説明

病院情報管理装置及び病院情報システム

【課題】不正確又は曖昧な表現を含む医療情報の発生を防止すること。
【解決手段】コメント取込部51は、医療における要求事項又は注意事項に関する文字列を入力するための病院内のコンピュータ装置のコメント入力部51からネットワークを介して文字列を受信する。病院情報管理部55は、受信された文字列が文法的に正しいか否かを判定する。配信部57は、病院情報管理部55により正しいと判定された場合、正しい旨をコンピュータ装置に送信し、病院情報管理部55により正しくないと判定された場合、正しくない旨をコンピュータ装置の配信情報受信部59に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、病院情報管理装置及び病院情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院内での各種情報の電子化のために病院情報システムが開発されている。病院情報システムにおいて、例えば、オーダー発行時・撮影時・読影時等に注意事項や要求事項等が依頼科コメントや検査目的等のコメントとして依頼医・技師・読影医により入力されている。コメントは、読影レポート・電子カルテからオーダリングシステムへフィードバックされている。しかし、コメントが不正確であったり曖昧であったりする場合がある。
【0003】
一方、注意事項や要求事項等のコメントを病院情報システムに入力せずに、付箋紙等の手書きのメモで連絡したり、口頭で連絡したりする場合がある。この場合もやはり、注意事項や要求事項が不正確であったり曖昧であったりする場合がある。また、メモや口頭での連絡の場合、部門間で注意事項や要求事項が正確に伝達されない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003―271732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
目的は、不正確又は曖昧な表現を含む医療情報の発生を防止することが可能な病院情報管理装置及び病院情報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る病院情報管理装置は、医療における要求事項又は注意事項に関する文字列を入力するための病院内のコンピュータ装置にネットワークを介して接続された病院情報管理装置であって、前記コンピュータ装置から前記ネットワークを介して前記文字列を受信する受信部と、前記受信された文字列が文法的に正しいか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部により正しいと判定された場合、正しい旨を前記コンピュータ装置に送信し、前記第1判定部により正しくないと判定された場合、正しくない旨を前記コンピュータ装置に送信する送信部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係る病院情報システムの構成を示す図。
【図2】図1の病院情報システムの機能ブロック図。
【図3】図2の管理制御部の制御のもとに行われる本実施形態に係る処理の典型的な流れを示す図。
【図4】図2の管理制御部の制御のもとに行われる本実施形態の変形例に係る処理の典型的な流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる病院情報管理装置及び病院情報システムを説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る病院情報システム1の典型的な構成を示す図である。図1に示すように、病院情報システム1は、ネットワークを介して接続された、問診装置11、オーダリング装置13、RIS装置15、撮影装置17、検像装置19、保存装置21、読影レポート装置23、電子カルテ装置25、病棟装置27、薬剤部装置29、及び病院情報管理装置31を有している。
【0010】
問診装置11は、医師等の操作者からの指示に従って問診結果に関する情報(問診結果情報)を入力するためのコンピュータ装置である。問診結果情報は、オーダリング装置13や病院情報管理装置31に送信される。オーダリング装置13は、依頼医等の操作者からの指示に従って、問診結果情報等をもとに検査依頼に関する情報(検査依頼情報)を生成し、検査依頼を発行する(オーダリング)ためのコンピュータ装置である。検査依頼情報は、オーダリング装置13や病院情報管理装置31に送信される。RIS装置15は、RIS(放射線課部門情報システム)を構成するコンピュータ装置である。RIS装置15は、検査依頼情報に従って撮影装置17を管理する。検査依頼情報は、撮影装置17や病院情報管理装置31に送信される。撮影装置17は、技師等の操作者の操作のもとに、検査依頼情報に従って、患者に関する医用画像を発生するためのモダリティである。医用画像は、検像装置19や病院情報管理装置31に送信される。検像装置19は、撮影装置17により発生された医用画像を検像するためのコンピュータ装置である。検像は、検査がオーダー通りに行われているかを確認・修正するための作業である。検像により生成された情報(検像結果情報)は、病院情報管理装置31や保存装置21に送信される。保存装置21は、医用画像や検像結果情報を保存する。読影レポート装置23は、読影医等の操作者からの指示に従って、読影依頼に対する結果報告書(読影レポート)を作成するコンピュータ装置である。読影レポートは、病院情報管理装置31や電子カルテ装置25に送信される。電子カルテ装置25は、操作者からの指示に従って、電子カルテを作成するためのコンピュータ装置である。電子カルテ25は、オーダリング装置13にフィードバックされたり、病院情報管理装置31に送信されたりする。病棟装置27は、病院の病棟に設置されたコンピュータ装置である。病棟装置27は、看護師等の操作者からの指示に従って、患者の治療経過等に関する情報(患者情報)を入力する。薬剤部装置29は、病院の薬剤部に設置されたコンピュータ装置である。薬剤部装置29は、薬剤師等の操作者からの指示に従って、薬剤に関する情報(薬剤情報)を入力する。
【0011】
このように病院においては、問診結果情報、検査依頼情報、医用画像、検像結果情報、読影レポート、電子カルテ、患者情報、薬剤情報等の様々な情報が発生される。以下、病院において発生されるこれら情報をまとめて病院情報と呼ぶことにする。
【0012】
問診装置11、オーダリング装置13、RIS装置15、撮影装置17、検像装置19、保存装置21、読影レポート装置23、電子カルテ装置25、病棟装置27、及び薬剤部装置29は、病院情報の入力装置として機能している。
【0013】
操作者(例えば、依頼医、技師、読影医、看護師、薬剤師等の医療従事者)は、病院情報システム1内の各装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29を利用して、様々な病院情報を入力する。例えば、問診装置11により問診結果情報、オーダリング装置13により検査依頼情報、読影レポート装置23により読影レポート内の所見情報等が入力される。病院情報は、典型的には、その情報種に応じた入力フォームに入力される。病院情報は、例えば、入力項目に用語や文章等の文字列として入力される。情報種に応じた固定的なレイアウトにおいては、必然的に、入力項目が限られている。また、入力項目が設けられていても入力スペースが狭い場合がある。入力項目が設けられていない種類の情報や、入力スペースに収まらない情報は、補足欄やコメント欄等の自由記入欄に用語や文章等の文字列として入力される。特に、入力者以外の他の医療従事者に伝えるための注意事項や要求事項等は、自由記入欄に入力される場合が多い。以下、自由記入欄に入力される文字列をコメントと呼ぶことにする。
【0014】
病院情報管理装置31は、病院情報システム1において発生される病院情報を一元的に管理する管理マネージャとして機能する。例えば、病院情報管理装置31は、病院情報システム1内の各装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29から入力された操作者のコメントを管理・整理する。
【0015】
以下に病院情報管理装置31を中心として病院情報システム1の構成・動作についてより詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る病院情報システム1の機能ブロック図である。図2に示すように、病院情報システム1は、コメント入力部51、コメント取込部53、病院情報管理部55、配信部57、及び配信情報受信部59を有している。
【0016】
コメント入力部51は、病院情報システム1の各装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29に実装されている入力機器により実現される。コメント入力部は、操作者により各装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29の入力機器を介して、注意事項や要求事項等のコメント(文字列)を入力する。入力機器としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。
【0017】
コメント取込部53は、病院情報管理装置31に設けられる。コメント取込部53は、操作者によりコメント入力部53を介して入力されたコメントを病院情報管理装置31に取り込む。
【0018】
病院情報管理部55は、病院情報管理装置31の中枢として機能する。例えば、病院情報管理部55は、取り込まれたコメントを管理したり整理したりする。例えば、病院情報管理部55は、コメントが文法的に正しいか否かを判定する。コメントが文法的に正しくないと判定した場合、病院情報管理部55は、このコメントを補正する。以下、補正後のコメントを補正コメントと呼ぶことにする。生成された補正コメントは、病院情報管理部55に登録される。一方、コメントが文法的に正しいと判定した場合、病院情報管理部55は、このコメントを登録する。
【0019】
配信部57は、コメント入力部51により入力されたコメントについての判定結果や補正コメント等の配信情報を、配信先のコンピュータ装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29に配信する。配信先のコンピュータ装置は、操作者により任意に設定される。例えば、コメントの入力が行われたコンピュータ装置に設定される。具体的には、配信部57は、病院情報管理部55によりコメントが文法的に正しくないと判定された場合、入力されたコメントが正しくない旨のメッセージを、判定対象のコメントの入力が行われたコンピュータ装置に配信する。病院情報管理部55によりコメントが文法的に正しいと判定された場合、入力されたコメントが正しい旨のメッセージを、判定対象のコメントの入力が行われたコンピュータ装置に配信する。また、病院情報管理部55により補正コメントが生成された場合、この補正コメントを配信先のコンピュータ装置に配信する。
【0020】
配信情報受信部59は、病院情報システム1のコンピュータ装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29により実現される。配信情報受信部59は、配信部57からの配信情報を受信する。
【0021】
次に病院情報管理部55の詳細な構成について説明する。図2に示すように、病院情報管理部55は、データベース551、コメント記憶部553、及び管理制御部555を有する。
【0022】
データベース551は、コメントの正確な使用例を登録している、具体的には、データベース551は、複数の医療用語の各々に、用語に関する文法的且つ文脈的に正確な文章例を関連付けて記憶している。すなわち、データベース551は、例えば、用語に関する正確な表現、用語に関する不足の無い表現を集めた事例集である。
【0023】
コメント記憶部553は、コメント取込部53から供給されたコメントや、管理制御部555により生成された補正コメントを記憶する。
【0024】
管理制御部555は、病院情報管理部55の中枢として機能する。例えば、管理制御部555は、コメントに関する解析部5551、判定部5553、補正部5555として機能する。例えば、管理制御部555は、コメント取込部53から供給されたコメントの意図を解析する。また、管理制御部555は、コメント取込部53から供給されたコメントが文法的に正しいか否かを判定する。コメントが文法的に正しくないと判定した場合、管理制御部555は、このコメントを補正し、補正コメントを生成する。生成された補正コメントは、コメント記憶部553に登録される。一方、コメントが文法的に正しいと判定した場合、管理制御部555は、このコメントをコメント記憶部553に登録する。
【0025】
次に、管理制御部555の制御のもとに行われる病院情報管理装置31の動作例について説明する。図3は、管理制御部555の制御のもとに行われる本実施形態に係る処理の典型的な流れを示す図である。図3に示すように、まず、管理制御部555は、注意事項や要求事項に関するコメントが入力されることを待機している(ステップSA1)。具体的には、操作者は、各コンピュータ装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29のコメント入力部51にコメントを入力する。コメントは、例えば、病院情報の入力フォーム上の自由記入欄に単語や文章等の文字列として入力される。コメントは、キーボード等の文字入力だけでなく、スキャナ機能を利用して手書きにより入力したり、音声認識技術を利用して音声により入力したりしても良い。入力されたコメントは、各コンピュータ装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29からネットワークを介して病院情報管理装置31に送信される。病院情報管理装置31により受信されたコメントは、コメント取込部53により取り込まれ、病院情報管理部55に入力される。
【0026】
病院情報管理部55にコメントが入力されると(ステップSA1:YES)、管理制御部555の解析部5551は、コメントの解析処理を行う(ステップSA2)ステップSA2において解析部5551は、コメントの入力の意図を判別することによって、コメントを分類し、コメント記憶部553に登録する。例えば、解析部5551は、コメントの入力欄の種類やコメント中の用語を、管理制御部555が有するロジックやデータベース551に照らし合わせること、あるいはまた、データマイニングによるコメントの解析によって、コメントの入力の意図を判別する。
【0027】
ステップSA2が行われると管理制御部555の判定部5553は、補正要否の判定処理を行う(ステップSA3)。ステップSA3において判定部5553は、入力されたコメントを補正する必要があるか否かを判定する。
【0028】
以下、ステップSA3における補正要否の判定処理を具体的に説明する。まず、判定部5553は、データベース551に登録されている文章例とステップSA1において入力されたコメントとを照合し、このコメントが文法的及び文脈的に正しいか否かを判定する。文法的及び文脈的に正しいか否かは、例えば、コメントに主語、述語、及び次処理が記載されているか否かに相当する。主語、述語、及び次処理が記載されている場合、文法的及び文脈的に正しく、主語、述語、及び次処理の少なくとも一つが記載されていない場合、文法的及び文脈的に正しくない。例えば、判定部5553は、コメントに含まれる用語を抽出し、抽出された用語を検索キーとしてデータベース551を検索し、検索キーに関連付けられた述語及び次処理を特定する。次に判定部5553は、コメントに、特定された述語及び次処理がコメントに含まれているか否かを判定する。特定された述語及び次処理がコメントに含まれている場合、判定部5553は、コメントが文法的及び文脈的に正しい、すなわち補正の必要なしと判定する。一方、特定された述語及び次処理の少なくとも一方がコメントに含まれている場合、判定部5553は、コメントが文法的及び文脈的に正しくない、すなわち、補正の必要有りと判定する。例えば、ステップSA1において「**アレルギー」とのコメントが入力されたとする。また、データベース551においては、用語「**アレルギー」のレコードには、述語「・・・がある」と次処理「**の薬剤が使用できず」とが登録されているとする。この場合、判定部5553は、「**アレルギー」を検索キーとしてデータベース551を検索し、「**アレルギー」のレコードを特定する。次に判定部5553は、コメントに、特定されたレコード中の述語(「・・・がある」)及び次処理(「**の薬剤が使用できず」)が含まれているか否かを判断する。この場合、コメント「**アレルギー」には、上述の述語と次処理とが含まれていないので、補正の必要有りと判定される。
【0029】
なお、ステップSA3における判定部5553による補正要否の判定は、コメントとデータベース551との照合によるものに限定されず、例えば、管理制御部555が有するロジックとコメントとの照合や、データマイニングによりコメントの解析により行われても良い。
【0030】
ステップSA3において補正の必要ありと判定されると(ステップSA3:YES)、管理制御部555は、配信部57に判定結果の配信処理を行わせる(ステップSA4)。ステップSA4において配信部57は、ステップSA1においてコメントの入力作業が行われた装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29に判定結果を配信する。ステップSA3において配信される判定結果は、例えば、コメントが文法的又は文脈的に正しくない旨の警告文等が挙げられる。判定結果は、例えば、電子メールで送信されるとよい。配信先の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29は、配信部57から送信された判定結果を受信し、表示する。これにより、コメントを入力した操作者等にコメントの文法的な不具合や文脈的な不具合を通知することができる。
【0031】
ステップSA4が行われると管理制御部555の補正部5555は、コメントの補正処理を行う(ステップSA5)。ステップSA5において補正部5555は、コメントに文法的且つ文脈的に整合させるための追加文をコメントに追加して補正コメントを生成する。追加文は、例えば、データベース551を利用して決定される。
【0032】
以下、ステップSA5における補正処理を具体的に説明する。まず、補正部5555は、コメントとデータベース551に登録されている文章例とを照合し、追加文を決定する。例えば、ステップSA1においてコメント「**アレルギー」が入力され、また、データベース551の用語「**アレルギー」のレコードにおいて、用語「**アレルギー」に述語「・・・がある」と次処理「**の薬剤が使用できず」とが関連付けられているとする。この場合、補正部5555は、ステップSA1において入力されたコメントと用語「**アレルギー」のレコードとを照合し、コメントには述語と次処理とが不足していると判断する。次に補正部5555は、この述語と次処理とから「・・・があるので、**の薬剤が使用できず」という追加文を決定する。そして補正部5555は、決定された追加文をコメントに追加し、補正コメント「**アレルギーがあるので、**の薬剤が使用できず」を生成する。生成された補正コメントは、コメント記憶部553に記憶される。
【0033】
前述の補正処理の要否はコメントに不足があった場合について説明したが、補正部5555による補正処理はこれに限定されない。例えば、コメントが曖昧な表現である場合についてもデータベース551を同様に利用して文法的及び文脈的に正しい補正コメントを生成することが可能である。
【0034】
曖昧な表現の補正処理について具体例を挙げて説明する。例えば、ステップSA1において「**アレルギーがあるので、**の薬剤に注意」というコメントが入力されたとする。また、このコメントの“注意”という単語が、データベース551に曖昧な単語として登録されており、かつ、“アレルギー”という単語もデータベース551に登録されているとする。この場合、コメントは、ステップSA3において、曖昧な表現であるとして、補正の必要有りと判定される。その後、補正部5555は、“アレルギー”という単語についての処置として、“禁忌”、“原則禁忌”、“慎重投与”という単語がデータベース551に登録されており、その中から適した単語を選択し、補正コメントを生成する。
【0035】
なおステップSA5は、ステップSA4において判定結果が配信されることを契機として開始されるとした。しかしながら、ステップSA5の開始条件はこれに限定されない。例えば、判定結果の配信先の各装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29を介して、補正処理の開始要求がなされたことを契機として、ステップSA5が開始されてもよい。これにより、ステップSA1においてコメントを入力した操作者に、補正処理の要否を判断させることができる。
【0036】
ステップSA5が行われると管理制御部555は、配信部57に補正コメントの配信処理を行わせる(ステップSA6)。ステップSA6において配信部57は、ステップSA1においてコメントの入力作業が行われた配信先の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29に補正コメントを配信する。補正コメントは、例えば、電子メールで送信されるとよい。配信先の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29は、配信部57から送信された補正コメントを受信し、表示する。これにより、コメントを入力した操作者等に、補正コメントを確認させることができる。
【0037】
例えば、前述の具体例の場合、「**アレルギーがあるので、**の薬剤が使用できず」が正しい内容であるが、「**アレルギー」というコメントのみが入力された。このままでは、まず、「**アレルギー」があるのか否かが不明であり、あるとしても何が禁忌されているのか不明である。しかしながら、本実施形態によれば、「**アレルギー」というコメントを「**アレルギーがあるので、**の薬剤が使用できず」というコメントに補正することができる。従って医療従事者に正しい内容を確認させることができる。
【0038】
一方、ステップSA3において補正の必要なしと判定すると(ステップS3:NO)、管理制御部555は、配信部57に判定結果の配信処理を行わせる(ステップSA7)。ステップSA7において配信部57は、ステップSA1においてコメントの入力作業が行われた装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29に判定結果を配信する。ステップSA7において配信される判定結果は、例えば、コメントが文法的及び文脈的に正しい旨の文章が挙げられる。判定結果は、例えば、電子メールで送信されるとよい。配信先のコンピュータ装置は、配信部57から送信された判定結果を受信し、表示する。これにより、コメントを入力した操作者等にコメントの文法的且つ文脈的整合性を通知することができる。
【0039】
ステップSA6又はSA7が行われると管理制御部555による処理が終了する。
【0040】
前述において、コメントは、入力フォーム上の自由記入欄に入力されるとした。しかしながら、本実施形態に係る処理対象のコメントは、入力フォーム上の入力項目欄に記載された文字列であってもよい。この場合における上述の管理制御部555の制御のもとに行われる処理の具体例として、ステップSA1においてX線の線量の調整項目が入力された場合を考える。X線の線量の調整項目としては、例えば、項目「体重」と項目「体脂肪」とがあり、両方の調整項目にパラメータが入力されなければならないとする。しかし、2つの調整項目の少なくとも1つにパラメータが入力されない場合、例えば、項目「体重」にはパラメータが記載されているが、項目「体脂肪」にパラメータが記載されていない場合がある。この場合、解析部5551は、「体重」を検索キーとしてデータベースを検索し、データベースに登録されている用語「X線の線量」のレコードにおいて、用語「X線の線量」に用語「体脂肪」が関連付けられていることを確認する。次に、判定部5553は、ステップSA3において、項目「体脂肪」へのパラメータの入力が不足していると判定する。この場合、配信部59は、項目「体脂肪」へのパラメータの入力が不足している旨の警告文を、調整項目の入力作業が行われた装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29にメールで配信する。これにより操作者に、項目「体脂肪」へのパラメータの入力が不足していることを認識させ、入力を促すことができる。これにより、必須の調整項目へパラメータが入力されないことによって引き起こされるX線検査のやり直しを防止することができる。
【0041】
前述の説明においては、ステップSA1においてコメントの入力作業が行われた装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29に判定結果が送信されるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。コメントは、病院内の複数の医療従事者間での共有を目的として入力される場合がある。この場合、病院情報システム1内の任意の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29が病院情報管理装置31内の情報を取得できることが望ましい。このために、図1に示すように、病院情報管理装置31は、さらに、参照依頼入力部61、参照依頼取込部63、参照依頼取得部65、参照依頼回答部67、及び参照情報受信部69を有している。
【0042】
参照依頼入力部61は、病院情報システム1の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29に実装される入力機器により実現される。参照依頼入力部61は、操作者が参照したいコメント(以下、参照コメントと呼ぶことにする。)の参照依頼を操作者からの指示に従って入力する。参照コメントは、コメント記憶部553に保存されているコメントから抽出される。参照依頼は、参照コメントを特定するための情報を含んでいる。入力された参照依頼は、病院情報管理装置31に送信される。入力機器としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。
【0043】
参照依頼取込部63は、病院情報管理装置31に設けられる。参照依頼取込部63は、操作者により参照依頼入力部61を介して入力された参照依頼を病院情報管理装置31に取り込む。
【0044】
参照依頼取得部65は、病院情報管理装置31に設けられる。参照依頼取得部65は、取り込まれた参照依頼の内容を解析し、依頼内容に応じた参照コメントの検索指示を病院情報管理部55に供給する。また、参照依頼取得部65は、病院情報管理部55からの参照コメントを参照依頼回答部67に供給する。
【0045】
病院情報管理部55は、参照依頼取得部65からの検索指示に従ってデータベース551を検索し、検索指示に合致したコメント(操作者により入力されたコメントだけでなく補正コメントも含む)をデータベース551から抽出する。抽出されたコメントは参照コメントとして参照依頼取得部65を介して参照依頼回答部67に供給される。
【0046】
参照依頼回答部67は、病院情報管理装置31に設けられる。参照依頼回答部67は、病院情報管理部55からの参照コメントを、依頼元の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29に送信する。
【0047】
参照情報受信部69は、病院情報システム1の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29により実現される。参照情報受信部69は、参照依頼回答部67からの参照コメントを受信する。受信された参照コメントは、装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29において表示される。
【0048】
このような病院情報システム1の機能構成により、病院情報システム内1の任意の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29が病院情報管理装置31内の参照コメントを取得し、表示することができる。これにより、病院情報システム1全体で各医療従事者から入力されるコメントを共有することができる。
【0049】
なお、参照コメントは、参照依頼入力部61による参照依頼無しに、病棟装置27や薬剤部装置29等の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29に定期的に配信することも可能である。例えば、参照依頼回答部67は、操作者による指示に従って、定期的に配信する配信先の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29を予め設定している。配信先の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29には、コメント記憶部553に記憶されているコメントや補正コメントの中から操作者指定の条件に合致するものが参照コメントとして配信される。操作者指定の条件としては、例えば、特定の患者(患者A)、特定の薬剤(薬剤A)等が挙げられる。操作者指定の条件が特定の患者の場合、この特定の患者に関するコメントや補正コメントが配信先の病棟装置27に、定期的(例えば、数時間毎、一日毎、一週間毎等)に配信される。
【0050】
このように、本実施形態においては、操作者が入力した入力情報(例えば、コメント)が文法的に正しいか否かが判定される。文法的に正しくない入力情報は、文法的且つ文脈的に正しくなるように補正される。従って、病院情報システム1内の装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29で正確で必要な入力情報を共有することができる。このため、医療従事者は、正確な情報をもとに各装置11,13,15,17,19,21,23,25,27,29において医療業務を行うことができるので、医療業務が滞りなく円滑に遂行される。また、検査のやり直しの頻度が減り、患者への負担を低減することができる。
【0051】
かくして、本実施形態によれば、不正確又は曖昧な表現を含む医療情報の発生を防止することが可能であり、更には注意事項や要求事項に関する操作者の入力情報を病院内で正確に共有することが可能な病院情報管理装置及び病院情報システムを提供することが可能となる。
【0052】
(変形例)
前述のように、入力項目に記載しきれないコメントを補足欄やコメント欄等の自由記入欄に入力する場合がある。しかしながら、自由記入欄に入力されたコメントを操作者が見逃してしまう危険性がある。変形例に係る病院情報管理装置31及び病院情報システム1は、自由記入欄に入力されたコメントの確認漏れを防止する。以下、変形例に係る病院情報管理装置31及び病院情報システム1について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0053】
図4は、変形例に係る管理制御部555の制御のもとに行われる病院情報管理装置31の処理の典型的な流れを示す図である。図4に示すように、まず、管理制御部555の解析部5551は、自由記入欄にコメントが記載されているか否かを確認する(ステップSB1)。自由記入欄に記載がある場合、自由記入欄に対応する入力項目を特定する。入力項目は、例えば、自由記入欄と入力項目とが対応付けされている場合は、その対応付けに従って特定される。また、入力項目は、自由記入欄に入力されたコメントの内容を分析することにより特定されてもよい。
【0054】
自由記入欄にコメントが記載されていると判定された場合(ステップSB1:YES)、管理制御部555の補正部5555は、確認漏れの防止のための補正処理を行う(ステップSB2)。ステップSB2において補正部5555は、操作者による自由記入欄のコメントの見逃し防止のため、コメントの入力フォームに、自由記入欄に記載があることを示すフラグをたてる。フラグを立てることにより、自由記入欄のコメントの確認漏れを防止することができる。
【0055】
また、ステップSB2において補正部5555は、自由記入欄のコメントの確認漏れを防止するため、入力項目の文字列と自由記入欄のコメントとに基づいて補正コメントを生成してもよい。例えば、補足欄にコメント「患者要望で薬剤検査を希望しない」が入力され、これに対応する入力項目「薬剤禁忌」に文字列「造影剤アレルギー検査陰性」が入力されているとする。この場合、補正部5555は、コメント「患者要望で薬剤検査を希望しない」を文字列「造影剤アレルギー検査陰性」に付加することにより、補正コメント「造影剤アレルギー検査陰性だが、患者要望で薬剤検査を希望しない」を生成する。このように補正コメントを操作者に閲覧者に提示することにより、自由記入欄の記載の確認漏れを防止することができる。
【0056】
ステップSB1において自由記入欄にコメントが記載されていないと判定された場合(ステップSB1:NO)、または、ステップSB2が行われた場合、変形例に係る管理制御部555による処理が終了する。
【0057】
かくして、本実施形態の変形例によれば、不正確又は曖昧な表現を含む医療情報の発生を防止することが可能であり、更に注意事項や要求事項に関する操作者の入力情報を病院内で正確に共有することが可能な病院情報管理装置31及び病院情報システム1を提供することが可能となる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1…病院情報システム、11…問診装置、13…オーダリング装置、15…RIS装置、17…撮影装置、19…検像装置、21…保存装置、23…読影レポート装置、25…電子カルテ装置、27…病棟装置、29…薬剤部装置、31…病院情報管理装置、51…コメント入力部、53…コメント取込部、55…病院情報管理部、57…配信部、59…配信情報受信部、61…参照依頼入力部、63…参照依頼取込部、65…参照依頼取得部、67…参照依頼回答部、69…参照情報受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療における要求事項又は注意事項に関する文字列を入力するための病院内のコンピュータ装置にネットワークを介して接続された病院情報管理装置であって、
前記コンピュータ装置から前記ネットワークを介して前記文字列を受信する受信部と、
前記受信された文字列が文法的に正しいか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部により正しいと判定された場合、正しい旨を前記コンピュータ装置に送信し、前記第1判定部により正しくないと判定された場合、正しくない旨を前記コンピュータ装置に送信する送信部と、
を具備する病院情報管理装置。
【請求項2】
前記第1判定部により正しくないと判定された場合、前記文字列を整合させるための追加文を前記文字列に追加して補正文を生成する補正部、をさらに備える請求項1記載の病院情報管理装置。
【請求項3】
複数の用語の各々に、文法的且つ文脈的に正確な過去の使用列を関連付けて記憶するデータベースをさらに備え、
前記補正部は、前記データベースを利用して前記文字列から前記追加文を決定する、
請求項2記載の病院情報管理装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記生成された補正文を前記コンピュータ装置に送信する、請求項2記載の病院情報管理装置。
【請求項5】
前記文字列が自由記入欄に記載されているか否かを判定する第2判定部をさらに備え、
前記送信部は、前記第2判定部により前記文字列が前記自由記入欄に記載されていると判定された場合、その旨を前記コンピュータ装置に送信する、
請求項1記載の病院情報管理装置。
【請求項6】
前記第2判定部により前記文字列が前記自由記入欄に記載されていると判定された場合、前記文字列と前記自由記入欄に対応する入力項目に入力されている他の文字列とに基づいて補正文を生成する補正部をさらに備える、請求項5記載の病院情報管理装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記生成された補正文を前記コンピュータ装置に送信する、請求項6記載の病院情報管理装置。
【請求項8】
医療における要求事項又は注意事項に関する文字列を入力する入力部と、
前記入力された文字列が文法的に正しいか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部により正しいと判定された場合、正しい旨を表示し、前記第1判定部により正しくないと判定された場合、正しくない旨を表示する表示部と、
を具備する病院情報システム。
【請求項9】
前記第1判定部により正しくないと判定された場合、前記文字列を整合させるための追加文を前記文字列に追加して補正文を生成する補正部、をさらに備える請求項8記載の病院情報システム。
【請求項10】
複数の用語の各々に、文法的且つ文脈的に正確な過去の使用列を関連付けて記憶するデータベースをさらに備え、
前記補正部は、前記データベースを利用して前記文字列から前記追加文を決定する、
請求項9記載の病院情報システム。
【請求項11】
前記表示部は、前記生成された補正文を表示する、請求項10記載の病院情報システム。
【請求項12】
前記文字列が自由記入欄に入力されているか否かを判定する第2判定部をさらに備え、
前記表示部は、前記第2判定部により前記文字列が前記自由記入欄に入力されていると判定された場合、その旨を表示する、
請求項8記載の病院情報システム。
【請求項13】
前記第2判定部により前記文字列が前記自由記入欄に入力されていると判定された場合、前記文字列と前記自由記入欄に対応する入力項目に入力されている他の文字列とに基づいて補正文を生成する補正部をさらに備える、請求項12記載の病院情報システム。
【請求項14】
前記表示部は、前記生成された補正文を表示する、請求項13記載の病院情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−164071(P2012−164071A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23000(P2011−23000)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】