画像読取装置及び画像形成装置
【課題】 光学系を通過した適正な収束光のみが受光部に到達し、ゴースト、フレア、色が薄くなるといった画像不良が無い良好な画像を読取れる画像読取装置を提供する。
【解決手段】 レンズ55及びCCDセンサ54の間に配置され、一部に開口50aを有してレンズ55からCCDセンサ54へと収束する収束光を通過させつつ、開口50a以外の部位ではレンズ55からCCDセンサ54へと収束されない非収束光を遮蔽する遮光部材50と、を備え、遮光部材50は、レンズ55からCCDセンサ54に向かうに従って開口50aが小さくなるように傾斜する壁面60a、60bで形成され、レンズ55を通過する光束52の中心軸を光軸51とした場合に、壁面60a、60bをCCDセンサ54へ延長した仮想延長面60aa、60bbは、光軸51と交わり、かつ、受光部53に交わらない角度に設定される画像読取装置600を構成した。
【解決手段】 レンズ55及びCCDセンサ54の間に配置され、一部に開口50aを有してレンズ55からCCDセンサ54へと収束する収束光を通過させつつ、開口50a以外の部位ではレンズ55からCCDセンサ54へと収束されない非収束光を遮蔽する遮光部材50と、を備え、遮光部材50は、レンズ55からCCDセンサ54に向かうに従って開口50aが小さくなるように傾斜する壁面60a、60bで形成され、レンズ55を通過する光束52の中心軸を光軸51とした場合に、壁面60a、60bをCCDセンサ54へ延長した仮想延長面60aa、60bbは、光軸51と交わり、かつ、受光部53に交わらない角度に設定される画像読取装置600を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と、原稿で反射された光の進行方向を反射しながら変更する反射手段と、反射手段で反射する光を集光して結像させる光学系と、光学系を通過する光を受光して電荷に変換する光電変換手段と、を備える画像読取装置に関する。また、この画像読取装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿の画像を読み取る場合には光が光源から原稿に照射され、原稿から反射された光が反射手段によってレンズ等の光学系へと導かれ、光学系で収束された光が光電変換手段で電気信号に変換されて画像として読み取られる画像読取装置の技術が存在する。この場合に、画像読取装置の外からの光(外光)や、画像読取装置の内部で適正な光路を通っていない光(迷光)が、光電変換素子に当たってしまうと、原稿の画像が適正に読み取られず、異常画像となってしまう。これを回避するために、そのような外光や迷光が光電変換手段に入らないように、光電変換手段を覆う構成や、反射率の低い部材をできるだけ多く使用する構成等が考えられる。
【0003】
光電変換手段を覆う構成に関しては、光学系と光電変換手段の間に遮光部材が配置され、遮光部材が光学系と光電変換手段との光路の全体を覆う構成や、光電変換手段の全体をただ覆う構成が考えられる。そのような対策では、画像読取装置の外側からの外光や適正な光路以外で意図せず反射された迷光といったレンズの内部を通らない光が光電変換素子に入ることは、ある程度は遮光することができる。
【0004】
また、反射率の低い部材を使用する構成に関しては、例えば、特許文献1に記載の発明が存在する。特許文献1に記載の発明は、反射鏡の入射面の反対側の光沢面に黒色の光吸収塗料を塗布し、この光吸収部材が非有効光束を吸収し、吸収されずに反射する光は入射してきた方向に戻される構成に関する発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−81564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の光電変換手段を覆う構成、または、反射率の低い部材を使用する構成では、適正な光路近傍を通ってレンズ等の光学系を通ってくる迷光に関しては、光電変換素子に入ることを完全に防ぐことは難しい。そうなると、画像を読み取った際の読取画像の色が薄くなってしまったり、ゴーストが発生したり、色の濃度が薄くなるためコントラストが低下したり等の種々の問題が発生してしまう。
【0007】
なお、その迷光対策として、遮光部材の開口部を狭めて適正な光路の幅に近い間隔にするなどを行って対策をする方法もある。その場合でも、狭くした遮光部材の上下や左右の壁面に迷光が反射してセンサに入射してしまうことが想定される。そのために、単純に開口部を狭くしただけでは、場合によって対策前より画像のレベルが悪化することも想定されてしまうので、安易に光束の近傍に遮光部材の開口部の壁面を設置することはできない。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑み、光学系を通過した適正な収束光のみが受光部に到達し、ゴースト、フレア、色が薄くなるといった画像不良が無い良好な画像を読み取ることができる画像読取装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、原稿に光を照射する光源と、原稿で反射された光の進行方向を反射しながら変更する反射手段と、前記反射手段で反射された光を集光して結像させる光学系と、前記光学系の結像位置に配置され、前記光学系の光を受光する受光部を有し、光を電気信号に変換する光電変換手段と、前記光学系及び前記光電変換手段の間に配置され、一部に開口を有して前記光学系から前記光電変換手段へと収束する収束光を通過させつつ、前記開口以外の部位では前記光学系から前記光電変換手段へと収束されない非収束光を遮蔽する通過遮蔽手段と、を備え、前記通過遮蔽手段は、前記開口の周囲に、前記光学系から前記光電変換手段に向かうに従って前記開口が小さくなるように傾斜する傾斜面を有し、前記光学系を通過する光束の中心軸を光軸とした場合に、前記傾斜面を前記光電変換手段へ延長した仮想延長面は、前記光軸と交わり、かつ、前記受光部に交わらない角度に設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光学系を通過した適正な収束光のみが受光部に到達し、ゴースト、フレア、色が薄くなるといった画像不良が無い良好な画像を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】画像読取装置の構成を示す斜視図である。
【図3】一体型ユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】図3(a)の矢印Jの方向から見た一体型ユニットの構成を示す斜視図等である。
【図5】比較例1に係る光学ユニットの構成を示す断面図である。
【図6】比較例2に係る光学ユニットの構成を示す断面図等である。
【図7】一体型ユニットの内部の構成を示す拡大断面図である。
【図8】図7の一部拡大断面図である。
【図9】図8と同様の一部拡大断面図に、迷光の様子を追加した図面である。
【図10】一体型ユニットの構成を示す一部拡大断面図である。
【図11】遮光部材の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置500の構成を示す断面図である。画像形成装置500は、電子写真画像形成プロセスを利用した画像形成装置である。図1に示されるように、画像形成装置500は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)500Aを有し、この装置本体500Aの内部には、画像を形成する画像形成部Gが設けられる。画像形成部Gは、『像担持体』である感光体ドラム112、『転写装置』である転写ローラ115等を含む。少なくとも感光体ドラム112については、プロセスカートリッジに含まれ、プロセスカートリッジとして装置本体500Aに組み込まれる構成としても良い。
【0014】
装置本体500Aの内部には、シートを収納する収納カセット11、ピックアップローラ85、給送ローラ対84、搬送ローラ対82、レジストローラ対83が設けられる。また、装置本体500Aの内部には、感光体ドラム112、転写ローラ115、帯電ローラ116、露光装置111、現像装置114、定着装置118、排出ローラ対119が配置され、装置本体500Aの外部には、トレイ120が設けられている。また、装置本体500Aの上部には、画像読取装置600が配置されている。画像読取装置600は枠体10を有している。枠体10の内部には、一体型ユニット700(図2、図3等を用いて後述)が配置されている。
【0015】
図2は、画像読取装置600の構成を示す斜視図である。図2に示される画像読取装置600は、一体型走査光学ユニット(以下、「一体型ユニット700」という)を有している。この一体型ユニット700の内部には、光源、反射手段、光学系、光電変換手段が一体に設けられている。また、図2の枠体10の上方にはプラテンガラスが設置される。このプラテンガラス上には、画像面が下向きに向けられた原稿が置かれることになる。そして、一体型ユニット700の内部のものは、プラテンガラスの下側を走査しながら、走査方向に垂直な方向の画像を次々に読み取る。このとき走査する方向を副走査方向Aといい、副走査方向Aに垂直な方向を主走査方向Bという。
【0016】
図3(a)は、一体型ユニット700の構成を示す斜視図である。図3(a)に示されるように、一体型ユニット700は、筐体3を有する。筐体3の上部にはカバー1が取付けられており、カバー1には「光源」であるLED2a、2bが主走査方向Bに延びるように設けられている。筐体3の下部には、軸4が挿入された軸受9が取付けられており、一体型ユニット700は、軸4の回転と共に軸4に沿う副走査方向Aに移動可能となっている。
【0017】
図3(b)は、図3(a)の矢印Jの方向(斜め下方)から見た一体型ユニット700の構成を示す斜視図である。図3(b)に示されるように、一体型ユニット700では、筐体3に基板80が組み付けられ、基板80に支持部材81が組み付けられ、支持部材81によってレンズ55が支持されている。本発明の特徴部分である遮光部材50は、図3(b)中の基板80の内側の面側に配置されている。
【0018】
図4は、基板80、支持部材81、遮光部材50、レンズ55の構成を示す斜視図である。図4に示されるように、基板80に支持部材81が取り付けられ、この支持部材81がレンズ55を支持している。基板8には『光電変換手段』であるCCDセンサ54(図7参照)が固定されており、このCCDセンサ54を覆うように、遮光部材50が取り付けられている。
【0019】
図5は、比較例1に係る光学ユニット901の構成を示す断面図であり、レンズ55、CCDセンサ54、遮光部材150の副走査方向Aの位置関係を示す。図5に示されるように、比較例1(従来例)に係る光学ユニット901は、レンズ55及びCCDセンサ54を有し、これらは遮光部材150によって覆われている。遮光部材150がレンズ55からCCDセンサ54までを覆うことで、外光が受光部53に入ることが防止できているが、レンズ55を通ってくる迷光(破線)はあらゆる方向から入射してくることがわかる。
【0020】
迷光が比較的強い光であれば、読取画像中に白っぽくフレアというものになる。また、光が像を結んでいたり、原稿の色情報などをもった光であったりすれば、ゴーストになる。また弱い光であっても原稿本来の色に比べれば濃度として薄くなることは避けがたく、黒側が浮いた状態になってしまうためコントラストが低くなってしまう。
【0021】
図6(a)は、比較例2に係る光学ユニット902の構成を示す断面図であり、レンズ55、CCDセンサ54、遮光部材250の副走査方向Aの位置関係を示す。図6(a)に示されるように、比較例2に係る光学ユニット902は、レンズ55及びCCDセンサ54を有し、レンズ55及びCCDセンサ54の間に遮光部材250を有している。遮光部材250には、開口部250aが形成されており、開口部250aは、狭く設定されており、CCDセンサ54への迷光(破線)の入射が防止されている。
【0022】
図6(b)は、図6(a)の一部拡大断面図であり、迷光がCCDセンサ54へと入射される様子を示している。図6(b)に示されるように、一見すると、大部分の迷光がCCDセンサ54へと入射するのが防止されているように見えるが、光束52の近傍に迷光がある場合には、迷光は、開口部250aの壁面で反射して受光部53に入射してしまう可能性がある。このとき迷光が強い光であると読み取り画像により悪い影響が出る可能性もあり、この場合には図5に示すような遮光部材150の形状のほうが望ましいこともある不安定な壁面構成である。
【0023】
図7は、一体型ユニット700の内部の構成を示す拡大断面図であり、レンズ55、CCDセンサ54、遮光部材50の副走査方向Aの位置関係を示す。図7に示されるように、レンズ55を通った光束52はCCDセンサ54の受光部53へ結像される。このときレンズ55と受光部53と画像情報の光束52の位置関係は、あらかじめ光軸51を中心に位置調整されている。
【0024】
一体型ユニット700は、LED2a、2b、ミラー70a、70b、レンズ55、CCDセンサ54、を一体化されている。『光源』(照明手段)であるLED2a、2bは、原稿に光を照射する部材である。LED2a、2bは、主走査方向Bに沿って列をなすように取付けられている(図3(a)参照)。『反射手段』であるミラー70a、70bは、原稿で反射された光を集光して進行方向を反射しながら変更する部材である。『光学系』(結像手段)であるレンズ55は、ミラー70a、70bで反射された光を集光して結像させる部材である。『光電変換手段』であるCCDセンサ54は、レンズ55の結像位置に配置され、レンズ55の光を受光する受光部53を有し、光を電気信号に変換する部材である。
【0025】
なお、ミラー70a、70bの本数や位置、反射の角度、光路長などは画像読取装置600の全体の大きさや、レンズ55の特性によるものや照明の光量などで適切に配置されるべきものである。これは一体型ユニット700に限らず、主走査を読取り、副走査方向Aに走査しながら画像を読み取る方式の画像読取装置であるならば同じである。
【0026】
こうした構成により、まず、LED2a、2bで照射された光が、原稿面に反射し、反射光のうち少なくとも一部の光が、一体型ユニット700の筐体3内に入る。この光は、筐体3の内部の1又は複数のミラー70a、70b等で反射し、光束52の経路が調整され、レンズ55へと導かれる。
【0027】
レンズ55を通った光束52は、CCDセンサ54の受光面53aに結像する。CCDセンサ54には主走査方向B(図7の紙面に垂直な方向)に光電変換素子が並んでおり、CCDセンサ54の受光面53aは主走査方向Bに長い。CCDセンサ54は、主走査方向Bに原稿を照射する照明と合わせて原稿の主走査方向Bの情報を光の量として受光し、光量をCCDセンサ54に貯蔵し、光量を電荷量に変化をさせて画像情報として転送することで、原稿の画像を読み取ることが可能になる。
【0028】
このような光電変換素子の入射面には読み取る色情報によってカラーフィルターが塗布されており、副走査方向Aにそれぞれ並んでいる。CCDセンサ54の受光面53aは、使用するレンズ55の焦点バラツキや、支持部材81のバラツキ、さらにCCDセンサ54の実装バラツキなどを鑑み、レンズ55の略焦点位置に適切に位置調整される。レンズ55が結像させた原稿の反射光をCCDセンサ54の受光面53aで受光し、光の強弱を電気的信号に変換をする。その後電気信号となった画像情報はソフト的な画像処理手段を経て、読取画像となる。
【0029】
一体型ユニット700は、遮光部材50を備える。『通過遮蔽手段』である遮光部材50は、レンズ55及びCCDセンサ54の間に配置される。遮光部材50は、一部に開口50aを有してレンズ55からCCDセンサ54へと収束する『収束光』である光束52を通過させる。同時に、遮光部材50は、開口50a以外の部位ではレンズ55からCCDセンサ54へと収束されない非収束光(迷光が相当)を遮蔽し、レンズ55を通過する光以外の光が入らないように、受光部53を覆う。
【0030】
ここで、遮光部材50の構成に関して更に詳述する。遮光部材50は、開口50aの周囲に、『傾斜面』である壁面60a、60bを有する。壁面60a、60bは、レンズ55からCCDセンサ54に向かうに従って開口50aが小さくなるように傾斜する。CCDセンサ54は、基板80に取付けられており、遮光部材50は、基板80に一体になるように取付けられている。なお、遮光部材50の外周面側は、副走査方向Aへと平面状に延びている。
【0031】
基板80には、レンズ55を支持する支持部材81が取り付けられる。そして、支持部材81の基端側の表面側では、基板80に遮光部材50が取り付けられた状態にある。支持部材81を基板80に取付ける際には、支持部材81が遮光部材50に当接させた状態で組み付けることから、支持部材81は、遮光部材50で位置決めされることになる。このように、遮光部材50が支持部材81を位置決めし、支持部材81がレンズ55を位置決めする関係によって、遮光部材50は支持部材81を介してレンズ55を確実に位置決めすることになる。この結果、レンズ55及びCCDセンサ54の間の寸法は、最適な寸法に設定され易い状態となっている。
【0032】
図8は、図7の一部拡大断面図である。ここで、レンズ55を通過する光束52の中心軸を光軸51とする。また、遮光部材50が、レンズ55の側からCCDセンサ54の側へと傾斜する壁面60a、60bを有することは前述したが、その壁面60a、60bをCCDセンサ54へ延長した架空の延長面を仮想延長面60aa、60bbとする。この仮想延長面60aa、60bbは、光軸51と交わり、かつ、受光部53の受光面53aに交わらない角度に設定される。なお、仮想延長面60aa、60bbの交点は、レンズ55及び受光面53aの間に配置されている。
【0033】
図9は、図8と同様の一部拡大断面図に、迷光の様子を追加した図面である。図9に示されるように、レンズ55を通った迷光J1、J2は、壁面60b、60aで反射する。反射屈折の原理として、角度θで入射した光は、平面で反射するときに、角度θで反射する。例えば、迷光J1は、壁面60bで反射した後に、壁面60aで反射し、収束方向とは逆方向に進む。また、迷光J2は、壁面60aで反射した後に、遮光部材50の内部へと進むが、受光部53以外の部位に到達する。
【0034】
このように、壁面60a、60bが光軸51と受光面53aに対して図9のような位置関係にある場合には、迷光は、いかなる角度で壁面60a、60bに当たっても、その反射光は、受光部53に入ることは無い。そのため、遮光部材50の開口50aはできるだけ狭くさせ、迷光が直接入らないようにすることが可能である。
【0035】
また、壁面60a、60bが仮に反射特性の低い拡散面であったときに、迷光J1、J2が壁面60a、60bで反射する際に拡散してしまうとしても何ら効果に変化は無い。受光部53に光が入ることは無いため色の濃度が薄くなるような画像不良が起き難く、コントラストの高い良好な読み取り画像を得ることが可能である。
【0036】
図10は、一体型ユニット700の構成を示す一部拡大断面図であり、主走査方向Bの断面を示している。図1〜図9では、一体型ユニット700の副走査方向Aの断面の構成について説明したが、これは主走査方向Bの断面の構成についても同様のことが言える。遮光部材50の開口50cを構成する壁面60c、60dから延長された架空の仮想延長面60cc、60ddは、それぞれ光軸51と交わり、受光部53の受光面53aと決して交わらないような角度に設定されている。副走査方向Aの断面の構成で得られる効果は、主走査方向Bの断面の構成でも同様に得られる。
【0037】
図11は、遮光部材50の構成を示す斜視図である。図11のX−X線に沿う断面が図7の断面図に相当し、図11のY−Y線に沿う断面が図10の断面図に相当する。図11に示されるように、遮光部材50は、開口部が傾斜する壁面60a〜60dで形成され、その開口部の向こう側に受光部53が見えている。
【0038】
なお、前述の実施例では、遮光部材50の開口部を構成する壁面60a〜60dは、略四角錐状に形成されていたが、この構成に限定されない。すなわち、遮光部材50の開口50aの周囲に広がる壁面は、略円錐状に形成されても良く、この構成でも同様な効果が得られる。その場合には、壁面をCCDセンサ54の方向へと延長させた仮想延長面を考慮すると、収束光は円錐状の仮想円錐の頂点に焦点が合わせられる。この仮想円錐の頂点の位置が、光軸51の方向でレンズ55及びCCDセンサ54の間に配置されるような角度で、仮想延長面が設定される。仮想延長面は、光軸51には交わり、受光部53とは交わらないように設定されていることから、壁面で反射された迷光は、受光部53に入り込むことは無い。
【0039】
実施例の構成によれば、レンズ55とCCDセンサ54の間には、遮光部材50が配置され、この遮光部材50は、CCDセンサ54の方向に光束52を通す開口50aを有する。この開口50aが極力狭く形成されることにより、レンズ55を通過する迷光がCCDセンサ54に直接に到達しないようにすることができる。そして、壁面60a、60bは、レンズ55を通過した不適正な収束光を、CCDセンサ54の受光部53以外の部位に到達させる。その結果、レンズ55を通過した適正な収束光のみが受光部53に到達し、ゴースト、フレア、色が薄くなるといった画像不良が無い良好な画像を読み取ることができる。
【0040】
なお、LED2a、2b、ミラー70a、70b、レンズ55、CCDセンサ54等を同一の筐体3に組み、その筐体3を副走査方向Aに動かすことで画像を読み取る一体型の画像読取装置600では、以下の必要性がある。限られたスペース内で、複数のミラー70a、70bを短い距離で反射させながら光路長を稼ぎ、レンズ55へ光束52を導く必要がある。そのため、筐体3内の光路の経路は、ミラー70a、70bへの入射光、反射光、その他の入射光、反射光などが非常に近接している状態になる。筐体3内に光が充満するようにいっぱいになり、適正な光束52だけがレンズ55に到達するのは難しく、迷光もレンズ55を通ってしまうことが少なくない。実施例の構成では、こういった現象が抑制される。
【符号の説明】
【0041】
2a、2b LED(光源)
50 遮光部材(通過遮蔽手段)
50a 開口
51 光軸
53 受光部
54 CCDセンサ(光電変換手段)
55 レンズ(光学系)、
60a、60b、60c、60d・・・・・・・壁面(傾斜面)
60aa、60bb、60cc、60dd・・・仮想延長面
70a、70b・・・・・・・・・・・・・・・ミラー(反射手段)
600 画像読取装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と、原稿で反射された光の進行方向を反射しながら変更する反射手段と、反射手段で反射する光を集光して結像させる光学系と、光学系を通過する光を受光して電荷に変換する光電変換手段と、を備える画像読取装置に関する。また、この画像読取装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿の画像を読み取る場合には光が光源から原稿に照射され、原稿から反射された光が反射手段によってレンズ等の光学系へと導かれ、光学系で収束された光が光電変換手段で電気信号に変換されて画像として読み取られる画像読取装置の技術が存在する。この場合に、画像読取装置の外からの光(外光)や、画像読取装置の内部で適正な光路を通っていない光(迷光)が、光電変換素子に当たってしまうと、原稿の画像が適正に読み取られず、異常画像となってしまう。これを回避するために、そのような外光や迷光が光電変換手段に入らないように、光電変換手段を覆う構成や、反射率の低い部材をできるだけ多く使用する構成等が考えられる。
【0003】
光電変換手段を覆う構成に関しては、光学系と光電変換手段の間に遮光部材が配置され、遮光部材が光学系と光電変換手段との光路の全体を覆う構成や、光電変換手段の全体をただ覆う構成が考えられる。そのような対策では、画像読取装置の外側からの外光や適正な光路以外で意図せず反射された迷光といったレンズの内部を通らない光が光電変換素子に入ることは、ある程度は遮光することができる。
【0004】
また、反射率の低い部材を使用する構成に関しては、例えば、特許文献1に記載の発明が存在する。特許文献1に記載の発明は、反射鏡の入射面の反対側の光沢面に黒色の光吸収塗料を塗布し、この光吸収部材が非有効光束を吸収し、吸収されずに反射する光は入射してきた方向に戻される構成に関する発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−81564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の光電変換手段を覆う構成、または、反射率の低い部材を使用する構成では、適正な光路近傍を通ってレンズ等の光学系を通ってくる迷光に関しては、光電変換素子に入ることを完全に防ぐことは難しい。そうなると、画像を読み取った際の読取画像の色が薄くなってしまったり、ゴーストが発生したり、色の濃度が薄くなるためコントラストが低下したり等の種々の問題が発生してしまう。
【0007】
なお、その迷光対策として、遮光部材の開口部を狭めて適正な光路の幅に近い間隔にするなどを行って対策をする方法もある。その場合でも、狭くした遮光部材の上下や左右の壁面に迷光が反射してセンサに入射してしまうことが想定される。そのために、単純に開口部を狭くしただけでは、場合によって対策前より画像のレベルが悪化することも想定されてしまうので、安易に光束の近傍に遮光部材の開口部の壁面を設置することはできない。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑み、光学系を通過した適正な収束光のみが受光部に到達し、ゴースト、フレア、色が薄くなるといった画像不良が無い良好な画像を読み取ることができる画像読取装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、原稿に光を照射する光源と、原稿で反射された光の進行方向を反射しながら変更する反射手段と、前記反射手段で反射された光を集光して結像させる光学系と、前記光学系の結像位置に配置され、前記光学系の光を受光する受光部を有し、光を電気信号に変換する光電変換手段と、前記光学系及び前記光電変換手段の間に配置され、一部に開口を有して前記光学系から前記光電変換手段へと収束する収束光を通過させつつ、前記開口以外の部位では前記光学系から前記光電変換手段へと収束されない非収束光を遮蔽する通過遮蔽手段と、を備え、前記通過遮蔽手段は、前記開口の周囲に、前記光学系から前記光電変換手段に向かうに従って前記開口が小さくなるように傾斜する傾斜面を有し、前記光学系を通過する光束の中心軸を光軸とした場合に、前記傾斜面を前記光電変換手段へ延長した仮想延長面は、前記光軸と交わり、かつ、前記受光部に交わらない角度に設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光学系を通過した適正な収束光のみが受光部に到達し、ゴースト、フレア、色が薄くなるといった画像不良が無い良好な画像を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】画像読取装置の構成を示す斜視図である。
【図3】一体型ユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】図3(a)の矢印Jの方向から見た一体型ユニットの構成を示す斜視図等である。
【図5】比較例1に係る光学ユニットの構成を示す断面図である。
【図6】比較例2に係る光学ユニットの構成を示す断面図等である。
【図7】一体型ユニットの内部の構成を示す拡大断面図である。
【図8】図7の一部拡大断面図である。
【図9】図8と同様の一部拡大断面図に、迷光の様子を追加した図面である。
【図10】一体型ユニットの構成を示す一部拡大断面図である。
【図11】遮光部材の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置500の構成を示す断面図である。画像形成装置500は、電子写真画像形成プロセスを利用した画像形成装置である。図1に示されるように、画像形成装置500は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)500Aを有し、この装置本体500Aの内部には、画像を形成する画像形成部Gが設けられる。画像形成部Gは、『像担持体』である感光体ドラム112、『転写装置』である転写ローラ115等を含む。少なくとも感光体ドラム112については、プロセスカートリッジに含まれ、プロセスカートリッジとして装置本体500Aに組み込まれる構成としても良い。
【0014】
装置本体500Aの内部には、シートを収納する収納カセット11、ピックアップローラ85、給送ローラ対84、搬送ローラ対82、レジストローラ対83が設けられる。また、装置本体500Aの内部には、感光体ドラム112、転写ローラ115、帯電ローラ116、露光装置111、現像装置114、定着装置118、排出ローラ対119が配置され、装置本体500Aの外部には、トレイ120が設けられている。また、装置本体500Aの上部には、画像読取装置600が配置されている。画像読取装置600は枠体10を有している。枠体10の内部には、一体型ユニット700(図2、図3等を用いて後述)が配置されている。
【0015】
図2は、画像読取装置600の構成を示す斜視図である。図2に示される画像読取装置600は、一体型走査光学ユニット(以下、「一体型ユニット700」という)を有している。この一体型ユニット700の内部には、光源、反射手段、光学系、光電変換手段が一体に設けられている。また、図2の枠体10の上方にはプラテンガラスが設置される。このプラテンガラス上には、画像面が下向きに向けられた原稿が置かれることになる。そして、一体型ユニット700の内部のものは、プラテンガラスの下側を走査しながら、走査方向に垂直な方向の画像を次々に読み取る。このとき走査する方向を副走査方向Aといい、副走査方向Aに垂直な方向を主走査方向Bという。
【0016】
図3(a)は、一体型ユニット700の構成を示す斜視図である。図3(a)に示されるように、一体型ユニット700は、筐体3を有する。筐体3の上部にはカバー1が取付けられており、カバー1には「光源」であるLED2a、2bが主走査方向Bに延びるように設けられている。筐体3の下部には、軸4が挿入された軸受9が取付けられており、一体型ユニット700は、軸4の回転と共に軸4に沿う副走査方向Aに移動可能となっている。
【0017】
図3(b)は、図3(a)の矢印Jの方向(斜め下方)から見た一体型ユニット700の構成を示す斜視図である。図3(b)に示されるように、一体型ユニット700では、筐体3に基板80が組み付けられ、基板80に支持部材81が組み付けられ、支持部材81によってレンズ55が支持されている。本発明の特徴部分である遮光部材50は、図3(b)中の基板80の内側の面側に配置されている。
【0018】
図4は、基板80、支持部材81、遮光部材50、レンズ55の構成を示す斜視図である。図4に示されるように、基板80に支持部材81が取り付けられ、この支持部材81がレンズ55を支持している。基板8には『光電変換手段』であるCCDセンサ54(図7参照)が固定されており、このCCDセンサ54を覆うように、遮光部材50が取り付けられている。
【0019】
図5は、比較例1に係る光学ユニット901の構成を示す断面図であり、レンズ55、CCDセンサ54、遮光部材150の副走査方向Aの位置関係を示す。図5に示されるように、比較例1(従来例)に係る光学ユニット901は、レンズ55及びCCDセンサ54を有し、これらは遮光部材150によって覆われている。遮光部材150がレンズ55からCCDセンサ54までを覆うことで、外光が受光部53に入ることが防止できているが、レンズ55を通ってくる迷光(破線)はあらゆる方向から入射してくることがわかる。
【0020】
迷光が比較的強い光であれば、読取画像中に白っぽくフレアというものになる。また、光が像を結んでいたり、原稿の色情報などをもった光であったりすれば、ゴーストになる。また弱い光であっても原稿本来の色に比べれば濃度として薄くなることは避けがたく、黒側が浮いた状態になってしまうためコントラストが低くなってしまう。
【0021】
図6(a)は、比較例2に係る光学ユニット902の構成を示す断面図であり、レンズ55、CCDセンサ54、遮光部材250の副走査方向Aの位置関係を示す。図6(a)に示されるように、比較例2に係る光学ユニット902は、レンズ55及びCCDセンサ54を有し、レンズ55及びCCDセンサ54の間に遮光部材250を有している。遮光部材250には、開口部250aが形成されており、開口部250aは、狭く設定されており、CCDセンサ54への迷光(破線)の入射が防止されている。
【0022】
図6(b)は、図6(a)の一部拡大断面図であり、迷光がCCDセンサ54へと入射される様子を示している。図6(b)に示されるように、一見すると、大部分の迷光がCCDセンサ54へと入射するのが防止されているように見えるが、光束52の近傍に迷光がある場合には、迷光は、開口部250aの壁面で反射して受光部53に入射してしまう可能性がある。このとき迷光が強い光であると読み取り画像により悪い影響が出る可能性もあり、この場合には図5に示すような遮光部材150の形状のほうが望ましいこともある不安定な壁面構成である。
【0023】
図7は、一体型ユニット700の内部の構成を示す拡大断面図であり、レンズ55、CCDセンサ54、遮光部材50の副走査方向Aの位置関係を示す。図7に示されるように、レンズ55を通った光束52はCCDセンサ54の受光部53へ結像される。このときレンズ55と受光部53と画像情報の光束52の位置関係は、あらかじめ光軸51を中心に位置調整されている。
【0024】
一体型ユニット700は、LED2a、2b、ミラー70a、70b、レンズ55、CCDセンサ54、を一体化されている。『光源』(照明手段)であるLED2a、2bは、原稿に光を照射する部材である。LED2a、2bは、主走査方向Bに沿って列をなすように取付けられている(図3(a)参照)。『反射手段』であるミラー70a、70bは、原稿で反射された光を集光して進行方向を反射しながら変更する部材である。『光学系』(結像手段)であるレンズ55は、ミラー70a、70bで反射された光を集光して結像させる部材である。『光電変換手段』であるCCDセンサ54は、レンズ55の結像位置に配置され、レンズ55の光を受光する受光部53を有し、光を電気信号に変換する部材である。
【0025】
なお、ミラー70a、70bの本数や位置、反射の角度、光路長などは画像読取装置600の全体の大きさや、レンズ55の特性によるものや照明の光量などで適切に配置されるべきものである。これは一体型ユニット700に限らず、主走査を読取り、副走査方向Aに走査しながら画像を読み取る方式の画像読取装置であるならば同じである。
【0026】
こうした構成により、まず、LED2a、2bで照射された光が、原稿面に反射し、反射光のうち少なくとも一部の光が、一体型ユニット700の筐体3内に入る。この光は、筐体3の内部の1又は複数のミラー70a、70b等で反射し、光束52の経路が調整され、レンズ55へと導かれる。
【0027】
レンズ55を通った光束52は、CCDセンサ54の受光面53aに結像する。CCDセンサ54には主走査方向B(図7の紙面に垂直な方向)に光電変換素子が並んでおり、CCDセンサ54の受光面53aは主走査方向Bに長い。CCDセンサ54は、主走査方向Bに原稿を照射する照明と合わせて原稿の主走査方向Bの情報を光の量として受光し、光量をCCDセンサ54に貯蔵し、光量を電荷量に変化をさせて画像情報として転送することで、原稿の画像を読み取ることが可能になる。
【0028】
このような光電変換素子の入射面には読み取る色情報によってカラーフィルターが塗布されており、副走査方向Aにそれぞれ並んでいる。CCDセンサ54の受光面53aは、使用するレンズ55の焦点バラツキや、支持部材81のバラツキ、さらにCCDセンサ54の実装バラツキなどを鑑み、レンズ55の略焦点位置に適切に位置調整される。レンズ55が結像させた原稿の反射光をCCDセンサ54の受光面53aで受光し、光の強弱を電気的信号に変換をする。その後電気信号となった画像情報はソフト的な画像処理手段を経て、読取画像となる。
【0029】
一体型ユニット700は、遮光部材50を備える。『通過遮蔽手段』である遮光部材50は、レンズ55及びCCDセンサ54の間に配置される。遮光部材50は、一部に開口50aを有してレンズ55からCCDセンサ54へと収束する『収束光』である光束52を通過させる。同時に、遮光部材50は、開口50a以外の部位ではレンズ55からCCDセンサ54へと収束されない非収束光(迷光が相当)を遮蔽し、レンズ55を通過する光以外の光が入らないように、受光部53を覆う。
【0030】
ここで、遮光部材50の構成に関して更に詳述する。遮光部材50は、開口50aの周囲に、『傾斜面』である壁面60a、60bを有する。壁面60a、60bは、レンズ55からCCDセンサ54に向かうに従って開口50aが小さくなるように傾斜する。CCDセンサ54は、基板80に取付けられており、遮光部材50は、基板80に一体になるように取付けられている。なお、遮光部材50の外周面側は、副走査方向Aへと平面状に延びている。
【0031】
基板80には、レンズ55を支持する支持部材81が取り付けられる。そして、支持部材81の基端側の表面側では、基板80に遮光部材50が取り付けられた状態にある。支持部材81を基板80に取付ける際には、支持部材81が遮光部材50に当接させた状態で組み付けることから、支持部材81は、遮光部材50で位置決めされることになる。このように、遮光部材50が支持部材81を位置決めし、支持部材81がレンズ55を位置決めする関係によって、遮光部材50は支持部材81を介してレンズ55を確実に位置決めすることになる。この結果、レンズ55及びCCDセンサ54の間の寸法は、最適な寸法に設定され易い状態となっている。
【0032】
図8は、図7の一部拡大断面図である。ここで、レンズ55を通過する光束52の中心軸を光軸51とする。また、遮光部材50が、レンズ55の側からCCDセンサ54の側へと傾斜する壁面60a、60bを有することは前述したが、その壁面60a、60bをCCDセンサ54へ延長した架空の延長面を仮想延長面60aa、60bbとする。この仮想延長面60aa、60bbは、光軸51と交わり、かつ、受光部53の受光面53aに交わらない角度に設定される。なお、仮想延長面60aa、60bbの交点は、レンズ55及び受光面53aの間に配置されている。
【0033】
図9は、図8と同様の一部拡大断面図に、迷光の様子を追加した図面である。図9に示されるように、レンズ55を通った迷光J1、J2は、壁面60b、60aで反射する。反射屈折の原理として、角度θで入射した光は、平面で反射するときに、角度θで反射する。例えば、迷光J1は、壁面60bで反射した後に、壁面60aで反射し、収束方向とは逆方向に進む。また、迷光J2は、壁面60aで反射した後に、遮光部材50の内部へと進むが、受光部53以外の部位に到達する。
【0034】
このように、壁面60a、60bが光軸51と受光面53aに対して図9のような位置関係にある場合には、迷光は、いかなる角度で壁面60a、60bに当たっても、その反射光は、受光部53に入ることは無い。そのため、遮光部材50の開口50aはできるだけ狭くさせ、迷光が直接入らないようにすることが可能である。
【0035】
また、壁面60a、60bが仮に反射特性の低い拡散面であったときに、迷光J1、J2が壁面60a、60bで反射する際に拡散してしまうとしても何ら効果に変化は無い。受光部53に光が入ることは無いため色の濃度が薄くなるような画像不良が起き難く、コントラストの高い良好な読み取り画像を得ることが可能である。
【0036】
図10は、一体型ユニット700の構成を示す一部拡大断面図であり、主走査方向Bの断面を示している。図1〜図9では、一体型ユニット700の副走査方向Aの断面の構成について説明したが、これは主走査方向Bの断面の構成についても同様のことが言える。遮光部材50の開口50cを構成する壁面60c、60dから延長された架空の仮想延長面60cc、60ddは、それぞれ光軸51と交わり、受光部53の受光面53aと決して交わらないような角度に設定されている。副走査方向Aの断面の構成で得られる効果は、主走査方向Bの断面の構成でも同様に得られる。
【0037】
図11は、遮光部材50の構成を示す斜視図である。図11のX−X線に沿う断面が図7の断面図に相当し、図11のY−Y線に沿う断面が図10の断面図に相当する。図11に示されるように、遮光部材50は、開口部が傾斜する壁面60a〜60dで形成され、その開口部の向こう側に受光部53が見えている。
【0038】
なお、前述の実施例では、遮光部材50の開口部を構成する壁面60a〜60dは、略四角錐状に形成されていたが、この構成に限定されない。すなわち、遮光部材50の開口50aの周囲に広がる壁面は、略円錐状に形成されても良く、この構成でも同様な効果が得られる。その場合には、壁面をCCDセンサ54の方向へと延長させた仮想延長面を考慮すると、収束光は円錐状の仮想円錐の頂点に焦点が合わせられる。この仮想円錐の頂点の位置が、光軸51の方向でレンズ55及びCCDセンサ54の間に配置されるような角度で、仮想延長面が設定される。仮想延長面は、光軸51には交わり、受光部53とは交わらないように設定されていることから、壁面で反射された迷光は、受光部53に入り込むことは無い。
【0039】
実施例の構成によれば、レンズ55とCCDセンサ54の間には、遮光部材50が配置され、この遮光部材50は、CCDセンサ54の方向に光束52を通す開口50aを有する。この開口50aが極力狭く形成されることにより、レンズ55を通過する迷光がCCDセンサ54に直接に到達しないようにすることができる。そして、壁面60a、60bは、レンズ55を通過した不適正な収束光を、CCDセンサ54の受光部53以外の部位に到達させる。その結果、レンズ55を通過した適正な収束光のみが受光部53に到達し、ゴースト、フレア、色が薄くなるといった画像不良が無い良好な画像を読み取ることができる。
【0040】
なお、LED2a、2b、ミラー70a、70b、レンズ55、CCDセンサ54等を同一の筐体3に組み、その筐体3を副走査方向Aに動かすことで画像を読み取る一体型の画像読取装置600では、以下の必要性がある。限られたスペース内で、複数のミラー70a、70bを短い距離で反射させながら光路長を稼ぎ、レンズ55へ光束52を導く必要がある。そのため、筐体3内の光路の経路は、ミラー70a、70bへの入射光、反射光、その他の入射光、反射光などが非常に近接している状態になる。筐体3内に光が充満するようにいっぱいになり、適正な光束52だけがレンズ55に到達するのは難しく、迷光もレンズ55を通ってしまうことが少なくない。実施例の構成では、こういった現象が抑制される。
【符号の説明】
【0041】
2a、2b LED(光源)
50 遮光部材(通過遮蔽手段)
50a 開口
51 光軸
53 受光部
54 CCDセンサ(光電変換手段)
55 レンズ(光学系)、
60a、60b、60c、60d・・・・・・・壁面(傾斜面)
60aa、60bb、60cc、60dd・・・仮想延長面
70a、70b・・・・・・・・・・・・・・・ミラー(反射手段)
600 画像読取装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に光を照射する光源と、
原稿で反射された光の進行方向を反射しながら変更する反射手段と、
前記反射手段で反射された光を集光して結像させる光学系と、
前記光学系の結像位置に配置され、前記光学系の光を受光する受光部を有し、光を電気信号に変換する光電変換手段と、
前記光学系及び前記光電変換手段の間に配置され、一部に開口を有して前記光学系から前記光電変換手段へと収束する収束光を通過させつつ、前記開口以外の部位では前記光学系から前記光電変換手段へと収束されない非収束光を遮蔽する通過遮蔽手段と、を備え、
前記通過遮蔽手段は、前記開口の周囲に、前記光学系から前記光電変換手段に向かうに従って前記開口が小さくなるように傾斜する傾斜面を有し、
前記光学系を通過する光束の中心軸を光軸とした場合に、前記傾斜面を前記光電変換手段へ延長した仮想延長面は、前記光軸と交わり、かつ、前記受光部に交わらない角度に設定されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記通過遮蔽手段は、前記光学系を通過する光以外の光が入らないように、前記受光部を覆うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記光電変換手段は、基板に取付けられており、
前記通過遮蔽手段は、前記基板に一体になるように取付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記基板に取付けられて前記光学系を支持する支持部材を備え、
前記通過遮蔽手段が前記支持部材を位置決めし、前記支持部材が前記光学系を位置決めすることで、前記通過遮蔽手段が前記支持部材を介して前記光学系を支持することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
画像を形成する画像形成部と、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
原稿に光を照射する光源と、
原稿で反射された光の進行方向を反射しながら変更する反射手段と、
前記反射手段で反射された光を集光して結像させる光学系と、
前記光学系の結像位置に配置され、前記光学系の光を受光する受光部を有し、光を電気信号に変換する光電変換手段と、
前記光学系及び前記光電変換手段の間に配置され、一部に開口を有して前記光学系から前記光電変換手段へと収束する収束光を通過させつつ、前記開口以外の部位では前記光学系から前記光電変換手段へと収束されない非収束光を遮蔽する通過遮蔽手段と、を備え、
前記通過遮蔽手段は、前記開口の周囲に、前記光学系から前記光電変換手段に向かうに従って前記開口が小さくなるように傾斜する傾斜面を有し、
前記光学系を通過する光束の中心軸を光軸とした場合に、前記傾斜面を前記光電変換手段へ延長した仮想延長面は、前記光軸と交わり、かつ、前記受光部に交わらない角度に設定されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記通過遮蔽手段は、前記光学系を通過する光以外の光が入らないように、前記受光部を覆うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記光電変換手段は、基板に取付けられており、
前記通過遮蔽手段は、前記基板に一体になるように取付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記基板に取付けられて前記光学系を支持する支持部材を備え、
前記通過遮蔽手段が前記支持部材を位置決めし、前記支持部材が前記光学系を位置決めすることで、前記通過遮蔽手段が前記支持部材を介して前記光学系を支持することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
画像を形成する画像形成部と、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−51653(P2013−51653A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189836(P2011−189836)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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