説明

異方性光拡散素子および表示装置

【課題】十分な光拡散特性を有し、且つ、虹色ムラの発生を抑制するとともに入射光を高効率で利用することができる異方性光拡散素子を提供することを目的とし、該異方性光拡散素子を使用した表示装置を提供することも目的とする。
【解決手段】透光性基体の表面側に設けられてなる第1の凹凸パターンと、該透光性基体の裏面側に設けられてなる第2の凹凸パターンとを有する異方性光拡散素子であって、該第1の凹凸パターンの頂角と該第2の凹凸パターンの頂角とがなす角度が1〜60度であることを特徴とする異方性光拡散素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異方性光拡散素子および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン、ワープロ、液晶テレビ、カーナビゲーション等のような液晶を使用する液晶表示装置は、液晶自体が発光しないため、液晶を裏面側から照射する光源となるバックライトが必要である。バックライトには、使用目的および用途に応じて光反射素子、光拡散素子、偏向素子(例えば、プリズム素子)等の各種光学素子が設けられる。
【0003】
これら光学素子のうち、光拡散素子の光拡散発現機構は表面拡散と内部拡散に大別される。表面拡散としては、例えば、フィルム表面の樹脂層にブラシロール等で多数の微細且つ不規則な凹凸を形成したものが挙げられる。内部拡散としては、例えば、基材中に基材と異なる屈折率を有するフィラーを含有・分散させたものが挙げられる。
基材中に基材と異なる屈折率を有する球状のフィラーを含有・分散させた光拡散素子にレーザー光を垂直入射させると、透過光の光像が円形状を呈する。このような、円形上に拡散されている状態を、本明細書では等方性光拡散と呼称する。
【0004】
等方性光拡散を示す光拡散素子をバックライト上に設けた表示装置は、光が等方向に拡散するため、不要なところにも光が拡散してしまう。結果、光の利用効率が低下し、所定の光量を得るために光源が発光に必要とする電気エネルギーが大きくなってしまう。
そこで、光を必要とする特定方向に偏って拡散することができる光拡散素子が注目されている。このような光拡散素子を、本明細書では異方性光拡散素子と呼称する。なお、この異方性光拡散素子に光を入射させると、その透過光から得られる形状は円形ではなく、直線状や楕円形状を示すものになる。
異方性光拡散素子は、光を必要とする特定方向に偏って光を拡散させることにより、等方性を示す光拡散素子よりも光を効率よく利用することで輝度を向上させ易く、バックライトの発光に必要な電気エネルギーの低減が可能となる。
【0005】
異方性を付与するために、基材中に針状粒子を略一方向に分散させた光拡散板が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平8−327805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された光拡散板では、十分な光拡散特性が得られないものであった。例えば、LED光源等の点光源からの光を該光拡散板に入射させスクリーン等の被写体に光像を投射した場合、透過する光が該被写体上に形作る異方性の光像の中に、周囲とは明らかに異なる高光強度の点形状を与える。また該光拡散板に同様の点光源からの光を入射し、光源とは反対面側から該光拡散板を目視観察すると、該光源の位置・形状が容易に確認できる。
これらは光拡散特性が不十分であり、場所ごとで大きな光強度差があるためにムラがあると視認され、つまりは表示装置の表示品位を低下させてしまう問題を有していた。
【0008】
また、市販される異方性光拡散素子の中には、光を特定方向に偏って拡散する特性に優れるもの、つまりは異方性光拡散特性に優れるものもあるが、該光拡散素子上の凹凸構造部位において光が屈折・拡散するため、拡散光の干渉を生じることがあり、白色の入射光が該光拡散素子から出射した際に虹色ムラが発生しやすいものであった。すなわち、該光拡散素子を使用した表示装置の表示品位を落としてしまう問題を有していた。
【0009】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、十分な光拡散特性を有し、且つ、虹色ムラの発生を抑制するとともに入射光を高効率で利用することができる異方性光拡散素子を提供することを目的とし、該異方性光拡散素子を使用した表示装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記の技術的構成により上記課題を解決したものである。
【0011】
(1)透光性基体の表面側に設けられてなる第1の凹凸パターンと、該透光性基体の裏面側に設けられてなる第2の凹凸パターンとを有する異方性光拡散素子であって、該第1の凹凸パターンの頂角と該第2の凹凸パターンの頂角とがなす角度が1〜60度であることを特徴とする異方性光拡散素子。
(2)前記第1の凹凸パターンの高低差が200μm以下であることを特徴とする前記(1)に記載の異方性光拡散素子。
(3)前記第2の凹凸パターンの高低差が100μm以下であることを特徴とする前記(1)に記載の異方性光拡散素子。
(4)前記透光性基体と、前記第1の凹凸パターンと、前記第2の凹凸パターンとが樹脂成分によって形成されてなり、該樹脂成分の光線透過率が80%以上であることを特徴とする前記(1)に記載の異方性光拡散素子。
(5)前記透光性基体と、前記第1の凹凸パターンと、前記第2の凹凸パターンとが同一の樹脂成分によって形成されてなることを特徴とする前記(1)または前記(4)に記載の異方性光拡散素子。
(6)前記異方性光拡散素子を構成する第1の凹凸パターンまたは第2の凹凸パターン上に、該異方性光拡散素子と屈折率の異なる粘着層が積層されてなることを特徴とする前記(1)に記載の異方性光拡散素子。
(7)前記第1の凹凸パターンの底角角度が0度よりも大きく、55度以下であることを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載の異方性光拡散素子。
(8)前記第2の凹凸パターンの底角角度が0度よりも大きく、35度以下であることを特徴とする前記(1)または前記(3)に記載の異方性光拡散素子。
(9)前記(1)に記載の異方性光拡散素子を使用した表示装置であって、前記第1の凹凸パターンを入射光側に、前記第2の凹凸パターンが出射光側に配置されてなることを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、十分な光拡散特性を有し、且つ、入射光を高効率で利用することで虹色ムラの発生を抑制することが可能な異方性光拡散素子を提供することができる。また、該異方性光拡散素子を使用した表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図を用いて説明する。
図1は透光性基体30の表面側に設けられてなる第1の凹凸パターン10と、該透光性基体30の裏面側に設けられてなる第2の凹凸パターン20とを有する異方性光拡散素子1を示した斜視図である。
第1の凹凸パターン10および第2の凹凸パターン20は、それぞれ複数の凸部の連続体11、21から構成される。凸部の連続体11、21は、それぞれ底角13、23および頂角12、22を有する。
本発明において、Xは第1の凹凸パターン10を構成する凸部の連続体11が延存する方向と平行な方向を示し、Yは第1の凹凸パターン10の形成方向と平行な方向を示し、Zは厚さ方向を示す。
【0014】
本発明の異方性光拡散素子を液晶表示装置等の表示装置に使用する場合、第1の凹凸パターンを入射光側に配置し、第2の凹凸パターンを出射光側(観察面側)に配置することが必要である。これによって、異方性光拡散素子に入射した光を該素子で消費することなく、高光量で十分な光の拡散が達成されるため、第1の凹凸パターンおよび第2の凹凸パターンにおいて生じる虹色ムラの発生を抑制することができる。
なお、第1の凹凸パターンを出射面側に配し、第2の凹凸パターンを入射光側に配した場合、底角角度によっては、該異方性光拡散素子への入射光量と該異方性光拡散素子よりの出射光量が減少することがあり、液晶表示装置等の光学用途に好ましく使用することができない。
【0015】
図2は、本発明の異方性光拡散素子1を第1の凹凸パターン側から見下ろした平面図である。図2には、第1の凹凸パターンの頂角12を実線で、第2の凹凸パターンの頂角22を点線で示している。なお、図2においては第1の凹凸パターンの底角および第2の凹凸パターンの底角を省略している。本発明の異方性光拡散素子1は、第1の凹凸パターンの頂角12と、第2の凹凸パターンの頂角22とがなす角度θが1〜60度にあることが必要である。角度θは、5〜40度にあることが好ましく、5〜20度にあることがさらに好ましい。
角度θが1〜60度の範囲にある異方性光拡散素子は、十分な拡散光の異方性を有し、且つ、虹色ムラの発生を抑制することができる。
角度θが1度未満であると、虹色ムラの発生を抑制し難い。
角度θが60度超であると、虹色ムラの発生を抑制し難い。例えば、角度θが90度の場合であると虹色ムラの発生を抑制するのが不十分である。
なお、第1の凹凸パターンの頂角12と、第2の凹凸パターンの頂角22とは、図2に示すように交差する必要はない。交差しない場合は、いずれかの凹凸パターンの頂角をもう一方の凹凸パターンの頂角側に、平行移動させることによって、交差させれば角度θを算出することができる。
【0016】
図3に示す第1の凹凸パターン10の高低差αは、最大高さRyにより測定され、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがさらに好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。下限は特に限定されないが、例えば、0.01μmである。
200μm超では、複数の微小領域単位で発光状態を選択できる表示装置上に該異方性光拡散素子を設置した場合、虹色ムラだけでなくモアレ縞が発生し、該異方性光拡散素子の利用範囲を限定してしまう。
なお、本発明における最大高さRyはJIS B 0602−1994に準拠して測定した値をいう。
【0017】
図4に示す第2の凹凸パターン10の高低差βは、最大高さRyにより測定され、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、30μm以下であることが特に好ましい。下限は特に限定されないが、例えば、0.01μmである。
100μm超では、複数の微小領域単位で発光状態を選択できる表示装置上に該異方性光拡散素子を設置した場合、虹色ムラだけでなくモアレ縞が発生し、表示品位を低下させる。
【0018】
本発明を構成する透光性基体30、第1の凹凸パターン10および第2の凹凸パターンは、同一の透光性樹脂によって形成されてなることが好ましい。後述する方法によって、透光性基体30、第1の凹凸パターン10および第2の凹凸パターンを同時に作成することができるため、製造工程が容易になることから好ましい。
【0019】
本発明の異方性光拡散素子は、透光性基体と、第1の凹凸パターンと、第2の凹凸パターンとを有し、十分な異方性光拡散特性と虹色ムラの発生を抑制することができるものであればよく、その層構成としては例えば以下のものが例示できる。
1)第1の凹凸パターン/透光性基体/第2の凹凸パターン
2)第1の凹凸パターン/粘着層/透光性基体/第2の凹凸パターン
3)第1の凹凸パターン/透光性基体/粘着層/第2の凹凸パターン
4)第1の凹凸パターン/粘着層/透光性基体/粘着層/第2の凹凸パターン
5)異方性光拡散素子/粘着層
上記例1)においては、透光性基体の表面側に第1の凹凸パターンが設けられ、該透光性基体の裏面側に第2の凹凸パターンが設けられてなる。
上記例2)においては、透光性基体の裏面側に第2の凹凸パターンが設けられてなり、該透光性基体の表面側(第2の凹凸パターンが設けられていない面側)に粘着層を介して第1の凹凸パターンが設けられてなる。
上記例3)においては、透光性基体の表面に第1の凹凸パターンが設けられてなり、該透光性基体の裏面(第1の凹凸パターンが設けられていない面)に粘着層を介して第2の凹凸パターンが設けられてなる。
上記例4)においては透光性基体の表面に粘着層を介して第1の凹凸パターンが設けられてなり、該透光性基体の裏面に粘着層を介して第2の凹凸パターンが設けられてなる。
上記例5)においては粘着層を介して異方性光拡散素子が積層されてなる。屈折率差がある部位(境界面)に対し、ある角度を有して光が入射した場合、光は屈折し、光の進む方向が変化する。境界面の状態が無作為に変化する、あるいは断続的な形状変化を有した場合、一方向から入射した光は様々な方位に屈折し、それが光の拡散として確認される。当該積層構成の粘着層と異方性光拡散素子の屈折率に差を生じさせることによって、境界面が現れ、結果として光の拡散を起こすことができる。光の拡散のみを生じさせるのであれば、屈折率差は0.04以上あれば可能である。虹色ムラの発生抑制を期待するのであれば、屈折率差は0.15以上あることが好ましい。また、当該積層構成における粘着層のもう一方の面には、別の異方性光拡散素子を積層することも可能であるし、当該積層構成における異方性光拡散素子のもう一方の面に粘着層を積層することも可能である。
また、上記例1)〜5)において粘着層の代わりに接着層を使用することもできる。
【0020】
図3は、第1の凹凸パターン10を構成する凸部の連続体11が延存する方向(X方向)に対して垂直に切断したときの異方性光拡散素子2の断面図である。なお、図3においては第2の凹凸パターンを省略している。第1の凹凸パターン10は、複数の凸部の連続体11によって構成され、凸部の連続体11毎に頂角12を有する。
【0021】
図3に示すように、第1の凹凸パターン10における底角13の角度θ20は、水平線Hと凸部の連続体11とが成す角度である。凸部の連続体が多角形状である場合や、曲線を含むような円形状である場合、底角を次のように測定する。まずY方向に任意の点Pを1つ決定する。次に、この決定した点Pから距離20μm(Y方向に対して)の範囲内にもう1点Pを任意に決定する。そして該2点を結んだ傾斜線Oと水平線Hが成す角度を測定する。この時、2点間のY方向に関して、2点よりも高い、あるいは低い部分があってはならない。具体的には、点Pから距離20μmの範囲内に点Pを決定し、該2点を結んだ傾斜線Oは、該2点間よりも高い部位(頂角)が存在するため、本願の底角の規定からは除外される。
上記の底角の測定方法は第1の凹凸パターンおよび第2の凹凸パターンに適用される。また、該底角の測定方法において、第1の凹凸パターンおよび第2の凹凸パターンの形状としては、三角柱状の他に、四角柱状、半円状、楕円状、多角形状等を有する。凸部の連続体の形状は、これらの形状が規則的であってもよいし、ランダムに形成されていてもよい。
本発明においては、Y方向に対する距離200μmに対する全ての凸部の連続体11において、上記の測定方法によりそれぞれの底角を定め、平均した値を底角角度と定める。
【0022】
ここで、水平線Hとは、第1の凹凸パターン10に、撓み性の少ない材料(例えば、熱硬化樹脂からなるフィルム等)を載せた際に、該材料を側面から見た場合の線形状をいう。これは、第1の凹凸パターン10は複数の凸部の連続体11が存在するため、その表面形状が平均化され、ほぼ水平となることによる。なお、上記水平線Hの求め方は、第2の凹凸パターンに対しても適用することができる。
第1の凹凸パターンにおける底角角度θは、0<θ≦55度にあることが好ましい。当該範囲では、異方性光拡散素子内への光の入射効率が良い。底角角度は、5<θ≦50度の範囲にあることがより好ましく、10<θ≦45度の範囲にあることがさらに好ましく、15≦θ≦40度の範囲にあることが特に好ましい。
第1の凹凸パターンにおける底角角度θが55度超であると異方性光拡散素子内に入射する光量が減少する。これは、底角13における異方性光拡散素子の境界面において、偏光が生じやすくなるためである。
底角角度が0<θ20≦55度の範囲内にある第1の凹凸パターンに直進光が入射した場合、境界面で光の屈折が生ずるため、該直進光の進行方向に変化が生じ、光拡散が生ずる。該光拡散には第1の凹凸パターンにおける境界面(第1の凹凸パターンを構成する樹脂と大気について)の屈折率差が関わっており、光拡散効果が得られやすくなるためである。該屈折率差は少なくとも0.04以上が好ましい。
全ての底角13が該異方性光拡散素子において同一の角度を有する必要はなく、底角13は0<θ20≦55度の範囲にあれば好ましい。
【0023】
図4は、第2の凹凸パターン20を構成する凸部の連続体21が延存する方向(X’方向)に対して垂直に切断したときの異方性光拡散素子3の断面図である。本発明におけるX’方向とはX方向に対し1〜60度傾いている方向をいい、Y’方向とはY方向に対し1〜60度、そしてX’方向に対して90度傾いている方向をいう。なお、図4においては第1の凹凸パターンを省略している。第2の凹凸パターン20は、複数の凸部の連続体21によって構成され、凸部の連続体21毎に頂角22を有する。
【0024】
図4に示すように、第2の凹凸パターン20における底角23の角度θ21は、水平線Hと凸部の連続体21とが成す角度である。
第2の凹凸パターンにおける底角角度θは、0度<θ≦35度にあることが好ましい。第2の凹凸パターンにおける底角角度θは、5度<θ≦30度の範囲にあることがより好ましく、8度<θ≦28度の範囲にあることがさらに好ましく、10度≦θ≦25度の範囲にあることが特に好ましい。
底角角度θが35度超であると、第1の凹凸パターン(図示せず)から入射した光が第2の凹凸パターン20の境界面で反射を生じやすくなり、出射光の光量減少、光拡散方向の収斂による光強度差のムラが生じ、光学用途に好ましく使用することができない場合がある。
全ての底角23が同一の角度を有する必要はなく、底角23が0<θ21≦35度の範囲にあればよい。
【0025】
図5は、第1の凹凸パターン10を構成する凸部の連続体11を示したものである。図5においては、第2の凹凸パターンを省略している。凸部の連続体11は異方性光拡散素子4の端面から端面(X方向)まで切れ目なく連続して存在するものであってもよいし、異方性光拡散素子4の端面から端面まで切れ目なく連続して存在せずに、凸部非存在部14により部分的に途絶えてしまってもよい。また、凸部の連続体11は凸部非存在部15により完全に途絶えてしまってもよく、凸部の連続体11は異方性光拡散素子4の端面に必ずしも存在する必要はない。なお、図5においては第1の凹凸パターン10を構成する凸部の連続体11について説明しているが、第2の凹凸パターンにおける凸部の連続体においても該第1の凹凸パターン10と同様の構成(凸部非存在部等)を有することができる。すなわち、第1の凹凸パターンおよび第2の凹凸パターンは、それぞれ複数の凸部の連続体からなり、凸部非存在部を有することができるため、該凸部非存在部においては該凸部の連続体の底角または底角角度が0度(X方向またはY方向に対して)であってもよい。
【0026】
以下、本発明を構成する材料を中心に説明する。
【0027】
<樹脂成分>
本発明の異方性光拡散素子は、透光性基体、第1の凹凸パターンおよび第2の凹凸パターンにおいて樹脂成分を含有する。樹脂成分としては、熱可塑性樹脂または放射線硬化型樹脂を使用することができる。放射線硬化型樹脂は、熱や紫外線等の放射線で硬化する樹脂をいう。放射線硬化型樹脂は、そのまま電子線照射により硬化可能であるが、紫外線照射による硬化を行う場合は、光重合開始剤の添加が必要である。なお、用いられる放射線としては、紫外線、可視光線、電子線のいずれであってもよい。また、これらの放射線は、偏光であっても無偏光であってもよい。
本発明に使用することができる樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩ビ−酢ビ共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし複数を混合して用いてもよい。
また、透光性基体、第1の凹凸パターンおよび第2の凹凸パターンは、それぞれ異なる樹脂を使用してもよいし、同一の樹脂を使用してもよい。本発明においては、同一の樹脂を使用することが好ましい。後述するように、同一の樹脂を使用することにより、簡単な製造工程にて透光性基体、第1の凹凸パターンおよび第2の凹凸パターンを形成させることができる。
【0028】
異方性光拡散素子を構成する樹脂成分の屈折率に制限はないが、1.42から1.65の屈折率を有する樹脂成分が好ましい。なお、本発明における屈折率とは、硬化後の樹脂成分をJIS K7142に準拠して測定した値をいう。
異方性光拡散素子を構成する樹脂成分としては、具体的には、シクロオレフィンコポリマー(TICONA社製 商品名:TOPAS、屈折率1.53)、スチレン−アクリル共重合体(大成ファインケミカル社製 商品名:アクリット6BT−1001、屈折率1.53)、スチレン−アクリル−エポキシ共重合体(昭和高分子社製 商品名:リゴライト、屈折率1.56)等を挙げることができる。
【0029】
本発明における異方性光拡散素子が異方性光拡散効果を有するためには、該異方性光拡散素子の境界面の屈折率差が少なくとも0.04以上あることが必要である。該屈折率差は0.10以上あることが好ましく、さらには0.15以上あることが好ましい。
異方性光拡散素子の境界面とは、第1の凹凸パターン(または第2の凹凸パターン)と、大気や粘着層等の該第1の凹凸パターン(または該第2の凹凸パターン)が接する部分の境界線をいう。
【0030】
異方性光拡散素子を構成する樹脂成分は光透過性が高いほど好ましい。本発明における光透過性は、光線透過率(JIS C−6714)で表すことができる。樹脂成分の光線透過率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
なお、本発明における光線透過率は、平滑な表面形状を有するように樹脂成分を硬化させた後に測定した値を意味するものであって、図1や図2に示すような所定の凹凸パターンを有する異方性光拡散素子を用いて測定した値ではない。
【0031】
樹脂成分によっては、過度の紫外線照射で黄色に着色する傾向がある。本発明品が紫外線の影響で着色し、所定の光学特性を維持できなくなる恐れがあり、結果として本発明品の利用範囲を限定してしまう。従って、本発明品の特性を長期的に維持するような樹脂添加剤、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤等を添加することは有効である。
【0032】
<粘着層成分>
粘着層に使用する樹脂成分としては、透明基体と第1の凹凸パターンまたは第2の凹凸パターンとを貼着することができるものであれば、特に制限されるものではないが、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができる。
本発明においては、アクリル樹脂を主成分とする粘着層を使用することが好ましい。また、アクリル樹脂にエポキシ樹脂を配合することにより、粘着層としての硬さを向上させることができる。
【0033】
アクリル樹脂としては、以下に例示するようなアクリルモノマーを重合してなるアクリル樹脂が挙げられる。このアクリルモノマーとしては、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基、スルホキシ基またはその塩を含有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N、N−ジアルコキシアクリルアミド、N、N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等のモノマーが挙げられる。
【0034】
<接着層成分>
粘着層のかわりに適用しうる接着層としては、例えば、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の各種熱硬化性樹脂や、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の各種熱可塑性樹脂を使用することができる。これらの樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0035】
[異方性光拡散素子の製造方法]
両面側に所定の凹凸パターンを有する本発明の異方性光拡散素子の製造は一般的に困難であるため、該凹凸パターンと対応する凹凸パターンを具備したものを作製し、それを利用することが簡便である。
まず、図6および図7に示すような第1の台座40および第2の台座70を用意する。第1の台座40および第2の台座70には、第1の凹凸パターン50と第2の凹凸パターン80とが設けられている。該第1の凹凸パターン50および該第2の凹凸パターン80は、それぞれ複数の凹部の連続体51、81と、頂角52、82と、底角53、83とを有する。これら台座における凹部の連続体と頂角と底角とは、それぞれ異方性光拡散素子における凸部の連続体と底角と頂角とに対応する。また、図6および図7におけるX、Y、Z、X’およびY’は異方性光拡散素子におけるものと同一の方向を示す。
【0036】
次に、本発明の異方性光拡散素子の製造方法を説明する。
第2の台座70における第2の凹凸パターン80と第1の台座40における第1の凹凸パターン50とを重ね合わせることができるように配置する。この時、第1の凹凸パターン50の頂角52と第2の凹凸パターン80の頂角82とが成す角度が1〜60であるようにする。続いて、第2の凹凸パターン80上に透明性の熱可塑性樹脂を投入し、第1の台座40および第2の台座70をホットプレスに設置し、熱可塑性樹脂が十分に軟化するよう加温する。次いでこの第1の台座40および第2の台座70に圧力を与える。台座間でフィルム状となった成型体を取り出すことにより、所定の異方性光拡散素子が得られる。加温条件、加圧力条件等は使用する熱可塑性樹脂の軟化温度、メルトフローレート(樹脂溶融時の流動性に係る指標)、成型体の厚み等によって決定される。
【0037】
上記では熱可塑性樹脂を使用した場合であるが、例えば熱硬化樹脂の利用も可能である。上記と同様の方法により台座を配置し、第2の凹凸パターン80上に熱硬化樹脂を配し、該樹脂が硬化する温度に加熱することで、フィルム状となった成型体を得ることができる。
【0038】
本発明に使用することができる第1の台座40および第2の台座70は凹部の連続体を設けることができればよいのであって、当該台座を構成する材料は金属製であってもよいし、樹脂製であっても木製であってもよく、特に制限されない。熱可塑樹脂や熱硬化樹脂を使用する場合は、熱伝導性を有する金属製の材料からなる台座を使用することが好ましい。
【0039】
以下、本発明を実施例によって説明する。
【実施例1】
【0040】
下記組成を均一に溶解混合し、真空脱泡機にて泡を取り除いた。
・アクリルモノマー(共栄社化学株式会社製 製品名:ライトアクリレートBP−4PA) 100重量部
・1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 1.5重量部
第1の台座として、片側に第1の凹凸パターンを形成させたステンレス製基板を使用した。また、第2の台座として、片側に第2の凹凸パターンを形成させたステンレス基板を使用した。
第2の台座の第2の凹凸パターン上に、上記組成からなる材料を塗布した後、その塗布面に第1の台座40の第1の凹凸パターンを重ねた。この時、作製される該異方性光拡散素子の表裏の凹凸パターンの頂角がなす角度が5度となるように設定した。
130℃のオーブンに10分間投入して硬化させ、然る後、2枚のステンレス基板を除去して、厚さ150μmのアクリレート樹脂フィルムからなる異方性光拡散素子を得た。
該異方性光拡散素子が有する底角は、第1の凹凸パターンの底角が5.2度から28.3度、第2の凹凸パターンが6.0度から25.3度であった。最大高さRyは両凹凸パターンともに5.1μmであり、両凹凸パターンの頂角がなす角度は5度であった。また、第1の凹凸パターンの底角角度は19.3度であり、第2の凹凸パターンの底角角度は20.3度であった。
【実施例2】
【0041】
第2の台座における第2の凹凸パターンの頂角と、第1の台座における第1の凹凸パターンの頂角とが成す角度を48度とした以外は実施例1と同様にして、厚さ150μmのアクリレート樹脂フィルムからなる異方性光拡散素子を得た。該異方性光拡散素子が有する底角は、第1の凹凸パターンの底角が5.1度から28.2度、第2の凹凸パターンが6.1度から26.0度であった。最大高さRyは、第1の凹凸パターンが5.8μm、第2の凹凸パターンが5.1μm、両凹凸パターンの頂角がなす角度は48度であった。また、第1の凹凸パターンの底角角度は19.8度であり、第2の凹凸パターンの底角角度は20.1度であった。
【0042】
[比較例1]
第2の台座における第2の凹凸パターンの頂角と、第1の台座における第1の凹凸パターンの頂角とが成す角度を0度とした以外は実施例1と同様にして、厚さ150μmのアクリレート樹脂フィルムからなる異方性光拡散素子を得た。該異方性光拡散素子が有する底角は、第1の凹凸パターンの底角が5.5度から30.6度、第2の凹凸パターンが5.5度から26.0度であった。最大高さRyは、第1の凹凸パターンが4.8μm、第2の凹凸パターンが5.5μm、両凹凸パターンの頂角がなす角度は0度であった。また、第1の凹凸パターンの底角角度は20.3度であり、第2の凹凸パターンの底角角度は19.4度であった。
【0043】
[比較例2]
第1の台座の代わりに平板ガラスを使用した以外は実施例1と同様にして、厚さ150μmのアクリレート樹脂フィルムからなる異方性光拡散素子を得た。該異方性光拡散素子の平板ガラスに接していた面を入射面側とし、第2の台座に接していた面を出射面側とする。第2の凹凸パターンが有する底角は6.3度から28.3度であった。第2の凹凸パターンが有する最大高さRyは4.9μmであった。なお、平板ガラスに接していた面の最大高さRyは0.2μmであり、十分に平滑であった。また、第2の凹凸パターンの底角角度は19.3度であった。
【0044】
【表1】

比較例2においては、第1の凹凸パターンがないことから、第1の凹凸パターンの底角角度および底角と、第1の凹凸パターンの頂角と第2の凹凸パターンの頂角とが成す角度については「−」と記載した。
【0045】
<評価>
上記のようにして得られた実施例1、2および比較例1、2の異方性光拡散素子における光拡散特性・異方性光拡散特性・虹色ムラに関する評価を行った。
【0046】
(異方性光拡散特性)
実施例1、2および比較例1、2の樹脂フィルムに対して、ジェネシア社製ゴニオメーターにより異方性光拡散特性を測定した。測定光である直進光がフィルムに対して垂直に入射するよう、光源の位置に設定・固定し、その透過光を検知する受光部の位置を半円状に変化させて透過光強度を測定した。結果を図9、10に示す。
ここで、図9は光が広範囲に拡散する方位(図8のY”に相当)において測定した図であり、図10は拡散角度が狭い方位(図8のX”に相当)において測定した図である。X”は、第1の凹凸パターンの頂角と第2の凹凸パターンの頂角とが成す角度を2で除した角度に延在する方向である。Y”は、第1の凹凸パターンの形成方向Yと第2の凹凸パターンの形成方向Y’とが成す角度を2で除した角度に延在する方向であって、X”に対して90度傾いている方向をいう。
第1の凹凸パターンがない場合(比較例2)においては、第2の凹凸パターンが延存する方向X’と、第1の凹凸パターンの形成方向Y’において測定すればよい。
第2の凹凸パターンがない場合においては、第1の凹凸パターンが延存する方向Xと、第1の凹凸パターンの形成方向Yにおいて測定すればよい。
測定フィルムから垂直方向に出射する透過光の角度を0度とし、拡散光を−50度から+50度まで検出させ、透過光強度を求めた。なお、−50度から+50度までの透過光強度は1度毎に測定した。
図10に示すグラフに比べ、図9に示すグラフ形状の差異が大きい、つまり検出角度の絶対値が大きい際に透過光強度差が大きいほど、異方性が強くなることを意味する。したがって、実施例1および実施例2は十分な異方性光拡散特性を有するものであった。なお、異方性の強度は実施例1の方が実施例2よりも強いものであった。
【0047】
(光拡散特性)
実施例1、2、比較例1および2の目視による光拡散特性の評価を行うべく、以下方法にて行った。
評価対象となる異方性光拡散素子と白紙の両者間隔が10cmとなるように平行に配置した。赤色レーザーポインターの光を樹脂フィルムに垂直入射させ、透過光が白紙上に作る光像を観察した。
フィルム表裏が平滑な透明フィルムに赤色レーザーポインターの光を入射した場合、光は拡散されることなく白紙上に赤色の点形状が紙上に投射された。
X”方向は、図8に示すような異方性光拡散素子の第1の凹凸パターンの頂角と第2の凹凸パターンの頂角とが成す角度を2で除した角度に延在する方向であって、実施例1などは、X”方向に対して90度傾いている方向、すなわちY”方向に異方性の光像を与えた。
ここで比較例2は、該樹脂フィルムを透過する光が白紙上に形作る異方性の光像の中に、周囲とは明らかに異なる高光強度の点形状を与えた。これは比較例2の樹脂フィルムの光拡散特性が弱いためで、赤色レーザーポインター由来の直進光を比較例2の樹脂フィルムが充分に拡散できなかった結果と考えられる。
対して実施例1、2および比較例1では、透過光が白紙上に形作る異方性の光像の中に点形状は認められなかった。充分な光拡散特性を有している結果であり、例えば、LED光源から実施例1、2および比較例1のような樹脂フィルムに光を照射すると、該樹脂フィルムを通して該LED光源の形状は確認できない。つまりは同構成を利用した表示機器の表示品位を低下させてしまうことは無い。
【0048】
(虹色ムラ)
実施例1、2、比較例1および2の目視による虹色ムラに係る評価を行うべく、以下方法にて行った。
評価対象となる樹脂フィルムを白色蛍光灯の前面に配し、該白色蛍光灯の長さ方向と、実施例1、実施例2および比較例1においてはY”方向、比較例2においてはY方向が略一致となるようにした後、該フィルムを目視観察した。
実施例1および2では虹色ムラは観察されず、拡散した白色光が確認できた。
対して比較例1および2では虹色ムラが確認でき、特に比較例2は強い虹色ムラであった。
【0049】
光拡散特性および虹色ムラの評価結果を表2にまとめた。
【表2】

【0050】
以上説明したように、本発明によれば、異方性光拡散特性に優れ、虹色ムラ等が無く表示品位に優れた異方性光拡散素子を提供することができる。
また、本発明の異方性光拡散素子を液晶表示装置のバックライト等の照明装置に適用することにより、必要な部位への光強度の増加を実現することができる。特に、車載用のカーナビゲーションは、座部に座った状態で画面を視認することができればよいため、上下方向への視野角よりも左右方向への視野角が必要とされるので、本発明の異方性光拡散素子を好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の異方性光拡散素子の斜視図である。
【図2】本発明の異方性光拡散素子の平面図である。
【図3】本発明の異方性光拡散素子を構成する第1の凹凸パターンの断面図である。
【図4】本発明の異方性光拡散素子を構成する第2の凹凸パターンの断面図である。
【図5】本発明の別の異方性光拡散素子の斜視図である。
【図6】第1の台座の斜視図である
【図7】第2の台座の斜視図である。
【図8】異方性光拡散素子に光を照射したときの光像(異方性)を示した図である。
【図9】異方性光拡散素子の異方性を説明するための図である。
【図10】異方性光拡散素子の異方性を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
1、2、3、4 異方性光拡散素子
10 第1の凹凸パターン
11、21 凸部の連続体
12、22 頂角
13、23 底角
14、15 凸部非存在部
20 第2の凹凸パターン
30 透光性基体
40 第1の台座
50 第1の凹凸パターン
51、81 凹部の連続体
52、82 頂角
53、83 底角
60、90 基板
70 第2の台座
80 第2の凹凸パターン
H 水平線
、O 傾斜線
、P、P
α 第1の凹凸パターンの高低差
β 第2の凹凸パターンの高低差
θ 角度
θ10、θ11 頂角の角度
θ20、θ21 底角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基体の表面側に設けられてなる第1の凹凸パターンと、該透光性基体の裏面側に設けられてなる第2の凹凸パターンとを有する異方性光拡散素子であって、該第1の凹凸パターンの頂角と該第2の凹凸パターンの頂角とがなす角度が1〜60度であることを特徴とする異方性光拡散素子。
【請求項2】
前記第1の凹凸パターンの高低差が200μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の異方性光拡散素子。
【請求項3】
前記第2の凹凸パターンの高低差が100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の異方性光拡散素子。
【請求項4】
前記透光性基体と、前記第1の凹凸パターンと、前記第2の凹凸パターンとが樹脂成分によって形成されてなり、該樹脂成分の光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の異方性光拡散素子。
【請求項5】
前記透光性基体と、前記第1の凹凸パターンと、前記第2の凹凸パターンとが同一の樹脂成分によって形成されてなることを特徴とする請求項1または4に記載の異方性光拡散素子。
【請求項6】
前記異方性光拡散素子を構成する第1の凹凸パターンまたは第2の凹凸パターン上に、該異方性光拡散素子と屈折率の異なる粘着層が積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の異方性光拡散素子。
【請求項7】
前記第1の凹凸パターンの底角角度が0度よりも大きく、55度以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の異方性光拡散素子。
【請求項8】
前記第2の凹凸パターンの底角角度が0度よりも大きく、35度以下であることを特徴とする請求項1または3に記載の異方性光拡散素子。
【請求項9】
請求項1に記載の異方性光拡散素子を使用した表示装置であって、前記第1の凹凸パターンを入射光側に、前記第2の凹凸パターンが出射光側に配置されてなることを特徴とする表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−26204(P2010−26204A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186879(P2008−186879)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】