説明

画像記録方法及び画像記録装置

【課題】剛性の大きな記録媒体であっても、回転ドラムの外周面の曲面に倣って確実に抑えつけて跳ね上がり易い記録媒体の最後端部を回転ドラム外周面に確実に吸着させて安定搬送することができる。
【解決手段】枚葉状の記録媒体22に画像を形成した後、該記録媒体22を乾燥ドラム76の回転に同伴させて搬送する搬送手段を備えたインクジェット記録装置1において、搬送手段は、乾燥ドラム76の外周面に設けられ、記録媒体22の搬送方向先端部を保持する保持手段77と、保持手段77に対して記録媒体22の搬送方向上流側であって乾燥ドラム76外周面の幅方向両端部位置に設けられ、記録媒体22の幅方向側端部に接触して記録媒体22を外周面側に押えつける一対のコロ91と、乾燥ドラム76外周面に形成され、搬送される記録媒体22の非画像面側を外周面に吸着する多数の吸着孔と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録方法及び画像記録装置に係り、特に、枚葉状の記録媒体に画像を形成した後、該記録媒体を回転ドラムの回転に同伴させて搬送する工程又は手段を備えた画像記録方法及び画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばインクジェット記録装置のような画像記録装置において、曲面状の外周面を有する回転ドラムに用紙(記録媒体)を載せると共に用紙先端部を保持手段で保持しながら回転搬送する方式がある。そして、この回転搬送方式では、用紙が印字ヘッドに接触しないように、用紙をドラム外周面に吸着して搬送する(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、剛性の大きい厚紙の場合には回転ドラムの外周面の曲面に倣って撓み難いために、保持手段で保持されていない用紙後端部が跳ね上がってしまい、用紙後端部がドラム外周面に吸着されないまま搬送されてしまうという問題がある。
【0004】
このため、用紙を回転ドラムに吸着する前に十分に回転ドラムに抑えつけて吸着を確実に行うための用紙抑え手段が必要になる。そして、用紙の記録面に画像を印字する画像印字前の用紙抑え手段としては、用紙をその全幅に渡ってドラム外周面に直接押し付ける抑えローラを好適に採用することができる。
【0005】
また、用紙に画像を印字した後で用紙後端部が跳ね上がると、例えば用紙の搬送ライン上に配置された各種の処理機器、例えば画像を乾燥する乾燥ノズル等に接触する虞がある。したがって、画像印字後の用紙搬送においても画像印字前と同様に用紙抑え手段を必要とする。この場合、画像印字後の用紙抑え手段として画像印字前の同様に抑えローラを使用すると、抑えローラと印字直後の未乾燥状態の画像とが接触し、画像破壊を引き起こす。これにより、画像の品位が著しく損なわれる問題があるため抑えローラは使用できない。このことから、画像印字後の用紙抑え手段としては、画像を破壊することなく用紙を抑える手段が求められ、例えば特許文献2には、送風手段により用紙を非接触で抑える手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−111474号公報
【特許文献2】特開2003−211652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、インクジェット記録装置のような画像記録装置では、剛性の大きい厚紙を使用することも多く、特許文献2のように、送風手段からの風で厚紙を回転ドラムの外周面の曲面に倣わせて撓ませようとすると、強い風圧の風が必要であり、未乾燥状態の画像を破壊してしまうという問題がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、剛性の大きな記録媒体であっても、回転ドラムの外周面の曲面に倣って確実に抑えつけて跳ね上がり易い記録媒体の最後端部を回転ドラム外周面に確実に吸着させて安定搬送することができるので、搬送ライン上に配置された各種の処理機器に記録媒体の画像を接触させることがない画像記録方法及び画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願請求項1の画像記録方法は、前記目的を達成するために、坪量が150gsm以上の枚葉状の記録媒体に画像を形成した後、該記録媒体を回転ドラムの回転に同伴させて搬送する搬送工程を備えた画像記録方法において、前記搬送工程は、前記記録媒体の搬送方向先端部を前記回転ドラムの外周面に形成された保持手段で保持する保持工程と、前記記録媒体の記録面側の幅方向両端部に接触して前記記録媒体を前記回転ドラム側に抑えつける接触式抑えつけ工程と、前記記録媒体の非画像面側を前記回転ドラムの外周面に形成された多数の吸引孔で吸着する吸着工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の画像記録方法によれば、記録媒体の搬送方向先端部を回転ドラムの外周面に形成された保持手段で保持すると共に、記録媒体の記録面側の幅方向両端部に接触して記録媒体を回転ドラム側に抑えつけて記録媒体の非画像面を回転ドラムの外周面に形成された多数の吸引孔で吸着するようにした。
【0011】
これにより、坪量が150gsm以上の剛性の大きな記録媒体であっても、回転ドラム外周面の曲面に倣って確実に抑えつけることができるので、剛性が大きく跳ね上がり易い記録媒体の最後端部を回転ドラム外周面に確実に吸着保持させることができる。この結果、記録媒体を回転ドラムで安定搬送することができるので、搬送ライン上に配置された各種の処理機器に記録媒体の画像を接触させることがない。
【0012】
本発明の画像記録方法においては、前記接触式抑えつけ工程では、前記幅方向両端部を前記記録媒体の搬送方向に沿って複数箇所を抑えつけることが好ましい。
【0013】
これにより、記録媒体両端部を抑えつける有効距離が長くなり、記録媒体の搬送方向における密着性が一層向上する。例えば、記録媒体を回転ドラムの外周面に吸着する吸着開始位置の前後で接触式抑えつけ手段をそれぞれ1列、合計2列配置すれば、吸着開始直後は記録媒体の撓み等で吸着が不安定な場合でも、2列目の接触式抑えつけ手段を通過するまでには密着状態が維持されるので、その間に吸着力を安定化できる。
【0014】
また、本発明の画像記録方法においては、前記幅方向両端部における複数の抑えつけの箇所を千鳥状に位置させることが好ましい。
【0015】
接触式抑えつけ工程において、紙厚の厚い記録媒体の幅方向両端部を回転ドラムの外周面側に抑えつけると、記録媒体の中央部が撓んで凸状に盛り上がり、そのまま搬送される場合がある。そこで、幅方向両端部における複数の抑えつけの箇所を千鳥状に位置させて、抑えつけている記録媒体端部の反対側端部を自由端にし、記録媒体幅方向の同一線上で両端部を抑えつけないようにした。これにより、記録媒体の中央部が凸状に膨らむのを効果的に回避することができる。この場合、幅方向両端部における複数の抑えつけの箇所を千鳥状に抑えつけると、抑えつけられていない片方側における記録媒体最後端部の浮き上がりが懸念されるが、前記した中央部の盛り上がりに比べて顕著に少なく、許容できる。また、記録媒体搬送方向における抑えつけ箇所のピッチを小さくすれば、抑えつけられていない片方側における記録媒体最後端部の浮き上がりも解消できる。
【0016】
本発明の画像記録方法においては、前記接触式抑えつけ工程により前記記録媒体の最後端部が抑えつけられてから−0.2秒〜+0.1秒の間で前記吸着工程での吸着を開始することが好ましい。ここで、−0.2秒とは、接触式抑えつけ工程を開始する0.2秒前から吸引を開始することを言う。
【0017】
これは、回転ドラム外周面への記録媒体の密着面積が少ない段階で吸着を開始すると、回転ドラムの外周面に形成された多数の吸引孔のうち開放状態の吸引孔の比率が多くなるために吸引力が小さくなり、確実に記録媒体を吸着できない。逆に、記録媒体の最後端部が抑えつけられてから吸着を開始するまでに時間がかかると、記録媒体の剛性で再び最後端部が外周面から跳ね上がってしまい最後端部を吸着できない虞がある。
【0018】
即ち、記録媒体の最後端部が接触式抑えつけにより回転ドラム外周面に密着したタイミングと、吸着を開始するタイミングが略同じであることが好ましく、−0.2秒〜+0.1秒であることが好ましい。より好ましくは、接触式抑えつけ直後に吸着することが好ましく、吸着開始位置が抑えつけ位置の直後、時間間隔にして+0.02秒〜+0.05秒の範囲が一層好ましい。
【0019】
記録媒体を吸着する回転ドラム外周面の吸引圧としては、20〜60kPa(吸着時)の間で、記録媒体の坪量に応じて調節することが好ましい。より好ましい吸引圧は45〜60kPa(吸着時)の範囲である。記録媒体が厚くなるほど高い吸引圧設定が必要になるが、本発明では、吸着工程に、接触式抑えつけ工程を組み合わせることで、吸引圧を低く押さえることができる。これにより、吸引ポンプの消費電力や騒音を抑制できるメリットがある。
【0020】
本発明の画像記録方法においては、前記保持工程と前記接触式抑えつけ工程との間に、前記記録媒体の幅方向を非接触で前記回転ドラム側に抑えつける非接触式抑えつけ工程を有することが好ましい。
【0021】
これは、接触式抑えつけ工程において、紙厚の厚い記録媒体の幅方向両端部を抑えつけると、記録媒体の中央部が凸状に膨らみ易いが、接触式抑えつけの前段で非接触式抑えつけを行うことにより、中央部の膨らみを抑制できる。
【0022】
また、接触式抑えつけ手段の補助として非接触式抑えつけ手段を併用すれば、非接触式抑えつけ手段として例えばエア吹き出しを使用しても、強い風圧の風を必要としないので、記録媒体の全幅に風を吹き付けても画像が破壊されることがない。
【0023】
また、本発明の画像記録方法においては、前記非接触式抑えつけ工程は、前記記録媒体の全幅方向にエアを線状に吹きつけるエア吹きつけ工程であると共に、前記記録媒体の両端部に吹きつける風圧よりも中央部にふきつける風圧を強くすることが好ましい。
【0024】
上記したように、接触式抑えつけ工程において、紙厚の厚い記録媒体の幅方向両端部を抑えつけると、記録媒体の中央部が凸状に膨らみ易い。そこで、接触式抑えつけ工程を行う前に、非接触式抑えつけ工程において、記録媒体の両端部に吹きつける風圧よりも中央部にふきつける風圧を強くすれば、記録媒体の中央部を凹ませた状態で接触式抑えつけを行うことになるので、凸と凹とが相殺される。これにより、接触式抑えつけ工程において、記録媒体の幅方向全体を回転ドラムの外周面に密着させることができる。
【0025】
したがって、記録媒体の両端部に吹きつける風圧よりも中央部にふきつける風圧を強くする操作と、上記した千鳥状に抑えつけ箇所を位置させる操作とを組み合わせればより効果的である。
【0026】
本発明の画像記録方法においては、前記記録媒体の記録面に画像を形成する前に前記画像の凝集力を高める処理液を前記記録面に塗布すると共に、前記記録媒体の幅方向両端部の凝集力が中央部の凝集力よりも大きくなるように塗布することが好ましい。
【0027】
これにより、記録媒体に記録する画像が縁無し(記録面の全面に画像形成)の場合に、画像面に接触式抑えつけを行うことになるが、その際のオフセット(転写)を防止できる。記録媒体の幅方向両端部の凝集力が中央部の凝集力よりも大きくなるように塗布する方法としては、例えば幅方向両端部の凝集剤濃度を高くする等がある。
【0028】
本発明の画像記録方法においては、前記吸着工程の前に前記回転ドラムの外周面を加熱しておくことが好ましい。本発明の搬送工程を行えば、記録媒体の非画像面全体を回転ドラムの外周面に密着させて状態で吸着搬送することができるので、回転ドラムの外周面を加熱しておけば、画像の乾燥を促進できるだけでなく、記録媒体搬送方向における乾燥分布の均一化を図ることができる。
【0029】
本願請求項9の画像記録装置は、前記目的を達成するために、枚葉状の記録媒体に画像を形成した後、該記録媒体を回転ドラムの回転に同伴させて搬送する搬送手段を備えた画像記録装置において、前記搬送手段は、前記回転ドラムの外周面に設けられ、前記記録媒体の搬送方向先端部を保持する保持手段と、前記保持手段に対して前記記録媒体の搬送方向上流側であって前記回転ドラム外周面の幅方向両端部位置に設けられ、前記記録媒体の幅方向側端部に接触して前記記録媒体を前記回転ドラム側に押えつける一対の接触式抑えつけ手段と、前記回転ドラムの外周面に形成され、前記搬送される記録媒体の非画像面側を前記外周面に吸着する多数の吸着孔と、を備えたことを特徴とする。
【0030】
請求項9は、本発明を装置として構成したものであり、剛性の大きな記録媒体であっても、回転ドラム外周面の曲面に倣って確実に抑えつけて跳ね上がり易い記録媒体の最後端部を回転ドラム外周面に確実に吸着させて安定搬送することができる。したがって、搬送ライン上に配置された各種の処理機器に記録媒体の画像を接触させることがない。
【0031】
本発明の画像記録装置において、前記記録媒体の坪量が150gsm以上であることが好ましい。坪量が150gsm以上で紙厚の厚い記録媒体は、剛性が大きく回転ドラムでの吸着搬送の際に記録媒体の最後端部が跳ね上がり易いからである。
【0032】
本発明の画像記録装置において、前記接触式抑えつけ手段は、コロ、スターホイール、ベルトの何れか1であることが好ましい。これは、好ましい接触式抑えつけ手段の具体的なものを挙げたものである。
【0033】
本発明の画像記録装置において、前記一対の接触式抑えつけ手段を、前記記録媒体の搬送方向に沿って複数設けることが好ましい。これにより、記録媒体の全面を回転ドラムに密着させた状態で吸引することができるので、記録媒体を回転ドラムで安定して吸着搬送することができる。
【0034】
本発明の画像記録装置において、前記複数設けられた一対の接触式抑えつけ手段は、前記幅方向両端部において千鳥状に配置されていることが好ましい。これにより、接触式抑えつけ手段で紙厚の厚い記録媒体の幅方向両端部を抑えつけた際に、記録媒体の中央部が凸状に膨らむのを回避することができる。
【0035】
本発明の画像記録装置において、前記接触式抑えつけ手段が撥水素材で被覆されていることが好ましい。これにより、記録媒体に記録する画像が縁無し(記録面の全面に画像形成)の場合に、接触式抑えつけ手段が画像面に接触することになるが、その際のオフセット(転写)を防止できる。
【0036】
本発明の画像記録装置において、前記一対の接触式抑えつけ手段の間隔を調整する間隔調整手段を備えることが好ましい。これにより、幅寸法の異なる記録媒体を回転ドラムで吸着搬送する場合であっても、幅方向両端部の適切な位置を精度良く抑えつけることができる。
【0037】
本発明の画像記録装置において、前記接触式抑えつけ手段に対して前記記録媒体の搬送方向上流位置に、前記記録媒体の幅方向を非接触で前記回転ドラム側に抑えつける非接触式抑えつけ手段を設けることが好ましい。これにより、接触式抑えつけ手段で紙厚の厚い記録媒体の幅方向両端部を抑えつけた際に、記録媒体の中央部が凸状に膨らむのを一層確実に回避することができる。非接触式抑えつけ手段としては、記録媒体の全幅に渡って形成されたスロット状の吹出口を有する送風手段を好適に採用することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の画像記録方法及び画像記録装置によれば、剛性の大きな記録媒体であっても、回転ドラムの外周面の曲面に倣って確実に抑えつけて跳ね上がり易い記録媒体の最後端部を回転ドラム外周面に確実に吸着させて安定搬送することができる。したがって、搬送ライン上に配置された各種の処理機器に記録媒体の画像を接触させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の全体構成を説明する概略図
【図2】接触式抑えつけ手段の一例として一対のコロ設けた斜視図
【図3】幅寸法の異なる記録媒体に対応させて一対のコロを配置した説明図
【図4】一対のコロを配置した作用効果の説明図
【図5】一対のコロを記録媒体搬送方向に千鳥状に複数設けた斜視図
【図6】コロを千鳥状に設けた作用効果の説明図
【図7】コロに加えて吹出器を設けた斜視図
【図8】吹出器による送風角度の説明図
【図9】吹出器を設けた作用効果を説明する説明図
【図10】吹出器の別態様を説明する説明図
【図11】制御系統を示すブロック図
【図12】実施例の試験Aの条件を示す表図
【図13】試験Aの結果を示す表図
【図14】実施例の試験Bを示す表図
【図15】試験Bの別態様を示す表図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面に従って、本発明に係る画像記録方法及び画像記録装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0041】
なお、以下に説明する実施の形態については、画像記録装置の一例として、インクジェット記録装置の例で説明する。しかし、本発明はこれに限定されず、画像形成後の記録媒体を回転ドラムの回転に同伴させて搬送する搬送手段を備えた画像記録装置であれば、全て適用できる。
【0042】
[インクジェット記録装置の全体構成]
まず、本発明が適用されるインクジェット記録装置の全体構成を説明する。
【0043】
図1は、本実施の形態のインクジェット記録装置1の全体構成を概念的に示した概念図であり、主として給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、露光硬化部18及び排出部20からなる各処理部で構成される。
【0044】
給紙部10には記録媒体22(枚葉紙)が積層されており、記録媒体22が給紙部10から処理液付与部12に送られ、処理液付与部12で記録面に処理液が付与された後、描画部14で記録面に色インクが付与される。インクが付与された記録媒体22は、乾燥部16で水分を乾燥後、露光硬化部18で画像が堅牢化された後、排出部20によって搬送される。
【0045】
各処理部の間には中間搬送部(渡し胴)24、26、28が設けられ、この中間搬送部24、26、28によって各処理部との間で記録媒体22の受け渡しが行われる。即ち、処理液付与部12と描画部14との間には、第1の中間搬送部24が設けられ、この第1の中間搬送部24によって処理液付与部12から描画部14への記録媒体22の受け渡しが行われる。同様に、描画部14と乾燥部16との間には、第2の中間搬送部26が設けられ、この第2の中間搬送部26によって描画部14から乾燥部16への記録媒体22の受け渡しが行われる。さらに、乾燥部16と露光硬化部18との間には、第3の中間搬送部28が設けられ、この第3の中間搬送部28によって乾燥部16から露光硬化部18への記録媒体22の受け渡しが行われる。
【0046】
そして、記録媒体22の記録面に画像が形成された後の処理部、即ち乾燥部16、露光硬化部18のうち、少なくとも乾燥部16に本発明の特徴部分である搬送手段が設けられる。なお、本発明の特徴とする搬送手段を更に処理液付与部12や描画部14に設けることもできる。
【0047】
以下、インクジェット記録装置1の給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、露光硬化部18、排出部20、第1〜第3の中間搬送部24、26、28について説明する。また、本発明の特徴部分である搬送手段を乾燥部16に設けた場合で説明する。
【0048】
(給紙部)
給紙部10は、記録媒体22を描画部14に供給する機構である。給紙部10には、給紙トレイ50が設けられ、この給紙トレイ50から記録媒体22が一枚ずつ処理液付与部12に給紙される。
【0049】
(処理液付与部)
処理液付与部12は、記録媒体22の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部14で付与されるインク中の色材(顔料)を凝集または析出させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。なお、処理液のより詳細な説明については後述する。
【0050】
図1に示すように、処理液付与部12は、渡し胴52、処理液ドラム54、処理液塗布装置56、IRヒータ58及び温風吹出ノズル60を備えている。渡し胴52は、給紙部10の給紙トレイ50と処理液ドラム54の間に配置され、その外周面に爪形状の図示しない保持手段(グリッパーなど)を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持しながら回転駆動される。給紙部10から給紙された記録媒体22は、この渡し胴52によって受け取られ、処理液ドラム54に受け渡される。
【0051】
処理液ドラム54は、記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、処理液ドラム54は、その外周面に爪形状の保持手段55を備え、この保持手段55によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段55によって先端が保持された状態で、処理液ドラム54を回転させることによって回転搬送される。処理液ドラム54の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置(塗布装置に相当)56、IRヒータ58及び温風吹出ノズル60が設けられる。処理液塗布装置56、IRヒータ58及び温風吹出ノズル60は、処理液ドラム54の回転方向(図1において反時計回り方向)に上流側から順に配設されており、記録媒体22は、まず処理液塗布装置56によって記録面に処理液が塗布される。処理液の膜厚は、描画部14のインクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yから打滴されるインクの液滴径より十分に小さいことが望ましい。例えば、インクの打滴量が2plのときには、液滴の平均直径は15.6μmである。このとき、処理液の膜厚が大きい場合には、インクドットが記録媒体22の表面に接触することなく、処理液内で浮遊する。そこで、インク打滴量が2plのときに着弾ドット径を30μm以上得るためには、処理液の膜厚を3μm以下にすることが望ましい。
【0052】
処理液塗布装置56で処理液が塗布された記録媒体22は、IRヒータ58、温風吹出ノズル60の位置に搬送される。IRヒータ58は高温(たとえば180℃)に制御され、温風吹出ノズル60は高温(たとえば70℃)の温風を一定の風量(たとえば9m/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるように構成される。このIRヒータ58と温風吹出ノズル60による加熱によって、処理液の溶媒中の水分が蒸発され、処理液の薄膜層が記録面に形成される。このように処理液を薄層化することによって、描画部14で打滴するインクのドットが記録媒体22の記録面と接触し、必要なドット径が得られるとともに、薄層化した処理液成分と反応して色材凝集が起こり、記録媒体22の記録面に固定する作用が得られ易い。なお、処理液ドラム54を所定の温度(たとえば50℃)に制御するようにしてもよい。
【0053】
(描画部)
図1に示すように、描画部14は、描画ドラム70と、この描画ドラム70の外周面に対向する位置に近接配置されたインクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yで構成される。インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yはそれぞれ、マゼンダ(M)、黒(K)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のインクに対応しており、描画ドラム70の回転方向に上流側から順に配置される。
【0054】
描画ドラム70は、その外周面に記録媒体22を保持し、回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、描画ドラム70は、その外周面に爪形状の保持手段71を備え、この保持手段71によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段71によって先端が保持された状態で、描画ドラム70を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yからインクが付与される。
【0055】
インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yはそれぞれ、記録媒体22における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yは、記録媒体22の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
【0056】
各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yには、対応する色インクのカセットが取り付けられる。各インクの液滴が、各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yから、描画ドラム70の外周面に保持された記録媒体22の記録面に向かって吐出される。これにより、処理液付与部12で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体22上での色材流れなどが防止され、記録媒体22の記録面に画像が形成される。その際、描画部14の描画ドラム70は、処理液付与部12の処理液ドラム54に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yに処理液が付着することがなく、インクの不吐出要因を低減することができる。
【0057】
なお、インクと処理液の反応の一例として、処理液に酸を含有させpHダウンにより顔料分散を破壊し凝集するメカニズムを用い、色材滲み、各色インク間の混色、インク滴の着弾時の液合一による打滴干渉を回避することが考えられる。
【0058】
また、各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yの打滴タイミングは、描画ドラム70に配置された回転速度を検出するエンコーダに同期させる。これにより、高精度に着弾位置を決定することができる。また、予め描画ドラム70のフレなどによる速度変動を学習し、エンコーダ(図示せず)で得られた打滴タイミングを補正して、描画ドラム70のフレ、回転軸の精度、描画ドラム70の外周面の速度に依存せずに打滴ムラを低減させることができる。
【0059】
さらに、各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yのノズル面の清掃、増粘インク排出などのメンテナンス動作は、ヘッドユニットを描画ドラム70から退避させた後に実施するとよい。
【0060】
また、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系のインクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0061】
(乾燥部)
図1に示すように、乾燥部16は、中間搬送部26から受け渡された記録媒体22を回転ドラムで吸着搬送しながら画像が形成された記録面を乾燥させる工程である。即ち、乾燥部16は、乾燥ドラム76(回転ドラム)を備えた搬送手段と、搬送手段で搬送される記録媒体22の記録面を乾燥する乾燥手段とで構成される。
【0062】
乾燥手段は、乾燥ドラム76の外周面に対向する位置に配置された第1のIRヒータ78、温風噴出しノズル80、第2のIRヒータ82で構成される。
【0063】
第1のIRヒータ78は、温風噴出しノズル80に対して、乾燥ドラム76の回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側に設けられ、第2のIRヒータ82は温風噴出しノズル80の下流側に設けられる。温風噴出しノズル80は、所定の温度(たとえば50℃〜70℃)に制御された温風を一定の風量(12m/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるように構成され、IRヒータ78はそれぞれ所定の温度(たとえば180℃)に制御される。これらの温風噴出しノズル80、IRヒータ78によって、乾燥ドラム76に保持された記録媒体22の記録面に含まれる水分が蒸発され、乾燥処理が行われる。その際、乾燥部16の乾燥ドラム76は、描画部14の描画ドラム70に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yにおいて、熱乾燥によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの不吐出を低減することができる。また、乾燥部16の温度設定に自由度があり、最適な乾燥温度を設定することができる。
【0064】
なお、蒸発した水分は不図示の排出手段によりエアとともに機外に排出するとよい。更に、回収されたエアを冷却器(ラジエータ)などで冷却して、液体として回収することもできる。
【0065】
次に、本発明の特徴部分である搬送手段について説明する。
【0066】
乾燥部16において記録媒体22を搬送する搬送手段は、主として、乾燥ドラム76の外周面に設けられ、記録媒体22の搬送方向先端部を保持する爪状の保持手段77と、保持手段77に対して記録媒体22の搬送方向上流側であって乾燥ドラム76外周面の幅方向両端部位置に設けられ、記録媒体22の幅方向側端部に接触して記録媒体22を乾燥ドラム76外周面側に押えつける一対の接触式抑えつけ手段と、乾燥ドラム76外周面に形成され、搬送される記録媒体22の非画像面側(以下、裏面という)を外周面に吸着する多数の吸着孔と、で構成される。
【0067】
乾燥ドラム76は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムで、モータドライバ(図示せず)によってその回転が駆動制御される。乾燥ドラム76は、その外周面に多数の吸引孔が形成されると共に、吸引孔から吸引を行う吸着手段(図示せず)を有している。これにより記録媒体22を乾燥ドラム76の外周面に吸着保持することができる。
【0068】
乾燥ドラム76は、この吸引孔による記録媒体22の吸着開始位置を制御することができる。記録媒体22を吸着する乾燥ドラム76外周面の吸引圧としては、20〜60kPa(吸着時)の間で、記録媒体22の坪量に応じて調節することが好ましい。記録媒体22が厚くなるほど高い吸引圧設定が必要になるが、本発明では、乾燥ドラム76外周面での記録媒体22の吸着に、接触式抑えつけ手段91を組み合わせることで、吸引圧を低く押さえることができる。これにより、吸引ポンプの消費電力や騒音を抑制できるメリットがある。
【0069】
乾燥ドラム76の外周面における記録媒体22の吸着力は、(開口面積)×(単位面積あたりの圧力)で表すことができる。吸着力は、記録媒体吸着保持領域における吸引孔の占める面積、即ち、開口率を高くすることで、吸着力をより高くすることができる。
【0070】
吸引孔の開口率は、乾燥ドラム76と記録媒体22との接触面積に対して、1%以上75%以下とすることが好ましく、より好ましくは10%以上50%以下である。開口率を上記範囲とすることにより、カックルの抑制防止と乾燥性能の向上を実現することができる。この開口率が1%未満であると、記録後の吸水による記録媒体の膨張変形を充分に抑止することができない。また、75%を越えると、記録媒体裏面(非画像面)と搬送体表面(記録面)の接触面積が低下するため、吸着保持状態であっても充分な乾燥性能を得ることができない。また、乾燥が促進されなくなるため、カックルも悪化する傾向にある。
【0071】
開口率は、吸引孔の径、孔ピッチ、孔の形状・配置により制御することができる。孔径は、開口率を確保し吸着力をUPさせるために0.4mm以上とすることが好ましく、負圧吸引による記録媒体の凹み痕(吸着痕)がつかないように、1.5mm以下に設計することが好ましい。また、孔ピッチは、乾燥ドラム76の外周面の熱変形の防止や剛性確保のため、0.1mm以上とすることが好ましい。孔の間が離れすぎると記録媒体22の変形抑止効果が不足するため、吸着時に皺が発生するので、この皺を防止するため10mm以下に設計することが好ましい。
【0072】
吸引孔の形状は、角(鋭角)形状があると、角部に応力が集中するので、角部を丸めた形状とすることが好ましい。また、回転搬送体では、吸着圧力による記録媒体の変形量は周方向よりも軸方向のほうが大きくなる。したがって、吸着穴は、周方向を長軸方向、軸方向を短軸方向とした楕円形状又は長穴形状とすることで、記録媒体の周方向の変形と軸方向の変形を均等にすることもできる。
【0073】
また、保持手段77は、乾燥ドラム76の外周面に形成された窪み内に爪状部材と、ピンを中心に爪部材を揺動させる揺動手段(図示せず)とで構成され、爪状部材と乾燥ドラム76の外周面とで記録媒体22の先端部を挟むように構成される。
【0074】
そして、記録媒体22は、その先端部が保持手段77によって保持されると共に、乾燥ドラム76の外周面に吸着された状態で回転搬送される。
【0075】
しかし、記録媒体22を保持手段77で保持し、乾燥ドラム76の外周面に吸着させるだけの搬送手段では、坪量が150gsm以上の剛性の大きな記録媒体22を搬送させた場合には、記録媒体22の最後端部が吸着されずに跳ね上がったまま搬送されてしまうことがある。これにより、記録媒体22の最後端部に形成された画像が搬送ライン上に配置された各種の処理機器(例えば、温風噴出しノズル80、IRヒータ78)に接触して破壊されるという問題がある。
【0076】
そこで、本発明では、記録媒体22の記録面側の幅方向両端部に接触して記録媒体22を乾燥ドラム76の外周面側に抑えつける一対の接触式抑えつけ手段を設けるようにした。
【0077】
接触式抑えつけ手段としては、コロ、ベルト、スターホイール等を採用することができるが、本実施の形態ではコロ91の例で以下に説明する。
【0078】
図2に示すように、乾燥ドラム76外周面の幅方向両端部に、一対のコロ91が配置される。そして、コロ91の軸芯がピストンシリンダ91Aのロッド91Bにベアリング(図示せず)を介して回転自在に支持される。これにより、ピストンシリンダ91Aを伸縮させることで、一対のコロ91の間隔を調整することができる。したがって、図3に示すように、幅寸法の異なる各種の記録媒体22、22’、22’’に対応させることができる。
【0079】
また、図2に示すように、ロッド91Bは、ロッド91Bの中間位置に設けられた部材91Cを介して圧縮バネ91Dが設けられ、圧縮バネ91Dの一端が図示しない装置本体に支持される。これにより、コロ91は圧縮バネ91Dにより乾燥ドラム76外周面側に付勢されている。
【0080】
上記の如く構成された搬送手段によれば、記録媒体22の搬送方向先端部を乾燥ドラム76の外周面に形成された保持手段77で保持し、次に記録媒体22の記録面側の幅方向両端部を一対のコロ91で乾燥ドラム76外周面に抑えつけ、その後に記録媒体22の裏面を乾燥ドラム76の外周面に形成された多数の吸引孔で吸着することができる。この場合、一対のコロ91は、記録媒体22の搬送によって従動回転することで記録媒体22の搬送を阻害しない。
【0081】
これにより、坪量が150gsm以上の剛性の大きな記録媒体22であっても、乾燥ドラム76外周面の曲面に倣って確実に抑えつけることができるので、剛性が大きく跳ね上がり易い記録媒体22の最後端部22Aを乾燥ドラム76外周面に確実に吸着させることができる。したがって、記録媒体22を乾燥ドラム76で安定搬送することができるので、搬送ライン上に配置された各種の処理機器に記録媒体22の画像を接触させることがない。
【0082】
図4は、坪量が260gsmの記録媒体22の先端部を乾燥ドラム76の保持手段77で保持して吸着搬送する際に、一対のコロを設けた場合と設けない場合とで、記録媒体22の最後端部22Aの跳ね上がりがどのように異なるかを試験したものである。なお、乾燥ドラム76外周面に発生させた吸引力は試験1〜3ともに60kPaで同じである。また、記録媒体22は矢印方向に搬送されるものとする。
【0083】
図4から分かるように、コロ91による抑えつけと吸着との両方を行った試験1は、吸着開始前にコロ91で記録媒体22を乾燥ドラム76の外周面に十分に密着させてから吸着を開始することができる。これにより、記録媒体22がコロ91を通過した後も、記録媒体22の最後端部22Aが跳ね上がることなく安定した搬送を行うことができた。
【0084】
これに対して、吸着だけを行った試験2及びコロ91による抑えつけのみを行った試験3は、記録媒体22の最後端部22Aが跳ね上がってしまい安定した搬送を行うことができなかった。なお、図には示さなかったが、接触式抑えつけ手段として、ベルト、スターホイールを使用した場合にも同様の効果を得ることができた。
【0085】
また、一対のコロ91は、記録媒体22の幅方向両端部を記録媒体22の搬送方向に沿って複数設けることが好ましい。これにより、記録媒体両端部を抑えつける有効距離が長くなり、記録媒体22の搬送方向における密着性が一層向上する。例えば、記録媒体22を乾燥ドラム76外周面に吸着する吸着開始位置の前後でコロ91をそれぞれ1列、合計2列配置すれば、吸着開始直後は記録媒体22の撓み等で吸着が不安定な場合でも、2列目のコロ91を通過するまでには密着状態が維持されるので、その間に吸着力を安定化できる。
【0086】
また、コロ91により記録媒体22の最後端部22Aが抑えつけられてから−0.2秒〜+0.1秒の間で乾燥ドラム76外周面の吸着を開始することが好ましい。
【0087】
これは、乾燥ドラム76外周面への記録媒体22の密着面積が少ない段階で吸着を開始すると、外周面に形成された多数の吸引孔のうち開放状態の吸引孔の比率が多くなるために吸引力が小さくなり、確実に記録媒体22を吸着できない。逆に、記録媒体22の最後端部がコロ91で抑えつけられてから吸着を開始するまでに時間がかかると、記録媒体22の剛性で再び最後端部22Aが外周面から再び跳ね上がってしまい最後端部22Aを吸着できない虞がある。
【0088】
即ち、記録媒体22の最後端部22Aがコロ91により乾燥ドラム76外周面に密着するタイミングと、吸着を開始するタイミングが略同じであることが好ましく、−0.2秒〜+0.1秒であることが好ましい。より好ましくは、コロ91による接触式抑えつけ直後に吸着することが好ましく、吸着開始位置が抑えつけ位置の直後、時間間隔にして+0.02秒〜+0.05秒の範囲が一層好ましい。
【0089】
また、乾燥ドラム76外周面の吸着を開始する場合、記録媒体22の全面を一度に吸着するのではなく、記録媒体22の搬送方向下流側(記録媒体先端側)から段階的に吸着を実施することが好ましい。記録媒体22の先端部側から段階的に吸着を行うことで、乾燥ドラム76外周面と記録媒体22との間に侵入している空気を記録媒体22の最後端部22A側に押し出ながら吸着を行うことができる。これにより、記録媒体22全面を乾燥ドラム76外周面に密着吸着することができる。特に、記録媒体22のサイズが大きい場合に段階的な吸着が有効である。
【0090】
ところで、コロ91は、画像が形成された記録面側の両端部を接触した状態で抑えつけるので、コロ91による抑えつけを乾燥部16に適用した場合には、記録媒体22に記録する画像が縁無し(記録面の全面に画像形成)のときにオフセットが発生する虞がある。したがって、このことを考慮して、コロ91が撥水素材、例えばフッ素樹脂で被覆されていることが好ましい。これにより、コロ91で記録媒体両端部を抑えつける際のオフセット(転写)を防止できる。
【0091】
図5は、図2に示した一対のコロ91を、記録媒体22の搬送方向に沿って複数設けると共に、記録媒体22の幅方向両端部においてコロを千鳥状に配置した場合である。ここで、複数のコロ91を千鳥状に配置するとは、記録媒体両端部においてコロ91を左右交互に配置することを言う。更に詳しく説明すると、記録媒体両端部に配置された左右一対のコロ91の軸芯81をズラして配置し、軸芯81をズラした一対のコロ91を記録媒体22の搬送方向に複数配置することを言う。この場合、記録媒体22の左右に配置された複数のコロ91の軸芯81の間隔が均等になることが好ましい。
【0092】
左右一対のコロ91の軸芯81が一致すると、記録媒体22両端部を抑えつけたときに記録媒体22の中央部が凸状に膨らみ易くなるが、複数のコロ91を千鳥状に配置することで中央部の膨らみを回避できる。
【0093】
図6は、坪量が260gsmの記録媒体22の両端部をコロ91で抑えつけたときに、複数のコロ91を千鳥状に配置した場合と、千鳥状に配置しない場合とにおいて、記録媒体22の中央部の膨らみを調べた試験である。なお、記録媒体22は矢印方向に搬送されるものとする。
【0094】
図6から分かるように、左右のコロ91の軸芯81を一致して配置した試験4は、記録媒体22の中央部が凸状に膨らむ。これにより、記録媒体22の吸着が不十分になったり皺が発生したりする虞がある。
【0095】
これに対して、左右のコロ91を千鳥状に配置した試験5は、記録媒体22の中央部が凸状に膨らむのが回避されている。但し、試験5の図から分かるように、左右に配置されたコロ91同士の配置ピッチP(軸芯間隔)が広すぎると、コロ91が存在しない記録媒体22の最後端部のコーナー(試験5では右コーナー)が若干跳ね上がる傾向にある。したがって、試験6のように、使用するコロ91の径を小径化して配置ピッチPを小さくすることで、跳ね上がりを解消することができる。なお、図には示さなかったが、接触式抑えつけ手段として、ベルト、スターホイールを使用した場合にも同様の効果を得ることができた。
【0096】
なお、コロ91を複数列により多く配置することが記録媒体22の吸着にとって良いことから、配置ピッチPをできるだけ狭くすることが好ましいが、配置ピッチPがコロ91の径と同じかそれ以下の場合には、隣接するコロ91同士の従動回転を阻害したり、干渉したりする虞がある。したがって、配置ピッチPは、コロ径を超えて大きく、コロ径にできるだけ近い狭さであることが好ましい。
【0097】
図7は、コロ91に対して記録媒体22の搬送方向上流位置に、記録媒体22の全幅を非接触で直線状に抑えつける非接触式抑えつけ手段を設けた場合である。なお、図7では、コロ91を千鳥状に配置した場合で示したが、軸芯81が同一線上にある場合に一層好ましく適用できる。
【0098】
非接触式抑えつけ手段としては、記録媒体22の全幅に渡って形成されたスロット状の吹出口を有する吹出器93Aを備えた送風手段93を好適に採用することができる。吹出器93Aは配管93Bを介してコンプレッサ等に接続される。なお、図7では吹出器93Aへコンプレッサ等から配管を介して圧縮空気を送るようにしたが、吹出器93A内にファンを設けるようにしてもよい。
【0099】
このように、コロ91の前段に吹出器93Aを設ければ、記録媒体22の全幅を吹出器93Aからの風圧で乾燥ドラム76の外周面に密着させた状態で次のコロ91で記録媒体22の両端部を抑えつけることができる。これにより、左右の軸芯81が同一線上にあるコロ91で記録媒体22の両端部を抑えつけても、記録媒体22の中央部が凸状に膨らむのを抑制できる。特に、記録媒体22の坪量が300gsmを超えて紙厚が厚くなり、このような記録媒体22を吸引圧50kPa未満の低めの吸引圧で乾燥ドラム75の外周面に吸着する場合に、記録媒体22の中央部が凸状に膨らむのを十分に解消できない。しかし、吹出器93Aを備えた送風手段93を設けることで確実に解消することができる。
【0100】
この場合、図8に示すように、吹出器93Aによる風の風向きは記録媒体22の搬送方向先端側から後端側に向って斜め方向に向って吹くように配置することが好ましい。これにより、記録媒体22を乾燥ドラム76に倣わせて風による押さえ効果を向上させることができる。送風方向は、風の方向と、風が記録媒体22(又は乾燥ドラム76外周面)に接触する点の法線87とのなす角θが0°以上75°以下とすることが好ましい。傾きが上記範囲を超えると、抑え効果が不足するため好ましくない。
【0101】
また、接触式抑えつけ手段であるコロ91の補助として非接触式抑えつけ手段の吹出器93Aを併用すれば、吹出器93Aを単独使用する場合に比べて強い風圧の風を必要としないので、記録媒体22の全幅に風を吹き付けても画像が破壊されることがない。
【0102】
また、図7に示すように、吹出器93Aの内部は、記録媒体22の幅方向に複数に分割されており、分割されたそれぞれにエア配管93Bが設けられることが好ましい。また、各エア配管93Bにエア流量調整バルブ93Cがそれぞれ設けられると共に、エア流量調整バルブ93Cが信号回線又は無線により搬送系の駆動部152に接続される。
【0103】
そして、駆動部152は、記録媒体22の両端部に吹きつける風圧よりも中央部にふきつける風圧を強くするように、各エア流量調整バルブ93Cの開度を調整する。
【0104】
上記したように、コロ91による接触式抑えつけで、紙厚の厚い記録媒体22の幅方向両端部を抑えつけると、記録媒体22の中央部が凸状に膨らみ易い。そこで、コロ91での接触式抑えつけを行う前に、吹出器93Aから記録媒体22の両端部に吹きつける風圧よりも中央部に吹き付ける風圧を強くすれば、記録媒体22の中央部を凹ませ状態でコロ91の接触式抑えつけ行うことができる。これにより、吹出器93Aで記録媒体中央部に形成された凹と、コロ91で膨らむ記録媒体中央部の凸とが相殺される。この結果、記録媒体22の中央部が凸状に膨らむ現象を一層効果的に回避することができる。
【0105】
図9は、左右の軸芯81を一致させた一対のコロ91を記録媒体22の搬送方向に2列配置して、坪量が260gsmの記録媒体22の両端部を抑えつける前段に、吹出器93Aを配置しない場合(試験7)、吹出器93Aを配置した場合(試験8)、吹出器93Aを配置し且つ記録媒体22の中央部の風圧を両端部の風圧よりも強くした場合(試験9)で、記録媒体22中央部の膨らみがどうなるかを調べた。
【0106】
図9から分かるように、吹出器93Aを配置しない試験7は、コロ91により抑えつけた際に記録媒体22の中央部が凸状に膨らむ。これにより、記録媒体22の吸着が不十分になったり皺が発生したりする。
【0107】
これに対して、吹出器93Aを配置した試験8は、コロ91により抑えつけた際の記録媒体22中央部が膨らみを略回避することができた。そして、吹出器93Aを配置し、且つ記録媒体22の中央部の風圧を強くした試験9は、コロ91により抑えつけた際の記録媒体22中央部が膨らみを完全に回避することができた。なお、図には示さなかったが、接触式抑えつけ手段として、ベルト、スターホイールを使用した場合にも同様の効果を得ることができた。
【0108】
また、吹出器93Aの風圧(押圧力)は、記録媒体22の剛性により制御することが好ましい。風圧を制御することで、強風による画像ダメージを回避することができる。
【0109】
更には、記録媒体22の位置により、吹出器93Aの風圧(押圧力)を調節できるようにすることが好ましい。例えば、記録媒体22の搬送方向の後端にいくに従い、風圧(押圧力)を大きくする、又は記録媒体22の最後端部が通過する時のみ送風を実施し、それ以外は、送風を実施しないようにする。これにより、記録媒体22の記録面に形成された画像が吹出器93Aの風圧により押圧される時間の短縮、及び不必要な押圧を回避することができるので、画像へのダメージを軽減することができる。
【0110】
吹出器93Aによる風速は、5〜200[m/s]の範囲であることが好ましい。風速が5[m/s]より小さいと、記録媒体22のシワ抑止効果が不足し、200[m/s]より大きいと、画像部分のインク付与量が多く、且つ未乾燥状態である場合、画像が送風でダメージを受ける懸念がある。乾燥状態にある画像に対しては、特に制限なく送風することができる。
【0111】
風速の測定は、吹出器93Aの吹出口から記録媒体表面との間隔だけ離した距離で風速V[m/s]を測定する。風速計としては、例えば、カノマックス社製アネモマスター6004を用いることができる。
【0112】
吹出器93Aで必要な風量(エア流量)については、記録媒体22の幅や厚みにより異なるが、例えば、菊半サイズの記録媒体22に対しては、0.1〜2[m/min]の範囲が好ましい。風量は風速の測定値から以下の計算式により計算して求める。風速(風量)は、圧縮空気であれば、レギュレータで圧力を調整したり、ブロアであればブロア入力電源で制御したりすることにより調整することができる。
【0113】
Q=V×A×60 [m/min]
Q:風量[m/min]、V:風速[m/s]、A:送風する面積[m
上記した図7では、内部が分割された吹出器93Aのように簡単な構成の送付手段で示したが、例えば、図10に示すように複数の送風ノズル83(1個あたりのノズル幅:50mm)を記録媒体22の幅方向に連結した構成にすることもできる。また、所望の風速(風量)が得られるものであれば、部材の形状、素材は特に限定されず用いることができる。ただし、素材に関しては、送風手段を乾燥手段近傍に備える場合、あるいは、下記に記載したように、乾燥手段と兼用する場合は、耐熱素材であることが好ましい。
【0114】
図10(b)は、ノズルの開口部83aの形状を示した図である。図10(b)は、開口部83aを微細な丸穴(ノズル径:1.2mm)を複数個配置した図であるが、形状、大きさは特に限定されず、より広域に吹き付けるために、開口部83aのノズル径を大きくすることもできるし、形状も丸形状に限らず、矩形でも良い。
【0115】
また、記録媒体22の中央部の風圧を両端部の風圧よりも強くするために、個々のノズルごとに風圧(風量)分布を変更することもできる。また、記録媒体22のサイズが異なる場合は、記録媒体22の幅方向の長さに対応する部分のみで、送風を実施することができる。ちなみに、記録媒体22が通過しない乾燥ドラム76の外周面部分に風を吹き付けると、記録媒体22の裏面に風が回りこみ、記録媒体22が浮いたり、バタついたりする虞がある。
【0116】
また、送風ノズル83ごとに図8に示した角度θが調整できる構成とすることも可能である。例えば、記録媒体22の剛性が低い場合は、記録媒体22を乾燥ドラム76外周面の曲面に倣って沿わせることを重視して、角度θを大きくする。逆に、剛性が高い場合は、記録媒体22を乾燥ドラム76外周面に密着させることを重視して、角度θを小さくすることができる。
【0117】
また、送風ノズル83が乾燥手段を兼ねても良い。即ち、送風ノズル83がヒータを内蔵し、エアノズルから熱風を記録媒体に向けて噴きつけることで、乾燥を行うことができる。
【0118】
(露光硬化部)
図1に示すように、露光硬化部18は、UVランプ88及びインラインセンサ90で構成される。UVランプ88及びインラインセンサ90は、露光硬化ドラム84の周面に対向する位置に配置され、露光硬化ドラム84の回転方向の上流側から順に配置される。
【0119】
露光硬化ドラム84は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、露光硬化ドラム84は、その外周面に爪形状の保持手段85を備え、この保持手段85によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段85によって先端が保持された状態で露光硬化ドラム84を回転させることによって、回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、UVランプ88による露光硬化処理と、インラインセンサ90による検査が行われる。
【0120】
UVランプ88は乾燥されたインクにUV光を照射することにより、インク中に含まれる活性光線硬化樹脂が硬化し、インクを皮膜化させる。UVランプ88としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、ブラックライト、冷陰極菅、UV−LED等の種々の紫外線光源を用いることができる。
【0121】
紫外線光源190の照射する紫外線のピーク波長は、インク組成物の吸収特性にもよるが、200〜600nmが好ましく、より好ましくは、300〜450nmであり、さらに好ましくは、350〜450nmである。
【0122】
紫外線光源190の照射エネルギーとしては、2000mJ/cm以下が好ましく、より好ましくは、10〜2000mJ/cmであり、さらに好ましくは、20〜1000mJ/cmであり、特に好ましくは、50〜800mJ/cmである。
【0123】
また、本発明のインクジェット記録装置では、紫外線は記録媒体の記録面に対して、好ましくは、0.01〜10秒、より好ましくは、0.1〜2秒照射することが適当である。
【0124】
また、露光硬化ドラム84を所定の温度に制御してもよい。これにより、インクの硬化感度を向上させ、低照射強度で好適にインクを硬化し、皮膜化させることができる。
【0125】
一方、インラインセンサ90は、記録媒体22に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
【0126】
(排出部)
図1に示すように、露光硬化部18に続いて排出部20が設けられている。排出部20は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と露光硬化部18の露光硬化ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98が設けられている。記録媒体22は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
【0127】
(中間搬送部)
次に、第1の中間搬送部24の構造について説明する。なお、第2の中間搬送部26、第3の中間搬送部28は、第1の中間搬送部24と同様の構成であり、その説明を省略する。
【0128】
第1の中間搬送部24は、中間搬送体30を有する。中間搬送体30は、前段のドラムから記録媒体22を受け取り、回転搬送させた後、後段のドラムに受け渡すためのドラムであり、回転自在に取り付けられている。また、中間搬送体30は、不図示のモータによって回転するようになっている。
【0129】
中間搬送体30の外周面には、爪形状の保持手段が90°間隔で設けられている。保持手段は、円軌跡を描きながら回転するようになっており、この保持手段の動作によって記録媒体22の先端が保持される。したがって、保持手段で記録媒体22の先端を保持した状態で中間搬送体30を回転させることによって、記録媒体22を回転搬送させることができる。なお、中間搬送体30の表面に複数の送風口を設け、この送風口からエアを吹き出すことによって、記録媒体の記録面を非接触で搬送するとよい。
【0130】
第1の中間搬送部24によって搬送された記録媒体22は、後段のドラム(すなわち、描画ドラム70)に受け渡される。その際、中間搬送部24の保持手段と描画部14の保持手段を同期させることによって、記録媒体22の受け渡しが行われる。受け渡された記録媒体22は、描画ドラム70によって保持されて回転搬送される。
【0131】
また、第1の中間搬送部24には、その内部に不図示の熱風乾燥手段(乾燥手段)を有し、搬送中内側を向いている記録媒体の記録面側に熱風を吹き付けて、表面に塗布された処理液を乾燥させてもよい。
【0132】
同様に、第2、第3の中間搬送部26、28には、その内部に不図示の熱風乾燥手段(乾燥手段)を有し、搬送中内側を向いている記録媒体の記録面側に熱風を吹き付けて、表面に打滴されたインクを乾燥させてもよい。
【0133】
(制御系の説明)
図11は、インクジェット記録装置1のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置1は、通信インターフェース120、システムコントローラ122、プリント制御部124、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、露光硬化制御部138、インラインセンサ90、エンコーダ91、モータドライバ142、メモリ144、ヒータドライバ146、画像バッファメモリ148、吸引制御部149、送風制御部162等を備えている。
【0134】
通信インターフェース120は、ホストコンピュータ150から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース120にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ150から送出された画像データは通信インターフェース120を介してインクジェット記録装置1に取り込まれ、一旦メモリ144に記憶される。
【0135】
システムコントローラ122は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置1の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ122は、通信インターフェース120、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、露光硬化制御部138、メモリ144、モータドライバ142、ヒータドライバ146、吸引制御部149、送風制御部162等の各部を制御し、ホストコンピュータ150との間の通信制御、メモリ144の読み書き制御等を行うと共に、搬送系の駆動部152、及びヒータ154を制御する制御信号を生成する。
【0136】
メモリ144は、通信インターフェース120を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ122を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ144は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0137】
ROM145には、システムコントローラ122のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、ROM145は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ144は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0138】
モータドライバ142は、システムコントローラ122からの指示にしたがってモータ152を駆動するドライバである。図7には、装置内の各部に配置されるモータを代表して符号152で図示されている。例えば、図7に示す駆動部152には、図1の渡し胴52、処理液ドラム54、描画ドラム70、乾燥ドラム76、露光硬化ドラム84、渡し胴94などの回転を駆動するモータ、描画ドラム70の吸引孔から負圧吸引するためのポンプ75の駆動モータ、インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kのヘッドユニットの退避機構のモータ、及び、一対のコロを記録媒体幅方向に拡縮するシリンダや、送風手段のファンモータ等が含まれている。
【0139】
ヒータドライバ146は、システムコントローラ122からの指示にしたがって、ヒータ154を駆動するドライバである。図7には、インクジェット記録装置1に備えられる複数のヒータを代表して符号154で図示されている。例えば、図7に示すヒータ154には、給紙部10において記録媒体22を予め適温に加熱しておくための不図示のプレヒータ、などが含まれている。
【0140】
プリント制御部124は、システムコントローラ122の制御にしたがい、メモリ144内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ130に供給する制御部である。プリント制御部124において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ130を介してインクジェットヘッド100のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0141】
プリント制御部124には画像バッファメモリ148が備えられており、プリント制御部124における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ148に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ148はプリント制御部124に付随する態様で示されているが、メモリ144と兼用することも可能である。また、プリント制御部124とシステムコントローラ122とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0142】
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース120を介して外部から入力され、メモリ144に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データがメモリ144に記憶される。
【0143】
インクジェット記録装置1では、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、メモリ144に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ122を介してプリント制御部124に送られ、該プリント制御部124において閾値マトリクスや誤差拡散法などを用いたハーフトーニング処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
【0144】
即ち、プリント制御部124は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部124で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ148に蓄えられる。
【0145】
ヘッドドライバ130は、プリント制御部124から与えられる印字データ(即ち、画像バッファメモリ148に記憶されたドットデータ)に基づき、インクジェットヘッド100の各ノズル102に対応するアクチュエータ116を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ130にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0146】
ヘッドドライバ130から出力された駆動信号がインクジェットヘッド100に加えられることによって、該当するノズル102からインクが吐出される。記録媒体22を所定の速度で搬送しながらインクジェットヘッド100からのインク吐出を制御することにより、記録媒体22上に画像が形成される。
【0147】
また、システムコントローラ122は、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、露光硬化制御部138、吸引制御部149、送風制御部162を制御する。
【0148】
処理液付与制御部126は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、処理液付与部12の処理液塗布装置56の動作を制御する。
【0149】
第1中間搬送制御部128は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、第1の中間搬送部24の中間搬送体30の動作を制御する。具体的には、中間搬送体30において、中間搬送体30自体の回転駆動、中間搬送体30に備わる保持手段の回動などを制御する。第2中間搬送制御部132、第3中間搬送制御部136も第1中間搬送制御部128と同様の制御を行う。
【0150】
吸引制御部149および送風制御部162は、システムコントローラ122の制御にしたがって、画像形成された記録媒体22を乾燥ドラム76に密着させて搬送するため乾燥ドラム76内に設けられた吸引手段、送風手段83の制御を行う。吸引手段、送風手段83は、記録媒体22の剛性により、吸引手段による吸引開始位置、送風手段83による送風位置が制御される。吸引制御部149による吸引開始位置の制御は、記録媒体が吸引開始位置を通過した際に、ポンプ75を作動させることで制御を行うことができる。記録媒体22の種類により、吸着手段による吸引力、送風手段による押圧力(風力)を制御する。記録媒体の剛性に対応する吸引力、押圧力をROM145に記録させておき、使用する記録媒体22の種類をパソコン(不図示)により直接入力することで、制御を行うこともできる。
【0151】
また、メモリ144内の画像データまたはプリント制御部124で生成した印字データ(ドットデータ)に基づいて、吸着手段による吸引力、送風手段による押圧力(風力)を制御する。また、記録媒体の幅方向における吸引力、押圧力(風力)の制御を行う。
【0152】
[インク組成物]
本発明におけるインク組成物は、顔料を含んでなり、必要に応じて、更に分散剤や界面活性剤、その他の成分を用いて構成することができる。なお、本発明においては、画像の耐性を向上させるために、インク液の粘度や表面張力を高くすることによって、記録媒体上をインクがぬれ広がりにくくすることも可能である。例えば、下記の成分の中で、顔料や樹脂粒子などの分散粒子成分を増やすことは、インク液の粘度を高めるだけでなく、凝集を速め、凝集体自体の強度向上にも期待できるので、好ましい。
【0153】
(顔料)
本発明におけるインク組成物は、色材成分として顔料の少なくとも一種を含有する。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。顔料は、水に殆ど不溶であるか又は難溶である顔料であることが、インク着色性の点で好ましい。
【0154】
(分散剤)
本発明のインク組成物は、分散剤の少なくとも1種を含有することができる。前記顔料の分散剤としては、ポリマー分散剤、又は低分子の界面活性剤型分散剤のいずれでもよい。また、ポリマー分散剤は、水溶性の分散剤、又は非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
【0155】
ポリマー分散剤の重量平均分子量は、3,000〜100,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000であり、更に好ましくは5,000〜40,000であり、特に好ましくは10,000〜40,000である。
【0156】
ポリマー分散剤の酸価としては、処理液が接触したときの凝集性が良好である観点から、100以下mgKOH/g以下が好ましい。更には、該酸価は、25〜100mgKOH/gがより好ましく、25〜80が更に好ましく、30〜65が特に好ましい。ポリマー分散剤の酸価が25以上であると、自己分散性の安定性が良好になる。
【0157】
ポリマー分散剤は、自己分散性と処理液が接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が25〜80mgKOH/gのポリマーを含むことがより好ましい。
【0158】
本発明においては、画像の耐光性や品質などの観点から、顔料と分散剤と含むことが好ましく、有機顔料とポリマー分散剤とを含むことがより好ましく、有機顔料とカルボキシル基を含むポリマー分散剤とを含むことが特に好ましい。また、顔料は、凝集性の観点から、カルボキシル基を有するポリマー分散剤に被覆され、水不溶性であることが好ましい。さらに、凝集性の観点からは、後述の自己分散性ポリマーの粒子の酸価の方が、前記ポリマー分散剤の酸価よりも小さいことが好ましい。
【0159】
顔料の平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。平均粒子径は、200nm以下であると色再現性が良好になり、インクジェット法で打滴する際の打滴特性が良好になり、10nm以上であると耐光性が良好になる。また、色材の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を2種以上混合して使用してもよい。
【0160】
なお、顔料粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
【0161】
顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0162】
顔料のインク組成物中における含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物に対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
【0163】
(ポリマー粒子)
本発明におけるインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも一種を含有することができる。このポリマー粒子は、後述の処理液又はこれを乾燥させた領域と接触した際に分散不安定化して凝集しインクを増粘させることによりインク組成物を固定化する機能を有し、インク組成物の記録媒体への定着性及び画像の耐擦過性をより向上させることができる。
【0164】
凝集剤と反応するために、アニオン性の表面電荷を有するポリマー粒子が用いられ、充分な反応性、吐出安定性が得られる範囲で、広く一般に知られているラテックスが用いられるが、特に自己分散性のポリマー粒子を用いることが好ましい。
【0165】
<自己分散性ポリマー粒子>
本発明におけるインク組成物は、ポリマー粒子として、自己分散性ポリマー粒子の少なくとも一種を含有することが好ましい。この自己分散性ポリマーは、後述の処理液又はこれを乾燥させた領域と接触した際に分散不安定化して凝集しインクを増粘させることによりインク組成物を固定化する機能を有し、インク組成物の記録媒体への定着性及び画像の耐擦過性をより向上させることができる。また、自己分散性ポリマーは、吐出安定性及び前記顔料を含む系の液安定性(特に分散安定性)の観点からも好ましい樹脂粒子である。
【0166】
自己分散性ポリマーの粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの粒子を意味する。
【0167】
本発明における自己分散性ポリマーの酸価としては、処理液が接触したときの凝集性が良好である観点から、50以下KOHmg/g以下が好ましい。更には、該酸価は、25〜50KOHmg/gがより好ましく、30〜50が更に好ましい。自己分散性ポリマーの酸価が25以上であると、自己分散性の安定性が良好になる。
【0168】
本発明における自己分散性ポリマーの粒子は、自己分散性と処理液が接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が25〜50KOHmg/gのポリマーを含むことがより好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が30〜50KOHmg/gのポリマーを含むことがより好ましい。
【0169】
自己分散性ポリマーの粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量としては、重量平均分子量で3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
【0170】
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35/min、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なう。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
【0171】
自己分散性ポリマーの粒子の平均粒子径は、体積平均粒子径で10nm〜400nmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、10〜100nmの範囲が更に好ましい。体積平均粒子径は、10nm以上であると製造適性が向上し、1μm以下であると保存安定性が向上する。
【0172】
なお、自己分散性ポリマーの粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
【0173】
自己分散性ポリマーの粒子は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。自己分散性ポリマーの粒子のインク組成物中における含有量としては、凝集速度や画像の光沢性などの観点から、インク組成物に対して、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
【0174】
また、インク組成物中の顔料と自己分散性ポリマーの粒子との含有比率(例えば、水不溶性顔料粒子/自己分散性ポリマーの粒子)としては、画像の耐擦過性などの観点から、1/0.5〜1/10であることが好ましく、1/1〜1/4であることがより好ましい。
【0175】
(重合性化合物)
本発明におけるインク組成物は、活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性化合物の少なくとも一種を含有することができる。
【0176】
水溶性とは、水に一定濃度以上溶解できることをいい、水性のインク中に(望ましくは均一に)溶解し得るものであればよい。また、後述する水溶性有機溶剤を添加することにより溶解度が上がってインク中に(望ましくは均一に)溶解するものであってもよい。具体的には、水に対する溶解度が10質量%以上であることが好ましく、15質量以上であることがより好ましい。
【0177】
重合性化合物としては、凝集剤と顔料、ポリマー粒子との反応を妨げない点で、ノニオン性又はカチオン性の重合性化合物が好ましく、水に対する溶解度が10質量%以上(更には15質量%以上)の重合性化合物が好ましい。
【0178】
本発明における重合性化合物としては、擦過耐性を高め得る観点から、多官能のモノマーが好ましく、2官能〜6官能のモノマーが好ましく、溶解性と擦過耐性の両立の観点から、2官能〜4官能のモノマーが好ましい。
【0179】
重合性化合物は、1種単独又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
【0180】
重合性化合物のインク組成物中における含有量としては、顔料及び自己分散性ポリマーの粒子の合計の固形分に対して、30〜300質量%が好ましく、50〜200質量%がより好ましい。重合性化合物の含有量は、30質量%以上であると画像強度がより向上して画像の耐擦過性に優れ、300質量%以下であるとパイルハイトの点で有利である。
【0181】
(開始剤)
本発明におけるインク組成物は、後述の処理液に含有すると共にあるいは含有せずに、活性エネルギー線により前記重合性化合物の重合を開始する開始剤の少なくとも1種を含有することができる。光重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を混合して、あるいは増感剤と併用して使用することができる。
【0182】
開始剤は、活性エネルギー線により重合反応を開始し得る化合物を適宜選択して含有することができ、例えば、放射線もしくは光、又は電子線により活性種(ラジカル、酸、塩基など)を発生する開始剤(例えば、光重合開始剤等)を用いることができる。
【0183】
開始剤を含有する場合、インク組成物中における開始剤の含有量としては、重合性化合物に対して、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。開始剤の含有量は、1質量%以上であると画像の耐擦過性がより向上し、高速記録に有利であり、40質量%以下であると吐出安定性の点で有利である。
【0184】
(水溶性有機溶剤)
本発明におけるインク組成物は、水溶性有機溶媒の少なくとも1種を含有することができる。水溶性有機溶媒は、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。また、浸透促進には、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
【0185】
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒であることが好ましい。
【0186】
乾燥防止剤は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。乾燥防止剤の含有量は、インク組成物中に10〜50質量%の範囲とするのが好ましい。
【0187】
浸透促進剤としては、インク組成物を記録媒体(印刷用紙など)により良く浸透させる目的で好適である。浸透促進剤は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。浸透促進剤の含有量は、インク組成物中に5〜30質量%の範囲であるのが好ましい。また、浸透促進剤は、画像の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない量の範囲内で使用することが好ましい。
【0188】
(水)
インク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
【0189】
(その他の添加剤)
本発明におけるインク組成物は、上記成分以外にその他の添加剤を用いて構成することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
【0190】
[処理液]
処理液は、既述のインク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を少なくとも含み、必要に応じて、さらに他の成分を用いて構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。また、処理液やインク組成物の処方を改善することにより、形成された画像自体の強度を高めることができ、高圧送風などによる画像の耐久性を補強することができる。
【0191】
凝集剤としては、インク組成物のpHを変化させることができる化合物であっても、多価金属塩であっても、ポリアリルアミン類であってもよい。本発明においては、インク組成物の凝集性の観点から、インク組成物のpHを変化させることができる化合物が好ましく、インク組成物のpHを低下させ得る化合物がより好ましい。
【0192】
本発明においては、凝集後の固形成分と積堆成分(液体成分)が速やかに分離できる、あるいは、凝集体自体をよりリジッド化できる凝集剤を選ぶことが好ましい。このような凝集剤としては、有機酸が好ましく、2価以上の有機酸がより好ましく、2価以上3価以下の酸性物質が特に好ましい。前記2価以上の有機酸としては、その第1pKaが3.5以下の有機酸が好ましく、より好ましくは3.0以下の有機酸である。具体的には、例えば、リン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸などが好適に挙げられる。
【0193】
凝集剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0194】
インク組成物を凝集させる凝集剤の処理液中における含有量としては、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜45質量%であり、更に好ましくは5〜40質量%の範囲である。
【0195】
処理液は、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の成分として他の添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
【0196】
<記録媒体>
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
【0197】
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
【0198】
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクジェットによる画像形成においては、画像の光沢や擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明のインクジェット記録方法では、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙と無機顔料を含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましく、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのがより好ましい。具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
【0199】
[実施例]
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0200】
[試験A]
図12の試験Aは、回転ドラム(例えば乾燥ドラム76)の外周面による記録媒体22の吸着と、コロ91による記録媒体両端部の接触式抑えつけと、を組み合わせた場合の吸着搬送の安定性を、坪量の異なる2種類の記録媒体を用いて試験した。合わせて、コロ91の上流側に吹出器93Aを更に配置した場合と、配置しない場合とでどのように異なるかを試験した。
【0201】
(試験条件)
試験に供した記録媒体22は、アイベストW260gsm、310gsm(日本大昭和板紙(株)製)の2種類を用いた。そして、アイベストW260gsmは回転ドラム76の外周面における吸引圧(吸着時)を60kPaに設定し、アイベストW310gsmの場合には、吸引圧(吸着時)を60kPa、50kPa、45kPaの3水準で行った。
【0202】
吸着搬送の安定性評価は、100枚の記録媒体22を吸着搬送した際に、正常吸着して搬送された記録媒体22の枚数を調べることにより行った。ここで、正常吸着とは記録媒体22の最後端部22Aの跳ね上がり、記録媒体22の中央部の盛り上がり等がなく、記録媒体22の全面が回転ドラム76の外周面に密着した状態で吸着されたことを言う。
【0203】
(吸着搬送の安定性評価基準)
◎…100枚の記録媒体を吸着搬送した際に、100枚とも正常吸着された
○…100枚の記録媒体を吸着搬送した際に、98枚〜99枚が正常吸着された
△…100枚の記録媒体を吸着搬送した際に、91枚〜97枚が正常吸着された
×…100枚の記録媒体を吸着搬送した際に、90枚以下が正常吸着された
(試験1〜11の条件説明)
・試験1は、記録媒体22の幅方向両端部に同軸芯状に設けた20mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前(記録媒体搬送方向上流側)に1列配置した。また、吹出器93Aは使用しなかった。ここで、同軸芯状とは、左右一対のコロ91の軸芯81が同一線上にあることを言う。
【0204】
・試験2…記録媒体22の幅方向両端部に同軸芯状に設けた20mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前(記録媒体搬送方向上流側)に2列配置した。この場合、2列配置したコロ91のピッチPを30mmに設定した。また、吹出器93Aは使用しなかった。
【0205】
・試験3…記録媒体22の幅方向両端部に同軸芯状に設けた20mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前(記録媒体搬送方向上流側)と後(記録媒体搬送方向下流側)に各1列(合計2列)配置した。この場合、2列配置したコロ91のピッチPを30mmに設定した。また、吹出器93Aは使用しなかった。
【0206】
・試験4…記録媒体22の幅方向両端部に千鳥状に設けた20mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前に2列配置した。この場合、2列配置したコロ91のピッチPを30mmに設定した。また、吹出器93Aは使用しなかった。
【0207】
・試験5…記録媒体22の幅方向両端部に千鳥状に設けた20mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前(記録媒体搬送方向上流側)と後(記録媒体搬送方向下流側)に各1列(合計2列)配置した。この場合、2列配置したコロ91のピッチPを30mmに設定した。また、吹出器93Aは使用しなかった。
【0208】
・試験6…記録媒体22の幅方向両端部に千鳥状に設けた10mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前に2列配置した。この場合、2列配置したコロ91のピッチPを15mmに設定した。また、吹出器93Aは使用しなかった。
【0209】
・試験7…記録媒体22の幅方向両端部に千鳥状に設けた10mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前(記録媒体搬送方向上流側)と後(記録媒体搬送方向下流側)に各1列(合計2列)配置した。この場合、2列配置したコロ91のピッチPを15mmに設定した。また、吹出器93Aは使用しなかった。
【0210】
・試験8…記録媒体22の幅方向両端部に千鳥状に設けた20mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前に1列配置した。また、吹出器93Aを併用したが風量分布は行わず、記録媒体22の幅方向の風圧を均一にした。
【0211】
・試験9…記録媒体22の幅方向両端部に千鳥状に設けた10mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前(記録媒体搬送方向上流側)と後(記録媒体搬送方向下流側)に各1列(合計2列)配置した。この場合、2列配置したコロ91のピッチPを15mmに設定した。また、吹出器93Aを併用したが風量分布は行わず、記録媒体22の幅方向の風圧を均一にした。
【0212】
・試験10…記録媒体22の幅方向両端部に千鳥状に設けた20mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前に2列配置した。この場合、2列配置したコロ91のピッチPを30mmに設定した。また、吹出器93Aを併用すると共に、風量分布を行って、記録媒体の幅方向の中央部の風圧を両端部の風圧よりも強くした。
【0213】
・試験11…記録媒体22の幅方向両端部に千鳥状に設けた10mm径の一対のコロ91を、吸着開始位置の前(記録媒体搬送方向上流側)と後(記録媒体搬送方向下流側)に各1列(合計2列)配置した。この場合、2列配置したコロ91のピッチPを15mmに設定した。また、吹出器93Aを併用すると共に、風量分布を行って、記録媒体22の幅方向の中央部の風圧を両端部の風圧よりも強くした。
【0214】
(試験結果)
試験結果を図13の表に示す。
【0215】
図13の表から分かるように、坪量が260gsmのアイベストWを60kPaの吸引圧で回転ドラム76の外周面に吸着して搬送する場合には、試験1〜11において全て◎の良い評価となった。
【0216】
坪量が310gsmの紙厚の厚いアイベストWを60kPaの吸引圧で回転ドラム76の外周面に吸着して搬送する場合には、試験1〜11において○〜◎の評価であり、試験1〜11の何れの条件を選択しても全く問題ない。
【0217】
坪量が310gsmの紙厚の厚いアイベストWを、吸引圧を50kPaまで下げて回転ドラム76の外周面に吸着して搬送する場合には、同軸芯状の一対のコロを吸着開始前に1列若しくは2列設けた試験1及び試験2は、×の評価になった。しかし、試験1に、非接触式抑えつけ手段である吹出器93Aを更に設けた試験8は○の評価まで良くなった。
【0218】
坪量が310gsmの紙厚の厚いアイベストWを、吸引圧を45kPaまで更に下げて回転ドラム76の外周面に吸着して搬送する場合には、試験1の条件の際に×の評価になったが、非接触式抑えつけ手段である吹出器93Aを更に設けた試験8は△の評価まで良くなった。
【0219】
以上の結果から、記録媒体22の坪量の大小に関係なく、回転ドラム76による吸着と、接触式抑えつけ手段の一例であるコロ91による抑えつけとの組み合わせが最低限必要である。そして、記録媒体22の坪量が大きくなるにしたがって、更に非接触式抑えつけ手段の一例である吹出器93Aを組み合わせることで記録媒体22を安定して吸着搬送することができる。
【0220】
特に試験11は、記録媒体22の坪量が310の条件下で、吸引圧を45kPaまで下げても◎の評価であり、吸引ポンプの容量を小さくすることができ、省エネに寄与する。
【0221】
[試験B]
図14の試験Bは、図12の試験7の設定において、コロ91で記録媒体22の最後端部22Aを抑えつける抑えタイミングと、回転ドラム76の外周面の吸引孔で記録媒体22の最後端部22Aの吸着を開始する吸着開始タイミングとの時間差(Δt秒)を、条件1−1〜条件1−17のように変えたときに、吸着搬送の安定性がどのように変わるかを試験した。
【0222】
吸着搬送の安定性評価基準の◎、○、△、×は試験Aの場合と同様である。
【0223】
図14の表における条件1−1のΔtが0.4秒とは、抑えタイミングから吸着開始タイミングまでの時間差が0.4秒であることを意味する。また、条件1−10のΔtが−0.02秒とは、抑えつけの前に吸着が開始される場合であり、そのタイミング間隔が0.02秒であることを意味する。
【0224】
図14の試験結果から分かるように、回転ドラムの吸引圧が60kPaと大きい場合には、坪量が260gsmの記録媒体22の場合も310gsmの記録媒体22の場合もコロ91による抑えタイミングから回転ドラム76による吸着開始タイミングまでの時間差Δtは、−0.4秒〜+0.4秒の間で◎の評価であった。
【0225】
しかし、坪量が310gsmと紙厚が厚く、吸引圧を50kPaあるいは45kPaに下げていくと、時間差Δtが0秒に近いほど、即ちコロ91による抑えタイミングと回転ドラム76による吸着開始タイミングとが略同時なほど吸着搬送が安定することが分かる。具体的には、時間差Δtが−0.2秒〜+0.1秒の間で○の評価となった。
【0226】
図15は、図12の試験11の設定において同様に時間差Δtを調べたものである。その結果、坪量が310gsmと紙厚が厚く、吸引圧を50kPaに下げたときに、時間差Δtが−0.2秒〜+0.1秒の間で○〜◎の評価となった。更に、時間差Δtが−0.1秒〜+0.1秒の間で◎の評価となった。
【0227】
また、坪量が310gsmと紙厚が厚く、吸引圧を45kPaに下げたときに、時間差Δtが−0.25秒〜+0.1秒の間で○〜◎の評価となった。更に、時間差Δtが+0.02秒〜+0.05秒の間で◎の評価となった。
【0228】
試験11は、回転ドラム76による吸着とコロ91による抑えつけとに加えて吹出器93Aを設けたことによって、吸引圧を低下させてもコロ91による抑えタイミングと回転ドラム76による吸着開始タイミングとを適切な範囲で制御すれば、◎の良い結果が得られることが分かる。
【0229】
以上の結果から、記録媒体22の坪量や回転ドラム76による吸引圧を考慮すると、コロ91により記録媒体22の最後端部22Aが抑えつけられてから−0.2秒〜+0.1秒の間で回転ドラム76による吸着を開始することが記録媒体22の安定した吸着搬送にとって好ましい。
【符号の説明】
【0230】
1…インクジェット記録装置、10…給紙部、12…処理液付与部、14…描画部、15…両面加熱手段、16…乾燥部、18…硬化部、20…排出部、22…記録媒体、24…第1の中間搬送部、26…第2の中間搬送部、28…第3の中間搬送部、30…中間搬送体、55、71、77、85…保持手段、70…描画ドラム、72M,72C,72Y,72K…インクジェットヘッド、76…乾燥ドラム、77…保持手段、78…伸長量センサ、79A〜79B…軸流ファン、80A〜80F…温風噴出しノズル、82A〜82D…IRヒータ、83…送風ノズル(非接触式記録媒体抑え手段)、84…硬化ドラム、88…UVランプ、91…コロ、92…排出トレイ、93A…吹出器、134…乾燥制御部、135…入力部、137…第1加熱手段、138…露光硬化制御部、139…第2加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
坪量が150gsm以上の枚葉状の記録媒体に画像を形成した後、該記録媒体を回転ドラムの回転に同伴させて搬送する搬送工程を備えた画像記録方法において、
前記搬送工程は、
前記記録媒体の搬送方向先端部を前記回転ドラムの外周面に形成された保持手段で保持する保持工程と、
前記記録媒体の記録面側の幅方向両端部に接触して前記記録媒体を前記回転ドラム側に抑えつける接触式抑えつけ工程と、
前記記録媒体の非画像面側を前記回転ドラムの外周面に形成された多数の吸引孔で吸着する吸着工程と、を備えたことを特徴とする画像記録方法。
【請求項2】
前記接触式抑えつけ工程では、前記幅方向両端部を前記記録媒体の搬送方向に沿って複数箇所を抑えつけることを特徴とする請求項1に記載の画像記録方法。
【請求項3】
前記幅方向両端部における複数の抑えつけの箇所を千鳥状に位置させることを特徴とする請求項2に記載の画像記録方法。
【請求項4】
前記接触式抑えつけ工程により前記記録媒体の最後端部が抑えつけられてから−0.2秒〜+0.1秒の間で前記吸着工程での吸着を開始することを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の画像記録方法。
【請求項5】
前記保持工程と前記接触式抑えつけ工程との間に、前記記録媒体の幅方向を非接触で前記回転ドラム側に抑えつける非接触式抑えつけ工程を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載の画像記録方法。
【請求項6】
前記非接触式抑えつけ工程は、前記記録媒体の全幅方向にエアを線状に吹きつけるエア吹きつけ工程であると共に、前記記録媒体の両端部に吹きつける風圧よりも中央部にふきつける風圧を強くすることを特徴とする請求項5に記載の画像記録方法。
【請求項7】
前記記録媒体の記録面に画像を形成する前に前記画像の凝集力を高める処理液を前記記録面に塗布すると共に、前記記録媒体の幅方向両端部の凝集力が中央部の凝集力よりも大きくなるように塗布することを特徴とする請求項1〜6の何れか1に記載の画像記録方法。
【請求項8】
前記吸着工程の前に前記回転ドラムの外周面を加熱しておくことを特徴とする請求項1〜7の何れか1に記載の画像記録方法。
【請求項9】
枚葉状の記録媒体に画像を形成した後、該記録媒体を回転ドラムの回転に同伴させて搬送する搬送手段を備えた画像記録装置において、
前記搬送手段は、
前記回転ドラムの外周面に設けられ、前記記録媒体の搬送方向先端部を保持する保持手段と、
前記保持手段に対して前記記録媒体の搬送方向上流側であって前記回転ドラム外周面の幅方向両端部位置に設けられ、前記記録媒体の幅方向側端部に接触して前記記録媒体を前記回転ドラム側に抑えつける一対の接触式抑えつけ手段と、
前記回転ドラムの外周面に形成され、前記搬送される記録媒体の非画像面側を前記外周面に吸着する多数の吸着孔と、を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項10】
前記記録媒体の坪量が150gsm以上であることを特徴とする請求項9に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記接触式抑えつけ手段は、コロ、スターホイール、ベルトの何れか1であることを特徴とする請求項9又は10に記載の画像記録装置。
【請求項12】
前記一対の接触式抑えつけ手段を、前記記録媒体の搬送方向に沿って複数設けたことを特徴とする請求項9〜11の何れか1に記載の画像記録装置。
【請求項13】
前記複数設けられた一対の接触式抑えつけ手段は、前記幅方向両端部において千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の画像記録装置。
【請求項14】
前記接触式抑えつけ手段が撥水素材で被覆されていることを特徴とする請求項9〜13の何れか1に記載の画像記録装置。
【請求項15】
前記一対の接触式抑えつけ手段の間隔を調整する間隔調整手段を備えることを特徴とする請求項9〜14の何れか1に記載の画像記録装置。
【請求項16】
前記接触式抑えつけ手段に対して前記記録媒体の搬送方向上流位置に、前記記録媒体の幅方向を非接触で前記回転ドラム側に抑えつける非接触式抑えつけ手段を設けたことを特徴とする請求項9〜15の何れか1に記載の画像記録装置。
【請求項17】
前記非接触式抑えつけ手段は、前記記録媒体の全幅に渡って形成されたスロット状の吹出口を有する送風手段であることを特徴とする請求項16に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−20870(P2012−20870A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161953(P2010−161953)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】