説明

画像誘導送達のための高分子薬剤キャリア

記述されているのは、常磁性物質を具備したポリマソームを有する磁気共鳴映像法(MRI)のための化学的交換飽和移動(CEST)である。ポリマソームは、好ましくはキャビティを閉じるポリマシェルを有し、キャビティは、プロトン検体のプールを有し、このシェルは、プロトン検体の拡散を可能にする。ポリマソームに基づくCESTのMRI造影剤は、MRI誘導薬剤放出に有用な薬剤キャリアとして適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤キャリアとしてのポリマソームに基づいた画像誘導型薬剤送達に関する。より詳しくは、本発明は、治療用又は診断用薬剤(以下、「薬剤」と称する)のような生物学的活性物質の磁気共鳴映像法(MRI)で監視又は誘導される送達に関する。さらに、本発明は、磁気共鳴映像法(MRI)のための化学的交換飽和移動(Chemical Exchange-dependent Saturation Transfer(CEST))用造影剤、特に薬剤キャリアとして用いるのに適した造影剤に関する。
【背景技術】
【0002】
或る特定の組織に大部分は局在化した多くの病気は、全身投与された薬剤により治療される。標準的な癌治療の良く知られた例は、所望されない生体内分布及び毒性により患者に対して重大な副作用を伴う全身性化学療法である。これら薬剤の治療域は、大抵、一方においては当該疾病のある組織における必要最小限の治療濃度により、他方においては例えば肝臓や脾臓などの目標としていない器官における毒作用により、規定される。例えば、ナノキャリアからの細胞増殖抑制剤の局部放出による局部的治療は、標準的な治療と比べると、より効率的な治療及びより大きな治療域を請け負うものである。局部的な薬剤送達はまた、手術などの他の治療オプションが、肝臓癌に対する場合にしばしばあるように過度にリスクの高いものである場合に重要である。局部的薬剤送達はまた、冠状動脈におけるアテローム性動脈硬化のような心疾病(CVD;cardiovascular disease)における多くの兆候のための好適な治療オプションとなることができる。
【0003】
磁気共鳴映像法は、病気の診断のために病院において一般的に用いられる重要な診断技術である。MRIは、高度な空間解像度をもって軟組織の非侵襲性の画像形成を見越すものである。
【0004】
その診断のための利用の有用な展開として、MRIも、治療又は診断用の薬剤などの生物学的活性物質の送達を監視するために提案されている。すなわち、MRIは、治療計画のためだけでなく、画像誘導の下での局部的薬剤送達を制御するためにも用いることができる。
【0005】
この点における文献は、Ponce氏らのJ Natl Cancer Inst 2007; 99: 53-63にある。ここでは、薬物のドキソルビシンが、正常な体温において固体であり数度高い(41〜42℃)と溶ける感熱性リポソームに取り込まれる。したがって、これがリポソームの開放をもたらすことになるので、熱を加えることによって薬剤放出を促進させることができ、その結果、薬剤放出は、リポソームのシェルを通じた拡散(これがある場合)によってはもはや定められない。MRIによる薬剤放出を監視するため、MRI造影剤として当該配合物にマンガン塩が添加される。
【0006】
ほぼ全ての現在のMRIスキャンがバルク水分子の画像形成に基づいており、かかる分子は、全ての組織において全身にわたり非常に高い濃度で存在するものである。異なる組織どうしのコントラストが臨床情報を得るのに不十分である場合、ガドリニウムの低分子量錯体のようなMRI造影剤(CAs)が投与される。これら常磁性の錯体は、水分子のプロトンの縦及び横緩和時間(T)及び(T)を短縮する。マンガンイオンも、T造影剤として振る舞う。
【0007】
前述した薬剤キャリアにおけるマンガン造影剤は、バルク水分子に対するその露出に作用するものとなり、MRIによって検出することができる。すなわち、熱の印加の後における脂質の溶解転移温度より高い状態で当該リポソームシェルの開放による瞬間的なMRIコントラスト強調をもたらすことになる。
【0008】
説明したように、この薬剤放出過程において用いられるMRIは、事実上、実際の放出を監視するために用いられ、これにより、感熱性リポソームが実際に働くことを確証することとなる。すなわち、遡及的な情報を提供するに過ぎないものである。
【0009】
さらに、前述した薬剤送達は、キャリアとしてのリポソームに基づいて行われるものである。リポソームは、キャビティを閉じる脂質の2層構造体により一般に特徴づけられている。本発明は、ポリマソームの分野、すなわち、重合体の小嚢、特にマイクロ小嚢及びナノ小嚢に係るものでる。ポリマソームに基づけば、リポソームと比べて或る範囲の利点を達成することができる。ポリマソームは、マクロファージ摂取となる傾向が低いとされており、それ故、長い循環のものである。またポリマソームは、リポソームと比較して、硬く、動きが少なく、汎用性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
薬剤キャリアのその投与後の行く末を監視することは利点があると目される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した願望に良好に対処するために、一態様において、磁気共鳴映像法(MRI)のための化学的交換飽和移動(CEST)用造影剤は、常磁性の薬剤を備えたポリマソームを有するものが提供され、このポリマソームは、キャビティを閉じるポリマシェルを有し、当該キャビティは、プロトン検体のプールを有し、当該シェルは、プロトン検体の拡散を可能にする。
【0012】
他の態様において、ポリマソームは、キャビティを有しないナノ粒子とすることができる。
【0013】
他の態様において、局部的薬剤送達に適合した薬剤キャリアは、ポリマソーム、特には環境感受性のポリマソームと薬剤とを有するCESTのMRIのための造影剤を有するものが提供される。
【0014】
さらなる態様においては、被検体への生物学的活性物質のMRI誘導送達のための方法であって、ポリマソームを有し当該被検体に対するCESTのMRI造影剤である薬剤キャリアの投与と、当該投与された薬剤キャリアによりなされるCESTコントラスト強調を用いてMR画像をレンダリングすることと、当該薬剤キャリアが当該生物学的活性物質を放出することを可能にすることと、を有する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ポリマソームに基づいたCESTのMRI造影剤の概略的な図である。
【図2】画像誘導薬剤輸送のためのポリマソームの概略図である。
【図3】310K及び7T(左)で異なる事前飽和パワーレベルの印加をした後の緩衝剤溶液(20mMのHEPES、pH7.4)における65mMの[Tm(hpdo3a)(HO)]が充填されたポリマソームのZスペクトルを示す図。
【図4】310K及び7Tでのパワーレベルの関数として[Tm(hpdo3a)(HO)]が装填されたポリマソームのCEST効果を示す図。
【図5】323Kで44dBのパワーレベルでのポリマソームに基づいたCESTのMRI造影剤のCEST効果を示す図。
【図6】323KでTriton X-100の提供における[Tm(hpdo3a)(HO)]が装填されたポリマソームのCEST効果を示す図。
【図7】異なる温度(λex=488nm及びλem=512nm)での緩衝剤溶液(20mMのHEPES、0.3NのNaCl、pH7.4)における5mMのカルボキシフルオレセイン及び65mMの[Tm(hpdo3a)(HO)]が装填されたポリマソームの正規化された蛍光強度を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
広義において、本発明は、局部的薬剤送達のための薬剤キャリアとして用いて好適な、ポリマソームに基づいたCEST造影剤について説明することができる。局部的薬剤送達のための薬剤キャリアの適合性は、薬剤を装填した薬剤キャリアが、例えば制御された外力をかけることによって又は十分な量のエネルギを伝達することによって、局部的に当該薬剤を放出するために起動されることができるようにした様々な方法に適用することができる。このことは、例えば、当該環境における変化(例えば、pH感受性キャリアの場合のpHであり、又は熱感受性キャリアの場合には局部的熱印加)により薬剤を局部的に放出するよう起動させられることのできる環境感受性の薬剤キャリアを指すものである。局部的送達のための他の方法は、熱感受性キャリア又はpH感受性キャリアに必ずしも絡まないが、限定はしないが、外部印加された超音波周波数/波長及び強度に感応する、ガス状コア及び/又は層の存在を含む、熱感応性又はpH感応性以外の特性により司られる活性化の方法により薬剤を放出するよう起動がかけられることができるキャリアに絡むものである。
[CEST MRI]
【0017】
本発明は、CESTのMRIコントラスト強調に関する。この方法は、選択された磁気的に予め飽和されたプロトンからMRIにより測定されたバルク水分子への化学的交換飽和移動(CEST)を利用することにより画像コントラストを発生するために役立つものである。
【0018】
常磁性化学シフト反応物(ParaCEST)と組み合わせられたCESTは、CEST造影剤の常磁性的にシフトされたプロトンのプールの磁化がラジオ周波数(RF)放射線の印加により選択的に飽和されるようにした方法である。プロトン交換によるこの飽和のバルク水分子への移動は、CEST造影剤の環境において減じられた量の励起可能な水プロトンをもたらす。したがって、バルク水信号強度の減少が観察され、MRI画像における(ネガティブな)コントラスト強調を形成するために用いることができる。
【0019】
高いCEST効率を得るためのアプローチは、常磁性シフト反応物(例えば、Na[Tm(dotma)HO])を含む溶液の多数の水分子を利用することに基づいており、「Hdotma」は、α,α',α'',α'''−テトラメチル−1,4,7,19−テトラ酢酸を表し、dotmaは、リガンドのそれぞれ4重の脱プロトン化テトラアニオン形態を表し、化学的にシフトされてこれに伴いRFパルスにより選択的に飽和させられることのできるプロトンのプールを提供するようにしている。このシステムがキャリア、ここではポリマソーム内に封入されると、化学的にシフトされていないキャリアの外側にあるバルク水分子に磁気的飽和を転移させることができる。磁化転移の量とこれによるコントラスト強調の程度は、キャリアのシェルを通じた水の拡散のレート(すなわち、水交換レート)によって、また、当該キャリア内の水の量によって、決まるものである。
【0020】
最適な水交換レートは、キャリアの内部のプロトンプールとキャリアの外側のバルク水との化学的シフト差と直接、相関がある。ポリマソーム内部の水分子において誘導される常磁性シフトは、2つの主要な寄与からなる。すなわち、水分子とシフト反応物との間の直接的双極性相互作用に起因した化学的シフト(δdip)と、バルク磁気感受性効果により生じた化学的シフト(δbms)である。全体の常磁性シフトは、これら2つの寄与の合計である。
δ=δdip+δbms(1)
δbmsは、球状の粒子に対してはゼロであるが、異方性粒子にとっては重大なものとなる。非球状の粒子は、磁界において力を受け、これが、当該粒子に当該磁力線と整合させるようにしている。リポソームの場合、それらが燐脂質膜と関連づけられた常磁性分子を帯びる場合、全常磁性シフトがさらに増大されることが可能となることが実証されている。
【0021】
非球状リポソームを用いたCESTについての参考文献は、Terreno, E. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 46, 966-968 (2007)である。
[ポリマソーム]
【0022】
「ポリマソーム」なる文言は、ここでは、キャビティを閉じるポリマシェルを有するナノ小嚢又はマイクロ小嚢を包括的に示すために用いられている。これら小嚢は、好ましくは、ブロック共重合体両親媒性物質により構成されるのが良い。これら合成の両親媒性物質は、脂質のものと同様の両親媒性を有する。それらの両親媒性の特性(比較的高親水性の頭部及び比較的高疎水性の後尾部)により、ブロック共重合体は、リポソームと同様の頭部−後尾及び後尾−頭部の2層構造に自己組織化することになる。
【0023】
リポソームと比較して、ポリマソームは、非常に大なる分子量を有し、数平均分子量は、通常は1000ないし100,000の範囲に及び、好ましくは2500から50,000、より好ましくは5000ないし25000に及ぶものである。
【0024】
「高親水性」及び「高疎水性」なる文言は、相対的な意味で用いられる。すなわち、どちらも、ブロック間の極性の差が前述したポリマソームの形成のために十分である限りにおいて、親水性か又は疎水性となることができる。但し、水が簡単に導入されることのできるキャビティの形成に鑑みると、ポリマの高親水性の端部は本質的に親水性であることが好ましい。
【0025】
さらに、薬剤キャリアとして用いることに鑑みると、疎水性薬剤もポリマソーム中に導入されることのできることが望まれる。このため、ポリマの疎水性端部は、本質的に疎水性であることが好ましい。
【0026】
ブロック共重合体の両親媒性の特性は、高親水性モノマユニットにより構成されたブロック(A)と、高疎水性ユニットにより構成されたブロック(B)とを有するブロック共重合体の形態で実現されるのが好ましく、ブロック共重合体は、一般の構造AnBmを有し、n及びmが、5ないし5000の整数とされ、好ましくは10ないし1000、より好ましくは10ないし500とされる。また、1つ又は複数の他のユニット又はブロックは、例えば中間的な親水性を持つユニットCに組み込まれ、一般的構造AnCpBm(n及びmは上で規定された通りであり、pは5ないし5000の整数であり、好ましくは10ないし1000であり、より好ましくは10ないし500である)を有するターポリマをもたらすようにすることも想定される。当該ブロックのいずれも、それ自体共重合体とすることができ、すなわち、必要な親水性のそれぞれの疎水性特性の異なるモノマユニットを有するものとすることができる。ブロック自体は、ホモポリマとするのが適している。ブロックのいずれも、特に高親水性ブロックは、電荷を帯びるものとすることができる。電荷の数及びタイプは、当該環境のpHに依存するものとすることができる。ブロックのいずれかにおける正及び/又は負の電荷のいずれの組み合わせも、実現可能である。
【0027】
医療診断及び治療のための薬剤の適用性に鑑みると、ポリマブロックは薬学的に許容可能なポリマにより作られるのが好ましい。これの例は、例えば、米国特許出願に係る文献のUS2005/0048110に開示されているようなポリマソーム及び国際特許出願に係る文献のWO2007/075502に開示されているような熱応答性ブロック共重合体を有するポリマソームである。ポリマソームのための材料のさらなる文献には、WO2007081991、WO2006080849、US20050003016、US20050019265及びUS6835394がある。
【0028】
ポリマソーム状構造は、キャビティを閉じるシェルを形成する特性を本質的に有するブロックターポリマのようなブロック共重合体に基づいて生成することができる。
【0029】
本発明において、ポリマソームの使用は、幾つかの有利性の発揮を促進する。
【0030】
CESTのMRI造影剤として用いることについて、シェルのポリマ特性は、様々な所望のユニットを導入する可能性を導く。したがって、例えば、増大したコントラスト強調を達成するため、ポリマ自体は、メタロポリマ(metallopolymer)ユニットの導入、金属を持つポリマユニットの富化、又はこれら双方により常磁性とされることができる。このことは、例えば、ポリマソーム構造の中へランタニド含有脂質を含ませること、又はランタニド含有共重合体を用いることによる富化を指すものである。メタロポリマについての一般的な文献は、D. Wohrle, A. D. Pomogailo "Metal Complexes and Metals in Macromolecules" Wiley-VCH: Weinheim, 2003と、R. D. Archer "Inorganic and Organometallic Polymers" Wiley-VCH: New York, 2001がある。好ましくは、メタロポリマは、ランタニドイオンのような高磁気モーメントを持つ常磁性金属イオンの1つのタイプ又は異なるタイプを有するのが良い。特に適したランタニドには、例えば、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム及びイッテルビウムがある。ランタニド含有メタロポリマに関する文献には、M. J. Allen, R. T. Raines, L. L. Kiessling, Journal of the American Chemical Society 2006, 128, 6534-6535がある。金属イオンは、ポリマ骨格の一部となることができ、或いは金属を封入するリガンドにポリマ鎖を接続するリンカを介してポリマ鎖に結合させられることも可能である。リガンドの適切な封入についての文献には、P. Caravan, J. J. Ellison, T. J. McMurry, R. B. Lauffer, Chemical Reviews 1999, 99, 2293-2352がある。
【0031】
CEST効果は、共重合体のブロックの特性及び/又はポリマ層の厚さにより調整可能である。その理由は、これらパラメータは、当該膜を横断する水交換レートに影響を及ぼすからである。例えば、ポリマの両親媒性の特性は、ポリマソームを通じたプロトン交換レートに作用するために使用可能である。これは、概して、高親水性ブロックと高疎水性ブロックとの長さの比を変えることによって行うことができる。慣例的なリポソームと比較すると、ポリマソームは、これらがマクロファージ摂取となる傾向性が低いので、長い循環となるという利点を有するものと考えられている。
【0032】
本発明によれば、CESTのMRI造影剤におけるポリマソームの使用は、当該造影剤が薬剤キャリアとして用いられる場合に具体的に取り組むことのできる利点をさらに導くものである。例えば、ポリマソーム構造の高い汎用性により、ポリマソームキャビティの中へ薬剤及び常磁性物質の双方を導入すること(そしてこれに伴い薬剤及び常磁性物質の同じ分布を持つこと)を選択することができ、或いはこれら2つを分離し、例えば当該薬剤が当該キャビティに含まれる場合に、当該薬剤及び常磁性物質の異なる分布を形成することを選択することができ、当該常磁性物質は、ポリマシェルに含ませられる。或いは、例えば、キャビティの中に親水性の薬剤を、当該シェルの中に疎水性薬剤を供給することによって薬剤合成をなすことができる。
【0033】
ポリマソームは、半透過性である。一般に、これは、選択的に透過性となる、時としては半透過性とも表現される、或いは部分的に又は区別をつけた形で透過性であるシェルの特性を指すものである。これは、一部開放壁部であり、好ましくは殆どが閉じた壁部(この場合、キャビティを閉じるシェル)であるという意味において基本的に閉じられており、或る特定の分子又はイオンが拡散によりそれを通過することを可能とする構造を示している。
【0034】
ポリマソームの汎用性、すなわち共重合体ブロックの厳密な化学的構造を選択する概略的自由は、生分解性のものとなるよう、又は環境感受性のものとなるよう、又はこれらの双方となるようにポリマが選択される場合に、利点をもって用いることができる。これについては、薬剤キャリアとしての使用についての特定の利点に関し以下に説明する。
【0035】
本発明は、薬剤送達におけるCESTのMR造影剤を用いることの利点をポリマソームの所望の特性と策略的に組み合わせるものである。
【0036】
リポソームと比較すると、ポリマソームは、それらの低臨界凝集濃度により、化学的に高安定性のものであり、漏れ難く、生体膜を侵害する傾向性が低く、かつ動きの少ないものである。こうした特性は、弱いオプソニン作用及び長い循環時間となる。
【0037】
ポリエチレングリコール・ポリ乳酸の加水分解性ジブロック共重合体を含むポリソームは、ドキソルビシンの送達システムとして用いられている(例えば、Ahmed, F.; Discher, D. E. Journal of Controlled Release 2004, 96, (1), 37-53参照)。そこに装填されるポリマソームからのドキソルビシンの放出は、pHにより起動させることができる。Ahmed et al., Molecular Pharmaceutics 2006, 3, (3), 340-350を参照されたい。ポリマソームの生体内安定性は、特定の用途に対して所望されるよう調整可能である。
【0038】
薬剤送達処理を外部誘導することが可能であるが、薬剤送達処理自体は、本発明の前に適用される方法において画像化することができず、治療介入の不十分な全体制御となる。例えば、ポルフィリン系フルオロフォアが装填されるポリマソームを、ラットにおける体内光学イメージングのためにNIR放出プローブとして利用することができる。Ghoroghchian氏らのProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2005, 102, (8), 2922-2927を参照されたい。
【0039】
しかしながら、光学イメージングの大きな不具合は、光の限定した貫通深度であり、現在、動物から人間まで光学イメージングの変換を妨げるものとなっている。本発明において用いられるCESTコントラスト強調は、人の体内MRイメージングを行うのに良好に適している。
【0040】
本発明の薬剤は、薬剤放出の前に生物学的活性(バイオアクティブ)の化合物が装填されたポリマソームの空間分布の分析のために良く適したものである。さらに、CESTのMR信号の強度は、放出される薬剤の量に対応し、体内の送達薬剤ドースの量的な制御を見越すものである。疾病部分におけるポリマソームからの薬剤の放出は、刺激(例えば、RF又は超音波を用いた局部加熱、pH、それらに応答するジブロック共重合体の導入による(生分解性の)ポリマ鎖の(酵素的)加水分解)によって起動させられることができる。
【0041】
本発明の他の利点は、コントラスト強調を自由自在にオンオフ切り換えることができることを含む。さらに、CEST効果は、共重合体の(生分解性の)ブロックの特性及び/又はポリマ層の厚さにより調整可能である。これは、こうしたパラメータが、当該膜を横断する水交換のレートに作用するからである。2つのプロトンプール、すなわちポリマソーム内のプールとその周囲環境におけるプールとの間の化学的シフト差は、ポリマ2層構造体内、例えば脂質を含有するランタニド又は共重合体を含有するランタニドにおける常磁性化合物の前述した導入により増幅されることが可能である。リポソームとは対照的に、ポリマソームは、両親媒性の分子当たりの単一の常磁性錯体の代わりに、洗練されたメタロポリマ又は金属富化ポリマの組み入れを見越す、という付加的利点を奏する。これは、非常に有益であり、その理由は、封入された水とバルク水との化学シフト差は、常磁性化合物の量に対応するからである。
【0042】
こうした様々な利点は、全て、CEST造影剤としてポリマソームに基づいた本発明により奏される画像誘導治療及び分子MRイメージングの機会に寄与する。
【0043】
ポリマソーム及びその製造についてのさらなる背景については、文献として、Antonietti氏らによるAdv.Mater.2003, 15, No16及びSoo氏らによるJ.Pol.Sci.Part B: Polymer Physics, Vol.42, 923-938 (2004)がある。
[薬剤キャリア]
【0044】
薬剤キャリアは、MRIにかけるべき人の身体の中へ導入すべきものである。これは、例えば、血流への注射によるもの、又は体液へ当該キャリアを導入するための他の方法によるものとなる。
【0045】
薬剤は、病気又は不調の治療、療養、予防又は診断に用いられ、又はこれらとは別に肉体的若しくは精神的健康を増進するために用いられる化学物質である。本発明により予見される誘導送達は、主に、治療剤(すなわち、厳密な意味において病気又は不調の治療又は予防のために意図される薬剤)に対して有益なものとなるが、診断目的で投与される薬剤にも有益となる。他の生物学的活性物質、すなわち機能的食品原料のような治療用又は診断用のものではないものは、概して、誘導及び/又は監視される送達にかけられることがないが、このようなものは、必要に応じて本発明を用いて行うことができる。
【0046】
本発明の最も適した使用は、目標とされた治療、すなわち、目標とされた送達のために意図される薬剤の場合に得られる。このような送達は、生来的に、本発明により利用可能とされる監視から最も利益を奏することになるからである。これは、例えば、その場で送達すべき腫瘍の治療における薬剤、冠状動脈におけるアテローム性動脈硬化症のような心疾患の治療又は予防における薬剤、又は(例えば、血液クロスを局部的に溶かすための)抗血栓剤、若しくはてんかん、アルツハイマ病、パーキンソン病又は脳卒中のような神経状態の治療において用いることのできるような神経修飾物質などの血液脳関門を通過する必要のある薬剤に属するものである。標的薬剤送達の誘導及び監視による利益は、目標とされた診断用薬剤にも適用可能である。目標とされた治療と同様に、ここでは、癌も、部位特異の送達が重要なものとなり得る領域である。
【0047】
本発明における使用に適した生物学的活性物質は、治療薬剤、内因性分子を含む生物学的活性薬剤と、抗体、栄養分子、診断用薬剤及び画像形成のための付加的造影剤を含む薬理活性物質とを含む。ここで用いられるように、活性物質は、活性物質の薬理学的に許容可能な塩を含む。
【0048】
本発明のポリマソームに基づく薬剤キャリアは、親水性又は疎水性の生物活性物質を有することができる。親水性の生物活性物質は、当該キャリアの含水区分に封入されることができ、又は粒子シェルの高親水性部分に関連づけられることができ、又はその分布がこれらオプションの組み合わせを含むことができるのに対して、疎水性の生物活性物質は、例えばポリマソームシェルにおいて当該キャリアの疎水性領域に組み入れられることができる。核酸、炭水化物及び一般には蛋白質及びペプチドは、水溶性又は親水性である。例えば、小分子、脂質、リポ多糖類、ポリヌクレオチド及びアンチセンスヌクレオチド(遺伝子治療物質)である生物活性物質も想定される。したがって、組み入れ可能なこのような生物学的に活性の物質は、非ペプチド、非蛋白質薬剤を含む。本発明の範囲内では、ポリマ特性の薬剤を導入することができるが、1500g/mol未満、又はさらに低い500g/mol未満の比較的小分子量の薬剤を導入することもできる。
【0049】
したがって、本発明の内容における生物活性物質としての使用に想定される化合物は、治療効果又は予防効果を伴う化合物を含む。これは、組織成長、細胞成長、細胞分化に作用し又は関与する化合物、免疫反応のような生物学的活動を引き起こすことのできる化合物、又は1つ又は複数の生物学的過程における他の役割を担うことのできる化合物とすることができる。
【0050】
比較的小さいペプチドは、アミノ酸(例えば、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド)の数により選ばれるようにしてもよい。比較的少数のアミド結合を持つペプチドは、オリゴペプチド(最大50のアミノ酸)とも呼ばれることもあるのに対し、比較的多数のもの(50のアミノ酸を超える)を持つペプチドは、ポリペプチド又は蛋白質と呼ばれることがある。アミノ酸残基のポリマであることに加えて、或る特定の蛋白質は、いわゆる四次構造、アミド結合により必然的に化学的に結合されないが当業者には一般的に知られている力(静電力及びファンデルヴァールス力)によって結合される多数のポリペプチドの集成体をさらに特徴とすることができる。ここで用いられるようなペプチド、蛋白質又はその混合物なる文言は、上述した実現形態の全てを含むものである。
【0051】
大抵、蛋白質及び/又はペプチドは、その生物学的活動に基づいて選択される。選択されるポリマのタイプによって、本プロセスにより得られうる生成物は、蛋白質及びペプチドの規制された放出のために非常に適している。特定の実施例において、蛋白質又はペプチドは、成長ファクタである。
【0052】
ペプチド若しくは蛋白質、又は装填されるポリマに有利な形態で含まれることのできるペプチド又は蛋白質を有する物質の他の例は、限定はしないが、免疫原性ペプチド又は免疫原性蛋白質を含む。
【0053】
水溶性である生物活性物質とは別に、抗酸化物質、イオン、キレート試薬、染料、イメージング化合物など、他の水溶性化合物を導入することができる。
【0054】
好ましい治療剤は、癌(例えば、抗癌のもの)及び心疾患の領域におかれる。
【0055】
ナノ粒子又はポリマソーム調合物のために適した脂肪親和性薬剤誘導体を調合する方法は、当該技術において知られている(例えば、米国特許出願に係る文献のUS5,534,499は、燐脂質の脂肪酸鎖に対する治療剤の共有結合を記述している)。本発明における薬剤は、プロドラッグとすることもできる。
【0056】
当該薬剤は、当該キャリアの区分の内部、外部又はこれら双方において、例えば、ポリマソームのキャビティ及び/又はシェルに存在するようにすることができる。薬剤の分布は、常磁性化学シフト反応物又は常磁性剤のような薬剤キャリアに含まれる他の薬剤の分布とは独立している。薬剤の組み合わせを用いることができ、これら薬剤のいずれも、薬剤キャリアの区分の内部、外部又はこれら双方に、例えばポリマソームのキャビティ及び/又はシェルに存在するようにすることができる。
[環境感受性キャリア]
【0057】
これは、例えば、外部作用(例えば熱、pH)により影響を受けうる完全性を有するポリマシェルを有するポリマソーム、ガス状コア及び/又はガス状レイヤを有するポリマソーム、外部印加される超音波周波数/波長及び強度に感応性のあるポリマソームを指すものである。このようなポリマソームは、適切な環境条件を適用することにより所望される時と場所で、薬剤を放出するよう起動させることができる(その放出は、CEST効果により監視することができる)。さらに、これは、適切な状態を本質的に有する体の箇所において薬剤又は診断薬を放出(及び当該放出を監視)するために用いることができる。このような状態の例として、腫瘍細胞における一般に減少するpHについて説明する。
【0058】
環境感受性も、生分解性であるポリマを参照することができる。これは、例えば、人の体において見出される環境下での所定の寿命を有するCESTのMRI造影剤、特にこれに基づく薬剤キャリアを生成するために用いることができる。これらの寿命の終わりにおいて、かかるキャリアは分解することになり、その結果、CEST効果は消失し、現れなくなる(これにより、薬剤キャリアの分解の間接的な判定を可能にする)。
【0059】
本発明は、好ましくは熱感受性のキャリアを規定するものである。これは、当該キャリアの物理的又は化学的状態がその温度に依存することを意味している。
【0060】
関心分子をパッケージ化することができかつ体温(すなわち37℃)で状態を維持するものの被検体が許容することのできる他の非体温で崩壊する熱感受性キャリアを用いることができる。本発明のキャリアは、限定はしないが、熱感受性のマイクロ及びナノ粒子、熱感受性ポリマソーム、熱感受性ナノ小嚢及び熱感受性ナノスフェアを含むものであり、これら全てはポリマに基づいたものである。
【0061】
熱感受性ナノ小嚢は、概して最大100nmの直径を有する。この発明の内容において、100nmより大なる、通常は最大5000nmの小嚢は、マイクロ小嚢とみなされる。小嚢なる文言は、何らかのタイプのマイクロ又はナノ小嚢を言うものである。熱感受性ナノスフェアは、限定はしないが、5ナノメートルよりも小さい球体を含む。ナノスフェアは、大抵、キャビティを含まず、すなわち、本発明のこの実施例では、CEST効果は、ナノスフェアに含まれる常磁性化学シフト物質自体の化学シフトされたプロトンにより純粋に実現されるのが良い。これは、ナノスフェアを局在化するために有益である。薬剤放出の監視のために、薬剤放出により影響を受けるCEST効果を持つキャリアを用いることは好ましいものとなる。よって、キャビティを有するポリマソームが好適である。
【0062】
熱感受性ポリマソームは、延ばされた半減期を有するもの、例えばペグ化されたポリマソームを含む。
【0063】
この説明において、シェルの半透過性は、概して、MR検体が拡散によりそれを通過させることができるその能力を指すものである。よって、検体(水、又はプロトンを有する他の小分子など)とシェル(両親媒性ポリマ2層構造のようなもの)との組み合わせが、当該検体が拡散により当該シェルを通じることができるなものとする場合に、化学シフト物質又は親水性薬剤などの他の分子は当該膜を通過することができない。
【0064】
半透過性シェルを有する環境感受性キャリアについての文献には、例えば、米国特許出願に係る文献のUS6,726,925、US2006/0057192,US2007/0077230A1及び日本特許出願に係る文献のJP2006−306794がある。他の文献は、特に、Ahmed, F.; Discher, D. E. Journal of Controlled Release 2004, 96, (1), 37-53; Ahmed, F.; Pakunlu, R. I.; Srinivas, G.; Brannan, A.; Bates, F.; Klein, M. L.; Minko, T.; Discher, D. E. Molecular Pharmaceutics 2006, 3. (3), 340-350; 及びGhoroghchian, P. P.; Frail, P. R.; Susumu, K.; Blessington, D.; Brannan, A.K.; Bates, F. S.; Chance, B.; Hammer, D. A.; Therien, M. J. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2005, 102, (8), 2922-2927が参照される。この発明の説明に基づいて、これら開示内容の参照により、当業者は、環境感受性ポリマソームを用いてCESTコントラスト強調を行うことができる筈である。
【0065】
本発明における使用のための熱感受性ポリマソームは、理想的には、約37℃、すなわち人の体温でそれらの構造を保持するが、これより高い温度、好ましくは人の体温よりもほんの少しだけ上昇した温度で、またこれも好ましくは発熱体温より上の温度で崩壊する。通常は、約42℃が、熱誘導(局部)薬剤送達のための非常に有益な温度である。好ましくは、高度に局在化した高熱を誘導することのできる集中的エネルギ源を用いることにより、生理学的に許容可能な方法で加熱することができる。このエネルギは、例えばマイクロ波、超音波、磁気誘導、赤外線又は光エネルギにより供給可能である。
【0066】
本発明のポリマソーム内の薬剤又は他の生物活性物質の捕捉は、当該技術における慣例的な方法を用いて実行することもできる。本発明のポリマソーム組成を調合する際に、酸化防止剤及びその他の添加剤のような安定剤を、それらが本発明の目的に支障を来さない限り、用いることができる。例として、N−イソプロピルアクリルアミド(Bioconjug. Chem. 10:412-8 (1999))がある。
【0067】
キャビティを閉じる半透明性シェルに基づいたポリマソーム及び他の可能性のあるキャリアは、概して球形とされることになる。本発明における使用のため、このような球状キャリアを非球面とすることは好ましい。例えば、ポリマソームの場合、これは、当該ポリマソームを、高張緩衝液、つまりポリマソームの内部の溶液に比較して高い浸透度を持つ緩衝液に対する透析処理にかけることにより行われる。この透析は、ポリマソームの内部から当該バルク液への水の正味の拡散を生じさせる。これにより、ポリマソームの全内部容積を減らすことになる。ポリマソームの表面領域が一定のままなので、当該容積減少は、強制的にポリマソームを変形させ、ディスク状、葉巻状又は他の非球体状の如き非球面形状を呈するようにする。
[常磁性化学シフト反応物]
【0068】
本発明において、常磁性シフト反応物は、当該キャリアにおける任意の形態で具備することができる。反応物及びプールの双方をキャリアのキャビティにおいて有することによって、シフト反応物をプロトンのプールとの十分な相互作用をさせることは好ましい。
【0069】
1つ又は複数の常磁性化学シフト反応物は、基本的に、含有母体である溶液又は分散剤の比較的多数の水分子を、バルク水分子の周囲プロトンに対して、それらのMR共振周波数について化学的にシフトされるプロトンのプールに変換するのに適した常磁性物質とすることができる。ポリマソームがそれらの環境によるプロトンの交換を根本的に可能とするシェルを有するので、選択的RFパルスにより生じる飽和は、装填された感熱性薬剤キャリアの環境に転換されることになる。したがって、磁気共鳴イメージングを行うことにより、感熱性薬剤キャリアの直接環境は、他のバルク水分子と比較して低減された信号強度を示すことになり、これにより、低減された信号強度により造影剤の直接環境を検出することができる。常磁性化学シフト反応物は、常磁性化合物、すなわち常磁性の特性を有する何らかの化合物を有するものである。好ましくは、常磁性化合物は、常磁性金属イオン、例えば、キレートリガンドにより複合化された金属イオンを有する。常磁性金属イオンは、当業者には知られており、ここでの説明は必要としない。例えば、クロム、マンガン、鉄を明確に含む早期及び後期の遷移金属や、ガドリニウム、ユーロピウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムなどのランタニドがある。
【0070】
常磁性化学シフト反応物は、常磁性金属に強力に結合することができ、当該金属が水又は他の適切なプロトン源と相互作用をなすことを可能にするキレート構造を有することとなる。適切なキレート構造に関しては、P. Caravan et al., Chem. Rev., 99, 2293-2352 (1999)を参照されたい。好ましくは、水は、常磁性反応物の金属に少なくとも一時的に配位結合させられるのが良い。常磁性シフトメカニズムに関しては、J. A. Peters et al., Prog. Nucl. Magn. Reson. Spectr., 28, 283-350 (1999)を参照されたい。一実施例において、キレート構造自体は、交換可能プロトン、例えば、ヒドロキシ、アミン又はアミドプロトンも有する。
【0071】
適切なのは、常磁性化学シフト反応物は、キレート構造により配位結合されたランタノイドイオン、例えば、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(Hdota)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−α,α',α'',α'''−テトラメチル−1,4,7,10−四酢酸(Hdotma)、及び常磁性反応物における軸について配位結合された水分子を見越す関連リガンドから得られる大環状ランタニド(III)と配位結合されたランタニドイオンを有する。この点については、Aime et al., Angew. Chem. Int. Ed., 44, 5513-5515 (2005)を参照されたい。同一の若しくは同等の又は異なるキレートユニットは、樹枝状又はポリマ化学シフト反応物を提供する樹枝的又はポリマの構造において組み合わせられる。樹枝状の又はポリマの常磁性化合物を用いる一般的利点は、常磁性金属複合体の高効率な濃度は、単環の常磁性化合物を用いたときのケースと同様に当該溶液の浸透性を増加させることなく、得ることができる。ここで、E. Terreno, A. Barge, L. Beltrami, G. Cravotto, D. D. Castelli, F. Fedeli, B. Jebasingh, S. Aime, Chemical Communications, 2008, 600-602を参照されたい。
【0072】
好ましくは、常磁性化学シフト反応物は、水溶性であるのが良い。適切な化学シフト反応物は、当業者に知られている。CEST造影剤は、当該シフト反応物及びプロトンのプールが化学的にシフトされたプロトンのプールをもたらすのに十分な相互作用を有する限りにおいて、特別な化学シフト反応物を必要としない。
【0073】
好ましくは、常磁性シフト反応物は、金属イオンと、多座キレートリガンドに基づいたリガンドとを有する金属複合体である。より好ましくは、化学シフトのプロトンのプールとの相互作用は、配位の形態で呈される。したがって、当該金属複合体は、少なくとも1つの水分子の配位のために開放されたままの金属の少なくとも1つの配位部位を有することが好ましい。
【0074】
適切な水溶性化学シフト反応物の例には、[Ln(hpdo3a)(H0)](1)、[Ln(dota)(HO)](2)、[Ln(dotma)(HO)](3)、[Ln(dotam)(HO)]3+(4)、[Ln(dtpa)(HO)]2−(5)があり、その誘導体及び関連の化合物を含み、ここでのLnはランタニドイオンとしている。
【0075】
好ましくは、常磁性化学シフト反応物は、以下の式1〜5のようなランタニド錯体とするのが良い。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【0076】
ここで、ランタニドは、Eu3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+であり、好ましくはTm3+又はDy3+とするのが良い。
【0077】
常磁性化学シフト反応物は、1mMないし2000mMの、好ましくは10mMないし1000mMの、より好ましくは50mMないし200mMの量の物質に含まれるのが普通である。
【0078】
上述した金属含有化合物は、溶かすことができ、乳化可能であり、懸濁可能であり、又は当該キャビティ、すなわちポリマソームの内部区分において均質又は不均質に分布した他の形態のものとすることができる。或いは、少なくとも1つの共有結合又は非共有結合により又はそれらの組み合わせにより、ポリマソームの外側区分に結合されることができる。さらに、同じ又は少なくとも1つの異なる金属含有化合物は、当該区分のいずれかに同時に存在するものとすることができる。
【0079】
常磁性物質及び薬剤は、当該薬剤自体が適切な金属を有する場合、同一のものとすることが考えられる。
[他のコントラスト強調物質]
【0080】
本発明の造影剤は、T,T又はT還元剤を有することができる。この点については、Aime et al., Journal of the American Chemical Society, 2007, 129, 2430-2431を参照されたい。この態様において、T,T又はT及びCEST造影剤について一体化された概念が実現される。
【0081】
感熱性薬剤キャリアの内部とバルク水プロトンとの化学シフト差は、感熱性薬剤キャリア膜に他の常磁性物質であって必ずしも化学シフト反応物ではないものを付与することによってさらに強調することができる。したがって、磁界における非球面キャリアの配向が影響を受け、前述したバルク感受性効果が強調される。他の常磁性物質は、ランタニド錯体(両親媒性化合物のより極性化した部位上)を有し、疎水性分子相互作用に基づいて感熱性薬剤キャリアの表面における脂質2層構造に好ましくは一体化して整合するような傾向を有する無極の尾部を有する両親媒性化合物とするのが好ましい。
【0082】
これら両親媒性の常磁性複合体は、例えば、次のようにすることができる。
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【0083】
ポリマソームシェルのポリマ特性は、ポリマ自体がメタロポリマユニットの組み入れ、金属によるポリマユニットの富化又はこれらの双方により常磁性のものとすることができる実現性を導くものである。これは、例えば、ポリマソーム構造にランタニドを基礎とした脂質を含ませることによる、又は前述において概説したようなランタニドを基礎とした共重合体を用いることによる富化を指している。
【0084】
オプションの膜に関連した常磁性物質におけるランタニドイオンは、造影剤のキャビティ内のランタニドと一致するものとしてもよいし又は異なるものとしてもよい。
【0085】
本発明により規定されるように、常磁性化学シフト反応物は、感熱性薬剤キャリアに封入されることが可能である。この態様において、水プロトンのプールは、当該キャリアの周りのバルク水のものと比較して異なる化学シフトを有するものが形成される。これら化学シフトされた水プロトンの磁気共鳴は、十分に狭い帯域幅のRFパルスにより飽和させられることができる。造影剤の内部における水分子が当該造影剤の周りのバルク水分子と素早く交換しているので、この飽和は、バルク水に転移させられる。
【0086】
よって、実用上用いられるときには、感熱性薬剤キャリアに基づくCEST造影剤の位置において、周囲の水(すなわち、体内における好適使用時の体液)は、CEST強調されたMR画像におけるハイポインテンス(hypointense)領域として視認することができることになる。CEST強調されたMRIにより、交換可能な水共鳴が励起前に選択的に飽和させられた慣例的MRIを示唆するものである。飽和のために用いられるRFパルスは、通常、数ヘルツから数100ヘルツの帯域幅を有する。当該パルスの適切な周波数は、仮の又は臨床前のCEST−MRI試験から大抵はアプリオリなものとして知られているが、実際の臨床MRI検査の間に最適化されることもできる。
【0087】
したがって、本発明のキャリアは、キャリアが開放される前のいずれかの時点でMRIにより検出可能である。これらキャリアがT又はT造影剤を付加的に有する場合、キャリアの開放により薬剤放出ステップを検出することができる。CESTコントラスト強調は、当該シェルが閉じて飽和したプロトンの交換が拡散により起きることが可能となる限りにおいて機能することになり、T又はTコントラスト強調は、これら造影剤がバルク水(すなわち、当該造影剤がシェルの開放により放出されたときの体液)と相互作用することができるようにされたときにその作用を示すことになる。
【0088】
本発明によるCEST造影剤は、様々な方法で使用することができる。これらは、水性の環境でMRIコントラストの所望のレベルを生成するように適用可能である。感熱性薬剤キャリアを用いることのメリットが最も享受されるところでもあるその主たる使用は、体内用途における局部MRIコントラストを生成することである。これは、造影剤を導入することにより、例えば、生体好ましくは人体の血液又は他の体液への注射により、当該体の全体又は一部において当該体のCESTコントラスト強調MRIスキャンを行うことにより実現可能である。発生したバルク水分子のCESTコントラスト強調は、正規の体液存在が乱されているところの腫瘍などのスポットの視認を可能にする。また、脂質シェルにおける本発明の造影剤は、疾病に特有の分子プローブとともに、例えば、当該キャリアの表面の中へ貫通するのに適した化合物処理疎水性尾部を持つことにより(例えば、燐脂質表面の場合)、提供されることができ、当該化合物の他端は、必要に応じてリガンド(すなわち、目標とされた結合のための生化学的リガンド)を含むものとしている。
【0089】
これにより、造影剤は、後の段階でMRIにより視認可能とすることのできる所望の又は疑いのある体の部位に優先的に位置することができる。これは、局所的輸送のために本発明の薬剤キャリアの適応性に加わるものである。
【0090】
本発明のCEST造影剤は、当該キャリアの外にある流体との交換をなす当該キャリア内のプロトンのプールに基づいて振る舞うのが好ましい。この交換は、水−プロトン伝送により行うことができ、ポリマソームのシェルを通過できるほどに小さい他の分子からのプロトン伝送によっても行うことができる。
【0091】
要約すると、これまでに説明したものは、常磁性物質を具備したポリマソームを有する磁気共鳴映像法(MRI)のための化学的交換依存型飽和転送(CEST)である。ポリマソームは、キャビティを閉じるポリマシェルを有するのが好ましく、当該キャビティは、プロトン検体の拡散を可能にする。ポリマソームに基づいたCESTのMRI造影剤は、MRI誘導薬剤放出において有益な薬剤キャリアとして適している。
【0092】
本発明は、これまで説明した実施例及び式に限定されないことに留意されたい。また、請求項において「有する」なる文言が他の要素又はステップを排除しないことも留意されたい。「1つの」、「1の」、「その」といった名詞の単数表現は、他に何か特段の言及がない限り、その名詞の複数を含むものである。
【0093】
本発明は、次の非限定的具体例及び添付の非限定的図面を参照して例示されるものである。
[具体例]
【0094】
本例において用いられる省略形は、これまで用いられていないところでは、PBDはポリ(ブタジエン)、PEOはポリ(エチレンオキシド)、HEPESは(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)である。
【0095】
100〜150nmの平均直径を持つポリマ小嚢は、連続射出と結合した薄膜水和作用技術により形成される。端的に言えば、Mn(g/mol):PBD(2500)−b−PEO(1300)、PD=1.04及びfEO=0.34のポリ(ブタジエン(1,2−addition)−b−エチレンオキシド)は、CHCLに溶かされる。溶媒は、低減された圧力の下でゆっくりと除去され、薄いポリマ膜が得られる。この膜は、65mM[Tm(hpdo3a)(HO)]及び5mMカルボキシフルオレセインを含む20mMHEPES溶液において水化させられる。ポリマ小嚢の単分散は、30分にわたり50℃の音波処理を行い、その後に−177℃の液体窒素及び50℃の水浴を用いて真空状態の下で3つの凍結融解サイクルを行うことによって得られる。その後、分散は、1μm、0.4μm、0.2μm及び0.1μmの孔径を持つポリカーボネートフィルタを通じて複数回押し出される。ポリマソームの平均半径は、動的光散乱によって測定される。ブロック共重合体小嚢の形状は、低温透過電子顕微鏡法により調べられる。得られるポリマソームは、脂質膜の水和作用の後に捕捉されないカルボキシフルオレセイン及び[Tm(hpdo3a)(HO)]を除去するために4℃で一夜にわたり透析させられる。透析は、高イオン強度(0.3MのNaClを含有する20mMのHEPES緩衝剤)を有する緩衝剤に対して行われる。当該内部における[Tm(hpdo3a)(HO)]を有するポリマソームのCEST効果は、飽和周波数オフセットの関数として(図3)、飽和RFパワーの関数として(図4)、時間の関数として(図5)、そして濃度Triton X-100の関数として(図6)、調べられる。これらの目的のため、5mmガラスNMR管には、0.5mLのポリマソーム配合物が充填される。全てのCEST−MRデータは、交換可能プロトン共鳴の選択的な事前の飽和のための標準的連続波照射(2秒パルス持続長、定振幅)を用いて7テスラでBruker Avance 300 NMR分光計に記録される。通常、117の個々の1次元のH−MRスペクトルは、水の共鳴周波数を中心としかつ単一の2DのNMRデータセットに格納されている事前飽和オフセット周波数(1000Hzまでは100Hz間隔、そして4000Hzまでは200Hz間隔、また10000Hzまでは400Hz間隔、さらに20200Hzまでは600Hz間隔)の異なる値で取り込まれる。Zスペクトルを復元するため、当該2Dデータセットにおける各個別のスペクトルの水信号は、積分され当該事前飽和オフセット周波数の関数としてプロットされる。このZスペクトルから、式1及び2を用いてCEST効果が判定される。
CEST効果=(M−M)/M×100% (式1)
CEST効果=(M−M)/M×100% (式2)
【0096】
ここで、Mは、特定オフセット周波数(例えば、造影剤の交換可能プロトン共鳴周波数)において印加されるRF飽和パルスの後のバルク水強度である。Mは、RF飽和パルスが、非選択的飽和例えば直接水飽和のために補正するようバルク水信号の反対側において対称的に印加される基準の実験のバルク水強度である。Mは、無限のオフセット周波数(−200kHz)におけるバルク水強度である。
[図毎の説明]
【0097】
図1は、ポリマソームに基づいたCESTのMRI造影剤の概略的な図である。[Tm(hpdo3a)(HO)]のような常磁性化学シフト物質の封入は、化学的にシフトされこれによりRFパルス(図1a)により選択的に飽和させられることが可能なプロトンのプールを提供する。磁気飽和は、ポリマソームの外側のバルク水分子に転換されることができ、これにより、コントラスト強調の程度は、ポリマ2層構造を通じる水の拡散のレートにより、そしてポリマソーム(図1b)のルーメンにおける水の量により判定される。
【0098】
図2は、画像誘導薬剤輸送のためのポリマソームの概略図である。親水性の薬剤及び画像形成剤は、含水区分に封入される。疎水性薬剤は、ポリマ2層構造の疎水性領域に組み入れられる。
【0099】
図3は、310K及び7T(左)で異なる事前飽和パワーレベルの印加をした後の緩衝剤溶液(20mMのHEPES、pH7.4)における65mMの[Tm(hpdo3a)(HO)]が充填されたポリマソームのZスペクトルを示している。CEST効果対パワーレベル(右)が示される。ポリマソームのルーメンにおける水とバルク水分子との化学的交換の効果は、(M−M)/M×100%(式1)から推定することでできる。ここで、Mは、当該ポリマソームの内部における水の飽和の後の水プロトン信号の振幅であり、Mは、逆周波数オフセットにおける制御照射の下でのバルク水プロトン信号の強度であり、Mは、−200kHzのオフセット周波数で飽和の後の水プロトン信号の振幅である。
【0100】
図4は、310K及び7Tでのパワーレベルの関数として[Tm(hpdo3a)(HO)]が装填されたポリマソームのCEST効果を示している。ポリマソームの管腔における水とバルク水分子との化学的交換の効果は、(M−M)/M×100%(式1)及び(M−M)/M×100%(式2)から推定することができる。ここでMは、ポリマソームの内部における水の飽和後の水プロトン信号の振幅であり、Mは、逆周波数オフセットにおける制御照射の下でのバルク水プロトン信号の強度であり、Mは、−200kHzのオフセット周波数における飽和後の水プロトン信号の振幅である。図3との比較のため、44dB〜9.6E−6T、48dB〜6.4E−6T、52dB〜1.2E−6Tとしている。
【0101】
図5は、323Kで44dBのパワーレベルでのポリマソームに基づいたCESTのMRI造影剤のCEST効果を示している。(式1による)CEST効果対オフセット周波数(左)が示される。時間の関数としての最大CEST効果が示される(右)。
【0102】
図6は、323KでTriton X-100の提供における[Tm(hpdo3a)(HO)]が装填されたポリマソームのCEST効果を示している。このCEST効果は、ポリマソームからの[Tm(hpdo3a)(HO)]の放出を示すTriton X-100のより高い濃度に移行するにつれて減少する。さらに、化学的にシフトされたイントラポリマソームの水のオフセット周波数は、Triton X-100の濃度の関数として減少する(右)。
【0103】
図7は、異なる温度(λex=488nm及びλem=512nm)での緩衝剤溶液(20mMのHEPES、0.3NのNaCl、pH7.4)における5mMのカルボキシフルオレセイン及び65mMの[Tm(hpdo3a)(HO)]が装填されたポリマソームの正規化された蛍光強度を示している。20℃において、正規化蛍光強度は、時間について一定であり、自己消光が観察される。Triton X-100の付加により(1240分後)、蛍光プローブは、ポリマソームから放出され、周囲の媒体において希釈され、蛍光強度は増大し、カルボキシフルオレセインの自己消光が観察されない。より高い温度においては、蛍光の強度は時間とともに増加し、50℃において蛍光信号の飽和が約6時間後に検出される。この信号は50℃で飽和するように見えるが、Triton X-100の付加は、当該蛍光の付加的増加をもたらすことになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常磁性物質を具備したポリマソームを有する磁気共鳴映像法(MRI)のための化学的交換飽和移動(CEST)用造影剤。
【請求項2】
請求項1に記載の造影剤であって、前記ポリマソームは、キャビティを閉じるポリマシェルを有し、前記キャビティは、プロトン検体のプールを有し、前記シェルは、前記プロトン検体の拡散を可能にする、造影剤。
【請求項3】
請求項2に記載の造影剤であって、前記キャビティは、常磁性化学シフト反応物を有する、造影剤。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のCEST用MRIのための造影剤であって、前記ポリマシェルは、両親媒性ポリマの2層構造を有する、造影剤。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちいずれか1つに記載のCEST用MRIのための造影剤であって、非球面形状を有する造影剤。
【請求項6】
請求項2ないし5のうちいずれか1つに記載のCEST用MRIのための造影剤であって、前記プロトン検体のプールは、水を有する、造影剤。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちいずれか1つに記載のCEST用MRIのための造影剤であって、常磁性化学シフト反応物として、金属イオンと多座キレートリガンドに基づいたリガンドとを有する金属錯体を有する造影剤。
【請求項8】
請求項7に記載のCEST用MRIのための造影剤であって、前記金属錯体は、少なくとも1つの水分子の配位のために前記金属の少なくとも1つの配位部位を開放したままとする、造影剤。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちいずれか1つに記載のCEST用MRIのための造影剤であって、その外側表面に常磁性物質を有する造影剤。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちいずれか1つに記載のCEST用MRIのための造影剤であって、前記ポリマシェルは、メタロポリマユニット、メタル富化ユニット、及びこれらの混合物から選択される複数の金属含有ユニットを有する、造影剤。
【請求項11】
請求項2ないし10のうちいずれか1つに記載のCEST用MRIのための造影剤であって、前記ポリマシェルは、環境感受性を有する、造影剤。
【請求項12】
請求項11に記載のCEST用MRIのための造影剤と薬剤とを有する、局部的薬剤輸送のために適合された薬剤キャリア。
【請求項13】
被検体に対する生物学的活性物質のMRI誘導型輸送のための方法であって、請求項12に記載の薬剤キャリアの前記被検体に対する投与と、当該投与された薬剤キャリアにより提供されたCESTコントラスト強調を用いてMR画像をレンダリングすることと、前記薬剤キャリアが前記生物学的活性物質を放出することを可能にすることと、を有する方法。
【請求項14】
請求項1ないし11のうちいずれか1つに記載のCEST用MRI造影剤を薬剤キャリアとして使用する方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記ポリマソームは、非球面形状を有しかつ前記検体と実質的に相互作用する常磁性シフト反応物を有しない、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−505896(P2011−505896A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536573(P2010−536573)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/IB2008/055098
【国際公開番号】WO2009/072079
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】