説明

界面活性剤系用の液体増粘剤

【課題】水溶液中に溶解して界面活性剤含有組成物、例えばシャンプーを冷間加工温度で増粘するために適した液状増粘剤にすることができるグルコース誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】グルコース誘導体の少なくとも25重量%がグルコース1モル当たり3モルの分子当たり炭素原子8〜30をもつ親油性置換基を有する、親油性置換基含有アルコキシル化グルコース誘導体を製造する方法であって、下記:(i)グルコース誘導体をアルキレンオキシドにアルキレンオキシドで置換されたアルコキシル化グルコース中間体を形成するのに有効な反応条件で接触させ;及び(ii)アルコキシル化グルコース中間体を親油性試薬にグルコース誘導体の少なくとも25重量%がグルコース1モル当たり3モルの該親油性置換基を有する、親油性置換基含有アルコキシル化グルコース誘導体を形成するのに有効な反応条件で接触させることを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール1モル当たり約3モルの親油性置換基を有するアルコキシル化親油性ポリオール化合物に関し、一層詳細にはそのような化合物の液体界面活性剤組成物における増粘剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤を含有する液体組成物、例えばシャンプー、皿洗い液やその他のパーソナルケアー及び工業製品は、液体組成物を簡便な取り扱いを可能にする程に粘性化する(viscosify)ために増粘剤を含有するのが典型的である。増粘剤は、脂肪酸でエステル化された親油性置換基を含有するアルコキシル化ポリオール、例えばエトキシル化メチルグルコースを含むのがしばしばである。そのような増粘剤は、水溶性及び粘性化を液状界面活性剤組成物に付与するのに十分な程度にアルコキシル化されるのが典型的である。親油性置換基、例えば脂肪酸は、結合的増粘特性を増粘剤に付与するのが典型的である。
【0003】
増粘剤は、増粘剤を液体界面活性剤組成物中に溶解して相当な粘度増大、例えば約2,000〜100,000センチポイズ(「cP」)まで又はそれ以上の粘度増大を引き起こすのに有効な条件下で固体形態で液体界面活性剤組成物に導入されかつ混合される。混合は、増粘剤の溶解を助成して所望の粘度増大を得るために、高い温度、例えば約50°〜80℃で実施されなければならない(当分野において「熱間加工」として知られる)ことがよくある。しかし、増粘された界面活性剤含有液を含む生成物、例えばシャンプーの配合者は、それらの生成物を周囲温度、例えば約20°〜30℃で配合する(当分野において「冷間加工」として知られる)ことを所望する。加えて、配合者は、また、固体形態よりもむしろ液体形態で液体界面活性剤組成物に導入することができる増粘剤も所望する。増粘剤を液体形態で導入することができることは、配合者に精確な量の増粘剤を液体界面活性剤系に導入する際に一層大きな精確度を付与しかつまた自動加工を一層良好に助成することができる。
【0004】
よって、液体界面活性剤系において増粘剤として用いるために適した改良れた組成物が所望される。増粘剤は、冷間加工によって液状状態で導入することができることが好ましい。また、それらの組成物を界面活性剤を含む液体組成物を増粘するのに使用する方法も所望される。
【0005】
(発明の開示)
本発明によって、例えば液体界面活性剤含有系において増粘剤として有用なアルコキシル化親油性ポリオール化合物、例えばエトキシル化、エステル化されたメチルグルコシドを提供する。
本発明の組成物では、ポリオール化合物の少なくとも5重量%がポリオール1モル当たり約3モルの親油性置換基を有する。極めて驚くべきことに、本発明に従えば、ポリオール1モル当たり約3モルの親油性置換基を有するポリオール化合物の十分な部分が存在することが、組成物が液体界面活性剤系を、好ましくは冷間加工温度において増粘する能力を増進することができることを見出した。
【0006】
加えて、本発明は、ポリオールを適したアルコキシル化試薬、例えばエチレンオキシドでアルコキシル化する工程、及び親油性置換基を、例えば脂肪酸でエステル化することによって導入する工程を含む、組成物を製造するプロセスを提供する。また、アルコキシル化工程の前に親油性置換基を導入するプロセス並びに親油性置換基及びアルコキシル化試薬を逐次に導入するプロセスも提供する。
【0007】
(好ましい具体例の説明)
本発明に従って出発原料として用いるのに適したポリオールは、下記に記載するアルコキシル化試薬及び親油性試薬と反応性の分子当たり3又はそれ以上のヒドロキシル基を有する任意の化合物を含む。一般的な例は、グリセロール、ポリグリセロール、糖アルコール、例えばソルビトール又はソルビタン、及び糖類、例えばグルコース及びその誘導体を含む。発明に従って用いることができるポリオールの一層具体的な例は、下記を含み、それらに限定しない:トリメチロールエタン[2−メチル−2−(ヒドロキシルメチル)−1,3−プロパンジオール]、トリメチロールプロパン[2−エチル−2−(ヒドロキシルメチル)−1,3−プロパンジオール]、ペンタエリトリトール(2,2−ジメチロール−1,3−プロパンジオール)、ジグリセロール(グリセロールダイマー)、ジペンタエリトリトール、グリセロール、等。
【0008】
本発明に従って用いるための好適なポリオール出発原料は、グルコース誘導体、一層好ましくはグリコシド、例えばグルコシド、ガラクトシド、単糖、分子当たりサッカリド反復単位を約10まで有するオリゴ糖及びスクロースである。特に好適なグルコシドは、アルキルグルコシド、例えばメチルグルコシド、エチルグルコシド、プロピルグルコシド、ブチルグルコシド及びアミルグルコシドのようなものを含む。
【0009】
そのようなポリオールは、市販されている。
【0010】
ポリオールをアルコキシル化するための適した試薬は、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びこれらの混合物のようなものである。その他のアルコキシル化試薬、例えば一層高級なアルキレンオキシドを本発明に従って用いてよい。本発明に従って用いるのに適したアルキレンオキシドは、市販されている。本発明に従うアルコキシル化の量は、水溶性及び粘性化を液体界面活性剤組成物においてもたらすのに有効なものである。そのような量は、ポリオール1モル当たりアルキレンオキシド約50〜400モルの範囲、好ましくは約80〜180モルの範囲、一層好ましは約100〜160モルの範囲であるのが典型的である。ポリオールを、例えば直接アルコキシル化することによってアルコキシル化する方法が当業者に知られている。代わりに、一部アルコキシル化されたメチルグルコシド、例えばニュージャージー、エディソン在Amerchol Corporationから入手し得るGLUCAM(登録商標)E−20(PEG−20メチルグルコシド)を出発原料として用いることができ、これを次いで更にアルコキシル化して所望のアルコキシル化度を含有することができる。
【0011】
本発明のポリオールを変性するのに適した親油性試薬は、ポリオールと反応性でありかつ液状界面活性剤含有系中に導入する時に結合的増粘を助成する程の分子量を有する任意の化合物を含む。親油性試薬は、分子当たり炭素原子約8〜30、好ましくは約12〜26、一層好ましくは約16〜22を有する炭化水素又は置換された炭化水素部分を含むのが典型的である。親油性試薬の特定の構造は、本発明にとって臨界的なものでなく、例えばアルキル、アリール、アルキルアリール、アルケニルにすることができ、環状、枝分れ又はストレートにすることができる。試薬は、脂肪酸、脂肪エステル、エポキシド、ハライド、グリシジルエーテル、植物油又は動物油にするのが典型的である。試薬は、エステル結合か又はエーテル結合かのいずれかをポリオールに付与するのが典型的である。換言すると、例えばグルコース誘導体の場合には、エーテル又はエステルがポリオキシアルキレン鎖を経てグルコース誘導体に結合されるのが典型的である。
【0012】
適した脂肪酸の例は、線状である又は枝分れした天然又は合成の飽和又は不飽和の酸を含む。脂肪酸は、単独で又は混合物として使用することができる。天然の脂肪酸は、例えば飽和又は不飽和の線状脂肪酸、例えばカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、カプリン酸及びウンデカン酸のようなものを含み、これらは、ココナツ油、パーム油、牛脂、アマニ油及び大豆油のような植物油及び動物油を加水分解することによって得るのが典型的である。合成脂肪酸の例は、オレフィンポリマーを酸化することによって造られる線状又は枝分れ脂肪酸を含む。また、微生物、例えばγ−リノレン酸のようなものから誘導される脂肪酸を使用することも可能である。更に、脂肪酸の一層低級なアルキルエステルとして、上記した脂肪酸のメチル、エチル又はプロピルエステルのような炭素原子1〜8を有するアルキルエステルを用いることができる。ヘキソースの脂肪酸エステル又はそのアルキルグルコシドは、リパーゼ等を用いるエステル合成を含む種々の知られた方法;(1)出発油又は脂肪とヘキソース又はそのアルキルグルコシドとの間のエステル交換反応、(2)脂肪酸の一層低級なアルキルエステルとヘキソース又はそのアルキルグルコシドとの間のエステル交換反応、或は(3)脂肪酸とヘキソース又はそのアルキルグルコシドとの間のエステル合成を使用することによって合成することができる。加えて、また、脂肪酸クロリド及びヘキソース又はそのアルキルグルコシドを用いる合成プロセスを採用してもよい。
【0013】
その他の適した親油性試薬の例は、グリシジルエーテル、例えばノニルフェニルグリシジルエーテル又はドデシルフェニルグリシジルエーテル、アルファ−オレフィンエポキシド、例えば1,2−エポキシヘキサデカン及びそれらのそれぞれのクロロヒドリン、又はアルキルハライド、例えばドデシルブロミド、及び上述した植物油及び動物油を含む。脂肪酸のハロゲン化生成物もまた親油性試薬として用いることができる。
【0014】
本発明のポリオールを変性するのに用いる親油性試薬の量は、ポリオール誘導体が存在する時にそれらの液体界面活性剤組成物中での結合的増粘挙動を助成するのに有効なものにするのが好ましい。親油性置換基の平均の置換レベルは、ポリオール1モル当たり約3、例えば2.5〜4、好ましくは約2.5〜3.9、一層好ましくは約2.8〜3.6にするのが典型的である。親油性置換基を含むためにポリオールを変性することに関する詳細は、当業者に知られている。ポリオール1モル当たりの親油性置換基の平均数(当分野において置換度「DS」と呼ばれる)は、当業者に知られている任意の技術により、例えば核磁気共鳴分光学(「NMR」)によって求めることができる。本発明に従って用いるのに適した親油性試薬は、市販されている。
【0015】
本発明に従えば、アルコキシル化された親油性ポリオール化合物は、ポリオール出発原料上の利用可能なヒドロキシル基に応じて変わる量の親油性置換基で置換された化合物の混合物を含む。組成物中のポリオール化合物の少なくとも5重量%はポリオール1モル当たり約3モルの親油性置換基を有する。例えば、エトキシル化され、エステル化されたメチルグルコシドの場合には、化合物の少なくとも5重量%がメチルグルコシド1モル当たり約3モルの親油性置換基で置換される。組成物中のポリオール誘導体の少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、一層好ましくは少なくとも75%がポリオール1モル当たり約3モルの親油性置換基を有するのが典型的である。組成物の残りは、ポリオール1モル当たり1、2又は4モルの親油性置換基を有するポリオール誘導体を含むのが典型的である。組成物中のポリオールの中で、ポリオール1モル当たり1、2又は4モルの親油性置換基を含むものは、約75%よりも少ない、好ましくは約50%よりも少ない、一層好ましくは約25%よりも少ないのが典型的である。
【0016】
アルキレンオキシド及び親油性置換基をポリオールに反応させる順序は、本発明にとって臨界的なものではない。発明の一態様では、アルコキシル化反応を初めに実施した後に、親油性置換基をポリオールに置換させる。発明の別の態様では、ポリオールを初めに親油性置換基で置換した後にアルコキシル化する。発明の尚更に別の態様では、ポリオールを例えば一部エステル化してポリオール1モル当たり1又は2モル(平均で)の親油性置換基を含み、次いでエトキシル化し、次いで続いてエステル化してポリオール1モル当たり約3モルの親油性置換基を含む。代わりに、ポリオールを一部エトキシル化し、エステル化し、次いで再びエトキシル化して所望のレベルにする。その上に、出発原料は、ポリオール、一部アルコキシルされたポリオール又は一部親油性試薬と反応させたポリオール、或は両方にすることができる。
【0017】
変性は、減圧、例えば約0.001〜1.0気圧(0.1〜100kPa)下でアルコキシル化工程について約110°〜180℃の範囲及び親油性置換工程について約120°〜200℃の範囲の温度で実施するのが典型的である。変性について、触媒を使用しても又は使用しなくてもよい。しかし、反応速度を増進させるのに触媒を使用するのが典型的である。触媒は、酸性、塩基性、又は中性にすることができる。アルコキシル化工程用の好適な触媒は、Na、NaOCH3、KOH、NaOH、K2CO3、Na2CO3を含む。親油性置換工程用の好適な触媒は、Na2CO3、KOH、NaOH、p−トルエンスルホン酸(「p−TSA」)、H2SO4、HClを含む酸、及び有機チタネート、例えばデラウェア、ウイルミントン在DuPont CompanyからTyzor(登録商標)触媒として入手し得るテトライソプロピルチタネートを含むその他を含む。アルコキシル化された親油性ポリオール化合物の製造に関するそれ以上の詳細は、当業者に知られており、例えば米国特許第4,687,843号、同第5,109,127号、同第5,501,813号及び同第5,502,175号に記載されている。
【0018】
変性反応から製造される生成物は、粒状又は粉末形態の固体の形態であるのが典型的である。固体生成物は、顧客に包装及び輸送するために適している。
【0019】
発明の好適な態様では、アルコキシル化された親油性ポリオール誘導体を適した溶媒に溶解して界面活性剤含有液体組成物を粘性化する際に用いるのに適した液体増粘剤にする。ポリオール誘導体を溶解することができる任意の適した液が本発明に従って用いるために適している。液は、更なる水混和性液により又はよらないで水性であるのが好ましい。例えば、適した溶媒は、分子当たり炭素原子約2〜5を有するアルキレングリコール、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロパンジオール及びブタンジオールのようなものを含む。その他の溶媒、例えばコネティカット、ダンバリー在Union Carbide Corporationから入手し得るCARBOWAX(登録商標)PEG及びUCON(登録商標)Fluidsのようなものもまた用いてよい。生成物を液状形態で供する場合、生成物は、ポリオール誘導体を約20〜60、好ましくは約30〜50含み、残りは、液体溶媒及び任意の所望の添加物、例えば防腐剤、殺生剤、等のようなものを含み、かかる添加物は、少量で、例えば液体組成物の全重量に基づいて約5重量%よりも少ない量で存在するのが普通である。加えて、液状形態である時は、増粘剤を含有する液は、液を困難なくポンプ輸送又は注入することを可能にする程に低い粘度を有することが好適である。粘度は、約6,000cPよりも低い、好ましくは約4,000cPよりも低いのが典型的である。本明細書中で用いる通りの粘度なる用語は、Brookfield Viscometerを用い、当業者ならば決める通りの適したスピンドル及び回転速度、例えばスピンドル6〜10rpmで測定した粘度を意味する。
【0020】
発明の一つの好適な態様では、ポリオールがグルコース誘導体である時は、液体組成物は、水約10〜30重量%、プロピレングリコール約30〜50重量%及びグルコース誘導体約30〜50重量%を含む。特に好適な組成物は、水約20重量%、プロピレングリコール約40重量%及びグルコース誘導体約40重量%を含む。
【0021】
本発明のアルコキシル化された親油性ポリオール誘導体は、種々の最終用途、例えばパーソナルケアー用途及び工業用途のようなものを有する。典型的なパーソナルケアー用途は、例えば製薬及び化粧組成物、例えばシャンプー、コンディショナー、軟膏、スキンクリーム、ローション、石鹸、等のようなものを含む。典型的な工業用途は、例えば全般的な流体取り扱い及び界面活性剤用途、例えば皿洗い液、洗濯用洗剤、懸濁助剤のようなもの用粘度調整剤として、接着促進剤及びコーティング材料としての使用を含む。
【0022】
発明の一態様では、アルコキシル化された親油性ポリオール誘導体を、一種又はそれ以上の界面活性剤を含む液体組成物を増粘するために使用する。具体的な界面活性剤は、下記を含むことができる:脂肪酸石鹸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキル又はアリールスルホネート、スルホスクシナト、サルコシナト、アルキルグルコースエステル又はそれらのアルコキシレート、特にナトリウムラウリルスルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート、トリエタノールアミンラウリルスルフェート、ナトリウムラウレス(laureth)スルフェート、アルファオレフィンスルホネート、ジナトリウムラウレススルホスクシネート、トリエタノールアミンステアレートを含むアニオン系;メチルグルコースエステル又はそれらのアルコキシレート、脂肪酸アルカノールアミン、ポリグリコールエーテル又はそれらのアルキルもしくはアリール誘導体、ヒドロキシル化ラノリン、ラノリンアルコール、特にオレス(oreth)−20、セテアレス(ceteareth)−20、メチルグルコースジオレエート、メチルグルコースステアレート、グリセロールモノステアレート、ココイルジエタノールアミド、ノノキシナール(nonoxynal)−7及びオクトキシノール(octoxynol)−8を含む非イオン系;アルキルトリメチルアンモニウム塩、エチレンジアミンの第四級化アミド、アルキルピリジニウム塩、特にセトリモニウム(cetrimonium)クロリド、ステアルアルコニウム(stearalkonium)クロリド及びセチルピリジニウムクロリドを含むカオン系;並びにアルキルβ−アミノプロピオネート、ベタイン、アルキルイミダゾリン、特にココアンホカルボキシグリシネート、コカミドプロピルベタイン及びカプロアンホカルボキシプロピオネートを含む両性系。
【0023】
発明のこの態様では、アルコキシル化された親油性ポリオール化合物を含む第一液を、粘度増大少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、一層好ましくは少なくとも100%、最も好ましくは少なくとも200%をもたらすために、界面活性剤を含む第二液と混合条件下で組み合わせる。本明細書中で用いる通りの「粘度増大」なる用語は、化合物の相当のフラクション、例えば少なくとも90%がポリオール1モル当たり約2モル、すなわち1.5〜2.5モルの親油性置換基を有するアルコキシル化された親油性ポリオール化合物に比べて本発明のアルコキシル化された親油性ポリオール化合物の間の界面活性剤含有液体組成物中のパーセンテージとして表わす粘度の増大を意味する。粘度増大の測定については、界面活性剤系の混合を、化合物を溶解する程の温度、例えば周囲〜80℃で適当に混合しながら(好ましくは、泡立てないで)約2〜3時間実施する。粘度増大を求めるために、アルコキシル化された親油性ポリオールを液体界面活性剤組成物において液体界面活性剤組成物の全重量に基づいて約0.1〜5重量%、好ましくは約0.1〜1重量%の有効濃度で用いる。比較のために、有効濃度は、本質的に同じにすべきである。この測定については、6番スピンドルを10rpmで用いたBrookfield RVT粘度計が適している。粘度測定は、固定した温度、例えば22.5℃で測るべきである。また、比較を、同様なアルキレンオキシド置換レベル、例えばアルキレンオキシド単位±30の範囲内の置換レベル及び同様な親油性置換基、例えば分子当たりの炭素原子±2の範囲内の親油性置換基を有するポリオール誘導体を用いて行うべきである。
【0024】
粘度増大を求めるための好適な界面活性剤組成物は、下記の成分を下記に記載する通りに組み合わせてなる。

成分 重量%
脱イオン水 100に足りるだけ
ナトリウムラウレススルフェート−2 40.00
(有効26重量%)
コカミドプロピルベタイン 11.50
(有効35重量%)
DMDMヒダントイン 0.4
増粘剤(ポリオール化合物40重量%、 1.25
プロピレングリコール40重量%、
水20重量%)
【0025】
手順:ナトリウムラウレススルフェート−2及びコカミドプロピルベタインを順に一時に一つずつ水に完全に均一になるまで加えた後に、次の成分を加える。一旦均一になったら、増粘剤を攪拌しながら加え、加熱して70℃にする。一旦増粘剤を完全に溶解したら、冷却系を開始して40℃にする。40℃において、DMDMヒダントインを加え、冷却し続けて室温にする。24時間後に、粘度を記録する。
【0026】
極めて有利なことに、本発明に従えば、パーソナルケアー生成物、例えばシャンプー、スキンクリーム、等は、下記の望ましい特性を備え得ることを見出した。シャンプー及びその他のヘアーケアー生成物の場合には、改良されたリンス適性(rinseability)、触感、泡立ち、組み合わさったポテンシャル、他の成分との共働作用、鮮明性及び塩耐性が得られ得る。スキンケアー生成物の場合には、改良された抗刺激特性、ファッティング(fatting)剤、モイスチャライゼーション及び皮膚科学的相容性が得られ得る。
【0027】
本発明のアルコキシル化された親油性ポリオール化合物を含むスキン又はヘアー用の典型的なクレンジング配合物は、下記の成分を含有し得かつ下記に記載する通りに調製することができる。

成分 重量%
脱イオン水 十分に
Polyquaternium−10 0.20
ナトリウムラウレススルフェート−2 40.00
(有効26重量%)
コカミドプロピルベタイン 11.50
(有効35重量%)
ジナトリウムラウレススルホスクシネート 5.00
(有効40重量%)
増粘剤(ポリオール化合物40重量%、 0.50
プロピレングリコール40重量%、
水20重量%)
DMDMヒダントイン 0.40
【0028】
手順:Polyquaternium−10を室温の脱イオン水に適当に攪拌しながら加える。均一になった時に、加熱して70℃にしかつ十分に水和するまで混合する。一旦十分に水和したら、DMDMヒダントインまでの残りの成分を順に一時に一つずつ加え、各々が溶解するまで待った後に、次を加える。冷却させて40℃にする。40℃において、DMDMヒダントインを加える。冷却し続けて室温にする。
【0029】

下記の例は、例示するために挙げるもので、特許請求の範囲の記載の範囲を制限することを意図するものではない。例において、示す量は、他に示さない場合には、重量パーセントで挙げる。
【0030】
例1(比較)
PEG−120メチルグルコースジオレエート−PG−水ブレンドの調製
PEG−120メチルグルコースジオレエート(ニュージャージー、エディソン在Amerchol Corporationから商品名Glucamate(登録商標)DOE−120で入手し得る)のサンプル1000グラム(「gm」)を攪拌及び加熱するために装備したフラスコに入れた。これに、プロピレングリコール1000gm及び水500gmを加えた。混合物を攪拌しながら加熱して60℃にした。溶融しかつ攪拌を続けた際に、固体が溶解し、溶液は流動性かつ透明になった。
【0031】
次いで、最終の液体生成物を冷却させて室温にした。生成物は、室温において粘度<2000cPを有していた。
【0032】
例2
PEG−100メチルグルコシドトリオレエート−PG−水ブレンドの調製
PEG−20メチルグルコシド(Glucam(登録商標)E−20、ニュージャージー、エディソン在Amerchol Corporationから入手し得る)192gmを1リットル圧力反応装置中に注いだ。これに、KOHフレーク1gmを加えた。容器を閉止しかつ温度を140℃に上昇させるにつれて、真空を増大した。材料を攪拌しかつ140℃及び約10mmHgで0.5時間乾燥させた。
【0033】
系を窒素で3度パージし、加圧して25psig(270kPa)にした。液をエチレンオキシド630gmで140°〜145℃及び65psig(550kPa)においてエトキシル化した。添加を完了した後に、反応混合物を1時間温浸しかつ窒素でパージして残留オキシドを除いた。これは、ポリオキシエチレン−100メチルグルコシドの室温において硬い白色のろう質物質をもたらした。
【0034】
上記のPEG−100メチルグルコシドのサンプル(476gm)をフラスコの中に入れ、約50℃に、物質すべてが溶融するまで暖めた。蓚酸(4.4gm)を少量の水の中に加えた。混合物を約0.5時間攪拌し、次いで真空、すなわち水銀約10ミリメートル(「mmHg」)下で110℃において乾燥させた。
【0035】
真空を窒素で破った。次いでメチルオレエート(101gm)を加えた。次いで系を窒素でパージした。低いレベルの真空(〜600mmHg)が発現された。注射器を使用して、触媒(テトライソプロピルチタネート、DuPontからのTyzor)6.3gmを導入し、混合物を10分間攪拌させた。次いで温度を約150℃に上昇させた。
【0036】
次の5時間の間、真空を徐々に上げて200mmHgにした。その点で、反応を完了させ、温度を下げておよそ65℃にした。真空を破り、水50gmを加えて触媒を分解した。混合物を50℃で1時間攪拌した。pHを水性蓚酸で調整して6〜7にし、次いで高い真空(<5mmHg)及び110℃で0.5時間乾燥させた。生成物は、下記の分析を有する褐色のろう質固体であった:

パラメーター
pH(水中10%) 6.9
酸価 0.6
鹸化価 37.0
ヒドロキシル価 14.0
【0037】
混合物を、プロピレングリコール566gm及び水288gmの溶液を攪拌しながら加えるにつれて、冷却して80℃にした。この混合物を0.5時間攪拌し、その間、冷却させた。これは、薄褐色の溶液/ブレンドをもたし、粘度約2000cPを有していた。
【0038】
例3
PEG−120メチルグルコーストリオレエート−PG−水ブレンドの調製
窒素雰囲気下で、反応装置にメチルオレエート42gm及びSAG−10(コネティカット、グリニッジ在Witco Corp.からの消泡剤)0.8gmを仕込んだ。次いで、非中和のGlucamate DOE−120 1000グラムgmを加えた。ヘッド−スペース窒素パージを設定し、混合物を加熱して175℃にした。温度が約150℃に達した時に、低い真空、すなわち約140mmHgをゆっくりかけた。
【0039】
一旦反応混合物が175℃に達したら、温度をそこに保った。約1時間した後に、ヘッド−スペースパージをスパージに切り替えた。次いで真空をゆっくり上げて約5mmHgにした。混合物を更に5時間反応させた。
【0040】
加熱処理(cookout)時間の終り近くに、サンプルを、ガスクロマトグラフィーによってメチルオレエート分析するために取り出した。残留メチルオレエートは、減少して約0.4(w/w)になり、反応を冷却して80℃にし、窒素スパージを止め、真空を窒素で破り、生成物を、酒石酸0.6gmを含有する水溶液で中和した。混合物を、pH、色、ヒドロキシル価、及び酸価並びに粘度性能のためにサンプル採取した。生成物であるPEG−120メチルグルコーストリオレエート分析は、下記を示した:
性能粘度* 65,000cP
ヒドロキシル価 10
GH色 7
pH(水中10%) 6.5
酸価 0.8
【0041】
ブレンドを調製するために、プロピレングリコール(PG)1033gmを上で調製した温(70°〜80℃)生成物であるPEG−120メチルグルコーストリオレエートベースに加えた。PGを完全に混入した後に、加熱を中止し、脱イオン水517gmを加えた。混合物を約20分間攪拌して均一な溶液を確実にし、次いで溶液をサンプル採取してpH、PG%及び水%について分析した。次いで、生成物を冷却して約40℃にして保存した。ブレンドは、下記の分析を有していた:
水 20%
プロピレングリコール 40%
pH(固体10%) 6.5
【0042】
* 例4(粘度測定)の通りの性能粘度方法
【0043】
例4
粘度測定
例C(比較)−1、2及び3で調製したのと同様な液状生成物を、界面活性剤含有液中でテストして粘度増大を求めた。配合物及び手順は、下記の通りであった。
成分 重量%
脱イオン水 100に足りるだけ
ナトリウムラウレススルフェート−2 40.00
(有効26重量%)
コカミドプロピルベタイン 11.50
(有効35重量%)
DMDMヒダントイン 0.4
増粘剤(ポリオール化合物40重量%、 1.25
プロピレングリコール40重量%、
水20重量%)
【0044】
手順:ナトリウムラウレススルフェート−2及びコカミドプロピルベタインを順に一時に一つずつ水に完全に均一になるまで加えた後に、次の成分を加える。一旦均一になったら、増粘剤を攪拌しながら加え、加熱して70℃にする。一旦増粘剤を完全に溶解したら、冷却系を開始して40℃にする。40℃において、DMDMヒダントインを加え、冷却し続けて室温にする。24時間後に、粘度を記録する。
【0045】
粘度は、6番スピンドルを10rpmで用いたBrookfield RVT Viscometerを使用して測定した。

増粘剤例 粘度、cP 粘度増大、%
C−1 13,500 −
2 56,000 315
3 65,000 381
【0046】
例5
ボディクレンジング配合物の調製
ボディクレンジング配合物を、下記の組成及び手順に従って調製した。
成分 重量%
脱イオン水 十分に
Polyquaternium−10 0.20
ナトリウムラウレススルフェート−2 40.00
(有効26重量%)
コカミドプロピルベタイン 11.50
(有効35重量%)
ジナトリウムラウレススルホスクシネート
(有効40重量%)
増粘剤(ポリオール化合物40重量%、 0.50
プロピレングリコール40重量%、
水20重量%)
DMDMヒダントイン 0.40
【0047】
手順:Polyquaternium−10を室温の脱イオン水に適当に攪拌しながら加える。均一になった時に、加熱して70℃にしかつ十分に水和するまで混合する。一旦十分に水和したら、DMDMヒダントインまでの残りの成分を順に一時に一つずつ加え、各々が溶解するまで待った後に、次を加える。冷却させて40℃にする。40℃において、DMDMヒダントインを加える。冷却し続けて室温にする。
【0048】
ボディクレンジング配合物は、6番スピンドルを10rpmで用いたBrookfield RVT Viscometerを使用して測定して粘度40,500cPを有していた。増粘剤を用いない場合、配合物は、粘度3,400cPを有していた。
【0049】
例6
冷間加工
例2で調製したのと同様な液状生成物を、周囲温度の界面活性剤含有液中でテストして冷間加工特性を評価した。配合物及び手順は、下記の通りであった。
成分 重量%
脱イオン水 100に足りるだけ
ナトリウムラウレススルフェート−2 40.00
(有効26重量%)
コカミドプロピルベタイン 11.50
(有効35重量%)
DMDMヒダントイン 0.4
増粘剤(ポリオール化合物40重量%、 1.25
プロピレングリコール40重量%、
水20重量%)
【0050】
手順:ナトリウムラウレススルフェート−2、コカミドプロピルベタイン及びDMDMヒダントインを順に一時に一つずつ水に完全に均一になるまで加えた後に、次の成分を加えた。一旦均一になったら、増粘剤を周囲温度で攪拌しながら加え、増粘応答(粘度増大)が観測されるまで続けた。混合を完全に均一になるまで続けた。
【0051】
発明を、特定の態様に関して上記したが、当業者ならば、その他の態様を特許請求の範囲の記載の範囲内に含むことを意図することを認めるものと思う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコース誘導体の少なくとも25重量%がグルコース1モル当たり3モルの分子当たり炭素原子8〜30をもつ親油性置換基を有する、親油性置換基含有アルコキシル化グルコース誘導体を製造する方法であって、下記:
(i)グルコース誘導体をアルキレンオキシドにアルキレンオキシドで置換されたアルコキシル化グルコース中間体を形成するのに有効な反応条件で接触させ;及び
(ii)アルコキシル化グルコース中間体を親油性試薬にグルコース誘導体の少なくとも25重量%がグルコース1モル当たり3モルの該親油性置換基を有する、親油性置換基含有アルコキシル化グルコース誘導体を形成するのに有効な反応条件で接触させる
ことを含む方法。
【請求項2】
グルコース誘導体が一部アルコキシル化される請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(i)又は工程(ii)の少なくとも1つを酸性触媒、塩基性触媒及び中性触媒からなる群より選ぶ触媒の存在において実施する請求項1記載の方法。
【請求項4】
親油性試薬を脂肪酸、脂肪エステル、エポキシド、ハライド、グリシジルエーテル、植物油、動物油及びこれらの混合物からなる群より選ぶ請求項1記載の方法。
【請求項5】
グルコース誘導体の少なくとも25重量%がグルコース1モル当たり3モルの分子当たり炭素原子8〜30をもつ親油性置換基を有する、親油性置換基含有アルコキシル化グルコース誘導体を製造する方法であって、下記:
(i)グルコース誘導体を親油性試薬にグルコース誘導体の少なくとも25重量%がグルコース1モル当たり3モルの該親油性置換基を有する、親油性置換基含有親油性グルコース中間体を形成するのに有効な反応条件下で接触させ;及び
(ii)親油性グルコース中間体をアルキレンオキシドにアルコキシル化グルコース誘導体を形成するのに有効な反応条件で接触させる
ことを含む方法。
【請求項6】
グルコース誘導体の少なくとも25重量%がグルコース1モル当たり3モルの分子当たり炭素原子8〜30をもつ親油性置換基を有する、親油性置換基含有アルコキシル化グルコース誘導体を製造する方法であって、下記:
(i)グルコース誘導体を親油性試薬にグルコース誘導体の少なくとも75重量%がグルコース1モル当たり2モルの該親油性置換基を有する、親油性置換基含有親油性グルコース中間体を形成するのに有効な反応条件下で接触させ;及び
(ii)親油性グルコース中間体をアルキレンオキシドにアルキレンオキシドで置換されたアルコキシル化親油性グルコース中間体を形成するのに有効な反応条件で接触させ;及び
(iii)アルコキシル化親油性グルコース中間体を親油性試薬にグルコース誘導体の少なくとも25重量%がグルコース1モル当たり3モルの該親油性置換基を有する、親油性置換基含有アルコキシル化グルコース誘導体を形成するのに有効な反応条件下で接触させる
ことを含む方法。

【公開番号】特開2007−23055(P2007−23055A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286608(P2006−286608)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【分割の表示】特願2000−555694(P2000−555694)の分割
【原出願日】平成11年6月22日(1999.6.22)
【出願人】(591123001)ユニオン・カーバイド・ケミカルズ・アンド・プラスティックス・テクノロジー・コーポレイション (85)
【Fターム(参考)】