説明

疎水性ナノファブリックおよびコーティングを有する物品

【課題】単純なコーティングプロセスにより作製することができる超疎水性カーボンナノチューブ構造を提供する。
【解決手段】物品100は、少なくとも一つの領域104を含む表面102と、一つの領域104の上に配された疎水性複合コーティング106と、を含む。疎水性複合コーティング106は、疎水性ポリマーの中に分散された複数のカーボンナノチューブを含み、疎水性複合コーティング106が少なくとも約120°の水接触角を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性ナノファブリックおよびコーティング、ならびにそれらを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超疎水性の表面およびコーティングは、たとえば防汚染性、非付着性、および自己洗浄性のようなユニークな性質、いわゆる「蓮の葉効果(lotus leaf effect)」を有している。それらの性質は、多くの工業的および生物学的用途、たとえば、船舶のための生物付着抵抗性ペイント、アンテナおよび窓用の着雪防止、自動車のための自己洗浄性フロントガラス、金属清浄化(metal refining)、耐汚染性織物、防汚性建築用コーティングにおいては望ましいものである。さらに、それらの性質は、長寿命の電子写真構成要素たとえば、オイルレス定着器、自己洗浄性中間転写ベルト(ITB)などにおいて特に求められている。超疎水性の表面およびコーティングを作製するために使用される入手可能なすべての材料の中でも、カーボンナノチューブは、それらの注目すべき機械的性質、さらにはその他のたとえば導電性および耐薬品性のようなユニークな性質のために、極めて興味深い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−304374号公報
【特許文献2】特開2005−084160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在のところ、超疎水性カーボンナノチューブ構造を作製するための唯一の公知のプロセスはプラズマ援用化学蒸着法(PECVD)であるが、これには実用上の限界がある。
【0005】
したがって、疎水性の表面およびコーティングを作製するための単純なコーティングプロセスを提供する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、物品であって、表面であって、前記表面が少なくとも一つの領域を含む、表面と、前記一つの領域の上に配された疎水性複合コーティングと、を含み、前記疎水性複合コーティングが、疎水性ポリマーの中に分散された複数のカーボンナノチューブを含み、前記疎水性複合コーティングが少なくとも約120°の水接触角を有する、物品である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】各種の実施態様による物品を模式的に例示する図である。
【図2】各種の実施態様による疎水性複合コーティングを模式的に例示する図である。
【図3】各種の実施態様によるまた別な物品を模式的に例示する図である。
【図4】各種の実施態様による疎水性複合コーティングを形成するための方法を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
各種の実施態様において、表面を有する物品が存在し、その表面には少なくとも一つの領域を含むことができる。その物品には、その一つの領域の上に配された疎水性複合コーティングを含むことができるが、その疎水性複合コーティングには疎水性ポリマーの中に分散された複数のカーボンナノチューブを含むことができ、また、その疎水性複合コーティングは少なくとも約120°の水接触角を有する。
【0009】
各種の実施態様において、疎水性複合コーティングを形成させるための方法が存在する。その方法には基材を備えることを含むことができるが、その基材には、少なくとも一つの領域を含むことができる。その方法には、複数のカーボンナノチューブ、安定剤、疎水性ポリマー、および溶媒を含む分散体を備える工程を含むことができる。ここで、複数のカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブからなる群より選択することができ、また、複数のカーボンナノチューブのそれぞれは、少なくとも約10のアスペクト比を有している。その方法にはさらに、分散体を一つの領域に適用して、コーティングされた基材を形成させる工程、およびコーティングされた基材を加熱して疎水性複合コーティングを形成させ、該疎水性複合コーティングが少なくとも約120°の水接触角を有するようにさせる工程を含むことができる。
【0010】
本明細書で使用する「疎水的」および「疎水性」という用語は、約90°またはそれ以上の水接触角を有する表面(たとえば、コーティング表面)の濡れ性を指しており、「超疎水的」および「超疎水性」という用語は、約150°またはそれ以上の水接触角および極めて低い接触角ヒステリシス(Δθ=θ−θ<1)を有する表面(たとえば、コーティング表面)の濡れ性を指している。
【0011】
図1は、本発明の各種の実施態様による例示的物品100を模式的に示している。例示的な物品100には表面102を含むことができる。ここで該表面は、図1にみられるように、少なくとも一つの領域104を含むことができる。表面102には、各種適切な材料、たとえば、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、繊維、およびプラスチックを含むことができる。例示的領域104には、トップ表面、たとえば環境に露出している領域、すなわち、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属表面、セラミックス、繊維、ガラス、およびポリイミドなどのプラスチックを含むことができるが、これらに限定される訳ではない。例示的物品100にはさらに、少なくとも一つの領域104の上に配された疎水性複合コーティング106を含むことができ、疎水性複合コーティング106は、疎水性ポリマーの中に分散された複数のカーボンナノチューブを含むことができ、そして該疎水性複合コーティング106は、約120°またはそれ以上の水接触角を有している。疎水性複合コーティング106は、各種適切な厚みを有することができる。しかしながら、いくつかの実施態様においては、疎水性複合コーティング106は、約100nm〜約100μmの範囲の厚みを有することができる。
【0012】
図2は、疎水性ポリマー209の中に分散された複数のカーボンナノチューブ207を含む例示的疎水性複合コーティング206の模式図である。いくつかの実施態様においては、疎水性複合コーティング106,206は、図2にみられるように、複数の細孔208を有する多孔質ファブリックを含むことができる。複数の細孔208は、各種適切な物質、たとえば空気、疎水性ポリマー、およびそれらの混合物で充満されていてよい。いくつかの場合において、該細孔の孔径を約0.01μm〜約10μm、別な場合においては約0.05μm〜約5μmの範囲とすることができる。いくつかの実施態様において、カーボンナノチューブ207は、疎水性ポリマー209に物理的に結合させることができる。別の実施態様においては、そのカーボンナノチューブ207は、疎水性ポリマー209に化学的に結合させることができる。本明細書で使用する「化学的な結合」という用語は、カーボンナノチューブ207と疎水性ポリマー209との間の化学反応の結果として形成される共有結合および/またはイオン結合を指している。本明細書で使用する「物理的な結合」という用語は、化学結合以外の各種の結合、たとえば水素結合やファンデルワールス相互作用を指している。
【0013】
各種の実施態様において、複数のカーボンナノチューブ207は、複数の単層カーボンナノチューブ(SWNT)および複数の多層カーボンナノチューブ(MWNT)の1つ以上を含むことができる。いくつかの実施態様においては、カーボンナノチューブは、半導電性カーボンナノチューブおよび金属性カーボンナノチューブの1種以上とすることができる。ある種の実施態様においては、複数のカーボンナノチューブ107,207のそれぞれが、少なくとも約10のアスペクト比を有することができる。しかしながら、それらのカーボンナノチューブが、異なった長さ、直径、および/またはキラリティであることも可能である。それらのカーボンナノチューブは、約0.5nm〜約50nmの直径および約100nm〜数mmの長さを有することができる。いくつかの場合においては、カーボンナノチューブ207を、疎水性複合コーティング106,206の全固形物重量の約5〜約95重量パーセント、別な場合では疎水性複合コーティング106,206の全固形物重量の約10〜約90重量パーセントの量で存在させることができる。
【0014】
いくつかの実施態様においては、疎水性ポリマー209には、以下のものを含むことができる:シリコーン、ポリペルフルオロポリエーテル、またはエチレン、プロピレン、スチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、およびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上のモノマー繰り返し単位を有するポリマー。別な実施態様においては、疎水性ポリマー209には、テトラフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、およびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上のモノマー繰り返し単位を有するフルオロポリマーを含むことができる。例示的な疎水性ポリマー209としては以下のものが挙げられるが、これらの限定される訳ではない:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ペルフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA);テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー;ヘキサフルオロプロピレン(HFP)とフッ化ビニリデン(VDFまたはVF2)とのコポリマー;テトラフルオロエチレン(TFE)とフッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのターポリマー;およびテトラフルオロエチレン(TFE)とフッ化ビニリデン(VF2)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのテトラポリマー。
【0015】
各種の実施態様において、疎水性複合コーティング106,206が、約1000Ω/平方(W/sq.)未満の表面電気抵抗率を有することができる。
【0016】
図3には、表面302の上に配された中間層305および中間層305の上に配された疎水性複合コーティング306を含むまた別の物品300を模式的に例示している。ここで中間層305は、約0.1μm未満の平均孔径を有する多孔質とすることができる。いくつかの実施態様においては、図3にみられるように、中間層305を、一つの領域の上にだけ配することができる。別な実施態様(図示せず)においては、表面302全体の上に中間層305を配することもできる。中間層305は各種適切な厚みを有することができる。しかしながら、いくつかの用途においては、中間層305が、約50nm〜600μmの範囲の厚み、そして別の用途においては、約100nm〜500μmの範囲の厚みを有することができる。各種の実施態様において、中間層305には、また別の疎水性ポリマーの中に分散された複数のカーボンナノチューブを含むことができる。いくつかの場合においては、中間層305のまた別の疎水性ポリマーを、疎水性複合コーティング306の疎水性ポリマーとは異ならせることも可能である。別な場合においては、中間層305のまた別の疎水性ポリマーを、疎水性複合コーティング306の疎水性ポリマーと同じものにすることも可能である。
【0017】
開示された、疎水性ポリマーの中に分散された複数のカーボンナノチューブを含む例示的な疎水性複合コーティング106,206,306は、カーボンナノチューブならびに疎水性ポリマーの低表面エネルギーおよび化学的な不活性さの機械的および電気的性質の両方を有していると考えられる。開示された例示的な疎水性複合コーティング106,206,306は、各種広い用途に使用することが可能であるが、そのような用途としては以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):船舶のための抗生物付着性を有するペイント、アンテナ、窓のための付着防止コーティング、自動車のための自己洗浄性フロントガラス、金属清浄化、耐汚染性織物、防汚性建築コーティング。さらには、開示された例示的な疎水性複合コーティング106,206,306は、オイルレス定着器、自己洗浄性ITBなどのような電子写真構成要素に使用することも可能である。したがって、例示的な物品100,300は、以下のものに含ませることができる(それらに限定される訳ではない):船舶、部分的または全面的に水中に浸漬される構造物、アンテナ、窓、自動車、建築物、織物、ならびに電子写真プリンターの構成要素、たとえばオイルレス定着器、および自己洗浄性ITB。
【0018】
図4には、疎水性複合コーティングを形成させるための例示的な方法400を模式的に示している。方法400には、基材を備えるステップ422を含むことができ、該基材には少なくとも一つの領域が含まれる。各種の実施態様において、基材を備えるステップ422には、たとえば、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、繊維、およびプラスチックのような基材を備えることを含むことができる。方法400にはさらに、複数のカーボンナノチューブ、安定剤、疎水性ポリマー、および溶媒を含む分散体を備える、ステップ424を含むこともできる。その複数のカーボンナノチューブは、複数の単層カーボンナノチューブおよび複数の多層カーボンナノチューブの1つ以上であることが可能であり、該複数のカーボンナノチューブのそれぞれは、少なくとも約10のアスペクト比を有することができる。たとえば高分子量アミン、高分子量アミンの塩、高分子量酸、共役ポリマー、および天然ゴム物質など、各種適切な安定剤を使用することができる。例示的な安定剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、およびそれらの混合物、ポリアクリル酸、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と高分子量酸との錯体、アラビアゴム、キトサン、およびそれらの混合物。各種の実施態様において、疎水性ポリマーには、シリコーン、ポリペルフルオロポリエーテル、ならびに、エチレン、プロピレン、スチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)およびペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される1種以上のモノマー繰り返し単位を有する、少なくとも1種のポリマーを含むことができる。例示的な疎水性ポリマーとしては以下のものが挙げられるが、これらの限定される訳ではない:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ペルフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)とフッ化ビニリデン(VDFまたはVF2)とのコポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)とフッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのターポリマー、およびテトラフルオロエチレン(TFE)とフッ化ビニリデン(VF2)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのテトラポリマー。いくつかの場合においては、その疎水性ポリマーをコロイドとすることができる。他の場合においては、その疎水性ポリマーをラテックスとすることができる。さらに別な場合においては、疎水性ポリマーを懸濁液とすることができる。各種適切な溶媒を使用することができるが、そのようなものとしては、水、アルコール、C〜C18脂肪族炭化水素、C〜C18芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、アミド、およびそれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0019】
方法400にはさらに、分散体を基材の一つの領域に適用して、コーティングされた基材を形成させるステップ426を含むことができる。該基材の一つの領域に分散体を適用するためには、各種適切な技術を使用することができ、そのような技術としてはたとえば、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、ブラシコーティング法、ローラー塗り法、スピンコーティング法、キャスティング法、およびフローコーティング法などが挙げられる。ある種の実施態様においては、一つの領域に分散体を適用してコーティングされた基材を形成させるステップ426には、一つの領域の上に中間層を形成させることを含むことができ、該中間層は、約0.1μm未満の孔径を有する多孔質とし、該中間層の上に分散体を適用してコーティングされた基材を形成させることができる。いくつかの実施態様においては、中間層を、その一つの領域も含めた全表面上に形成させることも可能である。各種の実施態様において、中間層には、また別の疎水性ポリマーの中に分散された複数のカーボンナノチューブを含むことができる。いくつかの場合においては、中間層のまた別の疎水性ポリマーを、分散体の疎水性ポリマーと異ならせることも可能である。別な場合においては、中間層のまた別の疎水性ポリマーを、分散体の疎水性ポリマーと同じものにすることも可能である。
【0020】
方法400にはさらに、そのコーティングされた基材を約200℃〜約400℃の範囲の温度に加熱して疎水性複合コーティングを形成させるステップ428を含むことができ、該疎水性複合コーティングは、約120°またはそれ以上の水接触角を有することができる。いかなる理論に拘束される訳でもないが、安定剤と溶媒が、その加熱および/または乾燥プロセスの間に蒸発するかまたは分解して、疎水性複合コーティングの中にカーボンナノチューブと疎水性ポリマーだけを残すとも考えられる。各種の実施態様において、疎水性複合コーティングには、約0.1μm〜約5μmの範囲の孔径を有する多孔質ファブリックを含むことができる。
【実施例】
【0021】
[実施例1]CNT水性分散体の調製
約20重量%のポリ(アリルアミン)水溶液(約10g)を、約117gの水および3gの6N塩酸溶液の中に溶解させることにより、約1重量%のポリ(アリルアミン)溶液を形成させた。約1g(約1部)の多層カーボンナノチューブ(CNT)を約99g(約99部)のポリ(アリルアミン)溶液に添加し、プローブ超音波発生器を使用し、それぞれ約1分の時間で約10回超音波処理することにより、カーボンナノチューブ(CNT)水性分散体を形成させた。そうして得られたCNT水性分散体は、粒子分析計(フロリダ州ノースラルゴのマイクロトラック・インコーポレーテッド(Microtrac Inc.)製のナノトラック(Nanotrac)252)により測定して約250nmの平均粒径を有していた。
【0022】
[実施例2]コーティング分散体の調製
約0.167gのデュポン社から得られた約60重量%ペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)分散体を、約10gの実施例1のCNT水性分散体と混合し、得られたコーティング分散体を、回転器のモビルロッド(Movil-Rod)(ミシガン州アンアーバーのエベルバッハ・コーポレーション(Eberbach Corp.)製)上で約2分間、ロールミル加工した。
【0023】
[実施例3]疎水性複合コーティングの調製
実施例2のコーティング分散体を、シリコンウェーハ上にスプレーコートし、得られたコーティング層を、約360℃で約10分間かけて焼き付けた。コーティングされたシリコンの走査型電子顕微鏡(SEM)から、カーボンナノチューブ(CNT)が疎水性複合コーティング中で均質に分散されていることが判った。その水接触角を測定すると、約140°であった。さらなる実験から、CNTの濃度が高くなるほど疎水性複合コーティングの水接触角(WCA)が大きくなり、CNT担持約50%では約150°に達することも判った。
【符号の説明】
【0024】
100,300 物品、102,302 表面、104 領域、106,206,306 疎水性複合コーティング、107,207 カーボンナノチューブ、208 細孔、209 疎水性ポリマー、305 中間層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品であって、
表面であって、前記表面が少なくとも一つの領域を含む、表面と、
前記一つの領域の上に配された疎水性複合コーティングと、
を含み、
前記疎水性複合コーティングが、疎水性ポリマーの中に分散された複数のカーボンナノチューブを含み、前記疎水性複合コーティングが少なくとも約120°の水接触角を有する、物品。
【請求項2】
前記疎水性複合コーティングが、約0.05μm〜約5μmの範囲の孔径を有する多孔質ファブリックを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記細孔が、空気、疎水性ポリマー、およびそれらの混合物からなる群より選択される物質を用いて充たされている、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記疎水性複合コーティングが、
前記疎水性複合コーティングの全重量の約10〜約90重量パーセントの範囲の量で存在する複数のカーボンナノチューブと、
前記疎水性複合コーティングの全重量の約10〜約90重量パーセントの範囲の量で存在する疎水性ポリマーと、
を含み、
前記疎水性ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)とフッ化ビニリデン(VDFまたはVF2)とのコポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)とフッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのターポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)とフッ化ビニリデン(VF2)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのテトラポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−168582(P2010−168582A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9012(P2010−9012)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】