説明

疎水性アミノ酸により官能基化されたデキストラン

本発明は、少なくとも1種の疎水性アルファ−アミノ酸基により官能基化されたデキストランであって、該アルファ−アミノ酸は結合腕及び官能基により該デキストランにグラフト化されているか又は結合されているデキストランに関する。疎水性アミノ酸基は、アミノ酸のアミンと結合腕により担持された酸との間のカップリングの生成物であると理解され、そして該デキストランは中性pHにおいて両親媒性である。ある具体的態様において、疎水性アミノ酸は、トリプトファン、トリプトファノール、トリプトファンアミド、2−インドールエチルアミン及びそれらのアルカリカチオン塩などのトリプトファン誘導体から選択される。本発明はまた、本発明によるデキストランの一つを含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デキストランを主成分とした新規生体適合性ポリマーに関する。
【0002】
これらのポリマーは、とりわけ、治療及び/又は予防の目的のためのヒトへの又は動物への有効成分(単数又は複数)(AI)の投与のために用いられ得る。
【0003】
本発明は、少なくとも1種の疎水性アルファ−アミノ酸により官能基化された新規両親媒性デキストラン誘導体に関する。これらの新規デキストラン誘導体は良好な生体適合性を有し、そしてそれらの疎水性はそれらの生体適合性を変えることなく容易に調節され得る。
【背景技術】
【0004】
両親媒性デキストランのなかで、米国特許第6,646,120号に記載されたバイオデックス(Biodex)社のカルボキシメチルデキストランは、ベンジルアミンにより修飾されている。その疎水性基は、アルファ−アミノ酸の種類に属さない。
【0005】
Dellacherie等はまた、デキストランのヒドロキシル官能基とエポキシド(フェニルグリシジルエーテル、1,2−エポキシオクタン又は1,2−エポキシドデカン)との反応により得られた両親媒性デキストランを記載してきた(Durand,A.等,Biomacromolecules,2006年,7,p.958〜964)(Durand,Alain等,Colloid Polym.Sci.,2006年,284,p.536〜545)。それ故、これらの記載された両親媒性ポリマーは、アミノ酸誘導体により官能基化されていない。
【0006】
米国特許第5,750,678号において、Bauer等は、C10からC14の脂肪酸により官能基化されたデキストランを記載する。生成ポリマーは両親媒性であるが、しかし疎水性アミノ酸により修飾されていない。
【0007】
デキストラン系官能性ポリマーの最近の報告書(Heinze,Thomas等,Adv.Polym.Sci.,2006年,205,p.199〜291)は、疎水性アミノ酸により官能基化されたデキストランを考慮しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、少なくとも1種の疎水性アルファ−アミノ酸基(AAと表される)により官能基化されたデキストランであって、該アルファ−アミノ酸は結合腕R及び官能基Fにより該デキストランにグラフト化されるか又は結合され、しかも
・ Rは、1から18個の炭素原子を含有する鎖であって、随意に分枝鎖及び/又は不飽和であり、並びにO、N又は/及びSなどの1個以上のヘテロ原子を含有し、しかも少なくとも1個の酸官能基を有する鎖であり、
・ Fは、エステル、チオエステル、アミド、カーボネート、カルバメート、エーテル、チオエーテル又はアミンであり、
・ AAは、アミノ酸のアミンと基Rにより担持された酸との間のカップリングの生成物であるL型又はD型の疎水性アミノ酸基である
デキストランに関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
疎水性アミノ酸基は、アミノ酸のアミンと基Rにより担持された酸との間のカップリングの生成物であると理解され、そして該デキストランは中性pHにおいて両親媒性である。
【0010】
本発明によれば、官能基化デキストランは、次の一般式:
【0011】
【化1】

【0012】
に相当し得、
・ Rは、1〜18個の炭素原子を含有する鎖であって、随意に分枝鎖及び/又は不飽和であり、並びにO、N又は/及びSなどの1個以上のヘテロ原子を含有し、しかも少なくとも1個の酸官能基を有する鎖であり、
・ Fは、エステル、チオエステル、アミド、カーボネート、カルバメート、エーテル、チオエーテル又はアミンであり、
・ AAは、アミノ酸のアミンと基Rにより担持された酸との間のカップリングの生成物であるL型又はD型の疎水性アミノ酸基であり、
iは、グリコシド単位当たりの置換基F−R−[AA]nのモル分率を表し、そして0.1〜2であり、
nは、AAにより置換されたR基のモル分率を表し、そして0.05〜1である。
【0013】
RがAAにより置換されていないとき、基Rの酸(単数又は複数)は、好ましくはNa、Kなどのアルカリカチオンのカルボキシレートである。
【0014】
該デキストランは、中性pHにおいて両親媒性である。
【0015】
ある具体的態様において、Fは、エステル、カーボネート、カルバメート又はエーテルである。
【0016】
ある具体的態様において、本発明による多糖は、式IV
【0017】
【化2】

【0018】
で表されるカルボキシメチルデキストラン(DMC)又は対応する酸である。
【0019】
ある具体的態様において、本発明による多糖は、式V
【0020】
【化3】

【0021】
で表されるデキストランモノコハク酸エステル若しくはコハク酸デキストラン(DSA)又は対応する酸である。
【0022】
ある具体的態様において、本発明による多糖は、基Rが、次の基:
【0023】
【化4】

【0024】
又はそれらのアルカリカチオン塩から選択されることを特徴とする。
【0025】
ある具体的態様において、本発明によるデキストランは、疎水性アミノ酸が、トリプトファン、トリプトファノール、トリプトファンアミド、2−インドールエチルアミン及びそれらのアルカリカチオン塩などのトリプトファン誘導体から選択されることを特徴とする。
【0026】
ある具体的態様において、本発明によるデキストランは、トリプトファン誘導体が、式II
【0027】
【化5】

【0028】
〔Eは、
・ 直鎖又は分枝鎖C〜C−アルキル、
・ 直鎖又は分枝鎖C〜C20−アルキルアリール又は−アリールアルキル
であり得る基である〕
で表されるトリプトファンエステルから選択されることを特徴とする。
【0029】
ある具体的態様において、本発明によるデキストランは、式VI:
【0030】
【化6】

【0031】
で表されるトリプトファンのエチルエステルにより修飾されたカルボキシメチルデキストランである。
【0032】
ある具体的態様において、本発明によるデキストランは、式VII:
【0033】
【化7】

【0034】
で表されるトリプトファンのエチルエステルにより修飾されたデキストランモノコハク酸エステル又はコハク酸デキストラン(DSA)である。
【0035】
ある具体的態様において、本発明によるデキストランは、疎水性アミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリン並びにそれらのアルコール、アミド又は脱カルボキシル誘導体から選択されることを特徴とする。
【0036】
ある具体的態様において、本発明によるデキストランは、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリンの誘導体が、式III
【0037】
【化8】

【0038】
〔Eは、前記に定義されたとおりである〕
で表されるアミノ酸のエステルから選択されることを特徴とする。
【0039】
デキストランは、10〜10,000の重合度mを有し得る。
【0040】
ある具体的態様において、それは10〜1000の重合度mを有する。
【0041】
別の具体的態様において、それは10〜500の重合度mを有する。
【0042】
本発明によるデキストランは、対象とするアミノ酸のエステルを基Rにより修飾されたデキストランにグラフトすることにより得られる。
【0043】
ある具体的態様において、式II
【0044】
【化9】

【0045】
〔Eは、
・ 直鎖又は分枝鎖C〜C−アルキル、
・ 直鎖又は分枝鎖C〜C20−アルキルアリール又は−アリールアルキル
であり得る基である〕
で表されるエステルが、式IV
【0046】
【化10】

【0047】
で表されるデキストラン(DMC)にグラフトされる。
【0048】
別の具体的態様において、上記に定義されたとおりの式IIのエステルが、式V
【0049】
【化11】

【0050】
で表されるデキストラン(DSA)にグラフトされる。
【0051】
本発明はまた、前記に記載とおりの本発明によるデキストランの一つ及び少なくとも1種の有効成分を含む医薬組成物に関する。
【0052】
有効成分は、生理活性を有するところの単一化学物の形態の又は組合わせの形態の生成物であると理解される。該有効成分は外来性であり得、すなわちそれは本発明による組成物により供給される。それはまた内在性であり得、たとえば瘢痕化の第1期中の創傷において分泌され、本発明による組成物により該創傷に保持することが可能である成長因子である。
【0053】
本発明はまた、前記に記載されたとおりの本発明による医薬組成物であって、口、鼻、膣、頬の経路により投与可能であることを特徴とする医薬組成物に関する。
【0054】
本発明はまた、前記に記載されたとおりの本発明による医薬組成物であって、乾燥及び/又は凍結乾燥により得られることを特徴とする医薬組成物に関する。
【0055】
本発明はまた、前記に記載されたとおりの本発明による医薬組成物であって、インプラントの形態の植込み可能なバイオマテリアルのステント、フィルム又は被膜の形態で投与可能であることを特徴とする医薬組成物に関する。
【0056】
本発明はまた、前記に記載されたとおりの本発明による医薬組成物であって、有効成分が、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド及び非ペプチド性治療分子により構成された群から選択されることを特徴とする医薬組成物に関する。
【0057】
あり得る医薬組成物は、液状形態(水中に又は溶媒の混合物中に懸濁されたナノ粒子又はミクロ粒子)又は粉末、インプラント若しくはフィルムの形態のいずれかである。
【0058】
局所放出及び全身性放出の場合において、あり得る投与態様は、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、口、鼻、膣、眼、頬等の経路による。
【0059】
本発明はまた、前記に記載されたとおりの医薬組成物の製造における本発明による官能基化デキストランの使用に関する。
【実施例】
【0060】
実施例1: トリプトファンのエチルエステルにより修飾されたカルボキシメチルデキストランの合成
250の平均DPを有するカルボキシメチルデキストラン(10g)の酸官能基(i=1.0)を、DMF(180ml)中でN−メチルモルホリン(4.7g)及びイソブチルクロロホルメート(6.4g)の存在下で活性化する。次いで、この活性化ポリマーに、DMF(54ml)中のTEA(2.0g)により中和されたトリプトファンのエチルエステル塩酸塩(5.4g,Bachem)を4℃にて45分間グラフトする。残存する活性化酸の加水分解(94mlの水)後、ポリマーを水(720ml)中に希釈し、そして水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを7に調整する。次いで、このポリマーを限外濾過により精製する。生じたポリマーは、次の構造を有する。
【0061】
【化12】

【0062】
トリプトファンのエチルエステルにより修飾された酸のモル分率は、DO/NaOD中におけるH−NMRによれば0.45(n=0.45)である。未修飾酸及びグリコシド単位により修飾された酸のモル分率は、1.0(i=1.0)である。
【0063】
実施例2: ロイシンのメチルエステルにより修飾されたカルボキシメチルデキストランの合成
250の平均DPを有するカルボキシメチルデキストラン(10g)の酸官能基(i=1.0)を、DMF(180ml)中でN−メチルモルホリン(4.7g)及びイソブチルクロロホルメート(6.4g)の存在下で活性化する。次いで、この活性化ポリマーに、DMF(54ml)中のTEA(2.0g)により中和されたロイシンのメチルエステル塩酸塩(3.7g,Bachem)を4℃にて45分間グラフトする。残存する活性化酸の加水分解(94mlの水)後、ポリマーを水(720ml)中に希釈し、そして水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを7に調整する。次いで、このポリマーを限外濾過により精製する。生じたポリマーは、次の構造を有する。
【0064】
【化13】

【0065】
ロイシンのメチルエステルにより修飾された酸のモル分率は、DO/NaOD中におけるH−NMRによれば0.30(n=0.30)である。未修飾酸及びグリコシド単位により修飾された酸のモル分率は、1.0(i=1.0)である。
【0066】
実施例3: フェニルアラニンのエチルエステルにより修飾されたカルボキシメチルデキストランの合成
250の平均DPを有するカルボキシメチルデキストラン(10g)の酸官能基(i=1.0)を、DMF(180ml)中でN−メチルモルホリン(4.7g)及びイソブチルクロロホルメート(6.4g)の存在下で活性化する。次いで、この活性化ポリマーに、DMF(54ml)中のTEA(2.0g)により中和されたフェニルアラニンのエチルエステル塩酸塩(4.6g,Bachem)を4℃にて45分間グラフトする。残存する活性化酸の加水分解(94mlの水)後、ポリマーを水(720ml)中に希釈し、そして水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを7に調整する。次いで、このポリマーを限外濾過により精製する。生じたポリマーは、次の構造を有する。
【0067】
【化14】

【0068】
フェニルアラニンのエチルエステルにより修飾された酸のモル分率は、DO/NaOD中におけるH−NMRによれば0.45(n=0.45)である。未修飾酸及びグリコシド単位により修飾された酸のモル分率は、1.0(i=1.0)である。
【0069】
実施例4: トリプトファンのナトリウム塩により修飾されたカルボキシメチルデキストランの合成
実施例1において得られたポリマーを水中に溶解し(30mg/ml)、そして1N水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを12.5に調整する。周囲温度にて夜通し撹拌した後、生成物を限外濾過により精製する。
【0070】
トリプトファンのナトリウム塩により修飾された酸のモル分率は、DO中におけるH−NMRによれば0.45(n=0.45)である。未修飾酸及びグリコシド単位により修飾された酸のモル分率は、1.0(i=1.0)である。
【0071】
実施例5: トリプトファンのエチルエステルにより修飾されたコハク酸デキストランの合成
D40である250の平均DPを有するデキストラン(10g,Amersham Biosciences)を、DMSO(25ml)中に40℃にて溶解する。この溶液に、コハク酸無水物のDMF溶液(25ml中6.2g)及びDMF中に希釈されたN−メチルモルホリン(NMM)(25ml中6.2g)を添加する。1時間の反応後、反応混合物を水(400ml)中に希釈し、そしてポリマーを限外濾過により精製する。グリコシド単位当たりの形成コハク酸エステルのモル分率は、DO/NaOD中におけるH−NMRによれば1.0(i=1.0)である。
【0072】
DSA水溶液(28mg/mlの溶液350g)を、イオン交換樹脂(300mlの湿潤樹脂,ピューロライト(Purolite),C100H)で酸性化する。生じた溶液を凍結させ、そして次いで凍結乾燥する。
【0073】
酸性化DSA(8g)を、DMF(115ml)中に周囲温度にて溶解する。この溶液を0℃に冷却し、そしてこれにエチルクロロホルメート(3.3g)、次いでNMM(3.1g)を添加する。次いで、この反応混合物にDMF(37ml)中のTEA(1.4g)により中和されたトリプトファンのエチルエステル塩酸塩(3.7g,Bachem)を4℃にて添加し、そしてこの混合物を45分間撹拌する。残存する活性化酸の加水分解後、ポリマーを水(530ml)中に希釈し、そして水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを7に調整する。次いで、このポリマーを限外濾過により精製する。生じたポリマーは、次の構造を有する。
【0074】
【化15】

【0075】
トリプトファンのエチルエステルにより修飾された酸のモル分率は、DO/NaOD中におけるH−NMRによれば0.45(n=0.45)である。未修飾酸及びグリコシド単位により修飾された酸のモル分率は、1.0(i=1.0)である。
【0076】
実施例6: トリプトファンのエチルエステルにより修飾されたコハク酸デキストランの合成
D40である250の平均DPを有するデキストラン(20g,Amersham Biosciences)を、DMSO(50ml)中に40℃にて溶解する。この溶液に、コハク酸無水物のDMF溶液(50ml中24.7g)及びDMF中に希釈されたN−メチルモルホリン(NMM)(50ml中25.0g)を添加する。3時間の反応後、反応混合物を水(800ml)中に希釈し、そしてポリマーを限外濾過により精製する。グリコシド単位当たりの形成コハク酸エステルのモル分率は、DO/NaOD中におけるH−NMRによれば1.8(i=1.8)である。
【0077】
DSA水溶液(29.5mg/mlの溶液720g)を、イオン交換樹脂(300mlの湿潤樹脂,ピューロライト,C100H)で酸性化する。生じた溶液を凍結させ、そして次いで凍結乾燥する。
【0078】
酸性化DSA(22.3g)を、DMF(542ml)中に周囲温度にて溶解する。この溶液を0℃に冷却し、そしてこれにエチルクロロホルメート(13.4g)、次いでNMM(12.5g)を添加する。次いで、この反応混合物にDMF(75ml)中のTEA(2.8g)により中和されたトリプトファンのエチルエステル塩酸塩(7.5g,Bachem)を4℃にて添加し、そしてこの混合物を45分間撹拌する。残存する活性化酸の加水分解後、ポリマーを水(530ml)中に希釈し、そして水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを7に調整する。次いで、このポリマーを限外濾過により精製する。生じたポリマーは、次の構造を有する。
【0079】
【化16】

【0080】
トリプトファンのエチルエステルにより修飾された酸のモル分率は、DO/NaOD中におけるH−NMRによれば0.25(n=0.25)である。未修飾酸及びグリコシド単位により修飾された酸のモル分率は、1.8(i=1.8)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能基化デキストランであって、それが次の一般式:
【化1】

に相当し、
・ Rは、1から18個の炭素原子を含有する鎖であって、随意に分枝鎖及び/又は不飽和であり、並びにO、N又は/及びSなどの1個以上のヘテロ原子を含有し、しかも少なくとも1個の酸官能基を有する鎖であり、
・ Fは、エステル、チオエステル、アミド、カーボネート、カルバメート、エーテル、チオエーテル又はアミンであり、
・ AAは、アミノ酸のアミンと基Rにより担持された酸との間のカップリングの生成物であるL型又はD型の疎水性アミノ酸基であり、
iは、グリコシド単位当たりの置換基F−R−[AA]nのモル分率を表し、そして0.1〜2であり、
nは、AAにより置換されたR基のモル分率を表し、そして0.05〜1であり、
RがAAにより置換されていないとき、基Rの酸(単数又は複数)は、好ましくはNa、Kなどのアルカリカチオンのカルボキシレートであり、
該デキストランは、中性pHにおいて両親媒性である
ことを特徴とするデキストラン。
【請求項2】
基Fが、エステル、カーボネート、カルバメート又はエーテルであることを特徴とする、請求項1に記載のデキストラン。
【請求項3】
多糖が、式IV:
【化2】

で表されるカルボキシメチルデキストラン(DMC)又は対応する酸であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のデキストラン。
【請求項4】
多糖が、式V:
【化3】

で表されるデキストランモノコハク酸エステル若しくはコハク酸デキストラン(DSA)又は対応する酸であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデキストラン。
【請求項5】
基Rが、次の基:
【化4】

又はそれらのアルカリカチオン塩から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデキストラン。
【請求項6】
疎水性アミノ酸が、トリプトファン、トリプトファノール、トリプトファンアミド、2−インドールエチルアミン及びそれらのアルカリカチオン塩などのトリプトファン誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデキストラン。
【請求項7】
トリプトファン誘導体が、式II
【化5】

〔Eは、
・ 直鎖又は分枝鎖C〜C−アルキル、
・ 直鎖又は分枝鎖C〜C20−アルキルアリール又は−アリールアルキル
であり得る基である〕
で表されるトリプトファンエステルから選択されることを特徴とする、請求項6に記載のデキストラン。
【請求項8】
デキストランが、式VI:
【化6】

で表されるトリプトファンのエチルエステルにより修飾されたカルボキシメチルデキストランであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデキストラン。
【請求項9】
デキストランが、式VII:
【化7】

で表されるトリプトファンのエチルエステルにより修飾されたデキストランモノコハク酸エステル又はコハク酸デキストラン(DSA)であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のデキストラン。
【請求項10】
疎水性アミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリン並びにそれらのアルコール、アミド又は脱カルボキシル誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデキストラン。
【請求項11】
フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン及びバリンの誘導体が、式III
【化8】

〔Eは、前記に定義されたとおりである〕
で表されるアミノ酸のエステルから選択されることを特徴とする、請求項10に記載のデキストラン。
【請求項12】
デキストランの重合度が10〜10,000であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のデキストラン。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のデキストラン及び少なくとも1種の有効成分を含むことを特徴とする医薬組成物。

【公表番号】特表2010−505008(P2010−505008A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528809(P2009−528809)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002807
【国際公開番号】WO2008/038111
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(508090088)
【Fターム(参考)】