説明

画像読取装置

【課題】画像読取時における保持部材のがたつきを効果的に抑制することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】上筺体31の底面に一体的に形成された支持レール311上に、保持部材35をスライド可能な状態で支持する。支持レール311を上筺体31の底面に一体的に形成することにより、寸法誤差などに基づくがたつきを抑制することができる。したがって、画像読取時における保持部材35のがたつきを効果的に抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部から原稿に向かって光を照射し、前記原稿からの反射光を受光部で受光することにより、前記原稿の画像を読み取るための画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばCIS(Contact Image Sensor)と呼ばれる密着型イメージセンサを画像読取部として備えた画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。CISには、発光部と受光部とが備えられており、当該CISを保持する保持部材が原稿に対して平行にスライドされることにより走査が行われる。
【0003】
保持部材は、例えば当該保持部材のスライド方向に沿って延びるガイドシャフトによって、筺体内にスライド可能に保持されている。より具体的には、ガイドシャフトの両端部が筺体に固定されることにより、ガイドシャフトが筺体内で水平に延びるように配置されている。保持部材には、ガイドシャフトの断面形状に対応する円形状の貫通孔が形成されており、当該貫通孔内にガイドシャフトが挿入されることにより、保持部材がガイドシャフトに沿ってスライド可能に保持されるようになっている。
【0004】
上記のような構成の他にも、例えば、筺体の底部に形成されたガイド部の側面に沿って、保持部材(センサホルダ)に固定されたスライダをスライドさせるような構成も提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、画像読取部以外においても、各種キャリッジをガイドするための構成が提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−211353号公報
【特許文献2】特開2008−15331号公報
【特許文献3】特開2004−322538号公報
【特許文献4】特開平5−242614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像読取装置に特有の課題、より具体的には、CISに例示されるような発光部及び受光部が共通の保持部材で保持された構成に特有の課題として、寸法誤差などに基づくがたつきの影響を受けやすいという問題がある。すなわち、画像読取時にスライドする保持部材に受光部が保持されているため、保持部材のがたつきに起因して、保持部材に振動が生じる現象、又は、保持部材のスライド方向がずれる現象(斜行)などが生じた場合には、画像の読取に悪影響を与えるおそれがある。
【0007】
上記のような問題は、CISに限らず、発光部及び受光部を共通の保持部材で保持するような構成であれば同様に生じる問題である。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、画像読取時における保持部材のがたつきを効果的に抑制することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像読取装置は、発光部から原稿に向かって光を照射し、前記原稿からの反射光を受光部で受光することにより、前記原稿の画像を読み取るための画像読取装置であって、前記発光部及び前記受光部を保持する保持部材と、前記保持部材を収容する筺体と、前記筺体の底面に一体的に形成され、前記保持部材をスライド可能な状態で上方に支持する支持レールとを備えたことを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、筺体の底面に一体的に形成された支持レール上に、保持部材がスライド可能な状態で支持される。支持レールを筺体の底面に一体的に形成することにより、寸法誤差などに基づくがたつきを抑制することができる。したがって、画像読取時における保持部材のがたつきを効果的に抑制することができる。
【0011】
前記保持部材と前記支持レールとが、前記保持部材のスライド方向に沿って線接触するものであってもよい。
【0012】
このような構成によれば、支持レールにより保持部材を線接触で支持することができる。面接触の場合などと比較して、線接触の方が寸法誤差の影響を受けにくいため、画像読取時における保持部材のがたつきをより効果的に抑制することができる。
【0013】
前記保持部材と前記支持レールとが、前記保持部材のスライド方向に沿って延びる少なくとも2つの接触線上で線接触するものであってもよい。
【0014】
このような構成によれば、寸法誤差の影響を受けにくい線接触を用いて、2つの接触線上で安定して保持部材を支持することができる。2つの接触線上で保持部材を支持するような構成であれば、寸法誤差に起因して、いずれか一方の接触線に対して保持部材が非接触となるといったことが生じにくいため、画像読取時における保持部材のがたつきをより効果的に抑制することができる。
【0015】
前記支持レールには、円弧状のガイド面が形成されており、前記保持部材は、前記支持レールに対して、円弧状の前記ガイド面上で線接触するものであってもよい。
【0016】
このような構成によれば、円弧状のガイド面上で保持部材を良好に線接触させることができるため、画像読取時における保持部材のがたつきをさらに効果的に抑制することができる。
【0017】
前記保持部材は、当該保持部材のスライド方向に対して直交方向に延びる長尺形状を有しており、前記保持部材の長手方向の中央部が、前記支持レールにより支持されるとともに、前記保持部材の長手方向の一端部が、前記スライド方向に沿ってガイドされるものであってもよい。
【0018】
このような構成によれば、保持部材の中央部を支持レールにより線接触で支持することにより、保持部材の両端部を支持するような構成と比較して、寸法誤差の影響が保持部材全体のがたつきに与える影響を小さくすることができる。このように保持部材の中央部を線接触で支持する構成であっても、保持部材の一端部がスライド方向に沿ってガイドされるため、保持部材を安定してスライドさせることができる。
【0019】
前記保持部材をスライドさせるために駆動される駆動ベルトと、前記駆動ベルトが掛け回され、前記駆動ベルトの駆動に伴って回転する従動プーリと、前記筺体内に突出するように一体的に形成され、前記従動プーリが回転可能に取り付けられた回転軸とを備え、前記回転軸には、互いに外径が異なる第1軸部及び第2軸部が軸方向に隣接して形成されており、前記従動プーリの内周面には、前記第1軸部と前記第2軸部との境界に対応する位置に段差部が形成されていてもよい。
【0020】
このような構成によれば、スタッド(鋲)などを用いることなく、筺体内に突出するように一体的に形成された回転軸に従動プーリが直接取り付けられるため、部品点数及び組立工程数を削減し、製造コストを低減することができる。
【0021】
また、互いに外径が異なる第1軸部及び第2軸部を回転軸に形成することにより、回転軸の強度を向上することができる。これにより、駆動ベルトからの荷重による回転軸の撓み又は変形を抑制することができるため、駆動ベルトの駆動によってスライドされる保持部材のがたつきを効果的に抑制することができる。
【0022】
長尺形状を有するとともに、長手方向の一部が屈曲されることにより、互いに直交する第1補強部と第2補強部とが形成されたL字状の補強部材を備え、前記第1補強部が前記筺体の第1辺に沿って配置され、前記第2補強部が前記筺体の第2辺に沿って配置されるように、前記補強部材が前記筺体に固定されていてもよい。
【0023】
このような構成によれば、L字状の補強部材の第1補強部を筺体の第1辺に沿って配置し、第2補強部を筺体の第2辺に沿って配置することにより、筺体を効果的に補強することができる。これにより、筺体の撓み又は変形を抑制することができるため、筺体内に収容された保持部材のがたつきを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】上筺体の内部構成の一例を示した斜視図であり、上面板を取り外した状態を示している。
【図3】保持部材の支持態様の一例を示した部分断面図である。
【図4】上筺体の内部構成の一例を示した斜視図であり、上面板を取り外した状態を図2とは異なる角度から見た図を示している。
【図5】上筺体の部分断面図である。
【図6】上筺体を下側から見た斜視図である。
【図7】補強部材の外観構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置1の内部構成を示す概略断面図である。本実施形態では、画像読取装置の一例として、当該画像読取装置が画像形成装置1に備えられた構成について説明するが、例えばスキャナ装置又はファクシミリ装置などの他の装置により画像読取装置が構成されていてもよい。また、以下に説明する画像形成装置1の具体的構成についても、その構成に限定されるものではない。
【0026】
本実施形態における画像形成装置1は、例えば、原稿搬送装置(ADF)2により自動的に供給される原稿の画像を画像読取部3で1枚ずつ読み取り、その原稿の画像データに基づいて記録紙Pに画像を形成する複写機である。当該画像形成装置1には、筺体1a内に、上記画像読取部3の他、画像形成部4及び給紙部5などが備えられており、当該筺体1aの上面に原稿搬送装置2が設けられている。
【0027】
原稿搬送装置2は、原稿トレイ2aを備えており、当該原稿トレイ2a上に原稿をセットすることができるようになっている。原稿搬送装置2は、ピックアップローラ2b及び用紙分離装置2cにより、原稿トレイ2a上にセットされた原稿を1枚ずつ送り出す。用紙分離装置2cは、例えば分離ローラ20及び分離パッド21を備えている。送り出された原稿は、複数の原稿搬送ローラ2d、2e、2fにより原稿搬送路2gを搬送され、当該原稿搬送路2gの途中で第2ガラス板3c上を通過する際に、画像読取部3により画像が読み取られる。画像が読み取られた後の原稿は、排出ローラ2hにより原稿排出トレイ2i上に順次排出される。
【0028】
画像読取部3は、筺体1aの一部を構成する上筺体31内に収容されている。画像読取部3は、例えばCIS(密着型イメージセンサ)により構成され、発光部33と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの受光部34とが設けられている。ただし、画像読取部3は、CISにより構成されたものに限らず、発光部33及び受光部34を共通の保持部材で保持するような構成であれば、他の各種構成を採用することができる。
【0029】
画像読取部3は、主走査方向に直交する水平方向(副走査方向)に発光部33を移動させながら第1ガラス板3d上に置かれた原稿に光を照射し、原稿からの反射光を受光部34で受光することによって、原稿の画像を読み取ることができる。また、画像読取部3は、静止した状態で第2ガラス板3cに向かって発光部33から光を照射し、原稿搬送装置2により第2ガラス板3c上を搬送される原稿からの反射光を受光部34で受光することによって、原稿の画像を読み取ることもできる。
【0030】
第1ガラス板3dに置かれた原稿を読み取る場合には、受光部34で原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、発光部33が副走査方向に移動することにより副走査が行われる。一方、原稿搬送装置2により1枚ずつ第2ガラス板3c上に搬送される原稿を読み取る場合には、受光部34で原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、第2ガラス板3c上を原稿が搬送されることにより副走査が行われる。
【0031】
第1ガラス板3d及び第2ガラス板3cは、上筺体31の上面を構成する上面板32に形成されており、原稿搬送装置2は、上面板32に対して上下に開閉可能に取り付けられている。したがって、第1ガラス板3d上に置かれた原稿を画像読取部3で読み取る場合には、原稿搬送装置2を閉じることにより、当該原稿搬送装置2と第1ガラス板3dとの間に原稿を挟むことができるようになっている。すなわち、原稿搬送装置2は、第1ガラス板3d上のセット位置に置かれている原稿を押さえるために開閉される開閉カバー10を構成している。ただし、開閉カバー10は、原稿搬送装置2により構成されるものに限らず、開閉可能な他のあらゆるカバーを採用することができる。
【0032】
画像形成部4は、感光体ドラム4a、帯電器4b、光書込みユニット4c、現像器4d、転写器4e及び定着器4fを備え、電子写真方式により記録紙Pに画像を形成する。感光体ドラム4aの表面には感光体が形成されており、画像形成時には、回転駆動される感光体ドラム4aの表面が帯電器4bにより一様に帯電される。光書込みユニット4cは、画像読取部3で読み取った原稿の画像データなどに基づいて、LED(Light-Emitting Diode)又はレーザ光源から光を出力する。帯電器4bにより一様に帯電された感光体ドラム4aの表面には、光書込みユニット4cから出力される光で露光されることにより、静電潜像が形成される。
【0033】
静電潜像が形成された感光体ドラム4aの表面には、現像器4dから供給されるトナーが付着することによりトナー像が形成され、このトナー像が転写器4eを用いて記録紙Pに転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着器4fにより加熱処理及び加圧処理が施された後、排出ローラ4gから排出トレイ4h上に排出される。
【0034】
給紙部5は、記録紙Pを収容するための給紙カセット6を備えており、この給紙カセット6内に設けられた支持板9上に、記録紙Pを積層した状態で収容することができるようになっている。支持板9は、その第1端部における軸線9aを中心に回転可能となっており、第1端部とは反対側の第2端部が圧縮ばね9bによって上方へ付勢されることにより、最上部の記録紙Pが給紙ローラ7に対して押圧される。給紙ローラ7に対向する位置には、例えば分離パッド(図示せず)が配置されており、給紙ローラ7が回転駆動されることにより給紙カセット6内から送り出される記録紙Pは、上記分離パッドの作用により、記録紙搬送路12に1枚ずつ送り出される。
【0035】
記録紙搬送路12には、1つ又は複数の記録紙搬送ローラ13が設けられている。給紙カセット6から1枚ずつ送り出される記録紙Pは、記録紙搬送ローラ13により記録紙搬送路12内を搬送され、画像形成部4へと送られる。そしてレジストローラ14により、記録紙Pは感光体ドラム4aの直前で一旦停止され、感光体ドラム4aに形成されるトナー像を転写させるタイミングに合わせて送り出される。
【0036】
図2は、上筺体31の内部構成の一例を示した斜視図であり、上面板32を取り外した状態を示している。上筺体31内に収容された画像読取部3は、保持部材35により保持されている。上筺体31の底面には、保持部材35をスライド可能な状態で上方に支持するための支持レール311が、当該底面と一体的に形成されている。
【0037】
支持レール311は、例えば画像読取部3の主走査方向D1に直交する副走査方向D2に沿って、一直線状に延びている。この支持レール311上に保持部材35が支持されることにより、当該保持部材35は副走査方向D2に沿ってスライド可能となっている。上筺体31内には、保持部材35をスライドさせるために駆動される駆動ベルト36が設けられている。
【0038】
保持部材35は、スライド方向に対して直交方向(主走査方向D1)に延びる長尺形状を有している。保持部材35は、長手方向の中央部が支持レール311により支持されるとともに、長手方向の一端部がスライド方向(副走査方向D2)に沿ってガイドされるようになっている。上記中央部とは、保持部材35の長手方向の中心に限らず、当該中心からある程度ずれた範囲まで含む概念である。
【0039】
この例では、保持部材35の後方側の端部351が、上筺体31の底面に形成されたガイド面312に面接触してガイドされるようになっている。そのため、画像読取部3は、その重心が支持レール311よりも端部351側に位置するように構成され、これにより、端部351が常にガイド面312に当接するようになっている。ただし、上記のような構成に限らず、保持部材35の前方側の端部352がガイドされるような構成など、他の各種構成を採用することができる。
【0040】
図3は、保持部材35の支持態様の一例を示した部分断面図である。この例では、上筺体31を構成する底面板313の一部が、保持部材35側に向かって突出するように湾曲した形状とされることにより、支持レール311が形成されている。これにより、支持レール311には、円弧状のガイド面314が形成されている。底面板313は、例えばABS樹脂又はポリカABS樹脂などの樹脂により形成されていることが好ましく、この場合、支持レール311が当該樹脂により形成されていてもよい。
【0041】
一方、保持部材35には、支持レール311に接触する接触面353が形成されている。この例では、それぞれ平坦面からなる2つの接触面353が形成されており、各接触面353が支持レール311の円弧状のガイド面314に接触している。これにより、保持部材35と支持レール311とが、それぞれ保持部材35のスライド方向(副走査方向D2)に沿って延びる2つの接触線315上で線接触している。
【0042】
2つの接触面353は、80°〜100°程度の角度で交差することが好ましく、85°〜95°程度の角度で交差すればより好ましいが、これらの角度に限定されるものではない。ただし、保持部材35と支持レール311との接触線315は、2つに限らず、1つだけであってもよいし、3つ以上であってもよい。接触線315が3つ以上の場合には、各接触線315がいずれもスライド方向(副走査方向D2)に沿って延びていることが好ましい。
【0043】
本実施形態では、上筺体31の底面に一体的に形成された支持レール311上に、保持部材35がスライド可能な状態で支持される。支持レール311を上筺体31の底面に一体的に形成することにより、寸法誤差などに基づくがたつきを抑制することができる。したがって、画像読取時における保持部材35のがたつきを効果的に抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、保持部材35と支持レール311とが、保持部材35のスライド方向(副走査方向D2)に沿って線接触するため、支持レール311により保持部材35を線接触で支持することができる。面接触の場合などと比較して、線接触の方が寸法誤差の影響を受けにくいため、画像読取時における保持部材35のがたつきをより効果的に抑制することができる。
【0045】
特に、本実施形態では、寸法誤差の影響を受けにくい線接触を用いて、2つの接触線315上で安定して保持部材35を支持することができる。2つの接触線315上で保持部材35を支持するような構成であれば、寸法誤差に起因して、いずれか一方の接触線315に対して保持部材35が非接触となるといったことが生じにくいため、画像読取時における保持部材35のがたつきをより効果的に抑制することができる。
【0046】
本実施形態のように、支持レール311に円弧状のガイド面314が形成された構成によれば、円弧状のガイド面314上で保持部材35を良好に線接触させることができるため、画像読取時における保持部材35のがたつきをさらに効果的に抑制することができる。ただし、例えば保持部材35側に円弧状の接触面353が形成され、支持レール311には、当該円弧状の接触面353に線接触する平坦面などからなるガイド面314が形成された構成であってもよい。その他、支持レール311のガイド面314及び保持部材35の接触面353の形状としては、各種の形状を採用することができる。
【0047】
また、本実施形態では、保持部材35の中央部を支持レール311により線接触で支持することにより、保持部材35の両端部を支持するような構成と比較して、寸法誤差の影響が保持部材35全体のがたつきに与える影響を小さくすることができる。このように保持部材35の中央部を線接触で支持する構成であっても、保持部材35の一端部351がスライド方向(副走査方向D2)に沿ってガイドされるため、保持部材35を安定してスライドさせることができる。
【0048】
図4は、上筺体31の内部構成の一例を示した斜視図であり、上面板32を取り外した状態を図2とは異なる角度から見た図を示している。図5は、上筺体31の部分断面図である。図4及び図5に示すように、上筺体31の底面には、駆動ベルト36が掛け回されたプーリ37が複数設けられている。
【0049】
各プーリ37は、上筺体31の底面から上方に突出する回転軸38に対して回転可能に取り付けられている。これにより、各プーリ37は、駆動ベルト36の駆動に伴って回転する従動プーリとして機能するようになっている。回転軸38は、例えば上筺体31を構成する底面板313の一部で形成することにより、上筺体31と一体的に形成されている。底面板313は、上述の通り樹脂により形成されていることが好ましく、この場合、回転軸38が当該樹脂により形成されていてもよい。また、回転軸38は、支持レール311の近傍に形成されていることが好ましい。
【0050】
回転軸38は、互いに外径が異なる第1軸部381及び第2軸部382を有している。より具体的には、第1軸部381が上筺体31の底面から突出するように形成され、当該第1軸部381よりも小径の第2軸部382が、第1軸部381に対して軸方向に隣接して形成されている。第1軸部381及び第2軸部382は同軸上に形成され、境界に円環状の段差部383が形成されている。
【0051】
プーリ37の内周面は、回転軸38に対応する形状となっており、第1軸部381と第2軸部382との境界(段差部383)に対応する位置に、段差部371が形成されている。プーリ37は、回転軸38に対して上方から被せられ、段差部371が回転軸38の段差部383に当接した状態で、固定具としてのネジ39が回転軸38に上方から固定されることにより、回転軸38に対して回転可能に取り付けられる。
【0052】
プーリ37の外周面は、駆動ベルト36が当接する当接面372となっている。当該当接面372は、回転軸38の第1軸部381及び第2軸部382の両方の外側を覆うように形成されている。
【0053】
プーリ37には、当接面372における下側(第1軸部381側)から径方向に突出する第1フランジ部373と、当接面372における上側(第2軸部382側)から径方向に突出する第2フランジ部374とが形成されている。これらのフランジ部373,374により、当接面372から駆動ベルト36が外れるのを防止することができる。
【0054】
本実施形態では、スタッド(鋲)などを用いることなく、上筺体31内に突出するように一体的に形成された回転軸38にプーリ37が直接取り付けられるため、部品点数及び組立工程数を削減し、製造コストを低減することができる。
【0055】
また、互いに外径が異なる第1軸部381及び第2軸部382を回転軸38に形成することにより、回転軸38の強度を向上することができる。これにより、駆動ベルト36からの荷重による回転軸38の撓み又は変形を抑制することができるため、駆動ベルト36の駆動によってスライドされる保持部材35のがたつきを効果的に抑制することができる。
【0056】
図6は、上筺体31を下側から見た斜視図である。上筺体31は、長方形状の外形を有しており、その下方に排出トレイ4h(図1参照)との間の空間を形成するために、後側端部316及び右側端部317が筺体1aに支持されている。そのため、上筺体31には、筺体1aに支持されていない部分が存在している。
【0057】
この例では、上筺体31における少なくとも前側端部318の一部及び左側端部319の一部が、筺体1aに支持されていない構成となっている。これにより、上筺体31における前側端部318と左側端部319との境界部である左前角部320が、筺体1aに支持されないように構成されている。本実施形態では、上筺体31における少なくとも筺体1aに支持されていない角部(例えば左前角部320)及びその近傍を補強するための補強部材40が設けられている。補強部材40は、金属製であることが好ましい。
【0058】
図7は、補強部材40の外観構成を示す斜視図である。補強部材40は、長尺形状を有するとともに、長手方向の一部が屈曲されることにより、互いに直交する第1補強部41と第2補強部42とを有するL字状に形成されている。当該補強部材40は、断面がU字状に形成されることにより、ねじれに対する強度が向上されている。
【0059】
この例において、補強部材40の第1補強部41は、上筺体31の前側端部318の端辺(第1辺)に沿って配置され、補強部材40の第2補強部42は、上筺体31の左側端部319の端辺(第2辺)に沿って配置されるように、補強部材40が上筺体31に固定されている。これにより、補強部材40の屈曲部43が、上筺体31の左前角部320を通過するように固定される。ただし、補強部材40の屈曲部43が、上筺体31の他の角部を通過するように固定されてもよい。
【0060】
本実施形態では、L字状の補強部材40の第1補強部41を上筺体31の第1辺に沿って配置し、第2補強部42を上筺体31の第2辺に沿って配置することにより、上筺体31を効果的に補強することができる。これにより、上筺体31の撓み又は変形を抑制することができるため、上筺体31内に収容された保持部材35のがたつきを効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 画像形成装置
1a 筺体
2 原稿搬送装置
3 画像読取部
31 上筺体
35 保持部材
36 駆動ベルト
37 プーリ
38 回転軸
40 補強部材
41 第1補強部
42 第2補強部
311 支持レール
312 ガイド面
313 底面板
314 ガイド面
315 接触線
353 接触面
381 第1軸部
382 第2軸部
383 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部から原稿に向かって光を照射し、前記原稿からの反射光を受光部で受光することにより、前記原稿の画像を読み取るための画像読取装置であって、
前記発光部及び前記受光部を保持する保持部材と、
前記保持部材を収容する筺体と、
前記筺体の底面に一体的に形成され、前記保持部材をスライド可能な状態で上方に支持する支持レールとを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記保持部材と前記支持レールとが、前記保持部材のスライド方向に沿って線接触することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記保持部材と前記支持レールとが、前記保持部材のスライド方向に沿って延びる少なくとも2つの接触線上で線接触することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記支持レールには、円弧状のガイド面が形成されており、
前記保持部材は、前記支持レールに対して、円弧状の前記ガイド面上で線接触することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記保持部材は、当該保持部材のスライド方向に対して直交方向に延びる長尺形状を有しており、
前記保持部材の長手方向の中央部が、前記支持レールにより支持されるとともに、前記保持部材の長手方向の一端部が、前記スライド方向に沿ってガイドされることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記保持部材をスライドさせるために駆動される駆動ベルトと、
前記駆動ベルトが掛け回され、前記駆動ベルトの駆動に伴って回転する従動プーリと、
前記筺体内に突出するように一体的に形成され、前記従動プーリが回転可能に取り付けられた回転軸とを備え、
前記回転軸には、互いに外径が異なる第1軸部及び第2軸部が軸方向に隣接して形成されており、
前記従動プーリの内周面には、前記第1軸部と前記第2軸部との境界に対応する位置に段差部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
長尺形状を有するとともに、長手方向の一部が屈曲されることにより、互いに直交する第1補強部と第2補強部とが形成されたL字状の補強部材を備え、
前記第1補強部が前記筺体の第1辺に沿って配置され、前記第2補強部が前記筺体の第2辺に沿って配置されるように、前記補強部材が前記筺体に固定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−244237(P2012−244237A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109533(P2011−109533)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】