説明

画像表示装置

【課題】観察者の観察状態に応じた表示方式で画像を表示できる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】画像表示装置1Aは、視差により立体視可能な画像を表示する表示手段2Aと、観察者の観察状態を取得する第1取得手段(撮像手段)4と、表示手段2Aによる画像表示を制御する制御手段5Aと、を備える。表示手段2Aは、右目用画像及び左目用画像を交互に表示する第1表示方式と、それぞれ偏光方向が異なる光により形成された右目用画像及び左目用画像を表示する第2表示方式と、右目用画像及び左目用画像を表示して、観察者の右目及び左目にそれぞれ個別に入射させる第3表示方式との少なくとも2つの表示方式を実施可能に構成され、制御手段5Aは、取得された観察者の観察状態に基づいて、いずれかの表示方式で表示手段2Aにより右目用画像及び左目用画像を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、それぞれ視差画像である右目用画像及び左目用画像を形成して、視差により立体視可能な画像(以下、三次元画像という場合がある)を表示する画像表示装置が知られている。このような画像表示装置として、フレームシーケンシャル方式が採用された画像表示装置、及び、偏光方式が採用された画像表示装置(例えば、それぞれ特許文献1参照)と、裸眼立体視方式が採用された画像表示装置(例えば、特許文献2参照)とが知られている。
【0003】
このうち、特許文献1に記載の画像表示装置は、右目用画像及び左目用画像を交互に表示するとともに、これら各画像の表示タイミングで同期信号を出力する。この右目用画像及び左目用画像の観察には、液晶シャッターによりそれぞれ構成された右目用透過部及び左目用透過部を有する眼鏡が利用され、当該右目用透過部及び左目用透過部の切替は、受信された同期信号に基づいて行われる。すなわち、右目用画像の表示タイミングで、右目用透過部を透過状態とし左目用透過部を遮蔽状態とすることで、右目用画像を右目にて観察可能とする。また、左目用画像の表示タイミングで、左目用透過部を透過状態とし右目用透過部を遮蔽状態とすることで、左目用画像を左目にて観察可能とする。このような眼鏡を介することで、右目及び左目により、それぞれ個別に右目用画像及び左目用画像が視認される。
【0004】
また、特許文献1に記載の他の画像表示装置は、右円偏光及び左円偏光によりそれぞれ形成された右目用画像及び左目用画像を表示する。これら画像の観察には、右円偏光を透過し左円偏光を遮蔽する右目用透過部と、左円偏光を透過し右円偏光を遮蔽する左目用透過部とを有する眼鏡が用いられる。このような眼鏡を介することで、右目及び左目により、それぞれ個別に右目用画像及び左目用画像が視認される。
【0005】
一方、特許文献2に記載の画像表示装置は、バックライト、液晶パネル及び視差バリアを備える。このうち、視差バリアは、液晶パネルを介して形成された右目用画像と左目用画像とを分離して、当該画像表示装置に設定された視点上の右目及び左目に、右目用画像及び左目用画像をそれぞれ個別に入射させる。このような構成により、右目及び左目が、それぞれ個別に右目用画像及び左目用画像を視認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−253777号公報
【特許文献2】特開2011−59297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記表示方式は互いに共存が可能であることから、複数の表示方式により三次元画像を表示する画像表示装置が提案されている。しかしながら、前述のように、フレームシーケンシャル方式及び偏光方式では、使用する眼鏡の種別が異なることや、裸眼立体視方式では、設定された視点上に位置しないと三次元画像を視認できない。このような問題から、当該画像表示装置では、観察者が自分の観察状態に応じた表示方式を選択する操作を行う必要があり、観察者にとって面倒であった。
【0008】
本発明の目的は、観察者の観察状態に応じた表示方式で画像を表示できる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した目的を達成するために、本発明の画像表示装置は、右目用画像及び左目用画像を形成して、視差により立体視可能な画像を表示する表示手段と、表示された画像を観察する観察者の観察状態を取得する第1取得手段と、前記表示手段による画像表示を制御する制御手段と、を備え、前記表示手段は、前記右目用画像及び前記左目用画像を交互に表示する第1表示方式と、それぞれ偏光方向が異なる光により形成された前記右目用画像及び前記左目用画像を表示する第2表示方式と、前記右目用画像及び前記左目用画像を表示して、前記観察者の右目及び左目にそれぞれ個別に入射させる第3表示方式との少なくとも2つの表示方式を実施可能に構成され、前記制御手段は、前記第1取得手段により取得された前記観察者の観察状態に基づいて、前記少なくとも2つの表示方式のうちのいずれかの表示方式で、前記表示手段により前記右目用画像及び前記左目用画像を表示させることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、制御手段が、第1取得手段により取得された観察者の観察状態に基づいて、表示手段により実施可能な第1表示方式、第2表示方式及び第3表示方式の少なくとも2つの表示方式のうちのいずれかの実施可能な表示方式で、立体視可能な画像を表示させる。これによれば、制御手段が観察者の観察状態に適した表示方式で立体視可能な画像を表示手段に表示させることにより、観察者が当該表示方式を選択する操作を行う必要がない。従って、当該表示方式を自動的に切り替えることができ、簡易に立体視可能な画像を観察できる。
【0011】
本発明では、前記第1取得手段は、前記観察者の観察状態として、当該観察者により装着される眼鏡の種別を取得し、前記制御手段は、実施可能な表示方式として前記第1表示方式が含まれる場合で、かつ、前記観察者が前記第1表示方式に応じた眼鏡を装着していることが検出された場合には、前記第1表示方式で前記表示手段に前記右目用画像及び前記左目用画像を表示させ、実施可能な表示方式として前記第2表示方式が含まれる場合で、かつ、前記観察者が前記第2表示方式に応じた眼鏡を装着していることが検出された場合には、前記第2表示方式で前記表示手段に前記右目用画像及び前記左目用画像を表示させることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、第1取得手段により取得された眼鏡の種別に基づいて、制御手段が、当該眼鏡の種別に応じた表示方式を選択し、当該表示方式が実施可能であれば、当該表示方式にて立体視可能な画像を表示させる。これによれば、観察者の観察状態に適した表示方式での立体視可能な画像の表示を確実に行うことができる。従って、適切に立体視可能な画像を観察できる。
【0013】
本発明では、前記眼鏡には、対応する表示方式を示す識別情報が設定され、前記第1取得手段は、前記識別情報を取得することが好ましい。
このような識別情報として、例えば、表示方式に応じた眼鏡の形状を挙げることができる他、対応する表示方式を示す文字及び図柄等を挙げることができる。更に、当該識別情報として、所定の信号に応じて発光したり、或いは、所定の色光を反射させる領域を所定の位置に設ける構成が挙げられる。
本発明によれば、第1取得手段により、対応する表示方式を示す識別情報が眼鏡から取得される。これによれば、画像表示装置が、観察者の観察状態に応じた表示方式を確実に選択できる。従って、より一層簡易に立体視可能な画像を観察できる。
【0014】
本発明では、前記制御手段は、前記第1取得手段により前記第1表示方式及び前記第2表示方式のいずれかに応じた前記眼鏡が前記観察者から取り外されたことが検出されると、前記表示手段により表示される画像を、前記立体視可能な画像から二次元画像に切り替えることが好ましい。
【0015】
なお、二次元画像は、視差により立体視可能な画像(右目用画像及び左目用画像により構成される三次元画像)の対語として用いており、視差による立体視がされない二次元的な画像を示すものである。
本発明によれば、第1表示方式及び第2表示方式のいずれかの表示方式に応じた眼鏡が観察者から取り外されると、当該表示方式に応じた立体視可能な画像の表示から、二次元画像の表示に切り替えられる。これによれば、画像を立体視可能な観察状態から、立体視可能でない観察状態への変化に応じて、二次元画像の表示に切り替えられるので、当該観察状態に適した画像表示を実施できる。
【0016】
本発明では、前記制御手段は、実施可能な表示方式として前記第3表示方式が含まれる場合で、かつ、前記観察者が前記第1表示方式及び前記第2表示方式に応じた眼鏡を装着していないことが検出された場合には、前記第3表示方式で前記表示手段に前記右目用画像及び前記左目用画像を表示させることが好ましい。
本発明によれば、表示手段が第3表示方式での画像表示を実施可能で、かつ、第1表示方式及び第2表示方式に応じた眼鏡が観察者に装着されていない場合、制御手段は、当該表示手段に第3表示方式での右目用画像及び左目用画像の表示を実施させる。これによれば、観察者が第3表示方式を選択及び設定するが無い。従って、観察者の観察状態に適した第3表示方式での立体視可能な画像の表示を確実に実行できる。
【0017】
本発明では、前記観察者の表面温度に応じた温度情報を取得する第2取得手段を備え、前記制御手段は、前記第2取得手段により取得された前記温度情報に基づいて、前記観察者の表面温度が低下したと判定された場合には、前記表示手段により表示される画像を、前記立体視可能な画像から二次元画像に切り替えることが好ましい。
【0018】
ここで、立体視可能な画像の観察時間が長時間に及んだり、暗い観察環境で立体視可能な画像を観察したりすると、観察者に3D酔いと呼ばれる乗り物酔いに類似する症状が表れる場合がある。このような3D酔いになると、観察者の表面温度が低下する傾向が見られる。
このため、本発明では、観察者の表面温度に応じた温度情報を第2取得手段が取得し、当該温度情報に基づいて、当該表面温度が低下したと判定された場合、すなわち、観察者に3D酔いの症状が表れたと判定された場合に、制御手段が、表示される画像を立体視可能な画像から二次元画像に切り替える。これによれば、観察者の観察状態に適した画像を表示できる。従って、観察者にとって、より観察しやすい画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】(A)前記実施形態におけるフレームシーケンシャル方式で利用される眼鏡を含む撮像画像の一例を示す図。(B)前記実施形態における直線偏光方式で利用される眼鏡を含む撮像画像の一例を示す図。(C)前記実施形態における円偏光方式で利用される眼鏡を含む撮像画像の一例を示す図。(D)前記実施形態における波長多重視覚化方式で利用される眼鏡を含む撮像画像の一例を示す図。(E)前記実施形態における視力矯正用の眼鏡を含む撮像画像の一例を示す図。
【図3】前記実施形態における表示制御処理を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図。
【図5】前記実施形態における表示制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る画像表示装置1Aの構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像表示装置1Aは、画像をスクリーン等の被投射面上に投射するプロジェクターとして構成されている。この画像表示装置1Aは、画像表示領域全体で二次元画像を表示する機能を有する他、視差画像である右目用画像及び左目用画像を形成して、視差により立体視可能な画像(以下、三次元画像と略す場合がある)を表示する機能を有する。
このような画像表示装置1Aは、図1に示すように、表示手段2A、送信手段3、撮像手段4及び制御手段5Aを備える。
【0021】
ここで、画像表示装置1Aによる三次元画像の表示方式を説明する。
画像表示装置1Aは、フレームシーケンシャル方式(以下、FS方式と略す場合がある)と呼ばれる表示方式と、偏光方式(直線偏光方式及び円偏光方式)と呼ばれる表示方式で、当該三次元画像を表示する。なお、FS方式は、本発明の第1表示方式に相当し、偏光方式は、本発明の第2表示方式に相当する。
【0022】
このうち、FS方式では、画像表示装置1Aは、右目用画像及び左目用画像を交互に表示するとともに、当該右目用画像及び左目用画像の一方の表示タイミングで赤外線にて同期信号を出力する。この同期信号は、観察者に装着される視差画像選択手段としての眼鏡により受信される。この眼鏡には、観察者の右目及び左目に応じた位置に液晶シャッターにより構成された右目用透過部及び左目用透過部がそれぞれ設けられ、当該各透過部の透過状態は、受信される同期信号に基づいて切り替えられる。すなわち、右目用画像が表示されるタイミングでは、右目用透過部が透過状態となり、左目用透過部が遮蔽状態となる。一方、左目用画像が表示されるタイミングでは、右目用透過部が遮蔽状態となり、左目用透過部が透過状態となる。これにより、右目及び左目が右目用画像及び左目用画像をそれぞれ個別に視認することとなり、三次元画像が観察される。
【0023】
また、偏光方式では、画像表示装置1Aは、それぞれ異なる偏光方向を有する偏光光により形成された右目用画像及び左目用画像を表示する。例えば、直線偏光方式では、右目用画像及び左目用画像のうち一方の画像をp偏光で形成し、他方の画像をs偏光で形成する。また、円偏光方式では、右目用画像及び左目用画像のうちの一方を右円偏光で形成し、他方を左円偏光で形成する。
このような右目用画像及び左目用画像を観察する場合には、使用者は偏光方式に応じた眼鏡を装着する。この眼鏡には、視差画像選択手段として機能するものであり、観察者の右目に応じた位置に、右目用画像を形成する偏光光を透過し、他の偏光光を遮蔽する右目用透過部と、左目に応じた位置に、左目用画像を形成する偏光光を透過し、他の偏光光を遮蔽する左目用透過部とが設けられている。これにより、FS方式と同様に、右目及び左目が右目用画像及び左目用画像をそれぞれ個別に視認することとなり、三次元画像が観察される。
【0024】
〔表示手段の構成〕
表示手段2Aは、後述する制御手段5Aから入力される画像信号に応じた画像を形成及び表示する。すなわち、表示手段2Aは、制御手段5Aの制御の下、前述のFS方式及び偏光方式での三次元画像の表示を行う他、二次元画像の表示を行う。この表示手段2Aは、光源装置21、光変調装置22、投射光学装置23及び偏光調整部24を備える。
【0025】
光源装置21は、超高圧水銀ランプ等の放電光源ランプ、及び、リフレクターを備える構成や、LED(Light Emitting Diode)等の固体光源を備える構成を例示できる。
光変調装置22は、光源装置21から入射される光束を変調して、入力される画像信号に応じた画像を形成する。この際、光変調装置22は、例えば、直線偏光であるs偏光により形成された画像を出射する。このような光変調装置22は、液晶パネルを備える構成や、マイクロミラーを用いたデバイスを備える構成を例示できる。
投射光学装置23は、光変調装置22により形成された画像を、前述の被投射面上に拡大投射する。このような投射光学装置23は、鏡筒と、当該鏡筒内に配置される複数のレンズとを備える組レンズとして構成できる。
【0026】
偏光調整部24は、後述する制御手段5Aの制御の下、偏光方式により三次元画像を表示する場合に、当該三次元画像を形成する光の偏光方向を調整する。このような偏光調整部24は、入射される光の偏光方向を変換する位相差板241と、当該位相差板241を投射光学装置23により投射される画像の光路上に挿抜する移動部242とを有する。
位相差板241は、三次元画像を直線偏光方式で表示する場合には、s偏光及びp偏光の一方を他方に変換する位相差板(半波長板)が用いられる。また、位相差板241は、三次元画像を円偏光方式で表示する場合には、一方の画像の表示時に直線偏光を円偏光に変換する位相差板(λ/4板)が用いられ、また、他方の画像の表示時に更に偏光方向を回転させる位相差板(半波長板)が用いられる。
【0027】
移動部242は、三次元画像を直線偏光方式で表示する場合には、右目用画像及び左目用画像の一方の表示タイミングで、位相差板241(半波長板)を、投射光学装置23により投射される画像の光路上に挿入し、他方の表示タイミングで当該位相差板241を当該光路上から抜く。これにより、投射光学装置23から出射され、被投射面に投射される右目用画像及び左目用画像のうち、一方がs偏光により形成された画像となり、他方がp偏光により形成された画像となる。
【0028】
また、移動部242は、三次元画像を円偏光方式で表示する場合には、投射光学装置23により投射される画像の光路上に位相差板241(λ/4板)を挿入して、例えば、右目用画像を形成する偏光光を右円偏光とし、左目用画像の表示タイミングで、上記位相差板(半波長板)を更に挿入して、当該左目用画像を形成する偏光光を左円偏光とする。
なお、前述のFS方式により三次元画像が表示される場合には、移動部242は、投射光学装置23から投射される画像の光路上から位相差板241を抜いたままとする。
【0029】
〔送信手段及び撮像手段の構成〕
送信手段3は、FS方式で三次元画像を表示する際に、後述する制御手段5Aから入力する同期信号を赤外線にて送信する。
撮像手段4は、観察者の観察状態を撮像するものであり、本発明の第1取得手段及び第2取得手段に相当する。具体的に、撮像手段4が第1取得手段として機能する場合には、当該撮像手段4は、赤外線を照射及び受光して、観察者を撮像し、撮像された画像を制御手段5Aに出力する。このため、撮像手段4により撮像された画像には、観察者に装着された眼鏡の種別を識別するための情報(識別情報)が含まれる。
また、撮像手段4が第2取得手段として機能する場合には、当該撮像手段4はサーモカメラとして機能し、当該観察者が発する赤外線の強度分布を取得する。このため、撮像手段4による撮像画像には、観察者の表面温度についての温度情報が含まれる。
【0030】
〔表示方式に応じた眼鏡の種別〕
図2は、撮像手段4による観察者の撮像画像の一例を示す図である。具体的に、図2(A)は、FS方式で利用される眼鏡G1を装着した観察者の撮像画像の一例を示す図であり、図2(B)は、直線偏光方式で利用される眼鏡G2を装着した観察者の撮像画像の一例を示す図である。また、図2(C)は、円偏光方式で利用される眼鏡G3を装着した観察者の撮像画像の一例を示す図であり、図2(D)は、波長多重視覚化方式で利用される眼鏡G4を装着した観察者の撮像画像の一例を示す図である。更に、図2(E)は、視力矯正用の眼鏡G5を装着した観察者の撮像画像の一例を示す図である。
【0031】
ここで、各表示方式で観察者に装着される眼鏡について説明する。
FS方式で利用される眼鏡G1には、図2(A)に示すように、送信手段3により送信された同期信号を受信した際に点灯する点灯部G11が設けられている。この点灯部G11は、赤外線を出射し、当該赤外線は撮像手段4による受光される。この撮像手段4による撮像画像における赤外線の出射位置等を識別情報として取得及び解析することにより、観察者が眼鏡G1を装着していることが検出される。
【0032】
偏光方式で利用される眼鏡G2,G3のうち、眼鏡G2は、直線偏光方式で用いられる眼鏡であり、眼鏡G3は、円偏光方式で用いられる眼鏡である。
これらのうち、眼鏡G2において、観察者の右目に応じた位置に設けられる右目用透過部G21には、図2(B)に示すように、赤外線反射フィルムFLが貼付されている。また、眼鏡G3において、観察者の左目に応じた位置に設けられる左目用透過部G31には、図2(C)に示すように、赤外線反射フィルムFLが貼付されている。
このような眼鏡G2,G3に対して、撮像手段4が赤外線を照射して撮像し、撮像画像において赤外線反射フィルムFLにより反射される赤外線の領域の大きさ及び位置等を識別情報として取得及び解析することにより、観察者が眼鏡G2或いは眼鏡G3を装着していることが検出される。
【0033】
波長多重視覚化方式で利用される眼鏡G4には、図2(D)に示すように、フレームFRに赤外線反射フィルムFLが貼付されている。このような眼鏡G4に対して、赤外線を照射して撮像し、撮像画像において赤外線反射フィルムFLにより反射される赤外線の領域の大きさ及び位置等を識別情報として取得及び解析することにより、観察者が眼鏡G4を装着していることが検出される。
なお、波長多重視覚化方式とは、波長の異なる2組のR(赤)、G(緑)及びB(青)の色光により、右目用画像及び左目用画像をそれぞれ形成し、一方の組のRGBを透過して他方の組のRGBを遮断するフィルターを右目用透過部G41に採用し、他方の組のRGBを透過して一方の組のRGBを遮断するフィルターを左目用透過部G42に採用することで、これら各透過部G41,G42を透過した右目用画像及び左目用画像を、それぞれ右目及び左目により個別に視認することで、三次元画像を観察可能とするものである。
【0034】
視力矯正用の眼鏡G5は、図2(E)に示すように、一般的に赤外線を出射若しくは効率よく反射する部位が設定されていない。このため、このような眼鏡G5を撮像した撮像画像からは、前述の眼鏡G1〜G4の装着が検出されない。
【0035】
〔制御手段の構成〕
制御手段5Aは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の回路素子が実装された回路基板として構成され、画像表示装置1A全体を制御する。この制御手段5Aは、CPUがROMに記憶されたプログラムを処理することで、画像処理部51、状態判定部52A及び表示制御部53Aとして示される各機能部を有する。
【0036】
画像処理部51は、画像表示装置1Aの外部から入力される画像情報(画像信号及び画像データ)を処理して、1フレーム分の画像を描画する。また、画像処理部51は、表示制御部53Aの制御の下、描画した画像を所定のタイミングで表示手段2Aに出力する。この他、画像処理部51は、撮像手段4により撮像された撮像画像を処理する。
【0037】
状態判定部52Aは、画像処理部51により処理された撮像画像に基づいて、観察者の観察状態を判定する。
具体的に、状態判定部52Aは、観察者が眼鏡を装着しているか否かを判定し、眼鏡を装着していると判定した場合には、当該眼鏡がFS方式で用いられる眼鏡G1であるのか、直線偏光方式で用いられる眼鏡G2であるのか、円偏光方式で用いられる眼鏡G3であるのか、或いは、その他の眼鏡(眼鏡G4及び眼鏡G5)であるのかを判定する。
【0038】
また、状態判定部52Aは、観察者の観察状態に変化が生じたか否かを判定する。
具体的に、状態判定部52Aは、画像処理部51により処理された撮像画像に基づいて、装着されていた眼鏡G1〜G3が観察者から外されたか否かを判定する。
【0039】
更に、状態判定部52Aは、当該撮像画像に基づいて、観察者に3D酔いが生じたか否かを判定する。例えば、状態判定部52Aは、撮像画像における観察者の所定の部位(例えば、額)を認識し、当該部位の温度が下がったか否かを判定する。そして、状態判定部52Aは、当該部位の温度が下がったと判定した場合には、観察者に3D酔いが生じたと判定し、当該部位の温度が下がっていないと判定した場合には、観察者に3D酔いが生じていないと判定する。なお、観察者の頭の動きが大きくなった場合に、当該観察者が3Dに対する不快な反応をしていると判断し、観察者に3D酔いが生じたと判定してもよく、これらを組み合わせて3D酔いを判定してもよい。
【0040】
表示制御部53Aは、画像表示装置1A全体を制御し、これにより、当該画像表示装置1Aによる画像の表示状態を制御する。
例えば、表示制御部53Aは、三次元画像を表示させる際には、画像処理部51により、表示手段2Aにそれぞれ1フレーム分の右目用画像及び左目用画像の画像信号を交互に出力させて、当該右目用画像及び左目用画像を交互に表示させる。
この際、状態判定部52Aにより、眼鏡G1が装着されていると判定された場合には、表示制御部53Aは、送信手段3により、右目用画像及び左目用画像のいずれかの表示タイミングで、同期信号を赤外線にて出力させる。すなわち、表示制御部53Aは、FS方式にて三次元画像を表示させる。
【0041】
また、状態判定部52Aにより、眼鏡G2が装着されていると判定された場合には、表示制御部53Aは、移動部242により、位相差板241(半波長板)を投射光学装置23から投射される画像の光路上に挿抜させて、右目用画像及び左目用画像を形成する光を、それぞれ異なる偏光方向を有する直線偏光に変換する。すなわち、表示制御部53Aは、直線偏光方式にて三次元画像を表示させる。
【0042】
更に、状態判定部52Aにより、眼鏡G3が装着されていると判定された場合には、表示制御部53Aは、移動部242により、投射光学装置から投射される画像の光路上に位相差板241(λ/4板)を挿入させるとともに、右目用画像及び左目用画像のうち一方の画像の表示タイミングで更に位相差板241(半波長板)を挿入させて、当該右目用画像及び左目用画像を形成する光を、それぞれ異なる偏光方向を有する円偏光に変換する。すなわち、表示制御部53Aは、円偏光方式にて三次元画像を表示させる。
なお、状態判定部52Aにより、眼鏡G4,G5が装着されていると判定された場合の他、眼鏡が装着されていないと判定された場合には、表示制御部53Aは、画像処理部51に二次元画像の画像信号を表示手段2Aに出力させて、当該二次元画像を表示させる。
【0043】
また、表示制御部53Aは、状態判定部52Aにより、観察者から眼鏡G1〜G3が外されたと判定された場合、及び、当該観察者に3D酔いが生じたと判定された場合に、画像処理部51に二次元画像の画像信号を表示手段2Aに出力させて、当該二次元画像を表示させる。この際、表示制御部53Aは、送信手段3により同期信号が出力されている場合には、当該同期信号の出力を停止させ、また、移動部242に位相差板241を画像の光路上から外させる。これにより、表示される画像が三次元画像から二次元画像に切り替えられる。
【0044】
〔表示制御処理〕
図3は、画像表示装置1Aによる表示制御処理を示すフローチャートである。
画像表示装置1Aは、以下に示す表示制御処理を実行し、二次元画像の表示と三次元画像の表示とを切り替える他、観察者の観察状態に応じた三次元画像の表示方式を選択して実行する。
具体的に、当該表示制御処理では、図3に示すように、まず、制御手段5Aの状態判定部52Aが、撮像手段4により撮像され、画像処理部51により処理された撮像画像に基づいて、観察者が眼鏡を装着しているか否かを判定する(ステップSA1)。この際、表示制御部53Aは、送信手段3により、前述の同期信号を赤外線で出力させる。
このステップSA1の判定処理にて、状態判定部52Aが、眼鏡を装着していないと判定した場合(ステップSA1:NO)には、制御手段5Aは、処理をステップSA8に移行する。
【0045】
ステップSA1の判定処理にて、眼鏡を装着していると判定した場合(ステップSA1:YES)には、状態判定部52Aは、当該眼鏡がFS方式に対応した眼鏡G1であるか否かを判定する(ステップSA2)。
このステップSA2の判定処理にて、眼鏡G1であると判定されると(ステップSA2:YES)、表示制御部53Aは、FS方式での三次元画像の表示を画像処理部51、表示手段2A及び送信手段3に実行させる(ステップSA3)。この後、制御手段5Aは、処理をステップSA9に移行する。
【0046】
ステップSA2の判定処理にて、眼鏡G1でないと判定されると(ステップSA2:NO)、撮像手段4が赤外線を観察者に向けて照射して撮像し、この撮像画像に基づいて、状態判定部52Aが、装着されている眼鏡が直線偏光方式に対応した眼鏡G2であるか否かを判定する(ステップSA4)。
このステップSA4の判定処理にて、眼鏡G2であると判定されると(ステップSA4:YES)、表示制御部53Aは、直線偏光方式での三次元画像の表示を画像処理部51及び表示手段2Aに実行させる(ステップSA5)。この後、制御手段5Aは、処理をステップSA9に移行する。
【0047】
ステップSA4の判定処理にて、眼鏡G2でないと判定すると(ステップSA4:NO)、状態判定部52Aは、装着されている眼鏡が円偏光方式で用いられる眼鏡G3であるか否かを判定する(ステップSA6)。
このステップSA6の判定処理にて、眼鏡G3であると判定されると(ステップSA6:YES)、表示制御部53Aは、円偏光方式での三次元画像の表示を画像処理部51及び表示手段2Aに実行させる(ステップSA7)。この後、制御手段5Aは、処理をステップSA9に移行する。
【0048】
ステップSA6の判定処理にて、眼鏡G3でないと判定されると(ステップSA6:NO)、制御手段5Aは、ステップSA8に処理を移行する。
このステップSA8では、表示制御部53Aが、二次元画像の表示を画像処理部51、表示手段2A及び送信手段3に実行させ(ステップSA8)、制御手段5Aは、表示制御処理を終了する。なお、このステップSA8の後、観察者により眼鏡G1,G2が装着されることに備えて、制御手段5Aが、処理をステップSA1に戻す構成としてもよい。
【0049】
ステップSA9では、状態判定部52Aが、観察者の観察状態が変化したか否かを判定する(ステップSA9)。ここで、観察状態が変化していないと判定した場合には(ステップSA9:NO)、状態判定部52Aは、ステップSA9の処理を繰り返し実行する。
【0050】
ステップSA9の判定処理にて、観察状態が変化したと判定すると(ステップSA9:YES)、状態判定部52Aは、当該観察状態の変化が、眼鏡が取り外されたことによるものか否かを判定する(ステップSA10)。
このステップSA10の判定処理にて、眼鏡が取り外されたことによるものと判定されると(ステップSA10:YES)、制御手段5Aは、処理をステップSA12に移行する。
また、ステップSA10の判定処理にて、眼鏡が取り外されたことによるものではないと判定すると(ステップSA10:NO)、状態判定部52Aは、観察者に3D酔いが生じたか否かを判定する(ステップSA11)。
【0051】
ステップSA11の判定処理にて、観察者に3D酔いは生じていないと判定されると(ステップSA11:NO)、制御手段5Aは、処理をステップSA9に戻す。
一方、ステップSA11の判定処理にて、観察者に3D酔いが生じたと判定されると(ステップSA11:YES)、制御手段5Aは、処理をステップSA12に移行する。
ステップSA12では、表示制御部53Aが、二次元画像の表示を画像処理部51、表示手段2A及び送信手段3に実行させる(ステップSA12)。そして、制御手段5Aは、表示制御処理を終了する。
【0052】
以上説明した本実施形態に係る画像表示装置1Aによれば、以下の効果がある。
すなわち、制御手段5Aの表示制御部53Aが、第1取得手段として機能する撮像手段4により撮像画像として取得された観察者の観察状態に基づいて、表示手段2Aにより実施可能なFS方式及び偏光方式(直線偏光方式及び円偏光方式)のうちのいずれかの表示方式で、三次元画像(立体視可能な画像)を表示させる。これによれば、表示制御部53Aが、表示手段2Aに観察者の観察状態に適した表示方式で三次元画像を表示させることにより、観察者が表示方式を選択する必要がない。従って、三次元画像の表示方式を自動的に切り替えることができ、簡易に三次元画像を観察できる。
【0053】
撮像手段4により撮像された撮像画像に基づいて、制御手段5Aの状態判定部52Aが眼鏡の種別を判定する。そして、当該眼鏡の種別に基づいて、表示制御部53Aが、当該眼鏡の種別に応じた表示方式を選択し、当該表示方式にて三次元画像の表示を実施させる。これによれば、観察者の観察状態に適した表示方式での三次元画像の表示を確実に実施できる。従って、一層簡易に三次元画像を観察できる。
【0054】
撮像手段4による撮像画像からは、観察者が装着した眼鏡に対応する表示方式を示す識別情報(赤外線の出射位置及び大きさ等)が含まれる。これによれば、状態判定部52Aが、当該眼鏡の種別を適切に判定でき、ひいては、表示制御部53Aが、当該種別に応じた表示方式、すなわち、観察者の観察状態に応じた表示方式を確実に実施させることができる。従って、より一層簡易に三次元画像を観察できる。
【0055】
FS方式及び偏光方式のいずれかの表示方式で三次元画像を表示している際に、当該表示方式に応じた眼鏡が観察者から取り外されると、表示制御部53Aは、表示手段2Aにより表示される画像を三次元画像から二次元画像に切り替える。これによれば、画像を立体視可能な観察状態から、立体視可能でない観察状態への変化に応じて、三次元画像から二次元画像の表示に切り替えることができる。従って、観察者の観察状態に適した画像表示を確実に実施できる。
【0056】
第2取得手段として機能する撮像手段4による撮像画像に基づいて、観察者から出射される赤外線の強度分布(温度情報)が取得され、当該強度分布に基づいて、観察者の表面温度が取得される。そして、状態判定部52Aにより、当該表面温度が低下したと判定された場合、すなわち、観察者に3D酔いの症状が表れたと判定された場合には、表示制御部53Aが、表示される画像を三次元画像から二次元画像に切り替える。これによれば、観察者の観察状態に適した画像を表示できる。従って、観察者にとって、より観察しやすい画像を表示できる。
【0057】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置は、前述の画像表示装置1Aとは異なる三次元画像の表示方式を有する。すなわち、本実施形態に係る画像表示装置は、偏光方式に代えて、裸眼立体視方式での三次元画像の表示を実現可能としている。この点で、本実施形態に係る画像表示装置と、画像表示装置1Aとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図4は、本実施形態に係る画像表示装置1Bの構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像表示装置1Bは、画像表示領域全体で二次元画像を表示する機能を有する他、前述の三次元画像を表示する機能を有するディスプレイとして構成されている。このような画像表示装置1Bは、図4に示すように、表示手段2A及び制御手段5Aに代えて、表示手段2B及び制御手段5Bを備える他は、前述の画像表示装置1Aと同様の構成を備える。
【0059】
表示手段2Bは、バックライトにより構成された光源装置21と、当該光源装置21から入射される光を変調して画像を形成する液晶パネルにより構成された光変調装置22と、画像分離部25とを備える。なお、表示手段2Bは、バックライト及び液晶パネルを備える構成に限らず、これらに代えて、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ及びCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置を採用してもよい。
【0060】
画像分離部25は、表示手段2Bにより表示された右目用画像及び左目用画像を分離する視差バリア251と、当該視差バリア251を移動させる移動部252とを有する。
視差バリア251は、本発明の第3表示方式に相当する裸眼立体視方式により三次元画像を表示する際に利用される構成である。この視差バリア251は、詳しい図示を省略するが、表示手段2Bにて同時に表示される右目用画像及び左目用画像のうち、右目用画像を画像表示装置1Bに設定された視点上の右目の位置に出射させ、左目用画像を当該視点上の左目の位置に出射させる。このような視差バリア251が設けられることで、観察者は、右目にて右目用画像を視認し、左目にて左目用画像を視認することとなる。
【0061】
移動部252は、制御手段5Bによる制御の下、三次元画像をFS方式で表示する場合には、視差バリア251による右目用画像及び左目用画像の分離が行われないように、当該視差バリア251を移動させる。また、移動部252は、同様に、三次元画像を裸眼立体視方式で表示する場合には、右目用画像及び左目用画像の分離が行われる位置に、視差バリア251を移動させる。
【0062】
制御手段5Bは、状態判定部52A及び表示制御部53Aに代えて、状態判定部52B及び表示制御部53Bを有する他は、制御手段5Aと同様の構成を有する。
このうち、状態判定部52Bは、前述の状態判定部52Aと同様に、画像処理部51により処理された撮像画像に基づいて、観察者の観察状態を判定する。この際、状態判定部52Bは、観察者が眼鏡を装着しているか否かを判定し、眼鏡を装着していると判定した場合には、当該眼鏡がFS方式で用いられる眼鏡G1であるのか、その他の眼鏡であるのかを判定する。
【0063】
また、状態判定部52Bは、状態判定部52Aと同様に、観察者の観察状態に変化が生じたか否かを判定する。
具体的に、状態判定部52Bは、画像処理部51により処理された撮像画像に基づいて、装着されていた眼鏡G1が観察者から外されたか否かを判定する。更に、状態判定部52Bは、当該撮像画像に基づいて、観察者に3D酔いが生じたか否かを判定する。
【0064】
表示制御部53Bは、画像表示装置1B全体を制御し、これにより、当該画像表示装置1Bによる画像の表示状態を制御する。
例えば、表示制御部53Bは、状態判定部52Bにより観察者が眼鏡G1を装着していると判定された場合に、FS方式により三次元画像を表示させる。この場合、表示制御部53Bは、画像処理部51により、表示手段2Bにそれぞれ1フレーム分の右目用画像及び左目用画像の画像信号を交互に出力させて、当該右目用画像及び左目用画像を交互に表示させる。この際、表示制御部53Bは、送信手段3により、右目用画像及び左目用画像のいずれかの表示タイミングで、同期信号を赤外線にて出力させる。
【0065】
また、表示制御部53Bは、状態判定部52Bにより眼鏡G1以外の眼鏡が観察者に装着されていると判定された場合、及び、眼鏡が装着されていないと判定された場合に、裸眼立体視方式により三次元画像を表示させる。この場合、表示制御部53Bは、表示手段2Bにおいて少なくとも行方向に交互に設定された右目用画素及び左目用画素により右目用画像及び左目用画像がそれぞれ形成及び表示されるように、当該各画像の画像信号を画像処理部51に出力させる。この際、表示制御部53Bは、視差バリア251による右目用画像及び左目用画像の分離が行われる位置に、移動部252に当該視差バリア251を移動させる。
【0066】
図5は、画像表示装置1Bによる表示制御処理を示すフローチャートである。
画像表示装置1Bは、以下に示す表示制御処理を実行し、二次元画像の表示と三次元画像の表示とを切り替える他、観察者の観察状態に応じた三次元画像の表示方式を選択して実行する。
具体的に、当該表示制御処理では、図5に示すように、まず、状態判定部52Bが、前述のステップSA1,SA2と同様の処理を行う。なお、ステップSA1の判定処理にて、状態判定部52Bにより眼鏡が装着されていないと判定されると(ステップSA1:NO)、制御手段5Bは、処理をステップSB1に移行する。
また、ステップSA2の判定処理にて、状態判定部52Bにより、装着されている眼鏡は眼鏡G1であると判定されると(ステップSA2:YES)、表示制御部53Bは、前述のステップSA3と同様の処理を実行し、FS方式での三次元画像の表示を実行させる(ステップSA3)。この後、制御手段5Bは、前述のステップSA9〜SA12と同様の処理を状態判定部52B及び表示制御部53Bにより実行する。
【0067】
一方、ステップSA2の判定処理にて、状態判定部52Bにより、装着されている眼鏡が眼鏡G1でないと判定されると(ステップSA2:NO)、制御手段5Bは、処理をステップSB1に移行する。
ステップSB1では、表示制御部53Bが、裸眼立体視方式での三次元画像の表示を画像処理部51及び表示手段2Bに実行させる(ステップSB1)。この後、制御手段5Bは、前述のステップSA9〜SA12と同様の処理を状態判定部52B及び表示制御部53Bにより実行する。
【0068】
以上説明した本実施形態に係る画像表示装置1Bによれば、前述の画像表示装置1Aと同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
表示手段2Bが、裸眼立体視方式での三次元画像の表示を実施可能な場合で、かつ、FS方式に応じた眼鏡G1が観察者に装着されていない場合には、制御手段5Bの表示制御部53Bは、裸眼立体視方式での三次元画像の表示を表示手段2Bに実施させる。これによれば、観察者が裸眼立体視方式を選択及び設定するが無い。従って、観察者の観察状態に適した裸眼立体視方式での立体視可能な画像の表示を確実に実行できる。
【0069】
〔実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第1実施形態では、画像表示装置1Aは、1つの表示手段2Aにより、FS方式及び偏光方式を実施可能に構成したが、本発明はこれに限らない。すなわち、右目用画像を表示する表示手段と、左目用画像を表示する表示手段とをそれぞれ個別に備える画像表示装置としてもよい。例えば、偏光方式での三次元画像の表示を実施可能に構成する場合、一方の表示手段と他方の表示手段とで、それぞれ異なる偏光方向を有する偏光光により形成された右目用画像及び左目用画像を表示すればよい。
【0070】
前記第1実施形態では、画像表示装置1Aは、FS方式及び偏光方式での三次元画像表示を実施可能に構成され、前記第2実施形態では、画像表示装置1Bは、FS方式及び裸眼立体視方式での三次元画像表示を実施可能に構成されていたが、本発明はこれらに限らない。すなわち、FS方式、偏光方式及び裸眼立体視方式のうち、少なくとも2つの表示方式を実施可能に構成され、観察者の観察状態に応じた表示方式にて三次元画像を表示する構成であれば、実施可能な表示方式は適宜組み合わせてよい。また、これら表示方式の他に、波長多重視覚化方式を実施可能に構成してもよい。更に、裸眼立体視方式においても、視差バリア251の代わりに、右目用画像と左目用画像とを分離するレンズを採用してもよい。
【0071】
前記各実施形態では、対応する表示方式を示す識別情報を、赤外線の出射位置及び大きさ等により眼鏡G1〜G4に設定したが、本発明はこれに限らない。すなわち、文字や図柄等により、当該識別情報を眼鏡に設定してもよく、また、眼鏡の形状から、対応する表示方式を取得する構成としてもよい。
【0072】
前記各実施形態では、FS方式或いは偏光方式に対応する眼鏡が観察者から取り外された場合に、表示される画像を三次元画像から二次元画像に切り替えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、実施可能であれば、裸眼立体視方式による三次元画像の表示に切り替えてもよい。また、再び眼鏡が装着された場合には、当該眼鏡に対応する表示方式にて三次元画像を表示するように構成してもよい。
【0073】
前記各実施形態では、観察者の表面温度に関する温度情報に基づいて、当該観察者に3D酔いが生じたか否かを判定したが、本発明はこれに限らない。すなわち、前述のように、観察者(例えば頭)の移動頻度等の情報に基づいて、3D酔いが生じたか否かを判定してもよい。また、3D酔いが生じたと判定された場合に、表示される画像を三次元画像から二次元画像に切り替えるのではなく、画像表示を中断する構成としてもよい。
【0074】
前記各実施形態では、撮像手段4は、第1取得手段及び第2取得手段としての各機能を有するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、第1取得手段として機能する構成と、第2取得手段として機能する構成とを、それぞれ個別に設けてもよい。また、観察者の観察状態として、各取得手段がそれぞれ異なる内容を取得するように構成してもよい。例えば、第1取得手段が、眼鏡と通信することにより、当該眼鏡の種別及び対応する表示方式を取得する構成としてもよく、また、第2取得手段が、観察者の頭部に設けられたセンサーと通信して、当該頭部の傾き等の情報を取得する構成としてもよい。
【0075】
前記各実施形態では、観察者に3D酔いの症状が表れたと判定された場合に、表示される画像を三次元画像から二次元画像に切り替えるとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、立体効果を抑制した三次元画像を表示するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、複数の表示方式にて三次元画像を表示可能な画像表示装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0077】
1A,1B…画像表示装置、2A,2B…表示手段、4…撮像手段(第1取得手段、第2取得手段)、5A,5B…制御手段、G1〜G5…眼鏡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右目用画像及び左目用画像を形成して、視差により立体視可能な画像を表示する表示手段と、
表示された画像を観察する観察者の観察状態を取得する第1取得手段と、
前記表示手段による画像表示を制御する制御手段と、を備え、
前記表示手段は、
前記右目用画像及び前記左目用画像を交互に表示する第1表示方式と、
それぞれ偏光方向が異なる光により形成された前記右目用画像及び前記左目用画像を表示する第2表示方式と、
前記右目用画像及び前記左目用画像を表示して、前記観察者の右目及び左目にそれぞれ個別に入射させる第3表示方式との少なくとも2つの表示方式を実施可能に構成され、
前記制御手段は、前記第1取得手段により取得された前記観察者の観察状態に基づいて、前記少なくとも2つの表示方式のうちのいずれかの表示方式で、前記表示手段により前記右目用画像及び前記左目用画像を表示させる
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記第1取得手段は、前記観察者の観察状態として、当該観察者により装着される眼鏡の種別を取得し、
前記制御手段は、
実施可能な表示方式として前記第1表示方式が含まれる場合で、かつ、前記観察者が前記第1表示方式に応じた眼鏡を装着していることが検出された場合には、前記第1表示方式で前記表示手段に前記右目用画像及び前記左目用画像を表示させ、
実施可能な表示方式として前記第2表示方式が含まれる場合で、かつ、前記観察者が前記第2表示方式に応じた眼鏡を装着していることが検出された場合には、前記第2表示方式で前記表示手段に前記右目用画像及び前記左目用画像を表示させる
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置において、
前記眼鏡には、対応する表示方式を示す識別情報が設定され、
前記第1取得手段は、前記識別情報を取得する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の画像表示装置において、
前記制御手段は、前記第1取得手段により前記第1表示方式及び前記第2表示方式のいずれかに応じた前記眼鏡が前記観察者から取り外されたことが検出されると、前記表示手段により表示される画像を、前記立体視可能な画像から二次元画像に切り替える
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記制御手段は、実施可能な表示方式として前記第3表示方式が含まれる場合で、かつ、前記観察者が前記第1表示方式及び前記第2表示方式に応じた眼鏡を装着していないことが検出された場合には、前記第3表示方式で前記表示手段に前記右目用画像及び前記左目用画像を表示させる
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記観察者の表面温度に応じた温度情報を取得する第2取得手段を備え、
前記制御手段は、前記第2取得手段により取得された前記温度情報に基づいて、前記観察者の表面温度が低下したと判定された場合には、前記表示手段により表示される画像を、前記立体視可能な画像から二次元画像に切り替える
ことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−244426(P2012−244426A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112686(P2011−112686)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】