説明

痛み防止ショーツ

【課題】着座時の臀部坐骨への過度の体圧負荷を抑制し、坐骨ならびに坐骨周辺の痛みや刺激を緩和することもでき、体圧負荷や摩擦が原因で発生する皮膚の黒ずみや角質化を緩和する。更に薄肉の臀部を補い尻の厚みを自然につけ、装着者がズボンやスカートを履いた時、整ったヒップラインを出すことができる衝撃吸収パッドと、それを内蔵する専用ショーツを提供する。
【解決手段】衝撃吸収パッド1は、軽量で復元弾性をもつ低反発ウレタンフォームを素材とし、専用ショーツ5に設けた内ポケットに、坐骨周辺の痛みや黒ずみがある部位に自由自在に挿入して着座時の皮膚を保護する。衝撃吸収パッドは上部端部が漸次薄肉で波型部分を設けてあり、外観から衝撃吸収パッドを装着していることを判断しにくい構造である。坐骨が接触する部分は低反発ウレタンフォームに厚みを持たせ、痛みの軽減を図っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座時の坐骨ならびに坐骨周辺の痛みや刺激を緩和し、体圧負荷や摩擦が原因で発生する、坐骨周辺の皮膚の黒ずみや角質化を緩和し、薄肉の臀部を補い尻の厚みを自然につけ、装着者がズボンやスカートを履いた時、整った曲線を出す臀部痛み防止ショーツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツ用として身体に与える衝撃や傷の発生を防止する目的で、衣服の各部位に保護具を直接取り付けた衣服類が知られている。老齢者用として転倒による大腿骨頚部骨折を防止する衣服は増加している傾向にある。
【0003】
女性の下垂した臀部を補って高いヒップを形成し、使用者がズボンやスカートを履いた時、綺麗な曲線を出すためのショーツ類も知られている。
【0004】
老齢者用の転倒による大腿骨頚部骨折などを防止するための破れにくく可撓性を有するシートを広面に沿って一面に埋め込んで一体に形成された弾性を有するプレート状の合成樹脂からなる第1構成部と、該第1構成部の一方の広面側に一体に積層されて、該第1構成部よりも軟性を有し低反発性を備えた合成樹脂からなる第2構成部からなっており、衣類の内側に設けた収納ポケットに出入自在に挿入して身体を保護することができ、不使用時には収納ポケットから外してメンテナンスすることができる衝撃吸収パッドが知られている (特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−123311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
痩せ型で全身が薄肉の人や臀部坐骨周辺を覆う脂肪が薄い体型の人は、着座の姿勢を取った際、坐骨が床、椅子、足などに当たり、年齢・性別を問わず坐骨ならびに坐骨周辺が痛むという悩みを持っている。その解決策として適した座布団やクッション類を使用していることが考えられるが、それらを使用できない場合は、代用できる物がないのが現状である。
【0007】
特に女性の場合、体圧負荷や摩擦が原因で発生する、坐骨ならびに坐骨周辺の皮膚の黒ずみ、角質肥厚に美観面において悩まされている。
【0008】
現在スキー、スノーボード、自転車などのスポーツ用として身体に与える衝撃や傷の発生を防止する目的で、衣服の各部位に保護具を設けた衣服類が知られている。しかし、衣服の各部位に保護具を直接取り付けたものは、スポーツ用としては良いが通常の衣類用としては着心地、厚さ、美観面において適当でない。また、最近は女性や老齢者の間でヨガが人気であるが、床に直接座ることが多いヨガをする際に、坐骨ならびに坐骨周辺が痛むという悩みを持つ人も多い。
【0009】
老齢者用として転倒による大腿骨頚部骨折を防止する衣服は増加しているが、老齢者以外の足腰に不具合がない人物の場合は、大腿骨頚部骨折を防止する衣服は必要がない。
【0010】
着座時の坐骨ならびに坐骨周辺の痛みや刺激の緩和、保護することのみを目的とすると、保護具が分厚くなり装着していることが一目瞭然となり、外観を整えたいと思う女性には不向きな物になる。
【0011】
保護具を衣類と一体に縫いつける構造では、衣類から保護具を外すのが困難であり、簡便に衣類を洗濯することができない。また衣類を買い換える場合も保護具と共に買い換える必要があり、コスト高となる欠点がある。
【0012】
女性の下垂した臀部を補って高いヒップを形成し、使用者がズボンやスカートを履いた時、整った曲線を出すためのショーツ類は知られている。しかしこのような衣服は臀部の形成のみに目的が限られ、着座時の坐骨ならびに坐骨周辺の痛みや刺激の緩和、体圧負荷や摩擦が原因で発生する、坐骨ならびに坐骨周辺の皮膚の黒ずみ、角質化を緩和するものではない。本発明は以上の問題点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この衝撃吸収パッドは、軽量で復元弾性をもつ低反発ウレタンフォームで作られており、臀部痛み防止専用ショーツの内側に設けた衝撃吸収パッド収納ポケットに、使用者にとって衝撃を受けやすい適宜の部位に自由自在に挿入して、坐骨やその周辺の痛みや刺激を緩和することができる。
【0014】
衝撃吸収パッドは図6に示す範囲ZのA地点から50%以上75%以下を占める範囲に複数の波型部を設置し、波型部の端部が漸次薄肉となるよう形成されている。その効果で使用者が衝撃吸収パッドを装着した際、衝撃吸収パッドの輪郭がぼやけ、目立たなくなり、装着者が衝撃吸収パッドを使用していることが外観から判別しにくくなっている。
【0015】
臀部痛み防止専用ショーツの内側に設けられている衝撃吸収パッド収納ポケットは、臀部全体を覆うだけでなく、前方大腿部の内股から恥骨付近までの広範囲を覆っている。以上の構造によりなる痛み防止ショーツ。
【発明の効果】
【0016】
衝撃吸収パッドを臀部痛み防止専用ショーツの衝撃吸収パッド収納ポケットの適宜の部位に挿入し装着することにより、硬い椅子や床に着座した場合でも坐骨ならびに坐骨周辺の痛み、刺激を緩和することができる。
【0017】
体圧負荷や摩擦が原因で発生する、坐骨ならびに坐骨周辺の皮膚の黒ずみ、角質化を緩和する。
【0018】
臀部痛み防止専用ショーツの衝撃吸収パッド収納ポケットに衝撃吸収パッドを収納し装着すると、衝撃吸収パッドは臀部と臀部痛み防止専用ショーツに挟まれ薄く圧縮され、外観から装着していることが判断しにくい形状になるとともに、薄肉の臀部を補い尻の厚みを自然につけ、装着者がズボンやスカートを履いた時、整ったヒップラインを作る。
【0019】
衝撃吸収パッドは臀部痛み防止専用ショーツから簡単に取り出すことができ、衝撃吸収パッドと臀部痛み防止専用ショーツを別々に洗濯やメンテナンスをすることができる。
【0020】
衝撃吸収パッドだけ、臀部痛み防止専用ショーツだけを交換したり新規に購入することができ、無駄が無く経済的と言える。勿論、衝撃吸収パッドを使用せず臀部痛み防止専用ショーツだけを使用することもできTPOに合わせた使い方もできる。
【0021】
臀部痛み防止専用ショーツに衝撃吸収パッドを装着し、身体を激しく動かすスポーツやサイクリングなどに使用しても、坐骨付近にフィットさせた衝撃吸収パッドは、ずれたり移動してしまうことはない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の臀部痛み防止専用ショーツと衝撃吸収パッドの正面を示す図である。
【図2】本実施形態の臀部痛み防止専用ショーツに衝撃吸収パッドを装着した背面を示す図である。
【図3】本実施形態の臀部痛み防止専用ショーツに衝撃吸収パッドを装着した側面を示す図である。
【図4】本実施形態の臀部痛み防止専用ショーツの裏側の背面を示す図である。
【図5】本実施形態の臀部痛み防止専用ショーツの裏側の正面を示す図である。
【図6】本実施形態の衝撃吸収パッドの正面を示す図である。
【図7】本実施形態の衝撃吸収パッドの背面を示す図である。
【図8】本実施形態の衝撃吸収パッドの側面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は臀部痛み防止専用ショーツ(5)と内蔵する衝撃吸収パッド(1)の正面を示す図である。臀部痛み防止専用ショーツ(5)の臀部側裏側全体と正面側裏面の内股から恥骨までを覆うように、衝撃吸収パッド収納ポケットを構成する布(7)を設け衝撃吸収パッド収納ポケット(6)を構成し、衝撃吸収パッド収納ポケット上部開口部(6a)から、または衝撃吸収パッド収納ポケット下部開口部(6b)から衝撃吸収パッド(1)が衝撃吸収パッド収納ポケット(6)に出入自在に挿入される。衝撃吸収パッド(1)は左右の臀部に一つずつ入れて使用する。
【0024】
図2は臀部痛み防止専用ショーツ(5)に衝撃吸収パッド(1)を装着した際の背面を示す図である。臀部痛み防止専用ショーツ(5)を履いた後、衝撃吸収パッド収納ポケット上部開口部(6a) または、衝撃吸収パッド収納ポケット下部開口部(6b)から衝撃吸収パッド収納ポケット(6)の中に衝撃吸収パッド(1)を入れ、坐骨周辺の痛みや刺激を感じる部分に当てる。衝撃吸収パッド収納ポケット上部開口部(6a)や衝撃吸収パッド収納ポケット下部開口部(6b)から衝撃吸収パッド(1)を安易に出し入れすることができる。
【0025】
図3は臀部痛み防止専用ショーツ(5)の衝撃吸収パッド収納ポケット(6)に衝撃吸収パッド(1)を装着した際の側面を示す図である。衝撃吸収パッド(1)を装着するのが臀部の坐骨周辺と大腿部の境目付近であるので、自然に出来ている身体の窪みに衝撃吸収パッド(1)がはまり込み、伸縮性が優れた臀部痛み防止専用ショーツ(5)が衝撃吸収パッド(1)を身体へフィットさせ、押さえている構造なので、スナップボタンや面ファスナーなどを臀部痛み防止専用ショーツ(5)や衝撃吸収パッド(1)に縫うなどの手段を使わなくとも、衝撃吸収パッド(1)は坐骨周辺からずれることは認められない。衝撃吸収パッド(1)は薄肉の臀部を補い、尻の厚みを自然に作り、装着者がズボンやスカートを履いた際整ったヒップラインを作る。衝撃吸収パッド(1)の装着前と装着中の厚さは変化する。低反発ウレタンフォームを材料としている衝撃吸収パッド(1)は臀部痛み防止専用ショーツ(5)に内蔵されると、臀部痛み防止専用ショーツ(5)と臀部に挟まれることで圧縮され薄くなり、外観から装着していることが判断しにくい形状になる。
【0026】
図4は臀部痛み防止専用ショーツ(5)の裏面の背面を示す図である。臀部痛み防止専用ショーツ(5)はポリエステル75%、ポリウレタン25%の繊維からなり、伸縮性が優れ、身体へのフィット感が高い布地であり、衝撃吸収パッド(1)の身体への密着度を高くしている。臀部痛み防止専用ショーツ(5)の素材は伸縮性が優れ身体へのフィット感が高い布地であれば他の素材を用いることができる。衝撃吸収パッド収納ポケットを構成する布(7)が臀部全体を覆うように縫われ、衝撃吸収パッド収納ポケット(6)が構成される。衝撃吸収パッド収納ポケット(6)には衝撃吸収パッド収納ポケット上部開口部(6a)と衝撃吸収パッド収納ポケット下部開口部(6b)がある。衝撃吸収パッド収納ポケット下部開口部(6b)を存在させ、穴あきポケットのような形にしている理由は、使用者が臀部痛み防止専用ショーツ(5)の中に衝撃吸収パッド(1)を装着した後、履き心地の微調整をするのに衝撃吸収パッド収納ポケット下部開口部(6b)から手を入れて、衝撃吸収パッド(1)の位置を調整するのに便利という点と、衝撃吸収パッド収納ポケット下部開口部(6b)を作らず、衝撃吸収パッド収納ポケット(6)を袋状にするためにその位置を縫うと、外観から縫い目が見えてしまうため、という2点がある。
【0027】
図5は臀部痛み防止専用ショーツ(5)の裏面の正面を示す図である。衝撃吸収パッド収納ポケットを構成する布(7)が前方大腿部の内股から恥骨付近までの広範囲を覆うように縫われている。そのため衝撃吸収パッド収納ポケット前方縫合部(8)が存在する。衝撃吸収パッド収納ポケットを構成する布(7)は臀部全体だけでなく、前方大腿部や恥骨付近までも設置され衝撃吸収パッド収納ポケット(6)を構成している。この理由として、使用者の体格などによって坐骨の位置、痛みや黒ずみが発生する位置は千差万別であり、尚且つ同一人物であっても、着座の時や自転車に乗る時など、姿勢によって痛みや刺激される位置が移動する。これらのことを鑑みて衝撃吸収パッド収納ポケットを構成する布(7)は、左右臀部全体と、前方大腿部の内股から恥骨付近まで設置し、衝撃吸収パッド(1)をフィットできる位置を広範囲にし、多様な体格や姿勢に対応できるよう構成した。
【0028】
図6は衝撃吸収パッド(1)の左側臀部用の正面を示す図である。右側臀部用はこの対称に作成する。この面が臀部に当たる側である。本実施例で衝撃吸収パッド(1)は、感触が柔らかく体圧が全体に分散され、血流阻害や床ずれ防止に効果的な低反発ウレタンフォームで構成されている。略楕円形と複数の波型部分(2)から成る。波型に形成しているのは、研究過程で直線で形成したものは衝撃吸収パッド(1)の輪郭のラインが見えやすく、波型に形成したものは輪郭のラインが見えにくく、外観から装着していることを判断しにくかったという結果が出たためである。波型部分(2)は外周の範囲ZのA地点から50%以上75%以下を占める広さに複数に設置する。丸み部分(3)に坐骨周辺の痛みや黒ずみが発生している部分を当てるようにする。
【0029】
(表1)

【0030】
図7は衝撃吸収パッド(1)の背面を示す図である。この面は臀部に当たらない側であり、外側になる。平らに形成してあり、装着者がズボンやスカートを履いた時、整ったヒップラインを作る。
【0031】
図8は衝撃吸収パッド(1)の側面を示す図であり、衝撃吸収パッド収納ポケット(6)の中に装着された図である。衝撃吸収パッド波型部分(2)の先端は漸次薄肉となるよう形成されている。坐骨の痛みを感じる部分に接触する、衝撃吸収パッド丸み部分(3)の中心は厚みが3cmで端になるにしたがいなだらかに薄くなっている。
【0032】
臀部痛み防止専用ショーツ(5)と衝撃吸収パッド(1)は着座時の坐骨周辺の痛みや刺激を緩和することができ、体圧負荷や摩擦が原因で発生する、坐骨ならびに坐骨周辺の皮膚の黒ずみや角質化を緩和し、薄肉の臀部を補い尻の厚みを自然につけ、装着者がズボンやスカートを履いた時、整ったヒップラインを作ることが可能な素材であれば、この発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【符号の説明】
【0033】
1 衝撃吸収パッド
2 衝撃吸収パッド波型部分
3 衝撃吸収パッド丸み部分
4 衝撃吸収パッド背面側
5 臀部痛み防止専用ショーツ
6 衝撃吸収パッド収納ポケット
6a 衝撃吸収パッド収納ポケット上部開口部
6b 衝撃吸収パッド収納ポケット下部開口部
7 衝撃吸収パッド収納ポケットを構成する布
8 衝撃吸収パッド収納ポケット前方縫合部
Z 衝撃吸収パッドの外周の範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右臀部それぞれを覆い、相互に隣接する内ポケットを備えたショーツ本体と、前記内ポケットそれぞれに挿入される少なくとも3つの波型部を有する半円型の衝撃吸収パッドとを有する痛み防止ショーツ。
【請求項2】
前記内ポケットそれぞれは、左右臀部全体及び左右の内股から恥骨までを覆うことを特徴とする請求項1記載の痛み防止ショーツ。
【請求項3】
前記衝撃吸収パッドの波型部は、半円型の円形部に設けられたものであることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の痛み防止ショーツ。
【請求項4】
前記ショーツ本体の左臀部ポケット、右臀部ポケットの底部は開放されていることを特徴とする、請求項1から請求項3に記載の痛み防止ショーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−224957(P2012−224957A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93159(P2011−93159)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(711004469)
【Fターム(参考)】