説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】原稿の搬送性を損ねず、コンタクトガラスへの汚れ付着による黒スジの発生を防止し、かつシワや折れ目付きの原稿を伸ばして画像ゆがみや影の発生を防止し、画像劣化をなくして良好な画質を維持することのできる画像読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿搬送手段としての第1搬送ローラ104、第2搬送ローラ105と、画像読取手段としての読取センサ部106と、コンタクトガラスと対向し、画像読取位置で画像読取手段と原稿を所定の間隔に保つよう、原稿の高さを規制する原稿高さ規制部材117と、原稿とコンタクトガラスの間にエアを吹き出すエア加圧手段118と、を備え、原稿搬送方向における原稿高さ規制部材117の上流側端より下流で、かつ画像読取位置より上流にエア加圧手段118を配置し、エアが原稿搬送方向の上流から下流へ向かって流れ、かつ原稿を原稿高さ規制部材117へ押圧するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置において、原稿情報を読み取る読取センサの上方にコンタクトガラスが設けられ、このコンタクトガラス上の読取位置において読取センサにより光学的に画像情報を読み取り、さらに原稿情報を読み取る前に読取センサの読取補正を行うために、前記読取位置に白基準部材を設置し、シェーディング補正のための白基準情報を読み取るように構成したものがある。
【0003】
このような、従来の画像読取装置において問題となるのが、コンタクトガラス上の読取位置に存在する塵埃に起因する異常画像の発生である。特に、原稿がコンタクトガラス上を搬送される構成にあっては塵埃による異常画像の発生頻度が高い。すなわち、原稿自体が塵埃を搬送し、静電気などによってコンタクトガラスに塵埃を付着させることがある。この場合の塵埃としては、紙紛、原稿上のゴミ、修正液、原稿搬送部材を構成するゴムの磨耗片等がある。この場合、例えば、ファクシミリ装置などにおける画像読取部では、通常、送信する読取画像を確認する機能を備えておらず、使用者は画像の汚れに気づかないことが多く、結果として黒スジが入った異常画像を送信してしまうことになる。
【0004】
従って、黒スジの発生を防止し、適正で良好な画像を読み取るためには常に、コンタクトガラスに塵埃などの異物が付着してない状態で読み取りが行われることが望ましい。そこで、従来の画像読取装置は、コンタクトガラスよりも搬送方向上流のローラ面に付着した汚れをクリーニング手段で除去し、この汚れがコンタクトガラスに移るのを未然に防いでいる(例えば、特許文献1参照)。また、コンタクトガラス又はスリットガラスの汚れを検出し、検出情報に基づいてクリーニングや画像補正を行っているものもある(例えば、特許文献2、3参照)。さらに、コンタクトガラス面に対して上方から送風手段によって送風し、紙粉やトナーなどの異物を清掃しているものもある(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
さらに、このような原稿搬送タイプの画像読取装置で読み取る幅広の原稿(例えば、A0、A1サイズ)には、ハンドリング、ファイルのし易さから例えば、A4サイズに小さく折りたたまれているものがしばしばある。ここで、例えばコシの強い原稿では、作業者が原稿を広げて画像読取装置に供給する際に折れ目のついた箇所が容易には平坦にならず、僅かに山状又は谷状に折れ目が残った状態で読み取りを行う場合がある。この場合、折れ目部にかかった画像は、部分的な歪みや伸び縮みのある劣化画像となってしまう。さらに、搬送方向に直角方向についた折れ目は原稿搬送速度に部分的なムラを発生する原因となって画質低下を招くことになる。
【0006】
原稿についた折れ目を画像読取部で伸ばすためには、コンタクトガラスと原稿高さ規制部材の間隔を狭くするか、原稿をコンタクトガラスに強く押し付けてやればよい。しかし、どちらの対策も原稿の搬送抵抗を増すことになるため、搬送性に悪影響を与えあるいはコンタクトガラスを汚して、黒スジを発生し易くするなどの不具合が生じてしまう。そこで、吹出ダクトから原稿ガイド部材とコンタクトガラスの間に送風して異物を清掃するとともに、シート原稿を前記原稿ガイド部材に確実に押し当て、さらに吸引ダクトで吸引しているものがある(例えば、特許文献5、6参照)。
【特許文献1】特許第3727237号公報(例えば、第4頁、第5頁、第5図、第10図)
【特許文献2】特開2003−110805号公報(例えば、第4頁、第3図、第4図)
【特許文献3】特開2003−259096号公報(例えば、第5頁、第6頁、第3図、第4図)
【特許文献4】特開2001−83748号公報(例えば、第5頁、第2図)
【特許文献5】特開2005−123701号公報(例えば、第6頁〜第8頁、第1図)
【特許文献6】特開2005−269235号公報(例えば、第8頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の画像読取装置においては、例えば、特許文献5、6記載のように原稿ガイド部材とコンタクトガラスの間に送風することで、コンタクトガラス上の異物を清掃し、かつシート原稿を前記原稿ガイド部材に確実に押し当てているものの、原稿の搬送性を損ねることなく、良好な画質を維持するとの観点から、さらに改善の余地がある。
【0008】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、原稿の搬送性を損ねず、コンタクトガラスへの汚れ付着による黒スジの発生を防止し、かつシワや折れ目付きの原稿を伸ばして画像ゆがみや影の発生を防止し、画像劣化をなくして良好な画質を維持することのできる画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の画像読取装置は、原稿をコンタクトガラス上の画像読取位置に搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段によりコンタクトガラス上を搬送されてきた原稿に対し、画像読取位置でコンタクトガラスを通して光を照射して原稿の画像を読み取る画像読取手段と、コンタクトガラスと対向し、画像読取位置で前記画像読取手段と原稿を所定の間隔に保つよう、原稿の高さを規制する原稿高さ規制部材と、原稿とコンタクトガラスの間にエアを吹き出すエア加圧手段と、を備え、原稿搬送方向における前記原稿高さ規制部材の上流側端より下流で、かつ画像読取位置より上流に前記エア加圧手段を配置し、エアが原稿搬送方向の上流から下流へ向かって流れ、かつ原稿を前記原稿高さ規制部材へ押圧するよう、エア吹き出し方向を設定した構成を有している。
【0010】
請求項2に記載の画像読取装置は、請求項1において、前記エア加圧手段により吹き出されたエアを吸い込むエア吸込手段を備え、原稿搬送方向における前記原稿高さ規制部材の下流側端より上流で、かつ画像読取位置より下流に、前記エア吸込手段を前記エア加圧手段と対向配置した構成を有している。
【0011】
請求項3に記載の画像読取装置は、請求項1又は請求項2において、前記エア加圧手段により吹き出されたエアの流れの方向が原稿搬送方向と同一であり、原稿幅方向における前記画像読取手段の全域にわたって均一なエア圧力分布を有する構成を有している。
【0012】
請求項4に記載の画像読取装置は、請求項1又は請求項2において、前記エア加圧手段により吹き出されたエアの流れの方向が原稿搬送方向と非同一であり、原稿幅方向における前記画像読取手段の一端から他端にかけて略扇形に拡散する構成を有している。
【0013】
請求項5に記載の画像読取装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項において、前記原稿搬送手段は、原稿搬送方向における前記画像読取手段の上流と下流に配置された2対の搬送ローラを有し、前記原稿高さ規制部材とコンタクトガラスの距離が、前記2対の搬送ローラのニップ間を結ぶ直線とコンタクトガラスの距離より短い構成を有している。
【0014】
請求項6に記載の画像読取装置は、請求項1から請求項5のいずれか1項において、前記原稿高さ規制部材は、画像読取位置近傍の水平領域と、原稿搬送方向における前記水平領域の上流と下流の傾斜領域と、を有し、前記原稿高さ規制部材とコンタクトガラスの間のギャップが画像読取位置近傍で最小となる構成を有している。
【0015】
請求項7に記載の画像読取装置は、請求項2から請求項6のいずれか1項において、前記エア加圧手段と前記エア吸込手段の駆動及び停止を制御するエア制御手段を備えた構成を有している。
【0016】
請求項8に記載の画像読取装置は、請求項7において、原稿が前記原稿高さ規制部材に到達したこと、及び原稿が前記画像読取手段を通過したことを検知するための原稿検知手段を備え、前記エア制御手段は、前記原稿検知手段の検出情報に基づいて、原稿が前記原稿高さ規制部材に到達した後、前記エア加圧手段と前記エア吸込手段を駆動させ、原稿が前記画像読取手段を通過した後、前記エア加圧手段と前記エア吸込手段の駆動を停止させる構成を有している。
【0017】
請求項9に記載の画像読取装置は、請求項8において、前記エア加圧手段により吹き出されたエアが原稿を前記原稿高さ規制部材へ押圧する圧力を検出する原稿押圧力検出手段を備え、前記エア制御手段は、前記原稿押圧力検出手段の検出情報に基づいて、前記エア加圧手段により吹き出されるエアの流量を増減する構成を有している。
【0018】
請求項10に記載の画像読取装置は、請求項9において、前記エア加圧手段により吹き出されるエアの圧力が、前記エア加圧手段により吹き出されたエアを前記エア吸込手段が吸い込むときの吸引力より大きい構成を有している。
【0019】
請求項11に記載の画像読取装置は、請求項1から請求項10のいずれか1項において、前記エア加圧手段により吹き出されたエア、又は前記エア吸込手段により吸い込まれたエアの流れを前記画像読取手段に通すためのエア流通手段を備え、前記エアの流れにより前記画像読取手段を冷却する構成を有している。
【0020】
請求項12に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像読取装置を画像読取手段として備えた構成を有している。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、コンタクトガラスと対向し、画像読取位置で画像読取手段と原稿を所定の間隔に保つよう、原稿の高さを規制する原稿高さ規制部材と、原稿とコンタクトガラスの間にエアを吹き出すエア加圧手段と、を備え、原稿搬送方向における前記原稿高さ規制部材の上流側端より下流で、かつ画像読取位置より上流に前記エア加圧手段を配置し、エアが原稿搬送方向の上流から下流へ向かって流れ、かつ原稿を前記原稿高さ規制部材へ押圧するよう、エア吹き出し方向を設定したことにより、原稿の搬送性を損ねず、コンタクトガラスへの汚れ付着による黒スジの発生を防止し、かつシワや折れ目付きの原稿を伸ばして画像ゆがみや影の発生を防止し、画像劣化をなくして良好な画質を維持するという効果を有する画像読取装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の一形態としての画像読取装置及び画像形成装置について、図面を用いて説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態としての画像形成装置を図1に示す。
【0024】
図1において、画像形成装置50の上部には、画像読取装置1が搭載されている。画像形成装置50の下方には、シート状の記録紙を収納する給紙カセット51と、ロール状の記録紙を収納する給紙カセット52、53を備えており、これら給紙カセット51〜53に格納された記録紙は、給紙ローラ51a、52a、53aによって給紙された後、搬送ローラ54によって上方の画像形成手段55に搬送される。
【0025】
画像形成手段55は、感光体ドラム56と、感光体ドラム56を帯電する帯電装置57と、感光体ドラム56上に静電潜像を形成する照射装置58と、感光体ドラム56にトナーを付着させて静電潜像を可視像化する現像装置59と、記録紙にトナー画像を転写する転写装置60と、記録紙に画像転写した後の感光体ドラム56上のトナーを除去するクリーニング装置61と、記録紙に記録されたトナー像を記録紙に定着する定着装置62と、を備えている。
【0026】
次に、前述した画像読取装置1の詳細な構成を図2に示す。
【0027】
図2において、原稿テーブル101上から挿入される原稿の先端を第1原稿センサ103が検出すると、第1駆動ローラと第1従動ローラの対である第1搬送ローラ104及び第2駆動ローラと第2従動ローラの対である第2搬送ローラ105を回転させて、第1搬送ローラ104の回転により読取センサ部106方向に原稿を搬送する。画像読取装置1においては、読取センサ部106に搬送される原稿を第2原稿センサ107で検知し、第2原稿センサ107の検知結果に基づいて読取開始タイミングを調整して、読取センサ部106に導かれた原稿の画像を読み取る。さらに、画像読取装置1においては、読み取りの終了した原稿を第2搬送ローラ105により装置外に排出する。
【0028】
ここで、読取センサ部106のケース110内には、光源111、セルフォックレンズ112及び受光素子部113が収納されており、ケース110の上部にコンタクトガラス114が設けられている。また、読取センサ部106においては、コンタクトガラス114上の画像読取位置(スキャンライン)に搬送されてきた原稿に光源111から読取光を照射し、原稿で反射された画像パターンに対応する反射光をセルフォックレンズ112を介して受光素子部113に等倍で結像させて、原稿の画像を読み取る。
【0029】
また、コンタクトガラス114の上方には、コンタクトガラス114に対して原稿を圧接又は近接させる原稿高さ規制部材117としての圧板が設置されている。この圧板は、シェーディング補正に用いる白基準情報を読み取るための白基準板としての機能も有している。なお、原稿高さ規制部材117としては、圧板の代わりの白色基準ローラを設置しても同じ効果が得られる。
【0030】
また、受光素子部113は、原稿の画像に対応したアナログ出力レベルを、A/D変換回路115に出力し、A/D変換回路115は、アナログ出力レベルをデジタル値に変換して、その変換したデータを画像データとしてメモリ116に蓄積する。蓄積された画像データは、照射装置58に送られ、静電潜像を形成するために用いられる。
【0031】
次に、前述した画像読取装置1における読取センサ部106、原稿高さ規制部材117、及び第1、第2搬送ローラ104、105の周辺部を拡大して図3に示す。
【0032】
図3において、原稿高さ規制部材117の下面(原稿搬送面)とコンタクトガラス114の上面は略平行に配置され、画像読取位置の前後において、双方のギャップは略等間隔に設定されている。原稿高さ規制部材117の原稿搬送面は、第1搬送ローラ104のニップと第2搬送ローラ105のニップを結ぶ直線上にある。この直線は、原稿搬送経路120と一致している。読取センサ部106の原稿搬送方向における下流(後方)、かつ原稿搬送経路120の下方には、エア加圧手段118を設けている。エア加圧手段118は、ファン(不図示)と、このファンを駆動する駆動モータ(不図示)と、ファンの駆動で生じたエアの流れを原稿搬送経路120の下方へ通し、原稿高さ規制部材117へ向けて吹き出すためのダクト部(不図示)と、を有している。エア加圧手段118により吹き出されたエアは、原稿高さ規制部材117とコンタクトガラス114の隙間を通過して、原稿搬送方向と逆方向に(原稿搬送方向の下流から上流へ)吹き出される。このエア圧によって、コンタクトガラス114上の塵埃は除去されるため、この塵埃により発生する画像黒スジ等の発生を防止して、読取画質の低下を防ぐことができる。この塵埃は、例えば、紙紛、原稿上のゴミ、修正液、原稿搬送部材を構成するゴムの磨耗片である。
【0033】
なお、原稿高さ規制部材117としての圧板は、この圧板に原稿が押し付けられた時に受光素子部113の焦点が原稿面に合うように、コンタクトガラス114との隙間を微小な間隔に保っている。この間隔は、原稿の種類(例えば、厚紙、薄紙)に関わらず焦点が合い、かつ搬送性を妨げる大きな抵抗とならないよう、原稿厚さより少し広く設定されている。このため、原稿搬送時にエア加圧手段118より吹き出されたエアは原稿とコンタクトガラス114の隙間から、逆方向(原稿搬送方向の上流側)に吹き抜けることが可能である。また、原稿がコンタクトガラス114を通過するとき、原稿は原稿高さ規制部材117側に押し付けられた状態で搬送されるため、原稿とコンタクトガラス114は微小な間隔を保ちながら非接触状態となる。
【0034】
コンタクトガラス114は、原稿面とコンタクトガラス114の間を流れる高圧のエアフロー層に覆われるため、原稿上にエア圧で吹き飛ばすことができない付着ゴミや、乾いてない修正液などが付いていてもコンタクトガラス114を汚すことはない。さらに、シワや折れ目のついた原稿に対し、エア圧により原稿高さ規制部材117に押し付ける力が作用するため、シワや折れ目が伸ばされて良好な画像を得ることができる。
【0035】
なお、前述した実施形態では、原稿高さ規制部材117として圧板を用いた場合について説明したが、本発明はこのほかに、白基準ローラなどを用いても同様の効果が得られるものである。あるいは、読取センサ部106を原稿搬送経路の上側に設け、下側に原稿高さ規制部材を設けた構成の画像読取装置に適用してもよい。
【0036】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態としての画像読取装置1における読取センサ部106、原稿高さ規制部材117、及び第1、第2搬送ローラ104、105の周辺部を拡大して図4に示す。なお、本実施形態は、エア加圧手段118を読取センサ部106より原稿搬送方向の上流側(前方)に設置した点を除き、第1の実施形態と概ね同様の構成を有しているため、図1、図2を用いると共に同一構成には同一符号を付与して説明を一部省略する。
【0037】
図4において、エア加圧手段118は、読取センサ部106の原稿搬送方向における上流(前方)、かつ原稿搬送経路120の下方には、エア加圧手段118を設けている。エア加圧手段118は、ファン118−1(図5に示す)と、このファンを駆動する駆動モータ(不図示)と、ファンの駆動で生じたエアの流れを原稿搬送経路120の下方へ通し、原稿高さ規制部材117へ向けて吹き出すための扇形状のダクト部118−2′(図5に示す)と、を有している。エア加圧手段118により吹き出されたエアは、原稿高さ規制部材117とコンタクトガラス114の隙間を通過して、原稿搬送方向の上流から下流へ吹き出される。この配置により、エア圧は原稿に搬送力を与える方向に作用するので、コシの弱い原稿や、折れ目付き原稿もジャムやシワを発生することなくスムーズに搬送される。また、本来シワ、折り目のついた原稿もこれを伸ばし、平坦とすることが可能となる。
【0038】
さらに、エア加圧手段118は、原稿高さ規制部材117の入り口117−1よりも原稿搬送方向における下流側(後方)に設けられているため、原稿は原稿高さ規制部材117の下面に進入後、エアの圧力を受ける。従って、エアにより原稿先端が持ち上げられて原稿高さ進入部材117の入り口117−1の傾斜部分に衝突するなどの不具合の発生も防止できる。こうして、原稿は原稿高さ規制部材117に沿ってコンタクトガラス114と微小な隙間を保ちつつスムーズに搬送される。さらに、エアにより、搬送方向に原稿のシワや折れ目を伸ばす力と、原稿高さ規制部材117に原稿を押し付ける力が作用するため、シワや折れ目が伸ばされて良好な画像を得ることができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態としての画像読取装置1におけるエア加圧手段118のダクト部の構成を図5に示す。
【0040】
図5において、エア加圧手段118における扇形状のダクト部118−2′の内部には、エアの流れを原稿搬送方向に導くよう、ガイド部材としての多数のリブ118−3′が主走査方向における原稿搬送巾の全域に渡って扇形状に設けられている。この多数のリブ118−3′は、エアの流量(エア圧)が全巾に渡って均一になりながら、吹き出し方向が扇状になるように、その位置と形状が決められている。特に、ダクト部118−2′とリブ118−3′を扇形状とすることで、エアの流れの方向(流線の向き)がダクト部118−2′の吹き出し口の中央部では原稿搬送方向と略平行であり、両端部へ向かって原稿搬送方向との傾きが大きくなるため、エアが原稿搬送方向の上流から下流に向けて末広がりに吹き出す。この形状により、原稿は原稿搬送方向に加え、これと直交する方向(幅方向)、すなわち横に広げる方向にも力を受けるので、原稿搬送方向に直交する方向の折れ目やシワを効率よく伸ばすと共に、原稿搬送方向に平行な方向の折れ目やシワも効率よく伸ばすことができる。
【0041】
なお、エア加圧手段118を読取センサ部106より原稿搬送方向の下流側に設置し、この位置からエアを吹き付けると、原稿は原稿進行方向(前方)からエアを受けることになり、搬送抵抗が増して、コシの弱い原稿や、折れ目の付いた原稿は、ジャムやシワの不具合を発生する場合がある。これに対し、本実施形態によれば、原稿は後方からエアを受けるため、前記不具合を回避することができる。
【0042】
また、前述した実施形態では、原稿高さ規制部材117として圧板を用いた場合について説明したが、本発明はこのほかに、白基準ローラなどを用いても同様の効果が得られるものである。あるいは、読取センサ部106を原稿搬送経路の上側に設け、下側に原稿高さ規制部材を設けた構成の画像読取装置に適用してもよい。
【0043】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態としての画像読取装置1における読取センサ部106、原稿高さ規制部材117、及び第1、第2搬送ローラ104、105の周辺部を拡大して図6に示す。なお、本実施形態は、エア吸込手段119を読取センサ部106より原稿搬送方向の下流に設置した点、及びそのダクト部の形状を除き、第1の実施形態と概ね同様の構成を有しているため、図1、図2を用いると共に同一構成には同一符号を付与して説明を一部省略する。
【0044】
図6において、原稿高さ規制部材117の出口117−2より原稿搬送方向の上流(手前)で、かつ読取センサ部106を挟んでエア加圧手段118と対向する位置には、エア吸込手段119が設置されている。エア吸込手段119は、ファン119−1(図7に示す)と、このファンを駆動する駆動モータ(不図示)と、ファンの駆動で吸込まれたエアの流れを原稿搬送経路120の下方へ通し、装置外へ排出するためのダクト部119−2(図7に示す)と、を有している。ここで、エア加圧手段118から吹き出されたエアは、読取センサ部106を通過した後、エア吸込手段119に導かれ、搬送性能に悪影響を与える乱気流を発生することなく、効率よく装置外に排出されるので、搬送性を良好に保つことができジャム、シワの発生を防止できる。
【0045】
次に、本発明の第3の実施形態としての画像読取装置1におけるエア加圧手段118及びエア吸込手段119のダクト部の構成を図7に示す。これは、図6に示す原稿高さ規制部材117の上方から見たものである。
【0046】
図7において、エア加圧手段118におけるダクト部118−2の内部には、エアの流れを原稿搬送方向に導くよう、ガイド部材として多数のリブ118−3が主走査方向における原稿搬送巾の全域に渡って設けられている。同じく、エア吸込手段119におけるダクト部119−2の内部には、エアの流れを原稿搬送方向に導くよう、ガイド部材として多数のリブ119−3が原稿搬送巾の全域に渡って設けられている。これらのリブ118−3、119−3は、エアの流量(エア圧)が全巾に渡って等しく、同一方向に吹き出され、吸い込まれるように、その位置と長さが決められている。ここで、エア加圧手段118のファン118−1により吹き出されたエアは、読取センサ部106の原稿搬送方向における上流側(手前)で原稿102とコンタクトガラス114の間に吹き込まれ、読取センサ部106を抜けるとエア吸込手段119にそのまま吸い込まれて装置外に排出される。このため、原稿サイズに関わらず、小サイズ原稿も大サイズ原稿も均一に原稿搬送方向の上流から下流へ向かう力、及び原稿高さ規制部材117に押圧される方向の力を受けるので、原稿搬送はスムーズに行われ、原稿シワ、折れ目を綺麗に伸ばすことができる。仮に、このエアや流れの方向にムラや偏りがある場合には、原稿搬送によじれやスキューが生じ、シワやジャムを発生し、エアの流れが不均一な箇所は吹き溜まりとなって、ゴミが集積するといった不具合を生じる。
【0047】
なお、エア吸込手段119を設けない構成においては、エア加圧手段118より吹き出したエアは原稿とコンタクトガラス114の隙間を通り、読取センサ部106を通過した後、拡散する乱気流となる。このため、原稿高さ規制部材117を通過した直後、この乱気流により原稿先端の直進が妨げられ、第2搬送ローラ105に衝突し、ジャム、シワを発生する不具合が生じる。
【0048】
また、前述した実施形態では、原稿高さ規制部材117として圧板を用いた場合について説明したが、本発明はこのほかに、白基準ローラなどを用いても同様の効果が得られるものである。あるいは、読取センサ部106を原稿搬送経路の上側に設け、下側に原稿高さ規制部材を設けた構成の画像読取装置に適用してもよい。
【0049】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態としての画像読取装置1における読取センサ部106、原稿高さ規制部材117、及び第1、第2搬送ローラ104、105の周辺部を拡大して図8に示す。なお、本実施形態は、エア加圧手段118及びエア吸込手段119の駆動を制御するエア制御部200を設けた点、及び原稿高さ規制部材117の配置を除き、第3の実施形態と概ね同様の構成を有しているため、図1、図2を用いると共に同一構成には同一符号を付与して説明を一部省略する。
【0050】
図8において、原稿高さ規制部材117の下面(原稿搬送面)とコンタクトガラス114の上面は略平行に配置され、画像読取位置の前後において、双方のギャップは略等間隔に設定されている。原稿高さ規制部材117の下面(原稿搬送面)は、第1搬送ローラ104のニップと第2搬送ローラ105のニップを結ぶ直線より下方にある。この直線は、第1の実施形態の原稿搬送経路120と一致している。本実施形態の原稿搬送経路120′は、前述の原稿搬送経路120より下方にあり、原稿搬送路120′とコンタクトガラス114の距離は、原稿搬送経路120とコンタクトガラス114の距離より短い。この構成により、原稿搬送路120′は、原稿にテンションをかけた状態で僅かに原稿高さ規制部材117に接触するようになる。従って、原稿にかかるテンションはエア加圧手段118の作用を妨げることなく、原稿とコンタクトガラス114を非接触状態に保つことができ、搬送性を損なうことなくコンタクトガラス114の汚れ付着を防止できる。ここでは、構成を明示するため、原稿搬送経路120′を原稿搬送経路120から大きくずらしたが、実際の原稿高さ規制部材117の位置は、原稿の搬送抵抗を増大させない程度に前記直線(仮想上の原稿搬送高さ)と僅かに接する位置とする。
なお、原稿を原稿テーブル101に挿入後、原稿に対する搬送力は第1搬送ローラ104により与えられる。その後、原稿先端は用紙のコシにより、読取センサ部106の上を通過して第2搬送ローラ105に到達する。第2搬送ローラ105にグリップされた後、原稿は第1搬送ローラ104、第2搬送ローラ105により搬送力を与えられるが、搬送ローラ104、105間で原稿に撓みを生じず、スムースな搬送を行うためには一般的に第1、第2搬送ローラ104、105の線速Vr1、Vr2が「Vr1≦Vr2」の関係となるように、原稿にテンションをかけた状態で搬送してやればよい。
【0051】
エア制御部200は、第2原稿センサ107の検知信号を入力し、この検知信号に基づいて所定のタイミングでエア加圧手段118及びエア吸込手段119の駆動を制御するものである。具体的には、例えばCPU、RAM、ROM、タイマを備えたマイクロコンピュータで構成され、CPUはROMに記憶された制御プログラムに基づいて、第2原稿センサ107の検知信号を入力し、タイマにて所定のタイミングを計測して、エア加圧手段118及びエア吸込手段119の駆動モータ(不図示)のオンオフを制御する。
【0052】
次に、エア吸込手段119によるエアの吸い込みを図9に示す。
【0053】
図9において、エア加圧手段118より吹き出されたエア126は、原稿102とコンタクトガラス114の間を通って、コンタクトガラス114の原稿搬送方向の下流側(逆側)に排出されている。このとき、エア126のエア圧は塵埃を吹き飛ばしながら、原稿102を原稿搬送方向の上流から下流に付勢し、かつ原稿高さ規制部材117に向けて付勢して押圧している。エア吸込手段119により、排出されるエア127の量が吹き出されたエア126の量よりも多い場合は、原稿102はエア吸込手段119に吸着されることとなり、搬送抵抗を増加して搬送性を低下させ、ジャム等の不具合を生じる。そこで、本実施形態では、エア加圧手段118により発生する、原稿に対する加圧力が、エア吸込手段119により発生する、原稿に対する吸引力より大きくなるように、エア加圧手段118のエア吹出量と、エア吸込手段119のエア吸込量と、を設定している。ここで、エア加圧手段118より吹き出されたエア126の一部は、エア128の流れを生じ、原稿102を原稿高さ規制部材117に軽く押し上げる力(圧力)を発生している。この押し上げる力により、原稿102の搬送性を良好に保つことができる。
【0054】
以上のように構成された画像読取装置1について、図10を用いてそのエア制御動作を説明する。
【0055】
まず、原稿102の先端が第1搬送ローラ104に到達して第2原稿センサ107に検出されると(ステップS101のYES)、エア制御部200は、前記タイマによりカウントを開始する(ステップS102)。このタイマカウントは、原稿102の先端が読取センサ部106に到達するまで行われる。
【0056】
次いで、前記タイマのカウント値が第1の値となった場合(ステップS103のYES)、エア制御部200は、エア加圧手段118のファン118−1、及びエア吸込手段119のファン119−1の駆動モータ(不図示)を駆動させる(ステップS104)。この駆動により、エア加圧手段118によるエアの吹き出しと、エア吸込手段119によるエアの吸い込みとが同時に行われる。
【0057】
この後、原稿102の後端が第2原稿センサ107に検出されると(ステップS105のYES)、エア制御部200は、前記タイマによりカウントを開始する(ステップS106)。このタイマカウントは、原稿102の後端が読取センサ部106を通過するまで行われる。
【0058】
次いで、前記タイマのカウント値が第2の値となった場合(ステップS107のYES)、エア制御部200は、エア加圧手段118のファン118−1、及びエア吸込手段119のファン119−1の駆動モータ(不図示)の駆動を停止させる(ステップS108)。
【0059】
なお、前述した第1の値、第2の値の設定に基づいて、マシン待機時はもちろん、画像形成装置50が画像を形成中でも、原稿が読取センサ部106を通過中(画像読み取り中)である時のみエア加圧手段118を動作させることができるので、マシン全体の省エネ、静音化を図ることができる。例えば、1枚の原稿に対して複数枚コピーを行う場合は、画像読み取り時のみエア加圧手段118をオンにすればよいので、無駄な送風を防止して省エネと静音化が図れる。具体的には、原稿先端を検出した後、原稿先端が読取センサ部106に到達するタイミングでエア加圧手段118をオンし、さらに原稿後端を検出した後、原稿後端が画像読取装置から排出されるタイミングでオフとすればよい。
【0060】
ここで実際には、ファン118−1にオン信号が送られてファンの回転数が安定し、ダクト部118−2から吹き出されるエア流量が規定量に達するまで、所定の時間が必要となるため、第1原稿センサ103の検知信号を用いて、第1、第2搬送ローラ104、105や駆動モータ(不図示)のオン、オフと同じタイミングで制御してもよい。
【0061】
また、前述した第1の値、第2の値の設定に基づいて、マシン待機時はもちろん、画像形成装置50が画像を形成中でも、原稿が読取センサ部106を通過中(画像読み取り中)である時のみエア吸込手段119を動作させることができるので、マシン全体の省エネ、静音化を図ることができる。例えば、1枚の原稿に対して複数枚コピーを行う場合は、画像読み取り時のみエア吸込手段119をオンにすればよいので、無駄なファンの回転を防止して省エネと静音化が図れる。具体的には、原稿先端を検出した後、原稿先端が読取センサ部106に到達するタイミングでエア吸込手段119をオンとし、さらに原稿後端を検出した後、原稿後端が読取センサ部106から排出されるタイミングでオフとすればよい。
【0062】
ここで実際には、ファン119−1にオン信号が送られてファンの回転数が安定し、ダクト部118−2から吸い込まれるエア流量が規定量に達するまで、所定の時間が必要となるため、第1原稿センサ103の検知信号を用いて、第1、第2搬送ローラや駆動モータ(不図示)のオン、オフと同じタイミングで制御してもよい。
【0063】
さらに、前述した第1の値、第2の値の設定に基づいて、コンタクトガラス114又は原稿上のゴミを除去し、シワ付き又は折れ目付き原稿を伸ばすためには読取センサ部106の位置で読取動作の実行時のみエア加圧手段118とエア吸込手段119をオンにすればよい。すなわち、原稿の先端が画像読取位置に到達する直前にエア加圧手段118とエア吸込手段119をオンにし、原稿後端が画像読取位置を通過した直後にオフとすれば十分である。但し、ゴミ除去の効果と、シワ、折れ目伸ばしの効果を上げるためには、画像読取位置の手前からエア加圧手段118とエア吸込手段119をオンにした方がより効果が得られる。
【0064】
具体的には、原稿先端が原稿高さ規制部材117に進入した後にオンとし、原稿後端が画像読取位置を通過した直後にオフとする。このエア制御により、ゴミ除去と、シワ、折れ目伸ばしといった本来の効果を上げつつ、エア加圧手段118とエア吸込手段119の動作時間を短縮することができ、省エネと静音化が可能となる。
【0065】
なお、前述した実施形態では、原稿高さ規制部材117として圧板を用いた場合について説明したが、本発明はこのほかに、白基準ローラなどを用いても同様の効果が得られるものである。あるいは、読取センサ部106を原稿搬送経路の上側に設け、下側に原稿高さ規制部材を設けた構成の画像読取装置に適用してもよい。
【0066】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態としての画像読取装置1における読取センサ部106、原稿高さ規制部材117、及び第1、第2搬送ローラ104、105の周辺部を拡大して図11に示す。なお、本実施形態は、原稿押圧力検出手段としての圧力センサ125−1の検知に応じてエア加圧手段118及びエア吸込手段119を制御するエア制御部200を設けた点を除き、第4の実施形態と概ね同様の構成を有しているため、図1、図2を用いると共に同一構成には同一符号を付与して説明を一部省略する。
【0067】
図11において、画像読取位置よりも原稿搬送方向の上流側(手前側)の原稿高さ規制部材117上には、原稿押圧力検出手段としての圧力センサ125−1が設けられている。この圧力センサ125−1は、原稿高さ規制部材117より搬送性を妨げない形状、突き出し量で設置されており、原稿の押圧力を直接、測定するものである。これに限らず、前述と同じ位置にフィラー付きの光学式センサ(例えば、透過型光センサ)を取り付け、このフィラーが押上げられた量を光学式センサで検出して原稿押圧力を測定するように構成してもよい。
【0068】
以上のように構成された画像読取装置1について、図12を用いてそのエア制御動作を説明する。ここでは、第4の実施形態を適用し、第2原稿センサ107の検知信号に基づいて、エア制御部200は、エア加圧手段118のファン118−1、及びエア吸込手段119のファン119−1の駆動モータ(不図示)の駆動/停止を制御するものとする。
【0069】
さらに、前記駆動モータの状態に基づいて、エア制御部200は、前記ファンが駆動中であるか否かを判断し、駆動中であれば(ステップS201のYES)、圧力センサ125−1からの検知信号の入力があるか否かを判断する(ステップS202)。ここで、前記入力がある場合には、これに基づいて原稿高さ規制部材117に対するエア加圧手段118のエア吹き出しの圧力を検出する(ステップS203)。
【0070】
次いで、エア制御部200は、圧力センサ125−1の検知信号に基づいて検出した圧力Pが、予め決められた最小圧力P1より小さいか否かを判断する(ステップS204)。ここで「P<P1」の場合、エア制御部200は、例えば、エア加圧手段118のファン118−1の回転数を加算してエア流量を増加させる(ステップS205)。
【0071】
また、ステップS204において、前記圧力Pが前記最小圧力P1より大きい場合、エア制御部200は、さらに、圧力センサ125−1の検知信号に基づいて検出した圧力Pが、予め決められた最大圧力P2より大きいか否かを判断する(ステップS206)。ここで「P2<P」の場合、エア制御部200は、例えば、エア加圧手段118のファン118−1の回転数を減算してエア流量を減少させる(ステップS207)。
【0072】
このような本発明の第5の実施形態としての画像読取装置1及び画像形成装置50によれば、ある一定範囲の原稿押圧力となるようにエア流量を制御することで常に安定した搬送性能を実現することができる。
【0073】
なお、前述した実施形態では、エア制御部200は、例えば、ファン118−1、119−1の回転数を増減してエア流量を制御した場合について説明したが、本発明はこのほかに、エア加圧手段118のダクト部118−2の吹出口とエア吸込手段119のダクト部119−2の吸込口の径を調節するようにしても同様の効果が得られるものである。
【0074】
また、前述した実施形態では、原稿の種類に関わらず、ある一定範囲の原稿押圧力となるようにエア流量を制御した場合について説明したが、本発明はこのほかに、原稿の種類に基づいて原稿押圧力の範囲が異なるようにしても同様の効果が得られるものである。具体的には、エア制御部200において薄紙・普通紙モードと厚紙モードを設定可能とし、薄紙・普通紙モードでの原稿押圧力Pの範囲「P1<P<P2」に対し、厚紙モードでの原稿押圧力Pの範囲「P3<P<P4」が大きくなるように設定する(P1<P2<P3<P4)。この設定により、薄紙・普通紙モードのエア流量は少なく、厚紙モードのエア流量は多く、なるように制御できる。なお、動作モードの設定、切替については、ユーザが予め操作部(不図示)から行うようにしてもよいし、原稿の種類(コシや厚さ)を検出する原稿種類検出手段を設け、この原稿種類検出手段の検出情報に基づいてエア制御部200が動作モードを切替えるようにしてもよい。
【0075】
ここで一般に、原稿に用いられる用紙は薄紙から厚紙まで紙の重さもコシも異なる。薄紙でコシの弱い原稿は、重量も軽くエア圧が強いと原稿高さ規制部材117に強く押し上げられ、これに吸着して搬送性を損なう。一方、厚紙でコシの強い原稿は重量も重く、容易には原稿高さ規制部材に押し上げることができず、コンタクトガラス114に接触して、これを汚すといった不具合が発生する。これに対し、前述のように紙の種類に応じてエア流量を調節することにより前記不具合を解消することができる。
【0076】
なお、前述した実施形態では、原稿高さ規制部材117として圧板を用いた場合について説明したが、本発明はこのほかに、白基準ローラなどを用いても同様の効果が得られるものである。あるいは、読取センサ部106を原稿搬送経路の上側に設け、下側に原稿高さ規制部材を設けた構成の画像読取装置に適用してもよい。
【0077】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態としての画像読取装置1における読取センサ部106、原稿高さ規制部材117、及び第1、第2搬送ローラ104、105の周辺部を拡大して図13に示す。なお、本実施形態は、原稿高さ規制部材117の形状及び配置を除き、第4の実施形態と概ね同様の構成を有しているため、図1、図2を用いると共に同一構成には同一符号を付与して説明を一部省略する。
【0078】
図13において、原稿高さ規制部材117は、コンタクトガラス114と平行な水平領域117−4と、この水平領域117−4に対し、原稿搬送方向の上流側及び下流側に形成された第1の傾斜領域117−3と、この第1の傾斜領域117−3に対し、原稿搬送方向の上流側及び下流側に形成された第2の傾斜領域117−5と、を有している。
【0079】
原稿高さ規制部材117における水平領域117−4の下面(原稿搬送面)は、第1搬送ローラ104のニップと第2搬送ローラ105のニップを結ぶ直線より下方にある。この直線は、第1の実施形態の原稿搬送経路120と一致している。本実施形態の原稿搬送経路120′は、前述の原稿搬送経路120より下方にあり、原稿搬送経路120′とコンタクトガラス114の距離は、原稿搬送経路120とコンタクトガラス114の距離より短い。また、原稿高さ規制部材117における領域117−4の上面は、第1搬送ローラ104のニップと第2搬送ローラ105のニップを結ぶ直線上にある。ここでは、原稿読取位置において、コンタクトガラス114と原稿高さ規制部材117とのギャップが最小となるようにしている。この結果、読取センサ部106上の画像読取位置でエア圧が最大となり、原稿高さ規制部材117と原稿の密着性を保つことが可能となっている。
【0080】
一方、第1の傾斜領域117−3(スロープ部分)では、コンタクトガラス114と高さ規制部材117の間隔が広がるため、エア圧が下がって原稿と原稿高さ規制部材117の密着性が低下する。その結果、原稿の搬送抵抗を低減できるので、搬送性を確保しつつ、画像品質を維持することが可能となる。
【0081】
また、原稿高さ規制部材117において、読取センサ部106に対向する、画像読取位置近傍の一定範囲にコンタクトガラス114と平行な水平領域117−4を設けることで、画像読取位置で原稿を読取センサ部106に平行に保ち、読み取り時の画質低下を防止している。
【0082】
さらに、画像読み取りに必要な箇所のみエア圧を上げることにより、エア加圧手段118が吹き出すエア圧(エア量)の総量を下げることが可能となり、省エネルギーにもつなげている。
【0083】
なお、第1から第5の実施形態では、原稿高さ規制部材117とコンタクトガラス114は平行に配置され、画像読取位置及びその前後において、ギャップがほぼ等間隔に設定された場合を示している。この場合、原稿は全領域において、原稿高さ規制部材117に押圧されて密着するため、原稿の搬送抵抗が大きくなるという不具合が生じ、エア圧を下げて密着性を下げることは、シワや折り目付き原稿に対して画像品質を劣化させる結果となる。
【0084】
次に、本発明の第6の実施形態としての画像読取装置1におけるエア加圧手段118及びエア吸込手段119のダクト部の構成を図14に示す。これは、図13に示す原稿高さ規制部材117の上方から見たものである。
【0085】
図14において、エア加圧手段118のファン118−1により吸入されたエアは、読取センサ部106の原稿搬送方向の上流(手前)で原稿とコンタクトガラス114の間に吹き込まれ、読取センサ部106を抜けるとエア吸込手段119にそのまま吸い込まれて装置外に排出される。エア加圧手段118のダクト部118−2′の内部には、エアの流れを原稿搬送方向に導くよう、ガイド部材として多数のリブ118−3′が原稿搬送巾の全域に渡って設けられている。ここでは、エア加圧手段118のダクト部118−2′とリブ118−3′を扇形状とすることにより、エアの流れの方向(流線の向き)がダクト部118−2′の吹き出し口の中央部では原稿搬送方向と略平行であり、両端部へ向かって原稿搬送方向との傾きが大きくなるため、エアが原稿搬送方向の上流から下流に向けて末広がりに吹き出す。このリブ118−3′は、エアの流量(エア圧)が全巾に渡って等しくなるように保ちながら、吹き出し方向が扇状になるようにその位置と形状が決められている。このため、原稿は原稿搬送方向に力を受けると共に、これと直交する方向、すなわち横に広げる方向にも力を受けるので、原稿搬送方向に平行な方向の折れ目やシワも効率よく伸ばすことができる。また、原稿サイズに関わらず、小サイズ原稿も大サイズ原稿も均一に原稿搬送方向の力及び原稿高さ規制部材117に押圧される方向の力を受けるので、原稿搬送はスムーズに行われ、原稿シワ、折れ目を綺麗に伸ばすことができる。
【0086】
なお、前述した実施形態では、原稿高さ規制部材117として圧板を用いた場合について説明したが、本発明はこのほかに、白基準ローラなどを用いても同様の効果が得られるものである。あるいは、読取センサ部106を原稿搬送経路の上側に設け、下側に原稿高さ規制部材を設けた構成の画像読取装置に適用してもよい。
【0087】
また、前述した実施形態に関わらず、エア加圧手段118により発生したエア又はエア吸込手段119により排出されるエアをダクト等のエア流通手段により、読取センサ部106、又は画像形成装置50の他のユニットに導き、これらを冷却するようにしてもよい。例えば、読取センサ部106においては、光源111や制御基板(不図示)の冷却に用いる。あるいは、画像形成装置50の定着ユニット制御基板(不図示)、電源ユニット(不図示)等の冷却に用いる。この構成により、本来不要な排熱風を再度、有効利用し、画像形成装置50の全体の使用電力を削減して省エネ化することができる。
【0088】
また、前述した実施形態に関わらず、前述した読取センサ部106の冷却に用いられた排風又は画像形成装置50における他ユニットの冷却に用いられた排熱風を、ダクト等のエア流通手段により、エア加圧手段118に導き、加圧用に用いるようにしてもよい。例えば、読取センサ部106においては、光源111や制御基板(不図示)を冷却した後の排熱風を用い、画像形成装置50においては制御基板(不図示)や電源ユニット(不図示)等を冷却した後の排熱風を用いる。この構成により、前述したように本来不要な排熱風を再度、有効利用し、画像形成装置50の全体の使用電力を削減して省エネ化することができる。
【0089】
さらに、前述した実施形態に関わらず、一つの送風ファンの風をダクト等のエア流通手段で枝分かれさせて、エア加圧手段118と他のユニットの冷却風として同時に使用することも可能である。この場合、送風ファンはそれぞれの風量を同時に満足する送風能力が必要となり、省エネとはなりえない。
【0090】
ここで、請求項1に記載の画像読取装置(例えば、図1の1)によれば、原稿をコンタクトガラス(例えば、図2の114)上の画像読取位置に搬送する原稿搬送手段(例えば、図2の104、105)と、原稿搬送手段によりコンタクトガラス上を搬送されてきた原稿に対し、画像読取位置でコンタクトガラスを通して光を照射して原稿の画像を読み取る画像読取手段(例えば、図2の106)と、コンタクトガラスと対向し、画像読取位置で画像読取手段と原稿を所定の間隔に保つよう、原稿の高さを規制する原稿高さ規制部材(例えば、図2の117)と、原稿とコンタクトガラスの間にエアを吹き出すエア加圧手段(例えば、図4の118)と、を備え、原稿搬送方向における原稿高さ規制部材の上流側端より下流で、かつ画像読取位置より上流にエア加圧手段を配置し、エアが原稿搬送方向の上流から下流へ向かって流れ、かつ原稿を原稿高さ規制部材へ押圧するよう、エア吹き出し方向を設定した構成を有している。この構成を適用したものとしては、例えば、第2の実施形態がある。
【0091】
この構成により、コンタクトガラス114側より原稿高さ規制部材117側に向けてエアを吹き付けることで、原稿に付着するか又は読取センサ部106の近くにある塵芥を吹き飛ばし、画像読取位置において原稿と読取センサ部106を非接触とするか又は接触力を弱めることで、コンタクトガラス114への汚れ付着をなくし、黒スジの発生を防止するとともに、シワや折れ目付き原稿をエア圧により伸ばすことで原稿影や歪み等の画像劣化をなくして良好な画質を得ることができる。さらに、エア加圧手段118を読取センサ部106より原稿搬送方向の上流側(手前側)で、かつ原稿高さ規制部材117の入口117−1より原稿搬送方向の下流側(後方)に設け、原稿が原稿高さ規制部材117の方向及び原稿搬送方向に押圧されるようエア吹き出し方向を設定することで、原稿の搬送性を損ねず、コンタクトガラス114への汚れ付着による黒スジの発生を防ぎ、シワや折れ目付き原稿を伸ばし、画像歪みや影の発生を防止することで画像劣化をなくして良好な画質を維持することができる。
【0092】
また、請求項2に記載の画像読取装置によれば、エア加圧手段により吹き出されたエアを吸い込むエア吸込手段(例えば、図6の119)を備え、原稿搬送方向における原稿高さ規制部材の下流側端より上流で、かつ画像読取位置より下流に、エア吸込手段をエア加圧手段と対向配置した構成により、効率よくエアを排出し、乱気流による原稿のジャムやシワの発生を防止して原稿の搬送性を改善し、コンタクトガラス114への汚れ付着による黒スジの発生を押え、原稿についたシワや折れ目を伸ばして画像歪みや影の発生を防止することで、画像劣化をなくし良好な画質を維持することができる。この構成を適用したものとしては、例えば、第3の実施形態がある。
【0093】
また、請求項3に記載の画像読取装置によれば、エア加圧手段により吹き出されたエアの流れの方向が原稿搬送方向と同一であり、原稿幅方向における画像読取手段の全域にわたって均一なエア圧力分布を有する構成により、原稿サイズに関わらず、よりスムースな原稿搬送を行うと共に、コンタクトガラス114への汚れ付着による黒スジの発生を押え、原稿についたシワや折れ目を確実に伸ばして画像歪みや影の発生を防止することで、画像劣化をなくし良好な画質を維持することができる。この構成を適用したものとしては、例えば、第3の実施形態がある。
【0094】
また、請求項4に記載の画像読取装置によれば、エア加圧手段により吹き出されたエアの流れの方向が原稿搬送方向と非同一であり、原稿幅方向における画像読取手段の中央部から両端部に向かって略扇形に拡散する構成により、原稿サイズに関わらず、よりスムースな原稿搬送を行うと共に、コンタクトガラス114への汚れ付着による黒スジの発生を押え、原稿のあらゆる方向のシワや折れ目を確実に伸ばして画像歪みや影の発生を防止することで、画像劣化をなくし良好な画質を維持することができる。この構成を適用したものとしては、例えば、第2の実施形態がある。
【0095】
また、請求項5に記載の画像読取装置によれば、原稿搬送手段は、原稿搬送方向における画像読取手段の上流と下流に配置された2対の搬送ローラ(例えば、図8の104、105)を有し、原稿高さ規制部材とコンタクトガラスの距離が、2対の搬送ローラのニップ間を結ぶ直線(例えば、図8の120)とコンタクトガラスの距離より短い構成により、原稿搬送時のテンションによりコンタクトガラス114に原稿が接触することを防ぎ、原稿の搬送性を損ねずにコンタクトガラス114への汚れ付着を防止して黒スジ等の発生を回避し、シワや折れ目による画像歪みや影の発生も押えて画像劣化のない良好な画質を得ることができる。この構成を適用したものとしては、例えば、第4の実施形態がある。
【0096】
また、請求項6に記載の画像読取装置によれば、原稿高さ規制部材は、画像読取位置近傍の水平領域(例えば、図13の117−4)と、原稿搬送方向における水平領域の上流と下流の傾斜領域(例えば、図13の117−3)と、を有し、原稿高さ規制部材とコンタクトガラスの間のギャップが画像読取位置近傍で最小となる構成により、画像読取位置でのエア圧を上げて原稿を原稿高さ規制部材117に密着させ、シワや折れ目をさらに確実に伸ばして画像歪みや影の発生を防止し、画像劣化をなくして良好な画質を維持することができ、また、黒スジの発生を防止することができ、さらに画像読取位置以外でのエア圧を下げ、原稿と原稿高さ規制部材117との密着性及び搬送抵抗を弱めて原稿の搬送性能を高めることができる。この構成を適用したものとしては、例えば、第6の実施形態がある。
【0097】
また、請求項7に記載の画像読取装置によれば、エア加圧手段とエア吸込手段の駆動及び停止を制御するエア制御手段(例えば、図8の200)を備えた構成により、例えば、原稿搬送時以外はエア加圧手段118、エア吸込手段119をオフとして画像読取装置1の全体での省エネを図ることができる。この構成を適用したものとしては、例えば、第4の実施形態がある。
【0098】
また、請求項8に記載の画像読取装置によれば、原稿が原稿高さ規制部材に到達したこと、及び原稿が画像読取手段を通過したことを検知するための原稿検知手段(例えば、図8の107)を備え、エア制御手段は、原稿検知手段の検知情報(例えば、検知信号)に基づいて、原稿が原稿高さ規制部材に到達した後、エア加圧手段とエア吸込手段を駆動させ、原稿が画像読取手段を通過した後、エア加圧手段とエア吸込手段の駆動を停止させる構成により、画像読取装置1の全体での省エネを図ると共に、原稿の搬送性を良好に保つことができる。この構成を適用したものとしては、例えば、第4の実施形態がある。
また、請求項9に記載の画像読取装置によれば、エア加圧手段により吹き出されたエアが原稿を原稿高さ規制部材へ押圧する圧力を検出する原稿押圧力検出手段(例えば、図11の125−1)を備え、エア制御手段は、原稿押圧力検出手段の検出情報に基づいて、エア加圧手段により吹き出されるエアの流量を増減する構成により、原稿サイズ、原稿の厚さ等の紙種に関わらず、原稿押し上げ力を自動調整し、常に良好な搬送性を得ることができる。この構成を適用したものとしては、例えば、第5の実施形態がある。
【0099】
また、請求項10に記載の画像読取装置によれば、エア加圧手段により吹き出されるエアの圧力が、エア加圧手段により吹き出されたエアをエア吸込手段が吸い込むときの吸引力より大きい構成により、原稿がエア吸込手段119に吸着されることを防止し、ジャムの発生やシワの発生を防止して、原稿の搬送性と読取画像品質を良好に保つことができる。この構成を適用したものとしては、例えば、第4の実施形態がある。
【0100】
また、請求項11に記載の画像読取装置によれば、エア加圧手段により吹き出されたエア、又はエア吸込手段により吸い込まれたエアの流れを画像読取手段に通すためのエア流通手段(例えば、ダクト)を備え、エアの流れによって画像読取手段を冷却する構成により、本来不要とされた排風を再度、有効利用し、画像読取装置1の全体の使用電力を削減して省エネ化することができる。
【0101】
また、請求項12に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像読取装置を画像読取手段として備えた構成により、黒スジ等がなく、折り目付き原稿等においても品質低下のない画像形成を行うことができる。この構成を適用したものとしては、例えば、第2から第6の実施形態がある。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施形態としての画像形成装置の概略を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態としての画像読取装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態としての画像読取装置の要部(原稿高さ規制部材の周辺)を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態としての画像読取装置の要部を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態としての画像読取装置の要部を示す平面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態としての画像読取装置の要部を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態としての画像読取装置の要部を示す平面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態としての画像読取装置の要部を示す断面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態としての画像読取位置周辺を示す断面図(拡大図)である。
【図10】本発明の第4の実施形態としてのエア制御動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第5の実施形態としての画像読取装置の要部を示す断面図である。
【図12】本発明の第5の実施形態としてのエア制御動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第6の実施形態としての画像読取装置の要部を示す断面図である。
【図14】本発明の第6の実施形態としての画像読取装置の要部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0103】
1 画像読取装置
50 画像形成装置
101 原稿テーブル
102 原稿
103 第1原稿センサ
104 第1搬送ローラ
105 第2搬送ローラ
106 読取センサ部
107 第2原稿センサ
111 光源
112 セルフォックレンズ
113 受光素子部
114 コンタクトガラス
117 圧板(原稿高さ規制部材)
118 エア加圧手段
119 エア吸込手段
120、120′ 原稿搬送経路
125−1 圧力センサ(原稿押圧力検出手段)
200 エア制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿をコンタクトガラス上の画像読取位置に搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段によりコンタクトガラス上を搬送されてきた原稿に対し、画像読取位置でコンタクトガラスを通して光を照射して原稿の画像を読取る画像読取手段と、
コンタクトガラスと対向し、画像読取位置で前記画像読取手段と原稿を所定の間隔に保つよう、原稿の高さを規制する原稿高さ規制部材と、
原稿とコンタクトガラスの間にエアを吹き出すエア加圧手段と、
を備え、
原稿搬送方向における前記原稿高さ規制部材の上流側端より下流で、かつ画像読取位置より上流に前記エア加圧手段を配置し、エアが原稿搬送方向の上流から下流へ向かって流れ、かつ原稿を前記原稿高さ規制部材へ押圧するよう、エア吹き出し方向を設定したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記エア加圧手段により吹き出されたエアを吸い込むエア吸込手段を備え、
原稿搬送方向における前記原稿高さ規制部材の下流側端より上流で、かつ画像読取位置より下流に、前記エア吸込手段を前記エア加圧手段と対向配置したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置において、
前記エア加圧手段により吹き出されたエアの流れの方向が原稿搬送方向と同一であり、原稿幅方向における前記画像読取手段の全域にわたって均一なエア圧力分布を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置において、
前記エア加圧手段により吹き出されたエアの流れの方向が原稿搬送方向と非同一であり、原稿幅方向における前記画像読取手段の一端から他端にかけて略扇形に拡散することを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置において、
前記原稿搬送手段は、原稿搬送方向における前記画像読取手段の上流と下流に配置された2対の搬送ローラを有し、前記原稿高さ規制部材とコンタクトガラスの距離が、前記2対の搬送ローラのニップ間を結ぶ直線とコンタクトガラスの距離より短いことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置において、
前記原稿高さ規制部材は、画像読取位置近傍の水平領域と、原稿搬送方向における前記水平領域の上流と下流の傾斜領域と、を有し、前記原稿高さ規制部材とコンタクトガラスの間のギャップが画像読取位置近傍で最小となることを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の画像読取装置において、
前記エア加圧手段と前記エア吸込手段の駆動及び停止を制御するエア制御手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像読取装置において、
原稿が前記原稿高さ規制部材に到達したこと、及び原稿が前記画像読取手段を通過したことを検知するための原稿検知手段を備え、
前記エア制御手段は、前記原稿検知手段の検出情報に基づいて、原稿が前記原稿高さ規制部材に到達した後、前記エア加圧手段と前記エア吸込手段を駆動させ、原稿が前記画像読取手段を通過した後、前記エア加圧手段と前記エア吸込手段の駆動を停止させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像読取装置において、
前記エア加圧手段により吹き出されたエアが原稿を前記原稿高さ規制部材へ押圧する圧力を検出する原稿押圧力検出手段を備え、
前記エア制御手段は、前記原稿押圧力検出手段の検出情報に基づいて、前記エア加圧手段により吹き出されるエアの流量を増減することを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像読取装置において、
前記エア加圧手段により吹き出されるエアの圧力が、前記エア加圧手段により吹き出されたエアを前記エア吸込手段が吸い込むときの吸引力より大きいことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像読取装置において、
前記エア加圧手段により吹き出されたエア、又は前記エア吸込手段により吸い込まれたエアの流れを前記画像読取手段に通すためのエア流通手段を備え、
前記エアの流れにより前記画像読取手段を冷却することを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像読取装置を画像読取手段として備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−28911(P2008−28911A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201956(P2006−201956)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】