説明

画像記録媒体

【課題】画像形成装置において使用する保存性良好の写真調画像を自動的に作成する画像記録媒体を提供する。
【解決手段】画像形成ユニット1Yで形成された画像を給紙部4aから搬送された記録媒体21に転写し且つ定着部7での画像定着後前記記録媒体を後処理装置Eに向けて排出する画像形成装置Dに使用する画像記録媒体において、透明な部分21bと不透明な部分21aとから構成され、前記透明な部分21b上に作成された反転画像が前記定着部7を通過した後、反転させずに後処理装置である中折り装置Eへ受け渡され且つ前記透明な部分21bと不透明な部分21aが重ね合わされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成ユニットで形成された画像を給紙部から搬送された記録媒体に転写し且つ定着部での画像定着後前記記録媒体を後処理装置に向けて排出する画像形成装置に使用する画像記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置から光沢のある写真画質の画像を得るために、特殊なトナー、特殊な記録媒体、特殊な定着装置等を使用して所望の光沢のある写真画質の画像を得る試みがなされている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
例えば、特許文献1では、光沢を出すための特殊なトナーを用いている。用紙上に通常の画像形成を実施した後、定着部に行く前に全面に透明なトナーを均一に形成し、定着することで写真画質が得られるとしている。
また、特許文献2を始めとする技術では、光沢を出すために特殊な記録媒体を用いている。用紙の表や裏に熱可塑性樹脂層を設け、画像を通常に定着した後でさらに圧力と熱を加えることで表面の均一な光沢を実現できるとしている。
【0003】
さらに、特許文献3では、光沢を出すために特殊な定着装置を用いている。通常の定着(第1定着)後、平滑性の高いベルトから構成される第2定着手段を設けて再度トナーを溶かした後冷却と剥離を行い、ベルトの平滑性を利用して均一な光沢を得ることができるとしている。
本発明者等は、未決の係属出願において、透明な記録媒体と不透明な媒体との間に画像を形成することで保存性良好の写真調画像が得られるという研究及び感熱接着剤を用いることにより電子写真定着部の熱を利用して折り曲げた媒体を接着することを示す研究も開示している。
【特許文献1】特開2002−341623公報
【特許文献2】特開2004−191678公報
【特許文献3】特開2003−270991公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は常に全面に均一な透明トナーを供給することや、画像部と非画像部でのトナー厚みの違いによる定着部への負荷が高い等の課題がある。また、特許文献2の技術を用いるためには特許文献3に記載されるような特殊な定着装置と併せて効果が実現できるものであり、構成やコスト、消費電力等の点で問題がある。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、画像形成装置において使用する保存性良好の写真調画像を自動的に作成する画像記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像形成ユニットで形成された画像を給紙部から搬送された記録媒体に転写し、且つ、定着部での画像定着後前記記録媒体を後処理装置に向けて排出する画像形成装置に使用する画像記録媒体において、透明な部分と不透明な部分とから構成され、前記透明な部分上に作成された反転画像が前記定着部を通過した後、反転させずに後処理装置である中折り装置へ受け渡され、且つ、前記透明な部分と不透明な部分が重ね合わされる画像記録媒体を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記不透明な部分が非透明白色である請求項1記載の画像記録媒体を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、少なくとも一部に前記透明な部分を有し、この透明な部分の少なくとも画像形成面の表面が平滑である請求項1記載の画像記録媒体を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記透明な部分と前記不透明な部分とを1枚のシートで並べて構成し、前記シートを折り曲げることによって前記透明な部分と前記不透明な部分とを感熱性粘着剤層によって接着させる請求項1記載の画像記録媒体を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記感熱性粘着剤層が、熱可塑性樹脂と固体可塑剤及び必要に応じて粘着付与剤を追加することによって構成されている請求項4記載の画像記録媒体を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、画像の形成がトナーを用いて行なわれる場合、前記熱可塑性樹脂及び前記固体可塑剤の融点が、前記トナーの融点よりも低い請求項5記載の画像記録媒体を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、凹凸のない印刷面を記録媒体の透明な部分を介して見ることができる画像を得ることができるため、従来複雑な構成もしくは複雑な手順を必要としてきた保存性が良好な写真調画像を、不透明な部分と透明な部分からなる記録媒体を画像形成装置に供給するだけで簡単に得ることができ、また、本発明によれば後処理装置での中折り機能を用いることが可能となるため、写真調の画像を自動的に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は一般的な電子写真装置である画像形成装置の構成を示す概略図である。この構成について説明すると、画像形成装置Cは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kを備えている。なお、Y、M、C、Kの色順は、図1に限るものでなく、他の並び順であっても構わない。
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、夫々像担持体としての感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kと、帯電手段、現像手段、クリーニング手段とを備えている。また、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの配置は、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの回転軸が平行になるように且つ転写紙移動方向に所定のピッチで配列するように設定されている。
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの上方には、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面にレーザ光を走査しながら照射する光書込ユニット3が、下方には転写紙を担持して各画像形成ユニットの転写部を通過するように搬送する転写搬送ベルト9を有するベルト駆動装置としての転写ユニット6が配置されている。
【0008】
転写搬送ベルト9の外周面には、ブラシローラとクリーニングブレードから構成されたクリーニング装置19が接触するように配置されている。このクリーニング装置19により転写搬送ベルト9上に付着したトナー等の異物が除去される。
転写ユニット6の側方にはベルト定着方式の定着ユニット7、排紙トレイ8、排紙コロ22等が備えられている。画像形成装置下部には、記録媒体(転写紙)21が載置された給紙カセット4a、4bを備えている。また、画像形成装置側面には、手差しで記録媒体21の給紙を行う手差しトレイMFが備えられている。
この他、トナー補給容器TCが備えられ、図示していない廃トナーボトル、両面・反転ユニット、電源ユニットなども1点鎖線で示したスペースSの中に備えられている。
【0009】
現像手段としての現像装置10Y、10M、10C、10Kは、いずれも同様の構成からなり、それらは使用するトナーの色のみが異なる2成分現像方式の現像装置10Y、10M、10C、10Kであり、トナーと磁性キャリアからなる現像剤が収容されている。
現像装置10Y、10M、10C、10Kは感光体ドラム11に対向した現像ローラ、現像剤を搬送・撹拌するスクリュー、トナー濃度センサ等から構成される。現像ローラは外側の回転自在のスリーブと内側に固定された磁石から構成されている。トナー濃度センサの出力に応じて、トナー補給容器TCよりトナーが補給される。
【0010】
画像形成の流れについて説明する。先ず、帯電ローラに図示しない電源より所定の電圧が印加されて、対向する感光体ドラム11(Y、M、C、K)表面を帯電する。所定の電位に帯電した感光体ドラム11(Y、M、C、K)表面には、引き続いて光書き込みユニット3により画像データに基づくレーザ光が走査され、静電潜像が書き込まれる。
静電潜像を担持した感光体ドラム11(Y、M、C、K)表面が現像装置10(Y、M、C、K)に到達すると、感光体ドラム11(Y、M、C、K)と対向配置される現像ローラにより、感光体ドラム11(Y、M、C、K)表面の静電潜像にトナーが供給されて、トナー像が形成される。
上記の動作が感光体ユニット2Y、2M、2C、2K全てに同様にして所定のタイミングで行われ、感光体ドラム11Y、11M、11C、11K表面には夫々所定の色のトナー像が形成される。
【0011】
記録媒体21は、給紙カセット4a、4b、もしくは手差しトレイMFのいずれかから搬送され、レジストローラ5に到達したところでいったん停止する。そして、感光体ユニット2Y、2M、2C、2Kの上記の画像形成動作にタイミングを合わせて、記録媒体21がレジストローラ5により送り出され、転写搬送ベルト9によって搬送されながら、各感光体ドラム11(Y、M、C、K)上のトナー像が順次転写されていく。
この記録媒体21へのトナー像の転写は、転写搬送ベルト9を挟んで各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kと対向配置されている1次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kから、図示しない電源より感光体ドラム11(Y、M、C、K)上のトナーの極性と逆の極性の電圧が印加されることで行われる。
感光体ドラム11Kとの対向位置を通過し、4色のトナー像が重ね合わされた記録媒体21は引き続いて定着ユニット7に搬送され、且つ熱と圧力を受けて画像が定着される。
本実施の形態に用いた画像形成装置は特別にこの構成を特徴としているわけではなく、例えば、書き込み方式としてレーザではなくLEDを使用する場合や、現像手段として2成分ではなく1成分であっても構わないし、定着手段としてベルトではなくローラや誘導加熱方式であっても構わない。
【0012】
図2は本発明で転写紙として使用する記録媒体を示す概略図である。本実施の形態において、図2(a)に示す記録媒体21はその半分、すなわち、斜線部分21aである非透明部分と、その半分、すなわち、白枠部分21bである透明部分から構成されている。また、図2(b)に示すように記録媒体21の1部分が白枠部分21b内である透明部分という形状でもよいし、白色部分も不透明であれば白色に限るものではない。
図3は図1に示した中折り装置における処理の詳細を説明する概略斜視図である。図1及び図3を参照して、上述した記録媒体21の透明な部分21bに対して、画像を形成し且つそれを定着する。この時、透明な部分21bにはミラー反転した画像(図5)を印刷する。
記録媒体21は定着部を通過後に画像形成装置Dから後処理装置(この場合、中折り装置E)へと搬送される。すなわち、定着後の適所に分岐爪Gが配置されてあり、それを切り換えることで排紙トレイ8へと排紙されるか、後処理装置E(C方向)へと排紙されるかを切り換える。
【0013】
通常の後処理装置においては、複数ページからなる印刷物を順番に重ねるために、後処理装置に入る前に反転させる構成となっている。本実施の形態では、この部分に図示しない分岐装置を設けることで、反転させずに用紙を後処理装置に送ることができるようになっている。つまり、通常の中折り装置の使い方とは逆の折り方を、分岐装置を設けるのみで実現できる。
中折り装置は通常複数枚の出力を重ねて、中央部をステープルして折り曲げるような使い方が一般的であるが、本実施の形態である保存性良好の写真調画像については1つの写真調画像を得る毎に折り曲げ動作を実施するので、反転動作が不要となる。
図1及び図3において、中折り装置Eはローラ対23、24、25から構成されており、定着を通過後に画像形成装置Dから後処理装置(この場合、中折り装置E)へと搬送された、図2(a)に示す記録媒体21はローラ対23を通ってローラ対24へ搬送される(図3(a)及び図3(b))。
この場合に、ローラ対23を通ってローラ対24へ搬送される記録媒体21の先端はいったん図1のH方向へ搬送され、非透明な部分21aと透明な部分21bの境界が図3(c)に示すようにほぼローラ対25上に達した時にローラ対24を逆転させて記録媒体21をローラ対25に向かってたるませて(図3(d))、たるんだ記録媒体21がローラ対25のニップに挟まれて記録媒体21の非透明な部分21aと透明な部分21bが重ね合わされ、次いでJ方向に排出される。
【0014】
図4は図3で重ね合わされた記録媒体を示す概略断面図である。図5は画像のミラーリング印刷を説明する概略図である。図6は本発明による印刷画像と比較のための通常の印刷画像を示す概略断面図である。
このようにして出力された画像は図4に示すように記録媒体21の透明な部分21bと不透明な部分21aの間にトナーの層が存在するような形態で出力される。画像は折り曲げることを前提に図5(a)(b)(c)(d)の手順でミラーリングされて印刷されているので、図4にあるように透明な部分21bを介してトナー像面を裏側から見る形になる。
図4との比較のためにここで示す図6の通常の印刷画像は凹凸のあるトナー面を直接見るため滑らかさがない。しかし、本発明の画像形成装置で作成したように、透明な部分21bを介してトナー像を見ると、視線方向には凹凸のないトナー面があることから、滑らかな画像に見える。さらに、透明な部分21bの表面の反射光も目で拾うため、トナー像の平面性と透明な部分21bの反射光により写真調の画像に見える。
【0015】
図7は中折り処理する場合の画像面割り付けを示す概略図である。中折り処理する場合に、作像面の割り付けは図7(a)に示すように、通常は中折りに対して外側に第1面がくるように割り付けている。しかし、本発明の実施の形態では、反転せずに中折りするために、図7(b)に示すように第1面が内側になる。すなわち、写真調プリントの記録媒体に対する画像面の割り付けは画像面が記録媒体の透明な部分側とする。
図8は一般的な電子写真後処理での中折り動作開始前の記録媒体の面を示す概略図である。図9は一般的な電子写真後処理での中折り動作の流れを示す概略図である。
図8及び図9を参照して、第1面が外側になるように反転排紙された記録媒体21がローラ対23によって中折り処理部であるローラ対25と中折りプレート26へ搬送され(図9(a))、記録媒体21の中央部を中折りプレート26によって外から押して(図9(b))折りローラ25間を通すことで、1枚または複数枚の媒体を折り曲げることができる。中折り処理後は図7で示したような画像面の割り付けとなる。
【0016】
図10は記録媒体の透明な部分が搬送方向に対して下流にある場合の本発明による中折り処理前後の様子を示す概略図である。図11は記録媒体の透明な部分が搬送方向に対して上流にある場合の本発明による中折り処理前後の様子を示す概略図である。
図10及び図11を参照して、比較として示した図8及び図9の一般的な使い方と異なり、折りの内側に画像が形成される。搬送方向に対して下流(図10)又は上流(図11)にある画像を有する記録媒体21の透明な部分21bは反転させずにローラ対23によって中折り処理部であるローラ対25と中折りプレート26へ搬送される。次いで、記録媒体21の中央部を中折りプレート26によって外から押して折りローラ25間を通すことで、1枚の記録媒体を折り曲げることができる。
記録媒体21の画像を有する面が透明な部分21bであることにより、記録媒体の裏面から見ると光沢が均一な写真調の画像となる。また画像面に直接触れない構成となることで保存性が良好である。さらに対向面が不透明白色であるので、画像の色彩が鮮明となり、より好ましい画像を得ることができる。
【0017】
非透明白色の、画像対向面に形成されている感熱性粘着剤層について以下に述べる。感熱性粘着剤は、固体可塑剤と熱可塑性樹脂エマルジョンを必須成分とし、これらに粘着付与剤等を混合したもので、これらの混合物を支持体上に塗工することにより感熱性粘着材料が得られる。
感熱性粘着材料の粘着剤層表面は、常温では全く粘着性を示さないが、加熱することにより粘着性が発現し、熱源を取り去った後でも暫くの間、粘着性を維持するものであり(貼り付いた状態では半永久的に接着状態を維持)、加熱により、まず固体可塑剤が融解し、熱可塑性樹脂と粘着付与剤を溶解することにより粘着性が発現すると考えられている。
このタイプの感熱性粘着材料は、前記の一般的な粘着材料のように剥離紙を使用しないため、省資源、環境問題の点から有利である。さらに、感熱性粘着材料は被着体に当接させてから感熱性粘着材料を加熱すれば接着できるため、貼付ミスを防止できる。
【0018】
固体可塑剤に用いられる化合物として、特にベンゾエート基、ベンゾフェノン基、フェニレンジアミン基、ベンゾチアゾール基を有する化合物を少なくとも1種以上用いることで低温粘着力がいっそう促進されることを見出した。
具体例としては、ベンゾエート基を有する化合物では化合物1、ベンゾフェノン基を有する化合物では化合物2、化合物3、化合物4、フェニレンジアミン基を有する化合物では化合物5、化合物6、ベンゾチアゾ−ル基を有する化合物では化合物7、化合物8、化合物9、化合物10、化合物11などが挙げられるが、必ずしもこの限りではない。
特に、ベンゾエート基を有する化合物1、ベンゾフェノン基を有する化合物2、フェニレンジアミン基を有する化合物5、ベンゾチアゾ−ル基を有する化合物7は中でも熱可塑性樹脂や粘着付与剤との相溶性が高いため、低温環境下において高粘着性を示す。
感熱性粘着剤層を構成する熱可塑性樹脂エマルジョンを以下に列挙するが必ずしもこの限りではない。熱可塑性樹脂エマルジョンの種類としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−スチレン共重合体、ポリブタジエン、ポリウレタン等の樹脂が挙げられる。
感熱性粘着剤層の熱可塑性樹脂エマルジョンとして、アクリル酸エステル共重合体を用いると高粘着化を図ることができ、その中でも、2−エチルヘキシルアクリレートが粘着力を高める樹脂であることが見出された。
【0019】
感熱性粘着剤層には、粘着力を向上するために、粘着付与剤を添加することができる。粘着付与剤の具体例としては、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン誘導体樹脂等が用いられる。これら粘着付与剤は、熱可塑性樹脂1.0部に対し2.0部以下、好ましくは0.2〜1.5部の範囲で混合して用いられる。粘着付与剤の添加部数が2.0部を越えるとブロッキングを生じ易くなる。
感熱性粘着剤層中にブロッキング防止剤を添加することで、高温環境におけるブロッキングがいっそう向上する。ブロッキング防止剤として、ワックス、無機フィラーなどが挙げられ、以下に列挙するがこの限りではない。
ワックスとしては、例えば、動植物性ワックス、合成ワックスなどのワックス類や高級脂肪酸、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド以外の高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド、芳香族アミンのアセチル化物、パラフィンワックス、木ろう、カルナウバろう、シェラック、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等が、高級脂肪酸アミドとしては、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が、高級脂肪酸アニリドとしては、例えば、ステアリン酸アニリド、リノール酸アニリド等が、芳香族アミンのアセチル化物としては、例えば、アセトトルイジド等が、各々例示される。
【0020】
また、ワックス以外の熱溶融性素材を補足すると、一般に感熱記録材料で用いられるロイコ染料、顕色剤等を挙げることができる。これらワックス含めた熱溶融性素材は粘着力に極力影響を与えないために極力高融点のものが望ましい。
無機フィラーとして、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、チタン等の炭酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩等、及び天然シリカ、ゼオライト、カリオン、焼成カリオン等の粘土類を含む無機系顔料が挙げられる。これら無機フィラーは粘着力に極力影響を与えないために極力低吸油量を持つものが望ましい。
これらブロッキング防止剤は、熱可塑性樹脂1.0部に対し1.5部以下、好ましくは、0.6〜1.0部の範囲で混合して用いられる。ブロッキング防止剤の添加部数が1.5部を超えると粘着力が低下し易くなる。
【0021】
感熱性粘着剤層には、感熱性粘着剤層と支持体との接着又は感熱性粘着剤層内の凝集力を高める目的で、水性高分子バインダ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、アルギン酸ソーダ等を添加することができる。
上記水性高分子バインダの混合比率は、感熱性粘着シートの本来の粘着力を損なわない範囲で添加され、具体的には、感熱性粘着剤層の全固形分に対し30重量%以下、より好ましくは、10重量%以下の範囲で用いられる。本発明に係わる感熱性粘着剤層には上記成分以外に必要に応じて硬膜剤、防腐剤、染料、顕色剤、pH調節剤、消泡剤等の各種添加剤を添加することができる。
感熱粘着剤層の固体可塑剤と熱可塑性樹脂の融点は、トナーの融点よりも低くなっており、前記の加熱をそれらの融点の間の温度で行えば、トナーが解けて画像が乱れることなく接着できる。
【0022】
これまで示してきたように、本発明を実施することにより、図4に記載したように、凹凸のない印刷面を記録媒体の透明な部分を介して見ることができる画像を得ることができる。
このため、従来複雑な構成もしくは複雑な手順を必要としてきた保存性が良好な写真調画像を、記録媒体の不透明な部分と透明な部分を画像形成装置に供給するだけで簡単に得ることができる。また、本実施の形態によれば後処理装置での中折り機能を用いることが可能となるため、写真調の画像を自動的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一般的な電子写真装置である画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明で転写紙として使用する記録媒体を示す概略図である。
【図3】図1に示した中折り装置における処理の詳細を説明する概略斜視図である。
【図4】図3で重ね合わされた記録媒体を示す概略断面図である。
【図5】画像のミラーリング印刷を説明する概略図である。
【図6】本発明による印刷画像と比較のための通常の印刷画像を示す概略断面図である。
【図7】中折り処理する場合の画像面割り付けを示す概略図である。
【図8】一般的な電子写真後処理での中折り動作開始前の記録媒体の面を示す概略図である。
【図9】一般的な電子写真後処理での中折り動作の流れを示す概略図である。
【図10】記録媒体の透明な部分が搬送方向に対して下流にある場合の本発明による中折り処理前後の様子を示す概略図である。
【図11】記録媒体の透明な部分が搬送方向に対して上流にある場合の本発明による中折り処理前後の様子を示す概略図である。
【符号の説明】
【0024】
D 画像形成装置、E 後処理装置(中折り装置)、1Y 画像形成ユニット、4a 給紙部(給紙カセット)、7 定着部(定着ユニット)、21 記録媒体(転写紙)、21a 不透明な部分、21b 透明な部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成ユニットで形成された画像を給紙部から搬送された記録媒体に転写し、且つ、定着部での画像定着後、前記記録媒体を後処理装置に向けて排出する画像形成装置に使用する画像記録媒体において、透明な部分と不透明な部分とから構成され、前記透明な部分上に作成された反転画像が前記定着部を通過した後、反転させずに後処理装置である中折り装置へ受け渡され、且つ、前記透明な部分と不透明な部分が重ね合わされることを特徴とする画像記録媒体。
【請求項2】
前記不透明な部分は非透明白色であることを特徴とする請求項1記載の画像記録媒体。
【請求項3】
少なくとも一部に前記透明な部分を有し、この透明な部分の少なくとも画像形成面の表面が平滑であることを特徴とする請求項1記載の画像記録媒体。
【請求項4】
前記透明な部分と前記不透明な部分とを1枚のシートで並べて構成し、前記シートを折り曲げることによって前記透明な部分と前記不透明な部分とを感熱性粘着剤層によって接着させることを特徴とする請求項1記載の画像記録媒体。
【請求項5】
前記感熱性粘着剤層は、熱可塑性樹脂と固体可塑剤及び必要に応じて粘着付与剤を追加することによって構成されていることを特徴とする請求項4記載の画像記録媒体。
【請求項6】
画像の形成がトナーを用いて行なわれる場合、前記熱可塑性樹脂及び前記固体可塑剤の融点は、前記トナーの融点よりも低いことを特徴とする請求項5記載の画像記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−320300(P2007−320300A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156714(P2006−156714)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】