説明

異物回収方法及び異物回収装置、並びに磁気ディスク装置の製造方法

【課題】磁気ディスク装置の駆動環境を模して、異物を回収することが可能な異物回収方法、及び装置を提供する。
【解決手段】磁気ディスク装置駆動時に発生する気流速度に相当する吸引流速で異物を回収する方法及び装置であって、吸引回収した異物を、液体中に捕集し、液体中に捕集した異物を、高密度フィルタ上の狭小領域内のみに回収することを特徴とする異物回収方法及び装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置の構成部品や製造装置などに付着する異物を回収し、解析することを目的とする異物回収方法及び異物回収装置、並びに磁気ディスク装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置が駆動する際、磁気記録媒体の回転により発生する気流の抵抗力等で、磁気ディスク装置の構成部品に付着する異物が脱離する。脱離した異物の一部は磁気記録媒体や、磁気記録媒体から一定の距離を保ち浮上する磁気記録素子の表面に付着する。付着した異物は、磁気記録媒体回転時や、磁気記録素子駆動時に、磁気記録媒体や磁気記録素子の表面を削ってしまい、不良を引き起こす。
【0003】
磁気記録密度の向上に伴い、磁気記録媒体が高精度化し、また、磁気記録素子の浮上距離が小さくなり、磁気記録媒体と磁気記録素子との距離が近くなっている。この磁気記録媒体の高精度化と磁気記録素子の低浮上化により、上述した異物起因の不良増加が懸念される。そのため、磁気ディスク装置の構成部品清浄化への要求がますます強くなっている。
【0004】
また、異物の材質により、磁気ディスク装置の異物起因不良発生頻度は異なるため、磁気ディスク装置構成部品に付着する異物を回収・材質解析し、その結果を基に、構成部品の清浄度を保持することは非常に重要となる。
【0005】
磁気ディスク装置の不良原因となる異物を回収・材質解析するには、磁気ディスク装置駆動時を模して、磁気ディスク装置構成部品から異物を回収し、解析する必要がある。
【0006】
従来の異物回収装置の構造の一例は、例えば、特許文献1に開示されている。すなわち、該異物回収装置は、液体を噴射するノズルと、加圧タンクとを備える。この液体噴射式異物回収装置を用いて、磁気記録部装置の構成部品に付着する異物を回収する場合、治具で固定された磁気ディスク装置構成部品に、液体を噴射し、液体の流体抵抗力で磁気ディスク装置構成部品から付着異物を除去し、液体回収容器内の液体に、異物を回収する。
異物を回収する従来技術としては、特許文献1〜4がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US2007/0289394 A1
【特許文献2】特開2008−298657号公報
【特許文献3】特開2001−113113号公報
【特許文献4】特開2005−152687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図2は気中と水中における異物の付着力と異物径の関係を表す。液中では異物の付着力が気中の10分の1になるため、気中よりも異物が脱離しやすくなる。そのため、従来の液体噴射式異物回収装置では、気中で動作する磁気ディスク装置が駆動する際に脱離しない異物も回収してしまい、不良原因となる異物と、不良原因とならない異物の判別が困難である。このように、液体を用いて異物を回収する液体噴射式異物回収装置では、磁気ディスク装置の不良原因となる異物を正確に回収することはできない。
【0009】
磁気ディスク装置駆動時を模して、異物を回収するには、磁気ディスク装置駆動時に発生する気流で異物を回収する必要がある。
【0010】
従来の気流を用いた異物回収装置は、異物を吸引するノズルと、吸引した気体と異物を捕集するボトルと、吸引ポンプとを備え、ボトル内には異物を回収するフィルタを有する(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
この従来の気流吸引型異物回収装置は、フィルタによる圧力損失が非常に高いため、磁気ディスク装置駆動時に発生するような速い気流速度(約60m/s)で異物を回収することができない。さらに、捕集された異物はフィルタ全面に回収されてしまうため、捕集される異物数が非常に少ない場合、フィルタ上の異物を発見することが非常に困難となる。
【0012】
本発明は、磁気ディスク装置の駆動環境を模して異物を回収するために、磁気ディスク装置駆動時に発生する気流速度に相当する速い気流速度で、磁気ディスク装置構成部品から異物を回収し、さらに回収した異物を分析に好都合に高密度フィルタ上の狭小領域に集約することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の異物回収装置は、異物を気体とともに吸引するノズルと、吸引した異物を含む気体を通すチューブと、異物を溶解させずに捕集する捕集用液体と、捕集用液体が入った液体収容容器と、捕集した異物を高密度フィルタ上に回収する濾過部と、捕集した異物を含む捕集用液体を通し濾過部に送る濾過部接続部と、気体を吸引する吸引力を付与するポンプとを備える。濾過部は、孔が開けられたフィルタホルダと、フィルタ保持具と、孔が開けられたフィルタ支持具と、高密度フィルタを備える。フィルタホルダとフィルタ保持具とフィルタ支持具の孔によって、捕集された異物を含む液体が流れる流路が形成される。高密度フィルタは流路を横断するように配置され、捕集された異物を含む液体が、高密度フィルタを介して流れることにより、高密度フィルタの表面に異物が回収される。
【0014】
速い吸引流速で異物を回収し、さらに回収した異物を分析に好都合に狭小領域に集約するために、吸引した異物を含む気体を通すチューブの径は、高密度フィルタのすぐ上流の流路の口径よりも大きい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、磁気ディスク装置駆動時に発生するような速い気流速度で、磁気ディスク装置構成部品に付着する異物を、高密度フィルタの狭小領域に回収することができる。また回収した異物を各種分析装置で解析する際に、使用する分析装置の分析可能領域に合わせて異物を高密度フィルタ上の狭小領域に集約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の液体噴射式異物回収装置を示す図である。
【図2】水中と気中における異物の付着力を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における本発明の異物回収装置を示す図である。
【図4】a)、b)は、第1の実施の形態における本発明の濾過部の断面を示す図である。
【図5】第1の実施の形態における本発明の異物回収フローを示す図である。
【図6】磁気ディスク装置構成部品から、本発明で回収した異物と従来の液体噴射式異物回収法で回収した異物の材質毎の数を示す図である。
【図7】第2の実施の形態における本発明の磁気ディスク装置製造ラインの磁気ディスク装置製造フローを示す図である。
【図8】第3の実施の形態における本発明の磁気ディスク装置製造ラインの磁気ディスク装置製造フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面と実施フローを用いて説明する。
【0018】
図1は従来の異物回収装置の構造の一例である。異物回収装置は、液体を噴射するノズル11と、加圧タンク10とを備える。この液体噴射式異物回収装置を用いて、磁気記録部装置の構成部品に付着する異物を回収する場合、治具20で固定された磁気ディスク装置構成部品21に、液体を噴射し、液体の流体抵抗力で磁気ディスク装置構成部品21から付着異物を除去し、液体回収容器30内の液体31に、異物を回収する。
【実施例1】
【0019】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る異物回収装置の全体構成を示す。異物回収装置は、吸引ノズル120と、液体収容容器110と、吸引ノズル120と液体収容容器110を接続するチューブ116aと、濾過部140と、液体収容容器110と濾過部140を接続する接続部115と、第1の吸引ポンプ130aと、液体収容容器110と第1の吸引ポンプ130aを接続するチューブ116bと、第2の吸引ポンプ130bと、濾過部140と第2の吸引ポンプ130bを接続するチューブ116cと、液体貯蓄槽150と、液体貯蓄槽150と第2のポンプを接続するチューブ116dとを備える。
【0020】
液体収容容器110は、洗浄液供給管111と、洗浄液排水口114と、洗浄液排水バルブ112と、濾過部接続部115と、濾過部接続バルブ113と、液体供給管117と、捕集液体供給バルブ118とを有する。
【0021】
さらに、本装置には制御部100が備えられ、この制御部100には、演算装置や記憶装置、操作端末などを通常備えている。制御部100は、信号線101を介して上記の各バルブ(112、113、118)の開閉操作や各モータ(130a、130b)の運転操作を指示する信号を送り、本装置を制御する。
【0022】
液体収容容器110には、捕集された異物が溶解しない液体が入っている。液体中の不純物数が多いと、回収された異物の解析が困難になるため、液体の清浄度は高い方がよい。例えば、異物捕集用の液体に水を用いる場合、0.05μmの大きさの不純物数が1個/ml以下の超純水であることが望ましい。
【0023】
図4a)およびb)に濾過部140の拡大断面図を示す。濾過部140は、フィルタ保持具143と、フィルタ支持具144と、高密度フィルタ142と、フィルタ保持具143とフィルタ支持具144と高密度フィルタ142を包括するフィルタホルダ141で構成される。フィルタ保持具143は、高密度フィルタ142に対し吸引上流側に配置され、フィルタ支持具144は高密度フィルタ142に対し、吸引下流側に配置される。フィルタホルダ141と、フィルタ保持具143と、フィルタ支持具144には、それぞれ孔が設けられている。図4a)では、フィルタホルダ141とフィルタ保持具143を貫通する管145と、フィルタ支持具144を貫通する管146が設けられ、それぞれの管の内側は、液体を通過させる孔が設けられている。フィルタ保持具143フィルタホルダ141と、フィルタ保持具143と、フィルタ支持具144の孔によって、捕集された異物を含む液体が流れる流路が形成される。高密度フィルタ142は、流路を横断するように配置される。捕集された異物を含む液体がフィルタ保持具143の孔を介して、高密度フィルタ142を通過し、フィルタ支持具144の孔を介して排出されることで、高密度フィルタ142表面には、フィルタ保持具の孔の領域のみに異物が回収される。そのため、回収した異物を分析に都合の良いように、高密度フィルタ142上の狭小領域に回収することができる。
【0024】
図4b)には、図4a)で示した濾過部140の拡大断面図を示す。図4a)との違いは、接続部115を構成する管147の内径が、管146と異なる点である。管147の内径は、高密度フィルタ142と接する位置での内径と、上流側の内径とが異なり、上流側でその内径は大きく、高密度フィルタ142側でその内径は小さくなっている。上述したように、そのため、回収した異物を分析に都合の良いように、高密度フィルタ142上の狭小領域に回収することができる。
【0025】
磁気ディスク装置駆動時に発生する速い気流速度で異物を回収するには、チューブ116aの径を大きくする必要がある。また、吸引ポンプ130aの吸引流量は120L/min(ダイアフラム式吸引ポンプの最大値)程度が望ましい。吸引流量が少ない場合、吸引流速が低下してしまい、磁気ディスク装置駆動時に発生する気流速度を再現することができない。また、気流速度低下を抑制するために、吸引ノズル120から液体収容容器110までのチューブ116aには、フィルタを設けないか、目の粗い低密度フィルタを大きな径で設けることしかできない。高密度フィルタ(特に径の小さなもの)は、圧力損失を大きくしてしまうからである。吸引ポンプ130aとしては、ダイアフラム式の定流量機能を内蔵する吸引ポンプが望ましい。こうしたポンプは、オイルを使用しないため、クリーンルーム内で使用する場合にもクリーンルーム内を汚染する可能性が低い。
【0026】
磁気ディスク装置駆動時に発生するような速い吸引流速で異物を回収し、さらに回収した異物を分析に好都合に狭小領域に集約するために、吸引した異物を含む気体を通すチューブ116aの径は、高密度フィルタ142のすぐ上流の流路の断面積よりも大きい。
【0027】
また、濾過部140の高密度フィルタ142の上流の濾過部接続部115の口径を小さくすることにより、高密度フィルタ142の特定の狭小領域に異物を集めることができるので、異物の量が少なくても分析しやすい。
【0028】
濾過部140を通過した液体を、第2の吸引ポンプで吸引し、液体貯蓄槽150に貯蓄することで、異物を捕集する液体を再利用することができる。
【0029】
図5に異物回収時の回収フローを示す。
(手順1)濾過部140に高密度フィルタ142をセットする。(S501)
(手順2)第1の吸引ポンプ130aを駆動する。(S502)
(手順3)吸引ノズル120で磁気ディスク装置構成部品から異物を回収する。回収した異物は、液体収容容器110内の液中に捕集される。(S503)
(手順4)異物を捕集した後、第1の吸引ポンプ130aを停止する。(S504)
(手順5)第2の吸引ポンプ130bを駆動する。(S505)
(手順6)濾過部接続バルブ113を開け、捕集した異物を含む液体を濾過部140に通す。濾過部140を通過する際に、異物は高密度フィルタ142上に回収される。(S506)
濾過部140を通過した液体は、液体貯蓄槽150に送られる。
(手順7)異物を高密度フィルタ142上に回収した後、濾過部接続バルブ113を閉める。(S507)
(手順8)第2の吸引ポンプ130bを停止する。(S508)
(手順9)洗浄液供給管111より、洗浄液を液体収容容器110に注入し、液体収容容器110内を洗浄する。(S509)
(手順10)洗浄後、洗浄液排水バルブ112を開け、洗浄液排水口114より、洗浄液を排出する。(S510)
(手順11)洗浄液排水後、洗浄液排水バルブ112を閉め、超純水を液体収容容器110に注入し、液体収容容器110内をリンス処理する。(S511)
(手順12)リンス後、洗浄液排水バルブ112を開け、超純水を排出する。排出後、洗浄液排水バルブ112を閉める。リンス処理は複数回実施することが望ましい。(S512)
(手順13)濾過部140から高密度フィルタ142を取り出し、回収された異物を解析する。(S513)
(手順14)捕集液体供給バルブ118を開け、液体貯蓄槽150から、液体を液体収容容器110に送液する。(S514)
(手順15)捕集液体供給バルブ118を閉める。(S515)
本発明の異物回収装置を用い、高密度フィルタ142上に回収した異物に対しては、走査型電子顕微鏡(SEM)による異物形状観察や異物数計測、エネルギー分散型X線解析(EDX)による元素分析や、オージェ電子分光分析(AES)、電子線マイクロアナライザーEPMA)、蛍光X線分析等による分析が好ましい。また、有機異物に対する分析では、フーリエ変換赤外光分析(FT−IR)やラマン光分析による分析も好ましい。
【0030】
以下の本発明の実施例を示すが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限られるものではない。
【0031】
本実施例では、磁気ディスク装置の構成部品に付着する異物を回収し、EDXで解析した。使用したEDXの分析可能領域は直径2mm。直径13mm、孔径0.8μmのポリカーボネート製高密度フィルタを用い、異物回収液体には超純水を使用した。吸引ノズルと液体収容容器を接続するチューブと、液体収容容器と濾過部を接続するチューブと、液体収容容器と吸引ポンプを接続するチューブには直径6mmのテフロン(登録商標)製チューブを使用した。濾過部には、中心部に直径2mmの孔を開けたフィルタ保持具と、直径6mmの孔を開けたフィルタ支持具を使用した。吸引ポンプの吸引流量は120L/minのポンプを使用し、吸引流速は60m/sとなるように、レギュレーターで吸引流量を調整した。
【0032】
図6に、本発明を用いて磁気ディスク装置構成部品から回収した異物を、EDXで解析した結果を示す。解析した磁気ディスク装置構成部品からは、SUS400、SiO、SiAl合金、銅等の異物が検出された。このことから、解析した磁気ディスク装置構成部品からは、磁気ディスク装置駆動時に、SUS400、SiO、SiAl合金、銅等の異物が脱離することが予想される。
【0033】
比較のため、従来の液体噴射式異物回収法で、同様の解析を行った。異物回収用の液体には超純水を使用した。回収された異物は、SUS300とSUS400が主異物であり、本手法の解析結果と大きく異なる。
【0034】
また、気流で回収される異物数は非常に少ないため、異物が高密度フィルタの全面に回収されてしまう場合、分析可能領域が数mm、あるいは数μmしかないような分析装置を用いて回収異物を解析する際に、高密度フィルタ上の異物位置確認に非常に時間がかかる。本発明では吸引された異物が、高密度フィルタ上の狭小領域に回収されるため、上記問題を解決することができる。
【0035】
本実施例では、吸引した異物を含む気体を通すチューブの径(6mm)が、捕集した異物を含む捕集用液体を高密度フィルタ上に通すフィルタ保持具の孔径(2mm)よりも大きいため、磁気ディスク装置駆動時に発生する気流速度(60m/s)のような速い吸引流速で異物を回収することができる。さらに、フィルタ保持具の孔径が小さいため、回収した異物を高密度フィルタの狭小領域に集約することができる。
【0036】
本発明を用いることで、磁気ディスク装置構成部品に付着する異物のうち、磁気ディスク装置駆動時に発生する速い気流速度により、磁気ディスク装置構成部品から脱離しうる異物を、分析に好都合なように、高密度フィルタ上の狭小領域に解析することができる。
【実施例2】
【0037】
磁気ディスク装置製造ラインは、組立途中の磁気ディスク装置を搬送する搬送工程と、磁気ディスク装置構成部品を組立てる組立工程と、前記組み立て途中の磁気ディスク装置に付着する異物を吸引する吸引工程と、組立てた磁気ディスク装置を封止する封止工程からなり、封止工程前の工程間に異物回収装置を有する。なお、図7の矢印で示す各工程間で発塵する異物を該異物回収装置により回収する。異物回収は、各工程間の全てで行っても良いし、あるいはいずれか1ヶ所でも良いし、あるいはいずれか複数の箇所で行っても良い。適宜、製造ラインの状態、あるいは磁気ディスク装置に要求される仕様になどにより決定される。
【0038】
異物回収装置は、吸引ノズルと、液体収容容器と、吸引ノズルと液体収容容器を接続するチューブと、濾過部と、液体収容容器と濾過部を接続するチューブと、第1の吸引ポンプと、液体収容容器と第1の吸引ポンプを接続するチューブとを備える。
【0039】
吸引ノズルは、製造ライン内の一部に取り付けられており、製造時の発塵異物を回収する。
【0040】
図7に磁気ディスク装置製造ラインにおける磁気ディスク装置製造フローを示す。
(手順1)濾過部に高密度フィルタをセットする。(S701)
(手順2)磁気ディスク装置構成部品を準備する。(S702)
(手順3)異物回収装置の第1の吸引ポンプの電源を入れる。(S703)
(手順4)磁気ディスク装置構成部品を磁気ディスク装置組立工程に搬送する。(S704)
(手順5)磁気ディスク装置構成部品を組立てる。(S705)
(手順6)組立てた磁気ディスク装置を洗浄用吸引工程に搬送する。(S706)
(手順7)磁気ディスク装置を吸引洗浄する。(S707)
(手順8)洗浄した磁気ディスク装置を封止工程に搬送する。(S708)
(手順9)磁気ディスク装置を封止する。(S709)
(手順10)異物回収装置の第1の吸引ポンプを停止する。(S710)
高密度フィルタ上に異物を回収するシーケンスは、実施例1と同様であり、説明を省略する。
【0041】
本発明を用いることにより、磁気ディスク装置製造ライン内において、磁気ディスク装置製造中に発塵し、磁気ディスク装置製造ライン内に浮遊する異物を解析することができる。
【実施例3】
【0042】
磁気ディスク装置製造ラインは、組立途中の磁気ディスク装置を搬送する搬送工程と、磁気ディスク装置構成部品を組立てる組立工程と、前記組み立て途中の磁気ディスク装置に付着する異物を吸引する吸引工程と、組立てた磁気ディスク装置を封止する封止工程からなる。
【0043】
吸引工程では、吸引洗浄装置による、磁気ディスク装置洗浄が行われる。吸引洗浄装置は、吸引洗浄ノズルと、異物回収装置と、第1の吸引ポンプを備える。異物回収装置は、吸引口と、液体収容容器と、吸引口と液体収容容器を接続するチューブと、濾過部と、液体収容容器と濾過部を接続するチューブと、第1の吸引ポンプと、液体収容容器と吸引ポンプを接続するチューブとを備える。
【0044】
図8に磁気ディスク装置製造ラインにおける磁気ディスク装置製造フローを示す。
(手順1)濾過部に高密度フィルタをセットする。(S801)
(手順2)磁気ディスク装置構成部品を準備する。(S802)
(手順3)異物回収装置の第1の吸引ポンプの電源を入れる。(S803)
(手順4)磁気ディスク装置構成部品を磁気ディスク装置組立工程に搬送する。(S804)
(手順5)磁気ディスク装置構成部品を組立てる。(S805)
(手順6)組立てた磁気ディスク装置を洗浄用吸引工程に搬送する。(S806)
(手順7)磁気ディスク装置を吸引洗浄する。(S807)
(手順8)洗浄した磁気ディスク装置を封止工程に搬送する。(S808)
(手順9)磁気ディスク装置を封止する。(S809)
(手順10)異物回収装置の第1の吸引ポンプを停止する。(S810)
高密度フィルタ上に異物を回収するシーケンスは、実施例1と同様であり、説明を省略する。
【0045】
本発明を用いることにより、磁気ディスク装置製造ライン内の、吸引洗浄部により、磁気ディスク装置から除去される異物を解析することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の異物回収方法及び装置は、異物の数と材質により品質が左右される磁気ディスク装置や半導体素子、光学素子などの付着異物解析、又は清浄度管理用途に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
10…加圧タンク、
11…スプレーノズル、
20…試料保持具、
21…試料、
30…タンク、
31…液体、
110…液体収容容器、
111…洗浄液供給ノズル、
112…洗浄液排出用バルブ、
113…濾過部接続バルブ、
114…洗浄液排出口、
115…濾過部接続口、
116a,116b,116c,116d…チューブ、
117…液体供給管、
118…捕集用液体供給バルブ、
120…吸引ノズル、
130a,130b…吸引ポンプ、
140…濾過部、
141…フィルタホルダ、
142…高密度フィルタ、
143…フィルタ保持具、
144…フィルタ支持具、
150…捕集用液体貯蓄槽。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に付着した異物を気流の力でフィルタ上に回収する異物回収装置において、
前記異物を気体とともに吸引するノズルと、
前記気体を吸引する吸引力を付与する第1のポンプと、
前記異物を溶解させない捕集用液体を収容する捕集用液体貯蓄槽と、
前記捕集用液体を通して、前記吸引した異物を含む気体を捕集する液体収容容器と、
前記ノズルと前記液体収容容器とを接続する第1の接続部と、
前記異物が捕集された捕集用液体を通過させることにより前記異物を回収するフィルタを具備して成る濾過部と、
前記液体収容容器と前記濾過部を接続する第2の接続部と、を備え、
前記第2の接続部に設けられた前記捕集用液体を流す流路の前記濾過部と接続される受け口での断面積が、前記第1の接続部に設けられた流路のいずれかの断面積よりも小さいことを特徴とする異物回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の異物回収装置において、
前記濾過部は、前記フィルタと、前記第2の接続部側に設けられ前記フィルタを保持するフィルタ保持具と、前記フィルタを介して前記第2の接続部と対向する側に設けられ前記フィルタを支持するフィルタ支持具と、前記フィルタ保持具を囲むように配置されたフィルタホルダと、を備え、
前記フィルタ保持具と前記フィルタ支持具には、前記捕集用液体を流す流路となる貫通管を有することを特徴とする異物回収装置。
【請求項3】
請求項1に記載の異物回収装置において、
前記フィルタ上流側の流路の第1の位置における断面積は、前記第1の位置より、さらに上流側の流路の断面積よりも小さいことを特徴とする異物回収装置。
【請求項4】
請求項1に記載の異物回収装置において、
前記濾過部の下流に、第3の接続部を介して第2のポンプが接続されていることを特徴とする異物回収装置。
【請求項5】
請求項4に記載の異物回収装置において、
前記第2のポンプで吸引した前記捕集用液体を、前記液体収容容器に戻す手段を有することを特徴とする異物回収装置。
【請求項6】
請求項5に記載の異物回収装置において、
前記第2のポンプの駆動時は、前記第1のポンプが駆動しないように制御する手段を有することを特徴とする異物回収装置。
【請求項7】
物体に付着した異物を気流の力でフィルタ上に回収する異物回収方法において、
ノズルを介して物体に付着した異物を、ポンプを用いて気体に吸引力を付与し該気体とともに通気路を通して吸引する吸引工程と、
前記吸引した異物を含む気体を、該異物を溶解させない捕集用液体中に通し、該捕集用液体に前記異物を捕集する捕集工程と、
前記異物を捕集した捕集用液体を吸引してフィルタを含む濾過部に通し、前記異物を該フィルタ表面に回収する回収工程と、を含み、
前記捕集用液体を流す流路が前記濾過部と接続される受け口での断面積が、前記通気路のいずれの断面積よりも小さいことを特徴とする異物回収方法。
【請求項8】
請求項7に記載の異物回収法方法において、
前記フィルタの上流部に、貫通管を有するフィルタ保持具が配置されていることを特徴とする異物回収方法。
【請求項9】
磁気ディスク装置の製造方法において、
磁気ディスク装置を構成する構成部品を準備する準備工程と、
前記準備した構成部品を用いて磁気ディスク装置を組立てる組立工程と、
前記組立てた磁気ディスク装置を封止する封止工程と、
を含み、
前記準備工程、組立工程、封止工程のいずれかの工程の間、または前記封止工程の後に、請求項1記載の異物回収装置を用いて、前記構成部品または前記磁気ディスク装置の異物を回収することを特徴とする磁気ディスク装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の磁気ディスク装置の製造方法において、
前記準備工程、組立工程、封止工程のそれぞれの工程間、または前記封止工程の後のいずれかの少なくとも2箇所で、前記構成部品および前記磁気ディスク装置の異物回収を行うことを特徴とする磁気ディスク装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−120982(P2011−120982A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279583(P2009−279583)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】