説明

画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法

【課題】センサチップの境界位置における欠落画素の影響による画質劣化を抑制するとともに、原稿搬送速度の突発的な変動に起因して発生する画質劣化を抑制することができる画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法を提供する。
【解決手段】インライン配列方式のリニアイメージセンサと同等の構成を有するセンサチップ群300A,300Bを副走査方向における異なる位置に互いに平行に配置し、且つ、センサチップ群300AのギャップGpとセンサチップ群300BのギャップGpとが主走査方向において異なる位置となるように配置したリニアイメージセンサ201を用いる。そして、各センサチップ群300A,300Bからの出力信号を画像処理部に入力し、一方のセンサチップ群におけるギャップGpにおいて欠落する画素の信号を他方のセンサチップ群の対応する画素の信号により補間して、原稿の画像データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアイメージセンサにより原稿を副走査方向に走査して画像を読み取る画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やファクシミリ等の読み取り装置、コンピュータ入力用のスキャナ等として、原稿の画像情報を自動的に読み取る画像読取装置が用いられている。この種の画像読取装置では、原稿の搬送路に直交する主走査方向に沿って延設された光源を用いて原稿に光を照射し、照射された原稿から反射した反射光をイメージセンサにて受光することで、原稿上の画像を読み取っている。
【0003】
従来の画像読取装置では、原稿の読み取り方式として、例えばキセノンランプを光源とする光を原稿に照射させ、原稿からの反射光を縮小光学系を介してCCDイメージセンサで読み取る方式が一般的であった。しかし、近年では、装置の小型化を目的として、形状の小さい発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を光源に利用し、例えばセルフォックレンズ(登録商標)を介してリニアイメージセンサで画像を直接読み取る密着イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)方式と呼ばれる読み取り方式を採用する画像読取装置も実用化されてきている。
【0004】
上述のCIS方式の画像読取装置において用いられるイメージセンサとしては、画素に対応してRGBごとに直線状に並べられた多数の光電変換素子を有するセンサチップを、副走査方向における同一位置に複数並べて配置した構成の、いわゆるインライン配列方式のリニアイメージセンサが広く知られている。しかしながら、このようなインライン配列方式のリニアイメージセンサでは、製造上、隣接する2つのセンサチップ間の境界位置に光電変換素子が存在しないギャップが生じてしまうため、このギャップにおいては画像を読み取ることができなくなり、ギャップの位置で画素の情報が欠落してしまうという問題がある。
【0005】
このような問題に対して、例えば特許文献1においては、隣接する2つのセンサチップのギャップ近傍に位置する光電変換素子からの出力を用いて、ギャップにおける欠落画素の情報を補間する方法が開示されている。また、特許文献1には、隣接する2つのセンサチップの端部同士がオーバーラップするように、複数のセンサチップを千鳥状に配置することで、主走査方向における欠落画素が生じないようにすることも記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ギャップ近傍に位置する光電変換素子からの出力を用いてギャップにおける欠落画素の情報を補間する方法では、欠落画素を完全に補間することは困難であり、例えば網点印刷された画像を読み取るような場合には、網点スクリーン角度によっては欠落画素を補間することができずに、副走査方向に伸びるスジを発生させて出力画像の画質劣化を招いてしまう場合がある。
【0007】
また、複数のセンサチップを千鳥状に配置する方法では、主走査方向において欠落画素が生じないため、出力画像に上記のようなスジを発生させるといった懸念はないが、副走査方向の異なる位置に交互に配置されているセンサチップの出力を繋ぎ合わせて1ライン分の画像データを生成するため、原稿搬送速度に突発的な変動が生じた場合に、その影響が出力画像に現れやすいといった問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、センサチップの境界位置における欠落画素の影響による画質劣化を抑制するとともに、原稿搬送速度の突発的な変動に起因して発生する画質劣化を抑制することができる画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像読取装置は、リニアイメージセンサにより原稿を副走査方向に走査して画像を読み取る画像読取装置であって、画素に対応して直線状に並んだ複数の光電変換素子を有するセンサチップが副走査方向における同一位置に複数並べて配列されてなる2つのセンサチップ群を備え、前記2つのセンサチップ群が副走査方向における異なる位置に互いに平行に配置され、且つ、一方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置と他方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置とが主走査方向において異なる位置となるように配置されてなるリニアイメージセンサと、前記リニアイメージセンサが備える一方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置において欠落する画素の信号を、他方のセンサチップ群の対応する画素の信号により補間して、前記原稿の画像データを生成する画像処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る画像読取装置と、前記画像読取装置から出力される画像データに基づいて画像形成を行う画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る画像読取方法は、画素に対応して直線状に並んだ複数の光電変換素子を有するセンサチップが副走査方向における同一位置に複数並べて配列されてなる2つのセンサチップ群を複数備え、前記2つのセンサチップ群が副走査方向における異なる位置に互いに平行に配置され、且つ、一方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置と他方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置とが主走査方向において異なる位置となるように配置されてなるリニアイメージセンサにより、原稿を副走査方向に走査して画像を読み取るステップと、前記リニアイメージセンサが備える一方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置において欠落する画素の信号を、他方のセンサチップ群の対応する画素の信号により補間して、前記原稿の画像データを生成するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原稿を副走査方向に走査するリニアイメージセンサが、副走査方向における異なる位置に互いに平行に配置され、且つ、センサチップ間の境界位置が主走査方向において異なる位置となるように配置された2つのセンサチップ群を備え、一方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置において欠落する画素の信号を、他方のセンサチップ群の対応する画素の信号により補間して原稿の画像データを生成するので、センサチップの境界位置における欠落画素の影響による画質劣化を抑制するとともに、原稿搬送速度の突発的な変動に起因して発生する画質劣化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態に係る複写機の概略構成を示す構成図である。
【図2】図2は、複写機が備えるADFの詳細な構成を示す構成図である。
【図3】図3は、ADFの制御系のブロック図である。
【図4】図4は、ADFの第2画像読取部における電気回路の要部を説明する図である。
【図5】図5は、ADF100における原稿読取位置ごとの搬送速度の速度ムラ量を測定した実験データの一例を示す図である。
【図6】図6は、センサチップを千鳥状に配置した構成のリニアイメージセンサを示す模式図である。
【図7】図7は、センサチップを千鳥状に配置した構成のリニアイメージセンサを用いた場合に、原稿搬送速度の突発的な変動によって生じる出力画像上の歪みを説明する図である。
【図8】図8は、実施形態の第2画像読取部が備えるリニアイメージセンサの一例を示す模式図である。
【図9】図9は、読取面における原稿のバタツキ等によりA列センサチップ群の出力信号とB列センサチップ群の出力信号に主走査方向の全域に亘ってレベル差が生じた例を説明する図である。
【図10】図10は、第2の実施形態における画像処理部の詳細を説明するブロック図である。
【図11】図11は、1センサチップあたりの画素数が301画素のリニアイメージセンサを用いた場合における画素ごとの重み係数の一例を具体的に示した図である。
【図12】図12は、重み付け加算平均化回路による画像データ生成の概要を説明する図である。
【図13】図13は、第3の実施形態における画像処理部の詳細を説明するブロック図である。
【図14】図14は、地肌レベル検出部の一構成例を示すブロック図である。
【図15】図15は、スジ検出部の一構成例を示すブロック図である。
【図16】図16は、スジ除去部によるノイズ除去処理の概要を説明する図である。
【図17】図17は、第4の実施形態における画像処理部の詳細を説明するブロック図である。
【図18】図18は、第5の実施形態における要部を抜き出して示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を複写機に適用した例であるが、本発明は以下で例示する形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態での実施が可能である。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る複写機1の概略構成を示す構成図である。図1に示すように、複写機1は、画像読取装置としての機能を有する自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)100と、給紙部2と、画像形成部3とを備えている。
【0016】
給紙部2は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット21,22と、給紙カセット21,22に収納された記録紙を画像形成部3の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段23とを有している。
【0017】
画像形成部3は、露光装置31と、感光体ドラム32と、現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。画像形成部3は、ADF100内部の画像読取部により読み取られた原稿の画像データに基づいて、露光装置31により感光体ドラム32を露光して感光体ドラム32に潜像を形成し、現像装置33により感光体ドラム32に異なる色のトナーを供給して現像するようになっている。そして、画像形成部3は、転写ベルト34により感光体ドラム32に現像された像を給紙部2から供給された記録紙に転写した後、定着装置35により記録紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙にカラー画像を定着するようになっている。
【0018】
図2はADF100の詳細な構成を示す構成図であり、図3はADF100の制御系のブロック図である。ADF100は、図2に示すように、原稿束がセットされる原稿セット部Aと、セットされた原稿束から一枚ごとに原稿を分離して給送する分離給送部Bと、給送された原稿を一次突当整合するとともに整合後の原稿を引き出し搬送するレジスト部Cと、搬送される原稿をターンさせて、原稿面を第1原稿読取部131による読取り側(図中の下方)に向けて搬送するターン部Dと、原稿の表面画像をコンタクトガラスの下方から第1画像読取部131により読み取る第1読取搬送部Eと、表面画像が読み取られた後の原稿の裏面画像を第2画像読取部135により読み取る第2読取搬送部Fと、表裏の画像の読み取りが完了した原稿を機外に排出する排紙部Gと、排出された原稿を積載保持するスタック部Hとを備える。また、ADF100は、図3に示すように、上記各部における駆動を行うモータ101〜105と、一連の動作を制御するコントローラ150を備える。コントローラ150は、I/F107を介して複写機1の全体制御を行う本体制御部10に接続されている。また、本体制御部10には、I/F106を介して、ユーザが各種操作を行う操作部11が接続されている。
【0019】
原稿セット部Aには、読み取りを行う原稿束110がセットされる。原稿束110がセットされるのは、可動原稿テーブル111を含む原稿テーブル112上である。原稿テーブル112上には、原稿束110が原稿面を上向きの状態でセットされる。このとき、原稿束110の幅方向は、図示しないサイドガイドによって搬送方向と直交する方向に位置決めされる。また、原稿束110のセットは、セットフィラー113およびセットセンサ114によって検知され、原稿束110がセットされたことを示す情報が、コントローラ150からI/F107を介して本体制御部10に送信される。
【0020】
さらに、原稿テーブル面に設けられた原稿長さ検知センサ115,116により、原稿束110の搬送方向長さの概略が判定される。なお、原稿長さ検知センサ115,116としては、例えば、反射型センサまたは原稿1枚でも検知可能なアクチェータタイプのセンサが用いられる。また、原稿長さ検知センサ115,116の配置は、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能な配置としておく必要がある。
【0021】
可動原稿テーブル111は、底板上昇モータ105により図2中のa,b方向に上下動可能な構成となっている。原稿テーブル112上に原稿束110がセットされていないとき、可動原稿テーブル111は下降した状態であり、この状態は底板HPセンサ117により検知される。コントローラ150は、原稿テーブル112上に原稿束110がセットされたことが前記セットフィラー113およびセットセンサ114により検知されると、底板上昇モータ105を正転させて原稿束110の最上面が分離給送部Bのピックアップローラ118と接触するように、可動原稿テーブル111を上昇させる。ピックアップローラ118は、ピックアップモータ101によりカム機構の作用で図2中のc,d方向に動作するとともに、可動原稿テーブル111が上昇して可動原稿テーブル111上の原稿束110上面によって押されることで図2中のc方向に上昇し、給紙適正位置センサ119により上限を検知可能となっている。
【0022】
ユーザにより操作部11のプリントキーが押下され、本体制御部10からI/F107を介してコントローラ150に原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ118は給紙モータ102の正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル112上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。
【0023】
給紙ベルト120は、給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動される。また、リバースローラ121は、給紙モータ102の正転により給紙と逆方向に回転駆動される。これにより、最上位の原稿とその下の原稿とを分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。さらに詳しく説明すると、リバースローラ121は、給紙ベルト120と所定圧で接し、給紙ベルト120と直接または原稿1枚を介して接している状態では、給紙ベルト120の回転につられて反時計方向に連れ回りする。一方、原稿が2枚以上給紙ベルト120とリバースローラ121の間に進入したときは、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラ121は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをする。これにより、原稿の重送が防止される。
【0024】
給紙ベルト120とリバースローラ121との作用により1枚に分離された原稿は、給紙ベルト120によってレジスト部C側へと送られ、突き当てセンサ122によって先端が検知された後、さらに進んで停止しているプルアウトローラ123に突き当たる。その後、原稿は、突き当てセンサ122の検知から所定量定められた距離送られ、プルアウトローラ123に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ102を停止させることによって、給紙ベルト120の駆動が停止する。このとき、ピックアップモータ101を回転させることでピックアップローラ118を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト120の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ123の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0025】
プルアウトローラ123は、前記スキュー補正機能を有するとともに、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ124まで搬送するためのローラであり、給紙モータ102の逆転により駆動される。また、給紙モータ102の逆転時には、プルアウトローラ123と中間ローラ124は駆動されるが、ピックアップローラ118と給紙ベルト120は駆動されない。
【0026】
原稿幅センサ125は図2の奥行き方向に複数個並べて設けられ、プルアウトローラ123により搬送された原稿の搬送方向と直交する幅方向のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端後端を突き当てセンサ122で読み取ることにより、モータパルスから原稿の長さが検知される。
【0027】
プルアウトローラ123及び中間ローラ124の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して、原稿を画像読取部へ送り込む処理時間の短縮が図られている。原稿の先端が読取入口センサ126により検出されると、読取入口ローラ127の上下ローラ対のニップに原稿の先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータ103を正転駆動して読取入口ローラ127、読取出口ローラ128、CIS出口ローラ129を駆動する。コントローラ150は、原稿の先端をレジストセンサ130にて検知すると、所定の搬送距離をかけて原稿の搬送速度を減速し、第1画像読取部131の手前で原稿を一時停止させるとともに、本体制御部10にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。
【0028】
続いて、本体制御部10からI/F107を介してコントローラ150に読取開始信号が送信されると、コントローラ150は、レジスト停止していた原稿を、第1画像読取部131の位置に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速して搬送させる。このとき、読取モータ103のパルスカウントにより原稿先端の位置が検出され、原稿先端が第1画像読取部131に到達するタイミングで、本体制御部10に対して原稿の表面の副走査方向(原稿の搬送方向と同じ方向)の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号は、原稿後端が第1画像読取部131を抜けるまで継続して送信される。そして、原稿が読取入口ローラ127および読取出口ローラ128の駆動により搬送される間に、第1画像読取部131によって原稿の表面画像が読み取られる。
【0029】
片面原稿読取りの場合には、第1読取搬送部Eの第1画像読取部131による表面画像の読み取りが終了した原稿は、第2読取搬送部Fをそのまま通過して排紙部Gへと搬送される。この際、コントローラ150は、排紙センサ132により原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ133を反時計方向に回転させる。また、コントローラ150は、排紙センサ132による原稿の先端検知からの排紙モータ104のパルスカウントにより、原稿後端が排紙ローラ133の上下ローラ対のニップから抜ける直前に、排紙モータ駆動速度を減速させて、スタック部Hの排紙トレイ134上に排出される原稿が飛び出さないように制御する。
【0030】
一方、両面原稿読取りの場合には、排紙センサ132にて原稿先端を検知してから読取モータ103のパルスカウントにより搬送中の原稿先端の位置が検出され、第2読取搬送部Fの第2画像読取部135の位置に原稿先端が到達するタイミングで、コントローラ150から第2画像読取部135に対して、原稿の裏面の副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。このゲート信号は、原稿後端が第2画像読取部135を抜けるまで継続して送信される。そして、原稿が読取出口ローラ128およびCIS出口ローラ129の駆動により搬送される間に、原稿流し読み方式(シートスルー読取)で、第2画像読取部135によって原稿の裏面画像が読み取られる。なお、第2画像読取部135と対向配置される第2読取ローラ136は、第2画像読取部135における原稿の浮きを抑えると同時に、第2画像読取部135におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。
【0031】
本実施形態に係る複写機1では、上述したADF100の第2画像読取部135が、CIS方式の画像読取装置として構成されている。以下、この第2画像読取部135について、さらに詳しく説明する。
【0032】
図4は、第2画像読取部135における電気回路の要部を説明する図である。同図に示すように、第2画像読取部135は、LEDアレイ等からなる光源部200と、2つのセンサチップ群300A,300Bを有するリニアイメージセンサ201と、センサチップ群300A,300Bの各センサチップに個別に接続された複数のアンプ回路202と、各アンプ回路202に接続された複数のA/Dコンバータ203とを備える。また、第2画像読取部135は、A/Dコンバータ203の出力信号に含まれる信号成分以外の黒レベルオフセットを除去する黒補正部204と、リニアイメージセンサ201により読み取られた原稿の画像データを生成する画像処理部205と、画像処理部205により生成される画像データをフレーム単位で保持するフレームメモリ206と、画像データの出力を制御する出力制御回路207およびI/F回路208とを備える。
【0033】
リニアイメージセンサ201が備えるセンサチップ群300A,300Bは、それぞれ、複数のセンサチップを副走査方向(原稿搬送方向に対応する方向)における同一位置に並べて配列した構成、すなわち、主走査方向(原稿幅方向に対応する方向)に沿って並ぶ複数のセンサチップを有する構成である。センサチップ群300A,300Bを構成する各センサチップは、等倍密着イメージセンサと称されるセンサチップであり、画素に対応して主走査方向に直線状に並べられた複数の光電変換素子と集光レンズとを具備している。第2画像読取部135において用いられるリニアイメージセンサ201は、詳細を後述するように、2つのセンサチップ群300A,300Bが副走査方向における異なる位置に互いに平行に配置され、且つ、センサチップ群300Aにおけるセンサチップ間の境界位置とセンサチップ群300Bにおけるセンサチップ間の境界位置とが主走査方向において異なる位置となるように配置されてなるものである。
【0034】
ADF100では、第2画像読取部135による読取位置に原稿が進入するのに先立って、コントローラ150から光源部200に点灯ON信号が送られる。これにより、光源部200が点灯し、その光を第2原稿読取部135の読取位置に進入した原稿に向けて照射する。原稿で反射した反射光は、リニアイメージセンサ201が備えるセンサチップ群300A,300Bの各センサチップにおいて、集光レンズによって光電変換素子に集光されて画像情報として読み取られる。センサチップ群300A,300Bの各センサチップで読み取られた画像の信号は、アンプ回路202によって増幅された後、A/Dコンバータ203によってデジタルデータに変換される。
【0035】
A/Dコンバータ203から出力される各デジタルデータは、黒補正部204でオフセット成分が除去されて画像処理部205に入力される。画像処理部205では、入力されたデジタルデータにシェーディング補正などを施した後、これらのデータを用いて原稿の画像データを生成してフレームメモリ206に一時的に格納する。
【0036】
その後、フレームメモリ206に格納された原稿の画像データは、出力制御回路207によって本体制御部10に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路208を経由して本体制御部10に出力される。なお、コントローラ150から第2画像読取部135に対しては、原稿の先端が第2画像読取部135による読取位置に到達するタイミング(そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる)を知らせるためのタイミング信号や、光源部200の点灯信号、光源部200やリニアイメージセンサ201のセンサチップ群300A,300BやA/Dコンバータ203などを駆動するための電源等が出力されるようになっている。
【0037】
ところで、ADF100における原稿の搬送速度には、ADF100の内部構造、原稿を搬送する駆動系(例えばステッピングモータ)の性能や構造に起因し、少なからず搬送速度ムラが発生することが知られている。ここで、ADF100における速度ムラ量(設計狙いの搬送速度に対する誤差の比率)は、原稿読取位置(副走査位置)によって異なる特性を示し、位置によっては、突発的に大きな変動(ピーキーな変動)を示すことがある。図5は、図2に示したような構造のADF100において、原稿読取位置ごとの搬送速度の速度ムラ量を測定した実験データの一例であるが、図5の破線で囲んだ部分の位置において、大きな変動が突発的に発生していることが分かる。
【0038】
ここで、複数のセンサチップを千鳥状に配置した構成の従来のリニアイメージセンサを用いて画像の読み込みを行う際に、上述した搬送速度の速度ムラが生じた場合の影響について考える。千鳥配置のリニアイメージセンサ700では、図6に示すように、隣接するセンサチップ701の端部同士が主走査方向において一部オーバーラップするように、複数のセンサチップ701が副走査方向における異なる位置に交互に配置されている。そして、図6の上側に配置されるセンサチップ701を偶数チップ、下側に配置されるセンサチップ701を奇数チップとしたとき、これら偶数チップと奇数チップの副走査位置の違いを補正するライン間補正を行った上で、偶数チップの出力信号と奇数チップの出力信号とを繋ぎ合わせて1ライン分の画像データを生成する。このように、千鳥配置のリニアイメージセンサ700では、偶数チップと奇数チップとで同一ラインの画像を読み取るタイミングが異なるため、原稿搬送速度に突発的な大きな速度ムラが発生した場合にその影響が出力画像に現れやすいといった問題がある。具体的には、例えば偶数チップと奇数チップに跨がって主走査方向に伸びる細線が描かれた原稿を読み取る場合に、奇数チップで細線部を読み取る期間にのみ突発的な速度ムラが発生すると、図7に示すように、出力画像上ではチップの繋ぎ目位置で細線が不連続となる歪みが生じる。
【0039】
そこで、本実施形態に係る複写機1においては、ADF100の第2画像読取部135におけるイメージセンサとして、上述したように、2つのセンサチップ群300A,300Bを副走査方向における異なる位置に互いに平行に配置し、且つ、センサチップ群300Aにおけるセンサチップ間の境界位置とセンサチップ群300Bにおけるセンサチップ間の境界位置とが主走査方向において異なる位置となるように配置した構成のリニアイメージセンサ201を用いている。そして、これら2つのセンサチップ群300A,300Bからの出力信号を用いて画像処理部205において原稿の画像データを生成することで、ADF100における原稿搬送速度の突発的な速度ムラの影響で出力画像の画質が劣化することを抑制するようにしている。
【0040】
図8は、ADF100の第2画像読取部135が備えるリニアイメージセンサ201の一例を示す模式図である。同図に示すように、リニアイメージセンサ201は、副走査方向における異なる位置に互いに平行に配置された2つのセンサチップ群300A,300Bを備える。以下では、便宜上、図8中の上側に配置されたセンサチップ群300AをA列センサチップ群、図8中の下側に配置されたセンサチップ群300BをB列センサチップ群と呼び、A列センサチップ群300Aを構成する各センサチップをA列センサチップ310A、B列センサチップ群300Bを構成する各センサチップをB列センサチップ310Bと呼ぶ。
【0041】
A列センサチップ群300AおよびB列センサチップ群300Bは、それぞれが、一般的に多用されているインライン配列方式のリニアイメージセンサと同等の構成となっている。つまり、A列センサチップ群300Aは、画素に対応してRGBごとに直線状に並べられた多数の光電変換素子を有するA列センサチップ310Aを、副走査方向における同一位置に複数並べて配置した構成である。同様に、B列センサチップ群300Bは、画素に対応してRGBごとに直線状に並べられた多数の光電変換素子を有するB列センサチップ310Bを、副走査方向における同一位置に複数並べて配置した構成である。したがって、A列センサチップ群300Aは、隣接する2つのA列センサチップ310間の境界位置に光電変換素子が存在しないギャップGpが形成されており、B列センサチップ群300Bは、隣接する2つのB列センサチップ310B間の境界位置に、光電変換素子が存在しないギャップGpが形成されている。リニアイメージセンサ201では、A列センサチップ群300AのギャップGpとB列センサチップ群300BのギャップGpとが、主走査方向において異なる位置となるように、これらA列センサチップ群300AおよびB列センサチップ群300Bが配置されている。
【0042】
図8に例示するリニアイメージセンサ201においては、A列センサチップ310AおよびB列センサチップ310Bそれぞれの画素数を301画素とし、A列センサチップ群300AとB列センサチップ群300Bのそれぞれにおいて、ギャップGpの大きさが1画素となるようにA列センサチップ310AおよびB列センサチップ310Bを配置している。また、A列センサチップ群300AのギャップGpがB列センサチップ310Bの151画素目と主走査方向において重なり、B列センサチップ群300BのギャップGpがA列センサチップ310Aの151画素目と主走査方向において重なるような配置となっている。なお、図8に示した具体的な構成はあくまで一例であり、A列センサチップ群300AのギャップGpとB列センサチップ群300BのギャップGpが主走査方向において重ならないように(一方のセンサチップ群のギャップGpにおける欠落画素を他方のセンサチップ群の画素で補間できるように)配置されていればよい。
【0043】
ADF100の第2画像読取部135では、以上のように構成されるリニアイメージセンサ201のA列センサチップ群300AおよびB列センサチップ群300Bからの出力信号を、センサチップごとにアンプ回路202で増幅、A/Dコンバータ203でA/D変換、黒補正部204でオフセット除去した上で、画像処理部205に入力している。そして、画像処理部205が、入力されたA列センサチップ群300AおよびB列センサチップ群300Bの出力信号に対してシェーディング補正などを施した後に、A列センサチップ群300AにおけるギャップGpにおいて欠落する画素の信号をB列センサチップ310Bの画素の信号で補間する、あるいはB列センサチップ群300BにおけるギャップGpにおいて欠落する画素の信号をA列センサチップ310Aの画素の信号で補間する演算処理を行い、原稿の画像データを生成するようにしている。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、CIS方式で画像の読み取りを行うADF100の第2画像読取部135が、インライン配列方式のリニアイメージセンサと同等の構成を有する2つのセンサチップ群(A列センサチップ群300AおよびB列センサチップ群300B)を副走査方向における異なる位置に互いに平行に配置し、且つ、A列センサチップ群300AのギャップGpとB列センサチップ群300BのギャップGpとが主走査方向において異なる位置となるように配置したリニアイメージセンサ201を用いるようにしている。そして、このようなリニアイメージセンサ201におけるA列センサチップ群300AとB列センサチップ群300Bからの出力信号を画像処理部205に入力し、画像処理部205において、一方のセンサチップ群におけるギャップGpにおいて欠落する画素の信号を他方のセンサチップ群からの出力信号により補間して、原稿の画像データを生成するようにしている。したがって、インライン配列方式のリニアイメージセンサを用いた場合の問題点である欠落画素の影響による画質劣化を有効に抑制できるとともに、ADF100における原稿搬送速度の局所的な変動による画質劣化についても有効に抑制することができる。
【0045】
なお、以上は、ADF100の第2画像読取部135に対して本発明を適用した例であるが、ADF100の第1画像読取部131もCIS方式で画像の読み取りを行うように構成されている場合には、第1画像読取部131に対しても本発明を適用し、上述した第2画像読取部135と同様の構成を採用するようにしてもよい。
【0046】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、画像処理部205において原稿の画像データを生成する処理の内容が、上述した第1の実施形態と異なるものである。画像処理部205以外の他の構成および動作は、上述した第1の実施形態と同様であるため、以下では本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明し、第1の実施形態と重複する説明は適宜省略する。
【0047】
CIS方式の画像読取装置は、その構成上、光路長が短く、また、光の集光度が高いため、イメージセンサの読取面と読取対象物との距離の変動がイメージセンサの出力レベルにダイレクトに影響し、イメージセンサの出力レベルが変化しやすいことが知られている。
【0048】
ここで、ADF100では、原稿として用いられる紙の厚み(紙厚)は様々であるため、使用される原稿の最大紙厚を想定して、最大紙厚の原稿を搬送して読み取ることができるように、第2読取ローラ136と第2画像読取部135との間隔を決定している。したがって、紙厚の薄い原稿を読み取る場合ほど、第2読取ローラ136と第2画像読取部135との間で原稿がばたついてしまう可能性がある。すなわち、リニアイメージセンサ201による読取面から原稿までの距離が、A列センサチップ群300AとB列センサチップ群300Bとで異なる可能性がある。このため、リニアイメージセンサ201による読取面での原稿バタツキの挙動によっては、本来、同じ原稿情報を読み取っているにも関わらず、A列センサチップ群300AおよびB列センサチップ群300Bの同一主走査位置での出力信号のレベルに差異が発生する可能性が考えられる。
【0049】
図9は、主走査方向の全域に均一濃度の原稿を読み取った場合に、上記の要因によって、A列センサチップ群300Aの出力信号とB列センサチップ群300Bの出力信号に主走査方向の全域に亘ってレベル差が生じた例を説明する図である。この図9の例では、A列センサチップ群300Aで読み取るタイミングでは原稿が読取面に接触していたが、B列センサチップ群300Bで読み取るタイミングでは原稿がばたついて、読取面から僅かに浮いた状態で読み取られた場合の、主走査出力分布を想定している。
【0050】
上記のような現象に対して、例えばA列センサチップ群300Aからの出力信号(以下、A列データという。)をメインデータとして扱い、B列センサチップ群300Bの出力信号(以下、B列データという。)を、A列センサチップ群300AのギャップGpにおける欠落画素を補間するためのサブデータとして扱って、原稿の画像データを生成しようとすると、図9の下側のグラフに示すように、生成される画像データには主走査全域に亘って周期的な不連続点が現れる。主走査の特定箇所にのみ不連続点がある場合には、画質としてはさほど気にならないが、周期変動は人間の眼に非常に敏感に感知されてしまうため微少なレベル差であっても画質の劣化が目立つようになる。
【0051】
そこで、本実施形態では、画像処理部205が、A列データとB列データの一方をA列センサチップ群300AとB列センサチップ群300Bとの副走査方向における位置の差に応じて遅延させた後、A列データとB列データとに対して、それぞれ、センサチップの端部に近い画素ほど重みが小さく、センサチップの中央部に近い画素ほど重みが大きくなるように重み付けを行い、重み付けを行ったA列データとB列データとを画素ごとに加算することで、原稿の画像データを生成するようにしている。つまり、本実施形態における画像処理部205は、A列データとB列データの一方をメインデータ、他方をサブデータとして扱うのではなく、A列データとB列データとの重み付け加算平均化処理によって、原稿の画像データを生成するようにしている。
【0052】
図10は、本実施形態における画像処理部205の詳細を説明するブロック図である。同図に示すように、本実施形態における画像処理部205は、シェーディング補正部401,402と、遅延回路403と、重み付け加算平均化回路404とを備える。
【0053】
画像処理部205に入力されたA列データおよびB列データは、それぞれシェーディング補正部401,402に入力され、センサの感度ムラや、光源光量分布のムラによるセンサ出力のばらつきを補正するためのシェーディング補正処理が行われる。シェーディング補正処理が行われたA列データは、その後、遅延回路403に入力されて、A列センサチップ群300AとB列センサチップ群300Bとの副走査方向における位置の差に応じて遅延させる処理が行われる。なお、ここでは、リニアイメージセンサ201のA列センサチップ群300AがB列センサチップ310Bよりも副走査方向の上流側(原稿を先に読み取る側)に配置されているものとし、シェーディング補正処理後のA列データを遅延回路403に入力しているが、B列センサチップ群300Bが副走査方向の上流側に配置されている場合には、シェーディング補正処理後のB列データを遅延回路403に入力させればよい。また、ADF100の搬送速度を可変した場合(変倍時等)には、その速度に応じて遅延回路403での遅延量を可変すればよい(例えば、搬送速度が2倍になった場合には通常の1/2ライン分の遅延量とする。)。
【0054】
遅延回路403により遅延されたA列データとシェーディング補正部402から出力されたB列データは、重み付け加算平均化回路404に入力される。重み付け加算平均化回路404は、入力されたA列データとB列データとに対して、それぞれ、センサチップの端部に近い画素ほど重みが小さく、センサチップの中央部に近い画素ほど重みが大きくなるように重み付けを行い、重み付けを行ったA列データとB列データとを画素ごとに加算して、原稿の画像データを生成する。
【0055】
ここで、重み付け加算平均化回路404における重み係数算出方法の一例について説明する。A列センサチップ群300AおよびB列センサチップ群300Bにおける1センサチップあたりの画素数をn、1センサチップ内における画素位置をm(1,2,3・・・m)、重み係数をk(m)と定義すると、下記演算式(1)により重み係数k(m)を求めることができる。
k(m)={(n+1)−|(n+1)/2−m|}/(n+1) ・・・(1)
なお、上記の演算式(1)は一例であり、重み係数を求める演算式はこの限りではないが、対応する画素(主走査方向において重なる画素)の重みの和が”1”となるような係数に設定することが望ましい。
【0056】
図11は、図8に例示したリニアイメージセンサ201の構成、つまり1センサチップあたりの画素数が301画素の場合における画素ごとの重み係数の一例を、主走査方向における一部の画素について具体的に示した図である。なお、図中のA1(・・・)はA列センサチップ群300Aの1番目のセンサチップの・・・番目の画素を示し、A2(・・・)はA列センサチップ群300Aの2番目のセンサチップの・・・番目の画素を示し、B1(・・・)はB列センサチップ群300Bの1番目のセンサチップの・・・番目の画素を示している。
【0057】
図8に例示したリニアイメージセンサ201では、上述したように、A列センサチップ群300AのギャップGpにB列センサチップ310Bの151画素目が対応するように配置されているので、A列データとB列データとから、以下の演算に基づいて最終画素データDoutを求める。そして、最終画素データDoutを有効画素分繋ぎ合わせて、1ライン分の画像データを生成する。
【0058】
A1(298)のデータをDA1(298)、B1(147)のデータをDB1(147)とすると、これら2つのデータに基づいて生成される最終画素データDout(298)は、下記の演算にて算出することができる。
Dout(298)=DA1(298)×8/302+DB1(147)×294/302
また、上記と同様の考え方に基づき、他の画素についての最終画素データDoutを以下の演算にて算出していく。
Dout(299)=DA1(299)×6/302+DB1(148)×296/302
Dout(300)=DA1(300)×4/302+DB1(149)×298/302
Dout(301)=DA1(300)×2/302+DB1(150)×300/302
Dout(302)=DB1(151)
Dout(303)=DA2(1)×2/302+DB1(152)×300/302
Dout(304)=DA2(2)×4/302+DB1(153)×298/302
Dout(305)=DA2(3)×6/302+DB1(154)×296/302
【0059】
重み付け加算平均化回路404では、以上のように算出した最終画素データDoutを有効画素分繋ぎ合わせることで、1ライン分の画像データを生成する。このように生成される画像データは、1つのセンサチップの中でチップ端部に近いほど重みを小さく、チップ中央部に近いほど重みを大きくして、A列データおよびB列データの重み付け加算平均化によって生成される画像データであるため、A列データとB列データとの間で上述したような出力レベルの差が生じている場合であっても、A列センサチップ群300AやB列センサチップ群300BのギャップGpの位置での不連続性に起因する画質劣化を防止し、違和感の無い高品質の画像データを生成することが可能となる。
【0060】
図12は、重み付け加算平均化回路404による画像データ生成の概要を説明する図である。同図に示すように、図中の最も左側となる主走査領域(A列センサチップ群300Aのみが配置されている主走査領域)X1においては、A列データを最終画素データとして出力し、次の主走査領域X2においては、A列データとB列データとの重み付け加算平均化処理によって得られる最終画素データを出力する。そして、A列センサチップ群300AのギャップGpの位置では、B列データを最終画素データとして出力し、次の主走査領域X3においては、A列データとB列データとの重み付け加算平均化処理によって得られる最終画素データを出力する。さらに、B列センサチップ群300BのギャップGpの位置では、A列データを最終画素データとして出力し、次の主走査領域X4においては、A列データとB列データとの重み付け加算平均化処理によって得られる最終画素データを出力する。これにより、最終画素データを繋ぎ合わせて生成される画像データは、図中の一点鎖線で示すように、主走査方向におけるギャップGpの位置で出力レベルに不連続性の生じない高品質の画像データとなる。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、画像処理部205に重み付け加算平均化回路404を設け、この重み付け加算平均化回路404により、A列センサチップ群300AからのA列データとB列センサチップ群300BからのB列データとに対して、それぞれ、センサチップの端部に近い画素ほど重みが小さく、センサチップの中央部に近い画素ほど重みが大きくなるように重み付けを行い、重み付けを行ったA列データとB列データとを画素ごとに加算することで、原稿の画像データを生成するようにしている。したがって、読取面における原稿のバタツキ等によりA列センサチップ群300AおよびB列センサチップ群300Bの同一主走査位置での出力信号のレベルに差異が発生した場合であっても、A列センサチップ群300AやB列センサチップ群300BのギャップGpの位置で画像データに不連続性が発生するといった不都合を有効に抑制することができ、高品質の画像データを生成することが可能となる。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態は、画像処理部205において原稿の画像データを生成する処理の内容が、上述した第1、第2の実施形態と異なるものである。画像処理部205以外の他の構成および動作は、上述した第1、第2の実施形態と同様であるため、以下では本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明し、第1、第2の実施形態と重複する説明は適宜省略する。
【0063】
ADF100の第2画像読取部135において、原稿流し読み方式(シートスルー読取)で原稿の読み取りを行う場合、第2画像読取部135の読取面にゴミ・汚れなどが付着してしまうと、その位置では画像情報を読み取れない(副走査全域に亘ってゴミ・汚れからの反射光成分しか得られない)ことになる。そして、このような画像情報が欠落する部分は画像データ上のノイズとなり、副走査方向に延びるスジを出力画像に発生させてしまう。
【0064】
そこで、本実施形態では、画像処理部205が、A列データとB列データの一方をA列センサチップ群300AとB列センサチップ群300Bとの副走査方向における位置の差に応じて遅延させた後、A列データとB列データとを画素ごとに比較することで、A列データとB列データのいずれかに重畳するノイズを検出し、A列データとB列データの一方に検出されたノイズの位置の画素の信号を、他方のデータで代替してノイズを除去するようにしている。
【0065】
図13は、本実施形態における画像処理部205の詳細を説明するブロック図である。同図に示すように、本実施形態における画像処理部205は、第2の実施形態で説明したシェーディング補正部401,402と、遅延回路403のほか、地肌レベル検出部501と、スジ検出部502と、スジ除去部503とを備える。
【0066】
図14は、地肌レベル検出部501の一構成例を示すブロック図である。地肌レベル検出部501は、例えば同図に示すように、平均化回路511と、ピークホールド回路512と、遅延回路513と、加重演算回路514とを備える。この地肌レベル検出部501には、A列センサチップ群300AからのA列データとB列センサチップ群300BからのB列データのうちのいずれか一方が入力される。以下では、地肌レベル検出部501にB列データが入力されるものとして説明する。
【0067】
地肌レベル検出部501は、平均化回路511により入力されたB列データの主走査方向における任意の複数画素のデータの平均値を取り、その出力をピークホールド回路512にてピークホールドして地肌レベルを検出する。平均化回路511では、主走査方向における一部の画素のデータを平均化してもよいし、主走査方向における全画素を平均化するようにしてもよく、システムの構成に応じて平均化する画素を決定すればよい。
【0068】
ピークホールド回路512の検出データは、1ライン周期毎にリセットされライン周期毎の地肌ピークレベルが検出される。また、ピークホールド回路512の出力は遅延回路513および加重演算回路514に入力され、副走査方向に平均化された地肌レベルDpkとして検出される。上記の演算結果は、副走査の走査区間信号によってリセット、つまり原稿1枚ごとにリセットされる。また、加重演算回路514における初期値や演算の係数は、システムの特性に合わせて任意の値とすればよい。なお、図14に示す例では、回路規模の簡略化を考慮して、加重演算回路514を用いて副走査方向に平均化された地肌レベルDpkを検出する例を挙げているが、地肌レベル検出部501の構成としては、図14の例に限らず、一般的に知られている構成がいずれも採用可能である。
【0069】
図15は、スジ検出部502の一構成例を示すブロック図である。この図15に示すスジ検出部502は、A列データおよびB列データと、地肌レベル検出部501から入力される地肌レベルDpkとに基づいて、A列データに重畳する黒レベルのノイズおよび白レベルのノイズを検出可能に構成されている。
【0070】
まず、黒レベルのノイズについては、比較回路521、演算回路522、比較回路523、AND回路524を用い、以下の(1)および(2)の条件を満足するときに、A列データにゴミなどによる黒レベルのノイズが重畳されていると判断する。
(1)A列データの出力レベルD1がB列データの出力レベルD2よりも大きいレベル(D1>D2)
(2)A列データの出力レベルD1とB列データの出力レベルD2との差(D1−D2)が、予め設定されたゴミ検出スレッシュレベルDth_bkよりも大きい(D1−D2>Dth_bk)
【0071】
次に、白レベルのノイズについては、比較回路525、演算回路526、比較回路527、比較回路528、比較回路529、AND回路530を用い、以下の(3)〜(5)の条件を満足するときに、A列でデータにゴミなどによる白レベルのノイズが重畳されていると判断する。
(3)B列データの出力レベルD2がA列データの出力レベルD1よりも大きいレベル(D2>D1)
(4)A列データとB列データとがともに地肌レベルDpkよりも大きいレベル(D1>Dpk、D2>Dpk)
(5)B列データの出力レベルD2とA列データの出力レベルD1との差(D2−D1)が、予め設定されたゴミ検出スレッシュレベルDth_wよりも大きい(D2−D1>Dth_w)
【0072】
また、ゴミ等によるノイズは、通常、数画素分の大きさで存在するものが殆どであり、1画素だけの判断では誤検出をしてしまう場合も考えられる。このような場合を考慮して、スジ検出部502では、AND回路524の出力とAND回路530の出力とが入力されるOR回路531の出力先にノイズ連続性検出回路532を設け、異常が数画素連続して発生(例えば4〜5画素程度:600dpiの読取分解能で0.2mm程度のゴミを認識した場合に相当)した場合に、ノイズ検出信号を後段のスジ除去部503に出力するようにしている。このとき、検出にかかる遅延を補正するため、スジ除去部503に検出画素相当のライン数の遅延回路を設けておけばよい。これにより、ノイズ検出時に遡って画像を補正することが可能となる。
【0073】
なお、図15に例示したスジ検出部502は、A列データに重畳したノイズを検出する構成となっているが、B列データに重畳したノイズを検出する場合は、回路構成を図15の例と同様とし、A列データおよびB列データの入力を図15に示した例とは逆にすればよい。
【0074】
スジ除去部503は、スジ検出部502によってA列データに重畳したノイズが検出された場合には、ノイズの位置に対応するA列データの画素信号をB列データの画素信号で代替し、また、スジ検出部502によってB列データに重畳したノイズが検出された場合には、ノイズの位置に対応するB列データの画素信号をA列データの画素信号で代替することで、これらA列データやB列データに重畳したノイズの影響を除去する。
【0075】
図16は、スジ除去部503によるノイズ除去処理の概要を説明する図である。同図に示すように、A列データに例えば黒レベルのノイズが重畳している場合には、A列データのノイズが重畳している主走査位置のデータを、B列データの同位置のデータにより置換する。また、B列データに例えば黒レベルのノイズが重畳している場合には、B列データのノイズが重畳している主走査位置のデータを、A列データの同位置のデータにより置換する。A列データやB列データに白レベルのノイズが重畳している場合にも同様に、ノイズが重畳している一方のデータを他方のデータで置換することにより、ノイズの影響を除去できる。これにより、読取面にゴミや汚れ等が付着している場合に問題となるノイズの影響を適切に除去して、高品質な画像データを生成することが可能となる。
【0076】
以上のように、本実施形態によれば、画像処理部205にスジ検出部502とスジ除去部503を設け、A列データとB列データとを比較することによってA列データとB列データのいずれかに重畳するノイズを検出し、A列データとB列データの一方に検出されたノイズの位置の画素の信号を、他方のデータで代替してノイズを除去するようにしている。したがって、読取面に付着するゴミ・汚れ等に起因して出力画像に縦スジ状の欠陥を生じさせてしまうといった不都合を有効に抑制することができ、高品質の画像データを生成することが可能となる。
【0077】
なお、リニアイメージセンサ201として、図8に示したように、1画素ごとにRGBそれぞれに対応する光電変換素子が副走査方向に並んで配置された3ラインカラーセンサを用いる場合、RGBのそれぞれにおいて独立して上述した処理系統を持つようにすれば、ノイズによる影響をより高精度に除去することが可能となる。
【0078】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。本実施形態は、上述した第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせたものであり、画像処理部205が、第3の実施形態と同様のノイズ除去を行った後に第2の実施形態と同様の重み付け加算平均化処理を行って、原稿の画像データを生成するようにしたものである。以下では本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明し、第1〜第3の実施形態と重複する説明は適宜省略する。
【0079】
図17は、本実施形態における画像処理部205の詳細を説明するブロック図である。同図に示すように、本実施形態における画像処理部205では、第3の実施形態で説明したスジ除去部503の後段に、第2の実施形態で説明した重み付け加算平均化回路404が設けられている。
【0080】
スジ除去部503は、第3の実施形態と同様に、A列センサチップ群300AからのA列データやB列センサチップ群300BからのB列データに重畳されているノイズを除去し、ノイズが除去されたA列データおよびB列データを重み付け加算平均化回路404に入力する。そして、重み付け加算平均化回路404は、スジ除去部503によってノイズ除去が行われたA列データとB列データに対して、第2の実施形態と同様に、センサチップの端部に近い画素ほど重みが小さく、センサチップの中央部に近い画素ほど重みが大きくなるように重み付けを行い、重み付けを行ったA列データとB列データとを画素ごとに加算することで、原稿の画像データを生成する。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、画像処理部205が、A列センサチップ群300AからのA列データやB列センサチップ群300BからのB列データに重畳されているノイズを除去した後に、これらA列データおよびB列データのそれぞれに対して、センサチップの端部に近い画素ほど重みが小さく、センサチップの中央部に近い画素ほど重みが大きくなるように重み付けを行い、重み付けを行ったA列データとB列データとを画素ごとに加算することで、原稿の画像データを生成するようにしている。したがって、読取面に付着するゴミ・汚れ等に起因して出力画像に縦スジ状の欠陥を生じさせてしまうといった不都合を有効に抑制しながら、A列センサチップ群300AやB列センサチップ群300BのギャップGpの位置で画像データに不連続性が発生するといった不都合も有効に抑制することができ、高品質の画像データを生成することが可能となる。
【0082】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。本実施形態は、ADF100の動作モードとして、高品質の画像データを生成する「高画質モード」と、「高画質モード」に比べて画質は劣るが低消費電力で読取動作が可能な「省電力モード」の2つの動作モードを設けたものである。そして、本実施形態では、ユーザ操作により「高画質モード」が選択されている場合に、リニアイメージセンサ201のA列センサチップ群300A(およびこれに接続されるアンプ回路202、A/Dコンバータ203)と、B列センサチップ群300B(およびこれに接続されるアンプ回路202、A/Dコンバータ203)との双方に電源を供給して、第1〜第4の実施形態で説明したように、A列センサチップ群300AからのA列データとB列センサチップ群300BからのB列データとを用いて、原稿の画像データを生成するようにしている。一方、ユーザ操作により「省電力モード」が選択されている場合には、リニアイメージセンサ201のA列センサチップ群300A(およびこれに接続されるアンプ回路202、A/Dコンバータ203)のみに電源を供給し、A列センサチップ群300AからのA列データのみを用いて原稿の画像データを生成するようにしている。
【0083】
図18は、本実施形態における要部を抜き出して示したブロック図である。同図に示すように、本実施形態においては、本体制御部10に、ADF100の動作モードの選択を行う動作モード選択部601が設けられている。また、コントローラ150には、電源回路610からリニアイメージセンサ201のセンサチップ群300A,300B(およびこれに接続されるアンプ回路202、A/Dコンバータ203)への電源供給を制御する電源供給制御部602が設けられている。電源回路610からリニアイメージセンサ201のB列センサチップ群300B(およびこれに接続されるアンプ回路202、A/Dコンバータ203)への電源供給ラインにはスイッチ620が設けられており、コントローラ150の電源供給制御部602から電源供給遮断信号Voffが出力されると、スイッチ620がOFFしてリニアイメージセンサ201のB列センサチップ群300B(およびこれに接続されるアンプ回路202、A/Dコンバータ203)への電源供給が遮断される構成である。
【0084】
本実施形態では、ユーザが操作部11を用いてADF100の動作モードを指定する操作入力を行うと、本体制御部10の動作モード選択部601が、ユーザ操作に応じて、上述した「高画質モード」と「省電力モード」のいずれか一方をADF100の動作モードとして選択し、選択した動作モードの情報をコントローラ150に供給する。コントローラ150の電源供給制御部602は、本体制御部10の動作モード選択部601により選択されているADF100の動作モードが「高画質モード」の場合は、電源遮断信号Voffの出力は行わず、スイッチ620をON状態に維持する。この場合には、電源回路610からリニアイメージセンサ201のA列センサチップ群300A(およびこれに接続されるアンプ回路202、A/Dコンバータ203)と、B列センサチップ群300B(およびこれに接続されるアンプ回路202、A/Dコンバータ203)との双方に電源が供給され、上述した第1〜第4の実施形態で説明したように、A列センサチップ群300AからのA列データとB列センサチップ群300BからのB列データとを用いて、高品質な画像データが生成される。
【0085】
一方、コントローラ150の電源供給制御部602は、本体制御部10の動作モード選択部601により選択されているADF100の動作モードが「省電力モード」の場合には、電源遮断信号Voffを出力してスイッチ620をOFFし、電源回路610からリニアイメージセンサ201のB列センサチップ群300B(およびこれに接続されるアンプ回路202、A/Dコンバータ203)への電源供給を遮断する。この場合、電源回路610からリニアイメージセンサ201のA列センサチップ群300A(およびこれに接続されるアンプ回路202、A/Dコンバータ203)のみに電源が供給され、A列データのみを用いた画像データの生成が行われる。つまり、ADF100の動作モードが「省電力モード」の場合には、従来の一般的なインライン配列方式のリニアイメージセンサを用いた場合と同様に画像データが生成されるため、「高画質モード」に比べて画質が低下する懸念はあるが、「高画質モード」に比べて消費電力を抑えることができる。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザ操作に応じてADF100の動作モードを選択し、「高画質モード」の場合にはリニアイメージセンサ201のA列センサチップ群300AおよびB列センサチップ群300Bの双方に電源を供給し、「省電力モード」の場合にはリニアイメージセンサ201のA列センサチップ群300Aのみに電源供給して、B列センサチップ群300Bへの電源供給は遮断するようにしている。したがって、「高画質モード」時には、A列センサチップ群300AからのA列データとB列センサチップ群300BからのB列データとを用いて高品質な画像データを生成することができるとともに、「省電力モード」時には、リニアイメージセンサ201が2系統のセンサチップ群300A,300Bを持つことによる消費電力の増大を有効に抑制し、省電力化を実現することができる。
【0087】
以上、本発明の一適用例として第1〜第5の実施形態を具体的に説明したが、本発明は、上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。例えば、上記の各実施形態は、本発明を複写機1に適用した例であるが、本発明は、リニアイメージセンサにより原稿を副走査方向に操作して画像を読み取る構成の画像読取装置に対して広く適用可能である。また、このような画像読取装置を備える画像形成装置であれば、複合機やファクシミリ装置など、複写機以外の画像形成装置であっても本発明は有効に適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 複写機
3 画像形成部
10 本体制御部
11 操作部
100 ADF
135 第2画像読取部
150 コントローラ
200 光源部
201 リニアイメージセンサ
205 画像処理部
300A A列センサチップ群
300B B列センサチップ群
310A A列センサチップ
310B B列センサチップ
404 重み付け加算平均化回路
502 スジ検出部
503 スジ除去部
601 動作モード選択部
602 電源供給制御部
610 電源回路
620 スイッチ
Gp ギャップ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】特開2000−196835号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアイメージセンサにより原稿を副走査方向に走査して画像を読み取る画像読取装置であって、
画素に対応して直線状に並んだ複数の光電変換素子を有するセンサチップが副走査方向における同一位置に複数並べて配列されてなる2つのセンサチップ群を備え、前記2つのセンサチップ群が副走査方向における異なる位置に互いに平行に配置され、且つ、一方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置と他方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置とが主走査方向において異なる位置となるように配置されてなるリニアイメージセンサと、
前記リニアイメージセンサが備える一方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置において欠落する画素の信号を、他方のセンサチップ群の対応する画素の信号により補間して、前記原稿の画像データを生成する画像処理手段と、を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、
前記2つのセンサチップ群からの出力信号に対して、それぞれ、センサチップの端部に近い画素ほど重みが小さく、センサチップの中央部に近い画素ほど重みが大きくなるように重み付けを行って、重み付けを行った2つのセンサチップ群からの出力信号を画素ごとに加算して前記原稿の画像データを生成する重み付け加算平均化手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、
前記2つのセンサチップ群からの出力信号を画素ごとに比較して、前記2つのセンサチップ群のいずれかの出力信号に重畳するノイズを検出するノイズ検出手段と、
前記ノイズ検出手段により検出されたノイズの位置の画素の信号を、ノイズが検出されていないセンサチップ群からの出力信号で代替してノイズを除去するノイズ除去手段と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
ユーザ操作に応じて画質優先モードと省電力モードのいずれか一方の動作モードを選択する動作モード選択手段と、
前記動作モード選択手段により画質優先モードが選択されている場合は、前記リニアイメージセンサが備える2つのセンサチップ群の双方に電源を供給し、前記動作モード選択手段により省電力モードが選択されている場合は、前記2つのセンサチップ群のうちの一方にのみ電源を供給して他方のセンサチップ群への電源供給を遮断する電源供給制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置から出力される画像データに基づいて画像形成を行う画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
画素に対応して直線状に並んだ複数の光電変換素子を有するセンサチップが副走査方向における同一位置に複数並べて配列されてなる2つのセンサチップ群を複数備え、前記2つのセンサチップ群が副走査方向における異なる位置に互いに平行に配置され、且つ、一方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置と他方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置とが主走査方向において異なる位置となるように配置されてなるリニアイメージセンサにより、原稿を副走査方向に走査して画像を読み取るステップと、
前記リニアイメージセンサが備える一方のセンサチップ群におけるセンサチップ間の境界位置において欠落する画素の信号を、他方のセンサチップ群の対応する画素の信号により補間して、前記原稿の画像データを生成するステップと、を含むことを特徴とする画像読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−254356(P2011−254356A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127701(P2010−127701)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】