説明

疾病の罹患率及び持続期間を減少する使用のためのプロバイオティクス

本発明は人の疾病の罹患率及び持続期間を減少するために適したプロバイオティック組成物の提供である。特に本発明は低年齢小児の疾患を予防するために適した方法及び組成物の提供である。いくつかの特に好ましい実施態様において、本発明は小児における呼吸器系疾患の予防における使用を示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人の疾病の罹患率及び持続期間を減少するために適したプロバイオティック組成物の提供である。特に本発明は低年齢小児の疾患を予防するために適した方法及び組成物の提供である。いくつかの特に好ましい実施態様において、本発明は小児における呼吸器系疾患の予防にかかる使用を示している。
【背景技術】
【0002】
気道感染症はすべての感染性疾患のうちでもっとも一般的なものとして認識されている。上気道感染症は鼻、副鼻腔、中耳、喉頭部の喉頭蓋組織、及び中咽頭に主に関与する数多くの急性炎症の過程を含む。これらの急性感染症は医学的治療を要するすべての年齢の患者にとって最も頻繁に起こる原因として位置づけられている。さらに、すべての気道感染症のかなりの割合は下気道感染症である。
【0003】
上気道疾患は自己限定的及び良性であるけれども、それらは人間に対するかなりの社会経済的負担を示している。反対に、下気道感染症は、特に肺機能の変化を有する人にとって、末梢の肺胞性気道系を深刻に傷つけうる生死に係る過程をしばしば伴っている。
【0004】
小児及び高齢者は、上気道感染症及び下気道感染症が原因で重篤な疾患に罹患するより高い危険性を有している。他の人々と近接する機会の多い人々はさらに高い危険を有している。実際に、デイケアセンターに通う小児は、家庭又は少人数の家族で世話されている小児より胃腸感染症及び上気道感染症の危険性が1.5倍から3倍増加している(例、Hatakka他、BMJ 322:1−5[2001]参照)。そのような疾患に伴なう直接的な医療費に加えて、疾病の子供たちを看病するために仕事を休む両親の被る間接的費用が存在している。多くのこれらの疾病にかかる効果的ワクチンは不足しており、このことも、これらの疾患に伴なう負担を加重している。かくて、呼吸器疾患の重篤化の予防及び/又は軽減に役立つ組成物及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は人の疾病の罹患率及び持続期間を減少するために適したプロバイオティック組成物の提供である。特に本発明は低年齢小児の疾患を予防するために適した方法及び組成物を提供する。いくつかの特に好ましい実施態様において、本発明は小児における呼吸器系疾患の予防に有用である。
【0006】
本発明は小児の呼吸器疾患を減少する方法であって、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)の培養物を提供し、呼吸器疾患に罹患する危険性のある小児を提供し、及び呼吸器疾患に罹患する危険性が減少する条件下、その小児に該ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)培養物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの好ましい実施態様において、さらに培養物は追加した細菌株を含有する。特に好ましい実施態様において、その追加された細菌はビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)である。さらに好ましい実施態様において、その小児は未就学児である。いくつかの好ましい実施態様において、その小児は約3歳から約5歳の間である。さらに追加的な実施態様において、投与は秋又は冬の月の間に行われる。いくつかの実施態様において、その培養物は口から投与される。いくつかの好ましい実施態様において、その培養物は少なくともひとつの栄養補助食品に添加して供給される。さらに追加的な実施態様では、その方法によって、小児の呼吸器疾患を治療するために抗菌剤を投与する必要性が減少する。さらに好ましい実施態様において、その方法によって、小児の前記呼吸器疾患を原因とする長期欠席が防止される。
【0007】
また、本発明は小児の呼吸器疾患の症状を減少する方法であって、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)の培養物の取得し、呼吸器疾患に罹患する危険性のある小児の提供し、及びその小児における呼吸器疾患症状が軽減する条件下、その小児に該ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)培養物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの好ましい実施態様において、さらに培養物は追加した細菌株を含有する。特に好ましい実施態様において、その追加された細菌はビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)である。さらに好ましい実施態様において、その小児は未就学児である。いくつかの好ましい実施態様において、その小児は約3歳から約5歳の間である。さらに追加的な実施態様において、投与は秋又は冬の月の間に行われる。いくつかの実施態様において、その培養物は口から投与される。いくつかの好ましい実施態様において、その培養物は少なくともひとつの栄養補助食品に添加して供給される。いくつかの実施態様において、呼吸器疾患の症状は発熱、咳、鼻水、頭痛、筋肉痛、喉の痛み、鼻づまり、倦怠感、下痢、及び吐き気の少なくともひとつの症状を含む。さらに追加的な実施態様では、その方法によって、小児の呼吸器疾患を治療するために抗菌剤を投与する必要性が減少する。さらに好ましい実施態様において、その方法によって、小児の前記呼吸器疾患を原因とする長期欠席が防止される。
【0008】
さらに本発明は、小児における呼吸器疾患を予防するための方法であって、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)の培養物を提供し、小児を提供し、及び呼吸器疾患を引き起こすことが可能な微生物にその後接触してもその小児が呼吸器疾患に罹患しない条件下その小児に該ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)培養物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの好ましい実施態様において、さらに培養物は追加した細菌株を含有する。特に好ましい実施態様において、その追加された細菌はビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)である。さらに好ましい実施態様において、その小児は未就学児である。いくつかの好ましい実施態様において、その小児は約3歳から約5歳の間である。しかしながら、本発明は様々な他の年齢でも有用であると考えられるので、本発明はこの年齢範囲に限定されることを意図していない。さらに追加的な実施態様において、投与は秋又は冬の月の間に行われる。しかしながら、本発明は他の季節での使用もまた有用であると考えられるので、本発明はこれらの特定の季節に限定されることを意図していない。いくつかの実施態様において、その培養物は口から投与される。いくつかの好ましい実施態様において、その培養物は少なくともひとつの栄養補助食品に添加して供給される。いくつかの実施態様において、呼吸器疾患の症状は発熱、咳、鼻水、頭痛、筋肉痛、喉の痛み、鼻づまり、倦怠感、下痢、及び吐き気の少なくともひとつの症状を含む。さらに追加的な実施態様では、その方法によって、小児の呼吸器疾患を治療するために抗菌剤を投与する必要性が減少する。さらに好ましい実施態様において、その方法によって、小児の前記呼吸器疾患を原因とする長期欠席が防止される。
【0009】
また本発明は、小児における呼吸器疾患の症状を予防するための方法の提供であって、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)の培養物を提供し、小児を提供し、及び呼吸器疾患症状を発症することのできる微生物へその小児がその後に接触しても呼吸器疾患症状の発症が予防される条件下その小児に該ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)培養物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの好ましい実施態様において、さらに培養物は追加した細菌を含有する。特に好ましい実施態様において、その追加された細菌はビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)である。さらに好ましい実施態様において、その小児は未就学児である。いくつかの好ましい実施態様において、その小児は約3歳から約5歳の間である。さらに追加的な実施態様において、投与は秋又は冬の月の間に行われる。いくつかの実施態様において、その培養物は口から投与される。いくつかの好ましい実施態様において、その培養物は少なくともひとつの栄養補助食品に添加して供給される。いくつかの実施態様において、呼吸器疾患の症状は発熱、咳、鼻水、頭痛、筋肉痛、喉の痛み、鼻づまり、倦怠感、下痢、及び吐き気の少なくともひとつの症状を含む。さらに追加的な実施態様では、その方法によって、小児の呼吸器疾患を治療するために抗菌剤を投与する必要性が減少する。さらに好ましい実施態様において、その方法によって、小児の前記呼吸器疾患を原因とする長期欠席が防止される。
【0010】
また、本発明は小児にかかる呼吸器疾患の危険性の減少に適した組成物の調製のためのラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)単独又はこれとビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)との組合わせによる使用方法を提供する。加えて実施態様において、本発明は小児の呼吸器疾患の症状の軽減に適した組成物の調製のためのラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)単独又はこれとビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)との組合わせによる使用方法も提供する。さらなる実施態様において、本発明は呼吸器疾患を引き起こすことのできる微生物へその小児がその後接触しても小児が呼吸器疾患に罹患することからの予防に適した組成物の調製のためのラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)単独又はこれとビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)との組合わせによる使用方法も提供する。さらなる実施態様において、本発明は呼吸器疾患を引き起こすことのできる微生物へその小児がその後接触しても呼吸器疾患の進行から小児を予防するのに適した組成物の調製のためのラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)単独又はこれとビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)との組合わせによる使用方法も提供する。さらなる実施態様において、本発明は呼吸器疾患を引き起こすことのできる微生物へその小児がその後接触しても呼吸器疾患症状の発症及び/又は進行から小児を予防することに適した組成物の調製のためのラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)単独又はこれとビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)との組合わせによる使用方法も提供する。さらに実施態様において、それらの方法によって、小児の呼吸器疾患を治療するために抗菌剤を投与する必要性が減少する。さらに好ましい実施態様において、その方法によって、小児の前記呼吸器疾患を原因とする長期欠席が防止される。
【0011】
また、上述のすべての方法は単独又は各々他の方法の組合せで使用することもできると考えられ、さらにそれらの方法は呼吸器疾患及び/又は呼吸器疾患の症状を予防及び/又は軽減するための他の方法との組合せで使用することが有用であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1は試験グループ別による顕著な症状を有する時間の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は人の疾病の罹患率及び持続期間を減少するために適したプロバイオティック組成物を提供する。特に本発明は低年齢小児の疾患を予防するために適した方法及び組成物を提供する。いくつかの特に好ましい実施態様において、本発明は小児における呼吸器系疾患の予防に有用である。
【0014】
実際に、本発明は人を対象とする使用に適したラクトバチルス(Lactobacillus)及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)のプロバイオティック培養物を提供する。ある特定の好ましい実施態様において、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)を提供する一方、代わりの好ましい実施態様において、ビフィドバクテリウム・アニマリス(B.animalis)を提供する。よりさらに好ましい実施態様ではビフィドバクテリウム・アニマリス・亜種・ラクティス(B.animalis subsp.lactis)を提供する。(また、本明細書にてビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)という)。また、さらに特に好ましい実施態様において、これらの細菌の組合せを提供する。
【0015】
本発明の成立過程において、インフルエンザに似た症状(例えば、発熱、咳、鼻水等)の防止に係る有意な保護効果がラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)単独及びそれとビフィドバクテリウム・アニマリス・亜種・ラクティス(B.animalis subsp.lactis)との組合せによって提供されることが示された。インフルエンザに似た症状の防止に加えてこれらの菌の単独又は組合せにおける投与は個人が症状を示していた日数の有意な減少をもたらした。
【0016】
すなわち、本発明は小児の疾病の予防に関して多くの利益を提供し、本発明は罹病中の子供を看病するために両親の欠勤期間を減らすのみならず、家族に対する疾病の経済的影響(例えば、直接的な医療費)をも低減できる。気道感染症の深刻な影響のために多くの研究が、そのような疾患の重篤性の軽減及び予防へ向けられてきた。例えば、ビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)(BB−12)及びラクトバチルス・ロイテリ(L.reuteri(ATCC 55730))を含むプロバイオティックの組合せを含み、子供の健康改善において効果的であると称される栄養補助食品が開発された。子供ケアセンターにて乳児へこのプロバイオティックを供給した乳児用ミルクの投与は下痢の発症をより少なく、より短くする結果を示したが、気道症状への効果はなかった(Weitzman and Alsheikh, Pediatrics 115:5−9 [2005])。
【0017】
本発明の開発中、未就学児によるプロバイオティック製品摂取の効果が評価された。大人同様、子供に疾病がより蔓延する時期(すなわち9月中旬から2月中旬を通して)の間6ヶ月間1日2回これらの製品が摂取された。実際、標準乳製品(例えば、1%脂肪牛乳又は他のプロバイオティック製品)中に加えたプロバイオティクスの摂取によってデイケアセンターに通っている未就学児における疾病のインフルエンザに似た症状は低下したと評価された。また、小児が罹病した日数には、罹病していながらケアセンター又は幼稚園には出席していた期間、及び初期の疾病から回復する期間もこの評価に含まれた。さらに、他の疾病が有るか又は無いかも、栄養パラメーター(体重の増加又は減少を含む)もまた評価された。
定義
【0018】
他に示さない限り、本発明の実施には、食品微生物学、栄養補給剤、小児科疾患、疫学、分子生物学、微生物学、蛋白質精製、及び工業用酵素の使用と開発において通常使用される従来技術であり、当業者の知りうる範囲内のすべての従来技術を含む。上記及び下記両方において本明細書にて言及されるすべての特許、特許出願、文献、及び刊行物は、参照によりこれによって明確に本明細書に取り込まれる。
【0019】
さらに、本明細書にて記載される見出しは、本明細書全体を参照することにより理解することが可能であり、本発明の種々の態様又は実施態様に限定するものでない。従って、以下に定義される用語は本明細書全体を参照することによってより完全に定義される。しかしながら、本件発明の理解を容易にするために、以下に用語の相当数についてその定義を行う。
【0020】
本明細書にて他に定義されない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は本発明に属する当業者によって通常理解されるものと同じ意味を持つ。例えば、Singleton and Sainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 2d Ed., John Wiley and Sons, NY (1994); 及び Hale and Margham, The Harper Collins Dictionary of Biology, Harper Perennial, NY (1991)が、当業者には本発明において用いる多くの用語の一般的辞書となる。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料が本発明の実施において使用可能であるけれども、好ましい方法及び材料が本明細書にて記載される。従って、以下に定義される用語は本明細書全体を引用することによりさらに完全に説明される。また、他に文脈にて明確に指示しない限り、本明細書に記載する単数用語「a」、「an」、及び「the」は複数の対象を含む。これらは当業者によって使用される内容次第で多様に変化するから、本明細書で用いる特定の方法論、手順、及び試薬に本発明が限定されるべきでないことは理解されるところである。
【0021】
本明細書を通して与えられる各最大限定数値は、本明細書中に具体的に明記されたと同様に、それぞれ最大限定数値よりも低い数値とすることを含む。本明細書を通して与えられる各最小限定数値は、本明細書に具体的に明記されたと同様に、それぞれ最小限定数値よりも高い数値とすることを含む。本明細書を通して与えられる各数値範囲は、本明細書に具体的に明記されたと同様に、そのような広い数値範囲内の狭い数値範囲とすることを含む。
【0022】
本明細書で用いる「食品」(food)という用語は、植物及び/又は動物に栄養を与える任意の栄養項目をいう。生命を維持するために植物又は動物に取り込まれ及び吸収された任意の物質に関して用いるので、その用語はいずれかの特定項目に限定されない。また、液体栄養物は本定義に取り込まれるので、その用語が「固体」(solid)食品に限定されることは意図されない。実際に、いくつかの実施態様においては、液体栄養物は固体食品項目より好ましい。幾つかの好ましい実施態様においては、その用語は人の摂取する食品に関して特に用いる。
【0023】
本明細書で用いる「飼料」(feed)という用語は、人ではない動物へ栄養を供給する任意の栄養項目をいう。生命を維持するために植物又は動物に取り込まれ及び吸収された任意の物質に関して用いるので、その用語はいずれかの特定項目に限定されない。また、液体栄養物は本定義に含まれるので、その用語が「固体」(solid)食品に限定されるとは意図されない。実際に、いくつかの実施態様においては、液体栄養物は固体食品項目より好ましい。
【0024】
本明細書で用いる「栄養補助食品」(nutritional supplement)及び「健康補助食品」(dietary supplement)という用語は、飲食物に加える任意の製品をいう。幾つかの特定の好ましい実施態様において、栄養補助食品は口から摂取され、しばしば一以上の食品成分を含みこれらに限定されないが、ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸、酵素、及び微生物の培養物を含む。
【0025】
本明細書で用いる「栄養補給食品」(neutraceutical)という用語は、健康に良いものを供給すると信じられ及び/又は受け入れられている食品/飲食物の補給をいう。
【0026】
本明細書で用いる「プロバイオティック」(probiotic)という用語は、健康によい生きた微生物食品成分をいう。
【0027】
本明細書で用いる「プレバイオティック」(prebiotic)という用語は、プレバイオティックを摂取する人及び/又は動物に有益な影響を与える消化されにくい食品成分をいう。好ましい実施態様において、プレバイオティックは腸管内で少なくとも一種の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激し、それで、人及び/又は動物の健康が改善される。
【0028】
本明細書で用いる「シンバイオティック」(synbiotic)という用語は、プレバイオティクスとプロバイオティクスの混合物をいう。
【0029】
本明細書で用いる「疾病」(illness)及び「疾患」(disease)という用語は、症状及び徴候の特徴的セットによって現される体のいずれかの箇所、組織、又は系の通常の構造及び/又は機能からの任意の離脱又は中断をいう。その用語は病因学及び/又は病理学に知られている又は知られていない条件を含む。
【0030】
本明細書で用いる「治療」(treating)という用語は、疾病又は状態の症状、疾患、又は疾患の治療、改善、又は改良をもたらす組成物の供給をいう。
【0031】
本明細書で用いる「経口投与」(oral administration)及び「per os」という用語は、口から食品及び/又は補給剤を摂取することをいう。
【0032】
本明細書で用いる「疾病の予防」(prevention of illness)及び「疾患の予防」(prevention of disease)という用語は、疾病/疾患の発生を避けるためにとられる手段をいう。幾つかの実施態様において、疾病/疾患を避けるために「予防的に」(prophylactic)手段がとられる。
【0033】
本明細書で用いる「疾患の症状」(symptom of disease)という用語は、なんらかの自覚的な疾患及び/又は患者の状態をいう。患者によって認識されたなんらかのそのような証拠に関して用いる。
【0034】
本明細書で用いる「疾患の徴候」(sign of disease)という用語は、疾患/疾病の存在の現われをいう。それは試験をする医師及び/又は医療サービス提供者が気づくほどの疾患のなんらかの客観的証拠に関して用いる。
【0035】
本明細書で用いる「長期欠席」(absenteeism)という用語は、疾病が原因でデイケア及び/又は幼稚園を欠席する割合をいう。また、疾病が原因により学校及び/又は仕事を休むことを言う。幾つかの特定の好ましい実施態様において、本発明の方法によって疾病(例えば、呼吸器疾患)が原因によるデイケア及び/又は幼稚園での小児の長期欠席が低下する。
【0036】
本明細書で用いる「病的状態」(morbidity)という用語は、疾病/疾患をいう。
【0037】
本明細書で用いる「死亡」(mortality)という用語は、死をいう。
【0038】
本明細書で用いる「罹患率」(incidence)という用語は、特定の期間内に発症する特定の疾患の新しい症例数のような特定の現象が起こる割合をいう。
【0039】
本明細書で用いる「有病率」(prevalence)という用語は、ある時点での特定の集団中に存在する特定の疾患及び/又は状態の症例の総数をいう。
【0040】
本明細書で用いる「気道」(respiratory tract)という用語は、呼吸に関与するシステムをいう。気道はしばしば3つの領域に区別され、すなわち、上気道(言い換えると鼻、鼻腔、副鼻腔、喉/咽頭)、呼吸気道(言い換えると喉頭、気道、気管支、及び細気管支)、及び下気道(言い換えると気道の細気管支、肺胞管、肺胞嚢、及び肺胞を含む肺)である。
【0041】
本明細書で用いる「呼吸器疾患」(respiratory disease)という用語は、気道における任意の疾患をいう。
【0042】
本明細書で用いる「流感」(flu)及び「インフルエンザ」(influenza)という用語は、任意のインフルエンザウイルスによって発症する接触伝染性の呼吸器疾患をいう。
【0043】
本明細書で用いる「インフルエンザ様症状」(flu−like symptoms)という用語は、インフルエンザに関係する通常の症状を言い、咳、鼻水、鼻うっ血(言い換えると「鼻詰まり」(stuffy nose))、喉の痛み、発熱、筋肉痛(言い換えると筋肉痛(myalgia))、腹痛、頭痛、倦怠感、下痢、吐き気、耳の痛み、中耳炎等)を含むが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で用いる「後遺症」(sequelae)という用語は、状態及び/又は疾患現象が引金となって発症する疾病/疾患及び症状/徴候をいう。いくつかの実施態様において、初期の疾患/疾病が治った後しばらくして発症する。
【0045】
本明細書で用いる「サブクリニカル感染」(sub−clinical infection)という用語は、疾患の徴候又は症状が提示/観察されない感染をいう。しばしば患者は疾患の原因となる生物に感染するが、感染の症状が見られない。
【0046】
本明細書で用いる「感染」(infection)という用語は、体の中に病原性の微生物が侵入し、増殖することをいう。
【0047】
本明細書で用いる「胃腸管」(gastrointestinal tract)(GI)という用語は、口腔から直腸まで消化管全体をいう。その用語は口から肛門まで続く管であり、筋肉の運動及び食物を消化するホルモンと酵素の放出を有する。胃腸管は口から始まり、食道、胃、小腸、大腸、直腸そして最終的に肛門へと続く。
【0048】
本明細書で用いる「胃腸管フローラ」(gastrointestinal flora)という用語は、人及び動物の胃腸系に存在する微生物をいう。好ましい実施態様において、その用語はバクテリア生物に関して用いるが、その用語はこれに限定されない。
【0049】
本明細書で用いる「小児」(child)及び「小児達」(children)という用語は、18歳以下の年少をいう。
【0050】
本明細書で用いる「幼児」(infant)という用語は、一歳以下の子供をいう。「新生児」(neonate)は最近生まれた幼児である(言い換えれば生後約4週間)。
【0051】
本明細書で用いる「よちよち歩きの小児」(toddlers)という用語は、歩き始めの子供達をいう。一般的に一歳から三歳の間の小児に関して用いる。
【0052】
本明細書で用いる「未就学児」(preschoolers)という用語は、幼稚園に通っている小児及び幼すぎて幼稚園に通えない小児をいう。いくつかの好ましい実施態様において、その用語はよちよち歩きの小児と就学年齢グループの間の小児(例えば、約2歳から5歳の間)に関して用いる。
【0053】
本明細書で用いる「就学年齢の小児」(school−age children)という用語は、学校へ通うことのできる適当な年齢の小児をいい、特に幼稚園から高校までである。
【0054】
本明細書で用いる「培養物」(culture)という用語は、一以上の微生物を含む任意のサンプル又は項目をいう。「純粋な培養物」(Pure cultures)とは、特定の属及び種である単一の菌株である微生物を有している培養物である。これは、一以上の属及び/又は種の微生物が存在する培養物である「混合培養物」(mixed cultures)とは対照的である。本発明のいくつかの実施態様において、純粋な培養物が用いられている。例えば、特定の好ましい実施態様において、ラクトバチルス(Lactobacillus)(例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus))の純粋培養物が用いられている。しかしながら、別の実施態様においては、混合培養物が用いられている。例えば、特定の好ましい実施態様において、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)とビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)を含む培養物が用いられることを示す。
【0055】
本明細書で用いる「ラクトバチルス(Lactobacillus)」という用語は、ラクトバチルス科(Lactobacillaceae)のファミリーであるラクトバチルス(Lactobacillus)属の一種をいう。これらのバクテリアはしばしば「乳酸菌」(lactic acid bacteria)と呼ばれる微生物グループの多くの部分に存在するグラム陽性通性嫌気性菌である。ラクトバチルス(Lactobacillus)の多くの種が同定されており、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(L. bulgaricus)、ラクトバチルス・カゼイ(L. casei)、ラクトバチルス・デルブルキー(L. delbrueckii)、ラクトバチルス・フェルメンタム(L. fermentum)、ラクトバチルス・プランタラム(L. plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(L. reuteri)等を含むが、これらに限定されることはない。本発明はいずれかの特定のラクトバチルス(Lactobacillus)種に限定されることを意図していないが、特定の好ましい実施態様で、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)NFCMが本発明において用いられる。属は再分類されている種を含むことを意図する(再分類は、例えば、遺伝子の及び他の調査の結果として生ずる生物のスペシエーションにおける変化に起因する)。
【0056】
本明細書で用いる「ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)」という用語は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に含まれるメンバーをいう。これらの微生物は胃腸管フローラ中多く存在する微生物のひとつであるグラム陽性嫌気性微生物である。本発明はいずれかの特定のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種に限定されることを意図していないが、特定の好ましい実施態様において、ビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)Bi‐07が本発明において用いられる。
【0057】
本明細書で用いる「抗菌剤」(antimicrobial)という用語は、微生物の成長を阻害し又は殺す任意の化合物をいう。その用語は広い意味で用いられ、自然に、又は合成的に生産される抗生物質などの化合物を含むことを意図するが、これらに限定されることはない。いくつかの好ましい実施態様おいて、本発明によって危険を伴う小児への抗菌剤投与の必要性が低下し又は呼吸器系疾患に罹患する可能性が低下する。
【0058】
本明細書で用いる「微生物培地」(microbiological media)、「培養培地」(culture media)、及び「培地」(media)という用語は、微生物の成長及び増殖のための任意の適切な物質をいう。その用語は固体平板培地だけでなく半固体及び液体微生物増殖システムをも含む。
【0059】
本明細書で用いる「秋の月」(fall months)という用語は、木の葉が落ちる季節又は秋に属するとして通常認識される月をいう。北半球では、これらの月は9月、10月、及び11月を含む。南半球では、これらの月は3月、4月、及び5月を含む。
【0060】
本明細書で用いる「冬の月」(winter months)という用語は、冬の間に属するとして通常認識される月をいう。北半球では、これらの月は12月、1月、及び2月を含む。南半球では、これらの月は6月、7月、及び8月を含む。
【0061】
本明細書で用いる「春の月」(spring months)という用語は、春の間に属するとして通常認識される月をいう。北半球では、これらの月は3月、4月、及び5月を含む。南半球では、これらの月は9月、10月、及び11月を含む。
【0062】
本明細書で用いる「夏の月」(summer months)という用語は、夏の間に属するとして通常認識される月をいう。北半球では、これらの月は6月、7月、及び8月を含む。南半球では、これらの月は12月、1月、及び2月を含む。
【実施例】
【0063】
本発明にかかる特定の好ましい実施及び態様を明らかにし、さらに説明するために、次の実施例が与えられるが、これらは特許請求の範囲を限定するものとして解釈してはならない。
【0064】
以下の開示する実施例において、次の略語が適用される。
℃(摂氏 (degrees Centigrade))、HO(水 (water))、gm(グラム (grams))、μg及びug(マイクログラム (micrograms))、mg(ミリグラム (milligrams))、ng(ナノグラム (nanograms))、μl及びul(マイクロリットル (microliters))、ml(ミリリットル (milliliters))、mm(ミリメートル (millimeters))、nm(ナノメートル (nanometers))、μm及びum(マイクロメートル (micrometer))、M(モル (molar))、mM(ミリモル (millimolar))、μM及びuM(マイクロモル (micromolar))、U(ユニット (units))、sec(秒 (seconds))、min(s)(分 (minute/minutes))、hr(s)(時間 (hour/hours))、sd及びSD(標準偏差 (standard deviation))、PBS(リン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline [150mM NaCl、 10mM sodium phosphate buffer、 pH7.2])、w/v(質量/体積 (weight to volume))、v/v(体積/体積 (volume to volume))、 CFU(コロニー形成単位 (colony forming units))及びNCFM(ノースカロライナ食品微生物学部門 (North Carolina Food Microbiology Department))、Becton Dickinson(ベクトン ディッキンソン (Becton Dickinson Diagnostic Systems, Sparks, MD))、Difco(ディフコ (Difco Laboratories, Detroit, MI))、GIBCO BRL又はGibco BRL(ギブコ (Life Technologies, Inc., Gaithersburg, MD))、ATCC(アメリカ培養細胞系統保存機関 (American Type Culture Collection, Manassas, VA))。
【0065】
本発明の開発に用いた微生物はラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)NCFM(PTA‐4797)及びビフィドバクテリウム・アニマリス・亜種・ラクティス(B. animalis subsp.lactis)Bi‐07(PTA‐4802)であった。0.05%システイン含有MRS培地(例、ディフコ、ベクトン ディッキンソン)中37℃にてこれらの菌株を培養した。培養物を、H/COの気体(ベクトン ディッキンソン)を含むBBL GASPAKTM 嫌気ジャーにおいて48時間から72時間培養した。大量生産のために、それらの菌株を発酵培地にて増殖させ、遠心分離機で集菌し、周知技術を用いて冷凍にて固定化した。その冷凍にて固定化した液体を凍結乾燥した。周知技術である計数方法を用いるために希釈剤としてデキストロースを用いて、培養物ごとに所望の微生物の数を提供するためにその凍結乾燥された培養物を標準化した。
【0066】
bacteria/gの材料を供給するために低水蒸気透過度を有するアルミ箔製分包用袋にプロバイオティック材料及び適切な担体賦形剤を含有する粉体を加えることにより本発明の開発に用いた分包袋を作成した。一日用量110微生物のために二つの分包袋を牛乳に入れて、一日の投与量を摂取した。しかしながら、本発明では相当範囲に及び異なる用量の摂取が考慮されるので、本発明はいずれの特定の用量レベルにも限定することを意図していない。
【0067】
本発明の開発中に得られたデータを再検討している時、アンケートからの情報、即ち、医者の診察回数(該当時)、疾病の日数、罹患率、持続期間、及び特定の疾病の症状(例えば、下痢)が蓄積され、プロバイオティクスを用いた治療から生じる健康に対してどのような効果があるかを発見することができた。一週間のうち5日間のみデイケアセンターで行われる投与で、一週間のうち残りの2日間は家庭での投与日程にて、一週間のうち7日間、即ち毎日プロバイオティクスを2服、プロバイオティックを試験グループ1及び2に摂取させた。試験グループ3(プラセボグループ)は試験グループ1及び2と同じ投与計画にて一週間のうち7日間、一日2回プラセボを摂取した。
A.試験計画
【0068】
試験計画は6ヶ月の期間にわたって無作為化試験、二重盲検試験、プラセボ比較試験から成り立っていた。各センターごとに無作為的方法にて区分けすることにより被験者は補給された粉ミルク(グループ1及び2)又はコントロールの粉ミルク(グループ3)を割り当てられ、そのセンターにて被験者が滞在している期間中割り当てられた粉ミルクを摂取した。
【0069】
その試験の参加者は3歳から5歳の間の就学前の年齢であり、特に性別は問わず、基礎疾患又はしばしば疾病になりやすい解剖学的変化もない子供達であった。乳製品に禁忌(例えば、ラクトースアレルギー、又はウシ蛋白質反応[牛乳アレルギー])を示す未就学児は試験から除かれた。さらに、炎症性疾患、消化管疾患、クローン病、大腸炎、セアリック病、呼吸窮迫症関連疾患の再発による慢性的な咳、ヒルシュスプリング病、胞嚢性線維症、又は便秘又は胃腸機能障害(慢性的な下痢)の症状のような、代謝的、神経的、解剖学的な変化という既往歴を有する参加者は試験から除かれた。加えて、他の形態(例えばヤクルト)で現在プロバイオティック栄養補助食品を摂取している小児もまた参加者から除外された。しかしながら、本発明は広範囲の使用を見出し、これらのグループにおいて疾患を予防するのに役立つことを証明しようとするものであり、基礎疾患及び/又はしばしば疾病になりやすい解剖学的変化をもたない小児のみの疾患を予防するための使用に限定することを意図していない。
【0070】
上述したように、3グループが存在し、それぞれのグループは85人の参加者からなっていた(言い換えれば全員で255人の小児)。3グループそれぞれ、「グループ1」、「グループ2」及び「グループ3」のように呼ばれるよりむしろ、割り当てられた選択的な多様な名前がつけられた。すなわち、例えば、後述するようにそれらのグループは95、94、及び93と呼ばれた。グループ3はデイケアセンターにて1日2回、1週間に5日間及び家庭にて1日2回、1週間に2日間プラゼボを摂取した。家庭での投与は両親、保護者、又は指定された家族の一員によって与えられた。デイケアセンターでの投与は指定されたデイケアセンターの代表者によって与えられた。グループ1及び2はプロバイオティック製品を摂取した。グループ1及び2両方のメンバーはグループ3と同様の投与計画でそのプロバイオティックを摂取した。プロバイオティックの標準的な1日量は菌の110から1010コロニー形成単位(colony forming units)/mlであった。しかしながら本発明はこの特別な用量又は用法に限定することを意図していない。いくつかの好ましい実施態様において、用量は約10から約1012CFU/日であるが、他の好ましい実施態様においては用量が約10から約1011CFU/日である。さらに、いくつかの実施態様では、プロバイオティック製品は1日1回投与され、一方、他の実施態様では投与は毎日2回以上行われる。特に好ましい実施態様では、投与は1日2回行われる。
【0071】
グループ1における85人の参加者はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM(プロバイオティック製品A)、グループ2おける85人の参加者は各菌株が1日量の半分を含有する2種の菌株、すなわちラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCFM及びビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)Bi‐07(プロバイオティック製品B)を含むプロバイオティック製品を摂取した。
【0072】
グループ1及び2両方がプロバイオティック製品(又は分包袋)を摂取するために投与量は170から250mlの1%脂肪牛乳からなった。使用及び輸送に容易なアルミ箔製の分包袋にプロバイオティック製品をいれた。投与量は1日全量1010微生物になるように170から250ml牛乳中5微生物として投与された。摂取する時点でアルミ箔製の分包袋の内容物を牛乳に配合した。プラセボ及びプロバイオティクスの両方が入れられたアルミ箔製分包袋が与えられたので、牛乳にその分包袋の内容物を添加することはすべてのグループで共通であった。投与量は6ヶ月間、1日あたり全量170から250mlを1日2回与えられた。これらの投与量はスナック又は食事からなる食品と共に摂取された。18℃から20℃に保った温度で調製室にて栄養補助食品を調製した。その栄養補助食品の粉末は牛乳に添加し、混合し、5分以内に小児に与えた。小児は通常の指定された場所で栄養補助食品を摂取した。
【0073】
試験はN=326人の小児(グループ3は104人、グループ1は112人、及びグループ2は110人)を対象に11月に開始され、N=248人(グループ3は92人、グループ1は77人、及びグループ2は79人)で5月に終了した。11月と5月の最終的な相違は78人の小児(グループ3は12人、グループ1は35人、及びグループ2は31人)の減少であった。144人の男児及び182人の女児の参加者で、年齢は3歳から5歳であり、すべて中国系の出身であった。
【0074】
小児は毎日午前6時40分から8時40分までの時間枠以内に到着し、午後3時50分から4時40分の時間枠以内に出発した。唯一の飲むことのできる飲料水(試験のための栄養補助食品以外)は水であった。小児の家族は農夫、公務員、及び教師からなった。小児は中国で小児が提供される標準ワクチンの接種が必要であった。
【0075】
地元の幼稚園の小児において流行している疾病に関して、地元の医師の情報提供に基づき、これらの小児によるプロバイオティック製品(プロバイオティック製品A又はプロバイオティック製品B)のいずれかの摂取又は消費がこれらの疾病の罹患率を減少させたかどうか決定するためにこの試験はこれらの疾病の頻度を含むことを考慮した。実際に、170人(グループ1及び2あわせて)の参加者に基づいて、中程度から顕著な効果までの範囲の効果を検出するためのt−検定では少なくとも80%の検出力及びアルファ水準が0.05という結果をもたらした。また、その試験は未就学児の健康に関するこの製品の有益性を決定するために地元の小児科医/医師により予め規定された他のパラメーターを含めることも考慮した。また、その試験はプロバイオティック製品が投与される時抗菌剤の使用が減少できるか否か決定するためにも用いられ、それにより、抗菌剤の使用の減少という結果が得られた。
【0076】
参加者の適格及び不適格性の因子(又は試験に含めるか除外するかの基準)を決定するために、アンケートを参加者それぞれに提供した。例えば、参加者の家族はその製品のための適切な冷蔵庫があることが要求され、各小児(各々グループ中)の両親又は保護者は栄養補助食品を提供すること及び追跡調査及びデイケアセンターの代表者に疾病のいずれの徴候/症状をも報告することについての同意書に署名することが要求された。
【0077】
指定されたデイセンターの代表者は両親又保護者によって提供された情報を用いて、毎日デイケアセンターの場所にて初期のアンケートを完成した。両親及び指定されたデイケアセンター代表者は情報の初期確認を行った。その試験のための臨床コーディネーター(言い換えると医師である研究者)はそれぞれのデイケアセンター長(言い換えると、デイケアセンターを管理する人、またはセンター所長)からすべてのデイケアセンターが完成した用紙を回収した。デイケアセンター代表者及び各未就学児の両親/保護者は、疾病のいずれかの症状、デイケアセンターの欠席及びその理由、医師の診断、抗菌剤の処方(詳しく)、及び欠席に至る特定の症状(すべての症状が欠席の結果となるものではないので)をチェックリスト用紙に記載された記録を毎日提出した。デイケアセンターの代表者は子供がセンターを休むたびに両親/保護者から情報を得るための調整を確実に行った。指定されたデイケアセンターの代表者は毎日症状の用紙を調査し、その症状の用紙をさらにデイケアセンター長を含む定期的な週1回の会議において臨床コーディネーター(医師)に提出した。指定されたデイケアセンター代表者、デイケアセンター長(及び臨床コーディネーター(医師))はどの粉ミルクがコントロール群として供給されているのか、どの粉ミルクがプロバイオティック群として供給されているのかまったく知らされなかった。
B.デイケアセンターの場所の妥当性
【0078】
12から15個所のセンターが医師である研究者(又は医師から指示を受けた看護師)によって試験され、最終的にアジア西部地区の8箇所のデイケアセンターが選択された。センターへ運ぶまでの保管のために、すべてのプロバイオティック製品及びプラセボ製品はアジアの指定された場所にて低温で保管された。
【0079】
試験状況がお互いに比較できるよう確保するためにデイケアセンターの場所は選定された。それゆえ、センターは、一般的に、幼稚園に入学した未就学児の同様の人数、利用スタッフ、デイケアセンターサービスの価格、及びセンターにおける冷凍設備を提供できるものに決定された。未就学児の人数、職員の数、対象者の分類(収入の面)、未就学児一人当たりのコスト、未就学児がセンターの食事をとっているのか、または彼ら自身が食物を持参するのかどうか、未就学児の送迎の通常の時間等にかかる質問を含むその設備に関する情報を集めるためにアンケートを用いた。デイケアセンター長は完成したアンケートを郵送により返却した。選定する前に、医師又は医師から指定された看護婦は各センターの清潔度及び衛生状態を評価した。試験開始前に、その質問が重要か否か評価するために及び長期欠席に関する両親への連絡を続けるような、追跡方法及び手段を判断し、意見を引き出すために医師である研究者はデイケアセンターの所有者及びスタッフに会った。さらにアンケートが的確なデータを提供することを保証するために、医師である研究者は統計学者が試験を通して統計学的分析をすることを確保し、それにより、試験計画のいずれの問題も発見でき、試験の必要性に応じて修正されるようにした。
C.出席用紙の書類
【0080】
毎日、デイケアセンター代表者は出席用紙の記載を完成させた。各用紙にはその場所、責任者(言い換えると、情報を集める者)、クラス又はグループの大きさ、及び参加者の名前が記載された。チェックマークを記載する箇所には参加者が出席しているかどうか(はい/いいえ)、参加者の具合が悪いか否か(はい/いいえ)、参加者がインフルエンザ様症状又は他の疾病関連症状を有していたかどうか(はい/いいえ)、参加者が下痢症状を有していたか(はい/いいえ)という質問があった。もし下痢症状があったならば、参加者が1日に2回以上下痢症状を有していたかどうか(はい/いいえ)、製品の最初の投与量を摂取したかどうか(はい/いいえ)、製品の2回目の投与量を摂取したかどうか(はい/いいえ)に関する質問があった。もし小児が休んだ場合、それらを返却して、小児が病院へ行ったかどうか(はい/いいえ)、いずれかの抗菌剤を受けたかどうか(はい/いいえ)、小児が、いずれかの他の疾患に関連する治療を受けたかどうか(はい/いいえ)に関する質問箇所に記入した。妥当なデータの回収を確保するために、かつ、記録を調査し、日々の完成した記録を確保するために、医師(または医師が指定した看護婦)による無作為的なデイケアセンターへの訪問が行われた。それぞれデイケアセンター長は医師のためにデイケアセンターの代表者がすべてのアンケート及び他の関連する試験の記入用紙を回収することを確保し、デイケアセンター長はこの情報を医師である研究者に提供することを確保した。参加者の両親は疾病の症状及び疾病に関連する長期欠席かどうかを記録するための症状チェックリストを用いた。
【0081】
長期欠席は症状と相関性のある測定因子の一つとして考慮された。それ故、小児が発症した症状に対する長期欠席の効果が評価された。両親又は指導者の記憶能力に頼ることなくむしろ公的な学校の記録情報のみによって、計画的及び包括的手段にて長期欠席データを集めた。欠席の実際の日についてそれぞれインフルエンザ様症状、他の疾病、及び個人的又は不明な理由によるか否か追跡調査された。

D.結果測定
【0082】
測定には疾病関連又はインフルエンザ様症状を有していた日数、疾病又は発熱が原因でデイケアセンターを休んだ回数、医者による診断として「流感」、疾病又は「インフルエンザ様」症状、及び処方抗菌剤の服用の経過のようないずれかの誘発因子を含んだ。記録された他の症状は下痢又はいずれかの他の疾病関連症状の頻度及び期間を含んだ。例えば、耳の感染又は頭痛のような他の症状又は参加者の欠席に至る理由を記録した。一般的な健康状態評価スコアをそれぞれ参加者について決定した。抗菌剤の投与が原因で結果が歪曲しないことを確保するために、抗菌剤およびプロバイオティックを摂取した参加者のデータの追跡調査をプロバイオティクス摂取のみの参加者から区別させた。さらに、抗菌剤の投与により疾病が原因である欠席日数が減少する可能性があるので、「インフルエンザ様」症状によるコントロールグループ中の参加者への抗菌剤投与を記録した。さらに、上述したように、参加者の体重を試験前及び試験完了時に測定した。
【0083】
試験の経過中評価された8症状を下記の症状により「インフルエンザ様」症状であると決定した。即ち、悪心、吐き気/下痢、体の痛み、頭痛、喉頭の痛み(喉の痛み)、鼻水、頭痛、及び発熱を含む症状である。吐き気及び下痢はひとつのカテゴリーとして扱われたが、吐き気のみを区別した記録も追跡調査した。試験の経過を通して6人の小児のみが吐き気の症状を有した。二次的症状は試験の経過を通して見られなかった。
【0084】
病院(医者を訪れる通常の場所)を訪れた小児、は西洋医学手段による典型的な治療を受けたが、さらに従来的な治療も受けていた。これらの訪問は小児の熱を測り、必要に応じて抗菌剤を処方することを通常含んだ。プラセボグループにおいて抗菌剤の使用がより広範囲に渡っていたことが明らかとなったことが示された。
【0085】
プロバイオティック製品の摂取と症状を有していた日数の間の関連性は症状スコア用紙に記載された。追加的に、発熱及び風邪症状による欠席日数、下痢症状の回数(罹患率及び持続期間)、及び抗菌剤の処方の内容(薬のタイプ及び投与量)を記載し、疾病関連症状が原因で投与された他の薬の摂取も記載した。プロバイオティック摂取量の記録用紙に毎日記録し、臨床コーディネーターのために200ml以下の摂取についてはマークを付した。それぞれ次の二次測定の疾病症状の程度を決定するために症状スコア用紙を用いた。
E.統計分析
【0086】
分析計画は年齢、性別、及び体重に関して3つの試験グループの間のバランスを決定することを含んだ。即ち、年齢及び試験グループを含む影響因子による症状割合の計算、症状の割合及び期間に関して、試験グループ間の相違点の大きさ及び有意性における単変量と多変量の決定及び試験である。年齢及び体重のような連続変数についてグループ間の有意差の単変量解析(それらのバランスをテストするために)は分散分析(ANOVA)を用いた。長期欠席に関する統計のまとめは3試験グループによって提供され、平均値、標準偏差、25、50(中央値)、及び75パーセンタイルのカットポイント、さらに最大値及び最小値(言い換えると外れ値)を含んだ。試験グループ間の長期欠席の差の一次分析は分散分析(ANOVA)を用いて調査した。プラセボに対する単一及び2種の菌株グループの比較は多重比較に関するダネット検定を使用して行った。
【0087】
記述統計学では人口統計学的変数(例えば、年齢、性別、及び最初の体重)、生活環境、プロバイオティック消費量、症状の頻度等を用いた。疾病、「インフルエンザ様」症状、及び他の疾病関連症状を有していた日数、又は疾病が原因による総欠席日数はt‐検定により連続的に測定され、異なるグループの多重比較を可能にする。これらの分析は分散分析(ANOVA)の完了に続いて行われた。コックス(Cox)解析または類似の回帰分析は、交絡因子(年齢のような)の調整のために行われた方法を分析した。「インフルエンザ様」症状の数とプロバイオティック摂取は二分にされ(無/ひとつ以上)、フィッシャーの直接確率検定または類似の検定にて分析された。牛乳(または指定製品)の消費と疾病を有した日数との間で偏相関を計算した。分散分析(ANOVA)
【0088】
異なるグループの多重比較は初期結果因子のためのt‐検定を用いて行われた。いったんデータと統計学的差異が決定されると、そのとき、どのグループが異なるのか決定するためにt‐検定が用いられ及び第一種過誤の暴騰を避けるためにアルファは調整された。期間(6ヶ月)にわたって行うグループの検定で、第一種過誤は3グループあったことより生じるとは予期されなかった。試験の最後に、インフルエンザ様又は疾病関連症状を発症した参加者数及びしていない参加者数に基づいて、治療及び未治療の比較結果を調べるために、最終点での独立性カイ二乗検定を用いた。これらの分析のために全部で105人の参加者が検出力90%及び0.05のアルファ水準を確保するために必要とされた。しかしながら、他の実施態様においては異なる検出力及び/又はアルファ水準(例えば、0.05アルファ水準)が使用されてもよいことが意図される。統計学的解析はSPPSまたは他のコンピュータ制御の統計学パッケージを用いて行われる。
【0089】
結果測定(症状の存在)と性別を含む二分変数に対するグループ間における検定は、カイ二乗検定及び/又はフィッシャーの直接確立検定を用いて行った。例えば、年齢及び体重のような結果測定における影響因子(例えば交絡因子)を調整するために、ロジスティック回帰分析は年齢、試験グループの体重及び性別を一次関数として症状の発症のオッズの対数をモデル化して用いた。症状を有するオッズは症状発症の確率を症状未発症の確率で割る値に等しい。
【0090】
例えば、もし100人中10人が発熱を発症したならば、そのとき症状の確率は0.10及び症状のオッズは1/9(0.10/0.90)である。多変量解析の表示はオッズ比の概念を用いている。例えば、他のグループ(例えば、プラセボ)に割り当てられた小児と比較してあるグループ(例えば組合わせ菌株)に割り当てられた小児が特定の症状を発症する危険性が評価されたとする。もしオッズ比がユニティー(unity)(1.0)または1.0に近いならば、そのとき二つのグループはその症状の危険性に関してほぼ同じ起こりやすさである。もしオッズ比が1より大きいならば危険性の起こりやすさが増加し、一方、もしその危険性が1より小さいならば、危険性の起こりやすさが減少する。95%信頼限界でオッズ比の推定値を用いて結果を示している。例えば、もしプラセボグループに比較して組合せ菌株グループの発熱のオッズ比が0.33であり相当する信頼限界に「1」という値を含まなければ(例えば0.15、0.70)そのとき組合せ菌株グループの発熱の危険性はプラセボの危険性の約1/3である。言い換えれば、組合せ菌株グループに所属することで発熱に対する危険性が67%の差をつけて減少したことになる。
【0091】
また、試験グループでの年齢の相互作用をロジスティックモデルの範囲で調査した。症状の発症に関して年齢による菌株のサブグループ(及びプラセボ)を試験した時、サンプルの大きさが減少するために相互作用因子として働く能力が有意差に届かないことがあるが、分析が示すように、年齢は可能性のある相互作用因子である。それ故、結果をすべて表した(相互作用因子として年齢を度外視して)。しかしながら、年齢が相互作用因子として影響すると認識して年齢によるロジスティック回帰モデルの結果を表した。さらに、ペアワイズグループ比較は多重比較ルール及びペナルティに従って行った。まとめると、試験グループ、年齢、性別及び体重の関数として持続期間をモデル化するために症状を有する期間に関して試験グループ間の差の評価を重回帰分析を用いることで実施した。
F.結果
【0092】
表1は3試験グループ間の年齢、体重、及び性別の分布を示す。性別及びある程度体重に関してグループはバランスがとれていることが明白である。しかしながら、プラセボグループの割り当てられた小児は単一または組合せの菌株グループに割り当てられた小児より約4から5ヶ月平均的に年上であった。この結果によりすべてのその後の分析において年齢に対する抱合(調整)を必要とすることが考慮された。
【表1】

【0093】
症状の割合は性別及び体重によって評価されたけれども、いずれも症状の発症(発熱、咳、鼻水、又はいずれかの症状)の確率おける相当な影響は見られなかった。しかしながら、年齢は症状の発症及び期間の確率において(p‐値はすべての月で常に<0.05)有意な効果(試験グループに独立)を有するようであった。
【0094】
統計的に有意な保護効果は発熱、咳及び鼻水の発症に関して菌株グループに対して観察された。表2は任意のグループによって6ヶ月の試験追跡期間にわたって症状の持続期間の分布を示すデータである。また、試験グループ間の年齢調整差を算出した。この表に基づき、それぞれ組合せ菌株グループ(p<0.001)及び単一菌株グループ(p=0.0023)に比較して平均3.2及び2.2日の差で、症状のより長い期間をプラセボグループが有していたことは明らかである。これらのデータを表示する便宜のために、この表ではプラセボグループ(グループ3)は「93」という数字で、単一菌株グループ(グループ1)は「94」という数字で、及び組合せ菌株グループ(グループ2)は「95」という数字で記す。
【表2】

【0095】
グループ間の年齢調整差のために、累積的な症状の持続期間を試験グループ及び年齢の関数として回帰分析を用いてモデル化した。年齢の効果を説明するとき、これらの差はそのようなモデルにおける回帰係数を反映した。
【0096】
また、6ヶ月の試験期間の間、単一菌株グループ(グループ1)及び組合せ菌株グループ(グループ2)は、参加者が発熱、咳、及び鼻水の「インフルエンザ様」症状を有していた時間の割合において有意な減少であるという結果を示した。次の表(表3)にグループ及び抗菌剤投与で観察された症状を比較したデータを示している。この表において、オッズ比、95%信頼水準、及びP‐値を示している。この表において1以下のオッズ比は保護効果を示す。例えば、グループ94とグループ93を比較してオッズ比0.52とはグループ93の小児と比べてグループ94の小児は症状発症の危険性が約半分になることを示している。この表において、ボールド体の値は特に有意な結果を示す。
【表3】

【0097】
抗菌剤を投与された84人の参加者のうち、大部分である67.9%がプラセボグループに属していた。反対に、単一菌株グループの割合は21.4%であり、組合せ菌株については10.7%であった。
【0098】
試験のはじめ及び場合により三月の月を除いて、抗菌剤の使用と医者にかかる回数の両方はプラセボグループの間でより多かった。そのような傾向に対するひとつの可能性のある解釈として、医者にかかる必要性があったインフルエンザ様症状(または他の症状)がより多くみられる因果関係が考えられうる。また、下痢症状が相対的に試験当初によりみられたが、試験グループの関連性ははっきりしない。
【0099】
表1に示すように、試験期間を通して、二つの他の菌株グループに比べて年上の小児についてかなり高い割合(%)をプラセボグループは有していた。それゆえ、プラセボグループがインフルエンザ様症状に対してより耐性を示すであろうといくらか予想できた。しかしながら、11月から1月の間、年下の小児と比較して、年上の小児は症状に対してより影響を受けやすいことを示した。さらに、2月から5月の残りの月を通してそのような影響は反対になるか、又はかなり弱くなるかのいずれかであった。
【0100】
この傾向のある可能な説明として、小児のすべて(年下又は年上)は冬の季節の最も寒い月(11月から1月)の期間インフルエンザ様症状にとてもかかりやすいことである。しかしながら、これらの月の間、菌株の効果はそのような症状に対して顕著な保護作用があった。また、この関係において、試験グループ間における年齢のバランスの欠如によって、菌株の潜在的利益に消極的効果を与えたことを意味すると考えることができるので興味深い。
【0101】
まとめると、11月、12月、1月、2月、3月、4月、及び5月のその月々の期間中の発熱、咳、及び鼻水(いずれかの症状)というインフルエンザ様症状を予防するという点において、プラセボに比較して菌株グループにおいて有意な予防効果があったことを結果は示している。4月から5月のにかけての期間に予防効果における減少が観察された。しかしながら、これらの月の間に幾らかの予防効果が認められた。実際に、全体として、プラセボグループに割り当てられた小児と比較して、単一又は組合せ菌株グループ間における発熱、咳、又は鼻水のインフルエンザ様症状を発症する小児は著しく減少した。加えて、単一菌株中の小児に比較して、プラセボグループ中の小児は単一菌株グループ中の小児の3倍の数の小児がインフルエンザ様症状よる抗菌剤の処方を受けた。さらに、組合せ菌株グループの小児に比較してプラセボグループ中では5倍の小児がインフルエンザ様症状よる抗菌剤の処方を受けた。そしてさらに、プラセボグループに比較して、単一及び組合せ菌株グループにおける参加者は症状を有している日数が著しく少なくなった。よい効果が単一菌株でも見られたけれども、症状を予防する点において、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)NCFMと ビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)Bi‐07の組合せは単一菌株( ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)NCFM)に対して優位性を示した。
【0102】
加えて、本発明は、50%の差をつけて疾病日数を減少する点から、単一菌株及び2種菌株グループ両方において有利な効果を提供することがわかった。プラセボグループに割り当てられた小児は、単一または2種菌株グループに割り当てられた小児より平均して37%から44%のより多くの総欠席日数を有していたことは表4から明らかである。
【表4】

【0103】
実際に、単一及び2種菌株グループ両方はプラセボグループに比較して、欠席日数において有意な減少を実証するというデータを示した。
【0104】
ダネット検定を用いた多重比較の調整をするANOVA分析を用いることにより、総欠席日数におけるグループ間の差の統計的有意検定にかかる結果を表5に示す。プラセボグループに対する単一菌株又は二種菌株グループどちらか一方との間の差は有意であった(p‐値=0.01)。加えて多重比較の調整を構成している同時95%信頼区間により示されるように、プラセボグループに対する単一又は二種菌株グループを比較すると、その差は有意である。この差は0.1又は0.24日程度に小さいが、総欠席日数についてはまた2.7日又は3.0日程度に高い。
【表5】

【0105】
まとめると、総欠席日数の分析では単一又は二種菌株のプロバイオティクスは幼稚園または保育園の欠席日数について有意な減少を示す。
【0106】
本明細書にて記載したすべての特許及び刊行物は本発明が関わる当業者の水準を表している。あたかも各々個々の刊行物が特別に及び個別に参考により組み入れられることを示しているように、すべての特許及び刊行物は同じ範囲を参考により本明細書に組み入れられる。
【0107】
ここには、本発明の好ましい実施態様を記載しているので、種々の修飾が開示された実施態様でなされることは当業者にとって明らかであり、そのような修飾は特許請求の範囲内であると意図することは当業者にとって明らかである。
【0108】
本発明は目的を遂行し、記載され及び本明細書に備わっている結果及び利点を得ることに十分適応できることを当業者は容易に理解できる。本明細書に記載した組成物及び方法は実施態様の代表的なものであり、典型的なものなので、特許請求の範囲を限定するものとして意図していない。種々の置換及び修飾は特許請求の精神及び範囲を逸脱することなく本明細書に記載された本発明によってなされることは当業者にとって容易に理解できる。
【0109】
適切に本明細書に具体的に記載された本発明は本明細書に特に開示されない任意の要素又は複数の要素、限定又は複数の限定のない状態で実施されてもよい。使用されたその用語及び表現は説明のための用語として用いられ、限定されず、示され及び記載された本発明の特徴またはそれらの一部といずれの均等のものも排除するような用語及び表現の使用を意図するものではない。しかし、種々の修飾がなされたとき、それらは可能な限り特許請求の範囲内であることが認識できる。すなわち、本発明は好ましい実施態様及び任意の技術によって特に開示されているけれども、本明細書に開示された内容の修飾や変化は当業者によって用いられることは理解され、そのような修飾又は変化は添付した特許請求の範囲によって特徴付けられた本発明の範囲内であると考慮されることは理解されるべきである。
【0110】
本発明は本明細書において広く及び一般的に記載されている。一般的に開示されたより狭い種類及び亜属のグループそれぞれもまた本発明の一部を構成する。これは、削除した物質が特に本明細書に記載されているかどうかにかかわらず、任意の対象物質をその属から除く条件的または否定的限定をもつ本発明の一般的な記載を含む。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
小児の呼吸器疾患を減少する方法であって、
a)ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)の培養物を提供すること;
b)呼吸器疾患に罹患する危険性のある小児を提供すること;及び
c)呼吸器疾患に罹患する危険性が減少する条件下、危険性のある前期小児に前記ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)培養物を投与すること
を含む方法。
【請求項2】
前記培養物が少なくともひとつ追加的な細菌株をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細菌株がビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記小児が未就学児であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記投与が秋又は冬の月の間に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記小児が口から前記培養物を投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記培養物が栄養補助食品中に添加して提供されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は前記小児における前記呼吸器疾患を治療するために抗菌剤の投与の必要性を減少させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は前記小児の前記呼吸器疾患が原因による長期欠席を防止することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
小児における呼吸器疾患の症状を減少させる方法であって、
a)ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)の培養物を取得すること;
b)呼吸器疾患に罹患する危険性のある小児を提供すること;及び
c)前記小児における呼吸器疾患症状が減少する条件下、危険性を有する前記小児に前記ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)培養物を投与すること
を含む方法。
【請求項11】
前記培養物が少なくともひとつ追加的な細菌株をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細菌株がビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記小児が未就学児であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記投与が秋又は冬の月の間に行われることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記小児が口から前記培養物を投与されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記培養物が栄養補助食品中に添加して提供されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記呼吸器疾患の症状が発熱、咳、鼻水、頭痛、筋肉痛、喉の痛み、鼻づまり、倦怠感、下痢、及び吐き気の少なくともひとつの症状を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は前記小児における前記呼吸器疾患を治療するために抗菌剤の投与の必要性を減少させることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は前記小児の前記呼吸器疾患が原因による長期欠席を防止することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
小児における呼吸器疾患を予防するための方法であって、
a)ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)の培養物を提供すること;
b)小児を提供すること;及び
c)呼吸器疾患を引き起こすことが可能な微生物にその後に接触しても前記小児が呼吸器疾患に罹患しない条件下、前記小児に前記ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)培養物を投与すること
を含む方法。
【請求項21】
前記培養物が少なくともひとつ追加的な細菌株をさらに含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細菌株がビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)であることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記小児が未就学児であることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記投与が秋又は冬の月の間に行われることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記小児が口から前記培養物を投与されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記培養物が栄養補助食品中に提供されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記方法は前記小児における前記呼吸器疾患を治療するために抗菌剤の投与の必要性を減少させることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記方法は前記小児の前記呼吸器疾患が原因による長期欠席を防止することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
小児における呼吸器疾患の症状を予防するための方法であって、
a)ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)の培養物を提供すること;
b)小児を提供すること;及び
c)呼吸器疾患症状を発症することのできる微生物へ前記小児がその後に接触しても呼吸器疾患症状の発症が予防される条件下、前記小児に前記ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)培養物を投与すること
を含む方法。
【請求項30】
前記培養物が少なくともひとつ追加的な細菌株をさらに含むことを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記細菌株がビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)であることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記小児が未就学児であることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記投与が秋又は冬の月の間に行われることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記小児が口から前記培養物を投与されることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記培養物が栄養補助食品中に添加して提供されることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記呼吸器疾患の症状が発熱、咳、鼻水、頭痛、筋肉痛、喉の痛み、鼻づまり、倦怠感、下痢、及び吐き気の少なくともひとつの症状を含むことを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記方法は前記小児における前記呼吸器疾患を治療するために抗菌剤の投与の必要性を減少させることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記方法は前記小児の前記呼吸器疾患が原因による長期欠席を防止することを特徴とする、請求項29に記載の方法。

【公表番号】特表2010−505824(P2010−505824A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531382(P2009−531382)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/020033
【国際公開番号】WO2008/042101
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509093978)
【Fターム(参考)】