説明

画面表示故障の検知方法と検知装置

【課題】表示装置の画面の表示内容に異常が生じる場合に、簡易かつ安価な装置構成によって迅速かつ確実に異常を検知して画面表示の故障を迅速に検知できる画面表示故障の検知方法と検知装置を提供する。
【解決手段】画面表示故障の検知方法は、表示指令用コントローラ12から表示装置11に画面データ(14,16)を送信して表示装置の画面に画像を表示させるステップS12と、表示装置の画面に表示された画像をカラーセンサ21〜24で検出し、画面表示データ17として表示指令用コントローラに送信するステップS13と、画面データと画面表示データとを比較することにより一致・不一致を判定するステップS14と、画面データと画面表示データが不一致であるときに画面表示が異常であるとして処理する検出ステップS16を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面表示故障の検知方法と検知装置に関し、特に、表示装置の画面に表示される内容が表示指令された画面データに基づいて正常に表示されるか否かを判定するための画面表示故障の検知方法と検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な表示動作原理(LCD、プラズマディスプレイ、CRT等)に基づき様々な形態を有する表示装置あるいは表示器が開発され、実用に供されている。現在の表示装置では、その画面に表示内容を表示するに当たり、表示コントローラは、表示内容に係るデータを受け、当該データに基づき画面データを作成し、表示装置へ伝送して、画面に表示させる。表示装置は、表示コントローラから画面データを与えられ、当該画面データに基づいてその画面に表示を行っている。従って従来の表示装置の構成は、表示コントローラから表示装置に対して画面データが一方的に送られるという構成であった。
【0003】
また他の観点で述べると、現在の表示装置の構成によれば、表示コントローラの側においては、表示装置の画面で送った画面データが表示指令通りに正しい画像として表示されているか否かを知ることができない状態になっている。つまり、表示コントローラと表示装置との間の信号通信の形態が、表示コントローラから表示装置への一方通行になっており、双方向になっていない。従って、例えば表示装置が故障している場合には、実際には、送信した画面データに基づいて正しく表示を行うことができないことになる。
【0004】
従来の表示装置の画面における表示異常を検出する技術として特許文献1に記載されたCRTの異常検出装置がある。このCRTの異常検出装置によれば、表示画面の一部に試験用輝点を設け、輝点表示回路によってこの試験用輝点を定期的に表示させると共に、当該試験用輝点に対してその表示状態を検知するための光検知センサを設けるように構成している。光検知センサで検出された上記試験用輝点の信号レベルが所定値以下になったときに、CRT画面に異常な状態が発生していると判定し、その異常を報知するようにしている。
【特許文献1】特開昭57−211192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置の画面に表示されている内容について故障が生じているか否かついての検知は、従来の表示装置では一般的にはできない構成になっている。特許文献1に記載されたCRTの異常検出装置によれば、異常検知をモニタする対象である試験用輝点は、画面上、表示画像を妨げない所定の位置に設けられており、表示内容の画面部分ではない。従って、画面に表示されている内容そのものの故障を判断する装置構成にはなっていない。
【0006】
仮に表示装置の画面で表示内容についての異常を検知することが可能であるとしたら、画面の異常状態に気づく人である。しかし、一般人の目につく場所に表示装置が設置されており、その表示装置の画面に表示された内容について一般人が故障を気づいたとしても、故障を知らせる義務のない一般人はそれを管理者に知らせることはあり得ない。表示装置のメンテナンス責任を有する特別な人が知って、初めて、表示装置の表示内容が故障しているということが認識される。その結果、一般的に、表示装置の画面に表示された表示内容が故障しているということを認識するまでに非常に時間がかかることになる。
【0007】
また上記の問題を解決する考え方として、表示装置の画面に対して外付けカメラを設け、この外付けカメラで当該画面を撮像して表示内容の正常・異常を確認し、故障を検知するという考え方を採用することもできる。しかし、この解決策としては、カメラ設置スペースが必要となり、さらに、撮像で得られた表示画面全体のデータと、表示装置に対して伝送した画面データとを比較して、その一致・不一致を判定する画像処理技術が要求され、複雑な構成が必要となる。
【0008】
さらに、表示装置の画面に表示される内容が広告内容である場合、広告依頼主は表示時間に対して広告料を支払うので、表示装置の表示内容を管理し広告表示を請け負う業者としては、表示装置の画面の表示内容の故障を迅速かつ正確に検知し、表示の非故障状態を保証するように厳密に表示装置を管理することが要求される。
【0009】
本発明の目的は、上記の課題を解決することにあり、表示装置の画面に表示される内容に異常が生じる場合に、簡易かつ安価な装置構成によって迅速かつ確実に当該異常を検知して画面表示の故障を迅速に検知し、さらに画面に広告内容を表示するときには確実な広告表示を保証し、要求される広告表示時間を確保することができる画面表示故障の検知方法と検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画面表示故障の検知方法と検知装置は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0011】
第1の画面表示故障の検知方法(請求項1に対応)は、表示指令用コントローラから表示装置に画面データを送信して表示装置の画面に画像を表示させるステップと、表示装置の画面に表示された画像をカラーセンサで検出し、画面表示データとして表示指令用コントローラに送信するステップと、画面データと画面表示データとを比較することにより一致・不一致を判定するステップと、画面データと画面表示データが不一致であるときに画面表示が異常であるとして処理するステップとを有する。
【0012】
第2の画面表示故障の検知方法(請求項2に対応)は、上記の方法において、好ましくは、画面データは複数の画像パターンから成るテストパターンに係るデータであることを特徴とする。
【0013】
第3の画面表示故障の検知方法(請求項3に対応)は、上記の方法において、好ましくは、表示装置の画面には4つのカラーセンサが付設され、複数の画像パターンは4種類の色領域で作られる異なる配置から成る4つの画像パターンであり、4つのカラーセンサは、それぞれ、4つの画像パターンの各々における4種類の色領域を検出することを特徴とする。
【0014】
第4の画面表示故障の検知方法(請求項4に対応)は、上記の方法において、好ましくは、表示装置を駆動するための電源が投入される際に故障検知のプロセスが実行されることを特徴とする。
【0015】
第5の画面表示故障の検知方法(請求項5に対応)は、上記の方法において、好ましくは、画面データは画像情報に係るデータであることを特徴とする。
【0016】
第6の画面表示故障の検知方法(請求項6に対応)は、上記の方法において、好ましくは、表示装置の画面には4つのカラーセンサが付設され、4つのカラーセンサが検出する画面表示データの色情報に基づき「赤」と「緑」と「青」の各色の有無に従って12ビットのカラーセンサ値を作り、画面表示データから作られるカラーセンサ値と、画面データから作成される同一表示箇所のカラーセンサ値とを比較して一致・不一致を判定することを特徴とする。
【0017】
第7の画面表示故障の検知方法(請求項7に対応)は、上記の方法において、好ましくは、画像情報に係るデータは広告内容に関するデータであることを特徴とする。
【0018】
第1の画面表示故障の検知装置(請求項8に対応)は、表示装置の画面に表示される複数の画像のそれぞれを検出する複数のカラーセンサと、画面における複数のカラーセンサのそれぞれに対応する複数の検出対象領域に対して異なる色画像パターンを表示させる画像パターン表示手段と、複数のカラーセンサで検出される画面表示データを保存する保存手段と、色画像パターンに係るデータと保存手段に保存された画面表示データとを比較することにより一致・不一致を判定する比較手段と、比較手段が不一致であると判定したとき画面表示が異常であるとして処理する表示異常検出手段と、を備える。
【0019】
第2の画面表示故障の検知装置(請求項9に対応)は、カラーセンサは4つ設けられ、表示装置の画面は矩形画面であり、4つのカラーセンサはそれぞれ矩形画面の四隅の角部近傍の画面領域を検出するように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表示装置の画面に対して複数のカラーセンサを付設して画面の表示内容を検出して表示指令用のコントローラに戻し、表示指令用コントローラと表示装置との間に双方向の通信システムを設け、画面データと実際の画面表示データとを比較し一致・不一致を判定し、画面表示故障の検知を行うようにしたため、表示装置の画面に表示される内容に異常が生じる場合に、簡易かつ安価な装置構成によって迅速かつ確実に当該異常を検知して画面表示の故障を迅速に検知することができる。さらに本願発明によれば、画面に広告内容を表示するときには、確実な広告表示を保証し、要求される広告表示時間を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図1〜図5を参照して本発明の実施形態に係る画面表示故障の検知方法と検知装置を説明する。図1は、本実施形態に係る画面表示故障の検知装置の構成を概念的に示したブロック図である。
【0023】
図1において、符号11で示されたブロックは表示装置(または表示器)である。表示装置11は、2次元の矩形の表示画面を有する表示画面ユニットを備える。図1で、表示装置を表すブロック11は、本実施形態では、当該の矩形画面をイメージ的に示しているものとする。表示装置11に対して、画面に表示する内容すなわち画像情報に係るデータを提供するための表示指令用のメインコントローラ12と、画像情報に係るデータを画面に表示可能に制御するための表示制御用コントローラ13が設けられている。
【0024】
メインコントローラ12は、表示装置11の画面に表示される画像情報に係るデータを用意・保存しかつ提供する機能と共に、表示装置11の画面に表示される画像が正常であるか異常であるかを判断し、異常であると判断することにより画面表示故障を検知する機能を有している。メインコントローラ12は、データおよびプログラムを記憶するメモリ12aと、プログラムを実行して所要の機能を実現する演算処理装置(CPU)12bを備えている。メモリ12aには、少なくとも、上記の画像情報に係るデータ(画面データ)14と、画面表示故障を検知するプログラム15(以下「故障検知プログラム15」と記す)と、テストパターンに係るデータ(画面データ)16とが記憶されている。なおメモリ12aは、検出されたデータを保存・記憶するデータ領域も有している。
【0025】
上記の「画面表示故障」とは、表示装置11の画面において、表示指令された画面データに基づいて本来表示されるべき画像が正常に表示されないという状態を意味するものである。従って「画面表示故障」が生じる原因としては、表示装置11そのもののハード的な故障に加えて、表示制御用コントローラ13の故障や、信号伝送路の断線等のトラブルも含まれる。
【0026】
上記の構成において、さらに、表示装置11の矩形の画面に対して、4つのカラーセンサ21,22,23,24が付設される。画面故障検知の観点から云えば、カラーセンサの個数は多ければ多いほど好ましい。しかしながら、処理すべきのデータ量の関係およびメインコントローラ12の演算処理装置の演算性能との関係で、4つのカラーセンサ21〜24を用いることが好ましい。
【0027】
カラーセンサ21〜24としては、光を受光する受光面を形成するフォトダイオードアレイと、電流・周波数コンバータとから成るCMOS集積回路で構成される市販のセンサ装置が用いられる。
【0028】
4つのカラーセンサ21〜24は、表示装置11の矩形の画面の四隅の角部11−1,11−2,11−3,11−4のそれぞれに対応して配置される。4つのカラーセンサ21〜24のそれぞれは、その受光面が、対応する角部の近傍の領域に存在する相対的に狭い画面領域31,32,33,34に臨むように取り付けられる。図1では、ブロック11を表示装置の矩形画面であると仮定して、画面領域31〜34は斜線領域で示されている。従って4つのカラーセンサ21〜24のそれぞれは、対応する画面領域31〜34の存在する複数の画素によって表示される色の情報を取り込むことになる。
【0029】
図1に示した概念構成図では、カラーセンサ21〜24そのものを、表示装置11の矩形画面の角部11−1〜11−4に配置するという構成のイメージで示している。しかし、実際の構成としては、4つのカラーセンサ21〜24は表示装置11の矩形画面から離れた場所に配置し、4本の光ファイバの光取込み端部を矩形画面の角部11−1〜11−4の対応箇所に設置し、これらの光ファイバを利用して、画面領域31〜34の色情報を取り込み、各カラーセンサの受光面に伝送するように構成することも可能である。表示装置11の画面に対してその画面内容を検知するための検知手段を付設する構成については、任意に変更することができ、任意の構成を採用することができる。
【0030】
図1において、4つのカラーセンサ21〜24のそれぞれで検知された表示装置11の矩形画面の画面領域31〜34に関する色情報(画面表示情報または画像情報)は、各色情報に係る検出信号として出力され、メインコントローラ12に提供される。メインコントローラ12は、図示しないインターフェースを介して、4つのカラーセンサ21〜24の各々から与えられる色情報に係る検出信号を入力する。これによって、メインコントローラ12は、表示装置11の矩形画面の画面領域31〜34のそれぞれの画面表示データを入力することができる。
【0031】
上記の装置構成は図2のように表現することができる。すなわち、表示指令用のメインコントローラ12は画面データ(画像情報に係るデータ14またはテストパターンに係るデータ16)を用意し、表示制御用コントローラ13を介して表示装置11に送信すると、表示装置11は画面データに基づいてその画面に所要の画像を表示し、次に表示装置11の画面に画像が表示されると、表示装置11の画面の表示内容(色情報)を4つのカラーセンサ21〜24が検出して画面表示データ17としてメインコントローラ12に送信するというように構成される。換言すると、表示装置11の矩形画面に対してその四隅の4箇所についての画面表示情報を検出する4つのカラーセンサ21〜24を設けることにより、メインコントローラ12と表示装置11との間には双方向の通信関係が作られている。
【0032】
次に図3〜図5を参照して、メインコントローラ12のメモリ12aに格納された故障検知プログラム15に基づいて実行される画面表示故障の方法を説明する。図3は、故障検知プログラム15の内容についてのフローチャートを示している。
【0033】
図3に示した故障検知プログラム15のフローチャートによれば、表示装置11に電源を投入する起動時に実行される第1の故障検知プロセス41と、表示装置11の画面に本来的に表示されるべき画面内容(広告内容等)が常に正常に表示されているか否かを確認するための第2の故障検知プロセス42とが含まれている。図3に示した故障検知プログラム15の構成によれば、電源投入時に最初に第1の故障検知プロセス41が実行され、その後、故障検知プロセス41で故障が検知されなかったときにのみ第2の故障検知プロセス42が実行されるようになっている。
【0034】
起動時に表示装置11の表示動作を確認するための第1の故障検知プロセス41について、画面表示故障を検知するための原理を図4を参照して説明する。
【0035】
図4の(A)には、表示装置11の矩形画面11Aが、複数の色を別々に表示するように複数の領域に分割されている状態を示している。本実施形態の場合には、4つのカラーセンサ21〜24を備えることに対応させて、矩形画面11Aは、赤、緑、青、黒の4色を別々の領域に分けて表示することによって、左右・上下の4つの分割領域51,52,53,54に分割されている。換言すると、メインコントローラ12は、表示装置11の矩形画面11Aにおいて、初期の画像パターン(第1画像パターン)61として、左上の赤の分割領域51、右上の緑の分割領域52、左下の青の分割領域53、右下の黒の分割領域54を表示させるための画面表示パターンに係るデータを表示装置11に対して送信する。
【0036】
表示装置11の矩形画面11Aに図4の(A)に示される第1画像パターンが表示されると、4つのカラーセンサ21〜24の各々は対応する箇所(領域31〜34)の色を検出して、その色情報に係るデータ(画面表示データ17)をメインコントローラ12に送信する。メインコントローラ12では、表示装置11に送信した第1画像パターンに係るデータと、カラーセンサ21〜24から送信されてきた色情報に係るデータとを比較して、一致・不一致を判断する。一致と判断されれば正常であると判定される共に、不一致と判断されれば異常であると判定され、さらに画面表示が故障であると判定されることになる。
【0037】
画面表示故障の判定は、図4の(B)に示すごとく、上記の第1画像パターン61の他に、第2画像パターン62、第3画像パターン63、第4画像パターン64について順次に表示装置11の画面11Aへの表示が行われ、当該画面表示の正常・異常の判定が行われる。第2から第4の画像パターン62〜64では、表示装置11の矩形画面11Aにおいて、赤の分割領域51、緑の分割領域52、青の分割領域53、黒の分割領域54の4色の分割領域が順次に例えば「Z」という字を書く順序で移動するように表示される。第2から第4の画像パターン62〜64でも、4つのカラーセンサ21〜24のそれぞれは、対応する画面領域31〜34の色情報に係るデータを検出し、メインコントローラ12に送信する。
【0038】
上記の第1から第4の画像パターン61〜64は、前述したテストパターンに係るデータ16として、予めメインコントローラ12のメモリ12aに用意されている。
【0039】
テストパターンである第1から第4の画像パターン61〜64について画面表示/画面検知/正常・異常判定を行い、正常な表示が確認できれば、表示制御用コントローラ13および表示装置11は正常に動作しており、かつ信号伝送路にも断線がないということが判明する。
【0040】
上記の説明において、表示装置11の矩形画面11Aが4つの色について4分割されるという構成は、4つのカラーセンサ21〜24を用いることに対応して採用されたものである。カラーセンサの個数や配置箇所が変更されれば、矩形画面11Aの分割数や分割領域の形成の仕方、および使用される色は適宜に変更される。
【0041】
次に、図3に示したフローチャートに従って第1の故障検知プロセス41を説明する。第1の故障検知プロセス41は、装置起動時に表示装置11の表示動作を確認するために最初に実行される。
【0042】
電源が投入(ON)される(ステップS11)と、メインコントローラ12から表示装置11に対してテストパターンに係るデータ16が送信され、当該テストパターンが表示装置11の画面に表示される(ステップS12)。テストパターンの表示では、前述のごとく第1から第4の画像パターン61〜64が順次に表示される。テストパターンの表示において、第1から第4の画像パターン61〜64の画面に表示された内容は4つのカラーセンサ21〜24によって検出され、画面表示データ17としてメインコントローラ12に送信される。メインコントローラ12は、カラーセンサ21〜24から与えられた画面表示データ17をメモリ12aに保存する(ステップS13)。
【0043】
次のステップS14では、テストパターンに係るデータ(画面データ)とカラーセンサ検出データ(画面表示データ)とを比較する処理が実行される。その結果、次の判定ステップS15では、両データの一致・不一致が判定される。両データが一致するときには正常と判断される。両データが不一致であるときには異常と判断され、さらに画面表示故障が検知される。判定ステップS15でNOであった場合には、テストパターンに係るデータとカラーセンサ検出データとが不一致となり、その場合には表示異常検出の処理が実行される(ステップS16)。判定ステップS15でYESの場合には、ステップS17に移行し、次の第2の故障検知プロセス42に移行する。
【0044】
以上によって第1の故障検知プロセス41に基づいて、電源投入時に表示装置11の画面に表示される内容の正常・異常が判定され、異常と判定された場合には画面表示故障であるとして検知される。
【0045】
次に、図3に示したフローチャートに従って第2の故障検知プロセス42を説明する。第2の故障検知プロセス42は、第1の故障検知プロセス41で「画面表示故障無し」と判定された場合に実行される。
【0046】
上記の処理ステップS17では、メインコントローラ12から画像情報に係るデータ(画面データ)14が表示装置11に送信され、これにより表示装置11の矩形画面11Aに画像が表示される。この画像は、静止画像であっても、動画像であっても良い。通常の場合、こうして表示装置11の画面には画像表示の出力が行われる。画像表示の内容は例えば広告である。この場合、表示装置11の画面内容は広告画面となっている。
【0047】
次に、表示装置11の画面に表示された内容を4つのカラーセンサ21〜24によって検出し、画面表示データ17として、メインコントローラ12に送信される(ステップS18)。メインコントローラ12は、カラーセンサ21〜24から与えられた画面表示データ17に基づいてカラーセンサ値を作り、このカラーセンサ値をメモリ12aに記憶する(ステップS19)。
【0048】
ここで「カラーセンサ値」とは、カラーセンサ21〜24のそれぞれの検出信号に基づき、図5に示す基準に従って作成される12ビットの表示データである。前述のごとく4つのカラーセンサ21〜24によって表示装置11の矩形画面11Aの4隅の各領域31〜34の色情報を得ることができる。カラーセンサ21〜24のそれぞれから得られる色情報に係るデータに基づいて、例えば特定の1点(1画素)について、「赤の有無」、「緑の有無」、「青の有無」のそれぞれに関しての情報(1(有り)または0(無し))を得て、それぞれの情報に1ビット分を割り当て12ビットからなる表示データを作る。12ビットからなる当該表示データが「カラーセンサ値」となる。
【0049】
次のステップS20では、カラーセンサ21〜24の検出データで作られた上記のカラーセンサ値と、メインコントローラ12から出力された画像情報に係るデータに基づいて得られる同一の箇所のカラーセンサ値とを比較し、変化の有無(一致しているか否か)を判定する。変化が無い場合には正常であり、変化が有る場合には異常である。判定ステップS20で異常である場合(NOの場合)には、ステップS16に移行して表示異常検出の処理が行われる。判定ステップS20で正常である場合(YESの場合)には、次の判定ステップS21に移行する。
【0050】
判定ステップS21では、表示装置11の画面に表示される内容、すなわち広告画面に変更が有るか否かが判定される。判定ステップS21でNOである場合には、判定ステップS20に戻ってカラーセンサ値の変化の有無が再び判定され、ステップS20,S21が反復される。判定ステップS21でYESである場合には、ステップS17に戻り、前述のステップS17〜S21が繰り返される。こうして表示装置11の画面内容の変化に応じて画面表示の正常・異常が判定され、異常であるときには即座に画面表示故障の判定が行われる。
【0051】
上記の第2の故障検知プロセス42によれば、表示装置11の画面に広告等の表示が行われている最中に、4つのカラーセンサ21〜24によって画面4隅の色情報からカラーセンサ値(実際の表示に係るデータ)を作成し、当該カラーセンサ値を、元の画像表示に係るデータ14に基づく同一箇所のカラーセンサ値と比較し、それらの間の一致、不一致を判定することにより、正常に広告画面等が表示されているか否かを判定することができ、画面表示故障も行うことができる。また第2の故障検知プロセス42によれば、表示装置11の画面に表示が継続されている内容(静止画または動画)について、正しく表示されているか否かを判定するための評価を行うことができる。
【0052】
上記の第2の故障検知プロセス42に関する実施形態の説明で、カラーセンサ値を12ビットの表示データとしたが、これに限定されず、カラーセンサの個数に応じて任意に変更することができる者である。
【0053】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、表示装置の画面における画面表示故障の検知に利用され、さらに広告表示における画面内容保証等に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る画面表示故障の検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る画面表示故障の検知装置の構成を概念的に示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る画面表示故障の検知方法を示すフローチャートである。
【図4】画面表示故障の検知方法における第1の故障検知プロセスの検知原理を説明するための図である。
【図5】画面表示故障の検知方法における第2の故障検知プロセスの検知原理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0056】
11 表示装置
11A 矩形画面
12 メインコントローラ
12a メモリ
12b 演算処理装置
13 表示制御用コントローラ
21〜24 カラーセンサ
31〜34 画面領域
51〜54 画面の分割領域
61〜64 画像パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示指令用コントローラから表示装置に画面データを送信して前記表示装置の画面に画像を表示させるステップと、
前記表示装置の画面に表示された画像をカラーセンサで検出し、画面表示データとして前記表示指令用コントローラに送信するステップと、
前記画面データと前記画面表示データとを比較することにより一致・不一致を判定するステップと、
前記画面データと前記画面表示データが不一致であるときに画面表示が異常であるとして処理するステップと、
を有することを特徴とする画面表示故障の検知方法。
【請求項2】
前記画面データは複数の画像パターンから成るテストパターンに係るデータであることを特徴とする請求項1記載の画面表示故障の検知方法。
【請求項3】
前記表示装置の画面には4つの前記カラーセンサが付設され、前記複数の画像パターンは4種類の色領域で作られる異なる配置から成る4つの画像パターンであり、4つの前記カラーセンサは、それぞれ、4つの前記画像パターンの各々における4種類の前記色領域を検出することを特徴とする請求項2記載の画面表示故障の検知方法。
【請求項4】
前記表示装置を駆動するための電源が投入される際に故障検知のプロセスが実行されることを特徴とする請求項2または3記載の画面表示故障の検知方法。
【請求項5】
前記画面データは画像情報に係るデータであることを特徴とする請求項1記載の画面表示故障の検知方法。
【請求項6】
前記表示装置の画面には4つの前記カラーセンサが付設され、4つの前記カラーセンサが検出する前記画面表示データの色情報に基づき「赤」と「緑」と「青」の各色の有無に従って12ビットのカラーセンサ値を作り、前記画面表示データから作られる前記カラーセンサ値と、前記画面データから作成される同一表示箇所のカラーセンサ値とを比較して一致・不一致を判定することを特徴とする請求項5記載の画面表示故障の検知方法。
【請求項7】
前記画像情報に係るデータは広告内容に関するデータであることを特徴とする請求項5または6記載の画面表示故障の検知方法。
【請求項8】
表示装置の画面に表示される複数の画像のそれぞれを検出する複数のカラーセンサと、
前記画面における複数の前記カラーセンサのそれぞれに対応する複数の検出対象領域に対して異なる色画像パターンを表示させる画像パターン表示手段と、
複数の前記カラーセンサで検出される画面表示データを保存する保存手段と、
前記色画像パターンに係るデータと前記保存手段に保存された前記画面表示データとを比較することにより一致・不一致を判定する比較手段と、
前記比較手段が不一致であると判定したとき画面表示が異常であるとして処理する表示異常検出手段と、
を備えることを特徴とする画面表示故障の検知装置。
【請求項9】
前記カラーセンサは4つ設けられ、前記表示装置の画面は矩形画面であり、4つの前記カラーセンサはそれぞれ前記矩形画面の四隅の角部近傍の画面領域を検出するように配置されることを特徴とする請求項8記載の画面表示故障の検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−216334(P2008−216334A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50102(P2007−50102)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】