画像表示装置
【課題】低コストかつ極めて薄型でローカルディミングを可能とするバックライトユニットを備えた画像表示装置を提供すること。
【解決手段】画像表示装置1において、光線の透過率を制御して画像を形成する画像形成領域を有する光スイッチング部材と、可撓性であり、前記光スイッチング部材の背面に配置され、端部に入射面を有する導光部と、前記導光部に連続する照射部を有する複数の導光シートと、前記入射面から光を前記導光部材に導入する複数の光源と、を有し、前記照射部は前記画像形成領域を覆い、その前面が略面一となるように配置され、少なくとも一の前記導光シートの前記導光部は、他の前記導光部材の前記照射部の背面に重ね合わせて配置されるようにする。
【解決手段】画像表示装置1において、光線の透過率を制御して画像を形成する画像形成領域を有する光スイッチング部材と、可撓性であり、前記光スイッチング部材の背面に配置され、端部に入射面を有する導光部と、前記導光部に連続する照射部を有する複数の導光シートと、前記入射面から光を前記導光部材に導入する複数の光源と、を有し、前記照射部は前記画像形成領域を覆い、その前面が略面一となるように配置され、少なくとも一の前記導光シートの前記導光部は、他の前記導光部材の前記照射部の背面に重ね合わせて配置されるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置、特に液晶ディスプレイに代表される非自発光型の画像表示装置には、画像を形成する液晶パネル等の光スイッチング部材の背後にバックライトと呼ばれる平面光源が配置されるものが多い。そして、近年このバックライトを複数の領域に分割し、表示する画像に応じてそれぞれの領域ごとの照明の輝度を変化させる制御をすることにより、画像のコントラスト比を向上させると同時に消費電力の低減を図ることが行われている。この手法は、ローカルディミングと呼ばれている。
【0003】
このローカルディミングを行うバックライトとして、複数の発光ダイオードをアレイ状に配置したものを光源として用いるものが知られている。このとき、発光ダイオードを、その光軸を液晶パネルに向くように配置すると、均一な輝度の照明を得るために光線を拡散しなければならないため、発光ダイオードと液晶パネル間にある程度の距離が必要となる。そのため、液晶表示装置全体の薄型化がむつかしい。
【0004】
そこで、発光ダイオードからの光線を導光板を用いて部分的に拡散する提案がなされている。
【0005】
下記特許文献1には、段差を有する導光板を重ねて組み合わせ、面一の光出射面を形成し、各導光板の端部から発光ダイオードによる光線を入射するバックライトユニットが記載されている。同文献記載のバックライトユニットでは、段差を形成した複数種の導光板を用意しなければならないほか、発光ダイオードをバックライトの幅方向に二段以上重ねて配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−170897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、低コストかつ極めて薄型でローカルディミングを可能とするバックライトユニットを備えた画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
(1)光線の透過率を制御して画像を形成する画像形成領域を有する光スイッチング部材と、可撓性であり、前記光スイッチング部材の背面に配置され、端部に入射面を有する導光部と、前記導光部に連続する照射部を有する複数の導光シートと、前記入射面から光を前記導光シートに導入する複数の光源と、を有し、前記照射部は前記画像形成領域を覆い、その前面が略面一となるように配置され、少なくとも一の前記導光シートの前記導光部は、他の前記導光シートの前記照射部の背面に重ね合わせて配置される画像表示装置。
(2)(1)において、前記導光部と、前記照射部の厚みは略等しい画像表示装置。
(3)(1)又は(2)において、前記導光部の幅は、前記照射部の幅より狭く、前記入射面は直線状に配置される画像表示装置。
(4)(3)において、前記光源は前記入射面毎に対応して設けられ、一の前記入射面に対応する光源からの光が、隣接する他の前記入射面に入光するのを妨げる遮光部材を有する画像表示装置。
(5)(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記光源からの光を前記入射面に導入するための光導入構造を有する画像表示装置。
(6)(5)において、前記光導入構造は、前記光源の前面に配置されたレンズ、前記導光部に形成され、前記入射面において厚さが厚く、前記導光部に向かい厚さが薄くなるテーパ部、前記光源と前記入射面を挟むように配置される一対の反射シートの少なくともいずれかである画像表示装置。
(7)(1)乃至(6)のいずれかにおいて、さらに前記照射部の背面に配置される背面反射シートを有し、前記背面反射シートは、前記照射部と、前記導光部の間に配置される画像表示装置。
(8)(1)乃至(6)のいずれかにおいて、さらに前記照射部及び前記導光部の背面に配置される背面反射シートを有する画像表示装置。
(9)(1)乃至(8)のいずれかにおいて、さらに前記照射部及び前記導光部の背面に、前記照射部及び前記導光部が重ね合わせて配置されることにより生じる段差を補償する段差補償部材を有する画像表示装置。
(10)(9)において、前記段差補償部材は、段差を有する部材、前記段差に応じて配置されるスペーサシートの少なくともいずれかである画像表示装置。
(11)(1)乃至(10)のいずれかにおいて、前記導光部は、前記入射面から前記照射部に向かうに従いその幅が増加する拡幅部を有する画像表示装置。
(12)(1)乃至(11)のいずれかにおいて、前記入射面は、前記画像形成領域の少なくとも異なる二辺に対応して配置され、前記画像形成領域の一の辺に対応して配置された前記入射面を有する前記導光シートの前記照射部は、前記一の辺に隣接しない画像表示装置。
【発明の効果】
【0009】
以上の本出願において開示される発明によれば、低コストかつ極めて薄型でローカルディミングを可能とするバックライトユニットを備えた画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成を示す図である。
【図2】液晶パネルに形成される画素の一つを回路図により示したものである。
【図3】画像表示装置の分解斜視図である。
【図4】導光部材及び発光ダイオード基板の構成及び位置関係を示す平面図である。
【図5】導光シートの形状を示す平面図である。
【図6】図5に示した導光シートの変形例の形状を示す平面図である。
【図7】図4のA−A線による画像表示装置1の拡大断面図である。
【図8】図4のB−B線による画像表示装置1の拡大断面図である。
【図9】図7における発光ダイオードと入射面の関係を示す拡大図である。
【図10】光導入構造として、テーパ部を用いた変形例を示す図である。
【図11】光導入構造として、一対の反射シートを用いた別の変形例を示す図である。
【図12】スペーサシートを示す平面図である。
【図13】背面反射シートを照射部と導光部の間に配置する変形例における背面反射シートを示す平面図である。
【図14】背面反射シートを屈曲させることなく照射部と導光部の間に配置した場合における、図4のD−D線による断面図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置における、導光部材及び発光ダイオード基板の構成及び位置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態について図1乃至図14を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置1の構成を表す図である。同図に示すように、画像表示装置1は、制御装置2と、光スイッチング部材である液晶パネル3と、液晶パネル駆動回路4とを含んでいる。液晶パネル駆動回路4は走査線駆動回路4aと映像線駆動回路4bとを含んでいる。また、画像表示装置1は、バックライトユニット5と、バックライト駆動回路6とを有している。
【0013】
液晶パネル3は矩形であり、その左右方向及び上下方向の長さは、当該画像表示装置1の用途に応じて定められる。また、液晶パネル3は縦長形状(左右方向の長さが上下方向の長さより長い)であっても横長形状(左右方向の長さが上下方向の長さより短い)であっても、左右方向と上下方向の長さが等しくともよい。本実施形態では、画像表示装置1はテレビジョン受像機に用いられることを想定しているので、液晶パネル3は横長形状である。
【0014】
液晶パネル3は一対の透明基板を有している。透明基板の一方の基板であるTFT基板には複数の映像信号線Yと複数の走査信号線Xとが形成されている。映像信号線Yと走査信号線Xは互いに直交しており、格子状に形成されている。そして隣接する2つの映像信号線Yと隣接する2つの走査信号線Xとによって囲まれた領域が1つの画素となっている。
【0015】
図2は、液晶パネル3に形成される画素の一つを回路図により示したものである。図中に示した映像信号線Yn及びYn+1、並びに走査信号線Xn及びXn+1に囲まれた領域が一つの画素となっている。ここで注目する画素は、映像信号線Yn及び走査信号線Xnにより駆動されるものとする。各画素のTFT基板側には、TFT(Thin Film Transistor)3aが設けられている。TFT3aは走査信号線Xnから入力される走査信号によってオン状態となる。映像信号線Ynは当該画素の画素電極3bに、オン状態のTFT3aを介して電圧(各画素の階調値を表す信号)を加える。
【0016】
一方、透明基板の他方の基板であるカラーフィルタ基板にはカラーフィルタが形成されており、TFT基板とカラーフィルタ基板の間に液晶3cが封入されている。そして、画素電極3bと液晶3cを介して容量を形成するように共通電極3dが形成されている。共通電極3dは、共通電位に電気的に接続される。そのため、画素電極3bに印加された電圧に応じて、画素電極3bと共通電極3dの間の電界が変化し、それにより液晶3cの配向状態が変化し、液晶パネル3を透過する光線の偏光状態を制御する。そして、液晶パネル3の表示面と表示面とは反対側の面である裏面には偏光フィルタが貼り付けられている。これにより、液晶パネル3に形成された各画素は、光の透過率を制御する光スイッチング素子として機能する。そして、各画素の光の透過率を入力された画像データに応じて制御することにより画像が形成される。従って、液晶パネル3において、画素が形成されている領域が画像形成領域となる。
【0017】
なお、共通電極3dはTFT基板及びカラーフィルタ基板のいずれに設けてもよい。共通電極3dの配置は液晶の駆動方式に依存する。例えば、IPS(In Plane Switching)方式であれば共通電極3dはTFT基板上に設けられる。VA(Vertical Alignment)方式やTN(Twisted Nematic)方式であれば、共通電極はカラーフィルタ基板上に設けられる。本実施形態では、IPS方式を用いているため、共通電極3dはTFT基板上に設けられている。また、透明基板は本実施形態ではガラスであるが、樹脂など他の材質を用いてもよい。
【0018】
なお、本明細書では、光スイッチング部材という語を、光の透過率を制御することにより画像を形成する部材を指すものとして使用する。ここで示した液晶パネル3は、光スイッチング部材の好適な一例であり、これに限定するものではない。他にも、電気泳動を用いたものや、色素の化学的な色変化を利用したもの等、光の透過率を制御することにより画像を形成できる部材であればいかなるものを光スイッチング部材として用いてもよい。
【0019】
制御装置2には、不図示のチューナやアンテナで受信した映像データや、映像再生装置など別の装置が生成した映像データが入力される。制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Randam Access Memoly)などのメモリとを備えたマイクロコンピュータであってよい。制御装置2は入力された映像データに対して色調整などの各種画像処理を行い、各画素の階調値を示す映像信号を生成する。制御装置2は生成した映像信号を映像線駆動回路4bに出力する。また、制御装置2は入力された映像データに基づいて、映像線駆動回路4b、走査線駆動回路4a、バックライト駆動回路6が同期を取るためのタイミング信号を生成し、各駆動回路に向けて出力する。ただし、本実施形態は制御装置2の形態を特に限定するものではない。例えば、制御装置2は複数のLSI(Large Scale Integration)から構成されてもよいし、単体であってもよい。また、バックライト駆動回路6とその他の回路との同期を取らないものとしてもよい。
【0020】
また、後述するように本実施形態では、バックライトユニット5の光源として複数の発光ダイオードを用いており、バックライト駆動回路6は、かかる複数の発光ダイオードに必要な電流を供給する回路である。本実施形態では、制御装置2は入力される映像データに基づいて発光ダイオードの輝度を制御するための信号を生成し、バックライト駆動回路6に向けて出力する。そして、バックライト駆動回路6は、当該生成された信号に応じて発光ダイオードに流れる電流の量を制御し、発光ダイオードの輝度を調節する。発光ダイオードの輝度は、各発光ダイオード毎に調節してもよいし、複数の発光ダイオードをいくつかのグループに分け、グループ毎に調節するものとしてもよい。
【0021】
なお、発光ダイオードの輝度を制御する方法として、電流量を一定として、発光期間で明るさを制御するPWM(Pulse Width Modulation)方式としても良い。
【0022】
走査線駆動回路4aはTFT基板に形成された走査信号線Xに接続されている。走査線駆動回路4aは制御装置2から入力されるタイミング信号に応じて走査信号線Xを順番に選択し、選択した走査信号線Xに電圧を印加する。走査信号線Xに電圧が印加されると、当該走査信号線Xに接続されたTFTがオン状態となる。
【0023】
映像線駆動回路4bはTFT基板に形成された映像信号線Yに接続されている。映像線駆動回路4bは走査線駆動回路4aによる走査信号線Xの選択に合わせて、当該選択された走査信号線Xに設けられるTFTのそれぞれに、各画素の階調値を表す映像信号に応じた電圧を印加する。
【0024】
バックライトユニット5は液晶パネル3の背面側に配置されている。バックライトユニット5も矩形であり、その大きさ及び形状は液晶パネル3に相応している。
【0025】
図3は、画像表示装置1の分解斜視図である。同図に示すように、画像表示装置1は、液晶パネル3及びバックライトユニット5を下枠7及び上枠8からなる外枠に収容した構造となっている。そして、液晶パネル3とバックライトユニット5の間には中間枠9が設けられ、液晶パネル3とバックライトユニット5は個別に保持される。同図において上側が、ユーザが画像を観察する側であり、下側は背面となる。以降、画像表示装置においてユーザが画像を観察する側の方向を前側、また前側を向く面を前面と呼び、その逆方向を背面側、背面側を向く面を背面と呼ぶこととする。
【0026】
バックライトユニット5は、発光ダイオード基板10、背面反射シート11、導光部材12、光学シート13及び段差補償部材14から構成される。発光ダイオード基板10は、本実施形態では、複数の発光ダイオードを直線状に実装した細長い基板であり、画像表示装置1の図中手前側の辺に、その長手方向が当該辺の向きと一致するように設けられている。また、本実施形態では、発光ダイオード基板10は後述する段差補償部材14に取り付けられる。背面反射シート11は、導光部材12の背面に出射した光を反射し導光部材12に再入射させることにより、光の利用効率を高めるための部材である。背面反射シート11としては、PET樹脂等を用いた白色の反射シートを用いてもよいし、鏡面反射シート等を用いてもよい。導光部材12は、その少なくとも一側面である入射面(本実施形態の場合、図中手前側に向く面)から入射された発光ダイオード基板10からの光をその前面に均等に出射することにより、バックライトユニット5を面光源として機能させる部材である。本実施形態では、導光部材12は複数の部材からなっており、可撓性のあるフィルムあるいはシート状の部材が用いられる。導光部材12の材質は特に限定されないが、屈折率が高く光の透過損失の少ない材料が好ましく、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等の樹脂が好適である。また、その厚さは材質に依存するが、後述する導光部材12の構造が実現される程度の可撓性が生じる程度の厚さとしなければならず、材質がPMMAである場合には好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下とする。導光部材12の詳細な構成については後述する。光学シート13は、1枚あるいは複数枚のシートからなり、導光部材12から出射した光の角度分布等を制御する光学部材である。光学シート13には、拡散シートや、プリズムシートが含まれてよい。段差補償部材14は、後述するように導光部材12の厚みが場所により異なるため、そのために生じる段差を補償するための部材である。本実施形態では、段差補償部材14と下枠7は別個の部材として示したが、下枠7を段差補償部材14を兼ねるものとしてもよい。
【0027】
なお、図3では、図2に示した制御装置2等を搭載した基板の図示は省略している。また、本実施形態では、発光ダイオード基板10を導光部材12の長辺にあたる一辺にのみ配置する構造としたが、特にこれに限定されない。導光部材12の短辺にあたる一辺にのみ配置しても、長辺又は短辺の対向する二辺にそれぞれ配置しても、任意の三辺あるいは四辺全てに配置してもよい。
【0028】
図4は、導光部材12及び発光ダイオード基板10の構成及び位置関係を示す平面図である。本実施形態では、液晶パネル3(図3参照)の画像表示領域を縦横それぞれ3等分し、9つの区画に区分するとともに、各区画にそれぞれ対応した9枚の導光シート15a〜15iが配置される。なお、各導光シート15a〜15iは、他の導光シート15a〜15iと重ね合わせて配置されるため、図4では、重ね合わせられて本来見えない部分を破線で示している。すなわち、少なくとも一の導光シートの導光部は、他の導光シートの照射部の背面に重ね合わせて配置される。なお、画像表示領域をどのように区画するかは任意である。区画数はもちろん、その配置も本実施形態で示したような格子状でなくともよい。
【0029】
導光シート15a〜15iは、それぞれ端部に入射面16a〜16iを有しており、各入射面16a〜16iに対応して向き合うように発光ダイオード基板10上に設けられた発光ダイオード17a〜17iからの光が導光シート15a〜15i内に入射する。なお、本実施形態では、一の入射面16a〜16iに一の発光ダイオード17a〜17iが対応するものとして図示しているが、一の入射面16a〜16iに複数の発光ダイオードが対応するようにしてもよい。
【0030】
遮光部材18は、各入射面16a〜16iに対応する発光ダイオード17a〜17iからの光が、隣接する他の入射面16a〜16iに入光するのを妨げるためのものであり、本実施形態では、発光ダイオード基板10上に設けられた壁状の部材である。遮光部材18は、光線を遮蔽すると同時に反射し、発光ダイオード17a〜17iからの光をより多く対応する入射面16a〜16iに入射させるものであることが、光線の利用効率を高める上で好ましい。その場合には、図4に示すように、最も外側に位置する発光ダイオード(この場合は、発光ダイオード17a及び発光ダイオード17i)の外側にも遮光部材18を設けるとよい。しかしながら、遮光部材18を光を吸収するようなもの、例えば黒色の部材としてもよく、その場合には、発光ダイオード17a及び発光ダイオード17iの外側にはかならずしも必要ではない。もちろん、遮光部材18の形状や配置はここで示したものに限定されず、ある発光ダイオード17a〜17iからの光が隣接する他の入射面16a〜16iに入光するのを妨げるものであればどのようなものであってもよい。
【0031】
図5は、導光シート15cの形状を示す平面図である。なお、図4で説明した導光シート15a〜15iは、それぞれ形状に相違はあるものの基本的な構造自体は同じであるため、導光シート15cを代表として説明する。導光シート15cは、液晶パネル3の区分された区画に対応する形状の照射部18cと、導光部19cを有しており、照射部18cは導光部19cに連続している。そして、導光部19cの端部が入射面16cとなっている。なお、照射部18c及び導光部19cの符号に付した添字は、導光シート15cの添字cと対応させたものである。入射面16cから入光した光線は、導光部19c内で全反射を繰り返しながら照射部18cに向かい、照射部18c内で拡散する。照射部18cの前面または背面あるいはその両方の面には、導光シート15c内の全反射条件を乱すための散乱構造が形成されており、それにより導光シート15c内を伝播してきた光は、照射部18cの前面から液晶パネル3に向かい出射する。このような散乱構造としては、公知のいかなるものを用いてもよく、例えば散乱インクを所定のパターンで表面に印刷したものであっても、微小な溝あるいはディンプルをその表面に形成したものであってもよい。図中ハッチングで示した部分が照射部18cであり、前記した散乱構造が形成されている部分である。また、導光シート15cは可撓性を有する程度に十分薄いシートにより形成されているため、導光部19cは屈曲することが可能である。導光シート15a〜15iは、好ましくは、PMMA等の樹脂シートを切りぬくことにより簡便かつ低コストで得られる。この場合、導光シート15cの導光部19cと照射部18cの厚さは、一定厚さのシートを切り抜いた部分であるから、略等しいことになる。
【0032】
また、導光部19cの幅t19は、照射部18cの幅t18より狭くなっている。本実施形態では、幅t19は幅t18のおよそ1/3である。これは、図4に示すように、本実施形態では、画像表示領域が縦方向、すなわち、発光ダイオード17a〜17iからの光の照射方向に3つに区分されているため、幅t19を幅t18の1/3以下とすれば入射面16a〜16iを厚さ方向に重ねることなく配置できるからである。すなわち、導光部19a〜19iの幅を、照射部18a〜18iの幅を発光ダイオード17a〜17iからの光の照射方向における画像表示領域の区画数で除した長さ以下とすれば、入射面16a〜16iを、導光シート15a〜15iの厚さ方向に重ねることなく配置できることになる。これにより、各入射面16a乃至16iに対応する発光ダイオード17a〜17iが直線状に配置され、画像表示装置の厚さ方向に重ねる必要がないため、画像表示装置全体の厚さを薄くすることができる。また、発光ダイオード17a〜17iを集中的に配置できるため、電源の供給回路や放熱部材を小型化することができる。
【0033】
再度図4を見ると、導光シート15a〜15iの照射部は、液晶パネル3の画像形成領域全域を覆っており、画像形成領域の全てを照射するものである。また、各照射部は、その前面が略面一となるように配置される。すなわち、導光シート15a〜15iの導光部が、その可撓性により屈曲し、他の導光シート15a〜15iの照射部と重なっている位置において背面側に逃げるのである。これにより、導光シート15a〜15iの照射部を略面一とし、且つ、互いに重ね合わせることができる。また、本実施形態では、同様に導光シート15a〜15iの導光部の可撓性により、各入射面16a〜16iがその長手方向に直線状に並んで配置される。
【0034】
図6は、図5に示した導光シート15cの変形例の形状を示す平面図である。本変形例は、図5の導光シート15cにおいて、その形状によって、導光部19cを経由して照射部18cに導入された光が、照射部18c全体に行き渡らない場合、特に、図5の破線Cで示した部分に光が十分に行き渡らず輝度のむらを生じないようにするためのものである。
【0035】
図6に示すように、本変形例では、導光シート15cの導光部19cに、入射面16cから照射部18cに向かうに従いその幅が増加する拡幅部20が設けられている。すなわち、導光部19cにおいて、入射面16cから照射部18cに向かう途中で、導光部19cは徐々にその幅が増加する方向に変化し始め、照射部18cの幅と等しくなった時点で照射部18cと連結している。この幅が変化している部分が拡幅部20である。これにより、導光部19c中を照射部18cに向かい伝播する光は、拡幅部20においてその幅方向に広がり、照射部18cの全域に行き渡ることになる。なお、拡幅部20の配置は特に限定されず、導光部19cの全長にわたり拡幅部20が設けられていても、途中の一部に設けられていてもよい。また、一の導光部19cにおいて拡幅部20を複数設け、例えば、2段階で光線を幅方向に広げるようにしてもよい。また、拡幅部20の最大幅は照射部18cの幅と等しくなくともよく、例えば、照射部18cの幅の50%としたり、80%としたりしてもよい。
【0036】
図7は、図4のA−A線による画像表示装置1の拡大断面図である。以下詳細に説明する。
【0037】
発光ダイオード基板10上に示された発光ダイオード17aは、一般に発光ダイオードパッケージと呼ばれるものであって、発光ダイオード素子を基板上に実装し、封止樹脂等により封止したものである。発光ダイオード17aは発光ダイオード基板10に直接実装されていてもよい。また、発光ダイオード17aの形態は特に問わないが、ここで示した発光ダイオード17aは、発光ダイオード素子の前面に光線の拡散範囲を制御するレンズを備えている。発光ダイオード基板10の材質は特に限定されないが、本実施形態では、発光ダイオード17a〜17iが発生する熱の放熱性を考慮して、アルミニウム表面に絶縁性の被覆を施したものを使用している。なお、本実施形態では、バックライトユニット5(図3参照)の光源に発光ダイオードを使用しているが、これは、局所的に光線を発生する光源であって、光量の制御ができるものとして採用したものであり、必ずしも発光ダイオードを用いなければならないわけではない。
【0038】
発光ダイオード基板10は、段差補償部材14の端部に設けられた基板取付部21に固定されているが、これは一例であり、発光ダイオード基板10をどのように固定するかは任意に定めてよい。しかしながら、段差補償部材14が金属など伝熱に優れた材料である場合には、放熱の点で有利である。なお、発光ダイオード17a〜17iによる発熱の程度によっては、発光ダイオード基板10及び段差補償部材14の材質に必ずしも熱伝導率の高い材質を用いずともよい。
【0039】
導光シート15a(すなわち、導光部材12)及び背面反射シート11は、段差補償部材14上に載せられる。そして、それら部材の端部を覆うように中間枠9が配置される。中間枠9は、バックライトユニット5(図3参照)及び液晶パネル3を隔てて支持する部材である。
【0040】
中間枠9の断面は図示の通りL字状であり、導光シート15aの入射面16a近傍の導光部19aの前面に接触する突出部9aが形成されている。この突出部9aと段差補償部材14とで挟み込むことにより、入射面16aの位置決めがされ、また、発光ダイオード基板10は段差補償部材14に取り付けられているため、発光ダイオード17aと入射面16aとの相対的な位置決めがなされる。光学シート13は、図示の通り、その端部が導光シート15aの入射面16aより光の入射方向側に位置するよう形成されており、突出部9aは、光学シート13を介することなく導光シート15aの前面に正対する。このことにより、導光シート15aの厚さ方向の位置が正確に定められるため、発光ダイオード10aの光軸中心と入射面16aの厚さ方向の中心の位置が精度よく一致させられる。なお、突出部9aと導光シート15aの前面とは常に接触している必要はなく、多少の隙間を設けておいてもよい。その場合、振動などにより導光シート15aが揺れ動いたときに、突出部9aと導光シート15aの前面が接触することになる。
【0041】
さらに、中間枠9は突出部9aから光の入射方向に延びる延出部9bを有しており、延出部9bの上下両面にはそれぞれ緩衝材9c及び9dが設けられる。緩衝剤9cは、振動などにより導光シート15aや光学シート13が揺れ動いたときに、その位置を支え、衝撃を緩和するものであり、緩衝材9dは、液晶パネル3を支え、振動等による衝撃を吸収するものである。緩衝材9c及び9dには、適宜のゴムや樹脂、スポンジ等が用いられる。なお、ここで示した中間枠9の構造は一例であり、液晶パネル3やバックライトユニット5(図3参照)を適正に支持するものであればどのようなものであってもよい。
【0042】
中間枠9の材質もまた特に限定はないが、成形の容易さ及びコストの面から、合成樹脂を用いることが好ましい。本実施形態では、強度の点からポリカーボネートを用いているが、必ずしもこれに限られない。FRP(Fiber Reinforced Prastic)のように、合成樹脂に強化材を混入してもよい。また、中間枠9は遮光性を有することが好ましく、そのため、黒色あるいは濃色であることが好ましい。中間枠9の着色は、その材料自体が黒色あるいは濃色のものを用いてもよいし、中間枠9の表面を塗装してもよい。本実施形態では、黒色あるいは濃色に着色されたポリカーボネートを成形して中間枠9を得ている。
【0043】
下枠7及び上枠8は、軽量でかつ剛性の高い材料で形成することが好ましく、鋼板、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの金属や、FRPや各種合成樹脂を用いてよい。特に、下枠7は段差補償部材14を介して伝導される発光ダイオード17a〜17iからの熱を効率よく放散するため熱伝導率の高い材料であることが好ましく、本実施形態では、鋼板を用いている。なお、下枠7を段差補償部材14と一体とし、両者の機能を兼ね備えたものとしてもよいことは、すでに述べたとおりである。上枠8の材質は、下枠7と同じであっても、異なっていてもよく、画像表示装置1のサイズ、用途、外観、重量等の要素を考慮して適宜決定してよい。上枠8の液晶パネル3に面する側の面には、緩衝材8aが設けられ、振動などにより液晶パネル3が揺れ動き、上枠8と接触する際の衝撃を緩和するようになっている。緩衝材8aには、適宜のゴムや樹脂、スポンジ等が用いられる。もちろん、ここで示した液晶パネル3の支持及び緩衝構造は一例である。
【0044】
図8は、図4のB−B線による画像表示装置1の拡大断面図である。同図には、導光シート15aと導光シート15bの重ね合わせの様子が示されている。図中示すように、導光シート15aの照射部18aの背面側に、導光部19bが重ねあわされている。そして、導光部19bが撓むことにより、導光シート15bの入射面16bの厚さ方向の位置は、導光シート15aの入射面16aと等しく(図7参照)、発光ダイオード17bの光軸中心に合わせられる。
【0045】
段差補償部材14は、導光シート15a〜15iの照射部18a〜18i及び導光部19a〜19iが重ね合わせられ(図4参照)、その合計厚さが部分的に変化して生じる段差を補償するため、重ね合わせられた導光シート15a〜15iの合計厚さに応じた段差を有している。例えば、図8に示すように、導光シート15a及び導光シート15bが重ね合わされている部分では、導光シート15bの厚さに等しい高さだけ背面側に窪むように段差が設けられる。このことにより、全ての導光シート15a〜15iの照射部18a〜18iの前面が、略面一となり、液晶パネル3までの距離が画像形成領域内で実質的に等しくなる。段差補償部材14は任意の材料、任意の方法により作成してよいが、本実施形態では、鋼板やアルミ板などの金属板にプレス加工を施すことにより段差補償部材14を得ている。
【0046】
背面反射シート11は、本実施形態では全ての照射部18a〜18i及び導光部19a〜19iの背面に配置される。そのため、段差補償部材14の段差に応じて、背面反射シート11も屈曲している。なお、背面反射シート11に換えて、段差補償部材14の前面を光を反射する面としてもよい。その場合には、背面反射シート11は不要である。段差補償部材14の前面を光を反射する面とするためには、段差補償部材14自体を背面反射シート11と同じ材質で作成するか、段差補償部材14の前面に光を反射するコーティングを施せばよい。
【0047】
ところで、本実施形態において、導光シート15a〜15iの厚みは前述したとおり好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下と薄いため、発光ダイオード17a〜17iからの光を入射面16a〜16iに効率よく入光するのは単純には困難である。そのため、発光ダイオード17a〜17iからの光を入射面16a〜16iに導入するための光導入構造を有することが好ましい。
【0048】
図9は、図7における発光ダイオード17aと入射面16aの関係を示す拡大図である。前述の通り、本実施形態では、発光ダイオード17aは、その前面にレンズ22を有している。このレンズ22により、発光ダイオード17aから出射した光は、図9中に示した矢印のごとく屈折して進み、入射面16aに入光し、導光部19aに導入される。すなわち、本実施形態では、レンズ22が光導入構造に該当する。しかしながら、光導入構造は、レンズ22のみに限定されるものではない。
【0049】
図10は、光導入構造として、テーパ部23を用いた変形例を示す図である。同図は、図9に対応する断面を示している。本変形例では、導光シート15aの導光部19aの端部に、入射面16aにおいて厚さが厚く、導光部19aに向かい厚さが薄くなるテーパ部23が形成されている。これにより、図示する矢印のごとく、発光ダイオード17aから出射した光は入射面16aに入射したのち、テーパ部23の内面で全反射することにより導光部19aに導入される。すなわち、本変形例では、テーパ部23が光導入構造に該当する。また、テーパ部23はいかなる方法により作製してもよいが、例えば、可塑性のシート材を加熱し、その端部を型などを用いて塑性流動させ変形することにより作成してもよいし、シート材と同じ材料からなる楔状の部材を熱接着等の方法により溶着するなどしてもよい。
【0050】
図11は、光導入構造として、一対の反射シート24を用いた別の変形例を示す図である。同図もまた、図9に対応する断面を示している。本変形例では、導光シート15aの導光部19aの端部に、光源である発光ダイオード17aと入射面16aを挟むように配置される一対の反射シート24が設けられている。これにより、図示する矢印のごとく、発光ダイオード17aから出射した光は一対の反射シート24の表面で反射され、入射面16aへと導かれ、導光部19aに導入される。すなわち、本変形例では、一対の反射シート24が光導入構造に該当する。一対の反射シート24は、導光部19aの端部の前面及び背面に貼り付けられる。また、一対の反射シート24は好適には白色の反射シートであるが、鏡面反射シートであってもよい。さらに、一対の反射シート24のうち、導光部19aの背面側に配置されるものは、背面反射シート11(図7参照)が兼ねるものとしてもよい。
【0051】
以上図9乃至図11を参照して説明した光導入構造は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。例えば、レンズ22(図9参照)とテーパ部23(図10参照)を同時に用いたり、レンズ22(図9参照)、テーパ部23(図10参照)及び一対の反射シート24(図11参照)の全てを同時に用いるようにしたりしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、段差補償部材14を段差を有する部材として示したが、これに限定されない。これ以外にも、例えば、段差に応じて配置されるスペーサシートを用いてもよい。図12は、スペーサシート25を示す平面図である。同図に示すスペーサシート25は、図4の導光シート15a〜15iと同じ厚みを有しており、また同図において、導光シート15a〜15iが重なっていない部分に対応する形状となっている。このスペーサシート25を導光シート15a〜15iの背面側に配置することにより段差は補償され、導光シート15a〜15iの照射面は略面一となる。なお、スペーサシート25の枚数は限定されない。複数のスペーサシート25を並べて配置してもよい。また、導光シート15a〜15iの形状により、2段以上の段差が生じる場合には、2枚以上のスペーサシート25を重ねて使用してもよい。スペーサシート25の材質は特に限定されないが、好ましくは、導光シート15a〜15iと同一の材質とすると良い。
【0053】
さらに、本実施形態では、図8に示すように、背面反射シート11を導光シート15a〜15iの照射部18a〜18i及び導光部19a〜19iの背面に配置するものとした。このようにすると、背面反射シート11として、画像表示領域全面を覆う単一のシートを用いることができるので、低コスト化が図れる。しかしながらこれに限定されるものではなく、例えば、背面反射シート11の材質や厚さにより十分な可撓性が得られない場合や、照射部18a〜18iの背面に直接背面反射シート11が配置される領域と、導光部19a〜19iを介して照射部18a〜18iの背面に背面反射シート11が配置される領域とで輝度に差が生じる場合には、背面反射シート11を照射部18a〜18iと導光部19a〜19iの間に配置するようにするとよい。
【0054】
図13は、背面反射シート11を照射部18a〜18iと導光部19a〜19iの間に配置する変形例における背面反射シート11を示す平面図である。なお、同図は、図4に対応するものとしてその形状を示したので、以降の説明は図4を併せて参照するものとする。図13に示すように、本変形例の背面反射シート11は、図中の縦方向、すなわち、発光ダイオード17a乃至17iからの光の照射方向に関し、3つの部分に分割されている。これにより、背面反射シート11を屈曲させることなく照射部18a〜18iと導光部19a〜19iの間に配置することができる。図14は、本変形例の背面反射シート11を屈曲させることなく照射部18a〜18iと導光部19a〜19iの間に配置した場合における、図4のC−C線による断面図である。なお、図14では、各部材の位置関係及び変形の様子の理解を容易にするため、各部材の位置関係及び変形の様子を誇張して表現している。同図に示すように、分割された背面反射シート11はそれぞれ導光シート15iの照射部18i、導光シート15hの照射部18h及び導光シート15gの照射部18gの背面側に直接配置される。そして、導光部、例えば、導光シート15iの導光部19iは、その可撓性により屈曲し、照射部18h及び照射部18gとその背面に配置された背面反射シート11のさらに背面をとおり、入射面16iまで伸びる。このことから理解されるように、背面反射シート11は画像表示領域の全ての区画において照射部18a〜18iの背面に直接配置され、その厚み方向の位置が等しくなるため、屈曲するなど変形することがない。また、照射部18a〜18iと背面反射シート11の間に挿入される部材がないため、画像表示領域の全ての区画において均一な輝度の照明が得られる。
【0055】
なお、本変形例では背面反射シート11を3つに分割したが、これは、本実施形態において、画像表示領域を発光ダイオード17a乃至17iからの光の照射方向に3つに区分したからである。画像表示領域の区分の仕方が変われば背面反射シートの分割の仕方も当然変化する。また、背面反射シート11の分割は、本変形例で示した方法以外にも、区画毎に分割しても、あるいは、背面反射シート11は単一のシートとして、導光部19a〜19iが通過する適宜のスリットや穴を設けるようにしてもよい。
【0056】
続いて、本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置を説明する。本実施形態の画像表示装置は、先の第1の実施形態とは、導光部12の形状及び発光ダイオード17a〜17iの配置が異なっている。その他の基本的な部分については、先の実施形態の画像表示装置と同一であるから、共通する部分についてはその説明を省略し、以下では、両者において異なっている部分について説明することとする。また、両者において共通する部分及び用語については、同符号を付す。
【0057】
図15は、本実施形態に係る画像表示装置1における、導光部材12及び発光ダイオード基板10a,10bの構成及び位置関係を示す平面図である。同図は、第1の実施形態における図4に対応する図である。
【0058】
図示のように、本実施形態では、2つの発光ダイオード基板10a及び10bが設けられる。それぞれの発光ダイオード基板10a及び10bは、画像形成領域の異なる二辺、本実施形態では、対向する二辺に対応して設けられる。図中では上側と下側の辺である。そして、それぞれの発光ダイオード基板10a及び10b上に設けられた発光ダイオード17a〜17iに向かい合うように導光部12の入射面16a〜16iが配置される。なお、発光ダイオード基板10a,10bが設けられる画像形成領域の辺は、少なくとも異なる二辺であればよい。すなわち、入射面16a〜16iもまた、画像形成領域の少なくとも異なる二辺に対応して配置されることになる。
【0059】
本実施形態に即してより詳しく説明すると、9つに区分された画像形成領域の区画のうち、図中左側に位置する3つに対応する導光シート15a、15b及び15cについて、下側の辺に隣接する照射部18aを有する導光シート15aの入射面16aは、下側の辺に隣接せず、上側の辺に隣接するように配置される。また、導光シート15aに対応する発光ダイオード17aは、上側の辺に対応して配置される発光ダイオード基板10b上に配置される。これに対し、下側の辺に隣接しない照射部18b、18cをそれぞれ有する導光シート15b,15cの入射面16b,16cは下側の辺に隣接するように配置され、対応する発光ダイオード17b,17cは下側の辺に対応して配置される発光ダイオード基板10a上に配置される。特に、導光シート15cについていえば、照射部15cが隣接する上側の辺に対応する位置には入射面16cは設けられず、下側の辺に対応するように設けられる。すなわち、画像形成領域の一の辺に対応して配置された入射面16a,16cを有する導光シート15a,15cの照射部18a,18cは、当該一の辺に隣接しないように配置される。このようにすれば、各導光シート15a〜15iの導光部19a〜19iが必ず他の導光シート15a〜15iの照射部18a〜18iの背面を通過することになり、その長さが十分長いものとなる。そのため、発光ダイオード17a〜17iから導光シート15a〜15iに入射した光は、導光部19a〜19iを伝播する過程で幅方向に拡散し、照射部18a〜18iの全面に十分に行き渡る。
【0060】
さらに上記構造は、導光シート15aと15cの照射部18a,18cへの導光部19a,19cの長さを等しくでき、光路長を等しくできる。これにより、上下対称にあるバックライト構造で、輝度ムラ、色ムラを小さくできるとともに、信号処理等で補正しやすくなる。
【0061】
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の説明のために示した具体例であって、これらの各実施形態に本発明を限定するものではない。例えば、以上の各実施形態において図示した各部材の断面を含む形状は、当該部材が有すべき機能を満足するものであれば、必要に応じ適宜設計乃至は最適化するべきものである。
【符号の説明】
【0062】
1 画像表示装置、2 制御装置、3 液晶パネル、4 液晶パネル駆動回路、4a 走査線駆動回路、4b 映像線駆動回路、5 バックライトユニット、6 バックライト駆動回路、7 下枠、8 上枠、9 中間枠、9a 突出部、9b 延出部、9c,9d 緩衝材、10,10a,10b 発光ダイオード基板、11 背面反射シート、12 導光部材、13 光学シート、14 段差補償部材、15a〜15i 導光シート、16a〜16i 入射面、17a〜17i 発光ダイオード、18a〜18i 照射部、19a〜19i 導光部、20 拡幅部、21 基板取付部、22 レンズ、23 テーパ部、24 一対の反射シート、25 スペーサシート。
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置、特に液晶ディスプレイに代表される非自発光型の画像表示装置には、画像を形成する液晶パネル等の光スイッチング部材の背後にバックライトと呼ばれる平面光源が配置されるものが多い。そして、近年このバックライトを複数の領域に分割し、表示する画像に応じてそれぞれの領域ごとの照明の輝度を変化させる制御をすることにより、画像のコントラスト比を向上させると同時に消費電力の低減を図ることが行われている。この手法は、ローカルディミングと呼ばれている。
【0003】
このローカルディミングを行うバックライトとして、複数の発光ダイオードをアレイ状に配置したものを光源として用いるものが知られている。このとき、発光ダイオードを、その光軸を液晶パネルに向くように配置すると、均一な輝度の照明を得るために光線を拡散しなければならないため、発光ダイオードと液晶パネル間にある程度の距離が必要となる。そのため、液晶表示装置全体の薄型化がむつかしい。
【0004】
そこで、発光ダイオードからの光線を導光板を用いて部分的に拡散する提案がなされている。
【0005】
下記特許文献1には、段差を有する導光板を重ねて組み合わせ、面一の光出射面を形成し、各導光板の端部から発光ダイオードによる光線を入射するバックライトユニットが記載されている。同文献記載のバックライトユニットでは、段差を形成した複数種の導光板を用意しなければならないほか、発光ダイオードをバックライトの幅方向に二段以上重ねて配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−170897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、低コストかつ極めて薄型でローカルディミングを可能とするバックライトユニットを備えた画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
(1)光線の透過率を制御して画像を形成する画像形成領域を有する光スイッチング部材と、可撓性であり、前記光スイッチング部材の背面に配置され、端部に入射面を有する導光部と、前記導光部に連続する照射部を有する複数の導光シートと、前記入射面から光を前記導光シートに導入する複数の光源と、を有し、前記照射部は前記画像形成領域を覆い、その前面が略面一となるように配置され、少なくとも一の前記導光シートの前記導光部は、他の前記導光シートの前記照射部の背面に重ね合わせて配置される画像表示装置。
(2)(1)において、前記導光部と、前記照射部の厚みは略等しい画像表示装置。
(3)(1)又は(2)において、前記導光部の幅は、前記照射部の幅より狭く、前記入射面は直線状に配置される画像表示装置。
(4)(3)において、前記光源は前記入射面毎に対応して設けられ、一の前記入射面に対応する光源からの光が、隣接する他の前記入射面に入光するのを妨げる遮光部材を有する画像表示装置。
(5)(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記光源からの光を前記入射面に導入するための光導入構造を有する画像表示装置。
(6)(5)において、前記光導入構造は、前記光源の前面に配置されたレンズ、前記導光部に形成され、前記入射面において厚さが厚く、前記導光部に向かい厚さが薄くなるテーパ部、前記光源と前記入射面を挟むように配置される一対の反射シートの少なくともいずれかである画像表示装置。
(7)(1)乃至(6)のいずれかにおいて、さらに前記照射部の背面に配置される背面反射シートを有し、前記背面反射シートは、前記照射部と、前記導光部の間に配置される画像表示装置。
(8)(1)乃至(6)のいずれかにおいて、さらに前記照射部及び前記導光部の背面に配置される背面反射シートを有する画像表示装置。
(9)(1)乃至(8)のいずれかにおいて、さらに前記照射部及び前記導光部の背面に、前記照射部及び前記導光部が重ね合わせて配置されることにより生じる段差を補償する段差補償部材を有する画像表示装置。
(10)(9)において、前記段差補償部材は、段差を有する部材、前記段差に応じて配置されるスペーサシートの少なくともいずれかである画像表示装置。
(11)(1)乃至(10)のいずれかにおいて、前記導光部は、前記入射面から前記照射部に向かうに従いその幅が増加する拡幅部を有する画像表示装置。
(12)(1)乃至(11)のいずれかにおいて、前記入射面は、前記画像形成領域の少なくとも異なる二辺に対応して配置され、前記画像形成領域の一の辺に対応して配置された前記入射面を有する前記導光シートの前記照射部は、前記一の辺に隣接しない画像表示装置。
【発明の効果】
【0009】
以上の本出願において開示される発明によれば、低コストかつ極めて薄型でローカルディミングを可能とするバックライトユニットを備えた画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成を示す図である。
【図2】液晶パネルに形成される画素の一つを回路図により示したものである。
【図3】画像表示装置の分解斜視図である。
【図4】導光部材及び発光ダイオード基板の構成及び位置関係を示す平面図である。
【図5】導光シートの形状を示す平面図である。
【図6】図5に示した導光シートの変形例の形状を示す平面図である。
【図7】図4のA−A線による画像表示装置1の拡大断面図である。
【図8】図4のB−B線による画像表示装置1の拡大断面図である。
【図9】図7における発光ダイオードと入射面の関係を示す拡大図である。
【図10】光導入構造として、テーパ部を用いた変形例を示す図である。
【図11】光導入構造として、一対の反射シートを用いた別の変形例を示す図である。
【図12】スペーサシートを示す平面図である。
【図13】背面反射シートを照射部と導光部の間に配置する変形例における背面反射シートを示す平面図である。
【図14】背面反射シートを屈曲させることなく照射部と導光部の間に配置した場合における、図4のD−D線による断面図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置における、導光部材及び発光ダイオード基板の構成及び位置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態について図1乃至図14を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置1の構成を表す図である。同図に示すように、画像表示装置1は、制御装置2と、光スイッチング部材である液晶パネル3と、液晶パネル駆動回路4とを含んでいる。液晶パネル駆動回路4は走査線駆動回路4aと映像線駆動回路4bとを含んでいる。また、画像表示装置1は、バックライトユニット5と、バックライト駆動回路6とを有している。
【0013】
液晶パネル3は矩形であり、その左右方向及び上下方向の長さは、当該画像表示装置1の用途に応じて定められる。また、液晶パネル3は縦長形状(左右方向の長さが上下方向の長さより長い)であっても横長形状(左右方向の長さが上下方向の長さより短い)であっても、左右方向と上下方向の長さが等しくともよい。本実施形態では、画像表示装置1はテレビジョン受像機に用いられることを想定しているので、液晶パネル3は横長形状である。
【0014】
液晶パネル3は一対の透明基板を有している。透明基板の一方の基板であるTFT基板には複数の映像信号線Yと複数の走査信号線Xとが形成されている。映像信号線Yと走査信号線Xは互いに直交しており、格子状に形成されている。そして隣接する2つの映像信号線Yと隣接する2つの走査信号線Xとによって囲まれた領域が1つの画素となっている。
【0015】
図2は、液晶パネル3に形成される画素の一つを回路図により示したものである。図中に示した映像信号線Yn及びYn+1、並びに走査信号線Xn及びXn+1に囲まれた領域が一つの画素となっている。ここで注目する画素は、映像信号線Yn及び走査信号線Xnにより駆動されるものとする。各画素のTFT基板側には、TFT(Thin Film Transistor)3aが設けられている。TFT3aは走査信号線Xnから入力される走査信号によってオン状態となる。映像信号線Ynは当該画素の画素電極3bに、オン状態のTFT3aを介して電圧(各画素の階調値を表す信号)を加える。
【0016】
一方、透明基板の他方の基板であるカラーフィルタ基板にはカラーフィルタが形成されており、TFT基板とカラーフィルタ基板の間に液晶3cが封入されている。そして、画素電極3bと液晶3cを介して容量を形成するように共通電極3dが形成されている。共通電極3dは、共通電位に電気的に接続される。そのため、画素電極3bに印加された電圧に応じて、画素電極3bと共通電極3dの間の電界が変化し、それにより液晶3cの配向状態が変化し、液晶パネル3を透過する光線の偏光状態を制御する。そして、液晶パネル3の表示面と表示面とは反対側の面である裏面には偏光フィルタが貼り付けられている。これにより、液晶パネル3に形成された各画素は、光の透過率を制御する光スイッチング素子として機能する。そして、各画素の光の透過率を入力された画像データに応じて制御することにより画像が形成される。従って、液晶パネル3において、画素が形成されている領域が画像形成領域となる。
【0017】
なお、共通電極3dはTFT基板及びカラーフィルタ基板のいずれに設けてもよい。共通電極3dの配置は液晶の駆動方式に依存する。例えば、IPS(In Plane Switching)方式であれば共通電極3dはTFT基板上に設けられる。VA(Vertical Alignment)方式やTN(Twisted Nematic)方式であれば、共通電極はカラーフィルタ基板上に設けられる。本実施形態では、IPS方式を用いているため、共通電極3dはTFT基板上に設けられている。また、透明基板は本実施形態ではガラスであるが、樹脂など他の材質を用いてもよい。
【0018】
なお、本明細書では、光スイッチング部材という語を、光の透過率を制御することにより画像を形成する部材を指すものとして使用する。ここで示した液晶パネル3は、光スイッチング部材の好適な一例であり、これに限定するものではない。他にも、電気泳動を用いたものや、色素の化学的な色変化を利用したもの等、光の透過率を制御することにより画像を形成できる部材であればいかなるものを光スイッチング部材として用いてもよい。
【0019】
制御装置2には、不図示のチューナやアンテナで受信した映像データや、映像再生装置など別の装置が生成した映像データが入力される。制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Randam Access Memoly)などのメモリとを備えたマイクロコンピュータであってよい。制御装置2は入力された映像データに対して色調整などの各種画像処理を行い、各画素の階調値を示す映像信号を生成する。制御装置2は生成した映像信号を映像線駆動回路4bに出力する。また、制御装置2は入力された映像データに基づいて、映像線駆動回路4b、走査線駆動回路4a、バックライト駆動回路6が同期を取るためのタイミング信号を生成し、各駆動回路に向けて出力する。ただし、本実施形態は制御装置2の形態を特に限定するものではない。例えば、制御装置2は複数のLSI(Large Scale Integration)から構成されてもよいし、単体であってもよい。また、バックライト駆動回路6とその他の回路との同期を取らないものとしてもよい。
【0020】
また、後述するように本実施形態では、バックライトユニット5の光源として複数の発光ダイオードを用いており、バックライト駆動回路6は、かかる複数の発光ダイオードに必要な電流を供給する回路である。本実施形態では、制御装置2は入力される映像データに基づいて発光ダイオードの輝度を制御するための信号を生成し、バックライト駆動回路6に向けて出力する。そして、バックライト駆動回路6は、当該生成された信号に応じて発光ダイオードに流れる電流の量を制御し、発光ダイオードの輝度を調節する。発光ダイオードの輝度は、各発光ダイオード毎に調節してもよいし、複数の発光ダイオードをいくつかのグループに分け、グループ毎に調節するものとしてもよい。
【0021】
なお、発光ダイオードの輝度を制御する方法として、電流量を一定として、発光期間で明るさを制御するPWM(Pulse Width Modulation)方式としても良い。
【0022】
走査線駆動回路4aはTFT基板に形成された走査信号線Xに接続されている。走査線駆動回路4aは制御装置2から入力されるタイミング信号に応じて走査信号線Xを順番に選択し、選択した走査信号線Xに電圧を印加する。走査信号線Xに電圧が印加されると、当該走査信号線Xに接続されたTFTがオン状態となる。
【0023】
映像線駆動回路4bはTFT基板に形成された映像信号線Yに接続されている。映像線駆動回路4bは走査線駆動回路4aによる走査信号線Xの選択に合わせて、当該選択された走査信号線Xに設けられるTFTのそれぞれに、各画素の階調値を表す映像信号に応じた電圧を印加する。
【0024】
バックライトユニット5は液晶パネル3の背面側に配置されている。バックライトユニット5も矩形であり、その大きさ及び形状は液晶パネル3に相応している。
【0025】
図3は、画像表示装置1の分解斜視図である。同図に示すように、画像表示装置1は、液晶パネル3及びバックライトユニット5を下枠7及び上枠8からなる外枠に収容した構造となっている。そして、液晶パネル3とバックライトユニット5の間には中間枠9が設けられ、液晶パネル3とバックライトユニット5は個別に保持される。同図において上側が、ユーザが画像を観察する側であり、下側は背面となる。以降、画像表示装置においてユーザが画像を観察する側の方向を前側、また前側を向く面を前面と呼び、その逆方向を背面側、背面側を向く面を背面と呼ぶこととする。
【0026】
バックライトユニット5は、発光ダイオード基板10、背面反射シート11、導光部材12、光学シート13及び段差補償部材14から構成される。発光ダイオード基板10は、本実施形態では、複数の発光ダイオードを直線状に実装した細長い基板であり、画像表示装置1の図中手前側の辺に、その長手方向が当該辺の向きと一致するように設けられている。また、本実施形態では、発光ダイオード基板10は後述する段差補償部材14に取り付けられる。背面反射シート11は、導光部材12の背面に出射した光を反射し導光部材12に再入射させることにより、光の利用効率を高めるための部材である。背面反射シート11としては、PET樹脂等を用いた白色の反射シートを用いてもよいし、鏡面反射シート等を用いてもよい。導光部材12は、その少なくとも一側面である入射面(本実施形態の場合、図中手前側に向く面)から入射された発光ダイオード基板10からの光をその前面に均等に出射することにより、バックライトユニット5を面光源として機能させる部材である。本実施形態では、導光部材12は複数の部材からなっており、可撓性のあるフィルムあるいはシート状の部材が用いられる。導光部材12の材質は特に限定されないが、屈折率が高く光の透過損失の少ない材料が好ましく、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等の樹脂が好適である。また、その厚さは材質に依存するが、後述する導光部材12の構造が実現される程度の可撓性が生じる程度の厚さとしなければならず、材質がPMMAである場合には好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下とする。導光部材12の詳細な構成については後述する。光学シート13は、1枚あるいは複数枚のシートからなり、導光部材12から出射した光の角度分布等を制御する光学部材である。光学シート13には、拡散シートや、プリズムシートが含まれてよい。段差補償部材14は、後述するように導光部材12の厚みが場所により異なるため、そのために生じる段差を補償するための部材である。本実施形態では、段差補償部材14と下枠7は別個の部材として示したが、下枠7を段差補償部材14を兼ねるものとしてもよい。
【0027】
なお、図3では、図2に示した制御装置2等を搭載した基板の図示は省略している。また、本実施形態では、発光ダイオード基板10を導光部材12の長辺にあたる一辺にのみ配置する構造としたが、特にこれに限定されない。導光部材12の短辺にあたる一辺にのみ配置しても、長辺又は短辺の対向する二辺にそれぞれ配置しても、任意の三辺あるいは四辺全てに配置してもよい。
【0028】
図4は、導光部材12及び発光ダイオード基板10の構成及び位置関係を示す平面図である。本実施形態では、液晶パネル3(図3参照)の画像表示領域を縦横それぞれ3等分し、9つの区画に区分するとともに、各区画にそれぞれ対応した9枚の導光シート15a〜15iが配置される。なお、各導光シート15a〜15iは、他の導光シート15a〜15iと重ね合わせて配置されるため、図4では、重ね合わせられて本来見えない部分を破線で示している。すなわち、少なくとも一の導光シートの導光部は、他の導光シートの照射部の背面に重ね合わせて配置される。なお、画像表示領域をどのように区画するかは任意である。区画数はもちろん、その配置も本実施形態で示したような格子状でなくともよい。
【0029】
導光シート15a〜15iは、それぞれ端部に入射面16a〜16iを有しており、各入射面16a〜16iに対応して向き合うように発光ダイオード基板10上に設けられた発光ダイオード17a〜17iからの光が導光シート15a〜15i内に入射する。なお、本実施形態では、一の入射面16a〜16iに一の発光ダイオード17a〜17iが対応するものとして図示しているが、一の入射面16a〜16iに複数の発光ダイオードが対応するようにしてもよい。
【0030】
遮光部材18は、各入射面16a〜16iに対応する発光ダイオード17a〜17iからの光が、隣接する他の入射面16a〜16iに入光するのを妨げるためのものであり、本実施形態では、発光ダイオード基板10上に設けられた壁状の部材である。遮光部材18は、光線を遮蔽すると同時に反射し、発光ダイオード17a〜17iからの光をより多く対応する入射面16a〜16iに入射させるものであることが、光線の利用効率を高める上で好ましい。その場合には、図4に示すように、最も外側に位置する発光ダイオード(この場合は、発光ダイオード17a及び発光ダイオード17i)の外側にも遮光部材18を設けるとよい。しかしながら、遮光部材18を光を吸収するようなもの、例えば黒色の部材としてもよく、その場合には、発光ダイオード17a及び発光ダイオード17iの外側にはかならずしも必要ではない。もちろん、遮光部材18の形状や配置はここで示したものに限定されず、ある発光ダイオード17a〜17iからの光が隣接する他の入射面16a〜16iに入光するのを妨げるものであればどのようなものであってもよい。
【0031】
図5は、導光シート15cの形状を示す平面図である。なお、図4で説明した導光シート15a〜15iは、それぞれ形状に相違はあるものの基本的な構造自体は同じであるため、導光シート15cを代表として説明する。導光シート15cは、液晶パネル3の区分された区画に対応する形状の照射部18cと、導光部19cを有しており、照射部18cは導光部19cに連続している。そして、導光部19cの端部が入射面16cとなっている。なお、照射部18c及び導光部19cの符号に付した添字は、導光シート15cの添字cと対応させたものである。入射面16cから入光した光線は、導光部19c内で全反射を繰り返しながら照射部18cに向かい、照射部18c内で拡散する。照射部18cの前面または背面あるいはその両方の面には、導光シート15c内の全反射条件を乱すための散乱構造が形成されており、それにより導光シート15c内を伝播してきた光は、照射部18cの前面から液晶パネル3に向かい出射する。このような散乱構造としては、公知のいかなるものを用いてもよく、例えば散乱インクを所定のパターンで表面に印刷したものであっても、微小な溝あるいはディンプルをその表面に形成したものであってもよい。図中ハッチングで示した部分が照射部18cであり、前記した散乱構造が形成されている部分である。また、導光シート15cは可撓性を有する程度に十分薄いシートにより形成されているため、導光部19cは屈曲することが可能である。導光シート15a〜15iは、好ましくは、PMMA等の樹脂シートを切りぬくことにより簡便かつ低コストで得られる。この場合、導光シート15cの導光部19cと照射部18cの厚さは、一定厚さのシートを切り抜いた部分であるから、略等しいことになる。
【0032】
また、導光部19cの幅t19は、照射部18cの幅t18より狭くなっている。本実施形態では、幅t19は幅t18のおよそ1/3である。これは、図4に示すように、本実施形態では、画像表示領域が縦方向、すなわち、発光ダイオード17a〜17iからの光の照射方向に3つに区分されているため、幅t19を幅t18の1/3以下とすれば入射面16a〜16iを厚さ方向に重ねることなく配置できるからである。すなわち、導光部19a〜19iの幅を、照射部18a〜18iの幅を発光ダイオード17a〜17iからの光の照射方向における画像表示領域の区画数で除した長さ以下とすれば、入射面16a〜16iを、導光シート15a〜15iの厚さ方向に重ねることなく配置できることになる。これにより、各入射面16a乃至16iに対応する発光ダイオード17a〜17iが直線状に配置され、画像表示装置の厚さ方向に重ねる必要がないため、画像表示装置全体の厚さを薄くすることができる。また、発光ダイオード17a〜17iを集中的に配置できるため、電源の供給回路や放熱部材を小型化することができる。
【0033】
再度図4を見ると、導光シート15a〜15iの照射部は、液晶パネル3の画像形成領域全域を覆っており、画像形成領域の全てを照射するものである。また、各照射部は、その前面が略面一となるように配置される。すなわち、導光シート15a〜15iの導光部が、その可撓性により屈曲し、他の導光シート15a〜15iの照射部と重なっている位置において背面側に逃げるのである。これにより、導光シート15a〜15iの照射部を略面一とし、且つ、互いに重ね合わせることができる。また、本実施形態では、同様に導光シート15a〜15iの導光部の可撓性により、各入射面16a〜16iがその長手方向に直線状に並んで配置される。
【0034】
図6は、図5に示した導光シート15cの変形例の形状を示す平面図である。本変形例は、図5の導光シート15cにおいて、その形状によって、導光部19cを経由して照射部18cに導入された光が、照射部18c全体に行き渡らない場合、特に、図5の破線Cで示した部分に光が十分に行き渡らず輝度のむらを生じないようにするためのものである。
【0035】
図6に示すように、本変形例では、導光シート15cの導光部19cに、入射面16cから照射部18cに向かうに従いその幅が増加する拡幅部20が設けられている。すなわち、導光部19cにおいて、入射面16cから照射部18cに向かう途中で、導光部19cは徐々にその幅が増加する方向に変化し始め、照射部18cの幅と等しくなった時点で照射部18cと連結している。この幅が変化している部分が拡幅部20である。これにより、導光部19c中を照射部18cに向かい伝播する光は、拡幅部20においてその幅方向に広がり、照射部18cの全域に行き渡ることになる。なお、拡幅部20の配置は特に限定されず、導光部19cの全長にわたり拡幅部20が設けられていても、途中の一部に設けられていてもよい。また、一の導光部19cにおいて拡幅部20を複数設け、例えば、2段階で光線を幅方向に広げるようにしてもよい。また、拡幅部20の最大幅は照射部18cの幅と等しくなくともよく、例えば、照射部18cの幅の50%としたり、80%としたりしてもよい。
【0036】
図7は、図4のA−A線による画像表示装置1の拡大断面図である。以下詳細に説明する。
【0037】
発光ダイオード基板10上に示された発光ダイオード17aは、一般に発光ダイオードパッケージと呼ばれるものであって、発光ダイオード素子を基板上に実装し、封止樹脂等により封止したものである。発光ダイオード17aは発光ダイオード基板10に直接実装されていてもよい。また、発光ダイオード17aの形態は特に問わないが、ここで示した発光ダイオード17aは、発光ダイオード素子の前面に光線の拡散範囲を制御するレンズを備えている。発光ダイオード基板10の材質は特に限定されないが、本実施形態では、発光ダイオード17a〜17iが発生する熱の放熱性を考慮して、アルミニウム表面に絶縁性の被覆を施したものを使用している。なお、本実施形態では、バックライトユニット5(図3参照)の光源に発光ダイオードを使用しているが、これは、局所的に光線を発生する光源であって、光量の制御ができるものとして採用したものであり、必ずしも発光ダイオードを用いなければならないわけではない。
【0038】
発光ダイオード基板10は、段差補償部材14の端部に設けられた基板取付部21に固定されているが、これは一例であり、発光ダイオード基板10をどのように固定するかは任意に定めてよい。しかしながら、段差補償部材14が金属など伝熱に優れた材料である場合には、放熱の点で有利である。なお、発光ダイオード17a〜17iによる発熱の程度によっては、発光ダイオード基板10及び段差補償部材14の材質に必ずしも熱伝導率の高い材質を用いずともよい。
【0039】
導光シート15a(すなわち、導光部材12)及び背面反射シート11は、段差補償部材14上に載せられる。そして、それら部材の端部を覆うように中間枠9が配置される。中間枠9は、バックライトユニット5(図3参照)及び液晶パネル3を隔てて支持する部材である。
【0040】
中間枠9の断面は図示の通りL字状であり、導光シート15aの入射面16a近傍の導光部19aの前面に接触する突出部9aが形成されている。この突出部9aと段差補償部材14とで挟み込むことにより、入射面16aの位置決めがされ、また、発光ダイオード基板10は段差補償部材14に取り付けられているため、発光ダイオード17aと入射面16aとの相対的な位置決めがなされる。光学シート13は、図示の通り、その端部が導光シート15aの入射面16aより光の入射方向側に位置するよう形成されており、突出部9aは、光学シート13を介することなく導光シート15aの前面に正対する。このことにより、導光シート15aの厚さ方向の位置が正確に定められるため、発光ダイオード10aの光軸中心と入射面16aの厚さ方向の中心の位置が精度よく一致させられる。なお、突出部9aと導光シート15aの前面とは常に接触している必要はなく、多少の隙間を設けておいてもよい。その場合、振動などにより導光シート15aが揺れ動いたときに、突出部9aと導光シート15aの前面が接触することになる。
【0041】
さらに、中間枠9は突出部9aから光の入射方向に延びる延出部9bを有しており、延出部9bの上下両面にはそれぞれ緩衝材9c及び9dが設けられる。緩衝剤9cは、振動などにより導光シート15aや光学シート13が揺れ動いたときに、その位置を支え、衝撃を緩和するものであり、緩衝材9dは、液晶パネル3を支え、振動等による衝撃を吸収するものである。緩衝材9c及び9dには、適宜のゴムや樹脂、スポンジ等が用いられる。なお、ここで示した中間枠9の構造は一例であり、液晶パネル3やバックライトユニット5(図3参照)を適正に支持するものであればどのようなものであってもよい。
【0042】
中間枠9の材質もまた特に限定はないが、成形の容易さ及びコストの面から、合成樹脂を用いることが好ましい。本実施形態では、強度の点からポリカーボネートを用いているが、必ずしもこれに限られない。FRP(Fiber Reinforced Prastic)のように、合成樹脂に強化材を混入してもよい。また、中間枠9は遮光性を有することが好ましく、そのため、黒色あるいは濃色であることが好ましい。中間枠9の着色は、その材料自体が黒色あるいは濃色のものを用いてもよいし、中間枠9の表面を塗装してもよい。本実施形態では、黒色あるいは濃色に着色されたポリカーボネートを成形して中間枠9を得ている。
【0043】
下枠7及び上枠8は、軽量でかつ剛性の高い材料で形成することが好ましく、鋼板、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの金属や、FRPや各種合成樹脂を用いてよい。特に、下枠7は段差補償部材14を介して伝導される発光ダイオード17a〜17iからの熱を効率よく放散するため熱伝導率の高い材料であることが好ましく、本実施形態では、鋼板を用いている。なお、下枠7を段差補償部材14と一体とし、両者の機能を兼ね備えたものとしてもよいことは、すでに述べたとおりである。上枠8の材質は、下枠7と同じであっても、異なっていてもよく、画像表示装置1のサイズ、用途、外観、重量等の要素を考慮して適宜決定してよい。上枠8の液晶パネル3に面する側の面には、緩衝材8aが設けられ、振動などにより液晶パネル3が揺れ動き、上枠8と接触する際の衝撃を緩和するようになっている。緩衝材8aには、適宜のゴムや樹脂、スポンジ等が用いられる。もちろん、ここで示した液晶パネル3の支持及び緩衝構造は一例である。
【0044】
図8は、図4のB−B線による画像表示装置1の拡大断面図である。同図には、導光シート15aと導光シート15bの重ね合わせの様子が示されている。図中示すように、導光シート15aの照射部18aの背面側に、導光部19bが重ねあわされている。そして、導光部19bが撓むことにより、導光シート15bの入射面16bの厚さ方向の位置は、導光シート15aの入射面16aと等しく(図7参照)、発光ダイオード17bの光軸中心に合わせられる。
【0045】
段差補償部材14は、導光シート15a〜15iの照射部18a〜18i及び導光部19a〜19iが重ね合わせられ(図4参照)、その合計厚さが部分的に変化して生じる段差を補償するため、重ね合わせられた導光シート15a〜15iの合計厚さに応じた段差を有している。例えば、図8に示すように、導光シート15a及び導光シート15bが重ね合わされている部分では、導光シート15bの厚さに等しい高さだけ背面側に窪むように段差が設けられる。このことにより、全ての導光シート15a〜15iの照射部18a〜18iの前面が、略面一となり、液晶パネル3までの距離が画像形成領域内で実質的に等しくなる。段差補償部材14は任意の材料、任意の方法により作成してよいが、本実施形態では、鋼板やアルミ板などの金属板にプレス加工を施すことにより段差補償部材14を得ている。
【0046】
背面反射シート11は、本実施形態では全ての照射部18a〜18i及び導光部19a〜19iの背面に配置される。そのため、段差補償部材14の段差に応じて、背面反射シート11も屈曲している。なお、背面反射シート11に換えて、段差補償部材14の前面を光を反射する面としてもよい。その場合には、背面反射シート11は不要である。段差補償部材14の前面を光を反射する面とするためには、段差補償部材14自体を背面反射シート11と同じ材質で作成するか、段差補償部材14の前面に光を反射するコーティングを施せばよい。
【0047】
ところで、本実施形態において、導光シート15a〜15iの厚みは前述したとおり好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下と薄いため、発光ダイオード17a〜17iからの光を入射面16a〜16iに効率よく入光するのは単純には困難である。そのため、発光ダイオード17a〜17iからの光を入射面16a〜16iに導入するための光導入構造を有することが好ましい。
【0048】
図9は、図7における発光ダイオード17aと入射面16aの関係を示す拡大図である。前述の通り、本実施形態では、発光ダイオード17aは、その前面にレンズ22を有している。このレンズ22により、発光ダイオード17aから出射した光は、図9中に示した矢印のごとく屈折して進み、入射面16aに入光し、導光部19aに導入される。すなわち、本実施形態では、レンズ22が光導入構造に該当する。しかしながら、光導入構造は、レンズ22のみに限定されるものではない。
【0049】
図10は、光導入構造として、テーパ部23を用いた変形例を示す図である。同図は、図9に対応する断面を示している。本変形例では、導光シート15aの導光部19aの端部に、入射面16aにおいて厚さが厚く、導光部19aに向かい厚さが薄くなるテーパ部23が形成されている。これにより、図示する矢印のごとく、発光ダイオード17aから出射した光は入射面16aに入射したのち、テーパ部23の内面で全反射することにより導光部19aに導入される。すなわち、本変形例では、テーパ部23が光導入構造に該当する。また、テーパ部23はいかなる方法により作製してもよいが、例えば、可塑性のシート材を加熱し、その端部を型などを用いて塑性流動させ変形することにより作成してもよいし、シート材と同じ材料からなる楔状の部材を熱接着等の方法により溶着するなどしてもよい。
【0050】
図11は、光導入構造として、一対の反射シート24を用いた別の変形例を示す図である。同図もまた、図9に対応する断面を示している。本変形例では、導光シート15aの導光部19aの端部に、光源である発光ダイオード17aと入射面16aを挟むように配置される一対の反射シート24が設けられている。これにより、図示する矢印のごとく、発光ダイオード17aから出射した光は一対の反射シート24の表面で反射され、入射面16aへと導かれ、導光部19aに導入される。すなわち、本変形例では、一対の反射シート24が光導入構造に該当する。一対の反射シート24は、導光部19aの端部の前面及び背面に貼り付けられる。また、一対の反射シート24は好適には白色の反射シートであるが、鏡面反射シートであってもよい。さらに、一対の反射シート24のうち、導光部19aの背面側に配置されるものは、背面反射シート11(図7参照)が兼ねるものとしてもよい。
【0051】
以上図9乃至図11を参照して説明した光導入構造は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。例えば、レンズ22(図9参照)とテーパ部23(図10参照)を同時に用いたり、レンズ22(図9参照)、テーパ部23(図10参照)及び一対の反射シート24(図11参照)の全てを同時に用いるようにしたりしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、段差補償部材14を段差を有する部材として示したが、これに限定されない。これ以外にも、例えば、段差に応じて配置されるスペーサシートを用いてもよい。図12は、スペーサシート25を示す平面図である。同図に示すスペーサシート25は、図4の導光シート15a〜15iと同じ厚みを有しており、また同図において、導光シート15a〜15iが重なっていない部分に対応する形状となっている。このスペーサシート25を導光シート15a〜15iの背面側に配置することにより段差は補償され、導光シート15a〜15iの照射面は略面一となる。なお、スペーサシート25の枚数は限定されない。複数のスペーサシート25を並べて配置してもよい。また、導光シート15a〜15iの形状により、2段以上の段差が生じる場合には、2枚以上のスペーサシート25を重ねて使用してもよい。スペーサシート25の材質は特に限定されないが、好ましくは、導光シート15a〜15iと同一の材質とすると良い。
【0053】
さらに、本実施形態では、図8に示すように、背面反射シート11を導光シート15a〜15iの照射部18a〜18i及び導光部19a〜19iの背面に配置するものとした。このようにすると、背面反射シート11として、画像表示領域全面を覆う単一のシートを用いることができるので、低コスト化が図れる。しかしながらこれに限定されるものではなく、例えば、背面反射シート11の材質や厚さにより十分な可撓性が得られない場合や、照射部18a〜18iの背面に直接背面反射シート11が配置される領域と、導光部19a〜19iを介して照射部18a〜18iの背面に背面反射シート11が配置される領域とで輝度に差が生じる場合には、背面反射シート11を照射部18a〜18iと導光部19a〜19iの間に配置するようにするとよい。
【0054】
図13は、背面反射シート11を照射部18a〜18iと導光部19a〜19iの間に配置する変形例における背面反射シート11を示す平面図である。なお、同図は、図4に対応するものとしてその形状を示したので、以降の説明は図4を併せて参照するものとする。図13に示すように、本変形例の背面反射シート11は、図中の縦方向、すなわち、発光ダイオード17a乃至17iからの光の照射方向に関し、3つの部分に分割されている。これにより、背面反射シート11を屈曲させることなく照射部18a〜18iと導光部19a〜19iの間に配置することができる。図14は、本変形例の背面反射シート11を屈曲させることなく照射部18a〜18iと導光部19a〜19iの間に配置した場合における、図4のC−C線による断面図である。なお、図14では、各部材の位置関係及び変形の様子の理解を容易にするため、各部材の位置関係及び変形の様子を誇張して表現している。同図に示すように、分割された背面反射シート11はそれぞれ導光シート15iの照射部18i、導光シート15hの照射部18h及び導光シート15gの照射部18gの背面側に直接配置される。そして、導光部、例えば、導光シート15iの導光部19iは、その可撓性により屈曲し、照射部18h及び照射部18gとその背面に配置された背面反射シート11のさらに背面をとおり、入射面16iまで伸びる。このことから理解されるように、背面反射シート11は画像表示領域の全ての区画において照射部18a〜18iの背面に直接配置され、その厚み方向の位置が等しくなるため、屈曲するなど変形することがない。また、照射部18a〜18iと背面反射シート11の間に挿入される部材がないため、画像表示領域の全ての区画において均一な輝度の照明が得られる。
【0055】
なお、本変形例では背面反射シート11を3つに分割したが、これは、本実施形態において、画像表示領域を発光ダイオード17a乃至17iからの光の照射方向に3つに区分したからである。画像表示領域の区分の仕方が変われば背面反射シートの分割の仕方も当然変化する。また、背面反射シート11の分割は、本変形例で示した方法以外にも、区画毎に分割しても、あるいは、背面反射シート11は単一のシートとして、導光部19a〜19iが通過する適宜のスリットや穴を設けるようにしてもよい。
【0056】
続いて、本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置を説明する。本実施形態の画像表示装置は、先の第1の実施形態とは、導光部12の形状及び発光ダイオード17a〜17iの配置が異なっている。その他の基本的な部分については、先の実施形態の画像表示装置と同一であるから、共通する部分についてはその説明を省略し、以下では、両者において異なっている部分について説明することとする。また、両者において共通する部分及び用語については、同符号を付す。
【0057】
図15は、本実施形態に係る画像表示装置1における、導光部材12及び発光ダイオード基板10a,10bの構成及び位置関係を示す平面図である。同図は、第1の実施形態における図4に対応する図である。
【0058】
図示のように、本実施形態では、2つの発光ダイオード基板10a及び10bが設けられる。それぞれの発光ダイオード基板10a及び10bは、画像形成領域の異なる二辺、本実施形態では、対向する二辺に対応して設けられる。図中では上側と下側の辺である。そして、それぞれの発光ダイオード基板10a及び10b上に設けられた発光ダイオード17a〜17iに向かい合うように導光部12の入射面16a〜16iが配置される。なお、発光ダイオード基板10a,10bが設けられる画像形成領域の辺は、少なくとも異なる二辺であればよい。すなわち、入射面16a〜16iもまた、画像形成領域の少なくとも異なる二辺に対応して配置されることになる。
【0059】
本実施形態に即してより詳しく説明すると、9つに区分された画像形成領域の区画のうち、図中左側に位置する3つに対応する導光シート15a、15b及び15cについて、下側の辺に隣接する照射部18aを有する導光シート15aの入射面16aは、下側の辺に隣接せず、上側の辺に隣接するように配置される。また、導光シート15aに対応する発光ダイオード17aは、上側の辺に対応して配置される発光ダイオード基板10b上に配置される。これに対し、下側の辺に隣接しない照射部18b、18cをそれぞれ有する導光シート15b,15cの入射面16b,16cは下側の辺に隣接するように配置され、対応する発光ダイオード17b,17cは下側の辺に対応して配置される発光ダイオード基板10a上に配置される。特に、導光シート15cについていえば、照射部15cが隣接する上側の辺に対応する位置には入射面16cは設けられず、下側の辺に対応するように設けられる。すなわち、画像形成領域の一の辺に対応して配置された入射面16a,16cを有する導光シート15a,15cの照射部18a,18cは、当該一の辺に隣接しないように配置される。このようにすれば、各導光シート15a〜15iの導光部19a〜19iが必ず他の導光シート15a〜15iの照射部18a〜18iの背面を通過することになり、その長さが十分長いものとなる。そのため、発光ダイオード17a〜17iから導光シート15a〜15iに入射した光は、導光部19a〜19iを伝播する過程で幅方向に拡散し、照射部18a〜18iの全面に十分に行き渡る。
【0060】
さらに上記構造は、導光シート15aと15cの照射部18a,18cへの導光部19a,19cの長さを等しくでき、光路長を等しくできる。これにより、上下対称にあるバックライト構造で、輝度ムラ、色ムラを小さくできるとともに、信号処理等で補正しやすくなる。
【0061】
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の説明のために示した具体例であって、これらの各実施形態に本発明を限定するものではない。例えば、以上の各実施形態において図示した各部材の断面を含む形状は、当該部材が有すべき機能を満足するものであれば、必要に応じ適宜設計乃至は最適化するべきものである。
【符号の説明】
【0062】
1 画像表示装置、2 制御装置、3 液晶パネル、4 液晶パネル駆動回路、4a 走査線駆動回路、4b 映像線駆動回路、5 バックライトユニット、6 バックライト駆動回路、7 下枠、8 上枠、9 中間枠、9a 突出部、9b 延出部、9c,9d 緩衝材、10,10a,10b 発光ダイオード基板、11 背面反射シート、12 導光部材、13 光学シート、14 段差補償部材、15a〜15i 導光シート、16a〜16i 入射面、17a〜17i 発光ダイオード、18a〜18i 照射部、19a〜19i 導光部、20 拡幅部、21 基板取付部、22 レンズ、23 テーパ部、24 一対の反射シート、25 スペーサシート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線の透過率を制御して画像を形成する画像形成領域を有する光スイッチング部材と、
可撓性であり、前記光スイッチング部材の背面に配置され、端部に入射面を有する導光部と、前記導光部に連続する照射部を有する複数の導光シートと、
前記入射面から光を前記導光シートに導入する複数の光源と、
を有し、
前記照射部は前記画像形成領域を覆い、その前面が略面一となるように配置され、
少なくとも一の前記導光シートの前記導光部は、他の前記導光シートの前記照射部の背面に重ね合わせて配置される
画像表示装置。
【請求項2】
前記導光部と、前記照射部の厚みは略等しい請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記導光部の幅は、前記照射部の幅より狭く、前記入射面は直線状に配置される請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記光源は前記入射面毎に対応して設けられ、一の前記入射面に対応する光源からの光が、隣接する他の前記入射面に入光するのを妨げる遮光部材を有する請求項3記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記光源からの光を前記導光部に導入するための光導入構造を有する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記光導入構造は、前記光源の前面に配置されたレンズ、前記導光部に形成され、前記入射面において厚さが厚く、前記導光部に向かい厚さが薄くなるテーパ部、前記光源と前記入射面を挟むように配置される一対の反射シートの少なくともいずれかである
請求項5記載の画像表示装置。
【請求項7】
さらに前記照射部の背面に配置される背面反射シートを有し、
前記背面反射シートは、前記照射部と、前記導光部の間に配置される
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項8】
さらに前記照射部及び前記導光部の背面に配置される背面反射シートを有する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項9】
さらに前記照射部及び前記導光部の背面に、前記照射部及び前記導光部が重ね合わせて配置されることにより生じる段差を補償する段差補償部材を有する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記段差補償部材は、段差を有する部材、前記段差に応じて配置されるスペーサシートの少なくともいずれかである請求項9記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記導光部は、前記入射面から前記照射部に向かうに従いその幅が増加する拡幅部を有する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記入射面は、前記画像形成領域の少なくとも異なる二辺に対応して配置され、前記画像形成領域の一の辺に対応して配置された前記入射面を有する前記導光シートの前記照射部は、前記一の辺に隣接しない請求項1記載の画像表示装置。
【請求項1】
光線の透過率を制御して画像を形成する画像形成領域を有する光スイッチング部材と、
可撓性であり、前記光スイッチング部材の背面に配置され、端部に入射面を有する導光部と、前記導光部に連続する照射部を有する複数の導光シートと、
前記入射面から光を前記導光シートに導入する複数の光源と、
を有し、
前記照射部は前記画像形成領域を覆い、その前面が略面一となるように配置され、
少なくとも一の前記導光シートの前記導光部は、他の前記導光シートの前記照射部の背面に重ね合わせて配置される
画像表示装置。
【請求項2】
前記導光部と、前記照射部の厚みは略等しい請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記導光部の幅は、前記照射部の幅より狭く、前記入射面は直線状に配置される請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記光源は前記入射面毎に対応して設けられ、一の前記入射面に対応する光源からの光が、隣接する他の前記入射面に入光するのを妨げる遮光部材を有する請求項3記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記光源からの光を前記導光部に導入するための光導入構造を有する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記光導入構造は、前記光源の前面に配置されたレンズ、前記導光部に形成され、前記入射面において厚さが厚く、前記導光部に向かい厚さが薄くなるテーパ部、前記光源と前記入射面を挟むように配置される一対の反射シートの少なくともいずれかである
請求項5記載の画像表示装置。
【請求項7】
さらに前記照射部の背面に配置される背面反射シートを有し、
前記背面反射シートは、前記照射部と、前記導光部の間に配置される
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項8】
さらに前記照射部及び前記導光部の背面に配置される背面反射シートを有する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項9】
さらに前記照射部及び前記導光部の背面に、前記照射部及び前記導光部が重ね合わせて配置されることにより生じる段差を補償する段差補償部材を有する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記段差補償部材は、段差を有する部材、前記段差に応じて配置されるスペーサシートの少なくともいずれかである請求項9記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記導光部は、前記入射面から前記照射部に向かうに従いその幅が増加する拡幅部を有する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記入射面は、前記画像形成領域の少なくとも異なる二辺に対応して配置され、前記画像形成領域の一の辺に対応して配置された前記入射面を有する前記導光シートの前記照射部は、前記一の辺に隣接しない請求項1記載の画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−142183(P2012−142183A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293940(P2010−293940)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]