説明

発光および発声装置を有する電子模型玩具

【課題】昆虫もしくは動物の外観をした無表情の模型玩具に擬似生命を吹き込むために、平静、怒りといった高揚した感情やそれが変化する過程を、視覚や聴覚に訴える方法で人間に認知されうる単体を提供する。
【解決手段】昆虫や動物の模型玩具に明滅や点滅する眼部ならびに音声発声装置を組み込み、電子制御回路によりあるときは眼部を明滅させたり点滅させたり、光りの強弱や色彩の変化によって感情の変化を表し、また点滅速度を変化させたり威嚇音や咆哮音を使い分けるなどして、きめ細かな感情表現を盛り込むことによりこの課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感情表現ができる動物の電子模型玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な昆虫模型玩具では、胸部を動かすことにより咆哮音を発生したり角を動かすことにより威嚇音を発生したりするものがあった。また電子玩具の中には、発光ダイオードを備えて赤外線を発射したり音声を発声させるものとして、特許文献1や、玩具本体の腕部と脚部が着脱可能で、そこに音声や光りを発する腕部などを装着できるものとして、特許文献2などがあるが、本発明のように感情変化を明確に表現できるものは見当たらない。
【特許文献1】実開平06−022796号公報
【特許文献2】実登3065123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
昆虫もしくは動物の外観をした模型玩具で遊技に興じるときに、光りの点滅や鳴き声、咆え声などにより感情が平静を保っている場合と相手に闘いを挑む場合とで明確に感情が区別できる玩具は見当たらない。つまり遊技者側の観点からすると、これまでの模型玩具は人間の感覚器官のうち触覚、聴覚の2感覚に訴える程度にとどめられているに過ぎず、視覚をも取り組んだ複雑な感情表現はなされていないのが実情である。
【0004】
とくに昆虫や動物が、夜間に複数匹が向き合って対戦する遊技では、周囲が暗いため光りなどにより視覚に訴えない限り昆虫などの感情は感情は認知が困難で、模型玩具の存在位置すら特定しづらい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために請求項1に記載の発明は、昆虫もしくは動物の外観を有する玩具において、明滅回路と点滅回路および音声発声回路を内蔵する制御回路により、明滅もしくは点滅する発光ダイオードに連動して威嚇音もしくは咆哮音を発する音声発声部が作動することを特徴とする発光および音声装置を有する電子模型玩具である。
【0006】
すなわち、昆虫などの眼部だけが明滅しているときは感情が平静を保っている場合を表し、眼部の点滅に加えて咆哮音や威嚇音を発する場合は感情が高ぶり対戦時の感情を表現しているのである。なお、ここでいう「明滅」と「点滅」の区別であるが、明滅は明かりが次第に明るくなったり暗くなったりする状態を指し、点滅は電灯の点灯と消灯が明白に区別して連続するような状態を表わす。
【0007】
請求項2に記載の発明は、明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードが単色発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具である。
【0008】
昆虫もしくは動物の模型玩具は種類別に応じて、その単体のイメージにふさわしい眼部の色を選択するために、各色の単色発光ダイオードを活用し識別させる。単色発光ダイオードは、シンプルで明滅の度合いがわかりやすく完成した単体は安価である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードが高輝度発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具である。
【0010】
遊技中の対戦時において模型玩具の攻撃性を表現するために、点滅したときの発光ダイオードの輝度を増したい場合は、単色発光ダイオードより輝度性能の秀でている高輝度発光ダイオードを選択する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードが超高輝度発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具である。
【0012】
模型玩具の攻撃性をよりいっそう表現するために、点滅したときの発光ダイオードの輝度を増したい場合は、高輝度発光ダイオードより輝度性能の秀でている超高輝度発光ダイオードを選択する。たとえばカブトムシより攻撃性のある習性のクワガタには、超高輝度発光ダイオードを採用して遊技中のイメージを膨らませることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードがマルチカラー発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具である。
【0014】
模型玩具のキャラクタを考慮して攻撃性よりも綺麗さを強調して表現したい場合は、作動時に赤緑青が連続して発光するマルチカラー発光ダイオードを採用する。
【0015】
請求項6に記載の発明は、明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードがフルカラー発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具である。
【0016】
明滅するときにカラフルに色が変化し、眼部の色の変化が脈動するような表現をさせたいときは、フルカラー発光ダイオードを活用する。点滅時には一転して高輝度発光ダイオードのような光り方をさせることが可能である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードが双方向発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具である。
【0018】
感情表現において平静時と対戦時の区別を、同一発光ダイオードで2色の識別をさせたいときには、双方向発光ダイオードを活用する。また、平静時には単色発光ダイオードのようにおだやかな明滅をさせることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
従来からある咆哮音や威嚇音に加えて模型玩具の眼部を発光ダイオードにより明滅や点滅をさせることにより、遊技中において模型玩具の平静時と対戦時の感情変化を明確に区別することができる。夜間においても、遊技者や相手の模型玩具の存在位置を特定しやすくなる。
【0020】
遊技者側としては、感覚器官である聴覚、視覚の両方に強く訴えることにより、昆虫や動物の感情がリアルに伝わる相乗効果が生まれ、よりいっそう遊技に興じることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の電子模型玩具を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。図1は本発明の電子模型玩具の一実施例のブロック線図である。1はボタンスイッチA、2はボタンスイッチBで、それらの入力信号は制御回路3に送られる。制御回路3の内部には、明滅回路4、点滅回路5、音声発声回路6が設けられている。
【0022】
ボタンスイッチA1から入力信号を受信したときは制御回路3で処理され、制御回路3では明滅回路4を起動させる。明滅回路4で発生した明滅信号は、発光ダイオード7に送られる。ボタンスイッチB2から入力信号を受信したときは、ボタンスイッチA1から入力信号を受信したときと同じく制御回路3で処理され、制御回路3では点滅回路5と音声発声回路6を起動させる。点滅回路3からの点滅信号は発光ダイオード7に送られると共に、音声発声回路6からの音声発声信号はスピーカ8で再成される。
【0023】
ボタンスイッチA1とボタンスイッチB2はいずれも自己保持式スイッチを採用し、1回押すたびに、ON−OFFが繰り返されることができる。最初にボタンスイッチA1を押すと、明滅回路が起動されると同時に本発明の装置内の電源スイッチがONされる。続いてボタンスイッチB2を押すと、点滅回路と音声発声回路が起動される。このとき明滅回路4の回路のブロックと、点滅回路5と音声発声回路6の2回路のブロックとは、同時に起動することはなく、点滅回路5と音声発声回路6の2回路のブロックの優先回路となることを制御回路3内で処理されている。この状態でもう1回ボタンスイッチB2を押すと、ボタンスイッチB2はOFFとなり電子模型玩具は明滅状態に戻る。ボタンスイッチB2のON状態かOFF状態いかんに関わらず、ボタンスイッチA1の2回目を押すことにより、電源スイッチがOFFとなる。
【0024】
次に本発明の作用を説明する。図3の本発明の一実施例の裏面図にあるボタンスイッチ1を押すことにより、遊技中において電子模型玩具は平静時の状態となる。このとき図2の本発明の一実施例の表面図にある単体の両方の眼部の発光ダイオード7の2部分が明滅することになる。次にボタンスイッチB2を押すと、発光ダイオード7が点滅を開始するとともにスピーカ8からは威嚇音か咆哮音が鳴り始め、電子模型玩具の対戦時の状態になる。もう1回ボタンスイッチB2を押すと発光ダイオード7は点滅状態から明滅状態に変化し、スピーカ8からの威嚇音か咆哮音は止まる。電子模型玩具の遊技を止めたいときはボタンスイッチA1の2回目を押す。なお電源の電池は、電池交換用蓋9を開けて収納する。
【0025】
明滅回路4による明滅を説明する。遊技中において電子模型玩具の平静時はおだやかな擬似的感情を明確に表現するには、明滅運動の1サイクルを数秒間とするのが望ましい。
【0026】
電子模型玩具の平静時の発光ダイオード7の発光の明るさは、平静時の状態を表現するために電子模型玩具の対戦時のときよりも若干暗くしたり、明滅のだんだん明るくなる立上がり時間、だんだん暗くなる立下り時間を調整してもよい。
【0027】
上記の明滅の説明は発光ダイオードの端子数が2本である場合の、単色発光ダイオード、高輝度発光ダイオード、超高輝度発光ダイオードおよびマルチカラー発光ダイオードで実施されたい。
【0028】
RGBすなわち赤、緑、青の3色の発色可能な4本端子を持つフルカラー発光ダイオードの明滅回路3の明滅を説明すると、赤と緑、緑と青、青と赤というように常に2色を同時に順次発光し、その1サイクルの明滅運動を数秒間で一巡するようにフルカラー発光ダイオードの明滅を設定する。
【0029】
端子数2本であるが、電流の流れを逆にすると色が変わる双方向発光ダイオードの場合、たとえば、緑と赤の2色に変色するならば電子模型玩具で平静時を表現させるには寒色系の緑を選択し、単色発光ダイオードの実施例に準じた明滅をさせる。
【0030】
点滅回路5による点滅を説明する。遊技中において電子模型玩具の対戦時は擬似的感情の変化を明確に表現するには、点滅運動の1サイクルを1秒間前後で長くとも2秒間以下とするのが望ましい。
【0031】
電子模型玩具の対戦時の発光ダイオード7の発光の明るさは対戦時の状態を表現するために、電子模型玩具の平静時のときよりもさらに明るくさせたり、発光をたとえば高輝度発光ダイオードや超高輝度発光ダイオードの場合、強力なフラッシュ点滅となるようにフラッシュ速度を調節してもよい。
【0032】
上記の点滅の説明は発光ダイオードの端子数が2本である場合の、単色発光ダイオード、高輝度発光ダイオード、超高輝度発光ダイオードおよびマルチカラー発光ダイオードで実施されたい。
【0033】
赤、緑、青の3色の発色可能な4本端子を持つフルカラー発光ダイオードの点滅回路4の点滅を説明すると、対戦時の状態の擬似的感情表現を明確にするために、赤、緑、青の3色を同時にONさせて発色を無色とさせたフラッシュ点滅とさせて、フラッシュ速度を調整する。
【0034】
端子数2本の双方向発光ダイオードの場合、たとえば緑と赤の2色に変色するならば電子模型玩具で対戦時の状態を表現させるには、暖色系の赤を選択し、単色発光ダイオードの実施例に準じた点滅をさせる。
【0035】
音声発声回路6においては、実存もしくは架空の動物の咆哮音を合成したりコオロギ、キリギリスなどの昆虫の鳴き声を攻撃的雰囲気を持たせるようにアレンジした威嚇音とし、電子合成音として発生させる。
【0036】
図4は本発明の実施例の斜視図であるが、昆虫や動物の各個体のキャラクタを考慮して各種の発光ダイオードと組み合わせる威嚇音や咆哮音のマッチングで、多種多彩な対戦設定が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】 本発明の一実施例のブロック線図である。
【図2】 本発明の一実施例の表面図である。
【図3】 本発明の一実施例の裏面図である。
【図4】 本発明の一実施例の遊技中の斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ボタンスイッチA
2 ボタンスイッチB
3 制御回路
4 明滅回路
5 点滅回路
6 音声発声回路
7 発光ダイオード
8 スピーカ
9 電池交換用蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫もしくは動物の外観を有する玩具において、明滅回路と点滅回路および音声発声回路を内蔵する制御回路により、明滅もしくは点滅する発光ダイオードが作用する眼部と、明滅もしくは点滅する発光ダイオードに連動して威嚇音もしく咆哮音を発する音声発声部が作動することを特徴とする発光および発声装置を有する電子模型玩具。
【請求項2】
明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードが単色発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具。
【請求項3】
明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードが高輝度発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具。
【請求項4】
明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードが超高輝度発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具。
【請求項5】
明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードがマルチカラー発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具。
【請求項6】
明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードがフルカラー発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具。
【請求項7】
明滅もしくは点滅する形態で発光する発光ダイオードが双方向発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の発光および発声装置を有する電子模型玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−90064(P2009−90064A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285548(P2007−285548)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(595068472)
【Fターム(参考)】