説明

畦塗り機

【課題】走行車に乗った作業者が走行車に乗ったまま盛土体の畦形成体に対する高さ状態を容易に確認できる畦塗り機を提供する。
【解決手段】畦塗り機1は、土を盛り上げる盛土体3と、この盛土体3による盛土を締め固めて畦を形成する畦形成体4とを備える。盛土体3は、畦形成体4に対して上下動可能となっている。
畦塗り機1は、走行車に乗った作業者から目視可能で、盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を表示する表示手段51を備える。表示手段51は、操作手段26を操作中の作業者からも目視可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車に乗った作業者が走行車に乗ったまま盛土体の畦形成体に対する高さ状態を容易に確認できる畦塗り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された畦塗り機が知られている。
【0003】
この従来の畦塗り機は、トラクタ等の走行車の後部に連結されて使用されるものであり、土を盛り上げる盛土体と、この盛土体にて盛り上げられた盛土を締め固めて畦を形成する畦形成体とを備え、盛土体が作業姿勢を一定に維持したまま畦形成体に対して上下動可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−118747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の畦塗り機では、走行車に乗った作業者からは、盛土体の畦形成体に対する高さ状態を確認しずらいという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、走行車に乗った作業者が走行車に乗ったまま盛土体の畦形成体に対する高さ状態を容易に確認できる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の畦塗り機は、土を盛り上げる盛土体と、この盛土体にて盛り上げられた盛土を締め固めて畦を形成する畦形成体とを備え、前記盛土体が前記畦形成体に対して上下動可能となっており、走行車に連結されて使用される畦塗り機であって、前記走行車に乗った作業者から目視可能で、前記盛土体の前記畦形成体に対する高さ状態を表示する表示手段を備えるものである。
【0008】
請求項2記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、盛土体を畦形成体に対して上下動させる際に操作される操作手段を備え、表示手段は、前記操作手段を操作中の作業者からも目視可能であるものである。
【0009】
請求項3記載の畦塗り機は、請求項1または2記載の畦塗り機において、表示手段は、基準印を有する被指示部と、この被指示部が間に位置する前後対をなす指示部とを有し、前記被指示部および前記指示部のいずれか一方は、盛土体の畦形成体に対する上下動に連動して上下動し、前記被指示部および前記指示部のいずれか他方は、前記盛土体の前記畦形成体に対する上下動時に定位置に維持され、前記指示部は、前記盛土体が基準位置に位置する状態時には、前記基準印との対向位置に位置し、前記盛土体が基準位置より下方に位置する状態時には、前記対向位置から上下のいずれか一方にずれた位置に位置し、前記盛土体が基準位置より上方に位置する状態時には、前記対向位置から上下のいずれか他方にずれた位置に位置するものである。
【0010】
請求項4記載の畦塗り機は、請求項1または2記載の畦塗り機において、表示手段は、基準印を有し、盛土体の畦形成体に対する上下動に連動して上下動する被指示部と、この被指示部が間に位置し、前記盛土体の前記畦形成体に対する上下動時に定位置に維持される前後対をなす指示部とを有し、前記指示部は、前記盛土体が基準位置に位置する状態時には、前記基準印との対向位置に位置し、前記盛土体が基準位置より下方に位置する状態時には、前記対向位置から上方にずれた上方位置に位置し、前記盛土体が基準位置より上方に位置する状態時には、前記対向位置から下方にずれた下方位置に位置するものである。
【0011】
請求項5記載の畦塗り機は、請求項3または4記載の畦塗り機において、表示手段の被指示部は、大きさが異なる複数の畦形成体に対応できるように複数の基準印を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、走行車に乗った作業者から目視可能で盛土体の畦形成体に対する高さ状態を表示する表示手段を備えるため、走行車に乗った作業者が走行車に乗ったまま盛土体の畦形成体に対する高さ状態を容易に確認できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、表示手段は操作手段を操作中の作業者からも目視可能であるため、走行車に乗った作業者のみならず、操作手段を操作中の作業者も、盛土体の畦形成体に対する高さ状態を容易に確認できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、基準印を有する被指示部とこの被指示部が間に位置する前後対をなす指示部とを有する表示手段によって、盛土体の畦形成体に対する高さ状態を適切に表示できる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、基準印を有し盛土体の畦形成体に対する上下動に連動して上下動する被指示部とこの被指示部が間に位置し盛土体の畦形成体に対する上下動時に定位置に維持される前後対をなす指示部とを有する表示手段によって、盛土体の畦形成体に対する高さ状態を適切に表示できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、表示手段の被指示部は大きさが異なる複数の畦形成体に対応できるように複数の基準印を有するため、大きさが異なる複数の畦形成体に適切に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る畦塗り機の側面図である。
【図2】同上畦塗り機の平面図である。
【図3】同上畦塗り機の畦形成体の後面図である。
【図4】同上畦塗り機の表示手段を示す斜視図である。
【図5】(a)および(b)は盛土体が基準位置に位置する状態時(基準状態時)の図である。
【図6】(a)および(b)は盛土体が基準位置より下方に位置する状態時(下げ状態時)の図である。
【図7】(a)および(b)は盛土体が基準位置より上方に位置する状態時(上げ状態時)の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1および図2において、1は畦塗り機で、この畦塗り機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結されて使用される。
【0020】
畦塗り機1は、図1および図2に示す前進作業状態に設定された状態で、トラクタの前進走行により前方(進行方向)に移動しながら畦塗り作業をする。
【0021】
なお、畦塗り機1は、リターン作業可能なもので、圃場の隅部では、図示しないリターン作業状態に設定された状態で、トラクタの後進走行(バック走行)により後方に移動しながら畦塗り作業をする。
【0022】
畦塗り機1は、図1および図2に示されるように、図示しないトラクタの後部の3点リンクヒッチ部(作業機昇降支持部)に連結された機体2と、機体2に回転可能に設けられ回転しながら田面および畦(元畦)の土を耕耘して畦上に盛り上げるロータリ式の盛土体3と、機体2に回転可能に設けられ盛土体3の後方で回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて新たな畦(新畦)を形成する畦形成体4と、機体2に回転可能に設けられ盛土体3の前方で回転しながら畦上面を削る上面削り体5とを備えている。なお、盛土体3、畦形成体4および上面削り体5にて、畦塗り作業をする作業部6が構成されている。
【0023】
機体2は、トラクタの後部の3点リンクヒッチ部に連結された固定機枠11と、この固定機枠11に連結手段13を介して連結された可動機枠12とを有しており、この可動機枠12に盛土体3、畦形成体4および上面削り体5が設けられている。
【0024】
連結手段13は、例えば伝動ケース14および回動アーム15にて構成されている。伝動ケース14および回動アーム15の各前端部が固定機枠11に回動可能に取り付けられ、伝動ケース14および回動アーム15の各後端部が可動機枠12に回動可能に取り付けられている。そして、電動油圧シリンダ等の駆動手段16の作動で伝動ケース14および回動アーム15が回動し、作業部6が略180度回動して前後が逆となり、畦塗り機1が前進作業状態からリターン作業状態に切り換わる。作業部6は前進作業状態時には右側にオフセットし、リターン作業状態時には左側にオフセットする。
【0025】
固定機枠11は、トラクタ連結部17を有し、このトラクタ連結部17がトラクタの後部の3点リンクヒッチ部に連結されている。固定機枠11は、軸保持部18を有し、この軸保持部18にて入力軸19が回転可能に保持され、この入力軸19がトラクタのPTO軸に動力伝達手段を介して接続されている。
【0026】
可動機枠12は、畦形成体4を支持する畦形成体支持フレーム21を有している。畦形成体支持フレーム21には、盛土体3を支持する盛土体支持フレーム22が平行リンク等の連結手段23を介して上下動可能に連結されている。このため、盛土体3が畦形成体4に対して上下動可能、すなわち例えば盛土体3の作業姿勢が一定に維持されるように上下方向に平行移動可能となっている。つまり、盛土体3の畦形成体4に対する上下動(例えば上下平行移動)により、盛土体3の耕耘深さが調整可能となっている。
【0027】
連結手段23は、例えば互いに平行な4本の回動部材である回動リンク24にて構成されている。各回動リンク24の基端部である後端部が畦形成体支持フレーム21に回動可能に取り付けられ、各回動リンク24の先端部である前端部が盛土体支持フレーム22に回動可能に取り付けられている。
【0028】
また、可動機枠12には、盛土体3を畦形成体4に対して上下動させる際に後方側から作業者によって手で操作される調整操作手段である操作手段26が設けられている。
【0029】
操作手段26は、長手方向である前後方向に伸縮可能な長手状の伸縮体27と、この伸縮体27の後端部に突設され畦塗り機1の後方から回転操作可能な耕深ハンドル等の操作ハンドル(操作部)28とを有している。伸縮体27の後端部近傍が畦形成体支持フレーム21に設けられた伸縮体被取付部29に左右方向の軸31を中心として回動可能に取り付けられ、伸縮体27の前端部が回動リンク24に設けられた伸縮体被取付部30に左右方向の軸32を中心として回動可能に取り付けられている。
【0030】
そして、作業者が畦塗り機1の後方から操作ハンドル28を一方向に回動操作すると、伸縮体27が伸びて回動リンク24が下方回動し、この回動リンク24の下方回動により盛土体支持フレーム22が畦形成体支持フレーム21に対して下動する。その結果、盛土体3が畦形成体4に対して下動し、盛土体3の耕耘深さが増大する。
【0031】
また、作業者が畦塗り機1の後方から操作ハンドル28を他方向に回動操作すると、伸縮体27が縮んで回動リンク24が上方回動し、この回動リンク24の上方回動により盛土体支持フレーム22が畦形成体支持フレーム21に対して上動する。その結果、盛土体3が畦形成体4に対して上動し、盛土体3の耕耘深さが減少する。このように操作ハンドル28の回動操作により、盛土体3の耕耘深さの調整が行われる。
【0032】
さらに、可動機枠12には、方向輪40が設けられている。この方向輪40は可動機枠12に対して上下動可能となっている。
【0033】
盛土体3は、盛土体支持フレーム22の軸支部にて回転可能に支持された水平な前後方向の駆動軸である回転軸33を有している。回転軸33には、複数の耕耘爪である盛土爪34が脱着可能に取り付けられている。なお、盛土体3の盛土爪34は、その盛土爪34からの土を畦側に案内して供給する盛土体支持フレーム22のカバー部35にて覆われている。
【0034】
畦形成体4は、畦形成体支持フレーム21の軸支部にて回転可能に支持された水平な左右方向の駆動軸である回転軸41を有している。回転軸41には、ディスク等の畦形成部材42が脱着可能に取り付けられている。
【0035】
畦形成部材42は、回転軸41と一体となって回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて田面側に向って下り傾斜面状の畦側面を形成する略円錐台状の畦側面形成部(側面ディスク)43と、この畦側面形成部43の縮径側端部に一体に連設され回転軸41と一体となって回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する略円柱状(中空でも中実でもよい)の畦上面形成部(上面ローラ)44とを有している。なお、畦形成体4の畦側面形成部43の上部が、畦形成体支持フレーム21のカバー部45にて覆われている。
【0036】
図3に示すように、畦形成部材42は、例えば「ディスク350」と呼ばれるもので、畦高さAが350mmの畦を形成するものである。なお、畦形成部材42には、図示しないが、図4の畦形成部材42よりも外径寸法が小さく、畦高さAが約300mmの畦を形成する「ディスク300」と呼ばれるものもある。畦形成部材42は回転軸41に対して脱着可能であり、作業者は、外径寸法が異なる複数種、例えば2種類の畦形成部材42の中からいずれか1つの畦形成部材42を選択して回転軸41の先端側に取り付けて使用する。なお、畦側面形成部43と畦上面形成部44とが別体の場合には、畦上面形成部44を共通に使用する。
【0037】
畦塗り機1は、可動機枠12に設けられトラクタに乗った作業者から目視可能でそのトラクタに乗った作業者に対して盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を表示する表示手段51を備えている。表示手段51は、操作手段26の操作ハンドル28を操作中の作業者からも目視可能でその操作中の作業者に対しても盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を表示するものである。つまり、表示手段51は、トラクタに乗った作業者が目視可能な位置でかつ操作手段26の操作ハンドル28を操作中の作業者が目視可能な位置に配置され、畦塗り機1の前後両方から作業者が目視可能となっている。
【0038】
表示手段51は、図4にも示されるように、盛土体3の畦形成体4に対する上下動、つまり盛土体支持フレーム22の畦形成体支持フレーム21に対する上下動に連動して上下動する鉛直板状の被指示部である可動部52を有している。
【0039】
可動部52は、例えば上下方向長手状で略矩形板状の目盛板53にて構成されている。目盛板53は、盛土体支持フレーム22のカバー部35の上板54の後端部に鉛直状に固定的に立設されている。
【0040】
目盛板53は、使用する畦形成部材42の違いによって外径寸法の大きさが異なる複数、例えば2つの畦形成体4に対応できるように、各畦形成体4に応じた複数、例えば2つの互いに高さの異なる基準印55a,55b、つまり上側の基準印55aおよび下側の基準印55bを有している。
【0041】
基準印55aは、「ディスク350」を使用した場合の畦形成体4の基準を示すもので、例えば目盛板53に前後面に貫通して形成された円形状の2つの孔部56にて構成されている。基準印55bは、「ディスク300」を使用した場合の畦形成体4の基準を示すもので、例えば目盛板53に前後面に貫通して形成された円形状の1つの孔部57にて構成されている。
【0042】
目盛板53の前面および後面には、上下方向に等間隔をおいて並ぶ複数の水平線からなる目盛58が付されている。
【0043】
また、表示手段51は、可動部52である目盛板53の前面近傍に配設され盛土体3の畦形成体4に対する上下動時に動かない水平棒状の前側指示部61と、目盛板53の後面近傍に配設され盛土体3の畦形成体4に対する上下動時に動かない水平棒状の後側指示部62とを有している。つまり、表示手段51は、目盛板53が間に位置し盛土体3の畦形成体4に対する上下動時に定位置に維持される前後1対の指示部61,62を有している。
【0044】
これら互いに高さが同じ前側指示部61および後側指示部62は、畦形成体支持フレーム21のカバー部45の前端部から前方に向って突出するアーム部63の先端部に固設されている。つまり、アーム部63の後端部がカバー部45の側板64の前端部に固定的に取り付けられ、このアーム部63の前端部側面から2つの指示部61,62が側方に向って突出し、これら両指示部61,62間に目盛板53が位置する。
【0045】
次に、畦塗り機1の作用等を図面を説明する。
【0046】
前進作業状態の畦塗り機1をトラクタの前進走行により畦に沿って前方へ移動させると、上面削り体5にて畦上面が削られて雑草等が除去され、この上面削り体5の後方では盛土体3にて田面および畦の土が耕耘されて畦上に盛り上げられ、この盛土体3の後方では畦形成体4にて盛土が締め固められて新畦が形成される。
【0047】
なお、圃場の隅部では、畦塗り機1を前進作業状態からリターン作業状態に切り換えた後、リターン作業状態の畦塗り機1をトラクタの後進走行により畦に沿って後方へ移動させることにより畦塗り作業を行う。
【0048】
ここで、例えば図5(a)には、盛土体3が予め決められた基準位置に位置する基準状態が示されている。なお、この図5(a)に示す畦形成体4の畦形成部材42は、「ディスク350」である。
【0049】
このとき、図5(b)に示すように、表示手段51の前側指示部61および後側指示部62は、目盛板53の基準印55aとの対向位置に位置する。なお、畦形成部材42が「ディスク300」であれば、指示部61,62は目盛板53の基準印55bとの対向位置に位置することとなる。
【0050】
このため、畦塗り作業中の場合には、トラクタに乗った作業者は、前進作業状態の畦塗り機1の前方から、前側指示部61および目盛板53の前面をみて、盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を確認し、盛土体3が基準位置に位置すると判断できる。
【0051】
また、操作手段26の操作中の場合には、操作手段26を操作中の作業者は、前進作業状態の畦塗り機1の後方から、後側指示部62および目盛板53の後面をみて、盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を確認し、盛土体3が基準位置に位置すると判断できる。
【0052】
なお、畦塗り機1がリターン作業状態にあるときは、トラクタに乗った作業者は、リターン作業状態の畦塗り機1の前方(トラクタ側)から、後側指示部62および目盛板53の後面をみて盛土体3の高さ状態を確認し、また、操作手段26を操作中の作業者も、リターン作業状態の畦塗り機1の前方(トラクタ側)から、後側指示部62および目盛板53の後面をみて盛土体3の高さ状態を確認する。
【0053】
そして、例えば図5に示す状態で、作業者が操作ハンドル28を一方向に回動操作した場合には、図6(a)に示すように、伸縮体27が伸びて回動リンク24が下方回動し、この回動リンク24の下方回動により盛土体支持フレーム22が畦形成体支持フレーム21に対して下動する。
【0054】
その結果、操作ハンドル28の操作量に応じた量だけ盛土体3が畦形成体4に対して下動し、盛土体3の耕耘深さが図5に示す状態よりも深くなる。
【0055】
このとき、図6(b)に示すように、表示手段51の前側指示部61および後側指示部62は、目盛板53の基準印55aとの対向位置から上方にずれた上方位置に位置する。なお、畦形成部材42が「ディスク300」であれば、指示部61,62は目盛板53の基準印55bとの対向位置の上方位置に位置することとなる。
【0056】
このため、トラクタに乗った作業者や操作手段26を操作中の作業者は、指示部61,62および目盛板53をみて、盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を確認し、盛土体3が基準位置よりも下方の下げ位置に位置すると判断できる。また、作業者は、目盛板53の目盛58をみることにより、基準位置および下げ位置間の距離、つまり盛土体3の基準位置からの下がり量を知ることができる。
【0057】
また一方、例えば図5に示す状態で、作業者が操作ハンドル28を他方向に回動操作した場合には、図7(a)に示すように、伸縮体27が縮んで回動リンク24が上方回動し、この回動リンク24の上方回動により盛土体支持フレーム22が畦形成体支持フレーム21に対して上動する。
【0058】
その結果、操作ハンドル28の操作量に応じた量だけ盛土体3が畦形成体4に対して上動し、盛土体3の耕耘深さが図5に示す状態よりも浅くなる。
【0059】
このとき、図7(b)に示すように、表示手段51の前側指示部61および後側指示部62は、目盛板53の基準印55aとの対向位置から下方にずれた下方位置に位置する。なお、畦形成部材42が「ディスク300」であれば、指示部61,62は目盛板53の基準印55bとの対向位置の下方位置に位置することとなる。
【0060】
このため、トラクタに乗った作業者や操作手段26を操作中の作業者は、指示部61,62および目盛板53をみて、盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を確認し、盛土体3が基準位置よりも上方の上げ位置に位置すると判断できる。また、作業者は、目盛板53の目盛58をみることにより、基準位置および上げ位置間の距離、つまり盛土体3の基準位置からの上がり量を知ることができる。
【0061】
そして、このような畦塗り機1によれば、トラクタに乗った作業者から目視可能でそのトラクタに乗った作業者に対して盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を表示する表示手段51を備えるため、畦塗り作業中に、畦塗り機1が前進作業状態にあるかリターン作業状態にあるかに拘らず、トラクタに乗った作業者がトラクタに乗ったまま盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を容易に確認できる。よって、例えばトラクタに乗った作業者は、畦塗り作業中に、トラクタに乗ったまま盛土体3の高さ状態の確認によって盛土体3から畦形成体4側に供給される土量の確認ができ、その土量が不適正な場合には盛土体3の高さ状態を修正することで土量調整ができ、適切な畦塗り作業ができる。
【0062】
また、表示手段51は操作手段26を操作中の作業者からも目視可能でその操作中の作業者に対して盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を表示するため、トラクタに乗った作業者のみならず、操作手段26を操作中の作業者も、盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を容易に確認できる。
【0063】
さらに、可動部52、前側指示部61および後側指示部62を有する簡単な構成の表示手段51によって、盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を適切に表示でき、盛土体3の高さ状態を作業者に分からせることができる。
【0064】
また、表示手段51の可動部52である目盛板53は、外径寸法の大きさが異なる複数の畦形成体4に対応できるように複数の基準印55a,55bを有するため、外径寸法の大きさが異なる複数の畦形成体4に適切に対応できる。
【0065】
なお、畦塗り機1は、リターン作業可能なものには限定されず、リターン作業できないものであってもよい。
【0066】
また、盛土体3が畦形成体4に対して上下平行移動により上下動可能となっている構成には限定されず、例えば盛土体3が畦形成体4に対して左右方向の軸を中心とする上下回動により上下動可能となっている構成等でもよい。
【0067】
また、例えば傾斜角度を検知する傾斜センサーやポテンショメーター等の検知手段が回動リンク24等に設けられ、その検知手段からの信号に基づいて表示手段の液晶表示部が盛土体3の畦形成体4に対する高さ状態を表示するようにしてもよい。
【0068】
さらに、被指示部(可動部52)が盛土体3の畦形成体4に対する上下動に連動して上下動しかつ指示部61,62が盛土体3の畦形成体4に対する上下動時に定位置に維持される構成には限定されず、例えば図示しないが、指示部が盛土体3の畦形成体4に対する上下動に連動して上下動し、かつ被指示部が盛土体3の畦形成体4に対する上下動時に定位置に維持される構成でもよい。例えば目盛板53が畦形成体支持フレーム21側に設けられ、両指示部61,62が上下動する盛土体支持フレーム22側に設けられた構成等である。
【0069】
また、操作手段26は、操作ハンドル28の操作で伸縮する伸縮体27を有するものには限定されず、例えば操作ボタンの操作で伸縮する電動油圧シリンダ等からなる伸縮体を有するもの等でもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 畦塗り機
3 盛土体
4 畦形成体
26 操作手段
51 表示手段
52 被指示部である可動部
55a,55b 基準印
61 指示部である前側指示部
62 指示部である後側指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土を盛り上げる盛土体と、
この盛土体にて盛り上げられた盛土を締め固めて畦を形成する畦形成体とを備え、
前記盛土体が前記畦形成体に対して上下動可能となっており、走行車に連結されて使用される畦塗り機であって、
前記走行車に乗った作業者から目視可能で、前記盛土体の前記畦形成体に対する高さ状態を表示する表示手段を備える
ことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
盛土体を畦形成体に対して上下動させる際に操作される操作手段を備え、
表示手段は、前記操作手段を操作中の作業者からも目視可能である
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【請求項3】
表示手段は、
基準印を有する被指示部と、
この被指示部が間に位置する前後対をなす指示部とを有し、
前記被指示部および前記指示部のいずれか一方は、盛土体の畦形成体に対する上下動に連動して上下動し、
前記被指示部および前記指示部のいずれか他方は、前記盛土体の前記畦形成体に対する上下動時に定位置に維持され、
前記指示部は、
前記盛土体が基準位置に位置する状態時には、前記基準印との対向位置に位置し、
前記盛土体が基準位置より下方に位置する状態時には、前記対向位置から上下のいずれか一方にずれた位置に位置し、
前記盛土体が基準位置より上方に位置する状態時には、前記対向位置から上下のいずれか他方にずれた位置に位置する
ことを特徴とする請求項1または2記載の畦塗り機。
【請求項4】
表示手段は、
基準印を有し、盛土体の畦形成体に対する上下動に連動して上下動する被指示部と、
この被指示部が間に位置し、前記盛土体の前記畦形成体に対する上下動時に定位置に維持される前後対をなす指示部とを有し、
前記指示部は、
前記盛土体が基準位置に位置する状態時には、前記基準印との対向位置に位置し、
前記盛土体が基準位置より下方に位置する状態時には、前記対向位置から上方にずれた上方位置に位置し、
前記盛土体が基準位置より上方に位置する状態時には、前記対向位置から下方にずれた下方位置に位置する
ことを特徴とする請求項1または2記載の畦塗り機。
【請求項5】
表示手段の被指示部は、大きさが異なる複数の畦形成体に対応できるように複数の基準印を有する
ことを特徴とする請求項3または4記載の畦塗り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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