説明

癌に対する抗体

【課題】Cripto-1タンパク質、Pim-1タンパク質または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原の単離された結合パートナーで癌細胞を処理するアポトーシス誘導法の提供。
【解決手段】結合パートナーは1以上の癌細胞型の増殖を抑制し、被験者の癌を治療するための抗癌剤として使用することができ、癌細胞におけるアポトーシスを誘導する方法ならびに癌細胞を細胞傷害性化合物に対して感受性にする方法においても使用することができる。さらに、Cripto-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、Pim-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原を含有するか、あるいは、Cripto-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、Pim-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原をコードする発現可能なDNA分子を含有する癌ワクチン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗癌剤、特にヒト大腸癌、前立腺癌および乳癌の細胞のin vitroおよびin vivo増殖を抑制する薬剤に関する。本発明はまた、癌ワクチンにも関する。
【背景技術】
【0002】
1980年代初期には、抗癌剤として使用するためのモノクローナル抗体(Mab)の開発に大きな関心が寄せられていた。ある場合には、これらは種々の細胞傷害性化合物(例えば、毒素)または他の物質(例えば、アイソトープ、薬物)を、コンジュゲーションによって、癌細胞に送達する「魔法の弾丸」(magic bullets)を形成するように設計された。しかし、低い特異性、低い浸透性(すなわち、固形腫瘍の場合)、HAMA(すなわち、ヒト抗マウス抗体)応答の惹起を含めて、いくつかの理由のため、こうしたMabに基づく抗癌剤は成功を収めず、大方は断念された。
【0003】
最近になって、Mabに基づく抗癌剤が再び脚光を浴びるようになり、以前に経験した問題点の多くが遺伝子工学的技術により解決されるようになった (Hudson PJ, "Recombinant antibody constructs in cancer therapy" (癌治療における組換え抗体構築物), Curr Opin Immunol, 11, pp 548-557 (1999); この文献の開示内容を参照により本明細書中に含めるものとする)。実際、現在では、3種類のモノクローナル抗体、すなわち、HER2/neu陽性乳癌治療用のTranstuzumabという名称で販売されているヒト化HER2/neuモノクローナル抗体、非ホジキンリンパ腫治療用のRituxanとして知られるヒト化抗CD20モノクローナル抗体、および抗EGFRモノクローナル抗体であるC225が存在し、これらはすでに使用されているか、または臨床試験中である。これらの抗体は主に細胞傷害性抗体として作用するものでも、Fc媒介炎症反応により作用するものでもなく、抗原と結合して細胞のシグナル伝達を妨害したり、アポトーシスへと至らせるものである。例えば、HER2/neuモノクローナル抗体の場合には、この抗体が増殖因子の結合を妨害し、つまり「ブロック」して、結果的にHER2/neu陽性乳癌細胞の死をもたらす。
【0004】
既存の癌治療を補足するために、さらに多くの抗癌剤が明らかに必要とされている。いくつかの癌細胞で発現することが知られているタンパク質であるCripto-1タンパク質またはCripto-1タンパク質の抗原部分 (Montuori N.ら, "isolation and characterisation of the CRIPTO autosomal gene and its X-linked related sequence" (CRIPTO常染色体遺伝子およびそのX連鎖性関連配列の単離および特徴づけ), Am J Hum Genet, 49 (3), pp 555-565 (1991))、またはPim-1タンパク質の融合タンパク質(Friedmann M.ら, "Characterisation of the proto-oncogene pim-1: kinase activity and substrate recognition sequence" (プロトオンコジーンpim-1の特徴づけ: キナーゼ活性および基質認識配列), Arch Biochem Biophys, 298 (2), pp 594-601 (1992))、または大腸癌細胞溶解物を用いてラットを免疫することにより、本発明者らは、驚いたことに、種々の癌細胞系の増殖を抑制し、ある場合にはそれらの癌細胞系のアポトーシスを引き起こすことが見出されたモノクローナル抗体を製造することができた。
【発明の開示】
【0005】
第1の態様において、本発明は、癌細胞をCripto-1タンパク質の結合パートナー(例えば、モノクローナル抗体もしくはそのフラグメント)で処理することを含んでなる、癌細胞におけるアポトーシスの誘導方法を提供する。
【0006】
好ましくは、前記結合パートナーはCripto-1タンパク質と特異的に結合し、より好ましくは、実質的に下記アミノ酸配列:
CPPSFYGRNCEHDVRKE (配列番号1)、または
ELNRTCCLNGGTCMLGSFCACPPSFYGRNCEHDVRKE (配列番号2)
に相当するCripto-1アミノ酸配列と特異的に結合する。
【0007】
第2の態様において、本発明は、Cripto-1タンパク質と特異的に結合し、癌細胞においてアポトーシスを誘導することができるモノクローナル抗体またはそのフラグメントを提供する。
【0008】
第3の態様において、本発明は、第2の態様に従うモノクローナル抗体またはそのフラグメントを、場合により製薬上許容される担体または希釈剤と組み合わせて、含有する抗癌剤を提供する。
【0009】
第4の態様において、本発明は、有効量の第3の態様に従う抗癌剤を被験者に投与することを含んでなる、被験者における癌の治療方法を提供する。
【0010】
第5の態様において、本発明は、Cripto-1タンパク質もしくはその抗原フラグメント、またはCripto-1タンパク質もしくはその抗原フラグメントをコードする発現可能なDNA分子を、場合により製薬上許容される賦形剤またはアジュバントと組み合わせて、含有する癌ワクチンを提供する。
【0011】
第6の態様において、本発明は、有効量の第5の態様に従う癌ワクチンを被験者に投与することを含んでなる、被験者における癌の治療方法を提供する。
【0012】
第7の態様において、本発明は、Pim-1タンパク質と特異的に結合しかつ1種以上の癌細胞型の増殖を抑制する、Pim-1タンパク質の単離された結合パートナーを提供する。
【0013】
第8の態様において、本発明は、第7の態様に従う結合パートナーを、場合により製薬上許容される担体または希釈剤と組み合わせて、含有する抗癌剤を提供する。
【0014】
第9の態様において、本発明は、有効量の第8の態様に従う抗癌剤を被験者に投与することを含んでなる、被験者における癌の治療方法を提供する。
【0015】
第10の態様において、本発明は、大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原(SDS-PAGEで推定して16kdまたは30kdの分子量を有する)の単離された結合パートナーを提供し、該結合パートナーは該抗原と特異的に結合し、かつ1種以上の癌細胞型の増殖を抑制する。
【0016】
第11の態様において、本発明は、第10の態様に従う結合パートナーを、場合により製薬上許容される担体または希釈剤と組み合わせて、含有する抗癌剤を提供する。
【0017】
更なる態様において、本発明は、有効量の第11の態様に従う抗癌剤を被験者に投与することを含んでなる、被験者における癌の治療方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の結合パートナーは、好ましくは、大腸癌細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞、白血病細胞および肺癌細胞の1種以上の増殖を抑制し、かつCripto-1タンパク質、Pim-1タンパク質、または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原と結合することを特徴とする。
【0019】
望ましくは、上記結合パートナーは抗体またはそのフラグメントであるが、それらはCripto-1タンパク質の受容体タンパク質 (Bianco C.ら, "Cripto-1 indirectly stimulates the tyrosine phosphorylation of erb B-4 through a novel receptor" (Cripto-1は新規受容体を介してerb B-4のチロシンリン酸化を間接的に促進する), J Biol Chem, 274 (13), pp 8624-8629 (1999))、Pim-1タンパク質の受容体タンパク質、または大腸癌細胞溶解物抗原の受容体タンパク質、あるいは、Cripto-1タンパク質、Pim-1タンパク質、または大腸癌細胞溶解物抗原と特異的に結合する他のいずれかのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質から選択することも可能である。これに関連して「特異的に結合する」という用語は、もっぱらCripto-1タンパク質、Pim-1タンパク質、または大腸癌細胞溶解物抗原と結合し、他の哺乳動物タンパク質とは無視できる程度にしか交差反応しないペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の結合特性を意味すると理解すべきである。
【0020】
より望ましくは、本発明の結合パートナーは抗体またはそのフラグメントから選択され、特に、実質的に下記アミノ酸配列:
CPPSFYGRNCEHDVRKE (配列番号1)
に相当するアミノ酸配列を含んでなるCripto-1タンパク質の抗原決定基、Pim-1タンパク質、または大腸癌細胞溶解物中に存在する分子量16 Kdまたは30 Kd (SDS-PAGEにより推定)の抗原と結合するモノクローナル抗体またはそのフラグメントから選択される。この16 Kdまたは30 Kd抗原は大腸癌細胞および/または乳癌細胞の増殖に必要とされる増殖因子でありうる。
【0021】
本発明によるモノクローナル抗体は当技術分野で公知の標準技法により生産することができる。モノクローナル抗体のF(ab')2、FabおよびFcのようなフラグメントは、例えば、当技術分野で標準的なペプシンやパパインによる切断、あるいは、ハイブリドーマ細胞系または抗体産生動物細胞から単離した抗体遺伝子の発現を含む組換えDNA法により得ることができる。特に好ましい抗体フラグメントは一本鎖Fv(scFv)抗体フラグメントである。scFvを作製するための方法は、Pluckthun A, Bio/Technology, 9, pp 545-551 (1991)および米国特許第4,946,778号に記載されている。これら2つの文献に含まれる開示内容は参照により本明細書中に含めるものとする。
【0022】
本発明による抗体フラグメントは、モノクローナル抗体や他の「大きな」結合パートナーのタイプに比して、利点を提供すると考えられる。なぜなら、抗体フラグメントは固形腫瘍(特に、大きい腫瘍)への浸透に改善が見られるからである。
【0023】
本発明によるモノクローナル抗体および抗体フラグメントは、米国特許第5,225,539号(その開示内容を参照により本明細書中に含めるものとする)に記載される技法にしたがってヒト化することができる。
【0024】
モノクローナル抗体および抗体フラグメントはまた、ヒトミエローマ細胞系(例えば、Karpas 707Hヒトミエローマ細胞系;Karpas A.ら、"A human myeloma cell line suitable for the generation of human monoclonal antibodies" (ヒトモノクローナル抗体の作製に適するヒトミエローマ細胞系), Proc Natl Acad Sci USA, 98, pp 1799-1804 (2001))に融合された免疫動物(例えば、マウスまたはラット)由来の脾細胞を用いてヒト抗体または抗体フラグメントを作製することができる。キメラなマウス/ヒトモノクローナル抗体は、Mount PF.ら、"Chimeric (mouse/human) anti-colon cancer antibody c30.6 inhibits the growth of human colorectal cancer xenografts in scid/scid mice" (キメラ(マウス/ヒト)抗大腸癌抗体c30.6は、scid/scidマウスにおけるヒト大腸癌異種移植片の増殖を抑制する), Cancer Research, 54, pp 6160-6166 (1994)に従って作製することができ、この文献の開示内容も参照により本明細書に含めるものとする。
【0025】
モノクローナル抗体および抗体フラグメントは、標準的な技法により(例えば、発酵用の容器を用いて組織培養または血清フリーのいずれかで)大量に製造し、プロテインA(例えば、マウスMab用)、プロテインG(例えば、ラットMab用)、またはMEP HYPERCEL(例えば、IgMおよびIgG Mab用)のようなアフィニティーカラムを使って精製することができる。
【0026】
本発明の結合パートナーは細胞傷害性化合物または上記のような他の物質とコンジュゲートさせることができる。好適な細胞傷害性化合物として、第一線の化学療法剤、例えば、アントラサイクリン系(例:イダルビシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、およびエピルビシン)、5FU、トポイソメラーゼ阻害剤(例:イリノテカン)、シスプラチン、カルボプラチン、およびタキソールが挙げられる。
【0027】
本発明の結合パートナーはまた、第1の結合タンパク質(例えば、ビオチン)にコンジュゲートさせてもよく、これにより第1の結合タンパク質と結合する第2の結合タンパク質(例えば、アビジン)を与えることによって結合パートナー間の架橋を可能とすることができる。以下の実施例11に記載するin vitro実験では、第2抗体との架橋が乳癌細胞増殖の抑制を増大させる。さらに、予備的な実験において、大腸癌細胞の場合にも同様の結果が得られることが示された。
【0028】
さらに、本発明の結合パートナーはパノレックス(Panorex;Centacor, Glaxo)、リツキシン(Rituxin;Genentech, Roche)またはハーセプチン(Herceptin;Genentech, Roche)のような抗体に架橋させることもできる。これらの第2抗体はそれぞれ大腸癌、リンパ腫および乳癌に対して有効であることが分かっている。
【0029】
好ましくは、本発明の結合パートナーは抗癌剤(ヒトまたは動物用でありうる)を形成するのに適した製薬上許容される担体または希釈剤と組み合わされる。適当な担体または希釈剤として、等張食塩溶液、例えば、リン酸緩衝溶液が挙げられる。本組成物は非経口、筋肉内、静脈内、皮下、眼内、経口または経皮投与用に製剤化することができる。典型的には、結合パートナー(例えば、抗体または抗体フラグメント)は約0.01〜約30 mg/kg(体重)、好ましくは0.1〜10 mg/kg(体重)の用量で投与しうる。しかしながら、上記投与経路および投与量は単に指針としてのみ役に立つものであって、当業者であれば、特定の被験者および癌の症状のための最適な投与経路および投与量を容易に決定できることを理解すべきである。
【0030】
抗癌剤は被験者の癌の治療方法において使用される。かかる方法は癌の大きさの縮小をもたらすか、少なくとも、癌のさらなる増殖および/または広がりを阻止することができる。この方法はまた、伝統的な癌治療法、例えば、放射線療法、化学療法(例えば、アントラサイクリン系、5FU、トポイソメラーゼ阻害剤、シスプラチンおよびカルボプラチン)、またはホルモン療法もしくはホルモン改変剤(例えば、カタモキシフェン(Catamoxifen))を利用する療法と組み合わせて使用してもよい。
【0031】
本発明はまた、癌用のワクチンならびに被験者の癌の治療方法におけるその使用にも係わる。この種のワクチンはCripto-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、Pim-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原を含有するか、あるいは、Cripto-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、Pim-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原をコードする発現可能なDNA分子を含有しうる。
【0032】
典型的には、かかるワクチンは注射可能な剤形(溶液または懸濁液のいずれか)として調製する。注射に先立って液体中に溶解または懸濁させるのに適した固体剤形としても調製することができる。また、その製剤を乳化してもよく、該タンパク質またはDNAをリポソーム内に封入してもよい。さらに、該タンパク質またはDNAを製薬上許容される賦形剤もしくはアジュバントと混合してもよい。適当な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、またはそれらの組合せである。適当なアジュバントとしては、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、および硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)が挙げられる。
【0033】
本発明はさらに、癌細胞を、Cripto-1タンパク質、Pim-1タンパク質、または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原の結合パートナーで処理することを含んでなる、癌細胞のアポトーシスを誘導する方法に関する。癌細胞を処理するために用いる結合パートナーの量は、個々の結合パートナーの性質および素性だけでなく癌細胞の環境(例えば、in vitro細胞培養、または腫瘍モデルや癌患者などのin vivo環境)によっても変化するだろう。しかし、アポトーシスを誘導するのに有効な結合パートナーの量を決定することは十分に当業者の技量の範囲内である。
【0034】
本発明はさらに、癌細胞を、Cripto-1タンパク質、Pim-1タンパク質、または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原の結合パートナーで処理することを含んでなる、細胞傷害性化合物に対して癌細胞を感受性の状態にする方法にも係わる。癌細胞を感受性の状態にするために用いる結合パートナーの量は、個々の結合パートナーの性質および素性だけでなく、癌細胞の環境(例えば、in vitro細胞培養、または腫瘍モデルや癌患者などのin vivo環境)ならびに癌細胞を感受性にしようとする細胞傷害性化合物の性質および素性によっても変化するだろう。しかし、癌細胞を感受性の状態にするのに有効な結合パートナーの量を決定することは十分に当業者の技量の範囲内である。
【0035】
最後に、本発明は、有効量の、実質的に下記アミノ酸配列:
ELNRTCCLNGGTCMLGSFCACPPSFYGRNCEHDVRKE (配列番号2)
に相当するアミノ酸配列を含むペプチドまたはその抗原フラグメントを被験者に投与することを含んでなる、被験者において癌細胞に対するCTL応答を引き出す方法に関する。
【0036】
本明細書全体を通して、「含む」なる用語、または「含んでなる」もしくは「含んでいる」などのその変形語は、記載した要素、整数もしくは工程、または複数の該要素、整数もしくは工程のグループを含めることを意味し、他のどのような要素、整数もしくは工程、または複数の該要素、整数もしくは工程のグループも含まれないと理解すべきである。
【0037】
アミノ酸配列に関して使用される「実質的に・・・相当する」という用語は、特定されたアミノ酸配列を包含するだけでなく、その特定アミノ酸配列の生物学的活性を実質的に改変しない1以上のアミノ酸置換、挿入または付加を含むことによってのみ相違する、関連したアミノ酸配列をも包含するものである。特に、この用語は1以上の保存的アミノ酸置換を含むことによってのみ相違する関連アミノ酸配列を包含するものである。保存的アミノ酸置換とは、次の組合せが意図される: G, A; V, I, L, M; D, E; N, Q; S, T; K, R, H; F, Y, W, H; およびP, Nα-アルキルアミノ酸。
【0038】
本明細書に含まれている文献、行為、材料、装置、物品などのいかなる解説も、単に本発明のある状況を提供することを目的としたものにすぎない。これらの事項のいずれかまたは全部が先行技術の一部を構成すること、あるいは、本出願の優先日以前に存在したという理由で本発明の関連分野における技術常識であったことを容認するものとして解釈されるべきでない。
【0039】
以下、本発明について非限定的な実施例および添付の図面を用いてさらに説明することにする。
【実施例】
【0040】
序言
大腸癌では、放射線療法に対する応答が皆無であり、また、5FUDR、レバマソール(levamasole)などの薬物に対する応答もほとんど認められないが、最近、トポイソメラーゼ阻害剤であるイリノテカン(Irinotecan)を用いて若干の改善が見られた。大腸癌患者の進行した疾病状態(すなわち、Dukes B、C、D)(リンパ節への局部的広がりがある状態から遠隔転移があるDukes Dまで)での予後はよくない。Dukes Dでは、ほとんどの患者が診断後1年間生存できない。
【0041】
乳癌の場合、予後は、原発性の疾患をもつ乳癌患者を除いて、かなり良好であり、多くの患者は細胞傷害/ホルモン療法および放射線療法による処置で経過が良好である。乳癌がHER-2/neu陽性(それは患者のおよそ30%に当たる)である場合は、一部の患者が上記のHER-2/neuモノクローナル抗体によく応答する。
【0042】
大腸癌と乳癌のための新しい治療薬を同定し開発することが引き続き必要とされている。
【0043】
抗体の製造
(1) ルイスラットを当技術分野の標準的な技法に従って免疫するにあたって、配列:CPPSFYGRNCEHDVRKE (配列番号1)を有するCripto-1タンパク質由来の17アミノ酸ペプチド(KLHに結合させたもの)を用いた。この配列はヒトおよびマウスCripto-1タンパク質の残基97-113に対応しており、Cripto-1タンパク質をEGFファミリーの他のメンバーから区別する改変型EGF様モチーフの部分を構成している (Brandt R.ら、"Identification and biological characterization of an epidermal growth factor-related protein: cripto-1" (上皮増殖因子関連タンパク質cripto-1の同定および生物学的特徴づけ), J Biol Chem, 269, pp 17320-17328 (1994); Salomon DS. "Cripto: a novel epidermal growth factor (EGF)-related peptide in mammary gland development and neoplasia"(Cripto:乳腺発達および新生物形成における新規上皮増殖因子(EGF)関連ペプチド), Bioassays, 21, pp 61-70 (1999))。
【0044】
(2) Balb Cマウスを標準的な技法に従って免疫するにあたって、腫瘍組織の凍結乾燥とその後の融解を3回繰り返すことにより調製した大腸癌細胞溶解物を使用した。次いで、凍結/融解サンプルをプロテアーゼ阻害剤含有リン酸緩衝溶液中で各回1分にて3回ホモジナイズした。
【0045】
(3) Balb Cマウスを標準的な技法に従って免疫するにあたって、Pim-1とグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との59 kDの融合タンパク質を用いた(この融合タンパク質は、米国ワシントン州立大学、微生物学部、Nancy S Magnuson博士から提供されたものである)。
【0046】
免疫ラットから脾細胞を単離し、これをミエローマNS1(Xing PX.ら、"Monoclonal antibodies to mucin VNTR peptides" (ムチンVNTRペプチドに対するモノクローナル抗体), Methods Mol Biol, 125, pp 369-381 (2000))細胞と融合させて、抗体分泌ハイブリドーマを作製した。ハイブリドーマは、初めに、癌細胞系(すなわち、大腸癌細胞系LS174TおよびHT29、ならびに乳癌細胞系MCF7)の増殖をin vitroで抑制する抗体含有上清の能力を評価することによりスクリーニングしたが、その際、25 cm2 フラスコ (培地10 mlを含む) に入れたLS174TおよびMCF7細胞 (1x105個)を50μg/mlの抗Cripto-1モノクローナル抗体(C3およびC13)の存在下または不在下で増殖させることを含む簡便なアッセイを使用した。培養後6日目に位相差顕微鏡を使って生存細胞をカウントした。
【0047】
癌細胞増殖抑制のアッセイ
増殖抑制は、トリチウム標識チミジンの取込みの抑制を測定し、トリパンブルー排除アッセイにより、または細胞の細胞性タンパク質含有量を測定するための迅速で感度のよい方法である比色細胞傷害性アッセイSRB(スルホローダミンB)(Skehan P, "New calorimetric cytotoxicity assay for anticancer-drug screening" (抗癌剤スクリーニングのための新しい比色細胞傷害性アッセイ), J Natl Cancer Inst. 82, pp 1107-1112 (1990))を用いることにより、測定することで評価することができる。
【0048】
実施例1: 抗Cripto-1抗体の単離および実験結果の要約
単離した2種類のMab(すなわち、C3およびC13)は、Cripto-1(ヒトではCR1、マウスではtdgflによりコードされるEGFファミリーのメンバー)と結合する。このCripto-1は増殖因子であると考えられる可溶性またはおそらく細胞表面(分子量36Kd)のGPI結合タンパク質であり、細胞の生存および増殖を促進しかつ胚発生および癌(Brandt R, 前掲)において重要である。この増殖因子については、いくつかの動物種(例えば、ツメガエル、ゼブラフィッシュ、マウスおよびヒト)での存在がすでに記載されている。本発明との関連において重要なことは、このCripto-1の発現がヒトの大腸癌、胃癌、膵臓癌、乳癌および肺癌において数倍増加しており、この増加が前癌状態の病変で検出され得ることである (Brandt R, 前掲; Saeki T.ら、"Differential immunohistochemical detection of amphiregulin and cripto in human normal colon and colorectal tumours"(ヒトの正常大腸および大腸腫瘍におけるアンフィレギュリンおよびCRIPTOの示差的免疫組織化学的検出), Cancer Res, 52, pp 3467-3473 (1992); Salomon DS, 前掲; Panico L.ら、"Differential immunohistochemical detection of transforming growth factor alpha, amphireguliln and CRIPTO in human normal and malignant tissues"(ヒトの正常および悪性組織におけるトランスフォーミング増殖因子α、アンフィレギュリンおよびCRIPTOの示差的免疫組織化学的検出), Int J Cancer, 65, pp 51-56 (1996))。例えば、大腸および乳房の正常細胞はCripto-1を含んでいないが、大腸癌や乳癌の約85%にはCripto-1が見出される。
【0049】
これらの抗Cripto-1 Mabは、それらが結合する組織の分布(特に、ヒト乳腺の発達、乳汁分泌、および妊娠中の分布)についてまだ十分に特性決定されねばならないが、新鮮なまたはホルマリン固定したヒト組織の免疫ペルオキシダーゼ染色を用いて、これらのMabは癌特異的で、大腸癌 (60%) および乳癌 (70%) に存在するが正常な大腸組織には存在しない抗原と結合することが示された。さらに、本発明者らは、抗Cripto-1 Mabがマウス腫瘍とも反応することを観察している。さらに重要なことは、これらの抗体が組織培養において大腸癌細胞系LS174Tおよび乳癌細胞系MCF7の増殖の顕著な抑制を示したことである。さらに、これらのMabはまた、白血病、肺癌細胞および前立腺癌細胞の抑制も示した。
【0050】
その他の実験では、該抗体を第2抗ラット抗体とin vitroで架橋結合させることによって、アポトーシスの増加を達成しうることが見出された。また、5FU、シスプラチン、カルボプラチンなどの細胞傷害性化合物を用いて用量応答試験をin vitroで実施したところ、癌の細胞分裂と増殖を抑制するレベルが、Mabを細胞傷害性化合物と組み合わせて用いたとき大幅に増加したばかりでなく、細胞数の真の減少(このことは、Mabが癌細胞のアポトーシスを誘導したことを示す)も見られることがわかった。
【0051】
実施例2: Cripto-1に対するモノクローナル抗体C4
別の抗Cripto-1モノクローナル抗体であるMab C4を、Mab C3およびC13を誘導する際に用いたものと同じ方法を用いて取得した。それぞれのCripto-1 Mabは次の方法で選択した。すなわち、a) 標的組織への該抗体の結合を測定するための免疫ペルオキシダーゼ染色の検出、b)所定の細胞系での細胞増殖抑制アッセイ、例えば、3H-チミジンアッセイ(抗体はチミジン取込みにより60%を上回る抑制を示す)、およびc)トリパンブルー排除で測定して、細胞数が1/2に減少することを検出。図1の一番上の線は、72時間にわたり共培養した後のMab C4によるLS174T大腸癌細胞系の抑制を示し、一方、図2は、30μg/mlの各Mabを含む培地10mlを入れた25cm2フラスコ中で1×104個の該細胞を7日間培養した後のMab C4、C3およびC13による細胞カウント数の減少を示す。また、シスプラチンで処理される細胞にMabを添加すると、0.0938〜0.75μg/mlの薬物単独とのインキュベーションと比べて、3H-チミジン取込みがさらに減少したという点で、抗体はシスプラチンに対するLS174Tの感受性をも増強させた。
【0052】
同様の結果がエピルビシンおよび5FUの場合にも得られた。0、10、20および30μg/mlのMab C4との72時間のインキュベーション後に、LS174T細胞によるトリチウム標識チミジンの取込みは、0.04、0.08、0.1625および0.125μg/mlのエピルビシンの存在下で50〜90%も抑制された。5FUについては、1.5、1.9、2.1および2.4μg/mlの該薬物の存在下でチミジン取込みが50〜90%抑制された。5FUは大腸癌治療の主戦力であり、代謝拮抗薬である。Mab C4と5FU、シスプラチンまたはエピルビシンとの併用による相乗効果が臨床的に有効であるだろう。
【0053】
実施例3: 抗Cripto-1抗体と癌および正常組織との結合試験
抗Cripto-1 Mabは、FACSおよび免疫ペルオキシダーゼ染色で試験したとき、LS174T、HT29 (大腸癌)、MCF7、T47D (乳癌)、DU145およびPC3 (前立腺癌)、BenおよびColo 235 (肺癌)など、多くの癌細胞系と反応したが、胚性腎細胞系293とは反応しなかった。また、3種類のMabは、免疫ペルオキシダーゼ染色により、ホルマリン固定組織、例えば、大腸癌(7/9)、乳癌(5/7)、あらゆるタイプの肺癌(18/20)、胃癌(3/4)、膵臓癌(1/2)と反応したが、正常な乳房(0/4)、大腸(0/8)、肺(0/4)、胃(0/2)、膵臓(0/2)、肝臓(0/3)、およびリンパ球(0/3)とは反応しなかった。染色の強度および比率は陰性から非常に強い陽性までさまざまであり、このことはCripto-1発現が癌ごとに異なっていることを示している。図3Aは、Mab C4による乳癌組織の免疫ペルオキシダーゼ染色を示し、該抗体による正常乳房組織の染色がまったく認められない図3Bと対照的である。
【0054】
実施例4: マウスにおける大腸癌および前立腺癌細胞に対する抗Cripto-1抗体のin vivo抑制効果
SCIDマウス(6〜8週齢)に、0日目に2×106個の前立腺癌細胞系DU145を皮下接種し、6時間後、マウスに500μgのMab C4を腹腔内投与し、続いて2、4、7、9および10日目に250μgを、そして14および17日目に125μgを投与した。対照としてリン酸緩衝溶液(PBS) (0.5ml)を使用した。24日目に腫瘍を取り出して測定した。腫瘍の大きさおよび重さがMab C4の投与により顕著に減少していた(図4Aおよび4B)。
【0055】
大腸癌モデルにおいても同様の結果が実証された(図5Aおよび5B)。この場合は、LS174T細胞を接種して16時間後にMab C13を500μg、その後2、7、9、11および13日目に250μg使用した。重さを測定するために25日目に腫瘍を切除した。
【0056】
実施例5: 抗Cripto-1抗体により誘導されるアポトーシス
抗Cripto-1モノクローナル抗体は、3H-チミジン取込みの低下により測定されるように細胞分裂を停止させ、細胞数を減少させた(それぞれ図1および2)。このことは、このMabが癌細胞のアポトーシスを誘導することを示している。これはさらにDNAの断片化およびFACSアッセイによっても実証された(図6および7)。
【0057】
図6においては、50μg/mlのMab C3で72時間処理したLS174T細胞から可溶性DNAを抽出し、2%アガロースゲル上で電気泳動にかけた。細胞培地で処理した細胞からのものを対照サンプルとした。
【0058】
図7においては、LS174T細胞を30μg/mlのMab C4または対照抗体Mab BCP7で72時間処理し、その後フローサイトメトリーアッセイで分析して、アポトーシスの指示薬であるヨウ化プロピジウム(PI)染色を測定した。これらの結果から、試験Mabで処理した細胞ではPI染色が増加していることがわかった。
【0059】
実施例6: 抗Cripto-1抗体により媒介されるシグナル伝達
(i) 抗Cripto-1 Mabにより誘導されるJNK活性化
プロテインキナーゼモジュールにより制御されるシグナル伝達経路は、細胞増殖、分化、アポトーシスをはじめとする極めて重要な細胞機能を調節している。マイトジェンにより活性化されるプロテインキナーゼの3つの異なるセット(すなわち、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、JNK/SAPK、およびp38)の活性化に帰するアポトーシスの制御においては、3つの主要なキナーゼカスケードが同定されている。ERKはマイトジェンと生存因子により活性化され、一方JNK/SAPKおよびp38はストレスシグナルにより刺激される。ストレスにより活性化されるキナーゼカスケード(JNK/SAPKおよびp38経路を含む)は様々なアポトーシス刺激に応答して活性化され、アポトーシス過程で決定的な役割を果たしているようである。
【0060】
抗Cripto-1媒介アポトーシスにおけるJNKおよびp38の役割は、異なる濃度のモノクローナル抗体といろいろなインキュベーション時間を用いて、大腸癌LS174T細胞系において検討した。特に、抗Cripto-1 Mabと共に3時間インキュベーションした後のLS174T細胞においてはJNK/SPAKが用量依存的に活性化された(図8A)。JNK活性化は24時間の曝露後に最高レベルに達し(図8Bおよび8D)、48時間以内で減衰し、72時間のインキュベーションで基底レベルに戻った(図8D)。このことは、抗Cripto-1 MabによるJNK活性化が時間依存的であることを示している。
【0061】
(ii) 抗Cripto-1抗体によるJNK活性化はp38活性化に先行する
ストレスに関係したp38経路についても、抗Cripto-1 Mabで処理した後のLS174T細胞で検討した。p38活性化はMab曝露の48時間後に起こり、この時点で活性化JNKのレベルが低下しはじめた。上昇JNKが基底レベルに戻った72時間後にはp38がさらに活性化された(図8D)。したがって、JNK活性化はMabにより誘導されるアポトーシスに先立って起こるが、p38はアポトーシスが起こる時間に活性化され、このことは、双方のシグナルがMab誘導アポトーシスに関与している可能性があることを示唆している。対照的に、シスプラチンはJNKおよびp38 MAPK活性化を両方とも誘導し(図8Aおよび8C)、このことは、Mabがシスプラチンとは異なるやり方でJNKとp38を活性化したことを示している。抗Cripto-1 Mabによるシスプラチン細胞傷害性の増強は、JNKリン酸化(図8A)およびp38 MAPK(図8B)の増加と同時に起こる。
【0062】
したがって、抗Cripto-1 MabはJNKとp38の双方の活性化を介して腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する。
【0063】
(iii) ERKおよびAktリン酸化ならびにCripto-1発現
ERKおよびAkt生存経路の阻害に対するMabの効果(図8Bおよび8D)は実証されなかった。Cripto-1発現レベルの変化はMab処理後に一切認められなかった(図8Bおよび8D)。これらの予備的なシグナル伝達研究からは、抗Cripto-1 MabがJNK活性化経路を介してアポトーシスを引き起こすことが明確に示される。
【0064】
実施例7: 抗Cripto-1抗体による白血病細胞の抑制
図9は、Mab C3およびC13がT細胞リンパ芽球性白血病細胞系CCRF-CEMの増殖を抑制することを示す結果を提供する。これらの抗体はまた、上記細胞系の薬剤耐性変異体であるCEM/A7Rの増殖をも抑制した。変異体CEM/A7RはP-グリコプロテインの過剰発現によりこの性質を獲得する。こうして、この細胞系はさまざまな天然由来の化学療法剤に対して通常は耐性である。
【0065】
Mab C4は、薬剤耐性細胞系CEM/A7およびCEM/A7Rならびに薬剤感受性マウス胸腺腫細胞系(すなわち、E3)に対して同様の抑制効果を示した。E3と比較して、CEM/A7およびCEM/A7Rはエピルビシンに対してそれぞれ約80倍および40倍の耐性を示す(図10A)。上記抗体は薬剤耐性細胞(図10B)と薬剤感受性細胞(図10C)をエピルビシン感受性の状態にするようである。したがって、C4は急性白血病に共通した薬剤耐性の問題を克服することができる。
【0066】
実施例8: 前立腺癌に対する抗Cripto-1抗体の効果
前立腺癌細胞系PC3由来の細胞を30μg/mlのMab C3と共に6日間培養した。2、3および6日目に細胞数をカウントした。図11は、抗体の存在下において細胞数が著しく減少したことを示している。同様の効果が図12に示すように薬剤耐性DU 145細胞においても観察された。
【0067】
さらにMab C3は、PC3細胞を薬剤エピルビシンに対して、また、DU 145細胞を薬剤シスプラチンに対して感受性の状態にすることができた(それぞれ、図13および14に示す)。
【0068】
実施例9: 抗Cripto-1抗体および抗癌剤の効果
大腸癌細胞LS174Tにおいてシスプラチンのような細胞傷害性薬剤の抑制効果を増強させるMab C4の能力は、上記実施例2に示される。同様の効果がMab C3およびC13の場合にもエピルビシンおよび5FUに関して認められた(それぞれ、図15および16に示す)。
【0069】
実施例10: 抗Cripto-1抗体および乳癌
図17に示すように、Mab C3は乳癌細胞MCF7の増殖を抑制し、さらに該細胞をシスプラチン、カルボプラチンおよび5FUに対して感受性にした。同様の結果がMab C13とエピルビシンの場合にも観察された(図18)。
【0070】
実施例11: 抗Cripto-1抗体の架橋
Mab C3を抗ラット抗体で架橋させた。このMabを架橋することの効果を乳癌細胞系MCF7において検討したが、その際、該細胞をMab C3と共に2時間インキュベートし、次いでウサギ抗ラット抗体と4時間インキュベートした後でPI染色を行った。架橋させなかったBCP7およびMab C3を対照として使用した。図19は、PI染色を用いたフローサイトメトリーにより測定して、Mabを架橋することがより顕著な細胞死をもたらしたことを示している。
【0071】
実施例12: 抗Pim-1抗体の単離
2つの単離されたMab(すなわち、P4およびP9)はPim-1オンコジーンの産物に対して誘導されたものである。この遺伝子はセリン-トレオニンプロテインキナーゼのクラスに属するタンパク質をコードしている。抗Pim-1抗体はマウス胸腺腫E3細胞の増殖を抑制し(図20)、また、試験した大腸癌(図21および22)および乳癌細胞系のほかに、これらの抗体は白血病および前立腺癌細胞系の抑制も示した(データは示してない)。
【0072】
実施例13: 大腸癌細胞溶解物抗原に対する抗体の単離
ラットを新鮮な大腸癌組織の溶解物で免疫することにより未知の抗原に対して5種類のMab (すなわち、1.14、1.68、2.20、3.60および4.57)を誘導し、単離した。これらの抗体も組織培養において大腸癌細胞系LS174Tおよび乳癌細胞系MCF7の増殖を抑制することが見出された(図23)。さらに、これらの抗体は、前立腺癌細胞系DU 145の抑制を示したが、特にシスプラチンと組み合わせて使用したときに認められた(図24)。
【0073】
実施例14: 抗体のヒト化
完全にヒトの抗Cripto-1抗体を作製するにあたって、免疫用抗原としてKLHに結合させた2つのペプチドを使用する。すなわち、Mab C3、C4およびC13を作製するために17-mer (97-113)ペプチド(配列番号1)、ならびに、(2)該17-merペプチドと、Cripto-1およびそのレセプターの推定上の結合部位と、を含む37-merペプチドp47 (77-113) ELNRTCCLNGGTCMLGSFCACPPSFYGRNCEHDVRKE(配列番号2)を使用し、ラット抗Cripto-1 Mabの作製について先に記載したものと同じ方法でこれらをin vivoおよびin vitroで試験する。
【0074】
これらの抗原を用いてマウスを免疫し、次いで非分泌ミエローマ細胞系NSO-bcl 2(免疫グロブリン遺伝子を一切もたない)と細胞融合させてスクリーニングするか、あるいは、これらの抗原を用いて、ヒト抗体のみを産生するようにマウス免疫グロブリン遺伝子が「ノックアウト」されてヒト遺伝子で置換されているヒトIgマウス(例えば、ゼノマウス(XenoMouse))(多重免疫感作を行って、高親和性抗体の存在についてマウスをスクリーニングすることができる)を免疫し、次いでマイクロプレートを用いた細胞増殖阻止アッセイにより阻止機能特性を示す抗体を産生するB細胞を同定する。その後、阻止抗体を産生する個々のB細胞の抗体コード化遺伝子を回収し、1群の適当な組換え候補抗体産物(それぞれ、いつでもスケールアップ製造が可能)を生成するために使用する。
【0075】
実施例15: 抗体の臨床用途
実施例14に記載した手順に従って製造したヒトMabは、0.5 mg〜10 mg/kg(体重)の用量で静脈内注射により患者に投与する。患者には適当な抗癌剤を投与してもよい。
【0076】
実施例16: Cripto-1免疫感作の効果
レシピエントに「受動的」に投与される抗体とは対照的に、Criptoタンパク質またはその抗原フラグメントは「能動的」に免疫するために使用され、ワクチンをもたらす。そのような手法においては、Cripto抗原を担体(例えば、ミョウバン、マンナン、ビーズまたは他のアジュバント)と組み合わせて、癌の予防薬として癌患者を免疫するために使用する。その結果として生じる免疫応答は以下のものでありうる:
a) 上記の抗体を含むがこれらに限らない抗体の生成;
b) MHCクラスIまたはII分子により提示されたCripto抗原を認識するT細胞の生産(その結果として生じるT細胞応答は、細胞傷害性T細胞、サイトカイン(例えば、インターフェロン)産生細胞(例えば、ELISPOTまたは他の手段による)のようなエフェクター細胞、T細胞増殖、および/またはin vivo遅延型過敏反応のいずれかとして測定することができる);および/または
c) 抗体と細胞性免疫の両方の組合せ。
【0077】
したがって、Cripto-1を用いて、レシピエントに投与する抗体を製造することができ、また、Cripto-1を用いて、抗体、T細胞またはその両方を産生する患者に「ワクチン接種」をすることができる。
【0078】
実施例14に記載した、KLHとコンジュゲートさせたCripto-1 37-merペプチド(CFAで乳化したもの)を用いてマウスを免疫した。免疫応答をELISAおよびELISPOT IFNγアッセイで調べた。マウスは抗体とIFNγ生産の両方に応答した(図25および26に示す)。
【0079】
実施例17: 抗Cripto-1抗体および肺癌
Mab C4はまた、肺癌細胞BenおよびColo 38においても3H-チミジンの取込みを用量依存的に抑制した。Ben細胞では、対照細胞と比較して、Mabとの72時間のインキュベーション後に取込みが90%抑制された。Colo 38細胞では、抑制率が60%であった(図27)。
【0080】
肺癌細胞系Benまたは肺癌組織の免疫ペルオキシダーゼ染色もMab C3を示し、肺癌細胞の細胞表面と細胞質の両方に染色が認められた。一方、正常肺組織には染色がまったく認められなかった。
【0081】
当業者であれば、特定の実施形態で示した本発明に対して、本発明の精神または範囲を逸脱することなしに、さまざまな変更および/または修飾が可能であることを理解するであろう。したがって、ここに記載した実施形態はすべての点で限定としてではなく例示として見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】72時間インキュベーション後の、Mab C4によるLS174T大腸癌細胞の抑制、ならびにMab C4に起因するシスプラチン(Cis)に対する該細胞の感受性の増加を示す、3H-チミジン取込みで測定したときの結果をグラフで提供する。
【図2】大腸癌細胞系LS174Tに対するMab C3、C4およびC13ならびに対照Mab BCP7 (抗ムチン1 Mab)の抑制効果を示す結果を棒グラフで提供する。
【図3A】Mab C4を用いて免疫ペルオキシダーゼ染色を行った乳癌組織サンプルの写真を提供する。
【図3B】Mab C4を用いて免疫ペルオキシダーゼ染色を行った正常乳房組織サンプルの写真を提供する。正常乳房組織には染色がまったく認められない。
【図4A】SCIDマウスにおけるMab C4の抑制効果を示す結果をグラフで提供する。SCIDマウスに2×106個の前立腺癌DU145細胞を皮下接種し、Mab C4で処置した。
【図4B】前立腺癌DU145細胞とMab C4を接種した24日後の、処置および未処置SCIDマウスにおける腫瘍の大きさ(重さ)に及ぼすMab C4の効果を示す結果を棒グラフの形で提供する。
【図5A】SCIDマウスにおけるMab C13の抑制効果を示す結果をグラフで提供する。SCIDマウスに2.5×106個の大腸癌LS174T細胞を皮下接種し、Mab C13で処置した。
【図5B】大腸癌LS174T細胞とMab C13を接種した25日後の、処置および未処置SCIDマウスにおける腫瘍の大きさ(重さ)に及ぼすMab C13の効果を示す結果を棒グラフの形で提供する。
【図6】抗Cripto-1 MabであるC3により誘導されたアポトーシス細胞のDNA断片化の結果を示す。
【図7】Mab C4および対照MabであるMab BCP7で72時間処理した大腸癌細胞LS174Tにおけるヨウ化プロピジウム(PI)染色(アポトーシスの指示薬)を測定するためのFACSアッセイの結果をグラフで提供する。
【図8】(A) 培地(レーン1)、C3 (5, 10μg/ml) (レーン2, 3)、シスプラチン(25, 50μg/ml) (レーン4, 5)、およびC3 (10μg/ml)とシスプラチン (25, 50μg/ml) (レーン6, 7)で3時間処理したLS174T細胞におけるJNKおよびp38の活性化を示す。JNKは用量依存的に活性化される。C3とシスプラチン(Cis)の組合せはJNKの活性化をさらに増強した。p38はC3によっては影響されなかったが、シスプラチンにより活性化された。(B) 培地(m)、10μg/mlのC4と共に8、24または16時間インキュベートしたLS174T細胞におけるJNKおよびp38の活性化を示す。(C) 培地(1)、C3 (10μg/ml) (2)、 C4 (10μg/ml)とシスプラチン(25μg/ml) (4)、シスプラチン(25μg/ml) (5)、およびC13 (10μg/ml) (6)と共に16時間インキュベートしたLS174T細胞におけるJNKおよびp38の活性化を示す。(D) 培地(M)、C4 (10μg/ml)と共に24時間、48時間および72時間(レーン2, 3, 4); C3 (10μg/ml), C13と共に48時間(レーン5, 6)および72時間(レーン7, 8); C3と共に48時間(レーン9)インキュベートした後のLS174T細胞におけるJNKおよびp38の活性化を示す。M, 培地。
【図9】抗Cripto-1 Mab (すなわち、C3およびC13)、および抗Pim-1 Mab (すなわち、P4およびP9)によるCCRF-CEMおよびCEM/A7R細胞 (Austin Research Institute, Heidelberg, Victoria, Australia)の増殖の抑制を示す結果をグラフで提供する。
【図10A】3種類の細胞系、すなわち、白血病細胞CEM A7、薬剤耐性変異体CEM/A7Rおよびマウス胸腺腫細胞E3に対する薬剤エピルビシンの効果を示す結果をグラフで提供する。
【図10B】エピルビシンで処置した薬剤耐性白血病細胞系CEM/A7Rに対するMab C4の効果を示す結果をグラフで提供する。
【図10C】エピルビシンで処置したマウス胸腺腫細胞E3に対するMab C4の効果を示す結果をグラフで提供する。
【図11】Mab C3による前立腺癌細胞PC3の増殖の抑制を示す結果をグラフで提供する。
【図12】抗Cripto-1 Mab C3による前立腺癌細胞系DU 145の増殖の抑制を時間経過とともに示すグラフである。
【図13】前立腺癌細胞系PC3の増殖に対する低濃度の抗Cripto-1 Mab C3とシスプラチンを組み合わせることの効果を示す結果をグラフで提供する。
【図14】前立腺癌細胞系DU 145の増殖に対する低濃度の抗Cripto-1 Mab C3とシスプラチンを組み合わせることの効果を示す結果をグラフで提供する。
【図15】Mab C3とエピルビシン(7.9〜125μg/ml)によるLS174T細胞増殖の抑制を示す結果をグラフで提供する。
【図16】Mab C13と5FU (0〜3.0μg/ml) によるLS174T細胞増殖の抑制を示す結果をグラフで提供する。
【図17】抗Cripto-1 Mab C3単独による、または細胞傷害性薬剤シスプラチン(Cis)、5-フルオリシル(5FU)、またはカルボプラチン(Carb) (David Bull Laboratories, USA)と組み合わせた場合の乳癌細胞系MCF7 (ATCC, USA)の増殖抑制を示す結果をグラフで提供する。
【図18】乳癌細胞MCF-7に対するMab C13およびエピルビシン(E)の抑制効果を示す。
【図19】乳癌細胞MCF-7に対する架橋したMab C13の抑制効果を示す結果をグラフで提供する。
【図20A】マウス胸腺腫E3細胞(Austin Research Institute, Heidelberg, Victoria, Australia)を抗Cripto-1 Mab C3およびC13ならびに抗Pim-1 Mab P4およびP9の存在下(これらのMabに曝露しなかった細胞と比較して細胞数の減少を示す)、または対照抗体BC3、抗ムチン1抗体(Austin Research Institute, Heidelberg, Victoria, Australia)もしくは20ngのIc50濃度の薬剤エピルビシン(David Bull Laboratories, USA)の存在下でインキュベートした結果をグラフで提供する。
【図20B】図20Aと同じ実験からの結果であるが、この場合には細胞増殖の抑制をMabが存在しない対照に対する割合(%)としてグラフで提供する。
【図21】抗Cripto-1 Mab C3および抗Pim-1 Mab P4による大腸癌細胞系HT 29 (ATCC, USA)の増殖の抑制を示す結果を、対照抗体BC3と比較してグラフで提供する。
【図22】抗Pim-1 Mab P4単独による、または漸増濃度のシスプラチンと組み合わせた場合の、大腸癌細胞系LS174Tの増殖の抑制を示す結果をグラフで提供する。
【図23】対照として抗ムチン1抗体BCP7を用いて、Mab 1.14、1.68、2.20および3.60による大腸癌細胞系LS174T (ATCC, USA)および乳癌細胞系MCF7の増殖の抑制を3H-チミジン取込みの変化%として示す結果をグラフで提供する。
【図24】前立腺癌細胞系DU 145の増殖に対するMab 1.14 (大腸癌細胞溶解物に対する抗体)とシスプラチンを組み合わせることの効果を示す。
【図25】37-mer Cripto-1ペプチドをコーティングしたプレートを用いてELISAで試験したマウス血清のタイトレーションの結果を示す。
【図26】IFNγ分泌についてのELISPOTアッセイの結果を示す。免疫マウスとナイーブマウス(正常1および2)に由来するマウス脾細胞を37-merペプチドを用いてまたは用いないで一夜刺激し、解剖用顕微鏡でスポット形成単位(SFU)をカウントした。
【図27】72時間培養した肺癌BenおよびColo 338細胞の3H-チミジン取込みの変化%をMab C4の漸増濃度の関数として示す。Mab C4によってBenおよびColo 338細胞のそれぞれ90%および60%抑制が誘導された。点は3回の実験の平均であり、バーは標準偏差である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cripto-1タンパク質、Pim-1タンパク質または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原の単離された結合パートナーであって、1種以上の癌細胞型の増殖を抑制する前記結合パートナー。
【請求項2】
前記結合パートナーが大腸癌細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞、白血病細胞および肺癌細胞のうちの1以上の増殖を抑制する、請求項1に記載の結合パートナー。
【請求項3】
前記結合パートナーが大腸癌細胞の増殖を抑制する、請求項1に記載の結合パートナー。
【請求項4】
前記結合パートナーが乳癌細胞の増殖を抑制する、請求項1に記載の結合パートナー。
【請求項5】
前記結合パートナーが前立腺癌細胞の増殖を抑制する、請求項1に記載の結合パートナー。
【請求項6】
前記結合パートナーが白血病細胞の増殖を抑制する、請求項1に記載の結合パートナー。
【請求項7】
前記結合パートナーが肺癌細胞の増殖を抑制する、請求項1に記載の結合パートナー。
【請求項8】
前記結合パートナーがCripto-1タンパク質と特異的に結合する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の結合パートナー。
【請求項9】
前記結合パートナーが、実質的に下記アミノ酸配列:
CPPSFYGRNCEHDVRKE (配列番号1)
に相当するCripto-1アミノ酸配列と特異的に結合する、請求項8に記載の結合パートナー。
【請求項10】
前記結合パートナーがPim-1タンパク質と特異的に結合する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の結合パートナー。
【請求項11】
前記結合パートナーが大腸細胞溶解物抗原と特異的に結合する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の結合パートナー。
【請求項12】
大腸細胞溶解物抗原が、SDS-PAGEで推定して16Kdまたは30Kdの分子量を有する、請求項11に記載の結合パートナー。
【請求項13】
前記結合パートナーが抗体またはそのフラグメントである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の結合パートナー。
【請求項14】
前記抗体またはそのフラグメントがヒト化されている、請求項13に記載の結合パートナー。
【請求項15】
前記結合パートナーが細胞傷害性化合物とコンジュゲートされる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の結合パートナー。
【請求項16】
細胞傷害性化合物が、エピルビシンのようなアントラサイクリン、5-フルオロウラシル、トポイソメラーゼ阻害剤、シスプラチン、カルボプラチンおよびタキソールからなる群より選択される、請求項15に記載の結合パートナー。
【請求項17】
前記結合パートナーが第1の結合タンパク質とコンジュゲートされ、該第1の結合タンパク質が第2の結合タンパク質と結合することができて、該結合パートナーと、第3の結合タンパク質にコンジュゲートされた別の結合パートナーとの架橋を可能にし、該第3の結合タンパク質が該第1の結合タンパク質に等しいものである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の結合パートナー。
【請求項18】
前記第1、第2および第3の結合タンパク質が抗体である、請求項17に記載の結合パートナー。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の結合パートナーを、場合により製薬上許容される担体または希釈剤と組み合わせて、含有する抗癌剤。
【請求項20】
被験者に、有効量の請求項19に記載の抗癌剤を投与することを含んでなる、被験者の癌の治療方法。
【請求項21】
Cripto-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、Pim-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原を含有するか、あるいは、Cripto-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、Pim-1タンパク質(もしくはその抗原フラグメント)、または大腸癌細胞溶解物中に存在する抗原をコードする発現可能なDNA分子を含有する、癌ワクチン。
【請求項22】
前記ワクチンがCripto-1タンパク質またはCripto-1タンパク質をコードする発現可能なDNA分子を含有する、請求項21に記載の癌ワクチン。
【請求項23】
前記ワクチンがCripto-1抗原フラグメントまたはCripto-1抗原フラグメントをコードする発現可能なDNA分子を含有し、該Cripto-1抗原フラグメントが、実質的に下記アミノ酸配列:
CPPSFYGRNCEHDVRKE (配列番号1)
に相当するアミノ酸配列を含んでなる、請求項22に記載の癌ワクチン。
【請求項24】
前記ワクチンが、実質的に下記アミノ酸配列:
ELNRTCCLNGGTCMLGSFCACPPSFYGRNCEHDVRKE (配列番号2)
に相当するアミノ酸配列を含んでなるペプチドまたはその抗原フラグメントを含有する、請求項22に記載の癌ワクチン。
【請求項25】
前記ワクチンがPim-1タンパク質またはPim-1タンパク質をコードする発現可能なDNA分子を含有する、請求項21に記載の癌ワクチン。
【請求項26】
前記ワクチンが大腸細胞溶解物抗原または大腸細胞溶解物抗原をコードする発現可能なDNA分子を含有する、請求項21に記載の癌ワクチン。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−24014(P2009−24014A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188842(P2008−188842)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【分割の表示】特願2002−576291(P2002−576291)の分割
【原出願日】平成14年3月26日(2002.3.26)
【出願人】(502279319)ジ・オースティン・リサーチ・インスティテュート (2)
【Fターム(参考)】