説明

畦塗り機

【課題】畦上面形成板の交換作業が容易な畦塗り機を提供する。
【解決手段】畦塗り機1は、盛土体3と、畦側面形成体16と、畦上面形成体17とを備える。畦上面形成体17は、ベース部材31と、このベース部材31とともに回転しながら畦上面を形成する複数の畦上面形成板32とを有する。畦上面形成体17は、ベース部材31との間で畦上面形成板32の一部を挟持する複数の挟持部材33と、畦上面形成板32および挟持部材33の畦側面形成体側とは反対側への移動を規制する単一のストッパー板35とを有する。ストッパー板35をベース部材31から取り外すと、畦上面形成板32および挟持部材33がベース部材31から取り外し可能な状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦上面形成板の交換作業が容易な畦塗り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された畦塗り機が知られている。
【0003】
この従来の畦塗り機は、土を盛り上げる盛土体と、この盛土体による盛土を締め固めて畦側面を形成する畦側面形成体と、盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する畦上面形成体とを備えている。
【0004】
また、畦上面形成体は、ベース部材と、このベース部材とともに回転しながら盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する複数の畦上面形成板とを有している。そして、複数の畦上面形成板は、それぞれ個別にボルト等でベース部材に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−119319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、上記従来の畦塗り機では、複数の畦上面形成板を交換する際に、例えば工具を使用して多数のボルトを脱着しなければならず、畦上面形成板の交換作業に手間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、畦上面形成板の交換作業を容易に行うことができ、交換作業効率の向上を図ることができる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の畦塗り機は、土を盛り上げる盛土体と、この盛土体による盛土を締め固めて畦側面を形成する畦側面形成体と、前記盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する畦上面形成体とを備え、前記畦上面形成体は、ベース部材と、このベース部材とともに回転しながら、前記盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する複数の畦上面形成板と、前記ベース部材との間で前記畦上面形成板の一部を挟持する複数の挟持部材と、前記ベース部材に脱着可能に取り付けられ、前記畦上面形成板および前記挟持部材の少なくとも一方の前記畦側面形成体側とは反対側への移動を規制するストッパー部材とを有し、前記ストッパー部材の数は、前記畦上面形成板の数よりも少なく、前記ストッパー部材が前記ベース部材から取り外されると、前記畦上面形成板および前記挟持部材の両方が前記ベース部材から取り外し可能な状態となるものである。
【0009】
請求項2記載の畦塗り機は、土を盛り上げる盛土体と、この盛土体による盛土を締め固めて畦側面を形成する畦側面形成体と、前記盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する畦上面形成体とを備え、前記畦上面形成体は、ベース部材と、このベース部材とともに回転しながら、前記盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する複数の畦上面形成板と、前記ベース部材に脱着可能に取り付けられ、前記畦上面形成板の前記畦側面形成体側とは反対側への移動を規制するストッパー部材とを有し、前記ストッパー部材の数は、前記畦上面形成板の数よりも少なく、前記ストッパー部材が前記ベース部材から取り外されると、前記畦上面形成板が前記ベース部材から取り外し可能な状態となるものである。
【0010】
請求項3記載の畦塗り機は、請求項1または2記載の畦塗り機において、ストッパー部材は、単一のストッパー板のみで構成されているものである。
【0011】
請求項4記載の畦塗り機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の畦塗り機において、畦上面形成体は、ストッパー部材をベース部材に取り付けるための取付具を有し、前記取付具の数は、畦上面形成板の数よりも少ないものである。
【0012】
請求項5記載の畦塗り機は、請求項1記載の畦塗り機において、挟持部材は、ベース部材の係合受部と係脱可能に係合する複数の係合部を有するものである。
【0013】
請求項6記載の畦塗り機は、請求項5記載の畦塗り機において、挟持部材の係合部は、直線状部分を有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ストッパー部材の脱着により畦上面形成板を交換できるため、畦上面形成板の交換作業を容易に行うことができ、交換作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る畦塗り機の平面図である。
【図2】同上畦塗り機の畦形成体の斜視図である。
【図3】同上畦形成体の畦上面形成体の斜視図である。
【図4】同上畦上面形成体の断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る畦塗り機の畦形成体の斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る畦塗り機の畦上面形成体の側面図である。
【図7】同上畦上面形成体の正面図である。
【図8】同上畦上面形成体のベース部材の正面図である。
【図9】同上畦上面形成体の畦上面形成板の正面図である。
【図10】同上畦上面形成体の挟持部材を示す図である。
【図11】同上畦上面形成体の断面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る畦塗り機の畦上面形成体を示す図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る畦塗り機の畦上面形成体を示す図である。
【図14】本発明の第6の実施の形態に係る畦塗り機の畦上面形成体を示す図である。
【図15】本発明の第7の実施の形態に係る畦塗り機の畦上面形成体を示す図である。
【図16】本発明の第8の実施の形態に係る畦塗り機の畦上面形成体を示す図である。
【図17】本発明の第9の実施の形態に係る畦塗り機の畦上面形成体を示す図である。
【図18】本発明の第10の実施の形態に係る畦塗り機の畦上面形成体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図4を参照して説明する。
【0017】
図1において、1は畦塗り機で、この畦塗り機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結されて使用されるオフセット作業機である。
【0018】
畦塗り機1は、トラクタの後部に連結された状態でトラクタの前進走行により圃場の畦に沿って進行方向である前方に向かって移動しながら畦塗り作業(畦修復作業)をする。なお、圃場の隅部では、畦塗り機1は、前進作業状態から後進作業状態に切り換えられて、トラクタの後進走行(バック走行)により圃場の畦に沿って進行方向である後方に向かって移動しながら畦塗り作業をする。
【0019】
畦塗り機1は、図1に示されるように、トラクタの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される機体2と、この機体2に回転可能に設けられ回転しながら田面および畦(元畦)の土を耕耘して盛り上げる盛土体(ロータリ部)3と、機体2に回転可能に設けられ盛土体3の進行方向後方で回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて畦(新畦)を形成する畦形成体(ディスク部)4とを備えている。なお、盛土体3および畦形成体4は、トラクタのPTO軸から出力される動力に基づいて所定方向へ駆動回転するようになっている。
【0020】
機体2は、トラクタの後部の3点リンク部に連結される固定機枠6を有している。固定機枠6には、連結アーム等からなる連結手段7を介して可動機枠8が連結され、この可動機枠8に盛土体3および畦形成体4が設けられている。
【0021】
また、機体2は、可動機枠8を固定機枠6に対して可動させるシリンダ等の駆動手段9,10を有し、この駆動手段9,10の作動により畦塗り機1が前進作業状態、後進作業状態および格納非作業状態に選択的に切り換えられる。なお、駆動手段9がオフセットシリンダであり、駆動手段10が回動シリンダである。
【0022】
盛土体3は、可動機枠8に回転可能に軸支された前後方向の駆動軸である回転軸11と、この回転軸11とともに所定方向に回転しながら田面および畦の土を耕耘して盛り上げる複数の盛土爪12とを有している。盛土爪12の上方部は、機体2のカバー部13にて覆われている。
【0023】
畦形成体4は、可動機枠8に回転可能に軸支された左右方向の駆動軸である回転軸15と、この回転軸15とともに左右方向の回転中心軸線Xを中心として所定方向に回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて田面側に向かって下り傾斜状の畦側面を形成する略円錐台状の畦側面形成体16と、回転軸15とともに左右方向の回転中心軸線Xを中心として所定方向に回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて水平状の畦上面を形成する略円柱状の畦上面形成体17とを有している。
【0024】
ここで、図2に示されるように、畦側面形成体16は、回転軸15に連結されこの回転軸15と一体となって回転するベース部材21を有している。ベース部材21は、回転中心軸線Xが中心を通る円錐台状部22と、この円錐台状部22の縮径側端部に同心状に設けられた中空状の円柱状部23とを有している。円錐台状部22には、ベース部材21とともに回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて畦側面を形成する複数の畦側面形成板24が取り付けられている。畦側面形成板24は、例えば金属板によって略扇形状でかつ湾曲面状に形成されている。
【0025】
また、円柱状部23の先端面には、複数、例えば2つのベース取付ボルト用孔26と、1つの中央円形孔27とが形成されている。円柱状部23の先端面内面には、ねじ孔29がベース取付ボルト用孔26に連通するベース取付ナット28が溶接等により固着されている。なお、円柱状部23は、例えば畦上面形成体17を取り付けない場合には、円筒面状の外周面で盛土を締め固めて畦上面を形成する上面ローラとして機能する。
【0026】
畦上面形成体17は、図3および図4にも示されるように、畦側面形成体16のベース部材21と一体となって回転する円筒状のベース部材31と、ベース部材31の外周面に脱着可能に取り付けられベース部材31とともに回転しながら盛土体3による盛土を締め固めて畦上面を形成する複数(例えば8つ)の畦上面形成板32と、ベース部材31に脱着可能に取り付けられベース部材31の外周面との間で畦上面形成板32の一部を挟持する複数(畦上面形成板32と同じ数で、例えば8つ)の挟持部材33と、ベース部材31の先端面に脱着可能に取り付けられ畦上面形成板32および挟持部材33の少なくとも一方、すなわち例えば両方の畦側面形成体16側とは反対側へのベース部材31に対する移動を規制してこれら畦上面形成板32および挟持部材33の両方のベース部材31に対する取り付け状態を維持するストッパー部材34とを有している。
【0027】
このストッパー部材34の数は畦上面形成板32の数よりも少なく、例えばこのストッパー部材34は、回転中心軸線Xが中心を通る円板状をなす単一のストッパー板35のみで構成されている。そして、この1つのストッパー板35がベース部材31の端面から取り外されると、複数の畦上面形成板32および複数の挟持部材33の両方のすべてがベース部材31から取り外し可能な状態となる。
【0028】
ベース部材(上面ローラベース)31は、複数(例えば2つ)の取付具であるベース取付ボルト41によって、畦側面形成体16のベース部材21の円柱状部23の外面全体を覆うように、この円柱状部23の先端面に脱着可能に取り付けられている。
【0029】
つまり、ベース部材31は、回転中心軸線Xが中心を通る円筒状でかつ両端面開口状の筒状部42と、この筒状部42の先端側(畦側面形成体16側とは反対側)の一端面開口を閉鎖する円板状の板状部43とを有している。板状部43には、複数(例えば2つ)のベース取付ボルト用孔46が内方の円柱状部23のベース取付ボルト用孔26に対応して形成されている。また、板状部43には、複数(例えば2つ)のストッパー取付ボルト用孔47が形成されている。この板状部43の内面には、ねじ孔49がストッパー取付ボルト用孔47に連通するストッパー取付ナット48が溶接等により固着されている。そして、ベース取付ボルト41がベース取付ボルト用孔26,46に挿入されてベース取付ナット28のねじ孔29に螺合されることにより、畦上面形成体17のベース部材31が畦側面形成体16のベース部材21の円柱状部23に脱着可能に取り付けられている。
【0030】
また、ストッパー部材34である円板状のストッパー板35は、ベース部材31の板状部43よりも径大状に形成されている。つまり、ストッパー板35は、板状部43の外周端部よりも径方向外方向に向かって突出する突出端部35aを外周端部に有している。なお、畦上面形成体17を側面視した場合、畦上面形成板32の先端側(土押圧部)は、ストッパー板35の突出端部35aよりも外方に突出している。
【0031】
また、ストッパー板35には、複数(例えば2つ)のストッパー取付ボルト用孔50がベース部材31のストッパー取付ボルト用孔47に対応して形成されている。さらに、ストッパー板35には、複数(例えば2つ)のボルト頭部挿入孔52がベース部材31のベース取付ボルト用孔46に対応して形成されている。
【0032】
そして、ストッパー部材34をベース部材31に取り付けるための取付具である複数(例えば2つ)のストッパー取付ボルト51がストッパー取付ボルト用孔47,50に挿入されてストッパー取付ナット48のねじ孔49に螺合されることにより、ストッパー部材34であるストッパー板35がベース部材31の板状部43に脱着可能に取り付けられている。また、ベース取付ボルト41の頭部41aは、ボルト頭部挿入孔52に挿入されるため、ストッパー板35とベース部材31の板状部43とは、互いに重なり合った状態となる。
【0033】
なお、ストッパー板35をベース部材31の板状部43から取り外す際には、2本のストッパー取付ボルト51をストッパー取付ナット48から外せばよい。この例では、ストッパー取付ボルト51の数は2本であり、畦上面形成板32の数よりも少ない。なお、ストッパー取付ボルト51の数は、1本でも可能であるが(後述する図17参照)、好ましくは2本以上で、3本或いは4本の構成とすることも可能である。
【0034】
また、ベース部材31の筒状部42には、例えば4つで1組をなす複数組、すなわち例えば畦上面形成板32の数に対応する8組のベース側孔55が形成されている。各ベース側孔55は、ベース部材31の回転方向に対して交差する方向に長手方向を有する長孔状に形成されている。各組のベース側孔55の数は、4つであるが、そのうちの2つのベース側孔55が筒状部42の軸方向一端側に形成され、残りの2つのベース側孔55が筒状部42の軸方向他端側に形成されている。そして、図3に示されるように、軸方向一端側のベース側孔55と軸方向他端側のベース側孔55とを結んだ線aと、ベース部材31の回転方向bとがなす角度αは、例えば70度である。なお、この角度αは、45度〜90度の範囲の角度であればよい。
【0035】
さらに、消耗部品である畦上面形成板(羽根板)32は、例えば弾性変形可能な弾性板である合成樹脂板によって、略螺旋状でかつ湾曲面状に形成されている。畦上面形成板32の基端側には、複数、例えば4つの板側孔56がベース部材31の各組のベース側孔55に対応して形成されている。板側孔56は、ベース側孔55と同じ形状で、長孔状に形成されている。畦上面形成板32の先端側は、ベース部材31の筒状部42の外周面から離れて位置するようになっている。
【0036】
また、挟持部材(取付金具)33は、例えば金属板によって、2つのベース側孔55を結んだ線aに沿った方向に長手方向を有する長手状に形成されている。挟持部材33は、長手状で矩形状の長手状板部61と、この長手状板部61の長手方向両端側における両側縁部に折り曲げにより一体に設けられベース部材31の係合受部63と係脱可能に係合する複数(例えば4つ)の係合部(爪部)62とを有している。
【0037】
各係合部62は、側面視で略L字状なす板状もので、互いに一致したベース側孔55および板側孔56に挿入可能な長さの直線状部分64と、この直線状部分64と長手状板部61とを繋ぐ板状部分65とを有している。直線状部分64は、挟持部材33のベース部材31に対するスライド方向に長手方向を有するもので、この直線状部分64の長手方向一端部は、板状部分65よりも畦側面形成体16側に向かって突出して突出部66となっており、この突出部66が筒状部42の内周面側に位置する。なお、ベース部材31の係合受部63は、筒状部42のうち、ベース側孔55の畦側面形成体16側の端部に臨んだ部分にて構成されている。
【0038】
そして、図4(a)に示されるように、挟持部材33の係合部62がベース側孔55および板側孔56に挿入されてベース部材31の係合受部63と係合し、かつ、ストッパー取付ボルト51でストッパー板35がベース部材31の板状部43に取り付けられることにより、畦上面形成板32および挟持部材33がベース部材31に取り付けられている。
【0039】
このとき、ストッパー板35は、畦上面形成板32の端部および挟持部材33の端部の両方と接触して、これら畦上面形成板32および挟持部材33の畦側面形成体16側とは反対側へのベース部材31に対する移動を規制している。このため、畦上面形成板32および挟持部材33は、ベース部材31とともに回転しても、ベース部材31から外れない。例えば図示しないが、ストッパー板35が畦上面形成板32の端部および挟持部材33の端部のいずれか一方のみに接触するようにしてもよい。
【0040】
なお、図4(a)の例では、畦上面形成板32の板側孔56に臨んだ部分32aと、係合部62との間にわずかな間隙70が存在するが、畦上面形成板32のがたつき防止のために、この間隙70ができないように構成してもよい。
【0041】
また、この図4(a)の例では、畦上面形成板32をベース部材31に取り付ける際に、ベース側孔55全体と板側孔56全体とを互いに一致させた状態でこれら両孔55,56に挟持部材33の係合部62を挿入し、この挿入後、挟持部材33および畦上面形成板32の両方をベース部材31に対して畦側面形成体16側にスライド移動させて係合部62と係合受部63とを互いに係合させ、その後、ストッパー板35をベース部材31に取り付ける。
【0042】
また、図4(b)に示されるように、ストッパー取付ボルト51を外してストッパー板35をベース部材31の板状部43から取り外すと、ストッパー板35による移動規制が解除され、畦上面形成板32および挟持部材33の両方がベース部材31から取り外し可能な状態となる。
【0043】
次に、畦塗り機1の作用等を説明する。
【0044】
トラクタの後部の3点リンク部に畦塗り機1を連結してトラクタを走行させると、畦塗り機1全体は畦に沿って前方に移動し、盛土体3、畦側面形成体16および畦上面形成体17がそれぞれ所定方向に駆動回転する。
【0045】
そして、盛土体3にて畦塗り用の土が元畦上に盛り上げられ、この盛り上げられた盛土は、畦側面形成体16の畦側面形成板24にて締め固められて傾斜状の畦側面が形成され、畦上面形成体17の畦上面形成板32にて締め固められて水面状の畦上面が形成される。こうして、元畦が修復されて崩れにくい強固な新畦が形成される。
【0046】
ここで、例えば土との接触による磨耗等によってすべての畦上面形成板32を交換する必要が生じた場合には、2本のストッパー取付ボルト51のストッパー取付ナット48に対する螺合および螺合解除に基づく、1枚のストッパー板35のベース部材31に対する脱着によって、8枚のすべての畦上面形成板32を一斉に交換することが可能である。なお、8枚のすべての畦上面形成板32を一斉に交換するのではなく、畦上面形成板32を必要に応じて1枚ずつ交換することも可能である。
【0047】
そして、このように畦塗り機1によれば、ストッパー部材34であるストッパー板35の脱着により畦上面形成板32を交換できるため、従来に比べて、脱着するボルト数が少なく、畦上面形成板32の交換作業を容易に行うことができ、交換作業効率の向上を図ることができる。
【0048】
また、挟持部材33はベース部材31の係合受部63と係脱可能に係合する複数の係合部62を有するため、畦塗り作業時における畦上面形成板32のがたつきを抑制でき、特に係合部62が板状であるため、丸軸状にした場合等に比べて、回転方向のがたつきを抑制できる。
【0049】
さらに、挟持部材33の係合部62は直線状部分64を有するため、この直線状部分64と係合受部63との係合部分が大きくなり、少ない数の係合部62で畦上面形成板32のがたつきを効果的に抑制できる。
【0050】
また、挟持部材33は、長手状板部61に係合部62を折り曲げにより一体に設けたものであるため、係合部62を溶接等で長手状板部61に固設した場合等に比べて、製造が簡単で、部品製造コストを削減できる。
【0051】
図5には、第2の実施の形態が示されている。
【0052】
この第2の実施の形態では、畦側面形成体16のベース部材21は、円柱状部23を有さず、円錐台状部22の縮径側端部にねじ孔29が形成されている。そして、長ボルトであるベース取付ボルト41がねじ孔29に螺合されることにより、畦上面形成体17のベース部材31が畦側面形成体16のベース部材21に取り付けられる。そして、この第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0053】
また、図6ないし図11には、第3の実施の形態が示されている。
【0054】
この第3の実施の形態では、両ベース側孔55間を結んだ線aと回転方向bとがなす角度αが90度である。このため、各ベース側孔55は、ベース部材31の軸方向に長手方向を有する長孔状に形成されている。また、畦上面形成板32は、略螺旋状ではなく、正面視で略矩形状のものである。さらに、図11(a)および(b)に示すように、この例では、畦上面形成板32をベース部材31に取り付ける際に、ベース側孔55全体と板側孔56全体とを互いに一致させた状態でこれら両孔55,56に挟持部材33の係合部62を挿入し、この挿入後、挟持部材33のみをベース部材31に対して畦側面形成体16側にスライド移動させて係合部62と係合受部63とを互いに係合させ、その後、ストッパー板35をベース部材31に取り付ける。そして、この第3の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0055】
さらに、図12には、第4の実施の形態が示されている。
【0056】
この第4の実施の形態は、第3の実施の形態と同様、角度αが90度の場合であるが、第3の実施の形態とは異なり、畦上面形成板32をベース部材31に取り付ける際に、ベース側孔55全体と板側孔56全体とを互いに一致させた状態でこれら両孔55,56に挟持部材33の係合部62を挿入し、この挿入後、挟持部材33および畦上面形成板32の両方をベース部材31に対して畦側面形成体16側にスライド移動させて係合部62と係合受部63とを互いに係合させ、その後、ストッパー板35をベース部材31に取り付ける。そして、この第4の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
また、図13には、第5の実施の形態が示されている。
【0058】
この第5の実施の形態では、ベース側孔55および板側孔56は、長孔状ではなく、略だるま形状に形成されている。つまり、両孔(取付用孔)55,56は、円形孔部分55a,56aと、この円形孔部分55a,56aから畦側面形成体16側に向かって延出するように形成され円形孔部分55a,56aよりも幅が狭いやや長手状をなす小孔部分55b,56bとを有している。ベース部材31のうち小孔部分55bに臨んだ部分が係合受部63となっている。
【0059】
また、挟持部材33に形成された2つの係合部62は、板状ではなく、略きのこ形状(頭付きピン形状)に形成されている。つまり、各係合部62は、長手状板部61の長手方向両端側の下面から下方に向かって突出する軸部分62aと、この軸部分62aの下端に設けられこの軸部分62aよりも径大な半球形状をなす頭部分62bとを有している。
【0060】
そして、畦上面形成板32をベース部材31に取り付ける際には、ベース側孔55全体と板側孔56全体とを互いに一致させた状態でこれら両孔55,56の円形孔部分55a,56aに挟持部材33の係合部62を挿入し、この挿入後、挟持部材33のみをベース部材31に対して畦側面形成体16側にスライド移動させて係合部62と係合受部63とを互いに係合させ、その後、ストッパー板35をベース部材31に取り付ける。そして、この第5の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
さらに、図14には、第6の実施の形態が示されている。
【0062】
この第6の実施の形態は、上記各実施の形態とは異なり、畦上面形成体17が挟持部材33を有していない構成である。
【0063】
この構成では、畦上面形成板32の板側孔56は、長孔状ではなく、略だるま形状に形成されている。つまり、板側孔56は、円形孔部分56aと、この円形孔部分56aから畦側面形成体16側とは反対側に向かって延出するように形成され円形孔部分56aよりも幅が狭いやや長手状の小孔部分56bとを有している。畦上面形成板32のうち小孔部分56bに臨んだ部分が係合受部71となっている。
【0064】
また、ベース部材31の筒状部42の外周面には、畦上面形成板32の係合受部71と係脱可能に係合する略きのこ形状(頭付きピン形状)の係合部72が複数、例えば2つ突設されている。各係合部72は、筒状部42の外周面から径方向外方に向かって突出する軸部分72aと、この軸部分72aの上端に設けられこの軸部分72aよりも径大な半球形状をなす頭部分72bとを有している。
【0065】
そして、畦上面形成板32をベース部材31に取り付ける際には、ベース部材31の係合部72を畦上面形成板32の板側孔56の円形孔部分56aに挿入し、この挿入後、畦上面形成板32をベース部材31に対して畦側面形成体16側にスライド移動させて係合部72と係合受部71とを互いに係合させ、その後、ストッパー板35をベース部材31に取り付ける。この取り付けられたストッパー板35は、畦上面形成板32の畦側面形成体16側とは反対側へのベース部材31に対する移動を規制してこの畦上面形成板32のベース部材31に対する取り付け状態を維持する。そして、この第6の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
また、図15に示す第7の実施の形態のように、ストッパー板35の大きさ(直径寸法)を小さくするために、すなわち例えばストッパー板35と板状部43とを同径、或いはストッパー板35の外径寸法を板状部43の外径寸法よりも小さくするために、挟持部材33の端部を直角に折り曲げて折曲板部73として、この折曲板部73をストッパー板35とベース部材31の板状部43との間で挟持するようにしてもよい。
【0067】
さらに、図16に示す第8の実施の形態のように、畦上面形成板32のがたつき防止のために、挟持部材33の係合部62の直線状部分64の長さ寸法を図4等に比べて長くし、その係合部62を長手状板部61の長手方向中央部の1箇所にのみ設け、かつ畦上面形成板32の板側孔(取付用孔)56も1つとした構成でもよい。
【0068】
また、図17に示す第9の実施の形態のように、ストッパー取付ボルト51を1本のみ用いて、ストッパー部材34であるストッパー板35をベース部材31の板状部43に取り付ける構成としてもよい。この構成では、ストッパー板35には、ストッパー取付ボルト用孔50および位置決めピン用孔75がそれぞれ1つずつ形成されている。また、ベース部材31の板状部43には、位置決めピン用孔75に嵌入される位置決めピン76が突設されている。
【0069】
さらに、図18に示す第10の実施の形態のように、ベース部材31の筒状部42は、円筒状以外に、多角筒状でもよく、この場合、ストッパー板35をその多角筒状の筒状部42に対応させて多角形状とする。
【0070】
なお、畦上面形成板32の枚数は、8枚には限定されず、例えば6枚や10枚等でもよい。
【0071】
また、ストッパー部材34は、単一のストッパー板35のみで構成されたものには限定されず、例えばストッパー板35を2分割或いは3分割等したものでもよい。
【0072】
さらに、例えばストッパー部材34に雄ねじ部を設け、ベース部材31にその雄ねじ部が螺合する雌ねじ部を設け、ストッパー部材34自体を回転操作して着脱するようにしてもよい。
【0073】
また、例えばベース部材31の筒状部42やベース部材21の中空状の円柱状部23等に、軸方向に延びる長孔状の通し孔を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 畦塗り機
3 盛土体
16 畦側面形成体
17 畦上面形成体
31 ベース部材
32 畦上面形成板
33 挟持部材
34 ストッパー部材
35 ストッパー板
51 取付具であるストッパー取付ボルト
62 係合部
63 係合受部
64 直線状部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土を盛り上げる盛土体と、
この盛土体による盛土を締め固めて畦側面を形成する畦側面形成体と、
前記盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する畦上面形成体とを備え、
前記畦上面形成体は、
ベース部材と、
このベース部材とともに回転しながら、前記盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する複数の畦上面形成板と、
前記ベース部材との間で前記畦上面形成板の一部を挟持する複数の挟持部材と、
前記ベース部材に脱着可能に取り付けられ、前記畦上面形成板および前記挟持部材の少なくとも一方の前記畦側面形成体側とは反対側への移動を規制するストッパー部材とを有し、
前記ストッパー部材の数は、前記畦上面形成板の数よりも少なく、
前記ストッパー部材が前記ベース部材から取り外されると、前記畦上面形成板および前記挟持部材の両方が前記ベース部材から取り外し可能な状態となる
ことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
土を盛り上げる盛土体と、
この盛土体による盛土を締め固めて畦側面を形成する畦側面形成体と、
前記盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する畦上面形成体とを備え、
前記畦上面形成体は、
ベース部材と、
このベース部材とともに回転しながら、前記盛土体による盛土を締め固めて畦上面を形成する複数の畦上面形成板と、
前記ベース部材に脱着可能に取り付けられ、前記畦上面形成板の前記畦側面形成体側とは反対側への移動を規制するストッパー部材とを有し、
前記ストッパー部材の数は、前記畦上面形成板の数よりも少なく、
前記ストッパー部材が前記ベース部材から取り外されると、前記畦上面形成板が前記ベース部材から取り外し可能な状態となる
ことを特徴とする畦塗り機。
【請求項3】
ストッパー部材は、単一のストッパー板のみで構成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の畦塗り機。
【請求項4】
畦上面形成体は、ストッパー部材をベース部材に取り付けるための取付具を有し、
前記取付具の数は、畦上面形成板の数よりも少ない
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の畦塗り機。
【請求項5】
挟持部材は、ベース部材の係合受部と係脱可能に係合する複数の係合部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【請求項6】
挟持部材の係合部は、直線状部分を有する
ことを特徴とする請求項5記載の畦塗り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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