説明

画像表示方法および装置

【課題】画像診断などに提供される画像の表示方法において、読影効率の向上を図る。
【解決手段】被写体の画像を含む全体画像における関心領域を全体画像を表わす画像データに基づいて設定し、その設定した関心領域内の画像に対して予め設定された複数の画像処理をそれぞれ施して各画像処理に対応する複数の異なる処理済画像I1,I2,I3を生成し、全体画像を表示するとともに、複数の異なる処理済画像I1,I2,I3を切り替えて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の全体画像における関心領域を設定し、その設定した関心領域の画像を全体画像とともに表示する画像表示方法および装置に関するものであり、特に、関心領域の画像の表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野においては、被写体の放射線画像を画像データとして取得し、その画像データに基づいて放射線画像をCRT等などの表示装置に表示し、その表示された表示画像を読影して病変部を発見し、またその病変部の状態を観察して、疾病の有無や進行状況の診断を行うことが行なわれている。
【0003】
そして、例えば、乳癌の検査などを目的として撮影されたマンモグラフィの画像診断においては、病変を見つけ難いことから、従来の読影プロトコルでは、画像全面を拡大表示して病変候補の有無を確認している。
【0004】
また、特許文献1においては、被写体の放射線画像の画像データに基づいて病変候補を自動的に検出し、その病変候補の確信度または異常の種類に基づいて順位を決定し、その順位に従って、それらを順次拡大表示する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2000−287955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、たとえば、マンモグラフィの病変候補の種類としては、石灰化や腫瘤などがあるが、これらの画像はそれぞれ特徴が異なる。そして、上記従来技術の表示方法により病変候補を表示したとしても、その画像は石灰化や腫瘤のそれぞれの特徴が明確にわかるように調整されたものとは限らず、石灰化や腫瘤などを即座に見分けることができず、読影効率を下げる可能性がある。特に、健康診断などの読影現場では非常に高い読影効率が求められるため、このような問題が顕著となる。
【0006】
また、上記従来技術の表示方法のように画面全体を拡大したのでは、全体画像における病変候補の画像の位置がわからなくなり、また、全体画像と病変候補の画像との比較もできなくなる。
【0007】
また、特許文献1に記載の表示方法においては、拡大表示窓を病変候補の位置に設定するが、そうすると病変候補の画像の実際のサイズと拡大画像とを同時に見ることができない。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑み、たとえば、画像診断などに提供される画像の表示方法において、読影効率の向上を図ることができる画像表示方法および装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、全体画像と病変候補の画像とを比較して見ることができる画像表示方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像表示方法は、被写体の画像を含む全体画像における関心領域を全体画像を表わす画像データに基づいて設定し、その設定した関心領域内の画像に対して予め設定された複数の画像処理をそれぞれ施して各画像処理に対応する複数の異なる処理済画像を生成し、全体画像を表示するとともに、複数の異なる処理済画像を切り替えて表示することを特徴とする。
【0011】
また、上記本発明の画像表示方法においては、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示することができる。
【0012】
また、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、処理済画像を拡大表示することができる。
【0013】
また、複数の関心領域を設定し、その設定した複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付け、その関心領域選択情報が示す関心領域の処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで拡大表示することができる。
【0014】
また、複数の関心領域を設定し、その設定した複数の関心領域のうち拡大表示の対象となる関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付け、その関心領域選択情報が示す関心領域の処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで拡大表示し、その拡大表示の対象となった関心領域をその関心領域以外の関心領域と区別可能な態様で表示することができる。
【0015】
また、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、全体画像を表示するウインドウと処理済画像を表示するウインドウとを同時に表示することができる。
【0016】
また、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、処理済画像を表示するウインドウを全体画像における被写体の画像が存在しない素抜部に表示することができる。
【0017】
また、関心領域を示す画像を全体画像において識別可能な態様で表示することができる。
【0018】
また、複数の関心領域を設定し、その設定した複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付け、既に選択された関心領域選択情報が示す関心領域と未だ選択されていない関心領域とを異なる態様で表示することができる。
【0019】
また、関心領域と推定される領域を指定する関心領域指定情報を受け付け、その受け付けた関心領域指定情報が示す領域の画像を表わす画像データに基づいて関心領域を自動的に設定することができる。
【0020】
また、全体画像を表わす画像データに基づいて関心領域を自動的に設定することができる。
【0021】
また、病変候補として複数の関心領域を設定し、各関心領域の病変候補の悪性度の順位を決定し、その決定した順位に従って複数の関心領域の処理済画像を順次拡大表示することができる。
【0022】
また、病変候補として関心領域を設定し、関心領域の設定理由および/または処理済画像に施された画像処理の条件を表示することができる。
【0023】
また、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、上記設定理由および/または画像処理条件を処理済画像を表示するウインドウ内またはそのウインドウの近傍に表示することができる。
【0024】
また、複数の画像処理が、コントラスト強調処理または濃度変化強調処理の少なくとも1つの処理を含むことができる。
【0025】
また、病変候補として関心領域を設定し、病変候補の種類に応じて予め設定された画像処理の条件に基づいて画像処理を行うようにすることができる。
【0026】
また、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示し、全体画像に施される画像処理と処理済画像に施される画像処理とを連動させないようにすることができる。
【0027】
また、全体画像を表わす画像データであって、2つの異なる解像度の画像データを予め取得し、その2つの異なる解像度の画像データのうち解像度が低い方の低解像度画像データを用いて全体画像を表示するとともに、解像度が高い方の高解像度画像データを用いて処理済画像を表示することができる。
【0028】
また、処理済画像を表示するウインドウと全体画像を表示するウインドウとを解像度の異なる別個のモニタで表示するとともに、全体画像を表示するモニタよりも解像度の高いモニタで処理済画像を表示することができる。
【0029】
また、低解像度画像データに基づいて関心領域を設定し、低解像度画像データにおける関心領域の位置情報を高解像度画像データに対応付け、その対応する位置の高解像度画像データに基づいて処理済画像を表示することができる。
【0030】
また、複数の処理済画像の切り替えを指示する切替情報を受け付け、その切替情報に基づいて複数の処理済画像を切り替えて表示することができる。
【0031】
本発明の画像表示装置は、被写体の画像を含む全体画像を表示する表示部と、表示部において表示された全体画像における関心領域を設定する関心領域設定部と、関心領域設定部により設定された関心領域内の画像に対して予め設定された複数の画像処理をそれぞれ施して各画像処理に対応する複数の異なる処理済画像を生成する画像処理部とを備え、表示部が、複数の異なる処理済画像を切り替えて表示するものであることを特徴とする。
【0032】
また、上記本発明の画像表示装置においては、表示部を、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するものとすることができる。
【0033】
また、表示部を、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、処理済画像を拡大表示するものとすることができる。
【0034】
また、関心領域設定部を、複数の関心領域を設定するものとし、関心領域設定部により設定された複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付ける関心領域選択部を設け、表示部を、関心領域選択部により受け付けられた関心領域選択情報が示す関心領域の処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで拡大表示するものとすることができる。
【0035】
また、関心領域設定部を、複数の関心領域を設定するものとし、関心領域設定部により設定された複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付ける関心領域選択部を設け、表示部を、関心領域選択部により受け付けられた関心領域選択情報が示す関心領域の処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで拡大表示するとともに、拡大表示の対象となった関心領域をその関心領域以外の関心領域と区別可能な態様で表示するものとすることができる。
【0036】
また、表示部を、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、全体画像を表示するウインドウと処理済画像を表示するウインドウとを同時に表示するものとすることができる。
【0037】
また、表示部を、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、処理済画像のウインドウを全体画像における被写体の画像が存在しない素抜部に表示するものとすることができる。
【0038】
また、表示部を、関心領域を示す画像を全体画像において識別可能な態様で表示するものとすることができる。
【0039】
また、関心領域設定部が、複数の関心領域を設定するものとし、関心領域設定部により設定された複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付ける関心領域選択部を設け、表示部を、既に選択された関心領域選択情報が示す関心領域と未だ選択されていない関心領域とを異なる態様で表示するものとすることができる。
【0040】
また、関心領域設定部を、関心領域と推定される領域を指定する関心領域指定情報を受け付け、その受け付けた関心領域指定情報が示す領域の画像を表わす画像データに基づいて関心領域を自動的に設定するものとすることができる。
【0041】
また、関心領域設定部を、全体画像を表わす画像データに基づいて関心領域を自動的に設定するものとすることができる。
【0042】
また、関心領域設定部を、病変候補として複数の関心領域を設定するとともに、各関心領域の病変候補の悪性度の順位を決定するものとし、表示部を、関心領域設定部において決定された順位に従って複数の関心領域の処理済画像を順次拡大表示するものとすることができる。
【0043】
また、関心領域設定部を、病変候補として関心領域を設定するものとし、表示部を、関心領域の設定理由および/または処理済画像に施された画像処理の条件を表示するものとすることができる。
【0044】
また、表示部を、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、設定理由および/または画像処理条件を処理済画像を表示するウインドウ内またはそのウインドウの近傍に表示するものとすることができる。
【0045】
また、複数の画像処理を、コントラスト強調処理または濃度変化強調処理の少なくとも1つの処理を含むものとすることができる。
【0046】
また、関心領域設定部を、病変候補として関心領域を設定するものとし、画像処理部を、病変候補の種類に応じて予め設定された画像処理の条件に基づいて画像処理を行うものとすることができる。
【0047】
また、表示部を、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するものとし、画像処理部を、全体画像にも所定の画像処理を施すものであるとともに、全体画像に施される画像処理と処理済画像に施される画像処理とを連動させないものとすることができる。
【0048】
また、全体画像を表わす画像データであって、2つの異なる解像度の画像データを予め取得する画像データ取得部を有するものとし、
また、表示部を、2つの異なる解像度の画像データのうち解像度が低い方の低解像度画像データを用いて全体画像を表示するとともに、解像度が高い方の高解像度画像データを用いて処理済画像を表示するものとすることができる。
【0049】
また、表示部を、解像度の異なる複数のモニタを有するものとし、処理済画像を表示するウインドウと全体画像を表示するウインドウとを解像度の異なる別個のモニタで表示するものとするとともに、全体画像を表示するモニタよりも解像度の高いモニタで処理済画像を表示するものとすることができる。
【0050】
また、関心領域設定部を、低解像度画像データに基づいて関心領域を設定するものとし、表示部を、低解像度画像データにおける関心領域の位置情報を高解像度画像データに対応付け、その対応する位置の高解像度画像データに基づいて処理済画像を表示するものとすることができる。
【0051】
また、表示部を、複数の処理済画像の切り替えを指示する切替情報を受け付け、その切替情報に基づいて複数の処理済画像を切り替えて表示するものとすることができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の画像表示方法および装置によれば、被写体の画像を含む全体画像における関心領域を全体画像を表わす画像データに基づいて設定し、その設定した関心領域内の画像に対して予め設定された複数の画像処理をそれぞれ施して各画像処理に対応する複数の異なる処理済画像を生成し、全体画像を表示するとともに、複数の異なる処理済画像を切り替えて表示するようにしたので、関心領域内の画像の種類、たとえば、病変候補の種類に応じた画像処理の施された処理済画像を即座に表示することができ、病変候補の種類を即座に見分けることができるので、読影効率の向上を図ることができる。
【0053】
また、上記本発明の画像表示方法および装置において、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するようにした場合には、全体画像と処理済画像との両方を比較して観察することができる。
【0054】
また、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、処理済画像を拡大表示するようにした場合には、処理済画像をより詳細まで見易くすることができ、病変候補の種類を即座に見分けることができるので、読影効率の向上を図ることができる。
【0055】
また、拡大表示の対象となった関心領域をその関心領域以外の関心領域と区別可能な態様で表示するようにした場合には、観察している拡大画像の全体画像における位置を一目で認識することができる。
【0056】
また、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、全体画像を表示するウインドウと処理済画像を表示するウインドウとを同時に表示するようにした場合には、一度に両方の画像を比較観察することができる。
【0057】
また、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、処理済画像を表示するウインドウを全体画像における被写体の画像が存在しない素抜部に表示するようにした場合には、処理済画像を観察するとともに、被写体の画像も処理済画像を表示するウインドウに邪魔されることなく同時に観察することができる。
【0058】
また、関心領域を示す画像を全体画像において識別可能な態様で表示するようにした場合には、全体画像における関心領域を一目で認識することができる。
【0059】
また、複数の関心領域を設定し、その設定した複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付け、既に選択された関心領域選択情報が示す関心領域と未だ選択されていない関心領域とを異なる態様で表示するようにした場合には、同じ関心領域を複数回観察することを防止することができるので、さらに読影効率の向上を図ることができる。
【0060】
また、関心領域と推定される領域を指定する関心領域指定情報を受け付け、その受け付けた関心領域指定情報が示す領域の画像を表わす画像データに基づいて関心領域を自動的に設定するようにした場合には、関心領域をより早く設定することができ、さらに読影効率の向上を図ることができる。
【0061】
また、全体画像を表わす画像データに基づいて関心領域を自動的に設定するようにした場合には、関心領域をより早く設定することができ、さらに読影効率の向上を図ることができる。
【0062】
また、病変候補として複数の関心領域を設定し、各関心領域の病変候補の悪性度の順位を決定し、その決定した順位に従って複数の関心領域の処理済画像を順次拡大表示するようにした場合には、危険度の高い関心領域から読影するため、読影効率と診断効率の向上を図ることができる。
【0063】
また、病変候補として関心領域を設定し、関心領域の設定理由および/または処理済画像に施された画像処理の条件を表示するようにした場合には、術者が設定理由に基づいて関心領域の読影時の注意を向けることができるので、読影効率と診断効率の向上を図ることができる。
【0064】
また、処理済画像を、全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示し、全体画像に施される画像処理と処理済画像に施される画像処理とを連動させないようにした場合には、全体画像は画像全体で最適化された画像とすることができるので、たとえば、フィルム診断における画像に近い画像とすることができ、術者にとって見慣れた画像とすることができるので、読影効率と診断効率の向上を図ることができる。
【0065】
また、全体画像を表わす画像データであって、2つの異なる解像度の画像データを予め取得し、その2つの異なる解像度の画像データのうち解像度が低い方の低解像度画像データを用いて全体画像を表示するとともに、解像度が高い方の高解像度画像データを用いて処理済画像を表示するようにした場合には、必要なところのみ高解像度画像データを用いて処理を行うことになるので、画像データの処理時間を短くすることができ、処理効率の向上を図ることができる。
【0066】
また、処理済画像を表示するウインドウと全体画像を表示するウインドウとを解像度の異なる別個のモニタで表示するとともに、全体画像を表示するモニタよりも解像度の高いモニタで処理済画像を表示するようにした場合には、高解像度な表示が適している処理済画像の表示のみに高解像度なモニタを使用するので、コストの削減を図ることができる。
【0067】
また、低解像度画像データに基づいて関心領域を設定し、低解像度画像データにおける関心領域の位置情報を高解像度画像データに対応付け、その対応する位置の高解像度画像データに基づいて処理済画像を表示するようにした場合には、低解像度画像データと高解像度画像データとを効率的に活用することができ、処理時間を削減することができるので、処理効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
以下、図面を参照して本発明の画像表示装置の一実施形態を用いた乳房画像撮影表示システムについて説明する。本乳房画像撮影表示システムは、乳房画像の表示方法に特徴を有するものであるが、まずは、そのシステム全体の概略構成について説明する。図1は、本乳房画像撮影表示システムの概略構成を示す図である。
【0069】
本乳房画像撮影表示システムは、乳房の放射線画像を撮影する乳房画像撮影装置10と、乳房画像撮影装置10により撮影された乳房の放射線画像を表わす画像データに基づいて乳房の放射線画像を表示する乳房画像表示装置20とを備えている。
【0070】
乳房画像撮影装置10は、内部に放射線源1を収納する放射線照射部2と、被写体である乳房Mが設置される撮影台3と、放射線照射部2と撮影台3とが対向するように端部に取り付けられ、軸Cで回転可能に基台5に取り付けられたアーム4とを備えている。そして、アーム4には、撮影台3上に設置された乳房Mを圧迫する圧迫板6が取り付けられている。
【0071】
放射線照射部2は、放射線源1から射出された放射線の照射範囲をコリメータによって制御することによって、被写体の胸壁近くまで放射線が照射されるように構成されている。
【0072】
撮影台3内には、フラットパネルディテクターや蓄積性蛍光体シートなどの画像記録媒体をケースに収納したカセッテなどの画像センサ15が内部に設置される。フラットパネルディテクターとしては、たとえば、記録方式の観点からは、いわゆる直接変換方式または間接変換方式のどちらの方式のものを利用してもよい。また、読取方式の観点からは、いわゆる光読取方式またはTFT読取方式のどちらの方式のものを利用してもよい。そして、本実施形態の乳房画像撮影装置10において、フラットパネルディテクターを利用する場合には、画素サイズが50μm×50μmのフラットパネルディテクターが利用される。そして、フラットパネルディテクターにより検出された電気信号はデジタル信号の画像データに変換され、乳房画像表示装置20に出力される。つまり、乳房画像表示装置20には、解像度50μmの画像データ(以下「高解像度画像データ」という。)が入力される。
【0073】
また、画像センサ15として蓄積性蛍光シートを収納したカセッテを利用する場合には、蓄積性蛍光体シートとともに、蓄積性蛍光体シートに励起光を照射する励起光照射部および励起光の照射によって蓄積性蛍光体シートから発せられた輝尽発光光を電気信号として検出するラインセンサを備えた読取部がカセッテ内に設置される。そして、本実施形態の乳房画像撮影装置10において、蓄積性蛍光体シートを利用する場合には、読取部が蓄積性蛍光体シートを50μm×50μmの読取ピッチで読み取れるように構成されている。そして、読取部によって読み取られた電気信号はデジタル信号の画像データにされ、乳房画像表示装置20に出力される。つまり、この場合にも、乳房画像表示装置20には、解像度50μmの画像データ(以下「高解像度画像データ」という。)が入力される。
【0074】
乳房画像表示装置20は、図2に示すように、乳房画像撮影装置10から出力された高解像度画像データを一時的に記憶するメモリ21と、メモリ21に記憶された高解像度画像データに画素密度変換処理を施して解像度100μmの画像データを生成する(以下「低解像度画像データ」という)画素密度変換フィルタ22と、メモリ21から出力された高画像解像度データと画素密度変換フィルタ22から出力された低解像度画像データとを記憶するハードディスク23と、ハードディスク23から出力された低解像度画像データと入力された関心領域設定情報とに基づいて、乳房の放射線画像の全体画像における関心領域を設定する関心領域設定部24と、関心領域設定部24において設定された複数の関心領域から所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付ける関心領域選択部25と、関心領域選択部25において受け付けられた関心領域選択情報が示す関心領域の低解像度画像データにおける位置情報を高解像度画像データに対応付け、上記選択された関心領域の高解像度画像データを抽出する高解像度画像データ抽出部26と、高解像度画像データ抽出部26において抽出された高解像度画像データに予め設定された複数の画像処理をそれぞれ施して各画像処理に対応する複数の処理済抽出画像データを生成するとともに、入力された低解像度画像データに所定の画像処理を施して処理済全体画像データを生成する画像処理部27と、画像処理部27において生成された処理済全体画像データに基づいて乳房の放射線画像の全体画像を表示するとともに、複数の処理済抽出画像データに基づいて、上記選択された関心領域の処理済画像を切り替えて表示する表示部28とを備えている。なお、乳房画像表示装置20における上記各部は、図示省略した制御部により制御される。
【0075】
以下、乳房画像表示装置20の各構成について、詳細に説明する。
【0076】
画素密度変換フィルタ22は、具体的には、たとえば、隣接する4画素の画素データから1つの画素データのみを選択して1画素のデータとする間引き処理を行って画素密度変換処理を行うものを利用することができる。ただし、このような間引き処理に限らず、たとえば、隣接する4画素の画素データを加算平均して1画素の画素データを生成することによって画素密度変換処理を行うようにしたり、その他の画素密度変換処理を用いるようにしたりしてもよい。
【0077】
関心領域設定部24は、上述したように低解像度画像データと関心領域指定情報とに基づいて、乳房の放射線画像の全体画像における関心領域を設定するものである。本実施形態においては、乳房の放射線画像における病変候補の近傍領域を関心領域として設定する。
【0078】
具体的には、病変候補の種類としては、腫瘤や石灰化、またはこれらの両方を含むものがある。腫瘤などの病変は、おおむね丸みをおびた輪郭を持ち、かつ、画像上では周囲に比べて画素値が大きな領域として観測される。このような病変は、同じ濃度が同心円状に広がる形状の領域で、濃度値の分布が周縁部から中心部に向かうにしたがって濃度値が低くなるという濃度値の勾配が認められる。その勾配線はその病変の領域の中心方向に向かって集中するもので、濃度値の勾配を勾配ベクトルとして算出し、その勾配ベクトルの集中度から病変の候補を検出する方法を利用することができる。このような集中度を評価して抽出した病変の候補の近傍領域を関心領域として設定することができる。勾配ベクトルの集中度を評価する代表的なものとして、アイリスフィルタや適応リングフィルタが挙げられる(詳細は、例えば、特開平8−294479号公報などを参照)。
【0079】
また、石灰化などの病変は、たとえば、モーフォロジー処理を用いて検出することができる(詳細は、例えば、特開平8−294479号公報などを参照)。または、ラプラシアンフィルタ処理を行った画像を用いて検出する方法などがあるが、これらは公知な技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0080】
関心領域設定部24は、術者によって入力された関心領域指定情報を受け付け、この関心領域指定情報が示す範囲の周囲近傍の低解像度画像データと、上述したような検出方法を用いて腫瘤や石灰化などの病変を検出し、その病変の候補の近傍領域を関心領域として設定するものである。
【0081】
関心領域選択部25は、たとえば、関心領域設定部24によって設定された複数の関心領域の中から術者によってモニタ上において選択された関心領域の情報を受け付け、この情報を表示部28に出力するものである。
【0082】
画像処理部27は、高解像度画像データ抽出部26により抽出された高解像度画像データに予め設定された複数の画像処理を施して複数の処理済抽出画像データを生成するものである。複数の画像処理としては、少なくとも石灰化が一目でわかるようにコントラストを強調する処理と腫瘤の画像の濃度変化を見易くする処理とを含ませることが望ましく、さらに全体画像を表わす低解像度画像データに施す処理と同じ処理やその他の画像処理を含めるようにしてもよい。なお、コントラストを強調する処理としては、周波数処理や階調変化を強める処理などがあるが、その他の公知な処理を採用することができる。また、濃度変化を見易くする処理としては、処理済抽出画像データに中間階調を設定するとともに階調変化を大きく割り当てる処理などがあるが、その他の公知な処理を採用することができる。
【0083】
また、画像処理部27は、全体画像を表わす低解像度画像データにも所定の画像処理を施すものであるが、関心領域について抽出された高解像度画像データに施される処理と低解像度画像データに施される処理とは連動しないようにすることが望ましい。
【0084】
表示部28は、乳房の放射線画像の全体画像と関心領域の拡大画像とを表示するモニタ28aと、モニタ28aにおける画像の表示態様や位置を制御する表示制御部28bとを備えている。表示制御部28bは、画像処理部27から出力された関心領域の処理済抽出画像データに対して拡大処理を施してモニタ28aに表示させるものであるが、拡大処理の方法としては公知の種々の処理を採用することができる。
【0085】
次に、本乳房画像撮影表示システムの作用について、図1〜図8および図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0086】
まず、乳房画像撮影装置10により被写体の乳房の放射線画像の撮影が行なわれる(S10)。具体的には、被検者が乳房画像撮影装置10の横に立つと、撮影台3が被検者の身長に応じた高さに移動するとともに、アーム4が被検者の乳房の大きさや形状に応じて回転する。そして、撮影台3の上に被検者の乳房が設置された後、乳房が撮影に適した厚さとなるように圧迫板6が移動する。そして、圧迫が完了すると、放射線照射部2の放射線源1から放射線が射出され、乳房に照射される。そして、被検者の乳房を透過した放射線が撮影台3内の画像センサ15に照射され、画像センサ15に乳房の放射線画像が記録される。
【0087】
次に、画像センサ15に記録された放射線画像が読み取られ、乳房の放射線画像を表わす画像データが取得され、その画像データが乳房画像表示装置20に出力される(S12)。なお、上述したように本実施形態の乳房画像撮影装置10において画像記録媒体から読み取られる画像データは、解像度50μmの画像データであり、この高解像度画像データが乳房画像表示装置20に入力される。
【0088】
そして、乳房画像表示装置20に入力された高解像度画像データは、一旦メモリ21に記憶される。そして、次に、メモリ21からハードディスク23および画素密度変換フィルタ22に高解像度画像データが出力される。そして、画素密度変換フィルタ22において高解像度画像データから低解像度画像データに画素密度変換され(S14)、ハードディスク23には、高解像度画像データと低解像度画像データとの両方が記憶される(S16)。
【0089】
次に、ハードディスク23から関心領域設定部24と画像処理部27に低解像度画像データが出力される。そして、画像処理部27において低解像度画像データに所定の画像処理が施されて処理済全体画像データが生成され、その処理済全体画像データは表示部28に出力される。そして、表示部28の表示制御部28bは、入力された処理済全体画像データに基づいて乳房の放射線画像の全体画像をモニタ28aにより表示された1つのウインドウ内に表示する。
【0090】
そして、表示部28のモニタ28aに表示された全体画像が術者により観察され、その全体画像の中で腫瘤や石灰化などの病変と推定される範囲がマウスなどの入力手段によって指定される。そして、その指定された範囲の情報が関心領域指定情報として関心領域設定部24に入力される。
【0091】
関心領域設定部24は、入力された関心領域指定情報が示す範囲の周囲近傍の低解像度画像データに対して、上述したような検出方法を採用して腫瘤や石灰化などの病変候補を検出し、その病変候補の近傍領域を関心領域として設定する(S18)。なお、関心領域としては、腫瘤のみを含む領域、微小石灰化のみを含む領域、および腫瘤と微小石灰化との両方が存在する領域などがある。なお、本実施形態においては、上記のように術者による関心領域指定情報を受け付け、その関心領域指定情報が示す範囲の周囲近傍の低解像度画像データに検出処理を施して病変候補を検出するようにしたが、これに限らず、関心領域指定情報を受け付けることなく、全体画像を表わす低解像度画像データ全体に検出処理を施して病変候補を検出し、関心領域を設定するようにしてもよい。
【0092】
そして、関心領域設定部24において設定された関心領域の位置情報が表示部28に出力され、表示部28の表示制御部28bは、入力された関心領域の位置情報に基づいて、図3(A)に示すように、ウインドウW1に表示された全体画像上に関心領域R1、R2の範囲を示す画像を表示する。関心領域の範囲を示す画像は、関心領域の範囲が明確にわかるように周囲の画像と区別可能な態様で表示される。具体的には、たとえば、周囲の画像と区別可能な色の点線や実線などで囲まれた枠の画像を表示するようにすればよい。本実施形態においては、図3(A)に示すように、点線の枠画像で示すものとする。
【0093】
そして、術者により、表示部28のモニタ28aに表示された全体画像における関心領域内の画像が観察され、複数の関心領域の中から所望の関心領域がマウスなどの入力手段によって選択される(S20)。そして、その選択された関心領域の情報が関心領域選択情報として関心領域選択部25に入力される。関心領域選択部25は、入力された関心領域選択情報に基づいて、関心領域設定部24から入力された複数の関心領域の位置情報の中から術者によって選択された関心領域の位置情報を選択し、その位置情報を表示部28に出力する。
【0094】
表示部28の表示制御部28bは、関心領域選択部25から出力された関心領域の位置情報に基づいて、図3(B)に示すように、術者により選択された関心領域R1を示す画像を点線の枠画像から実線の枠画像に表示を切り替える。これにより術者により選択された関心領域をその他の関心領域と区別することができる。なお、本実施形態においては、選択された関心領域について、上記のように点線の枠画像から実線の枠画像に切り替えることによって、その他の関心領域と区別できるようにしたが、このような表示態様に限らず、要は選択された関心領域とその他の関心領域とが区別できる表示態様であればよく、たとえば、枠画像の色を切り替えるようにしてもよいし、関心領域内の画像の輝度を周囲の画像の輝度よりも上げるようにしてもよい。
【0095】
一方、関心領域選択部25において選択された関心領域の位置情報は、高解像度画像データ抽出部26にも出力される。高解像度画像データ抽出部26には、ハードディスク23から出力された高解像画像データが入力されており、高解像度画像データ抽出部26は、入力された関心領域の位置情報を高解像度画像データに対応付け、その対応する位置の領域の高解像度画像データを抽出する(S22)。
【0096】
そして、高解像度画像データ抽出部26において抽出された関心領域に対応する高解像度画像データは画像処理部27に出力され、画像処理部27において、その高解像度画像データに複数の画像処理がそれぞれ施され、各画像処理に対応する処理済抽出画像データを生成する(S24)。
【0097】
本実施形態においては、複数の画像処理として、コントラストを強調する処理と、コントラストを抑制して、石灰化や腫瘤に中間濃度を割り当て、それらの画素値変化に階調を割り当てることで濃度変化を見易くする処理と、低解像度画像データに施した画像処理と同じ処理との3つが予め設定されており、この3つの処理がそれぞれ高解像度画像データに施されて3つの処理済抽出画像データが生成される。そして、この3つの処理済抽出画像データが表示部28に出力され、表示制御部28bに記憶される。
【0098】
図4に、上記3つの画像処理の入出力特性の一例を表わすグラフを示す。図4におけるG1がコントラストを強調する処理を表わす入出力特性を示すグラフであり、G2がコントラストを抑制するとともに、濃度変化を見易くする処理を表わす入出力特性を示すグラフであり、G3が低解像度画像データに施される処理を表わす入出力特性を示すグラフである。
【0099】
また、以下の説明では、コントラストを強調する処理の施された処理済抽出画像データを石灰化画像強調データ、コントラストを抑制するとともに、濃度変化を見易くする処理の施された処理済抽出画像データを腫瘤画像強調データ、低解像度画像データに施した画像処理と同じ処理の施された処理済抽出画像データを単純拡大用画像データという。
【0100】
そして、モニタ28aに表示された全体画像における複数の関心領域の中から術者により所望の関心領域が選択されたときには、表示制御部28bは、上述したようにその選択された関心領域の枠画像を点線から実線に切り替えるとともに、予め記憶された3つの処理済抽出画像データのうち単純拡大用画像データを読み出し、その単純拡大用画像データに拡大処理を施して拡大処理済画像データを生成する。
【0101】
そして、図3(B)に示すように、拡大処理済画像データに基づいて、術者により選択された関心領域の拡大画像を、全体画像を表示するウインドウW1とは別のウインドウW2内に表示する(S26)。つまり、全体画像と拡大画像とを同時に表示する。なお、図3(B)における点線矢印は、拡大前と拡大後をわかり易くするために図中に記載したものであり、実際にはモニタ28aには表示されない。また、ウインドウW2は、図3(B)に示すように、被写体つまり乳房および胸壁の画像が存在しない、いわゆる素抜部に表示することが望ましい。
【0102】
また、上記のように術者により選択された関心領域の拡大画像を別ウインドウで表示するとともに、図3(B)に示すように、そのウインドウの近傍に、術者により選択された関心領域が関心領域として設定された設定理由と、その関心領域の高解像度画像データに施された画像処理の条件とを文章や記号などで表示する。設定理由としては、たとえば、術者により選択された関心領域が、腫瘤の画像を含むために関心領域として設定された場合には、図5に示すようなコメントを表示し、術者により選択された関心領域が、石灰化の画像を含むために関心領域として設定された場合には、図6に示すようなコメントを表示するようにすればよい。なお、コメントにおける点数や、領域性などといった特性については、関心領域設定部24で各関心領域を設定する際に点数を計算したり特性を評価したりし、その結果を各関心領域と対応付けて表示制御部28bに出力し、表示制御部28bが、各関心領域が拡大表示されたときに予め設定されたコメントとともにその結果をモニタ28aに表示するようにすればよい。また、画像処理の条件としては、画像処理の種類や画像処理で使用したパラメータなどを表示するようにすればよい。
【0103】
なお、本実施形態においては、設定理由と画像処理条件とを拡大画像を表示するウインドウの近傍に表示するようにしたが、これに限らず、拡大画像を表示するウインドウ内に表示するようにしてもよい。また、設定理由および画像処理条件のいずれか一方のみを表示するようにしてもよい。
【0104】
そして、上記のようにして術者により選択された関心領域の拡大画像を表示した後、術者がその拡大画像を異なる画像処理の施された画像に切り替えたいと考えた場合には、拡大画像が表示されたウインドウW2が術者によってマウスなどの入力手段によりクリックされる。そして、その拡大画像の切替情報が表示制御部28bに入力される。表示制御部28bは、入力された切替情報に応じて、予め記憶された3つの処理済抽出画像データのうち石灰化画像強調データを読み出し、その石灰化画像強調データに拡大処理を施して拡大処理済画像データを生成する。そして、この拡大処理済画像データに基づいて拡大画像をウインドウW2内に表示することによって、図7に示すように、ウインドウW2に表示される拡大画像を単純拡大用画像データに基づく拡大画像I1から石灰化画像強調画像データに基づく拡大画像I2に切り替える(S28)。
【0105】
そして、さらに術者が拡大画像を異なる画像処理の施された画像に切り替えたいと考えた場合には、拡大画像が表示されたウインドウW2が術者によってさらにクリックされ、拡大画像の切替情報が表示制御部28bに入力される。表示制御部28bは、入力された切替情報に応じて、予め記憶された3つの処理済抽出画像データのうち腫瘤画像強調データを読み出し、その腫瘤画像強調データに拡大処理を施して拡大処理済画像データを生成する。そして、この拡大処理済画像データに基づいて拡大画像をウインドウW2内に表示することによって、図7に示すように、ウインドウW2に表示される拡大画像を石灰化画像強調データに基づく拡大画像I2から腫瘤画像強調画像データに基づく拡大画像I3に切り替える(S28)。
【0106】
そして、拡大画像が表示されたウインドウW2が術者によってさらにクリックされた場合には、表示制御部28bは、上記と同様にして、再びウインドウW2内に単純拡大用画像データに基づく拡大画像I1を表示する。
【0107】
上記のようにして術者による切替情報の入力に応じて、ウインドウW2内に表示され拡大画像が順次切り替えられる。なお、本実施形態においては、単純拡大用画像データに基づく拡大画像I1、石灰化画像強調データに基づく拡大画像I2および腫瘤画像強調画像データに基づく拡大画像I3をこの順に表示するようにしたが、表示する拡大画像の順序はこの順に限らず、所望の順序を予め設定するようにすればよい。
【0108】
また、最初は、術者により選択された関心領域の設定理由に応じた拡大画像を表示し、その後、その他の拡大画像を順次切り替えるようにしてもよい。たとえば、術者により選択された関心領域が石灰化の画像を含むために関心領域として設定された場合には、最初に石灰化画像強調データに基づく拡大画像I2を表示した後、単純拡大用画像データに基づく拡大画像I1および腫瘤画像強調画像データに基づく拡大画像I3を順次表示するようにすればよい。また、術者により選択された関心領域が腫瘤の画像を含むために関心領域として設定された場合には、最初に腫瘤画像強調データに基づく拡大画像I3を表示した後、単純拡大用画像データに基づく拡大画像I1および石灰化画像強調画像データに基づく拡大画像I2を順次表示するようにすればよい。
【0109】
そして、上記のようにして関心領域R1の拡大画像の術者による読影が終了すると、術者により次の読影対象の関心領域がマウスなどの入力手段によって選択される(S230)。そして、上記と同様にして、選択された関心領域の位置情報が表示部28に出力され、表示制御部28bは、その関心領域の位置情報に基づいて、図8に示すように、術者により選択された関心領域R2を示す画像を点線の枠画像から実線の枠画像に表示を切り替える。なお、このとき既に術者により選択された関心領域R1の枠画像は実線の枠画像のまま表示される(S32)。つまり、上記のように関心領域の枠画像を表示することにより、まだ選択されていない関心領域の枠画像は点線で表示され、既に選択された関心領域の枠画像は実線で表示されることになる。なお、さらに既に選択された関心領域R1の枠画像の色と、現在選択されている関心領域R2の枠画像の色を変えるようにしてもよい。これによりさらに現在選択されている関心領域を区別することができる。
【0110】
また、拡大表示の対象となった関心領域R1の画像の画素データにマーキングを付けておき、再度関心領域R1が術者により拡大表示の対象として選択されたしまった場合には、そのマーキングを検出して既に観察済みである旨を文字または記号などで表示するようにしてもよい。または、マーキングに対応して明示的に表示画素を暗くしておくか、もしくは表示画素に色を付けておくか、濃度を周囲の画像よりも上げるなどすればよい。
【0111】
一方、術者により次の関心領域R2が選択されると、上記と同様にして、選択された関心領域の位置情報に基づいて、その関心領域に対応する高解像度画像データが抽出され、その抽出された高解像度画像データに複数の画像処理がそれぞれ施され、各画像処理に対応する処理済抽出画像データが生成される。すなわち、関心領域R2について、石灰化画像強調データ、腫瘤画像強調データおよび単純拡大用画像データが生成される。
【0112】
そして、上記と同様にして、まず、単純拡大用画像データが読み出され、図8に示すように、その単純拡大用画像データに基づく拡大画像が、全体画像を表示するウインドウW1とは別のウインドウW3内に表示される。また、上記と同様にして、そのウインドウW3の近傍に、関心領域R2の設定理由と画像処理条件とが表示される。なお、前回拡大画像を表示したウインドウW2については、画面上から消去するようにしてもよいし、残すようにしてもよい。
【0113】
そして、上記と同様にして、拡大画像が表示されたウインドウW3が術者によりクリックされて拡大画像の切替情報が入力された場合には、石灰化画像強調データに基づく拡大画像および腫瘤画像強調データに基づく拡大画像に順次切り替えられる。
【0114】
そして、上記のようにして術者により順次関心領域が選択され、順次拡大表示され、さらに拡大画像が切替えられて画像全体について読影が行なわれる。
【0115】
なお、上記実施形態の乳房画像表示装置においては、関心領域の処理済画像を拡大表示するようにしたが、必ずしも拡大表示しなくてもよく、関心領域の画像を抜き出してそのままの大きさで表示し、複数の処理済画像を切り替えて表示するようにしてもよい。
【0116】
また、上記実施形態の乳房画像表示装置においては、拡大表示されたウインドウをクリックすることによって拡大画像を切り替えるようにしたが、たとえば、図9に示すように、ウインドウにタグt1〜t3を設け、このタグt1〜t3をクリックして選択することによって拡大画像を切り替えるようにしてもよい。
【0117】
また、上記実施形態の乳房画像表示装置においては、術者により選択された関心領域の画像の高解像画像データを抽出し、その高解像度画像データに予め複数の画像処理を施して処理済抽出画像データを生成して予め記憶しておき、術者により入力された切替情報に応じてこれらの処理済抽出画像データを順次読み出して拡大画像を表示するようにしたが、必ずしも複数の処理済抽出画像データを予め生成して記憶しておく必要はなく、画像処理前の高解像度画像データを記憶しておき、術者により切替情報が入力された際に、この高解像度画像データを読み出し、予め設定された画像処理を施して処理済抽出画像データを生成し、その処理済抽出画像データに基づいて拡大画像を表示するようにしてもよい。
【0118】
また、上記実施形態の乳房画像表示装置においては、複数の関心領域が設定された場合、術者によって選択された関心領域について拡大表示するようにしたが、たとえば術者が関心領域を選択する前に、各関心領域の病変候補の悪性度の順位を決定し、その決定された順位に従って複数の関心領域の処理済画像を順次拡大表示するようにしてもよい。関心領域の悪性度の順位の決定方法としては、たとえば、各関心領域について、予め設定された条件についての評価値を算出し、その評価値が大きいものから悪性度が高いものとして順位を決定するようにすればよい。
【0119】
関心領域の評価値については、たとえば、関心領域の病変候補が腫瘤であった場合には、以下の条件についてそれぞれ評価値を算出し、各評価値に重み付けをして加算することによって総合評価値を算出し、その総合評価値を利用するようにすればよい。
【0120】
1.濃度が中心へ向かう場合の勾配
2.円形度または歪度(縦横比)
3.境界部分の不明瞭度(エッジの強さ)
4.尖り度(エッジを追跡したときの方向変化の大きさなど)
また、たとえば、関心領域の病変候補が石灰化であった場合には、以下の条件についてそれぞれ評価値を算出し、各評価値に重み付けをして加算することによって総合評価値を算出し、その総合評価値を利用するようにすればよい。
【0121】
1.境界部分の不明瞭度(エッジの強さ)
2.分布(びまん、線状など。経験上どの分布なら何点かを設定しておけばよい)
3.石灰化内の濃度変化
4.石灰化の個数
5.石灰化の密度
6.円形度または歪度(縦横比)
また、上記実施形態の乳房画像表示装置においては、関心領域の高解像度画像データに施す画像処理として、コントラストを強調する処理と、濃度変化を見易くする処理と、低解像度画像データに施した画像処理と同じ処理との3つを予め設定するようにしたが、これに限らず、その他の画像処理条件を設定するようにしてもよい。具体的には、たとえば、X線の曝射条件に応じた画像処理条件を設定しておくようにし、X線の曝射条件に応じた画像処理の施された処理済画像をその他の処理済画像から切り替えて表示するようにしてもよい。なお、X線の曝射条件とは、たとえば、X線源におけるターゲット陽極の種類や管電圧、または、X線の質を整える透過フィルタの種類などによって決定されるものである。また、X線の曝射条件に応じた画像処理条件としては、たとえば、管電圧が高く、高いエネルギーのX線が照射される場合には、X線の透過性能が高くなりコントラストが付きにくくなるので、コントラストを強調する処理や濃度変化を強調する処理を施すようにすればよい。また、ターゲット陽極の種類が高いエネルギーのX線を発生するものである場合にも、X線の透過性能が高くなりコントラストが付きにくくなるので、コントラストを強調する処理や濃度変化を強調する処理を施すようにすればよい。
【0122】
そして、X線の曝射条件に応じた画像処理条件は、たとえば、X線の曝射条件に応じた画像処理条件を複数種類予め設定しておき、術者による曝者条件の入力を受け付けて複数種類の画像処理条件からその曝射条件に対応する画像処理条件を選択するようにしてもよいし、装置に応じた画像処理条件を1種類だけ設定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の画像表示装置の一実施形態を適用した乳房画像撮影表示システムの概略構成図
【図2】図1に示す乳房画像撮影表示システムにおける乳房画像表示装置の概略構成を示すブロック図
【図3】乳房画像表示装置の作用を説明するための図
【図4】乳房画像表示装置に予め設定される画像処理条件の入出力特性の一例を示す図
【図5】関心領域の設定理由の表示態様の一例を示す図
【図6】関心領域の設定理由の表示態様の一例を示す図
【図7】関心領域の処理済画像の切替えを説明するための図
【図8】乳房画像表示装置の作用を説明するための図
【図9】関心領域の処理済画像のその他の切替方法を説明するための図
【図10】図1に示す乳房画像撮影表示システムの作用を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0124】
1 放射線源
2 放射線照射部
3 撮影台
4 アーム
5 基台
6 圧迫板
10 乳房画像撮影装置
15 画像センサ
20 乳房画像表示装置
21 メモリ
22 画素密度変換フィルタ
23 ハードディスク
24 関心領域設定部
25 関心領域選択部
26 高解像度画像データ抽出部
27 画像処理部
28 表示部
28a モニタ
28b 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の画像を含む全体画像における関心領域を前記全体画像を表わす画像データに基づいて設定し、
該設定した関心領域内の画像に対して予め設定された複数の画像処理をそれぞれ施して各画像処理に対応する複数の異なる処理済画像を生成し、
前記全体画像を表示するとともに、前記複数の異なる処理済画像を切り替えて表示することを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】
前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示することを特徴とする請求項1記載の画像表示方法。
【請求項3】
前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、
前記処理済画像を拡大表示することを特徴とする請求項1または2記載の画像表示方法。
【請求項4】
複数の前記関心領域を設定し、
該設定した複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付け、
該関心領域選択情報が示す関心領域の処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで拡大表示することを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項5】
複数の前記関心領域を設定し、
該設定した複数の関心領域のうち拡大表示の対象となる関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付け、
該関心領域選択情報が示す関心領域の処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで拡大表示し、
該拡大表示の対象となった関心領域を該関心領域以外の関心領域と区別可能な態様で表示することを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項6】
前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、
前記全体画像を表示するウインドウと前記処理済画像を表示するウインドウとを同時に表示することを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項7】
前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、
前記処理済画像を表示するウインドウを前記全体画像における前記被写体の画像が存在しない素抜部に表示することを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項8】
前記関心領域を示す画像を前記全体画像において識別可能な態様で表示することを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項9】
複数の前記関心領域を設定し、
該設定した複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付け、
既に選択された前記関心領域選択情報が示す関心領域と未だ選択されていない関心領域とを異なる態様で表示することを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項10】
関心領域と推定される領域を指定する関心領域指定情報を受け付け、
該受け付けた前記関心領域指定情報が示す領域の画像を表わす画像データに基づいて前記関心領域を自動的に設定することを特徴とする請求項1から9いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項11】
前記全体画像を表わす画像データに基づいて前記関心領域を自動的に設定することを特徴とする請求項1から9いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項12】
病変候補として複数の前記関心領域を設定し、
前記各関心領域の病変候補の悪性度の順位を決定し、
該決定した順位に従って前記複数の関心領域の処理済画像を順次拡大表示することを特徴とする請求項1から11いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項13】
病変候補として前記関心領域を設定し、
前記関心領域の設定理由および/または前記処理済画像に施された画像処理の条件を表示することを特徴とする請求項1から12いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項14】
前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、
前記設定理由および/または前記画像処理条件を前記処理済画像を表示するウインドウ内または該ウインドウの近傍に表示することを特徴とする請求項13記載の画像表示方法。
【請求項15】
前記複数の画像処理が、コントラスト強調処理または濃度変化強調処理の少なくとも1つの処理を含むことを特徴とする請求項1から14いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項16】
病変候補として前記関心領域を設定し
前記病変候補の種類に応じて予め設定された画像処理の条件に基づいて前記画像処理を行うことを特徴とする請求項1から15いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項17】
前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示し、
前記全体画像に施される画像処理と前記処理済画像に施される画像処理とを連動させないことを特徴とする請求項1から16いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項18】
前記全体画像を表わす画像データであって、2つの異なる解像度の画像データを予め取得し、
該2つの異なる解像度の画像データのうち解像度が低い方の低解像度画像データを用いて前記全体画像を表示するとともに、解像度が高い方の高解像度画像データを用いて前記処理済画像を表示することを特徴とする請求項1から17いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項19】
前記処理済画像を表示するウインドウと前記全体画像を表示するウインドウとを解像度の異なる別個のモニタで表示するとともに、前記全体画像を表示するモニタよりも解像度の高いモニタで前記処理済画像を表示することを特徴とする請求項18記載の画像表示方法。
【請求項20】
前記低解像度画像データに基づいて前記関心領域を設定し、
前記低解像度画像データにおける前記関心領域の位置情報を前記高解像度画像データに対応付け、該対応する位置の高解像度画像データに基づいて前記処理済画像を表示することを特徴とする請求項18または19記載の画像表示方法。
【請求項21】
前記複数の処理済画像の切り替えを指示する切替情報を受け付け、
該切替情報に基づいて前記複数の処理済画像を切り替えて表示することを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の画像表示方法。
【請求項22】
被写体の画像を含む全体画像を表示する表示部と、
該表示部において表示された全体画像における関心領域を設定する関心領域設定部と、
該関心領域設定部により設定された関心領域内の画像に対して予め設定された複数の画像処理をそれぞれ施して各前記画像処理に対応する複数の異なる処理済画像を生成する画像処理部とを備え、
前記表示部が、前記複数の異なる処理済画像を切り替えて表示するものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項23】
前記表示部が、前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するものであることを特徴とする請求項22記載の画像表示装置。
【請求項24】
前記表示部が、前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、前記処理済画像を拡大表示するものであることを特徴とする請求項22または23記載の画像表示装置。
【請求項25】
前記関心領域設定部が、複数の関心領域を設定するものであり、
前記関心領域設定部により設定された複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付ける関心領域選択部を備え、
前記表示部が、前記関心領域選択部により受け付けられた関心領域選択情報が示す関心領域の処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで拡大表示するものであることを特徴とする請求項22から24いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項26】
前記関心領域設定部が、複数の関心領域を設定するものであり、
前記関心領域設定部により設定された複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付ける関心領域選択部を備え、
前記表示部が、前記関心領域選択部により受け付けられた関心領域選択情報が示す関心領域の処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで拡大表示するとともに、前記拡大表示の対象となった関心領域を該関心領域以外の関心領域と区別可能な態様で表示するものであることを特徴とする請求項22から25いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項27】
前記表示部が、前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、前記全体画像を表示するウインドウと前記処理済画像を表示するウインドウとを同時に表示するものであることを特徴とする請求項22から26いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項28】
前記表示部が、前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、前記処理済画像のウインドウを前記全体画像における前記被写体の画像が存在しない素抜部に表示するものであることを特徴とする請求項22から27いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項29】
前記表示部が、前記関心領域を示す画像を前記全体画像において識別可能な態様で表示するものであることを特徴とする請求項22から28いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項30】
前記関心領域設定部が、複数の関心領域を設定するものであり、
前記関心領域設定部により設定された複数の関心領域のうち所定の関心領域を選択する関心領域選択情報を受け付ける関心領域選択部を備え、
前記表示部が、既に選択された前記関心領域選択情報が示す関心領域と未だ選択されていない関心領域とを異なる態様で表示するものであることを特徴とする請求項22から29いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項31】
前記関心領域設定部が、関心領域と推定される領域を指定する関心領域指定情報を受け付け、該受け付けた関心領域指定情報が示す領域の画像を表わす画像データに基づいて前記関心領域を自動的に設定するものであることを特徴とする請求項22から30いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項32】
前記関心領域設定部が、前記全体画像を表わす画像データに基づいて前記関心領域を自動的に設定するものであることを特徴とする請求項22から30いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項33】
前記関心領域設定部が、病変候補として複数の前記関心領域を設定するとともに、前記各関心領域の病変候補の悪性度の順位を決定するものであり、
前記表示部が、前記関心領域設定部において決定された順位に従って前記複数の関心領域の処理済画像を順次拡大表示するものであることを特徴とする請求項22から32いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項34】
前記関心領域設定部が、病変候補として前記関心領域を設定するものであり、
前記表示部が、前記関心領域の設定理由および/または前記処理済画像に施された画像処理の条件を表示するものであることを特徴とする請求項22から33いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項35】
前記表示部が、前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するとともに、前記設定理由および/または前記画像処理条件を前記処理済画像を表示するウインドウ内または該ウインドウの近傍に表示するものであることを特徴とする請求項34記載の画像表示装置。
【請求項36】
前記複数の画像処理が、コントラスト強調処理または濃度変化強調処理の少なくとも1つの処理を含むことを特徴とする請求項22から35いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項37】
前記関心領域設定部が、病変候補として前記関心領域を設定するものであり、
前記画像処理部が、前記病変候補の種類に応じて予め設定された画像処理の条件に基づいて前記画像処理を行うものであることを特徴とする請求項22から36いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項38】
前記表示部が、前記処理済画像を、前記全体画像を表示するウインドウとは別のウインドウで表示するものであり、
前記画像処理部が、前記全体画像にも所定の画像処理を施すものであるとともに、前記全体画像に施される画像処理と前記処理済画像に施される画像処理とを連動させないものであることを特徴とする請求項22から37いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項39】
前記全体画像を表わす画像データであって、2つの異なる解像度の画像データを予め取得する画像データ取得部を有し、
前記表示部が、前記2つの異なる解像度の画像データのうち解像度が低い方の低解像度画像データを用いて前記全体画像を表示するとともに、解像度が高い方の高解像度画像データを用いて前記処理済画像を表示するものであることを特徴とする請求項22から38いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項40】
前記表示部が、解像度の異なる複数のモニタを有し、前記処理済画像を表示するウインドウと前記全体画像を表示するウインドウとを解像度の異なる別個のモニタで表示するものであるとともに、前記全体画像を表示するモニタよりも解像度の高いモニタで前記処理済画像を表示するものであることを特徴とする請求項39記載の画像表示装置。
【請求項41】
前記関心領域設定部が、前記低解像度画像データに基づいて前記関心領域を設定するものであり、
前記表示部が、前記低解像度画像データにおける前記関心領域の位置情報を前記高解像度画像データに対応付け、該対応する位置の高解像度画像データに基づいて前記処理済画像を表示するものであることを特徴とする請求項39または41記載の画像表示装置。
【請求項42】
前記表示部が、前記複数の処理済画像の切り替えを指示する切替情報を受け付け、該切替情報に基づいて前記複数の処理済画像を切り替えて表示するものであることを特徴とする請求項22から41いずれか1項記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−207545(P2009−207545A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50788(P2008−50788)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
【Fターム(参考)】