説明

画像表示装置

【課題】 表示画像近傍にバランス良く発光型の標章を配置した薄型で狭額縁の画像表示装置を提供する。これにより、画像表示装置の薄型化および狭額縁化を実現を図る。
【解決手段】 画像表示パネルのマトリクス配線やFPCを隠蔽する位置に標章を配置し、該標章を照明するための構造を前記画像表示パネルの前面側および側面側の内部空間に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
家庭用および産業用電子機器の分野における画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機器の表面に形成した文字や図、更に商標などの標章を内部照明により人の目に認識させる技術は、様々な提案がなされ、また様々な製品が市場に出ている。その中から代表的な構成を説明する。
【0003】
図10は特許文献1で開示している表示装置の断面図である。61はハウジング、62は隔室、63は光源、64は隔室62の開口部に装着した色レンズ、65は光透過性の導光板、66は導光板65の表面に形成された光拡散部、67は標章を形成した文字板、68は文字板上に施した遮光性の黒印刷部、69は印刷抜き部で標章の文字や形状を形成している。
【0004】
以上の構成において、光源63からの光はまず色レンズ64を通過して特定の色相の透過光となって導光板65を通過し、光拡散部66で拡散光となって文字板67を背後から照明する。そして標章を表す印刷抜き部69を通過して外部へ光が放射されることにより、人の目でその標章が確認できる。
【0005】
図11は特許文献2で開示している薄型映像表示装置の断面図である。71は透明樹脂製の前面パネルの画像が表示される領域の端部、72は前面パネルの延長のインジケータパネル、73は電源スイッチや調整スイッチ機能を有する操作入力部で、遮光性の文字や図が形成されている、74はインジケータパネル72に凹面加工された斜面、75は光源である。
【0006】
以上の構成において、光源75からの光はインジケータパネル72の側面から入射して斜面74で前方へ反射し、操作入力部の光透過部を通過することにより人の目でその文字や図が確認できる。明るい部屋では光源は点灯せずに反射光で文字や図を見るが、暗い場合は以上説明した光源によって照明される。
【特許文献1】特開平08-160890号公報
【特許文献2】特開2005-267897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6は前記薄型の画像表示装置のロゴ位置を示し、また内部の画像表示モジュールが覗けるように部分的に外装をカットした正面図である。50は内部の画像表示モジュールの前面側をカバーするアルミ合金製の前フレーム、51は該前フレーム50の開口部に装着したガラス製の前面板で枠状に黒色セラミック印刷を施している、52は前面板51の画像表示領域で可視光透過率が約80%で表面には反射防止処理が施されている、53は前面板51の枠状の黒色印刷部にロゴ形状で印刷抜きした光透過部である。54は画像表示モジュールのフェイスプレート(以後FPと表記)でありガラス基板の内側に導電処理膜とRGB各色の蛍光膜が施されている。55は該FPの背面側に対向するように重なり配置されて真空容器を形成するリアプレート(以後RPと表記)であり、FP54面側のガラス基板上に画像を表示するための電子放出素子とそれに周辺から接続するマトリクス配線が形成されている。56は画像表示用の電気駆動信号(走査信号)を該RP55の電子放出素子に伝達するためのX方向FPCで、異方性導電性テープを介して端部と接続されている。57は画像表示用の電気駆動信号を該RP55の電子放出素子に伝達するためのY方向FPCで、異方性導電性テープを介して端部と接続されている。58は前フレーム50の周囲の壁を表す。
【0008】
以上の構成において、RP55の周辺部のマトリクス配線やFPC56,57を隠すために前面板50の黒印刷部があり、また正面から画像表示装置を見た場合、ロゴ53の位置は画像表示領域52の外側で前面板50の黒印刷部の中央が安定感があり最適である。しかしながらこの部分は向かい合うFP54との空間がわずか8mm程度の狭い空間である。さらに、本画像表示装置の額縁の幅はデザイン上細く見せることが商品的に好ましいため、Y方向FPCと周囲の壁58との空間もわずか10mm程度の狭い空間となっている。この部分に先のロゴ53の照明構造を収納しようと考えた場合、従来の構成では以下のような問題があった。
【0009】
1.特開平08-160890で開示している構成では、奥行き寸法が大きくて前面板51とFP54とで構成する空間には収納できない。
【0010】
2.特開2005-267897で開示している構成では、光源を収納する部分が前フレーム50と干渉するため配置できない。
【0011】
3.特開2005-267897で開示している構成では、光源から発した光が画像表示領域に漏れるため、ロゴ53の位置を画像表示領域52に近づけると表示される画像のコントラストが低下する。
【0012】
4.本画像表示装置の前面板51はガラス製であるため、特開2005-267897で開示している構成のような凹面加工された斜面は形成することが困難である。尚、本画像表示装置の前面板51がガラス製である理由は、内部の画像表示モジュールを保護するための強度を有し、外部の圧力に対してたわみが少ないからである。
【0013】
5.特開平08-160890や特開2005-267897で開示している文字や図の照明方法では、前面板51の黒印刷部がセラミック印刷であるため光を完全に遮光できず、ロゴ53の周辺が淡く光ってしまい見苦しい。尚、本画像表示装置の前面板51の黒印刷がセラミック系であるのはガラス表面に対する塗装膜の密着性を考慮しているからである。
【0014】
6.特開2005-267897で開示している文字や図の照明動作は、暗い時に点灯し明るい時に消灯するように自動化されて便利ではあるが、本件のように画像表示領域52の近傍にロゴ53が位置しているので、条件によってはロゴが目立ちすぎて画面が見づらくなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一の実施例においては、
(1)画像表示部前面、マトリクス配線やFPCを隠蔽する位置に発光型ロゴを配置し、該ロゴを照明するための薄型の導光体を前面板と前フレーム垂直壁に略密着させて設置し、光源を前フレームの垂直壁と水平壁が交わる隅部に配置し、LED回路基板を前フレーム水平面に密着させて導光体とLED回路基板を略L字型に配置した。
【0016】
(2)導光体下部から入射した光は屈曲部を通過した後にロゴへ照明するため、
金型成形による細かい凹凸(しぼ)形状をロゴとは反対側の導光体表面に設けた。
【0017】
(3)導光体の屈曲部より先のFPに対向する部分に遮光塗装を施して光漏れを防いでいる。
【0018】
(4)光源と反対側の導光体の上端部には斜面の反射部を形成して光を戻す工夫、かつ反射部および屈曲部の表面には白色塗装を施している。
【0019】
(5)ロゴに対して導光体光出射部を広い範囲とした上、更にロゴの領域を開口した形状の遮光シートで該光出射部の外形線を隠した。
【0020】
(6)ロゴを光らせるためのLED回路基板に3段階の輝度調整回路を盛り込み、さらに消費電力に対応して輝度調整回路を切り替える信号を制御基板から出力するようにした。
【0021】
本発明の第二の実施例においては、
(1)画像表示部前面、マトリクス配線やFPCを隠蔽する位置に発光型ロゴを配置し、該ロゴを照明するための有機ELユニットを画像表示モジュール前方の空間で前面板に密着させ、有機EL駆動回路基板は画像表示モジュールの底面の空間で前フレームの水平面に配置した。
【0022】
(2)背面光漏れ防止型の有機ELユニットを採用し、さらに側面全周を塞ぐパッケージに収納した。
【0023】
(3)ロゴに対して有機ELユニットの発光領域を広い範囲とした上で、更にロゴの領域を開口した形状の遮光シートで有機ELユニットの発光領域の外形線を隠した。
【0024】
(4)ロゴを光らせるための有機EL駆動回路基板に3段階の輝度調整回路を盛り込み、さらに消費電力に対応して輝度調整回路を切り替える信号を制御基板から出力するようにした。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第一の実施例によれば、
(1)ロゴ照明構造を画像表示モジュールの前方と側面の狭い空間に分けて収納できたため、薄型で狭額縁の画像表示装置が実現できる
(2)導光体を通過した光をロゴ方向に拡散しながら曲げる構造を金型成形により安価に実現できる
(3)導光体から画像表示部への光漏れが解消されたので、ロゴを画像表示領域へ接近できる
(4)導光体の光透過効率が上がり、ロゴの輝度が上昇または光源の消費電力を抑えられる
(5)ロゴの輝度ムラが解消されると共に、ロゴの周辺が淡く光る現象も解消された
(6)表示画像の明るさに対応してロゴの明るさが変化するので、ロゴの表示が目立ち過ぎず最適化できる
本発明の第二の実施例によれば、
(1)ロゴ照明構造を画像表示モジュールの前方と側面の狭い空間に分けて収納できたため、薄型で狭額縁の画像表示装置が実現できる
(2)有機ELユニットから画像表示部への光漏れが解消されたので、ロゴを画像表示領域へ接近できる
(3)ロゴの輝度ムラが解消されると共に、ロゴの周辺が淡く光る現象も解消された
(4)表示画像の明るさに対応してロゴの明るさが変化するので、ロゴの表示が目立ち過ぎず最適化できる
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は本発明の薄型画像表示装置の筺体底部の縦断面図であり、図2は画像表示モジュールを外した状態で筺体底部の背面側から見た平面図である。1は画像表示モジュールのフェイスプレート(以後FPと表記)でありガラス基板の内側に導電処理膜とRGB各色の蛍光膜が施され、この導電処理膜には十数Kvの高電圧が供給される構造(図示せず)を有している。2は該FP1に対向するように数mm離して配置されているリアプレート(以後RPと表記)であり、FP1面側のガラス基板上に画像を表示するための電子放出素子3とそれに周辺から電気的に接続するマトリクス配線4が形成されている。5は前記FP1とRP2の間に額縁形状で配置されて両者を接合し、真空容器を形成するための枠部材である。6は前記FP1、RP2および枠部材5により形成された真空領域であり、図には示さないが大気圧により真空容器が潰されるのを防ぐためにスペーサーという支持部材を真空容器内部に複数配置している。7は前記真空容器を画像表示とは反対側の背面部にて保持するためのシャーシーであり、アルミニウム合金製の板材と押出し材を組み合わせて剛性と計量化を実現し、また後述の電気回路基板を支持する構造も有している。8は画像表示用の電気駆動信号を該RP2のマトリクス配線4に伝達するためのY方向FPCで、異方性導電性テープを介して該マトリクス配線4の端部と接続されている。9は該Y方向FPC8とコネクター接続して画像表示用の電気駆動信号を送るための回路を有するYドライバー基板であり、前記シャーシー7に搭載され、また図には示さないがFPC8と反対側では制御基板、駆動電源基板とも電気的に接続している。10は内部の画像表示モジュールを保護し外観性を有する前フレームでありアルミ合金製の部材を額縁形状に組み立てている。10aは前フレーム10の内壁の垂直面から2個の突起が形成された第一の導光体位置決めであり、10bは同じく前フレーム10の内壁の水平面である第二の導光体位置決めであり、10cは同じく前フレーム10の内壁の垂直面であるLED回路位置決め、11は該前フレーム10の開口部前面側に両面テープで接着された前面板であり、画像表示モジュールを保護し外観性を有するガラス製で表面に低反射処理が施され、また画像表示モジュール側の表面には額縁形状の黒色セラミック印刷12が形成されている。13は該黒色セラミック印刷12の一部を印刷しないことにより商標などの標章の文字を認識できるようにしたロゴ部である。14は透明アクリル樹脂を成形加工した導光体であり、該ロゴ部13を背面側から照明するための部材である。また14aは該導光体14で導かれた光を拡散反射して先のロゴ部13をより均一な輝度で照明するための拡散処理面、14bは前記前フレーム10と前面板11にまたがる形状に沿って曲がっている導光体の屈曲部である。14cは後述の光源の光を導光体14へ入射する光入射部であり、効率よく導き入れるために滑らかな鏡面仕上げである。14dはロゴ部13に略密着した導光体14内を進行した光の光出射部であり、光が透過しやすい透明な平滑面である。尚、導光体14は反射する部分は表面に白色印刷が施されて反射率を向上し、また画像表示部に光が回り込む部分の表面には遮光塗装が施されている。14eは導光体の下端に突き出た上下方向の位置決め部であり前フレームの第二の導光体位置決め10bに突きあたり、14fは導光体の下端に突き出た左右の突起の垂直面からなるホルダー位置決め部である。15は前記ロゴ部13の周辺を取り囲むように、前面板の黒色セラミック印刷12の表面に貼合せた遮光シートであり、薄いアルミ金属箔に粘着材が積層している。16は前記導光体14の光入射部14cに略密着して配置された光源であり、複数の白色LEDをロゴ部13の横幅に合わせるように並べている。17は該光源16を半田接合して電気を供給するためのLED回路基板である。18aは該LED回路基板17に電源からの電流を供給するための電源ケーブルであり、LED回路基板17とはコネクターで接続されている、18bは該LED回路基板17に制御基板からの信号を入力するための制御ケーブルであり、LED回路基板17とはコネクターで接続されている。19は先のLED回路基板17を機械的に固定するための固定部材であり、電気的に絶縁性の材料から出来ている。20は該LED回路基板17を位置決めしかつ、金属製(導電性)の前フレーム10との絶縁性を確保するためのホルダーで樹脂の成形品である。20aは該ホルダー20を組み込みした際に上下方向を導光体の光入射部14cと前フレームの上下方向の位置決め部14eで挟むための2箇所の浮き防止部であり、20bはLED回路基板17を上下方向で固定するために左右に配置した係止爪である。21は光源16から発した光が導光体14の光入射部から入り、内部を反射しながら進み拡散処理面14aで拡散して方向を変えた後に光出射部14dから前面板11のロゴ部13を通過する照明軌道を示している。22はRP2に形成した電子放出素子3から放出されてFP1に形成した導電処理膜に衝突する電子軌道を表している。23は前述の電子の衝突によりRGB蛍光膜が発光して画像が表示される、画像表示領域を進む表示光束を表している。
【0028】
図3および図4は本発明の薄型画像表示装置のロゴ部13を構成する特徴がわかるように、各部品の重なり位置を示す拡大正面図であり、図1、図2と同一構成には同一番号を付与し説明は省略する。14gは導光体14の外形を示し破線で表している、14dは先に説明した導光体14の光出射部の範囲を実線で表している。15aは遮光シート15の外形を示し破線で表している、15bは同じく遮光シート15の光が通過できる開口範囲を示し破線で表している。
【0029】
以上の構成における本発明の特徴、ロゴを光らせるための構造の組立て方法について説明する(画像表示モジュールの組立ては省略)。
【0030】
あらかじめ黒色セラミック印刷12を施してロゴ部13を形成してなる前面板を、額縁形状を成す前フレーム10の開口部前面に両面テープ(図示せず)を利用して貼り合わせる。次に遮光シート15をロゴ部13が隠れないように図3で表す位置に貼り合わせる。次に導光体14の光出射部14dの周囲を枠状に囲む両面テープ(図示せず)を接着して、前述のロゴ部13の遮光シート15に重ね合わせて導光体14を接着する。この際導光体14の位置決め方法は、左右は導光体14の左右側面部を前フレーム10の第一の導光体位置決め10a、上下は上下方向の位置決め部14eを前フレーム10の第2の位置決め10bに突き当てる。以上でロゴ部13に対する導光体14の光出射部14dの位置が決まって固定された。
【0031】
次に光源16の取り付けである。光源16やコネクター類が実装されたLED回路基板17をホルダー20の係止爪20bをたわませて収納した後、背面方向から前フレーム10の内壁の水平面に沿って前方へ挿入し、更に導光体14の左右のホルダー位置決め部14f内側にホルダー20の左右端部を沿わせながら前フレーム10の内壁垂直面のLED回路位置決め10cへ突き当てる。次に固定部材19をLED回路基板17に対して背面方向から押し当ててネジ(図示せず)を使って前フレーム10へ固定する。その後電源ケーブル18aおよび制御ケーブル18bをLED回路基板17の各々のコネクターに接続して組立て作業を終了する。
【0032】
次に本発明の特徴的は構造について説明を加える。(1)画像表示部のマトリクス配線やFPCを隠蔽する位置に発光型ロゴを表示:本発明の画像表示装置においては、図1に示すように画像表示モジュールのマトリクス配線上端から下方へ25mmのところにロゴ部13の上端が位置し、該ロゴ部13を照明するための構造である導光体14、光源16およびLED回路基板17といった主要部材が組み合わされている。また、導光体14の屈曲部より先のFP1に対向する部分は図には示さないが遮光塗装を施して、光漏れによる表示光束23のコントラスト低下を防いでいる。薄型で狭額縁の外観を実現するために次の特徴を有している。(2)光源16を前フレーム10の垂直壁と水平壁が交わる隅部に配置し、薄型の導光体14とLED回路基板17とを略L字型に配置:図1に示すように導光体14の平均厚みは2.5mmで途中に前フレーム10と前面板11に沿わせるための屈曲部14bを有し、更に光源16と反対側の上端部には大きな斜面を形成して光を戻す工夫がされている。導光体14の上記反射部および屈曲部14bの表面には白色塗装(図示せず)を施している。一方光源16を実装したLED回路基板17はホルダー20と固定部材19で前フレーム10の水平面に固定される。(3)光出射角度の曲げと光拡散を安価で実現する表面形状:光源からの光の角度を曲げて、かつ拡散させる処理を、ロゴ部13と対向する導光体14のFP1側の面に設けた。該処理は金型にエッチングにより細かい凹凸(しぼ)形状を施して、導光体14の射出成形で一体的に処理する安価な方法である。(4)セラミック印刷の抜き文字をくっきりと見せる遮光シート:ロゴ部13の文字を透過光で照明するためには、導光体の光出射部14dの形状をロゴ部13と同じにすればよいが、本件のように緻密な文字Candyの形で出射部14dを作ってロゴ部13と重ねることは、その位置精度を出さないと文字形状が崩れてしまうので量産するには困難である。そこで図4で示すようにロゴ部13に対して広い範囲の光出射部14dを設ける事で、文字(ロゴ部13)の崩れも無いし輝度ムラも無くなった。しかしながら、ロゴ部13の周囲の黒色セラミック印刷12は光をわずかに透過するため、照明した状態で正面からロゴ部13を観察すると明るく光る文字の周辺に光出射部14dの輪郭(角に丸味を持った長方形)がわずかに認識出来てしまうため外観上問題である。しかしながら、該光出射部14dの外形線を隠す遮光シート15で覆った場合この問題が解消された。厳密にみればとロゴ部13の周辺の遮光シートの開口範囲15bがわずかに光っているはずであるが、明るく光るロゴ部13のすぐ近傍であるため、肉眼ではこのわずかな光は確認できず問題とならない。
【0033】
(5)画面を邪魔しない適度な照度に制御される光源:商標などの標章、この場合はCandyのロゴ部13を光らせる目的は外観上で製品の高級感を演出するためであるが、本発明のロゴ部13が画像表示領域に近いため目立ち過ぎると表示される画像が見にくくなる、という欠点を有するため次のような工夫を施した。該LED回路基板17に輝度を3段階に調整できる回路(図示せず)を盛り込み、さらに制御基板からの信号により該調整できる回路の選択を行い、さらに制御基板では電源の消費電力値をあらかじめ設定した値と比較して前記回路の選択信号を出力するようにした。つまり消費電力(表示画面の輝度に対応)の大きさによってLED回路基板17の3段階の輝度調整回路を切り替えることにより、図5に示すように光源16の輝度がLow/Middle/Highつまり、低い/中間/高いと変化させることができた。
【実施例2】
【0034】
図7は本発明の第2の実施例、薄型画像表示装置の筺体底部の縦断面図であり、図8は画像表示モジュールを外した状態で筺体底部の背面側から見た平面図、さらに図9はロゴ部13を構成する特徴がわかるように、各部品の重なり位置を示す拡大正面図である。実施例1と同一の機能、構成については説明を省略する。30は電圧を印加すると発光する性質を持っている有機ELユニットであり、電圧を印加する背面側反射電極に電子輸送層とホール輸送層を積層したのち、電圧を印加するもう一方の透明電極で挟んだ構造であり、背面側には電気を供給するための入力コネクターを設けている。また、30aは該有機ELユニット30の発光領域を示している。31は該有機ELユニット30に電気を供給するための出力ケーブルであり、前面板11と画像表示モジュールの間を通過して下方へ延びている。32は前記有機ELユニット30へ電気を供給するための有機EL駆動回路基板であり、該有機ELユニット30の発光を安定化する回路と輝度を3段階に変更可能な輝度調整回路を含んでいる。33は該有機EL駆動回路基板32に半田実装された出力コネクターで先の出力ケーブル31と機械的電気的に接続される。34は内部の画像表示モジュールを保護し外観性を有する前フレームでありアルミ合金製の部材を額縁形状に組み立てている。34aは前フレーム34の内壁の垂直面下隅部に形成されたホルダー位置決めであり、後述のホルダーを挿入する溝形状を成している。35は先の有機EL駆動回路基板32の背面側に密着して支持する位置でねじ(図示せず)により前フレームへ固着するところの固定部材である。36は光源である有機ELユニット30から発した光が前面板11のロゴ部13を通過する照明光束を示している。37は前記有機EL駆動回路基板32を収納支持して前フレーム34のホルダー位置決め34aに嵌合するところのホルダーであり、37aは有機EL駆動回路基板32を上下方向で固定するために左右に配置した係止爪である。
【0035】
以上の構成における本発明の特徴、ロゴを光らせるための構造の組立て方法について説明する(画像表示モジュールの組立ては省略)。
【0036】
あらかじめ黒色セラミック印刷12を施してロゴ部13を形成してなる前面板を、額縁形状を成す前フレーム34の開口部前面に両面テープ(図示せず)を利用して貼り合わせる。次に遮光シート15をロゴ部13が隠れないように図3で表す位置に貼り合わせる。次に発光面側に枠状の両面テープ(図示せず)をあらかじめ周辺部に貼り合わせた有機ELユニット30を、前述のロゴ部13の遮光シート15に重ね合わせて接着する。この際有機EL素子30の位置決め方法は、遮光シートの開口範囲15bが有機ELユニットの発光領域30a内に収まり、かつ有機ELユニット30が遮光シートの外形15aをはみ出さないように調整する。以上の作業でロゴ部13に対する有機ELユニット30の位置が決まって固定された。次に有機EL駆動回路基板32の取り付けである。コネクター類が実装された有機EL駆動回路基板32をホルダーの係止爪37aをたわませて収納した後、該ホルダー37を背面方向から前フレーム34の内壁の水平面に沿って前方へ挿入し、更に前フレームのホルダー位置決め34aに嵌合するようにホルダー37の左右端部を沿わせながら挿入して突き当てる。次に固定部材35を有機EL駆動回路基板32に対して背面方向から押し当ててネジ(図示せず)を使って前フレーム34固定する。その後出力ケーブル31の両端に付いたコネクターの一方を有機EL素子30背面のコネクターへ接続し、さらにもう一方を有機EL駆動回路基板32上の出力コネクター33に接続する。最後に電源ケーブル18aおよび制御ケーブル18bを有機EL駆動回路基板32の各々のコネクターに接続して組立て作業を終了する。
【0037】
次に本発明の特徴的は構造について説明を加える。(1)画像表示部のマトリクス配線やFPCを隠蔽する位置に発光型ロゴを表示:本発明の画像表示装置においては、図7に示すように画像表示モジュールのマトリクス配線上端から下方へ25mmのところにロゴ部13の上端が位置し、該ロゴ部13を照明するための構造である有機ELユニット30、出力ケーブル31および有機EL駆動回路基板32といった主要部材が組み合わされている。薄型で狭額縁の外観を実現するために次の特徴を有している。(2)主要部材を二つの空間に分けて収納:薄型で巾広の有機EL素子30を前面板11と画像表示モジュール前面の空間に収納し、有機EL駆動回路基板32は前フレーム34の水平面と画像表示モジュール側面の空間に収納した。また画面への光漏れ防止するために(3)背面光漏れ防止型の有機ELユニットを採用:図には示さないが有機ELユニット30の電圧を印加する背面側電極を不透明の反射型とし、さらに側面全周を塞ぐパッケージ(図示せず)に収納したことにより光漏れによる表示光束23のコントラスト低下を防いでいる。(4)セラミック印刷の抜き文字をくっきりと見せる遮光シート:ロゴ部13の文字を透過光で照明するためには、有機ELユニットの発光領域30aをロゴ部13と同じ形状に製作すれば良いが本件のように緻密な文字Candyの形状は製作が困難である。しかしながら、ロゴ部13の周囲の黒色セラミック印刷12は光をわずかに透過するため、ロゴ部13を照明した状態で正面から観察すると、明るく光る文字の周辺に長方形の有機ELユニットの発光領域30a輪郭がわずかに認識出来てしまうため外観上問題である。しかしながら、該有機ELユニットの発光領域30aの外形線を隠す遮光シート15で覆った場合この問題が解消された。厳密にみればとロゴ部13の周辺の遮光シート開口範囲15bがわずかに光っているはずであるが、明るく光るロゴ部13のすぐ近傍であるため、肉眼ではこのわずかな光は確認できず問題とならない。
【0038】
(5)画面を邪魔しない適度な照度に制御される光源:商標などの標章、この場合はCandyのロゴ部13を光らせる目的は外観上で製品の高級感を演出するためであるが、本発明のロゴ部13が画像表示領域に近いため目立ち過ぎると表示される画像が見にくくなる、という欠点を有するため次のような工夫を施した。有機EL駆動回路基板32に輝度を3段階に調整できる輝度調整回路(図示せず)を盛り込み、さらに制御基板からの信号により該輝度調整回路の選択を行い、さらに制御基板では電源の消費電力値をあらかじめ設定した値と比較して前記輝度調整回路の選択信号を出力するようにした。つまり消費電力(表示画面の輝度に対応)の大きさによって有機EL駆動回路基板32の3段階の輝度調整回路を切り替えることにより、図5に示すように有機ELユニット30の輝度がLow/Middle/Highつまり、低い/中間/高いと変化させることができた(図5参照)。
【0039】
[産業上の利用可能性]
電子機器の文字、記号、図形、更に商標などの標章を内部照明で表示する構造に利用可能である。内部収納容積が少ない場合に効果的である。特に薄型の画像表示装置に利用すれば、薄型の特徴と狭額縁の特徴を損なうこと無しに導入可能である。更に画像表示部の近傍に本発明の構造を採用しても表示画像の品位を落とさず、また表示画像が見にくくなることもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第一の発明の薄型画像表示装置の最も良く特徴を表す筺体底部の縦断面図
【図2】画像表示モジュールを外した状態で筺体底部の背面側から見た平面図
【図3】ロゴ部を構成する各部品の重なり位置を示す拡大正面図
【図4】ロゴ部を構成する各部品の重なり位置を示す拡大正面図
【図5】消費電力に対応する照明の輝度変化を表す図
【図6】薄型の画像表示装置のロゴ位置を示し、内部の画像表示モジュールが覗けるように部分的に外装をカットした正面図
【図7】第二の発明の薄型画像表示装置の最も良く特徴を表す筺体底部の縦断面図
【図8】画像表示モジュールを外した状態で筺体底部の背面側から見た平面図
【図9】ロゴ部を構成する各部品の重なり位置を示す拡大正面図
【図10】特開平08-160890で開示している表示装置の断面図
【図11】特開2005-267897で開示している薄型映像表示装置の断面図
【符号の説明】
【0041】
1 フェイスプレート(FP)
2 リアプレート(RP)
3 電子放出素子
4 マトリクス配線
5 枠部材
6 真空領域
7 シャーシー
8 Y方向FPC
9 Yドライバー基板
10 前フレーム
10a 第一の導光体位置決め
10b 第二の導光体位置決め
10c LED回路位置決め
11 前面板
12 黒色セラミック印刷
13 ロゴ部
14 導光体
14a 拡散処理面
14b 屈曲部
14c 光入射部
14d 光出射部
14e 位置決め部
14f ホルダー位置決め部
14g 導光体の外形
15 遮光シート
15a 遮光シートの外形
15b 遮光シートの開口範囲
16 光源
17 LED回路基板
18a 電源ケーブル
18b 制御ケーブル
19 固定部材
20 ホルダー
20a 浮き防止部
20b 係止爪
22 電子軌道
23 表示光束
30 有機ELユニット
30a 有機ELユニットの発光領域
31 出力ケーブル
32 有機EL駆動回路基板
33 出力コネクター
34 前フレーム
34a ホルダー位置決め
35 固定部材
36 照明光束
37 ホルダー
37a 係止爪
50 前フレーム
51 前面板
52 画像表示領域
53 光透過部
54 フェイスプレート(FP)
55 リアプレート(RP)
56 X方向FPCで
57 Y方向FPC
58 前フレーム周囲の壁
61 ハウジング
62 隔室
63 光源
64 色レンズ
65 導光板
66 光拡散部
67 文字板
68 黒印刷部
69 印刷抜き部
71 画像が表示される領域の端部
72 インジケータパネル
73 操作入力部で
74 斜面
75 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示パネルを搭載する画像表示モジュールを内蔵した画像表示装置において、
前面外観部は、該画像表示モジュールを保護する前面板と該前面板を取り付ける枠体からなり、更に該画像表示パネルのマトリクス配線やFPCを隠蔽する位置に発光型の標章を配置し、該標章を照明するための構造を前記画像表示パネルの前面側および側面側の内部空間に収納したことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記標章を照明するための構造は光源を有する電気回路と光束を所定の位置へ導く導光体からなり、該導光体は該光源近傍の光入射部と該標章近傍の光出射部を有し、更に該光入射部から入る光束に対する該光出射部から出る光束の角度を約90°変化させる構造であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記標章標章は透明な板材上の印刷領域の一部を、印刷抜きする方法で表現されていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記標章標章の発光輝度が該画像表示パネルの表示画像の平均輝度に応じて変化することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記光源がLED素子であることを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記透明な基板上の印刷はセラミック系印刷であることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記標章標章の発光輝度を変化させる回路が前記電気回路に搭載されていることを特徴とする請求項2、又は請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記枠体の正面内側の垂直面と側面内側の水平面に前記電気回路と前記導光体の位置決めを設け、該電気回路と該導光体とが光源を中心に略L字型を成していることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記標章と前記光出射部の隙間に該標章よりも大きな開口を有し更に外形が該光出射部よりも大きい遮光部材を挿入したことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記光束の角度を約90°変化させる構造は、前記導光体の前記標章とは反対側の表面に形成したシボであることを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記導光体の前記光入射部と前記光出射部の途中に屈曲部を設け、更に該光入射部とは最遠方の該導光体端部に斜面を形成したことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記シボと前記屈曲部および前記斜面の表面に白色膜を形成したことを特徴とする請求項10、又は請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記導光体の前記屈曲部より前記光出射部側表面に該導光体内の光を遮断する膜を形成したことを特徴とする請求項2、又は請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記標章を照明するための構造は、電気回路と発光素子からなることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記電気回路が有機EL駆動回路で、前記発光素子が有機ELモジュールであることを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項16】
前記標章よりも前記有機ELモジュールの発光領域を大きくした上で、該標章と前記有機ELモジュールとの隙間に該標章よりも大きな開口を有し更に外形が該有機ELモジュールの発光領域より大きい遮光部材を挿入したことを特徴とする請求項1、又は請求項15に記載の画像表示装置。
【請求項17】
前記画像表示パネルがSED(Surface Conduction Electron Emitter Display)であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−225695(P2007−225695A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44029(P2006−44029)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】