説明

画像読取装置、およびこれを備えた画像形成装置

【課題】ミラーを支持するキャリッジに配設されたプーリーの位置調整を、精度良く実現することが可能な画像読取装置を提供する。
【解決手段】第2キャリッジ50は、ミラーと、メインプレート510と、支持プレート520と、を備える。ミラーは、ミラー開口部511Bに配置される。ワイヤーが、支持プレート520のプーリーシャフト524に配設されたプーリーに巻回される。該ワイヤーによって、第2キャリッジ50が副走査方向(左右方向)に移動される。支持プレート520は、第1長穴525、第2長穴526に沿って、副走査方向にスライド移動し、位置調整されたのち、メインプレート510に締結される。支持プレート520のスライド移動に際し、先端部524Aが、メインプレート510の第1当接面515Aに当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿から画像を読み取る画像読取装置、およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿から画像を読み取り、該画像に応じて画像データを出力する画像読取装置として、特許文献1に記載の技術が知られている。このような技術では、画像読取装置は、プラテンガラスと、第1キャリッジと、第2キャリッジとを備える。プラテンガラスの上面には、原稿が載置される。第1キャリッジは、プラテンガラスに載置された原稿に光を照射する光源と、原稿から反射された画像光を反射する第1ミラーとを備える。第2キャリッジは、第1ミラーの反射光を反射する第2ミラーと、第2ミラーからの反射光を更に反射する第3ミラーとを備える。第1キャリッジおよび第2キャリッジは、画像光の走査方向である主走査方向と直交する副走査方向に、移動可能とされる。
【0003】
第1および第2キャリッジの主走査方向両端部には、副走査方向に第1および第2キャリッジを移動させるための一対のワイヤーが引き回される。第1および第2キャリッジには、該ワイヤーが巻回されるプーリーが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−292973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような技術において、一対のプーリーの副走査方向における位置がずれた場合、キャリッジを移動させる一対のワイヤーの長さが、両端間で揃わなくなる。このため、キャリッジ上に配置されるミラーが、主走査方向に対して傾斜して配置される。この結果、読取画像に傾斜や倍率上の不具合が生じる。そこで、特許文献1に記載された技術には、キャリッジに対して、プーリーを移動可能に支持する支持部材が開示されている。該支持部材がキャリッジに対して、移動されることで、プーリーの副走査方向における位置調整が行われ、ワイヤーの長さが調整される。
【0006】
しかしながら、前記プーリーには、副走査方向において、互いに逆方向となる2つの方向に向かって、ワイヤーが張架される。そして、該2つの方向に向かうワイヤーは、プーリーの軸方向に所定の間隔をおいて、プーリーの外周にそれぞれ巻かれている。このため、プーリーには、回転軸が主走査方向から傾斜するような外力が働く。プーリーに対して、このような外力が働いた場合、プーリーの位置調整のために、支持部材をキャリッジに対して、副走査方向に移動させることが困難となる。また、上記外力によって、支持部材のキャリッジに対する摺動性が損なわれ、プーリーの位置の微調整が困難となる。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ミラーを支持するキャリッジに配設されたプーリーの位置調整を、精度良く実現することが可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、上面に原稿が載置される原稿台と、前記原稿台を支持する筐体と、前記筐体内に配置され、前記原稿に照射されたのち、前記原稿から反射された光を反射するミラーを備え、前記原稿に対して、副走査方向に沿った第1方向に移動される反射用キャリッジと、前記反射用キャリッジを前記第1の方向に移動させる駆動力を発生する駆動手段と、前記駆動手段から駆動力が与えられ、前記反射用キャリッジを、前記第1方向に移動させるワイヤーと、前記ワイヤーが巻回されるプーリーと、前記反射用キャリッジに装着され、前記プーリーを回転可能に支持し、かつ、前記反射用キャリッジに対して、前記第1方向にスライド移動するスライド部材と、前記反射用キャリッジまたは前記スライド部材の一方に、前記反射用キャリッジが移動する面上における前記第1方向と交差する第2方向に向かって突設される突起部と、前記反射用キャリッジまたは前記スライド部材の前記突起部とは異なる方に、前記第1方向に延設され、前記突起部が当接するガイド部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本構成によれば、反射用キャリッジは、原稿に照射されたのち、原稿から反射された光を反射するミラーを備える。また、スライド部材は、プーリーを回転可能に支持し、かつ、反射用キャリッジに対して、副走査方向に沿った第1方向にスライド移動が可能に装着される。駆動手段から駆動力が与えられたワイヤーが、前記プーリーに巻回され、反射用キャリッジが、筐体内で、第1方向に移動される。また、反射用キャリッジに配設されたミラーの筐体に対する位置を調整するために、スライド部材が、反射用キャリッジに対して、スライド移動される。この際、プーリーに巻回されたワイヤーの張力によって、スライド部材には、第1方向に対して傾斜する方向に、外力がかかる。そして、この外力によって、スライド部材と反射用キャリッジとの間の摺動性が損なわれてしまう。このような場合であっても、上記の構成によれば、突起部が、第1方向に延設されたガイド部に当接しながら、スライド部材が位置調整される。このため、スライド部材が、第1方向に沿うように移動する。この結果、スライド部材と反射用キャリッジとの間の第1方向の摺動が、スムーズに行われ、ミラーの配置の微調整が、短時間で、精度良く、実現される。
【0010】
上記の構成において、前記突起部の先端が、前記ガイド部に対して点接触する先端であることが好ましい。
【0011】
本構成によれば、突起部の先端は、前記ガイド部に点接触する。このため、突起部とガイド部との接触部に生じる接触負荷が低減される。この結果、スライド部材の反射用キャリッジに対するスライド移動が、スムーズに行われる。
【0012】
上記の構成において、前記スライド部材に配設され、前記プーリーの回転における回転軸となる軸部を更に備え、前記ガイド部は、前記反射用キャリッジに配設され、前記突起部は、前記スライド部材において、前記プーリーを貫通した前記軸部の先端に配設されることが好ましい。
【0013】
本構成によれば、プーリーの回転における回転軸となる軸部の先端に、突起部が形成される。したがって、プーリーを回転支持する軸部を利用して、突起部を形成することが可能となる。
【0014】
上記の構成において、前記反射用キャリッジに形成され、前記スライド部材を前記反射用キャリッジに対して固定させるスクリューが締結されるスクリュー穴と、前記スライド部材に前記第1方向に延伸して開口され、前記スクリュー穴に重なるように配置される長穴と、を備え、前記スライド部材の前記長穴が、前記反射用キャリッジの前記スクリュー穴に対して、前記第1方向に相対移動されることによって、前記スライド部材が、前記反射用キャリッジに対して、スライド移動することが好ましい。
【0015】
本構成によれば、スライド部材の長穴が、反射用キャリッジのスクリュー穴に対して、第1方向に相対移動されることによって、つまり長穴のストロークによって、スライド部材が、反射用キャリッジに対して、スライド移動する。このため、スライド部材に配設された簡易な構成をもって、スライド部材が、反射用キャリッジに対して、スライド移動することが可能となる。
【0016】
上記の構成において、前記反射用キャリッジまたは前記スライド部材の一方に、前記第2方向に向かって突設される補助突起部と、前記反射用キャリッジまたは前記スライド部材の前記補助突起部とは異なる方に、前記第1方向に延設され、前記補助突起部が当接する補助ガイド部と、を備えることが好ましい。
【0017】
本構成によれば、反射用キャリッジおよびスライド部材には、突起部およびガイド部に加え、補助突起部および補助ガイド部が配設される。このため、スライド部材のスライド移動が、複数箇所でガイドされる。したがって、スライド部材の第1方向の移動が、よりスムーズに実現される。
【0018】
上記の構成において、前記突起部および前記ガイド部の当接点と、前記補助突起部および前記補助ガイド部の当接点とを通る直線が、前記第1方向と平行であることが好ましい。
【0019】
本構成によれば、突起部およびガイド部の当接点と、補助突起部および補助ガイド部の当接点とを通る直線が、第1方向と平行となるように、各当接点が設定される。このため、スライド部材の移動にあたって、スライド部材に回転モーメントが働きにくく、スライド部材の移動が、よりスムーズに実現される。
【0020】
上記の構成において、前記第2方向において、前記突起部が前記ガイド部に当接する向きは、前記補助突起部が前記補助ガイド部に当接する向きとは、逆であることが好ましい。
【0021】
本構成によれば、第2方向において、突起部がガイド部に当接する向きは、補助突起部が補助ガイド部に当接する向きとは、逆向きとなる。このため、スライド部材の移動が、移動方向に交差する方向の両端側から挟まれるように規制される。このため、スライド部材が、第1方向からずれるように移動することが抑止され、スライド部材の移動がスムーズに実現される。
【0022】
上記の構成において、前記原稿に光を照射する光源と前記原稿から反射された反射光を反射させる第1ミラーとを備え、前記ワイヤーによって前記第1方向に移動される投影用キャリッジと、前記反射用キャリッジに配設された前記ミラーであって、前記第1ミラーから反射された反射光を、更に反射させる第2ミラーと、を備えることが好ましい。
【0023】
本構成によれば、第1ミラーから反射された反射光を、更に反射させる第2ミラーを備えた反射用キャリッジにおいて、第2ミラーの位置調整が、精度良く、スムーズに実行される。
【0024】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記に記載の画像読取装置と、前記原稿から反射された前記反射光に応じて、画像形成処理を行う画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【0025】
本構成によれば、スライド部材と反射用キャリッジとの間の摺動が、スムーズに行われ、ミラーの配置の微調整が、短時間で、精度良く、実現可能となる。このため、画像読取装置におけるミラーの位置精度が維持され、画像形成部によって形成される出力画像の画質が、良好に維持される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ミラーを支持するキャリッジに配設されたプーリーの位置調整を、精度良く実現することが可能となる。この結果、筐体に対するミラーの位置調整が、好適に実現される。特に、相対する2つの方向からワイヤーが、プーリーに巻回された状態であっても、プーリーを副走査方向に沿って、スライド移動させることが可能となる。このため、プーリーの位置調整における作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像読取装置の上方斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る反射用キャリッジの拡大斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る反射用キャリッジの分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る反射用キャリッジの拡大上面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るスライド部材の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係るスライド部材の斜視図である。
【図9】従来技術に係る反射用キャリッジの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態にしたがう画像形成装置1の斜視図である。図2は、図1に示される画像形成装置1の内部構造を概略的に示す図である。図1及び図2に示される画像形成装置1は、いわゆる胴内排紙型の複写機であるが、他の実施形態において、プリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。
【0029】
画像形成装置1は、略直方体形状の主筐体2を含む。主筐体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。連結筐体23は、主筐体2の右縁及び背面縁に沿って延びる。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる排出空間24に印刷処理が施与されたシートが排出される。
【0030】
上部筐体22の正面方向に突出する操作部221は、例えば、LCDタッチパネル222を含む。操作部221は、画像形成処理に関する情報を入力可能に形成される。ユーザーは、例えば、LCDタッチパネル222を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、印刷濃度等を入力したりすることができる。
【0031】
上部筐体22は、画像読取装置5を収容する。画像読取装置5は、上部筐体22の上面に取り付けられるコンタクトガラス225を備える。上部筐体22の上に配設される原稿カバー3は、原稿を押さえるために用いられる。原稿カバー3は、上部筐体22に上下に回動可能に取り付けられる。ユーザーは、原稿カバー3の後端を支点として、原稿カバーを上方に回動させ、コンタクトガラス225上に原稿を載置する。ユーザーが、操作部221を通じて、画像形成装置1を作動させると、画像読取装置5は、コンタクトガラス225上の原稿の画像を走査して読み取る。画像読取装置5によって読み取られた画像のアナログ情報は、不図示の画像処理部によって、デジタル信号に変換される。画像形成装置1は、デジタル信号に基づき、シートに画像を形成する。なお、本実施形態における画像読取装置5については、後記で詳述する。
【0032】
下部筐体21には、複数のシートを積載するシートトレイ250が配設される。シートトレイ250は、下部筐体21から正面方向に引出可能である。シートトレイ250内に収容されたシートPは、下部筐体21内で上方に送り出され、操作部221を通じてユーザーによって入力された指示に基づき、下部筐体21内で画像形成処理を施与され、排出空間24へ排出される。
【0033】
下部筐体21の右面には、トレイ212が回動可能に取り付けられる。図1に示されるように、トレイ212が下部筐体21の右方に突出する位置にあるとき、ユーザーはトレイ212上にシートを載置可能である。トレイ212上のシートは、操作部221を通じてユーザーによって入力された指示に基づき、下部筐体21内に引き込まれた後、画像形成処理を施与され、排出空間24へ排出される。トレイ212が上方に回動されると、下部筐体21の右面に凹設された収容空間203内にトレイ212が収容され、シートを下部筐体21内に引き込むための供給口を塞ぐ。
【0034】
下部筐体21は、シートに画像を形成するための様々な機器を収容する。また、連結筐体23は、画像形成処理が施与されたシートを排出空間24へ排出するための様々な機器を収容する。
【0035】
下部筐体21には、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bk、中間転写ユニット902、画像形成部903、露光ユニット904、定着ユニット97及び排紙ユニット96が収容される。
【0036】
画像形成部903は、イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、ブラック用トナーコンテナ900Bkを含む。これらコンテナの下方には、YMCBk各色に対応する現像装置10Y、10M、10C、10Bkがそれぞれ配設される。
【0037】
画像形成部903は、各色のトナー像を担持する感光体ドラム17を含む。感光体ドラム17として、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。各感光体ドラム17には、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bkからそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが供給される。
【0038】
感光体ドラム17の周囲には、帯電器16、現像装置10(10Y、10M、10C、10Bk)、転写器19及びクリーニング装置18が配置される。帯電器16は、感光体ドラム17の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム17の表面は、露光ユニット904によって露光され、静電潜像が形成される。露光ユニット904は、上述の走査機構224によって生成されたデジタル信号に基づき、レーザ光を照射する。現像装置10Y、10M、10C、10Bkは、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bkから供給される各色のトナーを用いて、各々の感光体ドラム17上に形成された静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラー19は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム17とニップ部を形成し、感光体ドラム17上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、トナー像転写後の感光体ドラム17の周面を清掃する。
【0039】
各現像装置10Y、10M、10C、10Bkは、現像筐体20を備える。現像筐体20の内部には、磁性キャリアとトナーとを有する2成分現像剤が収納される。また、現像筐体20内には、現像筐体20の底部近傍に長手方向を軸方向として並列に2本の攪拌ローラー11、12が回転可能に配置される。
【0040】
現像筐体20の内部底面には、現像剤の循環経路が設定されており、攪拌ローラー11、12は循環経路内に配設される。攪拌ローラー11、12の間の軸方向には、現像筐体20の底部から立設された仕切り壁201が設けられる。仕切り壁201は、循環経路を区画する。仕切り壁201の周囲を周回するように、循環経路が形成される。2成分現像剤は、循環経路を攪拌ローラー11及び12によって攪拌、搬送されながら帯電される。
【0041】
2成分現像剤は、攪拌ローラー11及び12によって攪拌されつつ現像筐体20内を循環し、トナーが帯電される。攪拌ローラー11上の2成分現像剤は、上側に位置する磁気ローラー14に吸引されて搬送される。吸引された2成分現像剤は、磁気ローラー14上に磁気ブラシ(図示せず)を形成する。磁気ブラシは、ドクターブレード13によって層厚規制され、更に上方の現像ローラー15にトナーを供給する。現像ローラー15上のトナー層は、磁気ローラー14と現像ローラー15との間の電位差によって形成される。トナー層によって感光体ドラム17上の静電潜像が現像される。
【0042】
露光ユニット904は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成部903の各々に設けられた感光体ドラム17の周面に、画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0043】
中間転写ユニット902は、中間転写ベルト921、駆動ローラー922及び従動ローラー923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム17からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、シートトレイ250又はトレイ212(図1参照)から供給されるシートに二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラー922及び従動ローラー923は、下部筐体21によって回転自在に支持される。
【0044】
定着ユニット97は、中間転写ユニット902から二次転写されたシート上のトナー像に対し、定着処理を施す。定着処理されたカラー画像付のシートは、定着ユニット97の上部(連結筐体23内)に形成された排紙ユニット96へ向けて排出される。
【0045】
排紙ユニット96は、定着ユニット97から搬送されたシートを、排紙トレイとして用いられる下部筐体21の上面213上に排出する。
【0046】
<画像読取装置5について>
次に、図2および図3を参照して、本実施形態に係る画像読取装置5について詳述する。図3は、画像読取装置5を後上方から見た斜視図である。
【0047】
画像読取装置5は、前述のコンタクトガラス225と、第1キャリッジ60と、第2キャリッジ50と、受光ユニット223とを備える。コンタクトガラス225は、上部筐体22によって支持されている。
【0048】
第1キャリッジ60(投影用キャリッジ)は、上部筐体22内に配置され、画像読取装置5の前後方向に延伸される板状のユニットである。第1キャリッジ60は、光源61と第1ミラー62とを備える。光源61は、コンタクトガラス225上の原稿に光を照射する。第1ミラー62は、原稿から反射された光を、図2の左方向に向かって反射する。
【0049】
第2キャリッジ50(反射用キャリッジ)は、上部筐体22内に配置され、第1キャリッジ60と平行に、画像読取装置5の前後方向に延伸される板状のユニットである。第2キャリッジ50は、第2ミラー501と第3ミラー502とを備える。第2ミラー501は、第2キャリッジ50の上部に配置され、第1ミラー62によって反射された反射光を下方に向かって反射する。第3ミラー502は、第2キャリッジ50の下部に配置され、第2ミラー501によって、反射された反射光を、更に、右方に向かって反射する。
【0050】
受光ユニット223は、上部筐体22内の右側に配置され、第3ミラー502によって反射された反射光を受光する。受光ユニット223によって受光された反射光は、画像のアナログ信号として、不図示のA/D変換回路に送信される。該A/D変換回路によって、アナログ信号が、デジタル信号に変換される。
【0051】
画像読取装置5は、更に、ワイヤー80とモーター85(駆動手段)(図3)とを備える。ワイヤー80は、画像読取装置5の前後方向の両端側に、一対配置される。一対のワイヤー80は、上部筐体22内で、左右方向に、延伸するように引き回され、それぞれ、モーター85から駆動力が与えられる。ワイヤー80は、第1キャリッジ60および第2キャリッジ50に配設される後記のアイドルプーリー55に巻回される。モーター85が回転することで、ワイヤー80が、アイドルプーリー55を介して、第1キャリッジ60および第2キャリッジ50を、左右方向に移動させる。
【0052】
かくして、第1キャリッジ60および第2キャリッジ50は、コンタクトガラス225上に載置された原稿画像を、前後方向(主走査方向)に走査しながら、ワイヤー80によって移動され、原稿画像を左右方向(副走査方向、第1方向)に走査する。これにより、原稿画像が二次元的に走査されることが可能となる。
【0053】
次に、上記のような画像読取装置5の構成において、上部筐体22内のワイヤー80の引き回しにおける不具合について、詳述する。図9は、第2キャリッジ50Zの拡大斜視図である。同図では、第2キャリッジ50Zの前側の端部を拡大して示している。
【0054】
第2キャリッジ50Zは、メインプレート510Zを備える。メインプレート510Zは、前後方向に延伸される板状部材であり、上部に、第2ミラー501Zが配設される。また、第2キャリッジ50Zは、支持プレート520Zと、アイドルプーリー55Zとを備える。
【0055】
支持プレート520Zは、第2ミラー501Zよりも前側で、メインプレート510Z上に、配設される。支持プレート520Zは、スクリューS1ZおよびS2Zによって、メインプレート510Zに締結される。支持プレート520Zは、上方に向かって立設された立壁523Zを備える。
【0056】
アイドルプーリー55Zは、立壁523Zから、前方向に向かって延設されるシャフト524Zに、回転可能に支持される。アイドルプーリー55Zは、前後方向に、2箇所の外周部PおよびQを備え、それぞれにワイヤー80Zの一部が巻回される。
【0057】
以下、ワイヤー80Zの引き回しについて、図9の第1部分81Zおよび第2部分82Zに分けて説明する。ワイヤー80Zのうち、右方向からアイドルプーリー55Zに向かって、引き回された第1部分81Zaは、アイドルプーリー55Zの前側の外周部Pに巻回された後、再び、右方向に向かって、引き回される(81Zb)。一方、ワイヤー80Zのうち、第2部分82Zの一端は、メインプレート510Zの左面に配設されたワイヤー固定部519Zに固定される。そして、第2部分82Zの他端は、アイドルプーリー55Zの後側の外周部Qに巻回されたのち、第2キャリッジ50の下方を通って、右方向に向かって、引き回される。図9において、右方向に向かうワイヤー80Zのうち、第1部分81Zの一端(81Za)および第2部分82Zの他端は、モーター85に連結された不図示のプーリーに巻回されている。また、第1部分81Zの他端(81Zb)は、上部筐体22のモーター85の近傍に配置された、不図示の固定端部に固定される。
【0058】
上記と同様の構成が、第2キャリッジ50Zの後側の端部にも配設される。そして、モーター85によって、ワイヤー80Zに駆動力が与えられ、第2キャリッジ50Zが、左右方向(副走査方向)に移動される。この際、アイドルプーリー55Zの外周部Pと、上部筐体22に配設された固定端部(不図示)との間のワイヤー80Zの長さが、第2キャリッジ50Zの前後2箇所において異なると、第2キャリッジ50Zが、左右方向に、所定の角度を持って傾斜して配置されてしまう。この結果、反射光を反射させる第2ミラー501Zが、左右方向に傾斜し、読取画像に傾斜や倍率上の不具合が生じてしまう。
【0059】
そこで、メインプレート510Zに対して、支持プレート520Zが、左右方向にスライド移動可能とされる。支持プレート520Zは、支持プレート520Z上に形成された第1長穴525Zおよび第2長穴526Zに沿って移動する。これにより、支持プレート520Zのメインプレート510Zへの固定位置が、調整可能とされている。そして、第2キャリッジ50Zの前後2箇所における、前記ワイヤー80Zの長さが揃うように、アイドルプーリー55Zを備えた支持プレート520Zが、メインプレート510Zに固定される。
【0060】
しかしながら、上記の調整過程では、以下のような不具合が生じる。前述のとおり、図9のアイドルプーリー55Zの外周部Pには、第1部分81Zが巻回されている。このため、外周部Pには、矢印C1方向の張力が掛かっている。また、アイドルプーリー55Zの外周部Qには、第2部分82Zが巻回されている。このため、外周部Qには、矢印C2方向の張力が掛かっている。この結果、アイドルプーリー55Zには、矢印C3方向の回転力が付与される。この状態で、アイドルプーリー55Zの位置調整が行われ、支持プレート520Zが、第1長穴525Zおよび第2長穴526Zに沿って移動された場合、支持プレート520Zは、左右方向に対して、所定の角度だけ、傾斜した方向に向かって移動しやすくなる。この際、スクリューS1ZおよびS2Zと、支持プレート520Zの第1長穴525Zおよび第2長穴526Zとが干渉してしまい、支持プレート520Zの精密な位置調整が困難となる。加えて、支持プレート520Zの位置調整に、多くの調整時間が費やされる。また、前記回転力が、支持プレート520Zに付与された状態で、スクリューS1ZおよびS2Zが締結されると、アイドルプーリー55Zが、左右方向に対して傾斜して固定される場合がある。
【0061】
以上のような問題を解決するために、本実施形態では、スムーズな左右方向のスライド移動が可能なスライド部材52が備えられる。次に、図面を参照して、本実施形態に係るスライド部材52を備えた第2キャリッジ50について、詳述する。図4は、本実施形態に係る第2キャリッジ50の拡大斜視図であり、図5は、本実施形態に係る第2キャリッジ50の分解斜視図である。また、図6は、本実施形態に係る第2キャリッジ50の拡大上面図である。更に、図7および図8は、本実施形態に係るスライド部材52の斜視図である。
【0062】
図4および図5を参照して、第2キャリッジ50は、メインプレート510と、スライド部材52と、第2ミラー501と、第3ミラー502と、支持部材501Aと、アイドルプーリー55と、を備える。
【0063】
メインプレート510は、第2キャリッジ50を画定する基本部品であり、前後方向に延伸される板状部材である。メインプレート510は、一対の支持開口部501Aと、ミラー開口部511Bと、治具用穴90(図5)とを備える。また、メインプレート510は、第2壁部513と、第1開口部514と、プーリー開口部512と、第1壁部515と、第1締結穴516と、第2締結穴517とを備える。
【0064】
一対の支持部材501A(図4)は、第2ミラー501および第3ミラー502を、それぞれ前後方向の両端部で支持する。
【0065】
支持開口部511Aは、メインプレート510の前側に形成された細長形状の開口であり、図4に示すように、支持部材501Aが挿通される。支持開口部511Aは、メインプレート510の前後に一対形成される。
【0066】
ミラー開口部511Bは、メインプレート510の長手方向(前後方向)の中央部に延設された開口であり、上下方向において、第2ミラー501と第3ミラー502との間に位置する。ミラー開口部511Bは、第2ミラー501から反射された反射光を、第3ミラー502に誘導する。
【0067】
治具用穴90は、メインプレート510の前側の端部において、右端部に形成された長穴形状の開口である。後記のアイドルプーリー55の位置調整が行われる際に、不図示の治具ピンが、該治具用穴90に挿通され、第2キャリッジ50が固定される。なお、治具用穴90は、メインプレート510の後側の端部にも、同様に配置される(不図示)。
【0068】
プーリー開口部512は、メインプレート510の前側の端部に矩形形状をもって形成された開口である。プーリー開口部512は、ミラー開口部511Bに配置される第2ミラー501よりも、前後方向の外側に配置される。プーリー開口部512には、スライド部材52に支持されたアイドルプーリー55の回転周面の一部が、収容される(図4参照)。
【0069】
第1壁部515は、プーリー開口部512の前側の一辺である端辺512Aから、上方に立設される壁部である。第1壁部515は、図5において、第1方向に延設される第1当接面515A(ガイド部)を備える。
【0070】
第1開口部514は、メインプレート510のプーリー開口部512よりも右側に形成される矩形形状の開口である。第1開口部514は、プーリー開口部512よりも、小さな面積をもって開口される。第1開口部514には、スライド部材52の第3壁部521の下端部521A(図7)が、挿入される。
【0071】
第2壁部513は、第1開口部514の後側の一辺である端辺514Aの近傍から、上方に立設される壁部である。第2壁部513は、第1方向に延設される第2当接面513A(図6参照)(補助ガイド部)を備える。
【0072】
第1締結穴516および第2締結穴517は、メインプレート510のプーリー開口部512に対して、それぞれ右側と後側に形成された、スクリュー穴である。スライド部材52を反射用キャリッジ50に対して固定させるスクリューS1およびS2が、第1締結穴516及び第2締結穴517に締結される。
【0073】
図7および図8を参照して、スライド部材52は、支持プレート520を備える。支持プレート520は、スライド部材52を画定する基本部品であり、第1プレート部520Aと第2プレート部520Bとを備える。第1プレート部520Aは、平面視で、略正方形状の板状部分である。第1プレート部520Aは、第2開口部527と、第3壁部521と、第1長穴525とを備える。
【0074】
第2開口部527は、第1プレート部520Aの前側の一辺520Cに沿って、第1プレート部520Aに形成された開口である。第2開口部527は、メインプレート510の第2壁部513が挿通される(図5)。
【0075】
第3壁部521は、第1プレート部520Aの前側の一辺520Cから、上方に立設される壁部である。第3壁部521の後側の側面には、突部522(補助突起部)が配置される。突部522は、第2キャリッジ50が移動する面上において、第1方向と交差する方向(第2方向)に、より詳しくは、後方向に僅かな高さをもって円柱状に突設される。また、第3壁部521の下端のうち、下端中央部521Aは、第2開口部527を貫通するように、下方に突出している。
【0076】
第1長穴525は、第1プレート部520Aの略中央部において、左右方向に延伸して形成された長穴状の開口である。スライド部材52が、メインプレート510に、スクリューによって固定される際に、該スクリューが、第1長穴525に挿通される。この際、第1長穴525は、第1締結穴516(図5)に重なるように配置される。
【0077】
第2プレート部520Bは、第1プレート部520Aの左側の一辺520Dの後側部分から、左方向に向かって、延伸して配設される長方形状の板状部分である。第2プレート部520Bは、第4壁部523と、プーリーシャフト524(軸部)と、第2長穴526とを備える。
【0078】
第4壁部523は、第2プレート部520Bの前側の一辺520Eから上方に向かって立設される壁部である。プーリーシャフト524は、第4壁部523の壁面から、第2方向に、より詳しくは、前方向に向かって、突設された円柱部材である。プーリーシャフト524は、アイドルプーリー55の回転における回転軸となる。プーリーシャフト524の先端には、先端部524A(突起部)が形成される。先端部524Aは、プーリーシャフト524の先端に、切削加工を施すことによって、半球面状に処理されている。また、プーリーシャフト524の先端部524Aの内側には、プーリーシャフト524の外周に形成された溝部524Bが配設される。溝部524Bには、プーリーシャフト524にアイドルプーリー55を固定するためのeクリップが取り付けられる。
【0079】
第2長穴526は、第2プレート部520Bの略中央部において、左右方向に延伸して形成された長穴状の開口である。スライド部材52が、メインプレート510に、スクリューによって固定される際に、該スクリューが、第2長穴526に挿通される。この際、第2長穴526は、第2締結穴517(図5)に重なるように配置される。
【0080】
アイドルプーリー55(図4)は、プーリーシャフト524に回転可能に支持される。ワイヤー80からアイドルプーリー55に、第2キャリッジ50を左右方向に移動させる移動力が伝達される。
【0081】
次に、図4から図6を参照して、メインプレート510へのスライド部材52の取り付け手順について説明する。スライド部材52のプーリーシャフト524に、アイドルプーリー55が挿通されると、溝部524Bにeクリップが取り付けられる。これにより、アイドルプーリー55が、支持プレート520に回転可能に支持される。
【0082】
図5に示すように、アイドルプーリー55を支持した支持プレート520を、メインプレート510に対して、上方から取り付ける(図5参照。但し、アイドルプーリー55は図示されていない)。この際、前述のように、第1長穴525が第1締結穴516に、第2長穴526が第2締結穴517に、それぞれ重なるように、スライド部材52が、メインプレート510上に配置される(図6)。そして、メインプレート510の第2壁部513が、スライド部材52の第2開口部527に挿通される。また、スライド部材52の第3壁部521の下端中央部521A(図7)は、メインプレート510の第1開口部514に挿入される。更に、アイドルプーリー55の回転周面の下端部は、メインプレート510のプーリー開口部512に挿入される(図4)。
【0083】
第1長穴525に挿通された第1スクリューS1および第2長穴526に挿通された第2スクリューS2が、それぞれ、第1締結穴516および第2締結穴517に締結される。これにより、メインプレート510にスライド部材52が固定される(図4)。この結果、図6に示すように、プーリーシャフト524の先端部524Aが、第2方向の後側から前側に向かって、第1壁部515の第1当接面515Aに当接する。また、スライド部材52の第3壁部521から突設された突部522が、第2方向の前側から後側に向かって、メインプレート510の第2壁部513の第2当接面513Aに当接する。
【0084】
次に、本実施形態におけるスライド部材52の作用について説明する。前述のとおり、第2ミラー501の位置を調整するために、第2キャリッジ50の前後2箇所に引き回されるワイヤー80の長さが調整される。該ワイヤー80の長さの調整は、第2ミラー501を支持したメインプレート510に対して、アイドルプーリー55を支持したスライド部材52が、左右方向にスライド移動されることで、実行される。図4において、治具用穴90に不図示の治具ピンが挿通され、第2キャリッジ50が上部筐体22(図3)に対して固定される。そして、ワイヤー80の第1部分81が、外周部Pに巻回され、第2部分82が、外周部Qに巻回された状態で、第1スクリューS1および第2スクリューS2が緩められる。これによって、図6に示すように、スライド部材52の矢印D1方向の移動が可能となる。しかしながら、アイドルプーリー55には、図9の矢印C3に示すような回転力が付与されている。このため、スライド部材52には、図6の矢印D1方向に交差する方向に、外力が付与される。
【0085】
このように、支持プレート520に外力が付与された場合であっても、本実施形態では、プーリーシャフト524の先端部524A(突起部)が、メインプレート510の第1壁部515の第1当接面515A(ガイド部)に当接している。したがって、スライド部材52のスライド移動において、先端部524Aおよび第1壁部515が、スライド部材52を矢印D1方向(左右方向)に誘導するガイド機能を備える。この際、本実施形態では、先端部524Aは、切削加工によって、半球面状に処理されている。したがって、先端部524Aは、第1当接面515Aに、点接触によって接触する。このため、先端部524Aおよび第1当接面515Aの接触部に生じる接触負荷が低減される。この結果、スライド部材52とメインプレート510との間の摺動性が増し、スライド部材52のスライド移動がスムーズに行われる。
【0086】
更に、本実施形態では、第3壁部521から突設される突部522(補助突起部)が、メインプレート510の第2壁部513の第2当接面513A(補助ガイド部)に当接している。したがって、スライド部材52のスライド移動において、突部522および第2壁部513が、スライド部材52を矢印D1方向(左右方向)に誘導するガイド機能を備える。この場合、スライド部材52のスライド移動は、プーリーシャフト524の先端部524Aおよび突部522の2箇所において、ガイドされる。このため、スライド部材52の矢印D1方向への移動が、よりスムーズに実行される。
【0087】
更に、本実施形態では、プーリーシャフト524の先端部524Aは、第2方向において、後側から前側に向かって第1当接面515Aに当接する。一方、第3壁部521の突部522は、第2方向において、前側から後側に向かって第2当接面513Aに当接している。すなわち、第2方向において、先端部524Aが第1当接面515Aに当接する向きは、突部522が第2当接面513Aに当接する向きとは、逆である。したがって、スライド部材52は、左右方向に移動するに際して、前後方向の両方から挟まれるようにガイドされる。このため、スライド部材52が、左右方向からずれるように移動することが抑止され、アイドルプーリー55の位置調整がスムーズに実行される。
【0088】
また、本実施形態では、プーリーシャフト524の先端部524Aが、第1当接面515Aに当接する当接点と、第3壁部521の突部522が、第2当接面513Aに当接する当接点とを通る直線が、第1方向(左右方向)と平行になるように設定されている。このため、スライド部材52の移動にあたって、スライド部材52に回転モーメントが働きにくく、スライド部材52および第2キャリッジ50の摺動性が良好に維持される。
【0089】
以上のように、本実施形態では、第2ミラー501および第3ミラー502を支持する第2キャリッジ50に配設されたアイドルプーリー55の位置調整を、精度良く実現することが可能となる。この結果、上部筐体22に対する第2ミラー501および第3ミラー502の位置調整が、好適に実現される。そして、相対する2つの方向から、ワイヤー80がアイドルプーリー55に巻回された状態であっても、アイドルプーリー55を左右方向(副走査方向)に沿って、スライド移動させることが可能となる。このため、アイドルプーリー55の位置調整が、高い精度で、短時間で実行される。したがって、第2ミラー501および第3ミラー502の位置調整の作業効率が、向上する。
【0090】
以上、本発明の実施形態に係るスライド部材52を備えた画像読取装置5及び画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0091】
(1)上記の実施形態では、第2ミラー501および第3ミラー502を支持する第2キャリッジ50に、スライド部材52が配設される構成で説明したが、これに限定されるものではない。スライド部材52は、第1ミラー62を支持する第1キャリッジ60に搭載される態様であってもよい。この場合であっても、スライド部材52の左右方向(副走査方向)のスムーズな移動によって、第1ミラー62の位置調整が、好適に実現される。
【0092】
(2)上記の実施形態では、スライド部材52の移動をガイドする機構として、プーリーシャフト524の先端部524Aおよび第3壁部521から突設される突部522を備えた構成で説明したが、これに限定されるものではい。スライド部材52のスライド移動をガイドする機構として、先端部524Aまたは突部522が、単独で配設される構成でもよい。また、その他の突起部が、支持プレート520に配設される構成であってもよい。更に、先端部524Aや突部522のような突起部が、スライド部材52側ではなく、メインプレート510側に配設され、第1壁部515や第1長穴525のようなガイド機能を備えた壁部が、メインプレート510側ではなく、スライド部材52側に配設される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置
22 上部筐体(筐体)
223 画像処理部
225 コンタクトガラス(原稿台)
5 画像読取装置
50 第2キャリッジ(反射用キャリッジ)
501 第2ミラー(ミラー)
502 第3ミラー
510 メインプレート
511A 支持開口部
511B ミラー開口部
512 プーリー開口部
513 第2壁部
513A 第2当接面(補助ガイド部)
514 第1開口部
515 第1壁部
515A 第1当接面(ガイド部)
516 第1締結穴(スクリュー穴)
517 第2締結穴(スクリュー穴)
519 ワイヤー固定部
52 スライド部材
520 支持プレート
521 第3壁部
522 突部(補助突起部)
523 第4壁部
524 プーリーシャフト(軸部)
524A 先端部(突起部)
525 第1長穴(長穴)
526 第2長穴(長穴)
527 第2開口部
55 アイドルプーリー(プーリー)
60 第1キャリッジ(投影用キャリッジ)
61 光源
62 第1ミラー
80 ワイヤー
81 第1部分
82 第2部分
85 モーター(駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台を支持する筐体と、
前記筐体内に配置され、前記原稿に照射されたのち、前記原稿から反射された光を反射するミラーを備え、前記原稿に対して、副走査方向に沿った第1方向に移動される反射用キャリッジと、
前記反射用キャリッジを前記第1の方向に移動させる駆動力を発生する駆動手段と、
前記駆動手段から駆動力が与えられ、前記反射用キャリッジを、前記第1方向に移動させるワイヤーと、
前記ワイヤーが巻回されるプーリーと、
前記反射用キャリッジに装着され、前記プーリーを回転可能に支持し、かつ、前記反射用キャリッジに対して、前記第1方向にスライド移動するスライド部材と、
前記反射用キャリッジまたは前記スライド部材の一方に、前記反射用キャリッジが移動する面上における前記第1方向と交差する第2方向に向かって突設される突起部と、
前記反射用キャリッジまたは前記スライド部材の前記突起部とは異なる方に、前記第1方向に延設され、前記突起部が当接するガイド部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記突起部の先端が、前記ガイド部に対して点接触する先端であることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記スライド部材に配設され、前記プーリーの回転における回転軸となる軸部を更に備え、
前記ガイド部は、前記反射用キャリッジに配設され、
前記突起部は、前記スライド部材において、前記プーリーを貫通した前記軸部の先端に配設されることを特徴する請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記反射用キャリッジに形成され、前記スライド部材を前記反射用キャリッジに対して固定させるスクリューが締結されるスクリュー穴と、
前記スライド部材に前記第1方向に延伸して開口され、前記スクリュー穴に重なるように配置される長穴と、
を備え、
前記スライド部材の前記長穴が、前記反射用キャリッジの前記スクリュー穴に対して、前記第1方向に相対移動されることによって、前記スライド部材が、前記反射用キャリッジに対して、スライド移動することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記反射用キャリッジまたは前記スライド部材の一方に、前記第2方向に向かって突設される補助突起部と、
前記反射用キャリッジまたは前記スライド部材の前記補助突起部とは異なる方に、前記第1方向に延設され、前記補助突起部が当接する補助ガイド部と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記突起部および前記ガイド部の当接点と、前記補助突起部および前記補助ガイド部の当接点とを通る直線が、前記第1方向と平行であることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第2方向において、前記突起部が前記ガイド部に当接する向きは、前記補助突起部が前記補助ガイド部に当接する向きとは、逆であることを特徴とする請求項5または6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記原稿に光を照射する光源と前記原稿から反射された反射光を反射させる第1ミラーとを備え、前記ワイヤーによって前記第1方向に移動される投影用キャリッジと、
前記反射用キャリッジに配設された前記ミラーであって、前記第1ミラーから反射された反射光を、更に反射させる第2ミラーと、を備えることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像読取装置と、
前記原稿から反射された前記反射光に応じて、画像形成処理を行う画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−114062(P2013−114062A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260540(P2011−260540)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】