説明

画像表示装置

【課題】屋外の昼と夜のように周囲の明るさが大きく変化したり、日陰や、車のライト、などによるスクリーン周辺照度が不均一になってしまったりする環境において、スクリーン上の表示画像の視認性を大幅に向上させることが可能な画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置の筐体の周囲の照度を検出する照度センサ7a,7b,7c,7dと、その検出照度に相当するデータに変換する検出照度判別部41と、時刻を検出する時計9と、2個の光源31aと31bと、その光源を制御する光源制御部37と、検出照度判別部41と時計9の結果をもとに光源制御部37へ目標とする本装置の画像輝度の情報を渡すマイコン42とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置する画像表示装置に関するもので、詳しくは、屋外の照度に適したスクリーン上の表示画像の視認性を大幅に向上させるとともに、夜間における消費電力を低減させる投写型の画像表示装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置の大型化、高輝度化、高精細化の進展とネットワーク環境の普及に伴って、従来の街灯ポスターなどに代わり、映像媒体による電子広告の配信ビジネスが急速に拡大している。街頭ポスターでは広告内容を変更するたびにポスターの貼り替え作業等が発生するが電子広告では配信サーバのコンテンツを変更するのみで瞬時に広告内容の変更が可能となり有用な広告媒体として注目されている。
【0003】
電子広告では不特定多数の視聴者を対象に、大型の画像表示装置を屋外の公共の場所などに設置して使用する。映像を室内で利用する場合と異なり、屋外広告に利用する場合には、高精細度かつ高輝度の表示画像が不可欠の要件であるなど、大型画面における表示品質の確保が最も重要な課題となる。
【0004】
大型画面を表示する場合には、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、LEDなどの表示装置により直接大画面表示を行う方法と、プロジェクタにより画像情報を拡大投写して表示する方法を利用することができる。
【0005】
このうち、LEDを用いた表示装置は、高輝度の画像を提供することができるが、画素ピッチが粗いため、高精細にしようとすると、画面サイズを大きくしなければならず、結果として高コストになっていた。また、画面の大画面化に伴い、消費電力も増加する。
【0006】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイを使用する方法は、高精細の画像を提供することができるが、通常、屋外用ディスプレイでは輝度が不十分であり、高輝度を得ようとすると消費電力が極めて大きくなるという問題がある。さらにこれらの直視型のディスプレイは、パネル部分が直射日光に曝されると、パネル内部に近接して配置されているディスプレイ構成素子の温度が上昇し、性能が劣化する。
【0007】
一方、プロジェクタを利用する方法は、ミラーを介して映像を透過型スクリーンへ投写する背面投写型(リア型)プロジェクタまたは、映像を直接反射型スクリーンに投写する前面投写型(フロント方式)プロジェクタの2つの方式が利用可能であり、投写ユニットがスクリーンから離れて設置されるため、直視型のディスプレイに比べて、直射日光の影響を低減することが可能である。
【0008】
特許文献1,2には、従来の屋外の電子広告等に使用する画像表示装置として、投写型プロジェクタを利用する例が開示されている。
【0009】
しかしながら、プロジェクタを屋外において使用する場合には、直射日光が直接投写スクリーンに照射する昼間とそうでない夜間とでは、スクリーンの明るさが大きく変化する。また同じ昼間であっても屋外においては、天候をはじめ視認性に影響を与える種々の環境変化が予想される。そのような状況においても良好な視認性を確保することが強く求められる。
【0010】
また、夜間において、昼間でも十分に視認性を確保できる明るさで画像を表示させることは、まぶしさによる視認性低下及び、消費電力増加の原因となる。
【0011】
特許文献3〜6には、プロジェクタ等の画像表示装置の表示画面の視認性を向上する例として、周囲に照度センサ等の周囲照度検出手段を備え、照度センサの検出照度に応じて輝度、コントラスト、色度などを補正する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−298311号公報
【特許文献2】特開2001−209125号公報
【特許文献3】特開2001−109434号公報
【特許文献4】特開2003−29203号公報
【特許文献5】特許第3714856号公報
【特許文献6】特開2008−3137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献に示された従来技術は、直射日光が照射する昼間と夜間などのように大きく明るさが変わる環境で、視認性の確保を考慮したものであるが、日陰や車のライト等によるスクリーンの明るさ変化が生じる環境において、視認性維持は困難であった。例えば、昼間においてスクリーンに日射があたり、画像の明るさが求められる状況において、局所的な日影が照度センサを覆い、検出照度が低下したりすることで、表示画像は暗くなり視認性低下を招く。
【0014】
また夜間のような、周囲が暗く、画像の明るさが求められない状況において、照度センサに車のライトや、街灯が照射すると、検出照度が大きくなる結果、表示画像が不必要に明るくなり、視認性低下及び消費電力増加を招いてしまう。従来技術においては、このような環境に対して十分な検討がなされていなかった。
【0015】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、屋外の昼と夜のように周囲の明るさが大きく変化したり、局部的あるいは一時的に明るさが変化したりすることによって誤動作する環境において、スクリーン上の表示画像の視認性を大幅に向上させることができるとともに、夜間の過剰な高輝度化を避けて、夜間の消費電力を低減させることが可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の画像表示装置は、
光源と、前記光源の光を変調する光変調デバイスからなる画像表示手段と、前記画像表示手段により投写した投写画像を表示するスクリーンと、周囲の照度を検出する照度検出手段と、時計とを有する画像表示装置において、前記照度検出手段と前記時計の情報を用い、前記投写画像の輝度を制御する画像輝度制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0017】
このような構成により、夜間の車のライトや、日陰などの外乱による局所的な明るさ変化が発生する状況においても、周囲の明るさに対して適切な画像の輝度を保つことができ、画像の視認性を向上させることができるとともに、夜間の消費電力を改善することができる。
【0018】
また前記画像輝度制御手段は、前記照度検出手段による検出情報を処理する検出照度判別部と、輝度制御処理部を具備し、前記時計と、検出照度判別部のデータをもとに、前記輝度制御処理部の処理を行うことを特徴とする。このような構成により、時刻と画像表示装置の周囲の明るさによって、細かい輝度制御を行うことができるため、より、周囲環境の明るさに応じて、適した視認性が確保できる。
【0019】
また前記輝度制御処理部は、前記照度検出手段から2か所以上の照度を検出し、その取得照度に相当するデータと閾値照度に相当するデータとの比較を行うことを特徴とする。このような構成により、広範囲の照度を確保できるため、局所的な外乱によって、不必要に画像を明るくしたり、暗くしたりすることを防止でき、視認性が向上する。
【0020】
前記閾値に相当するデータは、前記時計による時刻によって変化することを特徴とする。このような構成により、時刻によって予想されるスクリーンの照度と、画像装置が検出した周囲の照度とを比較できるため、外乱による照度変化を推定することができる。
【0021】
前記時計は日付を認識する機能を備えることを特徴とする。このような構成により、時刻に応じた日射量の変化に加え、季節に応じた日射時間の変化を考慮して、周囲の照度を予測できるため、より照度予測が正確になり、予想される周囲の照度と、画像装置が検出した周囲の照度とを比較することで、外乱による照度変化の推定がより正確にできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、屋外の昼と夜のように周囲の照度が大きく変化したり、日射の影、街灯、車のライト等による外乱によってスクリーンの照度が変化したりすることがある環境において、スクリーン上の表示画像の視認性を大幅に向上させるとともに夜間の消費電力を低減させることが可能な画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1における画像表示装置の外観を示す斜視図
【図2】同画像表示装置の構成を示す図
【図3】同画像表示装置の内部構成を示すブロック図
【図4】同画像処理装置の筺体マイコンユニットの内部構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態1における画像処理装置の画像輝度制御を行うフローチャート
【図6】本発明の実施の形態2における画像処理装置の画像輝度制御を行うフローチャート
【図7】本発明の実施の形態2における時刻と照度閾値の関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における画像表示装置1の外観を示す斜視図、図2は、画像表示装置1の構成を示す図である。
【0026】
画像表示装置1は、図1に示すように筺体2の前面にスクリーン6を備える。
【0027】
また画像表示装置1は、図2に示すように筺体2の内部に画像表示手段としての投射型のプロジェクタユニット3、窓4、ミラー5、透過型のスクリーン6および、画像表示装置1の画像輝度制御手段として、筺体マイコンユニット8を備え、さらに、筐体2の前面のスクリーン6の各角付近に、太陽の直射を防止する遮光フード2a、2b、2c、2dを設け、各内部に画像表示装置1の周囲の明るさを検出する照度検出手段として照度センサ7a、7b、7c、7dを備えている。
【0028】
プロジェクタユニット3から出力された画像情報を窓4およびミラー5を経由してスクリーン6に投射することにより、画像を大画面で表示する機能を発揮することができる。プロジェクタユニット3にはパソコンなどの情報処理装置(図示せず)が接続されて、情報提供サービスに必要な画像情報を蓄積し、または通信回線を介して外部から画像情報を入手することができる。
【0029】
また、筐体2内部には時計9が備えられ、筺体マイコンユニット8は時計9及び、照度センサ7a、7b、7c、7dから検出した情報をもとに、プロジェクタユニット3の光源輝度を後述のように制御する。
【0030】
図3は、本画像表示装置1の内部構成を示すブロック図である。
【0031】
プロジェクタユニット3は、2個の光源ランプ31a、31bからの出力光を合成する光合成部30、DMD(ディジタル マイクロミラー デバイス)などの画像表示素子を備えた表示デバイス部35、光合成部30からの出力光を表示デバイス部35に伝搬する集光部34、集光部34によって集光された光を画像信号により変調するデバイス駆動部38、各種フォーマット(コンポジットビデオ、Sビデオ、YPbPr、RGB)の入力画像信号を画像処理に適したフォーマット(3原色RGB)に変換処理等を行う画像入力部39、画像入力部39からの3原色RGB信号を受けて表示デバイス35を駆動するための所定の画像処理を実行する画像処理部40、表示デバイス部35からの出力光をミラー5を経由してスクリーン6に投写する投写部36を備えている。
【0032】
光源制御部37は筺体マイコンユニット8による処理結果を受け、光源ランプ31a、31bの点灯/消灯の制御や、光源ランプ31a、31bの発光強度を制御する。すなわち、周囲が暗いときには、輝度を下げ、周囲が明るい時には輝度を上げることによりスクリーン6上の表示画面の視認性を向上できる。
【0033】
それぞれの光源31a、31bは断面形状が楕円面である凹面鏡の内部に配設されている。光源には超高圧水銀灯を使用し、凹面鏡には、ガラス製機材の内面に赤外光を透過させ可視光を反射させる誘電体光学多層膜が形成されている。
【0034】
光源ランプ31a、31bからの出力光は、凹面鏡によってそれぞれ集光され、合成プリズム32で合成された後、集光レンズ33を経由して集光部34に入射する。
【0035】
集光部34は、集光レンズ(図示せず)およびミラー(図示せず)などを備え、光合成部30からの出力光の進行径路を整えて表示デバイス部35に伝搬する。
【0036】
表示デバイス部35は、全反射プリズム(図示せず)および画像表示素子としての反射型ライトバルブであるDMD(図示せず)を備え、投写画像を形成する。DMDは、画素ごとにミラー素子がマトリックス状に配列され、映像信号に応じて光の進行方向を変調し、反射角の変化として光学画像を形成することができる。
【0037】
表示デバイス部35で形成された光学画像は投写部36に出力され、投写部36の投射レンズにより、ミラー5で屈曲されスクリーン6に投写される。
【0038】
図4は、筺体マイコンユニット8の内部構造を示す図である。検出照度判別部41は照度センサ7a,7b,7c,7dが検出したアナログの照度を、アナログ−デジタル変換回路によりデジタルデータに変換する。マイコン42はその変換されたデジタルデータと、時計9の検出時刻に応じて推測される照度のデジタルデータとを比較することによって、比較結果に応じた適切な画像輝度目標値に相当するデジタルデータを決定し、光源制御部37である光源制御用のマイコンへ通信して渡す。このように時計9を使用し、その時刻の情報を加えて画像輝度を調整することにより、昼間や深夜などの環境の変化に応じた輝度の制御を行うことができ、視認性が向上する。
【0039】
次に、本実施の形態における画像表示装置1の周囲の明るさの変化に対して良好な視認性を確保するための動作を、図5、表1、表2を用いて説明する。
【0040】
図5は本実施の形態における画像表示装置1のマイコン42における制御フローチャート図である。
【0041】
ステップS1において、時計9から検出した時刻と、あらかじめ設定された昼と夜の時刻とを比較し、昼間と夜間の判別を行う。例えば6時〜18時を昼間、0時〜6時及び18時〜24時を夜間であると設定していれば、検出時刻が12時の場合、ステップS2の昼モードに遷移し、20時の場合はステップS6の夜モードに遷移する。
【0042】
まず、ステップS2の昼モードの場合を説明する。ステップS2に遷移後、ステップS3において、光源31a、31bの点灯状態(31a、31bを共に点灯しており、表示画像の輝度を大きくしている状態を以下「2灯モード」と呼び、片方のみを点灯しており、表示画像の輝度を低くしている状態を以下「1灯モード」と呼ぶ)を決定するために、スクリーン周辺の照度をもとに輝度制御判別を行い、ステップS4の「2灯モード」又は、ステップS5の「1灯モード」に遷移し、各モードに応じて31a、31bの点灯状態を表すデジタルデータを光源制御部37へ出力する。ステップS6の夜モードに遷移した場合も同様に、ステップS7の輝度制御判別を通じてステップS8の「2灯モード」又は、ステップS9の「1灯モード」へ遷移し、光源制御部37へデジタルデータを出力する。
【0043】
ステップS3、S7の輝度制御判別の詳細を表1に示す。表1、表2は4つの照度センサの検出照度の組み合わせに応じて、遷移するモード(1灯モード/2灯モード)を割り当てた表であり、表1は昼間の場合、表2は夜間の場合の表である。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
各照度センサの検出照度は検出照度判別部により、デジタルデータ8bit(以下「DAC値」と呼ぶ)、つまり256段階に変換されており、マイコン42はあらかじめ設定された照度の閾値に相当するDAC値と、各照度センサの検出照度に相当するDAC値の大小を比較する。
【0047】
例えば、閾値照度のDAC値が128(1000ルクス相当)で検出照度の大小を比較する場合、照度センサ7aの検出照度のDAC値が0〜127(1000ルクス以下)ならば、閾値よりも検出照度が小さいため、マイコン42は照度センサ7aの周囲は暗い(表1では「L」と表記)と判断し、逆に検出照度のDAC値が128〜255(1000ルクス以上)ならば、閾値よりも検出照度が大きいため、マイコン42は照度センサ7aの周囲は明るい(表1では「H」と表記)と判断する。
【0048】
このように、各照度センサ周辺の明るさを2値で明暗を判断するとすれば、4つの照度センサ7a,7b,7c,7dの判定結果の組み合わせは16通りあり、この16通りのパターンにおけるスクリーンの状況を想定し、遷移するモードを昼間、夜間等の時間帯に応じて設定しておけば、精度よく輝度制御を行うことができるようになる。
【0049】
例えば、表1においてパターン2では、日射がある状態で、障害物等による影によって、照度センサ7bでは暗くなっていると考えられるが、スクリーン上で照度が1000ルクスよりも高い部分の面積が大きいと考えられるため、画面の輝度は大きい状態が有効と考えられ、「2灯モード」に遷移させる。
【0050】
夜モードのパターン15では、照度センサ7aの周辺が、街灯や車のライト等によって、曝されていることが予想されるが、スクリーン上で照度が1000ルクスよりも低い部分の面積が大きいと考えられるため、画像の輝度を下げることが有効と考えられ、「1灯モード」に遷移させる。これにより夜間における無駄な高輝度化を防止することができるとともに、無駄な消費電力を省くことができる。
【0051】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。画像表示装置1の内部構成は、実施の形態1と同じである。但し、実施の形態1では、マイコン42の処理として、照度センサ7a、7b、7c、7dによって検出される各照度をある閾値と大きさを比較し、各照度センサとの判別結果の組み合わせに当てはまるモードに遷移してから、ランプ点灯個数を切り替え、時計9による時刻に応じて表示画像の輝度を「1灯モード」、「2灯モード」を切り替えることにより設定したが、本実施の形態では、マイコン42に使用するランプ点灯モード切替の閾値を、日付を含む時刻に応じて変更する。
【0052】
図6に本発明の実施の形態2のマイコン42における制御フローチャート図を示す。ステップS21において、照度センサ7a、7b、7c、7dによって検出した各照度DAC値La、Lb,Lc,LdのDAC値平均Lを求める。
【0053】
ここで、平均値をとるのは、外乱により一部の照度センサのみが暗くなったり、明るくなっても、その影響を軽減できるためである。詳細は後ほど、図7を用いて説明する。
【0054】
一方でステップS22では、日付込みの時刻によって決定されるモード切替の閾値を求め、ステップS23ではこの閾値と平均値照度Lとを比較し、Lが閾値より小さければ、ステップS25の「1灯モード」へ、Lが閾値より大きければステップS24の「2灯モード」へ遷移し、31a、31bの点灯状態を表すデジタルデータを光源制御部37へ出力する。
【0055】
図7は日付込み時刻と照度閾値の関係例を示した図である。図7(a)は6月1日〜8月31日における時刻に応じた閾値変化、図7(b)は3月1日〜5月31日、9月1日〜11月30日における時刻に応じた閾値変化、図7(c)は12月1日〜2月28日における時刻に応じた閾値変化のグラフである。
【0056】
ここで、図7(a)を例にとって、日射、車のライト等の外乱が発生する環境においても適切なスクリーン輝度を保ち、画像の視認性低下を防止する手法を説明する。
【0057】
本装置による表示画像は例えば、スクリーン面での照度が1000ルクス以上であれば「2灯モード」、1000ルクス以下であれば「1灯モード」が最適であるとの仮定のもと、話を進める。外乱の対策はこの閾値を時刻に応じて変化させることで改善できる。
【0058】
図7(a)ではモードの切り替えの閾値である1000ルクスを昼間(5時〜19時)は800ルクスに下げてある。このようにすることで外乱による視認性低下を以下のように防止することが可能である。
【0059】
例えば、一部の照度センサのみが影になり、La=300ルクス相当、Lb=1000ルクス相当、Lc=1000ルクス相当、Ld=1000ルクス相当になった場合を考える。この場合、照度センサ7a周辺が日陰、照度センサ7b、7c、7d周辺が日射であることが予想され、スクリーンの大部分が日射を浴びて、1000ルクスであると予想され、スクリーンを明るくするために、「2灯モード」に遷移することが望ましい。もし、照度センサが7aの部分のみに取り付けられていた場合は、検出照度が1000ルクスよりも低いため、「1灯モード」に遷移する。ここで、7a、7b、7c、7dの照度センサを用い、検出照度の平均値をとった場合においても、照度値の平均値をとると、825ルクスとなり、閾値1000ルクスよりも低くなってしまう。そこで少し閾値を下げて800ルクスに設定しておけば、このような状況においても「2灯モード」へ遷移する。このように、平均値をとり、閾値を調整することで、局所的な外乱による視認性低下を軽減することができる。
【0060】
夜間(19時〜翌日5時)については、閾値を1000ルクスのままに設定している。なぜなら、例えば、街灯により照度センサ7aのみの検出値が1000ルクス相当、照度センサ7b、7c、7dの検出値がそれぞれ20ルクス相当であるとすると、局所的に照度センサ7a周辺が明るくなったとしても照度センサ7b、7c、7d周辺の照度が低いため、平均照度は265ルクスとなり、外乱によって閾値の1000ルクスを越えることはほとんどないと考えられるからである。
【0061】
このように、各照度センサの平均値をとり、時刻に応じて、閾値を調整することにより、外乱による視認性低下を防止することができる。
【0062】
また、昼間、夜間の時間は日付により異なるため、図7(b)、図7(c)のように季節(日付)に応じて昼間と夜間の設定時間を変化させる。
【0063】
これにより、年間を通じての日射時間の変化に応じてもスクリーン輝度を制御することができ、視認性を向上させることができる。また、夜間においては、外乱によって無駄にスクリーンの輝度を向上させることなく、夜間の消費電力を削減できる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、ライトバルブとして、光の進行方向を変調する反射型のライトバルブを使用しているが、光の偏光方向や散乱状態を変調するタイプのライトバルブや、液晶等の透過型ライトバルブのタイプを用いた場合でも同様の効果を発揮することができる。
【0065】
また、時刻に応じて、照度の閾値を変えるだけでなく、画像の補正処理の度合いを変更してもよい。
【0066】
また、各パターンの制御や照度の閾値は、表1の例の通りでなくとも、消費者が設置場所や使用用途に応じて各パターンの制御を任意に設定してもよい。
【0067】
また、昼モードと夜モードなどの時間によるモードだけでなく、屋内モード、屋外モードのように設置環境に応じたモードを作ってもよい。
【0068】
また、マイコン42で算出した検出照度や時間やその処理結果は画像処理部40にも適用し、表示画像のコントラスト、色度等を制御しても良い。
【0069】
また、一つの照度センサによる検出値は一定時間の平均値を検出値としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば、屋外のように周囲の明るさの変化が大きい環境で使用する画像表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 画像表示装置
2 筐体
2a、2b、2c、2d 遮光フード
3 プロジェクタユニット
4 窓
5 ミラー
6 スクリーン
7a、7b、7c、7d 照度センサ
8 筺体マイコンユニット
9 時計
30 光合成部
31a,31b 光源ランプ
32 合成プリズム
33 集光レンズ
34 集光部
35 表示デバイス部
36 投写部
37 光源制御部
38 デバイス駆動部
39 画像入力部
40 画像処理部
41 検出照度判別部
42 マイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源の光を変調する光変調デバイスからなる画像表示手段と、前記画像表示手段により投写した投写画像を表示するスクリーンと、周囲の照度を検出する照度検出手段と、時計とを有する画像表示装置であって、前記照度検出手段と前記時計の情報を用い、前記投写画像の輝度を制御する画像輝度制御手段とを具備したことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
画像輝度制御手段は、照度検出手段による検出情報を処理する検出照度判別部と、輝度制御処理部とを具備し、時計と、前記検出照度判別部のデータをもとに、前記輝度制御処理部の処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
輝度制御処理部は、照度検出手段から2か所以上の照度を検出し、その取得照度に相当するデータと閾値照度に相当するデータとの比較を行うことを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
【請求項4】
閾値照度に相当するデータは、時計による時刻によって変化することを特徴とする請求項3の画像表示装置。
【請求項5】
時計は日付を認識する機能を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−69941(P2011−69941A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219984(P2009−219984)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】