説明

病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キット

【課題】磁性複合体などを病巣細胞に高濃度で集積でき、微少な病巣の検知が高感度で行え、病巣での温熱発生量を増加させることができ、投与も容易に行えるようにする。
【解決手段】多糖類と磁性金属微粒子とが複合したコロイド状磁性複合物にアビジンを結合した結合体Aと、多糖類と磁性金属微粒子とが複合したコロイド状磁性複合物にビオチンを結合した結合体Bと、病巣細胞と特異的に結合する抗体にビオチンまたはアビジンを結合した結合体Cとを有する診断・治療用キットを用い、結合体Cを投与してこれを病巣細胞に結合させ、ついで結合体Aまたは結合体Bを、さらに結合体Bまたは結合体Aを順次繰り返して投与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、悪性腫瘍などの診断、治療に用いられる磁性金属微粒子などを利用した病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キットに関し、病巣に磁性金属微粒子などを選択的に集積することができ、病巣における磁性金属微粒子などの集積量を高めることができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、デキストランなどの多糖類とマグネタイトなどからなる磁性金属微粒子とを複合した磁性複合物が知られており、この磁性複合物を病巣に投与し、交流磁場を与えることで磁性複合物が発熱し、治療が可能であることも、温熱療法として知られている(WO90/01939)。
【0003】
また、特開平6−9411号公報には、磁性複合体水性ゾルと油脂滴あるいは水不溶性固体微粒子とからなる温熱療法用組成物が開示され、この発明では前記組成物をカテーテルを用いて患部近傍に注入でき、患者に対する負担が少なく、温熱効果も高いとされている。
【0004】
さらに、WO98/08899には、多糖のカルボキシルアルキルエーテル化物と磁性金属酸化物とからなる複合体が開示されており、このものでは血液クリアランスが遅く、毒性も低く、核磁気共鳴イメージング(MRI)用血管造影剤に好適であることが示されている。
【0005】
しかしながら、これら先行発明にあっては、患部に組成物等を直接投与するものは現実に実施困難であり、直接投与する以外に目的とする濃度まで磁性金属微粒子を患部に集積することができない問題があった。このため、十分な治療効果が得られない不都合がある。
さらに、WO98/08899に開示された多糖のカルボキシルアルキルエーテル化物と磁性金属酸化物とからなる複合体では患部への浸透が不十分で、微少な病巣を検知できない問題もある。
【特許文献1】WO90/01939号パンフレット
【特許文献2】特開平6−9411号公報
【特許文献3】WO98/08899号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明における課題は、磁性複合体を病巣細胞に高濃度で集積でき、微少な病巣の検知が高感度で行え、病巣での温熱発生量を増加させることができるととも投与も容易に行えるようにすることにある。
また、磁性複合体以外の制ガン剤や免疫細胞などを同様に病巣細胞に高濃度に集積できるようすることにもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、多糖類と物質とが複合した複合物にアビジンを結合した結合体Aと、多糖類と物質とが複合した複合物にビオチンを結合した結合体Bと、病巣細胞と特異的に結合する抗体にビオチンまたはアビジンを結合した結合体Cとを有する病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キットである。
【0008】
請求項2にかかる発明は、多糖類と物質とが複合した複合物にアビジンを結合した結合体Aと、ビオチンと、病巣細胞と特異的に結合する抗体にビオチンまたはアビジンを結合した結合体Cとを有する病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キットである。
【0009】
請求項3にかかる発明は、アビジンと、多糖類と物質とが複合した複合物にビオチンを結合した結合体Bと、病巣細胞と特異的に結合する抗体にビオチンまたはアビジンを結合した結合体Cとを有する病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キットである。
【0010】
請求項4にかかる発明は、前記複合物が多糖類と磁性金属微粒子とが複合したコロイド状磁性複合物または多糖類と抗ガン剤とが複合した複合物または多糖類と免疫細胞とが複合した複合物である請求項1、2または3記載の病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キットである。
【0011】
請求項5にかかる発明は、前記コロイド状磁性複合物が、デキストランマグネタイトを含むものである請求項4記載の病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キットである。
請求項6にかかる発明は、前記抗体が、モノクロナール抗体である請求項1ないし5のいずれかに記載の病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キットである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、診断・治療用キットのうち、初めに結合体Cを投与することで、病巣細胞に特異的な抗原をターゲットとして結合体Cが病巣細胞に特異的あるいは選択的に結合する。ついで、先に投与した結合体Cがビオチンを有するものであれば、つぎに前記キットのうち、結合体Aを投与する。これにより病巣細胞に結合した結合体Cのビオチンと結合体Aのアビジンが特異的に結合して病巣細胞に結合体Aが結合体Cを介して結合し、前記物質、例えば、磁性金属微粒子が病巣細胞に結合する。
【0013】
ついで、前記キットのうち、結合体Bを投与する。結合体Bのビオチンは結合体Aのアビジンと特異的に結合して、結合体Bが間接的に病巣細胞に結合し、磁性金属微粒子などの前記物質がさらに結合する。以下、結合体Aの投与と結合体Bの投与を交互に繰り返すことで、病巣細胞に例えば、磁性金属微粒子が順次集積してゆく。このような操作を行うことで、投与された結合体Aおよび結合体Bは選択的に目的とする病巣細胞に集中的にネットワーク状に集合し、病巣細胞における磁性金属微粒子などの物質の集積量を高めることができる。
【0014】
このため、MRI検査においては、微細な病巣を高感度でコントラストよく検出できる。さらに、交流磁場を与えた場合も病巣のみを集中して加熱することができ、高い治療効果が期待できる。
なお、初めに投与する複合体Cがアビジンを有するものであれば、次に複合体Bを投与し、さらに複合体Cを投与することになるが、その作用機序は同様である。
【0015】
また、結合体Aに代えてアビジンを用いたものでも、結合体Bに代えてビオチンを用いても、同様にネットワーク状に結合体A、Bが集積し、磁性金属微粒子などの前記物質を病巣細胞に集中的に集積できる。
さらに、磁性金属微粒子に代えて、制ガン剤や免疫細胞を用いても同様の効果が得られ、これら制ガン剤等を病巣細胞に集中的に集積でき、治療効果を改善できることが期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳しく説明するが、初めに磁性金属微粒子を用いた実施形態について例示する。
[結合体A]
結合体Aは、多糖類と磁性金属微粒子とが複合したコロイド状磁性複合物にアビジンを結合したものである。
ここでの多糖類としては、デキストラン、デンプン、プルラン、セルロースなどやこれのアルカリ処理物、カルボキシアルキル誘導体などが用いられ、カルボキシアルキル化デキストランなどが好ましい。
【0017】
磁性金属微粒子としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性金属の酸化物などの平均粒径3〜50nmの微粒子がコロイド状に分散された状態のものが用いられ、なかでもマグネタイト、フェライトの微粒子を含むものが好ましい。
多糖類と磁性金属微粒子とを複合してコロイド状磁性複合物を得るには、磁性金属微粒子がコロイド状に分散された水性液に多糖類を添加し、中性あるいは弱酸性条件下に加熱処理するなどの方法が採用される。
【0018】
コロイド状磁性複合物としては、市販の製品、例えばカルボキシデキストランで被覆されたマグネタイトの親水性コロイド液(一般名:フェルカルボトラン、商品名:リゾビスト 日本シェーリング社製)などのデキストランマグネタイトを含む水性液等を使用することができる。
アビジンとしては、例えば、ピアス社、シグマ社などから販売されている試薬のアビジン、ストレプトアビジンなどのアビジン誘導体を使用することができる。アビジンは、承知のように、低分子の塩基性糖タンパク質で、分子内に4個のビオチン結合サイトを有しており、ビオチンと極めて高いアフィニティを有するものである。
【0019】
前記コロイド状磁性複合物とアビジンとからなる結合体Aの作製は、コロイド状磁性複合物水性液にアビジンと、縮合剤(EDC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド ハイドロクロリド)を加え、撹拌したのち、透析により低分子物を除去する方法などで行われる。
また、コロイド状磁性複合物とアジビンとを間接的に、例えばポリエチレングリコールなどのスペーサーを介して結合でき、このものも本発明での結合体Aに包含される。
【0020】
[結合体B]
結合体Bは、多糖類と磁性金属微粒子とが複合したコロイド状磁性複合物にビオチンを結合したものである。ここでのコロイド状磁性複合物は、前記結合体Aでのコロイド状磁性複合物と同様のものが用いられる。
ビオチンとしては、例えば、ピアス社などから市販されているビオチン、ビオチン誘導体を使用することができる。
【0021】
前記コロイド状磁性複合物とビオチンとからなる結合体Bの作製は、コロイド状磁性複合物水性液にビオチンと、縮合剤(EDC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド ハイドロクロリド)を加え、撹拌したのち、透析により低分子物を除去する方法などで行われる。
【0022】
[結合体C]
結合体Cは、病巣細胞と特異的に結合する抗体にビオチンまたはアビジンを結合したものである。ここでの病巣細胞とは、診断・治療対象となる肝臓ガン、乳ガンなどのガン細胞など病変細胞を指し、この病巣細胞と特異的に結合する抗体とは、この病巣細胞に特異的に発現する抗原に対するモノクロナール抗体などの抗体を言う。具体例としては、乳ガン細胞(SK−BR3など)の表面に形成される受容体であるHER2タンパク質に対するモノクロナール抗体であるハーセプチンなどである。
【0023】
このような抗体に前記ビオチンまたはアビジンを結合させたものが結合体Cであり、この結合体Cの作製は、例えば、前記抗体に市販のビオチンラベリングキットなどを用いて抗体のアミノ基などにビオチンを結合させる方法などで行われる。
【0024】
また、本発明の診断・治療用キットは、多糖類と磁性金属微粒子とが複合したコロイド状磁性複合物にアビジンを結合した結合体Aと、ビオチンと、病巣細胞と特異的に結合する抗体にビオチンまたはアビジンを結合した結合体Cとを有するもの、もしくはアビジンと、多糖類と磁性金属微粒子とが複合したコロイド状磁性複合物にビオチンを結合した結合体Bと、病巣細胞と特異的に結合する抗体にビオチンまたはアビジンを結合した結合体Cとを有するものであってもよい。
ここでの結合体A、結合体Bおよび結合体Cは、先に述べたものと同様のものであり、アビジンおよびビオチンを先に説明したような市販品を使用することができる。
【0025】
さらに、本発明の診断・治療用キットでは、結合体Aおよび結合体Bをなす前記物質としては、磁性金属微粒子以外に、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁液(例えば、「AB1−007]など)や抗ガン剤を封入したミセル化ナノ粒子などの抗ガン剤やTリンパ球などの免疫細胞を用いることができる。
【0026】
つぎに、本発明の診断・治療用キットを使用した診断、治療方法について説明する。
ここでは、診断、治療の対象となる病巣細胞がガン細胞で、磁性金属微粒子を用いた例を示す。
診断、治療の対象となるガン細胞(例えば、乳ガン細胞SK−BR3)に特異的に発現する抗原(例えば、HER2タンパク質)に対する抗体(例えば、ハーセプチン)にアビジンを結合した結合体Cを初めに投与する。投与方法は、静脈内投与など経血管投与で行われ、これにより容易にガン細胞に到達する。
投与された結合体Cは、その抗体(例えば、ハーセプチン)が抗原(例えば、HER2タンパク質)に結合することで、乳ガン細胞(例えばSK−BR3)に結合する。
【0027】
次いで、結合体Bを投与する。投与方法は、静脈内投与などが用いられる。投与された結合体Bは、そのビオチンと結合体Cのアビジンとが結合し、乳ガン細胞−結合体C−結合体Bのチェーン状の連鎖結合物が形成する。結合体Bには、磁性金属微粒子が含まれているので、乳ガン細胞には選択的に磁性金属微粒子が結合した状態となる。
つぎに、結合体Aを投与する。投与方法は、静脈内投与などが用いられる。投与された結合体Aは、そのアビジンが前記連鎖複合物の末端の結合体Bのビオチンと選択的に結合して、乳ガン細胞−結合体C−結合体B−結合体Aのネットワーク状の連鎖結合物が形成する。
【0028】
以下、結合体Bと結合体Aとを交互に繰り返し投与することで、前記連鎖複合物にはさらに結合体Aと結合体Bが結合し、巨大な連鎖結合物となる。
このようにして得られた連鎖結合物では、乳ガン細胞に結合する磁性金属微粒子量が増加していく。
【0029】
そして、乳ガン細胞と結合体Cとの結合が抗原−抗体反応であり、結合体Cと結合体Bとのおよび結合体Bと結合体Aとの結合はアビジンとビオチンとの特異的な結合であるので、対象となる乳ガン細胞以外の細胞にこれら結合体が結合することがなく、乳ガン細胞に選択的にかつ集中的に結合して磁性金属微粒子を無駄なく、狙った乳ガン細胞に結合させることができる。
また、結合体Bと結合体Aの投与を繰り返すことで、乳ガン細胞に結合した磁性金属微粒子量を増加させることができる。
【0030】
このため、MRI検査においては、微細なガン病巣を高感度でコントラストよく検出できる。さらに、交流磁場を与えた場合もガン病巣のみを集中して加熱することができ、高い治療効果が期待できる。
また、結合体Cにビオチンが結合されているものを投与した場合では、結合体Aを投与し、ついで結合体Bを投与することで、乳ガン細胞−結合体C−結合体A−結合体Bの連鎖結合物が形成することとなって、同様の作用機序を発揮する。
【0031】
また、結合体Aに代えてアビジンを用いた診断・治療用キットでも、ビオチンを有する結合体Cを投与し、ついでアビジンを投与し、さらに結合体Bを投与し、以下アビジンと結合体Bを交互に繰り返して投与することで、同様の作用効果が得られる。
さらに、結合体Bに代えてビオチンを用いた診断・治療用キットでも、アビジンを有する結合体Cを投与し、ついでビオチンを投与し、さらに結合体Aを投与し、以下ビオチンと結合体Aを交互に繰り返して投与することでも同様の作用効果が得られる。
【0032】
さらに、磁性金属微粒子に代えて、制ガン剤や免疫細胞を用いた場合でも、同様の作用機序によって制ガン剤や免疫細胞を病巣細胞に集積することになる。
また、
【0033】
以下、具体例を示す。
(実施例1)−アビジン化デキストランマグネタイト:結合体Aの作製−
デキストランマグネタイト(日本シェーリング社製:リゾビスト)水溶液にアビジン(シグマ社製)と縮合剤(EDC)を加え、一晩撹拌したのち透析し、低分子物を除去してアビジン化デキストランマグネタイトを得た。
【0034】
(実施例2)−ビオチン化デキストランマグネタイト:結合体Bの作製−
デキストランマグネタイト(日本シェーリング社製:リゾビスト)水溶液にビオチン誘導体(ピアス社製:EZ−Link Amino−PEO−ビオチン)と縮合剤(EDC)を加え、一晩撹拌したのち透析し、低分子物を除去してビオチン化デキストランマグネタイトを得た。
【0035】
(実施例3)−ビオチン化ハーセプチン:結合体Cの作製−
市販のビオチンラベリングキット(コスモ・バイオ社販売)を使用し、そのキットのNH−反応性ビオチンとハーセプチンとを緩衝液中で反応させ、遠心分離してビオチン化ハーセプチンを得た。
【0036】
(参考例1)−キットの検証実験1−
乳ガン細胞(SK−BR3)に1%BSA(牛血清アルブミン)と0.1%アジ化ナトリウムを加え、4℃で20分間反応させ、つぎにビオチン化ハーセプチンを加えて4℃で60分間反応させた。引き続き、ストレプトアビジンHRP(ホースラディシュパーオキシダーゼ修飾ストレプトアビジン:発色剤)を加え、4℃で30分間反応させた。
このものに、1)ビオチン化デキストランマグネタイトを加え、4℃で30分間反応させ、さらにストレプトアビジンQdots565(発色剤)を加えて、4℃で30分間反応させたてサンプルを得た。2)デキストランマグネタイトを加え、4℃で30分間反応させ、さらにストレプトアビジンQdots565(発色剤)を加えて、4℃で30分間反応させて、ネガティブコントロールサンプルを得た。
【0037】
前記2種のサンプルを顕微鏡で観察し、その発色の評価を行った。ネガティブコントロールサンプルよりも、サンプルの発色が強かったことから、デキストランマグネタイトのビオチン化が成功したと考えられる。
前記操作により、サンプルでは、乳ガン細胞−ビオチン化抗体−アビジン化HRP−ビオチン化デキストランマグネタイト−アビジン化Qdots565が生成し、一方ネガティブコントロールサンプルでは、乳ガン細胞−ビオチン化抗体−アビジン化HRPが生成したものと考えられる。
【0038】
(参考例2)−キットの検証実験2−
乳ガン細胞(SK−BR3)に1%BSA(牛血清アルブミン)と0.1%アジ化ナトリウムを加え、4℃で20分間反応させ、つぎにビオチン化ハーセプチンを加えて4℃で60分間反応させた。引き続き、ストレプトアビジンQdots565を加え、4℃で30分反応させた(ネガティブコントロールサンプル)ものに、ビオチン化デキストランマグネタイトを加えて4℃で30分間反応させ、さらにストレプトアビジンQdots565を加えて4℃で30分間反応させて、サンプルを作製した。このサンプルでは、ストレプトアビジンQdots565を2回反応させたものである。
【0039】
2種のサンプルを顕微鏡により観察して、その発色を評価した。サンプルの発色がネガティブコントロールサンプルよりも強かったことから、磁性金属微粒子の集積量が多かったことが予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖類と物質とが複合した複合物にアビジンを結合した結合体Aと、
多糖類と物質とが複合した複合物にビオチンを結合した結合体Bと、
病巣細胞と特異的に結合する抗体にビオチンまたはアビジンを結合した結合体Cとを有する病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キット。
【請求項2】
多糖類と物質とが複合した複合物にアビジンを結合した結合体Aと、
ビオチンと、
病巣細胞と特異的に結合する抗体にビオチンまたはアビジンを結合した結合体Cとを有する病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キット。
【請求項3】
アビジンと、
多糖類と物質とが複合した複合物にビオチンを結合した結合体Bと、
病巣細胞と特異的に結合する抗体にビオチンまたはアビジンを結合した結合体Cとを有する病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キット。
【請求項4】
前記複合物が多糖類と磁性金属微粒子とが複合したコロイド状磁性複合物または多糖類と抗ガン剤とが複合した複合物または多糖類と免疫細胞とが複合した複合物である請求項1、2または3記載の病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キット。
【請求項5】
前記コロイド状磁性複合物が、デキストランマグネタイトを含むものである請求項4記載の病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キット。
【請求項6】
前記抗体が、モノクロナール抗体である請求項1ないし5のいずれかに記載の病巣細胞への治療担体もしくは診断試薬の相乗的集積システムを用いた診断・治療用キット。

【公開番号】特開2008−303172(P2008−303172A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151774(P2007−151774)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】