説明

畦塗り機

【課題】作業機本体の非作業状態時に散布手段が無駄に液体の散布をし続けることを防止できる畦塗り機を提供する。
【解決手段】畦塗り機1は、下方回動により作業状態になり上方回動により非作業状態になる作業機本体10を備える。作業機本体10は、盛土体12および畦形成体13を有する。畦塗り機1は、畦形成体13に向けて液体を散布する散布手段51を備える。散布手段51は、作業機本体10が非作業状態になった際に、畦形成体13に向けての液体の散布を自動停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機本体の非作業状態時に散布手段が無駄に液体の散布をし続けることを防止できる畦塗り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された畦塗り機が知られている。
【0003】
この従来の畦塗り機は、走行車であるトラクタの3点リンクヒッチ部(3点リンク連結機構)に連結され盛土部および畦形成部を有し下方回動により作業状態になり上方回動により非作業状態になる作業機本体と、畦形成部に向けて液体を散布する散布手段と、散布手段を遠隔操作可能な遠隔操作手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−43211号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の畦塗り機では、トラクタの3点リンクヒッチ部の作動により作業機本体が上方回動して非作業状態になったとしても、作業者が遠隔操作手段をオフ操作しなければ、散布手段は畦形成部に向けて液体を散布し続けるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業機本体の非作業状態時に散布手段が無駄に液体の散布をし続けることを防止できる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の畦塗り機は、畦形成部を有し、下方回動により作業状態になり、上方回動により非作業状態になる作業機本体と、前記畦形成部に向けて液体を散布する散布手段とを備え、前記散布手段は、前記作業機本体が非作業状態になった際に、前記畦形成部に向けての液体の散布を自動停止するものである。
【0008】
請求項2記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、散布手段は、液体を貯留するタンクと、前記タンク内の液体を吸い込んで高圧にして吐出するポンプと、このポンプを作動させるモータと、作業機本体が非作業状態になったと判断した場合に、前記モータを制御して前記ポンプを停止させる制御手段とを有するものである。
【0009】
請求項3記載の畦塗り機は、請求項2記載の畦塗り機において、作業機本体は、走行車に連結されるものであり、散布手段は、前記走行車から前記作業機本体に亘って位置するように設けられ、前記作業機本体が非作業状態になった際に撓み状態になる可撓性部材と、この可撓性部材が撓み状態になった際に、制御手段にポンプ停止信号を出力するスイッチ手段とを有するものである。
【0010】
請求項4記載の畦塗り機は、請求項2記載の畦塗り機において、散布手段は、作業機本体の回動時にこの作業機本体に対して相対的に回動する振子部材と、前記作業機本体が非作業状態になった際に、前記振子部材の回動に基づいて制御手段にポンプ停止信号を出力するスイッチ手段とを有するものである。
【0011】
請求項5記載の畦塗り機は、請求項2記載の畦塗り機において、散布手段は、作業機本体の傾斜角度を検知する検知手段を有し、制御手段が、前記検知手段にて検知された傾斜角度に応じてモータを制御してポンプを停止させるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、散布手段は作業機本体が非作業状態になった際に畦形成部に向けての液体の散布を自動停止するため、作業機本体の非作業状態時に散布手段が無駄に液体の散布をし続けることを防止できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、制御手段は作業機本体が非作業状態になったと判断した場合にモータを制御してポンプを停止させるため、作業機本体の非作業状態時に散布手段が無駄に液体の散布をし続けることを適切に防止できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、スイッチ手段は可撓性部材が撓み状態になった際に制御手段にポンプ停止信号を出力するため、作業機本体の非作業状態時に散布手段が無駄に液体の散布をし続けることをより一層適切に防止できる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、スイッチ手段は作業機本体が非作業状態になった際に振子部材の回動に基づいて制御手段にポンプ停止信号を出力するため、作業機本体の非作業状態時に散布手段が無駄に液体の散布をし続けることをより一層適切に防止できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、制御手段が検知手段にて検知された傾斜角度に応じてモータを制御してポンプを停止させるため、作業機本体の非作業状態時に散布手段が無駄に液体の散布をし続けることをより一層適切に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る畦塗り機の平面図である。
【図2】同上畦塗り機の作業状態時の側面図である。
【図3】同上畦塗り機の非作業状態時の側面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る畦塗り機の作業状態時の側面図である。
【図5】同上畦塗り機の非作業状態時の側面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態に係る畦塗り機の作業状態時の側面図である。
【図7】同上畦塗り機の非作業状態時の側面図である。
【図8】同上畦塗り機の検知手段の取付位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1ないし図3において、1は畦塗り機で、この畦塗り機1は、走行車であるトラクタ2の後部に連結され、トラクタ2の前進走行により圃場の畦に沿って前方(進行方向)に移動しながら畦塗り作業をする。
【0020】
トラクタ2は、前輪(図示せず)および後輪3を有するトラクタ本体4と、このトラクタ本体4の後端部に上下回動可能に設けられ油圧機構(図示せず)によって作動して上下回動する3点リンクヒッチ部(作業機昇降支持装置)5とを備えている。3点リンクヒッチ部5は、伸縮可能な1本のトップリンク6および左右1対で2本のロワリンク7を有している。
【0021】
畦塗り機1は、トラクタ2の後部の3点リンクヒッチ部5にクイックカプラ8を介して連結され作業状態時に畦塗り作業をする作業機本体10を備えている。
【0022】
作業機本体10は、トラクタ2のトラクタ本体4に対して上下方向に回動可能となっている。つまり、作業機本体10は、3点リンクヒッチ部5の作動に基づく下方回動により図2に示す略水平状の作業状態になり、3点リンクヒッチ部5の作動(作業機持上げ動作)に基づく上方回動により図3に示す前後水平方向に対する前下りの傾斜状の非作業状態になる。
【0023】
なお、図3に示す作業機本体10の非作業状態時における作業機本体10の前後水平方向に対する最小の傾斜角度αは、例えば略10度である。つまり、作業機本体10は、その傾斜角度αが略10度以上となった場合に非作業状態となる。なお、この傾斜角度αは、トラクタ2と畦塗り機1とのマッチング状態に応じて設定されるもので、トラクタ2の種類等によっては10度を越える傾斜角度でもよく、例えば15度或いは20度でもよい。
【0024】
作業機本体10は、トラクタ2の3点リンクヒッチ部5にクイックカプラ8を介して連結された本体部である機体11と、この機体11に回転可能に設けられ回転しながら田面および畦(元畦)の土を耕耘して畦上に盛り上げるロータリ式の盛土部である盛土体12と、機体11に回転可能に設けられ盛土体12の後方で回転しながら盛土体12による盛土を締め固めて新たな畦(新畦)を形成する畦形成部である畦形成体13と、機体11に回転可能に設けられ盛土体12の前方で回転しながら畦上面を削る上面削り部である上面削り体14とを有している。
【0025】
機体11は、トラクタ2の3点リンクヒッチ部5にクイックカプラ8を介して連結された固定機枠16を有し、この固定機枠16には、盛土体12、畦形成体13および上面削り体14を支持する可動機枠17が連結手段18を介して連結されている。
【0026】
固定機枠16は、トップマスト19およびロワアーム20等にて構成されたトラクタ連結部21を有し、このトラクタ連結部21が3点リンクヒッチ部5にクイックカプラ8を介して連結されている。固定機枠16は、軸保持部22を有し、この軸保持部22にて入力軸23が回転可能に保持され、この入力軸23がトラクタ2のPTO軸30に動力伝達手段(図示せず)を介して接続されている。
【0027】
可動機枠17は、軸保持部24を有し、この軸保持部24にて中間入力軸25が回転可能に保持され、この中間入力軸25が入力軸23に動力伝達手段(図示せず)を介して接続されている。なお、可動機枠17には、方向輪26が設けられている。この方向輪26は可動機枠17に対して上下動可能となっている。
【0028】
盛土体12は、可動機枠17の軸支部にて回転可能に支持され中間入力軸25側からの動力で駆動回転する水平な前後方向の駆動軸である回転軸31を有している。回転軸31には、複数の耕耘爪である盛土爪32が脱着可能に取り付けられている。なお、盛土体12の盛土爪32は、その盛土爪32からの土を畦側に案内して供給する可動機枠17のカバー部33にて覆われている。
【0029】
畦形成体13は、可動機枠17の軸支部にて回転可能に支持され中間入力軸25側からの動力で駆動回転する水平な左右方向の駆動軸である回転軸36を有し、この回転軸36にはディスク等の畦形成部材37が取り付けられている。
【0030】
畦形成部材37は、回転軸36と一体となって回転しながら盛土体12による盛土を締め固めて田面側に向って下り傾斜面状の畦側面を形成する略円錐台状の畦側面形成部(側面ディスク)38と、この畦側面形成部38の縮径側端部に一体に連設され回転軸36と一体となって回転しながら盛土体12による盛土を締め固めて水平面状の畦上面を形成する略円柱状(中空でも中実でもよい)の畦上面形成部(上面ローラ)39とを有している。なお、畦形成体13の畦側面形成部38の上部が、可動機枠17のカバー部40にて覆われている。
【0031】
また、畦塗り機1は、作業機本体10の畦形成体13に向けて液体を散布する散水装置等の散布手段51を備えている。なお、散布手段51にて散布される液体は、例えば水であり、また例えば除草剤等を含むものでもよい。
【0032】
散布手段51は、例えば次に処理する畦への移動等のために畦塗り作業を一時的に中断した場合において、作業機本体10が3点リンクヒッチ部5の作動に基づく上方回動により作業状態から非作業状態になった際に、畦形成体13に向けての液体の散布を自動停止するものである。
【0033】
ここで、散布手段51は、水等の液体を貯留する貯留容器であるタンク52と、このタンク52内の液体を吸い込んで高圧にして吐出するポンプ53と、このポンプ53に連結されこのポンプ53を作動させるモータである電動モータ54と、この電動モータ54に電気的に接続され作業機本体10が非作業状態になったと判断した場合に電動モータ54を制御してポンプ53を自動停止させる制御手段55とを有している。
【0034】
また、散布手段51は、トラクタ2から作業機本体10に亘って位置するように設けられ作業機本体10の作業状態時には非撓み状態(直線状態)になっているが作業機本体10が非作業状態になった際に撓み状態(湾曲状態)になる長手状の可撓性部材56と、この可撓性部材56が撓み状態になった際に制御手段55にポンプ停止信号を出力するスイッチ手段57とを有している。
【0035】
タンク52は、例えば作業機本体10の固定機枠16に取付フレーム61を介して取り付けられている。この水タンク等のタンク52は、上面部に液体供給口部を有し、この液体供給口部に蓋62が脱着可能に取り付けられている。
【0036】
ポンプ53は、例えばタンク52の下面部或いは側面下部等に取り付けられ、ポンプ53の吸込み側がタンク52内に連通され、ポンプ53の吐出側には高圧の液体が流れる可撓性ホース等の配管63の上流側端部が接続されている。
【0037】
配管63の下流側端部は、作業機本体10の畦形成体13の前方位置に配設され、この配管63の下流側端部には、少なくとも畦形成体13の外周面に向けて液体を散布口から噴射散布する複数の散布ノズル64が取り付けられている。
【0038】
なお、制御手段55は例えば作業機本体10の固定機枠16に取り付けられ、この制御手段55および電動モータ54にはバッテリ手段(図示せず)から電力が供給される。
【0039】
可撓性部材56は、例えば可撓性を有するワイヤ或いはチェーン等にて構成されている。可撓性部材56の長手方向一端部は、例えばトラクタ2のトラクタ本体4の後端部に取り付けられている。可撓性部材56の長手方向他端部は、例えばスイッチ手段57に取り付けられている。また、可撓性部材56は、長さ調整可能となっている。
【0040】
スイッチ手段57は、例えばリミットスイッチ等にて構成されている。スイッチ手段57は、作業機本体10の固定機枠16の立上りフレーム部であるマスト部60に固定的に取り付けられたケース部57aと、このケース部57a内に配設され内蔵マイクロスイッチにて構成され可撓性部材56の状態に応じてオンオフするスイッチ部(図示せず)とを有している。
【0041】
このスイッチ部は、可撓性部材56が撓み状態になった際にオフしてポンプ停止信号を出力するが、このスイッチ部のオフのタイミングは可撓性部材56の長さ調整により調整可能である。そして、このスイッチ部のオフのタイミングの調整により、液体の散布を自動停止する際の作業機本体10の傾斜角度αが変更可能となっている。
【0042】
次に、畦塗り機1の作用等を図面を参照して説明する。
【0043】
作業機本体10が図2に示す作業状態に設定された状態で、畦塗り機1全体をトラクタ2の走行により圃場の畦に沿って進行方向へ移動させると、作業機本体10の上面削り体14にて畦上面が削られて雑草等が除去され、この上面削り体14の後方では作業機本体10の盛土体12にて田面および畦の土が耕耘されて畦上に盛り上げられ、この盛土体12の後方では作業機本体10の畦形成体13にて盛土が締め固められて新畦が形成される。
【0044】
この際、例えばトラクタ2に乗った作業者が散布開始用の操作ボタン等の操作部を操作すると、散布手段51の電動モータ54への通電によりポンプ53がその電動モータ54によって作動し、タンク52内からの水等の液体が配管63を流れて散布ノズル64の散布口から畦形成体13の外周面に向けて噴射散布されて供給される。
【0045】
ここで、作業機本体10による畦塗り作業が一時的に中断され、作業機本体10がトラクタ2の3点リンクヒッチ部5の作動に基づく上方回動により図2に示す作業状態から図3に示す非作業状態(例えば傾斜角度αが略10度の状態)になった際には、散布手段51は、作業者による操作を何ら必要とせず、すなわち例えば作業者が散布停止用の操作ボタン等の操作部を操作しなくても、畦形成体13の外周面に向けての液体の散布を自動停止する。
【0046】
つまり、作業機本体10が図3に示す傾斜状の非作業状態(予め設定された最小の傾斜角度α以上の傾斜角度をもつ傾斜状の非作業状態)になると、トラクタ本体4と作業機本体10との離間距離が減少し、この離間距離の減少により可撓性部材56が直線状の非撓み状態から下に向って凸の湾曲状の撓み状態になる。
【0047】
可撓性部材56が撓み状態になると、スイッチ手段57のスイッチ部がオフして制御手段55にポンプ停止信号を出力する。
【0048】
そして、制御手段55は、可撓性部材56の撓みに基づくスイッチ手段57のスイッチ部からのポンプ停止信号の入力により作業機本体10が非作業状態になったと判断し、電動モータ54への通電阻止により電動モータ54を制御して作動中のポンプ53を自動停止させる。その結果、散布手段51の散布ノズル64からの液体の噴射散布が自動的に中断される。
【0049】
なお、作業機本体10による畦塗り作業の再開のために、作業機本体10が作業状態に戻されると、可撓性部材56が非撓み状態に復帰し、スイッチ手段57のスイッチ部がオンして制御手段55にポンプ作動信号を出力する。そして、制御手段55は、スイッチ手段57のスイッチ部からのポンプ作動信号の入力により作業機本体10が作業状態になったと判断し、電動モータ54への通電により電動モータ54を制御してポンプ53を作動させる。その結果、散布手段51の散布ノズル64からの液体の噴射散布が自動的に再開される。
【0050】
そして、このような畦塗り機1によれば、散布手段51は作業機本体10が非作業状態になった際に畦形成体13に向けての液体の散布を自動停止するため、作業機本体10の非作業状態時に散布手段51が畦形成体13に向けて無駄に液体の散布をし続けることを適切に防止できる。よって例えばトラクタ2の3点リンクヒッチ部5によって作業機本体10のポジションを非作業状態になるまで上げただけで、散水が自動停止するため、容易に節水が可能となり、畦塗り作業中におけるタンク52への注水回数を減らすことができる。
【0051】
また、散布手段51のスイッチ手段57は可撓性部材56が撓み状態になった際に制御手段55にポンプ停止信号を出力するため、作業機本体10の非作業状態時に散布手段51が畦形成体13に向けて無駄に液体の散布をし続けることをより一層適切に防止できる。
【0052】
なお、畦塗り機1の散布手段51は、可撓性部材56およびスイッチ手段57を有するものには限定されず、例えば図4および図5に示すものでもよい。
【0053】
この図4および図5に示す散布手段51は、トラクタ2の3点リンクヒッチ部5の作動に基づく作業機本体10の上下回動時にこの作業機本体10に対して左右方向の軸71を中心として相対的に上下回動する重錘振子等の振子部材72と、作業機本体10が非作業状態になった際に振子部材72の作業機本体10に対する回動に基づいて制御手段55にポンプ停止信号を出力するスイッチ手段73とを有している。
【0054】
振子部材72は、例えば常に上下方向に沿って位置する上下方向長手状の棒材等にて構成されている。振子部材72の上端部は、例えばスイッチ手段73に左右方向の軸71を介して取り付けられている。振子部材72の上端部以外の部分がスイッチ手段73から下方に向って突出し、振子部材72の下端部が自由端部となっている。
【0055】
スイッチ手段73は、例えばリミットスイッチ或いは角度センサ等にて構成されている。スイッチ手段73は、作業機本体10の固定機枠16の側面部に固定的に取り付けられたケース部73aと、このケース部73a内に配設され内蔵マイクロスイッチにて構成され振子部材72の作業機本体10に対する回動に応じてオンオフするスイッチ部(図示せず)とを有している。
【0056】
このスイッチ部は、作業機本体10が非作業状態になった際に振子部材72がスイッチ部から離れることによりオフしてポンプ停止信号を出力するが、このスイッチ部のオフのタイミングは振子部材72やスイッチ部の取付位置の調整により調整可能である。そして、このスイッチ部のオフのタイミングの調整により、液体の散布を自動停止する際の作業機本体10の傾斜角度αが変更可能となっている。
【0057】
なお、図4および図5に示す畦塗り機1のその他の構成は、前記図1等に示す畦塗り機1と基本的に同一である。
【0058】
そして、図4および図5に示す畦塗り機1の場合には、作業機本体10による畦塗り作業が一時的に中断され、作業機本体10がトラクタ2の3点リンクヒッチ部5の作動に基づく上方回動により図4に示す作業状態から図5に示す非作業状態(例えば傾斜角度αが略10度の状態)になった際には、散布手段51は、作業者による操作を何ら必要とせず、すなわち例えば作業者が散布停止用の操作ボタン等の操作部を操作しなくても、畦形成体13の外周面に向けての液体の散布を自動停止する。
【0059】
つまり、作業機本体10が図5に示す傾斜状の非作業状態になると、振子部材72が作業機本体10に対して相対的に下方回動し、この振子部材72の下方回動によりこの振子部材72がスイッチ部から離れ、その結果、スイッチ手段73のスイッチ部がオフして制御手段55にポンプ停止信号を出力する。
【0060】
そして、制御手段55は、振子部材72の下方回動に基づくスイッチ手段73のスイッチ部からのポンプ停止信号の入力により作業機本体10が非作業状態になったと判断し、電動モータ54への通電阻止により電動モータ54を制御して作動中のポンプ53を自動停止させる。その結果、散布手段51の散布ノズル64からの液体の噴射散布が自動的に中断される。
【0061】
なお、作業機本体10による畦塗り作業の再開のために、作業機本体10が作業状態に戻されると、振子部材72が作業機本体10に対して相対的に上方回動し、この振子部材72の上方回動によりこの振子部材72がスイッチ部を当接し、その結果、スイッチ手段73のスイッチ部がオンして制御手段55にポンプ作動信号を出力する。そして、制御手段55は、スイッチ手段73のスイッチ部からのポンプ作動信号の入力により作業機本体10が作業状態になったと判断し、電動モータ54への通電により電動モータ54を制御してポンプ53を作動させる。その結果、散布手段51の散布ノズル64からの液体の噴射散布が自動的に再開される。
【0062】
そして、このような図4および図5に示す畦塗り機1でも、前記図1等に示す畦塗り機1と同様、散布手段51は作業機本体10が非作業状態になった際に畦形成体13に向けての液体の散布を自動停止するため、作業機本体10の非作業状態時に散布手段51が畦形成体13に向けて無駄に液体の散布をし続けることを適切に防止できる。
【0063】
また、散布手段51のスイッチ手段73は作業機本体10が非作業状態になった際に振子部材72の作業機本体10に対する相対的な回動に基づいて制御手段55にポンプ停止信号を出力するため、作業機本体10の非作業状態時に散布手段51が畦形成体13に向けて無駄に液体の散布をし続けることをより一層適切に防止できる。
【0064】
また、畦塗り機1の散布手段51は、例えば図6および図7に示すものでもよい。
【0065】
この図6および図7に示す散布手段51は、作業機本体10の前後水平方向に対する傾斜角度αを検知する検知手段81を有し、この検知手段81に電気的に接続された制御手段55がその検知手段81にて検知された傾斜角度αに応じて電動モータ54を制御してポンプ53を自動停止させるものである。
【0066】
検知手段81は、例えば傾斜センサ或いはポテンショメータ等にて構成されたもので、作業機本体10の固定機枠16の側面部に固定的に取り付けられている。なお、図6および図7に示す畦塗り機1のその他の構成は、前記図1等に示す畦塗り機1と基本的に同一である。
【0067】
そして、図6および図7に示す畦塗り機1の場合には、作業機本体10による畦塗り作業が一時的に中断され、作業機本体10がトラクタ2の3点リンクヒッチ部5の作動に基づく上方回動により図6に示す作業状態から図7に示す非作業状態(例えば傾斜角度αが略10度の状態)になった際には、散布手段51は、作業者による操作を何ら必要とせず、すなわち例えば作業者が散布停止用の操作ボタン等の操作部を操作しなくても、畦形成体13の外周面に向けての液体の散布を自動停止する。
【0068】
つまり、作業機本体10が図7に示す傾斜状の非作業状態になると、制御手段55は、検知手段81にて検知された傾斜角度αが予め設定された設定傾斜角度、すなわち例えば略10度になったと判定することにより作業機本体10が非作業状態になったと判断し、電動モータ54への通電阻止により電動モータ54を制御して作動中のポンプ53を自動停止させる。その結果、散布手段51の散布ノズル64からの液体の噴射散布が自動的に中断される。この設定傾斜角度は、例えば制御手段55に設けられた傾斜角度変更用の操作ダイヤル等の操作部の操作により変更可能となっている。
【0069】
なお、作業機本体10による畦塗り作業の再開のために、作業機本体10が作業状態に戻されると、制御手段55は、検知手段81にて検知された傾斜角度αが設定傾斜角度未満であると判定することにより作業機本体10が作業状態になったと判断し、電動モータ54を制御してポンプ53を作動させる。その結果、散布手段51の散布ノズル64からの液体の噴射散布が自動的に再開される。
【0070】
そして、このような図6および図7に示す畦塗り機1であっても、前記図1等に示す畦塗り機1と同様、散布手段51は作業機本体10が非作業状態になった際に畦形成体13に向けての液体の散布を自動停止するため、作業機本体10の非作業状態時に散布手段51が畦形成体13に向けて無駄に液体の散布をし続けることを適切に防止できる。
【0071】
また、制御手段55が検知手段81にて検知された傾斜角度αに応じて電動モータ54を制御してポンプ53を自動停止させるため、作業機本体10の非作業状態時に散布手段51が畦形成体13に向けて無駄に液体の散布をし続けることをより一層適切に防止できる。
【0072】
なお、検知手段81の取付位置は、作業機本体10の上下回動に支障がない位置であれば任意であり、例えば図8に示すように、作業機本体10の固定機枠16のマスト部60に検知手段81を取り付けた構成でもよく、また、タンク52を支持する取付フレーム61に検知手段81を取り付けた構成等でもよい。
【0073】
また同様に、スイッチ手段73の取付位置も作業機本体10の上下回動に支障がない位置であれば任意である。なお、スイッチ手段57の取付位置は、可撓性部材56による制限を受けることとなる。
【0074】
さらに、畦塗り機1は、リターン作業可能なものには限定されず、リターン作業できないものであってもよい。
【0075】
また、散布手段51は、例えばポンプ53および電動モータ54を有さず、配管63の上流側端部がタンク52に接続され、この配管63の途中に液体の流路を開閉する弁体が設けられ、この弁体が作業機本体10が非作業状態になった際に閉状態になるもの等でもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 畦塗り機
2 走行車であるトラクタ
10 作業機本体
13 畦形成部である畦形成体
51 散布手段
52 タンク
53 ポンプ
54 モータである電動モータ
55 制御手段
56 可撓性部材
57 スイッチ手段
72 振子部材
73 スイッチ手段
81 検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畦形成部を有し、下方回動により作業状態になり、上方回動により非作業状態になる作業機本体と、
前記畦形成部に向けて液体を散布する散布手段とを備え、
前記散布手段は、前記作業機本体が非作業状態になった際に、前記畦形成部に向けての液体の散布を自動停止する
ことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
散布手段は、
液体を貯留するタンクと、
前記タンク内の液体を吸い込んで高圧にして吐出するポンプと、
このポンプを作動させるモータと、
作業機本体が非作業状態になったと判断した場合に、前記モータを制御して前記ポンプを停止させる制御手段とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【請求項3】
作業機本体は、走行車に連結されるものであり、
散布手段は、
前記走行車から前記作業機本体に亘って位置するように設けられ、前記作業機本体が非作業状態になった際に撓み状態になる可撓性部材と、
この可撓性部材が撓み状態になった際に、制御手段にポンプ停止信号を出力するスイッチ手段とを有する
ことを特徴とする請求項2記載の畦塗り機。
【請求項4】
散布手段は、
作業機本体の回動時にこの作業機本体に対して相対的に回動する振子部材と、
前記作業機本体が非作業状態になった際に、前記振子部材の回動に基づいて制御手段にポンプ停止信号を出力するスイッチ手段とを有する
ことを特徴とする請求項2記載の畦塗り機。
【請求項5】
散布手段は、作業機本体の傾斜角度を検知する検知手段を有し、
制御手段が、前記検知手段にて検知された傾斜角度に応じてモータを制御してポンプを停止させる
ことを特徴とする請求項2記載の畦塗り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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