説明

発光ダイオード列の直列電力供給

【課題】複数のバーストモード変調信号をそれぞれ受信するための複数のスイッチを備えた直列に接続された複数の発光ダイオードを駆動するための回路を提供する。
【解決手段】各スイッチは、対応する発光ダイオードと並列に接続され、かつ、対応する発光ダイオードの輝度を個別に制御している。回路は、複数の発光ダイオードと直列に接続され、かつ、複数の発光ダイオードの輝度を制御するための制御スイッチをさらに具備している。制御スイッチはオン、又は、オフのいずれか一方である。バーストモード変調信号の1つは、対応する発光ダイオードを流れる電流を0からあらかじめ定められた値に変調するためのデューティサイクル比を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、発明の名称を「LED列の直列電力供給」とする、2005年11月16日に出願された共に係属中の米国仮出願第11/282097号の一部継続であり、その出願自体は、発明の名称を「LED列の直列電力供給」とする、2005年4月29日に出願された共に係属中の仮出願第60/676448号の優先権を主張する。なお、その全体は、引用することによって本明細書に取り込まれる。
【0002】
本発明は、負荷を駆動するか、又は、電力を供給する回路に関し、かつ、特に、直列に接続されている発光ダイオード(LED)を駆動するか、又は、電力を供給するための回路、又は、方法に関する。
【背景技術】
【0003】
図1には、従来技術において、複数のLEDを駆動するか、又は、電力を供給するための一般的な回路10が図示されている。例えば、図1に示されるように、回路10は、4個のLED22,24,26,28を駆動するために使用されている。LED22,24,26,28は並列に接続されていることが理解される。外部電圧源は、電圧Vccを駆動部12に供給するため、駆動部12に接続されている。駆動部12は、調整された電圧VregをLED22,24,26,28に供給するため、低ドロップアウト(LDO)レギュレータ14を有している。一般に、調整された電圧Vregは3.3Vである。LED22,24,26,28は、スイッチ32,34,36,38、及び、レジスタ42,44,46,48にそれぞれ接続されている。図1に示されるように、LED22,24,26,28、スイッチ32,34,36,38、及び、レジスタ42,44,46,48は、それぞれ直列に接続されている。
【0004】
例えば、LED22,24,26,28の各LEDに対する電流規格は10mAである。外部電圧源の電圧Vccが30Vであれば、LED22,24,26,28に対する電力規格Pwは、次のように計算することができる。
Pw=30V×4×10mA=1.2W
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際のアプリケーションでは、回路10は、セル電話、デジタルカメラ、ラップトップコンピュータ、電気自動車、又は、ポータブル電力ツールなどのポータブルデバイスに取り付けてもよい。しかしながら、回路10は、大量の電力を浪費する。これは、IC設計、システム電力バジェット及びシステム内部の電力損失などのいくつかの観点から重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1実施形態では、直列に接続された複数の発光ダイオードを駆動するための回路は、複数のバーストモード変調信号をそれぞれ受信するための複数のスイッチを具備している。各スイッチは、対応する発光ダイオードと並列に接続され、かつ、前記対応する発光ダイオードの輝度を個別に制御している。前記回路は、複数の発光ダイオードと直列に接続され、かつ、複数の発光ダイオードの輝度を制御するための制御スイッチをさらに具備している。1実施形態では、前記制御スイッチは、オン、又は、オフのいずれか一方である。前記バーストモード変調信号の1つは、前記対応する発光ダイオードを流れる電流を、0からあらかじめ定められた値に変調するためのデューティサイクル比を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
添付図面とともに説明される本発明の他の目的、利点及び斬新な特徴は、以下の詳細な説明からより明確になる。
【0008】
ここで、本発明の実施形態、即ち、発光ダイオード列の直列電力供給が詳細に説明される。本発明が実施形態に関連して説明される一方で、実施形態は、これらの実施形態に本発明を限定するものではないことが理解される。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の真の趣旨、及び、範囲に含まれる変形例、変更例及び均等物を網羅するものである。
【0009】
さらに、本発明の以下の詳細な説明には、本発明を完全に理解するため、多数の詳細な情報が記載されている。しかし、本発明は、これらの詳細な情報なしに、実施されることが当業者には認識される。他の実例では、周知の方法、手順、コンポーネント及び回路は、本発明の態様を不必要に不明瞭にしないように、詳細には説明されていない。
【0010】
図2には、本発明の1実施形態に基づくLEDなどの複数の負荷を駆動するか、又は、電力を供給するための回路100が図示されている。例えば、図2に示されるように、回路100は、4個のLED122,124,126,128を駆動するために使用されている。他の実施形態は、任意の個数のLEDをサポートすることによく適合している。加えて、本発明の他の実施形態は、LED122,124,126,128の代わりに、他のタイプの負荷の使用をサポートすることができる。
【0011】
図2に示されるように、LED122,124,126,128は、列150を形成するように、相互に直列に接続されている。外部電圧源は、電圧Vccを駆動部112に供給するため、駆動部112に接続されている。駆動部112は、調整された電圧VregをLED122,124,126,128に供給するため、電圧フォロア、シャントレギュレータ又は低ドロップアウト(LDO)レギュレータ114などのリニアレギュレータを有している。1実施形態では、電圧Vccは、調整された電圧Vregよりも高い。変形例では、外部電圧源は、VccがLED列150を直接電力供給することができるように、調整する必要がない。
【0012】
直列に接続されたLED122,124,126,128はまた、レジスタ140と制御スイッチ130とに接続されている。複数のスイッチ132,134,136,138は、LED122,124,126,128と並列にそれぞれ接続されている。即ち、複数のスイッチ132,134,136,138の各スイッチは、対応するLEDと並列に接続されている。例えば、スイッチ132は、LED122と並列に接続されている。1実施形態では、LED122,124,126,128の全てに電力を供給することができるように、この配列では、駆動部112のLDOレギュレータ114からの調整された電圧Vregは、レジスタ140、及び、LED122,124,126,128に供給される。
【0013】
好ましくは、LED122,124,126,128に接続されたスイッチ132,134,136,138は、個別のLED122,124,126,128の輝度を制御することが可能である。スイッチ132,134,136,138は、LED122,124,126,128のためのバイパス電流パスとなっている。例えば、スイッチ132は、LED122のためのバイパス電流パスとなり、スイッチ134は、LED124のためのバイパス電流パスとなり、スイッチ136は、LED126のためのバイパス電流パスとなり、かつ、スイッチ138は、LED128のためのバイパス電流パスとなっている。
【0014】
1実施形態では、スイッチ132,134,136,138の各スイッチは、完全にターンオンされるか、又は、完全にターンオフされるかのいずれか一方である。1実施形態では、対応するLEDは、対応するスイッチがオフである場合、ターンオフされる。対応するLEDは、対応するスイッチがオンである場合、ターンオンされる。例えば、LED122は、スイッチ132がオフである場合、ターンオフされ、かつ、LED122は、スイッチ132がオンである場合、ターンオンされる。同様に、LED124,126,128は、スイッチ134,136,138を介して、それぞれターンオン、及び、オフすることができる。
【0015】
さらに、本発明の1実施形態に基づく、パルス幅変調(PWM)制御方法が組み込まれている。PWM信号は、LED122,124,126,128の輝度を個別に制御するため、スイッチ132,134,136,138を制御するために使用することができる。例えば、LED122を例にとると、制御装置(図2に図示せず)は、LED122の輝度を制御するか、又は、LED122の輝度を低下するように、スイッチ132を有効にするか、又は、無効にするためのPWM信号を生成するために使用することができる。特に、LED122,124,126,128のうちの任意の1個が短絡されているか、又は、ターンオフされている場合、残りのLEDの輝度は変化する。好ましくは、PWM信号は、輝度の変化を防止するように、残りのLEDのスイッチを制御するために使用することができる。その上、LED122,124,126,128が異なる色で発光している場合、スイッチ132,134,136,138はまた、PMW信号のデューティサイクルを制御することによって、LED122,124,126,128の輝度の差異を解消するために使用することができる。
【0016】
本発明の1実施形態によれば、各LED122,124,126,128を流れる電流は、スイッチ132,134,136,138によって流すことができる。各スイッチを流れる転送された電流は、0からあらかじめ定められたレベルに変動することができる。1実施形態では、あらかじめ定められたレベルは、式(1)に示されるように、最大電流ld_maxである。
ld_max=Vled/Ronsw ・・・式(1)
式(1)において、Vledは、LED122,124,126,128の各LEDの定常電圧を示し、かつ、Ronswは、レジスタ140を流れる電流が(Vreg−NxVled)/R1よりも小さい場合のスイッチ132,134,136,138の各LEDの抵抗を示している。なお、詳細は、以降で説明される。
【0017】
この場合、本発明の1実施形態に基づき、対応するスイッチに印加されたPWM信号のデューティサイクル比に比例した係数によって、電流は流される。説明のため、LED122を例にとって、レジスタ140を流れる電流はlexであり、LED122の電圧はV122であり、かつ、スイッチ132の抵抗はR132であると仮定する。その結果、スイッチ132を流れる電流は、0からld_max=V122/R132に変化し、かつ、LED122を流れる電流は、lexからlex−(V122/R132)に変化する。1実施形態では、(V122/R132)がlexよりも大きいか、又は、等しい場合、LED122を流れる電流は、lexから0に変化する。
【0018】
同様に、LED124,126,128を流れる電流は、PMW信号に基づき、スイッチ134,136,138によって、lexから0にそれぞれ変調することができる。したがって、1実施形態では、各個別のLEDを流れる電流は、何個のLEDが所定の時間にターンオンされているか否かに拘わらず、調整することができる。
【0019】
さらに、1実施形態では、LED122,124,126,128の全てがターンオンされる必要がある場合、式(2)に示されるように、初期電流Icc_maxが必要である。
Icc_max=(Vreg−NxVled)/R1 ・・・式(2)
式(2)において、NxVledは、LED122,124,126,128の電圧の総和を示し、かつ、R1は、レジスタ140の抵抗を示している。
【0020】
1実施形態では、初期電流Icc_maxは、LED122,124,126,128を流れる最大許容電流である最大連続電流よりも小さい。
【0021】
さらに、制御スイッチ130は、LED122,124,126,128の全てをターンオフするために使用することができる。また、制御スイッチ130は、LED122,124,126,128のLED列150全体を制御するか、又は、輝度を低下するために使用することができる。
【0022】
本発明の1実施形態に基づく回路100は、複数のLED(例えば、LED122,124,126,128)に電力を供給するか、又は、駆動することが可能であり、かつ、各個別のLEDと並列の対応するスイッチを制御することによって、各個別のLEDを流れる電流を減少/調整することも可能である。結果として、本発明の1実施形態に基づく回路100は、電力損失を低減することが可能である。
【0023】
1実施形態では、複数のスイッチ132,134,136,138はまた、PWM信号の代わりに、バーストモード変調信号(又は、スペクトラム拡散信号)によって制御することができる。図3は、本発明の1実施形態に基づくバーストモード変調信号のための代表的な波形170A、170B、及び170Cを図示している。例えば、波形170Aは、デューティサイクルが100%のバーストモード変調信号を示している。波形170Bは、デューティサイクルが50%のバーストモード変調信号を示している。波形170Cは、デューティサイクルが25%のバーストモード変調信号を示している。バーストモード変調信号のデューティサイクルは、1期間のパルス数に依存している。同様に、各LED122,124,126,128を流れる電流は、バーストモード変調信号に基づき、スイッチ132,134,136,138によって、lexから0にそれぞれ変調することができる。
【0024】
図4には、本発明の実施形態に基づく発光ダイオードを駆動するための方法200が図示されている。図4は、図2と組み合わせて説明される。ステップ210では、複数のLED122,124,126,128が直列に接続される。ステップ212では、複数のスイッチ132,134,136,138が、LED122,124,126,128と並列にそれぞれ接続される。即ち、各LED122,124,126,128は、対応するスイッチ132,134,136,138と並列に接続されている。ステップ214では、制御スイッチ130は、複数のLED122,124,126,128と直列に接続される。この制御スイッチ130は、複数のLED122,124,126,128に供給される電力を制御している。ステップ216では、電源は、複数のLED122,124,126,128の1端部と接続されて、複数のLED122,124,126,128に電力を供給する。ステップ218では、電源は調整されて、調整された電圧を生成する。調整された電圧は、LED122,124,126,128に電力を供給するためのLEDの1端部に印加される。ステップ220では、複数のパルス幅変調(PWM)信号、又は、複数のバーストモード変調信号は、複数のLED122,124,126,128の各LEDの輝度を個別に制御するため、複数のスイッチ132,134,136,138にそれぞれに印加される。ステップ222では、複数のLED122,124,126,128の全体の輝度は、制御スイッチ130をオン、又は、オフに制御する手段によって制御される。例えば、スイッチがオンになると、電力は複数のLEDに供給される。また、スイッチがオフになると、電力は複数のLEDに供給されない。結果として、複数のLED122,124,126,128の各LEDを流れる電流は、0からあらかじめ定められた値に変調することができる。
【0025】
上記の説明、及び、図面が本発明の好ましい実施形態を示している一方で、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の原理の真の趣旨、及び、範囲から逸脱することなく、多様な追加例、変更例及び置換例がこれらの実施形態になされ得ることが理解される。本発明が形態、構造、配列、比率、材料、要素及びコンポーネントなどの多数の変更形態に使用され、本発明の実施に使用され、本発明の原理から逸脱することなく、特定の環境、及び、動作要求に特に適合されることが、当業者には理解される。例えば、異なるタイプの負荷をLEDの代わりに使用することができ、又は、PWM生成は、アナログ又はデジタルであり得る。したがって、現在開示された実施形態は、あらゆる点において、添付の特許請求の範囲に示されている本発明の範囲、及び、その法的な均等物を説明し、かつ、制限しないものとして取り扱われなければならず、上記の説明に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、従来技術における複数のLEDを駆動するための回路を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の1実施形態に基づく、複数のLEDを駆動するための回路を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の1実施形態に基づく、バーストモード変調信号の代表的な波形を示している。
【図4】図4は、本発明の実施形態に基づく、複数のLEDを駆動するための方法を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
100 駆動又は電力供給回路
112 駆動部
114 低ドロップアウト(LDO)レギュレータ
122,124,126,128 LED
130 制御スイッチ
132,134,136,138 スイッチ
140 レジスタ
150 LED列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数の発光ダイオードを駆動する回路であって、
複数のバーストモード変調信号を受信するための複数のスイッチと、
前記複数の発光ダイオードと直列に接続され、かつ、前記複数の発光ダイオードの輝度を制御するための制御スイッチと
を具備し、
前記複数のスイッチの各スイッチは、前記複数の発光ダイオードのうちの対応する発光ダイオードと並列に接続され、かつ、前記対応する発光ダイオードの輝度を個別に制御し、
前記制御スイッチは、オン、又は、オフのいずれか一方であり、
前記複数のバーストモード変調信号の1つは、前記対応する発光ダイオードを流れる電流を、0からあらかじめ定められた値に変調するためのデューティサイクル比を有する
ことを特徴とする回路。
【請求項2】
前記複数の発光ダイオードの1端部に接続され、かつ、前記複数の発光ダイオードに電力を供給するための電圧源をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記電圧源に接続され、かつ、前記複数の発光ダイオードに調整された電力を供給するための低ドロップアウトレギュレータをさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記複数の発光ダイオードと直列に接続されたレジスタをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項5】
複数の発光ダイオードを駆動する方法であって、
前記複数の発光ダイオードを直列に接続するステップと、
対応する発光ダイオードの輝度を個別に制御するため、複数のスイッチの各スイッチを、前記複数の発光ダイオードのうちの前記対応する発光ダイオードと並列に接続するステップと、
バーストモード変調信号によって各スイッチを制御し、それによって、前記対応する発光ダイオードに供給された電力を制御するステップと、
前記複数の発光ダイオードの輝度を制御するため、オン、又は、オフのいずれか一方に、前記複数の発光ダイオードと直列に接続された制御スイッチを切り替えるステップと、
前記複数の発光ダイオードの各発光ダイオードを流れる電流を、0からあらかじめ定められた値に変調するステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記複数の発光ダイオードの1端部に電源を接続するステップと、
前記電源を調整して、前記複数の発光ダイオードに電力を供給するため、調整された電圧を生成するステップと
をさらに具備することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記制御スイッチをターンオンして、前記複数の発光ダイオードをターンオンするステップと、
前記制御スイッチをターンオフして、前記複数の発光ダイオードをターンオフするステップと
をさらに具備することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記バーストモード変調信号のデューティサイクルに基づく前記電流を変調するステップをさらに具備することを特徴とする請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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