説明

畦塗り機

【課題】耕耘土を畦形成手段側にスムーズに流せる畦塗り機を提供する。
【解決手段】畦塗り機1は、土を耕耘して盛り上げる盛土手段7と、盛土を締め固めて畦を形成する畦形成手段8とを具備する。盛土手段7は、耕耘軸12と、この耕耘軸12に設けられた耕耘爪13および掬い爪14とを備える。掬い爪14は、畦形成手段8側を向くように耕耘軸12の軸方向に対して傾斜角度をもって傾斜した掬い面部15を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘土を畦形成手段側にスムーズに流すことができる畦塗り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば土を耕耘して盛り上げる盛土手段と、盛土手段にて盛り上げられた土を締め固めて畦を形成する畦形成手段とを具備し、盛土手段は所定方向に回転する耕耘軸と耕耘軸に設けられた耕耘爪および掬い爪(土寄せ板)とを備え、その掬い爪は耕耘軸の軸方向に沿った掬い面部を有した畦塗り機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−292602号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の畦塗り機では、掬い爪の掬い面部が耕耘軸の軸方向に沿っているため、耕耘土が畦形成手段側にスムーズに流れないおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、耕耘土を畦形成手段側にスムーズに流すことができる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の畦塗り機は、土を耕耘して盛り上げる盛土手段と、この盛土手段にて盛り上げられた土を締め固めて畦を形成する畦形成手段とを具備し、前記盛土手段は、所定方向に回転する耕耘軸と、この耕耘軸に設けられ、前記耕耘軸とともに回転する耕耘爪と、前記耕耘軸に設けられ、前記耕耘軸とともに回転する掬い爪とを備え、前記掬い爪は、前記畦形成手段側を向くように前記耕耘軸の軸方向に対して傾斜角度をもって傾斜した掬い面部を有するものである。
【0006】
そして、畦形成手段側を向くように耕耘軸の軸方向に対して傾斜角度をもって傾斜した掬い面部を有する掬い爪を備えるため、耕耘土を畦形成手段側にスムーズに流すことが可能である。
【0007】
請求項2記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、掬い爪は、基端側が耕耘軸に取り付けられた爪本体部と、この爪本体部の先端側に取り付けられた略湾曲面状の掬い板部とにて構成され、前記掬い板部の表面部が、掬い面部となっているものである。
【0008】
そして、掬い爪が爪本体部と略湾曲面状の掬い板部とにて構成され、この掬い板部の表面部が掬い面部となっているため、耕耘土を畦形成手段側にスムーズかつ適切に流すことが可能である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、畦形成手段側を向くように耕耘軸の軸方向に対して傾斜角度をもって傾斜した掬い面部を有する掬い爪を備えるため、耕耘土を畦形成手段側にスムーズに流すことができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、掬い爪が爪本体部と略湾曲面状の掬い板部とにて構成され、この掬い板部の表面部が掬い面部となっているため、耕耘土を畦形成手段側にスムーズかつ適切に流すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の畦塗り機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1において、1は畦塗り機で、この畦塗り機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)に連結して使用する牽引式のものである。そして、畦塗り機1は、トラクタの走行により圃場上を畦に沿って進行方向に移動しながら、畦塗り作業(畦修復作業)をするものである。
【0013】
畦塗り機1は、トラクタの3点リンク部に連結された3点連結部2を有する機体3を備えている。
【0014】
機体3の軸受部4には入力軸5が回転可能に設けられ、この入力軸5にはトラクタのPTO軸がユニバーサルジョイントおよび伝動シャフト等を介して接続されている。
【0015】
また、機体3の一側部における進行方向前側には入力軸5側からの動力を受けて所定方向に駆動回転しながら土を耕耘して盛り上げる盛土手段(ロータリ)7が回転可能に設けられ、機体3の一側部における進行方向後側には入力軸5側からの動力を受けて所定方向に駆動回転しながら盛土手段7にて盛り上げられた土を締め固めて畦を形成する畦形成手段(ディスク)8が回転可能に設けられている。なお、盛土手段7の進行方向前方には、旧畦の上面部を前処理する前処理ロータリ9が配設されている。
【0016】
盛土手段7は、機体3の耕耘軸支持部11にて軸方向が前後方向に一致した状態で回転可能に支持され入力軸5側からの動力を受けて所定方向に駆動回転する耕耘軸12を備えている。
【0017】
耕耘軸12には、旧畦および圃場表面部の土を耕耘して盛り上げる複数の耕耘爪13が耕耘軸12とともに回転するように設けられている。また、耕耘軸12の畦形成手段8側の端部には、耕耘爪13による耕耘土を掬い上げながら畦形成手段8側に向けて流動させる異なる方向を向いた複数(例えば2本)の掬い爪14が耕耘軸13とともに回転するように設けられている。
【0018】
ここで、図2ないし図4に示すように、各掬い爪14は、畦形成手段8側(進行方向後方側)を向くように耕耘軸12の軸方向(耕耘軸12の回転中心軸線Xに沿った方向)に対して傾斜角度αをもって傾斜した傾斜状の掬い面部15を有している。
【0019】
すなわち、各掬い爪14は、基端側が耕耘軸12の爪ホルダ部12aに取り付けられた湾曲アーム状の爪本体部17と、この爪本体部17の先端側における回転方向前側縁部にこの縁部に沿って傾斜状に取り付けられた略湾曲面状の掬い板部18とにて構成され、この掬い板部18の表面部が掬い面部15となっている。なお、耕耘軸12の軸方向に対する掬い面部15の傾斜角度αは、例えば5〜30度の範囲内の角度が好ましい。また、掬い板部18は、やや湾曲した金属製或いは合成樹脂製の矩形板にて構成されている。
【0020】
なお、耕耘爪13および掬い爪14における上方部および畦側とは反対側の側方部は、カバー体21にて覆われており、このカバー体21は、前板部22、後板部23、およびこれら前後板部22,23を一体に連結した円弧状板部24を有している。
【0021】
一方、畦形成手段8は、機体3の回転軸支持部(図示せず)にて回転可能に支持された左右方向の回転軸27を有している。回転軸27には、盛土手段7の耕耘爪13にて盛り上げられた土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する略円筒状の上面形成体28と盛土手段7の耕耘爪13にて盛り上げられた土を締め固めて傾斜面状の畦側面を形成する略円錐台状の側面形成体29とがそれぞれ回転軸27とともに回転するように設けられている。側面形成体29は、上面形成体28側に向って縮径した略円錐台状のもので、この側面形成体29の縮径端部に上面形成体28が設けられている。
【0022】
次に、上記畦塗り機1の作用等を説明する。
【0023】
畦塗り機1がトラクタの走行により圃場上を畦に沿って進行方向に移動すると、盛土手段7の耕耘爪13にて旧畦および圃場表面部の土が耕耘されて旧畦上に盛り上げられる。そして、この盛土手段7の耕耘爪13にて盛り上げられた土は、畦形成手段8の上面形成体28および側面形成体29にて締め固められて畦上面および畦側面が形成され、これにより、旧畦が修復され、新たな畦が形成される。
【0024】
このとき、耕耘爪13による耕耘土は、耕耘軸12とともに回転する掬い爪14の傾斜状の掬い面部15にて進行方向後方の畦形成手段8側に向けてスムーズに押し流され、その結果、所望量の耕耘土が畦形成手段8に供給され、この供給された耕耘土が畦形成手段8にて締め固められて崩れにくい強固な新畦が形成される。
【0025】
そして、上記畦塗り機1によれば、畦形成手段8側を向くように耕耘軸12の軸方向に対して傾斜角度α(例えば5〜30度)をもって傾斜した掬い面部15を有する掬い爪14,14を備えるため、耕耘爪13による耕耘土を畦形成手段8側にスムーズに流すことができ、よって、畦形成手段8にて強固な新畦が形成することができる。
【0026】
また、掬い爪14の掬い面部15が耕耘軸12の軸方向に対して傾斜角度α(例えば5〜30度)をもって傾斜しているため、盛土手段7を覆うカバー手段であるカバー体21の円弧状板部24への土付着の軽減を図ることがでできる。
【0027】
なお、上記実施の形態では、爪本体部17の先端側に掬い板部18を傾斜させて取り付けることにより、掬い面部15を耕耘軸12の軸方向に対して傾斜角度αだけ傾斜させた構成について説明したが、例えば図5および図6に示すように、爪本体部17の中間部17a位置で折り曲げることにより掬い面部15を耕耘軸12の軸方向に対して傾斜角度αだけ傾斜させた構成でもよい。
【0028】
また、耕耘軸12に設ける掬い爪14の数は任意であり、1本でも、3本以上でもよい。
【0029】
さらに、畦塗り機1は、圃場の端部でも畦塗り作業ができるようにトラクタの後退走行に基づいて畦塗り作業をするリターン作業可能なものでもよく、またリターン作業できないものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の畦塗り機の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】同上畦塗り機の盛土手段を示す斜視図である。
【図3】同上畦塗り機の掬い爪の側面図である。
【図4】同上畦塗り機の掬い爪の側面図である。
【図5】本発明の畦塗り機の他の実施の形態の掬い爪の側面図である。
【図6】同上畦塗り機の掬い爪の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 畦塗り機
7 盛土手段
8 畦形成手段
12 耕耘軸
13 耕耘爪
14 掬い爪
15 掬い面部
17 爪本体部
18 掬い板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土を耕耘して盛り上げる盛土手段と、
この盛土手段にて盛り上げられた土を締め固めて畦を形成する畦形成手段とを具備し、
前記盛土手段は、
所定方向に回転する耕耘軸と、
この耕耘軸に設けられ、前記耕耘軸とともに回転する耕耘爪と、
前記耕耘軸に設けられ、前記耕耘軸とともに回転する掬い爪とを備え、
前記掬い爪は、前記畦形成手段側を向くように前記耕耘軸の軸方向に対して傾斜角度をもって傾斜した掬い面部を有する
ことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
掬い爪は、基端側が耕耘軸に取り付けられた爪本体部と、この爪本体部の先端側に取り付けられた略湾曲面状の掬い板部とにて構成され、
前記掬い板部の表面部が、掬い面部となっている
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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