説明

痙性筋肉の筋肉弛緩のためのシステムおよび装着具

本発明は、主に筋肉弛緩に関する。筋肉弛緩は、多くの疾患状態において望まれている(例えば、痙性不全まひおよび生体力学的および神経筋機能障害)。より詳細には、本発明は、筋肉弛緩を誘導するシステムに関する。前記筋肉弛緩の誘導は、関節および筋肉への刺激付与を通じた筋肉痙縮の低減によって、行われる。前記システムは、電極を含む装着具と、ハードウェアユニットと、前記刺激を制御するソフトウェアとからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に筋肉弛緩に関し、より詳細には、少なくとも筋肉刺激を用いることによる、中枢神経系(CNS)に損傷を負っている患者内の痙性筋肉への筋肉弛緩に関する。
【背景技術】
【0002】
中枢神経系(CNS)が損傷を受けた場合、治療および治癒が困難である。痙性不全まひは、筋肉緊張が病理学的に増加した状態であり、中枢神経系(CNS)の損傷に起因して発生する。痙性不全まひは、姿勢の回避および可動度の損失において大きな障害となる。
【0003】
今日、CNS損傷症状(例えば、痙性)の逆転のための代替治療は、極めて限られている。すなわち、このような治療は、さらなる機能喪失を食い止めるためのものであり、症状軽減は目的としていない。すなわち、真の意味で機能を回復させかつ長期的観点から痙性筋肉の筋肉弛緩を通じた損傷逆転を可能にする治療は見つかっていない。
【0004】
痙攣そのものに加えて、一般的な関連する訴えとして筋骨格痛がある。筋骨格系の機能障害に起因する痛みは、ほとんどの場合、筋肉のバランス不均衡に起因する筋肉痙攣が原因である。このような痛みが適切に治療されなかった場合、患者が慢性疼痛症候群になる危険性が高まる。慢性疼痛症候群は、治癒が困難である状態である。
【0005】
ヒト身体中の筋肉に影響を与えるための技術はいくつかある。電気筋肉刺激(EMS)(神経筋電気刺激または筋電刺激としても知られる)は、特定領域内の筋肉質量を増加するための一般的な公知の方法である。電気筋肉刺激(EMS)においては、筋肉中に電流を通すことで筋肉を収縮させ、その結果、治療対象筋肉中の質量が徐々に増加する。
【0006】
経皮的電気刺激刺激(TENS)は、EMSに高く関連する方法であるが、この方法の場合、筋肉に刺激を付与して収縮させる代わりに、他の身体部分の刺激を通じて脳を混乱させることにより、電気刺激を用いて痛みを間接的に治療する。US4,580,572号において、サイトの電気監視または電気刺激のための装着具(例えば、EMS)が開示されている。
【0007】
しかし、現在公知の筋肉刺激技術の場合、対象の筋肉弛緩の獲得には不適切である。よって、筋肉弛緩を増すための新規のシステムおよび装着具があれば有利である。
【発明の概要】
【0008】
よって、本発明の目的は好適には、上記した当該分野における欠陥および不利点のうち1つ以上を単独でまたは任意の組み合わせで低減、軽減または排除することである。また、本発明の目的は、少なくとも上記の問題を解消することがである。痙性患者内の筋肉弛緩を向上させるためのシステムおよび装着具を提供することにより、上記の問題を解消することがである。
【0009】
本発明の目的は、筋肉弛緩を得ることである。
【0010】
さらに、本発明は、筋肉弛緩を得るシステムに関する。
【0011】
さらに、目的は、神経筋系の痙性不全まひまたは他の機能障害(例えば、筋肉痙攣)に起因する筋肉痙攣を低減することである。
【0012】
さらに、目的は、痙性不全まひ患者の拘縮の姿勢および進行を低減することである。
【0013】
別の目的は、自給自足的なリハビリテーション器具を痙性患者に付与することである。このリハビリテーション器具により、患者の機能および動きが向上し、クオリティーオブライフの向上に繋がる。
【0014】
別の目的は、痙性不全まひ患者ならびに生体力学的機能障害患者および神経筋機能障害患者の痛みを低減することである。
である。
【0015】
別の目的は、神経学、整形外科および用手療法の治療専門家に対し、診断ツールを得ることである。
【0016】
別の目的は、脳損傷についての神経学研究における信頼できる研究システムとなることである
【0017】
別の目的は、痙縮についての評価尺度または測定尺度を得ることである。
【0018】
一局面によれば、ヒトの痙性拮抗筋肉の弛緩のためのシステムが提供される。前記システムは、電子筋肉刺激デバイスを含む。前記電子筋肉刺激デバイスは、第1の電極および第2の電極を有する。前記第1の電極および第2の電極は、対応する主動筋肉へ接続される。前記システムは、バイブレータデバイスをさらに含む。前記バイブレータデバイスは、靱帯、関節包または腱へと接続される。前記靱帯、関節包または腱において、前記主動筋肉が骨格へと付着している。さらに、前記システムは、制御ユニットを含む。前記制御ユニットは、前記電子筋肉刺激デバイスおよび前記バイブレータデバイスを同時に制御するように構成される。前記制御するステップは、第1のパルス電流信号を前記第1の電極と前記第2の電極との間に付加し、第2のパルス電流信号を前記バイブレータデバイスへ付加することにより、行われる。
【0019】
別の局面によれば、前記システムを含む装着具が提供される。
【0020】
本発明が提供可能な上記および他の局面、特徴および利点は、以下の本発明の実施形態についての記載から明らかとなる。ここで、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態によるシステムを示す。
【図2】別の実施形態によるシステムを示す。
【図3】実施形態による装着具の正面図を示す。
【図4】実施形態による装着具の背面図を示す。
【図5】実施形態による装着具の構成要素の正面図である。
【図6】実施形態による装着具の構成要素の背面図である。
【図7】実施形態によるEMS/EMG電極の配置様態の正面図である。
【図8】実施形態によるEMS/EMG電極の配置様態の背面図である。
【図9】実施形態による振動電極配置様態の正面図である。
【図10】実施形態による振動電極配置様態の背面図である。
【図11】実施形態による全解剖学的電極配置様態の正面図である。
【図12】実施形態による全解剖学的電極配置様態の背面図である。
【図13】実施形態による装着具構成要素、ハードウェア配置様態、接続ポートおよびケーブル束コネクタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、当業者が本発明を実施できるようにするために、本発明のいくつかの実施形態について添付図面を参照しながらさらに詳述していく。しかし、本発明は、多数の異なる様態で具現化することが可能であり、本明細書中に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。すなわち、これらの実施形態は、本開示を網羅的および完全なものとするために記載されるものであり、本発明の範囲を当業者へと完全に伝達する。これらの実施形態は本発明を制限せず、本発明は、添付の特許請求の範囲のみによって限定される。さらに、添付図面中に示す特定の実施形態の記載において用いられる用語は、本発明を限定することを意図していない。
【0023】
本発明のコンセプトとしては、痙性不全まひおよび/または筋骨格痛の患者のためにEMS刺激および関節組織振動刺激を組み合わせることで、痙性筋肉(単数または複数)の弛緩を向上させる、
【0024】
このようなEMS刺激および関節組織振動刺激の組み合わせの用途を挙げると、筋肉のEMS刺激と、前記筋肉と相関する関節または腱の振動刺激との組み合わせを用いることによる、不均衡の治療のための炎症低減、筋肉緊張低減および筋肉増強がある。
【0025】
本発明者は、拮抗筋肉対をEMS刺激および関節組織刺激の組み合わせと共に用いるというコンセプトを用いることにより、上記を実現する。前記刺激を特定の様式で行うと、痙性筋肉を弛緩させることができる。このような弛緩は、患者の関節組織に対する用手刺激と、EMS刺激との組み合わせによって行われる。驚くべきことに、本発明者によれば、EMS刺激および関節組織振動を同時に行った場合、痙性筋肉の弛緩において、EMS刺激および振動刺激を別個に用いた場合よりもずっと良好な結果が得られる。上記のような用手刺激を行うことにより、複数の特定の有利な組み合わせが得られた。以下、このような組み合わせについて説明する。
【0026】
詳細には、刺激によって系統的な効果が得られ得ることが分かった(すなわち、単一の筋肉および関節または前記筋肉に相関する腱あるいは各筋肉に相関する隣接筋肉および関節または腱の群への刺激により、身体のうち異なる場所にある筋肉に影響を与えることができることが分かった)。
【0027】
身体中に拮抗対が必要な理由として、筋肉はけん引力しか付与できず、その後元の位置へと戻るからである。この種の筋肉対の一例として、上腕二頭筋および上腕三頭筋がある。二頭筋が収縮すると、三頭筋が弛緩し、伸張して元の位置へと戻る。三頭筋が収縮した場合、上記と逆のことが起こる。
【0028】
主動とは、筋肉を記述する際に用いられる分類用語であり、主動により、当該筋肉そのものの収縮プロセスを通じて、特定の動きまたは恐らくはいくつかの動きが発生する。各拮抗対は、主動筋肉および拮抗筋肉を含む。そのため、上腕二頭筋が収縮すると、当該腕二頭筋は主動筋肉として機能し、上腕三頭筋は拮抗筋肉として機能する。一方、上腕三頭筋が収縮すると、当該上腕三頭筋は主動筋肉として機能し、上腕二頭筋は拮抗筋肉として機能する。
【0029】
本発明者によれば、緩やかな主動筋肉刺激を行うと、拮抗筋肉の逆制止と、若干の収縮とが発生し、前記主動筋肉の短縮は発生しないことが分かった。このような関節組織刺激により、主動活動が促進され、逆制止を通じて拮抗筋肉が弛緩する。このコンセプトによれば、いくつかの筋肉および関節組織の副刺激を同時に行うことで、或る痙性筋肉グループの筋肉弛緩を発生させる。前記筋肉刺激の基盤となる考え方として、主動筋肉の短縮を引き起こすこと無く前記主動筋肉を容易に刺激することがある。神経系が前記刺激を感知することで、拮抗筋肉はいわゆる逆制止状態となり、弛緩に起因して伸長し、その結果、前記刺激を受けた主動筋肉の短縮が間接的に引き起こされる。
【0030】
刺激が長引いた場合、体全体において、一般的な筋肉弛緩および筋肉痙攣低下が起こる。弱かった筋肉が増強され、その結果、最終的には筋肉痙攣および筋骨格痛が総じて低下し、その結果、¥身体障害および痛みが低減する。
【0031】
EMS+振動
【0032】
実施形態において、図1によれば、ヒトの痙性拮抗筋肉の弛緩のためのシステム10が図示されている。前記システムは、電子筋肉刺激デバイス11を含む。この電子筋肉刺激デバイス11は、第1の電極11aおよび第2の電極11bを有する。第1の電極11aおよび第2の電極11bは、対応する主動筋肉へと接続される。システム10は、バイブレータデバイス12をさらに含む。バイブレータデバイス12は、靱帯、関節包または腱へと接続される。前記靱帯、関節包または腱において、主動筋肉が骨格へと付着している。さらに、前記システムは、制御ユニット13を有する。制御ユニット13は、電子筋肉刺激デバイス11およびバイブレータデバイス12を制御するように構成される。前記制御するステップは、パルスEMS電流信号を第1の電極11aと第2の電極11bとの間に付加し、パルスバイブレータ電流信号をバイブレータデバイス12へと付加することにより、行われる。
【0033】
通常、CNS損傷症状の患者は、いくつかの痙性筋肉を有するため、可動度および生活の質が著しく低下する。実施形態によれば、前記システムは、電子筋肉刺激デバイスまたは一対の第1のおよび第2の電極と、バイブレータデバイスとを含む。前記電子筋肉刺激デバイスまたは一対の第1のおよび第2の電極は、治療対象となる各痙性拮抗筋肉の各主動のためのものである。前記バイブレータデバイスは、治療対象となる各痙性拮抗筋肉の各主動筋肉に対する各対応する靱帯、関節包または腱のためのものである。実施形態において、前記システムは、第1の電極および第2の電極と、バイブレータデバイスとを含む。前記第1の電極および第2の電極は、ヒト身体内の主動筋肉の大部分のためのものである。前記バイブレータデバイスは、前記主動筋肉それぞれのためのものである。本発明者によれば、前記ヒト身体内の拮抗対筋肉の大部分に前記EMS電極に装着しかつ前記対応する関節組織にバイブレータデバイスを装着するためのシステムを用いることにより、前記身体内の筋肉のうち大部分全てが痙性ではない場合でも、前記筋肉の大部分への刺激を行うことにより、真に痙性の筋肉の弛緩を増すことが可能となる。このような弛緩増加は、シナプスと、脳および脊髄内を循環している脳脊髄液とに対して神経抑制信号物質が放出されることに起因するものと考えられる。そのため、脳脊髄液サイトの近隣に他のシナプスおよびニューロンが存在する場合、前記他のシナプスおよびニューロンに影響を与えることができる。例えば、脚部の痙縮が低下すれば、腕部の痙縮も低下することが知られている。第1の電極11aおよび/または第2の電極11bは、筋肉弛緩の目的に適しておりかつ患者の不快感を低減することが可能な任意の公知のEMS電極でよい。第1の電極11aまたは第2の電極11bはそれぞれ、+/−ノードとして機能し、第1の電極11aまたは第2の電極11bが接続された筋肉に電気的刺激を付与するように設計される。
【0034】
第1の電極11aおよび/または第2の電極11bは、治療対象筋肉に基づいて選択される。
【0035】
実施形態において、前記第1の電極および/または第2の電極は、接着材(例えば、導電性パッドまたは導電性ゲル)によって皮膚に直接取り付けることができる。
【0036】
これらの電極は、例えば、シリコーン電極および導電性ゲルの組み合わせであり得る。電極の重要な特性として、皮膚との接触/接着が良いこと、良好な伝導性、低刺激性でありかつ耐久性があることがある。
【0037】
パルスEMS電流信号
【0038】
一般的に、EMS電流信号のパラメータは、身体の生理を真似て選択するとよい。神経系中の信号は、シナプスに対する電流インパルス(刺激)に喩えることができる。一定量の刺激が発生すると、信号物質が分泌される。
【0039】
一般的に、位相性EMS刺激は、2〜50Hzの周波数で行われ、5〜300マイクロ秒間行われる。
【0040】
痙性筋肉が筋肉弛緩した場合、選択された弛緩筋肉における筋肉収縮の機能制御を誘導することが可能となる。筋肉収縮を誘導するために必要な周波数は、最適な拮抗筋肉弛緩(20Hz/30マイクロ秒)に用いられる周波数よりも高い。機能筋肉収縮のための刺激周波数は25〜50Hzであり、必要な継続時間は50〜300マイクロ秒である。
【0041】
パルスEMS電流信号は、少なくとも以下のパラメータによって制御される:パルス周波数、パルス継続時間およびパルス強度。
【0042】
実験によれば、パルス周波数がおよそ15Hz〜およそ35Hzにおいて筋肉が収縮し始め、この周波数範囲において、中枢神経系が前記電流信号の存在を感知している。本発明者によれば、できるだけ低い周波数を選択しかつ中枢神経系による検出が可能な周波数を選択することにより、中枢神経系を介した痙性拮抗筋肉の自動的弛緩が可能となりつつ、患者の不快感が低減する。周波数がおよそ35Hzを越えた場合、刺激を受けた主動筋肉が短縮するため、拮抗筋肉における伸張反射活動も短縮し、望ましくない。なぜならば、周波数がおよそ35Hzを越えた場合、主動筋肉の逆痙攣の原因となるからである。
【0043】
電流信号のパルス継続時間を選択する際、神経信号のパルス継続時間に類似したパルス継続時間を選択する。例えば、パルス継続時間がおよそ5〜60マイクロ秒(例えば、30μs)であると適切であることが分かっている。しかし、さらに短いパルス継続時間も有利であり得る。EMS電流信号のパルス継続時間が長すぎる場合、身体の神経生理学的パラメータに対応しない。
【0044】
さらに、より長いパルス継続時間にした場合、筋肉短縮のリスクが高まるため、望ましくない。
【0045】
実施形態において、パルスEMS電流信号のパルス周波数は10〜30Hzであり、パルス継続時間は5〜60マイクロ秒である。
【0046】
好適な実施形態によれば、パルスEMS信号のパルス周波数は20Hzであり、パルス継続時間は30マイクロ秒である。
【0047】
EMS電流信号強度を選択する場合、第1のEMS電極11aおよび/または第2の11bEMS電極に隣接する皮膚が振動し始める振幅を越えないEMS電流信号強度を選択する。使用時においては、患者によっては、振動かつ無痛の感覚を感じる者もいる。電流信号を上げていった場合、筋肉短縮および患者の痛みに繋がる場合があり、望ましくない。好適には、前記第1の電極および/または第2の電極に隣接する皮膚が使用時において振動を感じるのに必要な信号強度の50%〜75%の範囲内に収まる電流信号強度を選択するとよい。こうすることにより、患者の不快感を引き起こさずかつ患者によってはチクチクする感覚を覚えるようなパルスEMS電流信号強度を得ることができる。
【0048】
振動デバイス
【0049】
実施形態において、振動デバイス12はマイクロ振動モータであり、振動デバイス12が接触している関節の関節固有感覚に刺激を与えるように設計される。この振動デバイスは、小型の円筒形であり、ゴムによって被覆され、これにより、皮膚との摩擦を向上させ、振動刺激を前記皮膚の下側の関節組織へと方向付ける。
【0050】
実施形態によれば、パルスバイブレータ電流信号のパルス周波数は、5Hz〜400Hzである。
【0051】
振動刺激は、3つの主要周波数において付与される。これら3つの主要周波数は、3つの重要な感覚受容器を刺激するように設計される。1つの周波数は、パチーニ小体を刺激するように選択され、1つの周波数は、メルケル触覚盤受容器を刺激するように選択され、1つの周波数は、マイスナー小体を刺激するように選択される。メルケル触覚盤受容器を刺激するように選択された周波数の範囲は5〜15Hzである。マイスナー小体を刺激するように選択された周波数の範囲は20〜50Hzであり、パチニ小体を刺激するように選択された周波数の範囲は60〜400Hzである。これらの範囲の平均値として、最適な振動が規定される。
【0052】
EMG
【0053】
図2に示す実施形態において、システム10は、筋電図検査(EMG)デバイス14をさらに含む。筋電図検査(EMG)デバイス14は、痙性拮抗筋肉における電気活動を評価および記録する。
【0054】
EMS刺激および振動刺激の最中および/またはEMS刺激および振動刺激の後の痙性拮抗筋肉における電気活動に基づいて、EMS電流信号パラメータまたは振動電流信号パラメータを適合させることができる。
【0055】
EMGデバイス14は、第1のEMG電極14aおよび第2のEMG電極14bを含む。第1のEMG電極14aおよび第2のEMG電極14bは、電気活動の監視対象となる各筋肉に対応する。
【0056】
前記EMG電極は、EMS電極11a、および11bと同一の種類でよい。そのため、実施形態において、前記電子刺激デバイスの第1の電極11aおよび/または第2の電極11bはそれぞれ、第1の電極11aおよび/または第2の電極11bが接続された筋肉における電気信号を検出するEMG電極として機能することができる。
【0057】
使用時において、EMG電極14aおよび14bは、痙性拮抗筋肉と接触するように配置され、EMS電極s11aおよび11bは、対応する主動筋肉と接触するように配置される。
【0058】
較正
【0059】
CNS損傷患者における痙性筋肉挙動は幅広く異なるため、使用前のシステム較正においては、神経筋系専門家の技能が必要となる。このようなシステム較正を通じて、対応するEMS電極を正しい主動筋肉にあてがうことができ、バイブレータデバイスを前記主動筋肉に対応する関節にあてがうことができる。所望の弛緩効果を強化するために、選択された筋肉刺激はそれぞれ、解剖学的に関連する関節刺激と組み合わされる。さらに、パルスEMS電流信号パラメータも選択する必要がある。これらのパラメータは、患者によって異なり得る。
【0060】
本発明者の非限定的理論によれば、電流レベルを個々に調節する必要があり得る。なぜならば、いくつかの筋肉は、他の筋肉よりも深い位置に存在するからである。しかし、EMS電流信号の周波数およびパルス継続時間は、個々の痙縮レベルからより高くまたはより低く独立し得る。なぜならば、神経系は患者間においてあまり違いが無いからである。
【0061】
弛緩は、先ず治療専門家によって拮抗筋肉刺激により誘導される。その際、前記治療専門家は、痙性主要筋肉の弛緩を示すEMG読み取りを判断支援のために用いる。このプロセスは、痙縮較正と呼ばれる。必要な刺激量(電流×時間(Ixt))に基づいて、拮抗筋肉の逆制止を誘導するために必要なエネルギー量が得られる。痙縮の重症度が低いほど、逆制止の誘導がより容易になる。そのため、治療専門家は、このプロセスを支援として用いて、各患者に必要な刺激量を正確に決定することができる。
【0062】
較正時においては、例えば少なくとも1つの筋肉へと接続されたEMGデバイスからの読み取りに基づいて、前記少なくとも1つの筋肉が痙縮較正対象として選択される。前記EMGデバイスによって読み取られる筋肉は、痙性拮抗筋肉であり得る。
【0063】
痙縮が1つの筋肉内に発生した場合、別の筋肉にも痙縮が発生し得ることが一般的に知られている。そのため、脚部の痙縮を低減できれば、腕部の痙縮も低減できる。よって、複数の筋肉における電気活動を較正時に読み取ることにより、当該患者の全体的筋肉痙縮の尺度を得ることができる(この尺度は、前記患者の質量反射活動を示す)。
【0064】
全身に適用される好適な実施形態によれば、筋肉(例えば、少なくとも3つのEMG読み取り対象筋肉)(すなわち、EMGデバイスへと接続された3つの筋肉)を選択することができる。例えば、1対のEMG電極を腕部に、1対のEMG電極を脚部に、1対のEMG電極を脊椎または顎部に装着し、各EMG電極対をEMGデバイスへと接続する。非筋肉電気表面活動の読み取りのための1つのEMG電極を、下側に筋肉の存在しない骨部位に配置する。これにより、較正時に用いられる比較測定値が得られる。
【0065】
本実施形態の利点として、患者体内のごく少数の筋肉からのEMG読み取りに基づいて、全体的痙縮および/または全体的弛緩を測定できる点がある。
【0066】
別の利点として、EMGデバイスによって読み取られる筋肉を、EMS刺激を受ける対象筋肉から一定距離を空けて配置することが可能であるため、前記EMS電極から前記EMG電極への電流漏れが低減する点がある。
【0067】
実施形態において、較正は、本システムによる治療時において行うことができる。
【0068】
制御ユニット
【0069】
制御ユニットは、プロセッサを含む。前記プロセッサは、ソフトウェアと、前記ソフトウェアの保存先であるメモリとを実行する。前記制御ユニットは、電源またはパルス生成器へと接続され得る。前記電源またはパルス生成器は、パルスEMS信号およびバイブレータ信号を生成する。
【0070】
前記制御ユニットはポータブルであり、前記装着具中の電極に接続され、かつ、例えばUSBまたはブルートゥースを介してパーソナルコンピュータへと接続することができる。異なる治療プログラムおよびパターンを、前記メモリ中に保存することができる。
【0071】
前記制御ユニットは、前記システムの機能性EMSデバイス11、バイブレータデバイス12および任意選択的に前記EMGデバイス14を制御するためのコードセグメントを実行するように構成される。
【0072】
実施形態において、コンピュータプログラム製品が提供される。前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み出し可能な媒体上に保存される。前記媒体は、ソフトウェアコードを含む。前記ソフトウェアコードは、データ処理装置上において実行された場合に、前記システムを制御するように適合される。
【0073】
前記コードセグメントは、いくつかの実施形態に従って前記システムを制御するためのものである。
【0074】
実施形態において、前記制御ユニットは、治療情報を外部デバイスへと送るように構成される。前記治療情報は、例えば、治療進展(すなわち、当該筋肉の弛緩の向上)についての情報を含み得る。治療専門家は、この情報を受信し、例えば治療戦略を更新し、治療計画を変更することができる。
【0075】
実施形態において、前記制御ユニットは、更新されたソフトウェアを外部デバイス(例えば、コンピュータ)から受信するように構成される。前記更新されたソフトウェアは、例えば、前記治療専門家から受信された新規の治療計画、刺激プログラムであり得る。よって、前記治療専門家のもとに出向く必要なく、前記システムの更新を行うことが可能となる。前記外部デバイスに含まれ得るソフトウェアとして、較正を行うためのソフトウェア、EMSプログラム、振動プログラム、および痙縮較正モードを可能とするEMG測定の制御のためのソフトウェアがある。治療計画作成においては、治療パラメータ(例えば、EMS電流信号、振動電流信号、治療時間、治療対象筋肉など)が用いられる。前記外部デバイスソフトウェアは、システムパラメータをディスプレイ上に可視化するためのコードセグメントを含み得る。よって、治療専門家が刺激すべき筋肉と、電極および振動による刺激の配置様態とを選択した場合、これがディスプレイ上に可視化される。
【0076】
治療継続時間
【0077】
実施形態において、治療継続時間は、1日あたり1〜2時間であるか、または、前記システムが1週間あたりに2〜4回しか用いられない場合、これよりも長時間である。
【0078】
装着具
【0079】
実施形態において、図3および図4によれば、前記システムを含む装着具30が図示されている。ここでEMS電極、バイブレータデバイス、任意選択のEMG電極および制御ユニットは全て、装着具30内に設けられている。
患者が装着具30を装着すると、専門家またはヘルスケア担当者がそばにいる必要なく、前記患者が治療を受けることが可能となる。その結果、前記患者および血縁者のクオリティーオブライフが大幅に向上する。なぜならば、医院に出向く必要が無くなり、また、患者は、装着具30を装着するだけでどこでも治療を受けることができるからである。
【0080】
図5および図6に示す実施形態において、装着具30は、7つの相互ロック部分を含む。1つの部分51は頭部および首部に対応し、2つの部分52aおよび52bは肘部、前腕部および手に対応し、1つの部分53は胴部、肩部および上腕部に対応し、1つの部分54は腰部、下腹部、骨盤、大腿部、臀部および上肢に対応し、最後の2つの部分55aおよび55bは、膝部、下肢および足部に対応する。全部分は、別個にまたは異なる組み合わせでハードウェアユニット131へと接続することができる。そのような組み合わせとしては、患者の要求に応じて2つの部分〜7つの部分全てがある。図13は、前記装着具の部分の接続点130を示す。
【0081】
上記実施形態によれば、個々の患者の要求に応じて、前記装着具のうち一部のみを用いることが可能であることが理解されるべきである。そのため、患者によっては、身体装着具全体ではなく1つ以上の部分を装着すれば、有効な治療を得るために十分である場合があり得る。
【0082】
実施形態によれば、前記装着具は、5つの主要織物支持材料を含み得る。筋肉を被覆する領域に対応する部分は弾性スパンデックス製であり、このスパンデックス内には、皮膚と接触する筋肉用電極が埋設される。関節領域に対応する部分は硬質弾性スパンデックス織物製となっており、これにより、関節が安定し、埋設された筋肉および振動電極と特定の皮膚とが接触とが接触する。前記装着具部分を相互ロックするためにベルクロが用いられており、これにより、関節安定性および電極皮膚との接触が可能となる。異なる装着具部分においてファスナーが配置されており、これにより、前記装着具を簡単に装着および利用することが可能となる。詰め物材料および他の支持材料が前記織物層間に設けられ、これにより安定性および電極皮膚との接触が向上する。
【0083】
装着具を各患者に完全にぴったりと装着できるようにするために、各装着具を各患者に合わせて調整することができる。そのため、各患者を個々に測定する。専門家によって行われた較正に基づいて、治療専門家は、刺激を付与すべき筋肉およびよって対応する痙性筋肉の筋肉弛緩を誘導すべき箇所を選択する。このようにして個別調整された装着具が得られ、前記制御ユニットは、必要なパラメータ(例えば、バイブレータおよびEMS刺激を規定の様態で行うためのパラメータ)と共にプログラムされる。
【0084】
個々の測定に基づいて、個別調整された装着具を得ることができる。個別調整された製造および機能的装着具の提供を保証できるたけの十分なデータが、工場へと送られる。装着具の構築および送付の後、最終の個別調整(すなわち、装着具の微調整)、較正およびハードウェアユニットプログラミングを行うことができる。
【0085】
別の実施形態において、前記装着具は、広範囲にわたる多様なサイズの装着具構成要素から選択することができ、このようなサイズを組み合わせることで、異なる可能なサイズ要求全てに対応することが可能となる。
【0086】
解剖学的測定チャートを設計することで、特定の筋肉への刺激付与のための電極の解剖学的位置決めを正確に行うことが可能となる。
【0087】
各筋肉のための第1の電極および第2の電極は、治療対象者の不快感を回避するためなどの目的のために、筋肉の種類、前記装着具内における当該筋肉の位置に基づいて選択することができる。本質的には、2種類のEMS電極が用いられ得る。
【0088】
第1の種類のEMS電極は、円形の柔らかく乾燥しておりかつ凸型の電極であり、前記装着具の内側から皮膚に対向し、前記スパンデックスの弾性により、不快感無く前記皮膚へと押圧される。異なるサイズの刺激付与対象筋肉に対し、異なる電極サイズが利用可能である。
【0089】
第2の種類のEMS電極は、四角形の柔らかく乾燥しておりかつ平坦な電極であり、圧力が発生し易い領域に用いられる(例えば、臀部領域(座位)または硬質スパンデックスまたはベルクロが上に載置された領域)。異なるサイズの刺激付与対象筋肉に対し、異なる電極サイズが利用可能である。
【0090】
EMS電極の解剖学的配置様態は200種類あり得ることを、図7、図8、図11および図12に示す。刺激パターンの較正時においては、EMG電極は、臨床にかかわる治療専門家のみによって用いられる。図7、図8、図11および図12中のEMS電極(200箇所)と同じ位置において、EMG分析を行うことができる。
【0091】
振動電極の皮膚への押圧は、前記装着具内の硬質スパンデックスおよびベルクロを用いて行う。前記装着具中の振動電極の位置決めは解剖学的であるため、生理学的に特定である。振動電極の解剖学的配置様態は137種類あり得ることを、図9、図10、図11および図12に示す。
【0092】
任意選択的に、痙性筋肉における筋肉弛緩を監視するために、EMG電極を前記装着具内に配置する。
【0093】
必要であれば、治療専門家は、インターネットを介して治療プログラムを前記制御ユニットへと送ることができる。前記制御ユニットは、極めて容易に用いることが可能である。すなわち、患者は、プログラムを選択し、適切な刺激を開始するだけでよい。前記制御ユニットは、最大9本のケーブル束接続ポート130を通じて、異なる装着具構成要素へと接続され得る(図13を参照)。ハードウェアユニット131の上部上に5個の接続部が配置され、頭部構成要素、胴部構成要素および腕部構成要素へ刺激を付与する(図13)。4つの接続ポートが前記ハードウェアユニット131の下部上に配置され得、前記装着具中の骨盤用構成要素および2脚用構成要素への供給を行う(図13を参照)。
【0094】
ハードウェアユニット131は、臍帯部上のパウチ内に配置することができる。このようなハードウェアユニット配置様態により、異なる身体部分から延びたケーブル束のポート接続のための適切な位置に接続ポートを配置することが可能となる(図13を参照)。
【0095】
ペアリングチャート
【0096】
各患者における刺激付与対象筋肉は、前記システムまたは装着具の較正時において治療専門家によって選択される。治療専門家によって選択された刺激筋肉は、強い痙性拮抗に「負けている」筋肉である。
【0097】
EMS刺激の付与対象となる各主動筋肉を、解剖学的に関連する関節とペアリングする。前記解剖学的に関連する関節は、バイブレータデバイスによる振動刺激を付与すべき関節である。
【0098】
刺激を付与すべき筋肉は、治療専門家によって特定することができる。実施形態において、治療専門家は、より強い/短縮状態の拮抗に負けている筋肉(すなわち、誤った位置に反作用しているおいて筋肉)を特定すする。例えば、直線状の痙性脚部(膝部)の場合、膝部によって脚部を屈曲させる機能を有する大腿部の裏側が、前記脚部を痙性位置から移動させるための刺激付与標的として特定され得る。このようにして刺激付与対象として筋肉を特定することにより、例えば以下のようなペアリングチャートが得られる。
【0099】
図7〜図10はそれぞれ、可能な異なる電極配置様態を示す。図7〜図10において、「M」は、「EMS/EMGのための筋肉用電極対」を意味し、「F」は前方を意味し、「B」は後方を意味する。
【0100】
図7は、身体の前側上の異なる筋肉に対する第1のEMS電極および第2のEMS電極の位置を示す。図中、参照符号は、以下の表1に記載の筋肉に対応する。
【表1】

【0101】
表1から分かるように、身体の両側部上の27個の前側筋が、EMS電極の任意選択の配置様態において特定される。図8は、身体の後側上の異なる筋肉に対する、第1のEMS電極および第2のEMS電極の位置を示す。図中、参照符号は、以下の表2に記載の筋肉に対応する。
【表2】

【0102】
表2から分かるように、身体の両側部上の23個の側筋が、EMS電極の任意選択の配置様態において特定される。よって、合計で50個の筋グループ(すなわち、23個の後側筋および27前側筋)が、EMS電極/EMG電極の任意選択の配置様態において特定される。言い換えると、全身において合計で100種類のの筋に対する刺激付与が可能となる。
【0103】
各筋肉に対して2つの電極を配置することで、最大で200種類のEMS/EMG電極配置様態が可能となる。各EMS電極配置様態は、EMG測定のためにも用いることが可能である
【0104】
図9は、身体の前側における前記バイブレータデバイスの位置を示す。図中、参照符号は、以下の表3に記載の位置、靱帯、関節包または腱に対応する。
【表3】


【0105】
図10は、身体の後側上のバイブレータデバイスの位置を示す。図中、参照符号は、以下の表4中の位置、靱帯、関節包または腱に対応する。
【表4】



【0106】
表3および表4から分かるように、合計75個の振動サイトがあり、そのうち62個は両側性であり、13個は中線に沿って存在する。その結果、バイブレータデバイスのを任意選択的に配置することが可能な振動サイトが合計で137(62*2+13)個だけヒト身体上に存在する。
実施形態によれば、以下の表5に示す第1のペアリングチャートは、各主動筋肉と、複数の関連する関節、靱帯または腱とをペアリングするためのものである。これらのペアリングチャート対は、専門家が前記システムおよび/または装着具を較正する際の貴重なツールとして用いることができる。
【表5】


【0107】
別の実施形態において、以下の表6に示す第2のペアリングチャートは、複数の主動筋肉と、複数の関連する関節、靱帯または腱とをペアリングするためのものである。すなわち、いくつかの筋肉および振動への刺激を同時に行うことにより、四肢または身体の残り部分(例えば、脊椎および頭部)における姿勢の全体的変化を誘導する。
【表6】






【0108】
これらの第1のペアリングチャートおよび第2のペアリングチャートは、いくつかの関節単位および運動単位を用いて主要身体領域の全体的弛緩を成功裏に得るための真の鍵である。
【0109】
当業者であれば、多数の改変および変更を容易に想起するため、本発明を図示および記載の構造および動作そのものに制限することは望ましくない。よって、適切な改変および均等物全てが本発明の範囲内に収まるものとして考えられる。
【0110】
実施例1
【0111】
この例は、重症の痙縮の治療における本発明の利用を示す。患者は、ミトコンドリア神経疾患に起因する重症の痙縮のある30歳男性であり、発症は15歳のときである。この患者の症状としては、全肢部が痙攣しており、身体の右側の方が左側よりも痙攣がひどかった左腕および頸部において、一定の随意運動が見られた。拘縮進行に起因して、右腕は全運動範囲において伸長不可能であった。上位障害に起因する典型的な痙攣パターンが見られた。胴部および頭部は屈曲し、横方向に左側に屈曲していた。脊椎の神経性脊柱側弯が右側に突出してc字型形状となっていた。脊髄筋肉組織の痙縮は、主に左側において見られた。肩部は内側に内転しており、肘部は屈曲しており、手は屈曲しており、指は握り拳状になっていた。両脚は臀部から内転しており、臀部および膝部において伸長し、足部において足底が屈曲していた。
【0112】
この患者については、痙性筋肉の弛緩を誘導するための刺激付与先として、以下の筋肉を選択した。
EB1.後頭筋肉
EB2.頭板状筋および頚筋肉、脊椎上頸起立筋肉
EB3.中僧帽筋および下僧帽筋肉、脊椎下頸起立筋肉、脊椎上胸郭起立筋肉
EB4.脊椎胸中部起立筋肉
EB5.脊椎胸腰部起立筋肉
EB8.小円筋肉
EB10.上腕三頭筋
EB11.橈側手根伸筋および回外筋肉
EB12.尺側手根伸筋
EB14.腰方形筋および腰部起立脊椎筋肉
EB15.中臀筋
EB17.大腿二頭筋
EB18.半膜様筋および半腱様筋
EF4.胸鎖乳突筋
EF5.傍脊柱筋
EF8.三角筋肉
EF21.大腿直筋肉
EF24.前脛骨筋肉
【0113】
脊髄筋肉に対して、両側から刺激を付与した。その際、右側の強度をより高くした。肢部に対しても刺激を両側から付与したが、肢部への刺激は両側とも同様の強度で行った。
【0114】
ペアリングチャート1に従って、筋肉用電極と、振動電極とをペアリングした。
EB1.VF1.VB1.VB2.VB42.
EB2.VB4.VB5.VF1.
EB3.VB6.VB5.VB7.VB8.VB9.VB10.VB11.
EB4.VB12.VB13.VB14.VB15.
EB5.VB16.VB17.VB24.VB25.
EB8.VB18.
EB10.VB19.VB22.
EB11.VB20.VB23.VB34.VB35.VB36.VB37.VB38.
EB12.VB20.VB34.VB35.VB36.VB37.VB38.VF20.
EB14.VB26.VB27.VB28.VB29.VB30.VB31.VB32.VB33
EB15.VB28.VB29.VB30.VB31.VB32.VB33.
EB17.VB39.VB40
EB18.VB39.
EF4.VB3.VB42.
EF5.VB5.VB7.
EF8.VB18.
EF21.VF14.VF15.
EF24.VF24.VF25.VF27.VF28.VF32
【0115】
痙縮較正のため、治療専門家は、以下の3つの刺激筋肉およびその拮抗筋肉を選択した。前記選択された筋肉により、主動/拮抗筋肉対を形成した。1つの筋肉対は両脚内にあり、1つの筋肉対は両腕内にあり、もう1つの筋肉対は脊椎内にある。脊柱側弯の凹側(この場合では、左側)において、脊椎内での測定を行った。
【0116】
痙縮較正のために選択された筋肉
EMS筋肉刺激(20Hzおよび30ミクロン)
EB17.大腿二頭筋(両側)
EB10.上腕三頭筋(両側)
EB5.脊椎胸腰椎起立筋肉(右側)
【0117】
EMG筋肉(読み取り):
EF22.大腿四頭筋内側広筋肉(両側)
EF9.上腕二頭筋肉(両側)
EB5.脊椎胸腰椎起立筋肉(左側)
【0118】
橈骨遠位端の骨部分上に、1つのEMG電極を配置した。この測定電極により、治療専門家は、体内における非筋肉電気活動の基準測定を得ることができる。
【0119】
刺激電流は、以下のようにして選択した。
【0120】
治療専門家は、1つのシミュレーション筋肉の触診によって振動が検出可能となるまで、前記筋肉内の電流を徐々に増加させた。その後、振動が検出できなくなるまで、電流を徐々に低下させた。これの目的は、無痛刺激力を選択することであった。
【0121】
全EMS筋肉において、同じ手順を注意深く繰り返した。
【0122】
EMG読み取りを短い間隔で行ったところ、痙性EMG筋肉における電気活動の低下が数分後に観測された。
【0123】
前記患者の較正および測定後、詳細な説明中の仕様に基づいて、前記装着具を構築した(電極の配置様態を含む)。
【0124】
最終較正において、前記装着具をプログラムした。刺激付与を、30分間継続して行った。数分後、筋肉弛緩および痙攣低減の第1の兆候が、EMG読み取りおよび関節可動度の物理的検査によって観測された。左腕および頸部の随意運動の機能向上が見られた。前記装着具は、治療専門家が選択した刺激パターンおよび刺激力を再現するように、プログラムされている。推奨される使い方としては、前記装着具を週3回、1回の治療あたり1〜2時間用いると良い。。
【0125】
前記装着具を使い初めてから数ヶ月後には、痙縮の全体的低減が観測され、運動機能のさらなる向上も見られた。随意運動の増加が、脊椎、肩部、両腕および両脚において観測された。
【0126】
実施例2
【0127】
この実施例においては、脳血管事故後の重症の痙縮の治療における本発明の使用を示す。患者は58歳男性であり、左中大脳動脈における脳卒中後に重症の痙縮が発生している。この患者は、心臓病の病歴が長く、、身体右側の肢部が痙攣しており、右側片まひの典型的兆候を示している。右腕および右足において、随意運動が見られなかった。片側性脳血管事故直後において、上位障害の典型的な片側性痙攣パターンが観測された。脊髄筋肉組織内の痙縮が主に右側に見られた。右肩部が内転していた。右肘部および右手が屈曲し、指は直線状であるかまたは若干屈曲していた。右脚が臀部において内転しており、臀部および膝部において伸長し、足部においては足底が屈曲していた。この患者は、杖を用いて重症の肢部を使って歩行することができた。
【0128】
この患者については、痙性筋肉における筋肉弛緩を誘導するための刺激付与先として、以下の筋肉を選択した。
EB3.中僧帽筋および下僧帽筋肉、脊椎下頸起立筋肉、脊椎上胸郭起立筋肉(右側のみ)
EB4.脊椎胸中部起立筋肉、両側(左側においてより高い刺激)
EB5.脊椎胸腰部起立筋肉、両側(左側においてより高い刺激)
EB8.小円筋肉(右側のみ)
EB10.上腕三頭筋(右側のみ)
EB11.橈側手根伸筋および回外筋肉(右側のみ)
EB12.尺側手根伸筋(右側のみ)EB14.腰方形筋および腰部起立脊椎筋肉、両側(左側においてより高い刺激)
EB15.中臀筋(右側のみ)
EB17.大腿二頭筋(右側のみ)
EB18.半膜様筋および半腱様筋(右側のみ)
EF8.三角筋肉(右側のみ)
EF21.大腿直筋肉(右側のみ)、
EF24.前脛骨筋肉(右側のみ)
【0129】
脊髄筋肉へ両側から刺激を付与する際、左側へより高い刺激を付与した。肢部においては、刺激は片側のみの右側のみへ付与した。
【0130】
ペアリングチャート1に従って、筋肉用電極と、振動電極とをペアリングした。
EB3.VB6.VB5.VB7.VB8.VB9.VB10.VB11.(右側のみ)
EB4.VB12.VB13.VB14.VB15.両側(左側においてより高い刺激)
EB5.VB16.VB17.VB24.VB25.両側(左側においてより高い刺激)
EB8.VB18.(右側のみ)
EB10.VB19.VB22.(右側のみ)
EB11.VB20.VB23.VB34.VB35.VB36.VB37.VB38.(右側のみ)
EB12VB20.VB34.VB35.VB36.VB37.VB38.VF20.(右側のみ)
EB14.VB26.VB27.VB28.VB29.VB30.VB31.VB32.VB33.両側(左側においてより高い刺激)
EB15VB28.VB29.VB30.VB31.VB32.VB33.(右側のみ)
EB17.VB39.VB40(右側のみ)
EB18.VB39.(右側のみ)
EF8.VB18.(右側のみ)
EF21.VF14.VF15.(右側のみ)
EF24.VF24.VF25.VF27.VF28.VF32(右側のみ)
【0131】
痙縮較正のため、治療専門家は、以下の3つの刺激筋肉およびその拮抗筋肉を選択した。前記選択された筋肉により、主動/拮抗筋肉対を形成した。1つの筋肉対は右脚内にあり、1つの筋肉対は右腕内にあり、もう1つの筋肉対は脊椎内にある。脊柱側弯の凹側(この場合では、右側)において、脊椎内での測定を行った。
【0132】
痙縮較正のために選択された筋肉
EMS筋肉刺激(20Hzおよび30ミクロン)
EB17.大腿二頭筋右
EB10.上腕三頭筋右
EB5.脊椎胸腰椎起立筋肉、左
【0133】
EMG筋肉読み取り:
EF22.大腿四頭筋内側広筋肉右
EF9.上腕二頭筋肉右
EB5.脊椎胸腰椎起立筋肉右
【0134】
橈骨遠位端の骨部分上に、1つのEMG電極を配置した。この測定電極により、治療専門家は、体内における非筋肉電気活動の基準測定を得ることができる。
【0135】
刺激力は、以下のようにして選択した。
【0136】
治療専門家は、1つのシミュレーション筋肉の触診によって振動が検出可能となるまで、前記筋肉内の電流を徐々に増加させた。その後、振動が検出できなくなるまで、電流を徐々に低下させた。これの目的は、無痛刺激力を選択することであった。
【0137】
全EMS筋肉において、同じ手順を注意深く繰り返した。
【0138】
EMG読み取りを短い間隔で行ったところ、痙性EMG筋肉における電気活動の低下が数分後に観測された。
【0139】
前記患者の較正および測定後、詳細な説明中の仕様に基づいて、前記装着具を構築した(電極の配置様態を含む)。
【0140】
最終較正において、前記装着具をプログラムした。刺激付与を、30分間継続して行った。数分後、筋肉弛緩および痙攣低減の第1の兆候が、EMG読み取りおよび関節可動度の物理的検査によって観測された。右腕および右脚部の随意運動の若干の機能向上が見られた。前記装着具は、治療専門家が選択した刺激パターンおよび刺激力を再現するように、プログラムされている。推奨される使い方としては、前記装着具を週3回、1回の治療あたり1〜2時間用いると良い。
【0141】
実施例3
【0142】
本例においては、重症の痙縮の治療における本発明の使用を示す。患者は30歳男性であり、脳性まひに起因する重症の四肢まひ痙縮を持つ。この患者においては、全肢部が痙攣しており、右肢部の方が左肢部よりも痙攣が若干高い。随意運動を行うと、痙縮の全体的増加に繋がった。脳性まひにおいて典型的な痙攣パターンがみられた。頭部は伸長し右側に回転しており、胴部は屈曲していた。神経性脊柱側弯の脊椎は左側に向かって若干c字型に凸型となっていた。脊髄筋肉組織の痙縮が主に右側に見られた。肩部は外転およびおよび内転しており、両肘部は屈曲しており、両手も屈曲していた。指は握り拳状であるかまたは直線状になっていた。両脚が臀部において内転し、臀部において屈曲し、足部において足底が屈曲していた。
この患者については、痙性筋肉における筋肉弛緩を誘導するための刺激付与先として、以下の筋肉を選択した。
EB1.後頭筋肉(左側)
EB2.頭板状筋および頚筋肉、脊椎上頸起立筋肉(左側)
EB3.中僧帽筋および下僧帽筋肉、脊椎下頸起立筋肉、脊椎上胸郭起立筋肉(両側)
EB4.脊椎胸中部起立筋肉(両側)
EB5.脊椎胸腰部起立筋肉(両側)
EB9.大円筋肉(両側)
EB10上腕三頭筋(両側)
EB11橈側手根伸筋および回外筋肉(両側)
EB12尺側手根伸筋(両側)
EB14腰方形筋および腰部起立脊椎筋肉(両側)
EB16大臀筋(両側)EF4.胸鎖乳突筋(両側)、右側においてより高い
EF8.三角筋肉(両側)
EF22.大腿四頭筋内側広筋肉(両側)
EF23.大腿四頭筋外側広筋肉(両側)
EF24.前脛骨筋肉(両側)
【0143】
脊髄筋肉へ両側から刺激を付与した。。肢部においては、刺激を両側から付与する際、若干より高い刺激を右側へ付加した。
【0144】
ペアリングチャート1に従って、筋肉用電極と、振動電極とをペアリングした。
EB1.VF1.VB1.VB2.VB42.
EB2.VB4.VB5.VF1.
EB3.VB6.VB5.VB7.VB8.VB9.VB10.VB11.
EB4.VB12.VB13.VB14.VB15.
EB5.VB16.VB17.VB24.VB25.
EB9.VF6.
EB10.VB19.VB22.
EB11.VB20.VB23.VB34.VB35.VB36.VB37.VB38.
EB12.VB20.VB34.VB35.VB36.VB37.VB38.VF20.EB9.VF6.
EB10.VB19.VB22.
EB11.VB20.VB23.VB34.VB35.VB36.VB37.VB38.
EB12.VB20.VB34.VB35.VB36.VB37.VB38.VF20.
EB14.VB26.VB27.VB28.VB29.VB30.VB31.VB32.VB33.
EB16.VB30.VB32.VB33.
EF8.VB18.
EF4.VB3.VB42.
EF22.VF22.
EF23.VF22.
EF24.VF24.VF25.VF27.VF28.VF32
【0145】
痙縮較正のため、治療専門家は、以下の3つの刺激筋肉およびその拮抗筋肉を選択した。前記選択された筋肉により、主動/拮抗筋肉対を形成した。1つの筋肉対は両脚内にあり、1つの筋肉対は両腕内にあり、もう1つの筋肉対は脊椎内にある。脊柱側弯の凹側(この場合では、左側)において、脊椎内での測定を行った。
【0146】
痙縮較正のために選択された筋肉
EMS筋肉刺激(20Hzおよび30ミクロン)
EF22.大腿四頭筋内側広筋肉両側性
EB10.上腕三頭筋両側性
EB5.脊椎胸腰椎起立筋肉左
【0147】
EMG筋肉読み取り:
EB17.大腿二頭筋両側性
EF9.上腕二頭筋肉両側性
EB5.脊椎胸腰椎起立筋肉右
【0148】
橈骨遠位端の骨部分上に、1つのEMG電極を配置した。この測定電極により、治療専門家は、体内における非筋肉電気活動の基準測定を得ることができる。
【0149】
刺激力は、以下のようにして選択した。
【0150】
治療専門家は、1つのシミュレーション筋肉の触診によって振動が検出可能となるまで、前記筋肉内の電流を徐々に増加させた。その後、振動が検出できなくなるまで、電流を徐々に低下させた。これの目的は、無痛刺激力を選択することであった。
【0151】
全EMS筋肉において、同じ手順を注意深く繰り返した。
【0152】
EMG読み取りを短い間隔で行ったところ、痙性EMG筋肉における電気活動の低下が数分後に観測された。
【0153】
前記患者の較正および測定後、詳細な説明中の仕様に基づいて、前記装着具を構築した(電極の配置様態を含む)。
【0154】
最終較正において、前記装着具をプログラムした。刺激付与を、30分間継続して行った。数分後、筋肉弛緩および痙攣低減の第1の兆候が、EMG読み取りおよび関節可動度の物理的検査によって観測された。頸部、両腕および両脚の随意運動の若干の機能向上が見られた。前記装着具は、治療専門家が選択した刺激パターンおよび刺激力を再現するように、プログラムされている。推奨される使い方としては、前記装着具を週3回、1回の治療あたり1〜2時間用いると良い。
【0155】
前記装着具を使い初めてから数週間後には、痙縮の全体的低減が観測され、運動機能のさらなる向上も見られた。随意運動の増加が、脊椎、両肩、両腕、臀部および両脚において観測された。
【0156】
実施例4
【0157】
重症の痙性患者についての実施例1〜3を通じても、局所的筋肉緊張または全体的筋肉緊張に苦しんでいる患者全てが、いくつかの実施形態による筋肉弛緩から恩恵を受けることができる。
【0158】
例えば、パーキンソン病の患者を支援した。
【0159】
すなわち、手の震えが消失した。。さらに、硬直の全体的低下も観測された。
【0160】
適用可能性
【0161】
いくつかの実施形態によるシステムおよび装着具を用いれば、体内の関節のうち大部分の動きを人工的に誘導することが可能となる。さらに、本発明によれば、脊髄損傷後において脳を身体に接続することが、EEG、PC、ハードウェアおよび前記装着具による支援により理論的に可能となる。
【0162】
いくつかの実施形態によるシステムおよび装着具によれば、体内の関節の大部分の動きを人工的に誘導することが可能となる。さらに、本発明者の非限定的理論によれば、前記システムまたは装着具を用いることにより、脊髄損傷後において脳を身体に接続することが、EEG、PC、ハードウェアおよび前記装着具による支援により理論的に可能となる。脊髄損傷後においては、脳の大脳皮質内の運動中枢のうち大部分は損傷を受けていない。よって、脊髄損傷患者であっても、運動を「考える」ことはできる。EEG装置により、特定の動きのパターンを記録/読み出すことができる。その後、これらの特定のEEGパターンの認識と、前記装着具によって生成される刺激パターンへのパターン変換とを行うようにソフトウェアをプログラムすることができる。さらに、システムまたは装着具を用いることにより、身体に対する重力の影響様態をシミュレートすることも可能となり、これにより、本発明により、宇宙旅行における無重力による悪影響(筋肉の損失)を強制的に中和することが可能となる。理論的には、前記システムまたは装着具を用いることにより、筋肉による重力への反作用を弱めるかまたは強めることが可能であり、従って、軽くなる間隔または重くなる間隔をシミュレートすることが可能となる。さらに、前記システムまたは装着具は、特定の動きの記録および再現のために用いることができる。そのため、前記システムまたは装着具は、スポーツおよびスポーツ医学において多くの用途を有する。主に運動効果の向上および/または(再度の)損傷の危険性の低減の目的のために、スポーツまたはリハビリテーションにおける動きを、前記装着具によって実行/支持/支援することができる。前記システムまたは装着具はまた、コンピュータゲーム業界においても高い可能性を有する。すなわち、本発明を用いれば、プレーヤ間の相互作用およびアニメーションを革新することができる。
【0163】
本発明について、特定の実施形態を参照して上述してきたが、本発明は、本明細書中に記載の特定の形態に限定されない点に留意されたい。すなわち、本発明は、添付の特許請求の範囲のみによって限定され、上記において記載した実施形態以外の他の実施形態も、添付の特許請求の範囲内において等しく可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの痙性拮抗筋肉の弛緩のためのシステム(10)であって、
第1の電極(11a)およびa第2の電極(11b)を有する電子筋肉刺激デバイス(11)であって、前記第1の電極(11a)およびa第2の電極(11bは、対応する主動筋肉へと接続される、電子筋肉刺激デバイス(11)と、
靱帯、関節包または腱へ接続されるバイブレータデバイス(12)であって、前記靱帯、関節包または腱において主動筋肉が骨格へ付着する、バイブレータデバイス(12)と、
前記電子筋肉刺激デバイス(11)および前記バイブレータデバイス(12)を同時に制御するように構成された制御ユニット(13)であって、前記制御するステップは、第1のパルス電流信号を前記第1の電極(11a)と前記第2の電極(11b)との間に、第2のパルス電流信号を前記バイブレータデバイス(12)へと付加することにより、行われる、制御ユニット(13)と、
を含む、システム(10)。
【請求項2】
前記第1のパルス電流信号は、パルス周波数がおよそ15Hz〜35Hz(例えば、20Hz〜35Hz)である、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記第1のパルス電流信号のパルス継続時間はおよそ30μsである、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記第1のパルス信号のパルス周波数はおよそ20Hzであり、パルス継続時間はおよそ30μsである、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記振動デバイス(12)は、前記靱帯(単数または複数)、関節包(単数または複数)または腱(単数または複数)あるいはその異なる部分へと接続される振動ユニットを1つより多く含み、前記前記靱帯(単数または複数)、関節包(単数または複数)または腱(単数または複数)あるいはその異なる部分において、前記主動筋肉が前記骨格へと付着する、上記請求項のいずれか1つに記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記痙性拮抗筋肉内の電気活動を評価および記録するための筋電図検査デバイス(14)をさらに含み、前記筋電図検査デバイスは、前記痙性拮抗筋肉へと接続される第1のEMG電極(14a)および第2のEMG電極(14b)を含む、上記請求項1〜5のいずれか1つに記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記第1のEMG電極(14a)は前記第1の電極(11a)として用いることができ、あるいは、前記第2のEMG電極(14b)を前記第2の電極(l1b)として用いることができる、請求項5に記載のシステム(10)。
【請求項8】
使用時において、前記第1の電極(11a)および第2の電極(11b)が接続された前記主動筋は、以下を含む群から選択された少なくとも1つの筋である:
後頭前頭筋(EF1);側頭筋(EF2);咬筋(EF3);胸鎖乳突筋(EF4);傍脊柱筋(EF5);上部僧帽筋(EF6);大胸筋(EF7);三角筋(EF8);上腕二頭筋(EF8);腕橈骨筋(EF10);橈側手根屈筋(EF11);尺側手根屈筋(EF12);浅指屈筋および深指屈筋(EF13);腹直筋(EF14);外腹斜筋(EF15);大腿筋膜張筋(EF16);腸骨筋(EF17);長内転筋(EF18);大内転筋(EF19);縫工筋(EF20);大腿直筋(EF21);大腿四頭筋内側広筋(EF22);大腿四頭筋外側広筋(EF23);前脛骨筋(EF24);長腓骨筋(EF25);母指球筋(EF26);小指球筋(EF27);後頭筋(EB1);頭板状筋および頚筋;脊髄上部頸部起立筋(EB2);中僧帽筋および下僧帽筋;脊髄下部頸部起立筋;脊椎上部胸部起立筋(EB3);脊椎胸中部起立筋(EB4);脊椎胸腰部起立筋(EB5);広背筋(EB6);棘下筋(EB7);小円筋(EB8);大円筋(EB9);上腕三頭筋筋(EB10);橈側手根伸筋および回外筋(EB11);尺側手根伸筋(EB12);総指伸および(母指、小指)筋(EB13);腰方形筋および腰部起立脊椎筋(EB14);中臀筋筋(EB15);大臀筋筋(EB16);大腿二頭筋(EB17);半膜様筋および半腱様筋(EB18);腓腹筋(EB19);ヒラメ筋(EB20);長趾屈筋(EB21);長母趾屈筋(EB22);or足底弓筋(EB23)、
使用時において、前記バイブレータデバイス(12)は、以下を含む群から選択された少なくとも1つの位置、靱帯、関節包または腱へと接続される、前記側頭下顎関節の関節包において前記側頭下顎靱帯の近位において(VF1);鎖骨間靱帯および前胸鎖靱帯(VF2);肋鎖靱帯および後胸鎖靱帯(VF3);前肩鎖靱帯および烏口肩峰靱帯(VF4);烏口鎖骨靱帯(VF5);前関節上腕靱帯(VF6);第3肋骨および第4肋骨の肋間部ならびに第3肋骨および第4肋骨の肋骨肋軟骨連結(VF7);肋剣靱帯(VF8);第5肋骨および第6肋骨の肋間部;および肋骨肋軟骨連結5および6(VF9);第7肋骨および第8肋骨の肋間部および肋骨肋軟骨連結9および10(VF10);第9肋骨および第10肋骨の肋間部ならびに肋骨肋軟骨連結9および10(VF11);腕尺関節の前関節関節包(VF12);腕尺関節中の内側側副靱帯(VF13);上前腸骨棘(VF14);鼠径部靱帯(VF15);恥骨大腿靱帯(VF16);尺骨手根靱帯(VF17);橈骨手根靱帯(VF18);橈骨手根靱帯(VF19);橈骨手根関節内の外側側副靱帯(VF20);側副脛骨大腿骨靱帯(VF21);前十字靱帯および膝蓋腱(VF22);側副外側大腿靱帯(VF23);三角靱帯(VF24);背側立方−および楔舟靱帯(VF25);踵腓靱帯および外側距踵靱帯(VF26);近位中足骨5の付着における短腓骨筋腱(VF27);前脛骨腱;舟状骨における足底付着(VF28);長腓骨筋腱;立方骨における足底付着(VF29);足底長頭靱帯(VF30);つま先部Iおよびつま先部II間の深横中足靱帯、母指および第2趾の中足指節関節の背関節包(VF31);第4趾および第5趾の間の深横中足靱帯(VF32); 蝶形頬骨縫合線および靱帯s(VF33);環椎後頭膜(VB1);乳様突起(VB2);前記下顎関節突起の後ろにおいて、環椎骨の横突起近位置、および茎突下顎靱帯(VB3);軸C2の外側脊髄突起(VB4);C3の横突起(VB5);C5の棘突起(VB6);C5の横突起(VB7);隆起C7の棘突起(VB8);横突起TH2(VB9);TH3の棘突起(VB10);TH4の横突起(VB11);TH6の横突起(VB12);TH5の棘突起(VB13);TH7の棘突起(VB14);TH9の横突起(VB15);TH10の棘突起(VB16);第10肋骨の角(VB17);後関節上腕靱帯(VB18);腕尺関節内の後関節包(VB19);腕橈/橈尺関節内の外側側副靱帯(VB20);S3の棘突起(VB21);腕尺関節の後関節包(VB22);後輪状放射状靱帯(VB23);第12肋骨の端部(VB24);LIの棘突起(VB25);L4の横突起および上腸腰靱帯(VB26);L3の棘突起(VB27);L5の横突起および下腸腰靱帯(VB28);L5の棘突起(VB29);後上腸骨棘(VB30);SIの棘突起(VB31);仙棘靱帯の仙骨付着および仙結節靱帯(VB32);坐骨大腿靱帯(VB33);母指の後中手指節関節(VB34);手根間弓状靱帯および背橈骨手根靱帯(VB35);中手骨2および3の遠位中手骨間領域(VB36);中手骨3および4の遠位中手骨間領域(VB37);中手骨4および5の遠位中手骨間領域(VB38);膝部関節(VB39)の後十字靱帯および後関節包;後脛腓靱帯(VB40);踵骨の付着におけるアキレス腱(VB41);または後頭隆起(VB42)、
上記請求項のいずれか1つに記載のシステム(10)。
【請求項9】
使用時において、前記第1の電極(11a)および第2の電極(11b)は、対応する参照符号を有する前記主動筋肉へと接続され、前記対応する参照符号は以下の表に記載され、使用時において、前記バイブレータデバイス(12)が、以下の表に記載される対応する参照符号を有する前記位置、靱帯、関節包または腱へと接続される、請求項8に記載のシステム。
【表1】


【請求項10】
使用時において、前記第1の電極(11a)および第2の電極(11b)は、前記対応する参照符号の前記主動筋肉へと接続され、使用時において、前記バイブレータデバイス(12)、前記対応する参照符号の前記位置、靱帯、関節包または腱へと接続され、前記対応する参照符号は、以下の表に記載される、請求項8に記載のシステム。
【表2】






【請求項11】
上記請求項のいずれか1つに記載の前記システム(10)を含む装着具(30)。
【請求項12】
ソフトウェアコードを含むコンピュータ読み出し可能な媒体上に保存されたコンピュータプログラム製品であって、前記ソフトウェアコードは、データ処理装置上において実行された場合、請求項1〜10のうちいずれか1つに記載のシステムを制御するように適合される、コンピュータプログラム製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−512709(P2013−512709A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541503(P2012−541503)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068721
【国際公開番号】WO2011/067327
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(512136433)イナーヴェンションズ エービー (1)
【Fターム(参考)】