説明

画像読取装置及び複合機

【課題】組立性を向上することが可能な画像読取装置及び複合機を提供する。
【解決手段】イメージスキャナーは、画像を読み取るためのスキャナー部14と、スキャナー部14に組み付けられる操作パネル16とを備える。スキャナー部14は、スキャナーアッパー30と、スキャナーアッパー30に組み付けられるスキャナーロアー32と、スキャナーアッパー30とスキャナーロアー32とで挟持されるガラス板31とを備える。そして、スキャナーアッパー30に対するスキャナーロアー32の組み付け方向と、スキャナーロアー32に対する操作パネル16の組み付け方向とが同じになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び該画像読取装置を備えた複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複合機は、画像を読み取る画像読取部と、該画像読取部で読み取った画像を記録する記録部とを備えている。こうした複合機は、通常、記録部上に画像読取部が配置された構成になっている(例えば、特許文献1)。この特許文献1の画像読取記録装置(複合機)では、記録部上にスキャナー部が設けられ、さらにスキャナー部上に操作用のパネル部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−28497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の画像読取記録装置では、記録部とスキャナー部との組み付け方向と、スキャナー部とパネル部との組み付け方向とが異なるため、組み立て工程が繁雑なものとなっていた。すなわち、特許文献1の画像読取記録装置では、組み立て工程を十分に考慮した設計になっていないため、組立性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、組立性を向上することが可能な画像読取装置及び複合機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、画像を読み取るためのスキャナー部と、前記スキャナー部に組み付けられる操作部材とを備えた画像読取装置であって、前記スキャナー部は、第1スキャナー部材と、前記第1スキャナー部材に組み付けられる第2スキャナー部材と、前記第1スキャナー部材と前記第2スキャナー部材とで挟持されるガラス板とを備え、前記第1スキャナー部材に対する前記第2スキャナー部材の組み付け方向と、前記第1スキャナー部材及び前記第2スキャナー部材のうちのいずれか一方に対する前記操作部材の組み付け方向とが同じである。
【0007】
この発明によれば、第1スキャナー部材に対する第2スキャナー部材の組み付け作業と、第1スキャナー部材及び第2スキャナー部材のうちのいずれか一方に対する操作部材の組み付け作業とを同じ1つの工程で行うことができるので、組立性を向上することが可能となる。
【0008】
本発明の画像読取装置において、前記第1スキャナー部材及び前記第2スキャナー部材のうちの前記操作部材が組み付けられる方には、前記操作部材を組み付けるための組み付け部が一体形成されている。
【0009】
この発明によれば、組み付け部に対して操作部材を容易に組み付けることが可能となる。
本発明の画像読取装置において、前記操作部材は、操作するための操作面を有しており、前記操作面は、傾斜している。
【0010】
この発明によれば、操作面をユーザーの視線に合わせるように傾斜させることで、ユーザーが操作部材を容易に操作することが可能となる。
本発明の画像読取装置において、前記操作部材は、前記スキャナー部に組み付けられる際に、前記スキャナー部が有する位置決め部に当接することによって位置決めされ、前記位置決め部は、前記操作面に対して平行または垂直になっている。
【0011】
一般に、複数の合成樹脂の成型品同士を組み付ける際の位置決め部を設定する場合において、これらの成型品を成型する金型の基準面に対して位置決め部が平行または垂直とならないように設定すると、金型からの成型品の抜き方向との関係から、成型品同士を組み付ける際の位置決め精度が低下してしまうという問題がある。
【0012】
この点、この発明によれば、操作部材の操作面を成型時の金型の基準面として操作部材及びスキャナー部の位置決め部を合成樹脂の成型品によって構成する場合、傾斜した操作面に対して平行または垂直な位置決め部によって操作部材の位置決めがなされるので、操作部材の位置決め精度を向上することが可能となる。すなわち、この発明によれば、上述した成型品同士を組み付ける際の位置決め精度が低下してしまうという問題を解決することができる。
【0013】
本発明の画像読取装置において、前記操作部材は、前記スキャナー部に対してねじで固定するためのねじ止め部を備えており、前記ねじ止め部における前記ねじが挿入される挿入部は、前記ねじの軸と交差する方向に開口している。
【0014】
この発明によれば、操作部材を成型する場合に、挿入部がアンダーカットにならなくなる。したがって、操作部材を成型によって容易に製造することが可能となる。
本発明の画像読取装置は、前記操作部材は、前記操作面が操作される際の操作力によって前記操作面と交差する方向へ撓むことを抑制するための撓み抑制部を備えている。
【0015】
この発明によれば、ユーザーが操作部材を操作する際の操作力によって操作部材が操作面と交差する方向へ撓むことを、撓み抑制部によって抑制することが可能となる。
本発明の複合機は、上記構成の画像読取装置と、前記画像読取装置によって読み取られた画像を記録可能な記録装置とを備えた。
【0016】
この発明によれば、上記構成の画像読取装置と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態におけるインクジェット複合機の斜視図。
【図2】同複合機の内部構造を示す斜視図。
【図3】同複合機における操作パネルを含むスキャナー部の分解斜視図。
【図4】同スキャナー部におけるスキャナーロアーの組み付け部の正面図。
【図5】図4の要部拡大斜視図。
【図6】図4の要部拡大斜視図。
【図7】同スキャナーロアーの要部拡大平面図。
【図8】同複合機における操作パネルの斜視図。
【図9】図8の要部拡大斜視図。
【図10】図8の要部拡大斜視図。
【図11】同スキャナーロアーに操作パネルが組み付けられたときの状態を示す断面斜視図。
【図12】図11の要部拡大断面図。
【図13】同スキャナーロアーに操作パネルが組み付けられたときの状態を示す断面図。
【図14】同複合機におけるイメージスキャナーの底面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の複合機をインクジェット複合機に具体化した一実施形態について、図面に従って説明する。また、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は各図中に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。なお、図面中の上方向、右方向及び前方向を示す矢印において、「○」の中に「・」が記載されたもの(矢の先端を前から見た図)は紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたもの(矢の羽根を後ろから見た図)は紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0019】
図1及び図2に示すように、複合機としてのインクジェット複合機11は、記録装置としてのインクジェット式プリンター12と、インクジェット式プリンター12上に設けられた画像読取装置としてのイメージスキャナー13とを備え、全体として略直方体状をなしている。イメージスキャナー13は、画像を読み取るためのスキャナー部14と、スキャナー部14上に載置される原稿などを押さえるための矩形板状をなす蓋体15とを備えている。
【0020】
蓋体15の後端は、スキャナー部14の上面における後端部に回動可能に支持されている。そして、蓋体15は、その後端を回動中心として回動されることで、スキャナー部14の上面を開閉する。また、インクジェット式プリンター12は、イメージスキャナー13によって読み取られた原稿などの画像を用紙Pに印刷(記録)する。
【0021】
インクジェット複合機11の前面には、該インクジェット複合機11を操作するための操作部材としての左右方向に長い略矩形状をなす操作パネル16が設けられている。インクジェット複合機11の前面における操作パネル16の下側には、インクジェット式プリンター12によって印刷された用紙Pが排紙される左右方向に長い略矩形状をなす排紙口17が開口している。排紙口17の幅は、上下方向及び左右方向において、操作パネル16の幅とそれぞれほぼ同じになっている。
【0022】
図2に示すように、インクジェット式プリンター12は、上端及び前端が開口した略矩形箱状をなす本体ケース20を備えている。本体ケース20内の下部には、その長手方向である左右方向に沿って延びる矩形板状の支持台21が設けられている。支持台21上には、本体ケース20内に設けられた図示しない紙送りモーターの駆動に基づき、図示しない紙送り機構により用紙Pが後方側から給送される。
【0023】
本体ケース20内における支持台21の上方には、該支持台21の長手方向(左右方向)に沿って延びるガイドレール22が架設されている。ガイドレール22には、該ガイドレール22の延びる方向である左右方向に沿って往復移動可能にキャリッジ23が支持されている。そして、キャリッジ23は、本体ケース20内に設けられた図示しないキャリッジモーターの駆動に基づき、図示しない移動機構によりガイドレール22にガイドされながら走査方向である左右方向に沿って往復移動される。
【0024】
キャリッジ23上には、内部に液体としてのインクが収容されたインクカートリッジ24が着脱可能に装着されている。一方、キャリッジ23の下部には、用紙Pに対してインクを噴射可能な記録ヘッド25が、支持台21上に給送される用紙Pと対向するように支持されている。
【0025】
記録ヘッド25の下面には、図示しない複数のノズルが開口している。そして、記録ヘッド25に備えられた図示しない圧電素子の駆動により、インクカートリッジ24内のインクが記録ヘッド25へと供給され、記録ヘッド25の各ノズル(図示略)から支持台21上に給送された用紙Pにそれぞれ噴射されて印刷が行われる。
【0026】
図3に示すように、スキャナー部14は、矩形枠状の第1スキャナー部材としてのスキャナーアッパー30と、矩形状のガラス板31と、ガラス板31を支持した状態でスキャナーアッパー30に組み付けられる矩形箱状の第2スキャナー部材としてのスキャナーロアー32とを備えている。すなわち、ガラス板31は、スキャナーアッパー30とスキャナーロアー32とで挟持されている。そして、スキャナーロアー32の前面には、操作パネル16を組み付けるための矩形板状の組み付け部33が一体形成されている。
【0027】
図4及び図5に示すように、組み付け部33の右端部には、操作パネル16を組み付けた際に操作パネル16の一部が嵌合することで操作パネル16の左右方向の位置決めをする上下に延びる嵌合溝34が形成されている。一方、組み付け部33の左端部には、操作パネル16を組み付けた際に操作パネル16の一部が遊嵌する上下に延びる遊嵌溝35が形成されている。左右方向において、嵌合溝34の幅は、遊嵌溝35の幅よりも小さくなっている。
【0028】
組み付け部33における両溝34,35の左右方向の外側には、位置決め部としての左右一対の第1斜面36が形成されている。各第1斜面36は、上下方向に延びるとともに、下端よりも上端の方が後側に位置するように傾斜している。また、組み付け部33における各第1斜面36の上側には、位置決め部としての左右一対の第2斜面37が形成されている。各第2斜面37は、前後方向に延びるとともに、前端よりも後端の方が低くなるように傾斜している。
【0029】
組み付け部33における下端部には、3つの凹部38〜40が左右方向に等間隔となるように形成されている。3つの凹部38〜40は、左から順に、左凹部38、中央凹部39、右凹部40とされている。すなわち、左凹部38は組み付け部33の下端部における左端部に位置し、中央凹部39は組み付け部33の下端部における左右方向の中央部に位置し、右凹部40は組み付け部33の下端部における右端部に位置している。
【0030】
また、スキャナーロアー32の前端部には、左右方向において組み付け部33を挟む左右一対の円筒状のボス部41が下方に向かって突設されている。各ボス部41には、ねじ孔41aが形成されている。
【0031】
図4及び図6に示すように、スキャナーロアー32の前端部における組み付け部33の上側には、左右一対の四角筒状の嵌合孔42が形成されている。各嵌合孔42は、上下に開口しているとともに、左右方向において両凹部38,40よりも内側に位置している。さらに、図7に示すように、各嵌合孔42は、スキャナーロアー32の前端縁部に形成された隔壁32aによって、スキャナーロアー32の内部空間Kと隔絶されている。
【0032】
図8及び図11に示すように、操作パネル16は、後側が開口した有底矩形箱状をなすパネルケース45と、パネルケース45内の中央部に支持された矩形板状のパネル基板46とを備えている。パネルケース45の前面におけるパネル基板46と前後方向に対応する位置には、インクジェット複合機11(図1参照)を操作するための矩形状の操作面16aが形成されている。
【0033】
操作面16aは、下端よりも上端の方が後側に位置するように傾斜している。すなわち、操作面16aは、前斜め上方を向くように傾斜している。そして、左右方向において、操作面16aの幅は、パネル基板46の幅よりも若干広くなっている。
【0034】
図11及び図13に示すように、パネル基板46の前面には、左右方向に並ぶように複数(本実施形態では4つ)のスイッチ47が実装されている。パネルケース45の前壁における各スイッチ47と対応する位置には、貫通孔48がそれぞれ形成されている。各貫通孔48は、操作面16aの領域内に位置している。各スイッチ47は操作ボタン49によってそれぞれ覆われるとともに、各操作ボタン49は各貫通孔48に挿入されている。
【0035】
すなわち、各操作ボタン49は、各スイッチ47にそれぞれ接触するとともに、各貫通孔48からそれぞれ露出している。したがって、ユーザーが各操作ボタン49を押すことで、各スイッチ47が押される。
【0036】
図4及び図8に示すように、パネルケース45の右端部には、操作パネル16を組み付け部33に組み付けた際に、組み付け部33の嵌合溝34に嵌合する嵌合片50が形成されている。一方、パネルケース45の左端部には、操作パネル16を組み付け部33に組み付けた際に、組み付け部33の遊嵌溝35に遊嵌する遊嵌片51が形成されている。
【0037】
また、パネルケース45の左右両端部には、操作パネル16を組み付け部33に組み付けた際に、各第1斜面36及び各第2斜面37にそれぞれ当接する第1当接面52及び第2当接面53がそれぞれ形成されている。そして、各第1斜面36及び各第2斜面37と、各第1当接面52及び各第2当接面53とは、それぞれ対応するように傾斜している。
【0038】
図11に示すように、各第1当接面52は操作面16aに対して平行になっているとともに、各第2当接面53は操作面16aに対して垂直になっている。したがって、各第1斜面36は操作面16aに対して平行になっているとともに、各第2斜面37は操作面16aに対して垂直になっている。
【0039】
図4及び図8に示すように、パネルケース45の下端部には、操作パネル16を組み付け部33に組み付けた際に、組み付け部33の左凹部38、中央凹部39、及び右凹部40とそれぞれ係合する左係合部54、中央係合部55、及び右係合部56が形成されている。中央係合部55の前側には、中央係合部55と隣接する撓み抑制部としての係合凹部57が形成されている。係合凹部57は、図13に示すように、操作パネル16を組み付け部33に組み付けた際に、中央凹部39を形成する底壁部39aを前後方向に挟み込む。
【0040】
図4及び図8に示すように、パネルケース45の上面上には、操作パネル16を組み付け部33に組み付けた際に、各嵌合孔42にそれぞれ挿嵌される左右一対の挿嵌部58が上方に向かって突出するように形成されている。
【0041】
図9に示すように、挿嵌部58は、上から見て略T字状をなしている。すなわち、挿嵌部58は、左右方向に延びるベース部59と、ベース部59における左右方向の中央部から前方に向かって延びる延出部60とを備えている。延出部60の前面には、上下方向に延びる突条61が前方に向かって突出するように設けられている。
【0042】
突条61は、前方に向かうほど徐々に左右方向の幅が小さくなっている。すなわち、突条61の前端(先端)は、尖っている。また、左右方向において、突条61の幅は、延出部60の幅の半分程度となるように設定されている。したがって、突条61の強度は、延出部60の強度に比べて弱くなっている。なお、突条61の上面は、前方(先端)に向かうほど下降するように傾斜している。
【0043】
図12に示すように、挿嵌部58の左右方向における幅は、嵌合孔42の左右方向における幅よりも狭くなっている。一方、挿嵌部58の前後方向における幅は、嵌合孔42の前後方向における幅よりも若干広くなっている。すなわち、突条61を含んだ場合の挿嵌部58の前後方向における幅は嵌合孔42の前後方向における幅よりも若干広くなっているとともに、突条61を除いた場合の挿嵌部58の前後方向における幅は嵌合孔42の前後方向における幅よりも若干狭くなっている。
【0044】
図8及び図10に示すように、パネルケース45の左右両側面には、操作パネル16をスキャナーロアー32の組み付け部33(図4参照)に対してねじとしてのパネルねじ62で固定するためのねじ止め部63が対をなすように設けられている。ねじ止め部63は、略L字板状をなしている。すなわち、ねじ止め部63は、水平な水平部64と、水平部64の前端から操作面16a(図11参照)と平行となるように前斜め下方に向かって延びる傾斜部65とを備えている。
【0045】
図10に示すように、ねじ止め部63には、操作パネル16をスキャナーロアー32の組み付け部33(図4参照)に対してパネルねじ62で固定する際に、パネルねじ62が挿入される挿入部としての前後方向に長い長孔66が形成されている。長孔66は、左右方向において、ねじ止め部63の中央部よりもやや外側寄りの位置に配置されている。また、長孔66は、水平部64における前後方向の中央部から傾斜部65の上部にかけて延びている。
【0046】
したがって、長孔66は、前端部が下方に屈曲しているため、前方に向かって開口している。すなわち、長孔66は、長孔66に挿入されるパネルねじ62の軸62aと交差する方向である前方に向かって開口している。
【0047】
次に、イメージスキャナー13を組み立てる際の作用について説明する。
さて、イメージスキャナー13を組み立てる場合には、まず、蓋体15、スキャナーアッパー30、ガラス板31、スキャナーロアー32を順次嵌め合わせた状態で、これらを上下逆さまにする。続いて、スキャナーロアー32の組み付け部33の嵌合溝34に操作パネル16の嵌合片50を係合させることで、スキャナーロアー32に対する操作パネル16の左右方向の位置合わせ(位置決め)がなされる。
【0048】
続いて、スキャナーロアー32の各嵌合孔42に操作パネル16の各挿嵌部58を下側からそれぞれ挿嵌するとともに、操作パネル16の各係合部54〜56をスキャナーロアー32の組み付け部33の各凹部38〜40とそれぞれ係合させる。これにより、スキャナーロアー32の組み付け部33の嵌合溝34及び遊嵌溝35に操作パネル16の嵌合片50及び遊嵌片51がそれぞれ嵌合及び遊嵌されるとともに、スキャナーロアー32の各ボス部41に操作パネル16のねじ止め部63の水平部64が当接してねじ孔41aと長孔66とが上下方向に重なる。
【0049】
このとき、操作パネル16の各第1当接面52及び各第2当接面53がスキャナーロアー32の各第1斜面36及び各第2斜面37にそれぞれ当接することで、操作パネル16の前後方向及び上下方向の位置決めがなされる。さらにこのとき、各挿嵌部58は、図12に示すように、突条61が潰れながら各嵌合孔42にそれぞれ挿嵌されるため、挿嵌方向とほぼ直交する前後方向のがたつきが抑制される。
【0050】
またさらにこのとき、操作パネル16の係合凹部57は、図13に示すように、スキャナーロアー32の組み付け部33の中央凹部39を形成する底壁部39aを前後方向に挟み込む。これにより、操作パネル16の前後方向への移動が規制される。このため、ユーザーが操作ボタン49を、操作面16aと交差する方向である後方に向かって押圧する操作を行った場合でも、この操作力によって操作パネル16が後方へ撓むことが抑制される。
【0051】
続いて、図14に示すように、パネルねじ62を操作パネル16の各ねじ止め部63の長孔66を通して各ボス部41のねじ孔41aにそれぞれ螺入するとともに、スキャナーアッパー30に対してスキャナーロアー32をねじ67によりそれらの周縁部において4箇所で固定する。これにより、スキャナーロアー32に対して操作パネル16が組み付けられるとともに、スキャナーアッパー30に対してスキャナーロアー32が組み付けられて、イメージスキャナー13の組み立てが完了する。
【0052】
この場合、スキャナーアッパー30に対してスキャナーロアー32をねじ67によって組み付ける方向(下から上へ向かう方向)と、スキャナーロアー32に対して操作パネル16をパネルねじ62によって組み付ける方向(下から上へ向かう方向)とが同じになっている。すなわち、ねじ67の軸線とパネルねじ62の軸線とが平行になっている。
【0053】
このため、スキャナーアッパー30に対してスキャナーロアー32をねじ67によって組み付ける作業と、スキャナーロアー32に対して操作パネル16をパネルねじ62によって組み付ける作業とを同じ1つの工程で容易に行うことができるので、イメージスキャナー13の組立性が向上する。
【0054】
なお、組み立てが完了したイメージスキャナー13は、別途組み立てられたインクジェット式プリンター12に組み付けられることで、インクジェット複合機11が完成する。
以上、詳述した実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0055】
(1)イメージスキャナー13は、スキャナーアッパー30に対してスキャナーロアー32をねじ67によって組み付ける方向と、スキャナーロアー32に対して操作パネル16をパネルねじ62によって組み付ける方向とが同じになっている。このため、スキャナーアッパー30に対してスキャナーロアー32をねじ67によって組み付ける作業と、スキャナーロアー32に対して操作パネル16をパネルねじ62によって組み付ける作業とを同じ1つの工程で行うことができる。したがって、イメージスキャナー13の組立性を向上することができ、ひいてはインクジェット複合機11の組立性を向上することができる。
【0056】
(2)スキャナーロアー32には、操作パネル16を組み付けるための組み付け部33が一体形成されているため、組み付け部33に対して操作パネル16を容易に組み付けることができる。この場合、組み付け部33を操作パネル16の後側の開口を塞ぐ底蓋として機能させることができる。
【0057】
(3)操作パネル16における操作ボタン49が配置された操作面16aは、ユーザーが視線を合わせやすい前斜め上方を向くように傾斜している。このため、ユーザーが操作ボタン49を容易に操作することができる。
【0058】
(4)操作パネル16は、操作パネル16をスキャナーロアー32に組み付ける際にスキャナーロアー32が有する第1斜面36及び第2斜面37に第1当接面52及び第2当接面53がそれぞれ当接することによって前後方向及び上下方向の位置決めがなされ、第1斜面36及び第2斜面37は操作面16aに対してそれぞれ平行及び垂直になっている。すなわち、操作パネル16は、操作面16aを位置決め基準として、操作面16aに対してそれぞれ平行及び垂直な第1斜面36及び第2斜面37によってそれぞれ前後方向及び上下方向の位置決めがなされる。このため、操作パネル16の位置決め精度を向上することができる。
【0059】
(5)パネルケース45のねじ止め部63の長孔66は、長孔66に挿入されるパネルねじ62の軸62aと交差する方向である前方に向かって開口している。このため、パネルケース45を成型する場合に、長孔66がアンダーカットにならないので、パネルケース45を成型によって容易に製造することができる。
【0060】
(6)操作パネル16は、スキャナーロアー32の組み付け部33の中央凹部39を形成する底壁部39aを前後方向に挟み込む係合凹部57を備えているため、操作パネル16の前後方向への移動が規制される。したがって、ユーザーが操作面16aに配置された操作ボタン49を、操作面16aと交差する方向である後方に向かって押圧する操作を行った場合に、この操作力によって操作パネル16が後方へ撓むことを抑制することができる。この結果、スキャナーロアー32から操作パネル16が外れにくくなるようにすることができる。
【0061】
(7)操作パネル16は、2本のパネルねじ62を外すだけで、スキャナーロアー32から容易に取り外すことができるので、操作パネル16の交換や修理等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0062】
(8)スキャナーロアー32におけるパネルケース45の各挿嵌部58が挿嵌される各嵌合孔42は、スキャナーロアー32の前端縁部に形成された隔壁32aによって、スキャナーロアー32の内部空間K(スキャナーロアー32とガラス板31とで形成される空間)と隔絶されている。このため、外部の塵埃などが各嵌合孔42からスキャナーロアー32の内部空間K内に進入することを抑制することができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0063】
・操作パネル16の係合凹部57を省略してもよい。
・パネルケース45のねじ止め部63の長孔66を切欠部に変更し、この切欠部をパネルねじ62が挿入される挿入部として用いてもよい。
【0064】
・パネルケース45のねじ止め部63の傾斜部65を省略してもよい。
・操作パネル16の第1当接面52及び第2当接面53は、必ずしも操作面16aに対してそれぞれ平行及び垂直にする必要はない。
【0065】
・スキャナーロアー32の組み付け部33の第1斜面36及び第2斜面37は、複数の点や線で形成される所謂仮想面であってもよい。
・操作パネル16の操作面16aは、必ずしも傾斜させる必要はない。
【0066】
・組み付け部33は、必ずしもスキャナーロアー32に一体形成する必要はない。すなわち、組み付け部33をスキャナーロアー32とは別体に構成してもよい。
・組み付け部33は、スキャナーロアー32でなくスキャナーアッパー30に一体形成するようにしてもよい。
【0067】
・インクジェット式プリンター12をレーザープリンターに置き換えたレーザー複合機を複合機として用いてもよい。
【符号の説明】
【0068】
11…複合機としてのインクジェット複合機、12…記録装置としてのインクジェット式プリンター、13…画像読取装置としてのイメージスキャナー、14…スキャナー部、16…操作部材としての操作パネル、16a…操作面、30…第1スキャナー部材としてのスキャナーアッパー、31…ガラス板、32…第2スキャナー部材としてのスキャナーロアー、33…組み付け部、36…位置決め部としての第1斜面、37…位置決め部としての第2斜面、57…撓み抑制部としての係合凹部、62…ねじとしてのパネルねじ、62a…パネルねじの軸、63…ねじ止め部、66…挿入部としての長孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読み取るためのスキャナー部と、前記スキャナー部に組み付けられる操作部材とを備えた画像読取装置であって、
前記スキャナー部は、
第1スキャナー部材と、
前記第1スキャナー部材に組み付けられる第2スキャナー部材と、
前記第1スキャナー部材と前記第2スキャナー部材とで挟持されるガラス板と
を備え、
前記第1スキャナー部材に対する前記第2スキャナー部材の組み付け方向と、前記第1スキャナー部材及び前記第2スキャナー部材のうちのいずれか一方に対する前記操作部材の組み付け方向とが同じであることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1スキャナー部材及び前記第2スキャナー部材のうちの前記操作部材が組み付けられる方には、前記操作部材を組み付けるための組み付け部が一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記操作部材は、操作するための操作面を有しており、
前記操作面は、傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記操作部材は、前記スキャナー部に組み付けられる際に、前記スキャナー部が有する位置決め部に当接することによって位置決めされ、
前記位置決め部は、前記操作面に対して平行または垂直になっていることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記操作部材は、前記スキャナー部に対してねじで固定するためのねじ止め部を備えており、
前記ねじ止め部における前記ねじが挿入される挿入部は、前記ねじの軸と交差する方向に開口していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記操作部材は、前記操作面が操作される際の操作力によって前記操作面と交差する方向へ撓むことを抑制するための撓み抑制部を備えていることを特徴とする請求項3〜請求項5のうちいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の画像読取装置と、前記画像読取装置によって読み取られた画像を記録可能な記録装置とを備えたことを特徴とする複合機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−115768(P2013−115768A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262804(P2011−262804)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】