画像記録装置
【課題】ユーザがクリーニング部材を設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成でローラをクリーニングすることができる画像記録装置の提供。
【解決手段】給紙トレイ20内には、記録用紙を位置決めするサイドガイド80,81が移動可能に設けられている。サイドガイド81には、クリーニング部材131,132が設けられている。サイドガイド81が第1位置に配置された状態では、給紙トレイ20に載置された記録用紙が給紙トレイ20に保持される。サイドガイド81が第2位置に配置された場合、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態で、給紙トレイ20側へ移動された給紙ローラ25がクリーニング部材131又はクリーニング部材132に圧接される。この状態で給紙ローラ25が回転駆動されてクリーニングされる。
【解決手段】給紙トレイ20内には、記録用紙を位置決めするサイドガイド80,81が移動可能に設けられている。サイドガイド81には、クリーニング部材131,132が設けられている。サイドガイド81が第1位置に配置された状態では、給紙トレイ20に載置された記録用紙が給紙トレイ20に保持される。サイドガイド81が第2位置に配置された場合、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態で、給紙トレイ20側へ移動された給紙ローラ25がクリーニング部材131又はクリーニング部材132に圧接される。この状態で給紙ローラ25が回転駆動されてクリーニングされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに収容されたシートを搬送し、その搬送過程でシートに画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置では、トレイに収容された記録用紙に対してローラが圧接され、この状態でローラが回転駆動される。これにより、記録用紙がトレイから所定の搬送路へ供給される。記録用紙は、この搬送路に沿って搬送される過程においてインクやトナーが付着される。これにより、記録用紙に所望の画像が形成される。上述のように、ローラが記録用紙に圧接された状態で回転駆動されるので、ローラには紙粉や記録用紙上のゴミ等が付着する。ローラに紙粉やゴミ等が付着した場合、記録用紙のジャムや供給不良が発生するという問題がある。従来の画像記録装置には、これらの問題を解決するために、ローラをクリーニングする手段が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のプリンタは、トレイに着脱自在な清掃シートを有する。清掃シートは、台紙にフック及びスポンジ状の清掃布が設けられたものである。清掃シートは、フックによりトレイ内に固定される。トレイは、清掃シートが固定され且つ記録用紙が載置されていない状態でプリンタ本体に装着される。これにより、ローラが清掃布に接触される。この状態で給紙ボタンが押下されると、ローラが回転駆動されてローラの表面が清掃布によって清掃される。
【0004】
【特許文献1】特開平5−92641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のプリンタでは、ローラの清掃前に、トレイから記録用紙などのシートを取り出してトレイに清掃シートを固定し、そのトレイをプリンタに装着する作業が必要である。また、ローラの清掃後には、トレイから清掃シートを取り外して保管する作業が必要である。このように、上記プリンタでは、ローラの清掃前後にユーザが面倒な作業を行う必要があった。
【0006】
また、トレイの形状及びローラの配置に応じて清掃シートを構成する必要がある。このため、プリンタ全体としての構成が複雑になり、結果としてプリンタのコストがかさむという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、ユーザがクリーニング部材を設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成でローラをクリーニングすることができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、シートが載置される第1トレイと、上記第1トレイ内を移動可能に構成され、当該第1トレイに対して上記シートを位置決めする位置決め部材と、上記第1トレイから供給されたシートが搬送される第1搬送路と、上記第1トレイに対して接離する方向へ移動可能に構成され、上記第1トレイ上のシートを上記第1搬送路へ供給するローラと、上記シートの搬送過程において当該シートに画像を記録する記録部と、上記位置決め部材に設けられ、上記ローラをクリーニングするクリーニング部材と、を備え、上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されるシートを保持する第1位置と、上記第1トレイにシートが載置されていない状態で上記第1トレイ側へ移動された上記ローラが上記クリーニング部材に圧接される第2位置と、の間を移動可能に構成されている。
【0009】
第1トレイには、画像記録に使用されるシートが載置される。この第1トレイには、位置決め部材が設けられている。位置決め部材は、第1トレイに載置されたシートを第1トレイに対して位置決めするものである。この位置決め部材は、第1トレイに載置されるシートのサイズに応じて第1トレイ内を移動可能に構成されている。
【0010】
本発明の画像記録装置では、印刷開始が指示されると、第1トレイから第1搬送路へシートが供給される。このシートは、第1搬送路に沿って搬送される過程において記録部によって画像が記録される。この画像記録は、シートにインクやトナーを付着させることにより行われる。第1トレイ上のシートは、当該シートに圧接されたローラが回転駆動されることにより第1搬送路へ供給される。このローラは、第1トレイに対して接離する方向へ移動可能に構成されている。例えば、所定の支点を中心として第1トレイに対して接離する方向へ回動可能なアームが設けられ、ローラは、このアームの先端側に回転可能に設けられる。
【0011】
上述の位置決め部材には、クリーニング部材が設けられている。このクリーニング部材は、ゴム、ブラシ、フェルト等で構成されている。位置決め部材は、第1位置と第2位置との間を移動可能に構成されている。シートは、位置決め部材が第1位置に配置された状態で第1トレイに載置される。これにより、シートが第1トレイに対して位置決めされる。位置決め部材は、第1トレイにシートが載置されていない状態で第2位置に配置される。第1トレイにシートが載置されていないので、ローラが第1トレイ側へ移動してクリーニング部材に圧接される。このように位置決め部材が第2位置に配置された状態でローラが回転駆動されることにより、クリーニング部材によってローラがクリーニングされる。ここで、クリーニングとは、ローラにクリーニング部材を接触させた状態で、ローラに付着した紙粉、インク、トナー、ゴミ等をローラから除去する動作である。上述のように、第1トレイに対してシートを位置決めする位置決め部材を第2位置へ移動させることにより、ローラのクリーニングが可能な状態となる。このため、ユーザがクリーニング部材を設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成でローラをクリーニングすることが可能となる。
【0012】
(2) 上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向における上流側の端部に当接されるリヤガイドであってもよい。
【0013】
シートは、リヤガイドが第1位置に配置された状態で第1トレイに載置される。これにより、シートは、その搬送方向における上流側の端部がリヤガイドに当接する。その結果、シートは、その先端がシートのサイズに拘わらず第1トレイ内の所定位置に位置決めされる。リヤガイドが第1位置から第2位置へ移動される。これにより、リヤガイドに設けられたクリーニング部材にローラが圧接され、ローラのクリーニングが可能な状態となる。
【0014】
(3) 上記クリーニング部材は、当該クリーニング部材における上記ローラとの接触面に比べて上記搬送方向に長いものであることが好ましい。
【0015】
リヤガイドが移動されることにより、クリーニング部材におけるローラとの接触面の位置が変更される。搬送方向におけるクリーニング部材の長さが接触面の長さと略等しい場合に比べて、クリーニング部材をより繰り返し使用することが可能となる。
【0016】
(4) 本発明の画像記録装置は、上記リヤガイドが上記第1位置から上記第2位置へ移動されることにより、当該リヤガイドと当接してこのリヤガイドの上記第2位置より上記搬送方向の下流側への移動を制止するストッパを備えていてもよい。
【0017】
リヤガイドは、第2位置に配置された状態でストッパに当接する。このため、第1位置側から第2位置側へ移動されたリヤガイドが制止され、リヤガイドが第2位置に確実に配置される。また、ローラが回転駆動されてクリーニングされる際に、クリーニング部材を支持するリヤガイドの搬送方向下流側への移動がストッパによって防止される。
【0018】
(5) 上記リヤガイドは、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向における下流側の端部を当該第1トレイの基準位置に略一致させるものであって、上記第2位置は、上記第1トレイに載置可能な最小サイズのシートに対応する上記第1位置よりも上記下流側の位置であることが好ましい。
【0019】
リヤガイドが第2位置に配置された状態では、第1トレイにシートを載置することができない。このため、クリーニング部材がクリーニング位置に配置されているにも拘わらず第1トレイにシートが載置されているためにローラをクリーニングすることができないといった問題が生じることが防止される。
【0020】
(6) 上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向と略直交する水平な第1方向における当該シートの端部に当接されるサイドガイドであってもよい。
【0021】
シートは、サイドガイドが第1位置に配置された状態で第1トレイに載置される。これにより、シートは、第1方向における端部がサイドガイドに当接する。その結果、シートは、その幅方向の位置がシートのサイズに拘わらず第1トレイ内の所定位置に位置決めされる。サイドガイドが第1位置から第2位置へ移動される。これにより、サイドガイドに設けられたクリーニング部材にローラが圧接され、ローラのクリーニングが可能な状態となる。
【0022】
(7) 上記クリーニング部材は、当該クリーニング部材における上記ローラとの接触面に比べて上記第1方向に長いものであることが好ましい。
【0023】
サイドガイドが移動されることにより、クリーニング部材におけるローラとの接触面の位置が変更される。第1方向におけるクリーニング部材の長さが接触面の長さと略等しい場合に比べて、クリーニング部材をより繰り返し使用することが可能となる。
【0024】
(8) 上記サイドガイドは、上記第1トレイに載置されたシートの上記第1方向における中央位置を当該第1トレイの基準位置に略一致させるものであって、上記第2位置は、上記第1トレイに載置可能な最小サイズのシートに対応する上記第1位置よりも上記基準位置側の位置であってもよい。
【0025】
サイドガイドが第2位置に配置された状態では、第1トレイにシートを載置することができない。このため、クリーニング部材がクリーニング位置に配置されているにも拘わらず第1トレイにシートが載置されているためにローラをクリーニングすることができないといった問題が生じることが防止される。
【0026】
(9) 上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されたシートの下面の一部に当接されるプレートと、上記プレートにおけるシートの当接面から凹むように当該プレートに形成された凹部と、を有し、上記クリーニング部材は、上記凹部に収容されていてもよい。
【0027】
クリーニング部材は、位置決め部材のプレートに形成された凹部に収容されている。このため、クリーニング部材がローラから除去した紙粉、インク、トナー、ゴミ等が、第1トレイに載置されたシートに付着することが防止される。
【0028】
(10) 上記クリーニング部材は、弾性変形が可能なものであることが好ましい。
【0029】
上記構成により、位置決め部材が第1位置から第2位置へ移動された際に、クリーニング部材がローラに密着し、その結果、クリーニング効果が増大される。
【0030】
(11) 本発明の画像記録装置は、上記第1搬送路及び上記第1トレイに連結されて、上記第1搬送路を搬送されたシートがスイッチバック搬送される第2搬送路と、上記第1搬送路を搬送されたシートが排出される第2トレイと、上記第1搬送路を搬送されたシートを上記第2トレイ又は上記第2搬送路へ送る経路切換部と、を備えていてもよい。
【0031】
第1搬送路へ供給されたシートは、その搬送過程で記録部によって一方の面に画像が記録される。このシートは、片面記録が設定されている場合、経路切換部によって第2トレイに排出される。一方、両面記録が設定されている場合、シートは、経路切換部によって第2搬送路へ送られる。このシートは、第2搬送路に沿ってスイッチバック搬送されて第1トレイへ供給される。シートは、ローラが回転駆動されることにより第1搬送路へ再送される。シートは、その搬送過程において記録部によって他方の面に画像が記録される。このように両面に画像が記録されたシートは、経路切換部によって第1搬送路から第2トレイに排出される。
【0032】
一方の面に画像が記録されたシートは、第1搬送路へ再送される際に記録面にローラが圧接される。記録面とは、記録部によってインクやトナーが付着されたシートの一方の面である。インクやトナーが充分に乾燥していない状態でシートが第1搬送路へ再送されると、シート上のインクやトナーがローラに付着することがある。位置決め部材が第1位置から第2位置へ移動された状態で、ローラが回転駆動される。これによりローラがクリーニングされ、ローラに付着したインクやトナーがローラから除去される。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、第1トレイに対してシートを位置決めする位置決め部材を第2位置へ移動させることにより、ローラのクリーニングが可能な状態となる。このため、ユーザがクリーニング部材を設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成でローラをクリーニングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、適宜図面が参照されて、本発明の好ましい実施形態が説明される。なお、本実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更され得る。
【0035】
[第1実施形態]
まず、本発明の画像記録装置の第1実施形態に係る複合機10の構成及び動作が説明される。
【0036】
<複合機10の概略構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。図2は、複合機10のプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。なお、図2においては、給紙トレイ20(本発明における第1トレイの一例)の一部及び排紙トレイ21(本発明における第2トレイの一例)が省略されている。
【0037】
図1に示されるように、複合機10は、プリンタ部11及びスキャナ部12を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。本発明に係る画像記録装置は、複合機10のプリンタ部11として実施されている。したがって、プリント機能以外の機能は任意のものである。なお、本実施形態においては、プリンタ部11が画像記録にインクを使用するインクジェットプリンタである形態について説明される。ただし、プリンタ部11は、画像記録にトナーを使用するレーザプリンタであってもよい。
【0038】
複合機10は、主にコンピュータ等の外部情報装置(不図示)と接続される。複合機10は、外部情報装置から受信した印刷データに基づいて記録用紙(本発明におけるシートの一例)に画像を記録する。また、複合機10は、スキャナ部12によって読み取られた原稿の画像データに基づいて記録用紙に画像を記録する。また、複合機10は、デジタルカメラ等が接続されて、デジタルカメラ等から出力される画像データに基づいて記録用紙に画像を記録する。また、複合機10は、メモリカード等の各種記憶媒体が装填されて、該記憶媒体に記憶された画像データ等に基づいて記録用紙に画像を記録する。
【0039】
図1に示されるように、複合機10は、高さより横幅及び奥行きが大きい幅広薄型の概ね直方体形状に形成されている。プリンタ部11は、その装置本体35の正面36側に開口13を有する。この開口13は、画像が記録されて開口13内に胴内排出された記録用紙をユーザが取り出すためのものである。この開口13内には、記録用紙を収容する給紙カセット70(図6参照)が配置される。給紙カセット70は、開口13を通じて装置本体35に対して挿抜される。なお、図1では給紙カセット70が省略されている。
【0040】
装置本体35の正面36の右下部には、扉38(図1参照)が開閉自在に設けられている。扉38の内側にはカートリッジ装着部66が設けられている。図1に示されるように扉38が開かれると、カートリッジ装着部66が装置本体35の正面36側に露出される。これにより、カートリッジ装着部66に対するインクカートリッジ68の挿抜が可能になる。インクカートリッジ68は、カートリッジ装着部66に装着されることにより、インクチューブを介してインクジェット記録ヘッド41(図3参照)と連結される。インクジェット記録ヘッド41は、インクカートリッジ68から供給されるインクを吐出して記録用紙に画像を記録する。
【0041】
複合機10の上部がスキャナ部12である。スキャナ部12は、フラットベッドスキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)、及び自動原稿搬送装置(ADF:Automatic Document Feeder)を有して構成されている。図1に示されるように、複合機10の天板として原稿カバー30が開閉自在に設けられている。ADFは、この原稿カバー30に設けられている。図には示されていないが、原稿カバー30の下側には、プラテンガラス及びイメージセンサが設けられている。スキャナ部12では、プラテンガラスに載置された原稿、又はADFにより搬送される原稿の画像がイメージセンサによって読み取られる。
【0042】
複合機10の正面上部には、操作パネル14が設けられている。操作パネル14は、各種情報を表示する液晶ディスプレイ、ユーザが情報を入力する入力キー等から構成される。なお、図1では、液晶ディスプレイや入力キー等が省略されている。複合機10は、この操作パネル14からの操作入力、又は外部情報装置から送信される情報に基づいて動作する。
【0043】
<プリンタ部11>
以下に、プリンタ部11の構成が詳細に説明される。
【0044】
図1に示されるように、プリンタ部11の正面36の中央に開口13が設けられている。給紙カセット70(図6参照)は、この開口13を通じて装置本体35に対して挿抜可能に設けられる。すなわち、給紙カセット70は、装置本体35に対して搬送方向90へ挿し込み可能、且つ装置本体35から引出方向92へ引き出し可能である。給紙カセット70は、給紙トレイ20及び排紙トレイ21を有して構成されている(図6参照)。給紙トレイ20には、画像記録に使用される記録用紙が載置される。排紙トレイ21には、画像が記録された記録用紙が排出される。搬送方向90は、給紙トレイ20に載置された記録用紙が第1搬送路22(本発明における第1搬送路の一例)へ供給される方向である。引出方向92は、装置本体35から給紙トレイ20が引き出される方向である。
【0045】
図2に示されるように、プリンタ部11は、給紙トレイ20、給紙ローラ25(本発明におけるローラの一例)、アーム26、及び動力伝達機構27を備えている。なお、図2においては、給紙トレイ20の一部、及び排紙トレイ21が省略されている。
【0046】
図3は、プリンタ部11の主要部を示す拡大断面図である。
【0047】
<給紙ローラ25>
図2及び図3に示されるように、給紙トレイ20の上側に給紙ローラ25が配置されている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上の記録用紙を第1搬送路22へ供給するものである。給紙トレイ20の上方にはアーム26が設けられている。給紙ローラ25は、このアーム26の先端側に回転可能に設けられている。給紙ローラ25は、不図示のモータを駆動源として動力伝達機構27を介して駆動伝達されて回転する。動力伝達機構27は複数のギヤを有し、これらが直列に噛合されることにより構成されている。
【0048】
<アーム26>
アーム26は、基軸28に支持されている。アーム26は、その基端部が基軸28に支持されている。これにより、アーム26は、基軸28を中心として給紙トレイ20に対して接離する方向へ回動可能である。これにより、給紙ローラ25は、給紙トレイ20に対して接離する方向へ移動可能に構成されている。アーム26は、アーム26及び給紙ローラ25の重量又はバネ等に付勢されて下側へ回動付勢されている。
【0049】
アーム26が下側へ回動付勢されることにより、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接される。この状態で給紙ローラ25が回転されると、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間に発生する摩擦力により、給紙トレイ20における最上位置の記録用紙が傾斜板32へ向けて送り出される。記録用紙の先端が傾斜板32に当接すると、記録用紙の束のうちの最上位置の1枚が捌かれて上方へ案内される。このようにして、記録用紙は、給紙トレイ20から第1搬送路22へ1枚ずつ供給される。
【0050】
なお、給紙ローラ25は、給紙トレイ20に対して接離する方向へ移動可能であれば、必ずしもアーム26に支持される必要はない。給紙ローラ25は、例えば給紙トレイ20に対して上下動可能なフレームに支持されていてもよい。
【0051】
<第1搬送路22>
傾斜板32の上方には、第1搬送路22が設けられている。第1搬送路22は、傾斜板32から上方へ向かった後、正面36側(図2における右側)へ横向きU字形状に曲がっている。第1搬送路22は、複合機10の背面側(図2における左側)から正面36側へと延び、記録部24(本発明における記録部の一例)を経て排紙トレイ21(図6参照)へ通じている。つまり、排紙トレイ21は、第1搬送路22における記録用紙の搬送方向下流側に配置されている。給紙トレイ20から供給された記録用紙は、第1搬送路22に沿って搬送される。記録用紙は、第1搬送路22に沿って下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に至り、記録部24によって画像が記録された後、排紙トレイ21に排出される。
【0052】
第1搬送路22は、記録部24等が配設されている箇所以外では、外側ガイド面と内側ガイド面とによって区画形成されている。例えば、複合機10の背面側の第1搬送路22の湾曲部分は、外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とが所定の間隔で対向配置されることにより構成されている。この場合、外側ガイド部材18が湾曲外側のガイド面を構成し、内側ガイド部材19が湾曲内側のガイド面を構成する。
【0053】
<記録部24>
図3に示されるように、記録部24は、第1搬送路22が複合機10の背面側から正面36側へ延びる途中に配置されている。記録部24は、第1搬送路22における記録用紙の搬送過程において記録用紙に画像を記録するものである。記録部24は、キャリッジ40、インクジェット記録ヘッド41、及びプラテン42を備えている。インクジェット記録ヘッド41は、キャリッジ40に搭載されている。キャリッジ40は、ガイドレール43,44に沿って記録用紙の幅方向(図3における紙面垂直方向)に往復移動される。図3には示されていないが、ガイドレール44には、モータを駆動源とするベルト駆動機構が設けられている。このようなベルト駆動機構は周知であるが、例えば、ガイドレール44の幅方向両端付近に駆動プーリ及び従動プーリがそれぞれ設けられ、この駆動プーリ及び従動プーリに無端環状の駆動ベルトが巻架されてなる。ベルト駆動機構の駆動ベルトにキャリッジ40が連結されることにより、モータの駆動がベルト駆動機構を介してキャリッジ40へ伝達され、キャリッジ40が往復移動する。
【0054】
第1搬送路22には、インクジェット記録ヘッド41と対向するプラテン42が設けられている。プラテン42は、第1搬送路22を搬送される記録用紙を下から支持する。プラテン42により、記録用紙がインクジェット記録ヘッド41と所定のヘッドギャップを有して支持される。複合機10の内部には、インクジェット記録ヘッド41と独立してインクカートリッジ68が配置されている(図1参照)。インクカートリッジ68に収容された各色インクは、インクチューブを通じてインクジェット記録ヘッド41へ供給される。キャリッジ40が往復移動される間に、インクジェット記録ヘッド41から各色インクが微小なインク滴としてプラテン42へ向けて選択的に吐出される。プラテン42上を搬送される記録用紙は、その搬送過程において記録部24によって画像が記録される。
【0055】
<第2搬送路23>
図3に示されるように、第2搬送路23(本発明における第2搬送路の一例)は、第1搬送路22及び給紙トレイ20に連結されている。詳細には、第2搬送路23の一端側が、第1搬送路22における記録部24の下流側(下流側部位45)と接続されている。また、第2搬送路23の他端側が、給紙トレイ20における給紙ローラ25より上流側(図3における右側)と接続されている。給紙トレイ20は、給紙ローラ25よりも下流側(図3における左側)が、傾斜板32を介して第1搬送路22と接続されている。このため、第2搬送路23は、給紙トレイ20を介して、第1搬送路22における記録部24の上流側(上流側部位46)と接続されている。第2搬送路23は、一方の面(記録面64:図4及び図5参照)に画像が記録されてスイッチバック搬送される記録用紙65を給紙トレイ20上へ導くものである。すなわち、第1搬送路22を搬送された記録用紙65がスイッチバック搬送されるものである。
【0056】
第2搬送路23は、所定の間隔で対向配置された一対の上側ガイド部材47と下側ガイド部材48とによって区画形成されている。上側ガイド部材47及び下側ガイド部材48は、第1搬送路22の下流側部位45から給紙ローラ25の上流側へ向かって、斜め下方へ延出されている。
【0057】
<搬送部15>
搬送部15は、第1搬送路22及び第2搬送路23に沿って記録用紙を搬送するものである。この搬送部15は、上述の給紙ローラ25、搬送ローラ50、排紙ローラ51、及び経路切換部72(本発明における経路切換部の一例)を有して構成されている。
【0058】
図2及び図3に示されるように、第1搬送路22における記録部24よりも上流側に、搬送ローラ50が設けられている。搬送ローラ50の下側には、搬送ローラ50に圧接するピンチローラ(不図示)が設けられている。搬送ローラ50は、第1搬送路22の幅方向(図3における紙面垂直方向)に渡って設けられている。ピンチローラは、第1搬送路22の幅方向に所定間隔で複数が設けられている。搬送ローラ50とピンチローラによって、第1搬送路22を搬送される記録用紙が挟持されてプラテン42上へ搬送される。
【0059】
第1搬送路22における記録部24よりも下流側に、排紙ローラ51及び拍車52が設けられている。拍車52は、排紙ローラ51の上側に設けられており、排紙ローラ51に圧接されている。排紙ローラ51は、第1搬送路22の幅方向に渡って設けられている。拍車52は、第1搬送路22の幅方向に所定間隔で複数が設けられている。画像が記録された記録用紙は、排紙ローラ51及び拍車52に挟持されて、第1搬送路22の下流側部位45へ搬送される。
【0060】
搬送ローラ50及び排紙ローラ51は、不図示のモータを駆動源として駆動される。搬送ローラ50及び排紙ローラ51の駆動は同期されており、画像記録時において間欠駆動され、画像記録の前後においては連続駆動される。これによって、記録用紙は、記録部24へ到達するまでは第1搬送路22を所定の速度で搬送され、記録部24へ到達すると所定の改行幅で間欠して搬送される。記録用紙の搬送が間欠された間に、キャリッジ40が往復移動されて、インクジェット記録ヘッド41によって記録用紙の所定位置に画像が記録される。
【0061】
<経路切換部72>
図2及び図3に示されるように、第1搬送路22における下流側部位45には、経路切換部72が設けられている。経路切換部72は、第1搬送路22を搬送された記録用紙を排紙トレイ21又は第2搬送路23へ送るものである。この経路切換部72は、スイッチバックローラ53、拍車54、フレーム55、及び拍車56を有して構成されている。
【0062】
図3に示されるように、第1搬送路22における下流側部位45の直下流側には、スイッチバックローラ53及び拍車54が設けられている。拍車54は、スイッチバックローラ53の上側に設けられており、スイッチバックローラ53に圧接されている。スイッチバックローラ53は、第1搬送路22の幅方向に渡って設けられている。拍車54は、第1搬送路22の幅方向に所定間隔で複数が配置されている。第1搬送路22を搬送された記録用紙は、スイッチバックローラ53及び拍車54によって排紙トレイ21へ排出される。また、第1搬送路22を搬送された記録用紙は、スイッチバックローラ53及び拍車54によって第2搬送路23をスイッチバック搬送される。
【0063】
スイッチバックローラ53は、不図示のモータを駆動源として駆動される。スイッチバックローラ53は正逆双方向へ回転可能である。スイッチバックローラ53の回転方向は、モータの正逆転により制御される。なお、モータからスイッチバックローラ53への駆動伝達過程において、ギヤ列の切換によって、一定方向のモータの回転をスイッチバックローラ53の双方向の回転として伝達するようにしてもよい。スイッチバックローラ53の「正転」及び「逆転」は相対的なものであるが、本実施形態では、記録用紙を排紙トレイ21側へ送る回転が「正転」と称され、記録用紙を第2搬送路23へ送る回転が「逆転」と称される。
【0064】
拍車54は、フレーム55に支持されて、スイッチバックローラ53に対して接離可能にスライドされる。図2及び図3には詳細に示されていないが、拍車54は、その回転軸がコイルバネによって弾性付勢されて、常にスイッチバックローラ53に圧接されている。したがって、スイッチバックローラ53が回転されると、それに従動して拍車54も回転する。コイルバネによって拍車54に付与される弾性付勢力が、スイッチバックローラ53及び拍車54による記録用紙のニップ力である。スイッチバックローラ53及び拍車54は、画像記録直後の記録用紙を挟持するので、これらによるニップ力は比較的弱く設定されている。したがって、スイッチバックローラ53及び拍車54に挟持された状態で記録用紙に外力が付与されると、記録用紙の剛性(腰)にニップ力が負けて、記録用紙は容易に姿勢変化される。つまり、記録用紙に外力が付与されると、記録用紙がスイッチバックローラ53及び拍車54に対して滑りうる。
【0065】
図4は、経路切換部72の拡大断面図であり、フレーム55が水平姿勢に維持された状態を示す。図5は、経路切換部72の拡大断面図であり、フレーム55が回動姿勢に維持された状態を示す。
【0066】
図4及び図5に示されるように、経路切換部72は、フレーム55及び拍車56を備える。フレーム55には、上述のスイッチバックローラ53が回転自在に支持されている。フレーム55は、スイッチバックローラ53から搬送方向上流側(図4及び図5における左側)へ延出されて下流側部位45へ至る。フレーム55の延出端に拍車56が回転自在に支持されて、拍車56が下流側部位45に配置されている。フレーム55は、第1搬送路22の幅方向(図4及び図5における紙面垂直方向)に延出されている。拍車56は、第1搬送路22の幅方向に所定間隔で複数が配置されている。
【0067】
フレーム55は、スイッチバックローラ53の回転軸を中心として、延出端側(図4及び図5における左側)が回転可能に構成されている。フレーム55には、モータの駆動力が伝達されて、所定の回転位置に姿勢変化される。この回転位置は、後述される水平姿勢及び回動姿勢である。フレーム55の基端側に支持された拍車54、及びフレーム55の延出端に支持された拍車56は、フレーム55とともスイッチバックローラ53の回転軸周りに回転される。
【0068】
図4に示されるように、水平姿勢に維持されたフレーム55は、スイッチバックローラ53から水平方向へ、その延出端を延ばす。水平姿勢において、スイッチバックローラ53と拍車54とのニップ位置を通過する拍車56の接線57は、搬送ローラ50及びピンチローラによるニップ位置と、排紙ローラ51及び拍車52によるニップ位置とを結ぶ直線と一致する。つまり、記録用紙65は、搬送ローラ50及びピンチローラ、並びに排紙ローラ51及び拍車52にそれぞれ挟持されて接線57に沿って搬送される。そして、接線57に沿って搬送される記録用紙65は、拍車56の最下部を通過して、スイッチバックローラ53及び拍車54に挟持される。つまり、水平姿勢のフレーム55によって、記録用紙65が排紙トレイ21側へ案内される。
【0069】
図5に示されるように、回動姿勢に維持されたフレーム55は、スイッチバックローラ53から斜め下方へ、その延出端を延ばす。フレーム55が水平姿勢から回動姿勢へ姿勢変化することにより、フレーム55とともに、拍車54,56がスイッチバックローラ53の回転軸周りに回転する。記録用紙65は、その後端62が拍車56によって接線59方向へ案内される。ここで、接線59は、スイッチバックローラ53と拍車54とのニップ位置を通過する拍車56の接線である。回動姿勢のフレーム55によって、記録用紙65が第2搬送路23を通過できる方向へ案内される。この記録用紙65は、スイッチバックローラ53及び拍車54によって第2搬送路23に沿ってスイッチバック搬送される。
【0070】
図4及び図5に示されるように、スイッチバックローラ53及び拍車54より搬送方向下流側(図4及び図5における右側)に拍車60が設けられている。拍車60は、第1搬送路22の幅方向に所定間隔で複数が設けられている。拍車60は、その最下部が拍車54の最下部より上側となる位置に配置されている。したがって、図4に示されるように、水平姿勢のフレーム55によって接線57に沿って搬送される記録用紙65は、拍車60とは接触しない。
【0071】
記録用紙65は、フレーム55が回動姿勢に維持された状態でスイッチバックローラ53によって接線59に沿ってスイッチバック搬送される。この記録用紙65は、その剛性によって、スイッチバックローラ53及び拍車54による挟持位置より排紙トレイ21側(図4及び図5における右側)の部分を、接線59に沿って上側へ持ち上げようとする。この場合に、図5に示されるように、記録用紙65の当該部分に拍車60が接触する。記録用紙65は、拍車60と接触することにより撓んで、スイッチバックローラ53に巻き付けられる。これにより、記録用紙65の剛性がスイッチバックローラ53への圧接力として作用する。
【0072】
<給紙カセット70>
図6は、給紙カセット70の斜視図である。図7は、給紙トレイ20の構成を示す斜視図である。
【0073】
図6に示されるように、給紙カセット70は、全体として薄肉の直方体形状に形成されており、給紙トレイ20及び排紙トレイ21を備える。給紙トレイ20及び排紙トレイ21は、排紙トレイ21を給紙トレイ20の上側として上下二段となるように配置されている。給紙カセット70は、開口13を通じて装置本体35に対して挿抜される。給紙トレイ20及び排紙トレイ21は、給紙カセット70として一体的に構成されている。このため、装置本体35に対する給紙トレイ20の挿抜に併せて排紙トレイ21も挿抜される。
【0074】
給紙カセット70が装置本体35に装着される。これにより、アーム26及び給紙ローラ25の下方に給紙トレイ20が配置される(図6参照)。アーム26の基軸28は、その軸方向が第1方向94(本発明における第1方向に相当する)となるように装置本体35内のフレーム(不図示)に回動可能に設けられている。ここで、第1方向94は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の搬送方向90と略直交する水平な方向である。基軸28は、不図示のモータを駆動源として軸方向周りに回転される。基軸28の回転が動力伝達機構27を介して給紙ローラ25へ伝達され、給紙ローラ25が回転駆動される。基軸28には、径方向及び軸方向に延びる多数のリブが設けられている。これにより、基軸28は、高いねじり剛性及び曲げ剛性が確保されている。図7に示されるように、給紙トレイ20には、幅方向(第1方向94)の中央に後述の摩擦部材104が設けられている。給紙カセット70は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態で装置本体35に装着される。この場合、アーム26が給紙トレイ20側へ回動し、給紙ローラ25が摩擦部材104に当接される。
【0075】
<排紙トレイ21>
排紙トレイ21は、給紙カセット70の幅方向(第1方向94)を軸方向として、給紙トレイ20に対して上側へ回動可能に構成されている。給紙トレイ20に対して排紙トレイ21が起立されることにより、給紙トレイ20の上面が開放される。すなわち、給紙トレイ20への記録用紙の補充が可能となる。給紙トレイ20に対して排紙トレイ21が倒伏されることにより、給紙トレイ20の上面が排紙トレイ21に覆われる。後述されるが、給紙トレイ20には、トレイ本体102に対して搬送方向90及び引出方向92へスライド可能な拡張トレイ114(図7参照)が設けられている。給紙トレイ20に対して排紙トレイ21が倒伏されると、排紙トレイ21の後端部75が拡張トレイ114の後端部78に下方から支持され、排紙トレイ21の側壁106が給紙トレイ20の側壁123に下方から支持される。この状態で、排紙トレイ21は、画像が記録された記録用紙を保持するとともに給紙トレイ20の蓋として機能する。これにより、給紙トレイ20への紙粉やゴミの進入が防止される。なお、図6に示されるように、給紙トレイ20の奥側における上方は、給紙ローラ25やアーム26が配置されるために開放されている。
【0076】
<給紙トレイ20>
図7に示されるように、給紙トレイ20は、平面視で搬送方向90及び引出方向92に長い矩形の皿状に概ね形成されている。給紙トレイ20は、トレイ本体102及び拡張トレイ114を有する。給紙トレイ20は、トレイ本体102に対して拡張トレイ114が搬送方向90及び引出方向92へスライド可能に構成されている。図7には、トレイ本体102に対して拡張トレイ114が搬送方向90へ押し込まれた状態が示されている。ここで、搬送方向90は、給紙トレイ20上の記録用紙が第1搬送路22へ供給される方向である。この搬送方向90は、給紙トレイ20が装置本体35の開口13(図1参照)内へ押し込まれる方向と略同じ方向である。引出方向92は、給紙トレイ20が装置本体35から引き出される方向である。
【0077】
拡張トレイ114は、必要に応じてトレイ本体102に対して搬送方向90又は引出方向92へスライドされる。これにより、給紙トレイ20のシート積載面が拡張又は縮小され、給紙トレイ20に各種サイズの記録用紙を収容することができる。本実施形態においては、日本工業規格に規定される各種サイズの記録用紙が給紙トレイ20に載置される。各種サイズとしては、A4サイズ、B5サイズ、A5サイズ、はがきサイズ、写真L判サイズ等が挙げられる。したがって、本実施形態においては、給紙トレイ20に載置可能な記録用紙の最大サイズがA4サイズであり、給紙トレイ20に載置可能な記録用紙の最小サイズが写真L判サイズである。ただし、給紙トレイ20に載置可能な記録用紙の最大サイズ及び最小サイズはこれに限定されるものではない。給紙トレイ20は、例えば、写真L判サイズからA3サイズまでの各種サイズの記録用紙を載置可能なものであってもよい。
【0078】
図7に示されるように、トレイ本体102は、搬送方向90及び引出方向92に長い矩形状に形成されている。トレイ本体102は、底板84を有する。記録用紙は、この底板84に載置される。上述の傾斜板32は、トレイ本体102の先端74に設けられている。傾斜板32は、トレイ本体102の幅方向(第1方向94)に長い板状部材である。傾斜板32は、装置背面側(搬送方向90側)へ傾倒している。したがって、傾斜板32に記録用紙の先端が当接すると、その先端が傾斜板32の内側面77に沿って斜め上方へ案内される。すなわち、内側面77は、記録用紙を第1搬送路22(図3参照)へ案内するガイド面の役割を担う。
【0079】
図7に示されるように、第1方向94におけるトレイ本体102の中央に、摩擦部材104が設けられている。2つの給紙ローラ25(図6参照)は、アーム26が回動されることにより給紙トレイ20側へ移動される。これにより、給紙ローラ25は、摩擦部材104の直上に配置される。摩擦部材104は、記録用紙との摩擦係数が高い例えばコルクやゴム等からなる。記録用紙が載置された給紙トレイ20が装置本体35に装着されると、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接される。これにより、記録用紙は、摩擦部材104及び給紙ローラ25に挟み込まれる。摩擦部材104及び給紙ローラ25に挟まれた複数の記録用紙のうち、上位層の記録用紙には、搬送方向90への摩擦力が給紙ローラ25から付与される。これに対し、下位層の記録用紙には、摩擦部材104から引出方向92への摩擦力が給紙ローラ25から付与される。なお、本実施形態においては、アーム26に2つの給紙ローラ25が支持されている形態について説明されるが、給紙ローラ25は1つであってもよい。
【0080】
底板84には、底板84の幅方向(第1方向94)に沿って一対のガイド溝86,87が設けられている(図7参照)。ガイド溝86,87は、第1方向94に長い長方形のものであって、底板64を表面から裏面へ貫通した形状に形成されている。給紙トレイ20を搬送方向90の上流側から見て左側にガイド溝86が設けられており、右側にガイド溝87が設けられている。ガイド溝86及びガイド溝87は、第1方向94に隔てられている。
【0081】
図7に示されるように、底板84の幅方向中央位置にピニオンギヤ82が設けられている。ピニオンギヤ82は、ガイド溝86及びガイド溝87の中間位置に設けられている。ピニオンギヤ82は、底板84の裏面において後述のラックギヤ88,89が噛合される。
【0082】
<サイドガイド80,81>
トレイ本体102には、図7に示されるように、一対のサイドガイド80,81が設けられている。サイドガイド80は、トレイ本体102を搬送方向90の上流側から見て左側に配置されている。サイドガイド81(本発明における位置決め部材の一例、本発明におけるサイドガイドに相当する)は、トレイ本体102を搬送方向90の上流側から見て右側に配置されている。サイドガイド80,81は、例えばABS樹脂などの合成樹脂からなる。サイドガイド80,81は、第1方向94における縦断面が略L字形状に形成されたものである。サイドガイド80,81は、給紙トレイ20内を移動可能に構成されている。具体的には、サイドガイド80,81は、トレイ本体102の幅方向(第1方向94)へスライド可能に設けられている。サイドガイド80は、ガイド溝86に沿ってスライド可能に底板84に支持されている。サイドガイド81は、ガイド溝87に沿ってスライド可能に底板84に支持されている。
【0083】
サイドガイド80,81は、給紙トレイ20に対して記録用紙を位置決めするものである。サイドガイド80,81は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の第1方向94における端部に当接される。これにより、給紙トレイ20に載置された記録用紙の幅方向の位置がサイドガイド80,81によって規制される。サイドガイド80,81は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の幅方向(第1方向94)における中央位置を給紙トレイ20の基準位置(本実施形態では給紙トレイ20の幅方向の中央)に略一致させる。このように、記録用紙の幅方向の中央位置を基準位置に一致させるように記録用紙を規制することは、一般にセンターレジと呼ばれる。給紙トレイ20に載置された記録用紙は、サイドガイド80,81によって搬送方向90へ案内され、第1搬送路22へ供給される。
【0084】
トレイ本体102には、トレイ本体102の幅方向の両端に側壁122,123が設けられている。側壁122,123は、トレイ本体102の底板84から上方へ垂直に起立している。図7には、サイドガイド80の垂直壁128が側壁122に当接され、サイドガイド81の垂直壁118が側壁123に当接された状態が示されている。この状態において、給紙トレイ20には、A4サイズの記録用紙が載置される。サイドガイド80は、垂直壁128が側壁122から離間する第1方向94へスライドされる。サイドガイド81は、垂直壁118が側壁123から離間する第1方向94へスライドされる。これにより、給紙トレイ20に例えば写真L判サイズの記録用紙が載置された場合に、その記録用紙は、第1方向94におけるトレイ本体102の略中央に位置決めされる。
【0085】
図7に示されるように、サイドガイド81は、底壁117及び垂直壁118を備えている。底壁117は、トレイ本体102の底板84に平行に配置されるものである。記録用紙は、その幅方向の一端がこの底壁117に載置される。垂直壁118は、底壁117の幅方向外側の端縁から垂直に立設されている。図には表れていないが、記録用紙は、底壁117に載置された状態で、その幅方向の一端が垂直壁118の内側面に当接される。このように、サイドガイド81には、第1方向94における記録用紙の端部が当接される。
【0086】
垂直壁118には、レバー99が設けられている。レバー99は、サイドガイド81と一体に形成されており、同じ樹脂で構成されている。底板84の表面に、複数のスリット95が形成されている。各スリット95は、その長手方向が搬送方向90に一致するように形成されている。これらのスリット95は、第1方向へ並べられている。本実施形態では、図7に示されるように、複数のスリット95からなる2本のスリット群が形成されている。図には表れていないが、レバー99は、上記2本のスリット群に対応する位置に2つの爪が設けられている。これらの爪が2本のスリット群のいずれかのスリット95に挿入されることで、底板84に対してサイドガイド81が固定される。ユーザがレバー99を操作することにより、爪が持ち上げられる。これにより、爪がスリット95から抜き出されてサイドガイド81の固定が解除され、サイドガイド81がスライド可能となる。
【0087】
サイドガイド81には、底壁117から幅方向中央側へ延出されたラックギヤ89が設けられている。ラックギヤ89は、ガイド溝87を介して底板84の裏面側に配置され、上述のピニオンギヤ82に噛合されている。
【0088】
サイドガイド80は、レバー99及び後述のプレート136(本発明におけるプレートの一例)を有しない点を除いて、サイドガイド81と略対称な形状に形成されている。サイドガイド80は、サイドガイド81と同様に、底壁127及び垂直壁128を有する。記録用紙は、その幅方向の他端がこの底壁127に載置される。垂直壁128は、底壁127の幅方向外側の端縁から垂直に立設されている。図には表れていないが、記録用紙は、底壁127に載置された状態で、その幅方向の他端が垂直壁128の内側面に当接される。
【0089】
サイドガイド80には、ラックギヤ89と略同様に構成されたラックギヤ88が設けられている。ラックギヤ88は、ガイド溝86を介して底板84の裏面側に配置され、上述のピニオンギヤ82に噛合されている。
【0090】
サイドガイド80,81のうちいずれか一方が第1方向94へスライドされる。これに連動して、サイドガイド80,81のうちの他方が相反する方向へスライドされる。したがって、給紙トレイ20に載置された記録用紙の幅がサイドガイド80,81の離間距離よりも短い場合は、サイドガイド80,81の一方をスライドさせることにより、サイドガイド80,81が同時に移動される。これにより、記録用紙の幅方向の中央位置が上記基準位置に略一致する。
【0091】
なお、サイドガイド80,81は、その一方のみがスライド可能に構成されていてもよい。例えば、図9に示される位置に固定されたサイドガイド80に対してサイドガイド81がスライドされる、所謂サイドレジが採用されてもよい。記録用紙の第1方向94における中央が略一致される給紙トレイ20の基準位置が記録用紙のサイズに応じて変化する。
【0092】
<リヤガイド120>
トレイ本体102における第1方向94の中央に、リヤガイド120が設けられている。リヤガイド120は、給紙トレイ20に対して記録用紙を位置決めするものである。リヤガイド120は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の搬送方向90における上流側の端部に当接される。このため、給紙トレイ20に載置された記録用紙は、給紙トレイ20に対して引出方向92へ移動することがリヤガイド120によって規制される。
【0093】
リヤガイド120は、給紙トレイ20内を移動可能に構成されている。具体的には、リヤガイド120は、給紙トレイ20に対して搬送方向90及び引出方向92へスライド可能に構成されている。底板84には、搬送方向90及び引出方向92に長い溝97が形成されている。この溝97は、トレイ本体102の長手方向の略中央付近から後端まで延設されている。リヤガイド120は、この溝97に沿ってスライド可能にトレイ本体102に設けられている。
【0094】
第1方向94における溝97の両側には、複数のスリット85が形成されている。各スリット85は、その長手方向が溝97に直交する方向に一致する。図には示されていないが、リヤガイド120には、溝97を挟んだ両側のスリット85に挿抜される2つの爪が設けられている。また、リヤガイド120には、リヤガイド120と一体に形成されたレバー79が設けられている。レバー79は、リヤガイド120と一体に形成されており、同じ樹脂で構成されている。リヤガイド120の爪がいずれかのスリット85に挿入されることで、底板84に対してリヤガイド120が固定される。ユーザがレバー79を操作することにより、リヤガイド120の爪が持ち上げられる。これにより、爪がスリット85から抜き出されてリヤガイド120の固定が解除され、リヤガイド120がスライド可能となる。
【0095】
給紙トレイ20に記録用紙が載置された状態で、リヤガイド120が溝97に沿って搬送方向90へスライドされる。これにより、リヤガイド120が記録用紙の後端に当接する。その結果、記録用紙の搬送方向90における上流側の端部が揃えられるとともに、当該端部が記録用紙のサイズに応じた位置に規制される。記録用紙は、その搬送方向90における下流側の端部が、記録用紙のサイズに拘わらず給紙トレイ20内の傾斜板32に近接する所定位置に略一致される。
【0096】
図8は、図7におけるVIII部の拡大図である。図9は、トレイ本体102の平面図であり、サイドガイド80,81が給紙トレイ20に載置される最大サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置された状態を示す。図10は、サイドガイド81が第1方向94におけるトレイ本体102の中央へスライドされる様子を示す模式図である。なお、図9においては、トレイ本体102における引出方向92側の一部とリヤガイド120が省略されている。
【0097】
<プレート136>
図7〜図9に示されるように、サイドガイド81は、第1方向94におけるトレイ本体102の中央へ向けて底壁117からプレート136(本発明におけるプレートの一例)が延出されている。プレート136は、第1方向94を長手方向とする平板部材であり、底壁117と平行に設けられている。プレート136は、搬送方向90において摩擦部材104と略同じ位置に設けられている(図7及び図9参照)。給紙トレイ20に載置された記録用紙は、その側壁123側の端部が底壁117及びプレート136に載置される。すなわち、プレート136は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の下面の一部に当接される。記録用紙は、側壁123側の端部が底壁117及びプレート136に下方から支持される。
【0098】
<凹部141,142>
図8に示されるように、プレート136の上面側には、凹部141,142(本発明における凹部の一例)が形成されている。凹部141,142は、プレート136における記録用紙との当接面138(図8及び図9参照)から下方へ凹むようにプレート136に形成されている(図10参照)。後述のクリーニング部材131,132(本発明におけるクリーニング部材の一例)は、凹部141,142にそれぞれ収容される。
【0099】
後述されるが、第1方向94におけるトレイ本体102の中央へサイドガイド81がスライドされることにより、クリーニング部材131又はクリーニング部材132が2つの給紙ローラ25の直下に配置される(図10(C)及び(D)参照)。凹部141は、2つの給紙ローラ25のローラ面の一部が凹部141内へ進入して、クリーニング部材131に圧接可能な大きさに形成されている。また、凹部142は、2つの給紙ローラ25のローラ面の一部が凹部142内へ進入して、クリーニング部材132に圧接可能な大きさに形成されている。具体的には、図10(A)に示されるように、第1方向94における凹部141,142の幅L1が2つの給紙ローラ25の軸方向長さH1よりも幅広に設定されている。また、図には示されていないが、搬送方向90における凹部141,142の幅が、少なくとも給紙ローラ25のローラ面の一部が凹部141又は凹部142内へ進入可能な広さに設定されている。
【0100】
<クリーニング部材131,132>
図7〜図9に示されるように、サイドガイド81には2つのクリーニング部材131,132が設けられている。本実施形態においては、クリーニング部材131,132は、凹部141,142にそれぞれ収容されている(図10(A)参照)。クリーニング部材131,132は、2つの給紙ローラ25をクリーニングするものである。ここで、クリーニングとは、給紙ローラ25にクリーニング部材131又はクリーニング部材132を接触させた状態で給紙ローラ25を回転駆動させる動作である。これにより、給紙ローラ25に付着した紙粉、インク、ゴミ等がクリーニング部材131又はクリーニング部材132によって給紙ローラ25から除去される。なお、プリンタ部11がインクジェットプリンタではなくレーザプリンタである場合には、給紙ローラ25に付着したトナーを除去する動作も本発明のクリーニングに含まれる。この除去動作に使用されるクリーニング部材131,132としては、弾性変形が可能なものが好適に用いられる。クリーニング部材131,132としては、ゴム、ブラシ、フェルト等が挙げられるが、給紙ローラ25のローラ面の材質を考慮して適宜変更され得る。
【0101】
クリーニング部材131,132は、凹部141,142内に収容可能な大きさに構成されている。このため、クリーニング部材131は、当接面138よりも上方へ露出しないように凹部141に収容される。また、クリーニング部材132は、当接面138よりも上方へ露出しないように凹部142に収容される。このため、記録用紙が給紙トレイ20に載置された場合に、すなわち、記録用紙が当接面138に当接された場合に、記録用紙とクリーニング部材131,132とが互いに接触することがない。これにより、クリーニング部材131,132が給紙ローラ25から除去した紙粉、インク、ゴミ等が記録用紙に付着するすることが防止されている。
【0102】
次に、サイドガイド81のスライドに伴う給紙ローラ25とクリーニング部材131,132との位置関係について説明される。
【0103】
図11は、トレイ本体102の平面図であり、サイドガイド80,81が給紙トレイ20に載置される最小サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置された状態を示す。図12は、トレイ本体102の平面図であり、給紙ローラ25がクリーニング部材131に圧接される第2位置に配置された状態を示す。図13は、トレイ本体102の平面図であり、給紙ローラ25がクリーニング部材132に圧接される第2位置に配置された状態を示す。なお、図11〜図13においては、トレイ本体102における引出方向92側の一部とリヤガイド120が省略されている。
【0104】
サイドガイド80,81は、給紙トレイ20内を第1方向94へスライド可能に構成されている。サイドガイド81には、上述のようにプレート136にクリーニング部材131,132が設けられている。サイドガイド81は、第1方向94へスライドされることにより、第1位置と第2位置との間を移動される。第1位置(図9及び図11参照)は、給紙トレイ20に載置される記録用紙をそのサイズに応じた基準位置にサイドガイド81がサイドガイド80とともに保持する位置である。本実施形態における第1位置は、サイドガイド80,81が、給紙トレイ20に載置される記録用紙の幅方向の中央を第1方向94におけるトレイ本体102の略中央に位置決めする位置である。なお、第1位置は、給紙トレイ20に載置される記録用紙の各サイズに対応して複数の位置をとりうる。第2位置(図12及び図13参照)は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態で給紙トレイ20側へ移動された給紙ローラ25がクリーニング部材131又はクリーニング部材132に圧接される位置である。本実施形態においては、サイドガイド81に2つのクリーニング部材131,132が設けられているので、第2位置は、2つの位置をとりうる。
【0105】
<第1位置>
給紙トレイ20に載置可能な最大サイズ(本実施形態においてはA4サイズ)の記録用紙を画像記録に使用する使用する場合、サイドガイド80,81は、ユーザにより第1方向94におけるトレイ本体102の外側へ向けてスライドされる。サイドガイド80,81は、垂直壁128が側壁122に当接するとともに垂直壁118が側壁123に当接する位置(図9参照)までスライドされる。これにより、垂直壁128と垂直壁118との離間距離がAサイズの記録用紙の幅と略等しくなり、サイドガイド81は、給紙トレイ20に載置されるA4サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置される(図9及び図10(A)参照)。給紙トレイ20に載置されたA4サイズの記録用紙は、その幅方向の両端にサイドガイド80,81の垂直壁128,118が当接される。また、図9には示されていないが、リヤガイド120(図7参照)が搬送方向90における下流側へスライドされることにより、A4サイズの記録用紙の後端にリヤガイド120が当接される。これにより、A4サイズの記録用紙は、給紙トレイ20に対してA4サイズに応じた所定の基準位置に位置決めされる。給紙トレイ20は、このようにA4サイズの記録用紙が載置された状態で装置本体35に装着される。
【0106】
給紙トレイ20に載置可能な最小サイズ(本実施形態においては写真L判サイズ)の記録用紙を画像記録に使用する場合、サイドガイド80,81は、ユーザにより第1方向94におけるトレイ本体102の中央へ所定の位置までスライドされる(図9及び図11参照)。これにより、垂直壁128と垂直壁118との離間距離が写真L判サイズの記録用紙の幅と略等しくなり、サイドガイド81は、給紙トレイ20に載置される写真L判サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置される(図11及び図10(B)参照)。給紙トレイ20に載置された写真L判サイズの記録用紙は、その幅方向の両端にサイドガイド80,81の垂直壁128,118が当接される。また、図11には示されていないが、リヤガイド120(図7参照)が搬送方向90における下流側へスライドされることにより、写真L判サイズの記録用紙の後端にリヤガイド120が当接される。これにより、写真L判サイズの記録用紙は、給紙トレイ20に対して写真L判サイズに応じた所定の基準位置に位置決めされる。給紙トレイ20は、このように写真L判サイズの記録用紙が載置された状態で装置本体35に装着される。
【0107】
なお、本実施形態における第1位置は、サイドガイド81が給紙トレイ20に載置されたA4サイズ又は写真L判サイズの記録用紙を保持する位置に限定されるものではない。すなわち、ここでの第1位置は、サイドガイド81が給紙トレイ20に載置された他のサイズ(例えば、はがきサイズ)の記録用紙を保持する位置であってもよい。
【0108】
<第2位置>
サイドガイド80,81は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態において、ユーザにより第1方向94におけるトレイ本体102の中央へ向けてスライドされる。図12及び図10(C)に示されるように、サイドガイド80,81は、クリーニング部材131がトレイ本体102の幅方向の中央(摩擦部材104の直上)に配置される位置に配置される。給紙トレイ20は、この状態で記録用紙が載置されることなく装置本体35に装着される。給紙トレイ20に記録用紙が載置されていないので、アーム26(図6参照)が給紙トレイ20側へ回動される。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材131に圧接された状態となる(図10(C)参照)。このように、クリーニング部材131が摩擦部材104の直上に配置される位置までサイドガイド81がスライドされた後、給紙トレイ20が装置本体35に装着される。その結果、サイドガイド81は、給紙ローラ25がクリーニング部材131に圧接される第2位置に配置される。本実施形態においては、クリーニング部材131がゴムで形成されているので、給紙ローラ25にクリーニング部材131が密着する。
【0109】
サイドガイド80,81は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態において、ユーザにより第1方向94におけるトレイ本体102の中央へ向けてスライドされる。図13及び図10(D)に示されるように、サイドガイド80,81は、クリーニング部材132がトレイ本体102の幅方向の中央(摩擦部材104の直上)に配置される位置に配置される。給紙トレイ20は、この状態で記録用紙が載置されることなく装置本体35に装着される。給紙トレイ20に記録用紙が載置されていないので、アーム26(図6参照)が給紙トレイ20側へ回動される。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材132に圧接された状態となる(図10(C)参照)。このように、クリーニング部材132が摩擦部材104の直上に配置される位置までサイドガイド81をスライドされた後、給紙トレイ20が装置本体35に装着される。その結果、サイドガイド81は、給紙ローラ25がクリーニング部材132に圧接される第2位置に配置される。本実施形態においては、クリーニング部材132がゴムで形成されているので、給紙ローラ25にクリーニング部材132が密着する。
【0110】
<画像記録>
給紙トレイ20は、サイドガイド81が第1位置に配置された状態で記録用紙が載置される。これにより、記録用紙は、給紙トレイ20に対してその記録用紙のサイズに応じた基準位置に位置決めされる。この給紙トレイ20は、開口13(図1参照)を通じて装置本体35に装着される。給紙トレイ20に記録用紙が載置されているので、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接される。操作パネル14からのユーザの所定操作に基づいて印刷開始が指示されると、給紙ローラ25が回転駆動される。これにより、給紙トレイ20上の記録用紙が矢印17(図3参照)の方向に第1搬送路22へ供給される。給紙トレイ20から第1搬送路22へ供給された記録用紙65は、搬送ローラ50とピンチローラ、及び排紙ローラ51と拍車52によって第1搬送路22に沿って搬送される。この記録用紙65は、その搬送過程で記録部24によって一方の面(記録面64)に画像が記録される。
【0111】
印刷設定が片面記録に設定されている場合、経路切換部72のフレーム55が水平姿勢に維持された状態(図4参照)でスイッチバックローラ53が正転される。これにより、記録面64に画像が記録された記録用紙65は、第1搬送路22から排紙トレイ21へ排出される。
【0112】
印刷設定が両面記録に設定されている場合、フレーム55が水平姿勢に維持された状態でスイッチバックローラ53が正転される。これにより、上述のように記録面64に画像が記録された記録用紙65は、排紙トレイ21側(図4における右側)へ送られる。そして、この記録用紙65の後端62が拍車56よりも上流側の規定位置に到達したとき(図4に示される状態)に、フレーム55が水平姿勢から回動姿勢へ姿勢変化される(図4及び図5参照)。記録用紙65の後端62は、拍車56によって下側へ押圧され、第2搬送路23側へ向けられる(図5参照)。
【0113】
スイッチバックローラ53が逆転されることにより、記録用紙65は搬送方向が変えられて、第2搬送路23に沿ってスイッチバック搬送される。この記録用紙65は、第2搬送路23から給紙トレイ20へ送られる。具体的には、記録用紙65は、給紙トレイ20に載置された最上位置の記録用紙と給紙ローラ25との間(以下、「当接位置」とも称される。)へ送られる。記録用紙65の後端62が当接位置に到達すると、給紙ローラ25が回転駆動されて記録用紙65が記録部24の上流側(上流側部位46)へ送られる。これにより、記録用紙65は表裏反転される。すなわち、記録用紙65がプラテン42上へ搬送された際に記録面64とは反対側の面がインクジェット記録ヘッド41と対向する。記録用紙65は、プラテン42上を通過する際に他方の面(記録面64の反対側の面)に画像が記録される。記録用紙65が第2搬送路23から第1搬送路22へ送られると、経路切換部72のアーム55が回動姿勢から水平姿勢へ姿勢変化される。両面に画像が記録された記録用紙65は、スイッチバックローラ53が正転されることにより第1搬送路22から排紙トレイ21へ排出される。
【0114】
プリンタ部11では、給紙トレイ20から第1搬送路22へ記録用紙を供給するために、給紙トレイ20上の記録用紙に給紙ローラ25が圧接された状態で回転駆動される。このため、給紙ローラ25には、記録用紙上の紙粉やゴミが付着する。また、プリンタ部11において両面記録が行われる場合、記録面64(図4及び図5参照)に画像が記録された記録用紙65は、第1搬送路22へ再送される際に記録面64に給紙ローラ25が圧接される。記録面64は、上述のように、記録部24によってインクが付着された記録用紙65の一方の面である。インクが充分に乾燥していない状態で記録用紙65が第1搬送路22へ再送されると、記録用紙65上のインクが給紙ローラ25に付着することがある。このように、給紙ローラ25には、紙粉、ゴミ、インク等が付着する。その結果、給紙トレイ20から第1搬送路22への記録用紙の供給不良が生じる場合がある。
【0115】
本実施形態における複合機10では、サイドガイド81を第1方向94におけるトレイ本体102の中央へスライドさせた後に給紙トレイ20を装置本体35に装着するという簡単な操作で給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる。なお、複合機10では、クリーニング部材131が汚れてクリーニング効果が低下した場合に、クリーニング部材132を使用して給紙ローラ25をクリーニングすることができる。
【0116】
<クリーニング>
給紙ローラ25のクリーニングは、以下の要領で行われる。
【0117】
給紙トレイ20から第1搬送路22へ記録用紙が正しく搬送されない場合、給紙トレイ20がユーザによって装置本体35から引き抜かれる。ユーザは、給紙トレイ20から記録用紙を取り出す。ユーザは、クリーニング部材131が摩擦部材104の直上に配置されるようにサイドガイド80,81をスライドさせた後、給紙トレイ20を装置本体35に装着する。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材131に圧接され、給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる(図10(C)参照)。この状態で操作パネル14から所定操作が行われることにより、給紙ローラ25が回転駆動される。クリーニング部材131が密着した状態で給紙ローラ25が回転駆動されるので、給紙ローラ25に付着している紙粉、インク、ゴミ等がクリーニング部材131によって給紙ローラ25から除去される。
【0118】
クリーニング部材131を繰り返し使用することによりクリーニング部材131が汚れる。このため、クリーニング部材131によって給紙ローラ25をクリーニングしても給紙トレイ20から第1搬送路22へ記録用紙が正しく搬送されないことがある。ユーザは、給紙トレイ20から記録用紙を取り出す。ユーザは、クリーニング部材132が摩擦部材104の直上に配置されるようにサイドガイド80,81をスライドさせた後、給紙トレイ20を装置本体35に装着する。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材132に圧接され、給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる(図10(D)参照)。これにより、クリーニング部材131を使用した場合と同様に、給紙ローラ25をクリーニングすることができる。
【0119】
<第1実施形態の作用効果>
以上説明したように、給紙トレイ20は、ユーザによってサイドガイド81が第2位置(図12に示される位置、又は図13に示される位置)へ移動された後に装置本体35に装着される。これにより、給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる。このため、ユーザがクリーニング部材を例えば給紙トレイ20に設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成で給紙ローラ25をクリーニングすることができる。
【0120】
なお、第2位置は、給紙トレイ20に載置可能な最小サイズ(本実施形態においては写真L判サイズ)の記録用紙に対応する第1位置(図11参照)よりも基準位置(第1方向94におけるトレイ本体102の中央)側の位置(図12及び図13参照)である。ユーザは、サイドガイド80,81が図12に示される位置、又は図13に示される位置に配置された状態では、給紙トレイ20に記録用紙を載置することができない。このため、クリーニング部材131又はクリーニング部材132がクリーニング位置(摩擦部材104の直上)に配置されているにも拘わらず給紙ローラ25をクリーニングすることができないといった問題が生じることが防止される。
【0121】
クリーニング部材131,132は、クリーニング部材131,132における給紙ローラ25との接触面に比べて、サイドガイド81のスライド方向である第1方向94へ長いものである。具体的には、図10(A)に示されるように、第1方向94におけるクリーニング部材の131,132の長さL1+L1が2つの給紙ローラ25の軸方向長さH1よりも長い。本実施形態においては、軸方向長さH1が長さL1よりも長く設定されている。このため、サイドガイド81が移動されることにより、クリーニング部材における給紙ローラ25との接触面の位置が変更される。本実施形態においては、給紙ローラ25がクリーニング部材131又はクリーニング部材132に接触される。第1方向94におけるクリーニング部材の長さが接触面の長さと略等しい場合に比べて、クリーニング部材をより繰り返し使用することができる。その結果、クリーニング部材の交換頻度を低減させることができ、ユーザの手間が一層低減される。なお、本実施形態においては、本発明のクリーニング部材が2つのクリーニング部材131,132によって構成されているが、クリーニング部材は1つであってもよい。
【0122】
本実施形態においては、図10に示されるように、クリーニング部材131が凹部141に収容され、クリーニング部材132が凹部142に収容されている。このため、クリーニング部材131,132が給紙ローラ25から除去した紙粉、インク、ゴミ等が給紙トレイ20に載置された記録用紙に付着することが簡単に防止される。ただし、クリーニング部材131,132は、当接面138上に設けられていてもよい。この場合、底板84に接する記録用紙がクリーニング部材131,132に汚されることが考えられる。したがって、クリーニング部材131,132を被覆するシート部材を給紙トレイ20内に設けることが好ましい。
【0123】
また、本実施形態においては、クリーニング部材131,132が弾性変形可能なものであるため、サイドガイド81が第1位置から第2位置へ移動された際に、クリーニング部材131又はクリーニング部材132に給紙ローラ25が密着する。これにより、クリーニング部材131,132が弾性変形しない材質のものである場合に比べて、クリーニング効果が増大されている。ただし、クリーニング部材131,132は、弾性変形しない材料で構成されてもよい。この場合、給紙ローラ25表面の損傷を防止するために、給紙ローラ25を弾性変形可能に構成することが好ましい。
【0124】
また、本実施形態においては、本発明におけるクリーニング部材がサイドガイド81のみに設けられているが、クリーニング部材は、サイドガイド80にも設けられていてもよい。例えば、トレイ本体102の中央へ向けて底壁127からプレートを延設し、このプレートにクリーニング部材132を設けるようにしてもよい。
【0125】
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態が説明される。第2実施形態に係る複合機10は、トレイ本体102の構成が一部異なるほかは、第1実施形態と同様の構成である。このため、トレイ本体102以外の構成の説明は省略される。なお、第1実施形態ではサイドガイド81(図12参照)が本発明の位置決め部材として機能したのに対し、第2実施形態ではリヤガイド140(本発明におけるリヤガイドに相当する、図14参照)が本発明の位置決め部材として機能する。
【0126】
図14は、リヤガイド140がトレイ本体102に対して搬送方向90へスライドされる様子を示すトレイ本体102の模式図である。
【0127】
第2実施形態におけるトレイ本体102は、以下の点で第1実施形態におけるトレイ本体102と相違する。すなわち、本実施形態においては、サイドガイド81にプレート136が設けられていない。また、リヤガイド120(図7参照)に代えてリヤガイド140(図14参照)がトレイ本体102に設けられており、このリヤガイド140にクリーニング部材100(本発明のクリーニング部材の一例)が設けられている。
【0128】
<リヤガイド140>
トレイ本体102には、トレイ本体102における第1方向94(図14における紙面垂直方向)の中央に、リヤガイド140が設けられている。リヤガイド140は、リヤガイド120と同様に、溝97(図7参照)に沿って給紙トレイ20に対して搬送方向90及び引出方向92へスライド可能に構成されている。リヤガイド140は、給紙トレイ20に対して記録用紙を位置決めするものである。リヤガイド140は、リヤガイド120と同様に、給紙トレイ20に載置された記録用紙の搬送方向90における上流側の端部に当接される。これにより、記録用紙は、トレイ本体102の後端側(引出方向92側)への移動がリヤガイド140によって規制される。このリヤガイド140は、クリーニング部材100を支持するプレート146を有する点でリヤガイド120と相違する。
【0129】
給紙トレイ20に記録用紙が載置された状態で、溝97に沿ってリヤガイド140が搬送方向90へスライドされる。これにより、リヤガイド140が記録用紙の後端に当接する。その結果、記録用紙の後端が揃えられるとともに、後端が記録用紙のサイズに応じた位置に規制される。記録用紙は、その先端が記録用紙のサイズに拘わらず給紙トレイ20内の傾斜板32に近接する所定位置に位置決めされる。すなわち、リヤガイド140は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の搬送方向90における下流側の端部を給紙トレイ20の基準位置に一致させるものである。
【0130】
図14(A)に示されるように、リヤガイド140は、プレート146(本発明におけるプレートの一例)及び垂直壁134を有する。プレート146は、トレイ本体102の底板84に平行に配置される平板部材である。このプレート146は、第1方向94(図14の紙面垂直方向)におけるトレイ本体102の略中央に配置されている。プレート146は、第1方向94の幅が2つの給紙ローラ25の軸方向長さH1(図10参照)よりも広く設定されている。給紙トレイ20に載置された記録用紙は、引出方向92側の端部がこのプレート146に載置される。これにより、記録用紙の下面の一部にプレート146が当接される。垂直壁134は、プレート146の引出方向92側の端縁から垂直に立設されている。図には表れていないが、記録用紙は、プレート146に載置された状態で、引出方向92側の一端が垂直壁134の内側面に当接される。このように、リヤガイド140には、記録用紙の引出方向92側の端部が当接される。
【0131】
<凹部144>
プレート146には、後述のクリーニング部材100が設けられている。プレート146の上面側には、凹部144が形成されている。凹部144は、プレート146における記録用紙との当接面116から下方へ凹むようにプレート146に形成されている。クリーニング部材100は、当接面116よりも上側へ露出されないように凹部144に収容されている。凹部144は、リヤガイド140がトレイ本体102に対して搬送方向90へスライドされることにより、摩擦部材104の直上に配置される(図14(C)及び(D)参照)。これにより、凹部144に収容されているクリーニング部材100に給紙ローラ25が圧接される。
【0132】
<クリーニング部材100>
クリーニング部材100は、クリーニング部材131,132と同様に、給紙ローラ25をクリーニングするものである。クリーニング部材100は、凹部141,142に代えて凹部144に収容されている点を除いて、クリーニング部材131,132と同様のものである。クリーニング部材100は、クリーニング部材100における給紙ローラ25との接触面に比べて搬送方向90に長いものである。具体的には、図14(A)及び(C)に示されるように、クリーニング部材100は、搬送方向90の長さL2がクリーニング部材100における給紙ローラ25との接触面の搬送方向90長さH2よりも長く設定されている。
【0133】
<凸部149>
図14に示されるように、プレート146の裏面には凸部149が設けられている。凸部149は、第1方向94(図14の紙面垂直方向)におけるプレート146の略中央に設けられている。すなわち、凸部149は、第1方向94において溝97(図7参照)と略同じ位置に設けられている。リヤガイド140は、凸部149が溝97内に配置された状態で搬送方向90又は引出方向92へスライドされる。凸部149は、プレート146の裏面から垂直方向下方へ延びる垂直壁130を有する。垂直壁130は、凸部149における搬送方向90の下流側(図14における左側)に設けられている。垂直壁130は、後述のストッパ148(図14参照)に当接される面である。
【0134】
<ストッパ148>
図14に示されるように、トレイ本体102は、第1方向94(図14の紙面垂直方向)における底板84の略中央にストッパ148(本発明におけるストッパの一例)が設けられている。このストッパ148は、底板84に形成された溝97(図7参照)における搬送方向90側の端部を構成するものである。ストッパ148は、搬送方向90及び引出方向92において凸部149と対向する位置に設けられている。
【0135】
次に、リヤガイド140のスライドに伴う給紙ローラ25とクリーニング部材100との位置関係について説明される。
【0136】
リヤガイド140は、給紙トレイ20内を搬送方向90及び引出方向92へスライド可能に構成されている。リヤガイド140には、上述のようにプレート146にクリーニング部材100が設けられている。リヤガイド140は、搬送方向90又は引出方向92へスライドされることにより、第1位置と第2位置との間を移動される。第1位置(図14(A)及び(B)参照)は、リヤガイド140が給紙トレイ20に載置される記録用紙をそのサイズに応じた基準位置に保持する位置である。本実施形態における第1位置は、リヤガイド140が、給紙トレイ20に載置される記録用紙の搬送方向90の下流側端部を傾斜板32付近の所定位置に位置決めする位置である。なお、第1位置は、給紙トレイ20に載置される記録用紙の各サイズに対応して複数の位置をとりうる。第2位置(図14(C)及び(D)参照)は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態で給紙トレイ20側へ移動された給紙ローラ25がクリーニング部材100に圧接される位置である。本実施形態においては、クリーニング部材100における給紙ローラ25との接触面に比べてクリーニング部材100が搬送方向90に長いので、第2位置は、少なくとも2つの位置をとりうる。
【0137】
<第1位置>
給紙トレイ20に載置可能な最大サイズ(本実施形態においてはA4サイズ)の記録用紙を画像記録に使用する使用する場合、リヤガイド140は、図7に示されるリヤガイド120と略同じ位置へ搬送方向90又は引出方向92へスライドされる。これにより、傾斜板32付近の基準位置とリヤガイド140の垂直壁134との離間距離がA4サイズの記録用紙の長さと略等しくなる。すなわち、リヤガイド140は、給紙トレイ20に載置されるA4サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置される(図14(A)参照)。これにより、A4サイズの記録用紙は、給紙トレイ20に対してA4サイズに応じた所定の基準位置に位置決めされる。給紙トレイ20は、このようにA4サイズの記録用紙が載置された状態で装置本体35に装着される。なお、サイドガイド80,81による記録用紙の位置決めは、第1実施形態と同様に行われるので、ここでの説明は省略される。
【0138】
給紙トレイ20に載置可能な最小サイズ(本実施形態においては写真L判サイズ)の記録用紙を画像記録に使用する場合、リヤガイド140は、ユーザにより搬送方向90へ所定の位置までスライドされる(図14(A)及び(B)参照)。これにより、傾斜板32付近の基準位置とリヤガイド140の垂直壁134との離間距離が写真L判サイズの記録用紙の長さと略等しくなる。すなわち、リヤガイド140は、給紙トレイ20に載置される写真L判サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置される(図14(B)参照)。これにより、写真L判サイズの記録用紙は、給紙トレイ20に対して写真L判サイズに応じた所定の基準位置に位置決めされる。給紙トレイ20は、このように写真L判サイズの記録用紙が載置された状態で装置本体35に装着される。
【0139】
なお、本実施形態における第1位置は、リヤガイド140が給紙トレイ20に載置されたA4サイズ又は写真L判サイズの記録用紙を保持する位置に限定されるものではない。すなわち、ここでの第1位置は、リヤガイド140が給紙トレイ20に載置された他のサイズ(例えば、はがきサイズ)の記録用紙を保持する位置であってもよい。
【0140】
<第2位置>
リヤガイド140は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態において、ユーザにより搬送方向90へスライドされる。図14(A)〜(C)に示されるように、リヤガイド140は、クリーニング部材100が摩擦部材104の直上に配置される位置までスライドされる。給紙トレイ20は、この状態で記録用紙が載置されることなく装置本体35に装着される。給紙トレイ20に記録用紙が載置されていないので、アーム26(図6参照)が給紙トレイ20側へ回動される。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材100に圧接された状態となる(図14(C)参照)。このように、クリーニング部材100が摩擦部材104の直上に配置される位置までリヤガイド140がスライドされた後、給紙トレイ20が装置本体35に装着される。その結果、リヤガイド140は、給紙ローラ25がクリーニング部材100に圧接される第2位置に配置される。本実施形態においては、クリーニング部材100がゴムで形成されているので、給紙ローラ25にクリーニング部材100が密着する。
【0141】
本実施形態における複合機10では、リヤガイド140をトレイ本体102に対して搬送方向90へスライドさせた後に給紙トレイ20を装置本体35に装着するという簡単な操作で給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる。
【0142】
<クリーニング>
給紙ローラ25のクリーニングは、以下の要領で行われる。
【0143】
給紙トレイ20から第1搬送路22へ記録用紙が正しく搬送されない場合、給紙トレイ20がユーザによって装置本体35から引き抜かれる。ユーザは、給紙トレイ20から記録用紙を取り出す。ユーザは、クリーニング部材100が摩擦部材104の直上に配置されるようにリヤガイド140を搬送方向90へスライドさせた後、給紙トレイ20を装置本体35に装着する。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材100に圧接され、給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる(図14(C)参照)。この状態で操作パネル14から所定操作が行われることにより、給紙ローラ25が回転駆動される。クリーニング部材100が密着した状態で給紙ローラ25が回転駆動されるので、給紙ローラ25に付着している紙粉、インク、ゴミ等がクリーニング部材100によって給紙ローラ25から除去される。
【0144】
クリーニング部材100は、給紙ローラ25が圧接された状態で回転駆動されるので、第1搬送路22へ送り出される方向へ外力が作用する。このため、リヤガイド140を搬送方向90へ移動させる方向へリヤガイド140に力が作用する。搬送方向90における凸部149の下流側(図14における左側)には、ストッパ148が設けられている。給紙ローラ25をクリーニングする場合、リヤガイド140は、搬送方向90における上流側(図14における右側)から下流側(図14における左側)へスライドされる。換言すれば、リヤガイド140は、第1位置(図14(A)又は(B)参照)から第2位置(図14(C)又は(D)参照)へ移動される。これにより、凸部149の垂直壁130がストッパ148に当接する(図14(D)参照)。これにより、トレイ本体102に対してリヤガイド140が制止される。このため、給紙ローラ25が回転駆動された際に、給紙ローラ25がクリーニング部材100に圧接された状態が維持される。すなわち、リヤガイド140が第2位置に配置された状態が維持される。
【0145】
<第2実施形態の作用効果>
以上説明したように、給紙トレイ20に対して記録用紙を位置決めするリヤガイド140を第2位置(図14(C)及び(D)参照)へ移動させることにより、給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる。このため、ユーザがクリーニング部材を例えば給紙トレイ20に設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成で給紙ローラ25をクリーニングすることができる。
【0146】
本実施形態におけるリヤガイド140の第2位置は、給紙トレイ20に載置可能な最小サイズの記録用紙に対応する第1位置(図14(B)参照)よりも傾斜板32付近に設定された基準位置側の位置(図14(C)及び(D)参照)である。リヤガイド140が第2位置に配置された状態では、給紙トレイ20に記録用紙を載置することができない。このため、クリーニング部材100がクリーニング位置に配置されているにも拘わらず給紙トレイ20に記録用紙が載置されているために給紙ローラ25をクリーニングすることができないといった問題が生じることが防止される。
【0147】
図14(C)及び(D)に示されるように、リヤガイド140が移動されることにより、クリーニング部材100における給紙ローラ25との接触面の位置が変更される。搬送方向90におけるクリーニング部材100の長さが接触面の長さと略等しい場合に比べて、クリーニング部材100をより繰り返し使用することができる。
【0148】
また、図14(D)に示されるように、リヤガイド140は、第2位置に配置された状態で凸部149がストッパ148に当接する。このため、第1位置側から第2位置側へ移動されたリヤガイド140の移動が第2位置において規制され、リヤガイド140が第2位置に確実に配置される。また、給紙ローラ25が回転駆動されてクリーニングされる際に、クリーニング部材100を支持するリヤガイド140の搬送方向90への移動がストッパ148によって防止される。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。
【図2】図2は、複合機10のプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
【図3】図3は、プリンタ部11の主要部を示す拡大断面図である。
【図4】図4は、経路切換部72の拡大断面図であり、フレーム55が水平姿勢に維持された状態を示す。
【図5】図5は、経路切換部72の拡大断面図であり、フレーム55が回動姿勢に維持された状態を示す。
【図6】図6は、給紙カセット70の斜視図である。
【図7】図7は、給紙トレイ20の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7におけるVIII部の拡大図である。
【図9】図9は、トレイ本体102の平面図であり、サイドガイド80,81が給紙トレイ20に載置される最大サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置された状態を示す。
【図10】図10は、サイドガイド81が第1方向94におけるトレイ本体102の中央へスライドされる様子を示す模式図である。
【図11】図11は、トレイ本体102の平面図であり、サイドガイド80,81が給紙トレイ20に載置される最小サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置された状態を示す。
【図12】図12は、トレイ本体102の平面図であり、給紙ローラ25がクリーニング部材131に圧接される第2位置に配置された状態を示す。
【図13】図13は、トレイ本体102の平面図であり、給紙ローラ25がクリーニング部材132に圧接される第2位置に配置された状態を示す。
【図14】図14は、リヤガイド140がトレイ本体102に対して搬送方向90へスライドされる様子を示す模式図である。
【符号の説明】
【0150】
10・・・複合機
11・・・プリンタ部(本発明の画像記録装置の一例)
20・・・給紙トレイ(本発明の第1トレイの一例)
21・・・排紙トレイ(本発明の第2トレイの一例)
22・・・第1搬送路
23・・・第2搬送路
24・・・記録部
25・・・給紙ローラ(本発明のローラの一例)
65・・・記録用紙(本発明のシートの一例)
72・・・経路切換部
80・・・サイドガイド
81・・・サイドガイド(本発明の位置決め部材の一例、本発明のサイドガイドに相当)
90・・・搬送方向
94・・・第1方向
100・・・クリーニング部材
116,138・・・当接面
131,132・・・クリーニング部材
136,146・・・プレート
138・・・当接面
140・・・リヤガイド(本発明の位置決め部材の一例、本発明のリヤガイドに相当)
141,142,144・・・凹部
148・・・ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに収容されたシートを搬送し、その搬送過程でシートに画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置では、トレイに収容された記録用紙に対してローラが圧接され、この状態でローラが回転駆動される。これにより、記録用紙がトレイから所定の搬送路へ供給される。記録用紙は、この搬送路に沿って搬送される過程においてインクやトナーが付着される。これにより、記録用紙に所望の画像が形成される。上述のように、ローラが記録用紙に圧接された状態で回転駆動されるので、ローラには紙粉や記録用紙上のゴミ等が付着する。ローラに紙粉やゴミ等が付着した場合、記録用紙のジャムや供給不良が発生するという問題がある。従来の画像記録装置には、これらの問題を解決するために、ローラをクリーニングする手段が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のプリンタは、トレイに着脱自在な清掃シートを有する。清掃シートは、台紙にフック及びスポンジ状の清掃布が設けられたものである。清掃シートは、フックによりトレイ内に固定される。トレイは、清掃シートが固定され且つ記録用紙が載置されていない状態でプリンタ本体に装着される。これにより、ローラが清掃布に接触される。この状態で給紙ボタンが押下されると、ローラが回転駆動されてローラの表面が清掃布によって清掃される。
【0004】
【特許文献1】特開平5−92641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のプリンタでは、ローラの清掃前に、トレイから記録用紙などのシートを取り出してトレイに清掃シートを固定し、そのトレイをプリンタに装着する作業が必要である。また、ローラの清掃後には、トレイから清掃シートを取り外して保管する作業が必要である。このように、上記プリンタでは、ローラの清掃前後にユーザが面倒な作業を行う必要があった。
【0006】
また、トレイの形状及びローラの配置に応じて清掃シートを構成する必要がある。このため、プリンタ全体としての構成が複雑になり、結果としてプリンタのコストがかさむという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、ユーザがクリーニング部材を設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成でローラをクリーニングすることができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、シートが載置される第1トレイと、上記第1トレイ内を移動可能に構成され、当該第1トレイに対して上記シートを位置決めする位置決め部材と、上記第1トレイから供給されたシートが搬送される第1搬送路と、上記第1トレイに対して接離する方向へ移動可能に構成され、上記第1トレイ上のシートを上記第1搬送路へ供給するローラと、上記シートの搬送過程において当該シートに画像を記録する記録部と、上記位置決め部材に設けられ、上記ローラをクリーニングするクリーニング部材と、を備え、上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されるシートを保持する第1位置と、上記第1トレイにシートが載置されていない状態で上記第1トレイ側へ移動された上記ローラが上記クリーニング部材に圧接される第2位置と、の間を移動可能に構成されている。
【0009】
第1トレイには、画像記録に使用されるシートが載置される。この第1トレイには、位置決め部材が設けられている。位置決め部材は、第1トレイに載置されたシートを第1トレイに対して位置決めするものである。この位置決め部材は、第1トレイに載置されるシートのサイズに応じて第1トレイ内を移動可能に構成されている。
【0010】
本発明の画像記録装置では、印刷開始が指示されると、第1トレイから第1搬送路へシートが供給される。このシートは、第1搬送路に沿って搬送される過程において記録部によって画像が記録される。この画像記録は、シートにインクやトナーを付着させることにより行われる。第1トレイ上のシートは、当該シートに圧接されたローラが回転駆動されることにより第1搬送路へ供給される。このローラは、第1トレイに対して接離する方向へ移動可能に構成されている。例えば、所定の支点を中心として第1トレイに対して接離する方向へ回動可能なアームが設けられ、ローラは、このアームの先端側に回転可能に設けられる。
【0011】
上述の位置決め部材には、クリーニング部材が設けられている。このクリーニング部材は、ゴム、ブラシ、フェルト等で構成されている。位置決め部材は、第1位置と第2位置との間を移動可能に構成されている。シートは、位置決め部材が第1位置に配置された状態で第1トレイに載置される。これにより、シートが第1トレイに対して位置決めされる。位置決め部材は、第1トレイにシートが載置されていない状態で第2位置に配置される。第1トレイにシートが載置されていないので、ローラが第1トレイ側へ移動してクリーニング部材に圧接される。このように位置決め部材が第2位置に配置された状態でローラが回転駆動されることにより、クリーニング部材によってローラがクリーニングされる。ここで、クリーニングとは、ローラにクリーニング部材を接触させた状態で、ローラに付着した紙粉、インク、トナー、ゴミ等をローラから除去する動作である。上述のように、第1トレイに対してシートを位置決めする位置決め部材を第2位置へ移動させることにより、ローラのクリーニングが可能な状態となる。このため、ユーザがクリーニング部材を設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成でローラをクリーニングすることが可能となる。
【0012】
(2) 上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向における上流側の端部に当接されるリヤガイドであってもよい。
【0013】
シートは、リヤガイドが第1位置に配置された状態で第1トレイに載置される。これにより、シートは、その搬送方向における上流側の端部がリヤガイドに当接する。その結果、シートは、その先端がシートのサイズに拘わらず第1トレイ内の所定位置に位置決めされる。リヤガイドが第1位置から第2位置へ移動される。これにより、リヤガイドに設けられたクリーニング部材にローラが圧接され、ローラのクリーニングが可能な状態となる。
【0014】
(3) 上記クリーニング部材は、当該クリーニング部材における上記ローラとの接触面に比べて上記搬送方向に長いものであることが好ましい。
【0015】
リヤガイドが移動されることにより、クリーニング部材におけるローラとの接触面の位置が変更される。搬送方向におけるクリーニング部材の長さが接触面の長さと略等しい場合に比べて、クリーニング部材をより繰り返し使用することが可能となる。
【0016】
(4) 本発明の画像記録装置は、上記リヤガイドが上記第1位置から上記第2位置へ移動されることにより、当該リヤガイドと当接してこのリヤガイドの上記第2位置より上記搬送方向の下流側への移動を制止するストッパを備えていてもよい。
【0017】
リヤガイドは、第2位置に配置された状態でストッパに当接する。このため、第1位置側から第2位置側へ移動されたリヤガイドが制止され、リヤガイドが第2位置に確実に配置される。また、ローラが回転駆動されてクリーニングされる際に、クリーニング部材を支持するリヤガイドの搬送方向下流側への移動がストッパによって防止される。
【0018】
(5) 上記リヤガイドは、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向における下流側の端部を当該第1トレイの基準位置に略一致させるものであって、上記第2位置は、上記第1トレイに載置可能な最小サイズのシートに対応する上記第1位置よりも上記下流側の位置であることが好ましい。
【0019】
リヤガイドが第2位置に配置された状態では、第1トレイにシートを載置することができない。このため、クリーニング部材がクリーニング位置に配置されているにも拘わらず第1トレイにシートが載置されているためにローラをクリーニングすることができないといった問題が生じることが防止される。
【0020】
(6) 上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向と略直交する水平な第1方向における当該シートの端部に当接されるサイドガイドであってもよい。
【0021】
シートは、サイドガイドが第1位置に配置された状態で第1トレイに載置される。これにより、シートは、第1方向における端部がサイドガイドに当接する。その結果、シートは、その幅方向の位置がシートのサイズに拘わらず第1トレイ内の所定位置に位置決めされる。サイドガイドが第1位置から第2位置へ移動される。これにより、サイドガイドに設けられたクリーニング部材にローラが圧接され、ローラのクリーニングが可能な状態となる。
【0022】
(7) 上記クリーニング部材は、当該クリーニング部材における上記ローラとの接触面に比べて上記第1方向に長いものであることが好ましい。
【0023】
サイドガイドが移動されることにより、クリーニング部材におけるローラとの接触面の位置が変更される。第1方向におけるクリーニング部材の長さが接触面の長さと略等しい場合に比べて、クリーニング部材をより繰り返し使用することが可能となる。
【0024】
(8) 上記サイドガイドは、上記第1トレイに載置されたシートの上記第1方向における中央位置を当該第1トレイの基準位置に略一致させるものであって、上記第2位置は、上記第1トレイに載置可能な最小サイズのシートに対応する上記第1位置よりも上記基準位置側の位置であってもよい。
【0025】
サイドガイドが第2位置に配置された状態では、第1トレイにシートを載置することができない。このため、クリーニング部材がクリーニング位置に配置されているにも拘わらず第1トレイにシートが載置されているためにローラをクリーニングすることができないといった問題が生じることが防止される。
【0026】
(9) 上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されたシートの下面の一部に当接されるプレートと、上記プレートにおけるシートの当接面から凹むように当該プレートに形成された凹部と、を有し、上記クリーニング部材は、上記凹部に収容されていてもよい。
【0027】
クリーニング部材は、位置決め部材のプレートに形成された凹部に収容されている。このため、クリーニング部材がローラから除去した紙粉、インク、トナー、ゴミ等が、第1トレイに載置されたシートに付着することが防止される。
【0028】
(10) 上記クリーニング部材は、弾性変形が可能なものであることが好ましい。
【0029】
上記構成により、位置決め部材が第1位置から第2位置へ移動された際に、クリーニング部材がローラに密着し、その結果、クリーニング効果が増大される。
【0030】
(11) 本発明の画像記録装置は、上記第1搬送路及び上記第1トレイに連結されて、上記第1搬送路を搬送されたシートがスイッチバック搬送される第2搬送路と、上記第1搬送路を搬送されたシートが排出される第2トレイと、上記第1搬送路を搬送されたシートを上記第2トレイ又は上記第2搬送路へ送る経路切換部と、を備えていてもよい。
【0031】
第1搬送路へ供給されたシートは、その搬送過程で記録部によって一方の面に画像が記録される。このシートは、片面記録が設定されている場合、経路切換部によって第2トレイに排出される。一方、両面記録が設定されている場合、シートは、経路切換部によって第2搬送路へ送られる。このシートは、第2搬送路に沿ってスイッチバック搬送されて第1トレイへ供給される。シートは、ローラが回転駆動されることにより第1搬送路へ再送される。シートは、その搬送過程において記録部によって他方の面に画像が記録される。このように両面に画像が記録されたシートは、経路切換部によって第1搬送路から第2トレイに排出される。
【0032】
一方の面に画像が記録されたシートは、第1搬送路へ再送される際に記録面にローラが圧接される。記録面とは、記録部によってインクやトナーが付着されたシートの一方の面である。インクやトナーが充分に乾燥していない状態でシートが第1搬送路へ再送されると、シート上のインクやトナーがローラに付着することがある。位置決め部材が第1位置から第2位置へ移動された状態で、ローラが回転駆動される。これによりローラがクリーニングされ、ローラに付着したインクやトナーがローラから除去される。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、第1トレイに対してシートを位置決めする位置決め部材を第2位置へ移動させることにより、ローラのクリーニングが可能な状態となる。このため、ユーザがクリーニング部材を設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成でローラをクリーニングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、適宜図面が参照されて、本発明の好ましい実施形態が説明される。なお、本実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更され得る。
【0035】
[第1実施形態]
まず、本発明の画像記録装置の第1実施形態に係る複合機10の構成及び動作が説明される。
【0036】
<複合機10の概略構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。図2は、複合機10のプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。なお、図2においては、給紙トレイ20(本発明における第1トレイの一例)の一部及び排紙トレイ21(本発明における第2トレイの一例)が省略されている。
【0037】
図1に示されるように、複合機10は、プリンタ部11及びスキャナ部12を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。本発明に係る画像記録装置は、複合機10のプリンタ部11として実施されている。したがって、プリント機能以外の機能は任意のものである。なお、本実施形態においては、プリンタ部11が画像記録にインクを使用するインクジェットプリンタである形態について説明される。ただし、プリンタ部11は、画像記録にトナーを使用するレーザプリンタであってもよい。
【0038】
複合機10は、主にコンピュータ等の外部情報装置(不図示)と接続される。複合機10は、外部情報装置から受信した印刷データに基づいて記録用紙(本発明におけるシートの一例)に画像を記録する。また、複合機10は、スキャナ部12によって読み取られた原稿の画像データに基づいて記録用紙に画像を記録する。また、複合機10は、デジタルカメラ等が接続されて、デジタルカメラ等から出力される画像データに基づいて記録用紙に画像を記録する。また、複合機10は、メモリカード等の各種記憶媒体が装填されて、該記憶媒体に記憶された画像データ等に基づいて記録用紙に画像を記録する。
【0039】
図1に示されるように、複合機10は、高さより横幅及び奥行きが大きい幅広薄型の概ね直方体形状に形成されている。プリンタ部11は、その装置本体35の正面36側に開口13を有する。この開口13は、画像が記録されて開口13内に胴内排出された記録用紙をユーザが取り出すためのものである。この開口13内には、記録用紙を収容する給紙カセット70(図6参照)が配置される。給紙カセット70は、開口13を通じて装置本体35に対して挿抜される。なお、図1では給紙カセット70が省略されている。
【0040】
装置本体35の正面36の右下部には、扉38(図1参照)が開閉自在に設けられている。扉38の内側にはカートリッジ装着部66が設けられている。図1に示されるように扉38が開かれると、カートリッジ装着部66が装置本体35の正面36側に露出される。これにより、カートリッジ装着部66に対するインクカートリッジ68の挿抜が可能になる。インクカートリッジ68は、カートリッジ装着部66に装着されることにより、インクチューブを介してインクジェット記録ヘッド41(図3参照)と連結される。インクジェット記録ヘッド41は、インクカートリッジ68から供給されるインクを吐出して記録用紙に画像を記録する。
【0041】
複合機10の上部がスキャナ部12である。スキャナ部12は、フラットベッドスキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)、及び自動原稿搬送装置(ADF:Automatic Document Feeder)を有して構成されている。図1に示されるように、複合機10の天板として原稿カバー30が開閉自在に設けられている。ADFは、この原稿カバー30に設けられている。図には示されていないが、原稿カバー30の下側には、プラテンガラス及びイメージセンサが設けられている。スキャナ部12では、プラテンガラスに載置された原稿、又はADFにより搬送される原稿の画像がイメージセンサによって読み取られる。
【0042】
複合機10の正面上部には、操作パネル14が設けられている。操作パネル14は、各種情報を表示する液晶ディスプレイ、ユーザが情報を入力する入力キー等から構成される。なお、図1では、液晶ディスプレイや入力キー等が省略されている。複合機10は、この操作パネル14からの操作入力、又は外部情報装置から送信される情報に基づいて動作する。
【0043】
<プリンタ部11>
以下に、プリンタ部11の構成が詳細に説明される。
【0044】
図1に示されるように、プリンタ部11の正面36の中央に開口13が設けられている。給紙カセット70(図6参照)は、この開口13を通じて装置本体35に対して挿抜可能に設けられる。すなわち、給紙カセット70は、装置本体35に対して搬送方向90へ挿し込み可能、且つ装置本体35から引出方向92へ引き出し可能である。給紙カセット70は、給紙トレイ20及び排紙トレイ21を有して構成されている(図6参照)。給紙トレイ20には、画像記録に使用される記録用紙が載置される。排紙トレイ21には、画像が記録された記録用紙が排出される。搬送方向90は、給紙トレイ20に載置された記録用紙が第1搬送路22(本発明における第1搬送路の一例)へ供給される方向である。引出方向92は、装置本体35から給紙トレイ20が引き出される方向である。
【0045】
図2に示されるように、プリンタ部11は、給紙トレイ20、給紙ローラ25(本発明におけるローラの一例)、アーム26、及び動力伝達機構27を備えている。なお、図2においては、給紙トレイ20の一部、及び排紙トレイ21が省略されている。
【0046】
図3は、プリンタ部11の主要部を示す拡大断面図である。
【0047】
<給紙ローラ25>
図2及び図3に示されるように、給紙トレイ20の上側に給紙ローラ25が配置されている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上の記録用紙を第1搬送路22へ供給するものである。給紙トレイ20の上方にはアーム26が設けられている。給紙ローラ25は、このアーム26の先端側に回転可能に設けられている。給紙ローラ25は、不図示のモータを駆動源として動力伝達機構27を介して駆動伝達されて回転する。動力伝達機構27は複数のギヤを有し、これらが直列に噛合されることにより構成されている。
【0048】
<アーム26>
アーム26は、基軸28に支持されている。アーム26は、その基端部が基軸28に支持されている。これにより、アーム26は、基軸28を中心として給紙トレイ20に対して接離する方向へ回動可能である。これにより、給紙ローラ25は、給紙トレイ20に対して接離する方向へ移動可能に構成されている。アーム26は、アーム26及び給紙ローラ25の重量又はバネ等に付勢されて下側へ回動付勢されている。
【0049】
アーム26が下側へ回動付勢されることにより、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接される。この状態で給紙ローラ25が回転されると、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間に発生する摩擦力により、給紙トレイ20における最上位置の記録用紙が傾斜板32へ向けて送り出される。記録用紙の先端が傾斜板32に当接すると、記録用紙の束のうちの最上位置の1枚が捌かれて上方へ案内される。このようにして、記録用紙は、給紙トレイ20から第1搬送路22へ1枚ずつ供給される。
【0050】
なお、給紙ローラ25は、給紙トレイ20に対して接離する方向へ移動可能であれば、必ずしもアーム26に支持される必要はない。給紙ローラ25は、例えば給紙トレイ20に対して上下動可能なフレームに支持されていてもよい。
【0051】
<第1搬送路22>
傾斜板32の上方には、第1搬送路22が設けられている。第1搬送路22は、傾斜板32から上方へ向かった後、正面36側(図2における右側)へ横向きU字形状に曲がっている。第1搬送路22は、複合機10の背面側(図2における左側)から正面36側へと延び、記録部24(本発明における記録部の一例)を経て排紙トレイ21(図6参照)へ通じている。つまり、排紙トレイ21は、第1搬送路22における記録用紙の搬送方向下流側に配置されている。給紙トレイ20から供給された記録用紙は、第1搬送路22に沿って搬送される。記録用紙は、第1搬送路22に沿って下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に至り、記録部24によって画像が記録された後、排紙トレイ21に排出される。
【0052】
第1搬送路22は、記録部24等が配設されている箇所以外では、外側ガイド面と内側ガイド面とによって区画形成されている。例えば、複合機10の背面側の第1搬送路22の湾曲部分は、外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とが所定の間隔で対向配置されることにより構成されている。この場合、外側ガイド部材18が湾曲外側のガイド面を構成し、内側ガイド部材19が湾曲内側のガイド面を構成する。
【0053】
<記録部24>
図3に示されるように、記録部24は、第1搬送路22が複合機10の背面側から正面36側へ延びる途中に配置されている。記録部24は、第1搬送路22における記録用紙の搬送過程において記録用紙に画像を記録するものである。記録部24は、キャリッジ40、インクジェット記録ヘッド41、及びプラテン42を備えている。インクジェット記録ヘッド41は、キャリッジ40に搭載されている。キャリッジ40は、ガイドレール43,44に沿って記録用紙の幅方向(図3における紙面垂直方向)に往復移動される。図3には示されていないが、ガイドレール44には、モータを駆動源とするベルト駆動機構が設けられている。このようなベルト駆動機構は周知であるが、例えば、ガイドレール44の幅方向両端付近に駆動プーリ及び従動プーリがそれぞれ設けられ、この駆動プーリ及び従動プーリに無端環状の駆動ベルトが巻架されてなる。ベルト駆動機構の駆動ベルトにキャリッジ40が連結されることにより、モータの駆動がベルト駆動機構を介してキャリッジ40へ伝達され、キャリッジ40が往復移動する。
【0054】
第1搬送路22には、インクジェット記録ヘッド41と対向するプラテン42が設けられている。プラテン42は、第1搬送路22を搬送される記録用紙を下から支持する。プラテン42により、記録用紙がインクジェット記録ヘッド41と所定のヘッドギャップを有して支持される。複合機10の内部には、インクジェット記録ヘッド41と独立してインクカートリッジ68が配置されている(図1参照)。インクカートリッジ68に収容された各色インクは、インクチューブを通じてインクジェット記録ヘッド41へ供給される。キャリッジ40が往復移動される間に、インクジェット記録ヘッド41から各色インクが微小なインク滴としてプラテン42へ向けて選択的に吐出される。プラテン42上を搬送される記録用紙は、その搬送過程において記録部24によって画像が記録される。
【0055】
<第2搬送路23>
図3に示されるように、第2搬送路23(本発明における第2搬送路の一例)は、第1搬送路22及び給紙トレイ20に連結されている。詳細には、第2搬送路23の一端側が、第1搬送路22における記録部24の下流側(下流側部位45)と接続されている。また、第2搬送路23の他端側が、給紙トレイ20における給紙ローラ25より上流側(図3における右側)と接続されている。給紙トレイ20は、給紙ローラ25よりも下流側(図3における左側)が、傾斜板32を介して第1搬送路22と接続されている。このため、第2搬送路23は、給紙トレイ20を介して、第1搬送路22における記録部24の上流側(上流側部位46)と接続されている。第2搬送路23は、一方の面(記録面64:図4及び図5参照)に画像が記録されてスイッチバック搬送される記録用紙65を給紙トレイ20上へ導くものである。すなわち、第1搬送路22を搬送された記録用紙65がスイッチバック搬送されるものである。
【0056】
第2搬送路23は、所定の間隔で対向配置された一対の上側ガイド部材47と下側ガイド部材48とによって区画形成されている。上側ガイド部材47及び下側ガイド部材48は、第1搬送路22の下流側部位45から給紙ローラ25の上流側へ向かって、斜め下方へ延出されている。
【0057】
<搬送部15>
搬送部15は、第1搬送路22及び第2搬送路23に沿って記録用紙を搬送するものである。この搬送部15は、上述の給紙ローラ25、搬送ローラ50、排紙ローラ51、及び経路切換部72(本発明における経路切換部の一例)を有して構成されている。
【0058】
図2及び図3に示されるように、第1搬送路22における記録部24よりも上流側に、搬送ローラ50が設けられている。搬送ローラ50の下側には、搬送ローラ50に圧接するピンチローラ(不図示)が設けられている。搬送ローラ50は、第1搬送路22の幅方向(図3における紙面垂直方向)に渡って設けられている。ピンチローラは、第1搬送路22の幅方向に所定間隔で複数が設けられている。搬送ローラ50とピンチローラによって、第1搬送路22を搬送される記録用紙が挟持されてプラテン42上へ搬送される。
【0059】
第1搬送路22における記録部24よりも下流側に、排紙ローラ51及び拍車52が設けられている。拍車52は、排紙ローラ51の上側に設けられており、排紙ローラ51に圧接されている。排紙ローラ51は、第1搬送路22の幅方向に渡って設けられている。拍車52は、第1搬送路22の幅方向に所定間隔で複数が設けられている。画像が記録された記録用紙は、排紙ローラ51及び拍車52に挟持されて、第1搬送路22の下流側部位45へ搬送される。
【0060】
搬送ローラ50及び排紙ローラ51は、不図示のモータを駆動源として駆動される。搬送ローラ50及び排紙ローラ51の駆動は同期されており、画像記録時において間欠駆動され、画像記録の前後においては連続駆動される。これによって、記録用紙は、記録部24へ到達するまでは第1搬送路22を所定の速度で搬送され、記録部24へ到達すると所定の改行幅で間欠して搬送される。記録用紙の搬送が間欠された間に、キャリッジ40が往復移動されて、インクジェット記録ヘッド41によって記録用紙の所定位置に画像が記録される。
【0061】
<経路切換部72>
図2及び図3に示されるように、第1搬送路22における下流側部位45には、経路切換部72が設けられている。経路切換部72は、第1搬送路22を搬送された記録用紙を排紙トレイ21又は第2搬送路23へ送るものである。この経路切換部72は、スイッチバックローラ53、拍車54、フレーム55、及び拍車56を有して構成されている。
【0062】
図3に示されるように、第1搬送路22における下流側部位45の直下流側には、スイッチバックローラ53及び拍車54が設けられている。拍車54は、スイッチバックローラ53の上側に設けられており、スイッチバックローラ53に圧接されている。スイッチバックローラ53は、第1搬送路22の幅方向に渡って設けられている。拍車54は、第1搬送路22の幅方向に所定間隔で複数が配置されている。第1搬送路22を搬送された記録用紙は、スイッチバックローラ53及び拍車54によって排紙トレイ21へ排出される。また、第1搬送路22を搬送された記録用紙は、スイッチバックローラ53及び拍車54によって第2搬送路23をスイッチバック搬送される。
【0063】
スイッチバックローラ53は、不図示のモータを駆動源として駆動される。スイッチバックローラ53は正逆双方向へ回転可能である。スイッチバックローラ53の回転方向は、モータの正逆転により制御される。なお、モータからスイッチバックローラ53への駆動伝達過程において、ギヤ列の切換によって、一定方向のモータの回転をスイッチバックローラ53の双方向の回転として伝達するようにしてもよい。スイッチバックローラ53の「正転」及び「逆転」は相対的なものであるが、本実施形態では、記録用紙を排紙トレイ21側へ送る回転が「正転」と称され、記録用紙を第2搬送路23へ送る回転が「逆転」と称される。
【0064】
拍車54は、フレーム55に支持されて、スイッチバックローラ53に対して接離可能にスライドされる。図2及び図3には詳細に示されていないが、拍車54は、その回転軸がコイルバネによって弾性付勢されて、常にスイッチバックローラ53に圧接されている。したがって、スイッチバックローラ53が回転されると、それに従動して拍車54も回転する。コイルバネによって拍車54に付与される弾性付勢力が、スイッチバックローラ53及び拍車54による記録用紙のニップ力である。スイッチバックローラ53及び拍車54は、画像記録直後の記録用紙を挟持するので、これらによるニップ力は比較的弱く設定されている。したがって、スイッチバックローラ53及び拍車54に挟持された状態で記録用紙に外力が付与されると、記録用紙の剛性(腰)にニップ力が負けて、記録用紙は容易に姿勢変化される。つまり、記録用紙に外力が付与されると、記録用紙がスイッチバックローラ53及び拍車54に対して滑りうる。
【0065】
図4は、経路切換部72の拡大断面図であり、フレーム55が水平姿勢に維持された状態を示す。図5は、経路切換部72の拡大断面図であり、フレーム55が回動姿勢に維持された状態を示す。
【0066】
図4及び図5に示されるように、経路切換部72は、フレーム55及び拍車56を備える。フレーム55には、上述のスイッチバックローラ53が回転自在に支持されている。フレーム55は、スイッチバックローラ53から搬送方向上流側(図4及び図5における左側)へ延出されて下流側部位45へ至る。フレーム55の延出端に拍車56が回転自在に支持されて、拍車56が下流側部位45に配置されている。フレーム55は、第1搬送路22の幅方向(図4及び図5における紙面垂直方向)に延出されている。拍車56は、第1搬送路22の幅方向に所定間隔で複数が配置されている。
【0067】
フレーム55は、スイッチバックローラ53の回転軸を中心として、延出端側(図4及び図5における左側)が回転可能に構成されている。フレーム55には、モータの駆動力が伝達されて、所定の回転位置に姿勢変化される。この回転位置は、後述される水平姿勢及び回動姿勢である。フレーム55の基端側に支持された拍車54、及びフレーム55の延出端に支持された拍車56は、フレーム55とともスイッチバックローラ53の回転軸周りに回転される。
【0068】
図4に示されるように、水平姿勢に維持されたフレーム55は、スイッチバックローラ53から水平方向へ、その延出端を延ばす。水平姿勢において、スイッチバックローラ53と拍車54とのニップ位置を通過する拍車56の接線57は、搬送ローラ50及びピンチローラによるニップ位置と、排紙ローラ51及び拍車52によるニップ位置とを結ぶ直線と一致する。つまり、記録用紙65は、搬送ローラ50及びピンチローラ、並びに排紙ローラ51及び拍車52にそれぞれ挟持されて接線57に沿って搬送される。そして、接線57に沿って搬送される記録用紙65は、拍車56の最下部を通過して、スイッチバックローラ53及び拍車54に挟持される。つまり、水平姿勢のフレーム55によって、記録用紙65が排紙トレイ21側へ案内される。
【0069】
図5に示されるように、回動姿勢に維持されたフレーム55は、スイッチバックローラ53から斜め下方へ、その延出端を延ばす。フレーム55が水平姿勢から回動姿勢へ姿勢変化することにより、フレーム55とともに、拍車54,56がスイッチバックローラ53の回転軸周りに回転する。記録用紙65は、その後端62が拍車56によって接線59方向へ案内される。ここで、接線59は、スイッチバックローラ53と拍車54とのニップ位置を通過する拍車56の接線である。回動姿勢のフレーム55によって、記録用紙65が第2搬送路23を通過できる方向へ案内される。この記録用紙65は、スイッチバックローラ53及び拍車54によって第2搬送路23に沿ってスイッチバック搬送される。
【0070】
図4及び図5に示されるように、スイッチバックローラ53及び拍車54より搬送方向下流側(図4及び図5における右側)に拍車60が設けられている。拍車60は、第1搬送路22の幅方向に所定間隔で複数が設けられている。拍車60は、その最下部が拍車54の最下部より上側となる位置に配置されている。したがって、図4に示されるように、水平姿勢のフレーム55によって接線57に沿って搬送される記録用紙65は、拍車60とは接触しない。
【0071】
記録用紙65は、フレーム55が回動姿勢に維持された状態でスイッチバックローラ53によって接線59に沿ってスイッチバック搬送される。この記録用紙65は、その剛性によって、スイッチバックローラ53及び拍車54による挟持位置より排紙トレイ21側(図4及び図5における右側)の部分を、接線59に沿って上側へ持ち上げようとする。この場合に、図5に示されるように、記録用紙65の当該部分に拍車60が接触する。記録用紙65は、拍車60と接触することにより撓んで、スイッチバックローラ53に巻き付けられる。これにより、記録用紙65の剛性がスイッチバックローラ53への圧接力として作用する。
【0072】
<給紙カセット70>
図6は、給紙カセット70の斜視図である。図7は、給紙トレイ20の構成を示す斜視図である。
【0073】
図6に示されるように、給紙カセット70は、全体として薄肉の直方体形状に形成されており、給紙トレイ20及び排紙トレイ21を備える。給紙トレイ20及び排紙トレイ21は、排紙トレイ21を給紙トレイ20の上側として上下二段となるように配置されている。給紙カセット70は、開口13を通じて装置本体35に対して挿抜される。給紙トレイ20及び排紙トレイ21は、給紙カセット70として一体的に構成されている。このため、装置本体35に対する給紙トレイ20の挿抜に併せて排紙トレイ21も挿抜される。
【0074】
給紙カセット70が装置本体35に装着される。これにより、アーム26及び給紙ローラ25の下方に給紙トレイ20が配置される(図6参照)。アーム26の基軸28は、その軸方向が第1方向94(本発明における第1方向に相当する)となるように装置本体35内のフレーム(不図示)に回動可能に設けられている。ここで、第1方向94は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の搬送方向90と略直交する水平な方向である。基軸28は、不図示のモータを駆動源として軸方向周りに回転される。基軸28の回転が動力伝達機構27を介して給紙ローラ25へ伝達され、給紙ローラ25が回転駆動される。基軸28には、径方向及び軸方向に延びる多数のリブが設けられている。これにより、基軸28は、高いねじり剛性及び曲げ剛性が確保されている。図7に示されるように、給紙トレイ20には、幅方向(第1方向94)の中央に後述の摩擦部材104が設けられている。給紙カセット70は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態で装置本体35に装着される。この場合、アーム26が給紙トレイ20側へ回動し、給紙ローラ25が摩擦部材104に当接される。
【0075】
<排紙トレイ21>
排紙トレイ21は、給紙カセット70の幅方向(第1方向94)を軸方向として、給紙トレイ20に対して上側へ回動可能に構成されている。給紙トレイ20に対して排紙トレイ21が起立されることにより、給紙トレイ20の上面が開放される。すなわち、給紙トレイ20への記録用紙の補充が可能となる。給紙トレイ20に対して排紙トレイ21が倒伏されることにより、給紙トレイ20の上面が排紙トレイ21に覆われる。後述されるが、給紙トレイ20には、トレイ本体102に対して搬送方向90及び引出方向92へスライド可能な拡張トレイ114(図7参照)が設けられている。給紙トレイ20に対して排紙トレイ21が倒伏されると、排紙トレイ21の後端部75が拡張トレイ114の後端部78に下方から支持され、排紙トレイ21の側壁106が給紙トレイ20の側壁123に下方から支持される。この状態で、排紙トレイ21は、画像が記録された記録用紙を保持するとともに給紙トレイ20の蓋として機能する。これにより、給紙トレイ20への紙粉やゴミの進入が防止される。なお、図6に示されるように、給紙トレイ20の奥側における上方は、給紙ローラ25やアーム26が配置されるために開放されている。
【0076】
<給紙トレイ20>
図7に示されるように、給紙トレイ20は、平面視で搬送方向90及び引出方向92に長い矩形の皿状に概ね形成されている。給紙トレイ20は、トレイ本体102及び拡張トレイ114を有する。給紙トレイ20は、トレイ本体102に対して拡張トレイ114が搬送方向90及び引出方向92へスライド可能に構成されている。図7には、トレイ本体102に対して拡張トレイ114が搬送方向90へ押し込まれた状態が示されている。ここで、搬送方向90は、給紙トレイ20上の記録用紙が第1搬送路22へ供給される方向である。この搬送方向90は、給紙トレイ20が装置本体35の開口13(図1参照)内へ押し込まれる方向と略同じ方向である。引出方向92は、給紙トレイ20が装置本体35から引き出される方向である。
【0077】
拡張トレイ114は、必要に応じてトレイ本体102に対して搬送方向90又は引出方向92へスライドされる。これにより、給紙トレイ20のシート積載面が拡張又は縮小され、給紙トレイ20に各種サイズの記録用紙を収容することができる。本実施形態においては、日本工業規格に規定される各種サイズの記録用紙が給紙トレイ20に載置される。各種サイズとしては、A4サイズ、B5サイズ、A5サイズ、はがきサイズ、写真L判サイズ等が挙げられる。したがって、本実施形態においては、給紙トレイ20に載置可能な記録用紙の最大サイズがA4サイズであり、給紙トレイ20に載置可能な記録用紙の最小サイズが写真L判サイズである。ただし、給紙トレイ20に載置可能な記録用紙の最大サイズ及び最小サイズはこれに限定されるものではない。給紙トレイ20は、例えば、写真L判サイズからA3サイズまでの各種サイズの記録用紙を載置可能なものであってもよい。
【0078】
図7に示されるように、トレイ本体102は、搬送方向90及び引出方向92に長い矩形状に形成されている。トレイ本体102は、底板84を有する。記録用紙は、この底板84に載置される。上述の傾斜板32は、トレイ本体102の先端74に設けられている。傾斜板32は、トレイ本体102の幅方向(第1方向94)に長い板状部材である。傾斜板32は、装置背面側(搬送方向90側)へ傾倒している。したがって、傾斜板32に記録用紙の先端が当接すると、その先端が傾斜板32の内側面77に沿って斜め上方へ案内される。すなわち、内側面77は、記録用紙を第1搬送路22(図3参照)へ案内するガイド面の役割を担う。
【0079】
図7に示されるように、第1方向94におけるトレイ本体102の中央に、摩擦部材104が設けられている。2つの給紙ローラ25(図6参照)は、アーム26が回動されることにより給紙トレイ20側へ移動される。これにより、給紙ローラ25は、摩擦部材104の直上に配置される。摩擦部材104は、記録用紙との摩擦係数が高い例えばコルクやゴム等からなる。記録用紙が載置された給紙トレイ20が装置本体35に装着されると、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接される。これにより、記録用紙は、摩擦部材104及び給紙ローラ25に挟み込まれる。摩擦部材104及び給紙ローラ25に挟まれた複数の記録用紙のうち、上位層の記録用紙には、搬送方向90への摩擦力が給紙ローラ25から付与される。これに対し、下位層の記録用紙には、摩擦部材104から引出方向92への摩擦力が給紙ローラ25から付与される。なお、本実施形態においては、アーム26に2つの給紙ローラ25が支持されている形態について説明されるが、給紙ローラ25は1つであってもよい。
【0080】
底板84には、底板84の幅方向(第1方向94)に沿って一対のガイド溝86,87が設けられている(図7参照)。ガイド溝86,87は、第1方向94に長い長方形のものであって、底板64を表面から裏面へ貫通した形状に形成されている。給紙トレイ20を搬送方向90の上流側から見て左側にガイド溝86が設けられており、右側にガイド溝87が設けられている。ガイド溝86及びガイド溝87は、第1方向94に隔てられている。
【0081】
図7に示されるように、底板84の幅方向中央位置にピニオンギヤ82が設けられている。ピニオンギヤ82は、ガイド溝86及びガイド溝87の中間位置に設けられている。ピニオンギヤ82は、底板84の裏面において後述のラックギヤ88,89が噛合される。
【0082】
<サイドガイド80,81>
トレイ本体102には、図7に示されるように、一対のサイドガイド80,81が設けられている。サイドガイド80は、トレイ本体102を搬送方向90の上流側から見て左側に配置されている。サイドガイド81(本発明における位置決め部材の一例、本発明におけるサイドガイドに相当する)は、トレイ本体102を搬送方向90の上流側から見て右側に配置されている。サイドガイド80,81は、例えばABS樹脂などの合成樹脂からなる。サイドガイド80,81は、第1方向94における縦断面が略L字形状に形成されたものである。サイドガイド80,81は、給紙トレイ20内を移動可能に構成されている。具体的には、サイドガイド80,81は、トレイ本体102の幅方向(第1方向94)へスライド可能に設けられている。サイドガイド80は、ガイド溝86に沿ってスライド可能に底板84に支持されている。サイドガイド81は、ガイド溝87に沿ってスライド可能に底板84に支持されている。
【0083】
サイドガイド80,81は、給紙トレイ20に対して記録用紙を位置決めするものである。サイドガイド80,81は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の第1方向94における端部に当接される。これにより、給紙トレイ20に載置された記録用紙の幅方向の位置がサイドガイド80,81によって規制される。サイドガイド80,81は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の幅方向(第1方向94)における中央位置を給紙トレイ20の基準位置(本実施形態では給紙トレイ20の幅方向の中央)に略一致させる。このように、記録用紙の幅方向の中央位置を基準位置に一致させるように記録用紙を規制することは、一般にセンターレジと呼ばれる。給紙トレイ20に載置された記録用紙は、サイドガイド80,81によって搬送方向90へ案内され、第1搬送路22へ供給される。
【0084】
トレイ本体102には、トレイ本体102の幅方向の両端に側壁122,123が設けられている。側壁122,123は、トレイ本体102の底板84から上方へ垂直に起立している。図7には、サイドガイド80の垂直壁128が側壁122に当接され、サイドガイド81の垂直壁118が側壁123に当接された状態が示されている。この状態において、給紙トレイ20には、A4サイズの記録用紙が載置される。サイドガイド80は、垂直壁128が側壁122から離間する第1方向94へスライドされる。サイドガイド81は、垂直壁118が側壁123から離間する第1方向94へスライドされる。これにより、給紙トレイ20に例えば写真L判サイズの記録用紙が載置された場合に、その記録用紙は、第1方向94におけるトレイ本体102の略中央に位置決めされる。
【0085】
図7に示されるように、サイドガイド81は、底壁117及び垂直壁118を備えている。底壁117は、トレイ本体102の底板84に平行に配置されるものである。記録用紙は、その幅方向の一端がこの底壁117に載置される。垂直壁118は、底壁117の幅方向外側の端縁から垂直に立設されている。図には表れていないが、記録用紙は、底壁117に載置された状態で、その幅方向の一端が垂直壁118の内側面に当接される。このように、サイドガイド81には、第1方向94における記録用紙の端部が当接される。
【0086】
垂直壁118には、レバー99が設けられている。レバー99は、サイドガイド81と一体に形成されており、同じ樹脂で構成されている。底板84の表面に、複数のスリット95が形成されている。各スリット95は、その長手方向が搬送方向90に一致するように形成されている。これらのスリット95は、第1方向へ並べられている。本実施形態では、図7に示されるように、複数のスリット95からなる2本のスリット群が形成されている。図には表れていないが、レバー99は、上記2本のスリット群に対応する位置に2つの爪が設けられている。これらの爪が2本のスリット群のいずれかのスリット95に挿入されることで、底板84に対してサイドガイド81が固定される。ユーザがレバー99を操作することにより、爪が持ち上げられる。これにより、爪がスリット95から抜き出されてサイドガイド81の固定が解除され、サイドガイド81がスライド可能となる。
【0087】
サイドガイド81には、底壁117から幅方向中央側へ延出されたラックギヤ89が設けられている。ラックギヤ89は、ガイド溝87を介して底板84の裏面側に配置され、上述のピニオンギヤ82に噛合されている。
【0088】
サイドガイド80は、レバー99及び後述のプレート136(本発明におけるプレートの一例)を有しない点を除いて、サイドガイド81と略対称な形状に形成されている。サイドガイド80は、サイドガイド81と同様に、底壁127及び垂直壁128を有する。記録用紙は、その幅方向の他端がこの底壁127に載置される。垂直壁128は、底壁127の幅方向外側の端縁から垂直に立設されている。図には表れていないが、記録用紙は、底壁127に載置された状態で、その幅方向の他端が垂直壁128の内側面に当接される。
【0089】
サイドガイド80には、ラックギヤ89と略同様に構成されたラックギヤ88が設けられている。ラックギヤ88は、ガイド溝86を介して底板84の裏面側に配置され、上述のピニオンギヤ82に噛合されている。
【0090】
サイドガイド80,81のうちいずれか一方が第1方向94へスライドされる。これに連動して、サイドガイド80,81のうちの他方が相反する方向へスライドされる。したがって、給紙トレイ20に載置された記録用紙の幅がサイドガイド80,81の離間距離よりも短い場合は、サイドガイド80,81の一方をスライドさせることにより、サイドガイド80,81が同時に移動される。これにより、記録用紙の幅方向の中央位置が上記基準位置に略一致する。
【0091】
なお、サイドガイド80,81は、その一方のみがスライド可能に構成されていてもよい。例えば、図9に示される位置に固定されたサイドガイド80に対してサイドガイド81がスライドされる、所謂サイドレジが採用されてもよい。記録用紙の第1方向94における中央が略一致される給紙トレイ20の基準位置が記録用紙のサイズに応じて変化する。
【0092】
<リヤガイド120>
トレイ本体102における第1方向94の中央に、リヤガイド120が設けられている。リヤガイド120は、給紙トレイ20に対して記録用紙を位置決めするものである。リヤガイド120は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の搬送方向90における上流側の端部に当接される。このため、給紙トレイ20に載置された記録用紙は、給紙トレイ20に対して引出方向92へ移動することがリヤガイド120によって規制される。
【0093】
リヤガイド120は、給紙トレイ20内を移動可能に構成されている。具体的には、リヤガイド120は、給紙トレイ20に対して搬送方向90及び引出方向92へスライド可能に構成されている。底板84には、搬送方向90及び引出方向92に長い溝97が形成されている。この溝97は、トレイ本体102の長手方向の略中央付近から後端まで延設されている。リヤガイド120は、この溝97に沿ってスライド可能にトレイ本体102に設けられている。
【0094】
第1方向94における溝97の両側には、複数のスリット85が形成されている。各スリット85は、その長手方向が溝97に直交する方向に一致する。図には示されていないが、リヤガイド120には、溝97を挟んだ両側のスリット85に挿抜される2つの爪が設けられている。また、リヤガイド120には、リヤガイド120と一体に形成されたレバー79が設けられている。レバー79は、リヤガイド120と一体に形成されており、同じ樹脂で構成されている。リヤガイド120の爪がいずれかのスリット85に挿入されることで、底板84に対してリヤガイド120が固定される。ユーザがレバー79を操作することにより、リヤガイド120の爪が持ち上げられる。これにより、爪がスリット85から抜き出されてリヤガイド120の固定が解除され、リヤガイド120がスライド可能となる。
【0095】
給紙トレイ20に記録用紙が載置された状態で、リヤガイド120が溝97に沿って搬送方向90へスライドされる。これにより、リヤガイド120が記録用紙の後端に当接する。その結果、記録用紙の搬送方向90における上流側の端部が揃えられるとともに、当該端部が記録用紙のサイズに応じた位置に規制される。記録用紙は、その搬送方向90における下流側の端部が、記録用紙のサイズに拘わらず給紙トレイ20内の傾斜板32に近接する所定位置に略一致される。
【0096】
図8は、図7におけるVIII部の拡大図である。図9は、トレイ本体102の平面図であり、サイドガイド80,81が給紙トレイ20に載置される最大サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置された状態を示す。図10は、サイドガイド81が第1方向94におけるトレイ本体102の中央へスライドされる様子を示す模式図である。なお、図9においては、トレイ本体102における引出方向92側の一部とリヤガイド120が省略されている。
【0097】
<プレート136>
図7〜図9に示されるように、サイドガイド81は、第1方向94におけるトレイ本体102の中央へ向けて底壁117からプレート136(本発明におけるプレートの一例)が延出されている。プレート136は、第1方向94を長手方向とする平板部材であり、底壁117と平行に設けられている。プレート136は、搬送方向90において摩擦部材104と略同じ位置に設けられている(図7及び図9参照)。給紙トレイ20に載置された記録用紙は、その側壁123側の端部が底壁117及びプレート136に載置される。すなわち、プレート136は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の下面の一部に当接される。記録用紙は、側壁123側の端部が底壁117及びプレート136に下方から支持される。
【0098】
<凹部141,142>
図8に示されるように、プレート136の上面側には、凹部141,142(本発明における凹部の一例)が形成されている。凹部141,142は、プレート136における記録用紙との当接面138(図8及び図9参照)から下方へ凹むようにプレート136に形成されている(図10参照)。後述のクリーニング部材131,132(本発明におけるクリーニング部材の一例)は、凹部141,142にそれぞれ収容される。
【0099】
後述されるが、第1方向94におけるトレイ本体102の中央へサイドガイド81がスライドされることにより、クリーニング部材131又はクリーニング部材132が2つの給紙ローラ25の直下に配置される(図10(C)及び(D)参照)。凹部141は、2つの給紙ローラ25のローラ面の一部が凹部141内へ進入して、クリーニング部材131に圧接可能な大きさに形成されている。また、凹部142は、2つの給紙ローラ25のローラ面の一部が凹部142内へ進入して、クリーニング部材132に圧接可能な大きさに形成されている。具体的には、図10(A)に示されるように、第1方向94における凹部141,142の幅L1が2つの給紙ローラ25の軸方向長さH1よりも幅広に設定されている。また、図には示されていないが、搬送方向90における凹部141,142の幅が、少なくとも給紙ローラ25のローラ面の一部が凹部141又は凹部142内へ進入可能な広さに設定されている。
【0100】
<クリーニング部材131,132>
図7〜図9に示されるように、サイドガイド81には2つのクリーニング部材131,132が設けられている。本実施形態においては、クリーニング部材131,132は、凹部141,142にそれぞれ収容されている(図10(A)参照)。クリーニング部材131,132は、2つの給紙ローラ25をクリーニングするものである。ここで、クリーニングとは、給紙ローラ25にクリーニング部材131又はクリーニング部材132を接触させた状態で給紙ローラ25を回転駆動させる動作である。これにより、給紙ローラ25に付着した紙粉、インク、ゴミ等がクリーニング部材131又はクリーニング部材132によって給紙ローラ25から除去される。なお、プリンタ部11がインクジェットプリンタではなくレーザプリンタである場合には、給紙ローラ25に付着したトナーを除去する動作も本発明のクリーニングに含まれる。この除去動作に使用されるクリーニング部材131,132としては、弾性変形が可能なものが好適に用いられる。クリーニング部材131,132としては、ゴム、ブラシ、フェルト等が挙げられるが、給紙ローラ25のローラ面の材質を考慮して適宜変更され得る。
【0101】
クリーニング部材131,132は、凹部141,142内に収容可能な大きさに構成されている。このため、クリーニング部材131は、当接面138よりも上方へ露出しないように凹部141に収容される。また、クリーニング部材132は、当接面138よりも上方へ露出しないように凹部142に収容される。このため、記録用紙が給紙トレイ20に載置された場合に、すなわち、記録用紙が当接面138に当接された場合に、記録用紙とクリーニング部材131,132とが互いに接触することがない。これにより、クリーニング部材131,132が給紙ローラ25から除去した紙粉、インク、ゴミ等が記録用紙に付着するすることが防止されている。
【0102】
次に、サイドガイド81のスライドに伴う給紙ローラ25とクリーニング部材131,132との位置関係について説明される。
【0103】
図11は、トレイ本体102の平面図であり、サイドガイド80,81が給紙トレイ20に載置される最小サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置された状態を示す。図12は、トレイ本体102の平面図であり、給紙ローラ25がクリーニング部材131に圧接される第2位置に配置された状態を示す。図13は、トレイ本体102の平面図であり、給紙ローラ25がクリーニング部材132に圧接される第2位置に配置された状態を示す。なお、図11〜図13においては、トレイ本体102における引出方向92側の一部とリヤガイド120が省略されている。
【0104】
サイドガイド80,81は、給紙トレイ20内を第1方向94へスライド可能に構成されている。サイドガイド81には、上述のようにプレート136にクリーニング部材131,132が設けられている。サイドガイド81は、第1方向94へスライドされることにより、第1位置と第2位置との間を移動される。第1位置(図9及び図11参照)は、給紙トレイ20に載置される記録用紙をそのサイズに応じた基準位置にサイドガイド81がサイドガイド80とともに保持する位置である。本実施形態における第1位置は、サイドガイド80,81が、給紙トレイ20に載置される記録用紙の幅方向の中央を第1方向94におけるトレイ本体102の略中央に位置決めする位置である。なお、第1位置は、給紙トレイ20に載置される記録用紙の各サイズに対応して複数の位置をとりうる。第2位置(図12及び図13参照)は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態で給紙トレイ20側へ移動された給紙ローラ25がクリーニング部材131又はクリーニング部材132に圧接される位置である。本実施形態においては、サイドガイド81に2つのクリーニング部材131,132が設けられているので、第2位置は、2つの位置をとりうる。
【0105】
<第1位置>
給紙トレイ20に載置可能な最大サイズ(本実施形態においてはA4サイズ)の記録用紙を画像記録に使用する使用する場合、サイドガイド80,81は、ユーザにより第1方向94におけるトレイ本体102の外側へ向けてスライドされる。サイドガイド80,81は、垂直壁128が側壁122に当接するとともに垂直壁118が側壁123に当接する位置(図9参照)までスライドされる。これにより、垂直壁128と垂直壁118との離間距離がAサイズの記録用紙の幅と略等しくなり、サイドガイド81は、給紙トレイ20に載置されるA4サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置される(図9及び図10(A)参照)。給紙トレイ20に載置されたA4サイズの記録用紙は、その幅方向の両端にサイドガイド80,81の垂直壁128,118が当接される。また、図9には示されていないが、リヤガイド120(図7参照)が搬送方向90における下流側へスライドされることにより、A4サイズの記録用紙の後端にリヤガイド120が当接される。これにより、A4サイズの記録用紙は、給紙トレイ20に対してA4サイズに応じた所定の基準位置に位置決めされる。給紙トレイ20は、このようにA4サイズの記録用紙が載置された状態で装置本体35に装着される。
【0106】
給紙トレイ20に載置可能な最小サイズ(本実施形態においては写真L判サイズ)の記録用紙を画像記録に使用する場合、サイドガイド80,81は、ユーザにより第1方向94におけるトレイ本体102の中央へ所定の位置までスライドされる(図9及び図11参照)。これにより、垂直壁128と垂直壁118との離間距離が写真L判サイズの記録用紙の幅と略等しくなり、サイドガイド81は、給紙トレイ20に載置される写真L判サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置される(図11及び図10(B)参照)。給紙トレイ20に載置された写真L判サイズの記録用紙は、その幅方向の両端にサイドガイド80,81の垂直壁128,118が当接される。また、図11には示されていないが、リヤガイド120(図7参照)が搬送方向90における下流側へスライドされることにより、写真L判サイズの記録用紙の後端にリヤガイド120が当接される。これにより、写真L判サイズの記録用紙は、給紙トレイ20に対して写真L判サイズに応じた所定の基準位置に位置決めされる。給紙トレイ20は、このように写真L判サイズの記録用紙が載置された状態で装置本体35に装着される。
【0107】
なお、本実施形態における第1位置は、サイドガイド81が給紙トレイ20に載置されたA4サイズ又は写真L判サイズの記録用紙を保持する位置に限定されるものではない。すなわち、ここでの第1位置は、サイドガイド81が給紙トレイ20に載置された他のサイズ(例えば、はがきサイズ)の記録用紙を保持する位置であってもよい。
【0108】
<第2位置>
サイドガイド80,81は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態において、ユーザにより第1方向94におけるトレイ本体102の中央へ向けてスライドされる。図12及び図10(C)に示されるように、サイドガイド80,81は、クリーニング部材131がトレイ本体102の幅方向の中央(摩擦部材104の直上)に配置される位置に配置される。給紙トレイ20は、この状態で記録用紙が載置されることなく装置本体35に装着される。給紙トレイ20に記録用紙が載置されていないので、アーム26(図6参照)が給紙トレイ20側へ回動される。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材131に圧接された状態となる(図10(C)参照)。このように、クリーニング部材131が摩擦部材104の直上に配置される位置までサイドガイド81がスライドされた後、給紙トレイ20が装置本体35に装着される。その結果、サイドガイド81は、給紙ローラ25がクリーニング部材131に圧接される第2位置に配置される。本実施形態においては、クリーニング部材131がゴムで形成されているので、給紙ローラ25にクリーニング部材131が密着する。
【0109】
サイドガイド80,81は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態において、ユーザにより第1方向94におけるトレイ本体102の中央へ向けてスライドされる。図13及び図10(D)に示されるように、サイドガイド80,81は、クリーニング部材132がトレイ本体102の幅方向の中央(摩擦部材104の直上)に配置される位置に配置される。給紙トレイ20は、この状態で記録用紙が載置されることなく装置本体35に装着される。給紙トレイ20に記録用紙が載置されていないので、アーム26(図6参照)が給紙トレイ20側へ回動される。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材132に圧接された状態となる(図10(C)参照)。このように、クリーニング部材132が摩擦部材104の直上に配置される位置までサイドガイド81をスライドされた後、給紙トレイ20が装置本体35に装着される。その結果、サイドガイド81は、給紙ローラ25がクリーニング部材132に圧接される第2位置に配置される。本実施形態においては、クリーニング部材132がゴムで形成されているので、給紙ローラ25にクリーニング部材132が密着する。
【0110】
<画像記録>
給紙トレイ20は、サイドガイド81が第1位置に配置された状態で記録用紙が載置される。これにより、記録用紙は、給紙トレイ20に対してその記録用紙のサイズに応じた基準位置に位置決めされる。この給紙トレイ20は、開口13(図1参照)を通じて装置本体35に装着される。給紙トレイ20に記録用紙が載置されているので、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接される。操作パネル14からのユーザの所定操作に基づいて印刷開始が指示されると、給紙ローラ25が回転駆動される。これにより、給紙トレイ20上の記録用紙が矢印17(図3参照)の方向に第1搬送路22へ供給される。給紙トレイ20から第1搬送路22へ供給された記録用紙65は、搬送ローラ50とピンチローラ、及び排紙ローラ51と拍車52によって第1搬送路22に沿って搬送される。この記録用紙65は、その搬送過程で記録部24によって一方の面(記録面64)に画像が記録される。
【0111】
印刷設定が片面記録に設定されている場合、経路切換部72のフレーム55が水平姿勢に維持された状態(図4参照)でスイッチバックローラ53が正転される。これにより、記録面64に画像が記録された記録用紙65は、第1搬送路22から排紙トレイ21へ排出される。
【0112】
印刷設定が両面記録に設定されている場合、フレーム55が水平姿勢に維持された状態でスイッチバックローラ53が正転される。これにより、上述のように記録面64に画像が記録された記録用紙65は、排紙トレイ21側(図4における右側)へ送られる。そして、この記録用紙65の後端62が拍車56よりも上流側の規定位置に到達したとき(図4に示される状態)に、フレーム55が水平姿勢から回動姿勢へ姿勢変化される(図4及び図5参照)。記録用紙65の後端62は、拍車56によって下側へ押圧され、第2搬送路23側へ向けられる(図5参照)。
【0113】
スイッチバックローラ53が逆転されることにより、記録用紙65は搬送方向が変えられて、第2搬送路23に沿ってスイッチバック搬送される。この記録用紙65は、第2搬送路23から給紙トレイ20へ送られる。具体的には、記録用紙65は、給紙トレイ20に載置された最上位置の記録用紙と給紙ローラ25との間(以下、「当接位置」とも称される。)へ送られる。記録用紙65の後端62が当接位置に到達すると、給紙ローラ25が回転駆動されて記録用紙65が記録部24の上流側(上流側部位46)へ送られる。これにより、記録用紙65は表裏反転される。すなわち、記録用紙65がプラテン42上へ搬送された際に記録面64とは反対側の面がインクジェット記録ヘッド41と対向する。記録用紙65は、プラテン42上を通過する際に他方の面(記録面64の反対側の面)に画像が記録される。記録用紙65が第2搬送路23から第1搬送路22へ送られると、経路切換部72のアーム55が回動姿勢から水平姿勢へ姿勢変化される。両面に画像が記録された記録用紙65は、スイッチバックローラ53が正転されることにより第1搬送路22から排紙トレイ21へ排出される。
【0114】
プリンタ部11では、給紙トレイ20から第1搬送路22へ記録用紙を供給するために、給紙トレイ20上の記録用紙に給紙ローラ25が圧接された状態で回転駆動される。このため、給紙ローラ25には、記録用紙上の紙粉やゴミが付着する。また、プリンタ部11において両面記録が行われる場合、記録面64(図4及び図5参照)に画像が記録された記録用紙65は、第1搬送路22へ再送される際に記録面64に給紙ローラ25が圧接される。記録面64は、上述のように、記録部24によってインクが付着された記録用紙65の一方の面である。インクが充分に乾燥していない状態で記録用紙65が第1搬送路22へ再送されると、記録用紙65上のインクが給紙ローラ25に付着することがある。このように、給紙ローラ25には、紙粉、ゴミ、インク等が付着する。その結果、給紙トレイ20から第1搬送路22への記録用紙の供給不良が生じる場合がある。
【0115】
本実施形態における複合機10では、サイドガイド81を第1方向94におけるトレイ本体102の中央へスライドさせた後に給紙トレイ20を装置本体35に装着するという簡単な操作で給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる。なお、複合機10では、クリーニング部材131が汚れてクリーニング効果が低下した場合に、クリーニング部材132を使用して給紙ローラ25をクリーニングすることができる。
【0116】
<クリーニング>
給紙ローラ25のクリーニングは、以下の要領で行われる。
【0117】
給紙トレイ20から第1搬送路22へ記録用紙が正しく搬送されない場合、給紙トレイ20がユーザによって装置本体35から引き抜かれる。ユーザは、給紙トレイ20から記録用紙を取り出す。ユーザは、クリーニング部材131が摩擦部材104の直上に配置されるようにサイドガイド80,81をスライドさせた後、給紙トレイ20を装置本体35に装着する。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材131に圧接され、給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる(図10(C)参照)。この状態で操作パネル14から所定操作が行われることにより、給紙ローラ25が回転駆動される。クリーニング部材131が密着した状態で給紙ローラ25が回転駆動されるので、給紙ローラ25に付着している紙粉、インク、ゴミ等がクリーニング部材131によって給紙ローラ25から除去される。
【0118】
クリーニング部材131を繰り返し使用することによりクリーニング部材131が汚れる。このため、クリーニング部材131によって給紙ローラ25をクリーニングしても給紙トレイ20から第1搬送路22へ記録用紙が正しく搬送されないことがある。ユーザは、給紙トレイ20から記録用紙を取り出す。ユーザは、クリーニング部材132が摩擦部材104の直上に配置されるようにサイドガイド80,81をスライドさせた後、給紙トレイ20を装置本体35に装着する。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材132に圧接され、給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる(図10(D)参照)。これにより、クリーニング部材131を使用した場合と同様に、給紙ローラ25をクリーニングすることができる。
【0119】
<第1実施形態の作用効果>
以上説明したように、給紙トレイ20は、ユーザによってサイドガイド81が第2位置(図12に示される位置、又は図13に示される位置)へ移動された後に装置本体35に装着される。これにより、給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる。このため、ユーザがクリーニング部材を例えば給紙トレイ20に設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成で給紙ローラ25をクリーニングすることができる。
【0120】
なお、第2位置は、給紙トレイ20に載置可能な最小サイズ(本実施形態においては写真L判サイズ)の記録用紙に対応する第1位置(図11参照)よりも基準位置(第1方向94におけるトレイ本体102の中央)側の位置(図12及び図13参照)である。ユーザは、サイドガイド80,81が図12に示される位置、又は図13に示される位置に配置された状態では、給紙トレイ20に記録用紙を載置することができない。このため、クリーニング部材131又はクリーニング部材132がクリーニング位置(摩擦部材104の直上)に配置されているにも拘わらず給紙ローラ25をクリーニングすることができないといった問題が生じることが防止される。
【0121】
クリーニング部材131,132は、クリーニング部材131,132における給紙ローラ25との接触面に比べて、サイドガイド81のスライド方向である第1方向94へ長いものである。具体的には、図10(A)に示されるように、第1方向94におけるクリーニング部材の131,132の長さL1+L1が2つの給紙ローラ25の軸方向長さH1よりも長い。本実施形態においては、軸方向長さH1が長さL1よりも長く設定されている。このため、サイドガイド81が移動されることにより、クリーニング部材における給紙ローラ25との接触面の位置が変更される。本実施形態においては、給紙ローラ25がクリーニング部材131又はクリーニング部材132に接触される。第1方向94におけるクリーニング部材の長さが接触面の長さと略等しい場合に比べて、クリーニング部材をより繰り返し使用することができる。その結果、クリーニング部材の交換頻度を低減させることができ、ユーザの手間が一層低減される。なお、本実施形態においては、本発明のクリーニング部材が2つのクリーニング部材131,132によって構成されているが、クリーニング部材は1つであってもよい。
【0122】
本実施形態においては、図10に示されるように、クリーニング部材131が凹部141に収容され、クリーニング部材132が凹部142に収容されている。このため、クリーニング部材131,132が給紙ローラ25から除去した紙粉、インク、ゴミ等が給紙トレイ20に載置された記録用紙に付着することが簡単に防止される。ただし、クリーニング部材131,132は、当接面138上に設けられていてもよい。この場合、底板84に接する記録用紙がクリーニング部材131,132に汚されることが考えられる。したがって、クリーニング部材131,132を被覆するシート部材を給紙トレイ20内に設けることが好ましい。
【0123】
また、本実施形態においては、クリーニング部材131,132が弾性変形可能なものであるため、サイドガイド81が第1位置から第2位置へ移動された際に、クリーニング部材131又はクリーニング部材132に給紙ローラ25が密着する。これにより、クリーニング部材131,132が弾性変形しない材質のものである場合に比べて、クリーニング効果が増大されている。ただし、クリーニング部材131,132は、弾性変形しない材料で構成されてもよい。この場合、給紙ローラ25表面の損傷を防止するために、給紙ローラ25を弾性変形可能に構成することが好ましい。
【0124】
また、本実施形態においては、本発明におけるクリーニング部材がサイドガイド81のみに設けられているが、クリーニング部材は、サイドガイド80にも設けられていてもよい。例えば、トレイ本体102の中央へ向けて底壁127からプレートを延設し、このプレートにクリーニング部材132を設けるようにしてもよい。
【0125】
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態が説明される。第2実施形態に係る複合機10は、トレイ本体102の構成が一部異なるほかは、第1実施形態と同様の構成である。このため、トレイ本体102以外の構成の説明は省略される。なお、第1実施形態ではサイドガイド81(図12参照)が本発明の位置決め部材として機能したのに対し、第2実施形態ではリヤガイド140(本発明におけるリヤガイドに相当する、図14参照)が本発明の位置決め部材として機能する。
【0126】
図14は、リヤガイド140がトレイ本体102に対して搬送方向90へスライドされる様子を示すトレイ本体102の模式図である。
【0127】
第2実施形態におけるトレイ本体102は、以下の点で第1実施形態におけるトレイ本体102と相違する。すなわち、本実施形態においては、サイドガイド81にプレート136が設けられていない。また、リヤガイド120(図7参照)に代えてリヤガイド140(図14参照)がトレイ本体102に設けられており、このリヤガイド140にクリーニング部材100(本発明のクリーニング部材の一例)が設けられている。
【0128】
<リヤガイド140>
トレイ本体102には、トレイ本体102における第1方向94(図14における紙面垂直方向)の中央に、リヤガイド140が設けられている。リヤガイド140は、リヤガイド120と同様に、溝97(図7参照)に沿って給紙トレイ20に対して搬送方向90及び引出方向92へスライド可能に構成されている。リヤガイド140は、給紙トレイ20に対して記録用紙を位置決めするものである。リヤガイド140は、リヤガイド120と同様に、給紙トレイ20に載置された記録用紙の搬送方向90における上流側の端部に当接される。これにより、記録用紙は、トレイ本体102の後端側(引出方向92側)への移動がリヤガイド140によって規制される。このリヤガイド140は、クリーニング部材100を支持するプレート146を有する点でリヤガイド120と相違する。
【0129】
給紙トレイ20に記録用紙が載置された状態で、溝97に沿ってリヤガイド140が搬送方向90へスライドされる。これにより、リヤガイド140が記録用紙の後端に当接する。その結果、記録用紙の後端が揃えられるとともに、後端が記録用紙のサイズに応じた位置に規制される。記録用紙は、その先端が記録用紙のサイズに拘わらず給紙トレイ20内の傾斜板32に近接する所定位置に位置決めされる。すなわち、リヤガイド140は、給紙トレイ20に載置された記録用紙の搬送方向90における下流側の端部を給紙トレイ20の基準位置に一致させるものである。
【0130】
図14(A)に示されるように、リヤガイド140は、プレート146(本発明におけるプレートの一例)及び垂直壁134を有する。プレート146は、トレイ本体102の底板84に平行に配置される平板部材である。このプレート146は、第1方向94(図14の紙面垂直方向)におけるトレイ本体102の略中央に配置されている。プレート146は、第1方向94の幅が2つの給紙ローラ25の軸方向長さH1(図10参照)よりも広く設定されている。給紙トレイ20に載置された記録用紙は、引出方向92側の端部がこのプレート146に載置される。これにより、記録用紙の下面の一部にプレート146が当接される。垂直壁134は、プレート146の引出方向92側の端縁から垂直に立設されている。図には表れていないが、記録用紙は、プレート146に載置された状態で、引出方向92側の一端が垂直壁134の内側面に当接される。このように、リヤガイド140には、記録用紙の引出方向92側の端部が当接される。
【0131】
<凹部144>
プレート146には、後述のクリーニング部材100が設けられている。プレート146の上面側には、凹部144が形成されている。凹部144は、プレート146における記録用紙との当接面116から下方へ凹むようにプレート146に形成されている。クリーニング部材100は、当接面116よりも上側へ露出されないように凹部144に収容されている。凹部144は、リヤガイド140がトレイ本体102に対して搬送方向90へスライドされることにより、摩擦部材104の直上に配置される(図14(C)及び(D)参照)。これにより、凹部144に収容されているクリーニング部材100に給紙ローラ25が圧接される。
【0132】
<クリーニング部材100>
クリーニング部材100は、クリーニング部材131,132と同様に、給紙ローラ25をクリーニングするものである。クリーニング部材100は、凹部141,142に代えて凹部144に収容されている点を除いて、クリーニング部材131,132と同様のものである。クリーニング部材100は、クリーニング部材100における給紙ローラ25との接触面に比べて搬送方向90に長いものである。具体的には、図14(A)及び(C)に示されるように、クリーニング部材100は、搬送方向90の長さL2がクリーニング部材100における給紙ローラ25との接触面の搬送方向90長さH2よりも長く設定されている。
【0133】
<凸部149>
図14に示されるように、プレート146の裏面には凸部149が設けられている。凸部149は、第1方向94(図14の紙面垂直方向)におけるプレート146の略中央に設けられている。すなわち、凸部149は、第1方向94において溝97(図7参照)と略同じ位置に設けられている。リヤガイド140は、凸部149が溝97内に配置された状態で搬送方向90又は引出方向92へスライドされる。凸部149は、プレート146の裏面から垂直方向下方へ延びる垂直壁130を有する。垂直壁130は、凸部149における搬送方向90の下流側(図14における左側)に設けられている。垂直壁130は、後述のストッパ148(図14参照)に当接される面である。
【0134】
<ストッパ148>
図14に示されるように、トレイ本体102は、第1方向94(図14の紙面垂直方向)における底板84の略中央にストッパ148(本発明におけるストッパの一例)が設けられている。このストッパ148は、底板84に形成された溝97(図7参照)における搬送方向90側の端部を構成するものである。ストッパ148は、搬送方向90及び引出方向92において凸部149と対向する位置に設けられている。
【0135】
次に、リヤガイド140のスライドに伴う給紙ローラ25とクリーニング部材100との位置関係について説明される。
【0136】
リヤガイド140は、給紙トレイ20内を搬送方向90及び引出方向92へスライド可能に構成されている。リヤガイド140には、上述のようにプレート146にクリーニング部材100が設けられている。リヤガイド140は、搬送方向90又は引出方向92へスライドされることにより、第1位置と第2位置との間を移動される。第1位置(図14(A)及び(B)参照)は、リヤガイド140が給紙トレイ20に載置される記録用紙をそのサイズに応じた基準位置に保持する位置である。本実施形態における第1位置は、リヤガイド140が、給紙トレイ20に載置される記録用紙の搬送方向90の下流側端部を傾斜板32付近の所定位置に位置決めする位置である。なお、第1位置は、給紙トレイ20に載置される記録用紙の各サイズに対応して複数の位置をとりうる。第2位置(図14(C)及び(D)参照)は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態で給紙トレイ20側へ移動された給紙ローラ25がクリーニング部材100に圧接される位置である。本実施形態においては、クリーニング部材100における給紙ローラ25との接触面に比べてクリーニング部材100が搬送方向90に長いので、第2位置は、少なくとも2つの位置をとりうる。
【0137】
<第1位置>
給紙トレイ20に載置可能な最大サイズ(本実施形態においてはA4サイズ)の記録用紙を画像記録に使用する使用する場合、リヤガイド140は、図7に示されるリヤガイド120と略同じ位置へ搬送方向90又は引出方向92へスライドされる。これにより、傾斜板32付近の基準位置とリヤガイド140の垂直壁134との離間距離がA4サイズの記録用紙の長さと略等しくなる。すなわち、リヤガイド140は、給紙トレイ20に載置されるA4サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置される(図14(A)参照)。これにより、A4サイズの記録用紙は、給紙トレイ20に対してA4サイズに応じた所定の基準位置に位置決めされる。給紙トレイ20は、このようにA4サイズの記録用紙が載置された状態で装置本体35に装着される。なお、サイドガイド80,81による記録用紙の位置決めは、第1実施形態と同様に行われるので、ここでの説明は省略される。
【0138】
給紙トレイ20に載置可能な最小サイズ(本実施形態においては写真L判サイズ)の記録用紙を画像記録に使用する場合、リヤガイド140は、ユーザにより搬送方向90へ所定の位置までスライドされる(図14(A)及び(B)参照)。これにより、傾斜板32付近の基準位置とリヤガイド140の垂直壁134との離間距離が写真L判サイズの記録用紙の長さと略等しくなる。すなわち、リヤガイド140は、給紙トレイ20に載置される写真L判サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置される(図14(B)参照)。これにより、写真L判サイズの記録用紙は、給紙トレイ20に対して写真L判サイズに応じた所定の基準位置に位置決めされる。給紙トレイ20は、このように写真L判サイズの記録用紙が載置された状態で装置本体35に装着される。
【0139】
なお、本実施形態における第1位置は、リヤガイド140が給紙トレイ20に載置されたA4サイズ又は写真L判サイズの記録用紙を保持する位置に限定されるものではない。すなわち、ここでの第1位置は、リヤガイド140が給紙トレイ20に載置された他のサイズ(例えば、はがきサイズ)の記録用紙を保持する位置であってもよい。
【0140】
<第2位置>
リヤガイド140は、給紙トレイ20に記録用紙が載置されていない状態において、ユーザにより搬送方向90へスライドされる。図14(A)〜(C)に示されるように、リヤガイド140は、クリーニング部材100が摩擦部材104の直上に配置される位置までスライドされる。給紙トレイ20は、この状態で記録用紙が載置されることなく装置本体35に装着される。給紙トレイ20に記録用紙が載置されていないので、アーム26(図6参照)が給紙トレイ20側へ回動される。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材100に圧接された状態となる(図14(C)参照)。このように、クリーニング部材100が摩擦部材104の直上に配置される位置までリヤガイド140がスライドされた後、給紙トレイ20が装置本体35に装着される。その結果、リヤガイド140は、給紙ローラ25がクリーニング部材100に圧接される第2位置に配置される。本実施形態においては、クリーニング部材100がゴムで形成されているので、給紙ローラ25にクリーニング部材100が密着する。
【0141】
本実施形態における複合機10では、リヤガイド140をトレイ本体102に対して搬送方向90へスライドさせた後に給紙トレイ20を装置本体35に装着するという簡単な操作で給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる。
【0142】
<クリーニング>
給紙ローラ25のクリーニングは、以下の要領で行われる。
【0143】
給紙トレイ20から第1搬送路22へ記録用紙が正しく搬送されない場合、給紙トレイ20がユーザによって装置本体35から引き抜かれる。ユーザは、給紙トレイ20から記録用紙を取り出す。ユーザは、クリーニング部材100が摩擦部材104の直上に配置されるようにリヤガイド140を搬送方向90へスライドさせた後、給紙トレイ20を装置本体35に装着する。これにより、給紙ローラ25がクリーニング部材100に圧接され、給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる(図14(C)参照)。この状態で操作パネル14から所定操作が行われることにより、給紙ローラ25が回転駆動される。クリーニング部材100が密着した状態で給紙ローラ25が回転駆動されるので、給紙ローラ25に付着している紙粉、インク、ゴミ等がクリーニング部材100によって給紙ローラ25から除去される。
【0144】
クリーニング部材100は、給紙ローラ25が圧接された状態で回転駆動されるので、第1搬送路22へ送り出される方向へ外力が作用する。このため、リヤガイド140を搬送方向90へ移動させる方向へリヤガイド140に力が作用する。搬送方向90における凸部149の下流側(図14における左側)には、ストッパ148が設けられている。給紙ローラ25をクリーニングする場合、リヤガイド140は、搬送方向90における上流側(図14における右側)から下流側(図14における左側)へスライドされる。換言すれば、リヤガイド140は、第1位置(図14(A)又は(B)参照)から第2位置(図14(C)又は(D)参照)へ移動される。これにより、凸部149の垂直壁130がストッパ148に当接する(図14(D)参照)。これにより、トレイ本体102に対してリヤガイド140が制止される。このため、給紙ローラ25が回転駆動された際に、給紙ローラ25がクリーニング部材100に圧接された状態が維持される。すなわち、リヤガイド140が第2位置に配置された状態が維持される。
【0145】
<第2実施形態の作用効果>
以上説明したように、給紙トレイ20に対して記録用紙を位置決めするリヤガイド140を第2位置(図14(C)及び(D)参照)へ移動させることにより、給紙ローラ25のクリーニングが可能な状態となる。このため、ユーザがクリーニング部材を例えば給紙トレイ20に設置したり、或いは取り外して保管するといった面倒な作業を行うことなく、簡易な構成で給紙ローラ25をクリーニングすることができる。
【0146】
本実施形態におけるリヤガイド140の第2位置は、給紙トレイ20に載置可能な最小サイズの記録用紙に対応する第1位置(図14(B)参照)よりも傾斜板32付近に設定された基準位置側の位置(図14(C)及び(D)参照)である。リヤガイド140が第2位置に配置された状態では、給紙トレイ20に記録用紙を載置することができない。このため、クリーニング部材100がクリーニング位置に配置されているにも拘わらず給紙トレイ20に記録用紙が載置されているために給紙ローラ25をクリーニングすることができないといった問題が生じることが防止される。
【0147】
図14(C)及び(D)に示されるように、リヤガイド140が移動されることにより、クリーニング部材100における給紙ローラ25との接触面の位置が変更される。搬送方向90におけるクリーニング部材100の長さが接触面の長さと略等しい場合に比べて、クリーニング部材100をより繰り返し使用することができる。
【0148】
また、図14(D)に示されるように、リヤガイド140は、第2位置に配置された状態で凸部149がストッパ148に当接する。このため、第1位置側から第2位置側へ移動されたリヤガイド140の移動が第2位置において規制され、リヤガイド140が第2位置に確実に配置される。また、給紙ローラ25が回転駆動されてクリーニングされる際に、クリーニング部材100を支持するリヤガイド140の搬送方向90への移動がストッパ148によって防止される。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。
【図2】図2は、複合機10のプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
【図3】図3は、プリンタ部11の主要部を示す拡大断面図である。
【図4】図4は、経路切換部72の拡大断面図であり、フレーム55が水平姿勢に維持された状態を示す。
【図5】図5は、経路切換部72の拡大断面図であり、フレーム55が回動姿勢に維持された状態を示す。
【図6】図6は、給紙カセット70の斜視図である。
【図7】図7は、給紙トレイ20の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7におけるVIII部の拡大図である。
【図9】図9は、トレイ本体102の平面図であり、サイドガイド80,81が給紙トレイ20に載置される最大サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置された状態を示す。
【図10】図10は、サイドガイド81が第1方向94におけるトレイ本体102の中央へスライドされる様子を示す模式図である。
【図11】図11は、トレイ本体102の平面図であり、サイドガイド80,81が給紙トレイ20に載置される最小サイズの記録用紙を保持する第1位置に配置された状態を示す。
【図12】図12は、トレイ本体102の平面図であり、給紙ローラ25がクリーニング部材131に圧接される第2位置に配置された状態を示す。
【図13】図13は、トレイ本体102の平面図であり、給紙ローラ25がクリーニング部材132に圧接される第2位置に配置された状態を示す。
【図14】図14は、リヤガイド140がトレイ本体102に対して搬送方向90へスライドされる様子を示す模式図である。
【符号の説明】
【0150】
10・・・複合機
11・・・プリンタ部(本発明の画像記録装置の一例)
20・・・給紙トレイ(本発明の第1トレイの一例)
21・・・排紙トレイ(本発明の第2トレイの一例)
22・・・第1搬送路
23・・・第2搬送路
24・・・記録部
25・・・給紙ローラ(本発明のローラの一例)
65・・・記録用紙(本発明のシートの一例)
72・・・経路切換部
80・・・サイドガイド
81・・・サイドガイド(本発明の位置決め部材の一例、本発明のサイドガイドに相当)
90・・・搬送方向
94・・・第1方向
100・・・クリーニング部材
116,138・・・当接面
131,132・・・クリーニング部材
136,146・・・プレート
138・・・当接面
140・・・リヤガイド(本発明の位置決め部材の一例、本発明のリヤガイドに相当)
141,142,144・・・凹部
148・・・ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置される第1トレイと、
上記第1トレイ内を移動可能に構成され、当該第1トレイに対して上記シートを位置決めする位置決め部材と、
上記第1トレイから供給されたシートが搬送される第1搬送路と、
上記第1トレイに対して接離する方向へ移動可能に構成され、上記第1トレイ上のシートを上記第1搬送路へ供給するローラと、
上記シートの搬送過程において当該シートに画像を記録する記録部と、
上記位置決め部材に設けられ、上記ローラをクリーニングするクリーニング部材と、を備え、
上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されるシートを保持する第1位置と、上記第1トレイにシートが載置されていない状態で上記第1トレイ側へ移動された上記ローラが上記クリーニング部材に圧接される第2位置と、の間を移動可能に構成されている画像記録装置。
【請求項2】
上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向における上流側の端部に当接されるリヤガイドである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記クリーニング部材は、当該クリーニング部材における上記ローラとの接触面に比べて上記搬送方向に長いものである請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記リヤガイドが上記第1位置から上記第2位置へ移動されることにより、当該リヤガイドと当接してこのリヤガイドの上記第2位置より上記搬送方向の下流側への移動を制止するストッパを備える請求項2又は3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記リヤガイドは、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向における下流側の端部を当該第1トレイの基準位置に略一致させるものであって、
上記第2位置は、上記第1トレイに載置可能な最小サイズのシートに対応する上記第1位置よりも上記下流側の位置である請求項2から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向と略直交する水平な第1方向における当該シートの端部に当接されるサイドガイドである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記クリーニング部材は、当該クリーニング部材における上記ローラとの接触面に比べて上記第1方向に長いものである請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記サイドガイドは、上記第1トレイに載置されたシートの上記第1方向における中央位置を当該第1トレイの基準位置に略一致させるものであって、
上記第2位置は、上記第1トレイに載置可能な最小サイズのシートに対応する上記第1位置よりも上記基準位置側の位置である請求項6又は7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記位置決め部材は、
上記第1トレイに載置されたシートの下面の一部に当接されるプレートと、
上記プレートにおけるシートの当接面から凹むように当該プレートに形成された凹部と、を有し、
上記クリーニング部材は、上記凹部に収容されている請求項1から8のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記クリーニング部材は、弾性変形が可能なものである請求項1から9のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項11】
上記第1搬送路及び上記第1トレイに連結されて、上記第1搬送路を搬送されたシートがスイッチバック搬送される第2搬送路と、
上記第1搬送路を搬送されたシートが排出される第2トレイと、
上記第1搬送路を搬送されたシートを上記第2トレイ又は上記第2搬送路へ送る経路切換部と、を備える請求項1から10のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項1】
シートが載置される第1トレイと、
上記第1トレイ内を移動可能に構成され、当該第1トレイに対して上記シートを位置決めする位置決め部材と、
上記第1トレイから供給されたシートが搬送される第1搬送路と、
上記第1トレイに対して接離する方向へ移動可能に構成され、上記第1トレイ上のシートを上記第1搬送路へ供給するローラと、
上記シートの搬送過程において当該シートに画像を記録する記録部と、
上記位置決め部材に設けられ、上記ローラをクリーニングするクリーニング部材と、を備え、
上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されるシートを保持する第1位置と、上記第1トレイにシートが載置されていない状態で上記第1トレイ側へ移動された上記ローラが上記クリーニング部材に圧接される第2位置と、の間を移動可能に構成されている画像記録装置。
【請求項2】
上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向における上流側の端部に当接されるリヤガイドである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記クリーニング部材は、当該クリーニング部材における上記ローラとの接触面に比べて上記搬送方向に長いものである請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記リヤガイドが上記第1位置から上記第2位置へ移動されることにより、当該リヤガイドと当接してこのリヤガイドの上記第2位置より上記搬送方向の下流側への移動を制止するストッパを備える請求項2又は3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記リヤガイドは、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向における下流側の端部を当該第1トレイの基準位置に略一致させるものであって、
上記第2位置は、上記第1トレイに載置可能な最小サイズのシートに対応する上記第1位置よりも上記下流側の位置である請求項2から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記位置決め部材は、上記第1トレイに載置されたシートの搬送方向と略直交する水平な第1方向における当該シートの端部に当接されるサイドガイドである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記クリーニング部材は、当該クリーニング部材における上記ローラとの接触面に比べて上記第1方向に長いものである請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記サイドガイドは、上記第1トレイに載置されたシートの上記第1方向における中央位置を当該第1トレイの基準位置に略一致させるものであって、
上記第2位置は、上記第1トレイに載置可能な最小サイズのシートに対応する上記第1位置よりも上記基準位置側の位置である請求項6又は7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記位置決め部材は、
上記第1トレイに載置されたシートの下面の一部に当接されるプレートと、
上記プレートにおけるシートの当接面から凹むように当該プレートに形成された凹部と、を有し、
上記クリーニング部材は、上記凹部に収容されている請求項1から8のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記クリーニング部材は、弾性変形が可能なものである請求項1から9のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項11】
上記第1搬送路及び上記第1トレイに連結されて、上記第1搬送路を搬送されたシートがスイッチバック搬送される第2搬送路と、
上記第1搬送路を搬送されたシートが排出される第2トレイと、
上記第1搬送路を搬送されたシートを上記第2トレイ又は上記第2搬送路へ送る経路切換部と、を備える請求項1から10のいずれかに記載の画像記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−1412(P2009−1412A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166953(P2007−166953)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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