説明

異種金属管の接続構造及びこれを用いた接続方法

【課題】 強度および気密性に優れ、しかも加締工程を効率化して異種金属管の接続長の短い接続構造及を提供する。
【解決手段】 金属蛇腹管X側の接続部が、その内側から外側に向かって蛇腹管の直管部1、ニップル2、蛇腹管の補強部3及び締結カラー7の順に嵌合、固着されて構成され、前記ニップル2は基部2aと外周に雄ネジ2dが形成された接続端部2bとを有する一方、金属管Y側の接続部は、内周に雄ネジ6aが形成された接続端部6とこの接続端部6に外挿されたスリーブ7とで構成され、このスリーブ7は前記接続端部6に接合された基部7aと延出した嵌合端部7bを有しており、前記雄ネジ2dと前記雌ネジ6aとが螺合された螺合部8を形成すると共に、前記螺合部8が熱硬化性樹脂により接着されてなる異種金属管の接続構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種金属管の接続構造及びこれを用いた接続方法に関し、特に、自動車用エアコンの冷媒回路に用いられる振動吸収管と回路配管の接続構造及びこれを用いた接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車体の軽量化を目的として自動車用エアコンの冷媒回路の配管にはアルミニウム合金製配管が使用されているが、コンプレッサ等で発生する振動が配管を共振させ騒音を引き起こす恐れがある。そこで、配管の共振を抑制するために、従来はゴムと樹脂とからなる複合ホースが配管の途中に組み込まれて使用されていた。
【0003】
ところで、自動車用のエアコンの冷媒として、オゾン層の破壊物質であるフロン12に代えてHFC134aが多く用いられている。しかし、このHFC134aは、オゾン破壊係数はゼロあるが、地球温暖化係数が高く温暖化促進の原因となりつつある。このため、HFC134a代替物質として、温暖化係数の小さい、自然系冷媒であるCO冷媒を使用することが推奨されつつある。
【0004】
ところが、CO冷媒を使用する場合、冷媒回路配管の耐熱温度がHFC134a冷媒の120〜140℃に対し140〜180℃を要するとともに、耐圧もHFC134a冷媒の1.7〜1.8MPaに対し13〜15MPaを要する。
【0005】
このため、従来の様なゴムと樹脂とからなる複合ホースではこの様な高温高圧仕様には耐えられないため、代わってステンレス鋼製の蛇腹を有する振動吸収管が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、このステンレス鋼製の振動吸収管は、管壁が金属製であるため従来のゴムと樹脂とからなる複合ホースに比して格段に優れた対ガス透過性を有し、冷媒を外に漏らすことがない。従って、このステンレス鋼製の振動吸収管はCO冷媒のみならず、現状のHFC134a冷媒等に対しても冷媒の外気への漏洩量をゼロに近付ける目的で使用が進められている。
【0006】
ところが、この振動吸収管を冷媒回路に組み込む際には以下の問題がある。即ち、振動吸収管の蛇腹部分は、加工性と強度の問題から現状ではステンレス鋼しか用いることができない。一方、冷媒回路配管は、車体の軽量化とコストを考慮するとステンレス鋼に変更することは困難であり、現状のアルミニウム(またはアルミニウム合金)製を用いることが必然とされている。従って、ステンレス鋼製の振動吸収管とアルミニウム製の配管とを接合する必要がある。
【0007】
しかしながら、これらの金属製のパイプ同士を単に機械的に嵌合させたり、螺合させたりする方法によっては、信頼性のある高強度かつ高気密性を有する接合部を得ることは非常に難しい。また、アルミニウムとステンレス鋼とを溶接やロウ付けで接合すると、接合部に脆い金属間化合物が生成しやすいために、この場合も信頼性のある高強度かつ高気密性を有する接合部を得ることは非常に困難である。
【0008】
尚、鉄系材料とアルミニウムとの接合方法として、鉄系材料からなる母材の表面に荒加工を施して凹凸を形成した後、アルミニウム層を仮形成し、このアルミニウム層を表面側から押圧しながら、高周波加熱することにより、Fe−Alの金属間化合物からなる拡散層を形成する方法が開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、この方法は金属間化合物からなる拡散層を形成することによって母材表面の耐磨耗性や平滑度を向上させることを目的とするものであり、金属間化合物を形成する限り信頼性のある高強度かつ高気密性を有する接合部は得られない。
【0009】
そこで、本発明者等は、係る問題を解決すべく既に異種金属管の接続構造を提案した。この先願発明に係る異種金属管の接続構造について、以下添付図6を参照しながら説明する。図6は、先願発明の実施形態に係るステンレス蛇腹管とアルミ管との接続構造を示す部分縦断面図である。
【0010】
この先願発明に係る異種金属管の接続構造は、蛇腹15の外面に補強部13を有する金属蛇腹管Xと、この蛇腹管Xと材質の異なる金属管Bとが一体的に接続されてなるものである。
【0011】
そして、前記蛇腹管X側の接続部は、その内側から外側に向かって蛇腹管Xの直管部11、ニップル12、蛇腹管Xの補強部13及び締結カラー14の順に嵌合、固着されて構成されており、且つ該ニップル12は該補強部13に接合された基部12-1と前記補強部13及び締結カラー14の端面より金属管B側に延出した接続端部12-2を有すると共に、該締結カラー14は同金属管B側に位置する小径部14-1とこれと連続して金属蛇腹管Xの蛇腹側に位置する大径部14-2とを有している。
【0012】
一方、金属管B側の接続部は、金属管Bの接続端部16とこの接続端部16の外側に固着されスリーブ17で構成され、該スリーブ17は同接続端部16に接合する基部17-1と前記金属蛇腹管X側に延出した嵌合端部17-2を有している。そして、前記金属管Bにおける前記スリーブ17の嵌合端部17-2が金属蛇腹管Xにおける締結カラー14の小径部14-1に外嵌されている。
【0013】
更に、金属蛇腹管Xにおける補強部13及び締結カラー14の端面と金属管Bの接続端部16の端面とが当接または近接の状態で、同ニップル12)の接続端部12-2外面と同金属管Bの接続端部16内面が熱硬化性樹脂18により接着、固定されている(特許文献3)。
【0014】
上記異種金属管の接続構造によれば、強度と気密性に優れる異種金属管接続構造が得られ、自動車用エアコンのCO2冷媒回路にも適用可能であるが、蛇腹管Xをアルミ管Y側と接続する際には、スリーブ17の外周から軸心方向の3箇所K1,K2及びK3を加締めて、このスリーブ17とアルミ管Yの接合端部16と蛇腹管Xのニップル12の接続端部12−2とを圧着して一体化する必要がある。
【特許文献1】特開2002−195474号公報
【特許文献2】特開平7−310161号公報
【特許文献3】特許第4062325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
即ち、本発明は、上記先願発明において、スリーブ17の外周から軸心方向3箇所K,K,Kを求心方向に各8箇所加締めて締結するため、アルミ管Yの接続端部長L2bを長くする必要が生じ、結果的に接続長L2が長くなるという問題に鑑みてなされたものであって、強度および気密性に優れ、しかも加締工程を効率化して異種金属管の接続長の短い接続構造を提供することを目的とする。
【0016】
更に、本発明は、前記異種金属管の接続構造を応用して、離間する2本の金属管の接続において、前記金属管同士の軸心が一致していない場合や接続部が対向していない場合であっても、所定長を有する前記金属蛇腹管により効率的に接続可能な異種金属管の接続構造及びこれを用いた接続方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る異種金属管の接続構造が採用した手段は、蛇腹の外周に補強部を有する金属蛇腹管とこの蛇腹管と材質の異なる金属管とが一体的に接続されてなる異種金属管の接続構造に関するものである。
【0018】
そして、前記蛇腹管側の接続部は、その内側から外側に向かって蛇腹管の直管部、ニップル、蛇腹管の補強部及び締結カラーの順に嵌合、固着されて構成されており、且つ、前記ニップルは前記補強部に接合された基部と、前記補強部及び締結カラーの端面より金属管側に延出し、外周に雄ネジが形成された接続端部とを有すると共に、前記締結カラーは前記金属管側に位置する小径部とこれと連続して金属蛇腹管の蛇腹側に位置する大径部とを有する。
【0019】
一方、前記金属管側の接続部は、金属管の内周に雄ネジが形成された接続端部とこの接続端部の外周に固着されたスリーブとで構成され、このスリーブは前記接続端部に接合する基部と前記金属蛇腹管側に延出した嵌合端部を有している。
【0020】
そして、前記蛇腹管側のニップルに形成された雄ネジと、前記金属管側の接続端部に形成された雌ネジとが螺合された螺合部が形成されると共に、前記金属管における前記スリーブの嵌合端部が金属蛇腹管における締結カラーの小径部に外嵌されており、更に、前記金属蛇腹管における補強部及び締結カラーの端面と金属管の接続端部の端面とが当接または近接の状態で、前記螺合部が熱硬化性樹脂により接着されてなることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項2に係る異種金属管の接続構造が採用した手段は、請求項1に記載の異種金属管の接続構造において、前記金属蛇腹管側における前記締結カラーの小径部とニップルの基部とが保護層を介して加締めにより固着されると共に、前記金属管側における前記スリーブの基部と金属管とが加締めにより固着されてなることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項3に係る異種金属管の接続構造が採用した手段は、請求項1または2に記載の異種金属管の接続構造において、前記金属蛇腹管がステンレス蛇腹管であり、前記金属管がアルミニウム管であることを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項4に係る異種金属管の接続構造が採用した手段は、請求項1〜3のうちの何れか一つの項に記載の異種金属管の接続構造において、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の請求項5に係る異種金属管の接続構造が採用した手段は、請求項1〜4のうちの何れか一つの項に記載の異種金属管の接続構造において、離間する2本の前記金属管の接続部が、所定長を有する前記金属蛇腹管により一体的に接続されてなる異種金属管の接続構造に関する。
【0025】
そして、一方の前記金属管の接続端部に右廻りの雌ネジが、他方の前記金属管の接続端部に左廻りの雌ネジが形成されると共に、前記金属蛇腹管の一方の接続端部に右廻りの雄ネジが、他方の接続端部に左廻りの雄ネジが形成され、一方の前記金属管の接続端部と前記金属蛇腹管の一方の接続端部、及び他方の前記金属管の接続端部と前記金属蛇腹管の他方の接続端部が、この蛇腹管を一方向のみに回転して前記螺合部を形成されてなることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の請求項6に係る異種金属管の接続方法が採用した手段は、離間する2本の金属管の接続部を、所定長を有する金属蛇腹管により一体的に接続する請求項5に記載の異種金属管の接続構造を用いた接続方法において、一方の前記金属管の接続端部に右廻りの雌ネジを、他方の前記金属管の接続端部に左廻りの雌ネジを形成すると共に、前記金属蛇腹管の一方の接続端部に右廻りの雄ネジを、他方の接続端部に左廻りの雄ネジを形成する。
【0027】
次いで、前記金属管の接続端部の雌ネジ及び/または前記金属蛇腹管の接続端部の雄ネジに前記熱硬化樹脂を塗布した後、夫々の金属管に一旦スリーブを外挿し、一方の前記金属管の接続端部に前記金属蛇腹管の一方の接続端部を、他方の前記金属管の接続端部に前記金属蛇腹管の他方の接続端部を夫々当てがって、この金属蛇腹管を一方向のみに回転して前記接続端部の雄ネジまたは雌ネジを同時に螺合する。
【0028】
そして、前記スリーブを夫々の接続領域に位置決めして、これらのスリーブの外周の少なくとも対向する面を一箇所加締め、その後、夫々の接続領域を加熱して前記熱硬化性樹脂を硬化させ、前記金属配管と蛇腹管とを接続することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、強度および気密性に優れ、しかも接続長が短かくコンパクトな異種金属管の接続構造を比較的容易な手法によって提供することができる(請求項1,2,4)。そして、ステンレス鋼製の蛇腹管とアルミニウム合金管を接続してなる異種金属管接続構造を自動車用エアコンのCO冷媒回路に有利に適用することが容易となり、地球環境への負荷の低減と、車体の軽量化とを両立させることが可能となる(請求項3)。
【0030】
また、本発明により、前記異種金属管の接続構造を応用して、離間する2本の金属管の接続において、前記金属管同士の軸心が一致していない場合や接続部が対向していない場合であっても、所定長を有する前記金属蛇腹管により効率的に気密接続可能な異種金属管の接続構造及びこれを用いた接続方法を提供することができる(請求項5,6)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、添付図1〜3を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態1に係り、自動車用エアコンに用いられるCO冷媒回路の途中に、振動吸収管としてのステンレス鋼製の金属蛇腹管(以下、ステンレス蛇腹管あるいは蛇腹管と略称することがある)と回路配管としてのアルミニウム合金製金属管(以下、アルミ管と略称することがある)とを接続した本発明の好ましい接続構造を示したものである。そして、図2及び図3は実施の形態1に係る接合前の各単体側の接続部の構造を示したもので、図2はステンレス蛇腹管側、図3はアルミ管側を示している。
【0032】
そこで、図1の最終的な接合構造に至る製作を含めて、図2及び図3をもとに本発明の内容を詳細に説明して行く。
【0033】
ステンレス蛇腹管側の接続部は、図2の様に、中央部に形成されたステンレス製の蛇腹5と端部の直管部1並びにその外側に被覆して設けられたアラミド繊維のブレード層である補強部3とからなるステンレス蛇腹管X、ステンレスニップル2、及びステンレス締結カラー4により構成されている。
【0034】
また、ニップル2は、補強部3に接合した蛇腹5側に位置する基部2aと、補強部3及び締結カラー4の端面より延出した接続端部2bを有し、基部2aにはその外周に軸心方向に亘り2列の周溝2cが設けられる一方、接続端部2bの外周には雄ネジ2dが設けられている。
【0035】
そして、蛇腹管X側の接続部の製作は、先ず、ニップル2の基部2aを、直管部1の外面を覆うようにして、蛇腹5の先端に当接するまで嵌入して嵌合させた後、ニップル2の内周と蛇腹管Xの直管部1の端面、及びニップル2の蛇腹5側の端面とこれに接する蛇腹面とをそれぞれロウ付けすることにより、ニップル2と蛇腹管Xとを接合する。
【0036】
次いで、ブレード機によりアラミド繊維を編組することにより補強部3を設けた後、ロウ付けされたニップル2の基部2aの領域(長さ)をカバーするより少し長めの締結カラー4を用意し、この締結カラー4を、蛇腹管Xの補強部3の外側に挿入し、補強部3の端面とカラーの端面を揃えて嵌合させると共に、締結機(加締装置)によりその端部側の領域部分の外周を平加締め方式により求心方向に8箇所加締めて、蛇腹管Xとニップル2とを一体的に固着する。
【0037】
この締結カラー4の加締めにより、図1の蛇腹管X側の接続部が示す様に、締結カラー4の加締められた端部側(図で左側半分)の領域部分はその径が縮小した小径部4aとなる一方、加締められなかった領域部分(図で右側半分)は大径部4bのままとなる。即ち、締結カラー4は、その中央に径の変化を伴った段差を有する形状となる。
【0038】
また、同加締めによって、加締められた領域部分に挟み込まれた補強部3の端部は、その厚みが密に縮小すると共にニップルの基部2aの周溝2cに埋め込まれた状態となり、この結果、補強部3は締結カラー4とニップル2間において強固に締結され、その端部がほつれて緩んでだり、脱離する心配がない。尚、蛇腹管Xに、アラミド繊維をブレードする前に、蛇腹部の緩衝用として蛇腹5の谷部にゴムまたは熱可塑性エラストマーを埋め込まれていても良い。
【0039】
一方、アルミ管Y側の接続部は、図3の様にアルミ管Yの内周に雌ネジ6aが形成された接続端部6と、その外側に軸心方向に摺動可能に外挿されたスリーブ7で構成されている。
【0040】
このアルミ管Y側の接続部の製作は、先ず、アルミ管Yの端部を、前記ステンレス蛇腹管Xのニップル2の接続端部2aの外周に形成された雄ネジ2dと螺合可能な雌ネジ6aのネジ加工を施して接続端部6を形成する。次に、接続端部6の外径より少し大きな内径を有し、且つ前記ニップル2の接続端部2bの長さと前記締結カラー4の小径部4aの長さを合計した全長とほぼ等しい長さを有するステンレス製のスリーブ7を準備する。
【0041】
そして、アルミ管Yの接続端部6の外側にこのスリーブ7を挿入し、摺動可能に緩く嵌合する。スリーブ7は、アルミ管Yの接続端部6に嵌合する基部7aと、同接続端部6から離脱、延出すると共に拡径された端側の嵌合端部7bとが連続した形状を有しており、後述する様に、この基部7aがアルミ管Y(接続端部6)と加締められ、その外力を受ける部分であり、また嵌合端部7bは加締められず、従って、外力を受けない部分に相当する。
【0042】
さて、この様にして製作準備されたステンレス蛇腹管X側並びにアルミ管Y側の接続部を一体的に接続する方法について、以下図1〜3を用いて説明する。
【0043】
最初に、ステンレス蛇腹管X側におけるニップル2の接続端部2bの外周に形成された雄ネジ2dに、ガラス転移点が140℃以上のエポキシ樹脂(接着剤)を塗布する。塗布する領域は、本実施の形態1では接続端部2の接続端部2bの外周に雄ネジ2dが形成された領域とする。
【0044】
エポキシ樹脂(接着剤)の塗布が終わると、蛇腹管Xとアルミ管Yの接続作業に先立ち、予め用意した熱収縮性を有するシリコーンゴムからなる電食保護チューブ9を、蛇腹管Xのニップル2から外挿し、図2の様に締結カラーの4の後方の位置に、補強部3とは隙間ができるほど緩く装着しておく。
【0045】
次いで、この蛇腹管Xのニップル2の接続端部2bに形成された雄ネジ2dを、アルミ管Yの接続端部6の内周に形成された雌ネジ6aに螺合し、両ネジが回らなくなるまで回し切って、図1に示す螺合部8を形成する。
【0046】
これに伴って、接続端部6に外嵌されたスリーブ7の嵌合端部7bも締結カラー4の小径部4aに外挿され、同嵌合端部7bが同小径部4aを覆い、大径部4bのスリーブ7側に位置した段差を構成する端面(フランジ面)に当接した位置で停止することになる。こうして、外側のスリーブ7の嵌合端部7bと内側の締結カラー4の小径部4aとは緩く嵌合した状態でセットされる。
【0047】
この状態で、締結機(加締装置)によりスリーブ7の基部7aの外周面を軸心方向に一箇所、対向面を加締めてアルミ管Yの接続端部6の外面に圧着させる。このスリーブ7の加締めにより、軟らかいアルミ管Yの接合端部6外面が、硬いステンレスのスリーブ7の基部7a内面の形状に合わせて塑性変形を起こして圧着される。これらによって、ステンレス蛇腹管Xのニップル2とアルミ管Yとは優れた接続強度が維持されることになる。
【0048】
また、同時に前記螺合により、ニップル2の雄ネジ2dに塗布されたエポキシ樹脂は、この雄ネジ2dに螺合されたアルミ管Y側の接合端部6の雌ネジ6aとの螺合部8の隙間全周に均一に流動、充填される。
【0049】
一方、前記スリーブ7の加締めの実施によっても、前述の様に加締めによる外力はスリーブ7の基部7aに作用するだけで、締結カラー4の小径部4aに緩く嵌合された嵌合端部7bには作用しない。このため、締結カラー4及びスリーブ7の加締めによる応力が集中したり、スリーブ7の加締めによって、先に締結カラー4によって加締めた領域の変形や歪が再び生じてその固着状態が緩むといった問題を一切考慮する必要がない。
【0050】
従って、図1に示した本実施の形態1の如く、アルミ管Yの接続端部6の端面と蛇腹管X側の締結カラー4(小径部4a)の端面が互いに近接する位置まで接近させて螺合した構造によれば、両管の接続長さL1を短縮することができる。
【0051】
即ち、図6に示す先願のスリーブ基部17−1における軸心方向3箇所の加締部K,K及びKを1箇所とすると共に、雄ネジ2dと雌ネジ6aの螺合による締結に代替させたため、L2bの長さを図1におけるスリーブ基部長L1bに短縮し得るものである。そして、本発明の締結カラー長L1aは先願の締結カラー長L2aと同一であるので、結果的に本発明による接続長L1が先願の接続長L2より短縮されるのである。
【0052】
例えば、外径13.3mm、内径7.3mmのステンレス蛇腹管Xと外径12.5mm、内径9mmのアルミ管Yの接続において、先願による接続長L2が42mm(L2a=18mm,L2b=24mm)であったのに対し、スリーブ基部長L1bを16mmに短縮できるため、本発明による接続長L1は34mmとなり、約20%短くできる。
【0053】
この様に、接続長L1を短くすることによって、蛇腹管Xとアルミ管Yの接続配管全体の構造をコンパクトにでき、自動車の車体内部に占めるスペースを小さくでき、組み込みが容易となる。また、先願の構造に比べ、スリーブ7の軸心方向3箇所の加締部K,K及びKが軸心方向1箇所の、それも求心方向の対向面のみの加締めとなるため、接続領域の外形をスムーズな形状にすることができ、外形の美観においても優れているといえる。
【0054】
さて、前述のスリーブ7の加締めを終えた後に、締結カラー4の後方に装着しておいた電食保護チューブ9をアルミ管Y側に移動させ、図1に示す如く、両管の接続領域S及びその前後を十分覆うようにして装着する。なお、図1においては、この電食保護チューブ9は下側のみ図示し、上側は割愛している。
【0055】
この両接続部を140〜160℃で熱風加熱装置(オーブン)などにより加熱処理して、上記螺合部8に充填したエポキシ樹脂を硬化させて本発明のステンレス蛇腹管Xとアルミ管Yの接続が終了し、接続構造(継ぎ手)が完成することになる。
【0056】
この加熱処理によって、接着強度の高い樹脂膜を形成され、このためアルミ管Yと蛇腹管Xのニップル2とは高い気密性を持って接続される。
このとき、装着された電食保護チューブ9も熱収縮し、両管の外面に密着して、外部から水などが接続領域Sのステンレスとアルミ間に侵入することによる電食腐食の発生を有効に防止する。
【0057】
以上、図示の実施の形態1についてその概要説明を行ったが、更に、本発明の理解とその実施を容易にすべく、以下において他の実施態様との関連などを含め、本発明ついてより包括的な説明を加えることにする。
【0058】
本発明において接続対象となる異種金属管については、一方(金属蛇腹管)は補強部を有する金属製の蛇腹管(所謂ベローズ管、コルゲート管を含む)で可撓性、伸縮性を備え、且つ補強部により耐圧性や耐久性が強化されたものである。他方(金属管)は蛇腹を有しない前記蛇腹管と材質の異なる通常の金属製の管である。
【0059】
前者の材質については実施の形態1ではステンレス鋼を挙げているが、ステンレス以外の鋼は勿論、他の金属またはその合金でもかまわない。後者の材質についても、実施形態ではアルミ(アルミニウム)合金を挙げたが、アルミ以外の金属又は合金でも使用できる。
【0060】
金属蛇腹管の補強部は、実施の形態1ではアラミド繊維をブレード式に蛇腹の外面に編み上げて層状に被覆したもの挙げたが、繊維についてはビニロン、ナイロン、ポリエステル、及び鋼線他各種のものが使用でき、また編み上げもブレード式に限定はされない。また、繊維以外の樹脂、ゴム系チューブを補強部として用いても差し支えない。
【0061】
アルミ管側の接続部の製作に当って、実施の形態1ではスリーブの嵌合端部を拡径(拡管)処理する旨開示したが、こうした加工は蛇腹管X側の接続部の外径(締結カラーの外径)によってその要否と加工の種類が決まるもので、このような事前加工を必要としない場合もあるし、また縮径処理(縮管)を必要とする場合もあり、本発明において上記拡径処理が必ずしも必須としないことは言うまでもない。
【0062】
金属用蛇腹管のニップル外面とアルミ管の接合端部内面に形成された螺合部を接着するための熱硬化性樹脂のとしては、実施の形態1で使用したエポキシ樹脂が接着強度に優れ、気密性を高く維持できるために好ましいが、他にも、ポリイミド樹脂などを挙げることができる。
【0063】
エポキシ樹脂としては、脂環型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、およびグリシジルアミン型などを例示することができる。脂環型エポキシ樹脂としては、リサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、あるいはビニルシクロヘキセンジオキシドなどを例示することができる。また、ポリイミド樹脂としてはピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、あるいはベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)などが挙げられる。
【0064】
また、熱硬化性樹脂の特性として、接続管の高温下での接着強度、気密性を維持させるためには、ガラス転移点が高いものが良く、特に自動車用エアコンの冷媒回路として使用される場合は、120℃以上特に140℃以上のガラス転移点を持ったものを選択することが望ましい。
【0065】
また、熱硬化性樹脂の接着領域は、ニップル側の雄ネジとアルミ管接合端部の雌ネジの螺合部隙間全域とすることが好ましいが、螺合部隙間全域に対して30%以上であれば何ら問題はない。更に、かかる熱硬化性樹脂を、スリーブの嵌合端部内面と締結カラーの小径部外面との隙間に充填して接着することも、接続強度と気密性を一層高める意味でより好ましいといえる。
【0066】
前記の実施の形態1においては、蛇腹管とアルミ管の接続に当たり、スリーブのセット及び加締めの前工程として、ニップル接続端部を、アルミ管の接続端部内に、その接続端部の端面がニップルの外面に固着された締結カラー小径部の端面(及び補強部3の端面)に当接する位置まで嵌入する旨説明したが、ニップル接続端部の端面と締結カラー小径部の端面とが近接する位置、即ちこれら両端面の間に一定の小さな隙間を持った位置でニップル接続端部のアルミ管の接続端部内への嵌入を停止した形態も本発明の範囲に含まれる。
【0067】
この近接した状態とは具体的には上記隙間が5mm以下の場合である。この隙間が5mm以下であれば接続強度や気密性に影響がないことは勿論のこと、接続長を短くして接続領域のコンパクト化を実現する本発明の課題を十分に達成できるからである。
【0068】
また、この隙間を設けることの積極的な意義もある。上記両端面間に隙間がなく当接した状態の時に、例えば、スリーブの加締め量をかなり大きく取らなければならない場合には、スリーブの加締めによって、アルミの接続端部が膨れてステンレスの締結カラーの端面を押圧し、この応力によって既に締結カラーによって加締めた領域の変形や歪が生じる可能性もある。こうした場合には、上記隙間が、アルミの膨出を吸収するクッションとして働き、締結カラーによって加締めた領域への悪影響を排除することができるのである。
【0069】
次に、スリーブの加締めの方法について、前記実施の形態1ではその基部の外周を軸心方向に1箇所、対向面を加締める場合を説明したが、これに限られず、軸心方向2箇所で加締める方法であっても良い。但し、本発明によれば、蛇腹管接合端部の雄ネジとアルミ管接合端部の雌ネジの螺合とこの螺合部を接着する接着剤によって、接続部の気密性を十分保持可能であるため、実施の形態1の様に軸心方向1箇所で行う加締めが接続長の点から最も優れている。
【0070】
前記実施の形態1においては、ステンレス蛇腹管とアルミ管との最終的な接続構造として、熱収縮性を有するシリコーンゴムで構成された電食保護チューブをステンレス蛇腹管とアルミ管との接続領域の外周部に密着させたものを挙げた。この電食保護チューブは熱収縮による密着性が優れ、接続領域への水分の浸入などを確実に排除し、電食を防止しうるものであれば、シリコーンゴム以外の他のゴム(EPゴム、二トリルブタジエンゴム等)や樹脂(ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリイミド、テフロン(登録商標)等)等を使用しても良い。
【0071】
以上説明した通り、本発明の実施の形態1によれば、強度および気密性に優れ、しかも接続長さが短かくコンパクトな異種金属管接続構造及び接合方法を比較的容易な手法によって提供することができる。そして、ステンレス鋼製の蛇腹管とアルミニウム合金管を接続してなる異種金属管接続構造を自動車用エアコンのCO冷媒回路に有利に適用することが容易となる。
【0072】
次に、本発明の実施の形態2に係る異種金属管の接合構造及びこれを用いた接続方法を、添付図4,5を参照しながら説明する。図4及び図5は本発明の実施の形態2に係る接合前の各単体側の接続部の構造を示したもので、図4はステンレス蛇腹管側、図5はアルミ管側を示している。
【0073】
但し、本発明の実施の形態2が上記実施の形態1と相違するところは、ステンレス蛇腹管側とアルミ管側の接続部構成と接続数に相違があり、これらの相違以外は上記実施の形態1と全く同構成であるから、上記実施の形態1と同一のものに同一符号を付して、以下その相違する点について説明する。
【0074】
即ち、上記実施の形態1においては、ステンレス蛇腹管X側とアルミ管Y側の接続部は夫々一つであり、接続数もこれらの接続部同士を接続する1箇所で構成されていた。
【0075】
これに対し、本発明の実施の形態2においては、図4に示す如く、所定長の長さを有するステンレス蛇腹管Xの両端の接続部には、夫々ニップル2が接合されると共に、これらのニップル2の接続端部2b外周に雄ネジ2dが夫々形成されている。そして、前記接続端部2bの外周に形成された雄ネジ2dは、図4の左側接続部においては右廻り雄ネジ2dが、同図の右側接続部においては左廻り雄ネジ2dが形成されている。
【0076】
同時に、図5に示す如く、離間する2本のアルミ管Yの接続部は夫々接続端部6を有し、これらの接続端部6内周に雌ネジ6aが形成されている。前記接続端部6の内周に形成された雌ネジ6は、図5の左側接続部においては右廻り雌ネジ6aが、同図の右側接続部においては左廻り雌ネジ6aが形成されている。
【0077】
そして、前記蛇腹管Xの左側接続部を前記アルミ管Yの左側接続部に、同蛇腹管Xの右側接続部を同アルミ管Yの右側接続部に当てがって、同アルミ管Yを固定した状態で同蛇腹管Xの軸心を中心にして右回りに回転させることによって、同蛇腹管Xの左側接続部に形成された前記右廻り雄ネジ2dが同アルミ管Yの左側接続部に形成された前記右廻り雌ネジ6aに、同蛇腹管の右側接続部に形成された前記左廻り雄ネジ2dが同アルミ管Yの右側接続部に形成された前記左廻り雌ネジ6aに同時に螺合される様に構成されている。
【0078】
この様に離間する2本のアルミ管Yの接続部を、所定長を有する蛇腹管Xにより一体的に接続する本発明の実施の形態2に係る異種金属管の接続構造を用いた接続方法について、以下図4,5を参照しながら説明する。
【0079】
先ず、前記蛇腹管Xの接続端部2bに形成された夫々の雄ネジ2dに、実施の形態1と同様の熱硬化樹脂を塗布した後、夫々のアルミ管Yに一旦スリーブ7を外挿しておく。次いで、前記蛇腹管Xの左側接続部を前記アルミ管Yの左側接続部に、同蛇腹管Xの右側接続部を同アルミ管Yの右側接続部に当てがって、同アルミ管Yを固定した状態で同蛇腹管Xの軸心を中心にして右廻りに回転させる。
【0080】
そして、蛇腹管Xの回転が停止するまで廻し切って、蛇腹管Xの左側接続部に形成された前記右廻り雄ネジ2dをアルミ管Yの左側接続部に形成された前記右廻り雌ネジ6aに、蛇腹管の右側接続部に形成された前記左廻り雄ネジ2dをアルミ管Yの右側接続部に形成された前記左廻り雌ネジ6aに同時に螺合して、図1に符号8で示す様な螺合部を夫々形成する。
【0081】
次いで、前記スリーブ7を左右夫々の接続領域に位置決めして、これらのスリーブ7の外周の少なくとも対向する面を軸心方向1箇所加締めて、このスリーブ7をアルミ管Yに固着させる。スリーブ7の加締めを終えた後に、締結カラー4の後方に夫々装着しておいた電食保護チューブ9をアルミ管Y側に移動させ、実施の形態1と同様、図示はしないが両管の接続領域及びその前後を十分覆うようにして装着する。
【0082】
その後、この両接続部を140〜160℃で熱風加熱装置(オーブン)などにより加熱処理して、上記螺合部夫々に充填したエポキシ樹脂を硬化させて本発明のステンレス蛇腹管Xとアルミ管Yの接続が終了し、離間する2本のアルミ管Yと、この間を接続する所定長のステンレス蛇腹管Xの接続構造(継ぎ手)が完成することになる。
【0083】
尚、本実施の形態2においては、離間する2本のアルミ管Yの接続部は、図5に示す如く、その軸心が一致してかつ対向する場合の図を用いて説明したが、本発明の実施の携帯2に係る異種金属管の接合構造及びこれを用いた接続方法は、
前記2本のアルミ管Yの接続部が、その軸心が一致してかつ対向している必要はなく、前記接続部の軸心が平行であったりある角度をなして対峙していても良い。即ち、前記蛇腹管Xは可撓性を有するため、この蛇腹管Xを一方向に回転しても前記接続部の螺合に十分追従して接続可能であるという効果を有する。
【0084】
以上の通り、本発明の実施の形態2によれば、離間する2本の金属管の接続において、前記金属管の軸心が一致しない場合や接続部が対向しない場合であっても、所定長を有する前記金属蛇腹管により効率良く一体的に気密接続可能な異種金属管の接続構造及びこれを用いた接続方法を提供することができる。
【0085】
尚、上記実施の形態2においては、蛇腹管Xの左側接続部においては右廻り雄ネジ2dが、右側接続部においては左廻り雄ネジ2dが形成されると同時に、アルミ管Yの左側接続部においては右廻り雌ネジ6aが、右側接続部においては左廻り雌ネジ6aが形成され、前記蛇腹管Xを右廻りに回転させて各接続部を螺合する態様を説明したが、逆に、蛇腹管Xの左側接続部においては左廻り雄ネジ2dが、右側接続部においては右廻り雄ネジ2dが形成されると同時に、アルミ管Yの左側接続部においては左廻り雌ネジ6aが、右側接続部においては右廻り雌ネジ6aが形成され、前記蛇腹管Xを左廻りに回転させて各接続部を螺合しても良い。
【0086】
また、上記実施の形態2においては、蛇腹管Xの接続部においては雄ネジ2dが形成されると同時に、アルミ管Yの接続部においては雌ネジ6aが形成されている例で説明したが、蛇腹管Xの接続部においては雌ネジが形成されると同時に、アルミ管Yの接続部においては雄ネジが形成されても良い。
【0087】
更に、上記実施の形態2においては、熱可塑性樹脂を蛇腹管Xの接続端部2bに形成された夫々の雄ネジ2dに塗布する例で説明したが、アルミ管Yの接続端部6に形成された夫々の雌ネジ6aに塗布しても良いし、蛇腹管Xの接続端部2bの雄ネジ2d、並びにアルミ管Yの接続端部6の雌ネジ6aの両者に塗布しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態1に係るステンレス蛇腹管とアルミ管との接続構造を示す部分縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るステンレス蛇腹管側の構造を示す部分縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るアルミ管側の構造を示す部分縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るステンレス蛇腹管側の構造を示す部分縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るアルミ管側の構造を示す部分縦断面図である。
【図6】先願発明の実施形態に係るステンレス蛇腹管とアルミ管との接続構造を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0089】
X:ステンレス蛇腹管, Y:アルミ管,
S:接続領域,
L1:接続長, L1a:締結カラー長, L1b:スリーブ基部長
1:蛇腹管直管部,
2:(ステンレス)ニップル, 2a:ニップル基部,
2b:ニップル接続端部, 2c:周溝,
2d:雄ネジ, 2d:右廻り雄ネジ ,2d:左廻り雄ネジ,
3:補強部, 4:締結カラー,
4a:(締結カラー)小径部, 4b:(締結カラー)大径部,
5:蛇腹, 6:アルミ管接続端部,
6a:雌ネジ, 6a:右廻り雌ネジ, 6a:左廻り雌ネジ,
7:スリーブ, 7a:スリーブ基部, 7b:スリーブ嵌合端部,
8:螺合部, 9:電食保護チューブ,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇腹の外周に補強部を有する金属蛇腹管とこの蛇腹管と材質の異なる金属管とが一体的に接続されてなる異種金属管の接続構造において、
前記蛇腹管側の接続部は、その内側から外側に向かって蛇腹管の直管部、ニップル、蛇腹管の補強部及び締結カラーの順に嵌合、固着されて構成されており、
且つ、前記ニップルは前記補強部に接合された基部と、前記補強部及び締結カラーの端面より金属管側に延出し、外周に雄ネジが形成された接続端部とを有すると共に、
前記締結カラーは前記金属管側に位置する小径部とこれと連続して金属蛇腹管の蛇腹側に位置する大径部とを有する一方、
前記金属管側の接続部は、金属管の内周に雄ネジが形成された接続端部とこの接続端部の外周に固着されたスリーブとで構成され、このスリーブは前記接続端部に接合する基部と前記金属蛇腹管側に延出した嵌合端部を有しており、
そして、前記蛇腹管側のニップルに形成された雄ネジと、前記金属管側の接続端部に形成された雌ネジとが螺合された螺合部が形成されると共に、前記金属管における前記スリーブの嵌合端部が金属蛇腹管における締結カラーの小径部に外嵌されており、
更に、前記金属蛇腹管における補強部及び締結カラーの端面と金属管の接続端部の端面とが当接または近接の状態で、前記螺合部が熱硬化性樹脂により接着されてなることを特徴とする異種金属管の接続構造。
【請求項2】
前記金属蛇腹管側において、前記締結カラーの小径部とニップルの基部とが保護層を介して加締めにより固着されると共に、前記金属管側において、前記スリーブの基部と金属管とが加締めにより固着されてなることを特徴とする請求項1に記載の異種金属管の接続構造。
【請求項3】
前記金属蛇腹管がステンレス蛇腹管であり、前記金属管がアルミニウム管であることを特徴とする請求項1または2に記載の異種金属管の接続構造。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一つの項に記載の異種金属管の接続構造。
【請求項5】
離間する2本の前記金属管の接続部が、所定長を有する前記金属蛇腹管により一体的に接続されてなる異種金属管の接続構造において、
一方の前記金属管の接続端部に右廻りの雌ネジが、他方の前記金属管の接続端部に左廻りの雌ネジが形成されると共に、
前記金属蛇腹管の一方の接続端部に右廻りの雄ネジが、他方の接続端部に左廻りの雄ネジが形成され、
一方の前記金属管の接続端部と前記金属蛇腹管の一方の接続端部、及び他方の前記金属管の接続端部と前記金属蛇腹管の他方の接続端部が、この蛇腹管を一方向のみに回転して前記螺合部を形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のうちの何れか一つの項に記載の異種金属管の接続構造。
【請求項6】
離間する2本の金属管の接続部を、所定長を有する金属蛇腹管により一体的に接続する請求項5に記載の異種金属管の接続構造を用いた接続方法において、
一方の前記金属管の接続端部に右廻りの雌ネジを、他方の前記金属管の接続端部に左廻りの雌ネジを形成すると共に、
前記金属蛇腹管の一方の接続端部に右廻りの雄ネジを、他方の接続端部に左廻りの雄ネジを形成し、
前記金属蛇腹管の接続端部の雄ネジ及び/または前記金属管の接続端部の雌ネジに前記熱硬化樹脂を塗布した後、夫々の金属管に一旦スリーブを外挿しておき、
一方の前記金属管の接続端部に前記金属蛇腹管の一方の接続端部を、他方の前記金属管の接続端部に前記金属蛇腹管の他方の接続端部を夫々当てがって、この金属蛇腹管を一方向のみに回転して前記接続端部の雄ネジまたは雌ネジを同時に螺合し、
前記スリーブを夫々の接続領域に位置決めして、これらのスリーブの外周の少なくとも対向する面を一箇所加締め、
その後、夫々の接続領域を加熱して前記熱硬化性樹脂を硬化させ、前記金属配管と蛇腹管とを接続することを特徴とする異種金属管の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−281569(P2009−281569A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136959(P2008−136959)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000233619)株式会社ニチリン (69)
【Fターム(参考)】