説明

画像表示装置

【課題】放出電流の変動を精度よく推定し、画質の低下を十分に抑制することのできる画像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、複数の電子放出素子を有する背面基板と、電子の衝突によって発光する発光部材を有する前面基板と、発光部材に高電圧を印加する高圧電源と、電子放出素子からの放出電流を検出するために、発光部材と高圧電源の間に接続される電流検出手段と、電流検出手段の検出結果に基づいて、電子放出素子に印加する電圧を制御する制御手段と、を有する画像表示装置であって、一端が高圧電源と電流検出手段との間に接続され、他端が電位規定電極に接続されたバイパスコンデンサを更に有し、バイパスコンデンサの静電容量Cpは、
Cp>εA/d
ただし、
ε:真空の誘電率、A:発光部材の面積、d:背面基板と前面基板の間の距離
であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像表示装置として、複数の電子放出素子を有する画像表示装置が知られている。電子放出素子としては、電界放出型電子放出素子、金属/絶縁層/金属型電子放出素子、表面伝導型電子放出素子などがある。電界放出型電子放出素子は、真空中において金属または半導体などの固体の表面に10V/cmを越える強電界を発生させると、固体から真空中へ電子が放出される、という現象を利用した電子放出素子である。このような現象は、強電界によって真空準位が曲げられるため、固体中の電子が真空中へトンネルする確率が増大することにより生じる。固体中の電子が真空中へトンネルする確率は、電界強度の増加に対し指数関数的に増加する。
【0003】
電界放出型電子放出素子は、陰極(エミッタ)及び陰極表面近傍の電界を制御する電極(ゲート)を備えている。電界放出型電子放出素子は小型化可能であるため、様々な用途が期待されている。例えば、電界放出型電子放出素子を電子源として用いることにより、上述した画像表示装置へ応用することができる。
【0004】
そのような画像表示装置は、表示パネル、駆動回路、制御回路、電源、および、高圧電源を有する。
【0005】
表示パネルは、一般に、背面基板と前面基板を有する。背面基板は、マトリックス状に配置された複数の走査配線と複数の信号配線、及び、それらの交点にそれぞれ対応して配置された複数の電子放出素子を有する。前面基板は、背面基板に対向して設けられており、電子の衝突によって発光する発光部材を有する。前面基板と背面基板は、それらの間を真空に保つために外枠に固定される。前面基板、背面基板、及び、外枠で囲まれる空間内には、真空を維持するためのゲッタが設けられている。前面基板と背面基板の間隔は、構造支持材(スペーサー)によって保たれている。
【0006】
駆動回路は、走査配線及び信号配線のそれぞれに電圧を印加するための回路である。制御回路は、駆動回路を制御するための回路である。電源は、それらの回路に電力を供給するための電源である。高圧電源は、前面基板に高電圧を印加するため(前面基板と背面基板の間に強電界を発生させるため)の電源である。
【0007】
電子放出素子を有する画像表示装置は、前面基板上の蛍光体が発光する「自発光型」の表示デバイスである。そのため、そのような画像表示装置には、明所・暗所問わず高コントラストで色純度の高い、臨場感の高い画像を表示できるという特長がある。
【0008】
しかしながら、電子放出素子を有する画像表示装置では、電子源が画素ごとに独立しているため、電子源の特性の製造上のバラつきや、長時間動作(画像の表示)をすることによる特性の変動のバラつきに起因した画質の低下が生じるという問題がある。
【0009】
このような問題に鑑みた従来技術は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の画像表示装置は、高圧電源を流れる電流量を検出する電流計を有する。そして、特許文献1に記載の画像表示装置は、駆動回路が電圧を印加するタイミング(タイミングパルス)に同期して、高圧電源を流れる電流量をメモリに記憶し、記憶した電流量に基づいて、電子放出素子(電子源)に印加する電圧を補正する。
【0010】
【特許文献1】特開2001−209352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
通常、画像表示装置において、視聴者が不快に感じない表示品位を保つためには、画素間の輝度のばらつきを数パーセント以内に保つ必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の画像表示装置のように、高圧電源に流れる電流量に基づいて電子放出素子に印加する電圧を補正しても、画質の低下を十分に抑制することはできなかった。具体的には、高圧電源を流れる電流は、電子源から放出された電子(発光部材に衝突した電子)による放出電流の他に、高周波電流(ノイズ成分)を含む。高周波電流は、例えば、高圧電源の内部で発生したスイッチングノイズなどのノイズに起因する電流、高圧電源の内部や高圧電源と表示パネル間に寄生したインダクタンス成分とキャパシタンス成分の結合による振動電流などである。そのため、短時間の間に放出電流(又は、放出電流に対応する電流)を精度よく測定することができず、画質の低下を十分に抑制することはできなかった。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、放出電流の変動を精度よく推定し、画質の低下を十分に抑制することのできる画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像表示装置は、
マトリックス状に配置された複数の走査配線と複数の信号配線、及び、それら走査配線と信号配線の交点にそれぞれ対応して配置された複数の電子放出素子を有する背面基板と、
電子の衝突によって発光する発光部材を有する前面基板と、
前記発光部材に高電圧を印加する高圧電源と、
電子放出素子からの放出電流を検出するために、発光部材と高圧電源の間に接続される電流検出手段と、
前記電流検出手段の検出結果に基づいて、前記電子放出素子に印加する電圧を制御する制御手段と、
を有する画像表示装置であって、
一端が前記高圧電源と前記電流検出手段との間に接続され、他端が電位規定電極に接続されたバイパスコンデンサを更に有し、
前記バイパスコンデンサの静電容量Cpは、

Cp>εA/d
ただし、
ε:真空の誘電率、
A:発光部材の面積、
d:背面基板と前面基板の間の距離

であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、放出電流の変動を精度よく推定し、画質の低下を十分に抑制することのできる画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態に係る画像表示装置について図面を用いて説明する。なお、
図面間において同一の構成要素には同一の符号を付するものとする。
【0016】
<従来の画像表示装置>
まず、本発明の適用可能な画像表示装置、即ち、電子放出素子を有する従来の画像表示装置の構成の一例について図1を用いて説明する。図1において、101は背面基板、102は前面基板、105はスペーサー、107は発光部材である。
【0017】
背面基板101のサイズは、前面基板102と略同等、または、前面基板102よりも一回り大きい。図2は、図1における線分A−A’によって得られる断面図である。図2に示すように、背面基板101と前面基板102は、数百ミクロン〜数mmの間隔を隔てて互いに対向しており、外周部付近で外枠103に固定されている。背面基板101、前面基板102、及び、外枠103で囲まれた空間は真空排気されており、該空間の真空度は、不図示のゲッタ(ガス吸着体)によって保たれる。前面基板102と背面基板101の間に、耐大気圧用の構造体としてスペーサー105を有することにより、それらの間の間隔が維持される。
【0018】
背面基板101は、その前面基板102(と対向する)側の面に、マトリックス状に配置された複数の走査配線と複数の信号配線、及び、それら走査配線と信号配線の交点にそれぞれ対応して配置された複数の電子放出素子(電子源)を有する。電子源は走査配線、信号配線のそれぞれに接続されており、選択電圧が与えられた走査配線と信号配線に接続された電子源から電子が放出される。それらの配線及び電子源の配置の様子を図3に示す。図3において、Lyは走査配線(Y方向配線)、Lxは信号配線(X方向配線)、121は走査配線と信号配線の間を隔てる(絶縁するための)絶縁層、109は電子源(電子放出素子)である。
【0019】
前面基板102は、図2に示すように、その背面基板101側の面に、電子の衝突によって発光する発光部材107を有する。スペーサー105は、背面基板101の電子源非形成部(電子源が形成されていない部分)と、発光部材とに当接するように設けられている。
【0020】
以上述べた構成要素によって構成される部分を表示パネルと呼ぶ。
【0021】
また、図1において、104はYドライバ、106はXドライバ、108は高圧電源である。Yドライバ104は走査配線に電圧を印加するための駆動回路である。Xドライバ106は信号配線に電圧を印加するための駆動回路である。高圧電源108は前面基板102(具体的には発光部材107)に高電圧を印加する(前面基板102と背面基板101(発光部材107と電子源109)の間に強電界を発生させる)ための電源である。高圧電源108によって発光部材107に高電圧(正バイアス)を印加することにより、放出された電子は発光部材107へ向かって加速する。
【0022】
Yドライバ104とXドライバ106は、図1に示すように、制御基板122上の演算器(CPU)110に接続されている。制御基板122上には、CPU110の他に、映像ソース(映像信号)の入力インターフェース(I/F)111、メモリ(RAM)112、及び、フラッシュメモリ(EEPROM)113が設けられている。I/F111から入力された映像信号は、CPU110によって、Yドライバ104やXドライバ106の駆動状態を制御するための駆動信号に変換される。そして、Yドライバ104とXドライバ106の駆動状態は、CPU110から送られる駆動信号によって制御される。例えば、駆動信号により、走査配線、信号配線に印加する電圧の値や、複数の走査配線、信号配線のうち、どの配線に電圧を印加するかなどが制御される。なお、CPU110は、演算処理時にRAM112やEEPROM113を参照することができる。
【0023】
以下、上述した構成要素の好ましい形態ついて詳細に説明する。
【0024】
(背面基板の構成)
まず、背面基板101の構成について詳しく説明する。
【0025】
背面基板101は絶縁性の平面板である。具体的には、背面基板101の材料として、絶縁性または高抵抗の材料を用いればよい。背面基板101としては、例えば、石英ガラス、ナトリウムガラス、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、リンガラス等のようなSiOを主成分とする基板や、Al基板等の絶縁性酸化物基板、AlN基板等の絶縁性窒化物基板等を用いることができる。また、背面基板101は、その表面近傍で10V/cm以上の絶縁耐圧を有することが好ましい。
【0026】
走査配線と信号配線は、それぞれ、金属蒸着、CVD、スパッタなどのドライプロセスや、電解メッキ、無電解メッキなどのウェットプロセス、厚膜印刷、オフセット印刷、金属箔のラミネートなどの方法によって形成することができる。走査配線と信号配線の抵抗は十分低抵抗であることが好ましく、その抵抗値は数Ω/m〜数kΩ/m程度であることが好ましい。
【0027】
表示パネルは、同一走査配線上に設置された電子源が同時に駆動される「線順次駆動」によって駆動することが好ましい。その場合、表示パネルの駆動時に各走査配線を流れる電流量は、各信号配線を流れる電流量に対し大きくなるため(走査配線の長さ方向の画素数倍)、走査配線の抵抗は信号配線の抵抗よりも十分に低抵抗であることが好ましい。なお、一般に、走査配線は画面左右方向、信号配線は画面上下方向に伸びて形成されるが、それらの方向は逆であってもよい。
【0028】
電子源は、図4に示すように、走査配線、または、信号配線と制限抵抗120を介して接続することが好ましい。制限抵抗を電子源と配線の間に挿入することによって、背面基板と前面基板の間で不意の放電が発生した場合に、放電電流の素子への流入を防止することができる。また、素子に短絡が生じた場合における駆動回路への負荷を低減することができる。
【0029】
(電子放出素子の構成)
以下、本実施形態に係る電子源(電子放出素子)の構成について詳しく説明する。具体的には、本実施形態に係る電子放出素子の例として、スピント型電子放出素子(電界放出型電子放出素子の一例)および表面伝導型電子放出素子について説明する。
【0030】
まず、スピント型電子放出素子について説明する。図5にスピント型電子放出素子の断面模式図を示す。図5において、9101は絶縁性基板、9102は導電層、9103は絶縁層、9104はゲート電極、9107はゲート開口部、そして9109はエミッタ電極である。エミッタ電極は円錐形状であり、先端部の曲率半径は数nmから数百nmである。スピント型電子放出素子はエミッタ電極の円錐中心軸に対して軸対称の構造を有しており、ゲート開口部9107の半径は数十nm〜数μmである。なお、絶縁性基板9101は上述した背面基板であってもよいし、背面基板とは別の基板であってもよい。絶縁性基板9101としては、背面基板と同様に、絶縁性または高抵抗の材料を用いればよい。
【0031】
スピント型電子放出素子では、トンネル効果によって円錐状のエミッタ先端部から電子が放出される。具体的には、ゲート電極の電位をエミッタ電極に対して十〜数十V程度正にバイアスすることによってエミッタ先端部に10V/cmを越える強電界が生じる(電界集中効果)。この電界集中効果により、電子が放出される。
【0032】
以下、図6を用いて、スピント型電子放出素子の作製方法の一例について説明する。
【0033】
(工程1)
まず、絶縁性基板9101上に、導電層9102、絶縁層9103、及び、ゲート層9104を、順に成膜する。その後、レジスト層9105でコートする。導電層9102としては、TiやMoなどの金属、絶縁層9103としては、SiOやSiNなどの絶縁性化合物、ゲート層9104としては、Nbなどの金属を適宜用いることができる。導電層9102、絶縁層9103、及び、ゲート層9104は、それぞれ、スパッタ法、CVD法などにより適宜成膜される。なお、導電層9102と絶縁層9103の間には不図示の抵抗層を設けてもよい。
【0034】
(工程2)
次に、レジスト層9105を露光することにより、開口パターン9106を設ける。そして、残ったレジスト層9105をマスクとしてゲート層9104の一部をエッチングにより除去する。これにより、ゲート層9104に開口(ゲート開口部9107)が形成される。ゲート層9104のエッチングには、RIE、CDEなどのドライエッチングや、酸・アルカリを用いたウェットエッチングが適宜用いられる。
【0035】
(工程3)
そして、絶縁層9103をエッチングにより導電層9102が露出するまで除去する。これにより、絶縁層9103に開口が形成される。絶縁層9103のエッチングには、一般に、CDEやウェットエッチングなどの等方性エッチングが用いられる。絶縁層9103をエッチングした後、レジスト層9105(マスク)を取り除く。
【0036】
(工程4)
次に、絶縁性基板9101を回転させながら(当然、他の層も同時に回転される)、斜め蒸着法によりゲート層9104上に犠牲層9108を蒸着する。これは、上述した開口内(具体的には、露出した導電層9102)に犠牲層9108が形成されないようにするためである。犠牲層9108の材料としてはAlなどの金属を用いることができる。
【0037】
(工程5)
そして、露出した導電層9102及びゲート層9104上にエミッタ材料を蒸着する。エミッタ材料の飛来方向は、導電層9102の面に対し略垂直な方向とする。犠牲層9108上では、エミッタ材料は、その表面拡散効果によって徐々に開口が狭窄化するため、符号9110に示すような形状となる。それにより、導電層9102上には、円錐状のエミッタ9109が形成される。エミッタ材料としては、一般に、Mo、Ta、W、Nb、Zr、Irなどの高融点の金属が用いられる。
【0038】
(工程6)
エミッタが形成された後、犠牲層9108を、余分なエミッタ材料9110と共に、ウェットエッチングにより除去する。以上の工程を経て、スピント型電子放出素子が作製される。
【0039】
次に、表面伝導型電子放出素子について説明する。表面伝導型電子放出素子では、ナノスリットを介して分離された2つの電極(陽極・陰極)間に電圧を印加することにより、電子が放出される。
【0040】
図7は、表面伝導型電子放出素子を概略的に示す斜視図である。表面伝導型電子放出素子は、絶縁性基板9200上に互いに離れた一対の金属電極9201a,9201bを有
する。それらの電極9201a,9201b間にはマイクロスリットにより2つに分断された金属膜9202が形成されている。分断された金属膜9202は、それぞれ電極9201a,9201bに接続されている。金属膜9202のマイクロスリット部分には、堆積層9203が形成されている。なお、図7において、9205は金属膜9202のマイクロスリットの幅を示しており、その幅9205は0.1μmから10μm程度である。また、絶縁性基板9200は上述した背面基板であってもよいし、背面基板とは別の基板であってもよい。絶縁性基板9200としては、背面基板と同様に、絶縁性または高抵抗の材料を用いればよい。
【0041】
以下、表面伝導型電子放出素子の作製方法の一例について説明する。
【0042】
まず、絶縁性基板9200上に互いに離れた一対の平面金属電極9201a,9201bを形成する。次に、電極9201a,9201b間に、電極9201a,9201bに比べて十分に薄く且つ電気的に導通するのに十分な厚さを持つ金属膜9202を形成する。
【0043】
そして、電極9201a,9201bに通電して金属膜にジュール熱を発生させる。これにより、金属膜9202は部分的に溶断・破壊されて不連続化する。すなわち、金属膜9202にマイクロスリットが形成される。金属膜9202を不連続化することにより、電極9201a,9201b間の抵抗は高くなる。このような金属膜9202の通電による不連続化処理は「Bフォーミング(Basic forming)」と呼ばれている。
【0044】
次に、このようにして形成された素子に、「Aフォーミング(Adsorption−assisted forming)」と呼ばれる処理を施す。Aフォーミングとは、炭化水素類を含有する真空中で電極9201a,9201b間におよそ20V以下の電圧を印加することにより、マイクロスリット部分に堆積層9203を形成する処理である。Aフォーミング開始から数分が経過すると、電極9201a,9201b間の抵抗が下がり、電極9201a,9201b間を流れる電流が増大する。Aフォーミングは、例えば、所望の電流が流れるまで行われる。Aフォーミングを施した後、素子に通電処理を施すと、電子放出に加え発光を観測することができる。即ち、以上の工程を経て表面伝導型電子放出素子が作製される。なお、マイクロスリット部分に形成された堆積層9203は、上記発光のスペクトル解析の結果からグラファイト化した炭素膜であると報告されている。また、堆積層9203にも、金属膜9202と同様にナノスリットが形成されていると報告されている。
【0045】
以上説明した電子放出素子では、電子放出の閾値(電子を放出するのに必要な電圧)Vthが定義できる。例えば、電界放出型電子放出素子では、電子放出特性(電子が真空中に放出する確率)が電子放出部表面での電界強度の増加に対し指数関数的に増加する。そのため、素子の形状や材料によって決まる電子放出の閾値Vthが定義できる。この電圧Vthを基準として、その前後に電圧(素子に印加する電圧)を調整することによって、電子放出量を数桁調整することができる。例えば、走査配線と信号配線の各交点に上述した電子源を設けた場合に、走査配線に|Vy|<Vthとなる選択電圧Vyを印加し、信号配線にVx−Vy>Vthとなる選択電圧Vxを印加すればよい。それにより、そのような選択電圧を印加した走査配線と信号配線に接続された電子源からのみ電子を放出させることができる。上述した電子源は、構成が単純なパッシブマトリックス駆動型の画像表示装置に好適に用いることができる。
【0046】
(前面基板の構成)
以下、前面基板102の構成について詳しく説明する。
【0047】
前面基板102は、透明且つ絶縁性の基板であり、その表面(背面基板側の面)に、電子線励起により発光する発光部材を有する。発光部材は表示パネル外に設けられた高圧電源によって背面基板の電位に対して数キロボルトから数十キロボルト高い電位に保たれる。発光部材には蛍光体層を有する画素領域が形成されている。
【0048】
図8は画素領域の一部の構成を示す図である。図8において、R、G、Bは赤、緑、青の3原色に対応したサブ画素である。また、図8に示すように、各サブ画素はブラックマトリックス(BM)によって分離されていることが好ましい。これにより、発光色(蛍光体層の発光)の混色を防止すると共に、外光反射を抑制することができる。その様子を、図9に示す。
【0049】
図9は、図8の線分B−B’によって得られる断面図である。図9において、102は前面基板、131は蛍光体層(Ph)、132はブラックマトリックス層(BM)である。前面基板102の材料は、背面基板と同一であることが好ましい。それにより、温度による表示パネルの反りを抑制することができる。蛍光体層131の材料(蛍光体材料)としては、R、G、B毎に異なる材料が用いられる(後で詳しく説明する)。ブラックマトリックス層132の材料としては、カーボンブラック、酸化鉄などの黒色材料を含有したものを用いることができる。具体的には、ブラックマトリックス層132は、発光色の混色と外光反射の抑制のために、400nm〜760nmの可視光に対する光学吸収率が高いことが好ましい。
【0050】
図9の例では、蛍光体層131の背面基板側にメタルバック層(MB)134、蛍光体層131の前面基板側にカラーフィルター層(MF)133が設けられている。カラーフィルター層133を設けることにより、発光色の色純度を高めると共に、外光反射を更に抑制することができる。図9の例では、カラーフィルター層133は、蛍光体層131と同様に、ブラックマトリックス(BM)132によって分離されている。
【0051】
また、蛍光体層間は電気的に高抵抗の部材で接続されていることが好ましい。それにより、蛍光体層間を伝導する電流を制限することができる。具体的には、前面基板と背面基板の間で不意の放電が生じたときに、放電電流に負のフィードバックを加えることができ、放電電流の発散的増大を抑止することができる。このため、ブラックマトリックス層132は電気的に高抵抗であることが好ましく、メタルバック層134は蛍光体層131に対応するように高抵抗の部材で分離されていることが好ましい。図9の136は、蛍光体層131に対応するようにメタルバック層を分離する高抵抗部(HR)である。
【0052】
本実施形態では、蛍光体層131、ブラックマトリックス層132、カラーフィルター層133、メタルバック層134、及び、高抵抗部136を併せたものを発光部材と呼ぶ。高圧電源は、例えば、メタルバック層134に高電圧を印加する。それにより、(メタルバック層134を透過して)蛍光体層131に入射した電子を回収することができる。メタルバック層134は、蛍光体層131の発光を前面基板側に反射する機能も有する。
【0053】
電子源から放出された電子は、メタルバック層134を透過して蛍光体層131に衝突するため、メタルバック層134は電子線透過率が高いことが好ましい。これにより、蛍光体層131への電子の到達効率を高めることができる。また、メタルバック層134の蛍光体層131側の表面は平滑且つ光学反射率が高いことが好ましい。これにより、蛍光体層131の発光を効率的に表示パネルの外側へ反射することができる。電子線透過率は材料の比重に略反比例するため、メタルバック層134の材料としては、アルミニウムなどの軽金属を好適に用いることができる。また、電子線透過率はメタルバック層134の膜厚の増加に対して指数関数的に減少するため、メタルバック層134の膜厚は基本的に薄い方がよい。しかしながら、極端に膜厚を薄くすると、ピンホールの発生頻度が増加す
るため、メタルバック層134の膜厚は100nm程度が好適である。
【0054】
蛍光体層131としては、直径が数ミクロン程度の蛍光体粒子を積層したものを用いることができる。赤色蛍光体しては、ユーロピウム賦活イットリウムオキサイド(Y:Eu)やユーロピウム賦活イットリウムオキシサルファイド(YS:Eu)などを用いることができる。緑色蛍光体としては、銅・アルミ賦活硫化亜鉛(ZnS:Cu,Al)やテルビウム賦活イットリウムシリケート(YSiO:Tb)などを用いることができる。青色蛍光体としては、銀、塩素賦活硫化亜鉛(ZnS:Ag,Cl)や銀、アルミ賦活硫化亜鉛(ZnS:Ag,Al)などを用いることができる。
【0055】
蛍光体層131は、具体的には、1mJ/cm程度の高エネルギー密度でのパルス励起おいて発光効率が高いこと、発光の残光時間(減衰時間の1/100倍)は4ms程度であること、が好ましい。また、蛍光体層131は、色純度が高いこと、即ち、網膜中の視細胞のうち対応する色の視細胞を選択的に刺激する波長の光を発光することが好ましい。具体的には、赤色(R)に対応する蛍光体層は640nm以上、緑色(G)に対応する蛍光体層は520nm付近、青色(B)に対応する蛍光体層は460nm以下に発光ピークを有することが好ましい。更に、蛍光体層131は、長時間の電子線照射による発光効率の低下が小さいこと、温度変化による発光効率の変動が小さいこと、が好ましい。しかしながら、これら全ての長所を兼ね備えた蛍光体は存在しないのが実情である。例えば、赤色蛍光体YS:Euは、温度特性が劣る(温度変化による発光効率の変動があまり小さくない)が色純度は高い。一方、Y:Euは発光色特性が劣る。また、蛍光体層131の表面に、酸化膜などの表面保護層を設けてもよい。それにより、発光効率の経時変動を抑制することができる。
【0056】
なお、メタルバック層134上(背面基板側)にゲッタ層を設けることが好ましい。ゲッタ層は、表示パネル内の残留ガスや放出ガスを吸着・排気する機能を有する。それにより、表示パネル内を高真空に維持することができる。ゲッタ層としては、反応性の高い金属膜を用いることができる。具体的にはバリウムなどの蒸着膜(蒸発型ゲッタ(Evaporable Getter))や、チタン、バナジウム、ジルコニウムなどからなる薄膜(非蒸発ゲッタ(NEG))などを好適に用いることができる。図10はゲッタ層を設けた場合の前面基板の断面を示す模式図である。図10の例では、高抵抗部(HR)は、その幅が背面基板側で広くなるような台形(テーパ)形状を有する。これにより、ゲッタ層をメタルバック層134上に蒸着する際に、サブ画素間(メタルバック層134間)の短絡を防止することができる。
【0057】
(スペーサーの構成)
以下、スペーサー105の構成について詳しく説明する。
【0058】
図1の例では、画面左右方向に伸びた板状のスペーサーが4つ示されている。また、図3に示すように、スペーサー105は表示パネル内において背面基板と前面基板(正確には発光部材)に当接するように設けられている。
【0059】
スペーサー105は、画像との干渉を生じないように設けられる。即ち、スペーサー105は、発光部材と平行な面において、蛍光体層、電子源などに重ならないように設けられる。例えば、スペーサー105は、前面基板裏側ではブラックマトリックス上に、背面基板側では電子源を避けた位置(信号配線上、走査配線上など)に当接させることが好ましい。
【0060】
スペーサーの形状は、図1及び図2に示すような板状に限らない。例えば、スペーサーの形状は円柱形状などでもよい。板状のスペーサーの場合はその厚さが、円柱形状の場合
はその直径が、蛍光体層間の幅(ピッチ)よりも十分短い長さであればよい。
【0061】
また、スペーサーの数は4つに限定されるものではない。スペーサーの数は、その材質・形状によって決定される。板状のスペーサーの長手方向は、図1に示すように画面左右方向ではなく、画面上下方向に向いていてもよい。
【0062】
スペーサーの材料は、絶縁体または高抵抗体であることが好ましい。スペーサーが絶縁体で構成されている場合、スペーサーの表面を高抵抗材料で被覆することが好ましい。
【0063】
具体的には、電子源から放出された電子の一部はメタルバック層や蛍光体内の原子核によって弾性的に後方散乱することがある。そして、スペーサーの設置位置からスペーサー高さ(前面基板と背面基板の間の距離)の約2倍以内の距離にある電子源から放出された電子が、最終的にスペーサー表面へと飛来する。その結果、スペーサー表面が帯電してしまうのである。この様子を図11に示す。スペーサーの帯電量は、スペーサー表面の2次電子放出効率分布と、スペーサーへの飛来電子の密度(電流密度)分布に依存する。具体的には、スペーサーの帯電量は、2次電子放出効率から1を差し引いたものと、飛来電子密度(電流密度)の積に略比例する。このためスペーサー表面の電荷分布は不均一となり、スペーサー近傍の電界が歪曲してしまう。このような電界の歪曲は、スペーサー近傍の電子の軌道、スペーサー近傍の電子源の放出効率に影響を及ぼす。
【0064】
したがって、スペーサー表面に帯電電荷が蓄積されることによる電界の歪曲を防止するために、スペーサー表面は低抵抗であるほど好ましい。しかしながら、前面基板と背面基板の間には強電界が発生されるため、低抵抗のスペーサーではジュール熱の発生が過剰となり、そのような発熱に起因する不具合が生じやすくなってしまう。スペーサーが絶縁体で構成されている場合に、スペーサーの表面を高抵抗材料で被覆することが好ましいのはこのためである。スペーサーの抵抗値(またはスペーサーの表面を被覆する高抵抗材料の抵抗値)は、帯電電荷の除電能力や電力消費(前面基板と背面基板の間に発生させる電界の強度など)などに基づいて決定することが好ましい。
【0065】
また、スペーサー表面の帯電を抑制するために、スペーサー表面での2次電子放出効率が常に1となるように異種材料を組み合わせることが好ましい。正帯電となりやすい部分に微小な凹凸構造を設けてもよい。それにより、2次電子放出効率が高い場合であっても、凹部内に飛来した電子がトラップされるため、実効的な2次電子放出効率を低減することができる。
【0066】
以上述べたように、スペーサーは、スペーサーを伝導する電流とスペーサー表面の抵抗分布とによって生じる電圧降下の分布(帯電量の分布)によるスペーサー近傍の電界の歪みが最小となるように抵抗および形状が設計されていることが好ましい。
【0067】
(駆動回路及び制御系の構成)
以下、駆動回路(Xドライバ106、Yドライバ104)及びその制御系(制御基板122上の各構成要素)の構成について説明する。ここでは、表示パネルが線順次駆動される場合について説明する。
【0068】
Yドライバは、フレーム毎に垂直同期信号を受信後、水平同期信号を受信するごとに、選択電圧を印加する走査配線を順次シフトする。Xドライバは信号配線の各々に対し水平同期信号を受信するごとに画像表示用のパルス信号(選択電圧)を印加する。これにより、同一走査配線上の複数の電子源が同時に選択される。
【0069】
選択された電子源に対応する蛍光体層の発光強度は、その電子源からの電子放出量およ
び放出時間に依存する。具体的には、電子源に印加されるパルス信号の波高およびパルス幅によって決まる。
【0070】
波高およびパルス幅に対する発光強度の依存性は、蛍光体の種類や励起条件によって異なる。図12は、青色蛍光体ZnS:Ag,Cl、及び、赤色蛍光体YS:Euの発光効率とエネルギー密度の関係を示したものである。発光効率は、発光部材の単位面積あたりから発せられる光束(lm)に対する発光部材の単位面積あたりに注入されるパワー(注入された電子の総エネルギー;W)の比である。エネルギー密度とは、1つのパルスによって発光部材に注入された単位面積あたりのエネルギーであり、前面基板と背面基板の間の電位差と、パルス幅と、波高との積を、蛍光体層1つあたりの電子が照射される面積で除したものである。
【0071】
図12において、▲、◆は、それぞれ、赤色蛍光体YS:Eu、青色蛍光体ZnS:Ag,Clに対してパルス幅を10マイクロ秒程度とし、波高によりエネルギー密度を変調した場合の発光効率の変化を表す。一方、△、◇は、それぞれ、YS:Eu、ZnS:Ag,Clに対し10マイクロ秒を基準としてパルス幅によりエネルギー密度を変調した場合の発光効率の変化を表す。
【0072】
図12に示すように、発光効率は、いずれの場合もエネルギー密度の増加により低下する。しかしながら、YS:Euではパルス幅によりエネルギー密度を変調した場合と、波高によりエネルギー密度を変調した場合とで、エネルギー密度による発光効率の依存性が互いに等しくなるのに対し、ZnS:Ag,Clでは異なっている。具体的には、ZnS:Ag,Clでは、波高によりエネルギー密度を変調した場合の方が、パルス幅によりエネルギー密度を変調した場合よりも、大きな発光効率の低下を示す。
【0073】
このようなずれは、YS:Euでは、発光の残光時間(発光寿命)が100マイクロ秒程度であり、パルス幅に対して十分長いのに対し、ZnS系では、発光寿命が3マイクロ秒程度であり、パルス幅と同程度であるために生じる。具体的には、エネルギー密度の増大に伴い基底状態にあるキャリア(励起可能なキャリア)の数が減少するため、発光効率が減少するが、パルス幅と発光寿命が近い場合には、励起パルス幅の増大に伴い、基底順位に戻るキャリアの数が増大する。そのため、上述したようなずれが生じる。
【0074】
したがって、表示パネルでは、波高とパルス幅をそれぞれ変調した場合に対する発光強度の変化を蛍光体層毎(サブ画素毎)に参照可能とすることが好ましい。具体的には、フラッシュメモリ(EEPROM)113に、CPUを動作させるためのソフトウェアおよび補正情報を記憶しておけばよい。そして、CPU110が、I/F111を介して入力される画像を、高速参照用にRAM112にフラッシュメモリ113から一時的に記憶された補正情報に基づいて補正(演算加工)し、補正された画像をXドライバおよびYドライバへ出力すればよい。補正情報は、例えば、波高とパルス幅に対する蛍光体の発光強度に関する情報や、電子源ごとの電子放出特性のばらつきに対して画像を逆補正するための情報などである。逆補正のための情報は、電子源の電子放出特性のばらつきに起因する発光強度のばらつきを無くすように、波高・パルス幅をサブ画素単位で増減するためのルックアップテーブル(LUT)である。電子源の電子放出特性のばらつきに起因する発光強度のばらつきは、表示パネル製造時にあらかじめ計測される。
【0075】
以上述べたように本発明の適用可能な画像表示装置では、電子源製造時のばらつきに起因した画素間の発光強度むら(輝度むら)の影響を入力された画像に対してリアルタイムで逆補正することによって、画像のムラやザラツキを低減することができる。
【0076】
しかしながら、電子源製造時のばらつきは、画像表示装置を長時間動作することによっ
て変動してしまう。そのため、逆補正に用いる情報(補正情報)を適宜更新する必要がある。本発明の実施形態に係る画像表示装置によれば、そのような問題を解決することができる。本実施形態に係る画像表示装置について、以下に詳しく説明する。
【0077】
<本実施形態に係る画像表示装置>
図13は本実施形態に係る画像表示装置の構成を示す図である。本実施形態に係る画像表示装置では、電子源と発光部材との間を伝導する電流(放出電流)を精度よくモニターすることができる。
【0078】
図13において、108は、前面基板102(具体的には発光部材107)に高電圧を印加する(前面基板102と背面基板101(発光部材107と電子源109)の間に強電界を発生させる)ための高圧電源である。この高電圧の値は、数kVから数十kVの範囲の値であって、一定に保たれることが好ましい。
【0079】
119は、高圧電源内(出力部分)の抵抗値RhおよびインダクタンスLhを示している。RhとLhは、高圧電源を非動作状態とし、高圧電源の高圧側の出力部分と低圧側の出力部分(図中、高圧電源のGnd側)との間にインピーダンスアナライザを接続することによって測定できる。
【0080】
115は、電子放出素子からの放出電流を検出するために、発光部材107と高圧電源108の間に接続された電流検出器である。電流検出器115の設置位置は、可能な限り前面基板(発光部材)に近い位置が好ましい。そうすることにより、高圧配線(高圧電源108と発光部材107とをつなぐ配線)上の容量成分の影響を回避することができる。電流検出器115としては、アイソレーションアンプなどの差動型の電流検出器、電流トランスや磁気抵抗素子などの微分型の電流検出器などを好適に用いることができる。なお、電流検出器115は、高圧電源の低電圧出力側(接地側)に設置してもよい。但し、その場合、高圧電源駆動用の電流を併せてモニターする必要がある。また、高圧電源全体を電磁遮蔽する必要が生じる場合がある。
【0081】
電流検出器115は、制御基板122上のCPUに接続されたアナログ−デジタル(A/D)変換器114に接続されている。A/D変換器114は、電流検出器115での検出波形を離散的にサンプリングしてデジタル信号化し、CPUへと受け渡す。電流検出器115とA/D変換器114の間に電圧増幅器を設けてもよい。また、CPU110がA/D変換機能を有する場合には、A/D変換器114は省略してもよい。
【0082】
そして、CPU110は、電流検出器115の検出結果に基づいて、電子放出素子に印加する電圧(走査配線や信号配線に印加する電圧)を制御する。本実施形態では、電流検出器115で検知した電流の変動が生じた場合に、あらかじめ測定しておいた発光効率のパルス幅依存と電流依存の関係を用いて、パルス幅をその変動分に応じた分だけ調整することにより、電子放出素子の放出特性を補償する。
【0083】
116は、バイパスコンデンサである。バイパスコンデンサの一端は、高圧電源108と電流検出器115の間に接続され、他端は、電位規定電極に接続されている。なお、この電位規定電極の電位は、背面基板101と同電位とする。電子源と発光部材との間に流れる電流は、一般に、電流検出器115に表示パネルに蓄積された電荷が流れることにより検出される。そのため、検出の際に時間的な遅れが生じてしまい、検出された電流の波形がなまってしまうという問題があった。本実施形態では、バイパスコンデンサ116を設けることにより、電流検出器115を流れる電流をバイパスコンデンサ側からも供給できるようになるため、上述したような波形の訛りを防止することができる。
【0084】
118は、バイパスコンデンサと高圧電源の間に直列に設けられた抵抗値R1の抵抗及びインダクタンスL1のインダクタである。117は、バイパスコンデンサと電流検出器の間に直列に設けられた抵抗値R2の抵抗及びインダクタンスL2のインダクタである。
【0085】
電流検出器115による電流の検出結果の一例を、図14を用いて説明する。図14に示す電流の値(縦軸)は、1本の走査配線上の電子源のみを駆動したときに検出された電流をA/D変換器114でサンプリングしたものである。
【0086】
図14において、電流波形の立ち上がり部分より時間的に前の区間をベースライン区間A、電流波形の立ち下がり部分より後の区間(電流の値がベースライン区間Aと同等のレベルに達した時点より後の区間)をベースライン区間Bとする。ベースライン区間Aとベースライン区間Bの間の区間、即ち、電子源を駆動したことにより検出された電流を含む区間を信号区間とする。信号区間、ベースライン区間A、ベースライン区間Bでの電流の値の平均値をそれぞれS、B1、B2とすると、電子源と発光部材との間に流れる電流(発光部材に衝突した電子の量;パネル電流;放出電流)は、S−(B1+B2)/2で表すことができる。この値を表示パネルの駆動時間の経過に対して逐次測定することにより、パネル電流(放出電流)の変動をモニターすることができる。検出された電流のピーク位置からベースライン区間Bまでの時間(緩和時間)は、高圧配線上に接続された抵抗やインダクタ、発光部材の画素間(蛍光体層間)の抵抗、前面基板と背面基板の間の容量(静電容量;パネル容量)などに依存する。ベースライン区間Bまでの緩和時間とは、電流波形の立ち下がり部分の緩和時間であって、例えば、波形のピークからベースライン区間Bまでの時間のことである。なお、本説明ではピークからベースライン区間Bまでの時間を緩和時間としたが、ピークからベースラインまでの半分や1/10に達する時間などを用いた場合も同様である。
【0087】
本実施形態では、バイパスコンデンサの静電容量Cpを、

Cp>C_panel=εA/d

とする。ここで、εは真空の誘電率、Aは画像表示部(発光部材)の面積、dは前面基板と背面基板の間の距離であり、C_panelはパネル容量である。なお、CpがC_panelの10倍以上の大きさであることが好ましい。以下に、その理由について説明する。
【0088】
図15は、1本の走査配線上の電子源を駆動したときのパネル電流(図15における矩形波形の電流)と、そのときに電流検出器で検出された電流(検出結果)とを示す図である。図15では、検出結果として、バイパスコンデンサの容量がパネル容量の10倍、2倍、1倍および0倍(バイパスコンデンサ無し)である場合の結果を例示している。なお、図15に示す検出結果は、高圧電源の出力電圧にノイズ成分が無く(リップル成分の振幅が0)、前面基板上において、高圧端子(高圧配線が接続される端子)と発光部材の間は1kΩの抵抗を有し、パネル容量は5nFであると仮定した場合の結果である。
【0089】
図15から、電流検出器で検出された電流(電流波形)の振幅(例えば、波形の最大値−最小値)は、バイパスコンデンサの容量に依存することがわかる。また、バイパスコンデンサの容量がパネル容量と等しい(1倍)場合、その振幅はパネル電流の約半分となることがわかる。これは、「1倍」の場合、パネル電流のうち約半分が表示パネルに蓄積された電荷の流れによるものであり、残りの約半分がバイパスコンデンサからの電流によるものだからである。電流検出器を流れる電流の振幅は、バイパスコンデンサの容量Cpがパネル容量の1倍を下回ると急激に減少し、波形の立ち上がりが鈍くなる。すなわち、波形のなまりが増大する。そのため、バイパスコンデンサの静電容量Cpを、パネル容量よ
り大きくするのである。
【0090】
バイパスコンデンサを設けたことによる作用効果(電流検出精度の向上効果)について図16を用いて説明する。
【0091】
高圧電源は、一般に、パルス型やサイン波型の交流電圧を巻線トランスや誘電トランスによって昇圧し、整流回路で整流する構造を有している。そのため、パルスやサイン波の発振周波数に同期したリップルノイズが発生しやすい。特に、画像表示装置に搭載可能な小型の高圧電源では、整流回路のサイズの制約からリップルノイズ抑制が極めて困難となる場合がある。
【0092】
図16は、高圧電源の出力電圧にノイズ成分(リップル成分;リップルノイズ)が存在していた場合の電流検出器による検出結果を示す。図16では、バイパスコンデンサの有無による検出結果の違いを例示している。バイパスコンデンサが無い場合、検出結果の電流波形は、リップルノイズに起因する振動成分を伴った電流波形となる。一方、バイパスコンデンサがある場合、当該振動成分の振幅は抑制される。これは高圧電源で生じるリップルノイズがバイパスコンデンサで吸収されるからである。
【0093】
したがって、パネル容量よりも大きい容量のバイパスコンデンサを設けることによって、電流検出器で検出可能なパネル電流の波形の振幅低下を抑制でき、且つ、高圧電源で発生するリップルノイズの影響を抑制することができる。それにより、検出された電流のS/N比を向上することができるためパネル電流を精度よくモニターすることができる。
【0094】
また、本実施形態では、上述した抵抗及びインダクタ117,118を設けることによりリップルノイズの影響をさらに抑制することができる。
【0095】
具体的には、リップルノイズの影響の抑制効果は、リップルノイズの発振周波数をωとした場合、(((ω(L1+Lh))+(R1+Rh))×((ωL2)+R2))0.5に比例する。しかしながら、インダクタンス成分とキャパシタンス成分の結合に起因して、高圧電源と前面基板の間を流れる電流の発振が起こることがある(図17)。この発振は電流計測においてノイズとなる。そのような発振を抑制するために、抵抗値R1、R2、インダクタンスL1、L2は、

(R1+Rh)>2((L1+Lh)/Cp)1/2

R2>2(L2/(εA/d))1/2

の関係を満たすことが特に好ましい。このような関係を満たすことにより、図18に示すような波形の信号(電流)を検出することができる。
【0096】
次に、本実施形態に係る画像表示装置の電流検出方法の例について説明する。なお、本実施形態では、R色、G色、B色毎(単色毎)に電流を検出する。
【0097】
走査配線毎の放出電流を高精度で測定するためには、検出される電流は、走査配線毎に分離可能であることが好ましい。そこで、本実施形態では、電流検出器は、図19に示すような縞状のパターン(画像)を線順次駆動により表示したときの電流を検出する。具体的には、縞状のパターンは、点灯領域(駆動された電子放出素子が配置された領域)と、非点灯領域(点灯領域以外の電子放出素子が配置された領域)とが、走査方向に交互に並んだパターンである。また、点灯領域の幅は、1本の走査配線に対応する。そして、点灯領域の走査方向の位置が互いに異なる複数のパターンを順次表示することにより、複数の
走査配線の各々に対応する電流を検出する。例えば、点灯領域の走査方向の位置を1つずつ隣の走査配線の位置にずらして複数回表示する。
【0098】
このようにすることにより、走査配線単位で放出電流の変動(電子放出素子の放出特性)を補償することができる。複数の走査配線の各々に対応する電流を時間的に分離することができ、1回の測定で複数の走査配線の各々に対応する電流を高精度で測定することができる。また、走査配線毎の放出電流を短時間で測定することができる。例えば、走査配線本数が1080本である場合、走査配線毎に測定には1080回の測定が必要となる。その場合に、非点灯領域の幅を走査配線30本分とする上記パターンを用いれば30+1=31回の測定で済む。
【0099】
また、第1の点灯領域と第2の点灯領域の間の非点灯領域の幅は、第1の点灯領域に対応する電子放出素子を駆動したときに検出される電流が基底値に戻った後で、第2の点灯領域に対応する電子放出素子が駆動されるように設定されていることが好ましい。なお、第1の点灯領域、第2の点灯領域は、1つの非点灯領域を挟む2つの点灯領域である。そうすることにより、複数の走査配線の各々に対応する電流を確実に分離することができる。具体的には、検出された電流の緩和時間を、1走査配線の選択時間(水平同期周波数の逆数)で除算することによって得られる本数を基準(当該本数以上)とすればよい。例えば、パネルの駆動周波数を60Hz、走査配線本数を1080本、緩和時間を300マイクロ秒とする。そして、1走査配線の選択時間が約15マイクロ秒であったとすると、緩和時間300マイクロ秒は、300/15=20本分(走査配線)に相当する。そのため、非点灯領域の幅は走査配線20本を基準として定められる。具体的には、若干の余裕を考慮して20本以上の本数(例えば、30本)に設定される。
【0100】
線順次駆動方式の画像表示装置を長時間駆動させた(画面(映像が表示される面:表示領域)全体を白色で表示し続けた)場合、図20に示すような、画面左右方向に伸びたスジ状の焼き付きが生じることがある。この理由としては、例えば、発光部材での散乱電子がスペーサーに長時間照射したことによるスペーサー表面の2次電子放出効率の変動、Xドライバの出力抵抗の変動、電子放出素子の放出特性の走査配線単位での変動などが考えられる。
【0101】
焼き付きは、例えば、図20のように、1本の走査配線上において左右の端から中央に向かうにつれ、輝度値が連続的に変化(低下)することにより生じる。具体的には、そのような変化において輝度値の最大値と最小値の差が0.7%程度より大きい場合に「焼きつき」として利用者に不快な印象を与える。
【0102】
そこで、本実施形態では、走査配線を、その長さ方向に複数のセグメントに区分する。そして、点灯領域は1つのセグメントに対応する長さを有するものとし、電流検出器は、点灯領域の長さ方向の位置が互いに異なる複数のパターンを順次表示することにより、走査配線の複数のセグメントの各々に対応する電流を検出する。それにより、画面の上下方向(走査方向)だけでなく左右方向についても電子放出素子の放出特性を補償することができる。図21は、走査配線を、その長さ方向(左右方向)に4つのセグメントに区分し、1つのパターン内における点灯領域の長さ方向の位置を全て同じとした場合の例である。
【0103】
実際の測定は、例えば、1つのパターン内における点灯領域の長さ方向の位置を全て同じとし、点灯領域の長さ方向の位置が互いに等しい全てのパターンを、順次表示する。1つのパターンは線順次駆動により表示する。具体的には、通常の画像表示時の周波数と同様の周波数を用いて1パターンあたり5回点灯する。他の走査配線についても同様に行う(非点灯領域の幅を走査配線30本分とした場合、31本分行う)。そして、A/D変換
器が、当該表示により検出(測定)された電流値を水平同期周波数の4(セグメント数)倍のレートでサンプリングし、RAM112へ一時的に記録する。そして、CPU110が、記録された電流値(電流波形)からパネル電流(または、パネル電流に対応する値)を算出し、RAM112に記憶する。例えば、RAM112に分割領域のパネル電流を記憶する領域が予め定められており、算出されたパネル電流は当該記憶領域に書き込まれる。
【0104】
1つの点灯領域の位置について測定(検出)が完了した後、点灯領域の長さ方向の位置を切り換え、同様の処理を行う。例えば、点灯領域の長さ方向の位置を隣のセグメントの位置へと順次切り換える。即ち、当該切り換えはセグメントの数だけ行われる。全てのパターンを表示し終えたところで測定が完了する。そして、CPU110が、予め用意されたソフトウェア(ファームウェア)に従って、走査配線や信号配線に印加する電圧を制御する。具体的には、CPU110は、測定・記録されたパネル電流を、予め記憶された初期値と比較することにより、パルス幅を決定する。そして、電子放出素子の放出特性のばらつきを補正するためのルックアップテーブルLUTを書き換える。なお、ファームウェアはフラッシュメモリ113に記憶してある。
【0105】
電流変動のパルス幅による補償は、例えば、予め測定しておいた蛍光体ごとの発光効率の電流およびパルス幅依存特性を参照して行う。各点灯領域の長さの中心部分では、その点灯領域での平均値を用い、(長さ方向に隣接する)点灯領域間の電流変動は、各領域での平均値を補間したものを用いればよい。補間には、ベジエ曲線や多項式によるフィッティングなどを用いることができる。上述の測定では、点灯領域毎に、RGB単色の横縞が上下方向にスクロールする画像表示が行われる。本実施形態の例では、画像の総点灯時間は30秒程度となる。
【0106】
この測定は、例えば、画像表示装置の動作終了時などに行えばよい。動作終了時であれば、ユーザーに不快な思いを抱かせることなく測定することができる。また、当該測定は、画像表示装置の動作終了時に毎回実施する必要はない。例えば、不快となるスジ状の焼き付きが生じる時間よりも短い時間毎に測定を行うようにしてもよい。例えば3000時間に1回の頻度で測定を実施するようなタイマーの機能をファームウェアが備えていていてもよい。すなわち、画像表示装置の点灯時間が3000時間の整数倍となった後の動作終了時にのみ、測定を行うようにしてもよい。また、測定を行う場合に、測定前に測定画面(測定時の画面)が表示される旨を警告表示してもよい。それにより、ユーザーは測定中の画面を画像表示装置の故障と誤判断する虞が解消される。そして、ユーザーによる了解を得た場合にのみ測定を行うようにしてもよい。それにより、ユーザーが意図に応じて電子放出素子の放出特性が補正される。なお、ルックアップテーブルLUTの更新中に停電などが生じた場合には、書き換え前の補正テーブルを保存し、次回の動作時に再度計測動作が行なわれるようにすればよい。
【0107】
また、電流測定によるユーザーへの不快感を低減するために、点灯領域の表示順序を画面内上下左右、RGB表示色間でランダム化することによって、擬似的にグレースケールのパターンとする機能をファームウェアに組み込んでもよい。但し、この場合、画面全体分の電流波形を一旦RAMに記憶する必要が生じるため、容量の大きなRAMが必要となる。そのため、制御基板が若干高コスト化するというトレードオフを伴う。
【0108】
以上述べたように、本実施形態に係る画像表示装置によれば、パネル電流の変動を精度よく推定することができる。そして当該変動に応じて電子放出素子に印加する電圧を制御することにより、画質の低下を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、本発明の適用可能な画像表示装置の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1における線分A−A’によって得られる断面図である。
【図3】図3は、背面基板上における走査配線、信号配線、及び、電子源の配置の一例を示す図である。
【図4】図4は、背面基板上における走査配線、信号配線、及び、電子源の配置の一例を示す図である。
【図5】図5は、スピント型電子放出素子の断面模式図である。
【図6】図6は、スピント型電子放出素子の作製方法の一例を示す図である。
【図7】図7は、表面伝導型電子放出素子を概略的に示す斜視図である。
【図8】図8は、画素領域の一部の構成を示す図である。
【図9】図9は、図8の線分B−B’によって得られる断面図である。
【図10】図10は、ゲッタ層を設けた場合の前面基板の断面を示す模式図である。
【図11】図11は、スペーサー表面の帯電状態を示す図である。
【図12】図12は、青色蛍光体及び赤色蛍光体の発光効率とエネルギー密度の関係の一例を示したものである。
【図13】図13は、本実施形態に係る画像表示装置の構成の一例を示す図である。
【図14】図14は、電流検出器による電流の検出結果の一例を示す図である。
【図15】図15は、1本の走査配線上の電子源を駆動したときのパネル電流と、そのときに電流検出器で検出された電流とを示す図である。
【図16】図16は、高圧電源の出力電圧にノイズ成分が存在していた場合の電流検出器による検出結果を示す図である。
【図17】図17は、インダクタンス成分とキャパシタンス成分の結合に起因した電流の発振を示す図である。
【図18】図18は、インダクタンス成分とキャパシタンス成分の結合に起因した電流の発振を抑制した場合の電流波形を示す図である。
【図19】図19は、電流計測時に表示されるパターンの一例を示す図である。
【図20】図20は、焼き付きの一例を示す図である。
【図21】図21は、電流計測時に表示されるパターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
101 背面基板
102 前面基板
107 発光部材
108 高圧電源
109 電子放出素子
110 CPU
115 電流検出器
116 バイパスコンデンサ
117 抵抗及びインダクタ
118 抵抗及びインダクタ
119 高圧電源内の抵抗成分およびインダクタンス成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス状に配置された複数の走査配線と複数の信号配線、及び、それら走査配線と信号配線の交点にそれぞれ対応して配置された複数の電子放出素子を有する背面基板と、
電子の衝突によって発光する発光部材を有する前面基板と、
前記発光部材に高電圧を印加する高圧電源と、
電子放出素子からの放出電流を検出するために、発光部材と高圧電源の間に接続される電流検出手段と、
前記電流検出手段の検出結果に基づいて、前記電子放出素子に印加する電圧を制御する制御手段と、
を有する画像表示装置であって、
一端が前記高圧電源と前記電流検出手段との間に接続され、他端が電位規定電極に接続されたバイパスコンデンサを更に有し、
前記バイパスコンデンサの静電容量Cpは、

Cp>εA/d
ただし、
ε:真空の誘電率、
A:発光部材の面積、
d:背面基板と前面基板の間の距離

であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記高圧電源内の抵抗値をRh、インダクタンスをLhとした場合に、

(R1+Rh)>2((L1+Lh)/Cp)1/2

を満たす抵抗値R1の抵抗とインダクタンスL1のインダクタが、前記バイパスコンデンサと前記高圧電源の間に直列に設けられており、

R2>2(L2/(εA/d))1/2

を満たす抵抗値R2の抵抗とインダクタンスL2のインダクタが、前記バイパスコンデンサと前記電流検出手段の間に直列に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記電流検出手段は、1本の走査配線に対応する幅をもつ点灯領域と、非点灯領域とが、走査方向に交互に並んだ縞状のパターンを線順次駆動により表示したときに流れる電流を検出するものであり、
点灯領域の走査方向の位置が互いに異なる複数のパターンを順次表示することにより、複数の走査配線の各々に対応する電流が検出される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記走査配線はその長さ方向に複数のセグメントに区分され、
前記点灯領域は、1つのセグメントに対応する長さをもち、
前記点灯領域の長さ方向の位置が互いに異なる複数のパターンを順次表示することにより、走査配線の複数のセグメントの各々に対応する電流が検出される
ことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
第1の点灯領域と第2の点灯領域の間の非点灯領域の幅は、第1の点灯領域に対応する電子放出素子を駆動したときに検出される電流が基底値に戻った後で、第2の点灯領域に対応する電子放出素子が駆動されるように設定されている
ことを特徴とする請求項3または4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記電子放出素子は、表面伝導型電子放出素子である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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