説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】透明部材に結露が発生していることを判定するために予め記憶しておくべきデータのデータ量を軽減する。
【解決手段】画像読取装置に、原稿が載置される板状の透明部材と、透明部材を介して原稿に光を照射する光源と、光が照射された原稿の画像を読み取る画像読取部と、透明部材の一部に配設された結露判定部材と、結露判定部材の画像を読み取らせることにより結露判定データを取得する結露判定データ取得部と、光源による光の照射を行わずに画像を読み取らせることにより黒色基準データを取得する黒色基準データ取得部と、結露判定データによって表される画像の明るさと、黒色基準データによって表される画像の明るさの差が、予め定められた結露判定閾値により表される明るさの差よりも大きいときに、透明部材に結露が発生していると判定する結露判定部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び当該画像読取装置を備えた画像形成装置において、原稿が載置される透明部材に結露が発生したことを検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像読取装置では、板状の透明部材に載置された原稿に、蛍光灯やLED等の光源によって当該透明部材を介して光を照射し、当該原稿からの反射光を光電変換素子で光電変換して出力させることによって、当該原稿の画像を読み取った原稿画像データを生成するように構成されている。
【0003】
また、例えば、下記特許文献1には、結露が発生していることを判定するために、結露が発生していないときに反射板を1走査ライン分読み取ったデータパターンを予めラインメモリーに記憶しておき、当該予めラインメモリーに記憶したデータパターンと、当該判定時点において当該反射板を1走査ライン分読み取ったデータとを比較し、一致するか否かに基づいて、結露が発生しているか否かを判定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−192454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、結露が発生していることを判定するために、結露が発生していないときにおける、結露判定用の部材(反射板)の主走査方向1ライン分(1走査ライン分)の画像を複数の画素として読み取ったデータを予め記憶するのに十分な記憶領域を備える必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、原稿が載置される透明部材に結露が発生していることを判定するために、予め記憶しておくべきデータのデータ量を軽減することができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像読取装置は、原稿が載置される板状の透明部材と、前記透明部材を介して原稿に光を照射する光源と、前記光源により光が照射された原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記透明部材の一部に配設された結露判定部材と、前記画像読取部によって、前記結露判定部材の画像を読み取らせることにより、当該読み取られた画像を結露判定データとして取得する結露判定データ取得部と、前記画像読取部によって、前記光源による光の照射を行わずに画像を読み取らせることにより、当該読み取られた画像を黒色基準データとして取得する黒色基準データ取得部と、前記結露判定データによって表される画像の明るさと、前記黒色基準データによって表される画像の明るさの差が、予め定められた結露判定閾値により表される明るさの差よりも大きいときに、前記透明部材に結露が発生していると判定する結露判定部と、を備える。
【0008】
結露が発生している透明部材に光源からの光を照射すると、結露が発生している部分で光が乱反射して反射率が増大する。この状態で読み取られた画像は結露が発生していないときよりも明るくなる。一方、光を照射しないで読み取られた画像は、結露が発生しているか否かにかかわらず、明るさが変化しない。したがって、光を照射しないで読み取られた画像の明るさと、光を照射して読み取られた画像の明るさの差は、透明部材に結露が発生しているときのほうが大きくなる。つまり、光を照射しないで読み取られた画像の明るさと光を照射して読み取られた画像の明るさの差の大小に基づいて、透明部材に結露が発生しているか否かを判定することができる。
【0009】
この構成によれば、結露判定データによって表される画像の明るさと、黒色基準データによって表される画像の明るさの差が、予め定められた結露判定閾値により表される明るさの差よりも大きいときに、透明部材に結露が発生していると判定される。つまり、結露の判定のために予め記憶しておくべきデータを当該結露判定閾値だけに制限することができ、結露の判定のために予め記憶しておくべきデータのデータ量を軽減することができる。
【0010】
また、前記結露判定データ取得部は、前記画像読取部によって、前記結露判定部材の画像を複数の画素として読み取らせることにより、当該読み取られた画像を前記結露判定データとして取得し、前記黒色基準データ取得部は、前記画像読取部によって、前記光源による光の照射を行わずに画像を前記複数の画素として読み取らせることにより、当該読み取られた画像を前記黒色基準データとして取得し、前記結露判定データと前記黒色基準データとの間で互いに対応する画素同士で、画素の明るさを0から予め定められた上限値までの値によって表すものである画素値の差を結露判定補正値としてそれぞれ算出し、当該算出した前記複数の画素数分の前記結露判定補正値からなる結露判定補正データを生成する結露判定補正データ生成部を更に備え、前記結露判定部は、前記複数の画素数分の前記結露判定補正値と前記結露判定閾値との比較に基づいて、前記透明部材に結露が発生しているか否かを判定することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、複数の画素数分の結露判定補正値と結露判定閾値との比較に基づいて、透明部材に結露が発生しているか否かが判定されるため、1画素分の結露判定補正値と結露判定閾値との比較に基づいて透明部材に結露が発生しているか否かを判定する場合に比して、当該判定が誤判定される虞を軽減することができる。
【0012】
また、前記結露判定部は、前記複数の画素数分の前記結露判定補正値のうち、前記結露判定閾値よりも大きい結露判定補正値の数が予め定められた基準個数以上存在するときに、前記透明部材に結露が発生していると判定することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、複数の画素数分の結露判定補正値のうち、結露判定閾値よりも大きい結露判定補正値の数が予め定められた基準個数以上存在するときに、透明部材に結露が発生していると判定される。このため、複数の画素数分の結露判定補正値のうち、結露判定閾値よりも大きい結露判定補正値の数が一つでも存在するときに透明部材に結露が発生していると判定する場合に比して、当該判定が誤判定される虞を軽減することができる。
【0014】
また、前記透明部材の一部に配設され、白色の基準となる白色基準部材と、前記画像読取部によって、前記白色基準部材の画像を複数の画素として読み取らせることにより白色基準データを生成し、前記白色基準データと前記黒色基準データとの間で、互いに対応する画素同士の前記画素値の差を白色補正値としてそれぞれ算出し、当該算出した前記複数の画素数分の前記白色補正値からなる白色補正データを生成する白色補正データ生成部と、前記結露判定補正データと前記白色補正データとの間で互いに対応する画素同士の前記結露判定補正値と前記白色補正値との比率に前記画素値の上限値を乗算することにより、前記結露判定データをシェーディング補正するシェーディング補正部と、を更に備え、前記結露判定部は、前記シェーディング補正された前記結露判定データにおける各画素が示す値と前記結露判定閾値との比較に基づいて、前記透明部材に結露が発生しているか否かを判定することが好ましい。
【0015】
同一の色を読み取った画素値は同一の値になるべきであるが、画像読取部の読取誤差等により、結露判定データにおいて各画素間で画素値に差が生じる場合がある。しかし、この構成によれば、同一色に対する各画素間の画素値に差が生じることが解消された、シェーディング補正された結露判定データを用いて透明部材の結露が判定されるため、各画素間のバラツキを加味して精度良く、透明部材に結露が発生しているか否かを判定することができる。
【0016】
また、前記画像読取部を原稿に対して相対的に副走査方向に移動させながら、当該原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせる読取制御部を更に備え、前記結露判定部材は、前記透明部材において、前記画像読取部によって原稿の画像の読み取りが開始される位置よりも、前記読取制御部によって前記画像読取部が移動させられる方向とは逆の方向に配置され、前記読取制御部は、原稿の画像を前記画像読取部に読み取らせる前に、前記結露判定部に前記判定を行わせることが好ましい。
【0017】
または、前記画像読取部を原稿に対して相対的に副走査方向に移動させながら、当該原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせる読取制御部を更に備え、前記白色基準部材及び前記結露判定部材は、前記透明部材において、前記画像読取部によって原稿の画像の読み取りが開始される位置よりも、前記読取制御部によって前記画像読取部が移動させられる方向とは逆の方向に配置され、前記読取制御部は、原稿の画像を前記画像読取部に読み取らせる前に、前記結露判定部に前記判定を行わせることが好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、画像読取部によって原稿の画像が読み取られる前に結露の判定が行われる。このため、透明部材に結露が発生している状態で、不必要に画像読取部によって原稿の画像を読み取らせることを回避することができる。
【0019】
また、前記結露判定部材は、黒色であることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、結露判定部材が黒色であるため、結露判定部材が黒色ではない場合に比して、結露による光の乱反射の影響が大きくなり、つまり、透明部材に結露が発生しているときの結露判定画像データと透明部材に結露が発生していないときの結露判定画像データとの間で対応し合う各画素値の差分が大きくなる。このため、結露判定閾値を微調整することが容易となり、結露の発生の判定の精度を向上することができる。
【0021】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記画像読取装置と、前記画像読取部によって読み取られたデータを用いて画像形成を行う画像形成部と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、原稿が載置される透明部材に結露が発生していることを判定するために、予め記憶しておくべきデータのデータ量を軽減することができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例としての複合機の構成の一例を示す縦断面図である。
【図2】複合機の画像読取装置の構成の一例を示す概略側面図である。
【図3】透明部材の一例を示す平面図である。
【図4】画像読取装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】結露判定データ取得部、黒色基準データ取得部、結露判定補正データ生成部、白色補正データ生成部、又はシェーディング補正部で取り扱われる各種データの一例を示す説明図である。
【図6】読取制御部による原稿の読み取り制御の一例を示すフローチャートである。
【図7】読取制御部による原稿の読み取り制御の図6とは別の一例を示すフローチャートである。
【図8】結露判定データにシェーディング補正を施す一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る画像読取装置及び画像形成装置の実施形態について図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として、コピー、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ等の機能を備えた複合機に集約した形態を例に説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る複合機1の内部構成を模式的に示した縦断面図である。図1に示す複合機1は、画像読取装置2と装置本体3とを備えている。
【0026】
画像読取装置2は、原稿給紙部21とスキャナ部22とを備えている。
【0027】
原稿給紙部21は、ADFを実現するものであり、原稿トレイ231、給紙ローラ232、搬送ドラム233、排紙ローラ対234及び排紙トレイ235を備えている。
【0028】
原稿トレイ231は、原稿が載置される場所であり、原稿トレイ231に載置された原稿は1枚ずつ給紙ローラ232によって取り込まれて搬送ドラム233へ搬送される。搬送ドラム233を経由した原稿は排紙ローラ234によって排紙トレイ235へ排出される。
【0029】
スキャナ部22は、本発明に係る画像読取部の一例を構成するものであり、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ部22は、コンタクトガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、及びラインセンサであるCCD(Charge Coupled Device)229を備えている。
【0030】
コンタクトガラス221は、本発明に係る透明部材の一例を構成するものであり、原稿を載置する面を構成する。光源222及び第1ミラー223は、第1キャリッジ226によって支持されており、第2ミラー224及び第3ミラー225は、第2キャリッジ227によって支持されている。光源222には、例えば白色LED等の白色蛍光ランプが用いられ、光源222からコンタクトガラス221を介して原稿に向けて光が照射されると、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、原稿から反射された反射光がCCD229に導かれる。
【0031】
CCD229は、所謂一次元のイメージセンサであり、原稿の主走査方向1ライン分の反射光を受光すると、当該受光した反射光を光電変換して原稿の主走査方向1ライン分の画像データを出力する。
【0032】
画像読取装置2における原稿読取方法としては、コンタクトガラス221上に載置された原稿を読み取るフラットベッド読取モードと、原稿をADFによって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。
【0033】
フラットベッド読取モードでは、光源222がコンタクトガラス221を介して原稿を照射し、一次元のイメージセンサであるCCD229の各画素が並ぶ主走査方向1ライン分の反射光が、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。
【0034】
このような動作が、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)への第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227の移動と並行して1ラインずつ実施される。CCD229は、主走査方向1ライン分の原稿の画像データを同時に処理し、画像データを1ライン単位で後述のA/D変換部216(図4参照)に出力する。
【0035】
ADF読取モードでは、原稿トレイ231に載置された原稿が給紙ローラ232によって原稿搬送経路に1枚ずつ取り込まれ、搬送ドラム233から排紙トレイ235への搬送経路に設けられた画像読取位置PS上を原稿が通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。
【0036】
このような動作が、搬送ドラム233による原稿の搬送と並行して1ラインずつ実施される。CCD229は、主走査方向1ライン分の原稿の画像データを同時に処理し、画像データを1ライン単位で後述のA/D変換部216(図4参照)に出力する。
【0037】
更に、原稿給紙部21は、切換ガイド236、反転ローラ237及び反転搬送路238からなる原稿反転機構を備えている。
【0038】
切換ガイド236は、片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、上側に切り替えられ、搬送ドラム233を経た原稿は排紙ローラ234によって排紙トレイ235に排紙される。切換ガイド236は、両面読み取り時における表面読み取り後、下側に切り替えられ、搬送ドラム233を経た原稿は反転ローラ237のニップ部へ搬送される。その後、切換ガイド236は上側へ切り替えられ、反転ローラ237が逆回転することにより、原稿は、反転搬送路238を介して搬送ドラム233へ再搬送される。
【0039】
つまり、1回目の読み取りによって表面が読み取られた原稿を、切換ガイド236、反転ローラ237及び反転搬送路238からなる原稿反転機構を用いて反転させて再搬送することによって、再度CCD229によって裏面の読み取りを行わせることができる。
【0040】
装置本体3は、用紙(記録媒体)を収容する複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から搬送されてきた用紙に画像を形成する記録部40と、給紙カセット461から用紙を1枚ずつ繰り出して記録部40へ搬送する給紙ローラ462と、左方に配設されたスタックトレイ6と、記録部40を通過した用紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463及び464と、を備えている。
【0041】
装置本体3は、更に、手差しトレイ471を備え、この手差しトレイ471からは何れの給紙カセットにも収納されていないサイズの用紙や、既に一方の面に画像形成がなされている用紙(裏紙)、OHPシートのような任意の記録媒体が載置可能であり、給紙ローラ472によって1枚ずつ装置本体3内に給紙される。
【0042】
記録部40は、本発明に係る画像形成部の一例を構成するものであり、スキャナ部22で生成された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43を露光し、感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置42と、上記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上にトナー像を形成する現像装置44と、感光体ドラム43に形成されたトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。
【0043】
また、装置本体3の前方には、操作部5が備えられている。操作部5は、タッチパネル51、テンキー53、及びスタートキー55等を備えている。タッチパネル51は、種々の操作画面を表示するとともに、ユーザが種々の操作指令を入力するための種々の操作ボタン等を表示する。テンキー53は、画像形成する記録紙の枚数(印刷部数)等の実行条件を入力するために用いられ、スタートキー55は、記録部40による画像形成処理の実行開始指示等を入力するために用いられる。
【0044】
図2は、原稿給紙部21及びスキャナ部22の内部拡大図である。図3は、コンタクトガラス221の平面図(コンタクトガラス221を下から上へ見上げた図)である。図2及び図3に示すように、コンタクトガラス221には、図3の破線矩形領域が示す、読み取り対象の原稿が載置される領域(原稿読取領域)外であって、スキャナ部22による原稿の読取開始位置である画像読取位置PSよりも、原稿の読み取りが進められる方向、つまり、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227の移動方向(図中の+Y方向)とは逆方向(図中の−Y方向)に、本発明に係る白色基準部材の一例としての白色基準板10と、本発明に係る結露判定部材の一例としての黒色基準板11と、が取り付けられている。
【0045】
白色基準板10は、主走査方向(図2において紙面に直交する方向、図3においてX方向)に延びるように、コンタクトガラス221に取り付けられた白色の帯板状部材であり、黒色基準板11は、主走査方向に延びるように、コンタクトガラス221に取り付けられた黒色の帯板状部材である。尚、ここにいう黒色とは、光の反射率が30%以下の色を示すものとする。
【0046】
次に、複合機1の電気的な構成を説明する。図4は、複合機1の電気的な構成を示すブロック図である。図4に示すように、複合機1は、CPU211と、RAM212と、ROM213と、読取制御部214と、A/D変換部216と、シェーディング補正部217と、画像処理部218と、を備え、これらの各部と上記のスキャナ部22と操作部5とが、互いに通信可能なようにデータバスBUSによって接続されている。
【0047】
CPU211は、複合機1の全体的な動作制御を司るものであり、ROM213や図略のHDDに記憶されているプログラムに従って複合機1における各部の動作を制御する。本実施形態では、CPU211は、特に、結露判定データ取得部12と、黒色基準データ取得部13と、白色補正データ生成部15と、結露判定補正データ生成部14と、結露判定部16として機能する。尚、結露判定データ取得部12と、黒色基準データ取得部13と、結露判定補正データ生成部14と、白色補正データ生成部15と、結露判定部16の詳細については後述する。
【0048】
RAM212は、CPU211による上記プログラムに従った複合機1及び画像読取装置2の動作制御時の作業領域として用いられるメモリである。ROM213は、上記プログラムや各種設定値等を記憶するメモリである。
【0049】
読取制御部214は、スキャナ部22を原稿に対して相対的に副走査方向に移動させながら、当該原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせる制御を行う。
【0050】
具体的には、読取制御部214は、光源222による照明動作、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227の副走査方向の移動動作、原稿給紙部21による原稿の副走査方向の搬送動作、及びCCD229の受光動作を制御して、スキャナ部22に原稿の画像を読み取らせる。
【0051】
A/D変換部216は、スキャナ部22のCCD229から出力されるアナログの電気信号からなる主走査方向1ライン分の原稿の画像データを、所定ビット数からなるデジタルの画像データに変換するA/D変換処理を行う。A/D変換部216は、A/D変換処理後の画像データをシェーディング補正部217、結露判定データ取得部12、黒色基準データ取得部13、結露判定補正データ生成部14、白色補正データ生成部15、及び結露判定部16等に出力する。
【0052】
シェーディング補正部217は、後述する黒色基準データ取得部13から出力される黒色基準データと、後述する白色補正データ生成部15から出力される白色補正データとを用いて、スキャナ部22及びA/D変換部216を介して出力された原稿の画像データに対するシェーディング補正を行う。尚、シェーディング補正部217によるシェーディング補正の詳細については後述する。
【0053】
画像処理部218は、A/D変換部216から出力された画像データ又はシェーディング補正部217から出力されたシェーディング補正処理後の画像データに対して、各種画像処理を行うものである。例えば、画像処理部218は、当該画像データに対して、レベル補正、ガンマ補正等の補正処理、画像データの圧縮又は伸長処理、拡大又は縮小処理などの画像加工処理を行う。
【0054】
以下では、結露判定データ取得部12、黒色基準データ取得部13、結露判定補正データ生成部14、白色補正データ生成部15、結露判定部16、及びシェーディング補正部217で行われる各種処理について詳述する。
【0055】
結露判定データ取得部12は、図5(a)に示すように、スキャナ部22によって、黒色基準板11の主走査方向1ライン分の画像を複数の画素1,2,3,・・・,n−1,nとして読み取らせることによって、各画素の画素値C(1),C(2),C(3),・・・,C(n−1),C(n)を取得する。
【0056】
画素値C(1)〜C(n)は、それぞれ、画素1〜nの明るさを、8ビット(0〜255)の256段階で表している。画素値は、例えば、0で最も暗く、255で最も明るいことを示している。この画素値C(1)〜C(n)によって、主走査方向1ライン分の結露判定データCが構成されている。以下では、画素値に付された括弧内の数字は、対応する画素の番号を示すものとする。
【0057】
黒色基準データ取得部13は、図5(a)に示すように、スキャナ部22によって、光源222による光の照射を行わずに、スキャナ部22のCCD229から出力させたアナログの電気信号をA/D変換部216によってA/D変換処理させることによって、光源222による光の照射を行わずに主走査方向1ライン分の画像を複数の画素1,2,3,・・・,n−1,nとして読み取らせ、これによって、各画素の画素値B(1),B(2),B(3),・・・,B(n−1),B(n)を取得し、当該取得した画素値B(1)〜B(n)をRAM212に記憶する。この画素値B(1)〜B(n)によって、主走査方向1ライン分の黒色基準データBが構成されている。尚、黒色基準データ取得部13は、RAM212に既に黒色基準画像データBが記憶されている場合には、新たに黒色基準画像データBを取得しないように構成されていてもよい。
【0058】
結露判定補正データ生成部14は、図5(a)に示すように、結露判定データCと黒色基準データBとの間で互いに対応する画素同士の画素値の差である結露判定補正値C’(1),C’(2),C’(3),・・・,C’(n−1),C’(n)を算出する。この結露判定補正値C’(1)〜C’(n)によって、主走査方向1ライン分の結露判定補正データC’が構成されている。
【0059】
白色補正データ生成部15は、図5(b)に示すように、スキャナ部22によって、白色基準板10の主走査方向1ライン分の画像を複数の画素1,2,3,・・・,n−1,nとして読み取らせることによって、各画素の画素値W(1),W(2),W(3),・・・,W(n−1),W(n)を取得する。この画素値W(1)〜W(n)によって、主走査方向1ライン分の白色基準データWが構成されている。
【0060】
そして、白色補正データ生成部15は、当該生成した白色基準データWと黒色基準データBとの間で互いに対応する画素同士の画素値の差である白色補正値W’(1),W’(2),W’(3),・・・,W’(n−1),W’(n)を算出する(例えば、画素nの場合、W’(n)=W(n)−B(n))。この白色補正値W’(1)〜W’(n)によって、主走査方向1ライン分の白色補正データW’が構成されている。
【0061】
シェーディング補正部217は、図5(c)に示すように、スキャナ部22によって、原稿の主走査方向1ライン分の画像が複数の画素1,2,3,・・・,n−1,nとして読み取られることによって生成された、各画素の画素値D(1),D(2),D(3),・・・,D(n−1),D(n)を取得する。この画素値D(1)〜D(n)によって、主走査方向1ライン分の原稿画像データDが構成されている。
【0062】
次に、シェーディング補正部217は、原稿画像データDと黒色基準データBとの間で互いに対応する画素同士の画素値の差である原稿補正値D’(1),D’(2),D’(3),・・・,D’(n−1),D’(n)を算出する(例えば、画素nの場合、D’(n)=D(n)−B(n))。この原稿補正値D’(1)〜D’(n)によって、主走査方向1ライン分の原稿補正データD’が構成されている。
【0063】
そして、シェーディング補正部217は、原稿補正データD’と白色補正データW’との間で互いに対応する画素同士の画素値の比率に画素値の上限値(例えば、8ビットで画素値が示される場合、上限値は255)を乗算することによって、シェーディング補正原稿画素値D”(1),D”(2),D”(3),・・・,D”(n−1),D”(n)を算出する(例えば、画素nの場合、D”(n)=255×D’(n)/W’(n))。このシェーディング補正原稿画素値D”(1)〜D”(n)によって、主走査方向1ライン分のシェーディング補正原稿データD”が構成されている。
【0064】
このようにして、シェーディング補正部217は、原稿の主走査方向1ライン分の画像を読み取った原稿画像データDに対して、シェーディング補正が施されたシェーディング補正原稿データD”を生成する。これにより、画像形成しようとしている原稿画像データDにシェーディング補正が施され、スキャナ部22の光源222による照明の配光ムラやCCD229の各画素間の感度差が補正される。
【0065】
結露判定部16は、コンタクトガラス221に結露が発生しているか否かを判定する。具体的には、結露判定部16は、図5(a)に示すように、結露判定補正データ生成部14によって生成された主走査方向1ライン分の結露判定補正データC’のうちの何れか1つの結露判定補正値C’(1)〜C’(n)が予め定められた結露判定閾値よりも大きいときは、コンタクトガラス221に結露が発生していると判定する。ただし、予め定められた結露判定閾値は、コンタクトガラス221に結露を生じさせて試験運転を行う等の実験値に基づいて予め定められ、ROM213に記憶されている。
【0066】
尚、上記の構成では、スキャナ部22によって、黒色基準板11の主走査方向1ライン分の画像を複数の画素1〜nとして読み取った画素値によって結露判定データCを構成し、また、光源222による光の照射を行わずに主走査方向1ライン分の画像を複数の画素1〜nとして読み取った画素値によって黒色基準データBを構成し、当該結露判定データCと黒色基準データBとを用いて生成した、複数の画素1〜n分の結露判定補正値によって構成された結露判定補正データC’を用いて、結露の発生を判定する形態について説明した。
【0067】
しかし、これに限定する趣旨ではなく、スキャナ部22によって、黒色基準板11の主走査方向1ライン分の画像における複数の画素1〜nのうちの、1つの画素のみを読み取った画素値、又は、一部の画素を読み取った画素値によって結露判定データCを構成し、また、光源222による光の照射を行わずに主走査方向1ライン分の画像における複数の画素1〜nのうちの、当該1つの画素のみを読み取った画素値、又は、当該一部の画素を読み取った画素値によって黒色基準データBを構成してもよい。そして、これに合わせて、当該結露判定データCと黒色基準データBとを用いて、複数の画素1〜nのうちの、当該1つの画素分又は当該一部の画素分の結露判定補正データC’を生成して、当該生成した結露判定補正データC’を用いて、結露の発生を判定するように構成してもよい。
【0068】
また、結露判定部16は、結露判定補正データ生成部14によって生成された主走査方向1ライン分の結露判定補正データC’のうちの、予め定められた基準個数以上の結露判定補正値C’(1)〜C’(n)が予め定められた結露判定閾値よりも大きいときに、コンタクトガラス221に結露が発生していると判定するように構成してもよい。この場合、結露判定補正データC’において予め定められた結露判定閾値よりも大きい結露判定補正値C’(1)〜C’(n)が一つでも存在するときにコンタクトガラス221に結露が発生していると判定する場合に比して、当該判定が誤判定される虞を軽減することができる。
【0069】
つまり、本発明に係る画像読取装置の一例が、上記の画像読取装置2と、結露判定データ取得部12と、黒色基準データ取得部13と、結露判定補正データ生成部14と、結露判定部16と、を備えて構成されている。
【0070】
結露が発生しているコンタクトガラス221に光源222からの光を照射すると、結露が発生している部分で光が乱反射して反射率が増大する。この状態で読み取られた画像は結露が発生していないときよりも明るくなる。一方、光を照射しないで読み取られた画像は、結露が発生しているか否かにかかわらず、明るさが変化しない。したがって、光を照射しないで読み取られた画像の明るさと、光を照射して読み取られた画像の明るさの差は、コンタクトガラス221に結露が発生しているときのほうが大きくなる。つまり、光を照射しないで読み取られた画像の明るさと光を照射して読み取られた画像の明るさの差の大小に基づいて、コンタクトガラス221に結露が発生しているか否かを判定することができる。
【0071】
上記の構成によれば、結露判定部16によって、結露判定データCによって表される画像の明るさと、黒色基準データBによって表される画像の明るさの差(結露判定補正データC’によって表される画像の明るさの差)が、予め定められた結露判定閾値により表される明るさの差よりも大きいときに、コンタクトガラス221に結露が発生していると判定される。つまり、結露の判定のために予め記憶しておくべきデータを当該結露判定閾値だけに制限することができ、結露の判定のために予め記憶しておくべきデータのデータ量を軽減することができる。
【0072】
以下では、図6を参照して、読取制御部214による原稿の読み取り制御について詳述する。
【0073】
ユーザによる操作部5の操作等によって、読取制御部214に対する原稿の読み取り指示が入力され、CPU211によって当該指示が受け付けられると(S1)、読取制御部214は、結露判定部16に結露判定処理を開始するように指示し、当該指示に従って結露判定部16は結露判定処理を開始する(S2)。
【0074】
結露判定部16は、結露判定データ取得部12に結露判定データCを取得させ(S3)、黒色基準データ取得部13に黒色基準データBを取得させた後(S4)、結露判定補正データ生成部14に結露判定補正データC’を生成させる(S5)。
【0075】
そして、結露判定部16は、上記のように、ステップS5で生成された結露判定補正データC’と予め定められた結露判定閾値との比較に基づいて、コンタクトガラス221に結露が発生しているか否かを判定する(S6)。
【0076】
結露判定部16によってコンタクトガラス221に結露が発生していないものと判定されると(S6;NO)、読取制御部214は、スキャナ部22の第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227を原稿の読み取り開始位置PSまで移動させた後、スキャナ部22によって原稿の画像を主走査方向1ライン分読み取らせ(S7)、当該読み取らせた主走査方向1ライン分の原稿画像データDをシェーディング補正部217にシェーディング補正させる(S8)。
【0077】
そして、読取制御部214は、原稿の主走査方向全ライン分の読み取りが完了したか否かを判定し(S9)、原稿の主走査方向全ライン分の読み取りが完了していないと判定すると(S9;NO)、次の主走査方向1ライン分を読み取らせ(S7)、当該読み取らせた主走査方向1ライン分の原稿画像データDをシェーディング補正部217にシェーディング補正させる(S8)。一方、読取制御部214は、原稿の主走査方向全ライン分の読み取りが完了したものと判定すると(S9;YES)、原稿の読み取り制御を終了する。このようにして、ステップS1〜S9によってシェーディング補正が施された主走査方向全ライン分の原稿画像データが画像形成に用いられる。
【0078】
一方、結露判定部16によってコンタクトガラス221に結露が発生しているものと判定されると(S6;YES)、読取制御部214は、スキャナ部22によって原稿を読み取らせることなく、例えば、操作部5のタッチパネル51にコンタクトガラス221に結露が発生している旨の警告メッセージを表示する(S10)。
【0079】
つまり、結露判定部16によって、スキャナ部22によって原稿の画像が読み取られる前に結露の判定が行われるため、コンタクトガラス221に結露が発生している状態で、不必要にスキャナ部22によって原稿の画像を読み取らせることを回避することができる。
【0080】
[第二実施形態]
以下の第二実施形態の説明では、第一実施形態とは異なる部分についてのみ詳述し、第一実施形態と同じ部分については説明を省略する。
【0081】
第二実施形態では、結露判定部16は、図7に示すように、ステップS5において結露判定補正データC’を生成させた後、白色補正データ生成部15に白色補正データW’を生成させ(S11)、ステップS5で生成された結露判定補正データC’とステップS11で生成された白色補正データW’とを用いて、ステップS3で取得された結露判定データCをシェーディング補正部217によってシェーディング補正させることによって、図5(d)に示すように、シェーディング補正判定データC”を生成させる(S12)。
【0082】
そして、結露判定部16は、シェーディング補正判定データC”のうちの何れか1つの画素が示す値が、結露判定閾値よりも大きいときは、コンタクトガラス221に結露が発生していると判定する。
【0083】
尚、第二実施形態においても、第一実施形態と同様に、スキャナ部22によって、主走査方向1ライン分の画像における複数の画素1〜nのうちの、1つの画素のみを読み取った画素値、又は、一部の画素を読み取った画素値によって、シェーディング補正判定データC”を構成して、コンタクトガラス221の結露の発生を判定するように構成してもよい。また、シェーディング補正判定データC”のうちの、予め定められた基準個数以上の画素の示す値が予め定められた結露判定閾値よりも大きいときに、コンタクトガラス221に結露が発生していると判定するように構成してもよい。
【0084】
例えば、図8に示すように、スキャナ部22によって黒色基準板11を読み取った場合に、光源222による照明の配光ムラやCCD229の各画素間の感度差に起因して、図中の画素jと画素kに示すように、結露判定データCにおける各画素間で画素値C(j),C(k)に差が生じる場合がある。
【0085】
しかし、シェーディング補正部217によって結露判定データCに対してシェーディング補正が施されることにより、結露判定データCと黒色基準データBを用いて生成された結露判定補正データC’と、白色基準データWと黒色基準データBを用いて生成された白色補正データW’と、の間で互いに対応する画素j,k同士の画素値の比率C’(j)/W’(j),C’(k)/W’(k)に画素値の上限値(例えば、255)が乗算されて、シェーディング補正判定データC”における画素j,kが示す値C”(j),C”(k)が算出される。
【0086】
つまり、当該算出されたシェーディング補正判定データC”における画素j,kが示す値C”(j),C”(k)は、画素j,kのそれぞれにおける、結露判定補正データC’と白色補正データW’との間で互いに対応する画素j,k同士の画素値の比率を用いて算出されているため、画素j,k間で、光源222による照明の配光ムラやCCD229の感度差が解消されて、ほぼ等しい値を示すようになる。
【0087】
したがって、第二実施形態の構成によれば、同一色に対する各画素間の画素値に差が生じることが解消された、シェーディング補正された結露判定データC(シェーディング補正判定データC”)を用いてコンタクトガラス221の結露が判定されるため、各画素間のバラツキを加味して結露判定閾値を大きく定める必要がなくなり、精度良くコンタクトガラス221に結露が発生しているか否かを判定することができる。
【0088】
尚、上記実施形態において、本発明に係る画像形成装置の一例として、モノクロの複合機を例に説明したが、これに限定する趣旨ではなく、本発明に係る画像形成装置は、カラー複合機、本発明に係る画像読取装置を備えたプリンタ、コピー機、スキャナ、又はFAX(それぞれ、モノクロ及びカラーの何れでもよい)等の画像形成装置であってもよい。
【0089】
また、本発明は、上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。図1乃至図8に示した構成及び処理は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を上記実施形態に限定する趣旨ではない。
【0090】
例えば、第一実施形態の構成において、複合機1は、シェーディング補正部217を備えないように簡素化して、これに合わせて、図6におけるステップS8の処理を行わないように簡素化して構成してもよい。
【0091】
また、黒色基準板11は黒色とは異なる色であってもよい。ただし、黒色基準板11が黒色である場合は、結露による光の乱反射の影響が大きくなり、つまり、結露が発生しているときの結露判定画像データと結露が発生していないときの結露判定画像データとの間で対応し合う各画素値の差分が大きくなる。このため、黒色基準板11が黒色ではない場合に比して、結露判定閾値を微調整することが容易となり、結露の発生の判定の精度を向上することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 複合機(画像形成装置)
10 白色基準板(白色基準部材)
11 黒色基準板(結露判定部材)
12 結露判定データ取得部
13 黒色基準データ取得部
14 結露判定補正データ生成部
15 白色補正データ生成部
16 結露判定部
2 画像読取装置
214 読取制御部
217 シェーディング補正部
22 スキャナ部(画像読取部)
221 コンタクトガラス(透明部材)
222 光源
40 記録部(画像形成部)
B 黒色基準データ
C 結露判定データ
C’ 結露判定補正データ
C’(1)〜C’(n) 結露判定補正値
PS 画像読取位置(原稿の画像の読み取りが開始される位置)
W 白色基準データ
W’ 白色補正データ
W’(1)〜 W’(n) 白色補正値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される板状の透明部材と、
前記透明部材を介して原稿に光を照射する光源と、
前記光源により光が照射された原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記透明部材の一部に配設された結露判定部材と、
前記画像読取部によって、前記結露判定部材の画像を読み取らせることにより、当該読み取られた画像を結露判定データとして取得する結露判定データ取得部と、
前記画像読取部によって、前記光源による光の照射を行わずに画像を読み取らせることにより、当該読み取られた画像を黒色基準データとして取得する黒色基準データ取得部と、
前記結露判定データによって表される画像の明るさと、前記黒色基準データによって表される画像の明るさの差が、予め定められた結露判定閾値により表される明るさの差よりも大きいときに、前記透明部材に結露が発生していると判定する結露判定部と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記結露判定データ取得部は、前記画像読取部によって、前記結露判定部材の画像を複数の画素として読み取らせることにより、当該読み取られた画像を前記結露判定データとして取得し、
前記黒色基準データ取得部は、前記画像読取部によって、前記光源による光の照射を行わずに画像を前記複数の画素として読み取らせることにより、当該読み取られた画像を前記黒色基準データとして取得し、
前記結露判定データと前記黒色基準データとの間で互いに対応する画素同士で、画素の明るさを0から予め定められた上限値までの値によって表すものである画素値の差を結露判定補正値としてそれぞれ算出し、当該算出した前記複数の画素数分の前記結露判定補正値からなる結露判定補正データを生成する結露判定補正データ生成部を更に備え、
前記結露判定部は、前記複数の画素数分の前記結露判定補正値と前記結露判定閾値との比較に基づいて、前記透明部材に結露が発生しているか否かを判定する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記結露判定部は、前記複数の画素数分の前記結露判定補正値のうち、前記結露判定閾値よりも大きい結露判定補正値の数が予め定められた基準個数以上存在するときに、前記透明部材に結露が発生していると判定する請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記透明部材の一部に配設され、白色の基準となる白色基準部材と、
前記画像読取部によって、前記白色基準部材の画像を複数の画素として読み取らせることにより白色基準データを生成し、前記白色基準データと前記黒色基準データとの間で、互いに対応する画素同士の前記画素値の差を白色補正値としてそれぞれ算出し、当該算出した前記複数の画素数分の前記白色補正値からなる白色補正データを生成する白色補正データ生成部と、
前記結露判定補正データと前記白色補正データとの間で互いに対応する画素同士の前記結露判定補正値と前記白色補正値との比率に前記画素値の上限値を乗算することにより、前記結露判定データをシェーディング補正するシェーディング補正部と、
を更に備え、
前記結露判定部は、前記シェーディング補正された前記結露判定データにおける各画素が示す値と前記結露判定閾値との比較に基づいて、前記透明部材に結露が発生しているか否かを判定する請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取部を原稿に対して相対的に副走査方向に移動させながら、当該原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせる読取制御部を更に備え、
前記結露判定部材は、前記透明部材において、前記画像読取部によって原稿の画像の読み取りが開始される位置よりも、前記読取制御部によって前記画像読取部が移動させられる方向とは逆の方向に配置され、
前記読取制御部は、原稿の画像を前記画像読取部に読み取らせる前に、前記結露判定部に前記判定を行わせる請求項1から3の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記画像読取部を原稿に対して相対的に副走査方向に移動させながら、当該原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせる読取制御部を更に備え、
前記白色基準部材及び前記結露判定部材は、前記透明部材において、前記画像読取部によって原稿の画像の読み取りが開始される位置よりも、前記読取制御部によって前記画像読取部が移動させられる方向とは逆の方向に配置され、
前記読取制御部は、原稿の画像を前記画像読取部に読み取らせる前に、前記結露判定部に前記判定を行わせる請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記結露判定部材は、黒色である請求項1から6の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取部によって読み取られたデータを用いて画像形成を行う画像形成部と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−12898(P2013−12898A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144200(P2011−144200)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】