説明

異なる非反復単位を有するポリマーを含むポリマー混合物、ならびにそれを作製および使用するための方法

少なくとも1つの異なる非反復単位を有するポリマーを含むポリマー混合物を本明細書において記載する。該ポリマー混合物を作製および使用するための方法も開示する。また、該ポリマー混合物から微粒子を作製するための方法を含む、該ポリマー混合物の用途も開示する。一態様において、ポリマー混合物を作製する方法は、a)環状エーテル、環状エステル、環状カーボネート、またはそれらの混合物を含むモノマー組成物を提供すること;ならびにb)該モノマー組成物を、ポリマー混合物を形成するのに有効な反応条件下で、第一の開始剤および該第一の開始剤とは異なる第二の開始剤を含む少なくとも2種の開始剤と接触させることを含む。開示される方法から生成されるポリマー混合物および放出制御システムも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することにより本明細書に組み入れられている、2009年1月23日に出願された先行する米国仮特許出願第61/146,973号に基づくものであって、かつその優先権の恩典を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
生物活性剤が効果的に働くために、それは安全でかつ効果的でもある方法で対象に送達されなければならない。理想的な生物活性剤の薬物動態プロファイルとは、治療濃度の生物活性剤が対象に到達するのを可能にし、一方で最大耐量を超えないものである。ある薬理学的適用のために、生物活性剤の濃度は、所望の治療結果が達成されるまでの長期間にわたって治療レベルに保たれるべきである。
【0003】
残念ながら、生物活性剤を投与するための従来の経路は、とりわけ高毒性および/または狭い治療域を示す生物活性剤に対して、しばしば、理想的な薬物動態プロファイルを提供するものではない。生物活性剤の薬物動態プロファイルに影響を及ぼす一方法は、放出制御システム、例えば微粒子または他の送達デバイスなどの中に生物活性剤をカプセル化することであることは、当該技術分野において公知である。放出制御システムは、経時的に分解し、それによって、放出制御システムによって影響を受ける放出プロファイルに従って生物活性剤を放出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生物活性剤の放出プロファイルまたは放出速度は、目標とする治療結果に依存して異なることが所望され得る。しばしば、放出制御システムは、所望の放出プロファイルを提供できず、ある場合には、望ましくない放出プロファイルをもたらすことさえあり得る。そのため、放出制御システム自体の組成に依存して、放出制御システムの中または上に含有された生物活性剤についての放出プロファイルおよび放出速度に実質的に影響を及ぼし得る、放出制御システムおよびその製造のための方法の必要性が存在する。これらの必要性および他の必要性は、本発明によって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも1つの異なる非反復単位、例えば末端基、またはポリマー骨格の非反復単位を有する第一および第二のポリマーを含む、ポリマー混合物およびポリマー混合物を調製するための方法を本明細書に記載する。一態様において、少なくとも1つの異なる非反復単位は、重合の間に用いられる異なる開始剤の使用により生じる。一態様において、ポリマー混合物の分解プロファイルまたは分解速度は、混合物中に存在するポリマーの異なる反復単位によって影響を受け得る。さらなる態様において、開示されるポリマー混合物から生成される放出制御システムの放出プロファイルも同様に影響を受け得る。
【0006】
一態様において、ポリマー混合物を作製する方法は、a)環状エーテル、環状エステル、環状カーボネート、またはそれらの混合物を含むモノマー組成物を提供すること;ならびにb)該モノマー組成物を、ポリマー混合物を形成するのに有効な反応条件下で、第一の開始剤および該第一の開始剤とは異なる第二の開始剤を含む少なくとも2種の開始剤と接触させることを含む。開示される方法から生成されるポリマー混合物および放出制御システムも開示する。
【0007】
ポリマー混合物も開示する。一態様において、ポリマー混合物は、ポリマー骨格および1つ以上の非反復単位を有する第一のポリマー、ならびにポリマー骨格および1つ以上の非反復単位を有する第二のポリマーを含むものであって;該第一および第二のポリマーは、ポリ(環状エーテル)、ポリ(環状エステル)、ポリ(環状カーボネート)、またはそれらの混合物を含み;該第一のポリマーの少なくとも1つの非反復単位は、該第二のポリマーの少なくとも1つの非反復単位とは異なり;該第一のポリマーのポリマー骨格は、該第二のポリマーのポリマー骨格と実質的に同じである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の利点は、後に続く記載の中に一部示され、かつ記載から一部明白となり、あるいは以下に記載する態様の実践によって理解され得る。以下に記載する利点は、添付の特許請求の範囲において特に挙げられる要素および組み合わせによって実現かつ達成されるであろう。前述の概略的な説明および以下の詳細な説明のいずれも、例示および解説のためのみのものであって、限定するものでないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1(1−ドデカノールおよびグリコール酸の混合開始剤)由来のポリマーについてのプロトンNMRスペクトルである。
【図2】図2は、実施例1(1−ドデカノールおよびグリコール酸の混合開始剤)由来のポリマーについての分子量プロファイルのプロットである。
【図3】図3は、実施例2(1−ドデカノールおよびグリコール酸メチルの混合開始剤)由来のポリマーについてのプロトンNMRスペクトルである。
【図4】図4は、実施例2(1−ドデカノールおよびグリコール酸メチルの混合開始剤)由来のポリマーについての分子量プロファイルのプロットである。
【図5】図5は、実施例3(1−ドデカノールおよびmPEG−2,000の混合開始剤)由来のポリマーについてのプロトンNMRスペクトルである。
【図6】図6は、実施例3(1−ドデカノールおよびmPEG−2,000の混合開始剤)由来のポリマーについての分子量プロファイルのプロットである。
【図7】図7は、実施例4(1−ドデカノールおよびグリコール酸エチルの混合開始剤)由来のポリマーについての分子量プロファイルのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本発明の化合物、組成物、合成物、商品、デバイス、および/または方法を開示かつ記載する前に、そのようなものは当然変化し得るため、以下に記載する態様は、具体的な化合物、組成物、合成物、商品、デバイス、方法、または用途に限定するものでないことは理解されるべきである。また、本明細書において用いた用語は、特定の態様のみを記載することを目的とするものであって、限定することを意図するものではない。
【0011】
本明細書においておよび後に続く特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義されるものとするいくつかの用語について言及する。
【0012】
本明細書を通じて、文脈上特に必要がない限り、「含む」、または「含んでいる」などの変化形は、明記した完全体もしくは工程、または完全体もしくは工程の群の包含を意味するものであって、いかなる他の完全体もしくは工程、または完全体もしくは工程の群の排除を意味するものではないと理解される。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用するとき、単数形には、別様に文脈ではっきりと指示されていない限り、複数形の指示対象が含まれることに留意しなければならない。したがって、例えば「生物活性剤」という言及には、2つ以上のそのような薬剤等の混合物が含まれる。
【0014】
「随意の」または「随意に」とは、その後に記載される事象または状況が起こっても起こらなくてもよく、かつ該記載には該事象または状況が起こる場合およびそれが起こらない場合が含まれることを意味する。
【0015】
本明細書において、範囲を、一方の「約」特定値からおよび/または他方の「約」特定値までとして表現することができる。そのような範囲を表現する場合、別の態様には、該一方の特定値からおよび/またはもう一方の特定値まで含まれる。同様に、「約」という先行詞を用いることによって、値を近似で表現する場合、その特定の値は他の態様を形成することが理解されるであろう。範囲のそれぞれの端点は、もう一方の端点との関連でも、もう一方の端点から独立しても、有意であることがさらに理解されるであろう。
【0016】
成分の重量パーセントは、特にそれに反することが明記されていない限り、該成分を含む製剤または組成物の総重量に基づく。
【0017】
本明細書および結びの特許請求の範囲において使用するとき、化学種の残基とは、特定の反応スキームにおける該化学種の生成物、またはその後の製剤もしくは化学製品である構成部分を表し、これは該構成部分が実際に該化学種から得られるものであるかどうかにかかわらない。したがって、ポリエステル中のエチレングリコール残基とは、該ポリエステルを調製するためにエチレングリコールを用いたかどうかにかかわらず、該ポリエステル中の1つ以上の−OCHCHO−単位を表す。
【0018】
本明細書において使用するとき、「置換された」という用語は、有機化合物のすべての許容可能な置換基を含むことが企図される。広い態様において、許容可能な置換基には、有機化合物の非環状および環状、分岐したおよび分岐していない、炭素環式および複素環式、かつ芳香族および非芳香族の置換基が含まれる。例示的置換基には、例えば以下に記載されるものが含まれる。許容可能な置換基は、適切な有機化合物に対して、1個でも、それより多くてもよく、同じであっても異なってもよい。本開示の目的で、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の価数を満たす、水素置換基および/または本明細書に記載される有機化合物の任意の許容可能な置換基を有してよい。本開示は、如何様にも、有機化合物の許容可能な置換基によって限定されることを意図するものではない。また、「置換」または「で置換された」という用語には、そのような置換が置換原子および置換基の許容される価数に従っており、かつ置換によって安定な化合物、例えば転位、環化、脱離、等々の変換を自発的に受けない化合物がもたらされるという暗黙の条件が含まれる。
【0019】
本明細書において使用するとき、「アルキル」という用語は、1〜24個の炭素原子の分岐したまたは分岐していない飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等である。アルキル基は、環状または非環状であってよい。アルキル基は、分岐していてもまたは分岐していなくてもよい。アルキル基は、また、置換されていても置換されていなくてもよい。例えば、アルキル基は、本明細書に記載される、随意に置換されたアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ニトロ、シリル、スルホ−オキソ、またはチオールを含むがこれらに限定されない、1個以上の基で置換されていてもよい。「低級アルキル」基とは、1〜6個(例えば、1〜4個)の炭素原子を含有するアルキル基である。
【0020】
「有機残基」という用語は、炭素含有残基、すなわち少なくとも1個の炭素原子を含む残基を定義するものであって、かつ上文に定義された炭素含有基、残基、またはラジカルを含むが、これらに限定されない。有機残基は、酸素、窒素、硫黄、リン等を含む、種々のヘテロ原子を含有していてよく、あるいはヘテロ原子を介して他の分子に結合していてもよい。有機残基の例には、アルキルまたは置換アルキル、アルコキシまたは置換アルコキシ、一置換または二置換アミノ、アミド基、等々が含まれるが、これらに限定されない。有機残基は、好ましくは1〜18個の炭素原子、1〜15個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を含んでいてよい。さらなる態様において、有機残基は、2〜18個の炭素原子、2〜15個の炭素原子、2〜12個の炭素原子、2〜8個の炭素原子、2〜4個の炭素原子、または2〜4個の炭素原子を含んでいてよい。
【0021】
「微粒子」という用語は、約10nm〜2000ミクロン(2ミリメートル)の大きさを有する多様な構造物を概して表すために本明細書で用いられており、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、ナノカプセル、ナノスフェア、ならびに一般に約2000ミクロン(2ミリメートル)未満である粒子を含む。一態様において、生物活性剤を微粒子内にカプセル化する。
【0022】
「生体適合性の」という用語は、対象に対して実質的に毒性を示さない物質を表す。
【0023】
「生分解性の」とは、本明細書において、可溶性種にまで浸食される、あるいはそれ自体が対象に対して毒性を示さず(生分解性であり)、かつ対象によって代謝、除去、または排泄され得るより小さな単位または化学種まで生理的条件下で分解する物質を概して表す。
【0024】
「生物活性剤」とは、生物学的活性を有する薬剤を表す。生物学的薬剤を用いて、疾患、障害、感染等に対して処置、診断、治療、緩和、防止(すなわち、予防的に)、改善、調節、または他の好ましい効果をもたらすことができる。「放出可能な生物活性剤」とは、開示される放出制御システムから放出され得るものである。生物活性剤には、対象の構造または機能に影響を及ぼす物質、あるいは所定の生理的環境に置かれた後に生物活性になるまたはより高く生物活性になるプロドラッグも含まれる。
【0025】
開示される方法および組成物に用いることができる、それと併用することができる、その調製に用いることができる、またはその産物である化合物、組成物、および成分を開示する。これらおよび他の材料を本明細書に開示するものであって、かつこれらの材料の組み合わせ、部分集団、相互作用、群、等々を開示する場合、それぞれの種々の個体および集団的組み合わせについての具体的言及、ならびにこれらの化合物の順列は明確に開示されていないかもしれないが、それぞれは本明細書において具体的に企図されかつ記載されていると理解される。例えば、多数の異なるポリマーおよび薬剤を開示かつ考察する場合、特にそれに反することが示されていない限り、該ポリマーおよび薬剤のありとあらゆる組み合わせおよび順列が具体的に企図されている。したがって、分子A、B、およびCのクラスが開示され、同様に分子D、E、およびFのクラス、ならびに組み合わせ分子A−Dの例が開示されている場合、そのときたとえそれぞれが個別に挙げられていないとしても、それぞれは個別かつ集団的に企図されている。したがって、この例では、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fのそれぞれは具体的に企図されており、A、B、およびC;D、E、およびF;ならびに組み合わせ例A−Dの開示から開示されていると見なされるべきである。同様に、これらの任意の部分集団または組み合わせも具体的に企図されかつ開示されている。したがって、例えばA−E、B−F、およびC−Eの部分群が具体的に企図されており、A、B、およびC;D、E、およびF;ならびに組み合わせ例A−Dの開示から開示されていると見なされるべきである。この概念は、開示される組成物を作製および使用する方法における工程を含むがこれに限定されない、本開示のすべての態様に適用される。したがって、実施され得る種々の付加的工程がある場合、これらの付加的工程のそれぞれを、開示される方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせを用いて実施することができ、かつそれぞれのそのような組み合わせは具体的に企図されており、開示されていると見なされるべきと理解される。
【0026】
本明細書に開示される固有粘度測定は、クロロホルム中0.5g/dLの濃度で調製されたポリマー溶液から、30℃で行われた。
【0027】
放出制御システムの分解プロファイルまたは分解速度は、該放出制御システムの化学的組成によって影響を受け得る。例えば、放出制御システム内へ親水性単位を導入することは、典型的に、親水性単位のない放出制御システムと比較して、より高速な水の取込み、ゆえに放出制御システムのより高速な分解を引き起こす。同様に、エステル結合を有する放出制御システムは、典型的に、より不安定なエステルの存在のために、アミド結合を有する放出制御システムよりも高速に分解する。さらなる例では、酸性末端基を有する放出制御システムは、典型的に、より高い極性の酸性末端基によって誘導される、より多くの水の取込みのために、エステル末端基を有する微粒子(micparticle)よりも高速に分解する。
【0028】
一態様において、本開示は、放出制御システム内に異なる機能性単位を導入し、それによって該放出制御システムの分解特性を調整するための方法に関する。一般に、放出制御システムは、微粒子、インプラント型デバイス、または薬剤を積んだポリマー棒などの薬剤送達システムを含むがこれらに限定されない、多種多様な放出システムであってよい。さらなる態様において、放出制御システムを構成するポリマーを形成する際に用いられる重合開始剤を使用して、官能基を放出制御システム内に導入する。開始剤は、典型的に、別の方法では(すなわち、開始剤なしでは)起こらないであろう、または開始剤なしではゆっくりと起こるであろう化学反応を誘起する。一態様において、開始剤は、ポリマー骨格の非反復単位としてまたはポリマーの末端基として、化学残基を残すことができる。
【0029】
一態様において、本明細書に開示されるように、混合物中のポリマーが、異なる少なくとも1つの非反復単位を有するポリマー混合物を用いることによって、放出制御システムの分解特性を調整することができる。したがって、一態様において、放出制御システムを形成するために用いられるポリマーの混合物は、それぞれのポリマーを独立して用いて放出制御システムを生成する場合とは異なった形で放出制御システムの分解特性に影響を及ぼす。
【0030】
一般に、少なくとも2種の異なる開始剤を含む開始剤組成物を用いることによって、ポリマーの混合物を提供することができる。それぞれの開始剤の種類によって、ポリマーの骨格中または末端基上に、対応する非反復単位が提供される。したがって、少なくとも2種の開始剤を含む開始剤組成物を用いる場合、結果として生じるポリマー混合物は、少なくとも1つの異なる非反復単位、例えば末端基、またはポリマー骨格の非反復単位を有するポリマーを含むことになる。
【0031】
一態様において、ポリマー混合物は、a)モノマー組成物を提供すること;ならびにb)該モノマー組成物を、第一の開始剤および該第一の開始剤とは異なる第二の開始剤を含む少なくとも2種の開始剤と接触させ、それによってポリマー混合物を形成することによって提供され得る。
【0032】
一般に、モノマー組成物は、任意の適切なモノマーを含んでいてよい。一態様において、モノマー組成物は、開環重合によって重合させ得る環状モノマーを含む。一態様において、モノマー組成物は、少なくとも2種以上のモノマータイプ、例えばモノマーおよびコモノマー、または3種のモノマータイプ、またはそれ以上のものを含む。さらなる態様において、モノマー組成物は、環状エーテル、環状エステル、環状カーボネート、またはそれらの混合物を含む。したがって、一態様において、結果として生じるポリマー混合物は、ポリ(環状エーテル)、ポリ(環状エステル)、ポリ(環状カーボネート)、またはそれらの混合物を含む。
【0033】
環状エーテルは、存在する場合、重合させ得る任意の環状エーテルであってよい。一態様において、環状エーテルは、随意にその中に1個以上の他のヘテロ原子を有する、その中にエーテルを含む任意の環であってよい。一実態様において、環状エーテルは、2〜8個の炭素、または2〜6個の炭素、または2〜4個の炭素を含む。
【0034】
環状エステルは、存在する場合、重合させ得る任意の環状エステルであってよい。一態様において、環状エステルは、随意にその中に1個以上の他のヘテロ原子を有する、その中にエステルを含む任意の環であってよい。一態様において、環状エステルは、2〜8個の炭素、または2〜6個の炭素、または2〜4個の炭素を含む。さらなる態様において、環状エステルは、以下の式によって表される構造を有し、
【化1】


式中、RおよびRは、それぞれm個の置換基を含むものであって、それぞれの置換基は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、または1〜12個の炭素を有する随意に置換された有機残基を含み;mは1〜8の整数である。そのような環状エステルの具体的な限定しない例は、式:
【化2】


によって表される構造を有する、随意に官能基化されたカプロラクトンである。
【0035】
一態様において、モノマー組成物がカプロラクトンを含む場合、かつ一方の開始剤がモノマー組成物において重合を開始し得る2つより多い官能性を含む場合、他方の開始剤は、モノマー組成物において重合を開始し得る単官能性または二官能性の開始剤を含まない。本文脈で使用するとき、「官能性の」という用語は、重合を開始し得る開始剤上の基を表す。カプロラクトン重合のための多官能性の開始剤の例は、トリオール、またはより多価なアルコール、例えばペンタエリスリトールなどである。したがって、この例では、カプロラクトンが存在する場合、かつペンタエリスリトールが存在する場合、他方の開始剤は、モノマー組成物において重合を開始し得る単官能性の開始剤(例えば、エタノール)または二官能性の開始剤(例えば、1,2−エタンジオール)を含まない。しかしながら、別の態様において、カプロラクトンが存在する場合、かつ一方の開始剤がモノマー組成物において重合を開始し得る2つより多い官能性を含む場合、他方の開始剤は、モノマー組成物において重合を開始し得る2つより多い官能性を有する開始剤を含んでいてよい。したがって、例としてペンタエリスリトールを再度用いると、モノマー組成物は、カプロラクトン、ならびに開始剤のペンタエリスリトール、およびトリオール、例えば2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオールを含んでいてよい。
【0036】
別の態様において、モノマー組成物がラクトンを含む場合、かつ一方の開始剤がモノマー組成物において重合を開始し得る3つ以上の官能性を含む場合、そのとき他方の開始剤は、前述のように、モノマー組成物において重合を開始し得る単官能性または二官能性の開始剤を含まない。
【0037】
さらなる態様において、開始剤は、すべて独立して、モノマー組成物において重合を開始し得る1つの官能性を有していてよい。一態様において、開始剤は、すべて独立して、モノマー組成物において重合を開始し得る1つのみの官能性を有していてよい。別の態様において、開始剤は、すべて独立して、モノマー組成物において重合を開始し得る1つまたは2つの官能性を有する。少なくとも1種の開始剤が別のものとは異なるという条件で、開始剤は同じであっても異なってもよいということも理解される。さらに別の態様において、モノマー組成物は1種のモノマータイプを含む。例えば、モノマー組成物は1種のみのモノマーを含んでいてよい。
【0038】
さらなる態様において、環状エステルは、存在する場合、重合させ得る環状ジエステルであってよい。一態様において、環状ジエステルは、随意にその中に1個以上の他のヘテロ原子を有する、その中に少なくとも2つのエステルを含む任意の環であってよい。一態様において、環状ジエステルは、2〜8個の炭素、または2〜6個の炭素、または2〜4個の炭素を含む。さらなる態様において、環状ジエステルは、ラクチドまたはグリコリドであってよい。L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがこれらに限定されない、ラクチドのすべてのラセミ形態および立体特異的形態を含む、任意のラクチドまたはグリコリド残基を用いることができる。特定の態様において、モノマー組成物は、ラクチド、グリコリド、またはそれらの組み合わせを含む。
【0039】
一態様において、モノマー組成物は1種以上のモノマーを含んでいてよい。コポリマーを使用に所望する場合、2種以上のモノマーを同じポットの中で重合させて、例えばランダムコポリマーを生成することができる。別の態様において、ブロックもしくはブロッキー(blocky)コポリマーを所望する場合、開始剤を用いることによって1種のモノマーを重合させることができ、一方で第一のモノマーの「生きた」ポリマー鎖が形成された後に、第二のモノマーをある位置に加えることができる。同様に、付加的ポリマーをポリマー上にグラフトすることができ、あるいはモノマーを付着させることができ、かつ該モノマーをポリマー骨格、側鎖、または末端基から重合させることができる。
【0040】
商業的供給源を介して、または当該技術分野において公知であるモノマーを作製するための合成方法によって、モノマー組成物を提供することができる。
【0041】
モノマー組成物を、第一の開始剤および該第一の開始剤とは異なる第二の開始剤を含む少なくとも2種の開始剤と接触させることによって、モノマー組成物を重合させることができる。一態様において、ポリマー混合物中のポリマーを環状モノマーから生成する場合、随意に存在している触媒(例えば、オクタン酸第一スズなどの遷移金属触媒)とともに開始剤を用いることによって環状モノマーを開環させて、ポリマー混合物を生成することができる。一態様において、第一および第二のポリマーを1ポットの中で生成して、第一および第二のポリマーを含むポリマー混合物を生成する。ある態様において、例えば、モノマー組成物、第一の開始剤、および第二の開始剤は一つの容器内に存在する。他の態様において、それぞれのポリマーを別々に生成し、次いで混和させて、ポリマー混合物を提供することができる。
【0042】
重合の方法に依存して、任意の適切な開始剤を用いることができる。一態様において、第一および/または第二の開始剤は求核剤である。一般に、任意の求核剤を用いることができる。一態様において、求核剤の一部は、ポリマーの少なくとも1つの非反復単位、例えば末端基、またはポリマー骨格の非反復単位として、ポリマー上にとどまる。したがって、一態様において、第一および第二のポリマーの非反復単位の所望の組成に基づいて、求核剤の選択を行うことができる。一態様において、第一または第二の開始剤は、水、ヒドロキシル酸、アルコール、アミン、またはチオールのうちの1つ以上を含む。第一または第二のポリマーを環状エーテル、環状エステル、環状カーボネート、またはそれらの混合物から作製する場合、第一および/または第二の開始剤は、水、ROH、RNH、RN=H、RSHのうちの1つ以上であってよく、Rは1〜18個の炭素を含む随意に置換された有機残基である。
【0043】
第一および/または第二の開始剤がROH、RNH、RN=H、またはRSHである場合、Rは、限定することなく、随意に置換されたアルカンまたはヘテロアルカン、随意に置換されたアルケンまたはヘテロアルケン(heteralkene)、随意に置換されたアルキンまたはヘテロアルキン(heteralkyne)、随意に置換されたシクロアルカンまたはヘテロシクロアルカン、随意に置換されたシクロアルケンまたはヘテロシクロアルケン、随意に置換されたシクロアルキンまたはヘテロシクロアルキン、随意に置換されたアリールまたはヘテロアリール(heteraryl)を含んでいてよい。
【0044】
一態様において、第一および/または第二の開始剤は、二官能性または多官能性(すなわち、多求核性)の開始剤、つまり、重合を開始し得る1個より多い求核性原子を有する開始剤であってよい。したがって、例えば、第一および/または第二の開始剤は、Nu−ROH、Nu−RNH、Nu−RN=H、Nu−RSHを含んでいてよく、Nuは、アルコール(alchohol)、アミン、イミド、チオール等を含むがこれらに限定されない、任意の求核剤であってよい。本明細書において使用するとき、アルコール、アミン、イミド、およびチオールには、ジオール、ジアミン、ジイミド、ジチオール、トリオール、トリアミン、トリイミド、より多価なアルコール、アミン、イミド、およびチオール、ならびにそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、単官能性および多官能性の両方のアルコール、アミン、イミド、チオール、およびそれらの組み合わせが含まれる。一態様において、多官能性の開始剤、例えばペンタエリスリトールを用いることができる。
【0045】
さらなる態様において、第一および/または第二の開始剤は、ヒドロキシル酸、水、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、ドデカノール(docecanol)、フェノール、1,6−ヘキサンジオール、1−4ブタンジオール、ラウリルアルコール、グリセロール、ペンタエリスリトール(penterythitol)、グルコース、デキストロース、スクロース、グリコール酸、乳酸、チロシン、一もしくは二アルコール官能基化ポリ(エチレングリコール)(PEG)、1−アミノヘキサン、1,6−ジアミノヘキサン、またはアミノ酸、例えばグリシンまたはアルギニンのうちの1つ以上を含む。
【0046】
特定の態様において、第一または第二の開始剤は、水、1−ドデカノール、ヘキサンジオール、乳酸、グリコール酸、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。別の特定の態様において、第一または第二の開始剤は、1−アミノヘキサン、1,6−ジアミノヘキサン、グリシン、またはアルギニンのうちの1つ以上を含む。さらなる特定の態様において、第一または第二の開始剤は、水およびアルコールを含む。別の特定の態様において、第一または第二の開始剤は、ヒドロキシル酸およびアルコールを含む。別の特定の態様において、第一または第二の開始剤は、水酸基末端ポリ(エチレングリコール)(PEG)およびアルコールを含む。別の特定の態様において、第一または第二の開始剤は、水酸基末端ポリ(エチレングリコール)(PEG)および水を含む。
【0047】
存在する開始剤のうちの少なくとも2種が異なるという条件で、前述の開始剤のうちの任意の2種以上を用いて、モノマー組成物の重合を開始することができる。開示される方法によって提供されるポリマー混合物も開示する。開示される方法によって提供されるポリマー混合物から作製される放出制御システムも開示する。一態様において、該ポリマーは医学的用途に用いるためのものである。
【0048】
一般に、前記に開示された方法によってまたは他の方法によって、ポリマー混合物を作製することができる。そのため、開示されるポリマー混合物は、生成方法によって限定されない。前述のように、ポリマー混合物は、一般に、ポリマー骨格および1つ以上の非反復単位を有する第一のポリマー、ならびにポリマー骨格および1つ以上の非反復単位を有する第二のポリマーを含むものであって;該第一のポリマーの少なくとも1つの非反復単位は、該第二のポリマーの少なくとも1つの非反復単位とは異なる。
【0049】
前述のように、非反復単位は、ポリマーの分解プロファイルまたは分解速度を変化させ得る。混合物中のポリマーの骨格は、同じであっても異なってもよい。その目的のために、一態様において、第一および第二のポリマーはモノマー前駆体を共有する。さらなる態様において、少なくとも2つのモノマーに対して異なる開始剤を用いて、同じモノマーからポリマーを生成する。したがって、一態様において、第一のポリマーのポリマー骨格は、第二のポリマーのポリマー骨格と実質的に同じである。さらなる態様において、第一および第二のポリマーは同じポリマー骨格を有する。
【0050】
「ポリマー骨格」という用語は、反復残基を含むポリマーの一部または複数部分を意味する。明らかであるように、ポリマー骨格は、反復残基を中断する非反復単位を含んでいてよい。具体的な限定しない例のために、以下のポリ(ラクチド)のポリマー骨格および非反復単位をラベル表示する。
【化3】


この例から分かるように、非反復単位は末端基であってもよい。したがって、一態様において、非反復単位は、ポリマーの反復部分を終結させる単位である。
【0051】
第一のポリマーの1つ以上の非反復単位は、第二のポリマーの1つ以上の非反復単位とは異なってもよい。一態様において、第一のポリマーの1つの非反復単位は、第二のポリマーの1つの非反復単位とは異なる。前述のように、非反復単位は、末端基またはそれ自体がポリマー骨格の非反復単位であってもよい。したがって、一態様において、第一のポリマーの少なくとも1個の末端基は、第二のポリマーの少なくとも1個の末端基とは異なる。さらなる態様において、第一のポリマーの1個の末端基は、第二のポリマーの1個の末端基とは異なる。同様に、一態様において、第一のポリマーの骨格中の少なくとも1つの非反復単位は、第二のポリマーの骨格中の少なくとも1つの非反復単位とは異なる。さらなる態様において、第一のポリマーの骨格中の1つの非反復単位は、第二のポリマーの骨格中の1つの非反復単位とは異なる。
【0052】
ポリマーは、ブロックもしくはブロッキー・コポリマーもしくはターポリマー、ランダム・コポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、テレケリックポリマー、またはデンドリマーを含むがこれらに限定されない、ホモポリマーまたはコポリマーであってよい。ポリマー混合物から形成される放出制御システムの所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを用いることができる。ある態様において、高強度の放出制御システムを所望する場合、高分子量のポリマーを用いて、例えば強度要件を満たすことができる。他の態様において、例えば、材料強度よりもむしろポリマーの吸収時間を所望する場合、低分子量または中間分子量のポリマーを用いることができる。一態様において、第一および/または第二のポリマーのうちの一方はより高分子量のポリマーであってよく、かつもう一方のポリマーはより低分子量のポリマーであってよい。さらに、第一および第二のポリマーを含むポリマー混合物中に、他のポリマーおよび/または添加物が存在してもよいことが理解される。
【0053】
第一および第二のポリマーは、その中の非反復単位の間で少なくとも1つの相違を有する任意のポリマーであってよい。一態様において、第一および/または第二のポリマーは、前記に開示されたモノマーから生成されるポリマーである。したがって、一態様において、第一および/または第二のポリマーは、ポリ(環状エーテル)、ポリ(環状エステル)、ポリ(環状カーボネート)、またはそれらの混合物を含む。
【0054】
一態様において、ポリ(環状エステル)は、以下の式によって表される構造を有し、
【化4】


式中、R、R、およびmは前記に定義されるものであって、Rは末端基であり、nは反復単位の数である。したがって、前記のポリ(環状エステル)の非反復単位は、R−、および−CO(CR−OHである。そのようなポリ(環状エステル)の具体的な限定しない例は、以下の式によって表される構造を有する、随意に官能基化されたカプロラクトンであり、
【化5】


式中、Rは末端基であり、nは反復単位の数である。
【0055】
一態様において、第一のポリマーが3本以上のアームを有するポリ(カプロラクトン)ホモポリマーである場合、第二のポリマーは3本未満のアームを有するポリ(カプロラクトン)ホモポリマーではない。したがって、例えば、第一のポリマーが以下の式によって表される構造を有し、
【化6】


式中、p(CL)はポリ(カプロラクトン)であり;かつRは末端基である場合、第二のポリマーは3本未満のアームを有するポリ(カプロラクトン)ホモポリマー、例えば、式:
【化7】


[式中、Rは末端基であり;かつnは反復単位の数である]によって表される構造を有するポリマーではない。
【0056】
さらなる態様において、第一のポリマーが3本以上のアームを有するポリ(ラクトン)ホモポリマーである場合、そのとき第二のポリマーは3本未満のアームを有するポリ(ラクトン)ホモポリマーではない。
【0057】
一態様において、第一および第二のポリマーは線状ポリマーである。さらなる態様において、第一および第二のポリマーは1本または2本のアームを有する。なおさらなる態様において、第一および第二のポリマーはコポリマーである。第一および第二のポリマーは異なってよく、例えば、一方は線状であってよく、一方で、もう一方は2本のアーム有する、等である。
【0058】
具体的な限定しない例またはポリマー間で異なる少なくとも1つの非反復単位を有するポリマー混合物は、以下の2つのポリマーを任意の所望の比率(例えば、50/50)で含むポリマー混合物であり、
【化8】


、および
【化9】


式中、nは反復単位の数である。上記の具体的な例において、両方のポリマーは同じポリ(ラクチド)骨格を有する。同様に、両方のポリマーはアルコールに基づく末端基を有する。しかしながら、示されているように、ポリマーのもう一方の末端基は異なる。具体的には、一方のポリマーはカルボン酸末端を有するが、もう一方のポリマーはエステル末端基を有する。例えば、ラクチドモノマーを含むモノマー組成物を、1)乳酸開始剤、および2)1−ドデカノール開始剤を用いて重合させることによって、前記の混合物を提供することができることは明白であろう。それぞれの開始剤から生成されるポリマーの量およびポリマーの分子量は、一般に、用いられた開始剤:開始剤の比率およびモノマー:開始剤の比率に依存する。
【0059】
二官能性(求核性)または多官能性(求核性)の開始剤を用いる場合、結果として生じるポリマー混合物は、2つ以上のポリマー間で異なる少なくとも1つのポリマー骨格の非反復単位(すなわち、反復単位を中断する残基)を有し得ることは明白であろう。したがって、一態様において、ポリマーの末端基は同じであるが、該ポリマーは少なくとも1つの異なるポリマー骨格の非反復単位を有する。多求核性の開始剤を用いる場合、結果として生じるポリマーは、星型ポリマーまたはデンドリマーを含むがこれらに限定されない、分岐したポリマーであってよい。
【化10】


、および
【化11】


[式中、nは反復単位の数である]。
【0060】
第一および第二のポリマー間で異なる非反復単位は、用いられた開始剤の構造上の種々の態様に依存して、任意の構造を有し得る。一態様において、異なる非反復単位は、前記に開示された開始剤に由来するものである。したがって、種々の態様において、異なる非反復単位は、アルコール、エステル、チオール、カルボン酸、アミン、アミド、イミド等を含み得る。
【0061】
開始剤を使用することによる以外で、ポリマーの非反復単位を変化させて、開示するポリマー混合物を提供することができる。一態様において、クエンチャーを用いて重合を終結させ、それによって該クエンチャーの残基、例えば末端基をポリマー上に残すことができる。同様の態様において、モノマー、開始剤、またはクエンチャーが、ポリマーの非反復単位を生成し得る官能基を有する場合、非反復単位を官能基化して、別の異なる非反復単位を提供することが可能であり得る。一態様において、例えば、それぞれのポリマーを別々に生成し、1つ以上の該ポリマーの非反復単位を重合後修飾し、次いでポリマーを混ぜ合わせて、開示する混合物を提供する。任意の開示されるポリマー混合物において、非反復単位形成のための前記のシナリオの任意の組み合わせを用いて、ポリマー混合物を提供することができることは理解されるべきである。
【0062】
一態様において、第一のポリマーはエステルを含む末端基を有し、かつ第二のポリマーはカルボン酸を含む末端基を有する。別の態様において、第一のポリマーはポリ(エチレングリコール)を含む末端基を有し、かつ第二のポリマーはエステルを含む末端基を有する。さらなる態様において、第一のポリマーはポリ(エチレングリコール)を含む末端基を有し、かつ第二のポリマーはカルボン酸を含む末端基を有する。なおさらなる態様において、第一または第二のポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、またはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)である。
【0063】
本明細書に開示されるポリマーは、ブロックもしくはブロッキーコポリマー、ランダムコポリマー、ブロックターポリマー、ブロッキーターポリマー、またはランダムターポリマーを含むが、これらに限定されないコポリマーであることもできる。一態様において、第一および/または第二のポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの混合物を含む別の生体適合性(biocompabible)または生分解性ポリマーの1つ以上のブロックとともに、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶性ポリマーの1つ以上のブロックを含んでいてよい。
【0064】
生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変化し得る。さらなる態様において、生分解性ポリマーは、0〜100モル%、40〜100モル%、50〜100モル%、60〜100モル%、70〜100モル%、または80〜100モル%のラクチド、および0〜100モル%、0〜60モル%、10〜40モル%、20〜40モル%、または30〜40モル%のグリコリドを含有するものであって、ラクチドおよびグリコリドの総量は100モル%である。さらなる態様において、生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、または50:50のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であってよく、比率はモル比である。
【0065】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってよい。一態様において、ポリマーはポリ(ラクチド−カプロラクトン)であってよく、種々の態様において、95:5のポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15のポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25のポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35のポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50のポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってよく、比率はモル比である。
【0066】
特定の態様において、本発明のポリマー混合物は、重合開始剤の以下の混合物を用いた、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの任意の組み合わせの重合によって調製された2つ以上の異なるポリマーを含んでいてよい:(1−ドデカノールおよびグリコール酸)、(1−ドデカノールおよびグリコール酸メチル)、(1−ドデカノールおよびmPEG−2,000)、または(1−ドデカノールおよびグリコール酸エチル)。
【0067】
さらなる特定の態様において、本発明のポリマーは、重合開始剤の以下の混合物を用いた、ラクチドおよびグリコリドの両方の重合によって調製されたポリマーであってよい:(1−ドデカノールおよびグリコール酸)、(1−ドデカノールおよびグリコール酸メチル)、(1−ドデカノールおよびmPEG−2,000)、または(1−ドデカノールおよびグリコール酸エチル)。重合開始剤は、本明細書において非反復単位と呼ばれるものを形成する。
【0068】
前述のポリマーの任意の組み合わせ、すなわちそれらのコポリマー、それらの混合物、またはそれらの混成物を含むが、これらに限定されないものを用いることができることが理解される。同様に、ポリマーの残基が開示されている場合、開示される残基を含む任意の適切なポリマー、コポリマー、混合物、または混成物も開示されていると見なされることが理解される。その目的のために、多数の残基が個々に(すなわち、別のものと組み合わせずに)開示されている場合、該個々の残基の任意の組み合わせを用いることができると理解される。
【0069】
ポリマー混合物から作製される放出制御システムも開示する。前述のように、放出制御システムは、例えば微粒子、インプラント型デバイス、または薬剤を積んだポリマー棒などの薬剤送達システムなどの任意の放出制御システムであってよい。
【0070】
一態様において、放出制御システムは微粒子である。一般に、微粒子は、開示されるポリマー混合物から作製される任意の適切な微粒子であってよい。一態様において、微粒子は、適切な生体適合性および生分解性または非生分解性のポリマーを含む。一態様において、生物活性剤を微粒子内にカプセル化する。一態様において、生物活性剤を微粒子と会合させる。
【0071】
一態様において、ポリマー混合物を形成する方法は、ポリマー混合物から微粒子を形成することをさらに含む。さらなる態様において、ポリマー混合物を形成する方法は、ポリマー混合物および生物活性剤を含む混和物を形成すること;ならびに該混和物から微粒子を形成することをさらに含む。なおさらなる態様において、微粒子を作製するための方法は、a)骨格と少なくとも1つの非反復単位を有する第一のポリマー、および骨格と少なくとも1つの非反復単位を有する第二のポリマーを含むポリマー混合物であって、該第一のポリマーの少なくとも1つの非反復単位は、該第二のポリマーの少なくとも1つの非反復単位とは異なるポリマー混合物を提供すること;ならびにb)該ポリマー混合物から微粒子を形成することを含む。随意に、生物活性剤または他の物質(例えば、促進剤、光活性剤、等々)をポリマー混合物と混和させてもよい。その後、該混和物から微粒子を形成することができる。種々の態様において、そのような方法によって、その中に放出可能な薬剤を有する微粒子を提供することができる。したがって、一態様において、微粒子に、放出可能な薬剤、例えば生物活性剤または他の放出可能な物質などをカプセル化する。
【0072】
生分解性ポリマーを用いる場合、対象中にいったん存在すると所望の時間間隔の範囲内で分解するように微粒子を製剤することができる。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満〜約1ヶ月であってよい。例えば、約≧0〜約6ヶ月または約1ヶ月〜約6ヶ月で分解するポリマーマトリックスを含む、より長い間隔を6ヶ月まで延ばすことができる。他の態様において、ポリマーは、例えば約≧0〜約2年または約1ヶ月〜約2年を含む、最高2年またはそれ以上のより長い時間間隔で分解し得る。開始剤、ならびに/あるいは第一および/または第二のポリマーの末端基の選択によって、微粒子の分解プロファイルに影響を及ぼすことができることが理解されるであろう。
【0073】
一態様において、放出制御システムは生物活性剤を含む。所望の放出プロファイルの下で、生物活性剤を放出制御システムから放出させることができる。一態様において、所望の放出プロファイルは、ポリマーの選択に影響を与え得る。例えば、放出制御システムを対象に投与した後の所望の経過時間で、生物活性剤を放出するまたはそこからの生物活性剤の放出が可能となるように、生体適合性ポリマーを選択することができる。例えば、生物活性剤がその活性を失い始める前に、生物活性剤が活性を失い始めるにつれて、生物活性剤が部分的に活性を失った時に、例えば少なくとも25%、少なくとも50%、または少なくとも75%失った時に、生物活性剤が実質的に活性を失った時に、あるいは生物活性剤が完全になくなるまたはもはや活性を持たない時に、生物活性剤を放出するまたは生物活性剤の放出が可能となるように、ポリマーを選択することができる。
【0074】
一般に、放出プロファイルは、生物活性剤を用いる治療に依存して、任意の所望の放出プロファイルであってよい。さらなる態様において、放出プロファイルは、制御放出、長期放出、調節放出、持続放出、パルス放出、遅延放出、または周期的放出を含むプログラム放出のうちの1つ以上である。
【0075】
一態様において、放出制御システムを、放出制御システムの分野において用いられる任意の他のポリマーと随意に組み合わせて、前述の任意のポリマーから構成することができる。一般に、前述の第一および第二のポリマーをある程度まで架橋することができ、当該技術分野において公知であるように、それによって該ポリマーの放出制御システムを形成することができる。
【0076】
放出制御システムが微粒子である場合、微粒子は約20ミクロン〜約125ミクロンの平均的または平均粒径を有し得る。一態様では、平均粒径の範囲は、約40ミクロン〜約90ミクロンである。別の態様では、平均粒径の範囲は、約50ミクロン〜約80ミクロンである。当業者に公知のレーザー回折技術によって、粒径分布を測定する。
【0077】
さらなる態様において、生物活性剤を、微粒子内にカプセル化、マイクロカプセル化、または他の方法で包含させることができる。微粒子は、生物活性剤の放出を調節することができる。微粒子は、任意の所望の量の生物活性剤を含んでいてよい。例えば、微粒子は、微粒子の重量に対して、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%重量(開示されるパーセンテージの間の任意の範囲を含む)の生物活性剤を含んでいてよい。
【0078】
例えば、微粒子の調製方法についての教示のために、そのどちらもこの参照によりその全体として本明細書に組み入れられている、2007年8月16日に公開されたZeigersonに対する米国特許公報第2007/0190154号、およびTiceらに対する米国特許第5,407,609号を含む、当該技術分野において公知の方法を用いて微粒子を作製することができる。明らかであるように、加工条件に依存して、混和工程における出発材料として用いるポリマーは、最終的な放出制御システムに存在するポリマーと同じであってもそうでなくてもよい。例えば、ポリマーは加工の間に重合反応または解重合反応を受けてもよく、それによって加工前に用いたものとは異なるポリマーを最終的に生成することができる。したがって、本明細書において使用する、「ポリマー」という用語は、出発材料として用いるポリマー、ならびに本明細書に記載される方法によって生成されるデバイス中に存在する最終的なポリマーを網羅する。放出制御システムを作製するための方法を、前述の乾燥方法および乾燥(dyring)パラメーターとともに用いることができる。
【0079】
放出制御システムから対象の隣接組織または流体内に放出され得る、種々の形態の生物活性剤を用いることができる。その目的のために、本明細書に記載される放出制御システム内に、液体または固体の生物活性剤を取り込むことができる。生物活性剤は、少なくともごくわずかに水溶性、好ましくは適度に水溶性である。生物活性剤は、活性成分の塩を含んでいてよい。そのため、生物活性剤は、酸性、塩基性、または両性の塩であり得る。それらは、非イオン性分子、極性分子、または水素結合し得る分子複合体であり得る。生物活性剤を、例えば非荷電性分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミド、ポリマードラッグ接合体、または他の形態の形態で組成物中に含ませて、有効な生物学的または生理学的活性を提供することができる。
【0080】
本明細書におけるシステム内に取り込ませる生物活性剤の例には、ペプチド、例えばホルモン、酵素、抗体等のタンパク質、例えばアプタマー、iRNA、DNA、RNA、アンチセンス核酸等の核酸、アンチセンス核酸アナログ等、低分子量化合物、または高分子量化合物が含まれるが、これらに限定されない。開示される微粒子における使用を企図される生物活性剤には、同化剤、制酸剤、抗喘息薬、抗コレステロール剤および抗脂質剤、抗凝固剤、抗痙攣薬、下痢止め薬、抗嘔吐薬、抗菌剤および抗微生物剤を含む抗感染薬、抗炎症薬、抗躁病薬、代謝拮抗剤、抗催吐剤、抗新生物薬、抗肥満薬、解熱薬および鎮痛薬、鎮痙薬、抗血栓薬、鎮咳薬、抗尿酸血剤、抗狭心症薬、抗ヒスタミン剤、食欲抑制剤、生物製剤、脳血管拡張剤(cerebral dilator)、冠動脈拡張剤、気管支拡張剤(bronchiodilator)、細胞毒性薬、充血除去剤、利尿薬、診断用薬剤、赤血球生成剤、去痰薬、胃腸鎮静剤、血糖上昇剤、睡眠薬、血糖降下剤、免疫調節剤、イオン交換樹脂、緩下剤、ミネラルサプリメント、粘液溶解薬、神経筋薬、末梢血管拡張剤、向精神薬、鎮静剤、刺激剤、甲状腺薬および抗甲状腺薬、組織増殖剤、子宮弛緩薬、ビタミン、または抗原性物質が含まれる。
【0081】
他の生物活性剤には、アンドロゲン阻害剤、多糖、増殖因子(例えば、血管内皮細胞増殖因子−VEGF)、ホルモン、抗血管新生因子、デキストロメトルファン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、塩酸クロフェジアノール、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸フェニンダミン、マレイン酸ピリラミン、コハク酸ドキシラミン、クエン酸フェニルトロキサミン、塩酸フェニレフリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸プソイドエフェドリン、エフェドリン、リン酸コデイン、硫酸コデイン、モルヒネ、ミネラルサプリメント、コレスチラミン(cholestryramine)、N−アセチルプロカインアミド、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、塩酸フェニルプロパノールアミン、カフェイン、グアイフェネシン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、ホルモン、インターフェロン、サイトカイン、およびワクチンが含まれる。
【0082】
放出制御システム中の生物活性剤として用いることができる代表的な薬剤には、ペプチド薬、タンパク質薬、脱感作物質、抗原、例えば抗生物質、抗微生物剤、抗ウイルス物質、抗菌性物質、抗寄生虫物質、抗真菌性物質、およびそれらの組み合わせなどの抗感染薬、抗アレルギー薬、アンドロゲン性ステロイド、充血除去剤、睡眠薬、ステロイド性抗炎症剤、抗コリン剤、交感神経様作用薬、鎮静剤、縮瞳薬、精神賦活剤、精神安定剤、ワクチン、エストロゲン、黄体ホルモン剤、体液性薬剤、プロスタグランジン、鎮痛剤、鎮痙薬、抗マラリア薬、抗ヒスタミン剤、心臓作用薬、非ステロイド性抗炎症剤、抗パーキンソン病薬、抗高血圧薬、β−アドレナリン遮断薬、栄養物質、ならびにベンゾフェナントリジンアルカロイドが含まれるが、これらに限定されない。薬剤は、さらに、刺激剤、鎮静剤、睡眠薬、鎮痛剤、抗痙攣薬等として作用し得る物質であってもよい。
【0083】
放出制御システムは、単独でまたは組み合わせて、多数の生物活性剤を含んでいてよい。他の生物活性剤には、例えばアセトアミノフェン、アセチルサリチル酸等;麻酔薬、例えばリドカイン、キシロカイン等の鎮痛剤、例えばデキサドリン、酒石酸フェンジメトラジン等の食欲減退薬、例えばメチルプレドニゾロン、イブプロフェン等の抗関節炎薬、例えば硫酸テルブタリン、テオフィリン、エフェドリン等の抗喘息薬、例えばスルフィソキサゾール、ペニシリンG、アンピシリン、セファロスポリン系、アミカシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン系、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、イソニアジド、リファンピン等の抗生物質、例えばアンホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール等の抗真菌剤、例えばアシクロビル、アマンタジン等の抗ウイルス剤、例えばシクロホスファミド、メトトレキサート、エトレチナート等の抗癌剤、例えばヘパリン、ワルファリン等の抗凝固剤、例えばフェニトインナトリウム、ジアゼパム等の抗痙攣薬、例えばイソカルボキサジド、アモキサピン等の抗うつ剤、例えば塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤、例えばインシュリン、プロゲスチン、エストロゲン、コルチコイド、糖質コルチコイド、アンドロゲン等のホルモン、例えばソラジン、ジアゼパム、塩酸クロルプロマジン、レセルピン、塩酸クロルジアゼポキシド等の精神安定剤、例えばベラドンナアルカロイド、塩酸ジサイクロミン等の鎮痙薬、例えば必須アミノ酸、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、ビタミンB12等のビタミンおよびミネラル、例えば塩酸プラゾシン、ニトログリセリン、塩酸プロプラノロール、塩酸ヒドララジン、パンクレリパーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ等の心血管作動薬、例えばLHRH、ソマトスタチン、カルシトニン、成長ホルモン、グルカゴン様ペプチド、成長放出因子、アンジオテンシン、FSH、EGF、骨形態形成タンパク質(BMP)、エリスロポエチン(erythopoeitin)(EPO)、インターフェロン、インターロイキン、コラーゲン、フィブリノゲン、インシュリン、第VIII因子、第IX因子、Enbrel(登録商標)、Rituxam(登録商標)、Herceptin(登録商標)、α−グルコシダーゼ、Cerazyme/Ceredose(登録商標)、バソプレシン、ACTH、ヒト血清アルブミン、γ−グロブリン、構造タンパク質、血液製剤タンパク質、複合タンパク質、酵素、抗体、モノクローナル抗体等のペプチドおよびタンパク質、プロスタグランジン、核酸、炭水化物、脂肪、例えばモルヒネ、コデイン等の麻薬、精神治療薬、抗マラリア薬、L−ドーパ、例えばフロセミド、スピノラクトン等の利尿薬、例えば塩酸ラニチジン(rantidine HCl)、塩酸シメチジン等の抗潰瘍薬が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
生物活性剤は、例えばサイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子等を含む免疫調節剤、例えばネコの鱗屑、カバノキの花粉、イエダニ、草の花粉等のアレルゲン、例えば肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyrogenes)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphteriae)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、野兎病菌(Francisella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、らい菌(Mycobacterium leprae)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、レプトスピラ・インテロガン(Leptspirosis interrogans)、ライム病ボレリア(Borrelia burgddorferi)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)等の細菌性微生物の抗原、例えば天然痘、インフルエンザA型およびB型、RSウイルス(respiratory synctial)、パラインフルエンザ、麻疹、HIV、SARS、水痘帯状疱疹、単純ヘルペス1型および2型、サイトメガロウイルス(cytomeglavirus)、エプスタイン・バー、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、ムンプス、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、ウマ脳炎、日本脳炎、黄熱病、リフトバレー熱、リンパ球性脈絡髄膜炎、B型肝炎等のウイルス等の抗原、例えばクリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcuc neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroids)、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia ricketsii)、リケッチア・チフィ(Rickettsia typhi)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、クラミジア・ジッタシ(Chlamyda psittaci)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、トリパノソーマ・ブルーセイ(Trypanasoma brucei)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)等の真菌、原生動物、および寄生生物の抗原であってもよい。これらの抗原は、死菌全体、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、またはそれらの組み合わせの形態であってよい。
【0085】
さらに特定の態様において、生物活性剤は抗生物質を含む。抗生物質は、例えばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、アンサマイシン系、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、カルバセフェム、ロラカルベフ、カルバペネム系、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファロスポリン系(第一世代)、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファレキシン、セファロスポリン系(第二世代)、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セファロスポリン系(第三世代)、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロスポリン系(第四世代)、セフェピム、セファロスポリン系(第五世代)、セフトビプロール、糖ペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、マクロライド系、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、モノバクタム系、アズトレオナム、ペニシリン系、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン、ポリペプチド、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、キノロン系、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、スルホンアミド系、マフェニド、プロントシル(原型)、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルアミド(Sulfanilimide)(原型)、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール)(TMP−SMX)、テトラサイクリン系(デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン等を含む)、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジンアミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファンピシン(米国ではリファンピン)、チニダゾール、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上であってよい。一態様において、生物活性剤は、リファンピシン(米国ではリファンピン)およびミノサイクリンの組み合わせであってよい。
【0086】
ある態様において、生物活性剤は医薬組成物中の成分として存在してよい。医薬組成物を、例えば単位投薬形態または放出制御投薬形態を含む所望の投薬形態で好都合に調製することができ、薬学の技術分野において周知の任意の方法によって調製することができる。一般に、生物活性剤を、液体担体または微粉化した固体担体あるいは両方と均一かつ密接に関連させることによって、医薬組成物を調製する。利用される医薬担体は、例えば固体、液体、または気体であってよい。固体担体の例には、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、シュガーシロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、および水である。気体担体の例には、二酸化炭素および窒素が含まれる。他の医薬上許容可能な担体、または生物活性剤と混合させ得る成分には、例えば脂肪酸、糖類、塩、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、タンパク質、多糖(polysacharride)、またはカルボキシメチルセルロース(carboxmethyl cellulose)など、界面活性剤、可塑剤、高分子量もしくは低分子量の多孔性物質(porosigen)、例えばポリマーまたは塩または糖類など、あるいは疎水性低分子量化合物、例えばコレステロールまたはワックスなどが含まれてよい。
【0087】
放出制御システムを、任意の所望の対象に投与することができる。対象は、例えば哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えばヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモット、または齧歯類であってよい。該用語は、特定の年齢または性別を意味しない。したがって、雌雄にかかわらず、成体および生まれたばかりの対象、ならびに胎児も網羅されることが意図される。
【0088】
ポリマー混合物、あるいはそれから作製される放出制御システムまたは微粒子を含む種々の医療用デバイスも開示する。一態様において、医療用デバイスはインプラント型デバイスである。インプラント型デバイスには、任意の形状、例えば棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、円盤、ウエハー、自由に形成された形状の固体、または種々の他の形状の固体などが含まれてよい。インプラント型デバイスには、例えば薬剤送達ポンプを含む生物活性剤送達用のインプラント;脊椎インプラント、オッセオインテグレーションまたは骨修復のためのインプラントを含む整形外科用インプラント;固有の薬剤送達能を備えたステントを含む医療用ステント;乳房インプラント、筋インプラント等を含む人工装具用インプラント;歯科用インプラント;蝸牛インプラントおよび補聴デバイスを含む耳インプラント;ペースメーカー、カテーテル等々を含む心臓用インプラント;空間充填用インプラント;生体電気インプラント;神経インプラント;透析グラフトを含む内臓用インプラント;除細動器(defribrillator);モニタリングデバイス;記録デバイス;深部脳刺激装置、神経刺激装置、膀胱刺激装置、および隔膜刺激装置を含む刺激装置;埋め込み可能な識別デバイスおよび情報チップ;人工臓器;薬剤投与デバイス;埋め込み可能なセンサー/バイオセンサー;ネジ;チューブ;棒;板;あるいは人工関節が含まれてよい。特定の態様において、医療用デバイスは、例えば、生物活性剤送達デバイスから放出され得る薬剤またはワクチンなどの生物活性剤とともに、ポリマー混合物または放出制御システムを含む放出制御デバイスである。一態様において、放出制御システムは、例えば棒の形状または他の形状のポリマーなど、薬剤を積んだポリマーである。
【実施例】
【0089】
実施例
以下の実施例は、本明細書において記載かつ主張される化合物、組成物、および方法をどのように作製かつ評価するかについての完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されるものであって、かつ純粋に例示であることを意図するものであって、本発明者らが本発明者らの発明と見なすものの範囲を限定することを意図するものではない。数(例えば、量、温度、等々)に関する正確性を確保するための努力はなされているが、いくらかの誤差および偏差は考慮されるべきである。別様に指示のない限り、割合は重量部であり、温度は摂氏温度(℃)においてまたは周囲温度におけるものであり、かつ圧力は大気圧におけるまたはその付近のものである。数々の反応条件の変化および組み合わせ、例えば成分濃度、成分混合物、所望の溶媒、溶媒混合物、温度、圧力、ならびに記載されるプロセスから得られる生成物の純度および収率を最適化するために用いられ得る他の反応範囲および条件が存在する。そのようなプロセスの条件を最適化するために、妥当かつルーチン的実験のみが必要とされる。
【0090】
方法
Bruker製のDPX−300NMRスペクトロメーターを用いて、重水素化クロロホルム中でプロトンNMR分析を行った。
【0091】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、ポリマー分子量を評価した。ポリマーサンプルをクロロホルム中におよそ1mg/mLで溶解し、Viscotek製のGPCマックスモデルVE2001システム上で分析した。3本のWaters製のStyraGel(7.8×300mm)カラム、すなわち1本のHR2カラムおよび2本のHR5Eカラムを連続して用いて、クロマトグラフィーを行った。屈折率(RI)によって検出を行った。ポリスチレン標準物質を使用し、Viscotek製のOmniSECソフトウェアを用いて分析を行った。重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および多分散性指数(polydisperity index)(Pd)として、平均分子量を報告した。分子量をダルトンの単位で報告する。log(分子量)関数として分子量分布を示している図(OmniSECソフトウェアによって作成された図)を提示する。
【0092】
実施例1:1−ドデカノールおよびグリコール酸(モル比1:1)の混合開始剤を用いた75:25のラクチド:グリコリドの重合
ガラス栓および注入アダプターを備えた2口フラスコを、高真空かつ窒素流の下で乾燥させた。乾燥したフラスコに、2種の開始剤の1−ドデカノール64.6μL(0.289ミリモル)およびグリコール酸21.8mg(0.287ミリモル)を、3:1の比率のモノマーラクチド2.00g(13.87ミリモル)およびグリコリド0.537g(4.62ミリモル)とともに室温で加えた。フラスコを、130℃で加熱した油浴に部分的に下ろした。固体が溶解した後に、47μlの2−エチルヘキサン酸スズ(II)/トルエン溶液(5mlのトルエン溶液中に0.2mlの2−エチルヘキサン酸スズ(II),5.8×10−3ミリモル)をピペットで加えた。注入アダプターを取り外し、ガラス栓をした。フラスコを油浴中に完全に浸した。液体を130℃で4時間撹拌した。それを室温まで冷ました後、少量のサンプルをNMRおよびGPC分析のために取り出した。GPC分析の結果を表1に一覧にする。
【0093】
H NMRスペクトルにおいて、5.1〜5.3ppmおよび1.4〜1.7ppmにおけるピークは、ポリマー中のラクチドのメチンプロトンおよびメチルプロトンに起因する。4.4〜4.9ppmにおけるピークは、ポリマー中のグリコリドのプロトンに起因する。5.1ppmおよび1.7ppmにおけるピークは、ラクチドモノマーのプロトンに起因する。すべてのグリコリドが重合し、一部のラクチドは重合しなかった。ポリマー中のラクチド対グリコリドのモル比は、2.4:1である。0.8〜0.9ppmにおけるピークは、1−ドデカノールのメチルプロトンに起因し、1.2〜1.4ppmにおけるピークは、1−ドデカノールのメチレンプロトンに起因する。グリコール酸のピークは、グリコリドのピークと重なり合う。
【0094】
実施例2:1−ドデカノールおよびグリコール酸メチル(モル比1:1)の混合開始剤を用いた75:25のラクチド:グリコリドの重合
本手順は、グリコール酸の代わりにグリコール酸メチル22.3μL(0.289ミリモル)を用いた点を除いては、実施例1と同様である。GPC分析の結果を表1に一覧にする。
【0095】
H NMRスペクトルにおいて、5.1〜5.3ppmおよび1.4〜1.7ppmにおけるピークは、ポリマー中のラクチドのメチンプロトンおよびメチルプロトンに起因する。4.4〜4.9ppmにおけるピークは、ポリマー中のグリコリドのプロトンに起因する。5.1ppmおよび1.7ppmにおけるピークは、ラクチドモノマーのプロトンに起因する。すべてのグリコリドが重合し、一部のラクチドは重合しなかった。ポリマー中のラクチド対グリコリドのモル比は、2.6:1である。0.8〜0.9ppmにおけるピークは、1−ドデカノールのメチルプロトンに起因し、1.2〜1.4ppmにおけるピークは、1−ドデカノールのメチレンプロトンに起因する。3.75〜3.80ppmにおけるピークは、グリコール酸メチルのメチルプロトンに起因する。
【0096】
実施例3:1−ドデカノールおよびメトキシPEG−OH(mPEG−2,000)(モル比1:1)の混合開始剤を用いた75:25のラクチド:グリコリドの重合
ガラス栓および注入アダプターを備えた2口フラスコを、高真空かつ窒素流の下で乾燥させた。メトキシPEG−OH0.578g(MW2000,0.289ミリモル)を室温にて窒素流の下で加えた。フラスコを真空にし、室温で油浴に入れた。油浴を110℃まで加熱した。メトキシPEGを、高真空下、110℃で1.5時間乾燥させた。フラスコを油浴から取り出し、油浴を130℃まで加熱した。乾燥したフラスコに、もう一方の開始剤である1−ドデカノール64.6μL(0.289ミリモル)を、3:1の比率のモノマーラクチド2.00g(13.87ミリモル)およびグリコリド0.537g(4.62ミリモル)とともに室温で加えた。フラスコを、130℃で加熱した油浴に部分的に下ろした。固体が溶解した後に、47μlの2−エチルヘキサン酸スズ(II)/トルエン溶液(5mlのトルエン溶液中に0.2mlの2−エチルヘキサン酸スズ(II),5.8×10−3ミリモル)をピペットで加えた。注入アダプターを取り外し、ガラス栓をした。フラスコを油浴中に完全に浸した。液体を130℃で4時間撹拌した。それを室温まで冷ました後、少量のサンプルをNMRおよびGPC分析のために取り出した。GPC分析の結果を表1に一覧にする。
【0097】
H NMRスペクトルにおいて、5.1〜5.3ppmおよび1.4〜1.7ppmにおけるピークは、ポリマー中のラクチドのメチンプロトンおよびメチルプロトンに起因する。4.4〜4.9ppmにおけるピークは、ポリマー中のグリコリドのプロトンに起因する。5.1ppmおよび1.7ppmにおけるピークは、ラクチドモノマーのプロトンに起因する。すべてのグリコリドが重合し、一部のラクチドは重合しなかった。ポリマー中のラクチド対グリコリドのモル比は、2.8:1である。0.8〜0.9ppmにおけるピークは、1−ドデカノールのメチルプロトンに起因し、1.2〜1.4ppmにおけるピークは、1−ドデカノールのメチレンプロトンに起因する。3.35ppmにおけるピークは、メトキシPEGのメチルプロトンに起因し、3.5〜3.8ppmにおけるピークは、メトキシPEGのメチレンプロトンに起因する。
【0098】
実施例4:1−ドデカノールおよびグリコール酸エチル(モル比1:1)の混合開始剤を用いた75:25のラクチド:グリコリドの重合
本手順は、開始剤としてグリコール酸の代わりにグリコール酸エチル27.3μL(0.288ミリモル)を用いた点を除いては、実施例1と同様である。グリコール酸エチル由来の固有のプロトンをプロトンNMRによって分離させることができなかったため、NMRスペクトルは提供されない。しかしながら、結果として生じたポリマーの分子量分析をGPCによって行っており、結果を表1に一覧にする。
【表1】

【0099】
本明細書に記載される化合物、合成物、キット、商品、デバイス、組成物、および方法に種々の修正および変化を加えることができる。本明細書に記載される化合物、合成物、キット、商品、デバイス、組成物、および方法の他の態様は、本明細書、ならびに本明細書に記載される化合物、合成物、キット、商品、デバイス、組成物、および方法の実践を検討することにより明白であろう。本明細書および実施例は、例示として見なされることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー骨格および1つ以上の非反復単位を有する第一のポリマー、ならびにポリマー骨格および1つ以上の非反復単位を有する第二のポリマーを含むポリマー混合物であって、該第一および第二のポリマーは、ポリ(環状エーテル)、ポリ(環状エステル)、ポリ(環状カーボネート)、またはそれらの混合物を含み、該第一のポリマーの少なくとも1つの非反復単位は、該第二のポリマーの少なくとも1つの非反復単位とは異なり、かつ該第一のポリマーのポリマー骨格は、該第二のポリマーのポリマー骨格と実質的に同じである、ポリマー混合物。
【請求項2】
前記第一のポリマーが3本以上のアームを有するポリ(カプロラクトン)ホモポリマーである場合、前記第二のポリマーは3本未満のアームを有するポリ(カプロラクトン)ホモポリマーではない、請求項1に記載のポリマー混合物。
【請求項3】
前記第一のポリマーが3本以上のアームを有するポリ(ラクトン)ホモポリマーである場合、前記第二のポリマーは3本未満のアームを有するポリ(ラクトン)ホモポリマーではない、請求項1または2のいずれか一項に記載のポリマー混合物。
【請求項4】
前記第一および第二のポリマーが線状ポリマーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー混合物。
【請求項5】
前記第一のポリマーの1つの非反復単位のみが、前記第二のポリマーの非反復単位とは異なる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー混合物。
【請求項6】
前記第一のポリマーがエステルを含む非反復末端基を有し、かつ前記第二のポリマーがカルボン酸を含む非反復末端基を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー混合物。
【請求項7】
前記第一または第二のポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、またはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマー混合物。
【請求項8】
ポリマー混合物を作製するための方法であって、
a)環状エーテル、環状エステル、環状カーボネート、またはそれらの混合物を含むモノマー組成物を提供すること、ならびに
b)該モノマー組成物を、ポリマー混合物を形成するのに有効な反応条件下で、第一の開始剤および該第一の開始剤とは異なる第二の開始剤を含む少なくとも2種の開始剤と接触させることを含む、方法。
【請求項9】
前記モノマー組成物がカプロラクトンを含む場合、かつ一方の開始剤が該モノマー組成物において重合を開始し得る3つ以上の官能性を含む場合、他方の開始剤は、該モノマー組成物において重合を開始し得る単官能性または二官能性の開始剤を含まない、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モノマー組成物がラクトンを含む場合、かつ一方の開始剤が該モノマー組成物において重合を開始し得る3つ以上の官能性を含む場合、他方の開始剤は、該モノマー組成物において重合を開始し得る単官能性または二官能性の開始剤を含まない、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記開始剤が、すべて独立して、前記モノマー組成物において重合を開始し得る1つの官能性を有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記モノマー組成物が、1種のみのモノマータイプを含む、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記モノマー組成物が、少なくとも2種のモノマータイプを含む、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記モノマー組成物が、ラクチド、グリコリド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項8〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第一および/または第二の開始剤が、水、ヒドロキシル酸、アルコール、アミン、またはチオールのうちの1つ以上を含む、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第一および/または第二の開始剤が、水、1−ドデカノール、ヘキサンジオール、乳酸、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第一および第二の開始剤が、1−アミノヘキサン、1,6−ジアミノヘキサン、グリシン、またはアルギニンのうちの1つ以上を含む、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第一および第二の開始剤が、水酸基末端ポリ(エチレングリコール)(PEG)およびアルコールを含む、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第一および第二の開始剤が、水酸基末端ポリ(エチレングリコール)(PEG)および水を含む、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項8〜19のいずれか一項に記載の方法によって形成される、ポリマー混合物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−515837(P2012−515837A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548119(P2011−548119)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021743
【国際公開番号】WO2010/085608
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(509121558)サーモディクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】