説明

画像表示パネル、表示パネル制御装置および画像表示装置

【課題】本発明は、画像表示パネルが要求する制御仕様に対して行われる表示パネル制御装置内の仕様変更を自動化し、表示パネル制御装置の複数の画像表示パネルに対する共用化を図ることを目的とする。
【解決手段】本発明の、表示パネル制御装置9によって制御される画像表示パネル1は、表示パネル制御装置9が画像表示パネル1を制御するに際し要求される制御仕様に関する情報を記憶する記憶回路2、記憶回路2に記憶された情報を外部に出力する通信回路3を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネル制御装置により画像表示パネルを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示パネルは一般的に、画像表示パネルへの電源供給のタイミングや、表示するデータの送出タイミング、画像表示パネルの輝度制御タイミングと制御信号の極性といった、表示パネル制御仕様が、画像表示パネルの製造メーカーや画像表示パネルの種類によって異なる。
【0003】
一方で近年、画像表示パネルを用いた表示機器の製造業は分業化・専業化が進み、画像表示パネルは画像表示パネル製造を専門とする表示パネルメーカーが生産し、表示機器メーカーはその時々の価格面・供給面等の市場状況に応じて、複数の表示パネルメーカーから、採用する画像表示パネルを決定する様になってきている。更には、同一の表示機器製品に於いても、複数の表示パネルメーカーの互換性を有する画像表示パネルの中から、仕様的に適した複数の画像表示パネルを選択し、その時々で異なる画像表示パネルを使用する場合が増加している。
【0004】
しかし、画像表示パネルによって細部で制御仕様が異なる事から、表示装置は画像表示パネルが変わる度に表示パネル制御の仕様を変更する必要が生じ、ソフトウェアの変更等が発生してしまうという問題があった。
【0005】
複数の画像表示パネルを用いる際の画像表示装置側の共用化の方法としては、画像表示パネルの取付け方法など、機構的な共用化の改善策は存在した(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−208384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来例に於いてはあくまで機構的な仕様の共用化であり、画像表示パネルの電気的制御に関しては、これまで複数の画像表示パネルに対する共用化はなされていなかった。その理由として、画像表示パネルの要求する制御仕様は表示パネルメーカーの発行する表示パネル仕様書でしか知り得ず、表示パネル制御装置の仕様はその度、画像表示パネルの仕様に合わせて手動で作り変える必要があった為である。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決する為になされたもので、画像表示パネルが要求する制御仕様に対して行われる表示パネル制御装置内の仕様変更を自動化し、表示パネル制御装置の複数の画像表示パネルに対する共用化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像表示パネルは、表示パネル制御装置によって制御される画像表示パネルであって、表示パネル制御装置が画像表示パネルを制御するに際し要求される制御仕様に関する情報を記憶する記憶手段、記憶手段に記憶された情報を外部に出力する出力手段を備え、記憶手段はプルアップ/プルダウン可能な制御線を含み、出力手段は制御線の出力端子を含んで構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、画像表示パネルは該画像表示パネルの制御仕様に関する情報を記憶する記憶手段および出力手段を備えるため、表示パネル制御装置によって該情報が受信され、受信された情報に基づいて画像表示パネルが制御されることにより、表示パネル制御装置について複数の画像表示パネルに対する共用化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像表示パネルおよび表示パネル制御装置を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2に係る画像表示パネルおよび表示パネル制御装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0013】
<実施の形態1>
(構成)
図1は実施の形態1に係る装置の構成図である。動画等の映像を表示する為の、液晶表示パネル等による画像表示パネル1、および表示パネル制御装置9より構成される。
【0014】
画像表示パネル1は、記憶回路2、通信回路3を備える。
【0015】
記憶回路2は、表示パネル制御装置9が画像表示パネル1を制御するに際し要求される制御仕様に関する情報を記憶する記憶手段であり、不揮発性メモリからなる。制御仕様に関する情報としては、例えば画像表示パネル1の制御の方法や制御タイミング等がある。通信回路3は、記憶回路2の出力部と接続され、記憶回路2にて記憶された情報を読み出し、外部に出力する出力手段であり、記憶回路2内の情報を例えばシリアル通信で外部に送信する通信回路である。
【0016】
表示パネル制御装置9は、受信回路4、マイクロコントローラー6、表示パネル制御回路5を備える。
【0017】
受信回路4は、通信回路3の出力部と接続され、通信回路3により送られてきた情報を受信する受信手段である。マイクロコントローラー6は、受信回路4の出力部および表示パネル制御回路5の入力部と接続され、受信回路4により受信された情報を基に、表示パネル制御回路5を統括する。受信回路4は、例えばシリアル通信によって通信回路3を介して送信されてきた記憶回路2の情報を読み取る事ができる受信回路であり、マイクロコントローラー6が兼務する事が多い。
【0018】
表示パネル制御回路5は、マイクロコントローラー6の出力部および画像表示パネル1の入力部と接続され、画像表示パネル1を制御する制御手段である。ここで、表示パネル制御回路5により画像表示パネル1を制御する信号を制御信号7とする。表示パネル制御回路5は制御信号7によって画像表示パネル1を制御するが、必ずマイクロコントローラー6を備えている。
【0019】
(動作)
次に図2のフローチャートにより、動作について説明する。
【0020】
処理がスタート(ステップS1)することにより、画像表示パネル1の不揮発性メモリによる記憶回路2に記憶されているデータが、通信回路3を介して画像表示パネル1の外部に出力され、該データは受信回路4にて受信される(ステップS2)。
【0021】
さらに、受信回路4にて正しく受信されたかどうかが、チェックサム方式等で調べられる(ステップS3)。正しく受信されていなければ、受信動作が繰り返される。
【0022】
正しく受信された時点で、さらに受信された制御情報の値が、制御情報の項目毎に予め用意されていた制限値の中に入っているかが受信回路4にて調べられ、取得された制御情報の値が実際に制御信号7に適用されても問題無いかが確認される(ステップS4)。
【0023】
問題が有る場合は、エラーとして処理される(ステップS8)。
【0024】
問題が無い場合は、取得した制御情報の値が、マイクロコントローラー6によって解析され、制御信号7を可変するソフトウェア処理内の対応変数におき換えられる(ステップS5)。その後、表示パネル制御回路5により制御信号7が可変され、表示パネル制御処理が実行されて(ステップS6)、処理が終了する(ステップS7)。制御信号7は、画像表示パネル1への最適制御ができる様に適宜可変される。
【0025】
制御信号7の可変内容としては、例えば画像表示パネル1への電源制御タイミングやパネルへの映像データの制御タイミング、画像表示パネル1への輝度制御タイミングや制御信号の極性といったものが挙げられる。
【0026】
また、表示パネル制御回路5とマイクロコントローラー6によって行われる、画像表示パネル1への制御信号7の可変内容としては、受信回路4によって受信される制御タイミングや制御信号の極性の情報のみでなく、他の情報が使用されてもよい。例えば、画像表示パネル1の型名コードや表示パネルメーカーコードが受信されることにより、画像表示パネル1の種類が判別され、また、予めマイクロコントローラー6にて画像表示パネル1の種類毎の制御情報のテーブルが保持されていることにより、それが呼び出され使用される事で同等の処理としてもよい。
【0027】
その際、マイクロコントローラー6は前述の制御情報のテーブルを格納しておく、不揮発性メモリなどの記憶回路を備えておく必要がある。
【0028】
(効果)
画像表示パネル1において、画像表示パネル1の制御の方法や制御タイミングといった情報が記憶されており、また表示パネル制御装置9において、画像表示パネル1に記憶されている情報を受信し、その情報に合わせて画像表示パネル1を制御する仕組みが組み込まれているため、表示パネル制御装置9について複数の画像表示パネル1に対する共用化が可能である。
【0029】
<実施の形態2>
(構成)
図3は実施の形態2に係る装置の構成図である。液晶表示パネル等による画像表示パネル1、および表示パネル制御装置9より構成される。
【0030】
画像表示パネル1には、Hi/Low信号を出力する記憶手段である制御線8が設置されている。制御線8は何本あっても良く、予め画像表示パネル1側でプルアップ/プルダウン処理を施しておく。制御線8は、実施の形態1では画像表示パネル1内に不揮発性メモリを持つ事で情報を記憶する手段を用意したが、このように記憶手段は必ずしもメモリでなくとも構わない。また、図3には記載されていないが、画像表示パネル1には、制御線8に記憶された信号を画像表示パネル1の外部に出力する出力手段である出力端子が備えられている。
【0031】
表示パネル制御装置9は、マイクロコントローラー6、表示パネル制御回路5を備える。
【0032】
マイクロコントローラー6は、画像表示パネル1の出力端子および表示パネル制御回路5の入力部と接続され、制御線8からの情報を受信し、その情報により表示パネル制御回路5を統括する。表示パネル制御回路5はマイクロコントローラー6の出力部および画像表示パネル1の入力部と接続され、表示パネル1を制御する。ここで、表示パネル制御回路5により画像表示パネル1を制御する信号を制御信号7とする。
【0033】
(動作)
次に動作について説明する。
【0034】
画像表示パネル1の制御線8にてプルアップ/プルダウン処理されているデータが、出力端子を介して画像表示パネル1の外部へ出力され、該データはマイクロコントローラー6にて受信される。受信された制御情報の値が、マイクロコントローラー6によって解析され、制御信号7を可変するソフトウェア処理内の対応変数におき換えられ、表示パネル制御回路5に出力される。その後、表示パネル制御回路5により制御信号7が可変され、画像表示パネル1の制御処理が実行される。
【0035】
各制御線8のHi/Low信号の意味する内容を事前に決めておく事により、制御線8のステータスを読んだマイクロコントローラー6がステータス情報に従って、制御信号7は適切に可変される。
【0036】
なお、事前に画像表示パネル1側と表示パネル制御装置9側で決めておくべき各制御線8のステータスについては、一本毎に固有の意味を割り振ってもよいが、例えば8本の制御線を用意し、そのHi/Lowによって8bitの二進数情報とし、その数字に意味を持たすといった方法でもよい。例えば8bitの上位3bitは表示パネルメーカーを表し、下位5bitは画像表示パネルの種類を表すと決めておけば、8社の表示パネルメーカーの32種類の画像表示パネル1を表す事ができる。
【0037】
(効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、同一の表示パネル制御装置9にて異なる画像表示パネル1を共用化することが可能である。
【0038】
また、本実施の形態の特長としては、画像表示パネル1側に不揮発性メモリの様な記憶回路を設けず、プルアップ/プルダウンによるHi/Low信号の制御線8のみを用意しておけばよいので、極めて低コストで目的を達成する事ができる。更に、制御線8は画像表示パネル1への制御信号7と一体化する事で、画像表示パネル1と表示パネル制御回路5を接続するケーブルを増やさずに済むので、コストダウンと共に組立て性をよくする事ができる。
【0039】
本発明では画像表示パネル1内に表示パネル制御情報を持たせ、出力できる事を主眼としているが、画像表示パネル1に持たせる情報は表示パネル制御情報に限らなくてもよい。例えば、画像表示パネル1のシリアルナンバーを持たせ、出力できる様にしておく事で、画像表示パネル1を画像表示装置として組み立てた後に、分解せずとも画像表示パネル1のシリアルナンバーを知る事ができ、生産ラインでの表示パネル番号管理や表示パネル不良が発生した時の不良品管理に低コストで役立てる事ができる。
【0040】
ここでは画像表示パネル1の代表例として液晶表示パネルを挙げたが、例えばプラズマパネル、有機ELパネルといった、画像表示パネルへの制御信号により制御を行う表示デバイス全てに対し、本発明を適用する事ができる。
【符号の説明】
【0041】
1 画像表示パネル、2 記憶回路、3 通信回路、4 受信回路、5 表示パネル制御回路、6 マイクロコントローラー、7 制御信号、8 制御線、9 表示パネル制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル制御装置によって制御される画像表示パネルであって、
前記表示パネル制御装置が前記画像表示パネルを制御するに際し要求される制御仕様に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記情報を外部に出力する出力手段と、
を備え、
前記記憶手段はプルアップ/プルダウン可能な制御線を含み、
前記出力手段は前記制御線の出力端子を含む、
画像表示パネル。
【請求項2】
画像表示パネルを制御する表示パネル制御装置であって、
前記表示パネル制御装置が前記画像表示パネルを制御するに際し要求される制御仕様に関する情報を前記画像表示パネルから受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記情報に基づいて前記画像表示パネルを制御する制御手段と、
を備える表示パネル制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像表示パネルと、
請求項2に記載の表示パネル制御装置と、
を備える画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−198563(P2012−198563A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130440(P2012−130440)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【分割の表示】特願2007−137494(P2007−137494)の分割
【原出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】