発光ダイオード装置
【課題】パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減することが可能な発光ダイオード装置を提供する。
【解決手段】この発光ダイオード装置は、主面12aを有する発光層12を含む発光ダイオードチップ10と、発光ダイオードチップ10が配置されるチップ配置面21aを有するパッケージ20とを備え、発光層12の主面12aから出射される光は、発光層12の主面12aの面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有し、発光ダイオードチップ10およびパッケージ20の少なくとも一方は、パッケージ20から出射される光のチップ配置面21aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減する構造を有し、パッケージ20は、パッケージ20から出射される光のチップ配置面21aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減する構造に形成されている。
【解決手段】この発光ダイオード装置は、主面12aを有する発光層12を含む発光ダイオードチップ10と、発光ダイオードチップ10が配置されるチップ配置面21aを有するパッケージ20とを備え、発光層12の主面12aから出射される光は、発光層12の主面12aの面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有し、発光ダイオードチップ10およびパッケージ20の少なくとも一方は、パッケージ20から出射される光のチップ配置面21aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減する構造を有し、パッケージ20は、パッケージ20から出射される光のチップ配置面21aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減する構造に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード装置に関し、特に、発光ダイオードチップを備えた発光ダイオード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオードチップを備えた発光ダイオード装置において、窒化ガリウムC面(0001)基板上に作製したGaInN量子井戸には、量子井戸面と垂直な方向に大きなピエゾ電場が生じることが知られている。このように、GaInN量子井戸にピエゾ電場が存在する場合、無電場時と比較してエネルギー準位が低エネルギー側にシフトする量子閉じこめシュタルク効果が起こったり、電子と正孔とが引き離されるために発光確率が低下して、発光効率が低下するなどの不都合があった。
【0003】
この不都合を解消するために、窒化ガリウムにおいてピエゾ効果を低減させた素子構造として、C面(0001)ではなく、A面{11−20}、M面{1−100}または(2−1−14)面で量子井戸を形成する発光ダイオードチップや、(10−1−3)面を主面とする発光ダイオードチップが提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。上記非特許文献1では、(10−1−3)面を主面とするInGaN/GaN多重量子井戸(MQW)を発光層とする発光ダイオードチップが提案されている。上記A面{11−20}、M面{1−100}または(2−1−14)面で量子井戸を形成する発光ダイオードチップや、(10−1−3)面を主面とする発光ダイオードチップでは、量子井戸をC面以外の面に形成することによって、ピエゾ効果を低減することが可能である。
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.87巻,231110(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記C面以外の量子井戸では、発光層(量子井戸)の主面の面内方向において、発光層の振動子強度が大きい異方性を有していることが報告されている。具体的には、C面を主面とするGaInN量子井戸は、c軸が6回回転対称軸をなすため、<11−20>偏光と<1−100>偏光との振動子強度は等しく、量子井戸面内の直線偏光に対する振動子強度の異方性はない。一方、C面以外を主面とするGaInN量子井戸は、回転対称性がないので、一般的に、量子井戸面内の直線偏光に対する振動子強度は異方性を有する。すなわち、直線偏光に対する振動子強度は、量子井戸面内の直線偏光の方向に依存して複数の異なる大きさを有する。このため、C面以外の量子井戸では、井戸層の法線方向で量子井戸から出射する光を観測した場合、その光は直線偏光している。たとえば、サファイアの(1−100)面上に作製した(1−10−3)面を主面とするGa0.6In0.4Nからなる4nmの井戸層とGaNの障壁層とを積層したMQWを発光層とする発光ダイオードチップでは、発光層から出射される光は、[11−20]方向の偏光が強くなっている。
【0005】
このようなC面以外の量子井戸を主面とする発光ダイオードチップから出射される光は、振動子強度の大きい方向と垂直な方向に対して発光強度が大きくなる分布を有することが理論的に予想される。たとえば、従来の発光ダイオードチップでは、発光ダイオードチップから出射される光は[11−20]方向の偏光が強く、[11−20]方向に出射する光は弱く、[11−20]方向と垂直な方向に出射する光は強くなることが予想される。このように発光層の主面の面内の方位角の違いにより、発光層から出射される光が発光強度の大きな異方性を有している場合、発光ダイオードチップを備えた発光ダイオード装置から出射される光も発光強度の大きな異方性を有すると考えられる。具体的には、発光ダイオード装置が、発光ダイオードチップと、発光ダイオードチップの主面(光出射面)に平行で、かつ、発光ダイオードチップが配置されるチップ配置面を有するパッケージとを備えている場合、発光ダイオード装置から出射される光は、通常、パッケージのチップ配置面の面内の方位角に関して、発光強度の大きな異方性を有することになる。このため、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することが困難であるという問題点がある。この場合、発光ダイオード装置を、パッケージのチップ配置面の面内の方位角に関して、光の発光強度の均一性が要求される、たとえば、照明や表示灯などに用いることができないという不都合がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減することが可能な発光ダイオード装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による発光ダイオード装置は、主面を有する発光層を含む発光ダイオードチップと、発光ダイオードチップが配置されるチップ配置面を有するパッケージとを備え、発光層の主面から出射される光は、発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有し、発光ダイオードチップおよびパッケージの少なくとも一方は、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減する構造を有する。
【0008】
この一の局面による発光ダイオード装置では、上記のように、発光ダイオードチップおよびパッケージの少なくとも一方に、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減する構造を設けることによって、発光層の主面から出射される光が、発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有する場合にも、パッケージから出射される光のチップの配置面の面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することができる。これにより、発光ダイオード装置を、パッケージのチップ配置面の面内の方位角に関して、光の発光強度の均一性が要求される、たとえば、照明や表示灯などに用いることができる。
【0009】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、パッケージは、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減する構造に形成されている。このように構成すれば、パッケージの構造により、容易に、パッケージから出射される光の発光強度の差を低減することができる。
【0010】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、発光ダイオードチップは、光出射面を有し、光出射面が、光出射面の面内方向に関して異方的な構造を有することにより、光出射面から出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差が低減されるように構成されている。このように構成すれば、発光ダイオードチップの光出射面が、光出射面の面内方向に関して異方的な構造を有することにより、容易に、パッケージから出射される光の発光強度の差を低減することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、発光ダイオードチップの光出射面の異方的な構造は、光出射面の面内方向において、第1方向と第1方向に交差する第2方向とに沿ってそれぞれ異なる形状を有する構造である。このように構成すれば、発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有する場合にも、複数の発光ダイオードチップを第1方向と第1方向に交差する第2方向とに沿って配置することによって、発光ダイオードチップの光出射面の異方的な構造により、パッケージから出射される光の発光強度の差を低減することができる。
【0012】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、発光ダイオードチップは、第1発光ダイオードチップおよび第2発光ダイオードチップを含み、第1発光ダイオードチップの発光層の主面の面内方向における発光強度の大きい方位角の方向と、第2発光ダイオードチップの発光層の主面の面内方向における発光強度の大きい方位角の方向とが、チップ配置面の面内で互いに異なる方向に向くように第1発光ダイオードチップと第2発光ダイオードチップとが配置されることにより、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差が低減されるように構成されている。このように構成すれば、容易に、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減することができる。
【0013】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、発光層は、ウルツ鉱構造の半導体およびα−SiCのいずれか一方からなる。このように構成すれば、発光層から出射される光の発光強度が発光層の主面の面内の方位角に関する異方性を有することができる。
【0014】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、発光層の主面は、(0001)面以外の面を含む。このように構成すれば、発光層から出射される光の発光強度が発光層の主面の面内の方位角に関する異方性を有することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、発光層の主面は、実質的に(H、K、−H−K、0)面(HおよびKは整数であり、HおよびKの少なくとも一方は0ではない)を含む。このように構成すれば、主面の面内の方位角に関する発光強度の異方性を強くすることができる。
【0016】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、発光層の主面の面内方向の直線偏光に対する発光層の振動子強度は、発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる大きさを有する。ここで、発光層の振動子強度は、発光層の伝導帯の底と価電子帯の頂上との間の遷移に対する振動子強度である。このように構成すれば、発光層は、発光層の主面の面内の方位角に関する発光強度の異方性を有することができる。
【0017】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、発光ダイオードチップの面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別できるように、発光ダイオードチップの外観が形成されている。このように構成すれば、チップ配置面に発光ダイオードチップを配置する際に、発光ダイオードチップの発光強度の最も大きい方向を認識しやすくなる。
【0018】
この場合、好ましくは、発光ダイオードチップの上面の外形が、実質的に長方形に形成されており、実質的に長方形の長辺または短辺が面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と実質的に一致している。このように構成すれば、発光ダイオードチップの実質的に長方形の長辺または短辺により、チップ配置面に発光ダイオードチップを配置する際に、発光ダイオードチップの発光強度の最も大きい方向をより認識しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明に用いる発光ダイオードチップを説明するための断面図である。図1を参照して、本発明の具体的な実施形態を説明する前に、本発明に用いる発光ダイオードチップの概略的構成について説明する。
【0020】
本発明に用いる発光ダイオードチップでは、図1に示すように、第1半導体1上に、発光層2が形成されている。発光層2上には、第2半導体3が形成されている。また、第1半導体1の下面上には、第1電極4が形成されているとともに、第2半導体3上には、第2電極5が形成されている。
【0021】
ここで、本発明に用いる発光ダイオードチップでは、発光層2から出射される光の発光強度が発光層2の主面(上面)2aの面内の方位角に関する異方性を有するように、発光ダイオードチップの材料と主面の方向とが選択される。たとえば、ウルツ鉱構造の半導体、4H−SiCまたは6H−SiCであれば、(0001)面以外が主面となるように主面を選択する。この場合、特に(11−20)面および(1−100)面などの(H、K、−H−K、0)面を主面とした場合に、主面の面内の方位角に関する発光強度の異方性が最も強くなる。
【0022】
この他、たとえば、{11−24}面、{11−22}面、{1−101}面、{1−102}面および{1−103}面や、これらの面から所定の角度範囲内でオフしている面などの(H、K、−H−K、L)面(Lは0ではない)を主面としてもよいし、これらの面から所定の角度範囲内でオフしている面を主面としてもよい。具体的な材料としては、ウルツ鉱構造のAlGaN、GaNおよびGaInNなどの窒化物系半導体や、2H−SiC、4H−SiCおよび6H−SiCなどの六方晶や、菱面体構造のα−SiCや、ウルツ鉱構造のMgZnO、ZnCdOおよびZnSなどを用いる。なお、閃亜鉛鉱構造の半導体を用いる場合は、{001}面および{111}面以外の面(たとえば、{110}面)を主面とするとともに、発光層を量子井戸構造とする必要がある。
【0023】
ここで、一般的に、第1半導体1および第2半導体3のバンドギャップより小さいバンドギャップを有する発光層2を形成することにより二重ヘテロ構造を作製することによって、発光層2にキャリアを閉じ込めやすくすることができるとともに、発光効率を向上させることができる。また、発光層2を単一量子井戸構造やMQW構造とすることにより、さらに発光効率を向上させることができる。この量子井戸構造の場合、井戸層の膜厚が小さいので、井戸層が歪みを有する場合においても、井戸層の結晶性が悪化するのを抑制することができる。なお、井戸層は、発光層2の主面2aの面内方向に圧縮歪みを有する場合であっても、面内方向に引っ張り歪みを有する場合であっても、結晶性が悪化するのが抑制される。また、発光層2は、アンドープでもよく、ドーピングされていてもよい。
【0024】
本発明において、第1半導体1は、基板または半導体層により構成されていてもよいし、基板と半導体層との両方により構成されていてもよい。また、第1半導体1が基板と半導体層との両方により構成される場合、基板は、第1半導体1の第2半導体3が形成される側とは反対側(下側)に形成される。また、基板は、成長用の基板であってもよいし、半導体層を成長させた後に半導体層の成長面に半導体層を支持するために接合する支持基板であってもよい。
【0025】
また、pn接合型の発光ダイオードチップでは、第1半導体1と第2半導体3とは互いに異なる導電性を有する。第1半導体1がp型であり第2半導体3がn型であってもよいし、第1半導体1がn型であり第2半導体3がp型であってもよい。
【0026】
また、第1半導体1および第2半導体3は、発光層2よりバンドギャップの大きいクラッド層(図示せず)などを含んでいてもよい。また、第1半導体1および第2半導体3は、発光層2側からクラッド層と、コンタクト層(図示せず)とを含んでいてもよい。この場合、コンタクト層は、クラッド層よりバンドギャップが小さいことが好ましい。
【0027】
また、ウルツ鉱構造の窒化物系半導体を用いる場合、基板は、AlN、GaN、AlGaNおよびGaInNからなる窒化物系半導体基板や、サファイア、スピネル、Si、GaAs、GaPおよびZrB2などの窒化物系半導体以外の基板を用いることができる。量子井戸の発光層としては、井戸層としてGaInN、障壁層として井戸層よりバンドギャップの大きいAlGaN、GaNおよびGaInNを用いることができる。クラッド層およびコンタクト層としては、GaNおよびAlGaNを用いることができる。
【0028】
また、第2電極5は、第2半導体3の一部に形成してもよい。また、発光ダイオードチップの光の出射側(上側)に形成されている電極(ここでは、第2電極5)は、透光性を有していることが好ましい。
【0029】
また、後述するように、発光層2の主面2aは、パッケージ(図示せず)のチップ配置面に対して平行になるように配置されている。
【0030】
次に、(H、K、−H−K、0)面を主面とするGaInNを井戸層とする量子井戸の発光層を有する発光ダイオードを例にあげて、発光ダイオードの主面の面内の方位角に関する発光強度の異方性について説明する。図2は、極角θと方位角φとで定義される方向と、(11−20)面を主面とする発光層および発光層の面内の結晶方位との関係を示した図である。図3は、(11−20)面を主面とするGaInNを井戸層とする量子井戸発光層から、[11−20]方向に対して有限(0ではない)の角度θだけ傾斜した方向に出射する光の方位角φと発光強度との関係を示した図である。ここで、φ=0°、90°、180°および270°は、それぞれ発光層の[0001]方向、[1−100]方向、[000−1]方向および[−1100]方向と一致する。図3に示すように、有限の極角θだけ傾斜した方向に出射する光は、発光層2の主面2aの面内の方位角に関する発光強度の異方性を有し、方位角がφ=0°または180°である方向に発光強度が大きく、方位角がφ=90°または270°である方向に発光強度が小さい。図3では(11−20)面を主面とする発光ダイオードについて説明したが、(H、K、−H−K、0)面を主面とするGaInNを井戸層とする量子井戸の発光層を有する発光ダイオードにおいては、方位角が[0001]方向である方向に発光強度の強い方向があり、方位角が[K、−H、H−K、0]方向である方向に発光強度の弱い方向があり、発光強度の大きい方向と、発光強度の小さい方向とは、方位角が90°異なる。また、発光強度は、発光層2の主面の面内で2回の回転対称性を示す。
【0031】
(第1実施形態)
図4は、本発明の第1実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。図5は、図4に示した第1実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。図6は、図4に示した第1実施形態による発光ダイオード装置の支持部材の構造を示した平面図である。まず、図4〜図6を参照して、第1実施形態による発光ダイオード装置の構造について説明する。
【0032】
第1実施形態による発光ダイオード装置では、図4および図5に示すように、4つの発光ダイオードチップ10と、4つの発光ダイオードチップ10が内部に配置されるパッケージ20とを含んでいる。
【0033】
発光ダイオードチップ10は、(11−20)面を主面とするウルツ鉱構造の窒化物系半導体からなる。発光ダイオードチップ10の外形は、図4に示すように、上面側から見て、正方形状、長方形状、菱形状または平行四辺形状などからなる。
【0034】
また、発光ダイオードチップ10では、図5に示すように、約100μmの厚みを有するn型GaN基板11上に、Ga0.7In0.3Nからなる約2nmの厚みを有する井戸層(図示せず)と、Ga0.9In0.1Nからなる障壁層(図示せず)とを積層したMQWからなる発光層12が形成されている。また、発光層12上には、p型GaN層13が形成されている。また、n型GaN基板11の下面上には、n側電極14が形成されているとともに、p型GaN層13上には、透光性を有するp側電極15が形成されている。
【0035】
ここで、第1実施形態では、各々の発光ダイオードチップ10の発光層12の振動子強度は、[0001]偏光した光よりも[1−100]偏光した光に対して大きくなる。したがって、発光層12からの発光強度は、[1−100]方向に平行な方位角の方向の光よりも、[0001]方向に平行に近い方位角の光の方が大きくなる。
【0036】
また、第1実施形態では、4つの発光ダイオードチップ10は、発光層12の主面12aがパッケージ20の後述する支持部材21のチップ配置面21aに対して平行になるように、チップ配置面21a上に配置されている。
【0037】
また、第1実施形態では、図4に示すように、4つの発光ダイオードチップ10のうちの2つの一方の発光ダイオードチップ10aと、2つの他方の発光ダイオードチップ10bとは、一方の発光ダイオードチップ10aの[0001]方向と、他方の発光ダイオードチップ10bの[1−100]方向とがほぼ平行になるように配置されている。このため、一方の発光ダイオードチップ10aの発光層12の面内方向における発光強度の大きい方位角の方向と、他方の発光ダイオードチップ10bの発光層12の面内方向における発光強度の大きい方向とが、パッケージ20の面内で互いに異なる方向(交差(直交)する方向)に向くように、一方の発光ダイオードチップ10aと他方の発光ダイオードチップ10bとが配置されるので、パッケージ20から出射される光の支持部材21のチップ配置面21aの面内の方位角の違いによる強度の差(強度の異方性)が低減される。なお、発光ダイオードチップ10aは、本発明の「第1発光ダイオードチップ」の一例であり、発光ダイオードチップ10bは、本発明の「第2発光ダイオードチップ」の一例である。
【0038】
また、パッケージ20は、図5に示すように、上記した支持部材21と、透光性の樹脂モールド22とにより構成されている。この支持部材21は、樹脂やセラミックスなどの絶縁性の材料からなる。また、支持部材21は、発光ダイオードチップ10が配置される平面からなる上記したチップ配置面21aと、チップ配置面21aの外周部に配置されるとともに、チップ配置面21aに対して傾斜する反射側面21bとを有する凹部が形成されている。
【0039】
チップ配置面21aには、図5および図6に示すように、チップ配置面21aの中央部近傍に配置される銅などからなる一方電極21cと、チップ配置面21aの周辺部近傍に配置される銅などからなる他方電極21dとが形成されている。この一方電極21c上には、発光ダイオードチップ10のn側電極14(図5参照)が接合されている。また、他方電極21d上には、発光ダイオードチップ10のp側電極15(図5参照)に接続されたワイヤ23(図5参照)が接続されている。また、一方電極21cには、一方リード電極21eが接続されているとともに、他方電極21dには、他方リード電極21fが接続されている。これら一方リード電極21eおよび他方リード電極21fは、支持部材21の内部と外部とを接続するように配置されている。このようにして、4つの発光ダイオードチップ10は、常に同時に点灯するように配線されている。
【0040】
また、反射側面21bには、AlまたはAgなどからなる反射材21gが形成されている。また、反射側面21bは、図6に示すように、光の出射方向(上方向)から見て、円形状に形成されている。
【0041】
図7は、本発明の第1実施形態の変形例による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。本発明の第1実施形態の変形例による発光ダイオード装置は、図7に示すように、上記第1実施形態と異なり、発光ダイオードチップ10cおよび10dの上面の外形が、[0001]方向に略平行な長辺を有する長方形に形成されている。本変形例では、発光ダイオードチップ10cおよび10dの主面を長辺または短辺の方向を発光強度の最も大きい方向に一致させた2回の回転対称の長方形状に形成しているので、発光ダイオードチップ10cおよび10dの主面の面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別することができる。したがって、チップ配置面21aに発光ダイオードチップ10cおよび10dを配置する際に、発光ダイオードチップ10cおよび10dの発光強度の最も大きい方向を認識しやすくなる。ここで、主面の面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別する方法は、チップを長方形に形成することに限らず、発光ダイオードチップ10cおよび10dの主面の面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別することができるように、発光ダイオードチップ10cおよび10dが形成されていればよい。たとえば、発光ダイオードチップ10cおよび10dの表面に発光強度の最も大きい方向が認識可能なマークを形成するようにしてもよいし、発光ダイオードチップ10cおよび10dに電極を形成する場合には、電極の形状や配置により、発光強度の最も大きい方向が認識可能なようにしてもよい。また、長辺または短辺の方向を発光強度の最も大きい方向に一致させた2回の回転対称の長方形状に電極を形成するようにしてもよい。また、発光ダイオードチップ10cおよび10dの外形を発光強度の最も大きい方向が認識可能なように形成するようにしてもよい。
【0042】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。図9は、図8に示した第2実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。図8および図9を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、パッケージの反射側面に、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減する形状が形成されている場合について説明する。
【0043】
第2実施形態による発光ダイオード装置では、図8および図9に示すように、1つの発光ダイオードチップ30と、1つの発光ダイオードチップ30が内部に配置されるパッケージ40とを含んでいる。
【0044】
発光ダイオードチップ30は、(1−100)面を主面とするウルツ鉱構造の窒化物系半導体からなる。発光ダイオードチップ30は、図8に示すように、上面側から見て、約300μm×約300μmの大きさを有する正方形状に形成されている。
【0045】
また、発光ダイオードチップ30では、図9に示すように、n型GaN層31上に、Ga0.7In0.3Nからなる約2nmの厚みを有する井戸層(図示せず)と、Ga0.9In0.1Nからなる障壁層(図示せず)とを積層したMQWからなる発光層32が形成されている。また、発光層32上には、p型GaN層33が形成されている。また、上記第1実施形態と同様、n型GaN層31の下面上には、n側電極14が形成されているとともに、p型GaN層33上には、透光性を有するp側電極15が形成されている。
【0046】
ここで、第2実施形態では、上記第1実施形態と同様、発光層32から出射される光の発光強度は、発光層32の主面(上面)32aの面内の方位角に関する異方性を有する。すなわち、発光層32から出射される光の発光強度は、[11−20]方向に平行な方位角の方向の光よりも、[0001]方向に平行に近い方位角の方向の光の方が大きくなる。
【0047】
また、パッケージ40は、図8に示すように、支持部材41と、透光性の樹脂モールド42とにより構成されている。この支持部材41は、発光ダイオードチップ30が配置される平面からなるチップ配置面41aと、チップ配置面41aの外周部に配置されるとともに、チップ配置面41aに対して傾斜する反射側面41bとを有する凹部が形成されている。なお、反射側面41bは、本発明の「反射面」の一例である。
【0048】
また、チップ配置面41aには、図9に示すように、チップ配置面41aの中央部近傍に配置される銅などからなる一方電極41cと、チップ配置面41aの周辺部近傍に配置される銅などからなる他方電極41dとが形成されている。また、一方電極41cには、一方リード電極41eが接続されているとともに、他方電極41dには、他方リード電極41fが接続されている。
【0049】
また、第2実施形態では、反射側面41bには、AlまたはAgなどからなる反射材41gが形成されている。反射側面41bは、支持部材41の凹部の表面に凹凸形状を形成するとともに、支持部材41の凹部の表面に反射材41gを形成することにより形成される。この反射側面41bには、図8に示すように、光の出射方向(上方向)から見て、支持部材41の凹部の表面の凹凸形状を反映した凹凸形状を有する反射材41gが形成されている。具体的には、反射側面41bは、図9に示すように、チップ配置面41a近傍の部分において、約1mmの内径L1を有している。また、図8に示すように、反射側面41bに形成された凹凸形状の凸部と凸部との間隔W1は、約20μmであるとともに、凹部の深さD1は、約20μmであり、凸部の頂点の角度θ1は、約50度である。これにより、発光ダイオードチップ30から出射される光が反射側面41bにより散乱される。なお、凹凸形状の凹部および凸部の大きさは、発光波長と同程度であってもよいし、発光波長よりも大きくてもよい。たとえば、凸部と凸部との間隔W1は、約250nm以上が好ましい。
【0050】
なお、第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0051】
第2実施形態では、上記のように、反射側面41bに、光の出射方向(上方向)から見て、凹凸形状を形成することによって、発光ダイオードチップ30から出射される光を反射側面41bにより散乱することができるので、発光層32の主面32aから出射される光が、発光層32の主面32aの面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有する場合にも、パッケージ40から出射される光の支持部材41のチップ配置面41aの面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することができる。
【0052】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0053】
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。図11は、図10に示した第3実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。図10および図11を参照して、この第3実施形態では、上記第1実施形態と異なり、発光ダイオードチップの光出射面(上面)に、パッケージ(発光ダイオードチップ)から出射される光の発光強度の差を低減するように、所定の方向に延びる凹凸形状が形成されている場合について説明する。
【0054】
第3実施形態による発光ダイオード装置では、図10および図11に示すように、1つの発光ダイオードチップ50と、1つの発光ダイオードチップ50が内部に配置されるパッケージ60とを含んでいる。
【0055】
発光ダイオードチップ50は、(11−24)面を主面とするウルツ鉱構造の窒化物系半導体からなる。また、発光ダイオードチップ50では、図11に示すように、n型GaN層51上に、Ga0.7In0.3Nからなる約2nmの厚みを有する井戸層(図示せず)と、Ga0.9In0.1Nからなる障壁層(図示せず)とを積層したMQWからなる発光層52が形成されている。また、発光層52上には、p型GaN層53が形成されている。なお、p型GaN層53は、本発明の「半導体層」の一例である。また、上記第1実施形態と同様、n型GaN層51の下面上には、n側電極14が形成されているとともに、p型GaN層53上には、透光性を有するp側電極55が形成されている。なお、p側電極55は、本発明の「電極」の一例である。
【0056】
ここで、第3実施形態では、上記第1実施形態と同様、発光層52から出射される光の発光強度は、発光層52の主面(上面)52aの面内の方位角に関する異方性を有する。すなわち、発光層52から出射される光の発光強度は、[1−100]方向に平行な方位角の方向の光よりも、[1−100]方向に直交するy方向(図10参照)に近い方位角の方向の光の方が大きくなる。なお、[1−100]方向および[−1100]方向は、本発明の「第1方向」の一例であり、y方向は、本発明の「第2方向」の一例である。
【0057】
また、第3実施形態では、図10および図11に示すように、発光ダイオードチップ50の光の出射面側に配置されたp型GaN層53の光出射面(上面)53aには、凹凸形状が形成されている。具体的には、図11に示すように、p型GaN層53の光出射面(上面)53aの凹凸形状の凹部および凸部は、約0.5μmの幅W2を有するとともに、約0.25μmの高さH1を有するように形成されている。また、p型GaN層53の光出射面(上面)53aの凹凸形状の凹部および凸部は、y方向に延びるように形成されている。これにより、発光ダイオードチップ50から出射される光のうちの[1−100]方向に平行な方位角の方向に出射される光の光量を増加させることが可能である。なお、p側電極55は、p型GaN層53の凹凸形状に沿って、凹凸形状に形成されている。これにより、発光層52から出射される光が[1−100]方向の方位角の方向に小さい発光強度を有する場合において、パッケージ60から出射される光の支持部材61のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することができる。
【0058】
また、p型GaN層53の凹凸形状の凹部および凸部の大きさは、発光波長と同程度であってもよいし、発光波長よりも大きくてもよい。発光波長が約500nmの場合、たとえば、凹部の幅W2は、約250nm以上が好ましい。
【0059】
また、p型GaN層53の凹凸形状の凹部および凸部の大きさが、発光波長の数倍(たとえば、約250nm〜約1200nm)である場合には、p型GaN層53の光出射面(上面)53aが平坦である場合に全反射することにより発光ダイオードチップ50の外部に出射されない光を、回折効果により外部に出射する効果がある。
【0060】
また、p型GaN層53の凹凸形状の凹部および凸部の大きさが、発光波長よりも大きい場合(たとえば、約2μm〜約50μmである場合)には、発光層52から出射された光がp型GaN層53の凹凸形状に臨界角度以下で入射しやすくなるので、発光ダイオードチップ50の外部に出射される光を増加させる効果がある。
【0061】
なお、第3実施形態において、p型GaN層53の光出射面(上面)53aに凹凸形状を形成したが、出射面側のp型GaN層53上にTiO2などの誘電体膜を形成し、誘電体膜に凹凸形状を形成してもよい。また、出射面と反対側(下側)のn型GaN層51の下面に凹凸形状を形成しても、同様の効果が得られるが、出射面側に凹凸を形成する方が効果が高い。
【0062】
また、パッケージ60は、図11に示すように、上記第1実施形態と同様、支持部材61と、透光性の樹脂モールド62とにより構成されている。この支持部材61は、発光ダイオードチップ50が配置される平面からなるチップ配置面61aと、チップ配置面61aの外周部に配置されるとともに、チップ配置面61aに対して傾斜する反射側面61bとを有する凹部が形成されている。
【0063】
また、チップ配置面61aには、上記第2実施形態と同様、チップ配置面61aの中央部近傍に配置される銅などからなる一方電極41cと、チップ配置面61aの周辺部近傍に配置される銅などからなる他方電極41dとが形成されている。また、一方電極41cには、一方リード電極41eが接続されているとともに、他方電極41dには、他方リード電極41fが接続されている。
【0064】
また、第3実施形態では、反射側面61bには、上記第1実施形態と同様、AlまたはAgなどからなる反射材61gが形成されている。
【0065】
なお、第3実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0066】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
なお、第3実施形態では、発光ダイオードチップ50の光出射面に、パッケージ60から出射される光のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減するように、所定の方向に延びる凹凸形状を形成したが、本発明はこれに限らず、発光ダイオードチップ50の光出射面が発光層52の面内方向に関する異方的な構造を有していればよい。たとえば、上面から見て楕円形状の凸部または凹部を光出射面に形成してもよい。
【0068】
(第4実施形態)
図12は、本発明の第4実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。この第4実施形態では、上記第2実施形態と異なり、出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減するためのパッケージの形状として、発光層の面内方向に関する異方的な形状をパッケージに形成する。具体的には、パッケージの樹脂モールドの光の出射面に所定の方向に延びる凹凸形状が形成されている場合について説明する。
【0069】
第4実施形態による発光ダイオード装置では、図12に示すように、1つの発光ダイオードチップ70と、1つの発光ダイオードチップ70が内部に配置されるパッケージ80とを含んでいる。
【0070】
発光ダイオードチップ70は、(1−102)面を主面とするウルツ鉱構造の窒化物系半導体からなる。また、発光ダイオードチップ70では、n型GaN層71上に、Ga0.7In0.3Nからなる約2nmの厚みを有する井戸層(図示せず)と、Ga0.9In0.1Nからなる障壁層(図示せず)とを積層したMQWからなる発光層72が形成されている。また、発光層72上には、p型GaN層73が形成されている。また、上記第1実施形態と同様、n型GaN層71の下面上には、n側電極14が形成されているとともに、p型GaN層73上には、透光性を有するp側電極15が形成されている。
【0071】
ここで、第4実施形態では、上記第1実施形態と同様、発光層72から出射される光の発光強度は、発光層72の主面(上面)72aの面内の方位角に関する異方性を有する。すなわち、発光層72から出射される光の発光強度は、[11−20]方向に平行な方位角の方向の光よりも、[11−20]方向に直交する方向に近い方位角の方向の光の方が大きくなる。
【0072】
また、パッケージ80は、上記第3実施形態と同様、支持部材61と、透光性の樹脂モールド82とにより構成されている。なお、樹脂モールド82は、本発明の「透光性部材」の一例である。
【0073】
また、第4実施形態では、樹脂モールド82の光の出射面には、凹凸形状が形成されている。具体的には、樹脂モールド82の光の出射面の凹凸形状の凹部および凸部は、約2.5μmの幅W3を有するとともに、約2μmの高さH2を有するように形成されている。また、樹脂モールド82の凹凸形状の凹部および凸部は、[11−20]方向および[−1−120]方向と直交する方向に延びるように形成されている。これにより、発光ダイオードチップ70から出射される光のうちの[11−20]方向に平行な方位角の方向に出射される光の光量を増加させることが可能である。これにより、発光層72から出射される光が[11−20]方向の方位角の方向に小さい発光強度を有する場合において、パッケージ80から出射される光の支持部材61のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することができる。
【0074】
また、上記第3実施形態と同様の理由により、樹脂モールド82の凹凸形状の凹部および凸部の大きさは、発光波長と同程度であってもよいし、発光波長よりも大きくてもよい。発光波長が約500nmの場合、たとえば、凹部の幅W3は、約250nm以上が好ましい。
【0075】
なお、第4実施形態のその他の構造は、上記第3実施形態と同様である。
【0076】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第3実施形態と同様である。
【0077】
なお、第4実施形態では、樹脂モールドの光の出射面に、パッケージ80から出射される光のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減するように、所定の方向に延びる凹凸形状を形成したが、本発明はこれに限らず、樹脂モールド82の光の出射面が発光層72の面内方向に関する異方的な構造を有していればよい。すなわち、異方的な構造は、光出射面の面内方向において、[11−20]方向と、[11−20]方向と直交する方向とに沿ってそれぞれ異なる形状を有する構造であり、たとえば、上面から見て楕円形状の凸部または凹部を光出射面に形成してもよい。
【0078】
また、第4実施形態では、光の出射面の透過性部材を樹脂モールドにより構成したが、本発明はこれに限らず、透過性部材を、TiO2やNb2O5、Ta2O5、ZrO2およびZnOなどの無機材料や、無機材料と有機材料の有機無機ハイブリッド材料から構成してもよい。
【0079】
なお、第4実施形態において、第1実施形態の変形例と同様に、発光ダイオードチップ70の主面の面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別することができるように、発光ダイオードチップ70が形成されていれば、発光ダイオードチップ70の発光強度の最も大きい方向と、樹脂モールドの凹凸形状の方向とを合わせやすくなる。
【0080】
(第5実施形態)
図13は、本発明の第5実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。図14は、図13の200−200線に沿った断面図である。図15は、図13の300−300線に沿った断面図である。図16は、図13に示した第5実施形態によるパッケージから出射される光が[0001]方向および[000−1]方向へ屈折される状態を示した図である。図13〜図16を参照して、この第5実施形態では、上記第4実施形態と異なり、発光層の面内方向に関する異方的なパッケージの形状として、パッケージの樹脂モールド(レンズ部)の光の出射面を、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減するように、発光強度の小さい方位角の方へ光を偏向するように構成している。より具体的には、パッケージの光の出射面の形状を、曲面を有する複数の凸面が凹形状を形成するように接している形状とする場合について説明する。
【0081】
第5実施形態による発光ダイオード装置では、図13に示すように、1つの発光ダイオードチップ90と、1つの発光ダイオードチップ90が内部に配置されるパッケージ100とを含んでいる。
【0082】
発光ダイオードチップ90は、図14および図15に示すように、(11−20)面を主面とするウルツ鉱構造の窒化物系半導体からなる。また、発光ダイオードチップ90では、n型GaN層91a上に、n型のAl0.07Ga0.93Nからなるクラッド層91bが形成されている。また、クラッド層91b上には、Al0.02Ga0.98Nからなる約2nmの厚みを有する井戸層(図示せず)と、Al0.07Ga0.93Nからなる障壁層(図示せず)とを積層したMQWからなる発光層92が形成されている。また、発光層92上には、p型のAl0.07Ga0.93Nからなるコンタクト層93が形成されている。このコンタクト層93は、クラッド層としての機能も有する。また、上記第1実施形態と同様、n型GaN層91aの下面上には、n側電極14が形成されているとともに、コンタクト層93上には、透光性を有するp側電極15が形成されている。
【0083】
ここで、第5実施形態では、発光層92から出射される光の発光強度は、発光層92の主面(上面)92aの面内の方位角に関する異方性を有する。すなわち、発光層92から出射される光の発光強度は、[0001]方向に平行な方位角の方向の光よりも、[1−100]方向に平行に近い方位角の方向の光の方が大きくなる。
【0084】
また、パッケージ100は、上記第4実施形態と同様、支持部材61と、透光性の樹脂モールド102とにより構成されている。この樹脂モールド102は、支持部材61の凹部に充填される充填部102aと、支持部材61の外側に配置されるレンズ部102bとにより形成されている。なお、充填部102aおよびレンズ部102bは、樹脂に限らず、ガラスなどの無機物または有機・無機ハイブリッド材料などにより構成してもよい。
【0085】
また、第5実施形態では、図13〜図15に示すように、レンズ部102bは、4つの凸面から構成される。ここで、各々の凸面は、発光ダイオードチップ90の[0001]方向および[000−1]方向の方位角において隣り合う凸面と、凸形状を形成するように接する。また、各々の凸面は、発光ダイオードチップ90の発光強度の強い[1−100]方向および[−1100]方向の方位角において隣り合う凸面と、凹形状を形成するように接する。これにより、レンズ部102b(パッケージ100)から出射される光は、図16に示すように、[0001]方向および[000−1]方向の方位角の方向へ屈折された状態で出射される。これにより、発光層92から出射される光が[0001]方向および[000−1]方向の方位角の方向に小さい発光強度を有する場合において、発光層92から出射される光は、発光強度の小さい[0001]方向および[000−1]方向へ偏向されるので、パッケージ100から出射される光の支持部材61のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することができる。
【0086】
なお、第5実施形態のその他の構造は、上記第4実施形態と同様である。
【0087】
なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
【0088】
なお、第5実施形態では、パッケージ100の樹脂モールド102(レンズ部102b)の光の出射面に、パッケージ100から出射される光のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減するように、曲面を有する複数の凸面が凹形状を形成するように接している形状を形成したが、本発明はこれに限らず、パッケージ100の反射側面に、パッケージ100から出射される光のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減するように、図17に示す第5実施形態の第1変形例のように、発光ダイオードチップ90の発光強度の強い方位角方向において、曲面を有する複数の凹面が凸形状を形成するように接している形状を形成してもよい。ここで、図18は、図17の400−400線に沿った断面図であり、図19は、図17の500−500線に沿った断面図である。また、樹脂モールド102の光の出射面に、曲面を有する複数の凸面が凹形状を形成するように接している形状を形成する代わりに、図20に示す第5実施形態の第2変形例のように、発光層92と平行な断面が楕円となるように樹脂モールド102を形成し、楕円の長軸方向が発光層92から出射される光の発光強度が最も小さい方位角の方向に実質的に一致するように発光ダイオードチップ90を配置してもよい。加えて、パッケージ100の反射側面に、曲面を有する複数の凹面が凸形状を形成するように接している形状を形成する代わりに、図21に示す第5実施形態の第3変形例のように、発光層92と平行な断面が楕円となるようにパッケージ100の反射側面を形成し、楕円の長軸方向が発光層92から出射される光の発光強度が最も小さい方位角の方向に実質的に一致するように、発光ダイオードチップ90を配置してもよい。
【0089】
なお、第5実施形態において、上記第1実施形態の変形例と同様に、発光ダイオードチップ90の主面の面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別することができるように、図17、図20および図21のように、発光ダイオードチップ90が形成されていれば、発光ダイオードチップ90の発光強度の最も大きい方向と、樹脂モールドの曲面を有する凸面形状の方向とを合わせやすくなる。
【0090】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0091】
たとえば、上記第2〜第5実施形態では、発光ダイオードチップが1つの場合に、パッケージまたは発光ダイオードチップを所定の形状に形成することにより、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減した例について説明したが、本発明はこれに限らず、発光ダイオードチップが1つの場合に、パッケージと発光ダイオードチップとの両方を所定の形状に形成することにより、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減してもよい。また、発光ダイオードチップが複数個ある場合に、上記第1実施形態のように、一方の発光ダイオードチップの方向と他方の発光ダイオードチップの方向とが交差するように発光ダイオードチップを配置しながら、上記第2〜第5実施形態のように、パッケージおよび発光ダイオードチップの少なくともいずれか一方を所定の形状に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に用いる発光ダイオードチップを説明するための断面図である。
【図2】極角θと方位角φとで定義される方向と、(11−20)面を主面とする発光層および発光層の面内の結晶方位との関係を示した図である。
【図3】(11−20)面を主面とするGaInNを井戸層とする量子井戸発光層から、[11−20]方向に対して有限(0ではない)の角度θだけ傾斜した方向に出射する光の方位角φと発光強度との関係を示した図である。
【図4】本発明の第1実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図5】図4に示した第1実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。
【図6】図4に示した第1実施形態による発光ダイオード装置の支持部材の構造を示した平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の変形例による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図9】図8に示した第2実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図11】図10に示した第3実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。
【図12】本発明の第4実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図14】図13の200−200線に沿った断面図である。
【図15】図13の300−300線に沿った断面図である。
【図16】図13に示した第5実施形態によるパッケージから出射される光が[0001]方向および[000−1]方向へ屈折される状態を示した図である。
【図17】本発明の第5実施形態の第1変形例による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図18】図17の400−400線に沿った断面図である。
【図19】図17の500−500線に沿った断面図である。
【図20】本発明の第5実施形態の第2変形例による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図21】本発明の第5実施形態の第3変形例による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【符号の説明】
【0093】
2、12、32、52、72、92 発光層
2a、12a、32a、52a、72a、92a 主面
10、30、50、70、90 発光ダイオードチップ
10a 発光ダイオードチップ(第1発光ダイオードチップ)
10b 発光ダイオードチップ(第2発光ダイオードチップ)
20、40、60、80、100 パッケージ
21a、41a、61a チップ配置面
53a 光出射面
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード装置に関し、特に、発光ダイオードチップを備えた発光ダイオード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオードチップを備えた発光ダイオード装置において、窒化ガリウムC面(0001)基板上に作製したGaInN量子井戸には、量子井戸面と垂直な方向に大きなピエゾ電場が生じることが知られている。このように、GaInN量子井戸にピエゾ電場が存在する場合、無電場時と比較してエネルギー準位が低エネルギー側にシフトする量子閉じこめシュタルク効果が起こったり、電子と正孔とが引き離されるために発光確率が低下して、発光効率が低下するなどの不都合があった。
【0003】
この不都合を解消するために、窒化ガリウムにおいてピエゾ効果を低減させた素子構造として、C面(0001)ではなく、A面{11−20}、M面{1−100}または(2−1−14)面で量子井戸を形成する発光ダイオードチップや、(10−1−3)面を主面とする発光ダイオードチップが提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。上記非特許文献1では、(10−1−3)面を主面とするInGaN/GaN多重量子井戸(MQW)を発光層とする発光ダイオードチップが提案されている。上記A面{11−20}、M面{1−100}または(2−1−14)面で量子井戸を形成する発光ダイオードチップや、(10−1−3)面を主面とする発光ダイオードチップでは、量子井戸をC面以外の面に形成することによって、ピエゾ効果を低減することが可能である。
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.87巻,231110(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記C面以外の量子井戸では、発光層(量子井戸)の主面の面内方向において、発光層の振動子強度が大きい異方性を有していることが報告されている。具体的には、C面を主面とするGaInN量子井戸は、c軸が6回回転対称軸をなすため、<11−20>偏光と<1−100>偏光との振動子強度は等しく、量子井戸面内の直線偏光に対する振動子強度の異方性はない。一方、C面以外を主面とするGaInN量子井戸は、回転対称性がないので、一般的に、量子井戸面内の直線偏光に対する振動子強度は異方性を有する。すなわち、直線偏光に対する振動子強度は、量子井戸面内の直線偏光の方向に依存して複数の異なる大きさを有する。このため、C面以外の量子井戸では、井戸層の法線方向で量子井戸から出射する光を観測した場合、その光は直線偏光している。たとえば、サファイアの(1−100)面上に作製した(1−10−3)面を主面とするGa0.6In0.4Nからなる4nmの井戸層とGaNの障壁層とを積層したMQWを発光層とする発光ダイオードチップでは、発光層から出射される光は、[11−20]方向の偏光が強くなっている。
【0005】
このようなC面以外の量子井戸を主面とする発光ダイオードチップから出射される光は、振動子強度の大きい方向と垂直な方向に対して発光強度が大きくなる分布を有することが理論的に予想される。たとえば、従来の発光ダイオードチップでは、発光ダイオードチップから出射される光は[11−20]方向の偏光が強く、[11−20]方向に出射する光は弱く、[11−20]方向と垂直な方向に出射する光は強くなることが予想される。このように発光層の主面の面内の方位角の違いにより、発光層から出射される光が発光強度の大きな異方性を有している場合、発光ダイオードチップを備えた発光ダイオード装置から出射される光も発光強度の大きな異方性を有すると考えられる。具体的には、発光ダイオード装置が、発光ダイオードチップと、発光ダイオードチップの主面(光出射面)に平行で、かつ、発光ダイオードチップが配置されるチップ配置面を有するパッケージとを備えている場合、発光ダイオード装置から出射される光は、通常、パッケージのチップ配置面の面内の方位角に関して、発光強度の大きな異方性を有することになる。このため、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することが困難であるという問題点がある。この場合、発光ダイオード装置を、パッケージのチップ配置面の面内の方位角に関して、光の発光強度の均一性が要求される、たとえば、照明や表示灯などに用いることができないという不都合がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減することが可能な発光ダイオード装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による発光ダイオード装置は、主面を有する発光層を含む発光ダイオードチップと、発光ダイオードチップが配置されるチップ配置面を有するパッケージとを備え、発光層の主面から出射される光は、発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有し、発光ダイオードチップおよびパッケージの少なくとも一方は、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減する構造を有する。
【0008】
この一の局面による発光ダイオード装置では、上記のように、発光ダイオードチップおよびパッケージの少なくとも一方に、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減する構造を設けることによって、発光層の主面から出射される光が、発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有する場合にも、パッケージから出射される光のチップの配置面の面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することができる。これにより、発光ダイオード装置を、パッケージのチップ配置面の面内の方位角に関して、光の発光強度の均一性が要求される、たとえば、照明や表示灯などに用いることができる。
【0009】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、パッケージは、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減する構造に形成されている。このように構成すれば、パッケージの構造により、容易に、パッケージから出射される光の発光強度の差を低減することができる。
【0010】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、発光ダイオードチップは、光出射面を有し、光出射面が、光出射面の面内方向に関して異方的な構造を有することにより、光出射面から出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差が低減されるように構成されている。このように構成すれば、発光ダイオードチップの光出射面が、光出射面の面内方向に関して異方的な構造を有することにより、容易に、パッケージから出射される光の発光強度の差を低減することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、発光ダイオードチップの光出射面の異方的な構造は、光出射面の面内方向において、第1方向と第1方向に交差する第2方向とに沿ってそれぞれ異なる形状を有する構造である。このように構成すれば、発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有する場合にも、複数の発光ダイオードチップを第1方向と第1方向に交差する第2方向とに沿って配置することによって、発光ダイオードチップの光出射面の異方的な構造により、パッケージから出射される光の発光強度の差を低減することができる。
【0012】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、発光ダイオードチップは、第1発光ダイオードチップおよび第2発光ダイオードチップを含み、第1発光ダイオードチップの発光層の主面の面内方向における発光強度の大きい方位角の方向と、第2発光ダイオードチップの発光層の主面の面内方向における発光強度の大きい方位角の方向とが、チップ配置面の面内で互いに異なる方向に向くように第1発光ダイオードチップと第2発光ダイオードチップとが配置されることにより、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差が低減されるように構成されている。このように構成すれば、容易に、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減することができる。
【0013】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、発光層は、ウルツ鉱構造の半導体およびα−SiCのいずれか一方からなる。このように構成すれば、発光層から出射される光の発光強度が発光層の主面の面内の方位角に関する異方性を有することができる。
【0014】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、発光層の主面は、(0001)面以外の面を含む。このように構成すれば、発光層から出射される光の発光強度が発光層の主面の面内の方位角に関する異方性を有することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、発光層の主面は、実質的に(H、K、−H−K、0)面(HおよびKは整数であり、HおよびKの少なくとも一方は0ではない)を含む。このように構成すれば、主面の面内の方位角に関する発光強度の異方性を強くすることができる。
【0016】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、発光層の主面の面内方向の直線偏光に対する発光層の振動子強度は、発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる大きさを有する。ここで、発光層の振動子強度は、発光層の伝導帯の底と価電子帯の頂上との間の遷移に対する振動子強度である。このように構成すれば、発光層は、発光層の主面の面内の方位角に関する発光強度の異方性を有することができる。
【0017】
上記一の局面による発光ダイオード装置において、好ましくは、発光ダイオードチップの面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別できるように、発光ダイオードチップの外観が形成されている。このように構成すれば、チップ配置面に発光ダイオードチップを配置する際に、発光ダイオードチップの発光強度の最も大きい方向を認識しやすくなる。
【0018】
この場合、好ましくは、発光ダイオードチップの上面の外形が、実質的に長方形に形成されており、実質的に長方形の長辺または短辺が面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と実質的に一致している。このように構成すれば、発光ダイオードチップの実質的に長方形の長辺または短辺により、チップ配置面に発光ダイオードチップを配置する際に、発光ダイオードチップの発光強度の最も大きい方向をより認識しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明に用いる発光ダイオードチップを説明するための断面図である。図1を参照して、本発明の具体的な実施形態を説明する前に、本発明に用いる発光ダイオードチップの概略的構成について説明する。
【0020】
本発明に用いる発光ダイオードチップでは、図1に示すように、第1半導体1上に、発光層2が形成されている。発光層2上には、第2半導体3が形成されている。また、第1半導体1の下面上には、第1電極4が形成されているとともに、第2半導体3上には、第2電極5が形成されている。
【0021】
ここで、本発明に用いる発光ダイオードチップでは、発光層2から出射される光の発光強度が発光層2の主面(上面)2aの面内の方位角に関する異方性を有するように、発光ダイオードチップの材料と主面の方向とが選択される。たとえば、ウルツ鉱構造の半導体、4H−SiCまたは6H−SiCであれば、(0001)面以外が主面となるように主面を選択する。この場合、特に(11−20)面および(1−100)面などの(H、K、−H−K、0)面を主面とした場合に、主面の面内の方位角に関する発光強度の異方性が最も強くなる。
【0022】
この他、たとえば、{11−24}面、{11−22}面、{1−101}面、{1−102}面および{1−103}面や、これらの面から所定の角度範囲内でオフしている面などの(H、K、−H−K、L)面(Lは0ではない)を主面としてもよいし、これらの面から所定の角度範囲内でオフしている面を主面としてもよい。具体的な材料としては、ウルツ鉱構造のAlGaN、GaNおよびGaInNなどの窒化物系半導体や、2H−SiC、4H−SiCおよび6H−SiCなどの六方晶や、菱面体構造のα−SiCや、ウルツ鉱構造のMgZnO、ZnCdOおよびZnSなどを用いる。なお、閃亜鉛鉱構造の半導体を用いる場合は、{001}面および{111}面以外の面(たとえば、{110}面)を主面とするとともに、発光層を量子井戸構造とする必要がある。
【0023】
ここで、一般的に、第1半導体1および第2半導体3のバンドギャップより小さいバンドギャップを有する発光層2を形成することにより二重ヘテロ構造を作製することによって、発光層2にキャリアを閉じ込めやすくすることができるとともに、発光効率を向上させることができる。また、発光層2を単一量子井戸構造やMQW構造とすることにより、さらに発光効率を向上させることができる。この量子井戸構造の場合、井戸層の膜厚が小さいので、井戸層が歪みを有する場合においても、井戸層の結晶性が悪化するのを抑制することができる。なお、井戸層は、発光層2の主面2aの面内方向に圧縮歪みを有する場合であっても、面内方向に引っ張り歪みを有する場合であっても、結晶性が悪化するのが抑制される。また、発光層2は、アンドープでもよく、ドーピングされていてもよい。
【0024】
本発明において、第1半導体1は、基板または半導体層により構成されていてもよいし、基板と半導体層との両方により構成されていてもよい。また、第1半導体1が基板と半導体層との両方により構成される場合、基板は、第1半導体1の第2半導体3が形成される側とは反対側(下側)に形成される。また、基板は、成長用の基板であってもよいし、半導体層を成長させた後に半導体層の成長面に半導体層を支持するために接合する支持基板であってもよい。
【0025】
また、pn接合型の発光ダイオードチップでは、第1半導体1と第2半導体3とは互いに異なる導電性を有する。第1半導体1がp型であり第2半導体3がn型であってもよいし、第1半導体1がn型であり第2半導体3がp型であってもよい。
【0026】
また、第1半導体1および第2半導体3は、発光層2よりバンドギャップの大きいクラッド層(図示せず)などを含んでいてもよい。また、第1半導体1および第2半導体3は、発光層2側からクラッド層と、コンタクト層(図示せず)とを含んでいてもよい。この場合、コンタクト層は、クラッド層よりバンドギャップが小さいことが好ましい。
【0027】
また、ウルツ鉱構造の窒化物系半導体を用いる場合、基板は、AlN、GaN、AlGaNおよびGaInNからなる窒化物系半導体基板や、サファイア、スピネル、Si、GaAs、GaPおよびZrB2などの窒化物系半導体以外の基板を用いることができる。量子井戸の発光層としては、井戸層としてGaInN、障壁層として井戸層よりバンドギャップの大きいAlGaN、GaNおよびGaInNを用いることができる。クラッド層およびコンタクト層としては、GaNおよびAlGaNを用いることができる。
【0028】
また、第2電極5は、第2半導体3の一部に形成してもよい。また、発光ダイオードチップの光の出射側(上側)に形成されている電極(ここでは、第2電極5)は、透光性を有していることが好ましい。
【0029】
また、後述するように、発光層2の主面2aは、パッケージ(図示せず)のチップ配置面に対して平行になるように配置されている。
【0030】
次に、(H、K、−H−K、0)面を主面とするGaInNを井戸層とする量子井戸の発光層を有する発光ダイオードを例にあげて、発光ダイオードの主面の面内の方位角に関する発光強度の異方性について説明する。図2は、極角θと方位角φとで定義される方向と、(11−20)面を主面とする発光層および発光層の面内の結晶方位との関係を示した図である。図3は、(11−20)面を主面とするGaInNを井戸層とする量子井戸発光層から、[11−20]方向に対して有限(0ではない)の角度θだけ傾斜した方向に出射する光の方位角φと発光強度との関係を示した図である。ここで、φ=0°、90°、180°および270°は、それぞれ発光層の[0001]方向、[1−100]方向、[000−1]方向および[−1100]方向と一致する。図3に示すように、有限の極角θだけ傾斜した方向に出射する光は、発光層2の主面2aの面内の方位角に関する発光強度の異方性を有し、方位角がφ=0°または180°である方向に発光強度が大きく、方位角がφ=90°または270°である方向に発光強度が小さい。図3では(11−20)面を主面とする発光ダイオードについて説明したが、(H、K、−H−K、0)面を主面とするGaInNを井戸層とする量子井戸の発光層を有する発光ダイオードにおいては、方位角が[0001]方向である方向に発光強度の強い方向があり、方位角が[K、−H、H−K、0]方向である方向に発光強度の弱い方向があり、発光強度の大きい方向と、発光強度の小さい方向とは、方位角が90°異なる。また、発光強度は、発光層2の主面の面内で2回の回転対称性を示す。
【0031】
(第1実施形態)
図4は、本発明の第1実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。図5は、図4に示した第1実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。図6は、図4に示した第1実施形態による発光ダイオード装置の支持部材の構造を示した平面図である。まず、図4〜図6を参照して、第1実施形態による発光ダイオード装置の構造について説明する。
【0032】
第1実施形態による発光ダイオード装置では、図4および図5に示すように、4つの発光ダイオードチップ10と、4つの発光ダイオードチップ10が内部に配置されるパッケージ20とを含んでいる。
【0033】
発光ダイオードチップ10は、(11−20)面を主面とするウルツ鉱構造の窒化物系半導体からなる。発光ダイオードチップ10の外形は、図4に示すように、上面側から見て、正方形状、長方形状、菱形状または平行四辺形状などからなる。
【0034】
また、発光ダイオードチップ10では、図5に示すように、約100μmの厚みを有するn型GaN基板11上に、Ga0.7In0.3Nからなる約2nmの厚みを有する井戸層(図示せず)と、Ga0.9In0.1Nからなる障壁層(図示せず)とを積層したMQWからなる発光層12が形成されている。また、発光層12上には、p型GaN層13が形成されている。また、n型GaN基板11の下面上には、n側電極14が形成されているとともに、p型GaN層13上には、透光性を有するp側電極15が形成されている。
【0035】
ここで、第1実施形態では、各々の発光ダイオードチップ10の発光層12の振動子強度は、[0001]偏光した光よりも[1−100]偏光した光に対して大きくなる。したがって、発光層12からの発光強度は、[1−100]方向に平行な方位角の方向の光よりも、[0001]方向に平行に近い方位角の光の方が大きくなる。
【0036】
また、第1実施形態では、4つの発光ダイオードチップ10は、発光層12の主面12aがパッケージ20の後述する支持部材21のチップ配置面21aに対して平行になるように、チップ配置面21a上に配置されている。
【0037】
また、第1実施形態では、図4に示すように、4つの発光ダイオードチップ10のうちの2つの一方の発光ダイオードチップ10aと、2つの他方の発光ダイオードチップ10bとは、一方の発光ダイオードチップ10aの[0001]方向と、他方の発光ダイオードチップ10bの[1−100]方向とがほぼ平行になるように配置されている。このため、一方の発光ダイオードチップ10aの発光層12の面内方向における発光強度の大きい方位角の方向と、他方の発光ダイオードチップ10bの発光層12の面内方向における発光強度の大きい方向とが、パッケージ20の面内で互いに異なる方向(交差(直交)する方向)に向くように、一方の発光ダイオードチップ10aと他方の発光ダイオードチップ10bとが配置されるので、パッケージ20から出射される光の支持部材21のチップ配置面21aの面内の方位角の違いによる強度の差(強度の異方性)が低減される。なお、発光ダイオードチップ10aは、本発明の「第1発光ダイオードチップ」の一例であり、発光ダイオードチップ10bは、本発明の「第2発光ダイオードチップ」の一例である。
【0038】
また、パッケージ20は、図5に示すように、上記した支持部材21と、透光性の樹脂モールド22とにより構成されている。この支持部材21は、樹脂やセラミックスなどの絶縁性の材料からなる。また、支持部材21は、発光ダイオードチップ10が配置される平面からなる上記したチップ配置面21aと、チップ配置面21aの外周部に配置されるとともに、チップ配置面21aに対して傾斜する反射側面21bとを有する凹部が形成されている。
【0039】
チップ配置面21aには、図5および図6に示すように、チップ配置面21aの中央部近傍に配置される銅などからなる一方電極21cと、チップ配置面21aの周辺部近傍に配置される銅などからなる他方電極21dとが形成されている。この一方電極21c上には、発光ダイオードチップ10のn側電極14(図5参照)が接合されている。また、他方電極21d上には、発光ダイオードチップ10のp側電極15(図5参照)に接続されたワイヤ23(図5参照)が接続されている。また、一方電極21cには、一方リード電極21eが接続されているとともに、他方電極21dには、他方リード電極21fが接続されている。これら一方リード電極21eおよび他方リード電極21fは、支持部材21の内部と外部とを接続するように配置されている。このようにして、4つの発光ダイオードチップ10は、常に同時に点灯するように配線されている。
【0040】
また、反射側面21bには、AlまたはAgなどからなる反射材21gが形成されている。また、反射側面21bは、図6に示すように、光の出射方向(上方向)から見て、円形状に形成されている。
【0041】
図7は、本発明の第1実施形態の変形例による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。本発明の第1実施形態の変形例による発光ダイオード装置は、図7に示すように、上記第1実施形態と異なり、発光ダイオードチップ10cおよび10dの上面の外形が、[0001]方向に略平行な長辺を有する長方形に形成されている。本変形例では、発光ダイオードチップ10cおよび10dの主面を長辺または短辺の方向を発光強度の最も大きい方向に一致させた2回の回転対称の長方形状に形成しているので、発光ダイオードチップ10cおよび10dの主面の面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別することができる。したがって、チップ配置面21aに発光ダイオードチップ10cおよび10dを配置する際に、発光ダイオードチップ10cおよび10dの発光強度の最も大きい方向を認識しやすくなる。ここで、主面の面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別する方法は、チップを長方形に形成することに限らず、発光ダイオードチップ10cおよび10dの主面の面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別することができるように、発光ダイオードチップ10cおよび10dが形成されていればよい。たとえば、発光ダイオードチップ10cおよび10dの表面に発光強度の最も大きい方向が認識可能なマークを形成するようにしてもよいし、発光ダイオードチップ10cおよび10dに電極を形成する場合には、電極の形状や配置により、発光強度の最も大きい方向が認識可能なようにしてもよい。また、長辺または短辺の方向を発光強度の最も大きい方向に一致させた2回の回転対称の長方形状に電極を形成するようにしてもよい。また、発光ダイオードチップ10cおよび10dの外形を発光強度の最も大きい方向が認識可能なように形成するようにしてもよい。
【0042】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。図9は、図8に示した第2実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。図8および図9を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、パッケージの反射側面に、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減する形状が形成されている場合について説明する。
【0043】
第2実施形態による発光ダイオード装置では、図8および図9に示すように、1つの発光ダイオードチップ30と、1つの発光ダイオードチップ30が内部に配置されるパッケージ40とを含んでいる。
【0044】
発光ダイオードチップ30は、(1−100)面を主面とするウルツ鉱構造の窒化物系半導体からなる。発光ダイオードチップ30は、図8に示すように、上面側から見て、約300μm×約300μmの大きさを有する正方形状に形成されている。
【0045】
また、発光ダイオードチップ30では、図9に示すように、n型GaN層31上に、Ga0.7In0.3Nからなる約2nmの厚みを有する井戸層(図示せず)と、Ga0.9In0.1Nからなる障壁層(図示せず)とを積層したMQWからなる発光層32が形成されている。また、発光層32上には、p型GaN層33が形成されている。また、上記第1実施形態と同様、n型GaN層31の下面上には、n側電極14が形成されているとともに、p型GaN層33上には、透光性を有するp側電極15が形成されている。
【0046】
ここで、第2実施形態では、上記第1実施形態と同様、発光層32から出射される光の発光強度は、発光層32の主面(上面)32aの面内の方位角に関する異方性を有する。すなわち、発光層32から出射される光の発光強度は、[11−20]方向に平行な方位角の方向の光よりも、[0001]方向に平行に近い方位角の方向の光の方が大きくなる。
【0047】
また、パッケージ40は、図8に示すように、支持部材41と、透光性の樹脂モールド42とにより構成されている。この支持部材41は、発光ダイオードチップ30が配置される平面からなるチップ配置面41aと、チップ配置面41aの外周部に配置されるとともに、チップ配置面41aに対して傾斜する反射側面41bとを有する凹部が形成されている。なお、反射側面41bは、本発明の「反射面」の一例である。
【0048】
また、チップ配置面41aには、図9に示すように、チップ配置面41aの中央部近傍に配置される銅などからなる一方電極41cと、チップ配置面41aの周辺部近傍に配置される銅などからなる他方電極41dとが形成されている。また、一方電極41cには、一方リード電極41eが接続されているとともに、他方電極41dには、他方リード電極41fが接続されている。
【0049】
また、第2実施形態では、反射側面41bには、AlまたはAgなどからなる反射材41gが形成されている。反射側面41bは、支持部材41の凹部の表面に凹凸形状を形成するとともに、支持部材41の凹部の表面に反射材41gを形成することにより形成される。この反射側面41bには、図8に示すように、光の出射方向(上方向)から見て、支持部材41の凹部の表面の凹凸形状を反映した凹凸形状を有する反射材41gが形成されている。具体的には、反射側面41bは、図9に示すように、チップ配置面41a近傍の部分において、約1mmの内径L1を有している。また、図8に示すように、反射側面41bに形成された凹凸形状の凸部と凸部との間隔W1は、約20μmであるとともに、凹部の深さD1は、約20μmであり、凸部の頂点の角度θ1は、約50度である。これにより、発光ダイオードチップ30から出射される光が反射側面41bにより散乱される。なお、凹凸形状の凹部および凸部の大きさは、発光波長と同程度であってもよいし、発光波長よりも大きくてもよい。たとえば、凸部と凸部との間隔W1は、約250nm以上が好ましい。
【0050】
なお、第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0051】
第2実施形態では、上記のように、反射側面41bに、光の出射方向(上方向)から見て、凹凸形状を形成することによって、発光ダイオードチップ30から出射される光を反射側面41bにより散乱することができるので、発光層32の主面32aから出射される光が、発光層32の主面32aの面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有する場合にも、パッケージ40から出射される光の支持部材41のチップ配置面41aの面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することができる。
【0052】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0053】
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。図11は、図10に示した第3実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。図10および図11を参照して、この第3実施形態では、上記第1実施形態と異なり、発光ダイオードチップの光出射面(上面)に、パッケージ(発光ダイオードチップ)から出射される光の発光強度の差を低減するように、所定の方向に延びる凹凸形状が形成されている場合について説明する。
【0054】
第3実施形態による発光ダイオード装置では、図10および図11に示すように、1つの発光ダイオードチップ50と、1つの発光ダイオードチップ50が内部に配置されるパッケージ60とを含んでいる。
【0055】
発光ダイオードチップ50は、(11−24)面を主面とするウルツ鉱構造の窒化物系半導体からなる。また、発光ダイオードチップ50では、図11に示すように、n型GaN層51上に、Ga0.7In0.3Nからなる約2nmの厚みを有する井戸層(図示せず)と、Ga0.9In0.1Nからなる障壁層(図示せず)とを積層したMQWからなる発光層52が形成されている。また、発光層52上には、p型GaN層53が形成されている。なお、p型GaN層53は、本発明の「半導体層」の一例である。また、上記第1実施形態と同様、n型GaN層51の下面上には、n側電極14が形成されているとともに、p型GaN層53上には、透光性を有するp側電極55が形成されている。なお、p側電極55は、本発明の「電極」の一例である。
【0056】
ここで、第3実施形態では、上記第1実施形態と同様、発光層52から出射される光の発光強度は、発光層52の主面(上面)52aの面内の方位角に関する異方性を有する。すなわち、発光層52から出射される光の発光強度は、[1−100]方向に平行な方位角の方向の光よりも、[1−100]方向に直交するy方向(図10参照)に近い方位角の方向の光の方が大きくなる。なお、[1−100]方向および[−1100]方向は、本発明の「第1方向」の一例であり、y方向は、本発明の「第2方向」の一例である。
【0057】
また、第3実施形態では、図10および図11に示すように、発光ダイオードチップ50の光の出射面側に配置されたp型GaN層53の光出射面(上面)53aには、凹凸形状が形成されている。具体的には、図11に示すように、p型GaN層53の光出射面(上面)53aの凹凸形状の凹部および凸部は、約0.5μmの幅W2を有するとともに、約0.25μmの高さH1を有するように形成されている。また、p型GaN層53の光出射面(上面)53aの凹凸形状の凹部および凸部は、y方向に延びるように形成されている。これにより、発光ダイオードチップ50から出射される光のうちの[1−100]方向に平行な方位角の方向に出射される光の光量を増加させることが可能である。なお、p側電極55は、p型GaN層53の凹凸形状に沿って、凹凸形状に形成されている。これにより、発光層52から出射される光が[1−100]方向の方位角の方向に小さい発光強度を有する場合において、パッケージ60から出射される光の支持部材61のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することができる。
【0058】
また、p型GaN層53の凹凸形状の凹部および凸部の大きさは、発光波長と同程度であってもよいし、発光波長よりも大きくてもよい。発光波長が約500nmの場合、たとえば、凹部の幅W2は、約250nm以上が好ましい。
【0059】
また、p型GaN層53の凹凸形状の凹部および凸部の大きさが、発光波長の数倍(たとえば、約250nm〜約1200nm)である場合には、p型GaN層53の光出射面(上面)53aが平坦である場合に全反射することにより発光ダイオードチップ50の外部に出射されない光を、回折効果により外部に出射する効果がある。
【0060】
また、p型GaN層53の凹凸形状の凹部および凸部の大きさが、発光波長よりも大きい場合(たとえば、約2μm〜約50μmである場合)には、発光層52から出射された光がp型GaN層53の凹凸形状に臨界角度以下で入射しやすくなるので、発光ダイオードチップ50の外部に出射される光を増加させる効果がある。
【0061】
なお、第3実施形態において、p型GaN層53の光出射面(上面)53aに凹凸形状を形成したが、出射面側のp型GaN層53上にTiO2などの誘電体膜を形成し、誘電体膜に凹凸形状を形成してもよい。また、出射面と反対側(下側)のn型GaN層51の下面に凹凸形状を形成しても、同様の効果が得られるが、出射面側に凹凸を形成する方が効果が高い。
【0062】
また、パッケージ60は、図11に示すように、上記第1実施形態と同様、支持部材61と、透光性の樹脂モールド62とにより構成されている。この支持部材61は、発光ダイオードチップ50が配置される平面からなるチップ配置面61aと、チップ配置面61aの外周部に配置されるとともに、チップ配置面61aに対して傾斜する反射側面61bとを有する凹部が形成されている。
【0063】
また、チップ配置面61aには、上記第2実施形態と同様、チップ配置面61aの中央部近傍に配置される銅などからなる一方電極41cと、チップ配置面61aの周辺部近傍に配置される銅などからなる他方電極41dとが形成されている。また、一方電極41cには、一方リード電極41eが接続されているとともに、他方電極41dには、他方リード電極41fが接続されている。
【0064】
また、第3実施形態では、反射側面61bには、上記第1実施形態と同様、AlまたはAgなどからなる反射材61gが形成されている。
【0065】
なお、第3実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0066】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
なお、第3実施形態では、発光ダイオードチップ50の光出射面に、パッケージ60から出射される光のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減するように、所定の方向に延びる凹凸形状を形成したが、本発明はこれに限らず、発光ダイオードチップ50の光出射面が発光層52の面内方向に関する異方的な構造を有していればよい。たとえば、上面から見て楕円形状の凸部または凹部を光出射面に形成してもよい。
【0068】
(第4実施形態)
図12は、本発明の第4実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。この第4実施形態では、上記第2実施形態と異なり、出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減するためのパッケージの形状として、発光層の面内方向に関する異方的な形状をパッケージに形成する。具体的には、パッケージの樹脂モールドの光の出射面に所定の方向に延びる凹凸形状が形成されている場合について説明する。
【0069】
第4実施形態による発光ダイオード装置では、図12に示すように、1つの発光ダイオードチップ70と、1つの発光ダイオードチップ70が内部に配置されるパッケージ80とを含んでいる。
【0070】
発光ダイオードチップ70は、(1−102)面を主面とするウルツ鉱構造の窒化物系半導体からなる。また、発光ダイオードチップ70では、n型GaN層71上に、Ga0.7In0.3Nからなる約2nmの厚みを有する井戸層(図示せず)と、Ga0.9In0.1Nからなる障壁層(図示せず)とを積層したMQWからなる発光層72が形成されている。また、発光層72上には、p型GaN層73が形成されている。また、上記第1実施形態と同様、n型GaN層71の下面上には、n側電極14が形成されているとともに、p型GaN層73上には、透光性を有するp側電極15が形成されている。
【0071】
ここで、第4実施形態では、上記第1実施形態と同様、発光層72から出射される光の発光強度は、発光層72の主面(上面)72aの面内の方位角に関する異方性を有する。すなわち、発光層72から出射される光の発光強度は、[11−20]方向に平行な方位角の方向の光よりも、[11−20]方向に直交する方向に近い方位角の方向の光の方が大きくなる。
【0072】
また、パッケージ80は、上記第3実施形態と同様、支持部材61と、透光性の樹脂モールド82とにより構成されている。なお、樹脂モールド82は、本発明の「透光性部材」の一例である。
【0073】
また、第4実施形態では、樹脂モールド82の光の出射面には、凹凸形状が形成されている。具体的には、樹脂モールド82の光の出射面の凹凸形状の凹部および凸部は、約2.5μmの幅W3を有するとともに、約2μmの高さH2を有するように形成されている。また、樹脂モールド82の凹凸形状の凹部および凸部は、[11−20]方向および[−1−120]方向と直交する方向に延びるように形成されている。これにより、発光ダイオードチップ70から出射される光のうちの[11−20]方向に平行な方位角の方向に出射される光の光量を増加させることが可能である。これにより、発光層72から出射される光が[11−20]方向の方位角の方向に小さい発光強度を有する場合において、パッケージ80から出射される光の支持部材61のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することができる。
【0074】
また、上記第3実施形態と同様の理由により、樹脂モールド82の凹凸形状の凹部および凸部の大きさは、発光波長と同程度であってもよいし、発光波長よりも大きくてもよい。発光波長が約500nmの場合、たとえば、凹部の幅W3は、約250nm以上が好ましい。
【0075】
なお、第4実施形態のその他の構造は、上記第3実施形態と同様である。
【0076】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第3実施形態と同様である。
【0077】
なお、第4実施形態では、樹脂モールドの光の出射面に、パッケージ80から出射される光のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減するように、所定の方向に延びる凹凸形状を形成したが、本発明はこれに限らず、樹脂モールド82の光の出射面が発光層72の面内方向に関する異方的な構造を有していればよい。すなわち、異方的な構造は、光出射面の面内方向において、[11−20]方向と、[11−20]方向と直交する方向とに沿ってそれぞれ異なる形状を有する構造であり、たとえば、上面から見て楕円形状の凸部または凹部を光出射面に形成してもよい。
【0078】
また、第4実施形態では、光の出射面の透過性部材を樹脂モールドにより構成したが、本発明はこれに限らず、透過性部材を、TiO2やNb2O5、Ta2O5、ZrO2およびZnOなどの無機材料や、無機材料と有機材料の有機無機ハイブリッド材料から構成してもよい。
【0079】
なお、第4実施形態において、第1実施形態の変形例と同様に、発光ダイオードチップ70の主面の面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別することができるように、発光ダイオードチップ70が形成されていれば、発光ダイオードチップ70の発光強度の最も大きい方向と、樹脂モールドの凹凸形状の方向とを合わせやすくなる。
【0080】
(第5実施形態)
図13は、本発明の第5実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。図14は、図13の200−200線に沿った断面図である。図15は、図13の300−300線に沿った断面図である。図16は、図13に示した第5実施形態によるパッケージから出射される光が[0001]方向および[000−1]方向へ屈折される状態を示した図である。図13〜図16を参照して、この第5実施形態では、上記第4実施形態と異なり、発光層の面内方向に関する異方的なパッケージの形状として、パッケージの樹脂モールド(レンズ部)の光の出射面を、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減するように、発光強度の小さい方位角の方へ光を偏向するように構成している。より具体的には、パッケージの光の出射面の形状を、曲面を有する複数の凸面が凹形状を形成するように接している形状とする場合について説明する。
【0081】
第5実施形態による発光ダイオード装置では、図13に示すように、1つの発光ダイオードチップ90と、1つの発光ダイオードチップ90が内部に配置されるパッケージ100とを含んでいる。
【0082】
発光ダイオードチップ90は、図14および図15に示すように、(11−20)面を主面とするウルツ鉱構造の窒化物系半導体からなる。また、発光ダイオードチップ90では、n型GaN層91a上に、n型のAl0.07Ga0.93Nからなるクラッド層91bが形成されている。また、クラッド層91b上には、Al0.02Ga0.98Nからなる約2nmの厚みを有する井戸層(図示せず)と、Al0.07Ga0.93Nからなる障壁層(図示せず)とを積層したMQWからなる発光層92が形成されている。また、発光層92上には、p型のAl0.07Ga0.93Nからなるコンタクト層93が形成されている。このコンタクト層93は、クラッド層としての機能も有する。また、上記第1実施形態と同様、n型GaN層91aの下面上には、n側電極14が形成されているとともに、コンタクト層93上には、透光性を有するp側電極15が形成されている。
【0083】
ここで、第5実施形態では、発光層92から出射される光の発光強度は、発光層92の主面(上面)92aの面内の方位角に関する異方性を有する。すなわち、発光層92から出射される光の発光強度は、[0001]方向に平行な方位角の方向の光よりも、[1−100]方向に平行に近い方位角の方向の光の方が大きくなる。
【0084】
また、パッケージ100は、上記第4実施形態と同様、支持部材61と、透光性の樹脂モールド102とにより構成されている。この樹脂モールド102は、支持部材61の凹部に充填される充填部102aと、支持部材61の外側に配置されるレンズ部102bとにより形成されている。なお、充填部102aおよびレンズ部102bは、樹脂に限らず、ガラスなどの無機物または有機・無機ハイブリッド材料などにより構成してもよい。
【0085】
また、第5実施形態では、図13〜図15に示すように、レンズ部102bは、4つの凸面から構成される。ここで、各々の凸面は、発光ダイオードチップ90の[0001]方向および[000−1]方向の方位角において隣り合う凸面と、凸形状を形成するように接する。また、各々の凸面は、発光ダイオードチップ90の発光強度の強い[1−100]方向および[−1100]方向の方位角において隣り合う凸面と、凹形状を形成するように接する。これにより、レンズ部102b(パッケージ100)から出射される光は、図16に示すように、[0001]方向および[000−1]方向の方位角の方向へ屈折された状態で出射される。これにより、発光層92から出射される光が[0001]方向および[000−1]方向の方位角の方向に小さい発光強度を有する場合において、発光層92から出射される光は、発光強度の小さい[0001]方向および[000−1]方向へ偏向されるので、パッケージ100から出射される光の支持部材61のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる発光強度の差を低減することができる。
【0086】
なお、第5実施形態のその他の構造は、上記第4実施形態と同様である。
【0087】
なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
【0088】
なお、第5実施形態では、パッケージ100の樹脂モールド102(レンズ部102b)の光の出射面に、パッケージ100から出射される光のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減するように、曲面を有する複数の凸面が凹形状を形成するように接している形状を形成したが、本発明はこれに限らず、パッケージ100の反射側面に、パッケージ100から出射される光のチップ配置面61aの面内の方位角の違いによる強度の差を低減するように、図17に示す第5実施形態の第1変形例のように、発光ダイオードチップ90の発光強度の強い方位角方向において、曲面を有する複数の凹面が凸形状を形成するように接している形状を形成してもよい。ここで、図18は、図17の400−400線に沿った断面図であり、図19は、図17の500−500線に沿った断面図である。また、樹脂モールド102の光の出射面に、曲面を有する複数の凸面が凹形状を形成するように接している形状を形成する代わりに、図20に示す第5実施形態の第2変形例のように、発光層92と平行な断面が楕円となるように樹脂モールド102を形成し、楕円の長軸方向が発光層92から出射される光の発光強度が最も小さい方位角の方向に実質的に一致するように発光ダイオードチップ90を配置してもよい。加えて、パッケージ100の反射側面に、曲面を有する複数の凹面が凸形状を形成するように接している形状を形成する代わりに、図21に示す第5実施形態の第3変形例のように、発光層92と平行な断面が楕円となるようにパッケージ100の反射側面を形成し、楕円の長軸方向が発光層92から出射される光の発光強度が最も小さい方位角の方向に実質的に一致するように、発光ダイオードチップ90を配置してもよい。
【0089】
なお、第5実施形態において、上記第1実施形態の変形例と同様に、発光ダイオードチップ90の主面の面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別することができるように、図17、図20および図21のように、発光ダイオードチップ90が形成されていれば、発光ダイオードチップ90の発光強度の最も大きい方向と、樹脂モールドの曲面を有する凸面形状の方向とを合わせやすくなる。
【0090】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0091】
たとえば、上記第2〜第5実施形態では、発光ダイオードチップが1つの場合に、パッケージまたは発光ダイオードチップを所定の形状に形成することにより、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減した例について説明したが、本発明はこれに限らず、発光ダイオードチップが1つの場合に、パッケージと発光ダイオードチップとの両方を所定の形状に形成することにより、パッケージから出射される光のチップ配置面の面内の方位角の違いによる強度の差を低減してもよい。また、発光ダイオードチップが複数個ある場合に、上記第1実施形態のように、一方の発光ダイオードチップの方向と他方の発光ダイオードチップの方向とが交差するように発光ダイオードチップを配置しながら、上記第2〜第5実施形態のように、パッケージおよび発光ダイオードチップの少なくともいずれか一方を所定の形状に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に用いる発光ダイオードチップを説明するための断面図である。
【図2】極角θと方位角φとで定義される方向と、(11−20)面を主面とする発光層および発光層の面内の結晶方位との関係を示した図である。
【図3】(11−20)面を主面とするGaInNを井戸層とする量子井戸発光層から、[11−20]方向に対して有限(0ではない)の角度θだけ傾斜した方向に出射する光の方位角φと発光強度との関係を示した図である。
【図4】本発明の第1実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図5】図4に示した第1実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。
【図6】図4に示した第1実施形態による発光ダイオード装置の支持部材の構造を示した平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の変形例による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図9】図8に示した第2実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図11】図10に示した第3実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。
【図12】本発明の第4実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図14】図13の200−200線に沿った断面図である。
【図15】図13の300−300線に沿った断面図である。
【図16】図13に示した第5実施形態によるパッケージから出射される光が[0001]方向および[000−1]方向へ屈折される状態を示した図である。
【図17】本発明の第5実施形態の第1変形例による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図18】図17の400−400線に沿った断面図である。
【図19】図17の500−500線に沿った断面図である。
【図20】本発明の第5実施形態の第2変形例による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【図21】本発明の第5実施形態の第3変形例による発光ダイオード装置の構造を示した平面図である。
【符号の説明】
【0093】
2、12、32、52、72、92 発光層
2a、12a、32a、52a、72a、92a 主面
10、30、50、70、90 発光ダイオードチップ
10a 発光ダイオードチップ(第1発光ダイオードチップ)
10b 発光ダイオードチップ(第2発光ダイオードチップ)
20、40、60、80、100 パッケージ
21a、41a、61a チップ配置面
53a 光出射面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する発光層を含む発光ダイオードチップと、
前記発光ダイオードチップが配置されるチップ配置面を有するパッケージとを備え、
前記発光層の主面から出射される光は、前記発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有し、
前記パッケージは、前記発光層の主面から出射される光を散乱する凹凸形状を有する、発光ダイオード装置。
【請求項2】
主面を有する発光層を含む発光ダイオードチップと、
前記発光ダイオードチップが配置されるチップ配置面を有するパッケージとを備え、
前記発光層の主面から出射される光は、前記発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有し、
前記発光ダイオードチップの光出射面は、前記発光層の主面から出射される光を散乱する凹凸形状を有する、発光ダイオード装置。
【請求項3】
前記発光層は、ウルツ鉱構造の半導体およびα−SiCのいずれか一方からなる、請求項1または2に記載の発光ダイオード装置。
【請求項4】
前記発光層の主面は、(0001)面以外の面を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項5】
前記発光層の主面は、実質的に(H、K、−H−K、0)面(HおよびKは整数であり、HおよびKの少なくとも一方は0ではない)を含む、請求項4に記載の発光ダイオード装置。
【請求項6】
前記発光層の主面の面内方向の直線偏光に対する前記発光層の振動子強度は、前記発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる大きさを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項7】
前記発光ダイオードチップの面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別できるように、前記発光ダイオードチップの外観が形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項1】
主面を有する発光層を含む発光ダイオードチップと、
前記発光ダイオードチップが配置されるチップ配置面を有するパッケージとを備え、
前記発光層の主面から出射される光は、前記発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有し、
前記パッケージは、前記発光層の主面から出射される光を散乱する凹凸形状を有する、発光ダイオード装置。
【請求項2】
主面を有する発光層を含む発光ダイオードチップと、
前記発光ダイオードチップが配置されるチップ配置面を有するパッケージとを備え、
前記発光層の主面から出射される光は、前記発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる発光強度を有し、
前記発光ダイオードチップの光出射面は、前記発光層の主面から出射される光を散乱する凹凸形状を有する、発光ダイオード装置。
【請求項3】
前記発光層は、ウルツ鉱構造の半導体およびα−SiCのいずれか一方からなる、請求項1または2に記載の発光ダイオード装置。
【請求項4】
前記発光層の主面は、(0001)面以外の面を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項5】
前記発光層の主面は、実質的に(H、K、−H−K、0)面(HおよびKは整数であり、HおよびKの少なくとも一方は0ではない)を含む、請求項4に記載の発光ダイオード装置。
【請求項6】
前記発光層の主面の面内方向の直線偏光に対する前記発光層の振動子強度は、前記発光層の主面の面内の方位角に依存して複数の異なる大きさを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【請求項7】
前記発光ダイオードチップの面内の方位角に関する発光強度の最も大きい方向と、発光強度の最も小さい方向とを区別できるように、前記発光ダイオードチップの外観が形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光ダイオード装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−110439(P2013−110439A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−47173(P2013−47173)
【出願日】平成25年3月8日(2013.3.8)
【分割の表示】特願2007−233391(P2007−233391)の分割
【原出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(513022830)フューチャー ライト リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年3月8日(2013.3.8)
【分割の表示】特願2007−233391(P2007−233391)の分割
【原出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(513022830)フューチャー ライト リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
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