説明

略円筒状の物品の払い出し装置

【課題】物品を破損せずに払い出すことができる、物品の払い出し装置を提供する。
【解決手段】鉛直方向に対して角度αだけ傾いた軸をもつ外輪ローター3と、外輪ローター3外に設けられ、払出口が開口された外枠部5と、外輪ローター3内で鉛直方向を軸とする回転可能な収容部材1とを備え、収容部材1の上面に投入された略円筒状の物品を、収容部材1の外端縁側に移動させ、該外端縁から外輪ローターの上面に載置して前記外枠部5の払出口から払出す略円筒状の物品の払い出し装置であって、外輪ローター3の上面は、外輪ローター3の回転軸に垂直な方向に対して前記所定角度αに比べて大きな一定角度βだけ傾斜させて径方向外方へ下傾斜させた傾斜面を備え、収容部材1の上面は、径方向外方へ下傾斜させた傾斜面とされ、該傾斜面は、収容部材1の回転軸側から外端縁まで形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の払い出し装置に関する。さらに詳しくは、略円筒状の物品を連続して払い出すことができる、略円筒状の物品の払い出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、注射剤等の物品の払い出し装置の一例として、実開平6−65311号公報に記載されているものがある。
【0003】
前記従来の物品の払い出し装置は、図7に示すように、収容棚21と、排出口24と、収容溝30と、ピッキングロータ29と、払出部32とから構成されており、次のように配置されている。
【0004】
物品としての注射剤23を直立状態で一列に収容した収容棚21を二個、排出口24が同一円周上にある状態に設け、注射剤23を一個だけ収容することができる収容溝30を外周に開設したピッキングロータ29を前記円周に近接して回転自在に設けている。さらに、前記収容溝30の回転軌跡途中に収容溝30の物品を払い出す払出部32を設けている。
【0005】
前記物品の払い出し装置による払い出し方法は、次の通りである。
まず、ピッキングロータ29が回転し、一方の排出口24に収容溝30が対向する位置までくると、収容溝30が空であれば排出口24に待機した注射剤23が押し出され、収容溝30に移載する。この状態でピッキングロータ29が更に回転し、他方の収容棚21の排出口24に到来しても、すでに収容溝30に注射剤23が収容されているため、その排出口24に待機している注射剤23は収容溝30に移れずに待機する。
【0006】
次に、更にピッキングロータ29が回転し、収容溝30が払出部32の開口部33にくると、収容溝30に収容されていた注射剤23はロータ載置台の底面が開口されることによって開口部33から落下し、注射剤23は払い出しシュートを経て排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記従来の物品の払い出し装置では、上述のように収容棚21に注射剤23を整列状態に並べる時間がかかるため、作業性が悪いという問題がある。
また、前記従来の物品の払い出し装置では、物品を直立状態にするため、注射剤23が小さい場合には安定が悪く、収容溝30に注射剤23を収容する際に傾いて注射剤が破損するという問題もある。
【0008】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、作業性よく、且つ物品の種類、大きさを問わず物品を破損せずに払い出すことができる、略円筒状の物品の払い出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置は、鉛直方向に対して所定角度αだけ傾いた軸を回転軸として回転可能な外輪ローター3と、外輪ローター3外に設けられ、払出口6が開口された外枠部5と、外輪ローター3内で鉛直方向を回転軸として回転可能な収容部材1とを備え、収容部材1の上面に投入された略円筒状の物品を、前記上面に沿って収容部材1の外端縁1b側に移動させ、該外端縁1bから外輪ローターの上面に載置して前記外枠部5の払出口から払出すように構成された略円筒状の物品の払い出し装置であって、外輪ローター3の上面は、外輪ローター3の回転軸に垂直な方向に対して前記所定角度αに比べて大きな一定角度βだけ傾斜させて径方向外方へ下傾斜させた傾斜面3dを備え、収容部材1の上面は、径方向外方へ下傾斜させた傾斜面1dとされ、該傾斜面1dは、収容部材1の回転軸側から外端縁まで形成されていることを特徴とする。
【0010】
特に、前記略円筒状の物品は、その軸長方向が前記収容部材1の回転方向に沿うように横たわった姿勢で、前記収容部材1の外端縁1bから前記外輪ローターの上面に載置されることが好ましい。
【0011】
また、前記略円筒状の物品は、薬剤が封入されるように構成されていることが好ましい。
【0012】
更に、前記略円筒状の物品は、注射剤であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の略円筒状の物品の払い出し装置は、略円筒状の物品を収容する収容部と、収容部に収容された物品を払出部より払出可能な払出手段とを具備し、収容部は略円筒状の物品を無整列に収容可能であり、払出部より物品を払い出し可能にするべく払出手段が収容部の外周で回転する構成である。
【0014】
また、払い出し装置は、払出手段の外周に、物品の収容部外への落下を防止するための外枠部を具備することが好ましい。このことにより、物品が払い出し装置の外部に落下し、破損することがない。
【0015】
また、本発明に係る略円筒状の物品の払い出し方法は、略円筒状の物品を収容した後、物品を払い出す物品の払い出し方法において、略円筒状の物品を無整列に収容し、収容した物品を円周上に回転させることにより物品を払い出すものである。この方法によれば、略円筒状の物品を無整列に収容するので、物品を整列する工程を省略することができる。従って、作業効率よく物品を収容した後、払い出すことができる。
【0016】
以下、本発明の略円筒状の物品の払い出し装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置の一実施形態を示す断面図である。略円筒状の物品としては注射剤、試験管等が考えられるが、以下の実施形態については、略円筒状の物品の例として注射剤を払い出す場合について説明する。
【0017】
本実施形態における略円筒状の物品の払い出し装置は、装置本体12上に水平方向から所定角度α傾けた状態で固定して設けられる受け台4 が設置され、受け台4 上に略円筒状の外枠部5 が設置されている。更に、該外枠部5 内で且つ受け台4 上に、鉛直方向から前記所定角度α傾斜した軸を回転軸として回転可能なドーナツ状の外輪ローター3 が設けられ、該外輪ローター3 内で鉛直方向を回転軸として回転可能な円錐形の収容部材1 とが設けられている。尚、外輪ローター3 の最上部(図1に於けるL部)付近の外枠部5 には払出口6 が開口されており、払出口6 から取り出された注射剤10を該払出口6 の外側に設置されている払出部8より払い出すことが可能である。
【0018】
また、該払出部8 の外側には貯留部14が設けられており、払出部8 から払い出された注射剤10を複数個貯留することができる。このように貯留された注射剤10は、処方箋の要求に応じて前記貯留部14から一つずつ払い出すことが可能である。
【0019】
次に、本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置を構成する部位について詳しく説明する。
まず、収容部材1 は、円錐形(図2に示すように断面が三角形)に形成されており、その下部は内輪ローター2 と一体となっている。前記内輪ローター2 は鉛直方向を回転軸として回転可能な円筒状に設けられている。前記内輪ローター2は、該内輪ローター2 を回転させるための駆動装置、例えばモーター7 に接続されている。従って、収容部材1 は内輪ローター2 と同様にモーター7 によって鉛直方向を回転軸として回転する。尚、前記収容部材1 の半径は、注射剤10の底面の直径及び注射剤10の長さから定められている。
【0020】
次に前述の収容部材1 の外周に、収容部材1 の外端縁1bと平面視わずかな間隔をあけて、払い出し手段として前記外輪ローター3 が回転可能に設置されている。ここで、前記わずかな間隔とは、収容部材1 と外輪ローター3 の間に注射剤10が落ち込まず外輪ローターと収容部材1 とが相対的に円滑に回転しうる程度の間隔である。
【0021】
該外輪ローター3 は、変速ギア、プーリーを介して前述のモーター7 と接続されている。更に外輪ローター3 の外周には、前述のようにモーターに接続されたプーリーを含めて四個のプーリーが互いに90°の角度をもって配置されており、これにより外輪ローター3 が回転軸を中心に正確に回転するよう構成されている。尚、外輪ローター3 の中心軸は、収容部材1 の中心軸、つまり鉛直方向に対して前記所定角度α傾斜している。また、外輪ローター3 の上面は、回転軸に垂直な方向に対して一定角度βだけ、内縁が外縁よりも上方に傾斜している。ここで該傾斜角βはβ>αの関係にあり、払出部8 側であっても内縁3aが外縁3bよりも高くなるよう構成されている。
【0022】
尚、収容部材1 の外端縁1bは、払出部8 側で外輪ローター3 の内側面3cと略接すべく位置し、且つ、払出部8 と対向する位置で外輪ローター3 の内縁3aと略接すべく位置してなり、これにより収容部材1 の円錐形の上面を滑り落ちた物品を、払出部8 と対向する付近で外輪ローター3 の上面に載置されるように構成されている。
【0023】
尚、外輪ローター3 の幅H及び傾斜角βは外枠部5 の半径及び注射剤10の直径により決められており、外輪ローター3 は、その幅方向に一つの注射剤10のみ載置されるよう、つまり二つの注射剤10が並列して載置されないように構成されている。
【0024】
外輪ローター3 の更に外周には、外輪ローター3 の外縁3bと平面視わずかな間隔をあけて注射剤10が落下しないための外枠部5 が受け台4 に固定されている。ここで、外輪ローター3 と外枠部5 の間のわずかな間隔とは、外輪ローター3 と外枠部5 の間に注射剤10が落ち込まず、外輪ローター3 が円滑に回転しうる程度の間隔である。
【0025】
尚、本実施形態において外輪ローター3 の内側面3cと収容部材1 上部に囲まれた領域に、作業者の投入した注射剤10が収容され、該領域が本発明の収容部9 に相当し、また、外輪ローター3 が前記収容部9 の外周で回転する本発明の払出手段に相当する。
また、払出部8 は払出口6 から外側になるほど低くなるように傾斜がつけられている。
【0026】
次に、本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置を用いた略円筒状の物品の払い出し方法について図3を用いて説明する。図3は本発明の払い出し方法の一実施形態を示す平面工程図である。
【0027】
まず、略円筒状の注射剤10を収容部9 に投入し、収容部9 内に注射剤10を収容せしめておく。この投入された注射剤10は円錐形の収容部材1 の上面の傾斜面1d(図2参照)に沿って外端縁1b側に移動する(図3(a)参照)。
【0028】
そして、モーター7 を駆動させると、内輪ローター2 を介して収容部材1 が回転し、これにより、収容部9 内の注射剤はより収容部材1 の外端縁1b側に移動しやすい。
【0029】
特に、収容部材1 は、変速ギア等を介して回転する外輪ローター3 と異なる回転速度でもって回転するので、収容部材1 の外端縁1b側に位置する注射剤10は、例えば底面が外輪ローター3 の内側面3cと接するものであっても、注射剤10の軸長方向が収容部材1 の半径方向と直交するように横たわる。
【0030】
そして、この横たわった注射剤10が、収容部材1 の外端縁1bと外輪ローター3の内縁3aとが同じ高さである部分(図1及び図2のK部)に達すると、外輪ローター3 の外縁3bが内縁3aより低く位置するので、注射剤10は外輪ローター3 の外縁3b方向に転がる。結果として、注射剤10は外輪ローター3 に載置される(図3(b)参照)。
【0031】
そして、外輪ローター3に載置された注射剤10は、外輪ローター3 に伴って回転して、払出口6 より払出部8 へと払い出され、貯留部14に貯留される(図3(c)参照)。このように、注射剤10は、貯留部14へ貯留され、所定の数の注射剤10が貯留部10に貯留されると、注射剤10は順次薬剤棚に収納するための搬送機へ所望のタイミングで払い出される。
尚、注射剤10を所定の数だけ貯留部14で貯留するので、注射剤10を貯留部から次の行程に払い出す際に、一定の時間間隔、又は所望の時に払い出すことができる。
【0032】
また、回転に際して、外枠部5 に対して外輪ローター3 が回転するので、外輪ローター3 に載置された注射剤10は、例えば底面の一端部のみが外枠部5 と接している状態であっても、注射剤10の軸長方向が収容部材1 の半径方向と直交するよう、つまり底面と上方部との二点で外枠部5 と接するように横たわり、バランスよく外輪ローター3 上に載置される。
【0033】
尚、注射剤10が外輪ローター3 にバランスよく載置されなかった場合、たとえば注射剤の一部のみが外輪ローター3 に載置された場合、外輪ローター3 の回転と共に注射剤10は不安定に移動するため収容部材1 に落下する。
【0034】
さらに、β>αゆえに外輪ローター3 は払出部8 側であっても外縁が下方に傾斜しているので、注射剤10の自重によって払出口6 を通過して払出部8 へ払い出される。
【0035】
このように、注射剤などの略円筒状の物品を無整列に収容しても、物品を一つ一つ整列して取り出すことができるので、物品を予め整列する作業工程を省略することができる。
【0036】
また、払出手段としての外輪ローター3 の外周に外枠部5 を設置することにより、物品が外部に落下して破損することがない。
さらに、構造が簡素であるために、注射剤などが破損した場合にも掃除することが容易である。
【0037】
前述の実施形態において説明した注射剤10の底面の直径よりも小さい直径の場合、図4に示すように、注射剤10の直径にあわせて内縁3a側も下方に傾斜させ外縁3b側の傾斜面3dの幅を調整した外輪ローター3 を採用することにより、該外縁3b側の傾斜面3dに幅方向に一つの注射剤10のみが載置され、的確に一つずつの注射剤10を払い出すことができる。尚、内縁3a側に載置された注射剤10は、外輪ローター3 の回転に伴い収容部材1 の外端縁1bが内縁3aより低くなると、収容部材1 に落下する。
【0038】
このように、払い出す物品の多少の大きさの変化に対しても基本的な構造を変化させることなく、前記外輪ローターのみを交換することにより、的確に各種の物品を払い出すことができる。
尚、払い出す物品の大きさが大きく変化した場合には、前述の略円筒状の物品の払い出し装置の大きさ、すなわち収容部材の半径等を変化させる。
【0039】
また、前述の実施形態においては、収容部材1 の上面が傾斜面1dとして形成されているので、収容部材1 に収容された注射剤10を外側へ移動させることができる。さらに、該収容部材1 は回転可能に設けられているので、注射剤10を遠心力によって外側へ移動させることができる。つまり、上記実施形態においては、収容部材1 の上面の傾斜面1d、及び回転可能な収容部材1撹拌手段に相当する。
尚、撹拌手段として回転可能な収容部材1 の上面に半径方向(放射状)に一個以上の撹拌板を突設することも可能である。
このように、収容部材1 の上面に撹拌板を突設することによって、収容部材1の回転で、収容される注射剤10を外周方向へより的確に移動させることができ、従って払出手段としての外輪ローター3 により的確に載置させることができる。
【0040】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置の他の実施形態として、収容部9へ物品を投入可能な投入部11a として投入部材11(図5参照)を物品の投入量に応じて物品の投入を制御可能に設けることも可能である。
前述のように投入部材11から収容部材1 に投入される注射剤10の投入量を制御するために、前記投入部材11に蓋と投入する物品の数をカウントするためのカウンタとを設けた構成とすることができる。これにより、カウントした物品の数が所定の数に達すると、前記蓋を閉じて収容部材1 に余分な物品が投入されず、払い出し手段としての外輪ローター3 に効率よく載置されるようにすることができる。
【0041】
尚、収容部材1 への物品の投入を制御するための機構としては、前述の蓋に限らず、物品を所定量だけ投入すると、一旦物品の投入を停止させることができるものであれば、適宜設計変更可能である。また、収容部材1 に物品を投入するのは、複数個を同時に投入しても、一個ずつ連続的に投入してもよい。
【0042】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置の他の実施形態として、払出部8の払出口6 側、又は外輪ローター3 の払出口6 近辺にセンサーを設けた構成を採用することもでき、これにより、注射剤10が通過したか否かをセンサーで検出することで、払い出される注射剤10を一個ずつ確実に確認することができる。センサーの設けられる位置は、払出部8 の払出口6 側であることが、実際に払い出された注射剤10を確認することができるため好ましい。
【0043】
内輪ローター2 及び外輪ローター3 を回転させるためのモータ7 に制御装置を加え、前述のセンサーとを組み合わせて用いることにより、注射剤10を所望の場所に格納する場合に、注射剤10の払い出しに次のような制御を行うことができる。つまり、注射剤10が一個払い出されたことをセンサーが検出すると前記制御装置でモータ7 を制御し、外輪ローター3 の回転を停止させる。そして、払い出された注射剤10の格納が終了する時間(予め設定されている)になると、次に払い出される注射剤10を検出するまで外輪ローター3 及び内輪ローター2 を回転させるべく前記制御装置でモータ7 を制御することができる。
【0044】
また、注射剤10と接触する部位、つまり収容部9 (前記収容部材1 の表面及び外輪ローター3 の内側面3c)、並びに外枠部5 の内側面等注射剤10の破損を防止するための破損防止手段として注射剤10と接触する部位に樹脂等でコーティングを施すことにより、注射剤10を保護する効果が得られる。
【0045】
また、本発明において払出手段は収容部9 の外周で回転して払出部8 より物品を払い出すものであれば適宜設計変更可能であり、しかも払出手段として上記実施形態の如く外輪ローター3 を採用した場合であっても、外輪ローター3 を回転させる手段は上記実施形態のものに限定されない。尚、上記実施形態においては四個のプーリー13より外輪ローター3 が正確に回転するように構成したが、少なくとも三個のプーリーを用いて該プーリーを結んだ三角形内に外輪ローター3 の回転軸が位置するように設置すれば、外輪ローター3 を正確に回転させることができる。
【0046】
上記実施形態において、収容部9 は外輪ローター3 の内側面3cと収容部材1 上部に囲まれた領域からなるが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、本発明において収容部9 は、外周で回転する払出手段によって払い出すべく略円筒状の物品を無整列に収容可能なものであれば適宜設計変更可能である。
【0047】
また、上記実施形態において払出部8 は払出口6 の外側に設置される傾斜面を有するものであるが、本発明は上記実施形態に限定されず、払出口6 から所定の位置に払い出し可能なものであれば適宜設計変更可能である。
【0048】
また、払い出し装置を、前記収容部に収容されている物品の残量を検知する残量検知手段を装置本体に設け、残量が少なくなると警報を発したり、表示させたりする構成とすれば、作業者が常に残量を監視する必要なく、収容部内の物品の残量を知ることができる。
【0049】
残量を検知する残量検知手段としては、内輪ローターの外周側、即ち外輪ローター側に収容されている物品の本数を見るセンサや、払出口から払い出された数をカウントし、作業者が収容部に投入した物品の数から前記払い出された数の差を計算することにより残量を検知するものが用いられ得る。
【0050】
上述の実施の形態における払い出し装置の払出口に図 に示す様に開閉手段を設け、払出口から払出部へ確実に一本ずつ払い出すことも可能である。
このような払い出し装置においては、払出口6 の外側面、即ち払出口6 の外側に設置されている払出部8 と払出手段としての外輪ローター3 との境界に例えば開閉手段としての扉16を取付け、該扉16を開放・閉鎖することにより払出口6 を開閉可能としている。
【0051】
払出口6 において、外輪ローター3 の回転方向側端部、即ち、図6における左側端部6aには当接型のセンサが設けられており、略円筒状の物品、例えば注射剤がセンサ(図示せず)に当接することにより、注射剤が一本だけ払出手段としての外輪ローターによって払出口6 の前まで運ばれてきたことを検知する。センサで注射剤を感知した後、センサからの信号は扉16を開閉するための開閉駆動手段に送信され、開閉駆動手段により扉16が開放される。
ここで、扉16が開放されたか否かは、扉16に予め取り付けられたセンサにより検知される。
【0052】
センサにより扉16が開放されたことを確認すると、払出部8 へ確かに注射剤が払い出されたか否かを払出検知手段で検知する。払出検知手段としては、例えば赤外線等の発光素子と、該発光素子からの光線を受光する受光素子等からなるセンサが用いられる。
【0053】
払出検知手段において注射剤が払い出されたことを検知すると、前記開閉駆動手段へと信号が送られ、即座に扉16が閉鎖される。
このように、開閉手段としての扉を設け、一本の物品が払い出されたことを検知するとすぐに扉16が閉鎖されることにより、複数本の物品が一度に払い出されることを防止することができる。
【0054】
また、外輪ローターにおいて、上下方向に二本以上の物品が重った状態で払出口から払い出されることをより確実に防止するため、図6に示す様に、外輪ローターの上端縁から物品の径の二本分未満の高さの部分に誘導手段としての仕切り15を設ければ、外輪ローターの上下方向に二本以上の物品が載っていても、上の物品は誘導手段としての仕切板15に引っかかり、外輪ローター3 と仕切板15の間を通り抜けることができない。
従って、仕切板15により外輪ローターの上下方向に物品を一本だけ誘導することができる。
【0055】
上述の実施の形態においては、プーリーの回転により外輪ローターを回転させたが、外輪ローターを載置する受け台の裏面にローラーを設け、ローラーを回転させることにより受け台を回転させ、結果として外輪ローターを回転させる手段を用いてもよい。
【0056】
上記受け台の裏面に設けるローラーを、内輪ローターを回転させる駆動装置、例えばモーターに接続し、傘歯車等で内輪ローターと外輪ローターの両方を一つの駆動装置で駆動可能となるように外輪ローターと内輪ローターを回転させる回転手段を構成すれば、駆動装置を複数必要とせず、従って前記回転手段を小型に形成することができる。
【0057】
上述の実施の形態においては、払出口から払出部へと払い出された略円筒状の物品(注射剤)は貯留部に一端貯留されたが、貯留部は必ずしも必要ではなく、払出部へと払い出された略円筒状の物品(注射剤)を例えばコンベヤ等の搬送手段により直接次工程へと搬送しても良い。このように貯留せずに、直接次工程へと搬送すれば、略円筒状の物品が容易に破損する材質である場合等、貯留させている間に物品同士が接触して破損する危惧が無く、且つ効率よく次工程へと搬送することができる効果が得られる。
【0058】
上述の各実施の形態においては、収容部と払出手段を夫々一つずつ有する払い出し装置を用いたが、収容部と払出手段を二つ以上有する払い出し装置を用いてもよい。
例えば収容部と払出手段を夫々二つずつ有する払い出し装置を用いる場合、その夫々に異なる大きさの物品を投入することができる。そして、装置本体を引き出し式のトレーに載置し、夫々の払い出し装置から払い出される物品、例えば注射剤を別々にコンベヤで搬送し、次工程、例えば注射剤の袋詰め工程へ搬送することにより、大きさの異なる物品を同時に払い出し装置外部へ払い出すことができる。
【0059】
このように、引き出し式のトレーを用いることにより、棚状に複数の収容部と払出手段とのセットを有する払い出し装置を重ねて収納し、その夫々の払出手段から別々に物品を払い出すことにより、一度に大量の物品を区分して払い出すことができる効果が得られる。
【0060】
尚、本発明に係る払い出し装置は、収容部9に収容された略円筒状の物品を払出口6から一つずつ払出すようにした払い出し装置であって、水平方向に対して所定角度αだけ傾けた受け台4上に円筒状の外枠部5が設置され、該外枠部5内で且つ受け台4上に、鉛直方向に対して前記所定角度αと同角度だけ傾斜した軸を回転軸として回転可能な外輪ローター3が設けられ、該外輪ローター3内で鉛直方向を回転軸として回転可能な収容部材1が設けられ、前記外輪ローター3と収容部材1とは異なる速度で相対的に回転可能に構成され、外輪ローター3の内側面3cと収容部材1上部に囲まれた領域が前記収容部9とされ、外輪ローター3の最上部付近に対応した位置の外枠部5に前記払出口6が開口されており、収容部材1の上面は円錐形の傾斜面1dとされて該収容部材1の外端縁1bは、払出口6側で外輪ローター3の内側面3cと略接すべく位置し且つ払出口6と対向する位置で外輪ローター3の内縁3aと略接すべく位置してなり、外輪ローター3の上面はその内縁3a側を該外輪ローター3の径方向内方へ下傾斜させた傾斜面とされ、且つ外縁3b側を外輪ローター3の回転軸に垂直な方向に対して前記所定角度αに比べて大きな一定角度βだけ傾斜させて外輪ローター3の径方向外方へ下傾斜させた傾斜面3dとされていることを特徴とすることもできる。
【0061】
ここで略円筒状の物品とは、少なくとも一部にほぼ円筒の部分を有する物品を意味し、例えば注射剤、試験管等とすることができる。
【0062】
前記略円筒状の物品の払い出し装置は、略円筒状の物品を無整列に収容部9に収容し、払出手段を収容部9の外周で回転させることにより収容部9の略円筒状の物品を払出口6より払い出す。このように、略円筒状の物品を無整列に収容可能であるから、物品を整列する作業工程を省略することができ、従って作業効率よく物品を収容させておくことができる。
【0063】
また、本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置では、外輪ローター3の上面の外縁3b側の傾斜面3dは、物品の直径にあわせて一つの物品のみが載置可能となるようその幅が設定されていることを特徴とすることもできる。
【0064】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置では、前記収容部9へ物品を投入可能な投入部11aが投入量に応じて物品の投入を制御可能に設けられてなることを特徴とすることもできる。
この構成によれば、収容部9に物品を適量投入することができる。従って収容部9に許容量以上に略円筒状の物品を投入することがない。
【0065】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置では、前記収容部9には、物品の外周への移動を補助する撹拌手段が設けられてなることを特徴とすることもできる。
この構成によれば、物品をより容易に外周方向へ移動させ、払い出し手段によって的確に払い出すことができるよう払い出し手段に物品を載置することが可能である。
【0066】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置では、前記収容部9で収容されている略円筒状の物品の残量を検知する残量検知手段が設けられてなることを特徴とすることもできる。
この構成によれば、残量検知手段により残量を検知し、残量が所定量以下であることを作業者に知らせることができる。
【0067】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置では、前記収容部9に前記物品の破損を防止するための破損防止手段が設けられてなることを特徴とすることもできる。
この構成によれば、収容部9に収容されている物品が容易に破損することを防止することができる。
【0068】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置では、前記払出口6から略円筒状の物品が上下方向に複数払い出されることを防止すべく、略円筒状の物品を一つずつ誘導する誘導手段15が設けられてなることを特徴とすることもできる。
この構成によれば、物品を確実に一つずつ払出口6から払い出すべく、物品を誘導することができる。
【0069】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置では、前記誘導手段15により誘導された略円筒状の物品を払出口6から一つずつ払い出すべく開放可能で、且つ略円筒状の物品が一つ払い出されると他の物品が払い出されることを防止すべく閉鎖される開閉手段16が払出口6と外輪ローター3の境界に設けられてなることを特徴とすることもできる。
上記構成によれば、複数の物品が一度に払い出されることを防止し、物品を確実に一つずつ払出口6から払出部8へ払い出すことができる。
【0070】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置では、前記開閉手段16が開放された後、外輪ローター3から略円筒状の物品が払い出されたか否かを検知すべく払出検知手段が払出口6に設けられ、該払出検知手段が略円筒状の物品を検知すると前記開閉手段16が閉鎖されてなることを特徴とすることもできる。
上記構成によれば、物品が払い出されていない場合に開閉手段16が閉鎖されることを防止することができ、物品が一つ払い出されたときのみ開閉手段16が閉鎖されることになる。
【0071】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置では、前記払出口6から払い出された略円筒状の物品を複数個貯留可能で、且つ貯留した物品を一つずつ払い出し可能な貯留部14が設けられてなることを特徴とすることもできる。
上記構成によれば、払出口6から払い出した物品を貯留部に貯留することができ、さらに要求に応じて貯留部から前記貯留された物品を一つずつ次の工程へ払い出すことができる。
【0072】
尚、本発明に係る払い出し方法は、収容部9に収容された略円筒状の物品を払出口6から一つずつ払出す払い出す払い出し方法であって、鉛直方向に対して所定角度αだけ傾斜した軸を回転軸とした外輪ローター3と該外輪ローター3内で鉛直方向を回転軸とした収容部材1とを、円筒状の外枠部5内で異なる速度で相対的に回転させて、外輪ローター3の内側面3cと収容部材1上部とで囲まれた収容部9に投入された物品を、収容部材1の上面である傾斜面1dに沿ってその外端縁1b側へ移動させ、収容部材1の外端縁1bと外輪ローター3の内縁3aとが同じ高さである部分から、物品の直径にあわせて一つの物品のみが載置可能とした外輪ローター3の傾斜した上面へ自重によって載せ、外輪ローター3を回転させてその上面に載っている物品を、外輪ローター3の、外縁側に向けて下傾斜した上面によって、外枠部5に設けた払出口6から自重によって一つずつ排出することを特徴とすることもできる。
【0073】
本発明に係る略円筒状の物品の払い出し方法によれば、作業効率よく物品を収容した後、払い出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置の一実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置の一実施形態を示す断面図。
【図3】本発明に係る略円筒状の物品の払い出し方法の(a)〜(c)は一実施形態を示す平面工程図。
【図4】本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置の外輪ローターの他の実施形態を示す一部省略断面図。
【図5】本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置の他の実施形態を示す斜視図。
【図6】本発明に係る略円筒状の物品の払い出し装置のその他の実施形態を示す斜視図。
【図7】従来の物品の払い出し装置の一例を示す平面図。
【符号の説明】
【0075】
1…収容部材、2…内輪ローター、3…外輪ローター、4…受け台、5…外枠部、6…払出口、7…モータ、8…払出部、9…収容部、14…貯留部、15…仕切板、16…扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に対して所定角度(α)だけ傾いた軸を回転軸として回転可能な外輪ローター(3)と、外輪ローター(3)外に設けられ、払出口(6)が開口された外枠部(5)と、外輪ローター(3)内で鉛直方向を回転軸として回転可能な収容部材(1)とを備え、収容部材(1)の上面に投入された略円筒状の物品を、前記上面に沿って収容部材(1)の外端縁(1b)側に移動させ、該外端縁(1b)から外輪ローターの上面に載置して前記外枠部(5)の払出口から払出すように構成された略円筒状の物品の払い出し装置であって、
外輪ローター(3)の上面は、外輪ローター(3)の回転軸に垂直な方向に対して前記所定角度(α)に比べて大きな一定角度(β)だけ傾斜させて径方向外方へ下傾斜させた傾斜面(3d)を備え、
収容部材(1)の上面は、径方向外方へ下傾斜させた傾斜面(1d)とされ、該傾斜面(1d)は、収容部材(1)の回転軸側から外端縁まで形成されていることを特徴とする略円筒状の物品の払い出し装置。
【請求項2】
前記略円筒状の物品は、その軸長方向が前記収容部材(1)の回転方向に沿うように横たわった姿勢で、前記収容部材(1)の外端縁(1b)から前記外輪ローターの上面に載置されることを特徴とする請求項1記載の略円筒状の物品の払い出し装置。
【請求項3】
前記略円筒状の物品は、薬剤が封入されるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の略円筒状の物品の払い出し装置。
【請求項4】
前記略円筒状の物品は、注射剤であることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の略円筒状の物品の払い出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−23844(P2009−23844A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239081(P2008−239081)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【分割の表示】特願2007−167674(P2007−167674)の分割
【原出願日】平成9年10月7日(1997.10.7)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】