およびCE−DTS誘導体;プロピレンアミンオキシム(PnAO)およびPnAO誘導体;ビス(チオセミカルバゾン)(DTS)およびDTS誘導体;D−ペニシラミン(DPA)およびDPA誘導体;British Anti−Lewisite(2,3−ジメルカプトプロパノール(BAL))およびBAL誘導体;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(シクレン)およびシクレン誘導体(例えば、1,7−ビス(カルボキシメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(DO2A)および1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−5,7−ジオン(および同様にcis形態、gem形態およびtrans形態));1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(シクラム(cyclam))およびシクラム誘導体(例えば、メチルシクラム、1,8−ビス(ピリジルメチル)シクラム、1,11−ビス(ピリジルメチル)シクラム、4−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−1−イル]−メチル安息香酸(CPTA)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−3,9,−ジオン、およびジオキシシクラム(gem形態、cis形態およびtrans形態));1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−11,13−ジオン、1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−2,9−ジオンおよび1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−3,8−ジオン;1,4,7,10,13−ペンタアザシクロペンタデカン(PCBA)およびPCBA誘導体;ピルビンアルデヒドビス(N(4)−メチル)チオセミカルバゾン(PTSM)およびPTSM誘導体;ヒドラジノニコチンアミド(HYNIC)およびHYNIC誘導体;N,N’−1,2−エタンジイルビス−L−システインジエチルエスエル(ECD)およびECD誘導体;N−ヒドロキシスクシンイミジルヒドラジノニコチネートおよびその誘導体(ビス(ヒドロキシアミド)誘導体を含む);ならびにそのホモログ、アナログおよび異性体、またはこれらの組み合わせ。
【0052】
上記の実施形態のいずれについても、上記金属配位結合部分は、金属Mと錯体化し、それによって、金属錯体を形成する。例えば、上記金属配位結合部分が複素環でありかつ金属Mと錯体化される一実施形態において、上記錯体は、以下の式(7)を有し:
【0053】
【化14】

ここでA、Q、Q、Q、Q、Y、Y、Y、Y、X、X、X、X、Z、Z、Z、Z、mおよびnは、式(4)について上記に定義されるとおりである。
【0054】
あるいは、上記金属配位結合部分が一定の原子鎖を含み、金属Mと錯体化される一実施形態において、上記錯体は、以下の式(8)を有し:
【0055】
【化15】

ここでA、Q、Q、Q、Q、X、X、X、X、mおよびnは、式(6)について上記で定義されるとおりである。
【0056】
上記金属配位結合部分が一定の原子鎖を含み、金属Mで錯体化される一実施形態において、上記錯体は、以下の式(9)を有し:
【0057】
【化16】

ここで:Mは、金属を表し;上記破線は、上記R’およびR”置換基が必要に応じて存在し;Aは、酸素、窒素、炭素もしくはリンであるが、Aは、酸素である場合、R’は存在しない;AとMとの間の上記結合は、単結合として示されるが、二重結合であってもよく;Y、Y、YおよびYは、硫黄、酸素、炭素およびリンから独立して選択される;R、R’およびR”は、水素、ハロゲン、C1−20ヒドロカルビル、C1−20置換されたヒドロカルビル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、およびホスフィトから独立して選択され;そしてR”が存在し、Yおよび/もしくはYが窒素である場合、上記Yおよび/もしくはYの窒素は、四級形態にある。YをYに、YをYに、もしくはYをYに連結するエチレン基中の炭素原子は、必要に応じて、酸素、窒素、硫黄およびリンから選択されるヘテロ原子で置換され得る。R、R’もしくはR”のうちのいずれか1つは、上記金属配位結合部分を上記ヘキソースキャリアに連結する基に結合され得る。一実施形態において、Aは、酸素であり、そしてAとMとの間の結合は、二重結合である。代表例としては、DADT、MAMA、N、HYNICおよびBATOが挙げられるが、これらに限定されない、上記各々についての化学名は、上記のとおりである。
【0058】
一定の原子鎖および金属Mから形成されるキレート化錯体のなお別の例は、式(10)によって示され、式(10)は、単座および多座配位子(例えば、三座もしくは四座)(「3+1」および「4+1」として、それぞれ当該分野で公知)の組み合わせを有する金属配位結合部分に関する。式(10)は、「3+1」コンホメーションを示す:
【0059】
【化17】

ここでM、A、Y、R、R’およびR”は、式(9)について上記で記載されるとおりであり、−Y−R”は、単座配位子である。上記ヘキソースキャリアへの連結は、R、R’もしくはR”のうちのいずれか1つで起こり得る。この実施形態において、上記−A置換基は、キレート化しない(例えば、オキソ、すなわち、AとMとの間の結合が、示される単結合の代わりに二重結合である場合、Aは、酸素であり、R’は存在しない)。「4+1」キレート化錯体は、上記−A置換基が単座配位子である場合の式(10)から形成される。
【0060】
本発明の金属医薬化合物(そのキレート化された金属は示されない)の例は、i式(11)によって表される場合に二級アミンリンカーによってC−6位においてグルコースキャリアに連結されたDOTA金属配位結合部分(すなわち、式(4)の環式金属配位結合部分)に関する:
【0061】
【化18】

本発明の医薬金属化合物(そのキレート化された金属は示されない)の別の例は、式(12)によって表される場合、二級アミンリンカーによってC−6位においてグルコースキャリアに連結されたIDA金属配位結合部分(すなわち、式(5)の三級アミン金属配位結合部分)に関する:
【0062】
【化19】

本発明の金属医薬化合物(そのキレート化された金属は示されない)の別の例は、式(13)によって表される場合に二級アミンリンカーによってC−6位において、グルコースキャリアに連結されるDTPA金属配位結合部分(すなわち、式(6)の三級アミン金属配位結合部分)に関する:
【0063】
【化20】

本発明の化合物は、種々の方法で合成され得る。
【0064】
1つのスキームにおいて、上記金属配位結合部分およびリンカーの結合体が形成され得、その後、ヘキソース分子で連結される。例えば、上記金属配位結合部分DOTA(DO3A−トリス(tert−ブチル)エステル)もしくはTETA(TE3A−トリス(tert−ブチル)エステル)の上記トリス(tert−ブチル)エステルアナログは、アセトニトリルおよび炭酸ナトリウム中のアミン(例えば、ベンジル2−(2−ブロモアセトアミド)エチルカルバメート)でアルキル化され得、続いて、触媒(例えば、炭素担持パラジウム)の存在下で水素化分解されて、遊離アミンである金属配位結合部分−リンカー結合体を得ることができる。次いで、上記遊離アミンは、トシル化され、保護されたヘキソース(例えば、6−トシル−2,3,4,5−テトラ−O−アセチルグルコース)によってアルキル化され得、そして例えば、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)およびメタノール水溶液での鹸化、続いて、トリフルオロ酢酸での処理によって脱保護されて、そのグルコース結合体化合物を形成し得る。
【0065】
別のスキームにおいて、上記ヘキソースおよびリンカーの結合体が形成され得、その後、上記金属配位結合部分に連結される。例えば、アミン(例えば、モノ(カルボベノキシル(carbobenoxyl))エチレンジアミン)は、保護されたヘキソース(例えば、6−トシル−2,3,4,5−テトラ−O−アセチルグルコースおよび有機塩基(例えば、トリエチルアミン)でモノアルキル化され(mon−alkylated)得る。次いで、上記一級アミンヘキソース−リンカー結合体は、触媒(例えば、炭素担持パラジウム)の存在下で水素化分解によって調製され得る。上記ヘキソース−リンカーは、次いで、無水物(例えば、DTPA−ビス(無水物)でアセチル化されて、適切な手段によって(例えば、逆相クロマトグラフィーによって)精製され得る保護されたモノアシレート中間体を生じ得る。本発明のグルコース結合体化合物は、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)およびメタノール水溶液での鹸化によって上記中間体から調製され得る。
【0066】
なお別のスキームにおいて、上記リンカーかつ金属配位結合機能を供する化合物は、上記ヘキソースに連結される。例えば、アミン(例えば、tert−ブチル2,2’−(2−アミノエチルアザネジイル(aminoethylazanediyl)ジアセテートは、保護されたヘキソース(例えば、6−トシル−2,3,4,5−テトラ−O−アセチルグルコース)および有機塩基(例えば、トリエチルアミン)で処理されて、適切な手段によって(例えば、逆相クロマトグラフィーによって)精製され得る中間体を精製し得る。本発明のグルコース結合体化合物は、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)およびメタノール水溶液での鹸化、続いて、トリフルオロ酢酸での処理によって、上記中間体から調製され得る。
【0067】
上記身体への投与のために、本発明の金属医薬化合物は、薬学的に受容可能なキャリア中に分散される。上記薬学的に受容可能なキャリア(これはまた、賦形剤、ビヒクル、補助剤、アジュバント、もしくは希釈剤として当該分野で公知である)は、代表的には、薬学的に不活性であり、適切な粘稠度もしくは形態を組成物に付与し、上記結合体の治療効力も診断効力も低下させない物質である。上記キャリアは、一般に、哺乳動物、特にヒトに投与される場合に、受容できないほどに有害な、アレルギー性のもしくは他の手に負えない反応を生じなければ、「薬学的にもしくは薬理学的に受容可能」であるとみなされる。
【0068】
薬学的に受容可能なキャリアの選択はまた、一部は、投与経路の関数である。一般に、本発明の金属医薬組成物は、上記標的組織がその経路を介して利用可能である限りにおいて、任意の投与経路のために処方され得る。例えば、適切な投与経路としては、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内、動脈内、皮下、直腸、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、脊髄内、腹腔内、もしくは胸骨内)、局所投与(鼻、経皮、眼内)、膀胱内投与、くも膜下腔内投与、腸内投与、肺投与、リンパ管内投与、腔内(intracavital)投与、膣投与、経尿道投与、皮内投与、耳投与、乳腺内投与、口内投与、正所(orthotopic)投与、気管内投与、病変内投与、経皮投与、内視鏡による投与、経粘膜投与、舌下投与および腸(intestinal)投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本発明の組成物において使用するための薬学的に受容可能なキャリアは、当業者に周知であり、多くの因子に基づいて選択されうる:使用される特定の結合体、ならびにその濃度、安定性および意図されたバイオアベイラビリティー;上記組成物で処置もしくは診断されている疾患、障害もしくは状態;被験体、その年齢、サイズおよび全身的な状態;ならびに投与経路。適切な非水性の薬学的に受容可能な極性溶媒としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルコール(例えば、α−グリセロールホルマール、β−グリセロールホルマール、1,3−ブチレングリコール、2〜30個の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、アミレン水和物、ベンジルアルコール、グリセリン(グリセロール)、グリコール、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、もしくはステアリルアルコール)、脂肪アルコール(例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ソルビタン、スクロースおよびコレステロール)の脂肪酸エステル;アミド(例えば、ジメチルアセトアミド(DMA)、ベンジルベンゾエートDMA、ジメチルホルムアミド、N−(β−ヒドロキシエチル)−ラクトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピロリジノン、もしくはポリビニルピロリドン);エステル(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン、2−ピロリジノン、酢酸エステル(例えば、モノアセチン、ジアセチン、およびトリアセチン、脂肪族もしくは芳香族のエステル(例えば、カプリル酸エチルもしくはオクタン酸エチル、オレイン酸アルキル、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリンのエステル(例えば、クエン酸もしくは酒石酸のモノグリセリル、ジグリセリル、トリグリセリル、安息香酸エチル、酢酸エチル、炭酸エチル、乳酸エチル、オレイン酸エチル、ソルビタンの脂肪酸エステル、脂肪酸誘導体化PEGエステル、モノステアリン酸グリセリル、グリセリドエステル(例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、もしくはトリグリセリド)、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸(myristrate)イソプロピル)、脂肪酸誘導体化PEGエステル(例えば、PEG−ヒドロキシオレエートおよびPEG−ヒドロキシステアレート)、N−メチルピロリジノン、プルロニック60、ポリオキシエチレンソルビトールオレイン酸(oleic)ポリエステル(例えば、ポリ(エトキシル化)30−60ソルビトールポリ(オレエート)2−4、ポリ(オキシエチレン)15−20モノオレエート、ポリ(オキシエチレン)15−20モノ12−ヒドロキシステアレート、およびモノリシノール酸ポリ(オキシエチレン)15−20、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノステアレート、およびICI Americas(Wilmington,DE)のポリソルベート(登録商標)20、ポリソルベート(登録商標)40、ポリソルベート(登録商標)60もしくはポリソルベート(登録商標)80、ポリビニルピロリドン、アルキレンオキシ修飾脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシ40水素化ひまし油およびポリオキシエチル化ひまし油(例えば、Cremophor(登録商標) EL溶液もしくはCremophor(登録商標) RH 40溶液)、サッカリド脂肪酸エステル(すなわち、モノサッカリド(例えば、ペントース(例えば、リボース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソースおよびキシルロース)、ヘキソース(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースおよびソルボース)、トリオース、テトロース、ヘプトース、およびオクトース)、ジサッカリド(例えば、スクロース、マルトース、ラクトースおよびトレハロース)またはオリゴサッカリドもしくはこれらの混合物とC−C22脂肪酸(例えば、飽和脂肪酸(例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)、および不飽和脂肪酸(例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸およびリノール酸))との縮合生成物、またはステロイド性エステル);2〜30個の炭素原子を有するアルキル、アリール、もしくは環式のエーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルイソソルビド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル);グリコフロール(glycofurol)(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル);3〜30個の炭素原子を有するケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン);4〜30個の炭素原子を有する脂肪族、シクロ脂肪族もしくは芳香族の炭化水素(例えば、ベンゼン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジオキソラン、ヘキサン、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサン、スルホラン、テトラメチレンスルホン、テトラメチレンスルホキシド、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、もしくはテトラメチレンスルホキシド);ミネラルオイル、植物性油、動物性油、精油もしくは合成起源の油(例えば、ミネラルオイル(例えば、脂肪族もしくはワックスベースの炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族および芳香族の混合ベースの炭化水素、および精製パラフィンオイル)、植物性油(例えば、亜麻仁油、桐油、紅花油、大豆油、ひまし油、綿実油、ラッカセイ油、菜種油、ココナツ油、椰子油、オリーブ油、コーン油、トウモロコシ胚芽油、ごま油、杏仁油およびラッカセイ油)、ならびにグリセリド(例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、もしくはトリグリセリド)、動物性油(例えば、魚油、海洋性油(marine)、鯨油、たら肝油、ハリバ(haliver)、スクアレン、スクアラン、およびサメ肝油、オレイン酸(oleic oil)、ならびにポリオキシエチル化ひまし油));1〜30個の炭素原子および必要に応じて1個より多いハロゲン置換基を有するアルキルハライドもしくはアリールハライド;塩化メチレン;モノエタノールアミン;石油ベンジン;トリエタノールアミン(trolamine);ω−3 多価不飽和脂肪酸(例えば、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、もしくはドコサヘキサエン酸);BASF(Ludwigshafen,Germany)の12−ヒドロキシステアリン酸およびポリエチレングリコールのポリグリコールエステル(Solutol(登録商標) HS−15;ポリオキシエチレングリセロール;ラウリン酸ナトリウム;オレイン酸ナトリウム;またはソルビタンモノオレエート。
【0070】
本発明において使用するための他の薬学的に受容可能な溶媒は、当業者に周知であり、The Chemotherapy Source Book(Williams & Wilkens Publishing)、The Handbook of Pharmaceutical Excipients,(American Pharmaceutical Association,Washington,D.C.,and The Pharmaceutical Society of Great Britain,London,England,1968)、Modern Pharmaceutics,(G.Bankerら編,第3版)(Marcel Dekker,Inc.,New York,New York,1995)、The Pharmacological Basis of Therapeutics,(Goodman & Gilman,McGraw Hill Publishing)、Pharmaceutical Dosage Forms,(H.Liebermanら編)(Marcel Dekker,Inc.,New York,New York,1980)、Remington’s Pharmaceutical Sciences(A.Gennaro編,第19版)(Mack Publishing,Easton,PA,1995)、The United States Pharmacopeia 24,The National Formulary 19,(National Publishing,Philadelphia,PA,2000)、A.J.Spiegelら,およびUse of Nonaqueous Solvents in Parenteral Products,Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.52,No.10,pp.917−927(1963)において同定される。
【0071】
本発明の金属医薬組成物の投与のための投与量およびレジメンは、疾患の診断にあたって、当業者によって容易に決定されうる。上記組成物の投与量は、レシピエントの年齢、性別、健康状態および体重、現在の処置の種類、存在するのであれば、処置の頻度、ならびに所望の効果の性質に依存することが理解される。任意の投与態様についても、送達される実際の結合体の量、および本明細書で記載される有利な効果を達成するに必要な投与スケジュールはまた、部分的に、上記結合体のバイオアベイラビリティー、診断される障害、所望の診断線量のような因子、および当業者に明らかな他の因子に依存する。本発明の状況において、動物(特に、ヒト)に投与される線量は、合理的な期間にわたって、上記動物における所望の診断的応答に影響を及ぼすに十分であるべきである。
【0072】
適切な量の放射活性を有する本発明によって提供される放射性標識画像化剤が、提供される。診断用の放射活性錯体を形成することにおいて、一般に、約0.01ミリキュリー(mCi)〜100mCi/mLの濃度の放射活性を含む溶液中の放射活性錯体を形成することは、好ましい。一般に、投与されるべき単位線量は、約0.01mCi〜約100mCi、好ましくは、約1mCi〜約30mCiの放射活性を有する。単位投与量において注射されるべき溶液は、約0.01mL〜約10mLである。投与に適した放射活性化合物の量は、迅速に除去される結合体が、それほど迅速に除去されないものより高線量で投与される必要があり得るという意味において、選択された結合体の分布プロフィールに依存する。インビボでの分布および位置は、投与後の適切な時間;代表的には、非標的組織におけるクリアランス速度と比較して、標的部位での蓄積速度に依存して、30〜180分間の間での標準的シンチグラフィー技術によって追跡されうる。
【0073】
代表的には、In−111診断線量は、3〜6mCiであるのに対して、代表的なTc−99m線量は、10〜30mCiである。一般に、放射線医薬の放射線療法的線量は、腫瘍およびサイクルの注射回数に依存して、大きく変動する。例えば、Y−90の蓄積線量は、約100〜600mCi(20〜150mCi/用量)の範囲であるのに対して、Lu−177の蓄積線量は、約200〜800mCi(50〜200mCi/用量)の範囲である。
【0074】
便宜上、本発明の金属医薬組成物は、必要な成分のうちのいくつかもしくは全てを含むキットの形態で、ユーザーに提供されうる。キットの使用は、特に便利である。なぜなら、上記成分のうちのいくつか(例えば、放射性同位体)は、貯蔵寿命が制限されている(特に組み合わせた場合)からである。従って、上記キットは、以下の成分(i)結合体、(ii)上記結合体に配位結合したもしくは上記結合体によって配位結合するための金属、(iii)キャリア溶液、および(iv)それらの組み合わせおよび使用のための説明書、のうちの1つ以上を含み得る。上記金属に依存して、還元剤が、上記結合体との反応のための上記金属を調製するために所望されうる。例示的還元剤としては、Ce(III)、Fe(II)、Cu(I)、Ti(III)、Sb(III)、およびSn(II)が挙げられる。これらのうち、Sn(II)が特に好ましい。しばしば、上記キットの成分は、単位投与形態で存在する(例えば、各成分が別個のバイアル中にある)。
【0075】
安定性が理由で、上記結合体が乾燥の、凍結乾燥状態で提供されることが好ましい可能性がある。次いで、上記ユーザーは、上記キャリアもしくは他の溶液を添加することによって、上記結合体を再構成し得る。
【0076】
適切な放射性核種の短い半減期が原因で、上記キットを、放射性核種なしで上記ユーザーに提供することは、しばしば、最も便利である。次いで、上記放射性核種が、手順のために必要なときに別個に注文される。あるいは、上記放射性核種が上記キット中に含まれる場合、上記キットは、これが必要とされる直前に上記ユーザーに輸送される可能性が最も高い。
【0077】
上記金属配位結合部分、生体分子、活性尿素、金属および脱保護する酸に加えて、本発明のキットは、代表的には、緩衝化剤を含む。例示的な緩衝化剤としては、クエン酸塩、ホスフェートおよびボレートが挙げられる。
【0078】
上記キットは、必要に応じて、実施するエンドユーザーによって、上記放射線医薬の合成しやすさ、上記キットの製造しやすさ、上記キットの貯蔵寿命、または上記放射線医薬の安定性および貯蔵寿命を改善することが頻繁に意図された他の成分を含む。本発明のこのような成分は、凍結乾燥補助剤(例えば、マンニトール、ラクトース、ソルビトール、デキストラン、フィコール、およびポリビニルピロリドン(PVP));安定化補助剤(例えば、アスコルビン酸、システイン、モノチオグリセロール、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、ゲンチジン酸、およびイノシトール);ならびに静菌剤(例えば、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール(chlorbutanol)、およびメチルパラベン、プロピルパラベンもしくはブチルパラベン)が挙げられる。
【0079】
代表的には、上記結合体がキットとして処方される場合、上記キットは、活性尿素基を有する保護された金属配位結合部分、脱保護する酸、緩衝化剤、および放射活性金属(例えば、In−111、Y−90もしくはLu−177が挙げられるが、これらに限定されない)の溶液からなる複数のバイアルを含む。実際には、上記ユーザーは、上記金属配位結合部分を含むバイアルを手に取り、放射活性アミノ(NH)基をもつ目的の生体指向性(bio−directing)キャリアの溶液を添加する。いったん結合体が完成すると、上記脱保護する酸が添加されて、脱保護を起こし、続いて、上記放射活性金属が添加される。次いで、上記混合物は、上記金属配位結合部分によって上記放射活性金属の錯体化を完了させるために緩衝化される。
【0080】
(略語および定義)
本明細書に記載される化合物は、不斉中心を有し得る。非対称的に置換された原子を含む本発明の化合物は、光学的に活性な形態もしくはラセミ形態で単離されうる。本発明の化合物のシスおよびトランスの幾何異性体が記載され、異性体の混合物としてもしくは分離された異性形態として単離されうる。特定の立体化学もしくは異性形態が具体的に示されなければ、構造の全てのキラル形態、ジアステレオマー形態、ラセミ形態および全ての幾何異性形態が意図される。本発明の化合物およびそこで作製される中間体を調製するために使用される全てのプロセスは、本発明の一部であるとみなされる。
【0081】
本発明は、本発明の化合物に存在する原子の全ての同位体を含む。同位体は、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。
【0082】
以下の定義および方法は、本発明をよりよく規定し、本発明の実施において当業者を導くために提供される。別段示されなければ、用語は、関連分野の当業者によって従来から使用されているものに従って理解されるべきである。
【0083】
用語「炭化水素」および「ヒドロカルビル」とは、本明細書で使用される場合、元素、炭素および水素からもっぱらなる有機化合物およびラジカルを記載する。これら部分としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分が挙げられる。これら部分はまた、他の脂肪族もしくは環式炭化水素基で置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分(例えば、アルカリール、アルケンアリールおよびアルキンアリール)を含む。別段示されなければ、これら部分は、好ましくは、1〜20個の炭素原子を含む。
【0084】
本明細書に記載される「置換されたヒドロカルビル」部分とは、炭素以外の少なくとも1個の原子で置換されたヒドロカルビル部分(炭素鎖原子がヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄、もしくはハロゲン原子)で置換された部分を含む)である。これら置換基としては、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケンオキシ、アルキンオキシ、アリールオキシ、オキソ、ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル、エーテル、およびチオエーテルが挙げられる。
【0085】
用語「ヘテロ原子」とは、炭素および水素以外の原子を意味するものとする。
【0086】
別段示されなければ、本明細書に記載されるアルキル基は、好ましくは、主鎖中に1〜8個の炭素原子を、最大20個までの炭素原子を含む低級アルキルである。それらは、直鎖であっても、分枝鎖であっても、環式であってもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0087】
別段示されなければ、本明細書で記載されるアルケニル基は、好ましくは、主鎖中に2〜8個の炭素原子を、および最大20個までの炭素原子を含む低級アルケニルである。それらは、直鎖であっても、分枝鎖であっても、環式であってもよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
【0088】
別段示されなければ、本明細書に記載されるアルキニル基は、好ましくは、主鎖中に2〜8個の炭素原子を、および最大20個までの炭素原子を含む低級アルキニルである。それらは、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。
【0089】
用語「アリール」とは、単独でもしくは別の基の一部として本明細書で使用される場合、環部分(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換されたフェニル、置換されたビフェニル、もしくは置換されたナフチル)に6〜12個の炭素を含む、必要に応じて置換された同素環式芳香族基、好ましくは、単環式もしくは二環式の基を示す。フェニルおよび置換されたフェニルは、より好ましいアリールである。
【0090】
用語「アリール」もしくは「アル(ar)」は、単独でもしくは別の基の一部として明細書で使用される場合、環部分(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換されたフェニル、置換されたビフェニル、もしくは置換されたナフチル)に6〜12個の炭素を含む、必要に応じて置換された同素環式芳香族基、好ましくは、単環式もしくは二環式の基を示す。フェニルおよび置換されたフェニルは、より好ましいアリールである。
【0091】
用語「ハロゲン」および「ハロ」とは、単独でもしくは別の基の一部として本明細書で使用される場合、塩素、臭素、フッ素および要素をいう。
【0092】
用語「ヘテロシクロ」もしくは「複素環式の」とは、単独でもしくは別の基の一部として本明細書で使用される場合、少なくとも1個の環中に少なくとも1個のヘテロ原子、および好ましくは、各環中に5もしくは6個の原子を有する、必要に応じて置換された、完全飽和のもしくは不飽和の、単環式もしくは二環式の、芳香族もしくは非芳香族の基を示す。上記ヘテロシクロ基は、好ましくは、その環中に1もしくは2個の酸素原子、1もしくは2個の硫黄原子、および/または1〜4個の窒素原子を有し、炭素もしくはヘテロ原子を介して上記分子の残りに結合されうる。例示的なヘテロシクロとしては、ヘテロ芳香族(例えば、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、もしくはイソキノリニルなど)が挙げられる。例示的な置換基は、以下の基のうちの1つ以上を含む:ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケンオキシ、アルキンオキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテル。
【0093】
用語「ヘテロ芳香族」とは、単独でもしくは別の基の一部として本明細書で使用される場合、少なくとも1個の環中に少なくとも1個のヘテロ原子、および好ましくは、各環中に5もしくは6個の原子を有する、必要に応じて置換された芳香族基を示す。上記ヘテロ芳香族基は、好ましくは、上記環中に、1もしくは2個の酸素原子、1もしくは2個の硫黄原子、および/または1〜4個の窒素原子を有し、炭素もしくはヘテロ原子を介して上記分子の残りに結合されうる。例示的ヘテロ芳香族としては、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、もしくはイソキノリニルなどが挙げられる。例示的な置換基は、以下の基のうちの1個以上を含む:ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケンオキシ、アルキンオキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテル。
【0094】
用語「アシル」とは、単独でもしくは別の基の一部として本明細書で使用される場合、有機カルボン酸の基−COOHからヒドロキシ基を除去することによって形成される部分(例えば、RC(O)−、ここでRは、R、RO−、RN−、もしくはRS−であり、Rは、ヒドロカルビル、ヘテロ置換されたヒドロカルビル、もしくはヘテロシクロであり、Rは、水素、ヒドロカルビルもしくは置換されたヒドロカルビルである)を示す。
【0095】
用語「アシルオキシ」とは、単独でもしくは別の基の一部として本明細書で使用される場合、上記のように、酸素結合(−O−)を介して結合されたアシル基(例えば、RC(O)O−、ここでRは、用語「アシル」に関して定義されたとおり)を示す。
【0096】
用語「金属医薬の(metallopharmaceutical)」とは、本明細書で使用される場合、金属を含む薬学的に受容可能な化合物(ここで上記化合物は、画像化もしくは処置のために有用である)に言及する。
【実施例】
【0097】
以下の実施例は、推定実施例(prophetic)である。
【0098】
(実施例1:金属医薬化合物である式(11)のDOTA 6−アミノグルコースの調製)
【0099】
【化21】

【0100】
【化22】

DO3A−トリス(tert−ブチル)エステル(A)を、アセトニトリルおよび炭酸水素ナトリウム中、ベンジル2−(2−ブロモアセトアミド)エチルカルバメート(B)でアルキル化する。そのカルボベンゾキシ(carbenzoxy)基を、水素化分解によって除去し、得られた遊離アミン(D)を、6−トシル−2,3,4,5−テトラ−O−アセチルグルコース(E)によってアルキル化する。上記グルコース結合体(F)を、逐次的に、トリフルオロ酢酸で鹸化および処理することで脱保護して、遊離キレート化剤(11)を(おそらくTFA塩として)を得ることができる。
【0101】
(実施例2:金属医薬化合物である式(12)のイミノ二酢酸 6−アミノグルコースの調製)
【0102】
【化23】

【0103】
【化24】

tert−ブチル 2,2’−(2−アミノエチルアザネジイル)ジアセテート(A)を、有機塩基(例えば、トリエチルアミン)での希釈条件下で、6−トシル−2,3,4,5−テトラ−O−アセチルグルコース(B)で処理する。上記生成物(C)を、分取用クロマトグラフィーを介して単離し得、逐次的に、トリフルオロ酢酸で鹸化および処理することで脱保護して、上記遊離キレート化剤(12)を(おそらくTFA塩として)得ることができる。
【0104】
(実施例3:金属医薬化合物である式(13)のDTPA−6−アミノグルコースの調製)
【0105】
【化25】

【0106】
【化26】

モノ(カルボベンゾキシ)エチレンジアミン(A)を、有機塩基(例えば、トリエチルアミン)での希釈条件下で、6−トシル−2,3,4,5−テトラ−O−アセチルグルコース(B)でモノアルキル化し得る。水素化分解後、上記一級アミン(D)のマスクを外し、過剰のDTPA−ビス(無水物)(E)でアセチル化して、上記モノアシレート(F)を得るために、保護された中間体を、逆相クロマトグラフィーによって精製し得る。最後に、水酸化ナトリウムおよびメタノール水溶液での鹸化は、上記遊離グルコサミン−DTPA(13)を提供する。
【0107】
本発明を詳細に記載してきたが、改変およびバリエーションが、添付の特許請求の範囲に規定される発明の範囲から逸脱することなく可能であることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の金属医薬のヘキソース誘導体化合物:
【化27】

であって、ここで
、R、R、RおよびRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、または式−R−Rの金属含有部分であって、ここでRは、水素供与体かつ水素受容体である連結基であり、Rは、金属配位結合部分を含み、Rは、1種以上の金属イオンを含み、
ここでR、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、金属含有部分であり;−R−R−は、アミドではなく;そしてRが金属含有部分である場合、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、および金属含有部分から選択される、
化合物。
【請求項2】
は、窒素、硫黄およびリンからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は窒素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
は二級アミノである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
は、環式および非環式のモノアミンカルボキシレート;環式および非環式のポリアミノカルボキシレート;ならびに環式および非環式のアミンチオール、ジアミンジチオール、モノアミン−モノアミドジチオール、トリアミド−モノチオール、モノアミン−ジアミド−モノチオール、ジアミンジオキシムおよびヒドラジンからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
は、DTPA、DTTA、TMT、DOTA、1,4,7−トリアザシクロノナン−N,N’,N”−三酢酸、TRITA、EDTMP、HEDTA、HEDP、TETA、TBBCDA、TBTC、HBHC、HMPAO、α−(2−フェネチル)1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−アセティック−4,7,10−トリス(メチル酢)酸、EDTA、DMA、MA、NA、カルボニルイミノ二酢酸、メチレンイミノ酢酸、メチレンイミノ二酢酸、エチレンチオエチレン−イミノ酢酸、エチレンチオエチレン−イミノ二酢酸、IDA、2,3−ジアミノプロピオン酸、MIBI、ニトリロ三酢酸、N,N’−エチレンジアミン二酢酸、N,N,N’−エチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレン−ジアミン三酢酸、HIPDM、MRP−20、N,N’−エチレンジアミンビス−ヒドロキシフェニルグリシンおよびこれらの誘導体、DFOA、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホネート、N−アルキル置換された3,4−ヒドロキシピリジノン、DMSA、DMPS、SN、MAG3、MAMA、DADT、DADS、NOET、ビス(ジエチルジチオ−カルバマト(carbamato))ニトリド、CE−DTS、PnAO、DTS、DPA、BAL、シクレン、シクラム(cyclam)、1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−11,13−ジオン、1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−2,9−ジオン、1,4,7,10−テトラアザシクロトリデカン−3,8−ジオン、PCBA、PTSM、HYNIC、ECD、N−ヒドロキシスクシンイミジルヒドラジノニコチネート、ならびにこれらの誘導体、ホモログ、アナログおよびアイソマー、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
は、DOTA、DTPAおよびIDAからなる群より選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
は、ルテチウム、177ルテチウム、イットリウム、86イットリウム、90イットリウム、インジウム、111インジウム、113mインジウム、テクネチウム、98テクネチウム、99mテクネチウム、レニウム、186レニウム、188レニウム、ガリウム、67ガリウム、68ガリウム、銅、62銅、64銅、67銅、ガドリニウム、153ガドリニウム、ジスプロシウム、165ジスプロシウム、166ジスプロシウム、ホルミウム、166ホルミウム、ユーロピウム、169ユーロピウム、サマリウム、153サマリウム、パラジウム、103パラジウム、プロメチウム、149プロメチウム、ツリウム、170ツリウム、ビスマス、212ビスマス、ヒ素および211ヒ素からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記Rは、177ルテチウム、86イットリウム、90イットリウム、111インジウム、113mインジウム、98テクネチウム、99mテクネチウム、186レニウムおよび188レニウムからなる群より選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
は、金属含有部分であり、そしてR、R、RおよびRは、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ヒドロカルビルおよび置換されたヒドロカルビルから独立して選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
前記ヒドロカルビルは、アルキルであり、前記置換されたヒドロカルビルは、カルボキシルもしくはハロアルキルである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
は、金属含有部分であり、そしてR、R、RおよびRは、ヒドロキシルである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
前記ヘキソースは、グルコース、マンノースおよびガラクトースからなる群より選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
前記ヘキソースは、グルコースである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を画像化および定量するための方法であって、ここで該画像化および定量は、単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)、コンピューター支援断層撮影法(CAT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴画像化法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、蛍光画像化法(FI)もしくはx線(XR)を使用して行われる、方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬処方物であって、ここで該処方物は、画像化増強剤として投与するために適しており、該化合物は、単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)画像、コンピューター支援断層撮影法(CAT)画像、磁気共鳴分光法(MRS)画像、磁気共鳴画像化法(MRI)画像、陽電子放射断層撮影法(PET)画像、適用可能な蛍光画像(FI)もしくはx線(XR)画像を増強するために十分な量で存在する、処方物。
【請求項17】
約1μg〜約50μgの前記化合物が存在する、請求項16に記載の処方物。
【請求項18】
細胞、組織、器官、もしくは全身をインサイチュもしくはインビボで画像化するための方法であって、該方法は、該画像を増強するために十分な量の医薬処方物を投与する工程を包含し、ここで該医薬処方物は、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を含み、ここで該画像は、単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)、コンピューター支援断層撮影法(CAT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴画像化法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、蛍光画像化法(FI)もしくはx線(XR)によって生成される、方法。
【請求項19】
細胞、組織、器官、もしくは全身をインサイチュもしくはインビボで画像化するための方法であって、該方法は、(a)請求項16に記載の医薬処方物を提供する工程;(b)単一光子放出型コンピューター断層撮影法画像化デバイス、コンピューター支援断層撮影法(CAT)デバイス、磁気共鳴分光法(MRS)デバイス、磁気共鳴画像化法(MRI)デバイス、陽電子放射断層撮影法(PET)デバイス、蛍光画像化法(FI)デバイスもしくはx線(XR)画像化デバイスを提供する工程;(c)該細胞、組織、器官もしくは身体の画像を生成するために十分な量の該医薬処方物を投与する工程;ならびに(d)工程(c)の該医薬処方物の分布を、該画像化デバイスで画像化し、それによって、該細胞、組織、器官もしくは身体を画像化する工程、を包含する、方法。
【請求項20】
前記医薬処方物は、ヒトに投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組織は、腫瘍組織、心臓組織もしくは脳組織である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記医薬処方物は、静脈内投与される、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
画像化は、前記医薬処方物を投与した後、約2分〜約24時間の間に撮影される、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−504131(P2012−504131A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529259(P2011−529259)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/058379
【国際公開番号】WO2010/039609
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(595181003)マリンクロッド エルエルシー (203)
【Fターム(参考)】