説明

画像表示装置、画像表示方法およびプログラム

【課題】ネットワーク経由で画像表示装置と外部装置とを接続し、外部装置の操作により画像表示装置に画像を投影表示させる場合に必要となるソフトウェア等の開発を効率化させること。
【解決手段】画像表示装置は、外部装置から、画像表示を実行する表示ジョブの生成要求と、表示ジョブを指定した表示要求とを受信するとともに、表示ジョブの生成要求に対する応答を外部装置に送信する通信部と、表示ジョブの生成要求を受信した場合に、表示ジョブを生成するジョブ生成部と、外部装置から、表示要求を受信した場合に、指定された表示ジョブに対して画像表示の実行を指示する実行制御部と、を備えた。通信部は、表示ジョブの生成要求に対する応答に、ジョブ生成部により生成された表示ジョブの識別情報を含めて送信し、識別情報に基づいて表示ジョブが指定された表示要求を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ等の画像表示装置は、会議室や講義室等に設置され、参加者または発表者が画像を投影表示する際に、RGBケーブルや有線通信、無線通信等のネットワーク経由でPC等の外部装置に接続されることは既に知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のように、会議効率を目的として、複数台の投影装置に投影される内容を同期させる方式に関する技術が知られている。
【0004】
また、例えば、特許文献2のように、会議効率を目的として、投影装置に複数台のコンピュータが接続される方式に関する技術が知られている。この特許文献2の技術では、誤動作を防止するために時間等の特定条件を満たした場合に切り替えるという制御を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ネットワーク経由で画像表示装置と外部装置とを接続し、外部装置の操作により画像表示装置に画像を投影表示させる場合に、外部装置側等に専用のソフトウェアをインストールすることが多い。近年、画像の投影表示に係わる様々な処理を外部装置からネットワーク経由で実行できることが望まれているが、このような要望に対応するためには、上述のような専用のソフトウェア等の開発を効率化させることが必要となる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ネットワーク経由で画像表示装置と外部装置とを接続し、外部装置の操作により画像表示装置に画像を投影表示させる場合に必要となるソフトウェア等の開発を効率化させることができる画像表示装置、画像表示方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像表示装置は、一または複数の外部装置にネットワークで接続される画像表示装置であって、前記外部装置から、画像表示を実行する表示ジョブの生成要求と、前記表示ジョブを指定した表示要求とを受信するとともに、前記表示ジョブの生成要求に対する応答を前記外部装置に送信する通信部と、前記表示ジョブの生成要求を受信した場合に、前記表示ジョブを生成するジョブ生成部と、前記外部装置から、前記表示要求を受信した場合に、指定された前記表示ジョブに対して画像表示の実行を指示する実行制御部と、を備え、前記通信部は、前記表示ジョブの生成要求に対する応答に、前記ジョブ生成部により生成された表示ジョブの識別情報を含めて送信し、前記識別情報に基づいて表示ジョブが指定された前記表示要求を受信すること、を特徴とする。
【0008】
本発明にかかる画像表示方法は、一または複数の外部装置にネットワークで接続される画像表示装置で実行される画像表示方法であって、前記外部装置から、画像表示を実行する表示ジョブの生成要求と、前記表示ジョブを指定した表示要求とを受信するとともに、前記表示ジョブの生成要求に対する応答を前記外部装置に送信する通信ステップと、前記表示ジョブの生成要求を受信した場合に、前記表示ジョブを生成するジョブ生成ステップと、前記外部装置から、前記表示要求を受信した場合に、指定された前記表示ジョブに対して画像表示の実行を指示する実行制御ステップと、を含み、前記通信ステップは、前記表示ジョブの生成要求に対する応答に、前記ジョブ生成部により生成された表示ジョブの識別情報を含めて送信し、前記識別情報に基づいて表示ジョブが指定された前記表示要求を受信すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるプログラムは、一または複数の外部装置にネットワークで接続されるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記外部装置から、画像表示を実行する表示ジョブの生成要求と、前記表示ジョブを指定した表示要求とを受信するとともに、前記表示ジョブの生成要求に対する応答を前記外部装置に送信する通信ステップと、前記表示ジョブの生成要求を受信した場合に、前記表示ジョブを生成するジョブ生成ステップと、前記外部装置から、前記表示要求を受信した場合に、指定された前記表示ジョブに対して画像表示の実行を指示する実行制御ステップと、を含み、前記通信ステップは、前記表示ジョブの生成要求に対する応答に、前記ジョブ生成部により生成された表示ジョブの識別情報を含めて送信し、前記識別情報に基づいて表示ジョブが指定された前記表示要求を受信すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワーク経由で画像表示装置と外部装置とを接続し、外部装置の操作により画像表示装置に画像を投影表示させる場合に必要となるソフトウェア等の開発を効率化させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるPCおよびプロジェクタの機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、プロジェクタのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態1の画像表示処理のシーケンス図である。
【図4】図4は、実施の形態1において、割り込み状態が割り込み禁止である場合における画像表示処理のシーケンス図である。
【図5】図5は、実施の形態1の割り込み確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施の形態2にかかるPCおよびプロジェクタの機能的構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、投影ジョブの状態遷移図である。
【図8】図8は、実施の形態2の画像表示処理のシーケンス図である。
【図9】図9は、変形例の画像表示処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、画像表示装置、画像表示方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、画像表示装置を、プロジェクタに適用した例をあげて説明するが、これに限定されるものではなく、画像表示を行う装置であればいずれの装置にも適用することができる。
【0013】
(実施の形態1)
本実施の形態の画像表示システムは、画像表示装置としてのプロジェクタと、外部装置としての一または複数のPC(Personal Computer)とがインターネット等のネットワークに接続された構成となっている。
【0014】
図1は、実施の形態1にかかるPCおよびプロジェクタの機能的構成を示すブロック図である。PC150a,150b(以下、総称する場合には、「PC150」という。)には、それぞれ投影アプリケーション1,2が動作している。
【0015】
この投影アプリケーション1,2は、プロジェクタ100に対し、投影ジョブの生成要求である投影リソース生成要求を送信する。また、投影アプリケーション1,2は、プロジェクタ100に対し、画像の投影表示の要求である投影要求を送信する。
【0016】
これらの投影リソース生成要求、投影要求には、投影アプリケーション1,2の識別情報やPC150の識別情報等の要求元の情報は指定されていない。一方、投影アプリケーション1,2は、送信する投影要求に、画像の投影表示を行わせる投影ジョブのID(後述)の指定を含める。このIDは、投影アプリケーション1,2がプロジェクタ100に対して送信したリソース生成要求に対する応答でプロジェクタ100側で指定された投影ジョブのIDである。
【0017】
プロジェクタ100は、画像を、投影スクリーンに投影表示する装置である。本実施の形態のプロジェクタ100は、図1に示すように、投影サービス110を備えており、この投影サービス110が投影ジョブ120を生成する。ここで、投影ジョブは画像の投影表示を実行するためのジョブである。
【0018】
投影サービス110は、画像の投影表示にかかる処理を行い、通信部114と、割り込み制御部111と、ジョブ生成部112と、実行制御部113とを備えている。
【0019】
通信部114は、PC150の投影アプリケーション1、2から、投影リソースの生成要求、投影ジョブのIDが指定された投影要求とを受信する、ここで、本実施の形態では、通信部114は、PC150対する所定の要求は送信しないようになっている。すなわち、通信部114は、受信した投影リソース生成要求に対する応答、受信した投影要求に対する応答を、要求元に送信するだけで、PC150対して自発的に何らかの要求を送信することはない。
【0020】
また、通信部114は、投影リソースの生成要求に、後述するジョブ生成部112で生成された投影ジョブのID(投影ジョブを識別するための識別情報)を含めて送信する。この投影ジョブのIDは、PC150のアプリケーション1,2で、投影を実行させる投影ジョブを指定するために用いられる。すなわち、通信部114は、IDにより投影ジョブが指定された投影要求を受信する。
【0021】
割り込み制御部111は、投影ジョブに対する割り込み状態を、割り込み許可と割り込み禁止とで切り替える。
【0022】
ジョブ生成部112は、通信部114が投影リソース生成要求を受信した場合に、投影ジョブを生成する。なお、ジョブ生成部112は、生成した投影ジョブに、ジョブを識別するための上述のIDを付与する。また、ジョブ生成部112は、投影ジョブの割り込み状態の確認を行い、割り込み状態が割り込み禁止である場合には、通信部114が、PC150から、新たな投影リソース生成要求を受信した場合でも、新たな投影ジョブは生成しない。
【0023】
実行制御部113は、PC150から、通信部114が投影要求を受信した場合、投影要求で指定されたIDの投影ジョブに対して画像の投影表示の実行を指示する。これにより、投影ジョブが画像の投影表示を実行する。
【0024】
また、実行制御部113は、投影ジョブの割り込み状態の確認を行い、割り込み状態が割り込み禁止である場合において、通信部114が、PC150から受信した投影要求で指定されたIDの投影ジョブが、実行中の投影ジョブのIDと異なる場合には、投影要求で指定されたIDの投影ジョブに対して画像の投影表示の実行を指示しない。
【0025】
次に、プロジェクタ100のハードウェア構成について説明する。図2は、プロジェクタ100のハードウェア構成例を示すブロック図である。図2に示すように、プロジェクタ100は、主なハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)205と、ROM207と、RAM207と、投影ユニット208と、映像端子204と、USB202と、シリアルバス203と、ネットワークI/F(インタフェース)201とがバスに接続された構成となっている。
【0026】
CPU205は、プロジェクタ100の全体の処理を制御する演算装置である。RAM206は、CPU205による各種処理に必要なデータを記憶する。ROM207は、CPU205による各種処理を実現するプログラム等を記憶する。
【0027】
投影ユニット208は、文書データを映し出す装置である。投影ユニット208は、例えば、液晶パネルにより発光した光を、レンズ等を含む光学系で拡大して投影する。なお、投影ユニット208による投影方法はこれに限られるものではなく、LED(Light Emitting Diode)を光源として用いた方法などの従来から用いられているあらゆる投影方法を適用できる。
【0028】
映像端子204は、PC等と接続してPC等からの映像を受信して投影する場合に利用する入力端子である。ネットワークI/F(インタフェース)201は、PC150等の外部装置とネットワークを介して接続し、接続した外部装置との間でデータを送受信するためのインタフェースである。
【0029】
次に、以上のように構成された本実施の形態の画像表示処理について説明する。図3は、実施の形態1の画像表示処理のシーケンス図である。まず、PC150aの投影アプリケーション1から投影リソース生成要求がプロジェクタ100の投影サービス110に送信されたとする(ステップS11)。
【0030】
プロジェクタ100の通信部114がこの投影リソース生成要求を受信すると、ジョブ生成部112が割り込み状態の確認を行い(ステップS12)、投影ジョブの生成を行う(ステップS13)。生成された投影ジョブのIDは1である。投影ジョブのIDは「/」の後の番号で表される。なお、この例では、割り込み状態は割り込み許可が設定されているものとする。また、割り込み状態の確認処理の詳細は後述する。
【0031】
投影ジョブ(/1)が生成されると、投影サービス110は、生成要求に対する応答ととして生成完了通知を要求元のPC150aの投影アプリケーション1に送信する(ステップS14)。ここで、生成完了通知には、生成された投影ジョブのIDが付与される。すなわち、図3の例では、生成完了通知をhttpコマンドで示しているが、このコマンドの最後の「/1」でID=1が指定されていることを示している。
【0032】
その後、PC150aの投影アプリケーション1から、「/1」によりID=1が指定された投影要求および投影対象の画像データがプロジェクタ100に送信されたとする(ステップS15)。プロジェクタ100の通信部114は、この投影要求と画像データを受信して、実行制御部113は、画像データとともに、ID=1の投影ジョブに対して、投影指示を行う(ステップS16)。これにより、ID=1の投影ジョブは画像データの投影表示を行う。投影ジョブは、投影の通知を投影サービス110に送信し(ステップS17)、投影サービス110の通信部114は、投影要求に対する応答として、投影通知を、要求元のPC150aのアプリケーション1に送信する(ステップS18)。
【0033】
この後、PC150bの投影アプリケーション2から投影リソース生成要求がプロジェクタ100の投影サービス110に送信されたとする(ステップS19)。
【0034】
プロジェクタ100の通信部114がこの投影リソース生成要求を受信すると、ジョブ生成部112が割り込み状態の確認を行い(ステップS20)、投影ジョブの生成を行う(ステップS21)。生成された投影ジョブのIDは2である。
【0035】
投影ジョブ(/2)が生成されると、投影サービス110は、生成完了通知を要求元のPC150bの投影アプリケーション2に送信する(ステップS22)。ここで、図3の例では、生成完了通知のhttpコマンドの最後の「/2」でID=2が指定されている。
【0036】
その後、PC150bの投影アプリケーション2から、「/2」によりID=2が指定された投影要求および投影対象の画像データがプロジェクタ100に送信されたとする(ステップS23)。プロジェクタ100の通信部114は、この投影要求と画像データを受信して、実行制御部113は、画像データとともに、ID=2の投影ジョブに対して、投影指示を行う(ステップS24)。これにより、ID=2の投影ジョブは画像データの投影表示を行う。投影ジョブは、投影の通知を投影サービス110に送信し(ステップS24)、投影サービス110の通信部114は、投影通知を、要求元のPC150bのアプリケーション2に送信する(ステップS25)。
【0037】
このように、プロジェクタ100では、投影ジョブが生成されたら、生成された投影ジョブのIDを、要求元の投影アプリケーションに要求に対する応答に含めて通知し、その後、投影アプリケーション側からの投影要求では、投影アプリケーションやPC150の識別情報等の要求元の情報を指定せずに、投影ジョブのIDを指定している。すなわち、プロジェクタ100側は、PC150やアプリケーション1,2の識別情報を知る必要がない。また、プロジェクタ100側からPC150へは、通知のみを行い、要求を行ってはいない。
【0038】
これにより、プロジェクタ100は要求元の情報を把握することなく画像の投影や割り込み制御が可能になり、PC150とプロジェクタ100の構成要素間の結合度を低くする(すなわち疎にする)ことができる。
【0039】
図4は、実施の形態1において、割り込み状態が割り込み禁止である場合における画像表示処理のシーケンス図である。投影リソース生成要求から投影ジョブ(ID=1)による投影、および通知までの処理(ステップS31〜S39)は、図3と同様に行われるが、この例では、投影サービス110で割り込み状態の確認を行ったら(ステップS32)、割り込み制御部111は割り込み状態を割り込み許可から割り込み禁止に切り換えている(ステップS33)。これにより、これ以降の投影リソース生成要求の割り込みは禁止される。
【0040】
すなわち、PC150bの投影アプリケーション2から投影リソース生成要求がプロジェクタ100に送信されたとする(ステップS40)。プロジェクタ100は、投影サービス110の通信部114で投影リソース生成要求を受信し、割り込み状態確認を行う(ステップS41)。
【0041】
ここで、割り込み確認処理の詳細について説明する。図5は、実施の形態1の割り込み確認処理の手順を示すフローチャートである。まず、ジョブ生成部112は、現在の割り込み状態をメモリ等(不図示)の設定を読むことにより確認する(ステップS51)。そして、現在の割り込み状態が割り込み禁止か否かを判断する(ステップS52)。そして、現在の割り込み状態が割り込み禁止である場合には(ステップS52:Yes)、ジョブ生成部112は、新たな投影リソース生成要求があったか否かを判断する(ステップS53)。そして、新たな投影リソース生成要求があると判断された場合には(ステップS53:Yes)、投影ジョブを生成しないと決定する(ステップS55)。
【0042】
一方、ステップS53において、新たな投影リソース生成要求でないと判断された場合には(ステップS53:No)、新たな投影ジョブを生成すると決定する(ステップS54)。
【0043】
ステップS52において、現在の割り込み状態が割り込み禁止でない場合(ステップS52:No)、すなわち割り込み許可である場合には、ステップS53の判断を行わずに、新たな投影ジョブを生成する(ステップS54)。
【0044】
図4に戻り、この例では、割り込み状態が割り込み禁止であり、ステップS40の投影リソース生成要求は、既に生成されたID=1の投影ジョブ以外の新たな投影ジョブの生成の要求となるので、ステップS51の割り込み状態確認の結果、ジョブ生成部112は、投影ジョブを生成しない。そして、通信部114は、生成失敗の通知を要求元のPC150bのアプリケーション2に通知する(ステップS42)。
【0045】
その後、同じPC150bの投影アプリケーション2から、「/1」によりID=1が指定された投影要求および投影対象の画像データがプロジェクタ100に送信されたとする(ステップS43)。プロジェクタ100の通信部114は、この投影要求と画像データを受信して、実行制御部113は、画像データとともに、ID=1の投影ジョブに対して、投影指示を行う(ステップS44)。これにより、ID=1の投影ジョブは画像データの投影表示を行う。投影ジョブは、投影の通知を投影サービス110に送信し(ステップS45)、投影サービス110の通信部114は、投影通知を、要求元のPC150bのアプリケーション2に送信する(ステップS46)。
【0046】
また、仮に、プロジェクタがPC150の投影アプリケーション1,2から、ID=2の投影ジョブ以外のID=2を指定した投影要求を受信した場合には、たとえ、当該投影ジョブ(/2)が生成されていた場合でも、実行制御部113は、投影要求で指定されたID=2の投影ジョブに対して画像の投影表示の実行を指示しない。
【0047】
これによって、投影アプリケーション1,2やPC150は、自身の識別情報をプロジェクタ100に送信せずに、プロジェクタ100側で割り込み制御を実現することができる。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、プロジェクタ100では、投影ジョブのIDを要求元の投影アプリケーションに通知し、その後、投影アプリケーション1,2側では、投影アプリケーション1,2やPC150の識別情報等の要求元の情報を指定せずに、投影ジョブのIDを指定してプロジェクタ100にアクセスしている。また、プロジェクタ100側からPC150へは、要求に対する応答のみを行い、要求を行ってはいない。このため、本実施の形態によれば、プロジェクタ100は要求元の情報を把握することなく画像の投影、及び割り込み制御が可能になり、PC150とプロジェクタ100の構成要素間の結合度を低くし、すなわちプロジェクタ100とPC150との接続を疎結合にすることができる。そのため、例えば新たにネットワーク経由での画像投影を伴うソフトウェアを開発する場合に、ソフトウェアの開発者はプロジェクタ100からの要求というものを考慮せずにソフトウェアを開発することができる。また、プロジェクタ100側では、要求元を意識した処理を行っていないため、新たに要求元(ソフトウェア)が増えた場合でも、プロジェクタ100に改修を加える必要がない。これにより、本実施の形態によれば、ソフトウェア開発を効率化させることがでる。また、切替え制御を容易に行うことができる。また、これによって、本実施の形態によれば、簡単な利用形態で、会議室での利用のための円滑な割り込み表示やプレゼンテーションでの利用のための割り込み表示拒否等の目的別の画像表示装置の制御を実現することができる。
【0049】
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1の機能に加え、さらにプロジェクタが自己の状態遷移を管理している。図6は、実施の形態2にかかるPCおよびプロジェクタの機能的構成を示すブロック図である。
【0050】
本実施の形態の画像表示システムも、実施の形態1と同様に、プロジェクタ600と、一または複数のPC150とがインターネット等のネットワークに接続された構成となっている。ここで、PC150の構成、投影アプリケーション1,2の機能については実施の形態1と同様である。
【0051】
プロジェクタ600は、図6に示すように、投影サービス610を備えており、この投影サービス610が投影ジョブ120を生成する。投影サービス610は、画像の投影表示にかかる処理を行い、通信部114と、割り込み制御部111と、ジョブ生成部112と、実行制御部113と、状態遷移管理部611とを備えている。ここで、通信部114、割り込み制御部111、ジョブ生成部112、実行制御部113の機能については実施の形態1と同様である。
【0052】
状態遷移管理部611は、投影ジョブの状態を、投影ジョブが生成されたことを示すCreated状態(第1状態)と、画像の投影表示中を示すProjection(第2状態)との間で遷移させる。
【0053】
実際にプロジェクタ600が投影できるのは1つの画像である。このため、投影ジョブを大量に管理していると、その分メモリ消費量などが無駄になる。そこで、本実施の形態では、投影ジョブの状態を上記のとおり、Created状態と、Projection状態との2つに分けて管理している。
【0054】
ここで、投影ジョブの状態遷移について説明する。図7は、投影ジョブの状態遷移図である。図7に示すように、投影ジョブの状態には、上述のとおり、Created状態(第1状態)とProjection状態がある。図7において、発生条件は、状態を遷移させるための条件である。
【0055】
例えば、投影リソース生成要求があった場合、投影ジョブが生成されるので、投影ジョブの状態はCreated状態となる。また、Created状態の投影ジョブに対して、投影要求があった場合には、この投影ジョブは、Projection状態に遷移する。
【0056】
また、状態遷移管理部611は、各状態において複数の投影ジョブが存在しないように投影ジョブの削除を制御する。すなわち、プロジェクタ600は、同時に複数の画面を投影できず、基本的に1つの画像しか投影することができないため、Created状態とProjection状態は、それぞれ同じ状態の投影ジョブが複数存在しないように管理しているのである。このため、当初異なる状態で併存していた2つの投影ジョブのうち一方の投影ジョブが他方の投影ジョブの状態と同じ状態に遷移した場合には、状態遷移管理部611は、当該一方の投影ジョブを削除する。これにより、不要な投影ジョブが大量に生成することを抑制することができる。
【0057】
図7の例では、投影ジョブがCreated状態の場合において、別の投影リソース生成要求があった場合には、当該投影ジョブは削除され終了する。また、投影ジョブがProjection状態の場合において、別の投影リソース、すなわち別の投影ジョブに対する投影要求があった場合には、Projection状態の当該投影ジョブは削除され終了する。
【0058】
状態遷移管理部611は、このように各状態において複数の投影ジョブは存在しないよう制御しているが、逆に言えば、異なる状態であれば、複数の投影ジョブは存在してもよい。例えば、Created状態のID=1の投影ジョブ(/1)と、Projection状態のID=2の投影ジョブ(/2)は併存可能である。ただし、上述したとおり、この場合でも、Created状態のID=1の投影ジョブ(/1)に対する投影要求があった場合には、Projection状態のID=2の投影ジョブ(/2)は削除されることになる。
【0059】
ジョブ生成部112は、このような状態遷移を考慮して投影ジョブの生成を行う。また、実行制御部113は、このような状態遷移を考慮して投影ジョブに対して投影実行の指示を行う。
【0060】
図8は、実施の形態2の画像表示処理のシーケンス図である。まず、PC150aの投影アプリケーション1から投影リソース生成要求がプロジェクタ600の投影サービス610に送信されたとする(ステップS61)。
【0061】
プロジェクタ600の通信部114がこの投影リソース生成要求を受信すると、ジョブ生成部112が割り込み状態の確認を行い(ステップS62)、投影ジョブの生成を行う(ステップS63)。生成された投影ジョブのIDは1である。このとき、投影ジョブ(/1)の状態はCreated状態となる。
【0062】
投影ジョブ(/1)が生成されると、投影サービス610は、生成完了通知を要求元のPC150aの投影アプリケーション1に送信する(ステップS64)。ここで、生成完了通知には、生成された投影ジョブのIDが付与される。
【0063】
その後、PC150aの投影アプリケーション1から、「/1」によりID=1が指定された投影要求および投影対象の画像データがプロジェクタ600に送信されたとする(ステップS65)。プロジェクタ600の通信部114は、この投影要求と画像データを受信して、実行制御部113は、画像データとともに、ID=1の投影ジョブに対して、投影指示を行う(ステップS66)。これにより、ID=1の投影ジョブの状態は、Projection状態となり、当該投影ジョブは画像データの投影表示を行う。投影ジョブは、投影の通知を投影サービス610に送信し(ステップS67)、投影サービス610の通信部114は、投影通知を、要求元のPC150aのアプリケーション1に送信する(ステップS68)。
【0064】
この後、PC150bの投影アプリケーション2から投影リソース生成要求がプロジェクタ600の投影サービス610に送信されたとする(ステップS69)。
【0065】
プロジェクタ600の通信部114がこの投影リソース生成要求を受信すると、ジョブ生成部112が割り込み状態の確認を行い(ステップS70)、投影ジョブの生成を行う(ステップS71)。生成された投影ジョブのIDは2である。これにより、投影ジョブ(/2)の状態は、Created状態になる。
【0066】
投影ジョブ(/2)が生成されると、投影サービス610は、生成完了通知を要求元のPC150bの投影アプリケーション2に送信する(ステップS72)。
【0067】
その後、PC150aの投影アプリケーション1から、さらに、投影リソース生成要求がプロジェクタ600の投影サービス610に送信されたとする(ステップS73)。プロジェクタ600の通信部114がこの投影リソース生成要求を受信すると、ジョブ生成部112が割り込み状態の確認を行う(ステップS73)。そして、状態遷移管理部611がID=2の投影ジョブ(/2)を削除する(ステップS75)。この後、ジョブ生成部112は、ID=3の投影ジョブを生成する(ステップS76)。ID=3の投影ジョブの状態は、Created状態となる。ここで、ID=2の投影ジョブが削除されるのは、削除しないとCreated状態の投影ジョブが2つ存在してしまうためである。そして、通信部114は生成完了通知を要求元に送信する(ステップS77)。
【0068】
その後、PC150aの投影アプリケーション1から、「/3」によりID=3が指定された投影要求および投影対象の画像データがプロジェクタ600に送信されたとする(ステップS78)。プロジェクタ600の通信部114は、この投影要求と画像データを受信して、実行制御部113は、画像データとともに、ID=3の投影ジョブに対して、投影指示を行う(ステップS79)。これにより、ID=3の投影ジョブの状態は、Projection状態となり、当該投影ジョブは画像データの投影表示を行う。投影ジョブは、投影の通知を投影サービス610に送信する(ステップS80)。
【0069】
そして、状態遷移管理部611は、Projection状態の投影ジョブが2つ存在してしまないよう、もう一方のID=1のProjection状態の投影ジョブ(/1)を削除する。そして、通信部114は、投影通知を要求元のPC150aのアプリケーション1に送信する(ステップS81)。
【0070】
このように本実施の形態では、投影ジョブの状態遷移を管理して、各状態に複数の投影ジョブが存在しないよう制御しているので、プロジェクタ600の機能に適した投影の管理を行うことができる。
【0071】
また、本実施の形態では、割り込まれた際に、投影ジョブのリソースが削除されるため、ユーザは自分の投影ジョブが無くなっていた場合に、割り込まれたということ把握知することができる。
【0072】
(変形例)
上述の実施の形態では、プロジェクタ600が最初の投影リソース生成要求を受信した時に、割り込み制御部111が割り込み状態を変更していたが、最初の投影リソース生成要求を受信した以降の他のタイミングで割り込み状態を変更するように構成してもよい。これにより、投影時に定めていた設定を、画面を消去せずに変更することが可能になる。
【0073】
図9は、変形例の画像表示処理のシーケンス図である。本変形例のシーケンスは、実施の形態2と基本的に同様であるが、割り込み状態の変更を、最初の投影リソース生成要求の受信の後のタイミング(ステップS93)の他、これ以降の任意のタイミングで実行するようにしている。
【0074】
図9の例では、プロジェクタ600の通信部114がPC150aの投影アプリケーション1からの状態変更要求を受信した場合に(ステップS103)、割込み制御部111が割り込み状態を、割り込み禁止から割り込み許可に変更している(ステップS104)。
【0075】
このため、割り込み状態の変更前のステップS100での投影リソース生成要求は失敗するが(ステップS102)、ステップS104の割り込み状態の割り込み許可への変更後、通信部114がPC150bの投影アプリケーション2から投影リソース生成要求を受信された場合(ステップS106)、割り込み状態の確認で(ステップS107)、割り込み状態が割り込み許可と判定されるため、ジョブ生成部112は、ID=2の新たな投影ジョブ(/2)を生成することになる(ステップS108)。
【0076】
このように投影ジョブの割り込み状態を途中で変更可能であるため、柔軟な割り込み制御を実現することが可能となる。
【0077】
なお、上記実施の形態のプロジェクタ100,600で実行される画像表示プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0078】
上記実施の形態のプロジェクタ100,600は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0079】
さらに、上記実施の形態のプロジェクタ100,600を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施の形態のプロジェクタ100,600をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0080】
上記実施の形態のプロジェクタ100,600は、上述した各部(通信部114、割り込み制御部111、ジョブ生成部112、実行制御部113、状態遷移管理部611)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから画像表示プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、通信部114、割り込み制御部111、ジョブ生成部112、実行制御部113、状態遷移管理部611が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
100,600 プロジェクタ
110,610 投影サービス
111 割り込み制御部
112 ジョブ生成部
113 実行制御部
114 通信部
120 投影ジョブ
611 状態遷移管理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2005−051446号公報
【特許文献2】特開2007−121966号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数の外部装置にネットワークで接続される画像表示装置であって、
前記外部装置から、画像表示を実行する表示ジョブの生成要求と、前記表示ジョブを指定した表示要求とを受信するとともに、前記表示ジョブの生成要求に対する応答を前記外部装置に送信する通信部と、
前記表示ジョブの生成要求を受信した場合に、前記表示ジョブを生成するジョブ生成部と、
前記外部装置から、前記表示要求を受信した場合に、指定された前記表示ジョブに対して画像表示の実行を指示する実行制御部と、を備え、
前記通信部は、前記表示ジョブの生成要求に対する応答に、前記ジョブ生成部により生成された表示ジョブの識別情報を含めて送信し、前記識別情報に基づいて表示ジョブが指定された前記表示要求を受信すること、
を特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
割り込み状態を、割り込み許可と割り込み禁止とで切り替える割り込み制御部をさらに備え、
前記ジョブ生成部は、前記割り込み状態が割り込み禁止である場合には、前記通信部が、前記外部装置から、新たな表示ジョブの生成要求を受信した場合でも、前記新たな表示ジョブを生成しないこと、
を特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記割り込み制御部は、前記割り込み状態を、前記生成要求を受信した場合に、割り込み許可と割り込み禁止とで切り替えること、
を特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記割り込み制御部は、前記割り込み状態を、任意の時点で割り込み許可と割り込み禁止とで切り替えること、
を特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記表示ジョブの状態を、前記表示ジョブが生成されたことを示す第1状態と、画像表示中を示す第2状態との間で遷移させるとともに、各状態において複数の表示ジョブが存在しないように前記表示ジョブの削除を制御する状態遷移管理部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記表示要求は、要求元の外部装置に関する情報の指定は含まないこと、
を特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像表示装置。
【請求項7】
一または複数の外部装置にネットワークで接続される画像表示装置で実行される画像表示方法であって、
前記外部装置から、画像表示を実行する表示ジョブの生成要求と、前記表示ジョブを指定した表示要求とを受信するとともに、前記表示ジョブの生成要求に対する応答を前記外部装置に送信する通信ステップと、
前記表示ジョブの生成要求を受信した場合に、前記表示ジョブを生成するジョブ生成ステップと、
前記外部装置から、前記表示要求を受信した場合に、指定された前記表示ジョブに対して画像表示の実行を指示する実行制御ステップと、を含み、
前記通信ステップは、前記表示ジョブの生成要求に対する応答に、前記ジョブ生成部により生成された表示ジョブの識別情報を含めて送信し、前記識別情報に基づいて表示ジョブが指定された前記表示要求を受信すること、
を特徴とする画像表示方法。
【請求項8】
一または複数の外部装置にネットワークで接続されるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記外部装置から、画像表示を実行する表示ジョブの生成要求と、前記表示ジョブを指定した表示要求とを受信するとともに、前記表示ジョブの生成要求に対する応答を前記外部装置に送信する通信ステップと、
前記表示ジョブの生成要求を受信した場合に、前記表示ジョブを生成するジョブ生成ステップと、
前記外部装置から、前記表示要求を受信した場合に、指定された前記表示ジョブに対して画像表示の実行を指示する実行制御ステップと、を含み、
前記通信ステップは、前記表示ジョブの生成要求に対する応答に、前記ジョブ生成部により生成された表示ジョブの識別情報を含めて送信し、前記識別情報に基づいて表示ジョブが指定された前記表示要求を受信すること、
を特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97328(P2013−97328A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242739(P2011−242739)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】