説明

疾患に関連するチオール化合物の迅速な測定のためのデバイス

流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための1回用使い捨て物品、ならびにその物品の作製方法および使用方法の説明が開示される。本発明は、流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための1回用使い捨て物品であって、その物品は(a)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、そのマトリックスは、そのサンプルを吸収することができる、マトリックス;および(b)ある量の検出試薬であって、その量の検出試薬は、その量の検出試薬の少なくとも一部が、そのサンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、そのサンプル中のチオール化合物の濃度を示唆するシグナルを提供することができる、検出試薬を備える、物品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦支援の研究および開発に関する声明
本願に記載される発明は、いずれの連邦支援の研究または開発によるものでなかった。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ごく最近まで、口腔の健康と全身の健康との間には、密接な関係があるとあまり理解されず、その関係は広く見落とされてきた。しかしながら、現在、膨大な数の証拠から、歯根膜炎などの口腔の疾病が、全身を冒す障害(例えば、循環器疾患、II型糖尿病および早産)に密接に関連することが明らかにされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の簡単な要旨
歯根膜炎の診断は、患者が歯科医の椅子に長時間座っている間ずっと、各歯の周りの歯周ポケットにおける空間を複数回にわたってプロービングしなければならない骨の折れるプロセスである。従来の診断手順に関わる時間および苦痛のせいで、患者が思いとどまり、この重篤であるが治療可能な状態の診断が全体的に不十分になる。
【0004】
歯根膜炎は、宿主組織の微生物感染と宿主の炎症反応の両方に関与する。これらの2つの局面は、分析的に分離可能であるが、実際は共同して、数年、実際には数十年にわたって、組織破壊という代償を強いるように作用する。
【0005】
そのような長期的な視点から見ると、歯根膜炎は、しばしば炎症が強まるとともに、ある特定の微生物のレベルが次第に高くなる徐々の変化の一部であると理解され得る。このように、良性の微生物異常増殖時に現れ得るものに関連する口臭から歯肉炎を経由しての歯根膜炎への進行は、基本的には適切な予防および/または治療的介入によって妨害され得る正のフィードバックループの特徴を示す。
【0006】
被験体が口臭から歯肉炎そして歯根膜炎まで進行するとき、この破壊的スパイラルの1つの特有の生化学的特徴は、ある特定の口腔液中のチオール化合物レベルの上昇である。チオール化合物は、−SHまたはスルフヒドリル官能基を有する化合物であり、スルフィドアニオン(HS)を含むとも考えられ、チオレートアニオン(RS)を有する化合物を含むとも考えられる。
【0007】
口腔液中のチオール化合物の測定は、代表的には、電気的な回路を十分備えた複雑な装置、または多工程で多容器の時間がかかるアッセイが関与してきた。したがって、口腔液中のチオール化合物を測定するための、簡単、迅速、かつ費用対効果の高い方法が長年にわたって必要とされている。
【0008】
本発明は、この長年にわたるニーズを満たし、そして偶然にも、流体中のチオールレベルの迅速かつ簡便な測定のより一般的な問題、ならびに様々な状態および/または疾病に関する被験体のリスクの迅速かつ簡便な評価のより特異的な問題に対処している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための1回用使い捨て物品を提供する。
【0010】
この特許または出願ファイルは、少なくとも1つのカラー仕上げの図面を含む。カラーの図面を含むこの特許または特許出願公開のコピーは、それを請求して必要な手数料を支払った場合にU.S.Patent and Trademark Officeによって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、直接接触法を表している。図1Aは、試薬液に含浸されたパッドを有する試験片を表している。矢印は、試験サンプルの適用を表している。図1Bは、しばらくした後の試験スティックを表しており、ここで、そのパッドは、口腔液(例えば、舌接触物)がパッドに入り、そして試薬と反応することにより、パッドの色を変化させた後に、発色する。
【図2A】図2Aは、直接接触法を表している。
【図2B】図2Bは、直接接触法を表している。
【図2C】図2Cは、直接接触法を表している。
【図2D】図2Dは、直接接触法を表している。
【図3A】図3Aは、別の試験片構造を表している。
【図3B】図3Bは、別の試験片構造を表している。
【図3C】図3Cは、別の試験片構造を表している。
【図3D】図3Dは、別の試験片構造を表している。
【図3E】図3Eは、別の試験片構造を表している。
【図4A】図4Aは、間接接触デバイス(近位/遠位型)を表している。
【図4B】図4Bは、間接接触デバイス(近位/遠位型)を表している。
【図5】図5は、間接接触デバイス(マスク型)の例を表している。
【図6】図6は、間接接触デバイス(マスク型)の例を表している。
【図7A】図7Aは、間接接触デバイスの様々な実施形態を表しており、ここで、折りたたみまたは摺動によって、分離していた構成要素が互いに接触するようになる。
【図7B】図7Bは、間接接触デバイスの様々な実施形態を表しており、ここで、折りたたみまたは摺動によって、分離していた構成要素が互いに接触するようになる。
【図7C】図7Cは、間接接触デバイスの様々な実施形態を表しており、ここで、折りたたみまたは摺動によって、分離していた構成要素が互いに接触するようになる。
【図7D】図7Dは、間接接触デバイスの様々な実施形態を表しており、ここで、折りたたみまたは摺動によって、分離していた構成要素が互いに接触するようになる。
【図8】図8A〜8Fは、本発明に対する様々な包装デザインを表している。
【図9】図9は、間接接触デバイスの例を表している。
【図10】図10は、キャップをかぶせられた間接的な収集デバイスの例を表している。
【図11】図11は、試作TDR溶液で処理され、短期間の安定性研究において使用された材料の結果を示している。
【図12】図12は、パッドから放出された試薬の量を示している。
【図13】図13は、存在するTDRの量と比較したときの、シグナル(視覚的出力)のレベルのグラフを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための1回用使い捨て物品を提供する。
【0013】
本発明の以下の詳細な説明は、診断試験片および化学分野の当業者によって理解されることを目的としている。したがって、詳細な説明において使用される用語は、通常、診断試験片および化学分野における通常の意味を有することが意図される。使用される用語が、それらの分野に特有の通常の意味を有しない場合、それらの用語は、現代アメリカ英語の使用法の範囲内の通常の意味を有すると意図され、ここで、その使用法は、永久的な法律的効力を有すると意図される。任意の用語が、本文書の本文中で定義されるかまたは明らかにされる場合、その本文書の本文中の定義または解明が、その用語の他の任意の意味に対して支配すると意図される。
【0014】
本発明に関連して使用されるとき、「5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)」、「5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸」、「N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン」、「N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン」、「N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン」、「N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン」および「N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン(nitrocinnamalylidene))−4,4’−ジチオジアニリン」の各々は、それぞれの組成物自体だけでなく、その塩のいずれか(美容的および/または薬学的に許容可能な塩のいずれかを含む)のことも指す。
【0015】
本発明に関連して使用されるとき、「吸収材料」とは、繊維材料のことを指す。ある特定の実施形態において、吸収材料は、合成、生体適合性、不織および/または多孔性の材料である。吸収材料は、例えば、ポリアミドを含む繊維材料であり得る。吸収材料は、米国特許第7,290,668号に記載されているような材料であり得ると考えられる。吸収材料は、R−27378またはR28445D#4345と呼ばれているTRANSORB(登録商標)ブランド材料などのTRANSORB(登録商標)ブランド材料(TRANSORBは、Filtrona Richmond,Inc.の登録商標である)であり得、Filtrona Fibertec,Richmond,Virginia,USから入手可能であり得る。
【0016】
本発明に関連して使用されるとき、「流体」とは、その少なくとも実質的な一部が流れを起こし得る、材料のことを指す。気体および液体が、流体である。流体は、均一である必要はなく、外来性の微粒子または他の無関係の物体を含み得る。したがって、唾液、歯肉溝滲出液、歯肉線バイオフィルム、舌バイオフィルム、舌擦過物および息の各々は、任意の複数のこれらのものから構成される混合物であるような流体であるが、これらのいずれかは、いくつかの固体を含み得る。
【0017】
本発明に関連して使用されるとき、「マトリックス」とは、その上および/またはその中にサンプルが収集され得る、本発明に記載の物品の一部または構成要素のことを指し、サンプリングされた流体のことを指さないし、その流体中の被検体のことを指さない。
【0018】
本発明に関連して使用されるとき、「見本」とは、色の代表的な標本のことを表す。
【0019】
本発明は、数多くの実施形態として提供され、とりわけ、様々な局面として識別され得る。以下の局面は、本発明の範囲および適用性に関する例示的であり非限定的な説明を提供する。本発明は、以下の各局面を提供する:
局面1.流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための1回用使い捨て物品であって、その物品は:
(a)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、そのマトリックスは、そのサンプルを吸収することができる、マトリックス;および
(b)ある量の検出試薬であって、その量の検出試薬は、その量の検出試薬の少なくとも一部が、そのサンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、そのサンプル中のチオール化合物の濃度を示唆するシグナルを提供することができる、検出試薬
を備える、物品。
【0020】
局面2.前記物品が、試験片である、局面1の物品。
【0021】
局面3.前記流体サンプルが、生理学的流体のサンプルである、局面1の物品。
【0022】
局面4.前記生理学的流体が、口腔液である、局面3の物品。
【0023】
局面5.前記口腔液が、唾液および/または歯肉溝滲出液および/または歯肉線バイオフィルムおよび/または舌バイオフィルムおよび/または舌擦過物および/または息を含む、局面4の物品。
【0024】
局面6.前記少なくとも1つの吸収材料が、ポリアミド材料を含む、局面1の物品。
【0025】
局面7.前記検出試薬が:5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンのうちの少なくとも1つを含む、局面1の物品。
【0026】
局面8.前記検出試薬が、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)である、局面7の物品。
【0027】
局面9.前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約1秒後に始まり、その量の検出試薬の少なくとも一部がそのサンプルの少なくとも一部と接触した約10分後に終了する、局面1の物品。
【0028】
局面10.前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約5秒後に始まり、その量の検出試薬の少なくとも一部がそのサンプルの少なくとも一部と接触した約5分後に終了する、局面1の物品。
【0029】
局面11.前記シグナルが、電磁シグナルを含む、局面1の物品。
【0030】
局面12.前記電磁シグナルが、可視シグナルを含む、局面11の物品。
【0031】
局面13.流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための方法であって、その方法は:
(a)(i)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、そのマトリックスは、そのサンプルを吸収することができるマトリックス、および(ii)ある量の検出試薬であって、その量の検出試薬は、その量の検出試薬の少なくとも一部が、そのサンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、そのサンプル中のチオール化合物の濃度を示唆するシグナルを提供することができる検出試薬、を備える1回用使い捨て物品を提供する工程;
(b)そのマトリックスをそのサンプルと接触させる工程;
(c)その量の検出試薬によって提供されるシグナルを観察する工程;
(d)その量の検出試薬によって提供されるシグナルを1つ以上の参照値と比較する工程であって、その参照値の各々は、チオール化合物の濃度を示唆する、工程
を包含し、それによりそのサンプル中のチオール化合物の濃度を測定する、方法。
【0032】
局面14.前記流体が、生理学的流体である、局面13の方法。
【0033】
局面15.前記生理学的流体が、口腔液である、局面14の方法。
【0034】
局面16.前記口腔液が、唾液および/または歯肉溝滲出液および/または歯肉線バイオフィルムおよび/または舌バイオフィルムおよび/または舌擦過物および/または息を含む、局面15の方法。
【0035】
局面17.前記物品が、試験片である、局面13の方法。
【0036】
局面18.前記少なくとも1つの吸収材料が、ポリアミド材料を含む、局面13の方法。
【0037】
局面19.前記検出試薬が:DTNBとしても知られる5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンのうちの少なくとも1つを含む、局面13の方法。
【0038】
局面20.前記検出試薬が、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)である、局面19の方法。
【0039】
局面21.前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約1秒後に始まり、その量の検出試薬の少なくとも一部がそのサンプルの少なくとも一部と接触した約10分後に終了する、局面13の方法。
【0040】
局面22.前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約5秒後に始まり、その量の検出試薬の少なくとも一部がそのサンプルの少なくとも一部と接触した約5分後に終了する、局面13の方法。
【0041】
局面23.前記シグナルが、電磁シグナルを含む、局面13の方法。
【0042】
局面24.前記電磁シグナルが、可視シグナルを含む、局面23の方法。
【0043】
局面25.前記1つ以上の参照値の各々が、(a)色見本と(b)チオール化合物の濃度との対になった組み合わせとして提供される、局面24の方法。
【0044】
局面26.哺乳動物被験体が特定の疾病に罹患しているリスクを判定するための方法であって、その方法は:
(a)(i)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、そのマトリックスは、そのサンプルを吸収することができるマトリックス、および(ii)ある量の検出試薬であって、その量の検出試薬は、その量の検出試薬の少なくとも一部が、そのサンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、そのサンプル中のチオール化合物の濃度を示唆するシグナルを提供することができる検出試薬、を備える1回用使い捨て物品を提供する工程;
(b)そのマトリックスを、その被験体由来の1つ以上の生理学的流体を含むサンプルと接触させる工程;
(c)その量の検出試薬によって提供されるシグナルを観察する工程;
(d)その量の検出試薬によって提供されるシグナルを1つ以上の参照値と比較する工程であって、その参照値の各々は、被験体がその特定の疾病に罹患しているリスクを示唆する、工程
を包含し、それによりその被験体がその特定の疾病に罹患しているリスクを判定する、方法。
【0045】
局面27.前記流体が、生理学的流体である、局面26の方法。
【0046】
局面28.前記生理学的流体が、口腔液である、局面27の方法。
【0047】
局面29.前記口腔液が、唾液および/または歯肉溝滲出液および/または歯肉線バイオフィルムおよび/または舌バイオフィルムおよび/または舌擦過物および/または息を含む、局面28の方法。
【0048】
局面30.前記物品が、試験片である、局面26の方法。
【0049】
局面31.前記少なくとも1つの吸収材料が、ポリアミド材料を含む、局面26の方法。
【0050】
局面32.前記検出試薬が:5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンのうちの少なくとも1つを含む、局面26の方法。
【0051】
局面33.前記検出試薬が、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)である、局面32の方法。
【0052】
局面34.前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約1秒後に始まり、その量の検出試薬の少なくとも一部がそのサンプルの少なくとも一部と接触した約10分後に終了する、局面26の方法。
【0053】
局面35.前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約5秒後に始まり、その量の検出試薬の少なくとも一部がそのサンプルの少なくとも一部と接触した約5分後に終了する、局面26の方法。
【0054】
局面36.前記シグナルが、電磁シグナルを含む、局面26の方法。
【0055】
局面37.前記電磁シグナルが、可視シグナルを含む、局面36の方法。
【0056】
局面38.前記1つ以上の参照値の各々が、(a)色見本と(b)被験体が特定の疾病に罹患しているリスクとの対になった組み合わせとして提供される、局面37の方法。
【0057】
局面39.前記観察工程および/または比較工程のうちの少なくとも1つが、自動読み取り装置によって行われる、局面23の方法。
【0058】
局面40.前記観察工程および/または比較工程のうちの少なくとも1つが、自動読み取り装置によって行われる、局面36の方法。
【0059】
局面41.前記特定の疾病が、歯根膜炎である、局面38の方法。
【0060】
局面42.前記特定の疾病が、歯肉炎である、局面38の方法。
【0061】
局面43.前記特定の疾病が、口臭である、局面38の方法。
【0062】
局面44.前記特定の疾病が、循環器疾患である、局面38の方法。
【0063】
局面45.前記特定の疾病が、II型糖尿病である、局面38の方法。
【0064】
局面46.前記特定の疾病が、早産である、局面38の方法。
【0065】
局面47.(a)流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための少なくとも1つの1回用使い捨て物品であって、その物品は:
(i)少なくとも1つの吸収材料を備える第1マトリックスであって、そのマトリックスは、そのサンプルを吸収することができる、第1マトリックス;および
(ii)ある量の検出試薬であって、その量の検出試薬は、その量の検出試薬の少なくとも一部が、そのサンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、そのサンプル中のチオール化合物の濃度を示唆する可視シグナルを提供することができる、検出試薬、
を備える1回用使い捨て物品;
(b)以下:
(i)その可視シグナルと比較するための少なくとも1つの色見本;および
(ii)各色見本に関して、その色見本と対応づけられるチオール化合物の相対的濃度を示す英数字の識別子
が印刷されたおよび/または添付された、コンパレーター;
(c)必要に応じて、その物品およびそのコンパレーターを入れるのに適した包装;
(d)必要に応じて、その物品およびそのコンパレーターを使用するための指示書
を備える、キット。
【0066】
局面48.前記可視シグナルと比較するための少なくとも1つの色見本を含むコンパレーター領域をさらに備える、局面12の物品。
【0067】
局面49.哺乳動物被験体由来の流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための1回用使い捨て試験片であって、その試験片は:
(a)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、そのマトリックスは、そのサンプルを吸収することができる、マトリックス;および
(b)ある量の検出試薬であって、その量の検出試薬は、その量の検出試薬の少なくとも一部が、そのサンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、そのサンプル中のチオール化合物の濃度を示唆するシグナルを提供することができる、検出試薬
を備える、試験片。
【0068】
局面50.前記流体が、唾液および/または歯肉溝滲出液および/または歯肉線バイオフィルムおよび/または舌バイオフィルムおよび/または舌擦過物および/または息を含む、局面49の試験片。
【0069】
局面51.前記検出試薬が:5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンのうちの少なくとも1つを含む、局面49の試験片。
【0070】
局面52.前記検出試薬が、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)である、局面51の試験片。
【0071】
局面53.前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約1秒後に始まり、その量の検出試薬の少なくとも一部がそのサンプルの少なくとも一部と接触した約10分後に終了する、局面49の試験片。
【0072】
局面54.前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約5秒後に始まり、その量の検出試薬の少なくとも一部がそのサンプルの少なくとも一部と接触した約5分後に終了する、局面49の試験片。
【0073】
局面55.前記シグナルが、電磁シグナルを含む、局面49の試験片。
【0074】
局面56.前記電磁シグナルが、可視シグナルを含む、局面55の試験片。
【0075】
局面57.哺乳動物被験体が特定の疾病に罹患しているリスクを判定するための1回用使い捨て試験片であって、その試験片は:
(a)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、そのマトリックスは、そのサンプルを吸収することができるマトリックス;および
(b)ある量の検出試薬であって、その量の検出試薬は、その量の検出試薬の少なくとも一部がそのサンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、その被験体がその特定の疾病に罹患しているリスクを示唆するシグナルを提供することができ、ここで
(i)その検出試薬は:5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンのうちの少なくとも1つを含み;そして
(ii)その特定の疾病は:歯根膜炎、歯肉炎、口臭、循環器疾患、II型糖尿病、早産のうちの少なくとも1つである、
検出試薬
を備える、1回用使い捨て試験片。
【0076】
局面58.前記検出試薬が、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)を含む、局面57の試験片。
【0077】
局面59.前記特定の疾病が、歯根膜炎である、局面57の試験片。
【0078】
局面60.前記特定の疾病が、歯肉炎である、局面57の試験片。
【0079】
局面61.前記特定の疾病が、口臭である、局面57の試験片。
【0080】
局面62.前記特定の疾病が、循環器疾患である、局面57の試験片。
【0081】
局面63.前記特定の疾病が、II型糖尿病である、局面57の試験片。
【0082】
局面64.前記特定の疾病が、早産である、局面57の試験片。
【0083】
局面65.緩衝液、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)および湿潤剤を含む、試薬液。
【0084】
局面66.前記緩衝液が、約5mM〜200mMの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液である、局面65の試薬液。
【0085】
局面67.前記緩衝液が、約20mM〜150mMの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液である、局面65の試薬液。
【0086】
局面68.前記緩衝液が、約100mMの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液である、局面65の試薬液。
【0087】
局面69.前記緩衝液が、約6.5〜8.5のpHである、局面65の試薬液。
【0088】
局面70.前記緩衝液が、約6.5〜7.5のpHである、局面65の試薬液。
【0089】
局面71.前記緩衝液が、約7.0のpHである、局面65の試薬液。
【0090】
局面72.前記DTNBが、約10mg/L〜150mg/Lの濃度で存在する、局面65の試薬液。
【0091】
局面73.前記DTNBが、約80mg/L〜120mg/Lの濃度で存在する、局面65の試薬液。
【0092】
局面74.前記DTNBが、約100mg/Lの濃度で存在する、局面65の試薬液。
【0093】
局面75.前記湿潤剤が、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、グリセロールまたはプロピレングリコールを含む、局面65の試薬液。
【0094】
局面76.前記湿潤剤が、グリセロールを含む、局面75の試薬液。
【0095】
局面77.前記グリセロールが、約0.1体積%〜5.0体積%の濃度で存在する、局面76の試薬液。
【0096】
局面78.前記グリセロールが、約0.5体積%の濃度で存在する、局面76の試薬液。
【0097】
局面79.前記湿潤剤が、キシリトールを含む、局面75の試薬液。
【0098】
局面80.前記キシリトールが、約2重量%〜10重量%の濃度で存在する、局面79の試薬液。
【0099】
局面81.前記キシリトールが、約4重量%の濃度で存在する、局面79の試薬液。
【0100】
局面82.香味料または芳香をさらに含む、局面65の試薬液。
【0101】
局面83.前記香味料または芳香が、ペパーミントである、局面82の試薬液。
【0102】
局面84.アルコールをさらに含む、局面65の試薬液。
【0103】
局面85.前記アルコールが、イソプロパノールまたはエタノールである、局面84の試薬液。
【0104】
局面86.アルカリ土類金属または遷移金属をさらに含む、局面65の試薬液。
【0105】
局面87.前記金属が、マンガン、マグネシウムまたはコバルトを含む、局面86の試薬液。
【0106】
局面88.検出領域を含む固体基材を備える検出デバイスであって、その検出領域は、局面65〜87のいずれかの試薬液に含浸されている、検出デバイス。
【0107】
局面89.前記試薬液を乾燥させた、局面88の検出デバイス。
【0108】
局面90.前記固体基材が、不活性繊維のパッドである、局面88の検出デバイス。
【0109】
局面91.前記繊維が、米国特許第7,290,668号に記載されている少なくとも1つの材料を含む、局面90の検出デバイス。
【0110】
局面92.前記繊維が、R−27378またはR28445D#4345と呼ばれているTRANSORB(登録商標)ブランド材料を含む、局面90の検出デバイス。
【0111】
局面93.前記固体基材が、長方形であるか、または代表的には最大約8mm×8mmかつ約1.0mmの厚さの打抜き形から構成される、局面88の検出デバイス。
【0112】
局面94.前記固体基材が、1つ以上の標準領域をさらに含む、局面90〜93の検出デバイス。
【0113】
局面95.前記1つ以上の標準領域が、所定の色および強度の比色標準を含む、局面94の検出デバイス。
【0114】
局面96.チオール化合物検出デバイスを製造する方法であって:固体基材を局面65〜87のいずれかに記載の試薬液と接触させる工程、およびそのデバイスを乾燥させる工程を包含する、方法。
【0115】
局面97.局面96の方法によって製造される、検出デバイス。
【0116】
局面98.被験体における口臭を検出する方法であって、その方法は、その被験体の口腔から採取された生理学的流体を、局面88または局面97の検出デバイスと接触させることにより、生理学的流体と接触したデバイスを形成する工程、およびその生理学的流体と接触したデバイスにおいてチオール化合物の濃度レベルを検出する工程を包含し、ここで、少なくとも約40μmol/Lのチオールのレベルが、口臭を示唆する、方法。
【0117】
局面99.被験体における歯肉炎を検出する方法であって、その方法は、その被験体の口腔から採取された生理学的流体を、局面88または局面97の検出デバイスと接触させることにより、生理学的流体と接触したデバイスを形成する工程、およびその生理学的流体と接触したデバイスにおいてチオール化合物の濃度レベルを検出する工程を包含し、ここで、少なくとも約80μmol/Lのチオールのレベルが、歯肉炎を示唆する、方法。
【0118】
局面100.被験体における歯周病を検出する方法であって、その方法は、その被験体の口腔から採取された生理学的流体を、局面88または局面97の検出デバイスと接触させることにより、生理学的流体と接触したデバイスを形成する工程、およびその生理学的流体と接触したデバイスにおいてチオール化合物の濃度レベルを検出する工程を包含し、ここで、少なくとも約160μmol/Lのチオールのレベルが、歯根膜炎を示唆する、方法。
【0119】
局面101.前記検出工程が、(a)前記生理学的流体と接触したデバイスの色の強度または吸光度を(b)標準と比較することによって行われる、局面98、99または100のいずれかの方法。
【0120】
局面102.前記検出工程が、眼によって行われる、局面101の方法。
【0121】
局面103.前記検出工程が、機械によって行われる、局面101の方法。
【0122】
局面104.前記検出工程が、分光光度計によって行われる、局面101の方法。
【0123】
局面105.前記検出工程が、定量化されたシグナルまたは半定量化されたシグナルを提供する、局面101の方法。
【0124】
局面106.前記生理学的流体が、GCF、舌擦過物、舌バイオフィルム、歯肉線バイオフィルム、唾液または息である、局面98、99または100のいずれかの方法。
【0125】
局面107.局面65の試薬液および局面88の検出デバイスまたは局面97の検出デバイスを備える、口内チオール化合物の検出に有用な試験キット。
【0126】
本発明のさらなる局面。本発明は、とりわけ、以下のさらなる局面として提供される。
【0127】
通常の状況において、多くの微生物は、ヒトに対して害を引き起こすことなく、これらのヒトの上または中に生存している。しかしながら、ある特定の微生物の数が増加して、疾患状態に関連し得る。ヒトに対して有毒な化学物質を有意の濃度で産生する微生物の数の増加は、特に問題である。そのような毒素としては:揮発性硫黄化合物(VSC)(例えば、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルジスルフィドおよびジメチルスルフィド)が挙げられる。高濃度の揮発性硫黄化合物は、ある特定の疾患状態および社会的に非難される状態(例えば、口臭、すなわち、臭い息)に関連する。潜在的に病原性のある微生物ならびにこれらの微生物が関連する疾患状態および状態の存在の検出を容易にするために、揮発性硫黄化合物を容易に検出できることが望まれている。
【0128】
口腔細菌によって産生される主要なVSCは、硫化水素およびメチルメルカプタンである。硫化水素は、細菌酵素のL−システインデスルフヒドラーゼ(desulthydrase)によって生成され、この酵素は、アミノ酸のL−システインを分解して、硫化水素、アンモニウムおよび2−ケトプロパネートを生成する。他の主なVSCであるメチルメルカプタンは、細菌酵素のL−メチオニンガンマリアーゼの作用によって生成され、その酵素は、アミノ酸のL−メチオニンを分解して、メチルメルカプタン、アンモニウムおよび2−ケトブチレートを生成する。
【0129】
ミリモル濃度レベルのVSCが、重篤な歯周病を有する人の歯肉溝滲出液(GCF)中に存在すると報告されている。VSCが存在することによって、その疾患を有する人の息が嫌な臭いになる。VSCは、悪臭を放つことに加えて、有毒であり、多くの哺乳動物酵素に悪影響を及ぼすとも示されている。舌背および口腔内の他の箇所に住む細菌によってVSCが生成されると、呼気が嫌な臭いになり、口臭をもたらす。いくつかの口腔液の各々におけるVSCのレベルは、歯周病の活性レベルと直接相関する。呼気中のVSCのレベルは、臭い息または口臭のレベルと直接相関する。
【0130】
当該分野において、DTNBの比色反応は、pH8.0において最適に行われるとみなされ得るが、DTNBの水溶液は、そのような条件下で室温において数日間保存されるとき、不安定である。金属塩を含めることおよびpHを中性付近に調整することによって、著しく長い保存期間という好ましい特性が付与されることが思いがけず見出された。限定ではなく、例として、DTNB混合物が、リン酸緩衝液またはイミダゾール緩衝液(pH7.0)ならびに0.1mM塩化マンガンを含むとき、その混合物が、室温において1年より長く安定に維持されたことが見出された。ゆえに、本発明は、とりわけ、色素生産性組成物(その組成物の吸光度は、その組成物と混合される流体中のVSCの濃度と直接相関し、その組成物は、少なくとも1年の保存期間を有する)を提供する。
【0131】
本発明に記載の物品および/または方法および/または組成物は、口腔液中に見られ、とりわけ、舌背上に住む細菌および歯肉溝からのGCF中に住む細菌によって産生される、悪臭を放つ毒素の存在の検出に有用である。
【0132】
例えば、本発明に記載の方法の局面において、口腔液のサンプルは、被験体の口腔由来の口腔液がその物品のマトリックス部中に吸収されるように、本発明に記載の物品の少なくともマトリックス部を、被験体の口腔内の口腔液と静かに接触させることによって得られ、次いで、数秒間から数分間待った後、その物品のマトリックス部上で発色した色を観察し、そしてその色は、その物品と一緒に提供される色比較チャート(color comparator chart)上の1つ以上の色と比較される。
【0133】
限定ではなく、例として、本発明に記載のVSCを検出するための方法は、およそ10μmol/LのVSCという検出下限およびおよそ2mmol/LのVSCという反応範囲の上限を有し得る。
【0134】
本発明は、呼気中のVSCを検出するための方法も提供する。被験体は、被験体の口腔の近位に保持された本発明に記載の物品上に息を吐き、呼気の凝縮物が、その物品のマトリックス部に接触し、その中に吸収される。
【0135】
本発明に記載の物品および/または方法および/または組成物の使い方が単純であることから、医療専門家による院内試験および被験体による家庭内試験が容易になる。本発明に記載の物品および/または方法および/または組成物は、食材または食物と接触する、空気、水、油および/または別の流体を含むサンプル中のVSCの検出に対してより広く有用であり、ゆえに、微生物の代謝産物、病原性のある微生物、口臭、VSC汚染または食品の腐敗もしくは混入の検出にも有用である。
【0136】
本発明は、数多くの実施形態として提供され、とりわけ、様々な実施例として理解され得る。以下の実施例は、本発明の範囲および適用性に関する例示的であり非限定的な説明を提供する。
【実施例】
【0137】
実施例1.本発明に記載の物品のある実施形態の製造。吸収材料を選択する。選択した吸収材料のシートを、溶媒および検出試薬ならびに必要に応じて追加の成分を含む溶液に浸漬する。しばらくした後、そのシートをその溶液から取り出し、乾燥させる。乾燥したシートをプラスチック裏材に添付することにより、シートと裏材との積層物を形成する。そのシートと裏材との積層物を片に切断し、その各片が、本発明に記載の物品となる。
【0138】
実施例2.吸収材料。米国特許第7,290,668号に記載されているような材料または別の類似材料が、吸収材料として使用され得る。Filtrona Fibertec(Richmond,Virginia,US)から入手可能な、R−27378またはR28445D#4345と呼ばれているTRANSORB(登録商標)ブランド材料などの材料が、吸収材料として使用され得る。
【0139】
実施例3.検出試薬。検出試薬は、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;および/またはN,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンを含み得る。米国特許第4,414,414号の実施例1〜13のいずれかに記載されているようなジチオジアニル化合物が、検出試薬として適当であり得る。
【0140】
実施例4.溶媒および検出試薬を含む溶液。5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)に対する溶媒として、水が使用され得る。N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;および/またはN,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンに対する溶媒として、非水溶媒が使用され得る。
【0141】
実施例5.溶媒および検出試薬を含む溶液の随意の追加の成分。水溶液の場合、イソプロパノールなどの当該分野で公知の水混和性アルコールが、シートの乾燥を促進するために含められ得る。リン酸ナトリウムなどの当該分野で公知の緩衝液が、pHを中性付近に安定化させるため、ゆえに、検出試薬を安定化させるために含められ得る。当該分野で公知の湿潤剤(例えば、キシリトール、ソルビトール、グリセロールまたはプロピレングリコール)が、含められ得、それにより、本発明に記載の物品が、わずかに湿っていて、不必要に脆くないようになり得る。当該分野で公知の二価の陽イオンの美容的に許容可能な塩(例えば、塩化マンガン、塩化マグネシウムまたは塩化コバルト)が、本発明に記載の未使用の物品が退色しないようにするために含められ得る。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの当該分野で公知の二価陽イオンの美容的に許容可能なキレート剤が、本発明に記載の物品の使用中に発した色を安定化させるために含められ得る。当該分野で公知の香料(flavorant)、当該分野で公知の着色料および/または当該分野で公知の抗菌薬が、同様に必要に応じて含められ得る。
【0142】
実施例6.直接および間接接触デバイス。第1の例示的な実施形態において、本発明に記載の物品は、細くて薄い直方体の形状をしている。直方体の第1パッドは、その角柱の、表面積が最大である2面のうちの片方の末端部分を占め、そこに添付されている。第1パッドは、検出試薬を含む。この実施形態は、サンプルを検出試薬と直接接触させることを意図している。第2の例示的な実施形態において、サンプルを検出試薬と間接的に接触させる場合、直方体の第2パッドが、第1の例示的な実施形態におけるように第1パッドが添付されている面と同じ面の反対の末端に配置され、その物品を、この面の緯度軸に沿って「V」形を有するように圧着し、第1パッドは「V」の片腕の末端に存在し、第2パッドは、他方の腕の末端に存在する。この実施形態において、第2パッドは、検出試薬を欠いている。第2パッドをサンプルと接触させる。次いで、第2パッドを第1パッドと接触させることにより、第2パッドから第1パッドにサンプルの少なくとも一部が移動する。
【0143】
実施例7.結果の可視化を容易にするための、パッドの色と検出試薬との組み合わせの選択。適切な条件下において、DTNBは、チオール化合物と反応すると、黄色のシグナルを提供する。ある実施形態において、上記の第1の例示的な実施形態と類似の物品は、白色パッドを用いて作製される。DTNBによってもたらされる黄色シグナルと比較され、白色の見本および様々なチオール濃度に対応する黄色の様々な色調の見本を有する、コンパレーターに対してかすかな黄色をヒトの眼が識別することは時折困難であることが認められる。代替の実施形態において、上記の第1の例示的な実施形態に類似の物品は、青色パッドを用いて作製される。この青色の背景上で発せられる黄色は、ヒトの目には緑色に見えることがあり、場合によっては、白色の背景上で発せられる黄色よりも識別しやすいことがあることが認められる。この代替実施形態の場合、DTNBによってもたらされるシグナルと比較され、青色の見本(未反応のパッドと一致する)および様々なチオール濃度に対応する緑色の様々な色調の見本を有する、コンパレーターが提供される。
【0144】
実施例8.本発明に記載の物品の診断目的での使用:歯周病についてスクリーニングするための、唾液試験片の臨床研究。微生物の硫黄化合物を検出する色素生産性試薬に含浸されている多孔性のパッドを有する本発明に記載の唾液試験片を、この研究のために調製し、そしてこの研究において使用した。この研究は、歯周病を有する被験体および有しない被験体における唾液片(SS)スコアを比較し、SSスコアと歯周状態の臨床測定との関係を調べた。73人の被験体が登録された(平均年齢(SD)44.73(19.61)、年齢の範囲23〜85歳、男性の割合55%、白人の割合44%)。歯垢指標(PI)、歯肉指標(GI)、臨床上の歯周の付着レベル(AL)およびプロービング時の出血(BOP)を含む歯周の評価を、歯1本あたり6部位において行った。被験体を3群:歯周健常(アタッチメントロスなしかつ歯肉出血なし、18人の被験体)、歯肉炎(アタッチメントロスなしかつ歯肉出血あり、32人の被験体)および歯根膜炎(5本以上の歯において5mmを超えるアタッチメントロス、23人の被験体)に分けた。色素生産性片を使用して、存在するすべての歯の歯肉縁から唾液流体を収集した(四分円につき1片)。色チャートに基づいて色の反応をスコア付けした。スコア付けする調査者は、臨床状態について盲検化されていた。平均SSスコアと、GI(r=0.6、p=0.001)およびAL(r=0.47、p=0.001)との間に、良好から中程度の相関が見られた。分散分析から、3つの研究群間にSSスコアの有意差が示された(p=0.03);事後解析から、健常と歯根膜炎との差が示された(p=0.01)。これらの結果から、これらの片が、歯周病に対するスクリーニング試験として有用であることが示唆された。これらは、使いやすく、迅速な結果を提供し、臨床上の専門技術を必要としなかった。同じ試験が、任意の医療/歯科の設定において容易に行われ得る。
【0145】
実施例9.溶解された口内チオールを検出/評価するための装置および方法。口臭および歯周病は、微生物による揮発性硫黄化合物(VSC)、主に、硫化水素およびメチルメルカプタンの産生が関与することが非常に多い。歴史的には、微生物のバイオフィルム内ではなく呼気中の微生物の存在を検出することに焦点が当てられていた。本研究の目的は、溶解されたチオールを標的にする試験片を開発することであり、その試験片は、迅速で視覚的な結果を提供し、簡単に使用でき、そして口腔組織に対して非刺激性である。本発明の局面7に記載のチオール検出試薬を含む溶液で前処理された後に、溶解されたチオールに対する視覚的に識別可能な反応をもたらす能力について、様々な材料をスクリーニングした。パッドから浸出する乾燥された検出試薬の性質を、加えられたチオールを用いて、すすぎ流体を調べることによって、分光光度的に評価した。保存期間を推定するために、試作試験片を安定性研究に含めた。刺激性試験は、無関係な研究室によって行われた。最後に、検出試薬の濃度を変更することにより、異なる「カットオフ」結果の呈色が達成され得るか否かを判定した。良好な物理的特徴を有し、かつチオール検出試薬およびその色素生産性産物と適合性だった多孔性のパッド材料を特定した。その試薬は、いったんパッド上で乾燥されると、再水和の際に浸出する傾向が低いことを示し、良好なスペクトル感度を維持し、そして長期にわたる妥当な安定性を示した。その試薬は、標準的な口腔ケア製品と比べて、培養された歯肉組織細胞に対して非刺激性であることが見出された。最後に、試薬濃度(パッド中の検出物質の量)を上昇させるかまたは低下させることによって、本発明者らは、その試験のプラトーの呈色を操作することができることを見出した。これらの結果から、本発明を具体化する試験片が、口臭および歯周病の原因物質を検出する際に補助として有用であり得ることが示唆された。
【0146】
実施例10.試作試験片を用いた、溶解された口内チオールの検出。グラム陰性嫌気性菌は、一般に、口臭および歯周病に特徴的な硫黄化合物に関与する。それらは、活性であるとき、独自の(signature)代謝活性、例えば、硫化水素およびメチルメルカプタンの産生によって検出され得る。これらは、気相、例えば、口から吐き出された息において検出され得るが、そのような手法は、高価な器械の使用を必要とし得る。したがって、水性流体に溶解された揮発性および非揮発性のチオールを検出し得る、比較的安価で、使いやすくて解釈しやすい試作試験片を調製した。この研究の目的は:1)試験片が舌背上の口腔液中のチオールを検出する能力を判定すること;2)試験片が歯肉表面上の口腔液中のチオールを検出する能力を判定すること;3)舌の表面の所見を歯肉表面の所見と比較すること;および4)試験片の結果を、ガスクロマトグラフィーを用いて解析されたサンプルと比較することだった。使い捨てpH試験片に似ていて、そのように報告する、試作品を調製した。それらは、可撓性のプラスチック裏材上の多孔性のパッドからなるものだった。組み立てる前に、パッドをチオール検出溶液で処理し、そして乾燥させた。標準的なチオール溶液を用いて、色チップ(見本)が特定の濃度のチオールに関連する色チャートを作製した。そして、そのチャートを用いることにより、未知の流体サンプル中のチオール濃度を推定した。舌背から収集された流体中に溶解したチオールを検出し、ならびに歯肉表面上の流体から収集された流体中に溶解したチオールを検出した。小さい研究集団において、舌背由来の溶解したチオールの平均レベル(15μM)は、歯肉表面上で見られた平均レベル(88μM)よりも相対的に低かった。全体的に見て、検出可能な口腔液チオール(いずれかの起源)を有する個体は、ガスクロマトグラフィーによって測定されたとき、概して、より高いレベルの揮発性チオールを示した。したがって、口腔液に溶解したチオールを検出することができる迅速かつ簡単なアッセイが開発された。舌背および歯肉バイオフィルムは、潜在的な診断価値を有し、その各々は、呼気中で測定可能な主要な揮発性チオールに関連すると見られた。これらの結果から、これらのような試験片が、溶解したチオールの推定が望まれる場合にも広く使用され得ることが示唆された。
【0147】
本発明の例示的な追加のさらなる説明および例が、以下に提供される。
【0148】
本発明は、とりわけ、舌背上および歯肉溝に住む口腔細菌によって産生される揮発性硫黄化合物(VSC)を含むチオール化合物を検出する、試薬液、検出デバイスおよび発色法を提供する。本明細書中で使用されるとき、「チオール化合物」とは、チオールもしくは「−SH」官能基を有する分子、またはチオレートアニオンもしくはスルフィドアニオンを有する分子のことを指す。硫黄含有分子の例としては、硫化水素およびメチルメルカプタン(メタンチオール)が挙げられる。本発明のある特定の実施形態において、本発明に記載の色素生産性組成物の吸光度は、組成物と混合される流体中のチオール化合物の濃度と直接相関する。
【0149】
本発明に記載の組成物および方法は、舌背上に住む細菌および歯肉溝から得られるGCFに住む細菌によって産生される悪臭を放つ毒素の存在を検出するために有用である。
【0150】
例えば、本発明に記載の方法の局面において、試験片で舌背を優しくこすり、擦過物が付いたアプリケーターチップを形成するによって舌擦過物を得る。さらに、または、あるいは、その試験片を唾液で湿らせてもよい。別の実施形態において、無菌紙の吸収点を歯肉溝に挿入することによってGCFサンプルを得る。色素原が発色している試験片または吸収点の色を、色分けされたチャート上の標準または内部標準と比較する。ある特定の実施形態において、そのチャートは、黄色の色調について、20〜100μmol/Lのチオールに対応する低(淡黄色)から、100〜200μmol/Lのチオールに対応する中(黄色)、>200μmol/Lのチオールに対応する高(鮮黄色)へと段階がつけられている。
【0151】
本発明は、とりわけ、緩衝液、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)および湿潤剤を含む試薬液を提供する。本発明に関連して使用されるとき、「DTNB」とは、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)のことを指す。DTNBは、Ellman試薬としても知られ、CAS番号69−78−3を有する。理論に拘束する意図はないが、本発明者らは、DTNBが、HSまたはCHSH中に存在する−SH官能基から形成されるスルフィドアニオンまたはチオレートアニオンと反応することが当該分野で公知であると考える。そのような反応において、DTNBのジスルフィド硫黄の1つが、HSアニオンまたはCHアニオンによって攻撃され、そこで、5−チオ−2−ニトロ安息香酸アニオン(TNB)が放出される。TNBは、互変異性チオキノンと平衡状態で存在する。そのチオキノンは、412nmにおいて13,600M−1cm−1というモル吸光係数で最大吸収(吸光度)を有する。このことにより、この反応が、混合物の黄色が増すことによって分光光度的または視覚的に定量化されることが可能になる。
【0152】
本発明は、検出領域を含む固体基材(例えば、多孔性の固体基材)である検出デバイスも提供し、ここで、その検出領域は、緩衝液、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)および湿潤剤を含む試薬液に含浸されている。
【0153】
本発明は、生理学的流体中のチオール化合物の検出に有用な検出デバイスを製造する方法も提供する。この製造方法は、固体基材を、緩衝液、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)および湿潤剤を含む試薬液と接触させる工程、ならびにそのデバイスを乾燥させる工程を包含する。
【0154】
本発明は、上に記載された方法によって製造される、生理学的流体中のチオール化合物の検出に有用な検出デバイスも提供する。
【0155】
本発明は、被験体の口腔から採取された生理学的流体を上に記載された検出デバイスと接触させることにより、生理学的流体と接触したデバイスを形成し、そしてその生理学的流体と接触したデバイスにおいてチオール化合物の濃度レベルを検出することによって被験体における口臭を検出する方法を提供する(ここで、約40μmol/Lより高いチオールレベルが、口臭を示唆する)。ある特定の実施形態において、チオール化合物の濃度レベルは、約40〜200μmol/Lである。
【0156】
本発明は、被験体の口腔から採取された生理学的流体を上に記載された検出デバイスと接触させることにより、生理学的流体と接触したデバイスを形成し、そしてその生理学的流体と接触したデバイスにおいてチオール化合物の濃度レベルを検出することによって被験体における歯肉炎を検出する方法を提供する(ここで、約80μmol/Lより高いチオールレベルが、歯肉炎を示唆す)。ある特定の実施形態において、チオール化合物の濃度レベルは、約80〜400μmol/Lである。
【0157】
本発明は、被験体の口腔から採取された生理学的流体を上に記載された検出デバイスと接触させることにより、生理学的流体と接触したデバイスを形成し、そしてその生理学的流体と接触したデバイスにおいてチオール化合物の濃度レベルを検出することによって被験体における歯根膜炎を検出する方法を提供する(ここで、約160μmol/Lより高いチオールレベルが、歯根膜炎を示唆す)。ある特定の実施形態において、チオール化合物の濃度レベルは、約160〜600μmol/Lである。
【0158】
本発明は、口腔由来の生理学的流体中のチオール化合物の検出に有用な試験キットをさらに提供し、その試験キットは、緩衝液、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)および湿潤剤を含む試薬液、ならびに、検出領域を含む固体基材である検出デバイス(ここで、その検出領域は、緩衝液、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)および湿潤剤を含む試薬液に含浸されている)または上に記載した方法によって作製された検出デバイスを備える。
【0159】
試薬液。本発明者らは、口臭、歯肉炎および/または歯周病を検出する際に有用な試薬液を開発した。その試薬液は、緩衝液、検出剤および湿潤剤を含む。その緩衝液は、溶液を、pH約7.0である、生理学的pH付近のpHに維持するために使用される。本試薬液のpHは、約6.5〜8.5の範囲または約6.5〜7.5の範囲であり得る。ある特定の実施形態において、試薬液のpHは、7.0である。ある特定の実施形態において、緩衝液は、約5mM〜200mMの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液である。ある特定の実施形態において、緩衝液は、約20mM〜150mMの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液である。ある特定の実施形態において、緩衝液は、約100mMの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液である。
【0160】
本発明の試薬液は、検出剤を含む。ある特定の実施形態において、検出剤は、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)である。ある特定の実施形態において、DTNBは、約10mg/L〜150mg/Lの濃度で存在する。ある特定の実施形態において、DTNBは、約30mg/L〜150mg/Lの濃度で存在する。ある特定の実施形態において、DTNBは、約80mg/L〜120mg/Lの濃度で存在する。ある特定の実施形態において、DTNBは、約100mg/Lの濃度で存在する。
【0161】
本発明の試薬液は、湿潤剤を含む。本発明の湿潤剤は、食品グレードまたは製薬グレードである。適当な湿潤剤としては、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、グリセロールまたはプロピレングリコールが挙げられる。ある特定の実施形態において、試薬液は、約0.1体積%〜5.0体積%の濃度で存在するグリセロールを含む。ある特定の実施形態において、グリセロールは、約0.5体積%の濃度で存在する。ある特定の実施形態において、試薬液は、キシリトールを含む。ある特定の実施形態において、キシリトールは、約2重量%〜10重量%の濃度で存在する。ある特定の実施形態において、キシリトールは、約4重量%の濃度で存在する。
【0162】
本発明者らは、ある特定の適用に対して、チオール/DTNB反応に関連する色の変化を検出するための最良の「段階」を提供するために、グリセロールおよびキシリトールがパッド材料の開始時の色(オフホワイト)を維持するようにうまく作用したことを見出した。さらに、キシリトールは、甘い風味を付与し(また、多くの口腔ケア製剤において使用されており)、グリセロールは、パッド表面に対してより柔らかい感触を付与する。グリセロール、湿潤剤および軟化薬を加えることにより、乾燥させる際の開始時のパッドの色の維持が助けられ、パッドに対するより滑らかな感触も提供される。
【0163】
本発明の試薬液は、ペパーミントなどの香味料または芳香も含み得る。1つの実施形態において、0.5gのヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリンをキャリアとして使用し、それに0.16mLのペパーミントオイルを加えた。10mLの水中のこの混合物を、100mLの試薬液に対する添加物として使用した。したがって、この香味料/芳香添加物は、1Lの標準試薬液の量あたり、5gのヒドロキシプロピルシクロデキストリンおよび1.6mLのペパーミントオイルであり、この合成されたオイルを100mLの水に混合した後、それを大容量の試薬液に加えた。
【0164】
本発明の試薬液は、イソプロパノールなどのアルコールも含み得る。ある特定の実施形態において、70%イソプロパノールを使用した。そのアルコールは、USPグレードだった。ある特定の実施形態において、最大10分の1の体積の試薬が、アルコールだった。アルコールが存在することにより、検出試薬が、パッド材料などの固体基材上でより迅速に乾燥することが可能になる。
【0165】
本発明の試薬液は、必要に応じて、アルカリ土類金属または遷移金属も含み得る。適当な金属の例としては、マンガン、マグネシウム、および特に間接接触デバイスに関してコバルトが挙げられる。室温および大気圧において、硫化水素は、硫化水素が溶解した水性の液体が開放容器内に入っているときおよびその開放容器の上に空気が入っているとき、その水性液体から漏れ出る傾向がある。本発明のデバイスおよび方法は、驚いたことに、液体サンプルならびに気体サンプル中のチオール化合物のレベルの測定に成功した。
【0166】
検出デバイス。本発明者らは、口臭、歯肉炎および/または歯根膜炎を検出する際に有用な検出デバイスを開発してきた。ある特定の実施形態において、検出デバイスは、検出領域を含む固体基材であり、ここで、その検出領域は、上に記載された試薬液に含浸されている。ある特定の実施形態において、試薬液は、固体基材上で乾燥される。本発明者らは、いったんその試薬液が固体基材上で乾燥されるとそれがかなり安定であることを見出した。ある特定の実施形態において、金属イオン(例えば、マンガン)が加えられ得る。
【0167】
ある特定の実施形態において、固体基材は、不活性な繊維の多孔性のパッドである。ある特定の実施形態において、繊維は、米国特許第7,290,668号に記載されている少なくとも1つの材料から構成される。ある特定の実施形態において、繊維は、R−27378またはR28445D#4345と呼ばれているTRANSORB(登録商標)ブランド材料から構成される。ある特定の実施形態において、色の付いた(例えば、青色の)パッドが、白色パッドの代わりに使用され得る。この青色の配色は、代替の発色の可能性を見込む;パッドの開始時の色を変化させることができることにより、疾患プロセスの様々な段階に対応する閾値濃度を効果的に操作することが可能になる。ある特定の実施形態において、「標準」パッドまたは色の付いた(すなわち、落ち着いた色の)テープが、「検出」パッドに直接隣接して配置される。他の実施形態において、これらの「標準」および「検出」領域は、それらの間にある白色の背景を示す狭い間隙によって互いに離される。ある特定の色の組み合わせを視覚的に比較するとき、2つの領域間のわずかな間隙が、よりよい視感度をもたらす。検出が黄色の指標に依存するとき、および色の強度および/または暗度の差があからさまに明らかではなく微妙であるとき、このことが真であることが見出された。ある特定の実施形態において、内部標準もまた使用され得る。
【0168】
ある特定の実施形態において、固体基材は、ある特定の所望の形状および/またはサイズに、切断され得るか、または別途形成され得る(例えば、打ち抜くことによって)。ある特定の実施形態において、パッドなどの固体基材は、約0.8mm〜約1.2mmの厚さ、約5.5mm〜約8mmの幅および約7mm〜8mmの長さであり得る。円、菱形およびプラス記号などを形成するように、直方体の形以外の形状が、例えば、およそ8mm×8mmの領域内に形成され得る。他の所望の形状が、同様に打ち抜かれ得る。また、反応性部分と非反応性部分との間の間隙が、同様に組み込まれ得る。
【0169】
ある特定の実施形態において、検出デバイスは、検出領域を有することに加えて、標準領域も有する。したがって、検出デバイスの使用者は、検出領域を標準領域と容易に比較することができ、それにより、その試験が陽性であるか陰性であるかを判定することができる。ある特定の実施形態において、標準領域は、所定の強度の比色標準である。
【0170】
1つの実施形態において、試験スティックは、直接接触させる適用において使用される(図1)。この実施形態において、スティックの一端にパッドを備える試験スティックが使用され、ここで、そのパッドは、試験溶液に含浸されている。ある特定の実施形態において、その試験溶液は、溶媒を蒸発させて乾燥される。そのパッドは、サンプル(例えば、唾液)と直接接触するように配置される。しばらくした後、そのパッドを調べることにより、発色を判定する。
【0171】
ある特定の実施形態は、直接接触型の試験デバイスを含む(図2A〜2D)。反応性パッドは、試験サンプルと接触すると、(サンプル中に存在するチオールのレベルに応じて)色を変化させることもあるし、変化させないこともある。コンパレーターのパッドには検出試薬が存在しないので、コンパレーターの色は、試験中に変化しない。そのコンパレーターは、a)反応性パッドの開始時の色と同じ色(例えば、図2A、ここで、サンプル中のチオールレベルが高くなるにつれて、反応性パッドの色がコンパレーターの色から徐々に逸脱する)またはb)標的の「カットオフ」色(例えば、図2B。図中、チオールレベルを徐々に高くすることにより、反応性パッドの色がコンパレーターの色に収束するか、または、ある設定された時点でその色を超える)を有し得る。例えば、開始時のコンパレーターの色とカットオフのコンパレーターの色の両方がそれぞれ反応性パッドのすぐ上および下に存在するときのように、1つより多いコンパレーターが、使用され得る(図2C)。したがって、カットオフの色は、ある特定のチオールレベルがサンプル中に存在する場合に反応性パッドが達し得る色を示唆し得る。入れ子になった(nested)反応性パッドの色は、(チオール濃度に応じて)コンパレーターの色に達することもあるし、それを超えることもある。反応性パッドの周囲の間隙(上記の、前の考察を参照のこと)は、色の変化をより良好に識別させ得る。図2Dは、図2Bのパッドが反転した位置になっている状況を表している。
【0172】
図3(これも直接接触の様式)は、代替の試験片配置を表しており、ここでは、打抜き(形)反応性パッドが、コンパレーターの中に入れ子になっている。説明のために、ここに示されている形は、円、菱形または十字形である。図3A〜Cは、コンパレーターの中に入れ子になっている円形の反応性パッドを表している。この入れ子になっている反応性パッドは、(チオール濃度に応じて)コンパレーターの色に達することもあるし、それを超えることもある。コンパレーターの色と一致しているものまたはコンパレーターの色を超えているものが、陽性試験の指標として図3Aおよび3Bによって示されている。超えているものだけが、陽性試験の指標として図3C〜Eによって示されている。図3Cおよび3Dは、3Cと似ているが、非円形の反応性パッドを有するものである。色の変化をより良好に識別させ得る、反応性パッドの周囲の間隙(上記の前の考察を参照のこと)は、この系列では示されていない。
【0173】
本発明は、とりわけ、間接接触デバイスを提供する(例えば、図4Aおよび4B)。本発明の1つの実施形態において(図4A)、試薬は、円柱状の多孔性マトリックスの遠位端に適用されており、その試薬は、その部品の中へ、近位端に向かってわずかに移動する。次いで、その材料を乾燥させ、透明の保護外装に入れる。使用の際、サンプルを近位端に適用し、そして流体が遠位端に向かって移動し、その材料を満たす。サンプルが遠位端の検出試薬と接触すると、サンプルは、試薬と反応して、色を変化させ得る。本発明の別の実施形態において(図4B)、試薬液を2本の円柱のうちの1本に適用し、乾燥させる。試薬に含浸された円柱を、透明の保護外装に入れる。第2円柱(サンプル用)を、第1円柱の近くに置くが、第1円柱と直接接触しないように置く。使用の際、サンプルを「サンプル」円柱に適用し、サンプルが「サンプル」円柱を満たす。次いで、サンプル円柱を試薬円柱と接触させ、サンプル流体が、サンプル円柱から検出円柱に移動する。次いで、検出試薬と反応するサンプル中のチオールが、検出円柱において可視化される。
【0174】
間接接触デバイスの別の実施形態において(例えば、図5)、サンプルは、平らな表面に接触し、次いで、その表面が、サンプルを反応性パッドに伝える。その後、反応性パッドにおける色の変化(または色が変化しないこと)が、サンプル適用面と反対にある試験デバイスの面上の透明窓を通して確認される。
【0175】
本発明の検出デバイスの1つの実施形態が、図6に示されている。検出デバイス10は、サンプル側面11および結果側面12を有する。サンプルパッド20は、側面11上に位置している。いったんサンプル流体が側面11上のサンプルパッド20に入ると、そのサンプル流体は、側面12に面している反応パッド22に伝わる。透明カバー23は、結果パッド22を覆っている。
【0176】
間接接触デバイスの他の実施形態が、図7A〜7Dに示されている。図7Aおよび7Bは、「折りたたみ」デバイスの例である。図7Aには、支持体31、サンプル収集パッド32および試薬パッド33を有するデバイス30が示されている。試薬液は、試薬パッド33に含浸されており、必要に応じてその時点で乾燥されてもよい。サンプル(例えば、唾液)をサンプル収集パッド32に適用し、サンプル収集パッド32と試薬パッド33とが互いに接触するように支持体を折りたたむ。折りたたむとき、サンプル収集パッド32からの流体が、試薬パッド33を湿らせ、そこに移るように、サンプル収集パッド32と試薬パッド33とを、静かに押し合わせる。次いで、使用者が、そのデバイスを開き、試薬パッド内に見られる結果を確認する(例えば、色の変化 対 色の変化なし)。
【0177】
図7Bは、サンプル収集領域41、試薬領域42および反応窓45を有する試験デバイス40を示している。試薬液は、試薬領域42に含浸されており、必要に応じてその時点で乾燥されてもよい。サンプル(例えば、唾液)をサンプル収集領域41に適用し、サンプル収集領域41と試薬領域42とが互いに接触するように支持体を折りたたむ。折りたたむとき、サンプル収集領域41からの流体が、試薬領域42を湿らせるように、サンプル収集領域41と試薬領域42とを、静かに押し合わせる。結果を確認するために(図7Aにおけるように)デバイスを開く代わりに、使用者は、ただ試験デバイスを裏返すことにより、透明(例えば、プラスチック)窓45を通して結果を確認する。
【0178】
図7Cおよび7Dは、「スライダー」概念を用いている検出デバイスを示している。図7Cに示される実施形態では、デバイス50は、サンプル収集領域52および透明(例えば、プラスチック)のスリーブ53を備える片51から構成される。スリーブ53は、その中に取り付けられている試薬領域54を備える。試薬液(乾燥されていてもよい)は、試薬領域54に含浸されている。使用者は、片51をスリーブ53から取り出し、サンプルをサンプル収集領域52に適用する。次いで、使用者は、サンプル収集領域52が試薬領域54と接触するように片51をスリーブ53の中に滑り込ませる。使用者は、サンプル収集領域52からの流体が試薬領域54を湿らせるように、サンプル収集領域52と試薬領域54とを静かに押し合わせ得る。1つの実施形態において、試薬領域54は、スリーブ53の構成部分である。
【0179】
図7Dは、サンプル収集領域62、スリーブ63および反応窓65を備える検出デバイス60を示している。スリーブ63は、試薬領域64を備える。試薬液(乾燥されていてもよい)は、試薬領域64に含浸されている。使用者は、サンプルをサンプル収集領域62に適用し、次いで、試薬領域64がサンプル収集領域62と接触するようにスリーブを滑り込ませる。この接触は、反応領域64へのサンプルの移動を可能にするのに十分密接である。次いで、使用者は、反応領域64の真上に位置する透明(例えば、プラスチック)窓65を通して結果を読む。
【0180】
図8A〜8Fは、本発明に対する様々な代替の包装デザインを表している。図8Aは、「ブックマッチ」デザインを表している。個別の片が、使用者によって取り出される。各片は、必要に応じて、箔などで包まれていてもよい。各ブックは、好都合な数の試験片(例えば、1ブックあたり6〜12)を保持する。図8Bは、箔で包まれたデザインおよび箱に入ったデザインを表している。試験片は、段ボール箱またはプラスチック箱などの箱の中にまとめて保存されており、箔の列をなして包装されている。箔の列の各々は、好都合な数の試験片(例えば、1列あたり5〜10)を含む。図8Cは、「ガムの包み」デザインを表している。試験片は、段ボール箱またはプラスチック箱などの箱の中にまとめて保存されており、箔の包み紙で個別に包装されている。図8Dは、包装がプラスチック外装であるだけの図8Cと同様のデザインである。各試験片は、個別に包装される。1つの実施形態において、5〜10個の試験片が、ディスペンサーの中に包装される。図8Eは、蓋つきのディスペンサーを提供する。図8Fは、摺動引き出し型のディスペンサーを提供する。
【0181】
本発明は、成形された試験外装をさらに提供する(図9)。1つの実施形態において、反応領域は、成形されたプラスチック部分の中に入れられている。この実施形態において、試薬領域は、検出試薬液で含浸されており、検出試薬液は、反応領域上で乾燥される。反応領域は、サンプル領域として機能する着脱可能な多孔性の膜またはパッドによって覆われている。サンプル(例えば、唾液)は、サンプルパッド上に収集され、次いで、サンプルパッドに隣接する試薬領域に移動する。透明窓を通して結果を確認する(当業者が、図6に示されているデバイスを用いてするように)代わりに、サンプルパッドを取り出し、廃棄して、試薬領域を露わにする。結果を確認し、解釈する。
【0182】
本発明は、キャップをかぶせられた収集デバイスをさらに提供する(図10)。図10は、キャップをかぶせられた検出デバイス80を示している。1つの実施形態において、その検出デバイスは、取っ手81、サンプル収集領域82、キャップ83および試薬領域84を備える。試薬液(乾燥されていてよい)が、試薬領域84に含浸されている。代替の実施形態において、検出デバイス80は、取っ手81、サンプル収集領域82およびキャップ83を備える。試薬液(乾燥されていてよい)は、サンプル収集領域82に含浸されている。この実施形態では、保護キャップを試験デバイスから取り外し、そしてサンプル収集パッド/スワブを被験体の口の中に挿入する。そのサンプル収集パッド/スワブを試験サンプルと接触させる。次いで、そのサンプル収集パッド/スワブを口から取り出し、そのデバイスに再度キャップをかぶせる。いくつかの実施形態では、サンプル収集パッド/スワブは、検出試薬に含浸されていて、検出試薬は、必要に応じてサンプル収集パッド/スワブ上で乾燥されていてよい。他の実施形態において、必要に応じて試薬パッド上で乾燥されていてよい検出試薬で含浸された試薬パッドは、保護キャップと一体化されている。この実施形態において、デバイスに再度キャップがかぶせられると、この行動により、サンプル収集パッド/スワブが試薬パッドと接触する。いずれかの実施形態において、適切な時間が経過した後、試薬パッドを観察することにより、色の変化の程度が判定される。
【0183】
製造方法および製造されたデバイス。本発明は、生理学的流体を含むサンプル中のチオール化合物の量を測定するための検出デバイスを製造する方法を包含する。この製造方法は、上記のように固体基材を試薬液と接触させる工程およびそのデバイスを乾燥させる工程を包含する。
【0184】
本発明は、上に記載された方法によって製造された、生理学的流体を含むサンプル中のチオール化合物の量を測定するための検出デバイスをさらに包含する。
【0185】
生理学的サンプル中のチオール化合物の検出方法。本発明は、被験体における口臭、歯肉炎および/または歯根膜炎を検出する方法を提供する。この方法は、被験体の口腔から採取された生理学的流体を上に記載された検出デバイスの1つと接触させることにより、生理学的流体と接触したデバイスを形成する工程、およびその生理学的流体と接触したデバイスにおいてチオール化合物の濃度レベルを検出する工程を包含する。少なくとも約40μmol/Lのレベルが、口臭を示唆し、少なくとも約80μmol/Lのレベルが、歯肉炎を示唆し、そして少なくとも約160μmol/Lのレベルが、歯根膜炎を示唆する。ある特定の実施形態において、検出デバイスは、10〜20μmol/Lのレベルほど低いチオール化合物の存在を検出することができる。
【0186】
ある特定の実施形態において、生理学的流体は、被験体の口腔から取り出され、次いで、検出デバイスと接触する。他の実施形態において、検出デバイスを被験体の口腔内に挿入し、生理学的流体をインサイチュでデバイスと直接接触させる。例えば、試験片を口の中に挿入し、反応性マトリックスを被験体の唾液と直接接触させる。驚いたことに、口腔組織をDTNB含有スワブと直接接触させたときでさえも、検出試薬を含む試作試薬液が、口に対して非刺激性だったことが発見された。
【0187】
ある特定の実施形態において、検出デバイスは、「直接接触」法において使用される。この方法では、検出剤を含浸されたマトリックスを有するデバイスが、使用者と直接接触する。例えば、デバイスの検出領域は、片の端における単純なパッドである。ある特定の実施形態において、検出デバイスは、「間接接触」法において使用される。この方法では、検出剤を含浸されたマトリックスは、使用者と直接接触しない。この接触は、流体サンプルまたは収集されたサンプルマトリックスが、検出剤を含浸されたマトリックスと接触するように、流体サンプルの拡散または収集されたサンプルマトリックスの物理的な移動によって時間をかけて行われる。
【0188】
ある特定の実施形態において、検出は、(a)生理学的流体と接触したデバイスの色の強度または吸光度を(b)標準と比較することによって行われる。ある特定の実施形態において、検出は、眼によって行われる。他の実施形態において、検出は、分光光度計(例えば、反射分光光度計)などの機械によって行われる。ある特定の実施形態において、検出工程は、定量化されたシグナルまたは半定量化されたシグナルを提供し、そのシグナルは、人ごとの主観性を最小にする傾向がある。
【0189】
本方法において試験される生理学的流体は、GCF、舌擦過物、舌バイオフィルム、歯肉線バイオフィルム、唾液もしくは息、または複数のこれらの流体の組み合わせである。
【0190】
本発明の方法の1つの実施形態において、濾紙片を試薬液と接触させ、そして過剰の溶媒を蒸発させることによって、その濾紙片が試薬混合物で含浸され、それにより、含浸された試験片が形成される。次いで、被験体に、含浸された試験片の上に唾液を喀出させる。その含浸された試験片中および試験片上において反応を進める。一定時間が経過した後、含浸された試験片の表面上で発せられる色を、段階がつけられた色チャートなどの標準と比較することによってチオール化合物の濃度を測定する。
【0191】
1つの実施形態において、試験スティックは、直接接触させる適用において使用される。この実施形態において、スティックの一端に多孔性のパッドを備える試験スティックが使用され、ここで、そのパッドは、試験溶液で含浸されている。ある特定の実施形態において、その試験溶液は、過剰な溶媒を蒸発させて乾燥される。そのパッドを、サンプル(例えば、唾液)と直接接触させる。しばらくした(例えば、5〜10秒)後、パッドを調べることにより、発色または色の変化を判定する。
【0192】
別の実施形態において、試験片は、検出パッドに隣接したコンパレーター(すなわち、内部標準)を備える。1つの実施形態において、未使用の試験片の反応性領域とコンパレーター領域とは、同じ色である。試験片のこれらの2つの領域が、サンプルと接触するとき、まず、それらは、未使用の試験片と異なる色(すなわち、サンプルによる水和の後に両方が得る色)を呈する。しばらくした後、反応性領域の色は、コンパレーター領域の色から逸脱し、その強度が、チオール化合物の濃度を示唆する(例えば、図2Aに示されているように)。
【0193】
別の実施形態において、検出領域とコンパレーター領域とは、最初、異なる色を有し得る。反応性パッドが、チオールの濃度が高くなるにつれて徐々にコンパレーターに似るようになり、そしてカットオフ強度を超えてもよい(例えば、図2Bに示されるように)。
【0194】
別の直接接触法の実施形態において、片は、3つの異なる領域:開始時の色を示すコンパレーター、カットオフ(診断)色を示すコンパレーターおよび反応性領域を含む(図2C)。反応性領域の色は、開始時の(上の)色から逸脱して、チオールレベルが高くなるにつれてコンパレーター(下)の色に収束する。そのような場合、様々な領域を比較する観察者または電子デバイスによって、反応性領域(例えば、中央のパッド)が、開始時の色(例えば、上側のパッド)またはコンパレーターの色(例えば、下側のパッド)により似ているかについての判定がなされる。
【0195】
別の直接接触法の実施形態において、片は、2つの異なる領域を含み:反応性パッド(上部)は、淡青色から始まり;チオールの濃度が高くなるにつれて徐々に緑色になる(例えば、図2Dに示されているように)。着色は、上記の色またはコンパレーター(パッドの下部)の色に適うものであってもよいし、それを超えてもよい。これは、検出パッドとコンパレーターパッドの位置が入れ替わっていることを除いて、図2Bに示される形式と類似する。
【0196】
ある特定の実施形態において、様々な指標色が使用され、そして/または様々な形状が使用される(例えば、図3A〜3E)。
【0197】
試験キット。本発明は、チオール化合物の検出に有用な試験キットを提供する。そのキットは、上に記載された検出デバイスおよび/または試薬液を備える。
【0198】
本発明は、ここで、以下の非限定的なさらなる実施例によってさらに例証される。
【0199】
さらなる実施例1.試薬液を以下のとおり調剤した:
緩衝液(リン酸ナトリウム,USP)−100mM,pH7.0
DTNB,100mg/L
グリセロール(USP),0.5体積%
キシリトール(食品/製薬グレード),4重量%
さらなる実施例2.試薬液を以下のとおり調剤した:
成分および量(溶液1Lに対して)
脱イオン水(DI HO;摂取に好適)約800mL+1Lまで適量
リン酸二ナトリウム七水和物,USP 3.093g(3.060〜3.120g)
リン酸一ナトリウム,USP 1.015g(1.010〜1.020g)
グリセロール,USP 5.0mL(4.9〜5.1mL)
キシリトール,食品/製薬グレード 40.0g(39.6〜40.4g)
DTNB 0.100g(0.099〜0.101g)
70%イソプロピルアルコール(またはUSPグレードIPA,70%希釈物)100mL(随意)
次いで、PESフィルター(0.2ミクロンのポアサイズ)を用いて試薬液を濾過した。50mgまたは100mgDTNB/L溶液を用いて作製された片は、白色パッドに適度に適していることが見出された。なぜなら、乾燥させた際、そのレベルのDTNBは、たとえあったとしてもパッドに対して目立つ色をほとんど与えないからである。
【0200】
さらなる実施例3.チオール化合物が、いたんだ食肉に関連する流体中に蓄積することは、当該分野で公知である。したがって、本発明に記載の物品は、いたんだ食肉に関連する高レベルのチオールの検出に有用である。
【0201】
さらなる実施例4.硫酸カルシウムを含み、硫酸塩還元細菌による分解に供される、分解された壁板製品に関連する流体中に、チオール化合物が蓄積することは、当該分野で公知である。したがって、本発明に記載の物品は、分解された壁板製品に関連する高レベルのチオールの検出に有用である。
【0202】
さらなる実施例5.本発明の様々なさらなる局面が、以下の説明の内容において開示され、ここで、チオール検出試薬は、本発明の局面7に記載の検出試薬を含んだ。
【0203】
溶解されている口内チオールを検出/評価するための迅速な方法
目的:口臭および歯周病は、微生物による揮発性硫黄化合物(VSC)、主に、硫化水素およびメチルメルカプタンの産生が関与することが非常に多い。歴史的には、微生物のバイオフィルム内ではなく呼気中の微生物の存在を検出する試みに焦点が当てられていた。本発明者らの目的は、溶解されたチオールを標的にする試験片を開発することであり、その試験片は、迅速で視覚的な結果を提供し、簡単に使用でき、そして口腔組織に対して非刺激性である。
【0204】
方法:本発明者らは、チオール検出化合物で前処理された後に、溶解されたチオールに対して視覚的に識別可能な応答をもたらす能力について様々な材料をスクリーニングした。加えられたチオールを用いて、すすぎ流体を調べることによって、パッドから浸出する乾燥検出試薬の性質を分光光度的に評価した。保存期間を推定するために、試作試験片を安定性研究に採用した。刺激性試験は、無関係な研究室によって行われた。最後に、本発明者らは、検出試薬の濃度を変えることにより、異なる「カットオフ」結果の呈色が達成され得るかどうかを判定した。
【0205】
結果:良好な物理的特徴を有し、かつチオール検出試薬およびその色素生産性産物と適合性であった多孔性のパッド材料を特定した。その試薬は、いったんパッド上で乾燥すると、再水和の際に浸出する傾向が低く、良好なスペクトル感度を維持し、そして長期にわたる妥当な安定性を示した。パッド処理試薬は、標準的な口腔ケア製品と比べて、培養された歯肉組織細胞に対して非刺激性であることが見出された。最後に、試薬濃度(パッドにおける検出剤の量)を上昇させるかまたは低下させることによって、本発明者らは、その試験のプラトーの呈色を操作することができることを見出した。
【0206】
結論:本発明者らの結果から、この技術を使用する試験片が、口臭および歯周病の原因物質を検出する際に補助として有用であり得ることが示唆される。
【0207】
この試みにおける本発明者らの全般的なアプローチは、チオール検出試薬(「TDR」)の資質および能力を活用すること、口の悪臭および歯周病に関連にする溶解された硫黄化合物を検出すること、ならびに乾燥化学の形式を用いてそれを行うことだった。ある特定のデザインの局面およびその形式の能力が、ここで示される。
【0208】
背景
口の悪臭(口臭)および慢性歯周病は、一般に、それぞれ、舌背の上、または歯と歯肉組織との間の溝の中のいずれかにおける細菌の存在を特徴とする。これらの舌および歯肉バイオフィルムに生息する多くのグラム陰性嫌気性菌は、硫黄含有アミノ酸を有するタンパク質を代謝するとき、システインおよびメチオニンから末端の硫黄含有基を除去することにより、それぞれ硫化水素およびメチルメルカプタンを生成する能力を有する。
【0209】
【化1】

体温では、硫化水素およびメチルメルカプタンの大半は、水性環境に溶解されたままではなく、揮発する。それらが、気相に入ると、呼気によって口から運ばれ得る。他の揮発性化合物(硫黄を含むものまたは硫黄を含まないもの)は口臭の一因であり得るが、代表的には、揮発性硫黄化合物(VSC)が原因であり、VSCの中でも、これらの2つの化合物が、主原因であると考えられている。
【0210】
非常に多くの研究が、これらの(呼気)ガスの濃度を特定し、定量することに着手している。口臭を「測定する」ためのゴールドスタンダードであるとしばしば考えられる官能検査評価は、訓練および較正を必要とし、必ずしも容易に利用できるとは限らない。
【0211】
呼気ガスを定量することができる装置としては、Halimeter(Interscan Corporation)およびOralChroma(Abilit)が挙げられる。Halimeterは、VSCを測定するが、他のタイプの悪臭を放つ化合物を測定しない。しかしながら、Halimeterは、口臭の一因となるVSCと、口臭の一因とならないVSCとを識別できない。OralChromaは、特殊なガスクロマトグラフであり、3つの最もよく生じるVSC:硫化水素;メチルメルカプタン;およびジメチルスルフィドを定量するために設計されたものである。ジメチルスルフィドは、口臭中に存在しないが、他の疾患状態に存在することが示されてきた。OralChromaは、これらの3つのガスを特定し、定量するだけであるので、これも「非VSC」口臭に対する誘因を検出する能力を欠いているが、主要なVSC誘因を特異的に検出し、定量することによって、よりよい診断情報を提供する。しかしながら、この装置は、高価であり、おそらく広く使用されない。
【0212】
方法
パッド材料のスクリーニング
様々な多孔性の吸収材料を入手し、サンプルパッドとして使用するための適合性についてスクリーニングした。所望の材料は、ある特定の固有の資質を有し、ならびにある特定の性能特性を達成しなればならなかった。それらは、以下であった:
・最初の呈色から最終的な呈色まで、許容可能な色の彩度または色調変化を提供すること
・迅速にプラトーの(最終的な)呈色に達すること
・妥当な長さの時間にわたってプラトーの呈色を維持すること
・十分な厚さおよび耐久性を有すること(製造可能性)
・光沢の少ない外観を有すること
・乾燥時にTDRの均一な分布を達成すること
・試薬および生物学的(口腔液)サンプルに対して十分な収容能力を提供すること
・[サンプルによる]再水和の際に均一かつ非移動性のTDR分布を達成すること
・サンプルを可能な限り速くかつ均等に吸収すること
・口腔組織と生体適合性を示すこと;微粒子の脱落が最少であること
・プラスチック(支持体)裏材に付着すること。
【0213】
多くの、セルロースベースの紙および非セルロースベースの紙、ガラス繊維材料ならびに合成材料を調べた。これらのうちのいくつか(潜在的に有用であるもの)を選択し、第1に適当な呈色を示す能力、第2に生体適合性および色の移動特徴に基づいて、ランク付けした。
【0214】
パッドからの試薬の浸出
パッドは、いったんTDRで処理されると口腔組織に対して刺激性でなくなるという論拠の一部として、本発明者らは、使用する時間枠(口腔組織と接触するせいぜい数秒間)において、TDRがパッドからかなりの程度浸出しなかったことを証明した。このことは、まず、乾燥パッドからTDRを洗い流そうとし、次いで、チオールを用いて、すすぎ流体を調べ、パッド内の全TDRに基づいて、溶液に放出されたパーセンテージを逆算することによって、達成された。
【0215】
刺激性試験(インビトロ)
刺激試験に対する第2アプローチとして、本発明者らは、この目的のために確立された細胞株を用いたインビトロ試験のために、TDRを含む溶液を無関係の研究室に送付した。厳密な品質管理手順を使用し、既存の口腔ケア製剤と比較して、この試薬液に対する相対的な刺激性の徴候を判定することができた。
【0216】
安定性研究(実現可能段階)
実現可能段階の試作品の安定性を証明するために、実時間劣化と加速劣化(高温での保存)の両方を用いる短期間の安定性研究に着手した。そのような研究は、開発プロセスの早い段階で懸念を引き起こし得るか、またはその後の試作品(最終的には、製造される製品自体)が適度に長い保存期間に必要な安定性を示し得るという信頼感を提供し得る。片を、包装し、様々な温度において保存し、次いで、実験経過中の所定の時点において標準的なチオール溶液を用いて調べた。これらの結果から、アレニウスモデル(Anderson,G.,and M.Scott(1991)Clin Chem 37:398−402)を用いることにより、安定性に関する現実的な見積もりと控えめな見積もりの両方を得ることができる。
【0217】
試薬の限界
異なるプラトーの(最終的な)試験呈色が達成され得るか否かを判定するために、本発明者らは、TDR濃度が律速となるようにその濃度を低下させた。試験の最終的な色を規定することができることにより、異なるカットオフ濃度を示す類似タイプのデバイスを考案することができることが証明され得る。
【0218】
結果
パッド材料のスクリーニング
興味深いことに、(TDR+チオールの)色素生産性反応産物は、チオール溶液の適用点からパッドマトリックスを通過して移動することが多かった。代表的には、標準チオールとして2−メルカプトエタノール(2−ME)を用いて新たに作製される水性チオール希釈物を試験の直前に調製する。これらをピペットで乾燥パッド上に垂らし、色の変化の挙動をある時間にわたってモニターした。液体の最前線における色の移動は、乾燥TDRがおそらく再水和の際にその液体によって自由に運ばれたことを示唆した。所望される結果は、(色の変化の)均一な領域であるので、そのような材料は、良好なパッドにはならない。
【0219】
色の変化が適切に可視であり、非移動性である点において、他の材料が有望に見えた。しかしながら、これらのパッドのうちのいくつかにおける繊維は、比較的疎性だった(そして、生体適合性に関して問題があると立証される可能性があった)。ゆえに、それらは、不活性および色の変化の視感度について基準を満たすが、それらを使用可能にするためには、直接口に接触するものから隔離されている必要があった。
【0220】
シグナル対ノイズ、生体適合性および色の変化の視感度の最良の組み合わせであると本発明者らが考えるものを提供する材料を用いて、本発明者らは、良好な結果を達成した。さらに、これらは、特注の厚さで提供され得、容易に取り扱われ、十分に親水性であり、手動と自動の両方の製造状況に適応可能だった。5つの材料を、短期間の安定性研究のために選択し、試作TDR溶液で処理し、そして室温および37℃で数週間にわたって保存した。6週間後に、システイン溶液(250μM以下)を用いて、これらのTDR処理材料を調べた;5つのうち4つの結果を撮影し、図11に示す。周囲温度で保存されたパッド材料は、各対の左側であり;37℃で保存されたものは、右側である。4番のパッド材料が、このチオール濃度範囲において全体的に最良の色の強度、色の保持および感度を示した。
【0221】
パッドからの試薬の浸出
パッドを250μLの水(キュベット内)の中で最大3分間撹拌した後、パッドから溶液に浸出した再水和されたTDRを、25μLの1mMシステインを用いて調べた。生成された黄色を、t=30秒において分光光度法によって読み出した。これらのシグナルは、最大理論値(すなわち、各パッド上で乾燥された液体TDRの量を用いることによって生成されるシグナルに基づく)のパーセンテージとして表された。図12は、水和されたときに最大理論量の約1/3だけがパッドから出ること;およびキュベット内での撹拌の約1分後にその浸出レベルに達することを証明している。しかしながら、パッドに対する口の接触時間は、たった約5秒間である。10秒後(図中の矢印)でさえも、パッドから出る試薬の量が全体のおよそ5%であることが分かり、これは、粘膜組織との少しの表面接触ではなく比較的多い液量中での撹拌を想定している(この間における流体の移動は、パッドからの移動ではなくパッドへの移動であり得る)。
【0222】
刺激性試験(インビトロ)
試験は、MatTek Corporation(Ashland,MA)によって着手された。液体TDRを、MatTekに送付し、細胞培養システム「EpiOral」ORL−200を用いるその標準的な試験アルゴリズムにおいてアッセイした。刺激の可能性を、培養された細胞の死亡率が50%に達する時点として定義される「ET−50」として評価した。試験結果を下記の表1に示す。
【0223】
【表1】

24時間後の時点において、組織内のほぼ100%の細胞が生存したままであるので、ET−50は、>24時間と定義される。練り歯磨きおよび漂白剤の場合、半数の細胞が、それぞれ約12および15時間後に殺滅された。
【0224】
安定性研究
下記の表に報告される安定性研究の結果は、安定性の「現実的な」見積もり(Q10=3.00)と「控えめな」見積もり(Q10=2.00)の両方を提供する。この研究における試作パッドは、MatTek研究(すぐ上に記載の研究)に存在した活性なTDRの約1/4量を含んでおり、密閉された箔の小袋(乾燥剤を含まない)内に1つずつ試験片として保存された。45℃で保存された試験物のサブセットにおいても適切な反応性が見られ、実験の終わりには十分に試験された。この場合、安定性の「現実的な」見積もりは、2.4年(Q10=3.00)であり、「控えめな」見積もりは、1.13年(Q10=2.00)だった。
【0225】
【数1】

TDRの限定
十分量のTDRが与えられると、パッド中のTDRを限定することによって、さらなる色の変化を別途もたらし得るチオール濃度に対しても「最大の」色の変化を規定することができるはずである。
【0226】
図13は、TDRが20倍の範囲にわたって変更されたとき(グラフの右端の凡例に従って)、示された最終的な呈色もまた、色「コンパレーター」チャートから視覚的に読み出された色(y軸)の番号に基づいて変わることを示している。TDRの量が多くなるにつれて、最終的なシグナル(視覚的結果)が全体的に強くなっていると認められ、これは、化学量論に基づいて予想され得るものである。
【0227】
考察および結論
ここで提示された、選択されたデザインの局面に基づいて、本発明者らは、「溶解されたチオール」口腔液試験に対するパッドとして機能する候補材料を特定した(標本の収集および反応の段階)。最初のパッドスクリーニング研究の後、パッドタイプ#4よりもさらに優れた特徴を示すパッド材料をさらに調べた(示さず)。
【0228】
TDRは、再水和の際(すなわち、わずか数秒を要する口腔サンプル収集プロセス中)もそのパッド内に残存しており、いったん乾燥するとかなり安定であると見られる。これらの特徴が必要とされ、1つの試験につき比較的少量のTDRが必要とされる場合、本発明者らは、液体様式のTDRが、培養細胞系に対して非刺激性であることを見出した。現在までに行われた生体適合性試験を裏付けるために、さらなる安全性に関する試験(計画された形式での完全な試験の正式な細胞傷害性試験、刺激性試験および感作性試験)が計画されている。
【0229】
安定性研究データは、このタイプの乾燥試薬に基づく試験が、通常の保存条件下において、市場性のある製品にとって適切な保存期間を有するはずであることを示唆する。
【0230】
さらなる実施例6.本発明に記載の物品は、循環器疾患を含む慢性疾患の合併症のリスクに対するスクリーニングに有用である。歯根膜炎にも罹患している循環器疾患を有する人が、歯根膜炎に罹患していない循環器疾患を有する人よりも高い罹患率および死亡率のリスクがあることは、当該分野で公知である。したがって、本発明に記載の物品は、歯根膜炎にも罹患しているという理由で相対的に高い罹患率および死亡率のリスクがある循環器疾患を有する人について、循環器疾患を有する人の集団をスクリーニングする際に有用である。特に、循環器疾患を有する第1被験体由来の第1口腔液サンプルを本発明に記載の物品のマトリックスと接触させ、そして第1サンプル中の相対的に高い濃度のチオール化合物を示唆する第1の相対的に強いシグナルが観察される。循環器疾患を有する第2被験体由来の第2口腔液サンプルを本発明に記載の実質的に類似の物品の実質的に類似のマトリックスと接触させ、そして第2サンプル中の相対的に低い濃度のチオール化合物を示唆する相対的に弱いシグナルが観察される。第1被験体が第2被験体よりも相対的に高い罹患率および死亡率のリスクがあると結論づけられる。
【0231】
さらなる実施例7.本発明に記載の物品は、II型糖尿病を含む慢性疾患の合併症のリスクに対するスクリーニングに有用である。歯根膜炎にも罹患しているII型糖尿病を有する人が、歯根膜炎に罹患していないII型糖尿病を有する人よりも高い罹患率および死亡率のリスクがあることは、当該分野で公知である。したがって、本発明に記載の物品は、歯根膜炎にも罹患しているという理由で相対的に高い罹患率および死亡率のリスクがあるII型糖尿病を有する人について、II型糖尿病を有する人の集団をスクリーニングする際に有用である。特に、II型糖尿病を有する第1被験体由来の第1口腔液サンプルを本発明に記載の物品のマトリックスと接触させ、そして第1サンプル中の相対的に高い濃度のチオール化合物を示唆する第1の相対的に強いシグナルが観察される。II型糖尿病を有する第2被験体由来の第2口腔液サンプルを本発明に記載の実質的に類似の物品の実質的に類似のマトリックスと接触させ、そして第2サンプル中の相対的に低い濃度のチオール化合物を示唆する相対的に弱いシグナルが観察される。第1被験体が第2被験体よりも相対的に高い罹患率および死亡率のリスクがあると結論づけられる。
【0232】
さらなる実施例8.本発明に記載の物品は、妊娠中の被験体における早期分娩および/または早産のリスクに対するスクリーニングに有用である。歯根膜炎に罹患している妊娠中の女性が、歯根膜炎に罹患していない妊娠中の女性よりも高い早期分娩および/または早産のリスクがあることは、当該分野で公知である。したがって、本発明に記載の物品は、歯根膜炎に罹患しているという理由で相対的に高い早期分娩および/または早産のリスクがある妊娠中の女性について、妊娠中の女性の集団をスクリーニングする際に有用である。特に、第1の妊娠中の被験体由来の第1口腔液サンプルを本発明に記載の物品のマトリックスと接触させ、そして第1サンプル中の相対的に高い濃度のチオール化合物を示唆する第1の相対的に強いシグナルが観察される。第2の妊娠中の被験体由来の第2口腔液サンプルを本発明に記載の実質的に類似の物品の実質的に類似のマトリックスと接触させ、そして第2サンプル中の相対的に低い濃度のチオール化合物を示唆する相対的に弱いシグナルが観察される。第1被験体が第2被験体よりも相対的に高い早期分娩および/または早産のリスクがあると結論づけられる。
【0233】
さらなる実施例9.本発明に記載の物品は、哺乳動物被験体における歯周病活性の検出に有用である。歯周病、特に歯根膜炎が、単調な進行ではないことは、当該分野で公知である。より疾患活性が高い時点では、より疾患活性が低い時点に検出されるレベルよりも高いレベルのチオールが検出される。したがって、本発明に記載の物品は、歯周病活性の検出において有用である。第1の時点において、被験体由来の第1口腔液サンプルを本発明に記載の物品のマトリックスと接触させ、そして第1サンプル中の相対的に高い濃度のチオール化合物を示唆する第1の相対的に強いシグナルが観察される。第2の時点において、被験体由来の第2口腔液サンプルを本発明に記載の実質的に類似の物品の実質的に類似のマトリックスと接触させ、そして第2サンプル中の相対的に低い濃度のチオール化合物を示唆する相対的に弱いシグナルが観察される。歯周病活性は、第2の時点よりも第1の時点の被験体において高いと結論づけられる。
【0234】
さらなる実施例10.本発明に記載の物品は、急性歯根膜炎を有しない同じ被験体におけるバックグラウンドと比較するときの、哺乳動物被験体における急性歯根膜炎の検出に有用である。特定の被験体において、急性歯根膜炎が存在しない時点において検出されるレベルよりも高いレベルのチオールが急性歯根膜炎の時点において検出されることは、当該分野で公知である。したがって、本発明に記載の物品は、急性歯根膜炎の検出において有用である。第1の時点において、被験体由来の第1口腔液サンプルを本発明に記載の物品のマトリックスと接触させ、そして第1サンプル中において50μmol/Lという濃度のチオール化合物を示唆する第1の相対的に弱いシグナルが観察される。第2の時点において、被験体由来の第2口腔液サンプルを本発明に記載の実質的に類似の物品の実質的に類似のマトリックスと接触させ、そして第2サンプル中において500μmol/Lという濃度のチオール化合物を示唆する相対的に強いシグナルが観察される。この被験体は、第2の時点において急性歯根膜炎に罹患していると結論づけられる。
【0235】
さらなる実施例11.本発明に記載の物品は、歯根膜炎について処置されている哺乳動物被験体における処置の有効性を判定するために有用である。歯根膜炎が効果的に処置されているとき、その口腔液中のチオール化合物のレベルは、処置の直前の口腔液中のチオール化合物のレベルよりも低いことは、当該分野で公知である。したがって、本発明に記載の物品は、処置の有効性を判定する際に有用である。処置開始の直前である第1の時点において、被験体由来の第1口腔液サンプルを本発明に記載の物品のマトリックスと接触させ、そして第1サンプル中において750μmol/Lという濃度のチオール化合物を示唆する第1の相対的に強いシグナルが観察される。処置開始の2週間後である第2の時点において、被験体由来の第2口腔液サンプルを本発明に記載の実質的に類似の物品の実質的に類似のマトリックスと接触させ、そして第2サンプルにおいて120μmol/Lという濃度のチオール化合物を示唆する相対的に弱いシグナルが観察される。処置が有効であると結論づけられる。
【0236】
さらなる実施例12.本発明に記載の物品は、歯根膜炎について処置されている哺乳動物被験体において処置の有効性がないことを判定するために有用である。歯根膜炎が効果的に処置されていないとき、口腔液中のチオール化合物のレベルは、処置の直前の口腔液中のチオール化合物のレベルよりも低くないことは、当該分野で公知である。したがって、本発明に記載の物品は、処置が有効でないことを判定する際に有用である。処置開始の直前である第1の時点において、被験体由来の第1口腔液サンプルを本発明に記載の物品のマトリックスと接触させ、そして第1サンプル中において750μmol/Lという濃度のチオール化合物を示唆する第1シグナルが観察される。処置開始の2週間後である第2の時点において、被験体由来の第2口腔液サンプルを本発明に記載の実質的に類似の物品の実質的に類似のマトリックスと接触させ、そして第2サンプルにおいて750μmol/Lという濃度のチオール化合物を示唆するシグナルが観察される。処置が有効でないと結論づけられる。
【0237】
さらなる実施例13.本発明に記載の物品は、哺乳動物被験体における歯周病活性のモニタリングに有用である。歯周病、特に歯根膜炎が、単調な進行ではないことは、当該分野で公知である。より疾患活性が高い時点では、より疾患活性が低い時点に検出されるレベルよりも高いレベルのチオールが検出される。したがって、本発明に記載の物品は、歯周病活性のモニタリングにおいて有用である。第1の時点において、被験体由来の第1口腔液サンプルを本発明に記載の物品のマトリックスと接触させ、そして第1サンプル中の相対的に高い濃度のチオール化合物を示唆する第1の相対的に強いシグナルが観察される。第2の時点において、被験体由来の第2口腔液サンプルを本発明に記載の実質的に類似の物品の実質的に類似のマトリックスと接触させ、そして第2サンプル中の相対的に低い濃度のチオール化合物を示唆する相対的に弱いシグナルが観察される。歯周病活性が、第1の時点から第2の時点へと被験体において減少したと結論づけられる。
【0238】
さらなる実施例14.本発明に記載の物品は、被験体内または被験体上の部位における病原性のある硫酸塩還元細菌による感染の検出に有用である。病原性のある硫酸塩還元細菌が代謝最終産物としてチオール化合物を産生することは、当該分野で公知である。病原性のある硫酸塩還元細菌に感染した部位由来の流体では、硫酸塩還元細菌に感染していないときの同じ部位由来の流体において検出されるレベルよりも高いレベルのチオールが検出される。したがって、本発明に記載の物品は、病原性のある硫酸塩還元細菌による感染の検出において有用である。第1の時点において、被験体内または被験体上の部位由来の第1口腔液サンプルを本発明に記載の物品のマトリックスと接触させ、そして第1サンプル中において25μmol/Lという濃度のチオール化合物を示唆する第1の相対的に弱いシグナルが観察される。第2の時点において、被験体内または被験体上の同じ部位由来の第2口腔液サンプルを本発明に記載の実質的に類似の物品の実質的に類似のマトリックスと接触させ、そして第2サンプル中において1500μmol/Lという濃度のチオール化合物を示唆する相対的に強いシグナルが観察される。被験体は、その部位またはその部位付近において病原性のある硫酸塩還元細菌に感染していると結論づけられる。
【0239】
さらなる実施例15.いわゆるスルフヒドリル試薬が、本発明に記載の検出試薬の成分として使用され得ること、薬学的に許容可能な緩衝液が、リン酸緩衝液の代わりに使用され得ること、薬学的または美容的に許容可能な湿潤剤または軟化薬が、グリセロールおよび/またはキシリトールの代わりに使用され得ることなどを当業者は認識する。こういう理由で、上記の説明にこのとおりの言葉で記載されているものに対する多くの等価物が、本発明が属する分野の当業者に明らかである。
【0240】
さらなる実施例16.患者1人あたりに費やす時間を短くすることによって経費を抑えたい歯科医にとって本発明に記載の装置が有用であることもすぐに明らかになる。つまり、そのような医師にとって、その医師の患者の口の健康状態を10秒以内に判定することができることは、代替の診断方法に必要な数十分またはそれ以上と比べて、望ましいことである。さらに、歯根膜炎が、全身性疾患(例えば、糖尿病、循環器疾患および早産)の罹患率と関連するので、本発明がこれらの疾患状態または健康危険因子のいずれか1つ以上の存在についてスクリーニングするための方法を提供することが、当業者には明らかである。医療費を償還する医療費償還会社(healthcare reimbursement companies)にとって、健常個体の費用と比べてこれらの疾患状態の1つ以上を有する患者に対する1ヶ月あたりの患者1人あたりの費用が高いので、本発明が、歯根膜炎の早期診断のためにスクリーニングすることによって、1ヶ月あたりの患者1人あたりの償還費用を抑制するための方法を提供することが明らかである。
【0241】
さらなる実施例17.参照値の確立。本発明に関連して、参照値は、チオール化合物の濃度に関連する値に関連する。本発明に関連して、参照値は、多くの方法のうちのいずれかにおいて確立され得る。例えば、第1の既知濃度のモデルチオール化合物から得られたシグナルが測定され得る。特に、第1の既知濃度のモデルチオール化合物を含む流体のサンプルを、ある量の検出試薬を含むマトリックスと接触させることにより、第1シグナルを提供する第1チオール−標準−接触マトリックスが形成され得る。同様に、第2の既知濃度のモデルチオール化合物から得られたシグナルが測定され得る。特に、第2の既知濃度のモデルチオール化合物を含む流体のサンプルを、実質的に同一量の検出試薬を含む実質的に同一のマトリックスと接触させることにより、第2シグナルを提供する第2チオール−標準−接触マトリックスが形成され得る。例えば、第1シグナルおよび第2シグナルの各々が、それぞれ第1の色の強度および第2の色の強度として眼によって感知され得る場合、その第1の色の強度および第2の色の強度の各々は、例えば、それぞれ、第1の色の強度の「チップ」または見本および第2の色の強度の「チップ」または見本として表され得る。より一般的には、第1シグナルおよび第2シグナルが、可視スペクトルであるか否かに関係なく、第1シグナルおよび第2シグナルが、記録され得る。したがって、未知濃度のチオール化合物を含む流体サンプルが、実質的に同一量の検出試薬を含む実質的に同一のマトリックスと接触させることにより、第3のシグナルを提供する未知−接触マトリックスが形成され得、第3のシグナルが、第1シグナルおよび第2シグナルの2つのシグナルのうちのどちらにより近似しているかを判定するために、第3のシグナルが第1シグナルおよび第2シグナルと比較され得る。診断試験片および化学分野の当業者に明らかであるように、任意に多数の濃度のモデルチオール化合物の各々によって提供されるシグナルが、任意に多数の参照値を確立するために検出され得、記録され得る。そのような参照値に基づく、補間法および/もしくは検量線の確立および/または動的範囲の限界の決定の適切な様式、ならびに、それらの適切な統計的処理もまた、診断試験片および化学分野の当業者に明らかである。多くのチオール化合物のうちのいずれか、例えば、ジチオトレイトールまたは2−メルカプトエタノールが、モデルチオール化合物として使用され得る。同様に、被験体が特定の状態または疾病に罹患しているリスクに関する参照値について、参照値(その状態または疾病のより低いリスクを示唆する値)は、例えば、本発明に記載の複数のマトリックス(その複数のマトリックスの各々は、その特定の状態または疾病に悩まされていない集団のメンバーから得られた生理学的流体サンプルと接触した)によって提供されるシグナルの平均値または中央値または範囲を測定することによって確立され得、そして別の参照値(その状態または疾病のより高いリスクを示唆する値)は、本発明に記載の複数のマトリックス(その複数のマトリックスの各々は、その特定の状態または疾病に悩まされている集団のメンバーから得られた生理学的流体サンプルと接触した)によって提供されるシグナルの平均値または中央値の範囲を同様の様式で測定することによって確立され得る。
【0242】
本発明は、以下のさらなる例示的な実施例においてなおもさらに説明される。
【0243】
第1のさらなる例示的な実施例において、5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸が、本発明に記載の有用なチオール検出試薬であることが見出された。この点において、例えば、化学量論量の5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸を、ある量の5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)の全部または一部の代わりに用いてもよい。
【0244】
第2のさらなる例示的な実施例において、哺乳動物被験体から流体を、特に、哺乳動物被験体の口腔から流体をサンプリングすることにより検出可能な状態について、本発明に記載の物品は、以下の各々に対して有用であることが見出された:状態についてのスクリーニング;状態の検出;状態の診断;状態のモニタリング;ならびに/あるいは、状態についてのスクリーニング、状態の検出、状態の診断および/もしくは状態のモニタリングにおける補助および/または補佐としての機能。
【0245】
第3のさらなる例示的な実施例において、状態についてのスクリーニング、状態の検出、状態の診断、状態のモニタリング;ならびに/あるいは状態についてのスクリーニング、状態の検出、状態の診断および/もしくは状態のモニタリングにおける補助および/または補佐としての機能において本発明に記載の物品が有用である状態に関する哺乳動物被験体の状態としては、以下:歯根膜炎;歯肉炎;口臭;歯周病;歯周病活性;嫌気性微生物の感染;循環器疾患の高リスク;II型糖尿病の高リスク;および/または早産の高リスクのうちのいずれか1つ以上が挙げられる。
【0246】
第4のさらなる例示的な実施例において、本発明に記載の物品は、以下の様式またはそれらの任意の等価物において有用である。1つまたは複数の研究において、複数の哺乳動物被験体の各々について、被験体由来の流体サンプル中のチオール濃度が、例えば、上記の局面13に従って測定される。さらに、その複数の哺乳動物被験体の各々について、被験体の状態、特に、例えば、上記の第3のさらなる例示的な実施例に列挙された状態のいずれか1つ以上に関する被験体の状態が判定される。データベースが構築され、それによりチオール濃度が判定され、それにより、判定された状態が互いに関係付けられる。それによって、チオール濃度と状態との関連が確立される。
【0247】
第5のさらなる例示的な実施例において、上記の第4のさらなる例示的な実施例に従って確立された関係は、より高いチオール濃度が、その状態のより高い発生率および/または有病率および/またはリスクと関連するということである。
【0248】
第6のさらなる例示的な実施例において、上記の第4のさらなる例示的な実施例に従って確立された関係は、閾値濃度以上のチオール濃度が、その状態の有意味に高い発生率および/または有病率および/またはリスクと関連するということである。
【0249】
第7のさらなる例示的な実施例において、本発明に記載の物品を被験体由来の流体サンプルと接触させ、そしてそのサンプル中のチオール濃度を、例えば、上記の局面13に従って測定する。サンプル中のチオール濃度を、上記の第6のさらなる例示的な実施例の閾値濃度と比較する。サンプル中のチオール濃度が、閾値濃度以上である場合、被験体は、その状態を有するリスクが有意味にあると判定される。
【0250】
第8のさらなる例示的な実施例において、第7のさらなる例示的な実施例に記載の状態は、歯根膜炎であり、閾値濃度は、約150μmol/L〜約500μmol/Lまたは約155μmol/L〜約400μmol/Lまたは約160μmol/L〜約300μmol/Lである。
【0251】
第9のさらなる例示的な実施例において、第7のさらなる例示的な実施例に記載の状態は、歯肉炎であり、閾値濃度は、約75μmol/L〜約300μmol/Lまたは約78μmol/L〜約200μmol/Lまたは約80μmol/L〜約150μmol/Lである。
【0252】
第10のさらなる例示的な実施例において、第7のさらなる例示的な実施例に記載の状態は、口臭であり、閾値濃度は、約38μmol/L〜約100μmol/Lまたは約39μmol/L〜約90μmol/Lまたは約40μmol/L〜約80μmol/Lである。
【0253】
第11のさらなる例示的な実施例において、第7のさらなる例示的な実施例に記載の状態は、循環器疾患であり、閾値濃度は、約150μmol/L〜約500μmol/Lまたは約155μmol/L〜約400μmol/Lまたは約160μmol/L〜約300μmol/Lである。
【0254】
第12のさらなる例示的な実施例において、第7のさらなる例示的な実施例に記載の状態は、II型糖尿病であり、閾値濃度は、約150μmol/L〜約500μmol/Lまたは約155μmol/L〜約400μmol/Lまたは約160μmol/L〜約300μmol/Lである。
【0255】
第13のさらなる例示的な実施例において、第7のさらなる例示的な実施例に記載の状態は、早産であり、閾値濃度は、約150μmol/L〜約500μmol/Lまたは約155μmol/L〜約400μmol/Lまたは約160μmol/L〜約300μmol/Lである。
【0256】
第14のさらなる例示的な実施例において、第7のさらなる例示的な実施例に記載の状態は、循環器疾患であり、閾値濃度は、約75μmol/L〜約300μmol/Lまたは約78μmol/L〜約200μmol/Lまたは約80μmol/L〜約150μmol/Lである。
【0257】
第15のさらなる例示的な実施例において、第7のさらなる例示的な実施例に記載の状態は、II型糖尿病であり、閾値濃度は、約75μmol/L〜約300μmol/Lまたは約78μmol/L〜約200μmol/Lまたは約80μmol/L〜約150μmol/Lである。
【0258】
第16のさらなる例示的な実施例において、第7のさらなる例示的な実施例に記載の状態は、早産であり、閾値濃度は、約75μmol/L〜約300μmol/Lまたは約78μmol/L〜約200μmol/Lまたは約80μmol/L〜約150μmol/Lである。
【0259】
第17のさらなる例示的な実施例において、本発明に記載の物品を、第7のさらなる例示的な実施例に従って、口腔内のある部位に接触させることにより、被験体から流体サンプルを収集し、そして第7のさらなる例示的な実施例に記載の状態は:歯根膜炎;歯肉炎;歯周病;歯周病活性;および/または嫌気性微生物の感染のいずれか1つ以上である。この第7のさらなる例示的な実施例において、サンプル中のチオール濃度が、閾値濃度以上である場合、被験体は、その物品が接触した口腔内の部位においてその状態を有するリスクが有意味にあると判定される。
【0260】
第18のさらなる例示的な実施例において、本発明に記載の物品を、第7のさらなる例示的な実施例に従って、口腔内のある位置に接触させることにより、被験体から流体サンプルを被験体から収集する。この第18のさらなる例示的な実施例において、その物品が接触する口腔内の位置としては、1つまたは複数の:下頬側の歯肉線;切歯間の下頬側の歯肉線;舌側前庭(lingual vestibule);舌背;左下頬側の歯肉線;および/または右下頬側の歯肉線が挙げられる。サンプル中のチオール濃度を上記の第6のさらなる例示的な実施例の閾値濃度と比較する。サンプル中のチオール濃度が閾値濃度以上である場合、被験体は、その状態を有するリスクが有意味にあると判定される。
【0261】
前述の明細書および実施例は、本発明を十分に開示し、可能なものにするが、それらが、本明細書に添付される請求項によって定義される本発明の範囲を限定することは意図されない。本発明が属する分野の当業者は、本願において開示されるものに対する等価物を認識するだろう。したがって、本発明は、添付の請求項の範囲、ならびに本願に対して優先権主張される任意の特許および/または本願から生じる任意の特許ならびに本願に参照される任意の特許における請求項の範囲、そして任意の等価物およびすべての等価物を包含する。
【0262】
すべての刊行物、特許および特許出願が、本明細書中で参考として援用される。任意のそのような参考文献の内容と、任意のそのような参考文献から逸脱する本願の教示の内容との間に任意の矛盾または不一致が存在する限りにおいて、任意のそのような参考文献から逸脱する本願の教示の内容が、支配するものとする。前述の明細書において、本発明がそのある特定の実施形態に関して記載され、多くの詳細が説明のために示されてきたが、本発明がさらなる実施形態を許すこと、および本明細書中に記載される詳細のうちのある特定のものが本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変更され得ることは、当業者には明らかである。
【0263】
本発明を記載する文脈における用語「a」および「an」および「the」ならびに類似の指示対象の使用は、別段本明細書中で示されていないか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を包含すると解釈される。用語「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」および「含む(containing)」は、別段述べられない限り、範囲を設定しない(open−ended)用語(すなわち、「〜を含むがこれらに限定されない」を意味する)と解釈される。本明細書中の値の範囲に関する詳説は、別段本明細書中で示されていない限り、その範囲内に入る各別個の値について個別に言及する簡潔な表現方法として機能することが意図されているだけであり、各別個の値は、それが個別に本明細書中で列挙されているかのように本明細書中に援用される。別段本明細書中で示されていないか、または別段文脈によって明らかに矛盾しない限り、本明細書中に記載されるすべての方法が、任意の適当な順序で行われ得る。本明細書中に提供される任意の例およびすべての例または例示の文言(例えば、「など」)の使用は、本発明をより上手く明らかにすることが意図されているだけであり、別段特許請求の範囲に記載されていない限り、本発明の範囲に対する限定を主張しない。本明細書中のどの文言も、特許請求の範囲に記載されていない任意の要素を本発明の実施に必須のものとして示していると解釈されるべきではない。
【0264】
本発明者らが承知している本発明を実施するための最善の様式を含む本発明の実施形態が、本明細書中に記載されている。前述の記載を読むと、それらの実施形態のバリエーションが当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのようなバリエーションを使用することを予想しており、本発明者らは、本発明が本明細書中で具体的に記載されたものとは別の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法が認めるように、本明細書に添付されている請求項において列挙されている内容の改変および等価物のすべてを包含する。さらに、別段本明細書中で示されていないか、または別段文脈によって明らかに矛盾しない限り、上記の要素の起こり得るすべてのバリエーションにおけるそれらの任意の組み合わせが、本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための1回用使い捨て物品であって、該物品は:
(a)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、該マトリックスは、該サンプルを吸収することができる、マトリックス;および
(b)ある量の検出試薬であって、該量の検出試薬は、該量の検出試薬の少なくとも一部が、該サンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、該サンプル中のチオール化合物の濃度を示唆するシグナルを提供することができる、検出試薬
を備える、物品。
【請求項2】
前記物品が、試験片である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記流体サンプルが、生理学的流体のサンプルである、請求項1または請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記生理学的流体が、口腔液である、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記口腔液が、唾液および/または歯肉溝滲出液および/または歯肉線バイオフィルムおよび/または舌バイオフィルムおよび/または舌擦過物および/または息を含む、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記少なくとも1つの吸収材料が、ポリアミド材料を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の物品。
【請求項7】
前記検出試薬が:5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の物品。
【請求項8】
前記検出試薬が、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)である、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約1秒後に始まり、該量の検出試薬の少なくとも一部が該サンプルの少なくとも一部と接触した約10分後に終了する、請求項1から8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項10】
前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約5秒後に始まり、該量の検出試薬の少なくとも一部が該サンプルの少なくとも一部と接触した約5分後に終了する、請求項1から8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項11】
前記シグナルが、電磁シグナルを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項12】
前記電磁シグナルが、可視シグナルを含む、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記可視シグナルと比較するための少なくとも1つの色見本を含むコンパレーター領域をさらに備える、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための方法であって、該方法は:
(a)(i)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、該マトリックスは、該サンプルを吸収することができるマトリックス、および(ii)ある量の検出試薬であって、該量の検出試薬は、該量の検出試薬の少なくとも一部が、該サンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、該サンプル中のチオール化合物の濃度を示唆するシグナルを提供することができる検出試薬、を備える1回用使い捨て物品を提供する工程;
(b)該マトリックスを該サンプルと接触させる工程;
(c)該量の検出試薬によって提供されるシグナルを観察する工程;
(d)該量の検出試薬によって提供されるシグナルを1つ以上の参照値と比較する工程であって、該参照値の各々は、チオール化合物の濃度を示唆する、工程
を包含し、それにより該サンプル中のチオール化合物の濃度を測定する、方法。
【請求項15】
前記流体が、生理学的流体である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記生理学的流体が、口腔液である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記口腔液が、唾液および/または歯肉溝滲出液および/または歯肉線バイオフィルムおよび/または舌バイオフィルムおよび/または舌擦過物および/または息を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記物品が、試験片である、請求項14から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの吸収材料が、ポリアミド材料を含む、請求項14から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記検出試薬が:5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンのうちの少なくとも1つを含む、請求項14から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記検出試薬が、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約1秒後に始まり、該量の検出試薬の少なくとも一部が該サンプルの少なくとも一部と接触した約10分後に終了する、請求項14から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約5秒後に始まり、該量の検出試薬の少なくとも一部が該サンプルの少なくとも一部と接触した約5分後に終了する、請求項14から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記シグナルが、電磁シグナルを含む、請求項14から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記電磁シグナルが、可視シグナルを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上の参照値の各々が、(a)色見本と(b)チオール化合物の濃度との対になった組み合わせとして提供される、請求項14から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記観察工程および/または比較工程のうちの少なくとも1つが、自動読み取り装置によって行われる、請求項14から26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
哺乳動物被験体が特定の疾病に罹患しているリスクを判定するための方法であって、該方法は:
(a)(i)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、該マトリックスは、該サンプルを吸収することができるマトリックス、および(ii)ある量の検出試薬であって、該量の検出試薬は、該量の検出試薬の少なくとも一部が、該サンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、該サンプル中のチオール化合物の濃度を示唆するシグナルを提供することができる検出試薬、を備える1回用使い捨て物品を提供する工程;
(b)該マトリックスを、該被験体由来の1つ以上の生理学的流体を含むサンプルと接触させる工程;
(c)該量の検出試薬によって提供されるシグナルを観察する工程;
(d)該量の検出試薬によって提供されるシグナルを1つ以上の参照値と比較する工程であって、該参照値の各々は、被験体が該特定の疾病に罹患しているリスクを示唆する、工程
を包含し、それにより該被験体が該特定の疾病に罹患しているリスクを判定する、方法。
【請求項29】
前記流体が、生理学的流体である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記生理学的流体が、口腔液である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記口腔液が、唾液および/または歯肉溝滲出液および/または歯肉線バイオフィルムおよび/または舌バイオフィルムおよび/または舌擦過物および/または息を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記物品が、試験片である、請求項28から31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの吸収材料が、ポリアミド材料を含む、請求項28から32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記検出試薬が:5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンのうちの少なくとも1つを含む、請求項28から33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記検出試薬が、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約1秒後に始まり、該量の検出試薬の少なくとも一部が該サンプルの少なくとも一部と接触した約10分後に終了する、請求項28から35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約5秒後に始まり、該量の検出試薬の少なくとも一部が該サンプルの少なくとも一部と接触した約5分後に終了する、請求項28から35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記シグナルが、電磁シグナルを含む、請求項28から37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記電磁シグナルが、可視シグナルを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記1つ以上の参照値の各々が、(a)色見本と(b)被験体が前記特定の疾病に罹患しているリスクとの対になった組み合わせとして提供される、請求項28から39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記観察工程および/または比較工程のうちの少なくとも1つが、自動読み取り装置によって行われる、請求項28から40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記特定の疾病が、歯根膜炎である、請求項28から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記特定の疾病が、歯肉炎である、請求項28から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記特定の疾病が、口臭である、請求項28から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記特定の疾病が、循環器疾患である、請求項28から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記特定の疾病が、II型糖尿病である、請求項28から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記特定の疾病が、早産である、請求項28から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
(a)流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための少なくとも1つの1回用使い捨て物品であって、該物品は:
(i)少なくとも1つの吸収材料を備える第1マトリックスであって、該マトリックスは、該サンプルを吸収することができる、第1マトリックス;および
(ii)ある量の検出試薬であって、該量の検出試薬は、該量の検出試薬の少なくとも一部が、該サンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、該サンプル中のチオール化合物の濃度を示唆する可視シグナルを提供することができる、検出試薬、
を備える1回用使い捨て物品;
(b)以下:
(i)該可視シグナルと比較するための少なくとも1つの色見本;および
(ii)各色見本に関して、該色見本と対応づけられるチオール化合物の相対的濃度を示す英数字の識別子
が印刷されたおよび/または添付された、コンパレーター;
(c)必要に応じて、該物品および該コンパレーターを入れるのに適した包装;
(d)必要に応じて、該物品および該コンパレーターを使用するための指示書
を備える、キット。
【請求項49】
哺乳動物被験体由来の流体サンプル中のチオール化合物の濃度を測定するための1回用使い捨て試験片であって、該試験片は:
(a)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、該マトリックスは、該サンプルを吸収することができる、マトリックス;および
(b)ある量の検出試薬であって、該量の検出試薬は、該量の検出試薬の少なくとも一部が、該サンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、該サンプル中のチオール化合物の濃度を示唆するシグナルを提供することができる、検出試薬
を備える、試験片。
【請求項50】
前記流体が、唾液および/または歯肉溝滲出液および/または歯肉線バイオフィルムおよび/または舌バイオフィルムおよび/または舌擦過物および/または息を含む、請求項49に記載の試験片。
【請求項51】
前記検出試薬が:5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンのうちの少なくとも1つを含む、請求項49または50に記載の試験片。
【請求項52】
前記検出試薬が、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)である、請求項51に記載の試験片。
【請求項53】
前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約1秒後に始まり、該量の検出試薬の少なくとも一部が該サンプルの少なくとも一部と接触した約10分後に終了する、請求項49から52のいずれか1項に記載の試験片。
【請求項54】
前記期間が、前記ある量の検出試薬の少なくとも一部が前記サンプルの少なくとも一部と接触した約5秒後に始まり、該量の検出試薬の少なくとも一部が該サンプルの少なくとも一部と接触した約5分後に終了する、請求項49から52のいずれか1項に記載の試験片。
【請求項55】
前記シグナルが、電磁シグナルを含む、請求項49から54のいずれか1項に記載の試験片。
【請求項56】
前記電磁シグナルが、可視シグナルを含む、請求項55に記載の試験片。
【請求項57】
哺乳動物被験体が特定の疾病に罹患しているリスクを判定するための1回用使い捨て試験片であって、該試験片は:
(a)少なくとも1つの吸収材料を備えるマトリックスであって、該マトリックスは、該サンプルを吸収することができるマトリックス;および
(b)ある量の検出試薬であって、該量の検出試薬は、該量の検出試薬の少なくとも一部が該サンプルの少なくとも一部と接触した後のある期間の間に、該被験体が該特定の疾病に罹患しているリスクを示唆するシグナルを提供することができ、ここで
(i)該検出試薬は:5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸);5−(2−アミノエチル)−ジチオ−2−ニトロ安息香酸;N,N’−ビス(4−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(3−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2−ニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(2,4−ジニトロベンジリデン)−4,4’−ジチオジアニリン;N,N’−ビス(4−ニトロシンナマルイリデン)−4,4’−ジチオジアニリンのうちの少なくとも1つを含み;そして
(ii)該特定の疾病は:歯根膜炎、歯肉炎、口臭、循環器疾患、II型糖尿病、早産のうちの少なくとも1つである、
検出試薬
を備える、1回用使い捨て試験片。
【請求項58】
前記検出試薬が、5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)を含む、請求項57に記載の試験片。
【請求項59】
前記特定の疾病が、歯根膜炎である、請求項57または58に記載の試験片。
【請求項60】
前記特定の疾病が、歯肉炎である、請求項57または58に記載の試験片。
【請求項61】
前記特定の疾病が、口臭である、請求項57または58に記載の試験片。
【請求項62】
前記特定の疾病が、循環器疾患である、請求項57または58に記載の試験片。
【請求項63】
前記特定の疾病が、II型糖尿病である、請求項57または58に記載の試験片。
【請求項64】
前記特定の疾病が、早産である、請求項57または58に記載の試験片。
【請求項65】
緩衝液、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)および湿潤剤を含む、試薬液。
【請求項66】
前記緩衝液が、約5mMから200mMの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液である、請求項65に記載の試薬液。
【請求項67】
前記緩衝液が、約20mMから150mMの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液である、請求項65に記載の試薬液。
【請求項68】
前記緩衝液が、約100mMの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液である、請求項65に記載の試薬液。
【請求項69】
前記緩衝液が、約6.5から8.5のpHである、請求項65から68のいずれか1項に記載の試薬液。
【請求項70】
前記緩衝液が、約6.5から7.5のpHである、請求項65から68のいずれか1項に記載の試薬液。
【請求項71】
前記緩衝液が、約7.0のpHである、請求項65から68のいずれか1項に記載の試薬液。
【請求項72】
前記DTNBが、約10mg/Lから150mg/Lの濃度で存在する、請求項65から71のいずれか1項に記載の試薬液。
【請求項73】
前記DTNBが、約80mg/Lから120mg/Lの濃度で存在する、請求項65から71のいずれか1項に記載の試薬液。
【請求項74】
前記DTNBが、約100mg/Lの濃度で存在する、請求項65から71のいずれか1項に記載の試薬液。
【請求項75】
前記湿潤剤が、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、グリセロールまたはプロピレングリコールを含む、請求項65から74のいずれか1項に記載の試薬液。
【請求項76】
前記湿潤剤が、グリセロールを含む、請求項75に記載の試薬液。
【請求項77】
前記グリセロールが、約0.1体積%から5.0体積%の濃度で存在する、請求項76に記載の試薬液。
【請求項78】
前記グリセロールが、約0.5体積%の濃度で存在する、請求項76に記載の試薬液。
【請求項79】
前記湿潤剤が、キシリトールを含む、請求項75に記載の試薬液。
【請求項80】
前記キシリトールが、約2重量%から10重量%の濃度で存在する、請求項79に記載の試薬液。
【請求項81】
前記キシリトールが、約4重量%の濃度で存在する、請求項79に記載の試薬液。
【請求項82】
香味料または芳香をさらに含む、請求項65から81のいずれか1項に記載の試薬液。
【請求項83】
前記香味料または芳香が、ペパーミントである、請求項82に記載の試薬液。
【請求項84】
アルコールをさらに含む、請求項65から83のいずれか1項に記載の試薬液。
【請求項85】
前記アルコールが、イソプロパノールまたはエタノールである、請求項84に記載の試薬液。
【請求項86】
アルカリ土類金属または遷移金属をさらに含む、請求項65から85のいずれか1項に記載の試薬液。
【請求項87】
前記金属が、マンガン、マグネシウムまたはコバルトを含む、請求項86に記載の試薬液。
【請求項88】
検出領域を含む固体基材を備える検出デバイスであって、該検出領域は、請求項65〜87のいずれかに記載の試薬液に含浸されている、検出デバイス。
【請求項89】
前記試薬液を前記固体基材上で乾燥させた、請求項88に記載の検出デバイス。
【請求項90】
前記固体基材が、不活性繊維のパッドである、請求項88または89に記載の検出デバイス。
【請求項91】
前記繊維が、米国特許第7,290,668号に記載されている少なくとも1つの材料を含む、請求項90に記載の検出デバイス。
【請求項92】
前記繊維が、R−27378またはR28445D#4345と呼ばれているTRANSORB(登録商標)ブランド材料を含む、請求項90に記載の検出デバイス。
【請求項93】
前記固体基材が、長方形であるか、または代表的には最大約8mm×8mmかつ約1.0mmの厚さの打抜き形から構成される、請求項88から92のいずれか1項に記載の検出デバイス。
【請求項94】
前記固体基材が、1つ以上の標準領域をさらに含む、請求項88〜93のいずれか1項に記載の検出デバイス。
【請求項95】
前記1つ以上の標準領域が、所定の色および強度の比色標準を含む、請求項94に記載の検出デバイス。
【請求項96】
チオール化合物検出デバイスを製造する方法であって:固体基材を請求項65〜87のいずれかに記載の試薬液と接触させる工程、および該デバイスを乾燥させることにより該検出デバイスを形成する工程を包含する、方法。
【請求項97】
請求項96に記載の方法によって製造される、検出デバイス。
【請求項98】
被験体における口臭を検出する方法であって、該方法は、該被験体の口腔から採取された生理学的流体を、請求項88から95または請求項97のいずれか1項に記載の検出デバイスと接触させることにより、生理学的流体と接触したデバイスを形成する工程、および該生理学的流体と接触したデバイスにおいてチオール化合物の濃度レベルを検出する工程を包含し、ここで、少なくとも約40μmol/Lのチオールのレベルが、口臭を示唆する、方法。
【請求項99】
被験体における歯肉炎を検出する方法であって、該方法は、該被験体の口腔から採取された生理学的流体を、請求項88から95または請求項97のいずれか1項に記載の検出デバイスと接触させることにより、生理学的流体と接触したデバイスを形成する工程、および該生理学的流体と接触したデバイスにおいてチオール化合物の濃度レベルを検出する工程を包含し、ここで、少なくとも約80μmol/Lのチオールのレベルが、歯肉炎を示唆する、方法。
【請求項100】
被験体における歯周病を検出する方法であって、該方法は、該被験体の口腔から採取された生理学的流体を、請求項88から95または請求項97のいずれか1項に記載の検出デバイスと接触させることにより、生理学的流体と接触したデバイスを形成する工程、および該生理学的流体と接触したデバイスにおいてチオール化合物の濃度レベルを検出する工程を包含し、ここで、少なくとも約160μmol/Lのチオールのレベルが、歯根膜炎を示唆する、方法。
【請求項101】
前記検出工程が、(a)前記生理学的流体と接触したデバイスの色の強度または吸光度を(b)標準と比較することによって行われる、請求項98、99または100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記検出工程が、眼によって行われる、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記検出工程が、機械によって行われる、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記検出工程が、分光光度計によって行われる、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
前記検出工程が、定量化されたシグナルまたは半定量化されたシグナルを提供する、請求項101から104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記生理学的流体が、GCF、舌擦過物、舌バイオフィルム、歯肉線バイオフィルム、唾液または息である、請求項98から105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
請求項65に記載の試薬液および請求項88に記載の検出デバイスまたは請求項97に記載の検出デバイスを備える、口内チオール化合物の検出に有用な試験キット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−524526(P2011−524526A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513749(P2011−513749)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/047393
【国際公開番号】WO2009/152513
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510327518)エーエルティー バイオサイエンス, エルエルシー. (1)
【Fターム(参考)】