説明

画面表示スクロール装置

【課題】画像表示部の画面をスクロールすることを特徴とする表示装置を提供する。
【解決手段】平面上の上下左右の4方向の移動量を検知するセンサとセンサの移動量に基づき画面をスクロールする画像表示部を備えた画像表示装置において、画像表示部の外周に添って設けられた二重の枠部材がバネにより連結され、外側または内側の枠部材のいずれか一方が平面上に可動な状態で保持され、外側または内側の枠部材のいずれかの移動量と方向をセンサにより検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
設置型、または携帯型の情報検索端末のスクロール操作手法に関する。
【背景技術】
【0002】

観光地などのインフォメーションセンターにおいてタッチパネルディスプレイを用いた情報検索端末の導入が進んでいる。この端末により、周辺地図や観光情報のオンデマンドな検索が可能である。しかし、情報検索端末ではディスプレイのサイズが限られているため、地図などの場合、全てを画面内に表示することはできない。地図などの表示されていない部分を画面上に表示する際にはスクロール操作が必要となる。情報検索端末におけるスクロール操作手法として、現在、主にスクロール方向に対応したボタンを直接タッチするという手法が採られている。しかし、広範囲をスクロールしたい場合にはボタンのタッチを何度も繰り返さなければならず、面倒な操作となる。さらに、直接画面をタッチするため、操作する際に手でディスプレイの一部を隠してしまい、操作結果の確認が難しくなる場合もある。インフォメーションセンターは様々な世代の人が利用するため、高齢者にも容易に操作方法を理解することが可能な、直接的かつ直感的な操作手法が望まれる。
【0003】
特許文献1には、端末本体の移動量および移動の向きを検出する移動検知部が設けられた表示装置が開示されている。特許文献2には、表示部に対する移動量を検出し画面をスクロールする電子機器が開示されているが、いずれも画面表示部そのものも移動させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-77971
【特許文献2】特開2004-102736
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ディスプレイをスライドさせる場合、重量のあるディスプレイを無制限に動かすのは難しく、場所も必要となる。また連続してスクロールさせる場合、何度も同じ動作を繰り返さなければならず、操作が面倒となる問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、平面上の上下左右の4方向の移動量を検知するセンサとセンサの移動量に基づき画面をスクロールする画像表示部を備えた画像表示装置において、画像表示部の外周に添って設けられた二重の枠部材がバネにより連結され、外側または内側の枠部材のいずれか一方が平面上に可動な状態で保持され、外側または内側の枠部材のいずれかの移動量と方向をセンサにより検知することで、画像表示部の画面をスクロールすることを特徴とする表示装置である。
【0007】
このとき連結に用いられるバネは、ユーザが枠部材から手を放した時に移動した枠部材が元の位置に戻り、かつ、ユーザが適度な操作感を得る程度のバネ圧があればよい。また可動部分は枠部材の内側、外側のいずれかでよく、画像表示部の位置を保持したまま可動できることが望ましい。
【0008】
請求項2に係る発明は、センサが外側の枠部材の内周縁と内側の枠部材の外周縁との距
離を検知することにより枠部材の移動量を画面の移動量としている。
請求項3に係る発明は、センサが磁気センサまたは光学式センサであれば距離を検知することが可能であり好ましい。
【0009】
画面内に地図が表示されている場合、図1 のように画面外にも地図が続いており、画面内に映っていない部分はフレームによって遮られているというメンタルモデルを想定した。現在のスクロール操作手法では、何らかの操作によって画面内の地図を動かしてスクロールを行うものが大半である。しかし、このメンタルモデルを考慮すると、地図を遮っているフレームを動かして画面外の地図を表示するほうが我々にとって直感的であると考えられる。そこで、本発明ではディスプレイの外周の枠のスライド動作にもとづく地図ナビゲーション手法を提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の表示装置は、ディスプレイの外周の枠のスライド動作にもとづく地図ナビゲーション手法を提案し、この手法を用いたインタフェースの設計、実装した。操作時間の短縮や操作性の向上において有効であることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画面内に地図が表示されている場合のメンタルモデル
【図2】装置図前面
【図3】装置図側面
【図4】ナビゲーション処理の流れ
【発明を実施するための形態】
【0012】
ディスプレイの外周の枠をスライドさせる際に、ユーザがディスプレイの外周の枠を両手で掴むことを想定し、ディスプレイの外周の枠の両端にハンドルを設置する。また、ハンドルは握るという行為を促しているため、このハンドルによりユーザに操作方法を自然に認識させることが可能である。
【0013】
ディスプレイの外周の枠をスライドさせた後、スクロールを停止するためにはディスプレイの外周の枠を元の位置へ戻さなければならず、面倒である。そこで、ユーザがハンドルから手を放すとバネによりディスプレイの外周の枠が自然に元の位置へ戻るようにするために、ディスプレイの外周の枠と固定な外枠をバネで繋げる。これにより、磁気センサの検知するスライド量が0に戻るため、手を放すだけで任意の位置でスクロールを停止させることができ、また、次の操作への移行を容易にする効果もある。さらに、バネの弾性力がユーザにフォース・フィードバックをあたえるため、ディスプレイの外周の枠のスライド量をユーザが体感的に感知することができる効果もある。
【0014】
操作において、地図を右にスクロールする場合、少しだけスクロールしたいのであればディスプレイの外周の枠を軽く右へスライドさせ、大きくスクロールしたいのであればディスプレイの外周の枠を大きく右へスライドさせるといった、ユーザの意図に合った動作を可能とする。この機能を実現するために、固定な外枠の側面にセンサを設置する。このセンサによって、ディスプレイの外周の枠のスライド量の推定が可能となる。
【0015】
本発明は、内枠を可動とした構成の他、外枠を可動とした構成とすることも可能である。
【実施例】
【0016】
装置の概略図を図2、図3に示す。地図を表示する画像表示部(ディスプレイモジュール)には、19 型LCD組込みタッチモニタを使用し固定した。このディスプレイのサイズに合
わせ、可動な内枠の外寸を50.8 cm × 43 cm、またスライド量を制限する固定な外枠の内寸を56.8 cm × 49 cm とした。可動な内枠のディスプレイの前面側にアクリル製のパネ
ルを接合、固定した。また、パネルにはユーザに操作方法を認識させるハンドルを取り付けた。そして、ユーザがハンドルを持ち、内枠を所望の方向にスライドさせた後、ユーザが手を放すと内枠が元の位置へ戻るようにするため、内枠と固定な外枠を12 箇所におい
てバネで連結した。さらに、内枠のスライド量を検知するため、固定な外枠の側面の上下左右計4 箇所に磁気センサを配置した。また、固定な外枠上の磁気センサと向かい合う位置には磁石を埋め込んだ。内枠のスライドによって磁気センサと磁石の距離が変わると磁気センサが検知する磁力が変化し、内枠のスライド量の推定が可能となる。
【0017】
ナビゲーション処理の流れを図4に示す。まず、ディスプレイの外周の枠がスライドさ
れると、磁気センサが磁力の変化を検知する。ディスプレイの外周の枠のスライド量が大きいほど磁気センサと磁石の距離が近づくため、磁気センサが検知する磁力は大きくなる。その磁力の大きさによりスクロール量を決定する。スクロール量が決定されると、描画中の地図画像をスクロール量に従って移動させる。この処理の流れにより、ユーザの意図に合った地図ナビゲーションが可能となる。また、ユーザが手を放すとディスプレイの外周の枠は元の位置へ戻るため、磁気センサが検知する磁力も元に戻り、スクロールは停止する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上の上下左右の4方向の移動量を検知するセンサと
センサの移動量に基づき画面をスクロールする画像表示部を備えた画像表示装置において、
画像表示部の外周に添って設けられた二重の枠部材がバネにより連結され、
外側または内側の枠部材のいずれか一方が平面上に可動な状態で保持され、
外側または内側の枠部材のいずれかの移動量と方向をセンサにより検知することで、
画像表示部の画面をスクロールすることを特徴とする表示装置
【請求項2】
前記センサが前記外側の枠部材の内周縁と前記内側の枠部材の外周縁との距離を検知することを特徴とする請求項1に記載の表示装置
【請求項3】
前記センサが磁気センサまたは光学式センサであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−185656(P2012−185656A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47973(P2011−47973)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ヒューマンインタフェースシンポジウム2010論文集
【出願人】(304023994)国立大学法人山梨大学 (223)
【Fターム(参考)】